A.用語および定義
以下の専門用語および定義は、本出願において使用される際に適用される。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が他に明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「細胞(a cell)」への言及は2つ以上の細胞の組み合わせを含む、などである。
任意の濃度範囲、百分率の範囲、比率の範囲または整数範囲は、他に記載されない限り、記載される範囲内の任意の整数の値、および適切な場合にはその分数(例えば、整数の10分の1および100分の1)を含むと理解されるべきである。
「約(About)」または「およそ(approximately)」は、数に関連して本明細書で使用される場合、他に規定されない限り、あるいは文脈から他に明らかでない限り、一般的にその数のいずれかの方向(それよりも大きい、またはそれよりも小さい)の5%の範囲内に入る数を含む(このような数が可能な値の100%を超える場合を除く)と解釈される。範囲が規定される場合、他に規定されない限り、あるいは文脈から他に明らかでない限り、端点はその範囲内に含まれる。
「2’修飾ヌクレオチド」、「2’置換ヌクレオチド」または糖部分の「2’位置」に修飾を有するヌクレオチドという語句は、本明細書で使用される場合、一般的に、糖成分の2’炭素位置にHまたはOH以外である置換基を含むヌクレオチドを指す。2’修飾ヌクレオチドには、糖環の2つの炭素原子を接続する架橋が糖環の2’炭素および別の炭素を接続する二環式ヌクレオチド;ならびにアリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、OC1〜10アルキル、−OCF3、O−(CH2)2−O−CH3、2’−O(CH2)2SCH3、O−(CH2)2−O−N(Rm)(Rn)、またはO−CH2−C(=O)−N(Rm)(Rn)(ここで、各RmおよびRnは独立して、Hまたは置換もしくは非置換C1〜10アルキルである)などの非架橋2’置換基を有するヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。2’修飾ヌクレオチドはさらに、例えば、糖の他の位置および/または核酸塩基に他の修飾を含み得る。「3’修飾ヌクレオチド」、「3’置換ヌクレオチド」または糖部分の「3’位置」に修飾を有するヌクレオチドという語句は、一般的に、糖成分の3’炭素位置に修飾(置換基を含む)を含むヌクレオチドを指す。
「脱塩基」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、糖部分の1’位置において、核酸塩基を有さないか、あるいは核酸塩基の代わりに水素原子(H)または他の非核酸塩基化学基を有する糖部分を指す。例えば、Adamic et al.,米国特許第5,998,203号明細書を参照されたい。一実施形態では、本発明のsiNA分子は脱塩基部分を含有することができ、ここで、脱塩基部分はリボース、デオキシリボース、またはジデオキシリボース糖である。
「非環式ヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、非環式リボース糖を有する、例えば、リボースの炭素/炭素結合または炭素/酸素結合のいずれかが独立して、または一緒に、ヌクレオチドに存在しない任意のヌクレオチドを指す。
炭素原子の数が指定されていなければ、「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を含有する分枝状または直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基は、特定の数の炭素原子を有することができる。例えば、「C1〜C10アルキル」または「C1〜10アルキル」などの場合のC1〜C10は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素を線状または分枝状の配列で有する基を含むと定義される。例えば、「C1〜C10アルキル」は、特に、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどを含む。「シクロアルキル」という用語は、指定された数の炭素原子を有する単環式飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。
「アンチセンス領域」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。本発明の方法によって送達されるsiNA分子に関して、この用語は、ミオスタチンRNAに対する相補性を有するsiNA分子のヌクレオチド配列を指す。さらに、siNA分子のアンチセンス領域は、siNA分子のセンス領域に対する相補性を有する核酸配列を含む。一実施形態では、siNA分子のアンチセンス領域は、アンチセンス鎖またはガイド鎖と呼ばれる。
「生分解性」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、生物系における分解、例えば、酵素分解または化学分解を指す。
「生物系」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、ヒトまたは動物を含むがこれらに限定されない生物学的起源からの精製または未精製形態の材料を指し、この系は、RNAi活性に必要とされる成分を含む。従って、この語句は、例えば、細胞、組織、対象、もしくは生物体、またはこれらの抽出物を含む。またこの用語は、生物学的起源から再構成された材料も含む。
「平滑末端」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。本発明の核酸分子に関して、この用語は、オーバーハングヌクレオチドを有さない二本鎖siNA分子の末端を指す。本発明のsiNA二本鎖分子は、二本鎖の一方または両方の末端、例えば、アンチセンス鎖の5’端部、センス鎖の5’端部に位置する末端、または二本鎖の両末端などに平滑末端を含むことができる。
「キャップ」(本明細書では「末端キャップ」とも呼ばれる)という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。本発明の例示的な核酸分子に関して、この用語は、本発明の核酸分子の1つまたは複数の末端に取り込まれた化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドであり得る部分を指す。これらの末端修飾はエキソヌクレアーゼ分解から核酸分子を保護することができ、核酸分子の細胞内の送達および/または局在化に役立つことができる。キャップは、本発明の核酸分子の鎖の5’末端(5’キャップ)または3’末端(3’キャップ)に存在することができ、あるいは両方の末端に存在することができる。例えば、キャップは、本発明の核酸分子のセンス鎖の5’末端、3’末端、ならびに/または5’および3’末端に存在することができる。さらに、キャップは、本発明の核酸分子のアンチセンス鎖の3’末端に存在することができる。非限定的な例では、5’キャップは、LNA;グリセリル;逆位デオキシ脱塩基残基(部分);4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド;炭素環式ヌクレオチド;1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオアート結合;スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’−セコヌクレオチド;非環式3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;非環式3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド;3’−3’−逆位ヌクレオチド部分;3’−3’−逆位脱塩基部分;3’−2’−逆位ヌクレオチド部分;3’−2’−逆位脱塩基部分;1,4−ブタンジオールリン酸;3’−ホスホルアミダート;ヘキシルリン酸;アミノヘキシルリン酸;3’−リン酸;3’−ホスホロチオアート;ホスホロジチオアート;または架橋もしくは非架橋メチルホスホナート部分を含むが、これらに限定されない。3’キャップの非限定的な例としては、LNA;グリセリル;逆位デオキシ脱塩基残基(部分);4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’−チオヌクレオチド;炭素環式ヌクレオチド;5’−アミノ−アルキルリン酸;1,3−ジアミノ−2−プロピルリン酸;3−アミノプロピルリン酸;6−アミノヘキシルリン酸;1,2−アミノドデシルリン酸;ヒドロキシプロピルリン酸;1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオアート;スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’−セコヌクレオチド;3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−逆位ヌクレオチド部分;5’−5’−逆位脱塩基部分;5’−ホスホルアミダート;5’−ホスホロチオアート;1,4−ブタンジオールリン酸;5’−アミノ;架橋および/または非架橋5’−ホスホルアミダート;ホスホロチオアートおよび/またはホスホロジチオアート;架橋または非架橋メチルホスホナート;ならびに5’−メルカプト部分が挙げられるが、これらに限定されない(さらなる詳細については、参照によって本明細書中に援用されるBeaucage and Iyer,1993,Tetrahedron 49,1925を参照)。一実施形態では、本発明のsiNA分子は、ビニルリン酸5’末端キャップを含有し、ここで、糖環の炭素5は、以下の置換基(=CH)−P(=O)(OH)2を含有する。
「細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、本明細書において、その通常の生物学的意味で使用され、多細胞生物全体を指すのではなく、例えば具体的には、ヒトを指さない。細胞は、生物体、例えば、鳥類、植物および哺乳類(例えば、ヒト、雌ウシ、ヒツジ、類人猿、サル、ブタ、イヌ、およびネコなど)内に存在し得る。細胞は体細胞起源または生殖系細胞起源、全能性または多能性、分裂細胞または非分裂細胞であり得る。また細胞は、配偶子もしくは胚、幹細胞、または完全分化細胞に由来することもでき、あるいはこれらを含むこともできる。細胞は筋肉細胞であり得る。
「化学修飾ヌクレオチド」、「修飾ヌクレオチド」、または本明細書に記載されるミオスタチンsiNA分子内のヌクレオチドに関して使用される場合の「化学修飾」という語句は、当該技術分野において一般的に知られているような非修飾(または天然)ヌクレオチドの複素環塩基部分、糖および/またはリン酸の化学構造における修飾(すなわち、天然に存在するRNAまたはDNAヌクレオチドと比べて少なくとも1つの修飾)を含有するヌクレオチドを指す。ある実施形態では、これら用語は、特定の生物系において天然に存在するRNAの特定の形態、例えば2’−O−メチル修飾またはイノシン修飾を指すことができる。修飾ヌクレオチドは、脱塩基ヌクレオチドを含む。修飾ヌクレオチドは、修飾糖環または糖代替物(sugar surrogate)を有するヌクレオチドを含む。修飾複素環塩基部分は、本明細書で定義されるような普遍的な塩基、疎水性塩基、乱雑な(promiscuous)塩基、サイズ拡大(size−expanded)塩基、およびフッ素化塩基を含むが限定はされない。これらの核酸塩基のいくつかは、本明細書において提供されるsiNA分子の結合親和性を増大させるために特に有用である。これらには、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびにN−2、N−6およびO−6置換プリン(2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含む)が含まれる。修飾ヌクレオシド間結合は、天然に存在するヌクレオシド間結合以外の任意のヌクレオシド間結合を指す。修飾ヌクレオチドの非限定的な例は、本明細書および米国特許出願第12/064,014号明細書(米国特許出願公開第20090176725号明細書として公開)に記載されている。
「相補性」または「相補的な」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。これらの用語は、一般的に、従来のWatson−Crickか、あるいは本明細書に記載される他の非従来型の結合による、1つの核酸配列と別の核酸配列との間の水素結合の形成または存在を指す。本発明の方法によって送達される核酸分子に関して、核酸分子とその相補的配列との結合自由エネルギーは、核酸の関連機能(例えば、RNAi活性)が進行するのに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの決定は、当該技術分野において周知である(例えば、Turner et al.,1987,CSH Symp.Quant.Biol.LII pp.123−133;Frier et al.,1986,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 83:9373−9377;Turner et al.,1987,J.Am.Chem.Soc.109:3783−3785を参照)。完全に相補的とは、核酸配列の全ての隣接残基が第2の核酸配列中の同数の連続残基と水素結合し得ることを意味する。部分的な相補性は、核酸分子内に、種々のミスマッチまたは非塩基対合ヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超えるミスマッチ、非ヌクレオチドリンカー、または非塩基対合ヌクレオチド)を含むことができ、これにより、核酸分子のセンス鎖もしくはセンス領域とアンチセンス鎖もしくはアンチセンス領域との間に、または核酸分子のアンチセンス鎖もしくはアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間に、バルジ、ループ、またはオーバーハングがもたらされ得る。このような部分的な相補性は、包含されるヌクレオチドの総数に応じて、非塩基対合ヌクレオチドの数によって決定される相補性%、例えば、約50%、60%、70%、80%、90%などによって表すことができる。このような部分的な相補性は、核酸分子(例えば、siNA)がその機能(例えば、配列特異的RNAiを媒介する能力)を保持する範囲内で可能である。
「組成物」または「製剤」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているそれらの意味を指す。これらの用語は、一般的に、薬学的に許容可能な担体または希釈剤中で、細胞または対象(例えば、ヒトを含む)の投与(例えば、全身投与)に適した形態であるような組成物または製剤を指す。適切な形態は、使用または侵入経路、例えば、経口、経皮、吸入、または注射にある程度依存する。このような形態は、組成物または製剤が標的細胞(すなわち、負に帯電した核酸の送達が望ましい細胞)に到達するのを妨害してはならない。例えば、血流中に注入された組成物は可溶性でなければならない。他の因子は当該技術分野において既知であり、毒性などの検討事項、および組成物または製剤がその効果を発揮するのを防止する形態が含まれる。本明細書で使用される場合、医薬品製剤には、人間および獣医学的な使用のための製剤が含まれる。「薬学的に許容可能な組成物」または「薬学的に許容可能な製剤」は、本発明の核酸分子の、その所望の活性に最も適した身体の場所への有効な分配を可能にする組成物または製剤を指すことができる。
「コンジュゲート」という用語は、本発明の方法によって送達されるsiNA分子に結合した原子または原子群を指す。一般的に、コンジュゲート基は、それが結合した分子の1つまたは複数の特性(薬力学、薬物動態、結合、吸収、細胞分布、細胞取込み、電荷およびクリアランスを含むが、これらに限定されない)を変化させる。コンジュゲート基は、化学分野において日常的に使用され、直接、または任意選択的な連結部分または連結基を介して、親化合物(例えば、siNA分子など)へ連結される。本発明の方法において使用されるsiNAコンジュゲートは、コレステロールなどの親油性部分に連結されている、ミオスタチンRNAを標的にするsiNA分子を含む。ある実施形態では、親油性部分が、ミオスタチンsiNA分子の3’もしくは5’末端ヌクレオチドにまたは内部ヌクレオチドに付加される。本明細書で使用される場合、「コンジュゲート連結基」は、親油性部分をミオスタチンsiNA分子に付加するのに使用される任意の原子または原子群を指す。当該技術分野において知られているものなどの連結基または二官能性連結部分は、本発明に適している。
「検出する」または「測定する」という用語は、活性、応答または効果と関連して本明細書で使用される場合、このような活性、応答、または効果を検出または測定するための試験が実施されることを示す。このような検出および/または測定は、ゼロの値を含み得る。従って、検出または測定のための試験が、非活性(ゼロの活性)という知見をもたらしても、活性を検出または測定するステップはそれでも実施されている。
「有効な量」という語句は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって探求される細胞、組織、系、動物またはヒトの意図される生物学的応答を誘発し得る分子、化合物または組成物の量を指す(例えば、筋組織または血清において測定されるように、ミオスタチンタンパク質レベルの低下)。「治療的に有効な量」は、一般に、医学的応答を誘発するであろう分子、化合物、または組成物の量を指し、疾患または障害に関連する測定可能なパラメーターが少なくとも25%低下する場合に所与の臨床治療が有効であると考えられるとすると、その疾患または障害の治療のための薬物の治療的に有効な量は、そのパラメーターの少なくとも25%の低下をもたらすために必要な量である。
「発現」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、遺伝子が最終的にタンパク質をもたらすプロセスを指す。発現は、転写、スプライシング、転写後修飾および翻訳を含むが、これらに限定されない。
「遺伝子」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、ポリペプチドの生成に必要な部分長または全長コード配列を含む核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列を指す。また遺伝子は、核酸配列のUTRまたは非コード領域も含むことができる。また遺伝子は、機能性RNA(fRNA)またはノンコーディングRNA(ncRNA)、例えば、スモールテンポラル(small temporal)RNA(stRNA)、マイクロRNA(miRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、核小体低分子RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)およびこれらの前駆体RNAなどもコード化することができる。このようなノンコーディングRNAは、機能性または調節性細胞プロセスに関与するfRNAまたはncRNAの活性の調節において、siNA媒介のRNA干渉のための標的核酸分子としての機能を果たすことができる。従って、疾患につながる異常なfRNAまたはncRNA活性は、本発明の方法によるミオスタチン指向性siNA分子の送達によって調節され得る。また、fRNAおよびncRNAを標的化するsiNA分子は、遺伝子刷り込み、転写、翻訳、または核酸プロセシング(例えば、アミノ基転移、メチル化など)などの細胞プロセスに介在することによって、対象、生物体または細胞の遺伝子型または表現型を操作または変更するために使用することもできる。「遺伝子」という用語は、本発明の方法によって送達されるsiNA分子が直接(すなわち、siNA分子が、その遺伝子に対して部分的または完全相補性を有するアンチセンス鎖を含む)または間接的(すなわち、siNA分子が、その遺伝子の発現または活性経路内の遺伝子に対して部分的または完全相補性を有するアンチセンス鎖を含む)に標的化される遺伝子を参照する場合に使用することができる。
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書で使用される場合、各環に7個までの原子を有する安定した単環式または二環式環を表し、少なくとも1つの環は芳香族であり、O、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のへテロ原子を含有する。この定義の範囲内のヘテロアリール基には、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾオキサゾロニル、キノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソインドロニル、イミダゾピリジニル、イソインドロニル、インダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが含まれるが、これらに限定されない。また「ヘテロアリール」は、任意の窒素含有ヘテロアリールのN−オキシド誘導体も含むと理解される。ヘテロアリール置換基が二環式であり、一方の環が非芳香族であるか、あるいはヘテロ原子を含有しない場合、接続はそれぞれ、芳香族環によるか、あるいはヘテロ原子含有環によることが理解される。
「複素環」という用語は、本明細書で使用される場合、O、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のへテロ原子を含有する3員〜10員芳香族または非芳香族複素環を意味することが意図され、二環式基を含む。「複素環」は、上記のヘテロアリールならびにそのジヒドロおよびテトラヒドロ類似体を含む。「複素環」のさらなる例としては、以下の:アゼチジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキソオキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリン、オキソピペラジニル、オキソピロリジニル、オキソモルホリニル、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジオキシドチオモルホリニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチエニル、ならびにこれらのN−オキシドが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル置換基の接続は、炭素原子またはヘテロ原子によって生じ得る。
「含んでいる(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などのその任意の形態)、「含んでいる(comprising)」(および「有する(has)」または「有する(have)」などのその任意の形態)、または「含有している(containing)」(およびその任意の形態(「含有する(contains)」または「含有する(contain)」))という用語は包括的およびオープンエンドであり、記載されていない付加的な要素または方法ステップを排除しない。
「阻害する」、「下方制御する」、または「低減する」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。本発明の方法によって送達されるsiNA分子に関して、この用語は、一般的に、遺伝子の発現、または1つもしくは複数のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットをコードするRNA分子のレベル、または1つもしくは複数のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットの活性が、siNAが存在しない場合に観察されるレベルよりも低くなることを指す。下方制御は、RNAiに媒介される切断などの転写後サイレンシングと関連することができる。
「間欠性」または「間欠的」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。これら用語は、一般的に、規則的または不規則的な間隔で定期的に停止および開始することを指す。
「ヌクレオシド間結合」、「ヌクレオシド間リンカー」、「ヌクレオシド間連結基」、「ヌクレオチド間結合」、「ヌクレオチド間リンカー」または「ヌクレオチド間連結基」という用語は本明細書では互換的に使用され、当該技術分野において知られているように、2つのヌクレオシド(すなわち、複素環塩基部分および糖部分)単位の間の任意のリンカーまたは結合を指し、例えば、リン酸、リン酸の類似体、ホスホン酸、グアニジウム、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルヒドラジニル、アミド、カルバミン酸、アルキル、および置換されアルキル結合を含むが、これらに限定されない。ヌクレオシド間結合は、核酸分子の骨格を構成する。1つの態様では、siNA分子のヌクレオチドは、第1のヌクレオチドの糖の3’炭素と、第2のヌクレオチドの糖部分との間の結合(本明細書では、3’ヌクレオシド間結合と称される)を通して、連続したヌクレオチドに連結され得る。3’−5’ヌクレオシド間結合は、本明細書で使用される場合、2つの連続したヌクレオシド単位を連結するヌクレオシド間結合を指し、ここで、結合は、第1のヌクレオシドの糖部分の3’炭素と、第2のヌクレオシドの糖部分の5’炭素との間である。別の態様では、siNA分子のヌクレオチドは、第1のヌクレオチドの糖の2’炭素と、第2のヌクレオチドの糖部分との間の結合(本明細書では、2’ヌクレオシド間結合と称される)を通して、連続したヌクレオチドに連結され得る。2’−5’ヌクレオシド間結合は、本明細書で使用される場合、2つの連続したヌクレオシド単位を連結するヌクレオシド間結合を指し、ここで、結合は、第1のヌクレオシドの糖部分の2’炭素と、第2のヌクレオシドの糖部分の5’炭素との間である。
「リンカー」または「スペーサー」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているそれらの意味を指す。一般に、それらは、構成成分を連結または結合する任意の分子を指す。本発明の場合には、リンカーまたはスペーサーは、ミオスタチンsiNAコンジュゲートを形成するために親油性分子にミオスタチンsiNA分子を結合するために使用されてもよい。リンカーは、核酸または非核酸ベースのリンカーであり得る。「生分解性リンカー」という用語は、siNA分子を親油性部分に接続するように設計され、生物系における分解の影響を受けやすい任意選択のリンカー分子を指す。
動物に関しての「家畜」という用語は、食品、繊維、および労働力などの産物を産生するために農業環境において育てられる、家畜化された動物、半家畜化された動物、または捕獲された野生動物を指す。家畜動物は、ウシ、ブタ、家禽(例えばニワトリ、シチメンチョウ)、ヒツジ、バイソン、ヤギ、およびその他同種のものを含む。
「定量吸入器」または「MDI」という語句は、缶、缶を覆う固定キャップ、およびキャップ内に位置する製剤計量バルブを含むユニットを指す。MDIシステムは、適切なチャネリングデバイスを含む。適切なチャネリングデバイスは、例えば、バルブアクチュエータおよび円筒形または円錐形状の通路を含み、これを通して、薬剤は、充満されたキャニスターから計量バルブによって患者の鼻または口へ送達されることが可能である(マウスピースアクチュエータなど)。
「マイクロRNA」または「miRNA」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、RNA切断、翻訳抑制/阻害または異質染色質サイレンシングのいずれかによって標的メッセンジャーRNAの発現を制御する低分子ノンコーディングRNAを指す(例えば、Ambros,2004,Nature,431,350−355;Bartel,2004,Cell,116,281−297;Cullen,2004,Virus Research.,102,3−9;He et al.,2004,Nat.Rev.Genet.,5,522−531;Ying et al.,2004,Gene,342,25−28;およびSethupathy et al.,2006,RNA,12:192−197を参照)。RNA干渉の現象は、miRNAの内因的に誘発される遺伝子サイレンシング効果を含む。本明細書で使用される場合、「マイクロRNA模倣物」は、マイクロRNAの配列と少なくとも部分的に同一である配列を有するsiNA分子を指す。ある実施形態では、マイクロRNA模倣物は、マイクロRNAのマイクロRNAシード領域を含む。ある実施形態では、マイクロRNA模倣物は、2つ以上の標的核酸の翻訳を調節する。
「調節する」または「調節」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。本発明の方法によって送達される核酸分子に関して、この用語は、遺伝子の発現、または1つもしくは複数のRNA分子(コーディングまたはノンコーディング)のレベル、または1つもしくは複数のRNA分子もしくはタンパク質もしくはタンパク質サブユニットの活性を、調節をもたらす分子の非存在下で観察されるよりも発現レベルまたは活性が大きくまたは小さくなるように、上方制御または下方制御する場合を指す。例えば、「調節する」という用語は、例えば遺伝子発現について、いくつかの実施形態では阻害を指すことができ、他の実施形態では増強または上方制御を指すことができる。
「筋細胞」または「筋組織」という語句は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているそれらの意味を指す。それらは、任意の種類の筋肉に由来する細胞または細胞群を指す(例えば消化管、膀胱、血管、または心組織由来の例えば骨格筋および平滑筋)。筋芽細胞、筋細胞、筋管、心筋細胞、および心筋芽細胞(cardiomyoblast)などのそのような筋細胞は、分化していても、未分化であってもよい。
本明細書において使用される「ミオスタチンsiNA分子」または「ミオスタチンsiNA」という語句は、ミオスタチン遺伝子を標的にするsiNA分子を指す。本明細書において使用される「ミオスタチンsiNAコンジュゲート」という語句は、ミオスタチン遺伝子を標的にし、親油性部分に連結されるsiNA分子を指す。
「非塩基対合」という語句は、二本鎖siNA分子のセンス鎖またはセンス領域と、アンチセンス鎖またはアンチセンス領域との間で塩基対合されていないヌクレオチドを指す。非塩基対合ヌクレオチドは、例えば、ミスマッチ、オーバーハング、および一本鎖ループを含むことができるが、限定されない。
「非ヌクレオチド」という用語は、例えば、限定されないが脱塩基部分またはアルキル鎖などの、1つまたは複数のヌクレオチド単位の代わりにポリヌクレオチド鎖に取り込むことができる任意の基または化合物を指す。この基または化合物は、一般的に認識されるヌクレオチド塩基(例えば、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミンなど)を含有せず、従って1’位に核酸塩基がないという点で「脱塩基」である。
「核酸塩基」という用語は、本明細書では、ヌクレオチドの複素環塩基部分を指すために使用される。核酸塩基は天然に存在していてもよく、あるいは修飾されてもよい。ある実施形態では、核酸塩基は、別の核酸の塩基と水素結合をすることができる任意の原子または原子群を含み得る。
「ヌクレオチド」という用語は、当該技術分野において一般的に認識されるように使用される。ヌクレオチドは、一般的に、複素環塩基部分(すなわち、核酸塩基)、糖、およびヌクレオシド間結合(例えば、リン酸)を含む。塩基は、当該技術分野において周知であるように、天然塩基(標準)、修飾塩基、または塩基類似体であり得る。このような塩基は、一般的に、ヌクレオチド糖部分の1’位に位置する。さらに、ヌクレオチドは、糖、ヌクレオシド間結合、および/または塩基部分において修飾されていなくても修飾されていてもよい(互換的に、ヌクレオチド類似体、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、非標準ヌクレオチドなどとも称される;例えば、米国特許出願第12/064,014号明細書(米国特許出願公開第20090176725号明細書として公開)を参照)。天然に存在するヌクレオシド間結合は、3’から5’へのホスホジエステル結合(本明細書では、3’−5’ホスホジエステル結合とも称される)を指す。
「オーバーハング」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。本発明の方法によって送達される例示的な二本鎖核酸分子に関して、この用語は、一般的に、二本鎖核酸分子の2本の鎖の間で塩基対合されていないヌクレオチド配列の末端部分を指す。オーバーハングは、存在する場合には、通常siNA二本鎖の一方または両方の鎖の3’末端にある。
「薬学的に許容可能な担体または希釈剤」という語句は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この語句は、一般的に、動物などの対象への投与で使用するのに適した任意の物質を指す。ある実施形態では、薬学的に許容可能な担体または希釈剤は、無菌生理食塩水である。ある実施形態では、このような無菌生理食塩水は、医薬品グレードの生理食塩水である。
「ホスホロチオアート(phosphorothioate)」という用語は、酸素原子の代わりに1つまたは複数の硫黄原子を含むヌクレオシド間リン酸結合を指す。従って、ホスホロチオアートという用語は、ホスホロチオアートおよびホスホロジチオアートヌクレオシド間結合の両方を指す。
「リボヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、β−D−リボフラノース部分の第2’位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドを指す。
「RNA」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。一般的に、RNAという用語は、少なくとも1つのリボフラノシド部分を含む分子を指す。この用語は、二本鎖RNA、一本鎖RNA、単離RNA、例えば、部分精製RNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換え産生RNA、ならびに1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換および/または変更によって天然に存在するRNAとは異なる改変RNAを含むことができる。このような改変は、例えば、siNA分子の末端への、あるいは内部での(例えばRNAの1つまたは複数のヌクレオチドにおける)、非ヌクレオチド材料の付加を含むことができる。本発明の核酸分子内のヌクレオチドは、天然に存在しないヌクレオチドまたは化学的に合成されたヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドなどの非標準ヌクレオチドも含むことができる。これらの改変RNAは、類似体または天然に存在するRNAの類似体と呼ばれることもある。
「RNA干渉」という語句または「RNAi」という用語は、通常、特異的標的RNAの破壊を引き起こすことによって細胞における遺伝子発現を阻害または下方制御する、当該技術分野において一般的に知られている生物学的プロセスを指し、配列特異的核酸分子(例えば、低分子干渉核酸分子)によって媒介される(例えば、Zamore and Haley,2005,Science,309,1519−1524;Vaughn and Martienssen,2005,Science,309,1525−1526;Zamore et al.,2000,Cell,101,25−33;Bass,2001,Nature,411,428−429;Elbashir et al.,2001,Nature,411,494−498;およびKreutzer et al.,国際PCT公開国際公開第00/44895号パンフレット;Zernicka−Goetz et al.,国際PCT公開国際公開第01/36646号パンフレット;Fire,国際PCT公開国際公開第99/32619号パンフレット;Plaetinck et al.,国際PCT公開国際公開第00/01846号パンフレット;Mello and Fire,国際PCT公開国際公開第01/29058号パンフレット;Deschamps−Depaillette,国際PCT公開国際公開第99/07409号パンフレット;およびLi et al.,国際PCT公開国際公開第00/44914号パンフレット;Allshire,2002,Science,297,1818−1819;Volpe et al.,2002,Science,297,1833−1837;Jenuwein,2002,Science,297,2215−2218;およびHall et al.,2002,Science,297,2232−2237;Hutvagner and Zamore,2002,Science,297,2056−60;McManus et al.,2002,RNA,8,842−850;Reinhart et al.,2002,Gene&Dev.,16,1616−1626;およびReinhart&Bartel,2002,Science,297,1831を参照)。さらに、RNAiという用語は、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳阻害、転写阻害、またはエピジェネティクスなどの配列特異的なRNA干渉を記述するために使用される他の用語と均等であることを意味する。例えば、本発明のsiNA分子を用いて、転写後レベルまたは転写前レベルのいずれかにおいて遺伝子をエピジェネティックにサイレンシングすることができる。非限定的な例では、本発明の方法によって送達されるsiNA分子による遺伝子発現のエピジェネティックな調節は、遺伝子発現を変更するためのクロマチン構造またはメチル化パターンのsiNA媒介の修飾に起因し得る(例えば、Verdel et al.,2004,Science,303,672−676;Pal−Bhadra et al.,2004,Science,303,669−672;Allshire,2002,Science,297,1818−1819;Volpe et al.,2002,Science,297,1833−1837;Jenuwein,2002,Science,297,2215−2218;およびHall et al.,2002,Science,297,2232−2237を参照)。本発明の方法によって送達されるsiNA分子による遺伝子発現の調節は、RISCによるRNA(コーディングまたはノンコーディングRNAのいずれか)のsiNA媒介の切断に起因し得る。
「センス領域」という語句は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。本明細書に記載されるsiNA分子に関して、この用語は、siNA分子のアンチセンス領域に対する相補性を有するsiNA分子のヌクレオチド配列を指す。さらに、siNA分子のセンス領域は、標的核酸配列との相同性または配列同一性を有する核酸配列を含むことができる。一実施形態では、siNA分子のセンス領域は、センス鎖またはパッセンジャー鎖とも呼ばれる。
「低分子干渉核酸」、「siNA」、「siNA分子」、「低分子干渉RNA」、「siRNA」、「低分子干渉核酸分子」「低分子干渉オリゴヌクレオチド分子」または「化学修飾された低分子干渉核酸分子」という語句は、配列特異的な形でRNA干渉(「RNAi」)を媒介することによって遺伝子発現またはウィルス複製を阻害または下方制御することができる任意の核酸分子を指す。これらの用語は、個々の核酸分子、複数のこのような核酸分子、またはこのような核酸分子のプールをいずれも指すことができる。siNAは、自己相補的なセンスおよびアンチセンス鎖または領域を含む対称または非対称の二本鎖核酸分子でよく、ここで、アンチセンス鎖/領域は、標的核酸分子中のヌクレオチド配列またはその一部に対して相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス鎖/領域は、標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を含む。対称二本鎖は、同じ数のヌクレオチドをそれぞれが含むセンスおよびアンチセンス領域を含むsiNA分子を指す。非対称二本鎖は、アンチセンス領域と、アンチセンス領域と塩基対合して二本鎖を形成するために十分に相補的なヌクレオチドをセンス領域が有する範囲で、アンチセンス領域よりも少ないヌクレオチドを含むセンス領域とを含むsiNA分子を指す。例えば、非対称二本鎖siNA分子は、細胞内またはインビトロ系でRNAiを媒介するのに十分な長さ(例えば、約15〜約30)を有するアンチセンス領域と、アンチセンス領域に相補的である約3〜約25ヌクレオチドを有するセンス領域とを含むことができる。例として、非対称二本鎖ヘアピンsiNA分子は、約4〜約12ヌクレオチドを含むループ領域を含むこともできる。非対称ヘアピンsiNA分子のループ部分は、本明細書に記載されるようなヌクレオチド、非ヌクレオチド、リンカー分子、またはコンジュゲート分子を含むことができる。またsiNA分子は、標的核酸分子内のヌクレオチド配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含むこともできる(例えば、このようなsiNA分子が標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列がsiNA分子内に存在することを必要としない場合)。一本鎖siNA分子は、RNAi機構によって機能するRNAi分子である。
「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。本明細書において使用されるように、用語は、一般に、記載されるsiNAコンジュゲートおよびその組成物を投与することができる生物体を指す。用語「対象」は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことが意図される。非ヒト動物は、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ネコ、雌ウシ、ウマ、ニワトリ、両生動物、ウサギ、ハムスター、モルモット、家畜、および爬虫類動物などの哺乳動物および非哺乳動物を全て含む。対象は、本発明の方法に従ってsiNAコンジュゲートの投与に適した候補として以前に同定された生物体とすることができる。例えば、対象は、筋骨格系疾患と診断されたヒトなどの哺乳動物とすることができ、本明細書において記載されるsiNAコンジュゲートによる治療が、陽性の臨床上の転帰をもたらす可能性を有すると考えられる。用語「対象」はまた、卵内に含有されるニワトリの胚を含む、胚を含むように意図される。
「糖部分」という用語は、天然または修飾された糖環または糖代替物を意味する。
「糖代替物」という用語は、一般的に、天然に存在するヌクレオチドのフラノース環を置き換えることができる構造を指す。ある実施形態では、糖代替物は、非フラノース(または4’置換されたフラノース)環または環系または開放系である。このような構造は、6員環などの天然フラノース環に対する単純な変化を含むか、あるいはペプチド核酸において使用される非環系と同様、より複雑であってもよい。糖代替物には、モルホリノ、シクロヘキセニルおよびシクロヘキシトールが含まれるが限定されない。糖代替物基を有するほとんどのヌクレオチドにおいて、複素環塩基部分は、一般的に、ハイブリダイゼーションが可能であるように保持される。
「全身投与」という語句は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、インビボにおいて血流中の薬物の全身性の吸収または蓄積の後、全身にわたる分配をもたらす方法で分子、薬物、薬剤、または化合物を投与する方法または技術を指す。全身投与は、胚内投与を含む。
「標的」細胞タンパク質、ペプチド、またはポリペプチド、またはポリヌクレオチドもしくは核酸(例えば、「標的DNA」、「標的RNA」、「標的核酸」など)という用語は、本明細書で使用される場合、それぞれ、siNA分子がその発現を阻害または下方制御可能であり得るタンパク質または核酸を指す。ある実施形態では、標的RNAは、mRNA、pre−mRNA、ノンコーディングRNA、pri−マイクロRNA、pre−マイクロRNA、成熟マイクロRNA、プロモーター指向性(promoter−directed)RNA、または天然アンチセンス転写物である。本明細書で使用される場合、「標的mRNA」は、タンパク質をコードする事前選択されたRNA分子を指す。本明細書で使用される場合、「標的pre−mRNA」は、mRNAに完全にはプロセッシングされていない事前選択RNA転写物を指す。特に、pre−RNAは、1つまたは複数のイントロンを含む。本明細書で使用される場合、「標的マイクロRNA」は、1つまたは複数のタンパク質またはこのようなノンコーディング分子の前駆体の発現を調節する、約18〜30核酸塩基の長さの事前選択ノンコーディングRNA分子を指す。本明細書で使用される場合、「標的ノンコーディングRNA」は、タンパク質を産生するように翻訳されない事前選択RNA分子を指す。特定のノンコーディングRNAは、発現の制御に関与する。
「標的部位」、「標的配列」および「標的核酸部位」という語句は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。この用語は、一般的に、例えば、標的配列に対して相補的である配列をそのアンチセンス領域内に含有するsiNA分子によって媒介される切断のために「標的化される」標的核酸(例えば、RNA)内の配列を指す。
「普遍的な塩基」という語句は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。普遍的な塩基という用語は、一般的に、天然DNA/RNA塩基のそれぞれと、これらをほとんどまたは全く区別することなく塩基対を形成するヌクレオチド塩基類似体を指す。普遍的な塩基の非限定的な例としては、当該技術分野で知られているように、C−フェニル、C−ナフチルおよび他の芳香族誘導体、イノシン、アゾールカルボキサミド、ならびにニトロアゾール誘導体、例えば3−ニトロピロール、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、および6−ニトロインドールなどが挙げられる(例えば、Loakes,2001,Nucleic Acids Research,29,2437−2447を参照)。
「上方制御」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。本明細書に記載される核酸分子に関して、この用語は、遺伝子の発現、または1つもしくは複数のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットをコードするRNA分子もしくは均等なRNA分子のレベル、または1つもしくは複数のRNA、タンパク質もしくはタンパク質サブユニットの活性のいずれかが、本発明の核酸分子(例えば、siNA)が存在しない場合に観察されるレベルよりも高くなることを指す。特定の場合には、siNA分子による遺伝子発現の上方制御または促進は、不活性または減弱化分子の存在下で観察されるレベルよりも高い。他の場合には、siNA分子による遺伝子発現の上方制御または促進は、例えば、スクランブル配列またはミスマッチを有するsiNA分子の存在下で観察されるレベルよりも高い。さらに他の場合には、本発明の核酸分子による遺伝子発現の上方制御または促進は、核酸分子の非存在下よりも存在下の方が大きい。いくつかの例では、遺伝子発現の上方制御または促進は、上方制御すべき対象の遺伝子の発現を下方制御、阻害、またはサイレンシングする、コーディングまたはノンコーディングRNA標的のRNAi媒介切断またはサイレンシングなどの、RNA媒介の遺伝子サイレンシングの阻害に関連する。遺伝子発現の下方制御は、例えば、負のフィードバックまたは拮抗作用などを介してコーディングRNAまたはそのコード化タンパク質によって誘発され得る。遺伝子発現の下方制御は、例えば、翻訳阻害、クロマチン構造、メチル化、RISCに媒介されるRNA切断、または翻訳阻害を介して遺伝子の発現をサイレンシングすることによって、例えば、対象の遺伝子に対する調節制御を有するノンコーディングRNAによって誘発され得る。従って、対象の遺伝子を下方制御、抑制、またはサイレンシングする標的の阻害または下方制御は、治療用途に向けて対象の遺伝子の発現を上方制御するために使用することができる。
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、当該技術分野において一般的に認められているその意味を指す。ベクターという用語は、一般的に、1つまたは複数の核酸分子を送達するために使用される任意の核酸および/またはウィルスベースの発現系または技術を指す。
B.ミオスタチンsiNA分子
ミオスタチンは、筋肉成長の調節に関与する既知の増殖因子である。特に、ミオスタチンは、増殖因子のTGF−βファミリーのメンバーであり、筋発生の強力な負の調節因子である。ミオスタチンについてのノックアウトマウスは、全身にわたって筋肉量を大幅に増加させ、通常のマウスよりもおよそ30%体重が重く、筋線維過形成および肥大により、個々の筋肉の重量において2〜3倍の増加を示す。ミオスタチンにおける自然の突然変異は、Belgian BlueおよびPiedmonteseのウシの品種など、「筋肉倍増(double−muscled)」表現型の原因となるとして同定された。McPherron,A.C.et al,1997,Nature 387:83−92;McPherron,A.C.et al.,1997,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:12457−12461;Kambadur,R.et al.,1997,Genome Res.7:910−916;Grobet,L.et al.,1997,Nat.Genet.17:71−74)を参照されたい。
本発明の方法によって送達されるsiNA分子は、ミオスタチン遺伝子を標的にするように設計される。siNA分子は、例えばヒト、ウシ、ブタ、家禽、またはマウスを含む、多くの適した動物に由来するミオスタチン遺伝子配列に向けられてもよい。例えば、本発明の方法によって送達されるミオスタチンsiNA分子は、表1において示されるミオスタチンmRNAを標的にするように設計されてもよい。
本発明は、ミオスタチン遺伝子を標的にする一本鎖または二本鎖siNA分子、その親油性コンジュゲート、およびインビボにおいてそれを送達し、使用する方法を特徴づけ、前記送達されたsiNA分子がRNA干渉を媒介することができる。ミオスタチンsiNAコンジュゲートのsiNA部分のアンチセンス鎖(またはガイド鎖)は、ミオスタチン標的核酸に対して相補的である。コンジュゲートのsiNA分子部分は、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)および短ヘアピンRNA(shRNA)分子を含むがこれらに限定されない、異なるオリゴヌクレオチド形態をとることができる。ある実施形態では、siNA分子が、一本鎖である。他の実施形態では、siNA分子が、二本鎖分子であり、前記二本鎖分子が、アンチセンス鎖およびセンス鎖を含む。ミオスタチンsiNAコンジュゲート内に含まれるミオスタチンsiNA分子は、ミオスタチン標的核酸の発現を調整する。一実施形態では、siNA分子が、ミオスタチン標的核酸の発現を阻害または低減する。一態様では、ミオスタチンsiNAコンジュゲートのsiNA分子部分が、一本鎖であり、一本のオリゴヌクレオチド鎖が、ミオスタチン遺伝子発現に関連するミオスタチン核酸の少なくとも1つの部分に対して相補的である配列を含む。本開示の目的のために、一本鎖siNA分子の一本鎖はアンチセンス鎖と称される。
別の態様では、ミオスタチンsiNAコンジュゲートのsiNA分子部分が、二本鎖siNA分子であり、二本鎖siNA分子が、センスおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド鎖を含む。アンチセンス鎖は、ミオスタチン遺伝子発現に関連するミオスタチン標的核酸の少なくとも一部に対して相補的である配列を含み、センス鎖は、アンチセンス鎖に対して相補的である。二本鎖siNA分子は、対称でも非対称でもよく、かつ相補的である2本の異なる別々の鎖、すなわち2つの一本鎖オリゴヌクレオチドを含むこともでき、あるいは2つの相補的な部分、例えば、センス領域およびアンチセンス領域(これに関連して、本明細書ではそれぞれセンス鎖およびアンチセンス鎖とも呼ばれるであろう)が塩基対合され、例えば短いヘアピンポリヌクレオチドをもたらす1つまたは複数の一本鎖「ヘアピン」領域(すなわち、ループ)によって共有結合された1つの一本鎖オリゴヌクレオチドを含むこともできる。リンカーは、ポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは非ヌクレオチドリンカーである。いくつかの実施形態では、ヘアピンsiNA分子は1つまたは複数のループモチーフを含有しており、siNA分子のループ部分の少なくとも1つは生分解性である。例えば、短ヘアピンsiNA分子は、インビボでのsiNA分子のループ部分の分解が、3’末端オーバーハング、例えば、1、2、3または4ヌクレオチドを含む3’末端ヌクレオチドオーバーハングなどを有する二本鎖siNA分子を生じることができるように設計することができる。
記載されるコンジュゲートのsiNA分子部分のアンチセンス鎖は、ミオスタチン標的核酸配列の一部に対して相補的である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、ミオスタチン標的mRNA、ミオスタチン標的pre−mRNA、ミオスタチン標的マイクロRNA、およびミオスタチン標的ノンコーディングRNAから選択される。ある実施形態では、siNA分子のアンチセンス鎖は、ミオスタチン標的核酸配列に対して100%の相補性である領域を含み、100%の相補性の領域は少なくとも10核酸塩基である。ある実施形態では、100%の相補性の領域は少なくとも15核酸塩基である。ある実施形態では、100%の相補性の領域は少なくとも20核酸塩基である。ある実施形態では、100%の相補性の領域は少なくとも25核酸塩基である。ある実施形態では、100%の相補性の領域は少なくとも30核酸塩基である。ある実施形態では、siNA分子のアンチセンス鎖は、ミオスタチン標的核酸配列に対して少なくとも85%相補的である。ある実施形態では、アンチセンス鎖は、ミオスタチン標的核酸配列に対して少なくとも90%相補的である。ある実施形態では、アンチセンス鎖は、ミオスタチン標的核酸配列に対して少なくとも95%相補的である。ある実施形態では、アンチセンス鎖は、ミオスタチン標的核酸配列に対して少なくとも98%相補的である。ある実施形態では、アンチセンス鎖は、ミオスタチン標的核酸配列に対して100%相補的である。相補的なヌクレオチドは、隣接ヌクレオチドであってもそうでなくてもよい。一実施形態では、相補的なヌクレオチドは隣接ヌクレオチドである。
ある実施形態では、本発明の方法に従ってインビボにおいて投与されるミオスタチンsiNAコンジュゲートのsiNA分子部分が、ミオスタチン標的核酸のヌクレオチド配列に対して相補的であるアンチセンス鎖中に、約15〜約30の間(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)のヌクレオチドを有する。ある実施形態では、本発明のsiNA分子は、ミオスタチン標的配列に対する配列相補性を有する少なくとも15のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む。ある実施形態では、本発明のsiNA分子は、ミオスタチン標的配列に対する配列相補性を有する少なくとも18のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む。ある実施形態では、本発明のsiNA分子は、ミオスタチン標的配列に対する配列相補性を有する少なくとも19のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む。ある実施形態では、本発明のsiNA分子は、ミオスタチン標的配列に対する配列相補性を有する少なくとも20のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む。ある実施形態では、本発明のsiNA分子は、ミオスタチン標的配列に対する配列相補性を有する少なくとも21のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む。本発明のこの態様の特定の実施形態では、相補的なヌクレオチドは隣接ヌクレオチドである。
いくつかの実施形態では、本明細書において記載されるミオスタチンsiNAコンジュゲートに含まれる二本鎖siNA分子が、オーバーハング領域はいずれも除外して、siNA分子のセンス鎖またはセンス領域とアンチセンス鎖またはアンチセンス領域との間に完全な相補性を有する。
さらに他の実施形態では、二本鎖siNA分子はsiNA分子のセンス鎖またはセンス領域とアンチセンス鎖またはアンチセンス領域との間に、部分的な相補性(すなわち、100%未満の相補性)を有する。従って、いくつかの実施形態では、二本鎖核酸分子は、他方の鎖(例えば、アンチセンス鎖)のヌクレオチドに対して相補的である一方の鎖(例えば、センス鎖)中に約15〜約30の間(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)のヌクレオチドを有する。ある実施形態では、二本鎖siNA分子は、分子のアンチセンス領域のヌクレオチドに対して相補的であるセンス領域に17ヌクレオチドを有する。ある実施形態では、二本鎖siNA分子は、分子のアンチセンス領域のヌクレオチドに対して相補的であるセンス領域に18ヌクレオチドを有する。ある実施形態では、二本鎖siNA分子は、分子のアンチセンス領域のヌクレオチドに対して相補的であるセンス領域に19ヌクレオチドを有する。ある実施形態では、本発明の二本鎖siNA分子は、分子のアンチセンス領域のヌクレオチドに対して相補的であるセンス領域に20ヌクレオチドを有する。本発明のこの態様の特定の実施形態では、鎖間の相補的なヌクレオチドは隣接ヌクレオチドである。
対称であるsiNA分子について、各鎖、センス(パッセンジャー)鎖およびアンチセンス(ガイド)鎖は、独立して、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドの長さである。一般的に、対称siNA分子の各鎖は、約19〜24(例えば、約19、20、21、22、23または24)ヌクレオチドの長さである。ある実施形態では、対称siNA分子の各鎖は、19ヌクレオチドの長さである。ある実施形態では、対称siNA分子の各鎖は、20ヌクレオチドの長さである。ある実施形態では、対称siNA分子の各鎖は、21ヌクレオチドの長さである。ある実施形態では、対称siNA分子の各鎖は、22ヌクレオチドの長さである。
非対称のsiNA分子について、分子のアンチセンス鎖は、約15〜約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドの長さであり、センス領域は、約3〜約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチドの長さである。一般的に、非対称siNA分子のアンチセンス鎖は、約19〜24(例えば、約19、20、21、22、23または24)ヌクレオチドの長さである。一実施形態では、非対称siNA分子のセンス鎖は、約19〜24(例えば、約19、20、21、22、23または24)ヌクレオチドの長さである。
さらに他の実施形態では、本明細書において記載されるミオスタチンsiNAコンジュゲートに含まれるsiNA分子はヘアピンsiNA分子を含み、siNA分子は、約25〜約70(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、40、45、50、55、60、65、または70)ヌクレオチドの長さである。
ある実施形態では、本明細書に記載されるミオスタチンsiNAコンジュゲートで構成されるsiNA分子は、ミオスタチン関連マイクロRNAのシード領域と完全または部分的に同一であるヌクレオチド部分を含むヌクレオチド配列を有するマイクロRNA模倣物である。ある実施形態では、マイクロRNA模倣物のヌクレオチド配列は、ミオスタチン関連マイクロRNAのシード領域と100%同一であるヌクレオチド部分を有する。ある実施形態では、マイクロRNA模倣物のヌクレオチド配列は、ミオスタチン関連マイクロRNAのシード領域と少なくとも75%(例えば、約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%)同一であるヌクレオチド部分を有する。ある実施形態では、ミオスタチン関連マイクロRNA模倣物のヌクレオチド配列は、ミオスタチン関連マイクロRNAのシード領域と75%同一であるヌクレオチド部分を有する。ある実施形態では、マイクロRNA模倣物のヌクレオチド配列は、ミオスタチン関連マイクロRNAのシード領域と80%同一であるヌクレオチド部分を有する。ある実施形態では、マイクロRNA模倣物のヌクレオチド配列は、ミオスタチン関連マイクロRNAのシード領域と90%同一であるヌクレオチド部分を有する。ある実施形態では、マイクロRNA模倣物のヌクレオチド配列は、ミオスタチン関連マイクロRNAのシード領域と95%同一であるヌクレオチド部分を有する。
他の実施形態では、本明細書に記載されるミオスタチンsiNAコンジュゲート内に含まれるsiNA分子は、1つまたは複数のヌクレオチド欠失、置換、ミスマッチおよび/または付加(ミオスタチン標的部位配列に関して、あるいは二本鎖siNA分子の鎖間に)を含有することができるが、ただし、siNA分子がその活性、例えばRNAiを媒介する活性を保持することを条件とする。非限定的な例では、欠失、置換、ミスマッチおよび/または付加は、ループもしくはバルジ、またはゆらぎもしくは他の代替(非Watson−Crick)塩基対をもたらし得る。従って、いくつかの実施形態では、例えば、二本鎖核酸siNA分子は、他方の鎖または領域(例えば、アンチセンス鎖)とミスマッチであるかまたは塩基対合されない一方の鎖または領域(例えば、センス鎖)中に、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、または6)のヌクレオチドを有する。ある実施形態では、siNA分子は、3個以下のミスマッチを含有する。siNA分子のアンチセンス鎖がミオスタチン標的配列に対するミスマッチを含有する場合、ミスマッチ領域は、相補性の隣接領域の中心に位置しないことが好ましい。
ある実施形態では、本明細書に記載されるコンジュゲートで構成されるsiNA分子は、約1〜約4(例えば、約1、2、3または4)のヌクレオチドのオーバーハングを含む。オーバーハング中のヌクレオチドは、同一のヌクレオチドでも異なるヌクレオチドでもよい。いくつかの実施形態では、オーバーハングは、二本鎖siNA分子の一方または両方の鎖の3’端部(または3’末端)において生じる。例えば、二本鎖siNA分子は、アンチセンス鎖/領域の3’末端、センス鎖/領域の3’末端、またはアンチセンス鎖/領域およびセンス鎖/領域の両方の3’末端において、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドオーバーハングを含むことができる。オーバーハングヌクレオチドは、修飾されていてもされていなくてもよい。
いくつかの実施形態では、siNA分子のオーバーハング部分を構成するヌクレオチドはミオスタチン標的核酸配列に基づいた配列を含み、アンチセンス鎖/領域のオーバーハング部分を構成するヌクレオチドは、ミオスタチン標的ポリヌクレオチド配列内のヌクレオチドに相補的であり、および/またはセンス鎖/領域のオーバーハング部分を構成するヌクレオチドは、ミオスタチン標的ポリヌクレオチド配列からのヌクレオチドを含む。従って、いくつかの実施形態では、オーバーハングは、ミオスタチン標的ポリヌクレオチド配列の一部に対して相補的である2ヌクレオチドオーバーハングを含む。しかしながら、他の実施形態では、オーバーハングは、ミオスタチン標的核酸配列の一部に対して相補的でない2ヌクレオチドオーバーハングを含む。ある実施形態では、オーバーハングは、ミオスタチン標的核酸配列の一部に対して相補的でない3’−UUオーバーハングを含む。他の実施形態では、オーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端のUUオーバーハングと、センス鎖の3’末端のTTオーバーハングとを含む。
3’末端ヌクレオチドオーバーハングを有する本明細書に記載されるsiNA分子の実施形態のいずれにおいても、オーバーハングは、任意選択で、1つまたは複数の核酸糖、塩基、または骨格位置において化学修飾される。二本鎖siNA分子のオーバーハング部分の修飾ヌクレオチドの代表的であるが非限定的な例としては、2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル)、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ(FANA)、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、普遍的な塩基、非環式、または5−C−メチルヌクレオチドが挙げられる。より好ましい実施形態では、オーバーハングヌクレオチドはそれぞれ独立して、2’−O−アルキルヌクレオチド、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2−フルオロヌクレオチド、または2’−デオキシリボヌクレオチドである。いくつかの例では、オーバーハングヌクレオチドは、1つまたは複数のホスホロチオアート結合によって連結される。
さらに他の実施形態では、本明細書に記載されるミオスタチンsiNAコンジュゲート内に含まれるsiNA分子は、平滑末端を有する(すなわち、ヌクレオチドオーバーハングがない)二本鎖核酸分子を含み、分子の両末端が平滑であるか、あるいは末端の一方が平滑である。いくつかの実施形態では、siNA分子は1つの平滑末端を含み、この場合、例えば、アンチセンス鎖の5’末端およびセンス鎖の3’末端がオーバーハングヌクレオチドを有さないか、あるいはアンチセンス鎖の3’末端およびセンス鎖の5’末端がオーバーハングヌクレオチドを有さない。他の実施形態では、siNA分子は2つの平滑末端を含み、この場合、例えば、アンチセンス鎖の3’末端およびセンス鎖の5’末端、ならびにアンチセンス鎖の5’末端およびセンス鎖の3’末端がオーバーハングヌクレオチドを有さない。
本明細書に記載されるミオスタチンsiNAコンジュゲート内に含まれるsiNA分子の実施形態または態様のいずれにおいても、センス鎖および/またはアンチセンス鎖はさらに、本明細書に記載されるかあるいは当該技術分野において知られているようなキャップを有する。キャップは、アンチセンス鎖の3’末端、センス鎖の5’末端、および/またはセンス鎖の3’末端に存在し得る。ヘアピンsiNA分子の場合、キャップは、ポリヌクレオチドの3’末端に存在し得る。いくつかの実施形態では、キャップは、二本鎖siNA分子のセンス鎖の一方または両方の末端にある。他の実施形態では、キャップは、アンチセンス(ガイド)鎖の3’末端にある。他の実施形態では、キャップは、センス鎖の3’末端およびセンス鎖の5’末端にある。このような末端キャップの代表的であるが非限定的な例としては、逆位脱塩基ヌクレオチドおよびその誘導体(例えば、逆位デオキシ脱塩基ヌクレオチド、テトラ−N−アセチルガラクトサミンアミノヘキシルホスファート逆位脱塩基ヌクレオチド、逆位ヌクレオチド部分、グリセリル修飾、アルキルまたはシクロアルキル基、複素環または当該技術分野において一般的に知られている任意の他のキャップが挙げられる。
本明細書に記載されるsiNA分子の実施形態はいずれも、5’リン酸末端を有することができる。いくつかの実施形態では、siNA分子は末端リン酸を含まない。
ある実施形態では、本明細書に記載されるミオスタチンsiNAコンジュゲート内に含まれる二本鎖siNA分子は、約3〜約30(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)の塩基対を含む。一般的に、siNA分子の二本鎖構造は15〜30の間の塩基対、より一般的には18〜25の間の塩基対、さらにより一般的には19〜24の間の塩基対、最も一般的には19〜21の間の塩基対の長さである。一実施形態では、二本鎖siNA分子は19塩基対を含む。一実施形態では、二本鎖siNA分子は20塩基対を含む。一実施形態では、二本鎖siNA分子は21塩基対を含む。二本鎖siNA分子は非対称または対称であり得る。本発明のこの態様の他の実施形態では、siNA二本鎖分子はヘアピン構造である。
任意のsiNA分子は、1つまたは複数の化学修飾ヌクレオチドを含むことができる。修飾は、安定性、活性、毒性、免疫応答(例えば、インターフェロン応答、炎症性もしくは炎症促進性のサイトカイン応答、またはToll様受容体応答の刺激の阻害)、および/または生物学的利用能などのインビトロまたはインビボ特性を改善するために使用することができる。本明細書に開示される種々の化学修飾siNAモチーフは、非修飾または最小限に修飾された活性siRNAと実質的に類似したRNAi活性を保持する可能性がある(例えば、Elbashir et al.,2001,EMBO J.,20:6877−6888を参照)が、同時に、治療用途における使用に適したヌクレアーゼ抵抗性および薬物動態特性を提供する。
本発明の方法によって使用されるミオスタチンsiNAコンジュゲートで構成されるsiNA分子の特定の実施形態では、アンチセンスおよび/またはセンス鎖中に存在する任意の(例えば、1つ、複数または全ての)ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであり得る(例えば、1つのヌクレオチドが修飾される、いくつかのヌクレオチド(すなわち、複数または1つよりも多い)が修飾される、あるいは分子の全てのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドである)。修飾には、糖修飾、塩基修飾、骨格(ヌクレオシド間結合)修飾、非ヌクレオチド修飾、および/またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。
本明細書に記載されるコンジュゲートのsiNA分子部分における使用に適した化学修飾の非限定的な例は、米国特許第8,202,979号明細書および米国特許出願第10/981,966号明細書および米国特許出願第12/064,014号明細書(それぞれ米国特許出願公開第20050266422号明細書および米国特許出願公開第20090176725号明細書として公開)ならびにそこに引用される参考文献に開示されており、糖、塩基、および骨格修飾、非ヌクレオチド修飾、および/またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。これらの米国特許および特許出願は、siNA分子と共に使用するのに適した化学修飾を記述するための参考文献として本明細書に援用される。
単一のsiNA分子内に存在するヌクレオチドの化学修飾は同一でも異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、siNA分子の少なくとも1つの鎖は、少なくとも1つの化学修飾を有する。他の実施形態では、各鎖は、糖、塩基、または骨格(すなわち、ヌクレオチド間結合)修飾などの、同一でも異なっていてもよい少なくとも1つの化学修飾を有する。他の実施形態では、siNA分子は、少なくとも2、3、4、5、またはそれを超える化学修飾を含有する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って投与されるミオスタチンsiNAコンジュゲート内に含まれるsiNA分子は、化学修飾により部分的に修飾される(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、または59のヌクレオチドが修飾される)。いくつかの実施形態では、siNA分子は、アンチセンス鎖の5’修飾ヌクレオチドを除いて、少なくとも約8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、または60の、修飾ヌクレオチドであるヌクレオチドを含む。他の実施形態では、siNA分子は、化学修飾により完全に修飾され(100%修飾)、すなわち、siNA分子は、リボヌクレオチドを含有しない。いくつかの実施形態では、siNA分子のセンス鎖中のヌクレオチドの1つまたは複数が修飾される。いくつかのまたは他の実施形態では、アンチセンス鎖の5’修飾ヌクレオチドを除いて、siNA分子のアンチセンス鎖中のヌクレオチドの1つまたは複数が修飾される。いくつかの実施形態では、siNA分子の一方または両方の鎖において独立して、ヌクレオチド位置の1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)が修飾される。
siNA分子内に含有される修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチドの糖部分の2’炭素および/または糖部分の3’炭素における修飾を有するものを含む。本発明のある特定の実施形態では、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドは、当該技術分野において一般的に認識されるように、2’−デオキシ−2−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシヌクレオチド、2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル)ヌクレオチド、2’−メトキシエトキシまたはロックド核酸(LNA)ヌクレオチドである。
本発明のさらに他の実施形態では、少なくとも1つのヌクレオチドは、リボ様ノーザン(Northern)またはA型ヘリックス立体配置を有する(例えば、Saenger,Principles of Nucleic Acid Structure,Springer−Verlag ed.,1984を参照)。ノーザン立体配置を有するヌクレオチドの非限定的な例としては、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド(例えば、2’−O、4’−C−メチレン−(D−リボフラノシル)ヌクレオチドs);2’−メトキシエトキシ(MOE)ヌクレオチド;2’−メチル−チオ−エチルヌクレオチド;2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド;2’−デオキシ−2’−クロロヌクレオチド;2’−アジドヌクレオチド;2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド;2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド;2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド;4’−チオヌクレオチド;および2’−O−メチルヌクレオチドが挙げられる。種々の実施形態では、二本鎖siNA分子中に存在するピリミジンヌクレオチドの大多数(例えば、50%よりも多い)は糖修飾を含む。同じおよび/または他の実施形態のいくつかにおいて、二本鎖siNA分子中に存在するプリンヌクレオチドの大多数(例えば、50%よりも多い)は糖修飾を含む。
ある場合には、siNA分子のプリンおよびピリミジンヌクレオチドは差別的に修飾される。1つの例では、プリンおよびピリミジンヌクレオチドは、糖部分の2’炭素において差別的に修飾され得る(すなわち、少なくとも1つのプリンは、糖部分の2’炭素において、同じまたは異なる鎖中の少なくとも1つのピリミジンとは異なる修飾を有する)。ある実施形態では、プリンは、一方または両方の鎖において非修飾であるが、一方または両方の鎖のピリミジンは修飾される。いくつかの他の場合には、ピリミジンは一方または両方の鎖において非修飾であるが、一方または両方の鎖のプリンは修飾される。siNA分子が本明細書に記載される1つまたは複数の修飾を含む特定の場合には、アンチセンス(ガイド)鎖の5’末端の第2位および第3位のヌクレオチドは修飾されない。
siNA分子のいくつかの実施形態では、アンチセンス鎖中のピリミジンヌクレオチドは2’−O−メチルまたは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、アンチセンス鎖中に存在するプリンヌクレオチドは2’−O−メチルヌクレオチドまたは2’−デオキシヌクレオチドである。ある実施形態では、siNA分子のアンチセンス鎖の相補的な領域中のピリミジンヌクレオチドの全てが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。ある実施形態では、アンチセンス鎖の相補的な領域中のプリンの全てが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
siNA分子の他の実施形態では、センス鎖中のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス鎖中に存在するプリンヌクレオチドは2’−O−メチルまたは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。本発明の特定の実施形態では、センス鎖の相補的な領域中のピリミジンヌクレオチドの全てが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。ある実施形態では、センス鎖の相補的な領域中のプリンヌクレオチドの全てが2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
ある実施形態では、センス鎖の相補的な領域中のピリミジンヌクレオチドの全てが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、アンチセンス鎖の相補的な領域中のピリミジンヌクレオチドの全てが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス鎖の相補的な領域中のプリンヌクレオチドの全てが2’−デオキシプリンヌクレオチドであり、アンチセンス鎖の相補的な領域中のプリンの全てが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
いくつかの実施形態では、siNA分子の一方または両方の鎖中のピリミジンヌクレオチドの少なくとも5個以上が2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、一方または両方の鎖中のピリミジンヌクレオチド少なくとも5個以上が2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、一方または両方の鎖中のプリンヌクレオチドの少なくとも5個以上が2’−デオキシ−2’−フルオロプリンヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、一方または両方の鎖中のプリンヌクレオチドの少なくとも5個以上が2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
ある実施形態では、siNA分子は、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。修飾ヌクレオシド間連結基は、2’ヌクレオシド間連結基(例えば、ホスホジエステルおよびホスホロチオアート2’−5’ヌクレオシド間結合)を含むがこれらの限定されないホスホジエステル3’−5’ヌクレオシド間連結基以外の連結基である。ある実施形態では、各ヌクレオシド間連結基は独立して、2’または3’ホスホジエステルまたはホスホロチオアートヌクレオシド間連結基である。ある実施形態では、siNA分子のいずれかまたは両方の鎖の最5’−ヌクレオシド間連結基は、ホスホロチオアート連結基である。ある実施形態では、siNA分子は、3〜12の隣接ホスホロチオアート連結基を含み、このホスホロチオアート連結基は、2’または3’ヌクレオシド間連結基のいずれかである。ある実施形態では、siNA分子は6〜8の隣接ホスホロチオアート連結基を含み、このホスホロチオアート連結基は、2’または3’ヌクレオシド間連結基のいずれかである。ある実施形態では、siNA分子のアンチセンスおよび/またはセンス鎖の3’末端は、ホスホロチオアート連結基を含む。ある実施形態では、siNA分子は、アンチセンスおよび/またはセンス鎖の3’末端に6〜8の隣接ホスホロチオアート連結基を含み、このホスホロチオアート連結基は、2’または3’ヌクレオシド間連結基のいずれかである。
引用される参考文献のものを含む上記の修飾のいずれかまたはその組み合わせは、本発明の方法および使用に従って投与されるミオスタチンsiNAコンジュゲート内に含まれるsiNA分子のいずれかに適用され得る。
ミオスタチンsiNA分子は、当業者に知られているいくつかの技術を用いて得ることができる。例えば、siNA分子は、当該技術分野において知られているプロトコルを用いて化学的に合成することができる(例えば、Caruthers et al.,1992,Methods in Enzymology 211,3−19;Thompson et al.,国際PCT公開国際公開第99/54459号パンフレット;Wincott et al.,1995,Nucleic Acids Res.23,2677−2684;Wincott et al.,1997,Methods Mol.Bio.,74,59;Brennan et al.,1998,Biotechnol Bioeng.,61,33−45;Brennan,米国特許第6,001,311号明細書;Usman et al.,1987,J.Am.Chem.Soc.,109,7845;およびScaringe et al.,1990,Nucleic Acids Res.,18,5433において記載される)。当該技術分野において記載されているオリゴヌクレオチドの合成は、5’末端のジメトキシトリチル、および3’−または2’末端のホスホラミダイトなどの、一般的な核酸保護およびカップリング基を使用する。
ある実施形態では、siNA分子は、例えば、米国特許第6,995,259号明細書、米国特許第6,686,463号明細書、米国特許第6,673,918号明細書、米国特許第6,649,751号明細書、米国特許第6,989,442号明細書、および米国特許第7,205,399号明細書に記載される方法に従って、合成、脱保護、および分析される。非限定的な合成例では、394 Applied Biosystems,Inc.合成機において、2’−O−メチル化ヌクレオチドについては2.5分のカップリングステップ、および2’−デオキシヌクレオチドまたは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドについては45秒のカップリングステップによる0.2μmolスケールのプロトコルを用いて小規模の合成が実行される。
あるいは、siNA分子は別々に合成され、例えば、ライゲーション(例えば、Moore et al.,1992,Science 256,9923;Draper et al.,国際PCT公開国際公開第93/23569号パンフレット;Shabarova et al.,1991,Nucleic Acids Research 19,4247;Bellon et al.,1997,Nucleosides&Nucleotides,16,951;およびBellon et al.,1997,Bioconjugate Chem.8,204)によって、あるいは合成および/または脱保護後のハイブリダイゼーションによって、合成後に結合されてもよい。
C.ミオスタチンsiNAコンジュゲート
本発明は、RNA干渉を媒介し、ミオスタチンのインビボにおける発現を低減することができるミオスタチンsiNA分子および対象にミオスタチンsiNA分子を送達するための方法を提供し、本明細書において開示される方法に従って送達されるsiNA分子が、コレステロールなどの親油性部分に連結される。親油性部分連結ミオスタチンsiNA分子は、本明細書においてミオスタチンsiNAコンジュゲートと呼ばれる。一実施形態では、本発明の方法によって送達されるミオスタチンsiNAコンジュゲートは、リポソーム(例えば脂質ナノ粒子)を形成する脂質製剤内で製剤されない。あらゆる特定の理論によって束縛されることを望むものではないが、親油性部分の付加は、ミオスタチンsiNA分子の親油性を増加させ、筋細胞中へのsiNA分子の移行を増強すると考えられる。
ミオスタチンsiNAコンジュゲートを形成するためにミオスタチンsiNA分子に連結することができる親油性部分の例は、コレステロール、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、リノール酸、オレイル、レチニル、コレステリル残基、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジンを含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、連結される親油性部分が、コレステロールである。
ある実施形態では、親油性部分が、siNA分子に直接付加される。これらの実施形態では、親油性部分が、本発明の目的のために、siNA分子に「連結される」または「コンジュゲートされる」となお見なされる。ある実施形態では、親油性部分が、従来のリンカーまたはスペーサー分子によってsiNA分子に付加される。リンカーまたはスペーサーは、核酸または非核酸リンカー/スペーサーとすることができる。多くのリンカー分子が、市販で入手可能である。適したリンカーは、直鎖状または分岐鎖炭素リンカー、複素環式炭素リンカー、またはペプチドリンカーを含むが、これらに限定されない。リンカーまたはスペーサー分子は、一般に、合わせられている分子に結合するか、またはそれらの間でいくらかの最小限の距離もしくは他の空間的関係を保つ以外に、特異的な生物学的活性を有していないが、ペプチドスペーサーの構成アミノ酸は、フォールディング、実効電荷、または疎水性など、分子のいくつかの特性に影響を及ぼすように選択されてもよい。
リンカー/スペーサーは、生分解性の核酸リンカーとすることができる。核酸ベースの生分解性リンカー分子の安定性は、様々な化学的性質、例えば、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、ならびに2’−O−メチル、2’−フルオロ、2’−アミノ、2’−O−アミノ、2’−C−アリル、2’−O−アリル、および他の2’修飾または塩基修飾ヌクレオチドなどの化学修飾ヌクレオチドの組み合わせを使用することによって調整することができる。生分解性核酸リンカー分子は、2量体、3量体、4量体またはそれよりも長い核酸分子、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドであってもよく、あるいはリンベースの結合、例えばホスホラミダイト(phosphoramidite)またはホスホジエステル結合を有する単一のヌクレオチドを含むこともできる。また生分解性核酸リンカー分子は、核酸骨格、核酸糖、または核酸塩基修飾を含むこともできる。
親油性部分は、siNA分子の末端(例えばsiNA分子のオリゴヌクレオチド鎖の3’もしくは5’エンド)への付加を通してまたはsiNA分子の内部にあるヌクレオチドへの連結を通して、ミオスタチンsiNA分子に付加される。一実施形態では、親油性部分が、二本鎖ミオスタチンsiNA分子のパッセンジャー鎖(センス鎖)の3’エンドに付加される。一実施形態では、親油性部分が、二本鎖ミオスタチンsiNA分子のパッセンジャー鎖の5’エンドに付加される。さらなる実施形態では、親油性部分が、ミオスタチンsiNA分子のガイド鎖(アンチセンス鎖)の3’エンドに付加される。さらなる実施形態では、親油性部分が、ミオスタチンsiNA分子のガイド鎖(アンチセンス鎖)の5’エンドに付加される。さらなる実施形態では、ミオスタチンsiNAコンジュゲートが、2つ以上の付加された親油性部分(例えば、パッセンジャー鎖の3’および5’エンドの両方に付加された親油性部分;ガイド鎖の3’エンドおよびパッセンジャー鎖の5’エンドに付加された親油性部分)を含有する。本発明の本態様では、親油性部分を同じまたは異なるものとすることができる。
ある実施形態では、ミオスタチンsiNAコンジュゲートが、親油基へのミオスタチンsiNA分子の全てまたは一部を化学的にコンジュゲートすることによって調製される。化学的に分子をコンジュゲートする手段は、当業者によく知られている。そのような手段は、付加される部分の構造によって変わるであろうが、当業者に容易に確かめられる。
本発明は、キットの形態をしたミオスタチンsiNAコンジュゲートをさらに提供する。本キットは容器を含み得る。一実施形態では、キットが、全身投与についての説明書と共に1つまたは複数のミオスタチンsiNAコンジュゲートを含有する。キットは、薬学的に許容可能な担体または希釈剤内にミオスタチンsiNAコンジュゲートを含んでいてもよい。本キットはさらに賦形剤を含み得る。
D.使用
本明細書において記載されるミオスタチンsiNAコンジュゲートを全身的に投与するための方法は、RNAi干渉メカニズムによって(例えばミオスタチンmRNAを分解することによって)ミオスタチン標的核酸(例えばミオスタチン標的遺伝子)のインビボにおける発現および/または活性を調整および/または調節する(例えば阻害する、下方制御する)のに有用である。ミオスタチン標的核酸のインビボにおける発現の調整は、筋肉量の増加および/または筋肉の性能の増強をもたらす。方法は、1つまたは複数の筋骨格系疾患状態を治療するための治療レジメンにおいて、さらに有用であってもよい。一実施形態では、疾患の阻害は、対象の疾患の進行を直接測定することによって評価され得る。これは、疾患に関連する状態の変化または回復の観察を通して推測することもできる。本発明の方法は、予防として使用されるさらなる可能性を有する。従って、本明細書において記載されるミオスタチンsiNA分子コンジュゲートおよび医薬組成物の使用は、ミオスタチン遺伝子発現の制御に関連する病状を回復させる、治療する、予防する、および/または治癒させる可能性を有する。ミオスタチンsiNAコンジュゲートは、筋肉量を増加させ、および/または筋肉の性能を増強するために美容のための適用においておよび/または獣医学の目的のために使用される可能性をさらに有する。
本発明の実施形態では、本明細書において記載されるミオスタチンsiNAコンジュゲートが全身的に投与される対象が、筋骨格系疾患または障害を患っている。一実施形態では、筋骨格系疾患または障害が、筋萎縮症を引き起こすまたはもたらす状態を含む。筋萎縮症は、コルチゾール、デキサメタゾン、ベータメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニソロン、またはプレドニゾロンなどのグルココルチコイドによる治療に起因し得る。筋萎縮症はまた、神経外傷による脱神経の結果または変性、代謝性、もしくは炎症性ニューロパシーの結果とすることもできる。例えば、筋萎縮症は、成人性運動ニューロン疾患、ギラン−バレー症候群、乳児脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、若年性脊髄性筋萎縮症、多巣性伝導ブロックを有する自己免疫性運動ニューロパシー、脳卒中または脊髄損傷による麻痺、外傷による骨格の固定、長期床上安静、随意の不活動、不随意性の不活動、および代謝性ストレスまたは栄養不足の結果とすることができる。筋萎縮症は、例えば筋緊張症を含むミオパシー;ネマリンミオパシー、マルチ/ミニコアミオパシー、および筋細管(中心核)ミオパシーを含む先天性ミオパシー;ミトコンドリア性ミオパシー;家族性周期性四肢麻痺;炎症性筋疾患;グリコーゲンまたは脂質の蓄積症によって引き起こされるなどの代謝性ミオパシー;皮膚筋炎;多発筋炎;封入体筋炎;骨化性筋炎;横紋筋融解症およびミオグロビン尿症の結果とすることができる。ミオパシーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(良性偽肥大性筋ジストロフィーとしても知られている)、筋緊張性ジストロフィー、肩甲上腕および顔面肩甲上腕筋ジストロフィー、エメリ−ドレフュス型筋ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、福山型先天性筋ジストロフィー、または遺伝性末梢性ミオパシーなどの筋ジストロフィー症候群によって引き起こされてもよい。
筋骨格系疾患もしくは障害、または筋骨格系疾患もしくは障害をもたらす状態のさらなる例は、サルコペニア、皮膚萎縮症、筋消耗、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、変形性関節症、免疫学的不全、高血圧、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢性黄斑変性症、癌、脳卒中、虚弱、記憶喪失、腎機能障害、代謝障害(II型糖尿病、メタボリックシンドローム、高血糖症、肥満、甲状腺障害を含む)、悪液質(関節リウマチに関連する悪液質および癌に関連する悪液質を含む)、急性および/または慢性腎疾患または不全、肝臓疾患(例えば線維症、肝硬変など)癌(横紋筋肉腫、前立腺癌、乳癌、肝細胞がん、および胃腸癌を含む)、パーキンソン病;貧血、環境毒素または薬物に対する暴露、HIV/AIDS、絶食、良性先天性ヒポトニア、セントラルコア病、熱傷、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、鬱血性心不全、老化または年齢関連性の状態、ならびに宇宙旅行または無重力環境において費やされた時間を含む。
ミオスタチンsiNAコンジュゲートおよびその医薬品製剤は、単独で対象に投与することもでき、あるいは筋骨格系疾患、障害、状態、および形質を予防または治療するための既知の治療薬、治療、または手順を含む1つまたは複数の他の療法と組み合わせて使用することもできる。組み合わせは、医薬組成物の形態で使用するために便利に提供されることが可能であり、医薬組成物は、ミオスタチンsiNAコンジュゲート、薬学的に許容可能な希釈剤または担体、および1つまたは複数の付加的な治療薬を含む組み合わせを含む。あるいは、このような組み合わせの個々の成分は、別々のまたは結合された医薬品製剤において順次または同時に投与することができる。
標準的な医療(例えば筋ジストロフィーのためのコルチコステロイド)との本発明の方法の組み合わせは、新規な療法との組み合わせがあるように、特に企図される。例えば、遺伝的筋ジストロフィーの治療のために、本発明の方法は、フォリスタチン投与と合わせられ、その遺伝病を直すための同時のまたは付随する治療が続いてもよい。遺伝病を直すことは、例えば、サルコグリカン欠乏症においてサルコグリカンを補充すること、デュシェンヌ筋ジストロフィーなどの障害を直すまたはジストロフィンを補充すること、IGF−1または突然変異体SOD1干渉戦略によりALS患者を治療することを含んでいてもよい。本発明の方法による治療について企図される障害において、かなりの量の筋肉が失われ得ることを考慮すれば、筋肉の救出は、続く遺伝子修正のための土台(保存されたまたは再生された筋肉)をもたらすであろう。この点で、筋肉を増強し、筋肉サイズを増加させるためにミオスタチンを阻害し、次いで、第2の治療を提供することが考えられる。筋ジストロフィーのためのそのような第2の治療は、IGF−1、エキソンスキッピング、カルパイン阻害、ジストロフィンアップレギュレーション、およびジストログリカン発現であってもよい。ミオスタチン阻害は、筋肉前駆細胞(衛星細胞、幹細胞)と協力して、より多くのこれらの細胞が組織中に組み込まれるのを可能にし得る。
E.医薬組成物
本発明のミオスタチンsiNAコンジュゲートは、好ましくは、当該技術分野において既知の技術に従って、対象に全身的に投与する前に医薬組成物として処方される。医薬組成物は、少なくとも無菌であり、発熱物質を含有しないものとして特徴付けられる。医薬組成物の調製方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.(1985)に記載されるように当該技術分野の技能の範囲内である。
ミオスタチンsiNAコンジュゲートの医薬組成物はさらに、従来の医薬賦形剤および/または添加剤を含む。適切な医薬賦形剤には、防腐剤、香味剤、安定剤、酸化防止剤、浸透圧調整剤、緩衝液、およびpH調整剤が含まれる。適切な添加剤には、生理学的に生体適合性の緩衝液(例えば、トリメチルアミン塩酸塩)、キレート剤(例えば、DTPAまたはDTPA−ビスアミドなど)、もしくはカルシウムキレート錯体(例えば、カルシウムDTPA、CaNaDTPA−ビスアミド)の添加、または任意選択で、カルシウムもしくはナトリウム塩(例えば、塩化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウムまたは乳酸カルシウム)の添加が含まれる。さらに、酸化防止剤および懸濁化剤を使用することができる。
経口使用が意図される組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野において知られている方法、とりわけ、オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物の製造のための当技術分野において知られている方法によって調製されてもよい。例えば、siRNAおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドの経口送達は、分解からそれらを保護し、腸のパイエル板におけるM細胞にそれらを向ける生分解性粒子内にsiRNAをカプセル化することを通して実現された(Akhtar,S.,2009,J.Drug Target.17:491−495を参照)。経口組成物は、薬学的に簡潔で味のよい調製物を提供するために、1つまたは複数のそのような甘味料、調味料、着色料、または防腐剤を含有することができる。錠剤は、錠剤の製造に適した無毒性の薬学的に許容可能な賦形剤と混合された活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなど)、顆粒化および崩壊剤(例えば、コーンスターチ、またはアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア)、ならびに潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルク)であり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、あるいは既知の技術によってコーティングされてもよい。いくつかの場合には、このようなコーティングは、胃腸管内での崩壊および吸収を遅延し、それにより、より長い期間にわたる持続作用を提供するために、既知の技術によって調製することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用することができる。
また経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンなど)と混合された硬ゼラチンカプセルとして、あるいは活性成分が水または油媒体(例えば、ピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油など)と混合された軟ゼラチンカプセルとして提供することができる。
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性材料を含有する。このような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピル−メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムであり、分散または湿潤剤は、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアラート)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアート)であり得る。また水性懸濁液は、1つまたは複数の防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル)、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の香味剤、および1つまたは複数の甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリンなど)を含有することもできる。
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油)または鉱油(例えば、流動パラフィン)中に懸濁させることによって処方することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有することができる。甘味剤および香味剤は、美味の経口調製物を提供するために添加され得る。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤の添加によって保存され得る。
本発明の医薬組成物は、水中油エマルションの形態でもあり得る。油相は、植物油または鉱油またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に存在するガム(例えば、アカシアガムまたはトラガカントガム)、天然に存在するホスファチド(例えば、大豆、レシチン、ならびに脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレアート)、および前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)であり得る。エマルションは、甘味剤および香味剤を含有することもできる。
シロップおよびエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、グルコースまたはスクロースと共に処方することができる。このような製剤は、粘滑薬、防腐剤、ならびに香味および着色剤を含有することもできる。医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上記のような適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて既知の技術に従って処方することができる。また無菌の注射可能な調製物は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用することができる許容可能な媒体および溶媒としては、水、リンゲル溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として従来通りに使用される。この目的で、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の低刺激性の不揮発性油を使用することができる。さらに、注射剤の調製においてオレイン酸などの脂肪酸の使用が見出される。
ミオスタチンsiNAコンジュゲートは、例えば薬物の直腸投与のための坐薬の形態をとることができる。これらの組成物は、常温で固体であるが直腸温度では液体であり、従って直腸内で溶融して薬物を放出し得る適切な非刺激性賦形剤と、薬物とを混合することによって調製することができる。このような材料には、ココアバターおよびポリエチレングリコールが含まれる。
本明細書に記載されるミオスタチンsiNAコンジュゲートは、静脈内投与のために無菌媒体中で処方することができる。分子は、使用される媒体および濃度に応じて、媒体中に懸濁または溶解され得る。有利に、局所麻酔薬、防腐剤および緩衝剤などの補助剤が媒体中に溶解され得る。
他の実施形態では、肺送達で使用するために本明細書で提供されるミオスタチンsiNAコンジュゲート製剤はさらに、1つまたは複数の界面活性剤を含む。本発明の組成物の取込みを増強するために適切な界面活性剤または界面活性剤成分には、とりわけ、サーファクタントタンパク質A、サーファクタントタンパク質B、サーファクタントタンパク質C、サーファクタントタンパク質Dおよびサーファクタントタンパク質E、二飽和ホスファチジルコリン(ジパルミトイル以外)、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン;ホスファチジン酸、ユビキノン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン、パルミトイル−リゾホスファチジルコリン、デヒドロエピアンドロステロン、ドリコール、スルファチジン酸(sulfatidic acid)、グリセロール−3−リン酸、ジヒドロキシアセトンリン酸、グリセロール、グリセロ(glycero)−3−ホスホコリン、ジヒドロキシアセトン、パルミタート、シチジン二リン酸(CDP)ジアシルグリセロール、CDPコリン、コリン、および/またはコリンリン酸の合成および天然ならびに完全および切断型;ならびに、界面活性剤の成分、オメガ−3脂肪酸、ポリエン酸(polyenic acid)、ポリエン酸(polyenoic acid)、レシチン、パルミチン酸、エチレンまたはプロピレンオキシドの非イオン性ブロックコポリマー、ポリオキシプロピレン、モノマーおよびポリマー、ポリオキシエチレン、モノマーおよびポリマー、デキストランおよび/またはアルカノイル側鎖を有するポリ(ビニルアミン)、Brij 35、Triton X−100および合成界面活性剤 ALEC、Exosurf、SurvanおよびAtovaquoneのための天然担体媒体である天然および人工層状体(lamellar bodies)が含まれる。これらの界面活性剤は、製剤中の単一の界面活性剤または多成分界面活性剤の一部として、あるいは本明細書中の医薬組成物の核酸成分の5’および/または3’末端への共有結合付加として使用することができる。
一実施形態では、ミオスタチンsiNAコンジュゲートは、吸入器またはネブライザーによって投与されるエアロゾルまたは噴霧乾燥製剤の吸入などにより、関連の肺組織への核酸分子の急速な局所的取込みを提供する、肺送達による投与のために処方することができる。微粉化した核酸組成物の呼吸性乾燥粒子を含有する固体微粒子組成物は、乾燥または凍結乾燥した核酸組成物を粉砕し、次に微粉化した組成物を例えば400メッシュのスクリーンに通過させて、大きい凝集体を破壊または分離除去することによって調製することができる。siNAコンジュゲート組成物を含む固体微粒子組成物は、任意選択で、エアロゾルの形成を容易にする役割を果たす分散剤、および他の治療化合物を含有することができる。適切な分散剤は、任意の適切な比率(例えば、1対1の重量比)で核酸化合物とブレンドすることができるラクトースである。
本明細書に記載されるsiNAコンジュゲートを含むスプレー組成物は、例えば、適切な液化噴射剤の使用により加圧パック(例えば、定量吸入器など)から送達される、水溶液または懸濁液またはエアロゾルとして処方することができる。一実施形態では、吸入に適したエアロゾル組成物は懸濁液または溶液のいずれかでよく、一般的に、siNAコンジュゲートと、フルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンまたはこれらの混合物、特にヒドロフルオロアルカン(特に、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはこれらの混合物)などの適切な噴射剤とを含有する。エアロゾル組成物は、任意選択で、界面活性剤などの当該技術分野において周知の付加的な製剤賦形剤を含有することができる。非限定的な例としては、オレイン酸、レシチンまたはオリゴ乳酸または誘導体、例えば国際公開第94/21229号パンフレットおよび国際公開第98/34596号パンフレットに記載されているものなど、および共溶媒、例えばエタノールが挙げられる。一実施形態では、医薬エアロゾル製剤は、siNAコンジュゲートと、噴射剤としてのフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンまたはこれらの混合物とを含み、任意選択で、界面活性剤および/または共溶媒と組み合わせられる。
エアロゾル製剤は、適切な緩衝剤の添加により緩衝され得る。
エアロゾル製剤は、製剤が無菌で調製されていない場合の防腐剤を含む、任意選択の添加剤を含むことができる。非限定的な例としては、ヒドロキシ安息香酸メチル、酸化防止剤、香味剤、揮発性油、緩衝剤および乳化剤、ならびに他の製剤界面活性剤が挙げられる。一実施形態では、分解を低減し、より安全な生体適合性の非液体微粒子懸濁組成物を提供するために、フルオロカーボンまたはペルフルオロカーボン担体が使用される。別の実施形態では、ネブライザーを含むデバイスが、静菌性であるフルオロケミカルを含むsiNAコンジュゲート組成物を送達し、それにより、互換性のデバイスにおける微生物の増殖の可能性が低減される。
吸入器または吸入具において使用するための例えばゼラチンの、ミオスタチンsiNAコンジュゲート組成物を含むカプセルおよびカートリッジは、本発明の化合物とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤との吸入のための粉末混合物を含有するように処方することができる。一実施形態では、各カプセルまたはカートリッジは、siNAコンジュゲートと、1つまたは複数の賦形剤とを含有する。別の実施形態では、siNAコンジュゲートは、ラクトースなどの賦形剤を含まずに調製することができる。
siNAコンジュゲートは、国際公開第05/044354号パンフレットに記載および説明されるものなどの流体ディスペンサーからの送達のための流体製剤として処方することもできる。
F.投与
ミオスタチンsiNAコンジュゲートおよびその医薬組成物は、全身投与の様々な形態のいずれかによって対象に導入される。本発明の目的のために、全身投与は、当該技術分野において一般的に知られているように、肺(吸入、噴霧化など)、静脈内、皮下、カテーテル法、鼻咽頭、または経口/胃腸投与を含むことができる。本発明の投与方法のさらなる非限定的な例としては、頬側、舌下、非経口(すなわち、静脈内、腹腔内、皮下、または筋肉内)、局所直腸投与または他の局所投与が挙げられる。血流中のミオスタチンsiNAコンジュゲートの吸収または蓄積の後、全身にわたる分配をもたらす。一実施形態では、ミオスタチンsiNAコンジュゲートおよびその医薬組成物が、ガス注入および吸入によって投与することができる。一実施形態では、ミオスタチンsiNAコンジュゲートおよびその医薬組成物は、ボーラス注射によって静脈内または腹腔内に投与される(例えば、米国特許第5,286,634号明細書を参照)。別の実施形態では、ミオスタチンsiNAコンジュゲートおよびその医薬組成物が、皮下に投与される。さらなる実施形態では、ミオスタチンsiNAコンジュゲートおよびその医薬組成物が、卵中に含有されている一方で、トリ胚に卵内投与される。siNAコンジュゲートは、卵の任意の適したコンパートメント(例えば尿膜腔液、卵黄嚢、羊膜、気嚢、または胚の中)に投与されてもよい。
治療用途のために、薬学的に有効な用量のミオスタチンsiNAコンジュゲートまたは医薬組成物は、対象に全身的に投与される。薬学的に有効な用量は、発生を予防する、阻害する、または病状を治療(症状をある程度、好ましくは症状の全てを改善)するのに必要とされる用量である。当業者は、例えば、対象のサイズおよび体重、疾患の進行または侵入の程度、対象の年齢、健康、および性別ならびに全身投与経路などの因子を考慮に入れることによって、所与の対象に全身的に投与すべきミオスタチンsiNAコンジュゲートの治療的に有効な用量を容易に決定することができる。一般的に、負帯電ポリマーの効力に応じて、0.1μg/kg〜100mg/kg体重/日の間の活性成分が投与される。最適な投与スケジュールは、患者の体内の薬物蓄積の測定から算出することができる。ミオスタチンsiNAコンジュゲートは、単回投与または複数回投与で投与することができる。
一実施形態では、本明細書において記載されるsiNAコンジュゲートが、約0.1〜約500mg/kg(mpk)の用量で対象に全身的に送達される。別の実施形態では、siNAコンジュゲートが、約1〜約200mpkの用量で送達される。別の実施形態では、siNAコンジュゲートが、約1〜約100mpkの用量で送達される。別の実施形態では、siNAコンジュゲートが、約5〜約60mpkの用量で送達される。別の実施形態では、siNAコンジュゲートが、約10〜約50mpkの用量で送達される。
ミオスタチンsiNAコンジュゲートは、月1回、週1回、1日1回(QD)投与することができる。例えば、1日2回(BID)、1日3回(TID)、2週間ごとに1回など、毎月、毎週または毎日複数回の投与に分割することもできる。従って、投与は単回投与により達成されてもよく、あるいは分割された投与で達成されてもよい。当業者は、測定された体液または組織内の薬物の滞留時間および濃度に基づいて、投与のための反復率を容易に推定することができる。
さらに、投与は、連続的(例えば、毎日)または間欠的であり得る。例えば、ミオスタチンsiNAコンジュゲートの間欠投与は、週に1〜6日の投与、周期的な投与(例えば、連続した2〜8週間の毎日の投与、次いで最大1週間までの投与を伴わない休止期間)、あるいは1日おきの投与であり得る。
エアロゾル組成物は、呼吸可能なサイズの粒子、例えば、吸入の際に鼻、口および喉頭を通過し、かつ気管支および肺胞を通るために十分に小さいサイズの粒子を含む製剤として、呼吸器系に投与することができる。一般的に、呼吸可能な粒子のサイズは約0.5〜10ミクロンの範囲である。一実施形態では、微粒子の範囲は、1〜5ミクロンであり得る。別の実施形態では、微粒子の範囲は、2〜3ミクロンであり得る。エアロゾル中に含まれる呼吸可能なサイズでない粒子は喉に蓄積して嚥下される傾向にあり、従って、エアロゾル中の呼吸可能でない粒子の量は最小限にされる。経鼻投与の場合、鼻腔内の保持を保証するために10〜500umの範囲の粒径が好ましい。
提供される実施例は、本発明のさらなる理解を補助することが意図される。使用される特定の材料、種および条件は、本発明の説明となるものであり、その妥当な範囲を限定しないことが意図される。特定の出発材料および試薬は市販されているか、あるいは化学、科学または特許文献において知られている。
実施例1:Mtsn siRNA
siRNA合成 − siRNAは、以前に記載されたものと同様の方法によって合成した(Wincott,F.et al.,1995,Nucleic Acids Res.23:2677−84)。それぞれのオリゴヌクレオチド二重鎖について、個々の相補的センスおよびアンチセンス鎖は、市販で入手可能な自動化オリゴシンセサイザー(oligosynthesizer)を使用し、制御された多孔性ガラス(controlled pore glass)上でなどの固体支持体上で最初に合成した。所望の配列の第1の(3’)ヌクレオチド単位が予め装填された固体担体を入手し、オリゴシンセサイザー用の適切なカラムに入れた。第1のヌクレオチドは、コハク酸結合によって固体担体に連結され、5’末端ヒドロキシル基において適切な酸感受性保護基(トリチル、ジメトキシトリチル)を含有した。固相のオリゴ合成(oligosynthesis)は、当該技術分野において一般的に知られている合成手順を使用した。所望のオリゴマー配列の伸長は4段階のサイクルを経た:1)5’−トリチル保護基の酸性脱保護;2)S−エチル−テトラゾールなどの活性化剤の存在下、5’−トリチル(またはジメトキシトリチル)保護ホスホラミダイトとしての次のヌクレオチド単位のカップリング;3)ヨウ素などの酸化剤によるP(III)亜リン酸トリエステルのP(V)リン酸トリエステルへの酸化;および4)無水酢酸などのアシル化剤を用いたエステル化による、残存している任意の未反応アルコール基のキャップ形成。使用したホスホラミダイトは、天然に存在するヌクレオチド単位に由来するか、あるいはこれらのヌクレオチドの化学修飾型に由来した。オリゴヌクレオチド合成サイクルは、最後(5’)のヌクレオチド単位が延長したオリゴマーに導入されるまで続けた。最終サイクルの後、5’−トリチル保護基は、固体担体上にある間に、オリゴヌクレオチドから除去されてもされなくてもよい。いくつかの場合には、酸性溶液による処理によって5’末端トリチルを最初に除去した。
この脱保護の後、オリゴヌクレオチドを担体から切断し、リン酸におけるシアノエチル保護基を除去し、ヌクレオチド塩基におけるアシル保護基を脱保護するために、メチルアミン水などの適切な塩基で固体担体を処理した。各鎖を固体担体から切断した後、逆相(C18)またはイオン交換(SAX)樹脂によるクロマトグラフィで各鎖を精製した。通常、オリゴヌクレオチドは、塩化ナトリウムなどの無機塩のグラジエントによりSAX樹脂から溶出させた。透析または接線流ろ過によって精製サンプルから塩を除去した。
逆相HPLC、SAX HPLCおよびキャピラリーゲル電気泳動を含む適切な方法によって、各精製オリゴヌクレオチドを純度について分析した。オリゴヌクレオチドの同一性は、ESIまたはMALDIなどのイオン化技術を用いる質量分析により確認した。各オリゴヌクレオチドの収率は、理論的に誘導される吸光係数を用いるUV(260nm)によって評価した。
対応するセンスおよびアンチセンス鎖は、等モル量の各材料を混合することによりアニールした。各鎖の適切な量は、UV(260nm)測定および理論的な吸光係数によって近似した。アニールプロセスの後、RP−HPLCまたはSAXなどの適切なクロマトグラフ法により、二本鎖形成の程度、および任意の過剰な一本鎖材料の存在を評価した。適切な場合には、残存する過剰な一本鎖を完全にアニールするために、2つの鎖の一方を付加的な量で用いてサンプルを調整した。最終の二本鎖材料は、さらなる生化学的または生物学的試験のための送達の前に凍結乾燥した。
細胞および試薬 − マウス肝癌Hepa 1−6細胞株は、American Type Tissue Collection(Cat#CRL−1830)から入手した。細胞は、1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen Cat#11360070に調整し、10%ウシ胎児血清を補ったDulbecco’s Modified Eagle Medium,High Glucose with Glutamax(商標)(Invitrogen Cat#10566024)中で成長させた。ストレプトマイシンおよびペニシリンを、それぞれ100μg/mLおよび100U/mLで培地に追加した。細胞は、5%CO2の存在下で37℃で培養した。
ルシフェラーゼレポーター構築物の生成 − siRNAは、psiCHECK2二重ルシフェラーゼレポーター系を使用してスクリーニングした。使用したルシフェラーゼレポータープラスミドは、psiCHECK2ベクター(Promega、Cat#C8021)に由来した。デノボ合成を通して、マウスミオスタチン(NCBI GenBank RefSeq NM_010834)の完全長転写物を、ベクターのXhoI/NotI部位の中にクローニングした。
siRNAのインビトロにおけるスクリーニング − Hepa1−6細胞を1ウェル当たり10,000細胞の密度で96ウェルプレート中に接種し、37℃でインキュベートした。24時間後、細胞に、リポフェクタミン2000試薬(Life Technologies、Cat#11668019)を使用して、siRNAおよびMSTNルシフェラーゼレポータープラスミドを同時形質移入した。最初のスクリーニングは、それぞれ10nMおよび0.6ng/μLの最終濃度でsiRNAをMSTNプラスミドと共に同時形質移入することによって実行した。細胞を37℃でインキュベートし、トランスフェクションの24時間後に培養培地を新鮮な培地と交換した。さらに24時間のインキュベーション後、レポーターレニラルシフェラーゼおよびコントロールホタルルシフェラーゼ活性を、Dual−Glo Luciferase Assay System(Promega、Cat#E2940)を使用して測定した。それぞれのウェルのレニラルシフェラーゼ活性は、同じ細胞からのホタルルシフェラーゼ活性によって割り、様々なウェルにわたる様々なトランスフェクション効率について標準化した。Mstn siRNAによって産生された、標準化されたルシフェラーゼ活性は、非ターゲティングコントロールsiNAによって生成された、標準化されたルシフェラーゼ活性でさらに割り、レポーター発現のノックダウンパーセント(%KD)を計算した。IC50の計算は全て、R.2.9.2ソフトウェアを用いて実施した。単純なリガンド結合のためのS字形用量−反応(可変スロープ)式を用いてデータを分析した。
結果 − マウスMstn mRNA配列を標的にする4つの特有の非コンジュゲートsiRNAおよび非ターゲティングコントロールsiRNAを合成した。4つのMstn siRNAの標的ヌクレオチド配列を表2a(「標的配列」)に示す。
Mstn siRNAおよび非ターゲティングコントロールsiRNAのヌクレオチド配列を表3に示す。表3の二本鎖siRNA分子は、センス鎖(パッセンジャー鎖としても知られている)およびアンチセンス鎖(ガイド鎖としても知られている)を含有し、各鎖は21ヌクレオチド(第1位(5’)〜第21位(3’))で構成され、内部および末端化学修飾ヌクレオチドの両方を含有する。それぞれのsiRNA分子の名称は、第1列に提供され、分子が標的にされるマウスMstn mRNA領域に対応する。表3の第2列の「鎖」は、示される行の特定の配列が二本鎖のセンス(S)であるかアンチセンス(A/S)鎖であるかを示す。表3の第3列の「5−第1位ヌクレオチド」は、示されるsiRNA分子のセンスおよびアンチセンス鎖の第1位を記述し、それぞれ、5’キャップ成分の付いたヌクレオチドで構成される。5’−第1位ヌクレオチドのそれぞれの化学構造は以下の表6aに提供される。siRNA分子のセンスおよびアンチセンス鎖のそれぞれの第2〜20位にわたるヌクレオチド配列は表3の第4列に記載されており、個々のヌクレオチドは、セミコロンによって隔てられている。第4列に示される各ヌクレオチドの化学構造は以下の表6bに提供される。表3の第5列の「ヌクレオチド位置21−3’」はsiRNAのセンスまたはアンチセンス鎖の最3’ヌクレオチドを表し、それぞれ、「omeU−iB」または「omeUSup」によって表される(構造については以下の表6cを参照)。表3のsiRNA分子の各鎖(第1〜21位)の配列番号は第6列に提供される。表3の各siRNA分子は、分子の両末端に2つのヌクレオチドから構成される3’オーバーハングを有する。
それぞれのsiRNA(10nM)を、Mstnルシフェラーゼレポータープラスミド(0.6ng/μl)と共に細胞中に同時形質移入し、ルシフェラーゼ活性は、mRNAノックダウン(KD)を反映するものとして48時間後に測定した。4つのsiRNAは、最低90%のMstn mRNAノックダウンおよび0.016nM未満のIC50値を示す(表4を参照)。
実施例2:Mtsn siRNAコレステロールコンジュゲート
コレステロールコンジュゲーション − 単一のコレステロール要素を、表3に記載されるそれぞれのsiRNA分子のセンス鎖の3’エンドに付加した。3’末端上にコレステロール単位を有するオリゴヌクレオチドの調製のために、ジメトキシトリチル(DMT)保護第一級アルコールも含有するあらかじめ負荷されたコハク酸コレステロールを有するデオキシシチジリル(deoxycytidylyl)−デオキシグアノシン(CpG)(構造については以下表6dを参照)は、対応するオリゴヌクレオチド配列の合成のために使用した(実施例1を参照)。典型的に、最後の5’−DMT保護基は、オリゴ合成の間に除去した。次いで、オリゴヌクレオチドは、メチルアミン水などの塩基性溶液による処理によってCpGから切断し、C18などの逆相樹脂を有するクロマトグラフィによって精製した。この精製オリゴは、所望のオリゴヌクレオチド二重鎖を調製するために、その対応する相補鎖にアニールさせた。
動物 − 雌のCD−1マウスは、Charles Riverから入手し、研究時8〜9週齢であった。マウスは、12時間の明暗サイクルで維持し、適宜、水および標準固形飼料食餌(no.5001;LabDiet)を摂取した。コントロールおよび実験コレステロールコンジュゲートsiRNAを、示される投薬量で尾静脈注射によってマウスに投与した。動物研究は全て、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されるプロトコルを使用して、Merck Research Laboratories in an AAALAC−accredited West Point,PA animal facilityで行った。
定量的リアルタイムPCR分析 − マウスを屠殺し、組織をTrizol(Invitrogen)中でホモジナイズし、1−ブロモ−2−クロロプロパン(Acros Organics)中に抽出し、全RNAは、MagMax RNA isolation method(Ambion)を使用して単離した。RNA(125ng)は、High Capacity cDNA Reverse Transcription kit(Applied Biosystems、Cat#4368813)を使用して逆転写した。Taqman qPCR分析は、ABI 7900 Real−Time PCR Systemを使用し、TaqMan Fast Advanced Master Mix(Applied Biosystems、Cat#4444555)を使用して実行した。Taqmanプローブおよびプライマーは全て、あらかじめ検証されたセットとしてApplied Biosystemsから購入した:mouse PPIB Assay ID Mm00478295_m1;mouse Mstn Assay ID Mm01254559_m1。Taqmanデータ分析は、以前に記載されるように、ABI 7900 Real−Time PCR Systemで実行した(Tadin−Strapps,M.et al.,2011,J.Lipid Res.52:1084−1097)。
ミオスタチンタンパク質の血清分析 − 血液は、尾静脈収集によって収集し、血清は、特定の時点で収集し、GDF−8/Myostatin Quantikine ELISA kit(R&D、Cat#DGDF80)を使用して分析した。簡潔に言えば、血清サンプルは、最終的な活性化血清サンプルをアッセイ前にキャリブレーター希釈剤中でさらに1:2に希釈した以外は、メーカープロトコルに記載されるように活性化した。
結果 − CD−1マウスにおけるインビボ効能研究は、それぞれがセンス(パッセンジャー)鎖の最3’ヌクレオチドで単一のコレステロール要素にコンジュゲートされる表3の4つのMstn siRNA分子を使用して実行した。マウスに、15mpk siRNAを静脈内注射し、Mstn mRNAノックダウンを72時間後に腓腹筋において評価した(図1Aおよび1B)。Mstn発現の低下は、とりわけMstn:1169およびMstn:1167コレステロールコンジュゲートで見られた。Mstn:1169コレステロールコンジュゲートを、追跡調査によるsiRNAの最適化および機能研究における使用のために選択した。
Mstn:1169コレステロールコンジュゲートの効力および効能について検査するために、マウスを、5、15、および50mpkでのコンジュゲートの単回注射により治療した。Mstn mRNAおよび循環タンパク質レベルを、様々な時点で測定した(図2)。Mstn:1169コレステロールによる治療は、腓腹筋(図2A)、三頭筋(図2B)、およびEDL(図2C)筋肉においてMstn mRNAの投与依存的なノックダウンを引き起こし、5mpkおよび50mpk用量の間で効力における8倍を超える差を示した。最大のノックダウン(KD)は、7日目に50mpk用量で観察され、3つの筋肉全てにおいて90〜95%のmRNAノックダウンおよび循環タンパク質レベルの75%のノックダウンを示した(図2D)。50mpk siRNAによるMstn遺伝子サイレンシングは、混合繊維状筋肉である腓腹筋、三頭筋、および脊柱僧帽筋(データを示さず)においてならびに主にII型の繊維状筋肉であるEDL筋肉において88〜95%のKDがあった。Mstn mRNAノックダウン効果は、ヒラメ筋において、この筋肉における低いMstn mRNAレベルにより、決定することができなかった(データを示さず)。Mstn siRNAはまた、サイレンシングの持続時間の延長も示し、50mpk投薬後、21日間、90〜95%のmRNA KDおよび65%の血清Mstnタンパク質レベルを維持する。それぞれ血清ALT/ASTおよび筋肉クレアチンホスホキナーゼをモニターすることによって決定されるように、検査した全ての用量で肝毒性および筋肉損傷の証拠はなかった(データを示さず)。
実施例3:長期Mstnノックダウンは、筋肉サイズを増加させ、筋疲労プロファイルを改変する
体組成 − 動物の体組成は、除脂肪量/体脂肪量を決定するために、EchoMRI機器(Echo Medical Systems、Houston、TX)を使用し、定量的磁気共鳴分光法によって測定した。測定は、siRNA投薬の開始の20日後に行った。
マイクロCT画像処理およびデータ分析 − LaTheta micro−CT(LaTheta LCT−100A(商標)、Aloka、Echo Medical Systems、Houston、TX)を使用して、階層状の10枚の切片を、膝および腓骨−脛骨接合部の間でスキャンした。画像は、下腿における全筋肉のうち最大横断面積(CSA)を見つけるために、以前に記載されるように分析した(Weber,H.et al.,2012,J.Appl.Physiol.112:2087−98)。マウスは、siRNA投薬を基準にして−1日目にスキャンし、3、7、14、および21日目にもスキャンした。
インサイツ筋肉機能アッセイ − 以前に記載される(Weber,H.et al.、上記を参照)特注で作ったインサイツアッセイ系を、siRNA投薬の21日後に実行した。簡潔に言えば、麻酔をかけた動物のアキレス腱を、複合サーボモーター/力トランスデューサーユニットのレバーに接続した。下腿の筋肉を刺激して収縮させるために、電気インパルスを坐骨神経を介して加え、一方、結果として生じる力を記録した。100Hzでの0.1ミリ秒の持続時間の4mA方形波を含有する50ミリ秒の長さの連続テタヌス刺激を、300秒間0.8Hzの周波数で反復させた。0.1Nの一定のベースラインテンションを刺激の間に回復させた。インサイツアッセイの終了後、後肢の筋肉を、計量および組織学的検査のために収集した。
最大筋力(Fmax)、中間筋力(Fo)、最小筋力(Fmin)、初期疲労筋力(Fmax−Fo)、後期疲労筋力(Fo−Fmin)、初期疲労(S1)および後期疲労(S2)の最大の傾き、ならびに初期(τ1)および後期疲労(τ2)筋力の時定数を含む疲労包絡線を表すいくつかのパラメーターを、二重S字形曲線フィットから抽出した。
脛骨長の測定 − マウスを屠殺した後に、それぞれの後肢を一晩、70%エタノール中で保存した。翌日、脚を筋肉および組織から取り外し、長さをデジタルキャリパーを使用して測定した。
筋繊維のサイズおよび数の定量化 − 筋線維細胞のサイズを検出するために、ラミニン染色を、siRNA/コントロール治療の21日後に腓腹筋に対して実行した。腓腹筋の最も広い領域を通って作製した横断面を、一晩、10%ホルマリン中で固定した。筋肉をパラフィン包埋し、標準的な方法によって薄片を作った(5μm)。BioGenex EZ−Retriever Microwaveを使用し、10分間、103℃で、クエン酸バッファー(EZAR1、BioGenx#HJ521−XAK)を使用して切片を熱誘発抗原賦活化にかけた。PBS洗浄後、切片を、1:100希釈のポリクローナルウサギ抗ラミニン抗体(Abcam、cat#ab11575)と1時間室温でインキュベートした。ヤギ抗ウサギA555免疫蛍光二次抗体を、さらにPBS洗浄した後に加え(Invitrogen #A21429)、スライドを、Dapi(Invitrogen #P36935)と共にProlongGoldを使用してマウントした。画像は、Hamamatsu ORCA−R2 cameraおよびcellSens Dimension 1.7 software(Olympus)を使用して、BX−63 Olympus Microscope上で取り込んだ。筋線維面積および線維の総数は、Definiens softwareを使用して、筋肉横断面上で定量化した。焦点の合っていない領域は、画像の細分化前に分析から排除した。多重解像度アルゴリズムは、残りの筋肉切片における筋線維および筋内膜を抽出するために使用した。線維面積は、1200〜7000細胞数/マウスの1グループ当たり12匹のマウスから決定した。平均線維サイズおよび筋線維のサイズ度数分布を示す。
結果 − Mstnが筋肉の成長において主な阻害性の役割を有することが知られているため、筋肉量および機能に対するMstnサイレンシングの効果を検査した。最大のMstnノックダウンを実現するために、マウスを、単回i.v.50mpk用量のMstn:1169−siRNAコレステロールコンジュゲート(上記実施例1および2を参照)またはコントロールにより治療した。21日後、Mstn siRNAコンジュゲートにより治療したマウスは、腓腹筋、EDL、四頭筋、三頭筋、および脊柱僧帽筋において85〜90%のMstn mRNAノックダウンを示した(図3A)。そのうえ、Mstnタンパク質の循環レベルは、21日目の終わりまで>65%の低下で持続した(図3B)。筋肉サイズは、投薬の3、7、14、および20日後にマイクロCTによってマウスの両方の後肢においてモニターした。足底屈筋群を代表するそれぞれの脚についての最大横断面積(CSA)を、特注のMATLABおよびDefiniens Architect XDのソフトウェアアルゴリズムを使用して、一連の10枚の切片を定量化することによって決定した。定量化の結果は、投薬の開始の早くも3日後の全身性Mstn siRNAコレステロール治療による筋肉のサイズの著しい増加および21日目までの脚の筋肉のサイズの20%までの増加を示す(図3C)。このデータは、21/22日目の腓腹筋の重量によって支持され、これはまた、コントロールマウスと比較して、Mstn−chol治療によって、安静にしたおよび運動させた腓腹筋の両方の重量の約20%の増加も示す(図3D)。腓腹筋の横断面のラミニン免疫蛍光染色は、平均線維横断面積が増加したことを示し、一方、線維の総数は、Mstn−chol治療の影響を受けなかった(図3E、平均線維面積;図3F、平均線維数;図3G、サイズの度数分布)。Mstn siRNAコレステロールコンジュゲートにより治療したマウスにおいて観察される筋肉サイズの著しい増加に加えて、体重測定値はまた、20日目までにおよそ10%の増加も示す(図3H)。体組成分析は、定量的NMRによって決定されるように、体重のこの増加が、除脂肪量の増加に起因することを明らかにする(図3I)。
MstnのsiRNA媒介性の遺伝子サイレンシングの結果として骨格筋の強度および繊維状組成に対する潜在的変化を評価するために、運動に対する筋疲労応答を、反復等尺性収縮を電気刺激によって誘発するインサイツ筋肉機能アッセイにおいてアッセイした。骨格筋が、様々な収縮特性および特異なエネルギー源使用法を示す様々な繊維型から構成されるため、筋肉の性能の変化は、以前に記載されるように、筋疲労曲線におけるいくつかの機能的なパラメーターの変化によって決定することができる(Weber,H.et al.,2012、上記)。簡潔に言えば、疲労曲線は、筋疲労の3つの段階:初期疲労、後期疲労、および非疲労段階を示す(図4)。「初期疲労」は、Fmax−F0によって示され、IIb型線維を表し、IIb型線維は、強く、速く、非常に急速に疲労し、エネルギー源としてクレアチンリン酸を使用する。この段階に、IIa/x型線維を主として表す「後期疲労」(F0−Fmin)が続き、IIa/x型線維は、強く、速く、より疲労抵抗性であり、エネルギー源としてグリコーゲンを使用する。疲労曲線の最終段階は、I型線維が目立つ「非疲労」段階(Fmin)であり、I型線維は、弱く、遅く、非疲労性であり、エネルギー源として脂肪酸を使用する。
Mstnノックダウンは、FmaxおよびF0の増加をもたらすが、Fmax−F0が変わらないため、「初期疲労」段階は影響を受けない(図5A)。Fminの有意な変化はないが、F0−Fminは増加し、収縮力の増加を表す「後期疲労」の増加を示唆する。このデータは、Mstnノックダウンが、線維のサイズ、数量、および/または強度の潜在的な増加により、IIa/x型線維の変化をもたらすことを示唆する。そのうえ、疲労段階のタイミング(τ1、τ2、S1、S2)に関連するパラメーターのいずれにおいても変化がなく、燃料利用率および使用法は影響を受けないことを示唆する。
筋肉の質に対する変化を決定するために、「比筋力」を、横断面積(CSA)に対する筋肉収縮力の標準化によって計算した(図5B)。Mstnノックダウンに応じた比筋力または任意のさらなる機能的パラメーターにおいて有意差はなく、筋肉の質に対する影響がないことを示唆した。
骨格筋に加えて、心臓もまた、程度は低いが、Mstnを発現することが報告された(Sharma M.et al.,1999,J.Cell Physiol.180:1−9)。そのため、心臓を、潜在的Mstnノックダウンについて検査した。定量的PCRは、心臓において非常に低いMstn mRNA発現を示し(Ct値、32〜35、データを示さず)、そのため、mRNAノックダウンを決定することができなかった。げっ歯動物Mstnノックアウトモデルにおけるまたは小分子または中和抗体によるMstn阻害に応じた心臓サイズの変化についての多くの報告があるが、観察は様々であり、いくつかは心肥大を報告し、他の報告は心臓サイズが変わらないことを報告する(Artaza,J.N.et al.,2007,J.Endocrinol.194:63−76;Morissette,M.R.,2006,Circ.Res.99:15−24;Rodgers,B.D.et al.,2009,J.Physiol.587:4873−86;Whittemore,L.A.et al.,2003,Biochem.Biophys.Res.Commun.300:965−71)。21日間のMstnノックダウン後の心肥大のサインを入手するために、心臓を、計量し、様々なパラメーターに対して標準化した(図6)。Mstnノックダウンは、心臓重量の著しい増加をもたらした。心臓重量を、変わらないことが予想されるパラメーターである脛骨の長さに対して標準化した場合、Mstn siRNA−コレステロールにより治療したマウスは、心臓重量の著しい増加を示し続ける。しかしながら、心臓重量を体重(BW)または除脂肪量に対して標準化した場合、心肥大は、もはや観察されず、心臓サイズの増加が、Mstnノックダウンから結果として生じるBWの増加に対して代償性のものであることを示唆する。
実施例4:筋肉におけるコレステロールコンジュゲートの取込みのメカニズム
siRNA合成 − siRNAは、上記実施例1において記載されるように合成した。この実施例において使用される2つのCtnnb1 siRNAの配列を表4に示す(5’〜3’方向)。非ターゲティングコントロールsiRNAもまた、使用した(上記実施例1および2の「プラセボ5」を参照)。それぞれの列の内容は、上記表3に提供されるものと同じである。
動物 − 雌のC57BL/6J野生型LDL受容体−/−およびApoE−/−マウスは、Jackson Laboratoryから入手し(それぞれStock#002207、002052)、研究時25〜27週齢であった。雌のCD−1マウスは、Charles Riverから入手し、研究時8〜9週齢であった。マウスは全て、12時間の明暗サイクルで維持し、適宜、水および標準固形飼料食餌(no.5001;LabDiet)を摂取した。コントロールおよび実験コレステロールコンジュゲートsiRNAを、示される投薬量で尾静脈注射によってマウスに投与した。血液は、採取時に心臓穿刺によって収集した。組織サンプルは、投薬後に特定の時点で収集した。動物研究は全て、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって承認されるプロトコルを使用して、Merck Research Laboratories in an AAALAC−accredited West Point,PA animal facilityで行った。
結果 − 筋肉におけるコレステロールコンジュゲートの取込みの潜在的なメカニズムおよびリポタンパク質粒子とのコンジュゲートの関連が取込みに必要とされるかどうかを検査するために、パッセンジャー鎖の3’または5’エンドに付加された単一のコレステロール要素を有するCtnnb1 siRNA分子の効能を、野生型、LDL受容体(LDLR)−/−、およびApoE−/−マウスにおいて検査した。マウスは、14mpkでのCtnnb1:1797[3’Chol]siRNAの単回i.v.注射により治療し、Ctnnb1 mRNAを、72時間後に腓腹筋において測定した(図7A)。最大60%のmRNAノックダウンが、wtマウスにおいて観察された。ApoE−/−マウスにおいてmRNA KDの低下があり(50%のKD)、LDLR−/−マウスにおいてKDの低減の傾向がある。データは、Ctnnb1コレステロールコンジュゲートの取込みが、筋肉においてLDL受容体を通してまたは任意のApoE含有リポタンパク質を介して部分的にだけ媒介されることを示唆する。
パッセンジャー鎖上のコレステロールの位置がコレステロールコンジュゲートの効能にとって本質的かどうかを決定するために、パッセンジャー鎖の3’または5’エンド上にコレステロールを有するCtnnb1−cholコンジュゲートをインビボにおいて検査した(図7B)。CD−1マウスを、15mpkの一方のバージョンのCtnnb1−cholにより治療し、3’位にコレステロールを有するPBSコントロールおよびプラセボ5−cholと比較した。Ctnnb1 mRNAレベルは、注射の72時間後に腓腹筋において検査した。データは、筋肉において非常に効果的なコレステロールコンジュゲートを作成するために両方の位置を使用することができることを示唆する。
実施例5:本明細書において例証されるsiRNA分子を生成するために使用される化学修飾ヌクレオチドの化学構造