JP2017227847A - フォトマスクブランクおよびフォトマスク、製造方法 - Google Patents

フォトマスクブランクおよびフォトマスク、製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透過光量、解像度、スループットを向上する。【解決手段】露光光の波長が365nm〜436nmの範囲で使用されるフォトマスク10に供されるフォトマスクブランク10Bであって、透明基板11に積層された遮光層12を有し、前記透明基板の光出射側面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜13が設けられる。【選択図】図1

Description

本発明はフォトマスクブランクおよびフォトマスク、製造方法に関し、特に反射率、透過率の改善に用いて好適な技術に関する。
Crを含む光学膜をパターニングすることによって製造されたフォトマスクは、その優れた特性のため、多くの用途において利用されてきた。
フォトリソグラフィ工程において、微細なパターンを確実に転写するためには、フォトマスクを用いた露光工程によって被転写体上のレジスト膜に与える、光強度が重要となる。
半導体分野では、高密度実装を図るため、回路パターンの微細化が進められている。これに伴い、露光波長の短波長化や、露光方法の改善などが検討されている。
このような回路パターンの微細化に対応するため、フォトマスクにおいては、単純な遮光膜のパターンのみで形成されたバイナリーマスクから、パターン縁における光干渉を用いて、単波長を用い、より微細なパターン形成が可能な位相シフトマスク(Phase-Shifting Mask:PSM)が使用されるに至っている。
上述した半導体用の位相シフトマスクとしては、i線単波長からなる露光光とハーフトーン型位相シフトマスクとの組み合わせ(たとえば、特許文献1)や、更なる微細化のために、ArF単波長からなる露光光とハーフトーン型位相シフトマスク(Attenuated PSM)との組み合わせ(たとえば、特許文献2)、などが用いられている。
これに対して、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野では、低コスト化を実現するため、高いスループットにて生産を行う必要があり、露光光の波長としてi線(波長365nm)、h線(波長403nm)、g線(波長436nm)からなる複合波長を用いた露光にてパターン形成が行われている。
最近、上記FPD分野においても、高精細な画面を形成するためにパターンプロファイルが微細化する傾向にあり、従来の遮光膜をパターン化したフォトマスク(バイナリーマスク)に代えて、ハーフトーン型の位相シフトマスクを用いることが検討されている(たとえば、特許文献3)。
ハーフトーン型の位相シフトマスク用ブランク(ハーフトーン型位相シフトマスクブランクとも呼ぶ)は、基本的に、石英基板の一面側に単層のシフター膜を設けることにより位相シフト効果を発現している。シフター膜に要求される光学特性は、位相シフト効果(露光波長における180度の位相角)と所定の透過率である。たとえば、クロム系膜(酸化窒化膜)によりシフター膜を形成した場合、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクでは、シフター膜の表面における表面反射率が23%(波長365nm)程度となる。通常のクロム膜を用いたバイナリーブランクでは、表面反射率が15%以下(波長365nm)である。
FPD分野では、露光光の波長としてi線、h線、g線からなる複合波長を用い、露光光量を稼いでいる。各波長において、位相角は180度からズレが生じることになるが、トータルで位相シフト効果があることが確認されている。
ところが、前述したとおり、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクでは、バイナリーブランクに比べて2倍以上の表面反射率となるため、十分な解像度が得られないという課題があった。
また、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクでは、裏面反射率も高くなる傾向にあり、透明基板側から入射される露光光の反射を防止できず、十分な解像度が得られないという課題があった。
ゆえに、i線、h線、g線からなる複合波長に対して、低い表面反射率あるいは裏面反射率を有する、ハーフトーン型位相シフトマスクブランク、及びこれを用いたハーフトーン型位相シフトマスクの開発が期待されていた。
また、露光光量を高くするために、反射防止層を設けることも知られている(たとえば、特許文献4)。
特開平8−272071号公報 特開2006−078953号公報 特開2010−128003号公報 特開2005−099756号公報
しかしながら、このようなハーフトーン型位相シフトマスおよびバイナリーマスクにおいて、さらに透過光量を向上させることで、フォトリソグラフィ工程において、フォトマスクを用いた露光工程によって被転写体上のレジスト膜に与える光強度を向上させ、微細なパターンを確実に転写することを可能として、解像度、スループットを向上させたいという課題があった。
特に、フォトマスク表裏面の表面反射を抑えたいという要求があり、この目的で、露光波長域の反射防止膜を成膜することを想定したが、好適な低n値(屈折率)材料が知られていなかった。ポーラスシリカはその候補であったが、成膜製造設備が大掛かりになるという問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.透過光量を向上させ、解像度、スループットを向上させること。
2.必要なk値(消衰係数)を有すること。
3.ハーフトーン型位相シフトマスクブランク、および、バイナリーブランクにおいて、透過光量を向上させ、解像度、スループットを向上させること。
4.透過光量、解像度、スループットの向上を簡易な設備で可能とすること。
本発明のフォトマスクブランクは、露光光の波長が365nm〜436nmの範囲で使用されるフォトマスクに供されるフォトマスクブランクであって、
透明基板に積層された遮光層を有し、
前記透明基板の光出射側面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜が設けられることにより上記課題を解決した。
本発明において、前記低屈折率材料膜の消衰係数k値が、前記露光光の波長に対して0〜0.001の範囲を有することがより好ましい。
また、前記低屈折率材料膜の膜厚が、前記露光光の波長λに対し、1/λの奇数倍に設定されることができる。
また、前記低屈折率材料膜が、多孔質シリカからなることができる。
また、前記低屈折率材料膜が、メチルシリケートを含むことができる。
本発明のフォトマスクブランクの製造方法は、上記のいずれか記載のフォトマスクブランクの製造方法であって、流動液を前記透明基板の光出射側面に塗布した後に焼成して前記低屈折率材料膜を成膜することが可能である。
本発明のフォトマスクは、露光光の波長が365nm〜436nmの範囲で使用されるフォトマスクであって、
透明基板に積層された遮光層を有し、
前記透明基板の光出射側面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜が設けられることにより上記課題を解決した。
本発明において、前記低屈折率材料膜の消衰係数k値が、前記露光光の波長に対して0〜0.001の範囲を有することができる。
また、本発明において、前記低屈折率材料膜の膜厚が、前記露光光の波長λに対し、1/λの奇数倍に設定される手段を採用することもできる。
また、前記低屈折率材料膜が、多孔質シリカからなることができる。
また、前記低屈折率材料膜が、メチルシリケートを含むことが好ましい。
また、前記遮光層の光入射面に反射防止膜としての低屈折率材料膜が設けられることができる。
また、前記透明基板の光入射面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜が設けられることができる。
本発明のフォトマスクの製造方法においては、上記のいずれか記載のフォトマスクの製造方法であって、流動液を塗布した後に焼成して前記低屈折率材料膜を成膜することができる。
本発明のフォトマスクブランクは、露光光の波長が365nm〜436nmの範囲で使用されるフォトマスクに供されるフォトマスクブランクであって、
透明基板に積層された遮光層を有し、
前記透明基板の光出射側面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜が設けられることにより、i線、h線およびg線の3波長の露光光に対して、透明基板のみにおける透過率が裏面での反射により減少してしまうことを抑制して、透過率の向上したフォトマスクを提供することが可能となる。
ここで、低屈折率材料膜とは、波長405nmにおいてガラス(石英ガラス)より屈折率nが小さい低比誘電率材料からなるものを意味し、特に、スピンコート等の塗布・焼成が可能な低屈折率材料(n:1.46以下)を意味しており、消衰係数kが0に近いことが好ましい。
なお、本発明においてフォトマスクはバイナリーマスク、あるいは、位相シフトマスクとすることが可能である。
本発明において、前記低屈折率材料膜の消衰係数k値が、前記露光光の波長に対して0〜0.001の範囲を有することにより、i線、h線およびg線の3波長の露光光に対して、透明基板のみにおける透過率が裏面での反射により減少してしまうことを抑制することができる。
また、前記低屈折率材料膜の膜厚が、前記露光光の波長λに対し、1/λの奇数倍に設定されることにより、透過率向上の効果を呈することができる。具体的には、365nm、405nm、436nmという複数波長(i線、h線、g線からなる複合波長)において透過率向上効果を発現させるためには、1/4λ、3/4λ、5/4λ程度までが有効である。また実際には、膜厚が厚くなると、白濁現象が発生するので、1/4λ、3/4λ、5/4λまで即ち、露光光波長405nmならば、396.25nmまでの膜厚とすることが好ましい。
また、前記低屈折率材料膜が、多孔質シリカからなることにより、低屈折率材料膜の屈折率nを1.46以下とし、消衰係数kを0程度とすることができる。
また、前記低屈折率材料膜が、メチルシリケートを含むことにより、低屈折率材料膜の屈折率nを1.46以下とし、消衰係数kを0程度とし、比誘電率を2.5以下とすることができるとともに、吸湿による比誘電率の上昇を防止し、必要な機械的強度を有し、短時間での成膜を可能とすることができる。
本発明のフォトマスクブランクの製造方法は、上記のいずれか記載のフォトマスクブランクの製造方法であって、流動液を前記透明基板の光出射側面に塗布した後に焼成して前記低屈折率材料膜を成膜することにより、スパッタ、蒸着等の大がかりな真空成膜装置を用いることなく、スピンコートなどによる塗布工程、および、焼成工程により、低屈折率材料膜を成膜して、反射率を低減し、透過率を向上して、解像度、スループットを向上させることが可能となる。
本発明のフォトマスクは、露光光の波長が365nm〜436nmの範囲で使用されるフォトマスクであって、
透明基板に積層された遮光層を有し、
前記透明基板の光出射側面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜が設けられることにより、i線、h線およびg線の3波長の露光光に対して、透明基板のみにおける透過率が裏面での反射により減少してしまうことを抑制して、透過率を向上することが可能となる。
ここで、低屈折率材料膜とは、波長405nmにおいてガラス(石英ガラス)より屈折率nが小さい低比誘電率材料からなるものを意味し、特に、スピンコート等の塗布・焼成が可能な低屈折率材料(n:1.46以下)を意味しており、消衰係数kが0に近いことが好ましい。
本発明において、前記低屈折率材料膜の消衰係数k値が、前記露光光の波長に対して0〜0.001の範囲を有するにより、i線、h線およびg線の3波長の露光光に対して、透明基板のみにおける透過率が裏面での反射により減少してしまうことを抑制することができる。
また、本発明において、前記低屈折率材料膜の膜厚が、前記露光光の波長λに対し、1/λの奇数倍に設定されることにより、透過率向上の効果を呈することができる。具体的には、365nm、405nm、436nmという複数波長(i線、h線、g線からなる複合波長)において透過率向上効果を発現させるためには、1/4λ、3/4λ、5/4λ程度までが有効である。また実際には、膜厚が厚くなると、白濁現象が発生するので、1/4λ、3/4λ、5/4λまで即ち、露光光波長405nmならば、396.25nmまでの膜厚とすることが好ましい。
また、前記低屈折率材料膜が、多孔質シリカからなることにより、低屈折率材料膜の屈折率nを1.46以下とし、消衰係数kを0程度とすることができる。
また、前記低屈折率材料膜が、メチルシリケートを含むことにより、低屈折率材料膜の屈折率nを1.46以下とし、消衰係数kを0程度とし、比誘電率を2.5以下とすることができるとともに、吸湿による比誘電率の上昇を防止し、必要な機械的強度を有し、短時間での成膜を可能とすることができる。
また、前記遮光層の光入射側面に反射防止膜としての低屈折率材料膜が設けられることにより、遮光層の光入射側面における反射率を低減して、さらに、解像度、スループットを向上させることが可能となる。
また、前記透明基板の光入射面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜が設けられることにより、透明基板のみにおける透過率が裏面での反射により減少してしまうことを抑制するとともに、さらに、遮光層の光入射側面における反射率を低減して、より一層、解像度、スループットを向上させることが可能となる。
本発明のフォトマスクの製造方法においては、上記のいずれか記載のフォトマスクの製造方法であって、流動液を塗布した後に焼成して前記低屈折率材料膜を成膜することにより、スパッタ、蒸着等の大がかりな真空成膜装置を用いることなく、スピンコートなどによる塗布工程、および、焼成工程により、低屈折率材料膜を成膜して、反射率を低減し、透過率を向上して、解像度、スループットを向上させることが可能となる。
なお、本発明のフォトマスクにおいて、露光光の波長が365nm〜436nmの範囲で使用されるフォトマスクであって、
透明基板に積層された遮光層を有し、
前記透明基板の光入射側面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜が設けられることができる。
また、前記遮光層の光入射側面に反射防止膜としての低屈折率材料膜が設けられることができる。
本発明によれば、透明基板表面での反射により透過率が減少してしまうことを抑制するとともに、解像度、スループットを向上させることができるという効果を奏することが可能となる。さらに、遮光層の光入射側面における反射率を低減して、より一層、解像度、スループットを向上させることが可能となるという効果を奏することができる。
本発明に係るフォトマスクブランクの第1実施形態を示す断面図である。 本発明に係るフォトマスクブランク製造方法の第1実施形態を示すフローチャートである。 本発明に係るフォトマスクの第1実施形態を示す断面図である。 本発明に係るフォトマスクの第2実施形態を示す断面図である。 本発明に係るフォトマスクの第3実施形態を示す断面図である。 本発明に係るフォトマスクの第4実施形態を示す断面図である。 本発明の実施例における低屈折率材料膜の波長365nmでの透過率シミュレーションを示すグラフである。 本発明の実施例における低屈折率材料膜の波長405nmでの透過率シミュレーションを示すグラフである。 本発明の実施例における低屈折率材料膜の波長436nmでの透過率シミュレーションを示すグラフである。 本発明の実施例における低屈折率材料膜の波長405nmでの反射率シミュレーションを示すグラフである。 本発明の実施例における低屈折率材料膜の波長405nmでの反射率シミュレーションを示すグラフである。 本発明の実施例における低屈折率材料膜の波長405nmでの透過率シミュレーションを示すグラフである。 本発明の実施例における低屈折率材料膜の波長405nmでの透過率シミュレーションを示すグラフである。
以下、本発明に係るフォトマスクブランクの第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるフォトマスクブランクを示す断面図であり、図2は、本実施形態におけるフォトマスクブランク製造方法を示すフローチャートであり、図において、符号10Bは、フォトマスクブランクである。
本実施形態に係るフォトマスクブランク10Bは、露光光の波長が365nm〜436nmの範囲で使用されるフォトマスクに供されるものとされ、図1に示すように、ガラス基板(透明基板)11と、このガラス基板11上に形成された遮光層12と、がラス基板11の遮光層12と逆の面に形成された低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13と、で構成される。
なお、本実施形態に係るフォトマスクブランク10Bは、バイナリーブランクでも、位相シフトマスクブランクでもよく、位相シフトマスクブランクの場合には、遮光層12とガラス基板11との間に、エッチングストッパー層、位相シフト層、等を積層した構成とされてもよい。
透明基板11としては、透明性及び光学的等方性に優れた材料が用いられ、例えば、石英ガラス基板を用いることができる。透明基板11の大きさは特に制限されず、当該マスクを用いて露光する基板(例えばFPD用基板、半導体基板)に応じて適宜選定される。
遮光層12は、Crを主成分とすることができ、具体的には、Cr単体、並びにCrの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選択される1つで構成することができ、また、これらの中から選択される2種以上を積層して構成することもできる。
また、本実施形態に係るフォトマスクブランク10Bは、Crを主成分とする位相シフト層、および、Ni、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、W及びHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とするエッチングストッパー層を有することができる。これら、位相シフト層、エッチングストッパー層は上記の構成に特に限定されるものではない。
低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13は、露光光の波長が365nm〜436nmの範囲において、透明基板11の光出射側面11aにおいて反射率低下または透過率上昇を呈するものとされている。低屈折率材料層13は、透明基板11の露光領域全域において、その膜厚が均一となるように形成され、その膜厚が、露光光の波長λに対し、1/λの奇数倍に設定されている。
低屈折率材料層13は、波長405nmにおいてガラス(石英ガラス)より屈折率nが小さい低比誘電率材料からなるものとされ、特に、低屈折率材料(n:1.46以下)からなることが好ましい。さらに、低屈折率材料層13は、消衰係数kが0に近い、具体的には、消衰係数k値が、露光光の波長に対して0〜0.001の範囲を有するものとされる。
低屈折率材料層13の一例としては、多孔質シリカからなり、メチルシリケートを含むものとされることができる。
低屈折率材料層13の膜厚としては、365nm、405nm、436nmという複数波長において透過率向上の効果を発現させるためには、1/4λ、3/4λ、5/4λとして設定することが有効である。これよりも膜厚が厚くなると、白濁現象が発生するので好ましくない。1/4λ、3/4λ、5/4λとされた例としては、即ち、波長λが405nmならば、396.25nmまでの膜厚になる。
低屈折率材料層13の一例について、説明する。
低屈折率材料層13の一例としては、多孔質膜の前駆体組成物から形成される。
この多孔質膜の前駆体組成物は、第一のアルコキシシラン化合物と、第二のアルコキシシラン化合物と、前記第一のアルコキシシラン化合物と前記第二のアルコキシシラン化合物とが共重合する温度以上で破壊する非イオン性界面活性剤ミセルとを含む多孔質膜の前駆体組成物とされる。前記第一のアルコキシシラン化合物が、テトラアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの重合体、及びジアルキルジアルコキシシランの重合体からなる群から選択された少なくとも1つであり、前記第二のアルコキシシラン化合物が、直鎖飽和炭化水素の両末端にトリアルコキシシラン基を有するアルコキシシラン化合物である。
上記構成によれば、第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物とが共重合する条件下において、ポリシロキサン骨格を主骨格とする有機シリコン酸化膜が形成されて、該有機シリコン酸化膜中に非イオン性界面活性剤ミセルが含まれるようになる。そして第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物とが共重合する温度以上において、有機シリコン酸化膜に含まれる非イオン性界面活性剤ミセルが破壊されて、同ミセルの占有した空間に空孔が形成されるようになる。そのためポリシロキサン骨格を主骨格とする多孔質膜の空孔率、つまり比誘電率が非イオン性界面活性剤ミセルの含有量によって規定されるようになる。
この際、直鎖飽和炭化水素の両末端にトリアルコキシシラン基を有するアルコキシシラン化合物が第二のアルコキシシラン化合物であるため、多孔質膜を構成する単位骨格内に、該第二のアルコキシシラン化合物が有する直鎖型の飽和炭化水素が含まれることになる。これにより、上記直鎖飽和炭化水素のいずれかとこれに隣接する原子との結合が切断されたとしても、炭化水素基の脱離が抑制される。また、このように炭化水素の脱離が抑制されるため、該炭化水素とこれに隣接する原子との結合も修復されやすくなる。そのため、炭化水素の脱離に起因した水分子の吸着が抑制され、ひいては、多孔質膜の比誘電率の増大を抑制することができる。
アルコキシシラン化合物の有するアルコキシ基やアルキル基の炭素数が多くなると、アルコキシシラン化合物の重合時においてアルコキシシラン化合物間の分子間の距離が一般に長くなる。そのため多孔質膜における重合度が低く、上記空孔を除いた部分においては膜の緻密化が促進され難くなる。上述するような多孔質膜にあっては、多孔質膜の空孔率、つまり多孔質膜の誘電率が非イオン性界面活性剤ミセルの含有量によって担保されるため、空孔を除いた部分に対しては更なる空孔が必要とされない。むしろ多孔質膜の機械的な強度を確保したり膜中の疎水基を保護したりするという観点からすれば、膜の緻密化の促進される構成が好ましい。
そこで本実施形態の一例では、第一のアルコキシシラン化合物は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランの重合体であるメチルシリケート、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシランからなる群から選択された少なくとも1つである。この場合、第一のアルコキシシラン化合物は、炭素数が1あるいは2のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物であるから、空孔を除いた部分において膜の緻密化が促進されることから、多孔質膜の機械的な強度を確保したり膜中の疎水基をより確実に保護したりすることができる。
上述するようにアルコキシシラン化合物の有するアルコキシ基の炭素数が多くなると、アルコキシシラン化合物の重合時においてアルコキシシラン化合物間の分子間の距離が一般に長くなり、上記空孔を除いた部分においては膜の緻密化が促進され難くなる。多孔質膜の機械的な強度を確保したり膜中の疎水基を保護したりするという観点からすれば、膜の緻密化が促進される構成が好ましい。そこで一例では、第二のアルコキシシラン化合物の各アルコキシ基が、炭素原子数が1〜3のアルコキシ基である。そのため、空孔を除いた部分において膜の緻密化が促進されることから、多孔質膜の機械的な強度を確保したり膜中の疎水基をより確実に保護したりすることが可能にもなる。
多孔質膜が有する誘電率の上昇を抑えるためには、雰囲気中に存在する水と多孔質膜が親和性を有しないようにする、すなわち該多孔質膜の疎水性を高めることが効果的である。上記第二のアルコキシシラン化合物が有する飽和炭化水素骨格は疎水性であることから、これが多孔質膜に導入されることにより、該多孔質膜に疎水性が付与されることになる。また、こうした多孔質膜に導入される飽和炭化水素骨格の数が多い程、該多孔質膜の疎水性の度合いが増すことにもなる。
他方、経験的に、多孔質膜に対して導入される飽和炭化水素骨格の数の増大に伴って、その機械的強度が低下することも知られている。これは、多孔質膜の骨格となる例えばポリシロキサン骨格に炭化水素基が多数導入されることにより、ポリシロキサン骨格の単位当たりの大きさが大きくなる、すなわち骨格がより疎らな状態になるためと考えられる。つまり、多孔質膜が有する疎水性と機械的強度との間には、いわゆるトレードオフの関係が成立する。
そこで本実施形態の一例では、第二のアルコキシシラン化合物の物質量は、多孔質膜の疎水性を向上させ、且つ、該多孔質膜の機械的強度を低下させない範囲、つまり第一のアルコキシシラン化合物に含まれるケイ素原子数の5at%より大きく且つ50%at未満の範囲に調整されている。これにより、第二のアルコキシシラン化合物によって多孔質膜に付与される疎水性を担保すること、該多孔質膜の機械的な強度の低下を抑制することとの両立を図ることができる。
本実施形態において、上述した前駆体組成物を用いて形成される多孔質膜とされる低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13についてさらに詳説すると、低屈折率材料膜13は、多孔質の有機ケイ素酸化物膜、つまり多孔質シリカ膜であって、この多孔質シリカ膜の構造単位は、下記化学式(1)により表される(添え字a、b、c、及びxは整数)。こうした多孔質シリカ膜は、(a)第一のアルコキシシラン化合物と、(b)1分子内にケイ素原子を2つ有する第二のアルコキシシラン化合物と、(c)非イオン性界面活性剤ミセルとを含む前駆体組成物から形成される。
R−[O−Si]−[O−Si−(CH−Si]−[O−SiR−OR … 式(1)
(a)第一のアルコキシシラン化合物
第一のアルコキシシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの重合体、及びジアルキルジアルコキシシランの重合体からなる群から選択された少なくとも1つが含まれる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、及びプロポキシ基を採用することが好ましく、これらの組み合わせも任意である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、及びプロピル基を採用することが好ましく、これらの組み合わせも任意である。こうした第一のアルコキシシラン化合物には、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルシリケート、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシランが挙げられる。なお、上記メチルシリケートとはテトラメトキシシランの多量体であって、例えばテトラメトキシシランの4量体のことである(化学式(2)参照)。
Si(OCH10 … 式(2)
第一のアルコキシシラン化合物では、それを構成する単量体、あるいは重合体の2以上の分子間にて脱アルコール縮重合反応が起こることにより、上記化学式(1)の一部分として示されるポリシロキサン骨格(下記化学式(3)参照)が形成される。
R−[O−Si]−OR … 式(3)
(b)第二のアルコキシシラン化合物
第二のアルコキシシラン化合物は、直鎖飽和炭化水素骨格の両末端にトリアルコキシシラン基を有するものであり、下記化学式(4)により一般化されるものである。
(OR)Si−(CH−Si(OR) … 式(4)
化学式(4)中の添え字xすなわち直鎖飽和炭化水素骨格を構成する炭素原子数は1〜3が好ましい。トリアルコキシシラン基における各アルコキシ基の炭素原子数は1〜3であることが好ましい。これらの範囲であれば、直鎖飽和炭化水素骨格とアルコキシ基との組み合わせも任意である。また第二のアルコキシシラン化合物は、単独で用いられても良く、2種類以上が併用されても良い。こうした第二のアルコキシシラン化合物としては、例えばビス(トリメトキシシラン)メタン、ビス(トリエトキシシラン)メタン、ビス(トリプロポキシシラン)メタン、ビス(トリメトキシシラン)エタン、ビス(トリエトキシシラン)エタン、ビス(トリプロポキシシラン)エタン、ビス(トリメトキシシラン)プロパン、ビス(トリエトキシシラン)プロパン、ビス(トリプロポキシシラン)プロパン等である。
第二のアルコキシシラン化合物では、2以上の分子間にて脱アルコール縮重合反応が起こることにより、上記化学式(1)の一部分として示される骨格、つまり、直鎖飽和炭化水素の両末端をケイ素原子により挟まれた構成を構造単位とする骨格(下記化学式(5)参照)が形成される。そして第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物との間において、2以上の分子間にて脱アルコール縮重合反応が起こることにより、上記化学式(1)を構造単位とする骨格が形成される。
R−[O−Si−(CH−Si]−OR … 式(5)
(c)非イオン性界面活性剤ミセル
非イオン性界面活性剤、つまり非イオン性の親水基を持つ界面活性剤としては、例えば、一般にポリエチレングリコール型と呼ばれる、アルキルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリプロピレングリコールポリオキシエチレン付加体等が用いられる。また、一般に多価アルコール型と呼ばれる、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ショ糖エステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル等も用いることが可能である。
こうした非イオン性界面活性剤は、(a)第一のアルコキシシラン化合物や(b)第二のアルコキシシラン化合物等が溶解した非水系溶媒中において、当該界面活性剤の分子間での疎水性相互作用により会合し、球状の構造体であるミセルを形成する。会合した非イオン性界面活性剤分子の疎水基の末端はミセルの中心を向いており、会合した非イオン性界面活性剤分子の親水基がこのミセルの外表面を形成する。なお、非イオン性界面活性剤ミセルは、第一のアルコキシシラン化合物や第二のアルコキシシラン化合物が共重合する温度以上になると構造的に破壊されるといった温度特性を有する。
そして第一のアルコキシシラン化合物や第二のアルコキシシラン化合物等が溶解した非水系溶媒中にミセルが形成されていると、これとの静電的な相互作用により、第一のアルコキシシラン化合物や第二のアルコキシシラン化合物が該ミセルの周囲に集合する。このように第一のアルコキシシラン化合物や第二のアルコキシシラン化合物がミセルの周囲に集合した状態で上述のような縮重合反応が進行すると、第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物との共重合体がミセルを囲うように形成される。そして第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物との共重合体からミセルが取り除かれると、ミセルの存在した領域に空孔が形成されることになる。こうして形成される空孔の直径は非イオン性界面活性剤の分子量に比例するものであることから、空孔径をより大きくしたい場合にはより大きい分子量の界面活性剤を選択すればよく、他方空孔径をより小さくしたい場合にはより小さい分子量の界面活性剤を選択すればよい。このように、非イオン性界面活性剤は、空孔の鋳型として機能する。
(d)非水系溶媒
上記前駆体組成物には、上述する第一のアルコキシシラン化合物、第二のアルコキシシラン化合物、及び非イオン性界面活性剤ミセルの他、これらを溶解するための非水系溶媒が用いられている。非水系溶媒としては、アルコール系、アセトン系、エーテル系、及びエステル系であって、上述する重合反応が進行する前に、あるいは進行するときに前駆体組成物から除去されるべく、その沸点が75℃より大きく130℃未満である溶媒が好ましい。こうした非水系溶媒としては、例えば、アルコール系に属するエタノール(沸点:78.4℃)、アセトン系に属するメチルエチルケトン(沸点:79.6℃)とメチルイソブチルケトン(沸点:116.8℃)とメチル−ノルマルブチルケトン(沸点:127℃)、エーテル系に属する1,4−ジオキサン(沸点:101.1℃)、及びエステル系に属する酢酸イソブチル(沸点:118℃)と酢酸ノルマル−プロピル(沸点:102℃)、酢酸ノルマル−ブチル(沸点:125−126℃)を用いることができる。
(e)反応触媒
上記前駆体組成物には、これら各種化合物に加えて、上記第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物との縮重合反応を促進させる触媒や重合開始温度を調整するための触媒を反応触媒として用いることが可能である。反応触媒としては、酸触媒を用いることができ、その例として希硝酸が挙げられる。なお、希硝酸を加えたことに起因する前駆体組成物の酸性化を中和して、そのpHを調整するために水酸化トリメチルアンモニウム等のアルカリを添加してもよい。
上記構成からなる前駆体組成物であれば、非水系溶媒の沸点付近に前駆体組成物が加熱されると、前駆体組成物に含まれる非水系溶媒の蒸発が促進されて、第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物とが非イオン性界面活性剤ミセルの周囲に集合するようになる。さらに第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物とが共重合を開始する温度にまで前駆体組成物が加熱されると、ポリシロキサン骨格を主骨格とする有機シリコン酸化膜が形成されて、該有機シリコン酸化膜中に非イオン性界面活性剤ミセルが含まれるようになる。そして第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物とが共重合する温度以上に前駆体組成物が加熱されると、有機シリコン酸化膜に含まれる非イオン性界面活性剤ミセルが破壊されて、同ミセルの占有した空間に空孔が形成されるようになる。そのためポリシロキサン骨格を主骨格とする多孔質シリカ膜の空孔率、つまり比誘電率が非イオン性界面活性剤ミセルの含有量によって規定されるようになる。
この際、直鎖飽和炭化水素骨格を有した有機二ケイ素化合物を第二のアルコキシシラン化合物として用いるようにしているため、多孔質シリカ膜の表層は当然のことながら、三次元的な主骨格であるポリシロキサン骨格中にも飽和炭化水素骨格が含まれることになる。つまり、多孔質シリカ膜を構成するポリシロキサン骨格に含まれるようなかたちで飽和炭化水素骨格が多孔質シリカ膜中に付与されることになる。そして多孔質シリカ膜の全体に渡り疎水性の高い飽和炭化水素骨格が付与されることとなる。その結果、多孔質シリカ膜に対してドライエッチング処理が適用される場合であっても、飽和炭化水素基とケイ素との間の結合がエッチャントにより切断される場合と比較して、飽和炭化水素骨格とケイ素との結合がエッチャントにより切断され難くなる。そのため、多孔質シリカ膜における疎水性の低下が抑制でき、多孔質シリカ膜の誘電率がその加工後に増大することを抑制できる。
なお、アルコキシシラン化合物の有するアルコキシ基やアルキル基の炭素原子数が多くなると、アルコキシシラン化合物間の分子間の距離が一般に長くなって、上記空孔を除いた部分においては膜の緻密化が促進され難くなる。上述するような多孔質シリカ膜にあっては、多孔質シリカ膜の空孔率、つまり多孔質シリカ膜の誘電率が非界面活性剤ミセルの含有量によって担保されるため、空孔を除いた部分に対しては更なる空孔が必要とされない。むしろ多孔質シリカ膜の硬さを確保したり膜中の疎水基を保護したりするという観点からすれば、膜の緻密化が促進される構成が好ましい。このような点から、第一のアルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランの重合体であるメチルシリケート、ジメチルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシランが好ましい。また第二のアルコキシシラン化合物におけるアルコキシル基も、炭素原子数が1〜3のアルコキシル基が好ましい。これらの構成によれば、空孔を除いた部分において膜の緻密化が促進されることから、多孔質シリカ膜の機械的な強度を確保したり膜中の疎水基をより確実に保護したりすることが可能にもなる。
また前駆体組成物における第一のアルコキシシラン化合物のSi原子組成比百分率は、主骨格であるポリシロキサン骨格の鎖状の長さや三次元的な広がりが大きく、多孔質シリカ膜の機械的な硬さの指標となるヤング率が高くなる観点から、65at%以上、95at%以下が好ましく、特に75at%以上、85at%以下がより好ましい。
また前駆体組成物における第二のアルコキシシラン化合物のSi原子組成百分率も、上記の観点から、5at%以上、35at%以下が好ましく、特に10at%以上、30at%以下がより好ましい。
さらに第一のアルコキシシラン化合物としてテトラエトキシシランを用い且つ、第二のアルコキシシラン化合物としてビス(トリエトキシシラン)エタンを用いる場合であれば、テトラエトキシシランのSi原子組成百分率が75at%以上、85at%以下であって、ビス(トリエトキシシラン)エタンのSi原子組成百分率が15at%以上、25at%以下であることが好ましい。これは、テトラエトキシシラン間の重合開始温度と、ビス(トリエトキシシラン)エタン間の重合開始温度と、テトラエトキシシランとビス(トリエトキシシラン)エタンとの共重合開始温度との差が大きく、ポリシロキサン骨格の構造を温度によって調整できる観点において極めて好ましい。
本実施形態におけるフォトマスクブランク製造方法は、前駆体組成物とされる流動液を透明基板11の光出射側面に塗布した後に焼成して前記低屈折率材料膜を成膜するものとされる。フォトマスクブランク製造方法は、図2に示すように、基板準備工程S01と、塗布液準備工程S02と、フィルトレーション工程S03と、塗布工程S04と、焼成工程S05と、検査工程S06と、を有する。
図2に示す基板準備工程S01においては、ガラス基板(透明基板)11上に、DCスパッタリング法などを用いて、Crを主成分とする遮光層12を成膜することで製造される。
このとき、必要であれば、ガラス基板(透明基板)11上に、Crを主成分とする位相シフト層、Niを主成分とするエッチングストッパー層、Crを主成分とする遮光層12を順に成膜する。位相シフト層、遮光層としては、オペーク膜(Cr膜、MoSi膜等)とすることができる。ここで、オペーク膜はハーフトーン膜を含む。
図2に示す塗布液準備工程S02においては、低屈折率材料膜13を形成するために、前駆体組成物とされる塗布液(流動液)を準備する。このとき、第一のアルコキシシラン化合物と、第二のアルコキシシラン化合物と、前記第一のアルコキシシラン化合物と前記第二のアルコキシシラン化合物とが共重合する温度以上で破壊する非イオン性界面活性剤ミセルとを含む多孔質膜の前駆体組成物を準備する。
このとき、 上記(d)非水系溶媒のいずれかに、(a)第一のアルコキシシラン化合物、(b)第二のアルコキシシラン化合物、及び(c)非イオン性界面活性剤ミセルとの比を上述した最適の割合となるように混合し、例えば25℃で30分間攪拌する。次いで、(e)反応触媒である酸触媒を加え、例えば25℃で3時間攪拌する。その後、この酸触媒を中和するアルカリを加えて例えば24時間攪拌することにより、上記多孔質膜の前駆体組成物を得ることができる。前駆体組成物は常温において液体であることが好ましい。
図2に示すフィルトレーション工程S03においては、液体である前駆体組成物を0.2μm程度のフィルタによってろ過する。
図2に示す塗布工程S04においては、フィルトレーション工程S03によってろ過した後に前駆体組成物である流動液をガラス基板11上に焼成後の膜厚を制御可能なように塗布する。このとき、スピンコートあるいはCAPコータ」と通称される塗布装置などを用いることもできる。スピンコートによる塗布の場合には、ガラス基板11に例えば1200rpmの条件で前駆体組成物を塗布する。
こうして基板に塗布された前駆体組成物からなる膜内では、非イオン性界面活性剤ミセルが形成されており、各ミセル粒子の周囲には、第一のアルコキシシラン化合物や第二のアルコキシシラン化合物が集合している。
図2に示す焼成工程S05においては、前記多孔質膜の前駆体組成物が塗布された透明基板11を前記第一のアルコキシシラン化合物と前記第二のアルコキシシラン化合物とが共重合する温度にまで昇温させる工程と、破壊された前記非イオン性界面活性剤ミセルを、前記第一のアルコキシシラン化合物と前記第二のアルコキシシラン化合物との共重合体から除去する工程と、を含むものとされる。
このように、がラス基板11に塗布された前駆体組成物から非水系溶媒を除去する。例えば前駆体組成物が塗布された基板を真空雰囲気にて加熱し、例えば35秒間で350℃にまで昇温し、前駆体組成物中の非水系溶媒を蒸発させる。基板を加熱する時間としては、前駆体組成物が含有する非水系溶媒を揮発可能な時間に設定すればよい。
続いて、非水系溶媒の蒸発とともに、あるいは非水系溶媒の蒸発後に、第一のアルコキシシラン化合物の重合、第二のアルコキシシラン化合物の重合、及び第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物との共重合を開始する。例えば基板に対し外部から熱が与えられ、その温度が350℃程度にまで達するとき、前駆体組成物内の第一のアルコキシシラン化合物及び第二のアルコキシシラン化合物にも熱のエネルギーが付与され、第一のアルコキシシラン化合物の重合、第二のアルコキシシラン化合物の重合、及び第一のアルコキシシラン化合物と第二のアルコキシシラン化合物との共重合が進行するようになる。ちなみに、これらの反応においては上記反応触媒が反応を促進させる。また、加熱により非水系溶媒が完全に蒸発すると、ポリシロキサン骨格からなる有機ケイ素酸化物によって囲まれたミセルはその位置に残存する。
そして、アルコキシシラン化合物の重合開始とともに、あるいはアルコキシシラン化合物の重合後に、非イオン性界面活性剤ミセルの除去を開始する。例えば重合条件と同一の温度下且つ真空雰囲気下で、照度が40mW/cm等の条件にて例えば172nmの紫外線を20秒間照射し、基板上に塗布された非イオン性界面活性剤を除去する。つまり、紫外線の照射時間としては、基板上の非イオン性界面活性剤を除去可能な時間を設定することができる。このように基板に紫外線照射が実施されると、非イオン性界面活性剤の会合状態、あるいは非イオン性界面活性剤そのものが紫外線によって破壊され、これにより非イオン性界面活性剤ミセルが基板上から除去される。
なお、これら加熱処理及び紫外線照射処理は、真空雰囲気に限らず、窒素雰囲気あるいは酸素含有雰囲気、大気雰囲気等にて実施することも可能である。また、紫外線照射処理の完了によって多孔質シリカ膜が形成された後に、該多孔質シリカ膜の表面をヘキサメチルジシラザンの蒸気に曝すことで、多孔質シリカ膜の表面をシリル化する処理を更に実施するようにしてもよい。
また、焼成時間は、必要な膜厚によるが、60min程度とされることができる。
図2に示す検査工程S06においては、まず、焼成された低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13とされる多孔質膜の膜厚および透過率といった膜特性を検査する。次いで、自動検査機による外観検査をおこなう。これにより、フォトマスクブランク10Bを製造する。
ここで、自動検査機による外観検査は、公知の大型マスク基板用検査装置にて表面欠陥を検査する。
本実施形態のフォトマスクブランク10Bは、例えばFPD用ガラス基板に対するパターニング用マスクを構成するように供されることができる。当該マスクを用いたガラス基板のパターニングには、露光光に300nm以上500nm以下の波長領域の何れかの光、例えば、i線、h線及びg線の複合波長が用いられることができる。
本実施形態のフォトマスクブランク10Bは、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13を遮光層12と逆側の面に形成したことにより、反射防止効果および透過向上効果を呈することが可能となる。
また、スピンコート等の塗布工程S04および、大気焼成工程S05により、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13を形成することができ、大がかりな製造装置を追加して用いることなく製造することが可能となる。
本実施形態のフォトマスク10は、図3に示すように、フォトマスクブランク10Bの遮光層12にパターンを形成したものとされる。
以下、本実施形態のマスクブランク10Bからフォトマスク10を製造する製造方法について説明する。
位相シフトマスクブランクス10Bの最上層である遮光層12の上にフォトレジスト層を形成する。フォトレジスト層は、ポジ型でもよいしネガ型でもよい。フォトレジスト層としては、液状レジストが用いられる。
続いて、フォトレジスト層を露光及び現像することで、遮光層12の上にレジストパターンが形成される。レジストパターンは、遮光層12のエッチングマスクとして機能し、遮光層12のエッチングパターンに応じて適宜形状が定められる。一例として、位相シフト領域においては、形成する位相シフトパターンの開口幅寸法に対応した開口幅を有する形状に設定される。
次いで、このレジストパターン越しに第1エッチング液を用いて遮光層12をウェットエッチングする。第1エッチング液としては、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることができ、例えば、硝酸や過塩素酸等の酸を含有する硝酸セリウム第2アンモニウムを用いることが好ましい。
以上により、遮光パターン12Pを有するフォトマスク10が、図3に示すように得られる。
本実施形態のフォトマスク10は、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13を遮光パターン12Pと逆側の面に形成したことにより、反射防止効果および透過向上効果を呈することが可能となる。
なお、本実施形態のフォトマスク10においては、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13の形成を、遮光パターン12Pの形成よりも後におこなうことも可能である。この場合、基板準備工程S01として、遮光パターン12Pを形成したマスクブランク10Bを用意することになる。
以下、本発明に係るフォトマスクの第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図4は、本実施形態におけるフォトマスクを示す断面図であり、本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、位相シフト層16、エッチングストッパー層17に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のフォトマスクブランクは、フォトマスクブランク10Bにおいて、遮光層12、エッチングストッパー層17、位相シフト層16からなるパターンを形成した位相シフトマスクブランクとされる。
本実施形態のフォトマスク20は、図4に示すように、位相シフトマスクブランクに、遮光パターン12P、エッチングストッパーパターン17P、位相シフトパターン16Pからなるパターンを形成した位相シフトマスクとされる。
以下、本実施形態のマスクブランクからフォトマスク20を製造する製造方法について説明する。
位相シフトマスクブランクス10Bの最上層である遮光層12の上にフォトレジスト層を形成する。フォトレジスト層は、ポジ型でもよいしネガ型でもよい。フォトレジスト層としては、液状レジストが用いられる。
続いて、フォトレジスト層を露光及び現像することで、遮光層12の上にレジストパターンが形成される。レジストパターンは、遮光層12のエッチングマスクとして機能し、遮光層12のエッチングパターンに応じて適宜形状が定められる。
次いで、このレジストパターンをマスクとして第1エッチング液を用いて遮光層12をウェットエッチングする。第1エッチング液としては、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることができ、例えば、硝酸や過塩素酸等の酸を含有する硝酸セリウム第2アンモニウムを用いることが好ましい。ここで、エッチングストッパー層17は第1エッチング液に対して高い耐性を有するため、遮光層12のみがパターニングされて遮光パターン12Pが形成される。
次いで、上記レジストパターンをマスクとして第2エッチング液を用いてエッチングストッパー層17をウェットエッチングする。第2エッチング液としては、硝酸に酢酸、過塩素酸、過酸化水素水及び塩酸から選択した少なくとも1種を添加したものを好適に用いることができる。ここで、遮光層12及び位相シフト層16は第2エッチング液に対して高い耐性を有するため、エッチングストッパー層17のみがパターニングされてエッチングストッパーパターン17Pが形成される。
次いで、レジストパターンをマスクとして、つまり、レジストパターンを除去しない状態で、第1エッチング液を用いて位相シフト層16をウェットエッチングする。ここで、遮光パターン12Pは位相シフト層16と同じCr系材料で構成され、遮光パターン12Pの側面は露出しているため、位相シフト層16がパターニングされて位相シフトパターン16Pが形成される。
次いで、第2エッチング液を用いて遮光パターン12Pの側面から露出しているエッチングストッパー層17をウェットエッチングして、遮光パターン12Pに対応した開口幅を有するエッチングストッパーパターン17Pとして、レジストパターンを除去する。レジストパターンの除去には、公知のレジスト剥離液を用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。尚、レジストパターンの除去は遮光パターン12P形成後でも良好である。
以上により、位相シフトマスクとなるフォトマスク20が、図4に示すように得られる。
本実施形態のフォトマスク20は、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13を遮光パターン12Pと逆側の面に形成したことにより、反射防止効果および透過向上効果を呈することが可能となる。
なお、本実施形態のフォトマスク20においては、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13の形成を、パターン12P,17P,16Pの形成よりも後におこなうことも可能である。この場合、基板準備工程S01として、遮光パターン12Pを形成したマスクブランク10Bを用意することになる。
以下、本発明に係るフォトマスクの第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図5は、本実施形態におけるフォトマスクを示す断面図であり、本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14a、14bに関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のフォトマスク30においては、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14a、14bが、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13と等しい材質からなり、図4に示すように、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14aが、低屈折率材料層13と逆側で遮光パターン12Pのないガラス基板11表面に形成され、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14bが、遮光パターン12P表面に形成されている。
また、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14a、14bは、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13と等しい膜厚となるように設定されている。
低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14a、14bは、第1実施形態における基板準備工程S01として、遮光パターン12Pを形成したマスクブランク10Bに対して、遮光パターン12Pの有る面に、以後の工程を適用して形成することができる。つまり、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14aと低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14bとは、同一工程によって形成される。
なお、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14a、14bの形成と、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13の形成とは、どちらが先でも構わない。
本実施形態のフォトマスク30は、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13と低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14aとをガラス基板11の表裏面に形成したことにより、第1実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、さらに透過向上効果を2倍呈することが可能となる。
さらに、本実施形態のフォトマスク30は、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14bを遮光パターン12P表面に形成したことにより、遮光パターン12P上における反射率を低下する効果を呈することが可能となる。
なお、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、位相シフトマスクとすることが可能である。
以下、本発明に係るフォトマスクの第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
図6は、本実施形態におけるフォトマスクを示す断面図である。
本実施形態のフォトマスク40において上述した第1から第3実施形態と異なるのは低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14a、14bが形成されて低屈折率材料層(低屈折率材料膜)13が形成されていない点であり、これ以外の対応する構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のフォトマスク40は、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14aをガラス基板11の表裏面に形成したことにより、第2実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、さらに、低屈折率材料層(低屈折率材料膜)14bを遮光パターン12P表面に形成したことにより、遮光パターン12P上における反射率を低下する効果を呈することが可能となる。
なお、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、位相シフトマスクとすることが可能である。
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
ここでは、まず、図7〜9に示すように、各露光光波長において、低屈折率材料層13の膜厚を変化させて、透過率の変化をシミュレートした。
<例1>
ガラス基板11;152mm×152mm(9インチ)×厚さ3mm石英基板(6025石英)
ここでは、ガラス基板11の裏面における低屈折率材料層13の特性をシミュレーションするために、遮光層12は形成しない状態とした。
波長λ;365nm
低屈折率材料層13となる前駆体組成物の作製においてはまず、上記第一のアルコキシシラン化合物、第二のアルコキシシラン化合物、及び非イオン性界面活性剤を非水系溶媒に添加し、25℃で30分間攪拌した。次いで、酸触媒を加えて25℃で3時間攪拌した後、酸触媒を中和するアルカリを加えて24時間攪拌した。
このとき、上記(a)〜(e)に示される各種化合物、及び(f)pH調整剤を以下のような配合で混合して上記前駆体組成物を作製した。
(a)第一のアリコキシシラン化合物:メチルシリケート 0.0083mol
(b)第二のアルコキシシラン化合物:ビス(トリメトキシシラン)エタン 0.0042mol
(c)非イオン性界面活性剤:エパン450(商品名:第一工業製薬株式会社製、化学式(6)参照) 0.0042mol
HO(CHCHO)13(CH(CH)CHO)20(CHCHO)13H … 式(6)
(d)非水系溶媒:エタノール 13.3ml
(e)反応触媒:硝酸溶液(0.5%) 5.14g
(f)pH調整剤:水酸化トリメチルアンモニウム/プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液 0.00004mol/196.2ml
なお、上記前駆体組成物における上記メチルシリケートのSi原子組成比百分率は66at%であるとともに、同前駆体組成物における上記ビス(トリメトキシシラン)エタンのSi原子組成比百分率は34at%である。
このように作製した前駆体組成物により多孔質シリカ膜である低屈折率材料層13を成膜する際には、まず、1200rpmの条件で該前駆体組成物をガラス基板11裏面にスピンコートした。この前駆体組成物が塗布された基板11を大気雰囲気下に載置し、その温度を35秒間で350℃にまで昇温した。次いで、照度が40mW/cmであって且つ、172nmの波長を有する紫外線を350℃で20秒間照射した。
低屈折率材料層13;
比誘電率;2.1
ヤング弾性率;6GPa
硬度;0.7GPa
屈折率n;1.22
消衰係数k;0.0000
空孔径(中心値);3〜4nm
塗布液:株式会社ULVAC製 Low k材(ULKS)
低屈折率材料層13厚さ;0nm、71.30nm、142.60nm、213.90nm、285.20nm、356.50nm
この結果を図7に示す。
<例2>
例1と同様のガラス基板11とした。
波長λ;405nm
例1と同様の材質により低屈折率材料層13を成膜。
低屈折率材料層13厚さ;0nm、79.25nm、158.50nm、237.75nm、317.00nm、396.25nm
この結果を図8に示す。
<例3>
例1と同様のガラス基板11とした。
波長λ;436nm
例1と同様にして低屈折率材料層13を成膜。
低屈折率材料層13厚さ;85.15nm、170.30nm、255.45nm、340.60nm、425.75nm
この結果を図9に示す。
これらの結果から、i線、h線、g線からなる複合波長やこれらの波長からなる露光光を用いた場合に、ガラス基板11裏面に低屈折率材料層13を形成することで、ガラス基板11裏面での反射に起因する透過率低減が防止され、透過率を向上させることが可能であるとわかる。したがって、効率的な露光光量の使用により、解像度、スループットを向上させることができる。
<例4>
次に、例1と同様のガラス基板11表面に、スパッタリング法により、遮蔽層12としてクロム主成分の層を厚さ100nmとして形成しバイナリーブランクとした。この遮蔽層12上に低屈折率材料層14bを、例1の低屈折率材料層13と同様に成膜してその膜厚を変化させ、反射率の変化をシミュレートした。なお、この例では、遮光パターンは形成していない。
波長λ;405nm
低屈折率材料層14b厚さ;0nm、79.25nm、237.75nm、396.25nm
この結果を図10に示す。
<例5>
例1と同様のガラス基板11上に、スパッタリング法により、位相シフト層たるクロムの酸化窒化炭化膜を120nmの厚さで成膜し、エッチングストッパー層たるNi−Ti−Nb−Mo膜を30nmの厚さで成膜し、遮光層12たるクロム主成分の層と酸化クロム主成分の層との2層で構成される膜を100nmの合計厚さで成膜して、位相シフトブランクとした。この遮蔽層12上に低屈折率材料層14bを例4と同様に成膜してその膜厚を変化させ、反射率の変化をシミュレートした。なお、この例でも、遮光パターンは形成していない。
波長λ;405nm
低屈折率材料層14b厚さ;0nm、79.25nm、237.75nm、396.25nm
この結果を図11に示す。
これらの結果から、i線、h線、g線からなる複合波長やこれらの波長からなる露光光を用いた場合に、遮光層12表面に低屈折率材料層14bを形成することで、遮光層12表面での反射率を低減することが可能であるとわかる。したがって、効率的な露光光量の使用により、解像度、スループットを向上させることができる
さらに、消衰係数kを変化させて、透過率の変化をシミュレートした。
<例6>
例2と同様にガラス基板11とした。
波長λ;405nm
例2と同様に低屈折率材料層13を低屈折率材料層13厚さ;79.25nmとして成膜。
消衰係数kを、0、0.001、0.005、0.01とした。
この結果を図12に示す。なお、図において、低屈折率材料層13を設けないものを石英基板として示した。
同様に、消衰係数kを変化させて、透過率の変化をシミュレートした。
<例7>
例6と同様にガラス基板11とした。
波長λ;405nm
例6と同様に低屈折率材料層13を低屈折率材料層13厚さ;396.25nmとして成膜。
消衰係数kを、0、0.001、0.005、0.01とした。
この結果を図13に示す。なお、図において、低屈折率材料層13を設けないものを石英基板として示した。
これらの結果から、消衰係数kが、0〜0.001の範囲であると透過率を向上させることが可能であるとわかる。
本発明の活用例として、大面積の光学薄膜のアプリケーションで透過光量効率向上を図ることを挙げることができる。
10、20,30,40…フォトマスク
10B…フォトマスクブランク
11…ガラス基板(透明基板)
12…遮光層
12P…遮光パターン
13,14a,14b…低屈折率材料層(低屈折率材料膜)
16…位相シフト層
16P…位相シフトパターン
17…エッチングストッパー層
17P…エッチングストッパーパターン

Claims (14)

  1. 露光光の波長が365nm〜436nmの範囲で使用されるフォトマスクに供されるフォトマスクブランクであって、
    透明基板に積層された遮光層を有し、
    前記透明基板の光出射側面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜が設けられることを特徴とするフォトマスクブランク。
  2. 前記低屈折率材料膜の消衰係数k値が、前記露光光の波長に対して0〜0.001の範囲を有することを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
  3. 前記低屈折率材料膜の膜厚が、前記露光光の波長λに対し、1/λの奇数倍に設定されることを特徴とする請求項1または2記載のフォトマスクブランク。
  4. 前記低屈折率材料膜が、多孔質シリカからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載のフォトマスクブランク。
  5. 前記低屈折率材料膜が、メチルシリケートを含むことを特徴とする請求項4記載のフォトマスクブランク。
  6. 請求項1から5のいずれか記載のフォトマスクブランクの製造方法であって、流動液を前記透明基板の光出射側面に塗布した後に焼成して前記低屈折率材料膜を成膜することを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
  7. 露光光の波長が365nm〜436nmの範囲で使用されるフォトマスクであって、
    透明基板に積層された遮光層を有し、
    前記透明基板の光出射側面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜が設けられることを特徴とするフォトマスク。
  8. 前記低屈折率材料膜の消衰係数k値が、前記露光光の波長に対して0〜0.001の範囲を有することを特徴とする請求項7記載のフォトマスク。
  9. 前記低屈折率材料膜の膜厚が、前記露光光の波長λに対し、1/λの奇数倍に設定されることを特徴とする請求項7または8記載のフォトマスク。
  10. 前記低屈折率材料膜が、多孔質シリカからなることを特徴とする請求項7から9のいずれか記載のフォトマスク。
  11. 前記低屈折率材料膜が、メチルシリケートを含むことを特徴とする請求項10記載のフォトマスク。
  12. 前記遮光層の光入射側面に反射防止膜としての低屈折率材料膜が設けられることを特徴とする請求項7から11のいずれか記載のフォトマスク。
  13. 前記透明基板の光入射面に反射防止膜または透過率上昇膜としての低屈折率材料膜が設けられることを特徴とする請求項7から12のいずれか記載のフォトマスク。
  14. 請求項7から13のいずれか記載のフォトマスクの製造方法であって、流動液を塗布した後に焼成して前記低屈折率材料膜を成膜することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
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