JP2017502118A - ゴム設計による低温での優れた衝撃強度 - Google Patents

ゴム設計による低温での優れた衝撃強度 Download PDF

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Abstract

多峰性ゴム設計を有するヘテロ相ポリプロピレンと、核形成剤とを含むポリプロピレン組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム相に多峰性コモノマー分布を有するヘテロ相プロピレンコポリマーを含む新たなポリプロピレン組成物、その製造、およびその射出成形物品への使用に関する。
プロピレンコポリマーは、多くの適用に使用され得る。たとえば、プロピレンコポリマーは、室温だけでなく低温における衝撃抵抗も重要な役割を果たすような子供用品(カーシート、ベビーカー、歩行器)、玩具および高耐久性のバケツの領域で用いられる。加えて、こうしたプロピレンコポリマーの加工性および剛性が重要な問題点となる。残念ながら、これらの望ましい特性は矛盾する態様で挙動する。すなわち、一方の特性の改善と引き換えに他方の特性が低下する。
よって本発明の目的は、高度に有利な機械的特性に加えて、射出成形物品を生成するために高度に望ましい処理特性を有する、射出成形のためのポリマー材料を提供することである。
本発明の所見は、比較的高いメルトフローレートを有するプロピレン組成物によってこの目的を解決できるということであり、ここで前記プロピレンコポリマーはゴム相に多峰性コモノマー分布を有する。
したがって、本発明は、
(a)ヘテロ相プロピレンコポリマー(heterophasic propylene copolymer:HECO)であって、
−ポリプロピレン(polypropylene:PP)であるマトリックス(matrix:M)と、
−前記マトリックス(M)中に分散されたエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(elastomeric ethylene−propylene copolymer:EC)とを含み、
前記エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、
・第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および、
・第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)を含み、
ここでエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の低温キシレン可溶性成分フラクション(xylene cold soluble fraction:XCS)であり、
ここでさらに、
(a1)前記ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、3.0g/10minから9.0g/10minの範囲の、ISO1133に従って測定されるメルトフローレート(melt flow rate)MFR(230℃)を有し、
(a2)エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、2.80dl/gから4.80dl/gの範囲の、ISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される固有粘度(intrinsic viscosity:IV)、および38.0mol.−%から58.0mol.−%の範囲のコモノマー含有量を有し、
ここでなおさらに、
(a3)ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は不等式(I)を満たし、
Figure 2017502118
ここで、
C(EC1)は、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量[mol.−%]であり、
C(EC)は、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)のエチレン含有量[mol.−%]である、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)と、
(b)核形成剤、好ましくはポリマー核形成剤と、
(c)任意には無機充填剤と、
(d)任意には無機充填剤および核形成剤とは異なるさらなる添加剤と
を含み、好ましくはそれらからなるポリプロピレン組成物を提供する。
したがって、本発明のヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、(エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)の)分散相のコモノマー分布に関して多峰性、好ましくは二峰性である。第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の各々のコモノマー含有量が測定されてもよいし、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)と、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の混合物とが測定されて、第2のエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)が算出されてもよい。コモノマー含有量の算出は、以下の「実施例」に与えられている。
本発明において、「エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)」、「ヘテロ相プロピレンコポリマーの低温キシレン可溶性成分(XCS)フラクション」、「分散相」および「エチレン−プロピレンゴム」という用語は同じものを示し、すなわち交換可能である。
好ましくは、ポリプロピレン組成物は少なくとも70wt.%のヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)、より好ましくは少なくとも85wt.%のヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)、さらにより好ましくは少なくとも90wt.%のヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)、最も好ましくは少なくとも95wt.%のヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)を含む。
ポリプロピレン組成物は、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)に加えて他のポリマー成分を含み得る。特に好ましい実施形態において、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)はポリプロピレン組成物中に存在する唯一のポリマー成分である。本明細書においては、核形成剤、任意の無機充填剤およびその他の任意の添加剤が、担体ポリマーを含有するマスターバッチの形でポリプロピレン組成物に加えられてもよいことが理解される。しかし、この核形成剤、任意の無機充填剤、または任意のさらなる添加剤の任意のマスターバッチの任意の担体ポリマーは、ポリプロピレン組成物中に存在する前記核形成剤、前記任意の無機充填剤、または前記任意のさらなる添加剤の(上記または下記に定義される)総量に対して算出される。
ポリプロピレン組成物は、好ましくは
− 162℃から170℃、より好ましくは164℃から168℃の、ISO11357/パート3/方法C2に従う示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry:DSC)に従って定められた融解温度(melting temperature)Tm、
および/または、好ましくはおよび、
− 128℃から135℃、より好ましくは129℃から133℃の、ISO11357/パート3/方法C2に従う示差走査熱量測定(DSC)に従って定められた結晶化温度(crystallisation temperature)Tcを有する。
本発明に従うポリプロピレン組成物のヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、核形成剤(b)(本明細書において以下「核形成剤」とも呼ばれる)によって核形成される。
好ましくは、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の核形成は、ポリマー核形成剤の使用によって達成される。よって好ましくは、核形成剤はポリマー核形成剤である。さらにより好ましくは、ポリマー核形成剤はアルファ核形成剤、より好ましくはポリマーアルファ核形成剤、たとえばビニルシクロアルカンポリマーおよび/またはビニルアルカンポリマーなどである。
前記ポリマー核形成剤は、混合によって、またはヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の重合の際に組成物に導入されてもよく、好ましくは、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の一部またはすべてを調製するために使用される触媒を予備重合することによって、ポリマー核形成剤が組成物に導入される。
好ましくは、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、
−ポリプロピレン(PP)であるマトリックス(M)と、
−前記マトリックス(M)中に分散されたエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)と、
−下記により詳細に定義される核形成剤(b)、好ましくはポリマー核形成剤とからなる。
好ましくは、重合プロセスの際に、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の最終メルトフローレートが調整される。したがって、リアクタで作られたヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、上記または下記または請求項にて定義されるメルトフローレートを有する。本明細書において、「リアクタで作られたヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)」とは、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)のメルトフローレートが後処理によって意図的に修正されていないことを示す。したがって、好ましい実施形態において、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)はビスブレーキングされておらず、特に過酸化物を用いてビスブレーキングされていない。したがって、過酸化物を使用することによって本発明に従うポリプロピレン組成物に含まれるヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の鎖長を短くすることによって、メルトフローレートを増していない。よって、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は(すなわちポリプロピレン組成物も)任意の過酸化物および/またはその分解産物を含有しないことが好ましい。
驚くべきことに、分散相のコモノマー分布および核形成剤の存在に関するメルトフローレート、二峰性などの多峰性の組み合わせは、ポリプロピレン組成物の剛性を犠牲にすることなく(シャルピーノッチ付き衝撃強度によって表される)驚くほど高い衝撃特性をポリプロピレン組成物に提供することが見出された。さらに、この特性の組み合わせは、ポリプロピレン組成物を射出成形物品に処理するためにポリプロピレン組成物を高度に望ましいものとする有利な処理特性、すなわち優れた流動性および驚くほど高い結晶化温度を提供し、これらの特性は射出成形プロセスにおける射出成形物品のサイクル時間を顕著に改善する。
好ましくは、ポリプロピレン組成物および/またはヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)、好ましくはその両方が、3.5g/10minから8.0g/10minの範囲、より好ましくは4.0g/10minから8.0g/10minの範囲の、ISO1133に従って測定されるメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
本発明に従うヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、プロピレンの他にコモノマーも含む。好ましくは、プロピレンコポリマーはプロピレンの他にエチレンおよび/またはCからC12アルファオレフィンを含む。したがって、本発明に従う「プロピレンコポリマー」という用語は、
(a)プロピレン
ならびに
(b)エチレンおよび/またはCからC12アルファオレフィン、好ましくはエチレン
に由来し得る単位を含み、好ましくはそれらからなるポリプロピレンとして理解される。
よって本発明に従うヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、プロピレンと共重合し得るモノマー、たとえばエチレンおよび/またはCからC12アルファオレフィンなど、特にエチレンおよび/またはCからCアルファオレフィン、たとえば1−ブテンおよび/または1−ヘキセンなどのコモノマーなどを含む。好ましくは、本発明に従うヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、エチレン、1−ブテンおよび1−ヘキセンからなる群からの、プロピレンと共重合し得るモノマーを含み、特にそれらからなる。より特定的には、本発明のプロピレンコポリマーはプロピレンの他に、エチレンおよび/または1−ブテンに由来し得る単位を含む。1つの特定の実施形態において、本発明に従うヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)はプロピレンの他に、エチレンに由来し得る単位のみを含む。
定義により、本発明に従うヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の低温キシレン可溶性成分(XCS)フラクションは、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)であるとみなされる。したがって、本出願においてエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)のエチレン含有量および/または固有粘度に対する言及があるところは常に、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の低温キシレン可溶性成分(XCS)フラクションのそれぞれエチレン含有量および固有粘度を意味している。
上記ですでに概説したとおり、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)に含まれる第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)はエチレンコモノマーを含み、好ましくは第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)においてエチレンが唯一のコモノマーであり、より好ましくはエチレンがエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)における唯一のコモノマーである。
エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)からなり、ここでさらに第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)はプロピレンおよびエチレンのみからなることが特に好ましい。
ポリプロピレン(PP)であるマトリックス(M)は、好ましくはプロピレンと、任意にはたとえばエチレンおよび/またはCからC12アルファオレフィンなどのモノマー単位、より好ましくはエチレンモノマー単位とからなり、さらにより好ましくは、ポリプロピレン(PP)であるマトリックス(M)はプロピレンホモポリマーである。本明細書において、マトリックス(M)はポリプロピレン(PP)と呼ばれる。よって好ましい実施形態の1つにおいて、マトリックス(M)はプロピレンホモポリマー(propylene homopolymer:H−PP)である。
プロピレンホモポリマー(H−PP)などのポリプロピレン(PP)は、異なるリアクタ内で生成されてもよく、よってポリプロピレン(PP)は少なくとも2つのフラクションを含んでもよく、より好ましくは2つのフラクションからなっていてもよく、それはたとえば第1のポリプロピレンフラクション(PP1)(好ましくは、前記第1のポリプロピレンフラクション(PP1)は第1のプロピレンホモポリマーフラクション(H−PP1)である)、および第2のポリプロピレンフラクション(PP2)(好ましくは、前記第2のポリプロピレンフラクション(PP2)は第2のプロピレンホモポリマーフラクション(H−PP2)である)などである。好ましい実施形態の1つにおいて、前記2つのフラクションは、同じコモノマー含有量および同じメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
加えて、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は好ましくは非常に特定的な範囲のコモノマー含有量を有することが認識される。よって、プロピレンコポリマーのコモノマー含有量、好ましくはエチレン含有量は、15.0mol.−%から25.0mol.−%の範囲、好ましくは16.0mol.−%から23.0mol.−%の範囲、最も好ましくは17.0mol.−%から22.0mol.−%の範囲であることが必要とされる。
上述のとおり、本発明に従うヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、異なる量のエチレンを含有するエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および(EC2)の存在によって、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)のエチレン含有量に関して多峰性、好ましくは二峰性である。さらにより好ましくは、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)はエチレン含有量に鑑みて二峰性である。よって好ましくは、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)はエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および(EC2)からなる。好ましい実施形態の1つにおいて、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、ポリプロピレン組成物中に存在する唯一の低温キシレン可溶性成分フラクション(XCS)である。よってこの好ましい実施形態において、ポリプロピレン組成物およびヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)のキシレン可溶性成分フラクションは同じである。
したがって、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)の総エチレン含有量は、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量とは異なることが好ましい。さらにより好ましくは、エチレン−プロピレンコポリマー(EC)の総エチレン含有量[mol.−%]は、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量[mol.−%]よりも高い。したがって、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は不等式(I)を満たし、
Figure 2017502118
ここで
C(EC1)は、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量[mol.−%]であり、
C(EC)は、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)のエチレン含有量[mol.−%]である。
第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量は、製造中に容易に決定できる。機械的混合の場合には、単純に組成物中の第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC1)を形成するポリマーの特性を定める。リアクタ混合の場合、すなわち(マトリックスを含み得る)個々のフラクションが連続するリアクタ内で調製される場合には、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)を生成した後に得られるポリマーの特性を定める。これは、後の段階に供給する前に分析を行うためにポリマーの一部を分離することによって、容易に達成できる。定義により、リアクタ混合の場合には、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)は、マトリックスおよびヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の第1のエラストマーフラクションを生成した後の低温キシレン可溶性成分フラクション(XCS)である。したがって、マトリックスと第1のエラストマーフラクションとの混合物の低温キシレン可溶性成分フラクション(XCS)が、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)とみなされる。したがって、マトリックス(M)とヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の第1のエラストマーフラクションとの混合物の低温キシレン可溶性成分(XCS)フラクションの、たとえばエチレン含有量および固有粘度などの特性は、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)の特性とみなされる。
上記は第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC2)に等しく当てはまる。したがって、機械的混合の場合には、単純に組成物中の第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC2)を形成するポリマーの特性を定める。リアクタ混合の場合には、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)を生成する前および後に得られるポリマーの特性を定め、エチレン含有量または固有粘度などの特性を算出する。より正確にするには、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)を生成する前および後に得られるポリマー混合物の低温キシレン可溶性成分(XCS)フラクションの、たとえばエチレン含有量および固有粘度などの特性を定めた後に、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)のエチレン含有量および固有粘度などの特性を算出する。
コモノマー含有量の算出および固有粘度の算出は、以下の「実施例」に与えられている。
好ましくは、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)は30.0mol.−%から50.0mol.−%の範囲、より好ましくは35.0mol.−%から48.0mol.−%の範囲、最も好ましくは37.0mol.−%から45.0mol.−%の範囲のコモノマー含有量を有する。
第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)は、好ましくは42.0mol.−%から60.0mol.−%の範囲、より好ましくは47.0mol.−%から60.0mol.−%の範囲、最も好ましくは50.0mol.−%から58.0mol.−%の範囲のコモノマー含有量を有する。
エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、好ましくは38.0mol.−%から58.0mol.−%の範囲の範囲、より好ましくは42.0mol.−%から50.0mol.−%の範囲、最も好ましくは45.0mol.−%から50.0mol.−%の範囲のコモノマー含有量を有する。
上記ですでに概説したとおり、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)の総エチレン含有量は、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量とは異なることが好ましい。よって通常好ましくは、特にエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)がエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および(EC2)からなる場合には、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量は第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)のエチレン含有量とは異なる。
好ましくは次の不等式Ia、より好ましくは不等式Ib、さらにより好ましくは不等式(Ic)が満たされ、
Figure 2017502118
ここで
C(EC1)は、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量[mol.−%]であり、
C(EC)は、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)のエチレン含有量[mol.−%]である。
別の好ましい実施形態において、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の総エチレン含有量[mol.−%]は、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量[mol.−%]よりも高い。よって、好ましくはプロピレンコポリマーは不等式(II)を、より好ましくは不等式(IIa)を、さらにより好ましくは不等式(IIb)を、なおより好ましくは不等式(IIc)を満たし、
(II)
(IIa)
(IIb)
(IIc)
ここで
C(EC1)は、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量[mol.−%]であり、
C(EC2)は、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)のエチレン含有量[mol.−%]である。
特に好ましい実施形態において、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、ポリプロピレン組成物中に存在する唯一の低温キシレン可溶性成分フラクション(XCS)であり、かつエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および(EC2)からなることにより、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)は好ましくは37.5mol.−%から42.5mol.−%の範囲のコモノマー含有量を有し、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)は50.0mol.−%から58.0mol.−%の範囲のコモノマー含有量を有する。
好ましくは、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は不等式(III)を満たし、
Figure 2017502118
ここで
IV(EC1)は、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される固有粘度(IV)[dl/g]であり、
IV(EC)は、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)のISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される固有粘度(IV)[dl/g]である。
エチレン含有量に関して上記ですでに概説したとおり、個々のフラクションの固有粘度も製造中に容易に決定できる。エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC1)および第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC2)を定義するときに提供された情報が参照される。
好ましくは、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)は3.00dl/gから5.00dl/g、より好ましくは3.00dl/gから4.70dl/g、さらにより好ましくは3.00dl/gから4.50dl/g、なおより好ましくは3.80dl/gから4.40dl/gの、ISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される固有粘度(IV)を有する。
第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)は、好ましくは2.80dl/gから4.80dl/g、より好ましくは3.40dl/gから4.40dl/g、最も好ましくは3.60dl/gから4.20dl/gの、ISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される固有粘度(IV)を有する。
エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、好ましくは2.70dl/gから4.70dl/g、より好ましくは3.00dl/gから4.70dl/g、最も好ましくは3.60dl/gから4.20dl/gの、ISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される固有粘度(IV)を有する。
好ましくは、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)において、
(a)ポリプロピレン(PP)対エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)の重量比[(PP)/(EC)]は85/15から60/40の範囲、より好ましくは80/20から70/30の範囲であり、
かつ/または、好ましくはかつ、
(b)第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)対第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の重量比[(EC1)/(EC2)]は70/30から30/70の範囲、より好ましくは70/30から50/50の範囲である。
好ましくは、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)におけるポリプロピレン(PP)は、
(a)プロピレンホモポリマー(H−PP)であり、
かつ/または、好ましくはかつ、
(b)15.0g/10minから35.0g/10minの範囲、より好ましくは18.0g/10minから35.0g/10minの範囲、さらにより好ましくは18.0g/10minから33.0g/10minの範囲の、ISO1133に従って測定されるメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
本発明において用いられるプロピレンホモポリマーという表現は、実質的に、すなわち99.7wt.−%より多く、さらにより好ましくは少なくとも99.8wt.−%のプロピレン単位からなるポリプロピレンに関する。好ましい実施形態においては、プロピレンホモポリマー中のプロピレン単位のみが検出可能である。下記の実施例において説明されるとおり、13C NMR分光法によってコモノマー含有量を決定できる。
ポリプロピレン組成物は、好ましくは以下を含む。
(a)ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて少なくとも70wt.−%のヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)、
(b)少なくとも1ppmの核形成剤、好ましくは少なくとも1ppmのポリマー核形成剤、
(c)ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて0.5wt.−%から2.0wt.−%の無機充填剤、および
(d)ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて0.02wt.−%から5.0wt.−%の、無機充填剤および核形成剤とは異なるさらなる添加剤。
無機充填剤は、ポリプロピレン組成物に基づいて好ましくは0.7wt.−%から1.5wt.−%の量、より好ましくは0.8wt.−%から1.3wt.−%の量、最も好ましくは0.9wt.−%から1.2wt.−%の量で存在する。
無機充填剤は、好ましくはマイカ、ケイ灰石、カオリナイト、スメクタイト、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、タルク、フィロケイ酸塩、またはそれらの混合物から選択される。最も好ましい無機充填剤はタルクである。
本発明の目的に対し、上述の化合物、すなわち無機充填剤および無機充填剤とは異なる添加剤は、核形成剤とは考えられない。
ポリプロピレン組成物は、好ましくは以下を有する。
(a)40kJ/mから70kJ/m、より好ましくは43kJ/mから65kJ/m、さらにより好ましくは45kJ/mから65kJ/m、より好ましくは50kJ/mから65kJ/m、最も好ましくは52kJ/mから62kJ/mの範囲の、+23℃にてISO179 1eAに従って測定されるシャルピーノッチ付き衝撃強度(notched impact strength:NIS)、
および/または、好ましくはおよび、
(b)少なくとも6.0kJ/m、より好ましくは7.0kJ/mから15kJ/m、さらにより好ましくは7.0kJ/mから15kJ/m、最も好ましくは8.0kJ/mから15kJ/mの、−20℃にてISO179 1eAに従って測定されるシャルピーノッチ付き衝撃強度(NIS)、
および/または、好ましくはおよび、
(c)少なくとも950MPaの、23℃にてISO527−1(クロスヘッドスピード1mm/min)に従って測定される引張り係数。通常、引張り係数は2,000MPaよりも高くならない。好ましくは、23℃にてISO527−1(クロスヘッドスピード1mm/min)に従って測定される引張り係数は970MPaから1,300MPaの範囲内、より好ましくは990MPaから1,250MPaの範囲内である。
好ましくはポリマー核形成剤、より好ましくはアルファ核形成剤である核形成剤、および任意の無機充填剤に加えて、本発明において定義されるポリプロピレン組成物は最大5.0wt.−%の(無機充填剤および核形成剤とは異なる)添加剤、たとえば抗酸化剤、酸スカベンジャー、UV安定剤、ならびに加工助剤、たとえばスリップ剤およびブロッキング防止剤などを含有してもよく、好ましくは含有する。好ましくは、(核形成剤および無機充填剤を除く)添加剤含有量は、ポリプロピレン組成物に基づいて3.0wt.−%未満、たとえば1.0wt.−%未満などである。もし存在すれば、添加剤はポリプロピレン組成物に基づいて少なくとも0.02wt.%の量で存在する。
ポリプロピレン組成物は、好ましくはポリマー核形成剤、より好ましくはアルファ核形成剤を含む。さらにより好ましくは、本ポリプロピレン組成物はベータ核形成剤を含まない。アルファ核形成剤は、好ましくは以下からなる群より選択される。
(i)モノカルボン酸およびポリカルボン酸の塩、たとえば安息香酸ナトリウムまたはアルミニウムtert−ブチルベンゾエートなど、ならびに
(ii)ジベンジリデンソルビトール(例、1,3:2,4ジベンジリデンソルビトール)およびC−C−アルキル置換ジベンジリデンソルビトール誘導体、たとえばメチルジベンジリデンソルビトール、エチルジベンジリデンソルビトール、またはジメチルジベンジリデンソルビトール(例、1,3:2,4ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール)など、または置換されたノニトール誘導体、たとえば1,2,3,−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールなど、ならびに
(iii)リン酸のジエステルの塩、たとえばナトリウム2,2’−メチレンビス(4,6,−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、またはアルミニウム−ヒドロキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート]など、ならびに
(iv)ビニルシクロアルカンポリマーおよびビニルアルカンポリマー(下記により詳細に考察する)、ならびに
(v)それらの混合物。
こうした添加剤は、一般的に商業的に入手可能であり、たとえばハンス・ツバイフェル(Hans Zweifel)の「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastic Additives Handbook)」、第5版、2001などに記載されている。
前述のとおり、核形成剤は好ましくはポリマー核形成剤、より好ましくはアルファ核形成剤、たとえばポリマーアルファ核形成剤などである。
ポリプロピレン組成物の(アルファ)核形成剤含有量は、好ましくは最大5.0wt.−%である。好ましい実施形態において、ポリプロピレン組成物は3000ppm以下、より好ましくは1ppmから2000ppmの(アルファ)核形成剤、特にジベンジリデンソルビトール(例、1,3:2,4ジベンジリデンソルビトール)、ジベンジリデンソルビトール誘導体、好ましくはジメチルジベンジリデンソルビトール(例、1,3:2,4ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール)、または置換されたノニトール誘導体、たとえば1,2,3,−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールなど、ビニルシクロアルカンポリマー、ビニルアルカンポリマー、およびそれらの混合物からなる群より選択される(アルファ)核形成剤を含有する。
好ましい実施形態において、ポリプロピレン組成物は、好ましいアルファ核形成剤として、ビニルシクロヘキサン(vinylcyclohexane:VCH)などのビニルシクロアルカンポリマーおよび/またはビニルアルカンポリマーを含有する。この実施形態において、好ましくはポリプロピレン組成物は、ビニルシクロヘキサン(VCH)などのビニルシクロアルカンポリマーおよび/またはビニルアルカンポリマー、好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)を含有する。
核形成剤はマスターバッチとして導入され得る。いくつかのアルファ核形成剤、すなわち本発明において定義されるものは、さらに下記に説明されるBNT技術によって導入され得る。
(アルファ)核形成剤は、たとえばヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の重合プロセスなどの際にポリプロピレン組成物に導入されてもよいし、たとえば担体ポリマーなどとともにマスターバッチ(masterbatch:MB)の形でポリプロピレン組成物に取り込まれてもよい。
核形成剤がマスターバッチ(MB)の形でポリプロピレン組成物に取り込まれる場合、上記または下記に定義されるとおり、前記核形成剤は好ましくはポリマー核形成剤であり、それはより好ましくはアルファ核形成剤、最も好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)などのビニルシクロアルカンポリマーおよび/またはビニルアルカンポリマー、好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)であり、かつ好ましくはマスターバッチの重量(100wt.%)に基づいて500ppm以下、より好ましくは1ppmから200ppm、さらにより好ましくは5ppmから100ppmの量で存在する。この実施形態において、より好ましくは、前記マスターバッチはポリプロピレン組成物の総量に基づいて10.0wt.%以下、より好ましくは5.0wt.%以下、最も好ましくは3.5wt.%以下の量で存在し、マスターバッチの好ましい量は1.5wt.%から3.5wt.%である。最も好ましくは、マスターバッチ(MB)は、下記に説明されるBNT技術に従って核形成されたプロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、好ましくはホモポリマーを含み、好ましくはそれからなる。
核形成剤は、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の重合プロセスの際にポリプロピレン組成物に導入されることが好ましい。核形成剤は好ましくは、最初に固体触媒成分、好ましくは固体チーグラー・ナッタ触媒成分、共触媒、および任意の外部供与体を含む触媒系の存在下で、上記または下記に定義されるとおりに、上に定義されるビニル化合物、好ましくはビニルシクロアルカンを重合し、得られたビニル化合物のポリマー、好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーと触媒系との反応混合物を、次いでヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の生成のために用いることによって、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)に導入される。上記の、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の重合の際の前記ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)へのポリマー核形成剤の取り込みを、本明細書においては下記に説明するとおりBNT技術と呼ぶ。
前記得られた反応混合物は、以下の本明細書において修正触媒系と交換可能に呼ばれる。
好ましくは、ビニルシクロアルカンは、BNT技術によってプロピレンコポリマーに導入されるビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーである。
この好ましい実施形態においてより好ましくは、ポリプロピレン組成物中のビニルシクロヘキサン(VCH)などのビニルシクロアルカンポリマーおよび/またはビニルアルカンポリマー、より好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーの量は、500ppm以下、より好ましくは1ppmから200ppm、最も好ましくは5ppmから100ppmである。
BNT技術に関しては、国際出願である国際公開第99/24478号、国際公開第99/24479号、および特に国際公開第00/68315号を参照する。この技術に従うと、特に特殊なチーグラー・ナッタプロ触媒、外部供与体、および共触媒を含む触媒系の存在下でビニル化合物を重合することによって、触媒系、好ましくはチーグラー・ナッタプロ触媒を修正でき、このビニル化合物は次の式を有し、
CH=CH−CHR
ここでRおよびRは、ともに5員もしくは6員の飽和、不飽和もしくは芳香環を形成するか、または独立に1から4炭素原子を含むアルキル基を表し、この修正された触媒は、本発明に従うプロピレンコポリマーの調製のために用いられる。重合したビニル化合物はアルファ核形成剤の働きをする。触媒の修正ステップにおけるビニル化合物対固体触媒成分の重量比は、好ましくは最大5(5:1)、好ましくは最大3(3:1)、最も好ましくは0.5(1:2)から2(2:1)である。最も好ましいビニル化合物は、ビニルシクロヘキサン(VCH)である。
ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の重合プロセスの際に核形成剤がポリプロピレン組成物に導入される場合、核形成剤(b)はヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の一部である。
本発明に従う組成物に含まれるヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、好ましくはチーグラー・ナッタ触媒の存在下で、より好ましくは下記に定義される触媒(系)の存在下で、逐次重合プロセスにおいて生成される。
好ましくは、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)はリアクタで作られ、好ましくは逐次重合プロセスにおいて生成され、そのプロセスにおいては少なくとも1つのリアクタ内、好ましくは2つのリアクタ内でポリプロピレン(PP)が生成され、その後少なくとも2つのさらなるリアクタ内、好ましくは2つのさらなるリアクタ内でエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)が生成され、ここでは2つのさらなるリアクタの一方で第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)が生成され、2つのさらなるリアクタの他方の1つで第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)が生成されている。最初に第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)が生成され、その後第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)が生成されることが特に好ましい。
「重合リアクタ」という用語は、主要な重合が起こることを示す。よってプロセスが2つの重合リアクタからなる場合、この定義は、全体のプロセスがたとえば予備重合リアクタにおける予備重合ステップなどを含むという選択肢を除外するものではない。「からなる(consist of)」という用語は単に主要な重合リアクタに鑑みた閉論理式であり、すなわち予備重合リアクタを除外していない。
好ましくは、前記プロセスは以下のステップを含む。
(a1)第1のリアクタ(R1)において、プロピレンならびに任意にはエチレンおよび/または少なくとも1つのCからC12アルファオレフィンを重合して第1のポリプロピレンフラクション(PP1)を得るステップであって、好ましくは前記第1のポリプロピレンフラクション(PP1)は第1のプロピレンホモポリマーフラクション(H−PP1)である、ステップ、
(b1)第1のポリプロピレンフラクション(PP1)を第2のリアクタ(R2)に移すステップ、
(c1)第2のリアクタ(R2)において前記第1のポリプロピレンフラクション(PP1)の存在下で、プロピレンならびに任意にはエチレンおよび/またはC4からC12アルファオレフィンを重合することによって、第2のポリプロピレンフラクション(PP2)を得るステップであって、好ましくは前記第2のポリプロピレンフラクション(PP2)は第2のプロピレンホモポリマーフラクション(H−PP2)であり、第1のポリプロピレンフラクション(PP1)が第2のポリプロピレンフラクション(PP2)とともにポリプロピレン(PP)を形成する、ステップ、
(d1)ステップ(c1)のポリプロピレン(PP)を第3のリアクタ(R3)に移すステップ、
(e1)第3のリアクタ(R3)において、ステップ(c1)で得られたポリプロピレン(PP)の存在下で、プロピレンおよびエチレンおよび任意にはCからC12アルファオレフィンを重合することによって、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)を得るステップであって、前記ポリプロピレン(PP)および前記第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)は混合物(M1)を形成する、ステップ、
(f1)前記混合物(M1)を第4のリアクタ(R4)に移すステップ、ならびに
(g1)第4のリアクタ(R4)において混合物(M1)の存在下で、プロピレンおよびエチレンおよび任意にはCからC12アルファオレフィンを重合することによって、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)を得るステップであって、混合物(M1)および第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)はヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)を形成する、ステップ。
定義により、前記混合物(M1)の低温キシレン可溶性成分(XCS)は第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)であるとみなされる。
好ましくは、ステップ(e1)および(g1)において、プロピレンおよびエチレンのみが重合される。よって、好ましくはステップ(e1)および(g1)にはCからC12アルファオレフィンが存在しない。
ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)、ポリプロピレン(PP)、第1のポリプロピレン(PP1)、第2のポリプロピレン(PP2)、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)、および第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の好ましい実施形態に対して、上に与えられた定義が参照される。
第1のリアクタ(R1)は好ましくはスラリーリアクタ(slurry reactor:SR)であり、任意の連続リアクタまたは単純な撹拌バッチタンクリアクタであっても、バルクまたはスラリーで動作するループリアクタであってもよい。バルクとは、少なくとも60%(w/w)のモノマーを含む反応媒体における重合を意味する。本発明に従うと、スラリーリアクタ(SR)は好ましくは(バルク)ループリアクタ(loop reactor:LR)である。
第2のリアクタ(R2)、第3のリアクタ(R3)および第4のリアクタ(R4)は、好ましくは気相リアクタ(gas phase reactors:GPR)である。こうした気相リアクタ(GPR)は、任意の機械的混合リアクタまたは流動床リアクタであってもよい。好ましくは、気相リアクタ(GPR)は少なくとも0.2m/secの気体速度を伴う機械的に撹拌される流動床リアクタを含む。よって、気相リアクタは、好ましくは機械的スターラーを有する流動床型リアクタであることが認識される。
よって好ましい実施形態において、第1のリアクタ(R1)はループリアクタ(LR)などのスラリーリアクタ(SR)であるのに対し、第2のリアクタ(R2)、第3のリアクタ(R3)および第4のリアクタ(R4)は気相リアクタ(GPR)である。したがって今のプロセスに対して、少なくとも4つ、好ましくは4つの重合リアクタ、すなわち直列接続されたループリアクタ(LR)などのスラリーリアクタ(SR)、第1の気相リアクタ(GPR−1)、第2の気相リアクタ(GPR−2)、および第3の気相リアクタ(GPR−3)が使用される。必要であれば、スラリーリアクタ(SR)の前に予備重合リアクタが置かれる。
好ましい多段階プロセスは「ループ−気相」プロセスであり、これはたとえば欧州特許第0 887 379号、国際公開第92/12182号、国際公開第2004/000899号、国際公開第2004/111095号、国際公開第99/24478号、国際公開第99/24479号、または国際公開第00/68315号などの特許文献などに記載されている、ボレアリス(Borealis)A/S、デンマークによって開発されたもの(BORSTAR(登録商標)技術として公知である)などである。
さらなる好適なスラリー−気相プロセスは、たとえばガリ(Galli)およびベセロ(Vecello)による論文、プログレス・イン・ポリマー・サイエンス(Prog.Polym.Sci.)26(2001)1287−1336の図20などに記載されている、バゼル(Basell)のSpheripol(登録商標)プロセスである。
好ましくは、上記で定義したプロピレンコポリマー(マトリックス(M))を生成するための今のプロセスにおいて、ステップ(a1)の第1のリアクタ(R1)、すなわちループリアクタ(LR)などのスラリーリアクタ(SR)に対する条件は以下のとおりであってもよい。
−温度は40℃から110℃の範囲内、好ましくは60℃から100℃、たとえば68℃から95℃などであること、
−圧力は20バールから80バールの範囲内、好ましくは40バールから70バールであること、
−それ自体公知である態様でモル質量を制御するために、水素を添加し得ること。
その後、好ましくは第1のプロピレンコポリマーフラクション(PP1)を含有する、ステップ(a1)からの反応混合物を、第2のリアクタ(R2)すなわち第1の気相リアクタ(GPR−1)に移し、それによる条件は好ましくは以下のとおりである。
−温度は50℃から130℃の範囲内、好ましくは60℃から100℃であること、
−圧力は5バールから50バールの範囲内、好ましくは15バールから35バールであること、
−それ自体公知である態様でモル質量を制御するために、水素を添加し得ること。
所望であれば、重合は、第1のリアクタ(R1)、すなわちループリアクタ(LR)などのスラリーリアクタ(SR)における超臨界条件下で、および/または気相リアクタ(GPR−1)における縮合モードとして、公知の態様でもたらされてもよい。
ステップ(e1)および(g1)の気相リアクタ(GPR−2)および(GPR−3)も、好ましくは上記の条件にて動作され、好ましくは例外として、気相リアクタ(GPR−2)および(GPR−3)においては、
−圧力は5バールから50バールの範囲内、好ましくは10バールから30バールである。
上記の異なるリアクタにおける滞留時間は変動し得る。
プロピレンコポリマーを生成するためのプロセスの一実施形態において、第1のリアクタ(R1)、すなわちループリアクタ(LR)などのスラリーリアクタ(SR)における滞留時間は0.2時間から4時間の範囲、たとえば0.3時間から1.5時間などであり、気相リアクタ(GPR1からGPR3)における滞留時間は一般的に0.2時間から6.0時間、たとえば0.5時間から4.0時間などとなる。
本発明のプロセスにおいて、リアクタ(R1)から(R4)における実際の重合の前に、周知の予備重合ステップが先行してもよい。予備重合ステップは典型的に0℃から50℃、好ましくは10℃から45℃、より好ましくは15℃から40℃の温度にて行われる。
より好ましくは、プロピレンコポリマーは
(I)ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化チタン、および内部電子供与体を含む固体触媒成分、ならびに
(II)アルミニウムアルキルおよび任意には外部電子供与体を含む共触媒、ならびに
(III)任意の核形成剤の存在下、好ましくは上記または下記に定義される核形成剤の存在下で、
本発明において定義される逐次重合プロセスにおいて得られる。
本発明に従うプロセスは、以下のプロセスステップを含むことが特に好ましい。
上記で定義したビニル化合物、好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)を、固体触媒成分を含む触媒系の存在下で重合して、固体触媒系およびビニル化合物の生成ポリマーを含む反応混合物である修正触媒系を得るステップであり、ここで好ましくは、ビニル化合物のポリマー対固体触媒系の重量比(g)は最大5(5:1)、好ましくは最大3(3:1)、最も好ましくは0.5(1:2)から2(2:1)であり、得られた修正触媒系は、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)を生成するためのプロセスの重合ステップ(a1)に供給される。
使用される触媒は、好ましくはチーグラー・ナッタ触媒系であり、さらにより好ましくは下記により詳細に定義される修正チーグラー・ナッタ触媒系である。
こうしたチーグラー・ナッタ触媒系は典型的に、固体触媒成分、好ましくは固体遷移金属成分と、共触媒と、任意には外部供与体とを含む。固体触媒成分は、最も好ましくはハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化チタン、および内部電子供与体を含む。こうした触媒は当該技術分野において周知である。こうした固体触媒成分の例は、特に国際公開第87/07620号、国際公開第92/21705号、国際公開第93/11165号、国際公開第93/11166号、国際公開第93/19100号、国際公開第97/36939号、国際公開第98/12234号、国際公開第99/33842号に開示されている。
好適な電子供与体は、特にたとえばフタル酸、シトラコン酸、およびコハク酸などのカルボン酸のエステルである。加えて、酸素または窒素を含有するケイ素化合物が用いられてもよい。好適な化合物の例は、国際公開第92/19659号、国際公開第92/19653号、国際公開第92/19658号、米国特許第4,347,160号、米国特許第4,382,019号、米国特許第4,435,550号、米国特許第4,465,782号、米国特許第4,473,660号、米国特許第4,530,912号、および米国特許第4,560,671号に示されている。
さらに、前記固体触媒成分は好ましくは、エーテル、ケトン、アミン、アルコール、フェノール、ホスフィン、およびシラン、たとえばRが1〜20炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、またはシクロアルキルであるときに中心原子としてケイ素を有し、Si−OCOR、Si−OR、またはSi−NR結合を含有するオルガノシラン化合物などを限定なしに含む周知の外部電子供与体と、好ましくはプロピレンコポリマーを重合するために当該技術分野において公知のアルミニウムアルキル化合物を含む周知の共触媒と組み合わせて用いられる。
プロピレンコポリマーの重合プロセスの際にヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)に核形成剤が導入されるとき、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)中に存在する核形成剤の量は、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)および核形成剤に基づいて、好ましくはすべての添加剤を含むヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の総重量に基づいて、好ましくは500ppm以下、より好ましくは0.025ppmから200ppm、さらにより好ましくは1ppmから100ppm、最も好ましくは5ppmから100ppmである。
本発明はさらに、本発明に従うポリプロピレン組成物を含む射出成形物品に向けられており、好ましくはその物品は、
−子供用品、たとえばカーシート、ベビーカー、もしくは歩行器など、または
−玩具、または
−高耐久性のバケツ、または
−輸送用包装、たとえばパレットおよびクレートなど
より選択される射出成形物品である。
特に前段落で定義されるとおりの物品は、好ましくは物品の総量に基づいて少なくとも50wt.−%、たとえば50wt.−%から99.9wt.−%など、より好ましくは少なくとも60wt.−%、たとえば60wt.−%から99wt.−%など、さらにより好ましくは少なくとも80wt.−%、たとえば80wt.−%から99wt.−%など、なおより好ましくは少なくとも90wt.−%、たとえば90wt.−%から99wt.−%などのポリプロピレン組成物を含み、さらになおより好ましくはポリプロピレン組成物からなる。
以下においては、実施例によって本発明をさらに示す。
測定方法
別様に定義されない限り、以下の用語および判定方法の定義は、上記の本発明の一般的な説明および下記の実施例に適用される。
NMR分光法によるコポリマー微細構造の定量化
ポリマーのコモノマー含有量を定量化するために、定量的核磁気共鳴(nuclear−magnetic resonance:NMR)分光法を用いた。
Hおよび13Cに対してそれぞれ400.15MHzおよび100.62MHzにて動作するBruker Advance III(登録商標)400 NMR分光計を用いて、溶液状態で定量的13C{H}NMRスペクトルを記録した。すべての空気圧に対して窒素ガスを用いた125℃における13C最適化10mm拡張温度プローブヘッドを用いて、すべてのスペクトルを記録した。約200mgの材料を3mlの1,2−テトラクロロエタン−d(tetrachloroethane−d:TCE−d)にクロム−(III)−アセチルアセトネート(acetylacetonate)(Cr(acac))とともに溶解することによって、G.シング(Singh)、A.コタリ(Kothari)、V.グプタ(Gupta)、ポリマー・テスティング(Polymer Testing)2009、28(5)、475に記載されるとおりの溶媒中の緩和剤の65mM溶液を得た。
均質な溶液であることを確実にするために、ヒートブロックにおける最初のサンプル調製の後に、回転オーブン中でNMRチューブを少なくとも1時間さらに加熱した。磁石への挿入の際に、チューブを10Hzで回転させた。このセットアップは主に高分解能のために選択されたものであり、正確なエチレン含有量の定量のために定量的に必要とされる。Z.ゾウ(Zhou)、R.キューメール(Kuemmerle)、X.キウ(Qiu)、D.レッドワイン(Redwine)、R.コング(Cong)、A.タハ(Taha)、D.ボー(Baugh)、B.ウィニフォード(Winniford)、ジャーナル・オブ・マグネティック・レゾナンス(J.Mag.Reson.)187(2007)225、およびV.ブシコ(Busico)、P.シャルボニエール(Carbonniere)、R.シプロ(Cipullo)、C.ペレキア(Pellecchia)、J.セバーン(Severn)、G.タラリコ(Talarico)、マクロモレキュラー・ラピッド・コミュニケーションズ(Macromol.Rapid Commun.)2007、28、1128に記載されるとおり、NOEを伴わない標準的なシングルパルス励起を使用し、最適化した先端角度、1sリサイクル遅延、およびバイレベルWALTZ16デカップリングスキームを用いた。スペクトル当り合計6144(6k)のトランジェントを取得した。定量的13C{H}NMRスペクトルを処理し、積分し、その積分から関連する定量的性質を定めた。溶媒の化学シフトを用いて、30.00ppmにおけるエチレンブロック(EEE)の中心メチレン基に対して、すべての化学シフトを間接的に参照した。このアプローチは、たとえこの構造単位が存在しないときにも同等の参照を可能にした。
2,1エリスロ位置欠陥に対応する特徴信号を観察したため(L.レスコーニ(Resconi)、L.カバロ(Cavallo)、A.フェイト(Fait)、F.ピエモンテシ(Piemontesi)、ケミカル・レビューズ(Chem.Rev.)2000、100(4)、1253、チェン(Cheng)、H.N.、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1984、17、1950、ならびにW−J.ワン(Wang)およびS.チュー(Zhu)、マクロモレキュールズ(Macromolecules)2000、33 1157に記載される)、定められた特性に対する位置欠陥の影響に対する補正が必要であった。他のタイプの位置欠陥に対応する特徴信号は観察しなかった。
エチレンの取り込みに対応する特徴信号を観察し(チェン、H.N.、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1984、17、1950に記載される)、ポリマー中のすべてのモノマーに関するポリマー中のエチレンのフラクションとしてコモノマーフラクションを算出した。
W−J.ワンおよびS.チュー、マクロモレキュールズ(Macromolecules)2000、33 1157の方法を用い、13C{H}スペクトルのスペクトル領域全体にわたる複数の信号の積分によって、コモノマーフラクションを定量化した。この方法を選択したのは、その頑健な性質および必要なときに位置欠陥の存在を考慮できるためである。遭遇したコモノマー含有量の全範囲にわたる適用性を増加させるために、積分領域をわずかに調整した。
モル分率からモルパーセントコモノマー取り込みを算出した。
モル分率から重量パーセントコモノマー取り込みを算出した。
第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)のコモノマー含有量の算出(ここでは第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)に対して算出するが、この式は他のフラクションにも適用できる):
ここで
w(PP1)は、たとえば(例、マトリックス(M)および第1のエラストマーフラクションを含む)第3のリアクタの後の低温キシレン可溶性成分(XCS)フラクションなど、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)の重量フラクション[wt.−%]であり、
w(PP2)は、たとえば第4のリアクタ内で生成される低温キシレン可溶性成分フラクション(XCS)(例、第4のリアクタ内で生成される第2のエラストマーフラクション)の量など、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の重量フラクション[wt.−%]であり、
C(PP1)は、たとえば(例、マトリックス(M)および第1のエラストマーフラクションを含む)第3のリアクタの後の低温キシレン可溶性成分(XCS)フラクションなど、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のコモノマー含有量[mol−%]であり、
C(PP)は、最終ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)のキシレン可溶性成分フラクションのコモノマー含有量[mol−%]であり、
C(PP2)は、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の算出されたコモノマー含有量[mol−%]である。
MFR(230℃)は、ISO1133(230℃、2.16kg荷重)に従って測定する。
室温におけるキシレン可溶性成分フラクション(XCS)(XS、wt.−%):ISO16152;第1版;2005−07−01に従って、25℃にてキシレンに可溶性のポリマーの量を定める。残りの部分は、低温キシレン不溶性成分(xylene cold insoluble:XCU)フラクションである。
ISO1628−1(デカリン中135℃)に従って、固有粘度(IV)を測定する。
第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の固有粘度の算出(ここでは第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)に対して算出するが、この式は他のフラクションにも適用できる):
ここで
w(PP1)は、たとえば(例、マトリックス(M)および第1のエラストマーフラクションを含む)第3のリアクタの後の低温キシレン可溶性成分(XCS)フラクションなど、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)の重量フラクション[wt.−%]であり、
w(PP2)は、たとえば第4のリアクタ内で生成される低温キシレン可溶性成分フラクション(XCS)(例、第4のリアクタ内で生成される第2のエラストマーフラクション)の量など、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の重量フラクション[wt.−%]であり、
IV(PP1)は、たとえば(例、マトリックス(M)および第1のエラストマーフラクションを含む)第3のリアクタの後の低温キシレン可溶性成分(XCS)フラクションなど、第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)の固有粘度[dl/g]であり、
IV(PP)は、最終ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)のキシレン可溶性成分フラクションの固有粘度[dl/g]であり、
IV(PP2)は、第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の算出された固有粘度[dl/g]である。
DSC分析、融解温度(T)および融解熱(heat of fusion)(H)、結晶化温度(T)および結晶化熱(heat of crystallization)(H):5mgから7mgのサンプルに対して、TAインスツルメント(Instrument)Q200示差走査熱量測定(DSC)によって測定する。DSCを、ISO11357/パート3/方法C2に従い、−30℃から+225℃の温度範囲で10℃/minの走査速度を伴う加熱/冷却/加熱サイクルで実行する。結晶化温度および結晶化熱(H)は冷却ステップから定め、融解温度および融解熱(H)は第2の加熱ステップから定める。
引張りテスト:引張り係数、破断引張り歪み、降伏引張り歪み、引張り強度、および破断引張り応力を、EN ISO1873−2に従って生成した(ドッグ10ボーン形状、厚さ4mm)、ISO527−2(1B)に従って230℃にて成形した射出成形試料を用いて、ISO527−1に従って23℃にて測定した(クロスヘッドスピードは引張り係数に対して1mm/min、その他に対して50mm/min)。
シャルピー衝撃テスト:シャルピーノッチ付き衝撃強度(NIS)を、ISO1873−2:2007に従って調製した80x10x4mmの射出成形バーテスト試料を用いて、ISO179 1eAに従って+23℃および−20℃にて測定した。
熱歪み温度(Heat distortion temperature:HDT)を、ISO75−2方法B(伸張性バーEN ISO1873−2、0.45MPa表面応力)に従って定めた。
本発明(inventive)および比較(comparative)のヘテロ相ポリプロピレンポリマーInv.HECO1、Comp.HECO1およびComp.HECO2の重合
以下の3つの材料を生成し、詳細はさらに以下の表1に与えている。
重合に用いた触媒は、(欧州特許第591 224号に記載される)1.9wt−%のTi含有量を有するボレアリスからのチーグラー・ナッタ触媒であった。欧州特許第1 028 984号および欧州特許第1 183 307号に記載されるとおり、重合の前に、触媒をビニル−シクロ−ヘキサン(VCH)で予備重合した。調製においてはVCH対触媒の比率1:1を用いたため、IE1における最終ポリVCH含有量は100ppm未満であった。
第1の段階において、上述の触媒を、プロピレンおよび少量の水素(2.5g/h)およびエチレン(330g/h)とともに予備重合リアクタに供給した。共触媒としてトリエチルアルミニウム、供与体としてジシクロペンチルジメトキシシランを用いた。アルミニウム対供与体の比率は7.5mol/molであり、アルミニウム対チタンの比率は300mol/molであった。リアクタは、30℃の温度および55バールの圧力にて動作した。
その後の重合は、以下の条件下で行った。
Figure 2017502118
上記で得られたComp.HECO1および2ならびにInv.HECO1を、以下の表2に提供される化合物と混合して、本発明のポリプロピレン組成物Inv.PP1ならびにComp.PP1およびPP2を生成した。
−「Comp PP1」は、3リアクタ内で生成された、単峰性ゴムを有するヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO1)を含む比較組成物であり、タルクは添加していない。
−「Comp PP2」は、同様に3リアクタ内で生成された、単峰性ゴムを有するヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO2)を含む比較組成物である。Comp PP2は1.0wt.−%のタルクを含む。
−「Inv.PP1」は、4リアクタ内で生成された、コモノマー含有量および固有粘度に鑑みて二峰性ゴムを有するヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO3)を含む本発明の組成物である。Inv.PP1は1.0wt.−%のタルクを含む。
Figure 2017502118
結果
材料の特性を以下の表3に与えている。
Figure 2017502118
Inv.PP1を、さらに商業的ポリプロピレングレードの参照(references)Ref1からRef10と比較した。
表4aおよび表4bから得られるとおり、Inv.PP1は優れた低温衝撃強度および非常に良好な室温衝撃を示す。
Figure 2017502118
本発明のポリプロピレン組成物に対する一般的結論
本発明のポリプロピレン組成物(Inv.PP1)に関して、(エチレン含有量に関する)二峰性ゴムを使用することによって、室温および−20℃の両方における優れた衝撃強度が達成された。第1のゴムリアクタにおいて生成される高い粘度(XCSのIV)を有するプロピレンに富むゴムは優れた室温衝撃を提供するのに対し、第2のゴムリアクタにおけるわずかに低いXCSのIVを有するより高エチレン含有量のゴムは低温衝撃強度により多く寄与する。
さらに、>4g/10minのMFRが効率的な処理を可能にする。

Claims (15)

  1. (a)ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)であって、
    −ポリプロピレン(PP)であるマトリックス(M)と、
    −前記マトリックス(M)中に分散されたエラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)とを含み、
    前記エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、
    ・第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)および
    ・第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)を含み、
    ここで前記エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、前記ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)の低温キシレン可溶性成分フラクション(XCS)であり、
    ここでさらに、
    (a1)前記ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、3.0g/10minから9.0g/10minの範囲の、ISO1133に従って測定されるメルトフローレートMFR(230℃)を有し、
    (a2)前記エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、2.80dl/gから4.80dl/gの範囲の、ISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される固有粘度(IV)、および38.0mol.−%から58.0mol.−%の範囲のコモノマー含有量を有し、
    ここでなおさらに、
    (a3)前記ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は不等式(I)を満たし、
    Figure 2017502118
    ここで
    C(EC1)は、前記第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のエチレン含有量[mol.−%]であり、
    C(EC)は、前記エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)のエチレン含有量[mol.−%]である、ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)と、
    (b)核形成剤、好ましくはポリマー核形成剤と、
    (c)任意には無機充填剤と、
    (d)任意には前記無機充填剤および前記核形成剤とは異なるさらなる添加剤と
    を含む、ポリプロピレン組成物。
  2. 前記ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は不等式(III)を満たし、
    Figure 2017502118
    ここで
    IV(EC1)は、前記第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)のISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される前記固有粘度(IV)[dl/g]であり、
    IV(EC)は、前記エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)のISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される前記固有粘度(IV)[dl/g]である、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
  3. 前記第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)は、
    (a)30.0mol.−%から50.0mol.−%の範囲のコモノマー含有量、
    および/または
    (b)3.00dl/gから5.00dl/gの、ISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される固有粘度(IV)
    を有する、請求項1または2に記載のポリプロピレン組成物。
  4. 前記エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)は、
    (a)38.0mol.−%から58.0mol.−%の範囲のコモノマー含有量、
    および/または
    (b)2.70dl/gから4.70dl/gの、ISO1628−1(デカリン中135℃)に従って測定される固有粘度(IV)
    を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
  5. (a)前記ポリプロピレン(PP)対前記エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)の重量比[(PP)/(EC)]は、85/15から60/40の範囲であり、
    かつ/または、
    (b)前記第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)対前記第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)の重量比[(EC1)/(EC2)]は、70/30から30/70の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
  6. 前記ポリプロピレン(PP)は、
    (a)プロピレンホモポリマー(H−PP)であり、
    かつ/または、
    (b)15.0g/10minから35.0g/10minの範囲の、ISO1133に従って測定されるメルトフローレートMFR(230℃)を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
  7. 前記ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)はリアクタで作られ、好ましくは逐次重合プロセスにおいて生成され、前記ポリプロピレン(PP)は少なくとも1つのリアクタ内で生成され、その後少なくとも2つのさらなるリアクタ内で前記エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)が生成され、ここでは前記2つのさらなるリアクタの一方で前記第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)が生成され、前記2つのさらなるリアクタの他方の1つで前記第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)が生成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
  8. 前記ポリプロピレン組成物は、
    (a)前記ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて少なくとも70wt.−%の前記ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)と、
    (b)少なくとも1ppmの前記核形成剤、好ましくは少なくとも1ppmの前記ポリマー核形成剤と、
    (c)前記ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて0.5wt.−%から2.0wt.−%の無機充填剤と、
    (d)前記ポリプロピレン組成物の総重量に基づいて0.02wt.−%から5.0wt.−%の、前記無機充填剤および前記核形成剤とは異なるさらなる添加剤と
    を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
  9. 前記ポリプロピレン組成物は、
    (a)40kJ/mから70kJ/mの範囲の、+23℃にてISO179 1eAに従って測定されるシャルピーノッチ付き衝撃強度(NIS)、
    および/または
    (b)少なくとも6.0kJ/mの、−20℃にてISO179 1eAに従って測定されるシャルピーノッチ付き衝撃強度(NIS)、
    および/または
    (c)少なくとも950MPaの、23℃にてISO527−1(クロスヘッドスピード1mm/min)に従って測定される引張り係数
    を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
  10. 前記ポリプロピレン組成物は、
    (a)162℃から170℃の、ISO11357/パート3/方法C2に従う示差走査熱量測定(DSC)に従って定められた融解温度T
    および/または
    (b)128℃から135℃の、ISO11357/パート3/方法C2に従う示差走査熱量測定(DSC)に従って定められた結晶化温度T
    を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
  11. 前記核形成剤は、ポリマー核形成剤、好ましくはポリマーアルファ核形成剤である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物に含まれるヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)を生成するためのプロセスであって、前記ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)は、少なくとも3つのリアクタ、好ましくは4つのリアクタを含む逐次重合プロセスにおいて生成され、前記第1のリアクタまたは前記最初の2つのリアクタにおいて前記ポリプロピレン(PP)が生成され、その後少なくとも2つのさらなるリアクタにおいて前記エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー(EC)が生成され、前記2つのさらなるリアクタの一方で前記第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)が生成され、前記2つのさらなるリアクタの他方の1つで前記第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)が生成される、プロセス。
  13. 前記プロセスは、
    (a1)第1のリアクタ(R1)において、プロピレンならびに任意にはエチレンおよび/または少なくとも1つのCからC12アルファオレフィンを重合して前記第1のポリプロピレンフラクション(PP1)を得るステップであって、好ましくは前記第1のポリプロピレン(PP1)は第1のプロピレンホモポリマーフラクション(H−PP1)である、ステップと、
    (b1)前記第1のポリプロピレンフラクション(PP1)を第2のリアクタ(R2)に移すステップと、
    (c1)前記第2のリアクタ(R2)において前記第1のポリプロピレンフラクション(PP1)の存在下で、プロピレンならびに任意にはエチレンおよび/またはC4からC12アルファオレフィンを重合することによって、前記第2のポリプロピレンフラクション(PP2)を得るステップであって、好ましくは前記第2のポリプロピレンフラクション(PP2)は第2のプロピレンホモポリマーフラクション(H−PP2)であり、前記第1のポリプロピレンフラクション(PP1)が前記第2のポリプロピレンフラクション(PP2)とともに前記ポリプロピレン(PP)を形成する、ステップと、
    (d1)ステップ(c1)の前記ポリプロピレン(PP)を第3のリアクタ(R3)に移すステップと、
    (e1)前記第3のリアクタ(R3)において、ステップ(c1)で得られた前記ポリプロピレン(PP)の存在下で、プロピレンおよびエチレンおよび任意にはCからC12アルファオレフィンを重合することによって、前記第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)を得るステップであって、前記ポリプロピレン(PP)および前記第1のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC1)は混合物(M1)を形成する、ステップと、
    (f1)前記混合物(M1)を第4のリアクタ(R4)に移すステップと、
    (g1)前記第4のリアクタ(R4)において前記混合物(M1)の存在下で、プロピレンおよびエチレンおよび任意にはCからC12アルファオレフィンを重合することによって、前記第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)を得るステップであって、前記混合物(M1)および前記第2のエラストマーエチレン−プロピレンコポリマーフラクション(EC2)は前記ヘテロ相プロピレンコポリマー(HECO)を形成する、ステップと
    を含む、請求項12に記載のプロセス。
  14. 請求項1から11のいずれか一項に記載のポリプロピレン組成物を含む、射出成形物品。
  15. −子供用品、たとえばカーシート、ベビーカー、もしくは歩行器など、または
    −玩具、または
    −高耐久性のバケツ、または
    −輸送用包装、たとえばパレットおよびクレートなど
    である、請求項14に記載の物品。

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