(第1実施形態)
図1〜図11により、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10を、車両走行用の駆動力を走行用電動モータから得る電気自動車に搭載される車両用空調装置1に適用している。エジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置1において、空調対象空間である車室内へ送風される送風空気を加熱あるいは冷却する機能を果たす。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10の熱交換対象流体は送風空気である。
さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10は、図1〜図4に示すように、冷房モードの冷媒回路(図1参照)、弱直列除湿暖房モードの冷媒回路(図1参照)、直列除湿暖房モードの冷媒回路(図2参照)、並列除湿暖房モードの冷媒回路(図3参照)、暖房モードの冷媒回路(図4参照)を切替可能に構成されている。
冷房モードは、送風空気を冷却して車室内を冷房する運転モードである。弱直列除湿暖房モードは、冷却して除湿された送風空気を再加熱して車室内の除湿暖房を行う運転モードである。直列除湿暖房モードは、弱直列除湿暖房モードよりも高い加熱能力で送風空気を再加熱して車室内の除湿暖房を行う運転モードである。並列除湿暖房モードは、直列除湿暖房モードよりも高い加熱能力で送風空気を再加熱して車室内の除湿暖房を行う運転モードである。さらに、暖房モードは、送風空気を加熱して車室内を暖房する運転モードである。なお、図1〜図4では、それぞれの運転モードにおける冷媒の流れを実線矢印で示している。
また、エジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒として、HFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。この冷媒には、圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
エジェクタ式冷凍サイクル10の構成機器のうち、圧縮機11は、車両ボンネット内に配置され、エジェクタ式冷凍サイクル10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。本実施形態では、圧縮機11として、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機を採用している。圧縮機11は、後述する空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御される。
圧縮機11の吐出口には、室内凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器12は、後述する室内空調ユニット30において送風空気の空気通路を形成するケーシング31内に配置されている。室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と後述する室内蒸発器20通過後の送風空気とを熱交換させて、高圧冷媒を熱源として送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。室内空調ユニット30の詳細については後述する。
室内凝縮器12の冷媒出口には、第1三方継手13aの1つ流入出口側が接続されている。さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10では、後述するように、第2〜第5三方継手13b〜13eを備えている。第2〜第5三方継手13b〜13eの基本的構成は、第1三方継手13aと同様である。
これらの三方継手のうち、例えば、冷房モード時の第1三方継手13aでは、3つの流入出口のうち1つが冷媒流入口として用いられ、残りの2つが冷媒流出口として用いられている。従って、冷房モード時の第1三方継手13aは、冷媒流入口から流入した冷媒の流れを分岐する分岐部としての機能を果たす。
また、例えば、並列除湿暖房モード時の第5三方継手13eでは、3つの流入出口のうち2つが冷媒流入口として用いられ、残りの1つが冷媒流出口として用いられている。従って、並列除湿暖房モード時の第4三方継手13dは、2つの冷媒流入口から流入した冷媒の合流させる合流部としての機能を果たす。
第1三方継手13aの一方の冷媒流出口には、第1流量調整弁14aを介して、第2三方継手13bの冷媒流入口側が接続されている。第1三方継手13aの他方の冷媒流出口には、第2流量調整弁14bを介して、後述するエジェクタ15のノズル部15aの入口側が接続されている。
第1、第2流量調整弁14a、14bは、いずれも冷媒通路の開度を変化させる弁体と、この弁体の開度を変化させる電動アクチュエータ(具体的には、ステッピングモータ)を有して構成される電気式の可変絞り機構である。
第1流量調整弁14aは、少なくとも弱直列除湿暖房モード時に、後述する室外熱交換器18へ流入する冷媒流量を調整するとともに、冷媒を減圧させる膨張弁としての機能を果たす。第2流量調整弁14bは、少なくとも並列除湿暖房モード時および暖房モード時に、エジェクタ15のノズル部15aへ流入する冷媒流量を調整する機能とともに冷媒を減圧させる膨張弁としての機能を果たす。
さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10では、後述するように、第3、第4流量調整弁14c、14dを備えている。第3、第4流量調整弁14c、14dの基本的構成は、第1、第2流量調整弁14a、14bと同様である。
これらの第1〜第4流量調整弁14a〜14dは、弁開度を全開にすることで流量調整作用および冷媒減圧作用を殆ど発揮することなく単なる冷媒通路として機能する全開機能、および弁開度を全閉にすることで冷媒流路を閉塞する全閉機能を有している。
そして、この全開機能および全閉機能により、第1〜第4流量調整弁14a〜14dは、は、上述した各運転モードの冷媒回路を切り替えることができる。従って、第1〜第4流量調整弁14a〜14dは、冷媒回路を切り替える冷媒回路切替装置としての機能も兼ね備えている。第1〜第4流量調整弁14a〜14dは、空調制御装置40から出力される制御信号(制御パルス)によって、その作動が制御される。
第2三方継手13bの一方の冷媒流出口には、第3三方継手13cの1つの流入出口側が接続されている。第2三方継手13bの他方の冷媒流出口には、除湿暖房用冷媒通路16aを介して、第4三方継手13dの一方の冷媒流入口側が接続されている。
第2三方継手13bの一方の冷媒流出口と第3三方継手13cの1つの流入出口側とを接続する冷媒通路には、第1開閉弁17aが配置されている。除湿暖房用冷媒通路16aには、第2開閉弁17bが配置されている。
第1、第2開閉弁17a、17bは、いずれも冷媒通路を開閉する電磁弁である。より詳細には、第2開閉弁17bは、除湿暖房用冷媒通路16aを開閉する除湿暖房用開閉弁である。さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10では、後述するように、第3〜第5開閉弁17c〜17eを備えている。第3〜第5開閉弁17c〜17eの基本的構成は、第1、第2開閉弁17a、17bと同様である。
また、第1〜第5開閉弁17a〜17eは、冷媒通路を開閉することで、上述した各運転モードの冷媒回路を切り替えることができる。従って、第1〜第5開閉弁17a〜17eは、第1〜第4流量調整弁14a〜14dとともに、冷媒回路切替装置としての機能を果たす。第1〜第5開閉弁17a〜17eは、空調制御装置40から出力される制御電圧によって、その作動が制御される。
第3三方継手13cの別の流入出口には、室外熱交換器18の一方の冷媒流入出口側が接続されている。第3三方継手13cのさらに別の流入出口には、エジェクタ15の冷媒吸引口15c側が接続されている。第3三方継手13cの別の流入出口とエジェクタ15の冷媒吸引口15cとを接続する冷媒通路には、この冷媒通路を開閉する第3開閉弁17cが配置されている。
エジェクタ15は、少なくとも並列除湿暖房モード時および暖房モード時に、室内凝縮器12から流出した冷媒を減圧させる減圧装置としての機能を果たす。さらに、エジェクタ15は、高速度で噴射される噴射冷媒の吸引作用によって、室外熱交換器18から流出した冷媒を吸引して輸送する冷媒輸送装置としての機能を果たす。
より具体的には、エジェクタ15は、ノズル部15aおよびボデー部15bを有している。ノズル部15aは、冷媒の流れ方向に向かって徐々に先細る形状の金属製(本実施形態では、ステンレス製)の略円筒状部材で形成されている。そして、内部に形成された冷媒通路にて冷媒を等エントロピ的に減圧させるものである。
ノズル部15aの内部に形成された冷媒通路には、通路断面積が最も縮小した喉部(最小通路面積部)が形成され、さらに、この喉部から冷媒を噴射する冷媒噴射口へ向かうに伴って冷媒通路面積が拡大する末広部が形成されている。つまり、ノズル部15aは、ラバールノズルとして構成されている。
さらに、本実施形態では、ノズル部15aとして、エジェクタ式冷凍サイクル10の通常作動時に、冷媒噴射口から噴射される噴射冷媒の流速が音速以上となるように設定されたものが採用されている。もちろん、ノズル部15aを先細ノズルで構成してもよい。
ボデー部15bは、金属製(本実施形態では、アルミニウム合金製)の円筒状部材で形成されており、内部にノズル部15aを支持固定する固定部材として機能するとともに、エジェクタ15の外殻を形成するものである。より具体的には、ノズル部15aは、ボデー部15bの長手方向一端側の内部に収容されるように圧入にて固定されている。従って、ノズル部15aとボデー部15bとの固定部(圧入部)から冷媒が漏れることはない。
また、ボデー部15bの外周面のうち、ノズル部15aの外周側に対応する部位には、その内外を貫通してノズル部15aの冷媒噴射口と連通するように設けられた冷媒吸引口15cが形成されている。この冷媒吸引口15cは、ノズル部15aから噴射される噴射冷媒の吸引作用によって、室外熱交換器18から流出した冷媒をエジェクタ15の内部へ吸引する貫通穴である。
さらに、ボデー部15bの内部には、冷媒吸引口15cから吸引された吸引冷媒をノズル部15aの冷媒噴射口側へ導く吸引通路、および吸引通路を介してエジェクタ15の内部へ流入した吸引冷媒と噴射冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧部であるディフューザ部15dが形成されている。
ディフューザ部15dは、吸引通路23eの出口に連続するように配置されて、冷媒通路面積が徐々に拡大するように形成されている。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させながら、その流速を減速させて噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力を上昇させる機能、すなわち、混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換する機能を果たす。
ディフューザ部15dの冷媒流出口には、アキュムレータ19の入口側が接続されている。アキュムレータ19は、エジェクタ15のディフューザ部15dから流出した冷媒の気液を分離する気液分離器である。アキュムレータ19には、分離された気相冷媒を流出させるための気相冷媒流出口と、分離された液相冷媒を流出させるための2つの液相冷媒流出口が設けられている。
アキュムレータ19の気相冷媒流出口には、第5三方継手13eの一方の冷媒流入口が接続されている。アキュムレータ19の気相冷媒流出口と第5三方継手13eの一方の冷媒流入口とを接続する冷媒通路には、第4開閉弁17dが配置されている。
アキュムレータ19の一方の液相冷媒流出口には、前述した除湿暖房用冷媒通路16aが接続された第4三方継手13dの他方の冷媒流入口側が接続されている。アキュムレータ19の一方の液相冷媒流出口と第4三方継手13dの他方の冷媒流入口とを接続する冷媒通路には、第5開閉弁17eが配置されている。
アキュムレータ19の他方の液相冷媒流出口には、室外熱交換器18の他方の冷媒流入出口側が接続されている。アキュムレータ19の他方の液相冷媒流出口と室外熱交換器18の他方の冷媒流入出口とを接続する冷媒通路には、第3流量調整弁14cが配置されている。第3流量調整弁14cは、少なくとも暖房モード時に、アキュムレータ19から流出した液相冷媒を減圧させる第1減圧装置である。
室外熱交換器18は、車両ボンネット内に配置されて、その内部を流通する冷媒と図示しない送風ファンから送風された外気とを熱交換させる熱交換器である。室外熱交換器18は、冷房モードおよび弱直列除湿暖房モードでは、高圧冷媒を放熱させる放熱器として機能する。さらに、直列除湿暖房モード、並列除湿暖房モードおよび暖房モードでは、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
また、本実施形態では、室外熱交換器18として、内部に形成された冷媒通路の通路断面積が冷媒流れ方向に向かって変化するものを採用している。より詳細には、本実施形態の室外熱交換器18は、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器で構成されている。そして、冷媒を流通させるパス構成を調整することによって、内部に形成された冷媒通路の通路断面積を変化させている。
ここで、タンクアンドチューブ型の熱交換器におけるパスとは、タンク内に形成された同一の分配空間内の冷媒をタンク内に形成された同一の集合空間へ向けて同一の方向へ流すチューブ群によって形成される冷媒通路と定義することができる。従って、パスを構成するチューブの本数を変化させることによって、パス(冷媒通路)の通路断面積(チューブの合計通路断面積)を変化させることができる。
本実施形態の室外熱交換器18では、他方の冷媒流入出口側から一方の冷媒流入出口側へ向かうに伴って、内部に形成される冷媒通路の通路断面積が段階的に拡大するパス構成になっている。なお、本実施形態においける他方の冷媒流入出口は、アキュムレータ19の他方の液相冷媒流出口側が接続される流入出口となり、一方の冷媒流入出口は、第3三方継手13cの別の流入出口側が接続される流入出口となる。
第4三方継手13dの冷媒流出口には、室内蒸発器20の冷媒流入口側が接続されている。第4三方継手13dの冷媒流出口と室内蒸発器20の冷媒流入口とを接続する冷媒通路には、第4流量調整弁14dが配置されている。第4流量調整弁14dは、少なくとも冷房モード時、弱直列除湿暖房モード、直列除湿暖房モード、および並列除湿暖房モード時に室内蒸発器20へ流入する冷媒を減圧させる第2減圧装置である。
このため、本実施形態の除湿暖房用冷媒通路16aは、第3三方継手13c側の冷媒流入出口と第2減圧装置である第4流量調整弁14dの入口とを接続している。
室内蒸発器20は、室内空調ユニット30のケーシング31内であって、前述した室内凝縮器12よりも空気流れ上流側に配置されている。室内蒸発器20は、第4流量調整弁14dにて減圧された低圧冷媒を送風空気と熱交換させて蒸発させ、吸熱作用を発揮させることによって送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。
室内蒸発器20の冷媒流出口には、前述した第5三方継手13eの他方の冷媒流入口側が接続されている。第5三方継手13eの冷媒流出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、エジェクタ式冷凍サイクル10によって温度調整された送風空気を車室内へ吹き出すためのもので、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側(車室内)に配置されている。室内空調ユニット30は、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、室内蒸発器20、室内凝縮器12、およびエアミックスドア34等を収容して構成されている。
ケーシング31は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成するもので、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。このケーシング31内の送風空気流れ最上流側には、ケーシング31内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替手段としての内外気切替装置33が配置されている。
内外気切替装置33は、ケーシング31内へ内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口の開口面積を、内外気切替ドアによって連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を連続的に変化させるものである。内外気切替ドアは、内外気切替ドア用の電動アクチュエータによって駆動され、この電動アクチュエータは、空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
内外気切替装置33の送風空気流れ下流側には、内外気切替装置33を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風手段としての送風機(ブロワ)32が配置されている。この送風機32は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置40から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
送風機32の送風空気流れ下流側には、室内蒸発器20および室内凝縮器12が、この順に配置されている。つまり、室内蒸発器20は、室内凝縮器12よりも送風空気流れ上流側に配置されている。さらに、室内蒸発器20の空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12の送風空気流れ上流側には、室内蒸発器20通過後の送風空気のうち、室内凝縮器12を通過させる風量割合を調整するエアミックスドア34が配置されている。
また、室内凝縮器12の空気流れ下流側には、室内凝縮器12にて冷媒と熱交換して加熱された送風空気と室内凝縮器12を迂回して加熱されていない送風空気とを混合させる混合空間35が設けられている。さらに、ケーシング31の送風空気流れ最下流部には、混合空間35にて混合された送風空気(空調風)を、空調対象空間である車室内へ吹き出す開口穴が設けられている。
具体的には、この開口穴としては、フェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴(いずれも図示せず)が設けられている。フェイス開口穴は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。フット開口穴は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。デフロスタ開口穴は、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。
これらのフェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴は、それぞれ空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられたフェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口(いずれも図示せず)に接続されている。
従って、エアミックスドア34が、室内凝縮器12を通過させる風量と室内凝縮器12を迂回させる風量との風量割合を調整することによって、混合空間にて混合される空調風の温度が調整される。これにより、各吹出口から車室内へ吹き出される送風空気(空調風)の温度が調整されることになる。
つまり、エアミックスドア34は、車室内へ送風される空調風の温度を調整する温度調整部としての機能を果たす。なお、エアミックスドア34は、エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータによって駆動され、この電動アクチュエータは、空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
また、フェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴の送風空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス開口穴の開口面積を調整するフェイスドア、フット開口穴の開口面積を調整するフットドア、デフロスタ開口穴の開口面積を調整するデフロスタドア(いずれも図示せず)が配置されている。
これらのフェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、開口穴モードを切り替える開口穴モード切替装置を構成するものであって、リンク機構等を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータに連結されて連動して回転操作される。なお、この電動アクチュエータも、空調制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
吹出口モード切替装置によって切り替えられる吹出口モードとしては、具体的に、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード等がある。
フェイスモードは、フェイス吹出口を全開してフェイス吹出口から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。バイレベルモードは、フェイス吹出口とフット吹出口の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。フットモードは、フット吹出口を全開するとともにデフロスタ吹出口を小開度だけ開口して、フット吹出口から主に空気を吹き出す吹出口モードである。
さらに、乗員が操作パネル50に設けられた吹出モード切替スイッチをマニュアル操作することによって、デフロスタ吹出口を全開してデフロスタ吹出口から車両フロント窓ガラス内面に空気を吹き出すデフロスタモードとすることもできる。
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置40は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器11、14a〜14d、17a〜17e、32等の作動を制御する。
また、空調制御装置40の入力側には、図5のブロック図に示すように、内気温センサ41、外気温センサ42、日射センサ43、室外熱交換器温度センサ44、吐出温度センサ45、室内蒸発器温度センサ46、空調風温度センサ47等が接続されている。そして、空調制御装置40には、これらのセンサ群の検出信号が入力される。
内気温センサ41は、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温検出部である。外気温センサ42は、車室外温度(外気温)Tamを検出する外気温検出部である。日射センサ43は、車室内へ照射される日射量Asを検出する日射量検出部である。室外熱交換器温度センサ44は、室外熱交換器における冷媒の温度(室外熱交換器温度)Toutを検出する室外熱交換器温度検出部である。吐出温度センサ45は、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度検出部である。室内蒸発器温度センサ46は、室内蒸発器20における冷媒蒸発温度(室内蒸発器温度)Tefinを検出する蒸発器温度検出部である。空調風温度センサ47は、混合空間から車室内へ送風される送風空気温度TAVを検出する空調風温度検出部である。
さらに、空調制御装置40の入力側には、図5に示すように、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル50が接続され、この操作パネル50に設けられた各種操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル50に設けられた各種操作スイッチとしては、オートスイッチ、冷房スイッチ(A/Cスイッチ)、風量設定スイッチ、温度設定スイッチ、吹出モード切替スイッチ等がある。
オートスイッチは、車両用空調装置1の自動制御運転を設定あるいは解除する入力部である。冷房スイッチ(A/Cスイッチ)は、車室内の冷房を行うことを要求する入力部である。風量設定スイッチは、送風機32の風量をマニュアル設定する入力部である。温度設定スイッチは、車室内の目標温度Tsetをマニュアル設定する入力部である。吹出モード切替スイッチは吹出モードをマニュアル設定する入力部である。
なお、本実施形態の空調制御装置40は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
例えば、空調制御装置40のうち、圧縮機11の冷媒吐出能力(圧縮機11の回転数)を制御する構成は、吐出能力制御部を構成している。また、第1〜第5開閉弁17a〜17e等の冷媒回路切替装置の作動を制御する構成は、冷媒回路制御部を構成している。
次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。前述の如く、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷房モード、弱直列除湿暖房モード、直列除湿暖房モード、並列除湿暖房モード、暖房モードの運転を切り替えることができる。
これらの運転モードの切り替えは、空調制御装置40の記憶回路に予め記憶された空調制御プログラムが実行されることによって行われる。空調制御プログラムは、操作パネル50のオートスイッチが投入(ON)された際に実行される。
より具体的には、空調制御プログラムのメインルーチンでは、上述の空調制御用のセンサ群の検出信号および各種空調操作スイッチからの操作信号を読み込む。そして、読み込んだ検出信号および操作信号の値に基づいて、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOを、以下数式F1に基づいて算出する。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×As+C…(F1)
なお、Tsetは温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度、Trは内気センサによって検出された車室内温度(内気温)、Tamは外気センサによって検出された外気温、Asは日射センサによって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
さらに、操作パネル50の冷房スイッチが投入されており、かつ、目標吹出温度TAOが予め定めた冷房基準温度αよりも低くなっている場合には、冷房モードでの運転を実行する。
また、冷房スイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが冷房基準温度α以上になっており、外気温Tamが予め定めた除湿暖房基準温度βよりも高くなっており、さらに、室外熱交換器温度センサ44によって検出された室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも高くなっている場合には、弱直列除湿暖房モードでの運転を実行する。
また、冷房スイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが冷房基準温度α以上になっており、外気温Tamが除湿暖房基準温度βよりも高くなっており、さらに、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも低くなっている場合には、直列除湿暖房モードでの運転を実行する。
また、冷房スイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが冷房基準温度α以上になっており、かつ、外気温Tamが除湿暖房基準温度β以下になっている場合には、並列除湿暖房モードでの運転を実行する。そして、冷房スイッチが投入されていない場合には、暖房モードでの運転を実行する。
これにより、本実施形態の車両用空調装置1では、主に夏季のように比較的外気温が高い場合に、冷房モードでの運転を実行している。また、主に早春季あるいは初冬季等に、弱直列除湿暖房モード、直列除湿暖房モード、および並列除湿暖房モードでの運転を実行している。また、主に冬季のように比較的外気温が低い場合に、暖房モードでの運転を実行している。以下に各運転モードにおける作動を説明する。
(a)冷房モード
冷房モードでは、空調制御装置40が、第1流量調整弁14aを全開とし、第2流量調整弁14bを全閉とし、第3流量調整弁14cを全開とし、第4流量調整弁14dを冷媒減圧作用を発揮する絞り状態とする。さらに、空調制御装置40は、第1開閉弁17aを開き、第2開閉弁17bを閉じ、第3開閉弁17cを閉じ、第4開閉弁17dを閉じ、第5開閉弁17eを開く。
これにより、冷房モードでは、図1の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12(→第1流量調整弁14a)→室外熱交換器18(→第3流量調整弁14c)→アキュムレータ19→第4流量調整弁14d→室内蒸発器20→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力、すなわち圧縮機11の電動モータに出力される制御信号については、次のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して、室内蒸発器20の目標蒸発器吹出温度TEOを決定する。この目標蒸発器吹出温度TEOは、室内蒸発器20の着霜を抑制可能に決定された基準着霜防止温度(例えば、1℃)以上となるように決定される。
そして、この目標蒸発器吹出温度TEOと室内蒸発器温度センサ46によって検出された室内蒸発器温度Tefinとの偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて室内蒸発器温度Tefinが目標蒸発器吹出温度TEOに近づくように、圧縮機11の電動モータに出力される制御信号が決定される。
また、第4流量調整弁14dの絞り開度、すなわち第4流量調整弁14dへ出力される制御信号(制御パルス)については、圧縮機11へ吸入される吸入冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度に近づくように決定される。
また、エアミックスドア34を駆動する電動アクチュエータへ出力される制御信号については、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の空気通路を閉塞し、室内蒸発器20通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12を迂回して流れるように決定される。
そして、上記の如く決定された制御信号等を各種制御対象機器へ出力する。その後、車両用空調装置1の作動停止が要求されるまで、所定の制御周期毎に、上述の検出信号および操作信号の読み込み→目標吹出温度TAOの算出→各種制御対象機器の作動状態決定→制御電圧および制御信号の出力といった制御ルーチンが繰り返される。なお、このような制御ルーチンの繰り返しは、他の運転モード時にも同様に行われる。
従って、冷房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図6のモリエル線図に示すように冷媒の状態が変化する。
具体的には、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図6のa6点)が、室内凝縮器12へ流入する。この際、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の空気通路を閉塞しているので、室内凝縮器12へ流入した冷媒は、殆ど送風空気と熱交換することなく室内凝縮器12から流出する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1三方継手13a、全開となっている第1流量調整弁14a、第2三方継手13b、および第3三方継手13cを介して、室外熱交換器18の一方の冷媒流入出口へ流入する。室外熱交換器18へ流入した冷媒は、室外熱交換器18にて送風ファンから送風された外気へ放熱して凝縮する(図6のa6点→e6点)。
室外熱交換器18の他方の冷媒流入出口から流出した冷媒は、全開となっている第3流量調整弁14cを介して、アキュムレータ19へ流入して気液分離される。アキュムレータ19にて分離された液相冷媒は、第4三方継手13dを介して、絞り状態となっている第4流量調整弁14dへ流入して減圧される(図6のe6点→g6点)。
第4流量調整弁14dにて減圧された冷媒は、室内蒸発器20へ流入し、送風機32から送風された送風空気と熱交換して蒸発する(図6のg6点→h6点)。これにより、送風空気が冷却される。室内蒸発器20から流出した冷媒は、第5三方継手13eを介して、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図6のh6点→a6点)。
従って、冷房モードでは、室内蒸発器20にて冷却された送風空気を、室内凝縮器12にて再加熱することなく車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
(b)弱直列除湿暖房モード
弱直列除湿暖房モードでは、空調制御装置40が、第1流量調整弁14aを絞り状態とし、第2流量調整弁14bを全閉とし、第3流量調整弁14cを全開とし、第4流量調整弁14dを絞り状態とする。さらに、空調制御装置40は、第1開閉弁17aを開き、第2開閉弁17bを閉じ、第3開閉弁17cを閉じ、第4開閉弁17dを閉じ、第5開閉弁17eを開く。
これにより、弱直列除湿暖房モードでは、図1の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→第1流量調整弁14a→室外熱交換器18(→第3流量調整弁14c)→アキュムレータ19→第4流量調整弁14d→室内蒸発器20→圧縮機11の冷房モードと同様の順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。このため、弱直列除湿暖房モードでは、室外熱交換器18および室内蒸発器20が、冷媒流れに対して直列的に接続されている。
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、第1流量調整弁14aの絞り開度、すなわち第1流量調整弁14aへ出力される制御信号(制御パルス)については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。具体的には、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。換言すると、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。
また、第4流量調整弁14dの絞り開度については、冷房モードと同様に、吸入冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度に近づくように決定される。このため、第4流量調整弁14dの絞り開度は、第1流量調整弁14aの絞り開度が減少するに伴って増加することになる。換言すると、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、絞り開度が増加するように決定される。
また、エアミックスドア34の開度、すなわちエアミックスドア34を駆動する電動アクチュエータへ出力される制御信号については、空調風温度センサ47によって検出された送風空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように決定される。その他の制御対象機器の作動状態は、冷房モードと同様に決定される。
従って、弱直列除湿暖房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図7のモリエル線図に示すように冷媒の状態が変化する。図7のモリエル線図では、冷房モードで説明した図6のモリエル線図とサイクル構成上同等の箇所の冷媒の状態を、図6と同一の符号(アルファベット)で示し、添字(数字)のみを変更している。このことは、以下で説明する他のモリエル線図においても同様である。
具体的には、弱直列除湿暖房モードでは、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の送風空気通路を開くので、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図7のa7点)が、室内凝縮器12へ流入し、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された送風空気の一部と熱交換して放熱する(図7のa7点→b7点)。これにより、送風空気の一部が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1三方継手13aを介して、第1流量調整弁14aへ流入して減圧される(図7のb7点→c7点)。第1流量調整弁14aにて減圧された冷媒は、第2三方継手13bおよび第3三方継手13cを介して、室外熱交換器18の一方の冷媒流入出口へ流入する。
弱直列除湿暖房モードでは、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも高くなっているので、室外熱交換器18へ流入した冷媒は、室外熱交換器18にて送風ファンから送風された外気へ放熱する(図7のc7点→e7点)。室外熱交換器18の他方の冷媒流入出口から流出した冷媒は、全開となっている第3流量調整弁14cを介してアキュムレータ19へ流入して気液分離される。以降の作動は、冷房モードと同様である。
従って、弱直列除湿暖房モードでは、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
また、弱直列除湿暖房モードでは、第1流量調整弁14aを絞り状態とすることによって、冷房モードよりも室外熱交換器18へ流入する冷媒の温度を低下させている。従って、冷房モードよりも室外熱交換器18における冷媒の温度と外気温との温度差を縮小して、室外熱交換器18における冷媒の放熱量を低減させることができる。
これにより、単に冷房モード時に送風空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくようにエアミックスドア34の作動を制御する場合に対して、サイクルを循環する循環冷媒流量を増加させることなく、室内凝縮器12における冷媒圧力を上昇させて、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
(c)直列除湿暖房モード
直列除湿暖房モードでは、空調制御装置40が、第1流量調整弁14aを全閉とし、第2流量調整弁14bを全開とし、第3流量調整弁14cを絞り状態とし、第4流量調整弁14dを絞り状態とする。さらに、空調制御装置40は、第1開閉弁17aを開き、第2開閉弁17bを開き、第3開閉弁17cを閉じ、第4開閉弁17dを閉じ、第5開閉弁17eを閉じる。
これにより、弱直列除湿暖房モードでは、図2の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12(→第2流量調整弁14b→エジェクタ15)→アキュムレータ19→第3流量調整弁14c→室外熱交換器18(→除湿暖房用冷媒通路16a)→第4流量調整弁14d→室内蒸発器20→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。このため、直列除湿暖房モードでは、室外熱交換器18および室内蒸発器20が、冷媒流れに対して直列的に接続されている。
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、第3流量調整弁14cの絞り開度については、すなわち第3流量調整弁14cへ出力される制御信号(制御パルス)については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。具体的には、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。換言すると、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。
また、第4流量調整弁14dの絞り開度については、冷房モードと同様に、吸入冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度に近づくように決定される。このため、第4流量調整弁14dの絞り開度は、第3流量調整弁14aの絞り開度が減少するに伴って増加することになる。換言すると、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、絞り開度が増加するように決定される。
また、エアミックスドア34の開度、すなわちエアミックスドア34を駆動する電動アクチュエータへ出力される制御信号については、弱直列除湿暖房モードと同様に、空調風温度センサ47によって検出された送風空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように決定される。その他の制御対象機器の作動状態は、冷房モードと同様に決定される。
従って、直列除湿暖房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図8のモリエル線図に示すように冷媒の状態が変化する。
具体的には、直列除湿暖房モードでは、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の送風空気通路を開くので、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図8のa8点)が、室内凝縮器12へ流入し、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された送風空気の一部と熱交換して放熱する(図8のa8点→e8点)。これにより、送風空気の一部が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1三方継手13a、全開となっている第2流量調整弁14b、エジェクタ15を介して、アキュムレータ19へ流入して気液分離される。この際、直列除湿暖房モードでは、第3流量調整弁14cおよび第4流量調整弁14dが直列的に接続されて、双方が絞り状態となっているので、エジェクタ15のノズル部15aを流通する冷媒の流速は比較的遅くなる。このため、ノズル部15aでは、冷媒は殆ど減圧されない。
アキュムレータ19にて分離された液相冷媒は、第3流量調整弁14cへ流入して減圧される(図8のe8点→d8点)。第3流量調整弁14cにて減圧された冷媒は、室外熱交換器18の他方の冷媒流入出口へ流入する。
直列除湿暖房モードでは、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも低くなっているので、室外熱交換器18へ流入した冷媒は、室外熱交換器18にて送風ファンから送風された外気から吸熱して蒸発する(図8のd8点→f8点)。
室外熱交換器18の一方の冷媒流入出口から流出した冷媒は、第3三方継手13c、第2三方継手13b、除湿暖房用冷媒通路16a、および第4三方継手13dを介して、第4流量調整弁14dへ流入して減圧される(図8のf8点→g8点)。以降の作動は、冷房モードと同様である。
従って、直列除湿暖房モードでは、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
また、直列除湿暖房モードでは、室外熱交換器18を蒸発器として機能させているので、弱直列除湿暖房モードよりも室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させることができる。これにより、弱直列除湿暖房モードに対して、サイクルを循環する循環冷媒流量を増加させることなく、室内凝縮器12における冷媒圧力を上昇させることができる。
その結果、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させて、送風空気を弱直列除湿暖房モードよりも高い温度帯まで昇温させることができる。
また、直列除湿暖房モードでは、室外熱交換器18へアキュムレータ19の液相冷媒出口から流出した液相冷媒を流入させることができる。従って、室外熱交換器18へ比較的乾き度の高い冷媒を流入させる場合に対して、室外熱交換器18における冷媒の吸熱量を増大させることができる。
(d)並列除湿暖房モード
並列除湿暖房モードでは、空調制御装置40が、第1流量調整弁14aを全開とし、第2流量調整弁14bを絞り状態とし、第3流量調整弁14cを絞り状態とし、第4流量調整弁14dを絞り状態とする。さらに、空調制御装置40は、第1開閉弁17aを閉じ、第2開閉弁17bを開き、第3開閉弁17cを開き、第4開閉弁17dを開き、第5開閉弁17eを閉じる。
これにより、並列除湿暖房モードでは、図3の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→第2流量調整弁14b→エジェクタ15→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、アキュムレータ19→第3流量調整弁14c→室外熱交換器18→エジェクタ15の冷媒吸引口15cの順に冷媒が循環するエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。
同時に、圧縮機11→室内凝縮器12(→第1流量調整弁14a→除湿暖房用冷媒通路16a)→第4流量調整弁14d→室内蒸発器20→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。このため、並列除湿暖房モードでは、室外熱交換器18および室内蒸発器20が、冷媒流れに対して並列的に接続されている。
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、第2流量調整弁14bの絞り開度については、すなわち第2流量調整弁14bへ出力される制御信号(制御パルス)については、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して、第1三方継手13aから第1流量調整弁14a側へ流入する冷媒の流量と第1三方継手13aから第2流量調整弁14b側へ流入する冷媒の流量との流量比が予め定めた基準流量比に近づくように決定される。
また、第3流量調整弁14cの絞り開度については、すなわち第3流量調整弁14cへ出力される制御信号(制御パルス)については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。具体的には、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。換言すると、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。
さらに、並列除湿暖房モードでは、室外熱交換器18における冷媒蒸発温度が室内蒸発器20における冷媒蒸発温度以下となるように、第3流量調整弁14cの絞り開度が決定される。
また、エアミックスドア34の開度、すなわちエアミックスドア34を駆動する電動アクチュエータへ出力される制御信号については、弱直列除湿暖房モードと同様に、空調風温度センサ47によって検出された送風空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように決定される。その他の制御対象機器の作動状態は、冷房モードと同様に決定される。
従って、並列除湿暖房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図9のモリエル線図に示すように冷媒の状態が変化する。
具体的には、並列除湿暖房モードでは、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の送風空気通路を開くので、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図9のa9点)が、室内凝縮器12へ流入し、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された送風空気の一部と熱交換して放熱する(図9のa9点→b9点)。これにより、送風空気の一部が加熱される。室内凝縮器12から流出した冷媒の流れは、第1三方継手13aにて分岐される。
第1三方継手13aにて分岐された一方の冷媒は、第2流量調整弁14bへ流入して減圧される(図9のb9点→j9点)。第2流量調整弁14bにて減圧された冷媒は、エジェクタ15のノズル部15aへ流入する。ノズル部15aへ流入した冷媒は、等エントロピ的に減圧されて噴射される(図9のj9点→k9点)。
そして、この噴射冷媒の吸引作用によって、室外熱交換器18の一方の冷媒流入出口から流出した冷媒が、エジェクタ15の冷媒吸引口15cから吸引される。ノズル部15aから噴射された噴射冷媒および冷媒吸引口15cから吸引された吸引冷媒は、ディフューザ部15dへ流入する(図9のk9→m9点、o9点→m9点)。
ディフューザ部15dでは、冷媒通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力が上昇する(図9のm9点→n9点)。ディフューザ部15dから流出した冷媒はアキュムレータ19へ流入して気液分離される。
アキュムレータ19にて分離された液相冷媒(図9のe9点)は、絞り状態となっている第3流量調整弁14cへ流入して減圧される(図9のe9点→d9点)。第3流量調整弁14cにて減圧された冷媒は、室外熱交換器18の他方の冷媒流入出口から流入し、送風ファンから送風された外気から吸熱して蒸発する(図9のd9点→o9点)。
室外熱交換器18の一方の冷媒流入出口から流出した冷媒は、第3三方継手13cを介して、エジェクタ15の冷媒吸引口15cから吸引される。
また、第1三方継手13aにて分岐された他方の冷媒は、全開となっている第1流量調整弁14a、第2三方継手13b、除湿暖房用冷媒通路16a、および第4三方継手13dを介して、第4流量調整弁14dへ流入して減圧される(図9のb9点→h9点)。
第4流量調整弁14dにて減圧された冷媒は、室内蒸発器20へ流入し、送風機32から送風された送風空気と熱交換して蒸発する(図9のh9点→g9点)。これにより、送風空気が冷却される。室内蒸発器20から流出した冷媒は、第5三方継手13eにて、アキュムレータ19にて分離された気相冷媒と合流して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図9のg9点→a9点)。
従って、並列除湿暖房モードでは、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
また、並列除湿暖房モードでは、室外熱交換器18および室内蒸発器20をサイクル全体としての冷媒流れに対して並列的に接続し、室外熱交換器18を蒸発器として機能させている。さらに、室外熱交換器18における冷媒蒸発温度を室内蒸発器20における冷媒蒸発温度よりも低下させている。
従って、直列除湿暖房モードよりも外気からの冷媒の吸熱量を増加させることができる。これにより、室内凝縮器12における冷媒圧力を上昇させることができる。その結果、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させて、送風空気を直列除湿暖房モードよりも高い温度帯まで昇温させることができる。
また、並列除湿暖房モードでは、エジェクタ15のディフューザ部15dにて昇圧された冷媒を室内蒸発器20から流出した冷媒に合流させて、圧縮機11へ吸入させている。従って、エジェクタ15を備えていない通常の冷凍サイクル装置に対して、圧縮機11の消費動力を低減させてサイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
(e)暖房モード
暖房モードでは、空調制御装置40が、第1流量調整弁14aを全閉とし、第2流量調整弁14bを絞り状態とし、第3流量調整弁14cを絞り状態とする。さらに、空調制御装置40は、第1開閉弁17aを閉じ、第2開閉弁17bを閉じ、第3開閉弁17cを開き、第4開閉弁17dを開き、第5開閉弁17eを閉じる。
これにより、暖房モードでは、図4の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→第2流量調整弁14b→エジェクタ15→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、アキュムレータ19→第3流量調整弁14c→室外熱交換器18→エジェクタ15の冷媒吸引口15cの順に冷媒が循環するエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力については、すなわち圧縮機11の電動モータに出力される制御信号については、次のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して、室内凝縮器12の目標凝縮器温度TCOを決定する。
そして、この目標凝縮器温度TCOと吐出温度センサ45によって検出された吐出冷媒温度Tdとの偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて吐出冷媒温度Tdが目標凝縮器温度TCOに近づくように、圧縮機11の電動モータに出力される制御信号が決定される。
また、第2流量調整弁14bの絞り開度については、すなわち第2流量調整弁14bへ出力される制御信号(制御パルス)については、圧縮機11の冷媒吐出能力(例えば、圧縮機11の電動モータに出力される制御信号)に基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。
この制御マップでは、ノズル部15aへ流入する冷媒の乾き度xが0.5以上かつ0.8以下となるように、第2流量調整弁14bの絞り開度を決定している。この乾き度xの範囲は、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を極大値に近づけることができる値として、予め実験的に得られた値である。
また、エアミックスドア34を駆動する電動アクチュエータへ出力される制御信号については、室内蒸発器20通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12側の空気通路を流れるように決定される。その他の制御対象機器の作動状態は、並列除湿暖房モードと同様に決定される。
従って、暖房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図10のモリエル線図に示すように冷媒の状態が変化する。
具体的には、暖房モードでは、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の送風空気通路を全開とするので、圧縮機11から吐出された高圧冷媒(図10のa10点)が、室内凝縮器12へ流入して送風空気と熱交換して放熱する(図10のa10点→b10点)。これにより、送風空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1三方継手13aを介して、第2流量調整弁14bへ流入して減圧される(図10のb10点→j10点)。これにより、ノズル部15aへ流入する冷媒の乾き度xが0.5以上かつ0.8以下に調整される。
第2流量調整弁14bにて減圧された冷媒は、エジェクタ15のノズル部15aへ流入する。ノズル部15aへ流入した冷媒は、等エントロピ的に減圧されて噴射される(図10のj10点→k10点)。
そして、この噴射冷媒の吸引作用によって、室外熱交換器18の一方の冷媒流入出口から流出した冷媒が、エジェクタ15の冷媒吸引口15cから吸引される。ノズル部15aから噴射された噴射冷媒および冷媒吸引口15cから吸引された吸引冷媒は、ディフューザ部15dへ流入する(図10のk10→m10点、o10点→m10点)。
ディフューザ部15dでは、冷媒通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力が上昇する(図10のm10点→n10点)。ディフューザ部15dから流出した冷媒はアキュムレータ19へ流入して気液分離される。
アキュムレータ19にて分離された液相冷媒(図10のe10点)は、絞り状態となっている第3流量調整弁14cへ流入して減圧される(図10のe10点→d10点)。第3流量調整弁14cにて減圧された冷媒は、室外熱交換器18の他方の冷媒流入出口から流入し、送風ファンから送風された外気から吸熱して蒸発する(図10のd10点→o10点)。
室外熱交換器18の一方の冷媒流入出口から流出した冷媒は、第3三方継手13cを介して、エジェクタ15の冷媒吸引口15cから吸引される。従って、暖房モード時の室外熱交換器18における冷媒流れ方向と、前述した冷房モード時の室外熱交換器18における冷媒流れ方向は異なっている。
アキュムレータ19にて分離された液相冷媒(図10のf10点)は、第5三方継手13eを介して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図10のf9点→a9点)。
従って、暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
さらに、暖房モードでは、エジェクタ15のディフューザ部15dにて昇圧された冷媒を圧縮機11へ吸入させている。従って、蒸発器として機能する熱交換器(暖房モードでは、室外熱交換器18)における冷媒蒸発圧力と圧縮機11の吸入冷媒の圧力が同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも圧縮機11の消費動力を低減させて、COPを向上させることができる。
以上の如く、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、車両用空調装置1において、冷房モード、暖房モード、弱直列除湿暖房モード、直列除湿暖房モード、および並列除湿暖房モードでの運転に切り替えることで、車室内の適切な空調を実現することができる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、車室内の除湿暖房時における送風空気の温度調整範囲を拡大させることができる。
このことをより詳細に説明する。従来技術のエジェクタ式冷凍サイクルでは、室外熱交換器と室内蒸発器とを冷媒流れに対して直列的に接続して除湿暖房を行う際には、エジェクタ式冷凍サイクルを適切に作動させるために、室外熱交換器における冷媒圧力を所定の値以上に維持しておく必要があった。このため、除湿暖房時に車室内へ吹き出される送風空気の温度(吹出空気温度)を調整することのできない範囲が存在していた。
具体的には、従来技術のエジェクタ式冷凍サイクルでは、室外熱交換器と室内蒸発器とを冷媒流れに対して直列的に接続する冷媒回路に切り替えた際には、図11の範囲A内で吹出空気温度を調整することができた。また、室外熱交換器と室内蒸発器とを冷媒流れに対して並列的に接続する冷媒回路に切り替えた際には、図11の範囲C内で吹出空気温度を調整することができた。
換言すると、従来技術のエジェクタ式冷凍サイクルでは、図11の範囲B内で吹出空気温度を調整することができなかった。
これに対して、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、直列除湿暖房モード時に、室外熱交換器18における冷媒圧力を室内蒸発器20における冷媒蒸発圧力と同等となるまで低下させても、エジェクタ式冷凍サイクル10を適切に作動させることができる。これにより、本実施形態の直列除湿暖房モードでは、図11の範囲B内で吹出空気温度を調整することができる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、弱直列除湿暖房モード時に、主に図11の範囲A内で吹出空気温度を調整することができ、並列除湿暖房モード時に、主に図11の範囲C内で吹出空気温度を調整することができる。従って、従来技術のエジェクタ式冷凍サイクルよりも、除湿暖房時に車室内へ吹き出される送風空気の温度調整範囲を拡大させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、暖房モード時の室外熱交換器における冷媒の流れ方向と冷房モード時における冷媒の流れ方向が逆転している。さらに、室外熱交換器18の内部に形成される冷媒通路の通路断面積を、暖房モード時における冷媒入口(他方の冷媒流入出口)側から冷媒出口(一方の冷媒流入出口)側へ向かうに伴って拡大させている。
これによれば、室外熱交換器18を流通する冷媒の圧力損失を低減して、より一層、COPを向上させることができる。
より詳細には、暖房モード時の室外熱交換器18は蒸発器として機能する。従って、室外熱交換器18内の冷媒通路では、冷媒入口側から冷媒出口側へ向かって液相冷媒が気化することによって冷媒の密度が低下する。従って、室外熱交換器18の冷媒入口側から冷媒出口側へ向かって冷媒通路の通路断面積を拡大させることで、室外熱交換器18を流通する冷媒の圧力損失を低下させることができる。
一方、冷房モード時の室外熱交換器18は放熱器として機能する。従って、室外熱交換器18内の冷媒通路では、冷媒入口側から冷媒出口側へ向かって気相冷媒が凝縮することによって冷媒の密度が上昇する。従って、室外熱交換器18の冷媒入口側から冷媒出口側へ向かって冷媒通路の通路断面積が縮小していても、室外熱交換器18を流通する冷媒の圧力損失を増加させてしまうことがない。
ここで、本実施形態では、室外熱交換器18が蒸発器として機能する直列除湿暖房モードおよび並列除湿暖房モードにおいても、室外熱交換器18における冷媒流れが暖房モードと同じ方向となる。従って、直列除湿暖房モードおよび並列除湿暖房モードにおいても、室外熱交換器18を流通する冷媒の圧力損失を低下させることができる。
また、室外熱交換器18が放熱器として機能する弱直列除湿暖房モードにおいても、室外熱交換器18における冷媒流れが冷房モードと同じ方向となる。従って、弱直列除湿暖房モードにおいても、室外熱交換器18を流通する冷媒の圧力損失を増加させてしまうことがない。
換言すると、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、室外熱交換器18が蒸発器として機能する際の室外熱交換器18における冷媒の流れ方向と、室外熱交換器18が放熱器として機能する際の室外熱交換器18における冷媒の流れ方向が異なっており、室外熱交換器18の内部に形成される冷媒通路は、室外熱交換器18が蒸発器として機能する際の冷媒入口側から冷媒出口側へ向かうに伴って通路断面積が拡大している。
(第2実施形態)
本実施形態では、図12〜図14に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10に対してサイクル構成を変更したエジェクタ式冷凍サイクル10aについて説明する。なお、図12〜図14では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面でも同様である。
より具体的には、エジェクタ式冷凍サイクル10aでは、室内凝縮器12から流出した冷媒を、エジェクタ15、室外熱交換器18等を迂回させて、第2減圧手段である第4流量調整弁14d側へ導くバイパス通路16bが追加されている。このため、室内凝縮器12の冷媒出口側から第1三方継手13aの冷媒流入口へ至る冷媒通路に、第6三方継手13fが配置されている。
そして、第6三方継手13fの一方の冷媒流出口には、バイパス通路16bを介して、第4三方継手13dの一方の冷媒流入口が接続されている。第6三方継手13fの他方の冷媒流出口には、第1三方継手13aを介して第1流量調整弁14aの入口側が接続されている。本実施形態の第6三方継手13fは、加熱側分岐部であり、第1流量調整弁14aは第3減圧装置である。
バイパス通路16bには、第2開閉弁17b等と同様の構成の第6開閉弁17fが配置されている。また、本実施形態の第2三方継手13bは、室外熱交換器18と第3流量調整弁14cとを接続する冷媒通路に配置されている。このため、本実施形態の除湿暖房用冷媒通路16aは、室外熱交換器18の第3流量調整弁14c側の冷媒流入出口と第2減圧装置である第4流量調整弁14dの入口とを接続している。さらに、本実施形態では、第1開閉部17aが廃止されている。
また、本実施形態のアキュムレータ19には、分離された気相冷媒を流出させるための気相冷媒流出口と、室内蒸発器20から流出した気相冷媒を流出させるための気相冷媒流入口が設けられている。そして、第1実施形態で説明した他方の液相冷媒流出口、各液相冷媒流出口に接続された第4、第5開閉弁17d、17eが廃止されている。
さらに、本実施形態のアキュムレータ19の気相冷媒流出口は、三方継手等を介することなく、圧縮機11の吸入口側に直接的に接続されている。その他のエジェクタ式冷凍サイクル10aの構成は、第1実施形態で説明したエジェクタ式冷凍サイクル10と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、冷房モード、直列除湿暖房モード、並列除湿暖房モード、暖房モードの運転を切り替えることができる。冷房モード、並列除湿暖房モード、および暖房モードの運転は、第1実施形態と同様に切り替えられる。
さらに、直列除湿暖房モードの運転は、室外熱交換器温度Toutによらず、冷房スイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが冷房基準温度α以上になっており、外気温Tamが予め定めた除湿暖房基準温度βよりも高くなっている際に実行される。以下に各運転モードにおける作動を説明する。
(a)冷房モード
冷房モードでは、空調制御装置40が、第1流量調整弁14aを全開とし、第2流量調整弁14bを全閉とし、第3流量調整弁14cを全閉とし、第4流量調整弁14dを絞り状態とする。さらに、空調制御装置40は、第2開閉弁17bを開き、第3開閉弁17cを閉じ、第6開閉弁17fを閉じる。
これにより、冷房モードでは、図12の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12(→第1流量調整弁14a)→室外熱交換器18(→除湿暖房用冷媒通路16a)→第4流量調整弁14d→室内蒸発器20→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、第4流量調整弁14dの絞り開度、すなわち第4流量調整弁14dへ出力される制御信号(制御パルス)については、エジェクタ式冷凍サイクル10aのCOPが極大値に近づくように決定される。その他の制御対象機器の作動状態は、第1実施形態と同様に決定される。
従って、冷房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、実質的に第1実施形態の冷房モードと同様に作動し、室内蒸発器20にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
また、エジェクタ式冷凍サイクル10aでは、アキュムレータ19にて分離された気相冷媒を圧縮機11に吸入させるサイクル構成となるので、圧縮機11の液圧縮の問題を回避することができる。
(b)直列除湿暖房モード
直列除湿暖房モードでは、空調制御装置40が、第1流量調整弁14aを絞り状態とし、第2流量調整弁14bを全閉とし、第3流量調整弁14cを全閉とし、第4流量調整弁14dを絞り状態とする。さらに、空調制御装置40は、第2開閉弁17bを開き、第3開閉弁17cを閉じ、第6開閉弁17fを閉じる。
これにより、冷房モードでは、図12の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→第1流量調整弁14a→室外熱交換器18(→除湿暖房用冷媒通路16a)→第4流量調整弁14d→室内蒸発器20→アキュムレータ19→圧縮機11の冷房モードと同様の順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。このため、直列除湿暖房モードでは、室外熱交換器18および室内蒸発器20が、冷媒流れに対して直列的に接続されている。
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、第1流量調整弁14aの絞り開度、すなわち第1流量調整弁14aへ出力される制御信号(制御パルス)については、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置40に記憶された制御マップを参照して決定される。具体的には、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。換言すると、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、絞り開度が減少するように決定される。
また、第4流量調整弁14dの絞り開度については、冷房モードと同様に、エジェクタ式冷凍サイクル10aのCOPが極大値に近づくように決定される。このため、第4流量調整弁14dの絞り開度は、第1流量調整弁14aの絞り開度が減少するに伴って増加することになる。換言すると、サイクルに要求される加熱能力の上昇に伴って、絞り開度が増加するように決定される。その他の制御対象機器の作動状態は、第1実施形態と同様に決定される。
従って、直列除湿暖房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも高くなっている場合には、室外熱交換器18が冷媒を放熱させる放熱器として機能する。
このため、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも高くなっている場合には、実質的に第1実施形態の弱直列除湿暖房モードと同様に作動し、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
一方、直列除湿暖房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも低くなっている場合には、室外熱交換器18が冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
このため、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも低くなっている場合には、実質的に第1実施形態の直列除湿暖房モードと同様に作動し、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
さらに、第1実施形態の弱直列除湿暖房モードおよび直列除湿暖房モードと同様に、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも低くなっている場合には、室外熱交換器温度Toutが外気温Tamよりも高くなっている場合よりも、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させて送風空気を高い温度帯まで昇温させることができる。
(c)並列除湿暖房モード
並列除湿暖房モードでは、空調制御装置40が、第1流量調整弁14aを全閉とし、第2流量調整弁14bを絞り状態とし、第3流量調整弁14cを絞り状態とし、第4流量調整弁14dを絞り状態とする。さらに、空調制御装置40は、第2開閉弁17bを閉じ、第3開閉弁17cを開き、第6開閉弁17fを開く。
これにより、並列除湿暖房モードでは、図13の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→第2流量調整弁14b→エジェクタ15→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、アキュムレータ19→第3流量調整弁14c→室外熱交換器18→エジェクタ15の冷媒吸引口15cの順に冷媒が循環するエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。
同時に、圧縮機11→室内凝縮器12(→バイパス通路16b)→第4流量調整弁14d→室内蒸発器20→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。このため、並列除湿暖房モードでは、室外熱交換器18および室内蒸発器20が、冷媒流れに対して並列的に接続されている。
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、第1実施形態の並列除湿暖房モードと同様に、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
従って、並列除湿暖房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、実質的に第1実施形態の並列除湿暖房モードと同様に作動し、室内蒸発器20にて冷却されて除湿された送風空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
さらに、第1実施形態の並列除湿暖房モードと同様に、直列除湿暖房モードよりも外気からの冷媒の吸熱量を増加させることができる。その結果、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させて、送風空気を直列除湿暖房モードよりも高い温度帯まで昇温させることができる。
(d)暖房モード
並列除湿暖房モードでは、空調制御装置40が、第1流量調整弁14aを全閉とし、第2流量調整弁14bを絞り状態とし、第3流量調整弁14cを絞り状態とする。さらに、空調制御装置40は、第2開閉弁17bを閉じ、第3開閉弁17cを開き、第6開閉弁17fを閉じる。
これにより、暖房モードでは、図14の実線矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→第2流量調整弁14b→エジェクタ15→アキュムレータ19→圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、アキュムレータ19→第3流量調整弁14c→室外熱交換器18→エジェクタ15の冷媒吸引口15cの順に冷媒が循環するエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。
空調制御装置40は、この冷媒回路の構成で、第1実施形態の暖房モードと同様に、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御対象機器の作動状態(各種制御対象機器へ出力する制御信号)を決定する。
従って、冷房モード時のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、実質的に第1実施形態の暖房モードと同様に作動し、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。さらに、暖房モードでは、第1実施形態と同様に、COPを向上させることができる。
以上の如く、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aによれば、車両用空調装置1において、冷房モード、暖房モード、直列除湿暖房モード、および並列除湿暖房モードでの運転に切り替えることで、車室内の適切な空調を実現することができる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、直列除湿暖房モード時に、室外熱交換器18における冷媒圧力を室内蒸発器20における冷媒蒸発圧力と同等となるまで低下させることができる。従って、第1実施形態と同様に、除湿暖房時に車室内へ吹き出される送風空気の温度調整範囲を拡大させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10aでは、暖房モード時の室外熱交換器における冷媒の流れ方向と冷房モード時における冷媒の流れ方向が逆転している。従って、第1実施形態と同様に、暖房モード時には、室外熱交換器18を流通する冷媒の圧力損失を低下させることができ、冷房モード時には、室外熱交換器18を流通する冷媒の圧力損失を増加させてしまうことがない。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10、10aを電気自動車用の空調装置に適用した例を説明したが、エジェクタ式冷凍サイクル10、10aの適用はこれに限定されない。例えば、内燃機関(エンジン)から車両走行用の駆動力を得る通常の車両や、内燃機関と走行用電動モータとの双方から車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両の空調装置に適用してもよい。
内燃機関を有する車両に適用する場合は、車両用空調装置1に送風空気の補助加熱手段として内燃機関の冷却水を熱源として送風空気を加熱するヒータコアを設けてもよい。さらに、車両用に限定されることなく定置型空調装置に適用してもよい。
また、上述の実施形態では、室内凝縮器12にて、圧縮機11吐出冷媒と送風空気とを熱交換させて、圧縮機11吐出冷媒を熱源として直接的に送風空気を加熱するエジェクタ式冷凍サイクル10のについて説明したが、室内凝縮器12における送風空気の加熱態様はこれに限定されない。
例えば、熱媒体を循環させる熱媒体循環回路を設け、室内放熱器を圧縮機吐出冷媒と熱媒体とを熱交換させる水−冷媒熱交換器として構成し、さらに、熱媒体循環回路に室内放熱器にて加熱された熱媒体と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する加熱用の熱交換器を配置してもよい。つまり、室内放熱器は、圧縮機吐出冷媒(サイクルの高圧側冷媒)を熱源として、熱媒体を介して間接的に送風空気を加熱するものであってもよい。
さらに、内燃機関を有する車両に適用する場合は、内燃機関の冷却水を熱媒体として、熱媒体循環回路を流通させるようにしてもよい。また、電気自動車においては、バッテリや電気機器を冷却する冷却水を熱媒体として、熱媒体循環回路を流通させるようにしてもよい。
(2)エジェクタ式冷凍サイクル10、10aの各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、圧縮機11として、電動圧縮機を採用した例を説明したが、圧縮機11はこれに限定されない。例えば、圧縮機11として、エンジン駆動式の可変容量型圧縮機等を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、室内凝縮器12にて高圧冷媒と送風空気とを熱交換させることによって送風空気を加熱する例を説明したが、室内凝縮器12に代えて、例えば、熱媒体を循環させる熱媒体循環回路を設け、この熱媒体循環回路に高圧冷媒と熱媒体とを熱交換させる水−冷媒熱交換器、および水−冷媒熱交換器にて加熱された熱媒体と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する加熱用熱交換器等を配置してもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒回路切替装置として、複数の流量調整弁および開閉弁を採用した例を説明したが、冷媒回路切替装置はこれに限定されない。少なくとも上述した暖房モードの冷媒回路と直列除湿暖房モードの冷媒回路を切替可能であれば、例えば、全閉機能を有しない流量調整弁と開閉弁とを組み合わせたものや、四方弁等を採用してもよい。
また、上述の実施形態で説明した各構成機器を一体化したものを採用してもよい。例えば、第2流量調整弁14b、エジェクタ15、アキュムレータ19等を一体化(モジュール化)してもよい。この場合は、エジェクタ15のノズル部15aの通路内にニードル状、あるいは円錐状の弁体を配置し、この弁体を変位させることで、第2流量調整弁14bと同様の機能を発揮させるようにしてもよい。
また、上述の各実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10、10aの室内蒸発器20の冷媒出口側に、室内蒸発器20の冷媒蒸発圧力を予め定めた所定値以上とする蒸発圧力調整弁を配置してもよい。これによれば、室内蒸発器20の着霜を機械的機構によって、より一層確実に防止することができる。
また、上述の実施形態では、冷媒としてR134aを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R1234yf、R600a、R410A、R404A、R32、R407C、等を採用してもよい。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
(3)上述の実施形態の暖房モードの高加熱能力運転時には、圧縮機11の冷媒吐出能力に基づいて第2流量調整弁14bの弁開度を調整した例を説明したが、第2流量調整弁14bの弁開度の調整はこれに限定されない。
例えば、室内凝縮器12出口側冷媒の乾き度を検出する乾き度センサを設け、この乾き度センサの検出値が0.5以上かつ0.8以下となるように第2流量調整弁14bの弁開度の弁開度を調整してもよい。また、エジェクタ式冷凍サイクル10、10aのCOPが極大値に近づくように第2流量調整弁14bの弁開度を調整してもよい。
(4)上述の実施形態では、空調制御プログラムを実行することによって、各運転モードを切り替えた例を説明したが、各運転モードの切り替えはこれに限定されない。例えば、操作パネル50に各運転モードを設定する運転モード設定スイッチを設け、当該運転モード設定スイッチの操作信号に応じて、各暖房モードを切り替えるようにしてもよい。