図1Aは、本発明の一実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図(two-dimensional plane view)である。
図1Bは、図1Aに示す自己拡張部材を示す斜視図である。
図1Cも、図1Aに示す自己拡張部材を示している。
図1Dは、図1Aに示す自己拡張部材の近位端(proximal end、近位端部)を拡大して示す図である。
図1Eは、図1Aに示す自己拡張部材の遠位端(distal end、遠位端部)を拡大して示す図である。
図1Fは、図1Aに示す自己拡張部材のうち、最も遠位寄りに位置する1つの最遠位セル構造体のうちの遠位領域(distal portion、遠位部)を拡大して示す図である。
図2は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図(two-dimensional plane view)である。
図3は、本発明の一実施形態に従う自己拡張部材のうちの遠位部を示している。
図4は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図(two-dimensional plane view)である。
図5は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図(two-dimensional plane view)である。
図6は、図2に示す自己拡張部材を、選択された複数本のストラットに複数本の放射線不透過性(radiopaque)ワイヤが巻き付けられている状態で示している。
図7は、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図(two-dimensional plane view)である。
図8Aは、本発明の別の実施形態に従う治療デバイスのうちの自己拡張部材を示す2次元平面展開図(two-dimensional plane view)である。
図8Bは、図8Aに示す自己拡張部材を、選択された複数本のストラットに複数本のワイヤが巻き付けられている状態で示している。
図1A−図1Cは、脈管または体内導管を治療する治療デバイス(vascular or bodily duct treatment device、血管治療デバイス)10であって、本発明の一実施形態に従うものを示している。図1Cに示すデバイスは、図1Aに示すデバイスと同じである。このデバイス10は、患者の頭蓋内脈管(intracranial vasculature、頭蓋内血管)に到達してそれを治療するという用途、例えば、動脈瘤(aneurysms)を治療するという用途、または、塞栓(embolic obstructions、塞栓性閉塞)を捕捉して除去するという用途に特に適している。しかし、理解されることは、このデバイス10は、前記脈管内の他の部位や他の体内導管に到達してそれを治療するという用途に利用可能であるということである。他の用途には、例えば、狭窄部(stenoses)の治療や、脈管についての他の種類の疾患または異常部(abnormalities、奇形部)の治療がある。図1Aは、このデバイス10を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。図1Bは、このデバイス10を、それが製造されたチューブ状の状態および/または半径方向に拡張されたチューブ状の状態で示している。このデバイス10は、自己拡張(expandable、自力で拡径可能な)部材を有しており、その自己拡張部材は、本体部12と、近位(proximal、術者に接近する)側に位置してテーパ状を成す近位テーパ部(proximal taper portion、テーパ状を成す近位部、先細の近位部)14と、遠位(distal、術者から遠ざかる)側に位置する遠位部16とを有している。本体部12は、図1Bに示すように、実質的に筒状を成す1つのチューブ構造体(cylindrical tubular structure)を形成するように配列された複数のセル構造体を有し、本体部内の複数のセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸(longitudinal axis、縦軸、中心軸)周りを連続的に、かつ、全周にわたって(circumferentially、全周的)延びている。いくつかの実施態様によれば、本体部12に位置する複数のセル構造体24は、図1Aに最も明瞭に示すように、いずれのセル構造体も、他の隣接するいずれのセル構造体とも周方向に並ぶ(circumferentially aligned with、周方向にきちんと整列する、周方向に一列に並ぶ)ことがないないように、配列される。図1Aおよび図1Bに示すいくつかの実施態様に注目すると、本体部12に位置する複数のセル構造体24によって形成される複数の列(row、セル構造体列)の各々は、前記長軸であって前記自己拡張部材の中心を貫通して延びるものに対して斜めに交差する姿勢で(in a diagonal fashion、対角となる姿勢で)、このデバイス10を取り囲む(circumscribe the device、このデバイス10の周囲または外周面を定義する)。図1Aにおいて、符号24を付された複数のセル構造体は、1つのセル構造体列を表し、また、それらセル構造体24の対角配列(diagonal disposition、斜め配列、斜行配列)を表している。近位テーパ部14は、複数のセル構造体であって、図1Bに最も明瞭に示すように、前記自己拡張部材の前記長軸周りを全周にわたってではなく部分的に(less than circumferentially、部分周的に)延びているものを有している。一実施態様によれば、前記自己拡張部材が、形状記憶材料、例えば、ニチノール(Nitinol、登録商標)により構成され、また、望ましくは、チューブをレーザで切断することによって製造される。いくつかの実施態様によれば、前記自己拡張部材が、それと一体的に形成されてそれから近位方向に延びるアンテナ30を有し、そのアンテナ30は、近位方向に延びる長手状のフレキシブル・ワイヤ(図示しない)を前記自己拡張部材に連結するために使用される。
使用中、このデバイス10をうまく誘導して(navigate、送給経路を最適化して)患者の解剖学的部位を通過するように押して送り込む(push、押して挿入する)ために、外科医により、前記フレキシブル・ワイヤの近位端が患者の人体の外側に留置されて操作される。そのフレキシブル・ワイヤは、半田、溶接、接着剤または他の既知の装着方法を用いてアンテナ30に連結してもよい。他のいくつかの実施態様においては、そのアンテナ30が省略され、前記フレキシブル・ワイヤの遠位端が、前記自己拡張部材の近位端17に直接装着される。使用中、前記自己拡張部材が、患者の治療部位(treatment site)と同じ位置またはそれより近位寄りの位置に予め配置された送給カテーテルを通過して前記治療部位まで送給される。前記自己拡張部材を、自身が前記送給カテーテルの遠位端から出現するまで、遠位方向に前進させることにより、および/または、前記送給カテーテルを近位方向に引き戻す(retract、格納する)ことにより、その自己拡張部材を前記治療部位に配備してもよい。後に詳述するように、このデバイス10の前記自己拡張部材は、その自己拡張部材が前記送給カテーテル内に再導入される(reintroduced、挿入し直しされる)(リシージングされる(resheathed、前記送給カテーテル内に挿入されて前記自己拡張部材が前記送給カテーテルによって被覆される))能力を増強する種々の特徴部を有する。前記自己拡張部材は患者の体内に間違った位置に留置(misplacement、誤留置)される可能性があるため、前記自己拡張部材を前記送給カテーテル内に再導入するとともに前記自己拡張部材の配備位置を変更する能力が重要である。
使用中、前記自己拡張部材は、患者の、屈曲蛇行した(tortuous)脈管解剖学的部位(vascular anatomy、脈管構造部)または体内導管(bodily duct)を通過して治療部位まで、第1公称(nominal、代表、平均、名目)直径の非拡張状態(unexpanded、半径方向に拡張しない状態)すなわち収縮状態(compressed state、圧縮状態)で前進させられ、また、前記自己拡張部材は、治療部位に配備されるために、前記非拡張状態から、第1公称(nominal、代表、平均、名目)直径より大きい第2公称(nominal、代表、平均、名目)直径の、半径方向に拡張した半径方向拡張状態(radially expandned state)に拡張することが可能である。一実施態様においては、前記自己拡張部材の本体部12に位置する複数のセル構造体24の寸法特性および材料特性が、患者から塞栓(embolic obstruction、塞栓性閉塞)を部分的にまたは完全に除去することが可能な方法で、前記脈管内に存在する塞栓との係合を複数のセル構造体24に行わせるのに十分な大きさの半径方向力(radial force)および接触相互作用(contact interaction)を生成するように選択される。別のいくつかの実施態様においては、本体部12に位置する複数のセル構造体24の寸法特性および材料特性が、単位長さ当たりに発生する半径方向力(radial force、引き裂き強度、引張強さ)が、約0N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあり、望ましくは、約0.010N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあり、さらに望ましくは、約0.030N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあるように選択される。一実施態様においては、完全に半径方向に拡張した完全拡張状態(fully expanded state)にある本体部12の直径が約4.0mmであり、このとき、セル・パターン(cell pattern、複数のセル構造体24の配列であるセル配列)、ストラット寸法(strut dimension、複数のセル構造体24に属する複数本のストラットの寸法)および材料(material、セル構造体24を構成する材料)が、本体部12の直径が、約1.0mmから約1.5mmまでの範囲内の値まで減少すると、発生する半径方向力が、約0.040N/mmから約0.050N/mmまでの範囲内にあるように選択される。この実施態様と同じかまたは別の実施態様においては、前記セル・パターン、ストラット寸法および材料(material(s)、複数の材料)が、本体部16の直径が3.0mmまで減少すると、発生する半径方向力が、約0.010N/mmから約0.020N/mmまでの範囲内にあるように選択される。
いくつかの実施態様によれば、本体部12に位置する複数のセル構造体24のうちの大部分(a majority of、半数以上)は、前記自己拡張部材の長軸方向に(along a length、長さ方向に沿って、全長にわたって)延びる複数本の波状(undulating)エレメント25a−25dが非同位相状態で(out-of-phase、互いに隣接する波状エレメント同士が、長さ方向の位相に関し、互いに不一致となる状態で)互いに連結されることにより、構成されている。この構成によれば、多数の利点が得られる。まず、複数のセル構造体24が曲線形状を有するという性質により、前記自己拡張部材が患者の、屈曲蛇行した解剖学的部位を通過して前記治療部位まで送給される期間における前記自己拡張部材の柔軟性が向上する。さらに、複数本の波状エレメント25a−25dが非同位相であるという非同位相位置関係により、前記自己拡張部材を構成する複数のエレメントがよりコンパクトな入り子構造(nesting)となり、それにより、前記自己拡張部材が収縮時に示す直径(compressed diameter)が減少する(very small、非常に小径となる)。前記自己拡張部材において複数のストラットが示すパターン(strut pattern、複数のストラットの配列パターン)であって、図1Aに示すものや、本明細書に記載されている別の種々の実施態様におけるものについての具体的な利点は、それら実施態様によれば、前記自己拡張部材を構成する複数のエレメントが順々にはまり込んで入れ子(sequential nesting)となり、これにより、前記自己拡張部材が部分的にまたは完全に展開した後に引き続いて送給カテーテルの内腔内に挿入されることが可能となるということである。上述の非同位相位置関係により、さらに、複数のセル構造体24の対角的方向(diagonal orientation、対角的配列)が生成され、その対角的方向は、前記自己拡張部材が収縮状態と拡張状態との間を遷移するにつれて、捩じれ動作(twisting action、前記自己拡張部材が長軸周りに締め方向に捩じれると収縮し、緩め方向に捩じれると拡張するという動作)を誘発する可能性があり、その捩じれ動作は、前記自己拡張部材が前記塞栓にうまく係合することを助ける。
一実施態様によれば、切断時の製造後状態(as-cut manufactured state、製造後に、2次元平面展開のために切断が行われて平面状を成す状態)において、前記自己拡張部材は、約32.0mmの全長を有し、このとき、本体部12は、約18.0mmの長さ寸法L2を有し、また、近位テーパ部14は、約10.0mmの長さ寸法L1を有し、また、遠位部16は、約4.0mmの長さ寸法L3を有する。別の実施態様によれば、切断時の製造後状態(as-cut manufactured state、製造後に、2次元平面展開のために切断が行われて平面状を成す状態)において、前記自己拡張部材は、約36.0mmの全長を有し、このとき、本体部12は、約21.0mmの長さ寸法L2を有し、また、近位テーパ部14は、約11.0mmの長さ寸法L1を有し、また、遠位部16は、約4.0mmの長さ寸法L3を有する。いくつかの実施態様によれば、近位テーパ部14の長さ寸法L1の、最も近位寄りに位置する最近位セル構造体(a proximal-most cell structure、唯一の最近位セル構造体)18の長さ寸法L4に対する比率は、約1.4から約2.0までの範囲内にある。すなわち、L1/L4が、約1.4から約2.0までの範囲内にあるのである。いくつかの実施態様によれば、最近位セル構造体18の長さ寸法L4が、約6.0mmから約7.0mmまでの範囲内にある。その最近位セル構造体18の長さ寸法L4が、近位端部(proximal end portion、近位テーパ部)14の長さ寸法L1と比較すると、比較的に長い(relatively long in comparison to、最近位セル構造体18の長さ寸法L4が近位テーパ部14の長さ寸法L1に近い)ということの結果として、有利なことに、前記自己拡張部材が前述のように配備位置に関して不適切である場合に前記自己拡張部材を前記送給カテーテル内に再導入する(reintroduce)ために要求されるオーバーオール・フォース(overall force、再導入のために前記自己拡張部材全体に作用させることが必要な力、合力、総合引込み力、総合牽引力、総合推力、力合計値、全体軸力、全体半径方向力)を減少させるように、角度αを最小化させることが可能となる。前記自己拡張部材を前記送給カテーテル内に最初にシージングする(sheathing、挿入する)間、前記角度αが小さいということ(the smaller angle)は、さらに、前記送給カテーテルに大きな垂直抗力(normal forces、法線力、半径方向力)が発生することが防止されるということにもなり、それにより、前記自己拡張部材が前記送給カテーテル内を前進させられる際の抵抗力(resistance、摩擦抵抗力)が減少する結果になる。別の利点は、前記自己拡張部材が、前記送給カテーテル内に収容されているときの収縮状態から、前記自己拡張部材が前記送給カテーテルの外部において展開されるときの拡張状態まで拡張される際に、1つの最近位セル構造体18によって寄与される短縮(foreshortening、拡張に伴う長さ寸法(軸長または管長)の短縮)(foreshortening contributed by the proximal-most cell structure 18、拡張時に前記自己拡張部材が短縮する量のうち、最近位セル構造体18の短縮によって寄与される部分)が最小化されるということである。いくつかの実施態様によれば、角度αが、約20度から約25度までの範囲内にある。他のいくつかの実施態様によれば、角度αが、約20度から約30度までの範囲内にある。他のいくつかの実施態様によれば、角度αが、約20度から約40度までの範囲内にある。
引き続き図1A−図1Cを参照するに、近位テーパ部14は、第1レール・セグメント(rail segment、縁セグメント)26および第2レール・セグメント(rail segment、縁セグメント)28により、それぞれ画定され(delimited、近位テーパ部14の両側縁部をそれぞれ定義され)、このとき、各レール・セグメント26,28は、前記自己拡張部材の近位端17から、このデバイス10のうちの本体部12まで延びている。第1レール・セグメント26は、複数のセル構造体18,21,22および23の複数本の最外側(outer-most)ストラット18a,21a,22aおよび23aであって、各々、最も外側に位置するものにより、それぞれ定義される。第2レール・セグメント28は、複数のセル構造体18,19および20の複数本の最外側ストラット18b,19aおよび最外側ストラット20aであって、各々、最も外側に位置するもののうちの少なくとも一部により、それぞれ定義される。第1レール・セグメント26は、直線または実質的に直線である第1部分26aであって、最外側ストラット18aのうちの近位領域によって少なくとも部分的に定義されるものと、直線または実質的に直線である第2部分26bであって、最外側ストラット21a,22aおよび23aによって定義されるものとを有し、このとき、第2部分26bの角度方向(angular orientation、前記2次元平面展開状態における前記自己拡張部材の長軸に対する広がり角)は、第1部分26aの角度方向(angular orientation)とは異なっている。図1Aおよび図1Cに示すように、前記自己拡張部材が切断されて一表面上に平らに展開された場合に、第1レール・セグメント26のうちの第2部分26bは、第1部分26aの角度方向とは異なる角度方向を有する。最近位セル構造体18の長さ寸法L4が、近位端部(proximal end portion、近位テーパ部)14の長さ寸法L1と比較すると、比較的に長い(relatively long in comparison to、最近位セル構造体18の長さ寸法L4が近位テーパ部14の長さ寸法L1に近い)ということの結果として、第1部分26aと第2部分26bとの間の、角度方向に関する広がり(divergence in angular orientation、第2部分26bの広がり角が第1部分26aの広がり角より大きいこと)のおかげで、近位端部(proximal end portion、近位テーパ部)14の長さ寸法L1が、第2部分26bの角度方向が、同じレール・セグメント26のうちの第1部分26aの角度方向と同じままであったなら達成されるであろう長さ寸法より短くなることが促進される。前記自己拡張部材が折り畳まれる能力(ability to collapse、収縮性、潰れ易さ、折畳み性、伸縮性、崩壊性)を増強し、また、前記自己拡張部材を形成する複数のセル構造体内での入れ子動作(nesting、ネスティング、入れ子構造)を促進する能力を増強するために、いくつかの実施態様によれば、第1レール・セグメント26のうちの第2部分26bが、このデバイス10のうちの本体部12内の複数のセル構造体24のうちの大部分(a majority of、半数以上)が従うヘリックス・アングル(helix angle、捩じれ角、複数のセル構造体が各セル構造体の長辺方向に一列に並ぶ際にそれらセル構造体が描くヘリックス、すなわち、つる巻き線の、前記自己拡張部材の長軸に対する角度)に近似する(similar、ヘリックス・アングルと実質的に一致する、ヘリックス・アングルを反映する)角度方向を有する。図1Cに示すように、前記自己拡張部材が切断されて一表面上に平らに展開された場合に、第1レール・セグメント26のうちの第2部分26bからそれに沿って延びる(coextending、第2部分26bを延長した)直線A1は、前記ヘリックス・アングルを表す直線A2の角度方向に近似する(similar、直線A2の角度方向と実質的に一致する、直線A2の角度方向を反映する)角度方向を有する。いくつかの実施態様によれば、直線A1と直線A2との間の、角度方向に関する差は、0度から10度までの範囲内にあり、望ましくは、0度から6度までの範囲内にある。
第2レール・セグメント28は、直線部(linear portion)28aと波状部(undulating portion)28bとを有しており、直線部28aは、ストラット18bのうちの近位領域によって少なくとも部分的に定義されている。いくつかの実施態様によれば、第2レール・セグメント28のうちのストラット18b,19a,20aと、第1レール・セグメント26のうちのストラット18a,21a,22a,23aとは、前記自己拡張部材が、前記送給カテーテル内に収容されているときの収縮状態にある場合に、第1レール・セグメント26の長さ寸法と第2レール・セグメント28の長さ寸法とが、互いに近似する(similar、実質的に互いに一致する、互いに反映する)ように、構成されている。第1レール・セグメント26と第2レール・セグメント28との間の長さ寸法不一致量を最小化することにより、前記自己拡張部材のうちの近位端部(proximal end portion、近位テーパ部)14に位置する複数のセル構造体24が、より簡単に入れ子動作(nesting、ネスティング)を行うとともに、いくつかの膨出部位(bulges、出っ張り)および他の形状異常部位(irregularities in profile、奇形部位、凹凸部位)の形成が最小化される。いくつかの実施態様によれば、第1レール・セグメント26と第2レール・セグメント28との間の長さ寸法差が、2%を超えない(no greater than 2%、各セグメント長の2%を超えない)。いくつかの実施態様によれば、第1レール・セグメント26と第2レール・セグメント28との間の長さ寸法差が、5%を超えない(no greater than 5%、各セグメント長の5%を超えない)。
図1Dは、いくつかの実施態様に従う1つの最近位セル構造体18の拡大図を示している。前記自己拡張部材の近位端17から延び出るストラット18aおよび18bのそれぞれのうちの近位領域(proximal end portion、近位端部)は、図1Dに示すように、前記自己拡張部材が切断されて一表面上に平らに展開された場合に、直線であるかまたは実質的に直線である。ストラット18aおよび18bのそれぞれのうちの近位領域(proximal end portion、近位端部)が直線的である(linear or straight、一次元的にまたは直線的に延びている)という性質により、前記自己拡張部材が前記送給カテーテル内を押して通過させられる際に、曲げおよび/または座屈に対して抵抗するのに十分なコラム強度(column strength、柱強度)が実現される。ストラット18aおよび18bのそれぞれのうちの近位領域(proximal end portion、近位端部)であって部位「a」および「b」に沿って延びるものは、それぞれ、部位「c」および「d」における幅寸法より広い幅寸法を有する(respectively、部位「a」における幅寸法は、部位「c」における幅寸法より広く、また、部位「b」における幅寸法は、部位「d」における幅寸法より広い)。いくつかの事例においては、ストラット18aおよび18bのそれぞれのうちの近位領域(proximal end portion、近位端部)の幅寸法が、前記自己拡張部材のうちの近位端部(proximal end portion、近位テーパ部)14のうちの、残りのストラットのすべてについての幅寸法、または同じストラットのうちの残りの部分のすべてについての幅寸法より広い。いくつかの事例においては、ストラット18aおよび18bのそれぞれのうちの近位領域(proximal end portion、近位端部)の幅寸法が、前記自己拡張部材のうち、残りのストラットのすべてについての幅寸法、または同じストラットのうちの残りの部分のすべてについての幅寸法より広い。ストラット18aおよび18bのそれぞれのうちの近位領域(proximal end portion、近位端部)に、拡大された(enhanced、周囲より広い、他の部位より広い)幅寸法を与えることにより、前記自己拡張部材が前記送給カテーテル内を押して通過させられる際に、曲げおよび/または座屈に対して抵抗するのに十分なコラム強度(column strength、柱強度)が実現される。いくつかの実施態様によれば、ストラット18aおよび18bの、部位「a」および「b」におけるそれぞれの幅寸法は、約0.0055インチから0.0060インチまでの範囲内にあり、このとき、ストラット18aおよび18bの、部位「c」における幅寸法は、約0.0049インチから約0.0052インチまでの範囲内にあり、また、ストラット18aおよび18bの、部位「d」における幅寸法は、約0.0036インチから約0.0045インチまでの範囲内にある。いくつかの実施態様によれば、ストラット18cの幅寸法は、約0.0030インチから約0.0033インチまでの範囲内にあり、また、ストラット18dの幅寸法は、約0.0028インチから約0.0030インチまでの範囲内にある。
いくつかの実施態様によれば、前記自己拡張部材のうちの本体部12を形成する複数のセル構造体24は、複数本のストラットであって、各々、約0.0025インチから約0.0030インチまでの範囲内の幅寸法を有するものによって構成される。いくつかの実施態様によれば、前記自己拡張部材における前記複数本のストラットの各々は、実質的に互いに一致する厚さ寸法を有し、一方、他のいくつかの実施態様によれば、それら複数本のストラットの厚さ寸法が互いに異なる。いくつかの実施態様によれば、その厚さ寸法(the thickness dimension、前記複数本のストラットの各々の厚さ寸法)が、約0.0030インチから約0.0035インチまでの範囲内にある。
図1Eは、図1Aに示す自己拡張部材のうちの遠位部16の拡大図を示している。その遠位部16を形成する複数のセル構造体またはそれらセル構造体のうちのいくつかの部位は、前記自己拡張部材が、実質的に非鋭利である(substantially blunt、実質的に丸い、丸みを帯びている)かまたは非鋭利状の(blunt-like)先端部を、セル構造体25,26および27の先端25x,26xおよび27xが、前記自己拡張部材の前記長軸に対して直交する複数の平面であって互いに平行であるもの内にそれぞれ配置される(lying in parallel planes that are orthogonal to the longitudinal axis、先端25x,26xおよび27xは、前記長軸の方向における位置に関し、互いに異なる)状態で有するように構成されるとともに配置される。遠位部16の非外傷性(the atraumatic quality、遠位部16が周辺組織を損傷し得る能力が低いという性質)を向上させるために、セル構造体25,26および27の複数本の最遠位ストラットに、減少させられた(reduced、周囲より減少させられた、他の部位より減少させられた)幅寸法および/または厚さ寸法であってそれらセル構造体25,26および27の各々がそれぞれの遠位領域において撓む(flex、曲がる)ことを可能とするものを有する複数の領域(regions of reduced width dimension and/or thickness dimension、幅狭・肉薄領域)が設けられる。いくつかの実施態様によれば、それら幅狭・肉薄領域が、前記複数本の最遠位ストラットのそれぞれの近位端と同じ位置またはそれの近傍位置に、隣接ストラット(a neighboring strut、各最遠位ストラットに隣接する別のストラット)との交点(an intersection、各最遠位ストラットと隣接ストラットとの交点)に隣接するように留置される。例示として、かつ、引き続き図1Eを参照するに、セル構造体25,26および27の各々は、それぞれ、最遠位ストラット25aと25b,26aと26b,および27aと27bを有する。最遠位ストラット25aは、近位領域aと遠位領域bとを有し、このとき、近位領域aは、遠位領域bより小さい幅寸法および/または厚さ寸法を有する。最遠位ストラット25bは、近位領域dと遠位領域cとを有し、このとき、近位領域dは、遠位領域cより小さい幅寸法および/または厚さ寸法を有する。このような寸法構成を有する結果、セル構造体25のうちの遠位領域は、複数の幅狭・肉薄部位(the locations of reduced width dimension and/or thickness dimension)、すなわち、近位領域aおよび近位領域dのそれぞれの位置において主に発生する曲げにより、撓む(flex、曲がる)ことが許容される。最遠位ストラット26aは、近位領域eと遠位領域fとを有し、このとき、近位領域eは、遠位領域fより小さい幅寸法および/または厚さ寸法を有する。最遠位ストラット26bは、近位領域hと遠位領域gとを有し、このとき、近位領域hは、遠位領域gより小さい幅寸法および/または厚さ寸法を有する。このような寸法構成を有する結果、セル構造体26のうちの遠位領域は、複数の幅狭・肉薄部位(the locations of reduced width dimension and/or thickness dimension)、すなわち、近位領域eおよび近位領域hのそれぞれの位置において主に発生する曲げにより、撓む(flex、曲がる)ことが許容される。最遠位ストラット27aは、近位領域iと遠位領域jとを有し、このとき、近位領域iは、遠位領域jより小さい幅寸法および/または厚さ寸法を有する。最遠位ストラット27bは、近位領域lと遠位領域kとを有し、このとき、近位領域lは、遠位領域kより小さい幅寸法および/または厚さ寸法を有する。このような寸法構成を有する結果、セル構造体27のうちの遠位領域は、複数の幅狭・肉薄部位(the locations of reduced width dimension and/or thickness dimension)、すなわち、近位領域iおよび近位領域lのそれぞれの位置において主に発生する曲げにより、撓む(flex、曲がる)ことが許容される。
図1Eに示すように、セル構造体25,26および27の先端25x,26xおよび27xは、それぞれ、ニップル(nipple、離間した2つの部位を互いに連結する軸状継手、短管の両端にねじが切ってある管継手、乳首状突起、乳首状隆起、軸状部材)28を有しており、そのニップル28は、放射線不透過性のマーカ29を支持する(receiving、受ける、収容する)のに適しており、そのマーカ29は、図1Fに示すように、ニップル28の一断面の周りに巻き付けられることが可能であるらせん構造体(spiral structure、つる巻き状構造体)を成している。他の放射線不透過性のマーカであって非らせん状を成すものを、セル構造体25,26および27のうちの少なくとも一つのニップル部(the nipple region、ニップル28)に、接合(例えば、半田、溶接、エポキシ接着剤など)、スウェージング(swaging、かしめ)またはクリンピング(crimping、圧着、圧接)という手段により、装着してもよい。いくつかの実施態様によれば、ニップル28の内側幅寸法(the inner width、外径寸法、内径寸法、ニップル28の全長のうち、それに隣接する2本のストラットによって挟まれる、露出した内側部分の長さ寸法)は、約0.006インチから約0.007インチまでの範囲内にあり、また、ストラットであってそれの表面に上述の放射線不透過性のマーカが装着されるものは、約0.0035インチから約0.0045インチまでの範囲内の幅寸法を有する。
いくつかの実施態様によれば、セル構造体25,26および27のうちの少なくとも一つのうちの遠位領域は、前記自己拡張部材のうちの遠位部16が前記送給カテーテルの外側に位置しているときに(when the distal portion 16 of the expandable member resides outside of the delivery catheter、前記自己拡張部材のうちの遠位部16が前記送給カテーテルから解放されると)外向きにフレア状となる(flare outward、外向きにラッパ状を成すように拡径して展開する)ように形成される。患者の管腔壁(the vessel wall、血管壁)に向かってフレア状である結果、セル構造体25,26および27のそれぞれの遠位領域は、前記自己拡張部材が患者の脈管(vasculature、血管)を通過するように近位方向に抜去されると、前記管腔壁に沿ってその表面をやさしくなでるように進行する(gently ride along the vessel wall)ことが可能であり、また、前記自己拡張部材が患者から抜去される際に、治療デバイス10が近位方向に移動する結果として発生する残留組織片(residual debris、残留破片)を回収することが可能である。
図1A−図1Fを参照する前述の説明においては、多数の特徴部が説明されており、それら特徴部は、個別にであるか全体的にであるかを問わず、前記自己拡張部材が自身の機能を実現する能力を向上させ、いくつかの事例においては、前記機能が、前記自己拡張部材を、患者内の治療部位に送給カテーテルを経由して送給する機能、前記自己拡張部材を前記治療部位に配備して脈管塞栓(vascular obstructions、脈管を閉塞させる障害物)(例えば、血栓(blood clot)に係合させる機能、および前記自己拡張部材を患者から、その捕捉された脈管塞栓と一緒に抜去する機能を含んでいる。前述のように、前記治療部位への前記自己拡張部材の設置(placement)は、前記自己拡張部材を前記送給カテーテル内に再導入する工程(reintroducing)またはリシージングする工程(re-sheathing)を含むことが可能である。設置は、前記自己拡張部材を患者の脈管の内部において、近位方向および遠位方向に移動させる工程を含むことも可能である。それら機能の各々ごとに、特定の複数の特徴部、または、特定の複数のグループであって、各々、複数の特徴部を有するものが、前記自己拡張部材が各機能に関して性能を向上させるために提供される。そのような意味において、理解されることは、本明細書中に開示されているいくつかの実施態様に関連して本明細書中に記載されている複数の特徴部のすべてを組み合わせて使用することが必須であるというわけではなく、また、それら特徴部の各々は、前記開示されている他の特徴部を伴うということを必要条件とすることなく、単独で、1つの自己拡張部材内に組み込んで実施することが可能であるということである。さらに、理解されることは、それぞれの個々の特徴部は、他の複数の特徴部のうちの少なくとも一つと組み合わせて使用してもよいということである。
図2は、脈管または体内導管を治療する治療デバイス(vascular or bodily duct treatment device、血管治療デバイス)50であって、本発明の別の実施形態に従うものを示しており、その実施態様は、図1Aに示す治療デバイス10に類似している。このデバイス50の自己拡張部材は、近位(proximal、術者に接近する)側に位置してテーパ状を成す近位テーパ部52と、筒状を成す本体部54と、遠位(distal、術者から遠ざかる)側に位置する遠位部56とを有している。治療デバイス10の自己拡張部材と治療デバイス50の自己拡張部材との間での寸法に関する相違点を除くと、両者の相違点は、遠位部16および遠位部56の構成態様にある。デバイス10の自己拡張部材と同様に、デバイス50の最遠位セル構造体57,58および59の各々は、それぞれ、最遠位ストラット57aと57bのペア、最遠位ストラット58aと58bのペア、および最遠位ストラット59aと59bのペアを有しており、このとき、それら最遠位ストラットのうちの少なくとも一つは、近位領域と遠位領域とを有し、このとき、近位領域は、遠位領域における幅寸法および/または厚さ寸法より小さい幅寸法および/または厚さ寸法を有する領域(region having a width and/or thickness dimension less than、幅狭・肉薄領域)である。このような構成態様を採用する結果、最遠位セル構造体57,58および59のうちの少なくとも一つの遠位領域は、複数の幅狭・肉薄部位(the locations of reduced width and/or thickness)において主に発生する曲げにより、撓む(flex、曲がる)ことが許容される。
図1Aおよび図2に示すそれぞれの実施態様においては、遠位部16および遠位部56にそれぞれ位置する複数の最遠位セル構造体のそれぞれの遠位端(distal ends)が、互いにずらされている(staggered)(すなわち、同一平面上に存在しない)。いくつかの実施態様によれば、前記自己拡張部材に、実質的に同一平面上に位置する複数の端点(end points)を与えるために、少なくとも1列のセル構造体(row of cell structures、セル構造体列)であって、各々、複数のセル構造体より成るものを、図3に示す方法で追加することが可能である。例示として、図3は、図2に示す自己拡張部材を示しており、このとき、2列のセル構造体が、前記自己拡張部材の端部(the end、遠位端)に装着されている(appended、外付けされている)。注目することが重要なことは、1列のセル構造体のみを用いてもよいということである。セル構造体60a,60bおよび60cより成る第1のセル構造体列が、セル構造体57,58および59から遠位方向に延びており、このとき、それらセル構造体60a,60bおよび60cのそれぞれの遠位端が同一平面上に実質的に一列に並んでいる。セル構造体62a,62bおよび62cより成る第2のセル構造体列も設けられる。いくつかの実施態様によれば、図3に示すように、周方向に互いに隣接する(adjacent、互いに隣合う)複数のセル構造体が、互いに連結される(attached、接続される)ことはない。すなわち、セル構造体60aは、セル構造体60bに連結されず、また、セル構造体60bは、セル構造体60cに連結されず、また、セル構造体60cは、セル構造体60aに連結されず、また、セル構造体62aは、セル構造体62bに連結されず、また、セル構造体62bは、セル構造体62cに連結されず、また、セル構造体62cは、セル構造体62aに連結されない。この構成態様により、前記自己拡張部材のうちの遠位領域(the distal portion、遠位部)の柔軟性(flexibility、曲がり易さ)が増加させられる。いくつかの実施態様によれば、前記自己拡張部材のうちの遠位領域(the distal portion、遠位部)であってセル構造体60a−60cおよびセル構造体62a−62cを有するものが、外向きにラッパ状を成して広がるフレアであって、拡張状態での直径が前記本体部の直径より大きいもの(greater expanded diameter)を有するように形成されてもよい。前記脈管に向かってラッパ状を成して広がるフレアを有するように形成される結果、セル構造体60a−60cおよびセル構造体62a−62cのうちの少なくとも1つの部分が、前記自己拡張部材が患者の脈管構造を通過して近位方向に抜去されると、前記脈管壁に沿ってその表面をやさしくなでるように進行する(gently ride along the vessel wall)ものとしてもよく、また、セル構造体60a−60cおよびセル構造体62a−62cのうちの少なくとも1つの部分が、治療デバイス50が患者から抜去されている際にその治療デバイス50の近位方向への移動に起因して発生する組織片(debris、破片)を回収するものとしてもよい。いくつかの実施態様によれば、前記複数の最遠位セル構造体(the distal-most cell structures、セル構造体62a−62c)が、各々、外向きに直線的に延びるフレア状を成すように形成され(are flared outwardly in linear manner、前記複数の最遠位セル構造体にそれぞれ、ラッパ状を成して外向きに広がるフレア状部が、それの傾斜勾配が直線的であるように形成され)、このとき、直線的に延びる唯一の部位(a single longitudinal location、各最遠位セル構造体のフレア状部を形成するように、直線的に延びる唯一の部位)が前記自己拡張部材上に存在し、それにより、セル構造体60a−60cが曲がっている(bent、セル構造体62a−62cに対して曲がっている)。いくつかの実施態様によれば、前記複数の最遠位セル構造体(the distal-most cell structures、セル構造体62a−62c)が、各々、外向きに曲線的に延びるフレア状を成すように形成され(are flared outwardly in curvilinear manner、前記複数の最遠位セル構造体にそれぞれ、ラッパ状を成して外向きに広がるフレア状部が、それの傾斜勾配が曲線的である(カールする)ように形成され)、このとき、複数の曲がり部位(multiple bending locations、各最遠位セル構造体のフレア状部ごとに、曲線的に延びる複数の部位)が、例えば、1つの凹面形状を有する1つのフレア(a flare having a concave shape、各最遠位セル構造体のフレア状部ごとに、そのフレア状部を構成する前記複数の曲り部位が1つの凹面形状を有する1つのフレア)を形成するように存在する。
図4は、図2に示す治療デバイス50の一変形例を示しており、このとき、本体部54に位置する複数のセル構造体70のうちの少なくとも一部は、それぞれ、浮動内部セル(a floating inner cell、浮動内部セル構造体、1個の浮動内部セル、浮動内包セル、セル構造体70の内部に浮動的に位置する別のセル)71を有する。いくつかの実施態様によれば、いくつかの内部セル(the inner cells)71が、複数のセル構造体(the cells)70に近似する(similar、複数のセル構造体70の形状と実質的に同じ、複数のセル構造体70の形状を反映した)形状を有しており、複数の内部セル71は、複数のセル構造体70の内部に配置されるとともに、複数の内部セル71は、それら内部セル71のそれぞれの近位端において、複数のセル構造体70のそれぞれの、近位寄りの頂点である近位頂点72に連結される。他のいくつかの形状および他のいくつかの連結位置を採用することも可能である。いくつかの実施態様によれば、複数の内部セルは、前記自己拡張部材の中心(the center、中心点、中心線)に向かって内側に(inward toward the center、半径方向内向きに)曲がるように付勢され、組織片(debris、破片)を前記自己拡張部材内において捕捉する(capture debris within the expandable member、組織片を前記自己拡張部材内においてしっかり掴む)ことを支援する機能と、前記自己拡張部材が患者の脈管構造内または他の体内導管内を移動させられる際に、前記組織片(debris、破片)が前記自己拡張部材から漏れ出てしまう(escape from the expandable member、組織片が前記自己拡張部材(のもともとのセル構造体)から外に漏れ落ちてしまわないないようにする)ことを阻止する機能とを果たす。いくつかの実施態様によれば、複数の内部セル71を形成する複数本のストラットの幅寸法は、複数のセル構造体70を形成する複数本のストラットの幅寸法より小さい。いくつかの他の実施態様においては、前記自己拡張部材のうちの遠位領域(the distal region、遠位部)に位置するセル構造体列74およびセル構造体列76のうちの少なくとも1つは、図5に示すように、それぞれ、浮動内部セル(a floating inner cell、1個の浮動内部セル)71を有する。
図6は、治療デバイスのうちの自己拡張部材であって図2に示すものと類似するものを示しており、このとき、複数本の放射線不透過性ワイヤが、前記自己拡張部材のうちのいくつかの部分の周りに巻き付けられている。図6に示す実施態様においては、3本の放射線不透過性ワイヤ80,81および82が、前記自己拡張部材の放射線不透過性を増加させるという目的および/または当該治療デバイスのうちの少なくとも1つの部分の剛性に影響を与えるという目的を果たすように選択された複数本のストラットの周りに巻き付けられている。図6に示す例示的な実施態様においては、3本の放射線不透過性のワイヤ(またはリボン)80,81および82が、当該治療デバイスの放射性不透過性をその治療デバイスの長さ方向に沿って向上させるという目的と、少なくとも筒状本体部(cylindrical main body portion、本体部)54の剛性を少なくとも向上させるという目的とのために、当該塞栓回収デバイス(the retrieval device、当該治療デバイス)の長さ方向に沿って(along a length、全長に沿って)編み付けられている(woven、巻き付けられている)。当該治療デバイスのうちの遠位部56に過度な硬直化(undue stiffening、過大な剛性を有する過剰剛性部)が発生しないようにするために、遠位部56の大部分(a majority of、半分以上の部分)または全部において、ワイヤ80−82が存在しないようになっている。図6に示す実施態様においては、ワイヤ80−82が、斜め下向きに延びている(diagonally downward oriented)(同図を左側から右側に向かって見た場合に)複数本のストラットの周りに編み付けられている(woven、巻き付けられている)。それらワイヤ80−82の各々を巻き付ける工程(wrapping、被覆する工程、包囲する工程)は、当該ワイヤを、それの長さ方向における任意の位置、例えば、当該ワイヤのうち長さが半分の位置が折り畳み点となるように折り畳み(fold)、その折り畳み点(the fold)を遠位部位90,91または92に位置決めし、そして、当該ワイヤの2つの自由端部を、図6に示すように、前記複数本のストラットに沿って編み付ける(weave、巻き付ける)ことによって達成してもよい。この方法の利点は、ワイヤ80,81および82を遠位部位90,91および92にそれぞれ接合する接合部であってその接合部があると遠位部56の体積(bulk、サイズ)および剛性が不要に増加してしまうものが不要となるということである。一実施態様においては、ワイヤ80−82が、幅寸法および/または直径寸法が約0.0015インチから約0.0025インチまでの範囲内にあるプラチナを含有し、このとき、ストラット1本当たりの巻数(windings、巻部の数)の平均値が約1個から約10個までの範囲内にあり、最も一般的には、ストラット1本当たりの巻数(windings)が1個から5個までの範囲内にある。理解されるべきことは、1本のワイヤまたは任意の複数本のワイヤを、図6に示す3本のワイヤの構成態様に代えて使用してもよいということである。さらに、注目することが重要なことは、放射線不透過性を向上させる事例においては、1本のワイヤまたは複数本のワイヤが、任意の1種類の放射線不透過性材料または任意の複数種類の放射線不透過性材料の組合せを有してもよいということである。複数のワイヤ巻部が剛性に影響を与えることのみを目的として使用される場合には、1本のワイヤまたは複数本のワイヤが、そのような目的を達成するのに適した任意の材料、例えば、金属、ポリマーおよび複合材料を有してもよい。いくつかの実施態様においては、1本または複数本のワイヤの断面積が、当該治療デバイスの長さ方向に沿って、放射線不透過性および/または剛性が変化することを実現するために、変化する。いくつかの実施態様によれば、ワイヤ80−82の近位端セグメントおよび遠位端セグメント(the proximal and distal end segments、各ワイヤをそれの中央位置で折り畳む前における各ワイヤの両端部)が、前記自己拡張部材の近位アンテナ51に連結される。いくつかの実施態様においては、ワイヤ80−82の端部(ends、複数の端部)と近位アンテナ51とが、コイル構造体(coil structure、コイル製の構造体、コイルを主体とする構造体)(図示しない)内において、互いに連結される。この種の実施態様においては、コイル80−82の端部が、近位アンテナ51と、その近位アンテナ51を外側から包囲する前記コイルとの間に挿入される(interposed)。この種の実施態様においては、前記コイルと、近位アンテナ51と、ワイヤ80−82の端部とを互いに接合するために、前記コイルの内部(interior、内部空間、内室)に接合剤(bonding agent)が導入されてもよい。他のいくつかの実施態様においては、ワイヤ80−82の端部(ends、複数の端部)が、半田または接着剤(glue)のような接合剤を用いて近位アンテナ51に直接接合される。
図7は、脈管または体内導管を治療する治療デバイス(vascular or bodily duct treatment device、血管治療デバイス)100であって、複数のセル構造体を有しており、それらセル構造体のうちの実質的にすべてのものが、実質的に平行四辺形状を成しているものを示している。図7は、このデバイス100を、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示している。このデバイス100は、近位テーパ部101と、本体部102と、遠位部103とを有する自己拡張部材を備えている。本体部102は、実質的に筒状を成すチューブ構造体を形成するように配列された複数のセル構造体105を有しており、それらセル構造体105は、前記自己拡張部材の長軸(longitudinal axis、縦軸、中心軸)の周りを連続的に、かつ、全周にわたって(circumferentially、全周的)延びている。いくつかの実施態様によれば、本体部102に位置する複数のセル構造体105は、図7に示すように、それらセル構造体105のうち、隣接するいずれのセル構造体とも周方向に並ぶ(circumferentially aligned with、周方向にきちんと整列する、周方向に一列に並ぶ)ことがないように配列される。図7に示す実施態様に注目すると、本体部102に位置する複数のセル構造体105より成る複数のセル構造体列の各々が、前記自己拡張部材の中心を貫通して延びる前記長軸に対して斜めに交差する姿勢で(in a diagonal fashion、対角となる姿勢で)、このデバイス100を取り囲む(circumscribe the device、このデバイス100の周囲または外周面を定義する)。図7において符号105が付された複数のセル構造体は、1列を成す複数のセル構造体105(a row of cell structures、1つのセル構造体列)を表し、また、それらセル構造体105の対角的配列(diagonal disposition、対角方向に並んでいる配列)を表している。近位テーパ部101は、複数のセル構造体を有し、それらセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸周りを全周にわたってではなく部分的に(less than circumferentially、部分周的に)延びている。一実施態様によれば、前記自己拡張部材は、形状記憶材料、例えば、ニチノール(Nitinol、登録商標)により構成され、また、望ましくは、チューブをレーザで切断することによって製造される。いくつかの実施態様によれば、前記自己拡張部材は、それと一体的に形成されてそれから近位方向に延びるアンテナ106を有しており、そのアンテナ106は、長手状のフレキシブル・ワイヤ(図示しない)を前記自己拡張部材に連結するために使用される。
引き続き図7を参照するに、近位テーパ部101は、第1レール・セグメント108および第2レール・セグメント109によってそれぞれ画定され(delimited、近位テーパ部101の両側縁部をそれぞれ定義され)、このとき、各レール・セグメント108,109は、前記自己拡張部材の近位端110から当該デバイス100のうちの本体部102まで延びている。第1レール・セグメント108は、複数のセル構造体112,114,116および117の複数本の最外側(outer-most)ストラットであって、各々、最も外側に位置するものによって構成されている。第2レール・セグメント109は、複数のセル構造体112,118および119の複数本の最外側(outer-most)ストラットであって、各々、最も外側に位置するものによって構成されている。第1レール・セグメント108は、実質的に直線である1つの第1準直線部108aを有しており、その第1準直線部108aは、1つの最近位セル構造体112のうちの1本の最外側ストラット112aによって少なくとも部分的に構成されている。この第1レール・セグメント108は、さらに、実質的に直線である1つの第2準直線部108bを有しており、その第2準直線部108bは、複数のセル構造体114,116および117の複数本の最外側ストラットによって構成されており、このとき、その第2準直線部108bの角度方向(angular orientation、前記2次元平面展開状態における前記自己拡張部材の長軸に対する広がり角)が、第1準直線部108aの角度方向(angular orientation)とは異なっている。第2レール・セグメント109は、実質的に直線である1つの第1準直線部109aを有しており、その第1準直線部109aは、1つの最近位セル構造体112のうちの1本の最外側ストラット112bによって少なくとも部分的に構成されている。この第2レール・セグメント109は、さらに、実質的に直線である1つの第2準直線部109bを有しており、その第2準直線部109bは、複数のセル構造体118および119の複数本の最外側ストラットによって構成されており、このとき、その第2準直線部109bの角度方向(angular orientation、前記2次元平面展開状態における前記自己拡張部材の長軸に対する広がり角)が、第1準直線部109aの角度方向(angular orientation)とは異なっている。第1および第2レール・セグメンント108および109の第1および第2準直線部108a,109a,108b,109b間の、角度方向(angular orientation)に関する広がり(divergence in angular orientation、第2準直線部108b,109bの広がり角が第1準直線部108a,109aの広がり角より大きいこと)のおかげで、近位端部(proximal end portion、近位テーパ部)101の長さ寸法を、第2準直線部108b,109bの角度方向が第1準直線部108a,109aの角度方向と同じに維持されていたら達成されていたであろう長さ寸法より短縮することが容易となる。前記自己拡張部材が折り畳まれる能力(ability to collapse、潰れ易さ、折畳み性、伸縮性、崩壊性)を増強し、また、前記自己拡張部材を形成する複数のセル構造体内での入れ子動作(nesting、ネスティング)を促進する能力を増強するために、いくつかの実施態様によれば、第1レール・セグメント108のうちの第2準直線部108bが、このデバイス100のうちの本体部102内の複数のセル構造体105が従うヘリックス・アングル(a helix angle、あるヘリックス・アングル、一列に並んだ複数のセル構造体105が各セル構造体150の長辺方向に並ぶ際にそれらセル構造体105が沿って延びるヘリックス、すなわち、つる巻き線の、前記長軸に対する角度)A4に近似する(similar、ヘリックス・アングルと実質的に一致する、ヘリックス・アングルを反映する)角度方向A3を有する。図7に示すように、前記自己拡張部材が切断されて一表面上に平らに展開された場合に、第1レール・セグメント108のうちの第2準直線部108bからそれに沿って延びる(coextending、第2準直線部108bを延長した)直線A3は、ヘリックス・アングルを表す直線A4の角度方向に近似する(similar、直線A4の角度方向と実質的に一致する、直線A4の角度方向を反映する)角度方向を有する。いくつかの実施態様によれば、直線A3の角度方向は、直線A4の角度方向との差が0度から5度までの範囲内にある。同様に、いくつかの実施態様によれば、第2レール・セグメント109のうちの第2準直線部109bが、このデバイス100のうちの本体部102内の複数のセル構造体105が従うヘリックス・アングル(a helix angle、あるヘリックス・アングル、別のヘリックス・アングル)A2に近似する(similar、直線A2と実質的に一致する、直線A2を反映する)角度方向A1を有する。図7に示すように、前記自己拡張部材が切断されて一表面上に平らに展開された場合に、第2レール・セグメント109のうちの第2準直線部109bからそれに沿って延びる(coextending、第2準直線部109bを延長した)直線A1は、ヘリックス・アングルを表す直線A2の角度方向に近似する(similar、直線A2の角度方向と実質的に一致する、直線A2の角度方向を反映する)角度方向を有する。いくつかの実施態様によれば、直線A1の角度方向は、直線A2の角度方向との差が0度から5度までの範囲内にある。
図1Aに示すデバイス10のうちの自己拡張部材と同様に、当該デバイス100のうちの複数の最遠位セル構造体120,121,122および123の各々は、それぞれ、最遠位ストラット120aと120bのペア、最遠位ストラット121aと121bのペア、最遠位ストラット122aと122bのペア、および最遠位ストラット123aと123bのペアを有してもよく、このとき、それら最遠位ストラットのうちの少なくとも1本または複数本は、近位領域と遠位領域とを有し、このとき、その近位領域は、遠位領域における幅寸法および/または厚さ寸法より小さい幅寸法および/または厚さ寸法を有する。このような構成態様を採用する結果、複数の最遠位セル構造体120,121,122および123のうちのいずれかまたは複数のものの前記遠位領域は、複数の幅狭・肉薄部位(the locations of reduced width dimension and/or thickness dimension)において主に発生する曲げにより、撓む(flex、曲がる)ことが許容される。
図8Aは、本発明の別の実施態様に従う治療デバイス200を示している。図8Aにおいては、この治療デバイス200が、自身を切断して一表面上に平らに展開したかのように、2次元平面展開図で示されている。このデバイス200は、近位テーパ部201と、本体部202と、遠位部203とを有する自己拡張部材を備えている。本体部202は、実質的に筒状を成すチューブ構造体を形成するように配列された複数のセル構造体を有しており、それらセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸(longitudinal axis、縦軸、中心軸)の周りを連続的に、かつ、全周にわたって(circumferentially、全周的)延びている。図8Aに示す実施態様に注目すると、前記自己拡張部材のうちの本体部202は、互いにサイズが異なる2種類のセル構造体206および207を有する。一実施態様によれば、複数のセル構造体206は、複数のセル構造体207のサイズの半分のサイズを有しており、このとき、本体部202に位置する複数のセル構造体によって形成される複数の列の各々(each row of cell structures、各セル構造体列)は、前記自己拡張部材の中心を貫通して延びる前記長軸に対して斜めに交差する姿勢で(in a diagonal fashion、対角となる姿勢で)、このデバイス200を取り囲む(circumscribe the device、このデバイス200の周囲または外周面を定義する)。近位テーパ部201は、複数のセル構造体を有し、それらセル構造体は、前記自己拡張部材の長軸周りを全周にわたってではなく部分的に(less than circumferentially、部分周的に)延びている。一実施態様によれば、前記自己拡張部材は、形状記憶材料、例えば、ニチノール(Nitinol、登録商標)により構成され、また、望ましくは、チューブをレーザで切断することによって製造される。いくつかの実施態様によれば、前記自己拡張部材は、それと一体的に形成されてそれから近位方向に延びるアンテナ210を有しており、そのアンテナ210は、長手状のフレキシブル・ワイヤ(図示しない)を前記自己拡張部材に連結するために使用される。
いくつかの実施態様によれば、近位テーパ部201は、第1レール・セグメント208および第2レール・セグメント209によってそれぞれ画定され(delimited、近位テーパ部201の両側縁部をそれぞれ定義され)、このとき、各レール・セグメント208,209は、前記自己拡張部材の近位端204から当該デバイス200のうちの本体部202まで延びている。第1レール・セグメント208は、複数のセル構造体205,213,214および215の複数本の最外側(outer-most)ストラットであって、各々、最も外側に位置するものによって構成されている。第2レール・セグメント209は、複数のセル構造体205,210,211および212の複数本の最外側(outer-most)ストラットであって、各々、最も外側に位置するものによって構成されている。第1レール・セグメント208は、直線である1つの第1直線部208aであって、1つの最近位セル構造体205のうちの1本の最外側ストラット205aによって少なくとも部分的に構成されているものと、直線である1つの第2直線部208bであって、複数のセル構造体213−216の複数本の最外側ストラットによって構成されているものとを有し、このとき、その第2直線部208bの角度方向(angular orientation)が、第1直線部208aの角度方向(angular orientation)とは異なっている。図8Aに示すように、前記自己拡張部材を切断して一表面上に平らに展開した場合に、第1レール・セグメント208のうちの第2直線部208bは、第1直線部208aの角度方向とは異なる角度方向を有する。第1および第2直線部208a,208b間の、角度方向(angular orientation、前記2次元平面展開状態における前記自己拡張部材の長軸に対する広がり角)に関する広がり(divergence in angular orientation、第2直線部208bの広がり角が第1直線部208aの広がり角より大きいこと)のおかげで、近位端部(proximal end portion、近位テーパ部)201の長さ寸法を、第2準直線部208bの角度方向が第1レール・セグメント208のうちの第1直線部208aの角度方向と同じに維持されていたら達成されていたであろう長さ寸法より短縮することが容易となる。前記自己拡張部材が折り畳まれる能力(ability to collapse、潰れ易さ、折畳み性、伸縮性、崩壊性)を増強し、また、前記自己拡張部材を形成する複数のセル構造体内での入れ子動作(nesting、ネスティング)を促進する能力を増強するために、いくつかの実施態様によれば、第1レール・セグメント208のうちの第2直線部208bが、このデバイス200のうちの本体部202内の複数のセル構造体206,207のうちの大半(the majority of、半分以上)が従うヘリックス・アングル(helix angle、一列に並んだ複数のセル構造体が各セル構造体の長辺方向に並ぶ際にそれらセル構造体が沿って延びるヘリックス、すなわち、つる巻き線の、前記長軸に対する角度)に近似する(similar、ヘリックス・アングルと実質的に一致する、ヘリックス・アングルを反映する)角度方向を有する。図8Aに示すように、前記自己拡張部材が切断されて一表面上に平らに展開された場合に、第1レール・セグメント208のうちの第2直線部208bからそれに沿って延びる(coextending、第2直線部208bを延長した)直線A1は、本体部202内の複数のセル構造体のヘリックス・アングルを表す直線A2の角度方向に近似する(similar、直線A2の角度方向と実質的に一致する、直線A2の角度方向を反映する)角度方向を有する。いくつかの実施態様によれば、直線A1の角度方向は、直線A2の角度方向に対して、プラス・マイナス5度の範囲内にある。他のいくつかの実施態様によれば、直線A1の角度方向は、直線A2の角度方向に対して、プラス・マイナス10度の範囲内にある。
第2レール・セグメント109は、直線部(linear portion、1つの直線部)209aと波状部(undulated portion、1つの波状部)209bとを有する。直線部209aは、1つの最近位セル構造体205のうちの1本の最外側ストラット205bによって少なくとも部分的に構成されている。波状部209bは、複数のセル構造体210,211および212の複数本の最外側ストラットによって構成されている。いくつかの実施態様によれば、第1および第2レール・セグメント208,209は、前記自己拡張部材が前記送給カテーテル内に収容されているために前記自己拡張部材が収縮状態にある場合に、互いに同一であるかまたは実質的に同一である長さ寸法を有する。第1および第2レール・セグメント208,209間の長さ寸法の不一致量を最小化することにより、前記自己拡張部材のうちの近位端部201内の複数のセル構造体が、より簡単に入れ子動作(nesting、ネスティング)を行うとともに、いくつかの膨出部位(bulges)および他の形状異常部位(irregularities in profile、凹凸部)の形成が最小化される。いくつかの実施態様によれば、第1レール・セグメント208と第2レール・セグメント209との間の長さ寸法差は、2%を超えない(no greater than 2%、各セグメント長の2%を超えない)。他のいくつかの実施態様によれば、第1レール・セグメント208と第2レール・セグメント209との間の長さ寸法差は、5%を超えない(no greater than 5%、各セグメント長の5%を超えない)。
図1Aに示すデバイス10のうちの自己拡張部材と同様に、当該デバイス200のうちの複数の最遠位セル構造体220,221,222および223の各々は、それぞれ、最遠位ストラット220aと220bのペア、最遠位ストラット221aと221bのペア、最遠位ストラット222aと222bのペア、および最遠位ストラット223aと223bのペアを有してもよく、このとき、それら最遠位ストラットのうちの少なくとも1本または複数本は、近位領域と遠位領域とを有し、このとき、その近位領域は、遠位領域における幅寸法および/または厚さ寸法より小さい幅寸法および/または厚さ寸法を有する。このような構成態様を採用する結果、複数の最遠位セル構造体220,221,222および223のうちのいずれかまたは複数のものの前記遠位領域は、複数の幅狭・肉薄部位(the locations of reduced width dimension and/or thickness dimension)において主に発生する曲げにより、撓む(flex、曲がる)ことが許容される。
図8Bは、図8Aに示す治療デバイスと同様な治療デバイスのうちの自己拡張部材を示しており、この治療デバイスにおいては、複数本のワイヤが、前記自己拡張部材のうちの複数の部分の周りに巻き付けられている。いくつかの実施態様によれば、それらワイヤが放射線不透過性を有する。図8Bに示す実施態様においては、複数本のワイヤ230a−230cが設けられ、それらワイヤ230a−230cは、前記自己拡張部材の放射線不透過性を増加させるという目的および/または当該治療デバイスのうちの少なくとも1つの部分の剛性に影響を与えるという目的を果たすように選択された複数本のストラットの周りに巻き付けられている。図8Bに示す例示的な実施態様においては、3本の放射線不透過性のワイヤ(またはリボン)230a,230bおよび230cが、当該デバイス(the device、当該治療デバイス)の放射性不透過性をそのデバイスの長さ方向に沿って向上させるという目的と、少なくとも筒状本体部202の剛性を少なくとも向上させるという目的とのために、当該塞栓回収デバイス(the retrieval device、当該治療デバイス)の全長に沿って編み付けられている(woven、巻き付けられている)。図8Bに示す実施態様においては、ワイヤ230a,230bおよび230cが、当該デバイスのうちの円筒状本体部202に位置する大型の複数のセル構造体(larger cell structures、セル構造体206よりサイズが大きいセル構造体)207を二等分するかまたは実質的に二等分するように、それらワイヤ230a,230bおよび230cが、斜め上向きに延びている(diagonally upward oriented)(同図を左側から右側に向かって見た場合に)複数本のストラットの周りを編み付けられている(woven、巻き付けられている)。実際、この構成態様によれば、小型の複数のセル構造体206の形状およびサイズにより高い程度で近似する方式で、それら大型のセル構造体207の形状およびサイズが拡大されることにより、本体部202内の複数のセル構造体の密度が増加する。これにより、本体部202から作用する半径方向力が増加し、また、本体部202に、複数の開放空間領域(open areas、開放セル)がより高い程度で一様に分布したものを有する外壁面(outer wall surface)が提供される。
上述の説明は、多くの具体的事項を含むが、それら具体的事項は、本明細書の開示の範囲を制限するものと解釈すべきではなく、単に、本明細書の開示についての望ましいいくつかの実施態様の例示であると解釈すべきである。例えば、本明細書に列挙されている寸法値以外の寸法値も本実施形態の適用対象となる。例えば、塞栓回収デバイスであって、拡張時における直径が1.0mmと100.0mmとの間にあり、かつ、長さの最大値が5.0cmから10.0cmまでの範囲内にあるものも本実施形態の適用対象となる。さらに、本明細書に開示されている複数の特徴のうちの大部分が、前述の種々の実施態様の間で置換可能であることも理解される。当業者であれば、本明細書の開示の範囲および主旨の範囲内にある他の多くの潜在的な変形例を想起する。さらに、本明細書に開示されている複数の実施態様に従う脈管治療デバイスを送給するために、カテーテル、シースまたは他の器具であって当該デバイスを、収縮状態にある自己拡張部材と一緒に治療部位まで送給することが可能であるとともにその自己拡張部材が続いて、脈管内の治療部位において展開することを可能にするものを使用することが可能であることも理解すべきである。その脈管内の治療部位は、(1)血流の方向を変換(ダイバート)するという目的および/またはコイルまたは他の同様な構造体を動脈瘤嚢内に留置するという目的のために、動脈瘤のある頚部である可能性、(2)塞栓を除去するという目的のために、その塞栓が存在する部位である可能性、(3)脈管を通過する血流の速度を増加させるために狭窄部を拡径するという目的のために、その狭窄部が存在する部位である可能性などがある。