JP6723256B2 - 3次元磁性共振を有する調速機を備える時間管理ムーブメント - Google Patents

3次元磁性共振を有する調速機を備える時間管理ムーブメント Download PDF

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Description

本発明は、時計の発振調速機、およびその調速機が組み込まれた時計アセンブリに関する。そのため、本発明は、その調速機が組み込まれた時計ムーブメントと時計そのもの、とりわけその調速機が組み込まれた腕時計などの携帯時計そのものにも関する。
従来型の機械式携帯時計の精度は、そのかなりの部分を調速機の動作に負っている。調速機は、一般に発振システムの形を取り、多くの場合、てんぷ組立体または振り子を備える。この発振システムは固有の安定した動作周波数を有しており、携帯時計で統御された計時が得られるようにするためにその周波数が利用される。発振システムは香箱などの蓄エネルギー装置につながれており、蓄エネルギー装置は輪列を通して脱進機に動力を供給する。その脱進機は発振システムに周期的に脈動を伝えることで、その発振が持続性のある形で保たれるようにする。発振システムに対する動力伝達システムは、発振動作を乱すことなく、その維持を果たせるように設計されている。
しかし、従来技術のこうした調速機の動作は、発振システム及びまたはそれと組み合わされる動力伝達システムの本質的な不完全さによって理想形である理論的動作からずれることから、未完成のままである。さらに、脱進機は、腕時計の場合がそうであるように、脱進機の向きが代われば変化し得るものである引力の影響も受ける。それら様々な現象が時計の計時精度を失わせる結果となる。
それらの欠点のうちのいくつかを補うため、複雑な機械システムに基づくいくつかの方案がある。たとえば引力の影響を減らすことに関しては、特にトゥールビヨンに基づく方案が存在し、その原理は、1つまたは複数の回転軸の周りに調速機を運動させることで、その全体としての動作が最終的にその向きにさほど依存しないものとなるようにするというものである。そうした複雑な方案は非常に高価なものであり、発振システムに基づく調速機の精度の向上は複雑な機械システムの開発を経て初めてなし得るものであり、それは決して容易ではない。
発振システムに基づく調速機による計時精度を向上させるための他の方案は、たとえば特許文献1に開示されているものなど、それ以外にも提案されている。特許文献1では、共振して動作する複数のてん輪を使用する時計ムーブメントが開示されている。それぞれのてん輪の潜在的な各種欠点は、同じ瞬間に同じ欠点を示すことはないであろうそれ以外のてん輪によって埋め合わされると考えられるため、この原理は、理論的には、てん輪が1つだけである場合の欠点を克服することができるものであり、計時の全体的な向上を得ることができる。そのため、共振するてん輪の集合によって形成される全体としての調速機は、それを構成する個々の独立したてん輪の動作と比べて、平均してより精度の高い、信頼性のある動作を有することになるはずである。この方案は理論的なアプローチに基づくものである。しかし、いざそれを実施するとなると技術的な問題が生じ、それを克服することはできていなかった。実際、様々なてん輪を共振させながら安定して動作させるためには、それぞれのてん輪が同じ発振特性を備えており、すなわち好ましくは重量、幾何学形状、動作調整に関して同一であり、さらにすべての瞬間に外部から正確に同じ影響を受ける必要がある。それらの条件が満たされることはまれであり、従来技術では、共振の原理が計時に関して期待される結果をもたらすことはできていない。
特許文献2は、このため、共振して動作する複数のてん輪に基づく、単純な、より効果的な解決策を提案する。実際のところこの解決策も、てん輪間の共振を達成し、当該解決策が提供可能な理論上の利点を実現するには複雑である。
欧州特許出願公開第1640821号明細書 国際公開第2014/180767号
したがって、本発明の目的は、従来技術の方案における不都合のすべてまたは一部を含まない時計のための計時方案を提案することを全般的な目標とする。
より具体的には、本発明の第1の目的は、高い精度を得ることができる計時方案であって、特に腕時計で利用するための、特に携帯時計の等時性に対する引力の有害な影響を大幅に減少させまたは無効にすることを可能にするための、計時方案を提案することにある。
本発明の第2の目的は、携帯時計、特に腕時計での利用に対応できる、コンパクトな計時方案を提案することにある。
このため、本発明は、時計用発振調速機を備え、前記時計用発振調速機は、少なくとも2つの共振発振システムを備え、前記共振発振システムはそれぞれ、発振中に磁力を交換するのに適した少なくとも1つの磁性部品を備え、少なくとも2つの発振システムの軸は向きが異なる、時計用発振調速機に基づくものである。
「磁性部品」の文言は、磁場に敏感な部品を意味する。これは、永久または非永久磁石など、磁化部品と呼ばれる部品、すなわち実質的に適正な磁場を発生する部品であってもよく、または磁化可能部品と呼ばれる部品、すなわち例えば軟強磁性素材と呼ばれる素材の場合のように励起後は適正な磁場をほぼ保持しない部品であってもよい。
時計用発振調速機は、少なくとも1つの二次発振システムに磁力を発揮する一次発振システムを備え、各二次発振システムは2つの二次発振システムが互いになんら、あるいはほとんど磁力を発揮しないように構成されてもよい。
一次発振システムは、磁化部品、とりわけ磁石、を含む少なくとも1つの磁性部品を備え、前記少なくとも1つの二次発振システムは磁化可能な素材製の磁性部品を備えてもよい。
時計用発振調速機は、3つ、または3より大きい奇数の、異なる向きの共振発振システムを備えてもよい。
全ての前記発振システムが中心軸の周りに均等配分されてもよい。
発振調速機は、すべての発振システムを互いに結び付ける少なくとも1つのプラットフォームを備えてもよい。
それぞれの発振システムの回転軸は、同一のプラットフォームに対して、それぞれの発振システムが当該プラットフォームに対して回転運動のみを与えられるように取り付けられてもよい。
発振システムは、全て同じ型のもの、とりわけてんぷ型または振り子型であってもよい。
発振システムはてんぷ型であってもよく、磁性部品は、
−てんぷの外縁に固着される、とりわけその位置への打込み、または接着、溶接、リベット止めまたはボルト締めにより固着される、重り、及びまたは
−てんぷの磁化または磁化可能部品
であってもよい。
各発振システムのそれぞれの前記回転軸は、中心軸に対して60°以下の角度に向けられてもよい、または各発振システムのそれぞれの前記回転軸は、立方体の連続する面に設けられてもよい。
本発明は、上述の発振調速機を備える時計ムーブメントにも関する。
時計ムーブメントは、動力源と、動力源から単一の一次発振システムへ動力を伝達する輪列とを備え、磁性部品は、調速機の二次発振システムのそれぞれに磁力を発揮してもよい。
発振調速機の二次発振システムは、互いになんら、あるいはほぼ、磁力を発揮しなくてもよい。
本発明は、上述の発振調速機、または上述の時計ムーブメントを備える、時計、とりわけ携帯時計または腕時計に関する。
時計は文字盤を備えてもよく、発振調速機の発振システムは文字盤とほぼ直角をなす中心軸の周りに均等配分されてもよい。
本発明は、1つ以上の輪列により発振調速機の単一の一次発振システムに結び付けられる、単一の動力源を含む、時計にも関する。
本発明はさらに、発振調速機を用いた時間測定方法であって、
−動力源から発振調速機の一次発振システムへ動力を伝達するステップと、
−一次発振システムから少なくとも1つの二次発振システムへ磁力を伝達するステップと、
を備える、時間測定方法にも関する。
本発明の目的、特徴及び利点について、限定的でないものとして行う具体的な実施形態に関する以下の説明で添付の図面と関連付けて詳細に示す。
図1は、本発明の一実施形態による発振調速機の単純化した斜視図である。 図2は、本発明の実施形態による発振調速機の下面図である。 図3は、本発明の実施形態による発振調速機の側面図である。
以下に説明する実施形態に実装される原理は、互いに交わす磁力を通じて共振して動作する複数のてん輪を利用すること、および向きの異なる少なくとも2つのてん輪を利用することを基本として、簡易に3次元共振調速機とすることのできる調速機の方案を達成しようとするものである。
図1に示すのは、一実施形態による3次元共振式の発振調速機であって、ピラミッドを形成するプラットフォーム1を含み、当該プラットフォーム1上に、本実施形態ではてんぷ型の、共振して動作する3つの発振システム20、30、40が配置される。プラットフォーム1は、時計ムーブメントの他の部品を有する地板に対して固定される。
プラットフォーム1は、立方体または立方体の一部の形態をとり、互いに垂直な3つの隣接する面が、それぞれ3つの同一の発振システムを1つずつ有する表面2、3、4を形成する。
この実施形態において、それぞれの発振システム20、30、40はてんぷ型である。第1のてんぷは、表面2に垂直に取り付けられる回転軸22周りに配置される。発振システムはさらに、その回転軸22周りに、単にひげぜんまい24と称される渦巻ばねを介して、回転可能に取り付けられてフライホイールの機能を果たす外縁23を備えるてん輪を、周知の方法で備える。てんぷは時計の分野では広く用いられているものであり、ここではこれ以上説明しない。同様にして、他の2つのてんぷ型の組立体は、それぞれプラットフォーム1の表面3、4に配置される回転軸32、42周りに配置され、調速機の他の2つの発振システムを形成する。
このため、本実施形態において、発振調速機は、それぞれ異なる向きを有する3つの相補的発振システムによって構成される。提案する実施形態において、3つの向きは互いに垂直である。
変形例として、発振システムは、非垂直の表面を有する、非立方体のピラミッドの3つの表面に設けられてもよい。当該ピラミッドは中央軸を有してもよく、3つの発振システムは当該中心軸周りに均等に配置される、ピラミッドの3つの表面上に位置してもよい。上述の有利な変形例によれば、3つの発振システムは、立方体の連続する3つの表面上に配置される、すなわち、表面2、3、4は、互いに垂直であり、立方体の3つの表面と一致する。他の変形例として、これら表面は、立方体でなくてもよいが、正多面体の特定の表面と一致してもよい。
3次元共振型発振調速機のこのような構成における技術的な問題の1つは、複数の発振システムを用いて、これらを3つの次元に配置する必要があるために、嵩高になってしまうことから発生する。このため、1つの技術的解決策は、調速機全体の高さを最小化することにある。これを達成するため、表面2、3、4は、互いにわずかに傾斜してもよい。すなわち、発振システムの回転軸22、32、42は、好ましくは60°以下の、または50°以下の角度を有する。
本実施形態にかかる調速機は、既知の態様で、発振を維持する目的で、(図示しない)時計ムーブメント内で、例えばアンクルを介して、単一のがんぎ車7へ例えばパルス状動力を伝達可能な、従来の動力分配システムと連携する、一次発振システムと称される、特定の発振システム30を含む。
この一次発振システム30には、図2で詳細に見ることができる、磁性部品35が設けられる。図示の実施形態において、外縁に動的平衡を与えるために、2つの小さな磁性重りが、軸32周りに180°で外縁33に固定される。同様に、二次発振システムと称される、他の2つの発振システムにも、磁性部品25、45が設けられる。本実施形態において、磁性部品は同様に、てん輪の外縁23、43に均等に分配される2つの磁性重りである。このため(一次が1つと二次が2つの)3つの発振システムは、磁気エネルギーの交換に適した磁性部品も含めて、同一の構造を有する。
当該調速機の動作を、ブロック図である図3を参照して説明する。一次発振システム30は、時計ムーブメントの動力装置により、例えば主ぜんまいにより、従来の方法で駆動される。この動力装置は動力源5を形成する。時計ムーブメントは、有利には、単一の動力源を含み、例えば単一の香箱を含む。一次発振システムの発振運動において、その磁性部品35は、反復軌道を移動する。当該軌道において、磁性部品35は、2つの二次発振システム20、40のそれぞれの磁性部品25、45に正接の斥力を発揮する。ここで発揮される磁力は、二次発振システムへ周期的パルスを伝達することであり、これにより二次発振システムが、一次発振システム30が伝達する磁力により、そして間接的に時計ムーブメントの単一の動力源5により、安定して発振する。図3は当該動作をまとめたもので、同様に時計ムーブメント調速機の動作方法を説明する。
− 第1ステップE1において、動力源5が一次発振システム30へパルスを伝達し、
− 第2ステップE2において、一次発振システム30が2つの二次発振システム20、40へ磁力を伝達する。
この結果、単一の動力源が、直接的にまたは間接的に、3つの空間軸に沿って向けられる3つの発振システムを動かすことができる。
二次発振システム20、40は、互いに独立している。特に、その磁性部品25、45は、互いになんら力を加えない(または無視できる程度の力しか加えない)。これを達成するため、一次発振システム30の磁性部品35は永久磁石であり、単純に磁石と称するが、二次発振システム20、40の磁性部品25、45は、一次発振システムの磁石が発揮する磁場に敏感だが、互いにほとんど力を発揮しない、単純な磁化可能要素である。
代替案として、二次発振システムの磁性部品25、45は、以下に説明する共振現象により同位相となるそれぞれの発振時に、一方の磁性部品が他の二次発振器の外縁に最接近する位置にあるときに、当該他の外縁の磁性部品は当該磁性部品から離反する位置に、好ましくは当該位置から90°程度と最も遠い位置になるよう、それぞれの外縁23、43上で90°オフセットするように位置される。
もちろん、実施形態は非限定的な例として説明されており、各発振システムの磁性部品には多数の変形例が存在する。特に、変形例として、外縁ごとに1つの磁性重りのみ有してもよく、また他の変形例として少なくとも3つの磁性重りを有してもよい。好ましくは、当該重りは、発振システム上で均等に分配される。
二次発振システムの各磁性部品は、例えばニッケルの耐腐食層でコーティングされた、例えば軟鉄の円盤など、強磁性タイプの磁化可能素材製でもよい。
各磁性部品は、発振システムの外縁に形成された穴に固着される、磁性円柱の形態を取ってもよい。変形例として、磁性部品は、その他の形態を取ってもよい。
磁性部品は、その位置への打込み、または接着、溶接または受け口へのリベット止めにより、発振システムへ固着されてもよい。磁性部品は、特にその縁に設けられたねじ山により、ねじ締めによって、発振システムに着脱可能に搭載されてもよい。変形例として、磁性部品は、発振システムの対応するねじ山開口部にねじ込むことで固着できるよう、ねじ山区域を備えてもよい。ねじ込みによる固着の場合、ねじの締め具合を加減することにより、発振システムに微調整を加えることができることを注記する。
図示の実施形態において、各円柱形状の磁性部品は、発振システムの回転軸に垂直の方向に延長する。変形例として、磁性部品は、例えば回転軸に平行など、他の向きに固着することもできる。
変形例として、発振システムの全部または一部分は、上述の重りのように、追加の磁石を加える必要がないように、磁化素材で直接形成される。このため、磁性部品は、例えば外縁の一部または全部など、発振システム自体の部品により直接形成されてもよい。
上述の実施形態において、磁性部品は、一次発振システムからの磁力を他の二次発振システムへ伝達するために、互いに斥力を発揮する。(図示しない)変形例として、当該力は、引き合う磁力でもよい。
この実施形態の3つの発振システム20、30、40は同じ性質であり、発振体として同じ幾何学形状を有する。発振システムは、先行技術において共振と呼ばれる現象によって、自ずと位相的にコヒーレントな発振に向かう。一次発振システム30は、上述のような磁力の伝達を介して、2つの二次発振システム20、40と、受け取ったエネルギーの一部を共有し、この構成により、自動的に、共振現象により3つの発振器20、30、40を同位相で発振させる。
この共振とその効率を最適化するために、異なる向きで共振する少なくとも2つの発振システムを用意することを意図的に選択し、それによって発振システムが外部からの悪影響に耐える可能性を高める。とりわけこの構成は、調速機が引力の作用に作用されにくくなること、さらにその向きに左右されにくくなった動作を有することを可能にするものであり、そのことは、腕時計のケース内に実装する場合にとりわけ有利となる。実際、調速機の第1の発振システムの軸が不利な方向に向けられており、とりわけ、例えばそのてん輪が垂直方向(すなわちその回転軸が水平方向)にあるときなどにその自然な発振に対して摩擦および抵抗が高まるとき、少なくとも1つの別の発振システムはその不利な方向にはないことになる。その別の発振システムが第1の発振システムに及ぼす影響は引力による悪影響に対抗する形のものであり、調速機の出力で得られる結果は、第1の発振システムしかない場合と比べてより正確なものとなるとともに、調速機の向きにさほど左右されないことからより安定したものともなる。例えば、ここで選ばれた実施形態では、あるてん輪が垂直位置にあって、一般には重力によってその理想的な動作が乱されるときには、重力による阻害をさほど受けない、さらには全く受けない動作を得ることができるように、少なくとも別の1つのてん輪は垂直でない位置、好ましくは水平に近い位置とされよう。いずれの場合にあっても、重力はてん輪の1つの動作を変化させるが、その他のてん輪の動作を同様に変化させることはなく、そのため、それぞれのてん輪の共振によってもたらされる平均的な結果は重力の影響をほとんど受けずにすむ。そのため、こうして使用される調速機は、共振して動作する異なる向きの少なくとも2つの発振システムを選択することによって、3次元共振の方案を実用化するものである。この3次元共振は、先行技術でこれまでに試みられたどの共振方案と比べても驚くほど高精度の結果を得ることができる。
図示した実施形態では、調速機は3つの発振システムを備えている。上述のように、発振システムについて、他のあらゆる数、ただし少なくとも2つを選ぶことによってその他の実施形態を得ることができる。しかしながら、上述のように、発振システムのうち少なくとも2つは異なる向きを持つべきである。好ましくは、すべての発振システムが異なる向きを持ち、空間内に均等に振り分けられることで、調速機の向きに対する非依存性が最適化されるようにする。たとえば、それぞれの回転軸は何らかの軸の周りに均等配分することができる。補完的に、てん輪、ひげぜんまい、振り子など、発振システムの主要構成品もまたその同じ軸の周りに均等に振り分けることができる。また、3、さらには5というような奇数の、性能と単純さが最もよく折り合える数の発振システムを設けることも有利であろう。発振システムの数にかかわらず、一次システムは単一であり、その他は全て、一次システムから磁力を受けて互いに独立である、二次システムである。
変形例として、1つ以上の一次システム、例えば2以上の一次システムを有することも可能である。
ここで説明する実施形態で選択される発振システムはてんぷ型である。変形例として、振り子式の発振システムなど、それ以外のあらゆる発振システムを使用することができることは言うまでもない。共振動作のための最適な調節を決めることができるように、それぞれの発振システムは調節可能である。
発振システムは、それぞれの軸の1つ以上の端部が取り付けられる、1つ、または変形例として2つのプラットフォームを通して互いに結び付けられる。本実施形態において、全てのてん輪は、ひげぜんまいのそれぞれを独立に調整可能にするインデックスシステムが設けられる、てんぷ受(バランスコック)が与えられる。これらプラットフォームおよび発振システムは、発振システム間で、上述の磁力の伝達に加えて、機械的エネルギーの伝達を可能とし、これら各種システム間の共振を支援する、コンパクトで機械的に強固に結びついた組立体を形成する。調速機組立体は、固有の発振特性、共振周波数と呼ばれる固有の発振周波数を有する。
そのため、一体構造の単一部品の体裁をなし、各発振システムの間隔が詰まった配置を提供するプラットフォームを用いることが有利である。また、プラットフォームは、真鍮、貴金属等、好ましい振動特性を有する材料からなることが有利であろう。変形例として、プラットフォームは、互いに固定された複数の別個の部分からなるものであってもよい。発振システムの一部の端部は、1つのプラットフォームにつなぎ、他の端部は自由端のままであるようにすることもできよう。必ずしも調速機の全ての発振システムが同じプラットフォームにつながれていなければならないわけではない。最後に、この実施形態では、少なくとも1つの特定の、専用のプラットフォームが用意されている。しかしながら、変形例として、プラットフォームの機能は、地板、文字盤、受けなど、時計の部品によって発揮されるようにしてもよい。もちろん、各発振システムは、磁性部品が共振させるのに十分であれば、複数の別個の独立したプラットフォーム上に位置されてもよく、またはいかなる態様であれ互いに近接して搭載されてもよい。その発振において、磁性部品は、二次発振システムの発振動作に必要かつ十分なパルスを互いに発揮するため、近接して通過するような軌跡を移動すれば十分である。
有利には、磁性部品に加えて、時計ムーブメントを形成する他の要素の一部、または全部が、比較的磁場に鈍感な素材で製造される。
ここで取り上げた方案は、特にトゥールビヨン型の複雑なシステムと比較して非常に単純であることは明白である。説明した実施形態では、それぞれの発振システムは、携帯時計の残余の部分に対して、とりわけ発振システムがつながれる携帯時計の1つ以上のプラットフォームに対して、その回転軸の周りの回転のみに関して可動性を有する。このため、各発振システムの回転軸は、時計ムーブメントまたは携帯時計に対して固定されている。
プラットフォーム1の形状は、非限定的な例として説明されたものである。当然のこととして、プラットフォームは、少なくとも2つの発振システムを異なる向きで組み立てることが可能なものであれば、他のあらゆる形状であってよく、必ずしも平面でなく、曲面である複数の表面、さらには単一の曲面からなることができよう。したがって、各発振システムの軸に対して垂直な面は不規則な多面体の一部を形成することができる。すなわち、不規則な多面体の特定の表面が調速機の発振システムの回転軸と垂直であることができる。
上述の調速機は、腕時計において特に力を発揮する。当然のことながら、この調速機は、より広く、あらゆる時計のあらゆる時計ムーブメントにおけるあらゆる実装にも用いることができる。
加えて、発振システム間に機械的結びつきがないことは、調整を楽にし、このため調速機の精度を向上させる。
また、この3次元共振調速機の原理は、調速機の精度の向上を可能にする他のアプローチとの両立性も維持する。そのため、この調速機は、例えばトゥールビヨン型の方案と組み合わせることも可能である。最後に、この3次元共振調速機は、重力が、より一般的には発振システムの様々な欠陥が携帯時計の等時性に及ぼす有害な作用を大幅に減らし、更にはなくすことができる。

Claims (16)

  1. 時計用発振調速機であって、
    前記時計用発振調速機は、少なくとも2つの共振発振システム(20、30)を備え、前記共振発振システムはそれぞれ、発振中に磁力を交換するのに適した少なくとも1つの磁性部品(25、35)を備え、少なくとも2つの発振システム(20、30)の軸(22、32)は向きが異なり、
    少なくとも1つの他の二次発振システム(20;20,40)に磁力を発揮する一次発振システム(30)を備え、各二次発振システム(20;20,40)は2つの二次発振システムが互いになんら磁力を発揮しないように構成される、時計用発振調速機。
  2. 前記一次発振システム(30)は、磁石を備える少なくとも1つの磁性部品(35)を備え、前記少なくとも1つの二次発振システム(20)は磁化可能素材製の磁性部品(25)を備える、
    請求項1に記載の時計用発振調速機。
  3. 3つ、または3を超える奇数の、異なる向きの共振発振システムを備える
    請求項1または2に記載の時計用発振調速機。
  4. 全ての前記発振システムが中心軸の周りに均等配分されている
    請求項1から3のいずれか一項に記載の時計用発振調速機。
  5. 全ての前記発振システムを互いに結び付ける少なくとも1つのプラットフォームを備える、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の時計用発振調速機。
  6. 各発振システム(20、30、40)の回転軸(22、32、42)が同一のプラットフォーム(1)に対して、それぞれの前記発振システムがそのプラットフォームに対して回転運動のみ可能となるよう、取り付けられている
    請求項に記載の時計用発振調速機。
  7. 前記共振発振システムが全て同型のものである
    請求項1から6のいずれか一項に記載の時計用発振調速機。
  8. 前記発振システム(20、30)はてんぷ型であり、
    磁性部品(25,35)は、
    前記てんぷ型のてんぷの外縁(23、33)に固着される、重り、及びまたは
    前記てんぷの磁化または磁化可能部品、である
    請求項1から7のいずれか一項に記載の時計用発振調速機。
  9. 前記発振システムのそれぞれの回転軸(22、32、42)は、中心軸に対して60°以下の角度に向けられる、または前記発振システムのそれぞれの回転軸は、立方体の連続する面に設けられる、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の時計用発振調速機。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の発振調速機を備える、時計ムーブメント
  11. 動力源(5)と、前記動力源(5)から単一の一次発振システム(30)へ動力を伝達する輪列とを備え、前記一次発振システムの前記磁性部品(35)は、前記発振調速機の二次発振システム(20、40)のそれぞれに磁力を発揮する、
    請求項10に記載の時計ムーブメント。
  12. 前記発振調速機の前記二次発振システム(20、40)は、互いになんら磁力を発揮しない、
    請求項11に記載の時計ムーブメント。
  13. 請求項1から9のいずれか一項に記載の発振調速機、または請求項10から12のいずれか一項に記載の時計ムーブメントを備える、時計
  14. 文字盤を備え、及び前記発振調速機の前記発振システムが前記文字盤とほぼ直角をなす中心軸の周りに均等配分される、
    請求項13に記載の時計
  15. 1つ以上の輪列により、前記発振調速機の単一の一次発振システム(30)に結び付けられる、単一の動力源(5)を備える
    請求項13または14に記載の時計。
  16. 請求項1から9のいずれか一項に記載の発振調速機を用いた時間測定方法であって、
    動力源(5)から前記発振調速機の一次発振システム(30)へ動力を伝達するステップ(E1)と、
    前記一次発振システム(30)から少なくとも1つの二次発振システム(20;40)へ磁力を伝達するステップと、
    を備える、時間測定方法
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