JP2017502317A - 脱進機のない、または簡易脱進機を有する等方性調和振動子および関連するタイムベース - Google Patents

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Abstract

機械的等方性調和振動子は、等方性および直線復元力特性を有するばねを用いて周回質量を固定ベースに対して支持する少なくとも2自由度リンク機構を含む。振動子を、腕時計などのタイムキーパで使用することができる。

Description

対応出願
本PCT出願は、参照により本PCT出願に完全に組み入れられている、Ecole Polytechnique Federale de Lausanne(EPFL)の名義で提出された先出願である、2014年1月13日提出のEP14150939.8、2014年6月25日提出のEP14173947.4、2014年9月3日提出のEP14183385.5、2014年9月4日提出のEP14183624.7、および2014年12月1日提出のEP14195719.1の優先権を主張する。
タイムキーパの精度における最大の改良は、タイムベースとしての振動子、まず1656年のChristiaan Huygensによる振り子、次に1675年頃のHuygensおよびHookeによるてん輪−螺旋ばね、ならびに1866年のN.NiaudetおよびL.C.Breguetによる音叉の導入によるものである(参考文献[20]、[5]参照)。そのときから、これらが機械時計およびあらゆる腕時計で使用される唯一の機械振動子となっている(螺旋ばねに近似した電磁復元力を有するてん輪は、てん輪−螺旋ばねの分類に含まれる)。機械時計および腕時計では、これらの振動子が脱進機を必要とし、この機構は、その固有の複雑さと、最高でかろうじて40%に達する比較的低い効率とによって多くの問題を生じさせる。脱進機は、動き全体を停止させ再始動させなければならない断続的な運動に基づいているため、固有の非効率性を有し、停止状態からの無駄な加速および衝撃による騒音を生じさせる。脱進機は腕時計の最も複雑で精巧な部品であることが周知であり、マリンクロノメータ用のデテント脱進機とは対照的に、完全に満足のいく腕時計用脱進機は未だにない。
1925年12月16日に発行された特許文献1は、振動機構を駆動するプロセスを開示している。この文献の記載された目的は、断続的な調整を連続的な調整に置き換えることであるが、この公開された原理を腕時計などのタイムキーパに適用する方法については明確に開示されていない。特に、構成は等方性調和振動子として記載されておらず、記載された構造は、本発明のような振動質量の平面運動を生じさせるものではない。
1967年6月27日に公開された特許文献2は、タイムキーパ用の回転共振子を開示している。開示された共振子は、中心支持体に片持ち式に取り付けられた2つの質量を含み、各質量が対称軸の周りで円を描いて振動する。各質量は4つのばねを介して中心支持体に取り付けられる。各質量のばねを互いに連結して、質量の動的連結を得る。質量の回転振動を維持するために、各質量の、永久磁石を含む耳に作用する電磁デバイスを使用する。ばねの1つは、質量の振動運動を一方向の回転運動に変えるために爪車と協働する爪を含む。したがって、開示されたシステムは、依然として、断続的な運動である振動を爪による回転に変えることに基づいているため、この公報のシステムは、当技術分野で公知の、上で引用した脱進機システムと等価である。
1971年5月14日に発行されたさらなる特許文献3は、タイムキーパ用の機械回転共振子に関連する。この特許は主に、前述した特許文献2で開示されたような共振子で使用されるばねの説明に向けられたものである。したがって、ここで再び、共振子の原理は、軸の周りで振動する質量を使用する。
1967年5月9日に発行された特許文献4は、垂直軸の周りで振動するねじり振動子を開示している。これもやはり、前述した先行技術の脱進機に類似している。
スイス特許第113025号 スイス特許出願第9110/67号 スイス特許第512757号 米国特許第3,318,087号
したがって、本発明の目的は、公知のシステムおよび方法を改良することである。
本発明のさらなる目的は、当技術分野で公知の脱進機の断続的な運動を回避するシステムを提供することである。
本発明のさらなる目的は、機械的等方性調和振動子を提案することである。
本発明の別の目的は、クロノグラフ用のタイムベース、タイムキーパ(腕時計など)、加速度計、調速機などの様々な時間関連の適用例で使用可能な振動子を提供することである。
本発明は、脱進機を完全に排除することによって、あるいは、現在の腕時計用脱進機の欠点を持たない新しい簡易脱進機の群によって、脱進機の問題を解決することである。
結果として、効率の高い、はるかに簡易な機構が得られる。
一実施形態では、本発明は、等方性および直線復元力特性(linear restoring force property)を有するばねを用いて、周回質量(orbiting mass)を固定ベースに対して支持する少なくとも2自由度リンク機構を含む機械的等方性調和振動子に関する。
一実施形態では、振動子は、2自由度リンク機構を形成するXY平面ばねステージに基づくことにより、周回質量の純粋な並進運動の動きを生じさせて、質量が一定の向きを維持したままその軌道に沿って移動するようにしてもよい。
一実施形態では、各ばねステージは、少なくとも2つの平行ばねを含むことができる。
一実施形態では、各ステージを、直列に取り付けられた2つの平行ばねステージを有する複合平行ばねステージから作ることができる。
一実施形態では、振動子は、振動子を動的に平衡させる、各自由度について少なくとも1つの補償質量を含むことができる。質量は、機構全体の重力中心が静止したままであるように動く。
一実施形態では、本発明は、本明細書で定義された少なくとも2つの振動子を含む振動子システムに関する。変形形態では、システムは4つの振動子を含む。
一実施形態では、振動子により形成された各ステージを、隣のステージに対してある角度だけ回転させ、これらのステージを平行に取り付ける。好ましくは、角度は45°、90°または180°、または別の値であるが、これに限定されない。
一実施形態では、振動子により形成された各ステージを、隣のステージに対してある角度だけ回転させ、これらのステージを直列に取り付ける。好ましくは、角度は45°、90°または180°、または別の値であるが、これに限定されない。
一実施形態では、振動子のXおよびY並進運動を、XおよびYが回転または並進運動とすることができる一般化座標に置き換えることができる。
一実施形態では、振動子または振動子システムは、振動子または振動子システムに機械エネルギーを連続的に供給するための機構を含むことができる。
振動子または振動子システムの一実施形態では、エネルギー供給のための機構が、トルクまたは断続的な力を振動子または振動子システムに加える。
一実施形態では、機構は、ピボットを通して固定フレームの周りを回転する可変半径クランクと、クランク端部が可変半径で回転することを可能にする直進ジョイントとを含むことができる。
一実施形態では、機構は、維持トルクが加えられるクランクシャフトと、クランクシャフトに取り付けられ、直進スロットを備えるクランクとを保持する固定フレームを含むことができ、剛性ピンは、振動子または振動子システムの周回質量に固定され、前記ピンは前記スロットに係合する。
一実施形態では、機構は、機械エネルギーを振動子に断続的に供給するためのデテント脱進機を含むことができる。
一実施形態では、デテント脱進機は、周回質量に固定された2つの平行留め具を含み、一方の留め具はばね上で旋回するデテントを変位させてがんぎ車を解放し、前記がんぎ車は他方の留め具に衝撃を与えて、失われたエネルギーを振動子または振動子システムに戻す。
一実施形態では、本発明は、本出願で定義された振動子または振動子システムを含む時計などのタイムキーパに関する。
一実施形態では、タイムキーパは腕時計である。
一実施形態では、本出願で定義された振動子または振動子システムを、長い速度増加歯車列(extended speed multiplicative gear train)のみを必要とする、秒の分数を測定するクロノグラフ用のタイムベースとして使用して、例えば100分の1秒を測定するように100Hzの振動数を得ることができる。
一実施形態では、本出願で定義された振動子または振動子システムを、打鐘(striking)時計または音楽時計および腕時計、ならびにオルゴールの調速機として使用することにより、望ましくない騒音をなくし、エネルギー消費を減らし、かつ音楽または打鐘リズムの安定性を向上させる。
以下の本発明の説明において、これらおよびその他の実施形態についてより詳細に記載する。
本発明は、以下の説明および図面からよりよく理解されるだろう。
逆二乗法則を用いた軌道を示す図である。 フックの法則による軌道を示す図である。 フックの法則の物理的実現の例を示す図である。 円錐振り子の原理を示す図である。 円錐振り子機構を示す図である。 Antoine Breguetにより作られたVillarceau調速機を示す図である。 はじいた弦の特異性(singularity for a plucked string)の伝播を示す図である。 ターンテーブル上の回転ばねを示す図である。 軸方向ばねおよび支持体を有する等方性振動子を示す図である。 二重板ばねを有する等方性振動子を示す図である。 2つの直列コンプライアンス性(compliant)4バー機構を含むXYステージを示す図である。 8つの球形ジョイントに結合された4つの平行アームと、屈曲に基づいて可動プラットホームを地面およびモノリシック構成に連結するベローとを含むXYステージを示す図である。 振動子エネルギーを維持するために連続的に加えられるトルクを示す図である。 振動子エネルギーを維持するために断続的に加えられる力を示す図である。 伝統的なデテント脱進機を示す図である。 単純な平面等方性ばねを示す図である。 1次までの平面等方性のフックの法則を示す図である。 2つのばねに重力が均等に分散した、代替構成の単純な平面等方性ばねを示す図である。 本発明による平面等方性ばねから作られた振動子の実施形態の基本例を示す図である。 2自由度の平面等方性ばね構成を示す図である。 平面等方性ばねに対するあらゆる方向への重力補償を示す図である。 角加速度に抵抗を加えた、平面等方性ばねに対するあらゆる方向への重力補償を示す図である。 平面等方性ばねに対するあらゆる方向への重力補償の、屈曲を用いた実現を示す図である。 平面等方性ばねに対するあらゆる方向への重力補償の、屈曲を用いた代替実現を示す図である。 等方性ばねに対するあらゆる方向への重力補償の、屈曲を用いた第2の代替実現を示す図である。 振動子エネルギーを維持するための可変半径クランクを示す図である。 振動子に取り付けられた、振動子エネルギーを維持するための可変半径クランクの実現を示す図である。 振動子エネルギーを維持するための可変半径クランクの、屈曲ベースの実現を示す図である。 振動子エネルギーを維持するための可変半径クランクの、屈曲ベースの実現を示す図である。 振動子エネルギーを維持するための可変半径クランクの、代替の屈曲ベースの実現を示す図である。 完全に組み立てられた等方性振動子の例を示す図である。 図30の振動子の部分図である。 図31の振動子の別の部分図である。 図32の機構の部分図である。 図33の機構の部分図である。 図34の機構の部分図である。 等方性調和振動子のための簡易で伝統的な腕時計用デテント脱進機を示す図である。 並進運動周回質量のためのデテント脱進機の実施形態を示す図である。 並進運動周回質量のためのデテント脱進機の別の実施形態を示す図である。 コンプライアンス性XYステージの例を示す図である。 コンプライアンス性ジョイントの実施形態を示す図である。 2つのコンプライアンス性ジョイントを有する2自由度等方性ばねの実施形態を示す図である。 換算質量等方性欠陥(reduced mass isotropy defect)を最小化する、本発明の実施形態を示す図である。 面内直交補償平行ばねステージの実施形態を示す図である。 面内直交補償平行ばねステージの実施形態を示す図である。 面内直交補償平行ばねステージの実施形態を示す図である。 換算質量等方性欠陥を最小化する実施形態を示す図である。 本発明による面外直交補償等方性ばねの実施形態を示す図である。 3次元等方性ばねの実施形態を示す図である。 異なる軌道位置を有する動的平衡等方性ばねの実施形態を示す図である。 異なる軌道位置を有する動的平衡等方性ばねの実施形態を示す図である。 同一の軌道位置を有する動的平衡等方性ばねの実施形態を示す図である。 同一の軌道位置を有する動的平衡等方性ばねの実施形態を示す図である。 Xが回転、Yが回転の一般化座標を有するXY等方性調和振動子の実施形態を示す図である。 Xが回転、Yが回転の一般化座標を有するXY等方性調和振動子の衝撃ピンの球形経路を示す図である。 Xが回転、Yが回転の一般化座標を有するXY等方性調和振動子の、平面座標における衝撃ピンの楕円経路を示す図である。 Xが並進運動、Yが回転の一般化座標を有するXY等方性調和振動子の実施形態を示す図である。 剛性等方性を向上させるための、2つの同一のXY平行ばね振動子の平行アセンブリを示す図である。 剛性等方性を向上させるための、2つの同一のXY複合平行ばね振動子の平行アセンブリを示す図である。 動的平衡等方性ばねの実施形態を示す図である。 回転ばねを示す図である。 回転により楕円軌道を周回する本体を示す図である。 回転せずに、並進運動により楕円軌道を周回する本体を示す図である。 現在のひげぜんまいおよび脱進機を等方性振動子および駆動クランクに置き換えることにより、本発明の振動子を標準的な機械腕時計または時計ムーブメントに組み込む様子を示す図である。 剛性等方性を向上させるための、2つの同一のXY平行ばね振動子の直列アセンブリを示す図である。 剛性等方性を向上させ、ストロークを増加させるための、2つの同一のXY複合平行ばね振動子の直列アセンブリを示す図である。
2 本発明の概念的基礎
2.1 ニュートンの等時性ソーラーシステム
周知のように、1687年に、Isaac NewtonはPrincipia Mathematicaを出版し、この中で、惑星の運動に関するケプラーの法則、特に、惑星は太陽を1つの焦点とする楕円上を動くと述べた第1法則と、惑星の公転周期の2乗は軌道の長半径の3乗に比例すると述べた第3法則とを証明した(参考文献[19]参照)。
あまり知られていないが、同著のBook I、Proposition Xにおいて、引力の逆2乗法則(図1参照)を直線中心引力(linear attractive central force)(それ以来フックの法則と呼ばれる。図2および図3参照)に置き換えた場合に、惑星の運動が、太陽を楕円の中心とする楕円軌道に置き換えられ、公転周期はすべての楕円軌道について同じあることが示された(両法則における楕円の発生は、比較的単純な数学的等価性によるものであると理解され(参考文献[13]参照)、これら2つのケースのみが、閉鎖軌道を生じさせる中心力の法則であることも周知である(参考文献[1]参照))。
フックの法則に対するニュートンの結果は、非常に容易に実証される:
原点で中心にある中心力
F(r)=−kr
を受ける2次元で動く点質量を考える。ここでrは質量の位置である。次いで、質量mの物体について、これは、初期条件および振動数に応じた定数A1、A2、φ1、φ2について
(A1sin(ω0t+φ1)、A2sin(ω0t+φ2))
の解を有する。
これは、軌道が楕円であることを示すだけでなく、運動の周期が質量mおよび中心力の剛性kのみに応じて決まることを示す。したがって、このモデルは、周期が点質量の位置および運動量から独立しているため、等時性を示す(ニュートンにより証明されたケプラーの第3法則に類似)。
2.2 タイムキーパ用のタイムベースとしての実施
等時性は、この振動子が、本発明の可能な実施形態としてのタイムキーパ用のタイムベースに適した候補であることを意味する。
これは、以前には行われておらず、文献にも記載されておらず、この振動子をタイムベースとして使用することは、本発明の実施形態である。
この振動子は調和等方性振動子としても知られ、この等方性という用語は「あらゆる方向に同じ」であることを意味する。
1687年から知られ、理論的に簡単であるにもかかわらず、等方性調和振動子、または単に「等方性振動子」は腕時計または時計用のタイムベースとしてこれまで使用されていないようであり、これには説明が必要である。
主な理由は、調速機または速度調整機などの一定速度機構に固執していること(fixation)、および一定速度機構としての円錐振り子の視野が限られていることであると思われる。
例えば、Leopold Defossezは、近似等時性に対する可能性を有する円錐振り子の説明において、その周期よりもはるかに短い、非常に短い時間間隔の測定に適用することについて述べている(参考文献[8、p.534]参照)。
H.Bouasseは、著書の1つの章を、近似等時性を含む円錐振り子の記述に当てている(参考文献[3、VIII章]参照)。H.Bouasseは、この章の段落を、秒の分数を測定するために円錐振り子を使用すること(2秒周期を想定)の記述に当て、この方法は完璧であると思われると述べている。そして、平均精度と瞬時精度との差に注目することによってこの方法を制限し(qualify)、機構を調節する際の困難のために、円錐振り子の回転が短い間隔にわたって一定でなくてもよいことを認める。したがって、H.Bouasseは、周期内の変動を円錐振り子の欠陥と考えており、これは、完全な条件下において一定速度で動作すべきであると考えていることを意味する。
同様に、連続運動対断続運動の記述において、Rupert Gouldは等方性振動子を見落としており、Rupert Gouldの連続運動タイムキーパへの言及は、Villarceau調速機のみであって、これについて「良好な結果を与えたと思われる。しかしながら、これが通常の良質な駆動時計(driving clock)またはクロノグラフよりも正確であるということはあり得ない」と述べている(参考文献[9、20〜21]参照)。Gouldの結論は、Breguetにより示されたVillarceau調速機のデータによって実証されている(参考文献[4]参照)。
理論的観点からは、James Clerk Maxwellの「On Governers」という非常に大きな影響力を持つ論文があり、これは現在の制御理論についての着想の1つと考えられる(参考文献[18]参照)。
さらに、等時性は、あらゆる速度変動を保持しなければならない真の振動子を必要とする。その理由は、波動方程式
が、その伝播によってあらゆる初期条件を保持するからである。したがって、真の振動子は、その速度摂動のすべてを記録しなければならない。このため、本明細書に記載の本発明によって、振動子に対する最大の振幅変動が可能になる。
これは、このような摂動を減衰しなければならない調速機とは正反対である。原理上、速度調整を生じさせる減衰機構をなくすことによって等方性振動子を得ることができる。
結論として、等方性振動子はタイムベースとして使用されていない。その理由は、等方性振動子を調速機に同化させている概念ブロックがあり、正確な時間管理が、短い間隔すべてにわたるのではなく1つの周期全体にわたる一定の時間のみ必要であるという単純な見解を見落としていると思われるからである。
この振動子は、円錐振り子および調速機とは理論および機能が完全に異なることを主張する(以下の本説明参照)。
図4は、円錐振り子の原理を示し、図5は一般的な円錐振り子機構を示す。
図6は、1870年代にAntoine Breguetにより作られたVillarceau調速機を示し、図7は、はじいた弦についての特異性の伝播を示す。
2.3 回転対並進運動の周回運動
一方向の運動を有する2つのタイプの等方性調和振動子が可能である。1つは、本体が端部にある線形ばねを利用し、ばねと本体とを固定中心の周りで回転させるものである。これは図58:回転ばねに示される。本体862が端部に取り付けられたばね861は、中心860に固定され、この中心の周りを回転して、本体862の質量の中心が軌道864を有するようにする。ポインタ863の回転によってわかるように、本体862は、軌道全体につき1度、その質量中心の周りを回転する。
これにより、本体がその質量中心の周りを回転し、図59:回転軌道の例に示すように、軌道を公転するごとに完全に一周する。点872の回転によってわかるように、本体871は、点870の周りを周回し、軌道全体につき1度、その軸の周りを回転する。
このタイプのばねを回転等方性振動子と呼び、セクション4.1で説明する。この場合、本体がそれ自体の周りを回転するため、本体の慣性モーメントが力学に影響を与える。
別の可能な実現は、セクション4.2で説明するように、中心等方性ばねによって支持された質量を有する。この場合、これによって、本体が質量の中心の周りを回転しなくなり、この周回を並進運動と呼ぶ。これは、図60:並進運動軌道に示される。本体881は、中心880の周りを周回し、軌道883に沿って動くが、重力の中心の周りを回転することはない。本体上のポインタ882の一定方向によりわかるように、本体881の向きは変化しないままである。
この場合、質量の慣性モーメントは力学に影響を与えない。
2.4 標準的な機械ムーブメントへの等方性調和振動子の組込み
等方性振動子を用いる本出願人のタイムベースは、機械タイムキーパを調整し、これは、てん輪と螺旋ばね振動子とを、等方性振動子と、クランクが歯車列の最後の歯車に固定された脱進機とに置き換えることによって実施することができる。これは、図61:伝統的な場合の左側に示される。主ばね900は歯車列901を介してエネルギーをがんぎ車902に伝え、がんぎ車902はアンカ904を介してエネルギーをてん輪905に断続的に伝える。右側は本出願人の機構である。主ばね900は歯車列901を介してエネルギーをクランク906に伝え、クランク906は、このクランクのスロット内を移動するピン907を介してエネルギーを等方性振動子903に連続的に伝える。等方性振動子は固定フレーム908に取り付けられ、その復元力の中心は、クランクピニオンの中心に一致する。
3 物理的実現の理論的要件
本発明による等方性調和振動子を実現するために、中心復元力の物理的構成が必要である。最初に、中心復元力に対して動く質量の理論は、結果として生じる運動が面内で行われるようになっていることに注目する。したがって、実際上の理由で、物理的構成は平面等方性を実現すべきであるということになる。したがって、ここに記載の構成および実施形態は大部分が平面等方性であるが、本実施形態に限定されず、3次元等方性の例もある。
物理的実現によりタイムベースのための等時性軌道を生み出すために、上記セクション2の理論モデルにできるだけ細密に準拠しなければならない。ばね剛性kは方向から独立し、半径方向変位から独立した定数である(線形ばね)。理論上、点質量があり、したがって、これは回転しないときに慣性モーメントJ=0を有する。換算質量mは等方性であり、また変位から独立している。結果として得られる機構は、重力ならびに直線衝撃および角衝撃の影響を受けないようにすべきである。したがって、条件は、
等方性k。ばね剛性kの等方性(方向から独立)。
半径方向k。半径方向変位から独立したばね剛性k(線形ばね)。
ゼロJ。慣性モーメントJ=0を有する質量m。
等方性m。換算質量mの等方性(方向から独立)。
半径方向m。半径方向変位から独立した換算質量m。
重力。重力の影響を受けない。
直線衝撃。直線衝撃の影響を受けない。
角衝撃。角衝撃の影響を受けない。
4 等方性調和振動子の実現
平面等方性を2つの方法で実現することができる。
4.1 回転等方性振動子につながる回転ばね
A.1 ばねのニュートラル点がターンテーブルの回転中心にある状態で剛性kのばね2が固定された回転ターンテーブル1を図8に示す。質量のないターンテーブル1およびばね2を想定すると、直線中心復元力はこの機構によって実現される。しかしながら、ターンテーブルおよびばねの物理的実現の場合、この実現には、大きい疑似質量(spurious mass)および慣性モーメントを有するという欠点がある。
A.2 軸方向に回転するケージ4内に支持された回転片持ちばね3を図9に示す。これにより、再び中心直線復元力を実現するが、円筒形質量および軸方向ばねを有することによって、疑似慣性モーメントを低減させる。数値シミュレーションは、等時性からの逸脱が依然として大きいことを示す。物理的モデルが構成され(図10参照)、ここでは図9の単一ばねの略円形変位の代わりに略直線変位を生じさせる二重板ばね504、505に質量を取り付けることにより、質量503の垂直運動を最小化する。回転フレーム501は、等方性支承部502により固定ベース506に結合される。
重力は、ばねが軸方向にあるときには、ばねに影響を与えないことに留意されたい。しかしながら、これらの実現は、いずれもそれ自体の軸の周りを回転するばねおよびその支持体を有することにより、疑似慣性モーメント項を導入し、モデルの理論等時性を低下させるという欠点を有する。実際に、質量mの点質量を考慮し、その後慣性モーメントIの等方性支持および一定の全角運動量Lを含むと、摩擦を無視した場合に、運動の方程式は、
となる。
この方程式を、ヤコビ楕円関数、および第1種楕円積分で表される周期によって明確に解くことができる(定義および力学への同様の適用については参考文献[17]を参照)。これらの解の数値解析は、慣性モーメントIを最小化しない限り、等時性からの逸脱が大きいことを示す。
以下に、セクション3の理論特性のうちのどれがこれらの実現、特に回転片持ちばねに当てはまるかを挙げる。
4.2 並進運動による軌道を有する等方性ばね
調和振動子の理論的特性を保持するのに最適であると思われる実現は、中心力を等方性ばねにより実現するものである。等方性という用語は、再び「あらゆる方向に同じ」であることを意味する。
単純な例が、単純な平面等方性ばねを示す図16に示され、この平面等方性ばねは、周回質量10、y座標ばね11、x座標ばね12、地面へのyばね固着13、地面へのxばね固着14、水平な地面15を有する単純な平面等方性ばねを示し、y軸は垂直であるため重力の力に平行である。この図では、ばねSx12が水平x軸に作用し、ばねSy11が垂直y軸に作用するように、剛性kの2つのばねSx12、Sy11が配置される。これらのばね11、12の両方に取り付けられ、質量mを有する質量10がある。幾何形状は、点(0、0)で両方のばねがニュートラル位置にあるように選択される。
次に、図17に示すように、この機構は一次までの等方性を示すことが提示される。今度は小変位dr=(dx、dy)を想定すると、一次までにx方向への−kdxの復元力Fxとy方向への−kdyの復元力Fyとがある。これにより、全復元力
F(dr)=(−kdx、−kdy)=−kdr
を与え、セクション2の中心直線復元力が実証される。したがって、説明したように、この機構は、一次までの中心直線復元力の実現ということになる。
これらの実現において、重力は、有効ばね定数を変化させるときに、ばね11、12にあらゆる方向に影響を与える。しかしながら、ばね11、12はそれ自体の軸の周りを回転せず、疑似慣性モーメントを最小化し、中心力はばね自体によって直接実現される。以下に、セクション3の理論特性のうちのどれがこれらの実現に当てはまるかを挙げる(一次まで)。
多くの平面のばねが提案されているが、いくつかが暗に等方性であり得る場合でも、等方性であると明確に断言しているものはない。文献では、Simon Henein[参考文献14、p.166、168参照]は、平面等方性を示す2つの機構を提案している。しかしながら、これらの例は、前述したものと同様に、本明細書に記載した本発明の可能な実施形態のように、タイムキーパ用の精密なタイムベースを作るための十分な等方性を示していない。
図11に示す実施形態は、平行アームリンク機構とも呼ばれる2つの直列コンプライアンス性4バー5を含み、これにより、小変位の場合に、XおよびY方向への並進運動が可能になる。図12に示す別の実施形態は、8つの球形ジョイント7に結合された4本の平行アーム6と、可動プラットホーム9を地面に連結する中心ベロー8とを含む。
したがって、より精密な等方性ばねが開発されている。特に、精度が大きく向上しており、これは本出願に記載されたいくつかの実施形態の主題である。
これらの実現において、ばねはそれ自体の軸の周りを回転せず、疑似慣性モーメントを最小化し、中心力はばね自体によって直接実現される。これらは、復元力があらゆる方向に同じであるため、等方性ばねと呼ばれている。
本発明による、平面等方性ばねから作られた振動子の実施形態の基本例を図18Aに示す。前記図は機械的等方性調和振動子を示し、この振動子は、適切な案内手段(例えば摺動手段、またはリンク機構、ばねなど)によって作られ、等方性および直線復元力K特性を有するばねSを用いて周回質量Pを固定ベースBに対して支持する少なくとも2自由度リンク機構L1/L2を含む。
5 補償機構
新しい振動子を、本発明の例示的な実施形態としての携帯型タイムキーパ内に配置するために、振動子の正しい機能に影響し得る力に対処する必要がある。この力は、重力および衝撃を含む。
5.1 重力の補償
重力の力に対処する第1の方法は、重力に対して水平位置にあるときにその影響を感じない平面等方性ばねを作ることである。
図19は、2自由度平面等方性ばね構成としてのそのようなばね配置の例を示す。この設計では、機構の平面が水平に配置されたときに、重力が周回質量の平面運動に悪影響を与える。これにより、重力の影響を単一方向に最小化する。この配置は、固定ベース20、中間ブロック21、周回質量を保持するフレーム22、周回質量23、y軸平行ばねステージ24、およびx軸平行ばねステージ25を含む。
しかしながら、これは、据置き(stationary)時計/腕時計にしか適していない。携帯型タイムキーパの場合には、補償が必要である。これは、図20に示すように、振動子のコピーを作り、両方のコピーをボールまたはユニバーサルジョイントに連結することによって達成できる。図20の実現において、機構全体の重力中心は固定されたままである。詳細には、図20は、平面等方性ばねに対するあらゆる方向への重力補償を示す。剛性フレーム31は、2つの結合された非独立平面等方性振動子32(ここでは象徴的に表す)を含むタイムベースを保持する。レバー33が、ボールジョイント34(またはXYユニバーサルジョイント)によってフレーム31に取り付けられる。レバーの2本のアームは、2つの直進ジョイント35によって嵌め込み式になっている。レバー33の両端部は、ボールジョイントによって周回質量36に取り付けられる。機構は、ジョイント34の中心の点Oに対して対称である。
5.2 直線加速度のための動的平衡
直線衝撃は直線加速度の一形態であるため、特別な場合として重力を含む。したがって、図20の機構も直線衝撃を補償する。
5.3 角加速度のための動的平衡
図20に示す前のセクションの機構を修正することにより、図21に示すように2つの質量の重力中心間の距離を小さくすることによって、角加速度による影響を最小化することができる。2つの重力中心を分離する図21に示す距離「l」を精密に調節することにより、レバー自体の慣性モーメントを考慮することを含む角衝撃の完全な補償が可能になる。これにより、本出願人の振動子の回転軸への角加速度を除いて、すべての可能な回転軸への角加速度を考慮する。
詳細には、図21は、角加速度に抵抗を加えた、平面等方性ばねに対するあらゆる方向への重力補償を示す。これは、2つの周回質量の重力中心間の距離「l」を最小化することによって達成される。剛性フレーム41が、2つの結合された非独立平面等方性振動子42(ここでは象徴的に表す)を含むタイムベースを保持する。レバー43がボールジョイント47(またはx−yユニバーサルジョイント)によってフレーム41に取り付けられる。レバー43の2本のアームは、2つの直進ジョイント48によって嵌め込み式になっている。レバー43の両端部は、ボールジョイント49によって周回質量46に取り付けられる。機構は、ジョイント47の中心の点Oに対して対称である。
図22は、平面等方性ばねに対するあらゆる方向への重力補償の、屈曲を用いた実現の別の実施形態を示す。本実施形態では、剛性フレーム51が、2つの結合された非独立平面等方性振動子53(ここでは象徴的に表す)を含むタイムベースを保持する。レバー54が、板ばね56および可撓性ロッド57から作られたx−yユニバーサルジョイントによってフレーム52に取り付けられる。レバー54の2本のアームは、2つの板ばね55によって嵌め込み式になっている。レバー54の両端部は、2つのx−yユニバーサルジョイントを形成する2つの板ばね55によって周回質量52に取り付けられる。
図23は、平面等方性ばねに対するあらゆる方向への重力補償の、屈曲を用いた代替の実現を示す。この変形形態では、レバー64の両端部が、2つの垂直可撓性ロッド61によって、振動子のばね63に連結された周回質量62に連結される。
図24は、等方性ばねに対するあらゆる方向への重力補償の、屈曲を用いた別の実現を示す。本実施形態では、固定プレート71は、結合され対称に配置された2つの非独立周回質量72を含むタイムベースを保持する。各周回質量72は、3本の平行バー73によって固定ベースに取り付けられ、これらのバーは、各端部にボールジョイント74を有する可撓性ロッドまたは剛性バーである。レバー75は、膜屈曲ジョイント(符号なし)および垂直可撓性ロッド78によって固定ベースに取り付けられることにより、ユニバーサルジョイントを形成する。レバー75の端部は、2つの可撓性膜77を介して周回質量72に取り付けられる。部材79は、部材71に堅く取り付けられる。部材76、80はレバー75に堅く取り付けられる。
6 維持および計数
振動子は、摩擦によりエネルギーを失うため、振動子エネルギーを維持する方法が必要である。振動子により管理される時間を表示するために、振動を計数する方法もなければならない。機械時計および腕時計では、これは振動子とタイムキーパの残りの部分との境界面である脱進機によって達成されている。脱進機の原理は図15に示され、そのようなデバイスは腕時計産業において周知である。
本発明の場合、これを達成するために2つの主な方法:脱進機のない方法と簡易脱進機のある方法とが提案される。
6.1 脱進機のない機構
等方性調和振動子に対するエネルギーを維持するために、トルクまたは力を加える。振動子エネルギーを維持するために連続的に加えられるトルクTの一般原理については図13を参照されたい。図14は、振動子エネルギーを維持するために力FTを断続的に加える別の原理を示す。実際には、この場合、機構は、適切なトルクを振動子に伝えてエネルギーを維持するのにも必要であり、図25〜図29では、この目的で本発明による様々なクランクの実施形態が示される。図37、図38は同じ目的の脱進機システムを示す。これらすべての復元エネルギー機構を、本明細書に記載の、例えば図19〜図24、図30〜図35(図30に示す機構138のように)、および図40〜図48の振動子および振動子システム(ステージなど)の様々な実施形態と組み合わせて使用してもよい。一般的に、振動子がタイムキーパ、特に腕時計用のタイムベースとして使用される本発明の実施形態では、腕時計の分野で知られるように、脱進機と組み合わせて使用する腕時計のばねによって、トルク/力を加えることができる。本実施形態では、したがって、公知の脱進機を本発明の振動子に置き換えることができる。
図25は、振動子エネルギーを維持するための可変半径クランクの原理を示す。クランク83は、ピボット82を通して固定フレーム81の周りを回転する。直進ジョイント84により、クランク端部が可変半径で回転することができる。タイムベース(図示せず)の周回質量は、ピボット85によりクランク端部84に取り付けられる。したがって、周回質量の向きは、クランク機構によって変化しないままとなり、振動エネルギーはクランク83によって維持される。
図26は、振動子に取り付けられた、振動子エネルギーを維持するための可変半径クランクの実現を示す。固定フレーム91は、維持トルクMが加えられるクランクシャフト92を保持する。クランク93はクランクシャフト92に取り付けられ、直進スロット93’を備える。剛性ピン94は、周回質量95に固定され、スロット93’に係合する。平面等方性ばねは96で示される。上面図および斜視分解図が、この図26に示される。
図27は、振動子エネルギーを維持するための可変半径クランクの、屈曲に基づく実現を示す。クランク102は、シャフト105を通して固定フレーム(図示せず)の周りを回転する。2つの平行可撓性ロッド103は、クランク102をクランク端部101に結合する。ピボット104は、図27に示す機構を周回質量に取り付ける。この図27で、機構はニュートラルな特異位置に示される。
図28は、振動子エネルギーを維持するための可変半径クランクの、屈曲に基づく実現の別の実施形態を示す。クランク112は、シャフト115を通して固定フレーム(図示せず)の周りを回転する。2つの平行可撓性ロッド113は、クランク112をクランク端部111に結合する。ピボット114は、図示した機構を周回質量に取り付ける。この図28で、機構は固定位置に示される。
図29は、振動子エネルギーを維持するための可変半径クランクの、屈曲に基づく代替の実現を示す。クランク122は、シャフトを通して固定フレーム121の周りを回転する。2つの平行可撓性ロッド123はクランク122をクランク端部124に結合する。ピボット126は、機構を周回質量125に取り付ける。この配置で、可撓性ロッド123は平均軌道半径のために最小限に屈曲する。
図30は、完全に組み立てられた等方性振動子131〜137およびそのエネルギー維持機構の例を示す。より詳細には、固定フレーム131は、3つの剛性足部140および上部フレーム140aによって地面または一定の基準(例えば、振動子が上または中に取り付けられる物体)に取り付けられる。第1の複合平行ばねステージ131は、前記ばねステージ131に直交して動く第2の平行ばねステージ132を保持する。複合平行ばね132は、ステージ131に堅く取り付けられる。第4の複合平行ばねステージ134は、ばねステージ134に直交して動く第3の平行ばねステージ133を保持する。ステージ133、134の外側フレームは、L字型ブラケット135、136およびノッチのある板ばね137によってxおよびy方向に運動学的に連結される。ステージ133、134の2つの外側フレームは、振動子の周回質量を構成し、ステージ132、133は、共に取り付けられて足部140に固定され、したがって、周回質量は相対的にステージ132、133へ動く。あるいは、動く質量をステージ132、133によって形成することができ、その場合、ステージ131、134は足部140に固定される。
周回質量に取り付けられたブラケット139は、図25〜図29を参照して前述したものと同一または等価な手段によって、維持力、例えばトルクまたは力が加えられた剛性ピン138(図30、図31に示す)を保持する。
各ステージ131〜134を、例えば、図19または本明細書でより詳細に後述する図42〜図47に示すように作ることができる。したがって、これらの図の説明は、これらの図30〜図35に示すステージ131〜134に当てはまる。以下で説明するように、補償のため、ステージ131、132(それぞれ133、134)は同一であるが、相対回転(特に90°)を有して配置されて、本明細書に記載のXY平面等方性ばねを形成する。
図31は、図30と同じ実施形態を示し、剛性ピン138を示す。この剛性ピン138は、周回質量(例えば前述したようにステージ134、131)に堅く取り付けられ、駆動クランクとして作用するスロット142内に係合して振動を維持する。他の部材にも図30と同様の符号が付され、この図の説明が対応して当てはまる。使用されるクランクシステムは、図25〜図29に示し前述したものであってよい。
図32は、クランクシステム142、143のない、図30の参照符号を用いた、図30、図31の実施形態のステージ131〜134を示す。
図33は、ステージ134のない、図30の参照符号を用いた、図32の実施形態のステージ131〜133を示す。
図34は、ステージ133のない、図30の参照符号を用いた、図33の実施形態のステージ131〜132を示す。
図35は、ステージ132のない、図30の参照符号を用いた、図34のステージ131を示す。
一般的に、各ステージ131〜134は、図41〜図48を参照して本明細書で後述する実施形態によって作ることができる。実際に、図35のステージ131は、質量131eおよびばねを保持する平行ばね131a〜131dを含み、前記図41〜図48の質量は、図30〜図35の質量に対応することができる。
前述したように、図30の振動子を構成するために、ステージ131、132は90°の相対回転を間に有して配置され、それらの質量131e、132eが共に取り付けられる(図34参照)。これは、2つの平行ばねが各方向XYにある、後述する図43の構成と等価の構成をもたらす。
ステージ133、134は、ステージ131、132として取り付けられ、ステージ131、132上にミラー構成に配置され、ステージ133は、ステージ131、132として、ばね133a〜133dおよび質量133eを含む。図33からわかるように、ステージ133の位置は、ステージ132に対して90°回転している。ステージ132、133のフレームが共に取り付けられて、互いに対して相対的に動かないようにする。
その後、図32に示すように、ステージ133に対する90°の相対回転が第4のステージ134に加えられる。ステージ134も、ばね134a〜134dおよび質量134eを含む。質量134eは質量133eに取り付けられ、2つのステージ134、131はブラケット135、136を介して共に結合されて周回質量を形成し、共に取り付けられたステージ132、133は、フレーム140、140aに固定される。
図31に示すように、維持力またはトルクを加えるための機構がステージ131〜134の上に配置され、ピン138と、例えば図26に記載のシステムであるクランクシステム142、143とを含む。図26のピン92は図31のピン138に対応し、クランク93はクランク142に、スロット93’はスロット143に対応する。
勿論、図30〜図34のステージ131〜134を、本発明の原理によるXY平面等方性を有する他の等価なステージ、例えば、図40〜図48の構成および例示的な実施形態を使用して本発明の振動子を実現できるものに置き換えることができる。
6.2 一般化座標の等方性調和振動子
前のセクションのXY等方性調和振動子は、X並進運動およびY並進運動を他の運動、特に、回転に置き換えることによって一般化することができる。ラグランジュ力学の一般化座標で表すと、理論は同一であり、機構は、並進運動のXY機構と同じ等方性調和特性を有する。
図51は、Xが回転、Yが回転の一般化座標を有するXY等方性調和振動子を示す:固定ベース720には2本の不動梁721が取り付けられ、不動梁721は、軸受石をはめた(jewelled)支承部723を介して回転ケージ722を支持し、螺旋ばね724を支持する。ケージ722内にはてん輪があり、このてん輪は、軸受石をはめた支承部723上で回転するてん真(図示せず)を介して回転し、取り付けられる。てん輪には、その軸の周りのてん輪の円形振動に復元力を与える螺旋ばね726が取り付けられる。螺旋ばねは、てん輪の軸がベース720に対して垂直であるニュートラル位置の周りのケージ722の回転に対して復元力を与える。ケージを含むてん輪アセンブリの慣性モーメントは、てん輪およびばね725の固有振動数がケージおよびてん輪およびばね724の固有振動数と同じになるものである。てん輪の振動は、等方性調和振動子をモデリングしたものであり、振動の振幅が小さい場合、てん輪の質量727が、図52に示す楕円に近似した一方向軌道で動く。この機構は、標準的な並進運動のXY等方性振動子とは対照的に、直線加速度および重力の影響を受けないという利点を有する。その特性は以下の通りで
ある。
図52は、図51のてん輪に配置されたピンが球体上に略楕円軌道を有することを示し、この機構をXY並進運動の等方性調和振動子と同様に回転クランクによって維持することができる。図は、てん輪およびケージが振動するときの図51の質量727の運動を説明している。球体734は、てん輪およびケージの任意に大きい振動のための、質量727のすべての可能な位置の空間を表す。図には、質量732がニュートラル点731の周りの周期軌道733に沿って動く小振動の状況を示す。質量732の角運動は、常に同じ角度方向であり、停止しない。
図53は、XおよびY角度を平面でグラフに描いた場合に、XおよびY並進運動の場合と同じ楕円軌道が回復する様子を示す。図は、図51の機構の角度パラメータを説明する。質量741は図51の質量727を表す。角度θはニュートラル位置に対する図53のてん輪の軸周りの回転角度を表し、角度φはニュートラル位置に対する図53のケージ722の軸周りの回転角度を表す。θ−φ座標システムでは、質量741がニュートラル点740の周りの周期軌道742で動く。軌道742は完全な楕円であり、ニュートンの結果に従って、そのような軌道のすべてが同じ周期を有する。
図54は、Xが並進運動、Yが回転のXY等方性調和振動子を示す。てん輪上のピンが略楕円軌道を有するため、この機構をXY並進運動の等方性調和振動子と同様に回転クランクによって維持できることがわかる。固定ベース750には、2本の垂直不動梁751が取り付けられる。2本の梁751の上には、水平梁(ここでは透明)があり、円筒形ばね756を保持するコレットがこの水平梁に取り付けられる。円筒形ばね756の底部は、コレットを介してケージ753に取り付けられて、ケージが垂直柱751の各々の2つの溝754を介して垂直に並進運動できるようにし、溝はケージ軸755を保持する。円筒形ばね756は直線復元力を与えて、ケージの並進運動振動を生じさせる。ケージ753は、てん輪758に取り付けられた螺旋ばね757を含む。螺旋ばねは、復元トルクをてん輪に与え、てん輪に等方性振動を持たせる。ケージ753の並進運動振動の振動数は、てん輪758の角振動の振動数に等しくなるように設計され、小振幅の場合、釣合いおもり759は楕円に近似した一方向回転で動く。xがニュートラル点に対するケージの垂直変位を表し、θがニュートラル角度に対するてん輪の角度を表す場合、xがφに取って代わる図52に示すように、x、θは機構の状態の一般化座標を表し、状態空間における楕円を説明する。その特性は以下の通りである。
6.3 簡易脱進機
脱進機を使用する利点は、振動子が、クロノメータのエラー源であり得るエネルギー源に(歯車列を介して)連続的に接触しないことである。したがって、脱進機は、振動子が振動の大部分について脱進機からの外乱なしで振動する自由脱進機である。
脱進機は、振動子が単一方向に回転するため、てん輪脱進機と比べて簡易である。てん輪が前後運動を有するため、腕時計用脱進機は、一般に、2つの方向の一方に衝撃を与えるためにレバーを必要とする。
本出願人の振動子に直接適用される第1の腕時計用脱進機は、クロノメータまたはデテント脱進機[6、224〜233]である。この脱進機を、通常の腕時計用てん輪の逆回転中に機能が生じる送りばね(passing spring)をなくす以外の修正なしで、ばねデテントまたはピボットデテントの形で適用することができる([6、図471c]参照)。例えば、伝統的なデテント脱進機を示す図4では、機能がもはや必要でない金ばね(Gold spring)を除いて機構全体が保持される。
H.Bouasseは、ここに示したものと同様の円錐振り子用デテント脱進機[3、247−248]について記載している。しかしながら、Bouasseは、断続的な衝撃を円錐振り子に加えることは誤りであると考える。前述したような、円錐振り子は常に一定速度で動作すべきであるという仮定に、これを関連付けることができる
6.4 等方性調和振動子用デテント脱進機の改良
等方性調和振動子用の可能なデテント脱進機の実施形態が、図36〜図38に示される。
図36は、等方性調和振動子用の伝統的な腕時計用簡易デテント脱進機を示す。逆転運動のための通常のホーンデテントが、振動子の一方向回転によって抑制されている。
図37は、並進運動周回質量のためのデテント脱進機の実施形態を示す。2つの平行留め具151、152が周回質量(図示しないが、参照符号156の円を形成する矢印によって概略的に示される)に固定されるため、互いの同期並進運動である経路を有する。留め具152は、ばね155で旋回するデテント154を変位させて、がんぎ車153を解放する。がんぎ車は、留め具151に衝撃を与え、失われたエネルギーを振動子に戻す。
図38は、並進運動周回質量のための新しいデテント脱進機の実施形態を示す。2つの平行留め具161、162は周回質量(図示せず)に固定されるため、互いの同期並進運動である経路を有する。留め具162は、ばね165で旋回するデテント164を変位させて、がんぎ車163を解放する。がんぎ車は、留め具161に衝撃を与え、失われたエネルギーを振動子に戻す。機構により、軌道半径の変動が可能になる。この図38には、側面図および上面図が示される。
図39は、本明細書で引用した先行技術に示されたコンプライアンス性XYステージの例を示す。
7 以前の機構との相違
7.1 円錐振り子との相違
円錐振り子は、重力の力に垂直な垂直軸の周りを回転する振り子である(図4参照)。円錐振り子の理論は、Christiaan Huygensにより最初に記載され(参考文献[16]および[7]参照)、通常の振り子と同様に、円錐振り子は等時性ではないが、理論上、可撓性のひもと放物面構造とを用いることにより、等時性になり得ることが示された。
しかしながら、通常の振り子のサイクロイドチークと同様に、Huygensの修正は、可撓性の振り子に基づいており、実際には時間管理を向上させない。円錐振り子が精度時計用のタイムベースとして使用されたことはない。
正確な時間管理の可能性にもかかわらず、例えば、Defossezによる円錐振り子の説明(参考文献[8、p.534]参照)において、円錐振り子は一貫して、短い時間間隔を正確に測定するために等速運動を得る方法として記載されている。
円錐振り子の理論解析がHaagにより示されているが(参考文献[11][12、p.199〜201]参照)、結論として、タイムベースとしての可能性は、固有の等時性がないため円形振り子よりも本質的に低くなる。
円錐振り子は、精密時計に使用されているが、タイムベースとしては使用されていない。特に、1860年代に、William Bondは円錐振り子を有する精密時計を構成したが、これは脱進機の一部であり、タイムベースは円形振り子である(参考文献[10]および[25、p.139〜143]参照)。
したがって、本発明は、振動子が固有の等時性を有するため、タイムベースの選択肢として円錐振り子よりも優れている。さらに、本発明は、ばねに基づくので腕時計または他の携帯型タイムキーパで使用することができるが、これは、重力に対して一定の向きを有するタイムキーパに依存する円錐振り子には不可能である。
7.2 調速機との相違
調速機は、一定速度を維持する機構であり、最も単純な例は、蒸気機関のためのワット調速機である。19世紀に、これらの調速機は、スムーズな動作、すなわち、脱進機を有する振動子に基づく時計機構の、進んではすぐに止まる断続的な運動のない動作が高い精度よりも重要である適用例において使用された。特に、そのような機構は、比較的短い時間間隔にわたって天球の動きを追い、星の動きをたどる望遠鏡に必要とされた。使用の時間間隔が短いため、この場合、高いクロノメータ精度は必要ない。
そのような機構の例がパリ天文台の望遠鏡を調整するためにAntoine Breguetにより作られ(参考文献[4]参照)、その理論がYvon Villarceauにより説明された(参考文献[24]参照)。この機構は、ワット調速機に基づき、また比較的一定の速度を維持するようになっているため、等時性レギュレータ(等時性調速機)と呼ばれているにもかかわらず、前述したような真の等時性振動子にはなり得ない。Breguetによれば、精度は30秒/日〜60秒/日である(参考文献[4]参照)。
波動方程式から得られる調和振動子の固有の特性(セクション8参照)によって、一定速度機構は真の振動子ではなく、そのようなあらゆる機構は、本質的に限られたクロノメータ精度を有する。
調速機は精密時計で使用されているが、タイムベースとして使用されたことはない。特に、1869年に、William Thomson,Lord Kelvinが天文時計を設計し構築したが、この天文時計の脱進機機構は、タイムベースが振り子であるにもかかわらず、調速機に基づくものであった(参考文献[23][21、p.133〜136][25、p.144〜149]参照)。実際に、時計に関する彼の書簡のタイトルには、「等速運動」を特徴とすることが述べられている(参考文献[23]参照)ため、その目的が本発明とは明らかに異なっている。
7.3 他の連続運動タイムキーパとの相違
機構が進んではすぐに止まる断続的な運動を持たないため不要な繰返しの加速を受けない、少なくとも2つの連続運動腕時計がある。2つの例は、AsulabによるいわゆるSalto腕時計(参考文献[2]参照)と、セイコーによるスプリングドライブ(参考文献[22]参照)である。これらの機構の両方が高レベルのクロノメータ精度を達成しているが、これらは等方性振動子をタイムベースとして使用せず、代わりに水晶音叉の振動に依拠しているため、本発明とは完全に異なる。さらに、この音叉は、振動を維持し計数するための圧電気と、維持および計数を制御するための集積回路とを必要とする。ムーブメントの連続運動は電磁制動によってのみ可能であり、この電磁制動は、衝撃によるクロノメータエラーを訂正するために、メモリに±12秒までの緩衝域を必要とする集積回路によって再び制御される。
本発明は、機械的振動子をタイムベースとして使用し、正しく動作するために電気または電子機器を必要としない。ムーブメントの連続運動は、等方性振動子自体によって調整され、集積回路によっては調整されない。
8 等方性調和振動子の実現
いくつかを前述し、かつ詳細に後述する一部の実施形態では、本発明は、タイムベースとして使用するための等方性調和振動子の実現として考えられた。実際に、等方性調和振動子をタイムベースとして実現するために、中心復元力の物理的構成が必要である。最初に、中心復元力に対して動く質量の理論は、結果として生じる運動が平面内で行われるようになっていることに注目する。したがって、実際上の理由で、物理的構成は平面等方性を実現すべきであるということになる。したがって、ここに記載の構成は大部分が平面等方性であるが、これに限定されず、3次元等方性の例もある。平面等方性を2つの方法:等方性等方性ばね、および並進運動等方性ばねで実現することができる。
等方性等方性ばねは、1自由度を有し、ばねおよび質量の両方を保持する支持体と共に回転する。この構造により、自然に等方性になる。質量は、軌道をたどるが、支持体と同じ角速度でそれ自体の周りを回転する。これにより疑似慣性モーメントが生じて質量が点質量として作用しなくなり、セクション1.1に記載の理想モデルから逸脱し、したがって理論等時性の欠陥となる。
並進運動等方性ばねは、2並進運動自由度を有し、ここでは質量が回転せずにニュートラル点の周りの楕円軌道に沿って並進運動する。これにより、疑似慣性モーメントはなくなり、等時性に対する理論上の障害が取り除かれる。
9 等方性ばねの発明
A.1 前述したように、ばねのニュートラル点がターンテーブルの回転中心にある状態で剛性kのばね2が固定される回転ターンテーブル1を図8に示す。質量のないターンテーブルおよびばねを想定すると、線形中心復元力はこの機構によって実現される。しかしながら、ターンテーブルおよびばねの物理的実現の場合、この実現には、大きい疑似質量および慣性モーメントを有するという欠点がある。
A.2 前述した、軸方向に回転するケージ4内に支持された回転片持ちばね3を図9に示す。これにより、再び中心直線復元力を実現するが、円筒形質量および軸方向ばねを有することにより、疑似慣性モーメントを低減させる。数値シミュレーションは、等時性からの逸脱が依然として大きいことを示す。物理的モデルが構成され(図10参照)、ここでは図9の単一ばねの略円形変位の代わりに、略線形変位を生じさせる二重板ばねに質量を取り付けることにより、質量の垂直運動を最小化する。この物理的モデルからのデータは、解析モデルと一致する。
以下に、セクション3の理論特性のうちのどれがこれらの実現、特に回転片持ちばねに当てはまるかを挙げる。
重力は、軸方向にあるときにはばねに影響を与えないことに留意されたい。しかしながら、これらの発明は、いずれもそれ自体の軸の周りを回転するばねおよびその支持体を有することにより、疑似慣性モーメント項を導入し、モデルの理論等時性を低下させるという欠点を有する。実際に、質量mの点質量を考慮し、その後慣性モーメントIの等方性支持および一定の全角運動量Lを含むと、摩擦を無視した場合に、運動の方程式は、
となる。
この方程式を、ヤコビ楕円関数、および第1種楕円積分によって表される周期により明確に解くことができる(定義および力学への同様の適用については[17]を参照)。これらの解の数値解析は、慣性モーメントIを最小化しない限り、等時性からの逸脱が大きいことを示す。
10 並進運動等方性ばね:背景
このセクションでは、本出願人による等方性ばねの主要な発明につながる背景について説明する。以後、特に明記のない限り、「等方性ばね」は「平面の並進運動等方性ばね」を指す。
10.1 等方性ばね:技術背景
本発明は、コンプライアンス性XYステージに基づく(参考文献[26、27、29、30]、および本明細書で引用された文献による構造の例を示す図39を参照)。コンプライアンス性XYステージは、いずれも並進運動である2自由度を有する機構である。これらの機構はコンプライアンス性ジョイントを含むため(参考文献[28]参照)、平面復元力を示し、平面ばねと考えられる。
Simon Heneinの文献(参考文献[14、p.166、168]参照)は、平面等方性を示す2つのXYステージを提案している。図11に示す第1のステージは、平行アームリンク機構とも呼ばれる2つの直列コンプライアンス性4バー5機構を含み、これにより、小変位の場合に、XおよびY方向への並進運動が可能になる。図12に示す第2のステージは、8つの球形ジョイント7に結合された4本の平行アーム6と、可動プラットホーム9を地面に連結するベロー8とを含む。8つの球形ジョイントに結合された3本の平行アームと、可動プラットホームを地面に連結するベローとによっても、同じ結果が得られる。
10.2 等方性ばね:最も単純な発明および概念の説明
等方性ばねは、本発明の1つの目的であり、中心力が等方性ばねにより実現される、調和振動子の理論特性を保持するのに最も適していると思われる。等方性という用語は、再び「あらゆる方向に同じ」であることを意味するために用いられる。
本発明のすべての実施形態で用いられる基本概念は、理想的には互いに独立すべきである2つの直交ばねを平面において組み合わせることである。これにより、このセクションで示すように、平面等方性ばねが作られる。
前述したように、最も単純なものが図16に示される。この図では、剛性kの2つのばね11、12Sx、Syが配置され、ばね12Sxは水平x軸に作用し、ばね11Syは垂直y軸に作用する。
これらの両方のばねに取り付けられ、質量mを有する質量10がある。点(0、0)で両方のばねがニュートラル位置にあるように幾何形状が選択される。
次に、この機構は一次までの等方性を示すことが提示される(図17参照)。今度は小変位dr=(dx、dy)を想定すると、一次までにx方向への−kdxの復元力Fxとy方向への−kdyの復元力Fyとがある。これにより、全復元力
F(dr)=(−kdx、−kdy)=−kdr
を与え、セクション2の中心直線復元力が実証される。したがって、説明したように、この機構は、一次までの中心直線復元力の実現ということになる。
これらの実現において、重力は、有効ばね定数を変化させるときに、ばねにあらゆる方向に影響を与える。しかしながら、ばねはそれ自体の軸の周りを回転せず、疑似慣性モーメントを最小化し、中心力はばね自体によって直接実現される。以下に、セクション3の理論特性のうちのどれがこれらの実施形態に当てはまるかを挙げる(一次まで)。
タイムキーパは、10秒/日につき少なくとも1/10000の精度で非常に精密であることが必要なため、等方性ばねの実現がそれ自体非常に精密でなければならない。これが、本発明の実施形態の主題である。
本発明は等方性ばねを細密にモデリングし、等方性欠陥を最小化するため、本発明により支持される質量の軌道は、ニュートラル点を楕円の中心とする等時性楕円軌道を細密にモデリングする。図18Aは、本発明の原理の基本的な図である(その詳細な説明については上記を参照)。
図40〜図47を参照して以下で説明する原理を、図30〜図35に示し、詳細に前述したような前記ステージの可能な実施形態として前述したステージ131〜134に適用することができる。
10.3 面内直交非補償平行ばねステージ
2つのばねを組み合わせるアイデアは、図40に示すように線形ばねを平行ばね171、172に置き換えて、周回質量179を保持するばねステージ173を形成することによって改良される。2自由度平面等方性ばねを得るために、2つの平行ばねステージ173、174(図40に示すように、各々が平行ばね171、172、175、176を有する)が直交して配置される(図19および図41参照)。
以下に、セクション3の理論特性のうちのどれがこれらの実施形態に当てはまるかを挙げる。
このモデルは6自由度を有するセクション11.2のモデルとは対照的に2自由度を有する。したがって、このモデルは、セクション2の理論モデルに必要なように真の平面である。最後に、このモデルは、その平面が重力に直交するときに重力の影響を受けない。
この機構の等方性欠陥を明確に推定し、この推定を用いて補償機構の等方性欠陥と比較する。
11 m等方性欠陥を最小化するがk等方性欠陥を最小化しない実施形態
中間ブロックの存在により、異なる方向に異なる換算質量が生じる。したがって、セクション2の理想数学モデルは有効ではなくなり、理論等時性欠陥がある。図42に示すこのセクションの本発明は、この相違を最小化する。本発明は、互いに対して90度(z軸周りの回転角度)回転させた図41の2つの同一面内直交平行ばねステージを積み重ねることにより、換算質量の等方性を最小化する。
図42では、第1のプレート181が第2のプレート182の上に取り付けられる。第1のプレート181のブロック183、184が、第2のプレート182のブロック185、186のそれぞれに固定される。上の2つの図では、第1のプレートのグレーの陰影のブロック184、187と第2のプレート182の186とが、周回質量189のy成分変位に対応するy変位を有し、第1のプレート181の黒の陰影のブロック183と第2のプレート182の185、188とが不動のままである。下の図では、第1のプレート181のグレーの陰影のブロック184、187と第2のプレート182の186とが、周回質量189のx成分変位に対応するx変位を有し、第1および第2のプレート181、182の黒の陰影のブロック183、185、188が不動のままである。第1および第2のプレート181、182が同一であるため、184、187および186の質量の合計は、184、188および186の質量の合計に等しい。したがって、全可動質量(グレーのブロック184、186、187)は、xおよびy方向ならびに平面の任意の方向の変位について同じである。
構成の結果として、xおよびy方向の換算質量が同一であるため、すべての平面方向に同じであり、したがって、理論上、換算質量の等方性欠陥を最小化する。
以下に、セクション3の理論特性のうちのどれがこれらの実施形態に当てはまるかを挙げる。
12 k等方性欠陥を最小化するがm等方性欠陥を最小化しない実施形態
この機構の目的は、等方性ばね剛性をもたらすことである。等方性欠陥、すなわち完全なばね剛性等方性からの変動は、本発明において最小化される要因である。本発明を、等方性欠陥につながる要因の補償に対応する複雑さの小さいものから順に表す。
− 面内直交補償平行ばねステージ
− 面外直交補償平行ばねステージ
12.1 面内直交補償平行ばねステージの実施形態
本実施形態は、図44に示す上面図と共に図43に示される。単純な平行ばねステージの代わりに複合平行ばねステージを使用することにより、各ステージで直線運動が生じる。これにより、等方性欠陥につながる主なクロスカップリング効果が抑制される。
特に、図43および図44は、本発明による面内直交補償平行ばねステージの実施形態を示す。固定ベース191は、中間ブロック193に連結された第1の対の平行板ばね192を保持する。第2の対の板ばね194(192に平行)は第2の中間ブロック195に連結する。中間ブロック195は、第3の中間ブロック197に連結された第3の対の平行板ばね196(ばね192、194に直交)を保持する。中間ブロック197は、周回質量199あるいは周回質量199を保持するフレームに連結された平行板ばね198(ばね196に平行)を保持する。
以下に、セクション3の理論特性のうちのどれがこれらの実施形態に当てはまるかを挙げる。
12.2 面内直交補償平行ばねステージの代替実施形態
面内直交補償平行ばねステージの代替実施形態を図45に示す。
図43の平行板ばね192、194、196、198の順序を有する代わりに、順序は192、196、194、198となる。
以下に、セクション3の理論特性のうちのどれがこれらの実施形態に当てはまるかを挙げる。
12.3 補償された等方性平面ばね:等方性欠陥の比較
計算された特定の例では、面内直交非補償平行ばねステージ機構は、最悪の場合の等方性欠陥6.301%を有する。他方、補償機構については、最悪の場合の等方性は0.027%である。したがって、補償機構により、最悪の場合の等方性剛性欠陥は200分の1に減少する。
一般の推定は正確な構成によって決まるが、上記例の推定は、改良が2桁であることを示す。
13 k等方性欠陥およびm等方性欠陥を最小化する実施形態
中間ブロックの存在により、異なる角度について異なる換算質量が生じる。したがって、セクション2の理想数学モデルは有効ではなくなり、理論等時性欠陥がある。図46に示すこのセクションの本発明は、この相違を最小化する。本発明は、互いに対して90度(z軸周りの回転角度)回転させた2つの同一面内直交平行ばねステージを積み重ねることにより、換算質量の等方性を最小化する。
したがって、図46は、換算質量の等方性欠陥を最小化する実施形態を開示する。
第1のプレート201が第2のプレート202の上に取り付けられ、符号付けは図43と同じ意味を有する。第1のプレート201のブロック191、199が、第2のプレート202のブロック191、199のそれぞれに固定される。上の図では、第1のプレート201のグレーの陰影のブロック197、199と第2のプレート202の193、195、197、199とが、周回質量のx成分変位に対応するx変位を有し、第1のプレート201の黒の陰影のブロック191、193、195と第2のプレート202の191とが不動のままである。下の図では、第1のプレート201のグレーの陰影のブロック193、195、197、199と第2のプレート202の199とが、周回質量のy成分変位に対応するy変位を有し、第1のプレート201の黒の陰影のブロック191と第2のプレート202の191、193、195とが不動のままである。
この実施形態の結果として、xおよびy方向の換算質量が同一であるため、すべての方向に同一であり、したがって、理論上、換算質量の等方性欠陥を最小化する。
以下に、セクション3の理論特性のうちのどれが本実施形態に当てはまるかを挙げる。
13.1 面外直交補償等方性ばねの実施形態
別の面外直交補償等方性ばねの実施形態を図47に示す。
固定ベース301は、中間ブロック303に連結された第1の対の平行板ばね302を保持する。第2の対の板ばね304(302に平行)は、第2の中間ブロック305に連結する。中間ブロック305は、第3の中間ブロック307に連結された第3の対の平行板ばね306(ばね302、304に直交)を保持する。中間ブロック307は、周回質量309(あるいは周回質量309を保持するフレーム)に連結された平行板ばね308(306に平行)を保持する。
以下に、セクション3の理論特性のうちのどれが本実施形態に当てはまるかを挙げる。
13.2 コピーし平行または直列に積み重ねることによる等方性欠陥の低減
等方性ばねのコピーを作り、精密な角度ずれを有してコピーをオリジナルの上に積み重ねることにより、等方性欠陥を低減することができる。
図55は、剛性等方性の改善のための2つの同一XY平行ばね振動子の平行アセンブリを示す。第1のXY平行ばねステージ振動子(図55の上ステージ)は、固定外側フレーム830、第1の対の平行板ばね831、832、中間ブロック833、第2の対の平行板ばね834、835、および周回質量(図示せず)が堅く取り付けられる可動ブロック838を含む。第2のXY平行ばねステージ(図55の下ステージ)は、第1のXY平行ばねステージと同一である。両方のステージは、830を841に、かつ836を842に堅く取り付けることによって共に取り付けられる。第2のXY平行ばねステージは、第1のXY平行ばねステージに対してZ軸の周りを180度回転する(図は、830の位置合わせノッチAが841の位置合わせノッチAと逆であることを示す)。1つのステージの等方性欠陥が周期的であるため、正しい角度ずれ(この場合180度)を有して2つのステージを平行に積み重ねることにより、欠陥の逆位相相殺(cancellation)が生じる。シム840、839を使用して、2つのステージをわずかに分離させ、それらの可動部材間の摩擦を避ける。アセンブリ全体の剛性等方性欠陥は、1つのXY平行ばねステージの剛性等方性欠陥よりもはるかに小さい(一般的に2〜20分の1)。180度より小さい角度で回転させた3つ以上のステージを積み重ねることにより、剛性等方性をさらに向上させてもよい。挙動全体を変化させることなく、機構を反転させること、すなわち838、840、842を固定ベースに取り付け、周回質量を外側フレーム830、839、841に取り付けることができる。その特性は以下の通りである。
図56は、剛性等方性の改善のための2つの同一XY複合平行ばね振動子の平行アセンブリを示す。第1のXY複合平行ばねステージ(図84の上部)は、直列に取り付けられた2つの垂直複合平行ばねステージを介して可動ブロック851に連結された固定外側フレーム850を含む。周回質量(図示せず)は、可動ブロック851に堅く取り付ける予定である。第2のXY複合平行ばねステージ(図84の下部)は、第1のXY複合平行ばねステージと同一である。第2のXY複合平行ばねステージは、直列に取り付けられた2つの垂直複合平行ばねステージを介して可動剛性ブロック853に連結された固定外側フレーム852を含む。両方のステージは、850を852に、かつ851を853に堅く取り付けることによって共に取り付けられる。第2のXY平行ばねステージは、第1のXY平行ばねステージに対してZ軸の周りを45度回転する(図は、852の位置合わせノッチAが850の位置合わせノッチAに対して45度回転していることを示す)。1つのステージの等方性欠陥が周期的であるため、正しい角度ずれ(この場合45度)を有して2つのステージを平行に積み重ねることにより、欠陥の逆位相相殺が生じる。シム854、855を使用して、2つのステージをわずかに分離させ、可動部材間の摩擦を避ける。アセンブリ全体の剛性等方性欠陥は、1つのXY複合平行ばねステージの剛性等方性欠陥よりもはるかに小さい(一般的に100〜500分の1)。注1:45度より小さい角度で回転させた3つ以上のステージを積み重ねることにより、剛性等方性をさらに向上させてもよい。注2:挙動全体を変化させることなく、機構を反転させること、すなわち851、853、854を固定ベースに取り付け、周回質量を外側フレーム850、852、855に取り付けることができる。その特性は以下の通りである。
一般的に、図55、図56に示す実施形態は、同様のステージを含む、前述し、図30〜図35および図40〜図46に示した構成および実施形態に適用可能である。また、これらの実施形態に関連して、いくつかのステージ(2つ以上)を含む積重体を、これのステージを互いに積み重ねることにより形成することができ、各ステージは、前述した原理に従って、例えば45°、90°、180°または他の値の角度ずれを有し、またはさらには隣のステージに対してそれらの組合せを有する。異なる角度を向いたそのようなステージの組合せにより、振動子の等方性欠陥の低減またはさらには相殺が可能になる。
図62は、剛性等方性の改善のための2つの同一XY平行ばね振動子の直列アセンブリを示す。第1のXY平行ばねステージ振動子(図62の下ステージ)は、固定外側フレーム970、第1の対の平行板ばね971、中間ブロック972、第2の対の平行板ばね973、および第2のXY平行ばねステージ(図62の上ステージ)が堅く取り付けられる可動ブロック974を含む。この第2のステージは、第1のステージと同一である。両方のステージは、2つのステージ間に間隙を生み出すシム975を介して976を974に堅く取り付けることによって共に取り付けられる。第2のステージは、第1のステージに対してZ軸の周りを180度回転する(図は、970の位置合わせノッチAが979の位置合わせノッチAと逆であることを示す)。振動子の可動質量はブロック977である(このブロックは高密度材料から作られるが、他のすべての可動ブロックは、低密度材料から作られる)。1つのステージの等方性欠陥が周期的であるため、正しい角度ずれ(この場合180度)を有して2つのステージを直列に積み重ねることにより、欠陥の逆位相相殺が生じる。アセンブリ全体の剛性等方性欠陥は、1つのXY平行ばねステージの剛性等方性欠陥よりもはるかに小さい(一般的に2〜20分の1)。180度より小さい角度で回転させた3つ以上のステージを積み重ねることにより、剛性等方性をさらに向上させてもよい。その特性は以下の通りである。
図63は、剛性等方性の改善のための2つの同一XY複合平行ばね振動子の直列アセンブリを示す。第1のXY平行ばねステージ振動子(図63の下ステージ)は、固定外側フレーム980と、第2のXY複合平行ばねステージ(図63の上ステージ)が堅く取り付けられる可動ブロック981とを含む。この第2のステージは、第1のステージと同一である。両方のステージは、2つのステージ間に間隙を生み出すシム982を介して981を983に堅く取り付けることによって共に取り付けられる。第2のステージは、第1のステージに対してZ軸の周りを45度回転する(図は、984の位置合わせノッチAが980の位置合わせノッチAに対してずれていることを示す)。振動子の可動質量はブロック984である(このブロックは高密度材料から作られるが、他のすべての可動ブロックは、低密度材料から作られる)。1つのステージの等方性欠陥が周期的であるため、正しい角度ずれ(この場合45度)を有して2つのステージを直列に積み重ねることにより、欠陥の逆位相相殺が生じる。アセンブリ全体の剛性等方性欠陥は、1つのXY平行ばねステージの剛性等方性欠陥よりもはるかに小さい(一般的に100〜500分の1)。45度より小さい角度で回転させた3つ以上のステージを積み重ねることにより、剛性等方性をさらに向上させてもよい。その特性は以下の通りである。
14 重力および衝撃補償
新しい振動子を携帯型タイムキーパに配置するために、振動子の正しい機能に影響し得る力に対処する必要がある。この力は重力および衝撃を含む。
14.1 重力の補償
重力の力に対処する第1の方法は、重力に対して水平位置にあるときに、前述したような影響を感じない平面等方性ばねを作ることである。
しかしながら、これは据置き時計にしか適していない。携帯型タイムキーパの場合には、補償が必要である。これは、図20〜図24を参照して前述したように、振動子のコピーを作り、両方のコピーをボールまたはユニバーサルジョイントに連結することによって達成できる。図20の実現において、機構全体の重力中心は固定されたままである。セクション14の振動子を使用する。
以下に、セクション3の理論特性のうちのどれが本実施形態に当てはまるかを挙げる。
14.2 直線加速度のための動的平衡
直線衝撃は直線加速度の形であるため、特別な場合として重力を含む。したがって、図20の機構も直線衝撃を補償する(上記説明を参照)。
14.3 角加速度のための動的平衡
図20に示す前のセクションの機構を修正することにより、図21に示すように2つの質量の重力中心間の距離を小さくすることによって、角加速度による影響を最小化することができる。2つの重力中心を分離する図21に示す距離lを精密に調節することにより、レバー自体の慣性モーメントを考慮することを含む角衝撃の完全な補償が可能になる。図49Aおよび図49Bに別の実施形態が示され、ここでは、2つのXY振動子が自転車のクランクセットと同様のクランクシャフトおよび底部ブラケットを介して連結され、クランクが場合によって異なる半径で各XY振動子に衝撃を与える。より正確には、図49A、図49Bは、動的に平衡した、角度連結された二重振動子を示す。2つの平面振動子の周回質量643、644は、上クランク646、下クランク645、およびそれらのシャフト647(自転車の底部ブラケットと同様)を含む二重クランク(自転車のクランクセットと同様)によって連結される。クランクアーム646は、スロットを含み、質量643に堅く連結されたピンがこのスロット内で摺動できるようにする。同様に、質量644は、クランク645のスロット内を摺動するピンに堅く連結される。シャフト647は歯車648により駆動され、歯車648はそれ自体歯車649によって駆動され、歯車649は歯車650によって駆動される。この配置により、両方の質量643、644が互いから180度で周回する(角度連結)。2つの質量の半径方向位置は独立している(半径方向連結なし)。したがって、システム全体が3自由度振動子として動作する。上および下振動子の固定フレーム641、642は、共通の固定フレーム640に取り付けられる。その特性は以下の通りである。
別の実施形態が図50A、図50Bに示され、ここでは2つのXY振動子がボールジョイントを介して連結されて、半径および振幅が各XY振動子について同じになっている。より正確には、図50A、図50Bは、2つの平面振動子に基づく、動的に平衡した、角度連結および半径方向連結された二重振動子を示す。2つの平面振動子654、652の周回質量653、655が、ボールジョイント657により固定フレーム651に連結された連結バー656によって連結される。656の2つの端部が、655および653のそれぞれに対してボールジョイント関節を形成する2つの球体658、659内へ軸方向に摺動する。この運動学的配置により、両方の振動子の角度連結および半径方向連結が生じる。これにより、システム全体が2自由度振動子として動作する。上および下振動子の固定フレーム654、652は、共通の固定フレーム651に取り付けられる。その特性は以下の通りである。
別の実施形態が図57に示され、ここでは、動的平衡が屈曲ピボットを有するレバーを介して達成され、このレバーの長さは、望ましくない力を排除する割合で選択される。より正確には、図57は、動的平衡等方性調和振動子を示す:周回質量867(M)はフレーム866に取り付けられる。フレーム866は、90度で直列に取り付けられた2つの平行ばねステージを介して固定ベース860に取り付けられる:861および862はY方向に自由度をもたらし、864および865はX方向に自由度をもたらす。863は中間可動ブロックである。加えて、866は、867のX方向のすべての動きについて反対方向に動くX補償質量871(m)と、Y方向のすべての動きについて反対方向に動くY方向補償質量876とに連結される。反転機構は、主質量867を剛性レバー870に連結する板ばね869に基づく。レバーは、2つの板ばね872、873を含む屈曲ピボットによって、固定ベースに対して旋回する。X方向補償質量871は、レバーの反対側端部に取り付けられる。レバーの長さは、特定の割合OA/OB=m/Mを有するように選択されて、XY面の直線加速度がピボットOにトルクを生じさせないようにする。同一の機構874〜878を使用して、Y方向への加速のために主質量867を動的に平衡させる。したがって、機構全体が、小変形の範囲の直線加速度の影響を非常に受けにくい。剛性ピン868は867に取り付けられ、駆動クランク(図示せず)に係合して、周回運動を維持する。注:質量867、871、876を除くすべての部分が、低密度材料、例えばアルミニウム合金またはシリコンから作られる。
以下に、セクション3の理論特性のうちのどれが本実施形態に当てはまるかを挙げる。
16 3次元並進運動等方性ばねの発明
3次元並進運動等方性ばねの発明を図48に示す。3つの垂直ベロー403が並進運動周回質量402を固定ベース401に連結する。セクション10.2の論点を用いると(上記図17参照)、この機構は1次までの3次元等方性を示す。図16〜図18に示す2次元構成と異なり、ベロー403は、3自由度並進運動の吊下装置を提供し、これを外部トルクの影響を受けない現実的な作動機構にする。その特性は以下の通りである。
17 加速度計、クロノグラフ、および調速機への応用
本明細書に記載の等方性ばねの実施形態に半径方向ディスプレイを加えることにより、本発明は、例えば、乗用車において横G(lateral g force)を測定するのに適した、完全に機械的な2自由度加速度計を構成することができる。
別の応用では、本出願に記載の振動子およびシステムを、長い速度増加歯車列のみを必要とする、秒の分数を測定するクロノグラフ用のタイムベースとして使用して、例えば100分の1秒を測定するように100Hzの振動数を得ることができる。勿論、他の時間間隔の測定が可能であり、結果として、歯車列の最終的な割合を適応させることができる。
さらなる適用例では、本明細書に記載の振動子を調速機として使用することができ、ここでは短い間隔にわたる一定の平均速度のみが、例えば打鐘時計または音楽時計および腕時計、ならびにオルゴールを調整するために必要である。摩擦調速機とは対照的に、調和振動子の使用は、摩擦を最小化し、品質係数を最適化することによって、望ましくない騒音をなくし、エネルギー消費およびしたがってエネルギーの蓄積を減らすとともに、打鐘時計または音楽腕時計の適用例では、これにより音楽または打鐘のリズムの安定性を向上させる。
本明細書に示す実施形態は、例示のためものであり、限定するものと解釈すべきではない。例えば等価な手段を用いることにより、本発明の範囲内で多くの変形形態が可能である。また、本明細書に記載の異なる実施形態を、希望に応じて、状況によって組み合わせてもよい。
さらに、振動子の他の適用例を本発明の範囲および精神において想定することができ、本明細書に記載のいくつかの適用例に限定されない。
本発明の一部の実施形態の主な特徴および利点
A.1 等方性調和振動子の機械的実現。
A.2 平面の中心直線復元力の物理的実現である等方性ばねの使用(フックの法則)。A.3 タイムベースとしての調和振動子による精密タイムキーパ。
A.4 効率が高まり機械的複雑さが低減した、脱進機のないタイムキーパ。
A.5 走行列(running train)の進んではすぐに止まる断続的な運動、関連する無駄な衝撃および減衰効果、ならびに走行列および脱進機機構の繰返しの加速をなくすことにより、結果として効率が向上する連続運動機械タイムキーパ。
A.6 重力の補償。
A.7 直線衝撃の動的平衡。
A.8 角衝撃の動的平衡。
A.9 振動の一部についてあらゆる機械的外乱から振動子を解放する自由脱進機を使用することによる、クロノメータ精度の向上。
A.10 振動子の回転が方向を変化させないため、てん輪脱進機と比べて簡易な新しい群の脱進機。
A.11 等方性振動子の伝統的なデテント脱進機における改良。
一部の実施形態の革新
B.1 タイムキーパのタイムベースとしての、等方性調和振動子の最初の適用。
B.2 調和振動子タイムベースを有するタイムキーパからの脱進機の排除。
B.3 重力を補償する新しい機構。
B.4 直線および角衝撃の動的平衡のための新しい機構。
B.5 新しい簡易脱進機。
概要、本発明による等方性調和振動子(等方性ばね)。
例示的な特徴
1 ばね剛性等方性欠陥を最小化する等方性調和振動子。
2 換算質量等方性欠陥を最小化する等方性調和振動子。
3 ばね剛性および換算質量等方性欠陥を最小化する等方性調和振動子。
4 ばね剛性、換算質量等方性欠陥を最小化し、あらゆる方向の直線加速度の影響を受けず、特に、機構のあらゆる向きの重力の力の影響を受けない等方性振動子。
5 角加速度の影響を受けない等方性調和振動子。
6 上記特性のすべてを組み合わせた等方性調和振動子:ばね剛性および換算質量等方性を最小化し、直線加速度および角加速度の影響を受けない。
本発明の適用
A.1 本発明は中心直線復元力の物理的実現(フックの法則)である。
A.2 本発明は、タイムキーパ用のタイムベースとしての等方性調和振動子の物理的実現をもたらす。
A.3 本発明は、平面等方性からの偏差を最小化する。
A.4 本発明の自由振動は、ばねのニュートラル点を楕円の中心として有する閉鎖楕円軌道に近似している。
A.5 本発明の自由振動は高度な等時性を有する:振動の周期は全エネルギー(振幅)から大きく独立している。
A.5 本発明は、長い時間周期にわたって振動の全エネルギーを比較的一定に維持するために使用される、外部エネルギーを伝える機構に容易に嵌合する。
A.6 機構を修正して3次元等方性をもたらすことができる。
特徴
N.1 高度なばね剛性および換算質量等方性を有し、直線加速度および角加速度の影響を受けない等方性調和振動子
N.2 完全な等方性からの偏差が、以前の機構よりも少なくとも1桁小さく、通常、2桁小さい。
N.3 完全な等方性からの偏差が、初めて十分に小さくなり、正確なタイムキーパのタイムベースの一部として本発明を使用することができる。
N.4 本発明は、エネルギーを供給して振動を同じエネルギーレベルで維持するために、断続的な運動を有する脱進機を必要としない調和振動子の最初の実現である。
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Claims (21)

  1. 等方性および直線復元力特性を有するばね(S)を用いて周回質量(P;22;95;131e〜134e;179、189、199;309)を固定ベース(B;20;140、140a)に対して支持する少なくとも2自由度リンク機構(L1、L2)を含む機械的等方性調和振動子。
  2. 2自由度リンク機構を形成するXY平面ばねステージ(24、25)に基づくことにより、周回質量の純粋な並進運動を生じさせて、質量が一定の向きを維持したままその軌道に沿って移動するようにする、請求項1に記載の振動子。
  3. 各ばねステージ(131〜134)は、少なくとも2つの平行ばね(131a〜131d、132a〜132d、133a〜133d、134a〜134d;171、172、174、176;192、194、196、198)を含む、請求項2に記載の振動子。
  4. 各ステージは、2つの平行ばねステージ(192、194、196、198;302、304、306、308)が直列に取り付けられる複合平行ばねステージから作られる、請求項2または3に記載の振動子。
  5. 振動子を動的に平衡させる、各自由度について少なくとも1つの補償質量(871、876)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動子。
  6. 補償質量(871、876)は、機構全体の重力中心が静止したままであるように動く、請求項5に記載の振動子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも2つの振動子を含む、振動子システム。
  8. 4つの振動子(131、132、133、134)を含む、請求項7に記載の振動子システム。
  9. 平行または直列に組み立てられた各ステージは、隣のステージに対してある角度で回転する、請求項7または8に記載の振動子システム。
  10. 角度は約45°または90°または180°である、請求項9に記載の振動子システム。
  11. XおよびY並進運動を一般化座標に置き換えることができ、XおよびYは回転または並進運動とすることができる、請求項1または2に記載の振動子。
  12. 振動子または振動子システムに機械エネルギーを連続的に供給するための機構を含む、請求項1〜6、11のいずれか1項に記載の振動子または請求項7〜10のいずれか1項に記載の振動子システム。
  13. 前記機構がトルクまたは断続的な力を振動子または振動子システムに加える、請求項12に記載の振動子または振動子システム。
  14. 前記機構は、ピボット(82)を通して固定フレーム(81)の周りを回転する可変半径クランク(83)を含み、直進ジョイント(84)によりクランク端部は可変半径で回転することが可能になる、請求項12または13に記載の振動子または振動子システム。
  15. 前記機構は、維持トルクMが加えられるクランクシャフト(92)と、クランクシャフト(92)に取り付けられた、直進スロット(93’)を備えるクランク(93)とを保持する固定フレーム(91)を含み、剛性ピン(94)は振動子または振動子システムの周回質量(95)に固定され、前記ピンは前記スロット(93’)に係合する、請求項12または13に記載の振動子または振動子システム。
  16. 前記機構は、機械エネルギーを振動子に断続的に供給するためのデテント脱進機を含む、請求項12または13に記載の振動子または振動子システム。
  17. 前記デテント脱進機は、周回質量に固定された2つの平行留め具(151、152)を含み、一方の留め具(152)はばね(155)上で旋回するデテント(154)を変位させてがんぎ車(153)を解放し、前記がんぎ車は他方の留め具(151)に衝撃を与えて、失われたエネルギーを振動子または振動子システムに戻す、請求項16に記載の振動子または振動子システム。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の振動子または振動子システムをタイムベースとして含む時計などのタイムキーパ。
  19. 前記タイムキーパは腕時計である、請求項18に記載のタイムキーパ。
  20. 長い速度増加歯車列のみを必要とする、秒の分数を測定するクロノグラフ用のタイムベースとして使用して、例えば100分の1秒を測定するように100Hzの振動数を得る、請求項1〜17のいずれか1項に記載の振動子または振動子システム。
  21. 打鐘時計または音楽時計および腕時計、ならびにオルゴールの調速機として使用することにより、望ましくない騒音をなくし、エネルギー消費を減らし、かつ音楽または打鐘のリズムの安定性を向上させる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の振動子または振動子システム。
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