JP2017226833A - 熱線遮蔽粒子分散液、熱線遮蔽粒子分散体、熱線遮蔽合わせ透明基材、熱線遮蔽透明基材 - Google Patents

熱線遮蔽粒子分散液、熱線遮蔽粒子分散体、熱線遮蔽合わせ透明基材、熱線遮蔽透明基材 Download PDF

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健二 福田
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Abstract

【課題】可視光透過率が高く、かつ日射透過率を抑制できる熱線遮蔽粒子を含有する熱線遮蔽粒子分散液を提供することを目的とする。【解決手段】熱線遮蔽粒子と、液状媒体とを含有する熱線遮蔽粒子分散液であって、前記熱線遮蔽粒子は、少なくとも複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを含み、前記熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲である熱線遮蔽粒子分散液を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、熱線遮蔽粒子分散液、熱線遮蔽粒子分散体、熱線遮蔽合わせ透明基材、熱線遮蔽透明基材に関する。
従来、家屋等の建築及び自動車等の様々な分野で、温度調整のためのエネルギー消費を抑えつつ快適な環境を得ることを目的として、窓ガラス等の入熱が生じる箇所に熱線遮蔽性もしくは断熱性をもたせる様々な手法が開発されている。
窓ガラス等の入熱が生じる箇所に熱線遮蔽性、もしくは断熱性をもたせる手法として、例えば熱線遮蔽性を備えた材料を含有する膜等を、窓ガラス等に配置することが従来から検討されている。
熱線遮蔽性を備えた材料を含有する膜を窓ガラス等の透明基材に適用する場合、透明性を維持するため、該熱線遮蔽性を備えた材料は、可視光透過率が高いことが望ましい。その上で、熱線遮蔽性を有する必要がある。
可視光を透過し、熱線遮蔽性を有する材料としては様々な材料が知られている。例えば、特許文献1には、熱線遮蔽性無機微粒子として、アンチモン含有酸化スズ微粒子やインジウム含有酸化スズ微粒子が開示されている。特許文献2には、赤外線遮蔽材料微粒子として、タングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子が開示されている。
特開平8−281860号公報 国際公開第2005/037932号
理想的な熱線遮蔽のためには、可視光以外の光は全て遮蔽することが求められる。しかし、上述の従来から検討されていたアンチモン含有酸化スズ微粒子やインジウム含有酸化スズ微粒子は、高い透明性が得られるが、特に可視光領域近傍の近赤外領域において吸収が十分でなく、高い熱線遮蔽特性を得られなかった。
一方でタングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子は可視光領域近傍の近赤外領域においても高い吸収得性を示し、高い遮熱特性を得ることができ、特に複合タングステン酸化物粒子は高い熱線遮蔽特性を有していた。
しかしながら、近年は上述の複合タングステン酸化物微粒子等よりもさらに高い熱線遮蔽特性を示す材料が求められており、高い可視光透過率を有し、かつ日射透過率を抑制した熱線遮蔽粒子や、該熱線遮蔽粒子を含有する熱線遮蔽粒子分散液が求められていた。
本発明の一側面では、可視光透過率が高く、かつ日射透過率を抑制できる熱線遮蔽粒子を含有する熱線遮蔽粒子分散液を提供することを目的とする。
本発明の一側面では、熱線遮蔽粒子と、液状媒体とを含有する熱線遮蔽粒子分散液であって、
前記熱線遮蔽粒子は、少なくとも複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを含み、
前記熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲である熱線遮蔽粒子分散液を提供する。
本発明の一側面では、可視光透過率が高く、かつ日射透過率を抑制できる熱線遮蔽粒子を含有する熱線遮蔽粒子分散液を提供することができる。
本発明の実施形態に係る熱線遮蔽合わせ透明基材の構成の説明図。 実施例、比較例の熱線遮蔽透明基材に用いた熱線遮蔽粒子中の複合タングステン酸化物粒子(Cs0.33WOまたはRb0.33WO)の割合と、熱線遮蔽透明基材の日射透過率との関係図。
[熱線遮蔽粒子分散液]
本実施形態では、熱線遮蔽粒子分散液の一構成例について説明する。
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液は、熱線遮蔽粒子と、液状媒体とを含有する分散液であり、該熱線遮蔽粒子は、少なくとも複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを含むことができる。そして、熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比は、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲とすることができる。
本発明の発明者らは、可視光透過率が高く、かつ日射透過率を抑制した熱線遮蔽粒子を含有する熱線遮蔽粒子分散液について鋭意検討を行った。そして、従来検討されてきた中でも特に熱線遮蔽特性に優れた複合タングステン酸化物粒子に、スズ酸化インジウム粒子を、所定の重量比となるように、添加混合することで、可視光透過率が高く、かつ日射透過率を抑制できる熱線遮蔽粒子とすることができることを見出し、本発明を完成させた。
以下に、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液について具体的に説明する。本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液は、上述のように熱線遮蔽粒子と、液状媒体とを含有することができる。各成分について以下に説明する。
1 熱線遮蔽粒子分散液について
1.1 熱線遮蔽粒子
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液は、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを含有する熱線遮蔽粒子を含むことができる。それぞれの成分について説明する。
(1)複合タングステン酸化物粒子
複合タングステン酸化物粒子は、近赤外領域、特に波長1000nm付近の光を効率よく吸収するため、その透過色調はブルー系の色調となるものが多い。
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液において、複合タングステン酸化物粒子としては、一般式M(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素、0.1≦x≦0.5、0.9≦y≦1.1、2.2≦z≦3.0)で表示される複合タングステン酸化物を含有する粒子を好ましく用いることができる。なお、複合タングステン酸化物粒子として、上記一般式で表示される複合タングステン酸化物からなる粒子を用いることもできる。
特に複合タングステン酸化物粒子は、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物を含むことがより好ましい。これは、複合タングステン酸化物粒子が六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物を含む場合、当該複合タングステン酸化物粒子の可視光透過率を高め、日射透過率を特に抑制できるからである。なお、複合タングステン酸化物粒子は、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物からなる粒子とすることもできる。
また、複合タングステン酸化物粒子は、セシウムタングステン酸化物粒子、ルビジウムタングステン酸化物粒子、カリウムタングステン酸化物粒子から選択される1種類以上であることがさらに好ましい。すなわち、複合タングステン酸化物粒子が、セシウムタングステン酸化物を含有する粒子、ルビジウムタングステン酸化物を含有する粒子、カリウムタングステン酸化物を含有する粒子から選択される1種類以上であることがさらに好ましい。なお、上記セシウムタングステン酸化物粒子は、セシウムタングステン酸化物からなる粒子とすることもできる。また、ルビジウムタングステン酸化物粒子はルビジウムタングステン酸化物からなる粒子に、カリウムタングステン酸化物粒子はカリウムタングステン酸化物からなる粒子にすることもできる。
これは、複合タングステン酸化物粒子が、セシウムタングステン酸化物粒子、ルビジウムタングステン酸化物粒子、カリウムタングステン酸化物粒子から選択される1種類以上である場合、該粒子を構成する複合タングステン酸化物が六方晶をとりやすく、当該複合タングステン酸化物粒子の可視光透過率を高め、日射透過率を特に抑制できるからである。
(2)スズ酸化インジウム粒子
スズ酸化インジウム(ITO、酸化インジウムスズ等と表記される場合もある)は透明導電性材料として知られている。一方で可視光領域での透過性を確保しつつ、波長1200nm以降の光を吸収することができる。
当該スズ酸化インジウム粒子は、スズをドープしたインジウム酸化物であるスズ酸化インジウムを含有する粒子である。スズ酸化インジウムは、スズのドープ量によって光学特性が変化するが、Snの質量割合[Sn/(Sn+In)]が1%以上20%以下であることが好ましい。これは、Snの質量割合が1%以上20%以下の場合、熱線遮蔽性が特に高く、好ましいからである。また、Snの質量割合を1%以上とすることで高価なIn成分の使用量を抑制できるからである。スズ酸化インジウム粒子は、スズ酸化インジウムからなる粒子とすることもできる。
なお、スズ酸化インジウム粒子は、酸素欠陥を含むスズ酸化インジウムを含有することもできる。
1.2 液状媒体
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液は、液状媒体を含有することができる。
液状媒体としては、例えば水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、可塑剤から選択された1種類以上を用いることが好ましい。なお、液状媒体は、上述の水等から選択された2種類以上の混合物を用いることもできる。
有機溶媒としては、熱線遮蔽粒子の分散性を保つための機能と、分散液を塗布する際に塗布欠陥を生じさせないための機能を有していることが好ましい。有機溶媒としては例えば、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1−プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶媒、3−メチル−メトキシ−プロピオネート(MMP)等のエステル系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PE−AC)等のグリコール誘導体、フォルムアミド(FA)、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができ、これらの中から選択した1種類、または2種類以上を組みあわせて用いることができる。
上記した中でも、有機溶媒としては極性の低い有機溶媒をより好ましく用いることができ、特にMIBK、MEK等のケトン系溶媒や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、PGMEA、PE−AC等のグリコール誘導体等、疎水性の高いものがより好ましい。このため、これらの中から選択した1種類または2種類以上を組みあわせて用いることが好ましい。
油脂としては例えば、アマニ油、ヒマワリ油、桐油等の乾性油、ゴマ油、綿実油、菜種油、大豆油、米糠油等の半乾性油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、脱水ヒマシ油等の不乾性油、植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステル、エーテル類、アイソパーE、エクソールHexane、エクソールHeptane、エクソールE、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(以上、エクソンモービル製)などの石油系溶剤から選択された1種類以上を用いることができる。
液状樹脂としては、例えば液状アクリル樹脂、液状エポキシ樹脂、液状ポリエステル樹脂、液状ウレタン樹脂から選択された1種類以上を用いることができる。
可塑剤としては、例えばプラスチック用液状可塑剤等を用いることができる。
1.3 添加剤
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液は、上述の熱線遮蔽粒子、及び液状媒体以外にも、任意の成分を含有することができる。
任意の成分として、熱線遮蔽粒子分散液は、例えば分散剤、カップリング剤、界面活性剤から選択された1種類以上をさらに含有することもできる。
分散剤、カップリング剤、界面活性剤は、用途に合わせて選定可能であるが、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基から選択された1種類以上の官能基を有しているものであることが好ましい。これらの官能基は熱線遮蔽粒子の表面に吸着し、熱線遮蔽粒子の凝集を防ぐことができ、例えば熱線遮蔽粒子分散液中で、熱線遮蔽粒子を均一に分散させることができる。また、熱線遮蔽粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽粒子分散体中において、熱線遮蔽粒子を均一に分散させる効果を発揮する。
分散剤、カップリング剤、界面活性剤としては、例えばリン酸エステル化合物、高分子系分散剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、等を好適に用いることができるが、これらに限定されるものではない。高分子系分散剤としては、アクリル系高分子分散剤、ウレタン系高分子分散剤、アクリル・ブロックコポリマー系高分子分散剤、ポリエーテル類分散剤、ポリエステル系高分子分散剤等が挙げられる。
熱線遮蔽粒子分散液への分散剤、カップリング剤、界面活性剤から選択された1種類以上の材料の添加量は、熱線遮蔽粒子100重量部に対し1重量部以上100重量部以下の範囲であることが好ましく、5重量部以上50重量部以下の範囲であることがより好ましい。例えば分散剤等の添加量が上記範囲にあれば、熱線遮蔽粒子の分散液中での凝集を抑制し、分散安定性を高く保つことができるため、好ましい。
1.4 熱線遮蔽粒子分散液中の熱線遮蔽粒子について
既述のように、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液は、熱線遮蔽粒子と、液状媒体と、必要に応じて各種任意の成分とを含有することができる。
そして、本発明の発明者らの検討によれば、熱線遮蔽粒子として、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを、所定の重量比で混合し、用いることで、高い可視光透過率を有しつつ、かつ複合タングステン酸化物粒子、及びスズ酸化インジウム粒子からは予測できない日射遮蔽特性を示すことを見出した。
具体的には、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液が含有する熱線遮蔽粒子は、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを含み、熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比を、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲とすることができる。この範囲内にあることで、熱線遮蔽透明基材等にしたときに、熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用いた場合よりもさらに日射透過率を抑制することができる。
なお、熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲とは、熱線遮蔽粒子中の複合タングステン酸化物粒子の重量と、スズ酸化インジウム粒子の重量との合計のうち、複合タングステン酸化物粒子の割合が、22重量%以上99重量%以下であり、残部がスズ酸化インジウム粒子であることを意味している。以下、同様の表記の場合は、同様の意味を有する。
熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比は、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=85/15〜30/70の範囲であることがより好ましく、75/25〜35/65の範囲であることがさらに好ましい。
また、熱線遮蔽粒子分散液中の、熱線遮蔽粒子、及び液状媒体のそれぞれの含有割合は特に限定されるものではないが、例えば4重量部以上94重量部以下の液状媒体と、5重量部以上80重量部以下の熱線遮蔽粒子とを含有することが好ましい。
なお、ここでの熱線遮蔽粒子は、上述のように複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子との合計を意味している。また、熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子との重量比については既述のため、ここでは説明を省略する。
熱線遮蔽粒子分散液は、必要に応じて、例えば熱線遮蔽粒子100重量部に対して、1重量部以上100重量部以下の割合で分散剤、カップリング剤、界面活性剤から選択された1種類以上をさらに含有することもできる。
複合タングステン酸化物粒子分散液に含まれる複合タングステン酸化物粒子、スズ酸化インジウム粒子の平均分散粒子径の範囲は特に限定されるものではないが、例えば1nm以上800nm以下であることが好ましく、1nm以上200nm以下であることがより好ましく、1nm以上100nm以下であることがさらに好ましい。
これは、複合タングステン酸化物粒子、スズ酸化インジウム粒子の平均分散粒子径を800nm以下とすることで、複合タングステン酸化物粒子、スズ酸化インジウム粒子の近赤外吸収特性を特に高めることができる、すなわち日射透過率を特に抑制できるからである。また、複合タングステン酸化物粒子、スズ酸化インジウム粒子の平均分散粒子径を1nm以上とすることで、工業的に容易に製造することができるからである。
なお、例えば自動車のフロントガラスのように、特に可視光領域の透明性を重視する用途に適用する場合には、さらに複合タングステン酸化物粒子や、スズ酸化インジウム粒子による散乱低減を考慮することが好ましい。当該散乱低減を重視する場合には、複合タングステン酸化物粒子、スズ酸化インジウム粒子の平均分散粒子径は40nm以下であることが特に好ましい。
また、熱線遮蔽粒子に含まれる、複合タングステン酸化物粒子、及びスズ酸化インジウム粒子の平均分散粒子径は同じである必要はない。ただし、それぞれの粒子の平均分散粒子径が、ここまで説明した範囲内であることが好ましい。
2 熱線遮蔽粒子分散液の製造方法について
次に、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液の製造方法の一構成例について説明する。
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液の製造方法は特に限定されるものではなく、ここまで説明した熱線遮蔽粒子が、液状媒体中に分散するように製造できれば足りる。
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液の製造方法は、例えば、熱線遮蔽粒子分散液の原料混合物を、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカーなどの湿式媒体ミルを用いて分散処理する工程を有することができる。
特に、既述の様に本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液は、含有する熱線遮蔽粒子の平均分散粒子径が1nm以上800nm以下であることが好ましい。このためビーズミル等の媒体撹拌ミルを用いた湿式粉砕法により、熱線遮蔽粒子の粉砕と、分散とを実施することで、熱線遮蔽粒子分散液を調製することが好ましい。
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液を調製する際、上述のように複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを同時に分散処理してもよいが、係る形態に限定されない。例えば、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とをそれぞれ液状媒体に分散して複合タングステン酸化物粒子分散液と、スズ酸化インジウム粒子分散液とを作製し、その後両分散液を所定の割合で混合してもよい。このように複合タングステン酸化物粒子分散液と、スズ酸化インジウム粒子分散液とを調製してから両分散液を混合する場合には、両分散液を混合後の熱線遮蔽粒子分散液中の各成分の割合が所望の範囲となるように、各分散液を調製することが好ましい。
以上に説明した本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液は、可視光透過率が高く、かつ日射透過率を抑制した熱線遮蔽粒子を含有することができる。該熱線遮蔽粒子は、熱線遮蔽粒子分散液の可視光透過率が高い場合において、日射透過率を特に抑制できる。具体的には例えば熱線遮蔽粒子分散液の可視光透過率が70%以上の場合において、日射透過率を特に抑制する効果が得られる。熱線遮蔽粒子分散液の可視光透過率が75%以上の場合であればその効果はより顕著となる。
従来は日射透過率の異なる熱線遮蔽粒子を混合した場合、得られる熱線遮蔽粒子の日射透過率はその中間の値を取ると考えられていた。しかし、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散液が含有する熱線遮蔽粒子においては、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを所定の重量比で混合して用いることで、複合タングステン酸化物粒子を単独で用いた場合よりも低い日射透過率とすることができる。複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを混合した場合に、日射透過率を抑制できる理由は明らかではないが、複合タングステン酸化物粒子の有する近赤外領域の光の遮蔽力と、スズ酸化インジウム粒子の有する、可視光に対する高い透明性とが相乗的に働いているためと考えられる。
[熱線遮蔽粒子分散体]
次に、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体の一構成例について以下に説明する。
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体は、熱線遮蔽粒子とバインダーとを含有する分散体であり、該熱線遮蔽粒子は、少なくとも複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを含むことができる。そして、熱線遮蔽粒子中の複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比は、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲とすることができる。
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体は、熱線遮蔽粒子と、バインダーとを含むことができる。各成分について以下に説明する。なお、熱線遮蔽粒子等について既述の内容と重複する部分については一部説明を省略する。
1 熱線遮蔽粒子分散体について
1.1 熱線遮蔽粒子
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体は、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを含有する熱線遮蔽粒子を含むことができる。本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体が含有する熱線遮蔽粒子は、既述の熱線遮蔽粒子分散液において説明した熱線遮蔽粒子と同様の構成を有することができる。
すなわち、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体において、複合タングステン酸化物粒子としては、一般式M(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素、0.1≦x≦0.5、0.9≦y≦1.1、2.2≦z≦3.0)で表示される複合タングステン酸化物を含有する粒子を好ましく用いることができる。なお、複合タングステン酸化物粒子として、上記一般式で表示される複合タングステン酸化物からなる粒子を用いることもできる。
特に複合タングステン酸化物粒子は、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物を含むことがより好ましい。なお、複合タングステン酸化物粒子は、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物からなる粒子とすることもできる。
また、複合タングステン酸化物粒子は、セシウムタングステン酸化物粒子、ルビジウムタングステン酸化物粒子、カリウムタングステン酸化物粒子から選択される1種類以上であることがさらに好ましい。すなわち、複合タングステン酸化物粒子が、セシウムタングステン酸化物を含有する粒子、ルビジウムタングステン酸化物を含有する粒子、カリウムタングステン酸化物を含有する粒子から選択される1種類以上であることがさらに好ましい。なお、上記セシウムタングステン酸化物粒子は、セシウムタングステン酸化物からなる粒子とすることもできる。また、ルビジウムタングステン酸化物粒子はルビジウムタングステン酸化物からなる粒子に、カリウムタングステン酸化物粒子はカリウムタングステン酸化物からなる粒子にすることもできる。
スズ酸化インジウム粒子は、スズ酸化インジウムを含有する粒子である。スズ酸化インジウム粒子は、スズ酸化インジウムからなる粒子とすることもできる。スズ酸化インジウムは、Snの質量割合[Sn/(Sn+In)]が1%以上20%以下であることが好ましい。
なお、スズ酸化インジウム粒子は、酸素欠陥を含むスズ酸化インジウムを含有することもできる。
1.2 バインダー
バインダーとしては、熱線遮蔽粒子を分散させた状態で固化することができれば、その材料は特に限定されない。
バインダーとしては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等から選択された1種類以上の有機バインダーや、これに珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等から選択された1種類以上の無機酸化物を変成させた有機無機ハイブリッドバインダーや、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等から選択された1種類以上の無機酸化物の重合した無機バインダー等を使用できる。
特にバインダーとしては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂から選択される1種類以上を好ましく用いることができる。なお、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体において、バインダーは固体状のバインダーとすることができる。
バインダーが熱可塑性樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂としては特に限定されるものではなく、要求される透過率や、強度等に応じて任意に選択することができる。熱可塑性樹脂としては例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂という樹脂群から選択される1種類の樹脂、または、前記樹脂群から選択される2種類以上の樹脂の混合物、または、前記樹脂群から選択される2種類以上の樹脂の共重合体、のいずれかを好ましく用いることができる。
一方バインダーが紫外線硬化性樹脂を含む場合、紫外線硬化性樹脂としては特に限定されるものではなく、例えばアクリル系紫外線硬化性樹脂を好適に用いることができる。
熱線遮蔽粒子分散体中に分散して含まれる熱線遮蔽粒子の含有量については特に限定されるものではなく、用途等に応じて任意に選択することができる。熱線遮蔽粒子分散体は熱線遮蔽粒子を、例えば、0.001質量%以上80.0質量%以下含むことが好ましく、0.01質量%以上70.0質量%以下含むことがより好ましく、0.5質量%以上70.0質量%以下含むことがさらに好ましい。
これは、熱線遮蔽粒子分散体中の熱線遮蔽粒子の含有量が0.001質量%未満の場合、熱線遮蔽粒子分散体が必要な熱線遮蔽効果を得るには該分散体の厚さを厚くする必要があり、使用できる用途が限定されたり、搬送が困難になったりする場合があるためである。
また、熱線遮蔽粒子の含有量が80.0質量%を超える場合は、熱線遮蔽粒子分散体においてバインダーの割合が少なくなるため、強度が低下するためである。
熱線遮蔽粒子分散液においても既述の様に、本発明の発明者らの検討によれば、熱線遮蔽粒子として、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを、所定の重量比で混合し、用いることで、高い可視光透過率を有しつつ、かつ複合タングステン酸化物粒子、及びスズ酸化インジウム粒子からは予測できない日射遮蔽特性を示すことができる。
そこで、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体が含有する熱線遮蔽粒子は、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを含み、熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比を、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲とすることができる。この範囲内にあることで、熱線遮蔽透明基材等にしたときに、熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用いた場合よりもさらに日射透過率を抑制することができる。
熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比は、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=85/15〜30/70の範囲であることがより好ましく、75/25〜35/65の範囲であることがさらに好ましい。
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体は、用途に応じて任意の形状を有することができる。熱線遮蔽粒子分散体は例えばシート形状、ボード形状またはフィルム形状を有することができ、様々な用途に適用できる。
2.熱線遮蔽粒子分散体の製造方法について
ここで、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体の製造方法の一構成例を説明する。
本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体の製造方法は特に限定されるものではなく、ここまで説明した熱線遮蔽粒子が、バインダー中に分散するように製造できれば足りる。
熱線遮蔽粒子分散体は、例えば上述のバインダーと、熱線遮蔽粒子とを混合し、所望の形状に成形した後、硬化させることで製造することができる。
熱線遮蔽粒子分散体は、例えば既述の熱線遮蔽粒子分散液を用いて製造することもできる。例えば、後述する熱線遮蔽透明基材のコーティング層を製造する場合のように、熱線遮蔽粒子分散液と、バインダーとを混合し、塗布、乾燥させた後、バインダーを硬化させる等して製造することもできる。
また、最初に以下に説明する熱線遮蔽粒子分散粉や、可塑剤分散液、マスターバッチを製造し、次いで、該熱線遮蔽粒子分散粉等を用いて熱線遮蔽粒子分散体を製造することもできる。以下に具体的に説明する。
まず、既述の熱線遮蔽粒子分散液と、熱可塑性樹脂あるいは可塑剤とを混合する混合工程を実施することができる。次いで、熱線遮蔽粒子分散液由来の溶媒成分、すなわち液状媒体を除去する乾燥工程を実施することができる。溶媒成分を除去することで、熱可塑性樹脂中及び/または熱線遮蔽粒子分散液由来の分散剤中に熱線遮蔽粒子が高濃度に分散した熱線遮蔽粒子分散粉(以下、単に「分散粉」と呼ぶことがある)や、可塑剤中に熱線遮蔽粒子が高濃度に分散した分散液(以下、単に「可塑剤分散液」と呼ぶことがある)を得ることができる。
熱線遮蔽粒子分散液と熱可塑性樹脂等との混合物から溶媒成分を除去する方法としては特に限定されるものではないが、例えば熱線遮蔽粒子分散液と熱可塑性樹脂等との混合物を減圧乾燥する方法を用いることが好ましい。具体的には、熱線遮蔽粒子分散液と熱可塑性樹脂等との混合物を攪拌しながら減圧乾燥し、分散粉もしくは可塑剤分散液と溶媒成分とを分離することができる。当該減圧乾燥に用いる装置としては、真空攪拌型の乾燥機が挙げられるが、上記機能を有する装置であれば良く、特に限定されない。また、乾燥工程の減圧の際の圧力値は特に限定されるものではなく任意に選択することができる。
溶媒成分を除去する際に減圧乾燥法を用いることで、熱線遮蔽粒子分散液と熱可塑性樹脂等との混合物からの溶媒成分の除去効率を向上させることができる。また、減圧乾燥法を用いた場合、熱線遮蔽粒子分散粉や可塑剤分散液が長時間高温に曝されることがないので、分散粉中や可塑剤分散液中に分散している熱線遮蔽粒子の凝集が起こらず好ましい。さらに熱線遮蔽粒子分散粉や可塑剤分散液の生産性も上がり、蒸発した溶媒を回収することも容易で、環境的配慮からも好ましい。
上記乾燥工程後に得られた熱線遮蔽粒子分散粉や可塑剤分散液において、残留する溶媒成分は5質量%以下であることが好ましい。残留する溶媒成分が5質量%以下の場合、当該熱線遮蔽粒子分散粉や可塑剤分散液を用いて、例えば後述する熱線遮蔽合わせ透明基材を製造する際等に気泡が発生せず、外観や光学特性が良好に保たれるからである。
また、上述のように熱線遮蔽粒子分散体を製造する際にマスターバッチを用いることもできる。
マスターバッチは例えば、熱線遮蔽粒子分散液や熱線遮蔽粒子分散粉を樹脂中に分散させ、当該樹脂をペレット化することで製造することができる。
マスターバッチの他の製造方法として、まず熱線遮蔽粒子分散液や熱線遮蔽粒子分散粉と、熱可塑性樹脂の粉粒体またはペレット、および必要に応じて他の添加剤を均一に混合する。そして該混合物を、ベント式一軸若しくは二軸の押出機で混練し、一般的な溶融押出されたストランドをカットする方法によりペレット状に加工することによっても、製造することができる。この場合、その形状としては円柱状や角柱状のものを挙げることができる。また、溶融押出物を直接カットするいわゆるホットカット法を採ることも可能である。この場合には球状に近い形状をとることが一般的である。
以上の手順により、熱線遮蔽粒子分散粉、可塑剤分散液、マスターバッチを製造することができる。
そして、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体は、熱線遮蔽粒子分散粉、可塑剤分散液、またはマスターバッチをバインダー中へ均一に混合し、所望の形状に成形することで、製造することができる。この際、バインダーとしては既述のように無機バインダーや、有機無機ハイブリッドバインダー、樹脂等の有機バインダーを用いることができる。バインダーとしては特に熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂から選択される1種類以上を好ましく用いることができる。特に好適に用いることができる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び紫外線硬化性樹脂については既述のため、ここでは説明を省略する。
バインダーとして熱可塑性樹脂を用いる場合、熱線遮蔽粒子分散粉、可塑剤分散液またはマスターバッチと、熱可塑性樹脂と、所望に応じて可塑剤その他添加剤とをまず混練することができる。そして、当該混練物を、押出成形法、射出成形法、カレンダーロール法、押出法、キャスティング法、インフレーション法等の各種成形方法により、例えば、平面状や曲面状に成形された、シート形状や、ボード形状、フィルム形状の熱線遮蔽粒子分散体を製造することができる。
なお、バインダーとして熱可塑性樹脂を用いた熱線遮蔽粒子分散体を例えば透明基材等の間に配置する中間膜として用いる場合等で、当該熱線遮蔽粒子分散体に含まれる熱可塑性樹脂が柔軟性や透明基材等との密着性を十分に有しない場合、熱線遮蔽粒子分散体を製造する際に可塑剤を添加することが好ましい。具体的には例えば、熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合は、さらに可塑剤を添加することが好ましい。
添加する可塑剤としては特に限定されるものではなく、用いる熱可塑性樹脂に対して可塑剤として機能できる物質であれば用いることができる。例えば熱可塑性樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を用いる場合、可塑剤としては、一価アルコールと有機酸エステルとの化合物である可塑剤、多価アルコール有機酸エステル化合物等のエステル系の可塑剤、有機リン酸系可塑剤等のリン酸系の可塑剤等を好ましく用いることができる。
可塑剤は、室温で液状であることが好ましいことから、多価アルコールと脂肪酸から合成されたエステル化合物であることがより好ましい。
そして、既述のように本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体は、任意の形状を有することができ、例えば、シート形状、ボード形状またはフィルム形状を有することができる。
シート形状、ボード形状またはフィルム形状の熱線遮蔽粒子分散体を用いて、例えば後述する、熱線遮蔽合わせ透明基材や、熱線遮蔽透明基材等を製造することができる。
以上に説明した本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体は、可視光透過率が高く、かつ日射透過率を抑制した熱線遮蔽粒子を含有することができる。該熱線遮蔽粒子は、熱線遮蔽粒子分散体の可視光透過率が高い場合において、日射透過率を特に抑制できる。具体的には例えば熱線遮蔽粒子分散体の可視光透過率が70%以上の場合において、日射透過率を特に抑制する効果が得られる。熱線遮蔽粒子分散体の可視光透過率が75%以上の場合であればその効果はより顕著となる。
そして、本実施形態の熱線遮蔽粒子分散体が含有する熱線遮蔽粒子においては、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを所定の重量比で混合して用いることで、複合タングステン酸化物粒子を単独で用いた場合よりも低い日射透過率とすることができる。複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを混合した場合に、日射透過率を抑制できる理由は明らかではないが、複合タングステン酸化物粒子の有する近赤外領域の光の遮蔽力と、スズ酸化インジウム粒子の有する、可視光に対する高い透明性とが相乗的に働いているためと考えられる。
[熱線遮蔽合わせ透明基材]
次に、本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材の一構成例について説明する。
本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材は、複数枚の透明基材と、既述の熱線遮蔽粒子分散体とを有し、熱線遮蔽粒子分散体が、複数枚の透明基材間に位置する構成を有することができる。
本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材の斜視図を示している。なお、図中熱線遮蔽粒子分散体は記載を省略している。
熱線遮蔽合わせ透明基材10は、図1に示すように、複数枚の透明基材11、12、13を有することができる。なお、図1においては、3枚の透明基材11〜13を用いた例を示したが、係る形態に限定されるものではなく、透明基材を2枚、または4枚以上有していてもよい。図1に示したように、複数枚の透明基材11〜13は互いに主表面が平行になるように配置することができる。
図示しない熱線遮蔽粒子分散体についても、複数枚の透明基材11〜13と平行になるように配置できる。そして、図示しない熱線遮蔽粒子分散体は、透明基材間14、15に配置することができる。
なお、熱線遮蔽合わせ透明基材に含まれる熱線遮蔽粒子分散体の数は特に限定されるものではなく、複数枚の透明基材同士の間隙の数、すなわち透明基材間の数に応じて設けることができる。例えば図1に示した熱線遮蔽合わせ透明基材10の場合、透明基材間14、15を有する。このため、透明基材間14、15の両方に熱線遮蔽粒子分散体を設けることもできる。また、透明基材間14、透明基材間15のいずれかのみに熱線遮蔽粒子分散体を設けることもできる。すなわち、透明基材間の間隙のうち、選択された一以上の透明基材間の間隙に、熱線遮蔽粒子分散体を配置できる。
熱線遮蔽合わせ透明基材に含まれる透明基材間の間隙のうち、熱線遮蔽粒子分散体を配置しない間隙がある場合、係る間隙の構成については特に限定されるものではない。例えば紫外線吸収フィルムや、他の構成を有する熱線遮蔽粒子分散体等を配置することもできる。
本発明の発明者らの検討によれば、中間膜の熱線遮蔽粒子分散体が含有する、熱線遮蔽粒子に含まれる複合タングステン酸化物粒子は、高温多湿の過酷な環境下に長時間置かれると酸化し、該複合タングステン酸化物粒子を含有する熱線遮蔽粒子分散体が退色する場合がある。しかし、図1に示した熱線遮蔽合わせ透明基材10とすることで、透明基材間に中間膜である熱線遮蔽粒子分散体が配置された構造となるため、中間膜である熱線遮蔽粒子分散体に含まれる複合タングステン酸化物粒子等が大気に曝露しない構造にできる。このため、高温、多湿の苛酷な雰囲気に長時間おかれた場合でも、例えば複合タングステン酸化物粒子の酸化による、中間膜である熱線遮蔽粒子分散体の退色を抑制することができる。
以下に、本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材に含まれる透明基材、及び中間膜である熱線遮蔽粒子分散体について説明する。
本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材の、熱線遮蔽粒子分散体としては、既述の熱線遮蔽粒子分散体を用いることができるが、この際、バインダーとしては特に限定されないが、例えばポリビニルアセタール樹脂を用いることができる。以下にポリビニルアセタール樹脂をバインダーとして用いた場合の、熱線遮蔽粒子分散体の製造方法について説明する。
熱線遮蔽粒子として、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを含有し、バインダーとしてポリビニルアセタール樹脂を用いた熱線遮蔽粒子分散体は、例えば複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを可塑剤中に分散させた可塑剤分散液を用いて作製できる。詳細を以下に記す。
可塑剤分散液を製造する場合、まず既述の熱線遮蔽粒子分散液と、可塑剤とを混合する混合工程を実施することができる。次いで、熱線遮蔽粒子分散液由来の溶媒成分、すなわち液状媒体を除去する乾燥工程を実施することができる。溶媒成分を除去することで、可塑剤中に熱線遮蔽粒子が高濃度に分散した可塑剤分散液を得ることができる。
熱線遮蔽粒子分散液と可塑剤との混合物から溶媒成分を除去する方法としては特に限定されるものではないが、例えば熱線遮蔽粒子分散液と可塑剤との混合物を減圧乾燥する方法を用いることが好ましい。具体的には、熱線遮蔽粒子分散液と可塑剤との混合物を攪拌しながら減圧乾燥し、可塑剤分散液と溶媒成分とを分離する。当該減圧乾燥に用いる装置としては、真空攪拌型の乾燥機が挙げられるが、上記機能を有する装置であれば良く、特に限定されない。また、乾燥工程の減圧の圧力は適宜選択される。
上記乾燥工程後に得られた可塑剤分散液において、残留する溶媒成分は5質量%以下であることが好ましい。残留する溶媒成分が5質量%以下の場合、当該可塑剤分散液を用いて、熱線遮蔽合わせ透明基材を製造する際に気泡が発生せず、外観や光学特性が良好に保たれるからである。
また、可塑剤分散液中の熱線遮蔽粒子の濃度は5質量%以上50質量%以下とすることが望ましい。熱線遮蔽粒子の濃度が50質量%以下であれば、熱線遮蔽粒子の凝集が起こり難く、分散が容易で、粘性の急増も回避でき、取り扱いが容易だからである。また、可塑剤分散液中の熱線遮蔽粒子の濃度を5質量%以上とすれば、可塑剤分散液の製造効率と熱線遮蔽粒子の分散の両立が可能である。
なお、ポリビニルアセタール樹脂をバインダーとして用いる際に、好適に用いることができる可塑剤については既述のため、ここでは説明を省略する。
また、上述のように熱線遮蔽粒子分散液を用いることなく、可塑剤に熱線遮蔽粒子を直接分散することで可塑剤分散液を調製することもできる。
当該可塑剤と、熱線遮蔽粒子との混合物において熱線遮蔽粒子を均一に可塑剤へ分散させる方法は、任意に選択できる。具体例としては、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの方法を用いることができる。必要に応じて分散剤等を添加しても構わない。
そして、得られた可塑剤分散液と、ポリビニルアセタール樹脂とを混合し、混練した後押出成形法、射出成形法、カレンダーロール法、押出法、キャスティング法、インフレーション法等の各種成形方法により、例えば、フィルム形状に成形し、中間膜となる熱線遮蔽粒子分散体を製造することができる。なお、可塑剤分散液と、ポリビニルアセタール樹脂とを混練する際、必要に応じてさらに可塑剤や、接着力調整剤やその他の添加剤をあわせて混合、混練することもできる。
なお、用いるポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。また、中間膜の物性を考慮した上で、アセタール化度が異なる複数種類のポリビニルアセタール樹脂を併用してもよい。さらに、アセタール化時に複数種類のアルデヒドを組み合わせて反応させた共ポリビニルアセタール樹脂も、好ましく用いることができる。ここで、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は60%以上であることが好ましい。またポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、75%以下であることが好ましい。
ここまで、本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材に用いる中間膜である熱線遮蔽粒子分散体の製造方法の構成例について、バインダーとしてポリビニルアセタール樹脂を用いた場合を例に説明したが、バインダーはポリビニルアセタール樹脂に限定されるものではない。例えば、熱線遮蔽粒子分散体において説明した各種バインダーを用いることができる。また、熱線遮蔽粒子分散体の製造方法についても、熱線遮蔽粒子分散体において説明した各種製造方法を選択することができる。
そして、既述の様に、本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材は、中間膜である熱線遮蔽粒子分散体を、複数枚の透明基材間に配置し、貼り合わせて一体化することにより製造することができる。
透明基材については特に限定されるものではなく、例えば、ガラス材料からなるガラス基材等や、樹脂材料からなる樹脂基材(プラスチック基材)等を好ましく用いることができる。
透明基材の厚さは、透明基材の材料等に応じて任意に選択することができ、特に限定されないが、例えば透明基材が樹脂基材の場合は3μm以上が好ましい。これは、透明基材が樹脂基材の場合、厚さを3μm以上とすることで、十分な強度を有することができるからである。
透明基材が樹脂基材の場合、厚さの上限値は特に限定されるものではないが、取扱い性等を考慮すると、100μm以下であることが好ましい。
また、透明基材がガラス基材の場合、ガラス基材の厚さは1mm以上であることが好ましい。これはガラス基材の厚さを1mm以上とすることで十分な強度を有することができるからである。
透明基材がガラス基材の場合の厚さの上限値についても特に限定されるものではないが、例えば5mm以下であることが好ましい。これはガラス基材の厚さが5mmを超えると、重量が増加し、取扱い性が低下する等の問題を生じるためである。
なお、透明基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよく、透明基材が複数の層から構成される場合、各層が、上記範囲であることが好ましい。
また、透明基材表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの表面処理が施されていてもよい。
透明基材は、高い透明性を有している基材であることが好ましい。例えば、JIS K 7361−1に基いて評価した、透明基材の可視光波長領域における全光線透過率は85%以上であることが好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。
また、透明基材のJIS K 7136に基いて評価したヘイズは、例えば、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。
特に、本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材においては、可視光透過率を十分に高くし、耐候性を高める観点から、複数枚の透明基材のうち、少なくとも1枚がガラス基材であることが好ましい。
本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材においては、可視光透過率が70%以上であり、さらに熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用い、かつ可視光透過率が同じ(比較用の)熱線遮蔽合わせ透明基材と比較して日射透過率が低いことが好ましい。
なお、係る比較用の、熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用いた、熱線遮蔽合わせ透明基材の可視光透過率は、例えば中間膜である熱線遮蔽粒子分散体の厚さ等を調整することにより、本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材と同じ可視光透過率とすることができる。また、比較用の、熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用いた熱線遮蔽合わせ透明基材は、熱線遮蔽粒子と、可視光透過率を調整した点以外は、比較の対象となる本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材と同様に構成することが好ましい。
ただし、熱線遮蔽合わせ透明基材、及び該熱線遮蔽合わせ透明基材と可視光透過率が同じ(比較用の)熱線遮蔽合わせ透明基材を作製する際、両熱線遮蔽合わせ透明基材の可視光透過率を完全に一致させることは困難である。このため、可視光透過率が目標値の±0.5%以内になるようにして、各熱線遮蔽合わせ透明基材を作製し、比較を行うことができる。すなわち、本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材においては、可視光透過率を目標可視光透過率±0.5%の範囲内とした場合に、熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用い、かつ可視光透過率が目標可視光透過率±0.5%である(比較用の)熱線遮蔽合わせ透明基材と比較して、日射透過率が低いことが好ましい。この際、目標可視光透過率は70%以上とすることができる。
熱線遮蔽合わせ透明基材の別の形態として、一方の透明基材上に、中間膜として熱線遮蔽粒子分散体を形成し、該熱線遮蔽粒子分散体をさらに任意の中間膜を介して、他方の透明基材と上記一方の透明基材とで挟み込んだ構成とすることもできる。すなわち、複数枚の透明基材間に、中間膜である熱線遮蔽粒子分散体に加えて、さらに熱線遮蔽粒子分散体以外の任意の中間膜を有することもできる。この際の任意の中間膜としては例えば紫外線吸収フィルム等が挙げられる。
本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材の用途は特に限定されるものではないが、例えば、自動車のフロントガラスや建物の窓として使用することができる。
以上に説明した本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材は、その中間膜である熱線遮蔽粒子分散体に、可視光透過率が高く、かつ日射透過率を抑制した熱線遮蔽粒子を含有することができる。該熱線遮蔽粒子は、熱線遮蔽粒子分散体の可視光透過率が高い場合において、日射透過率を特に抑制できる。具体的には例えば熱線遮蔽粒子分散体の可視光透過率が70%以上の場合において、日射透過率を特に抑制する効果が得られる。熱線遮蔽粒子分散体の可視光透過率が75%以上の場合であればその効果はより顕著となる。
そして、本実施形態の熱線遮蔽合わせ透明基材の中間膜が含有する熱線遮蔽粒子においては、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを所定の重量比で混合して用いることで、複合タングステン酸化物粒子を単独で用いた場合よりも低い日射透過率とすることができる。複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを混合した場合に、日射透過率を抑制できる理由は明らかではないが、複合タングステン酸化物粒子の有する近赤外領域の光の遮蔽力と、スズ酸化インジウム粒子の有する、可視光に対する高い透明性とが相乗的に働いているためと考えられる。
[熱線遮蔽透明基材]
次に、本実施形態の熱線遮蔽透明基材の一構成例について説明する。
本実施形態の熱線遮蔽透明基材は、樹脂基材またはガラス基材である透明基材の少なくとも一方の面上に、熱線遮蔽粒子とバインダーとを含むコーティング層(熱線遮蔽粒子分散体)を備えた構成を有することができる。そして、熱線遮蔽粒子は、少なくとも複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを含み、熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比を、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲とすることができる。
本実施形態の熱線遮蔽透明基材は、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを含有する熱線遮蔽粒子を含むことができる。本実施形態の熱線遮蔽透明基材が含有する熱線遮蔽粒子は、既述の熱線遮蔽粒子分散液において説明した熱線遮蔽粒子と同様の構成を有することができる。
すなわち、本実施形態の熱線遮蔽透明基材のコーティング層において、複合タングステン酸化物粒子としては、一般式M(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素、0.1≦x≦0.5、0.9≦y≦1.1、2.2≦z≦3.0)で表示される複合タングステン酸化物を含有する粒子を好ましく用いることができる。なお、複合タングステン酸化物粒子として、上記一般式で表示される複合タングステン酸化物からなる粒子を用いることもできる。
特に複合タングステン酸化物粒子は、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物を含むことがより好ましい。なお、複合タングステン酸化物粒子は、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物からなる粒子とすることもできる。
また、複合タングステン酸化物粒子は、セシウムタングステン酸化物粒子、ルビジウムタングステン酸化物粒子、カリウムタングステン酸化物粒子から選択される1種類以上であることがさらに好ましい。すなわち、複合タングステン酸化物粒子が、セシウムタングステン酸化物を含有する粒子、ルビジウムタングステン酸化物を含有する粒子、カリウムタングステン酸化物を含有する粒子から選択される1種類以上であることがさらに好ましい。なお、上記セシウムタングステン酸化物粒子は、セシウムタングステン酸化物からなる粒子とすることもできる。また、ルビジウムタングステン酸化物粒子はルビジウムタングステン酸化物からなる粒子に、カリウムタングステン酸化物粒子はカリウムタングステン酸化物からなる粒子にすることもできる。
また、スズ酸化インジウム粒子は、スズ酸化インジウムを含有する粒子である。スズ酸化インジウム粒子は、スズ酸化インジウムからなる粒子とすることもできる。スズ酸化インジウムは、Snの質量割合[Sn/(Sn+In)]が1%以上20%以下であることが好ましい。
なお、スズ酸化インジウム粒子は、酸素欠陥を含むスズ酸化インジウムを含有することもできる。
熱線遮蔽粒子分散液においても既述の様に、本発明の発明者らの検討によれば、熱線遮蔽粒子として、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを、所定の重量比で混合し、用いることで、高い可視光透過率を有しつつ、かつ複合タングステン酸化物粒子、及びスズ酸化インジウム粒子からは予測できない日射遮蔽特性を示すことができる。
そこで、本実施形態の熱線遮蔽透明基材のコーティング層が含有する熱線遮蔽粒子は、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを含み、熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲とすることができる。この範囲内にあることで、熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用いた場合よりもさらに日射透過率を抑制することができる。
熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比は、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=85/15〜30/70の範囲であることがより好ましく、75/25〜35/65の範囲であることがさらに好ましい。
バインダーとしては特に限定されないが、例えば熱線遮蔽粒子分散体について説明した際に既述の無機バインダーや、有機無機ハイブリッドバインダー、樹脂等の有機バインダーを用いることができる。バインダーとしては特に、紫外線硬化性樹脂を好ましく用いることができる。特に好適に用いることができる紫外線硬化性樹脂については熱線遮蔽粒子分散体において既述のため、ここでは説明を省略する。
コーティング層中に分散して含まれる熱線遮蔽粒子の含有量については特に限定されるものではなく、用途等に応じて任意に選択することができる。コーティング層中の熱線遮蔽粒子の含有量は例えば、0.001質量%以上80.0質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上70.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上70.0質量%以下であることがさらに好ましい。
これは、コーティング層中の熱線遮蔽粒子の含有量が0.001質量%未満の場合、コーティング層が必要な熱線遮蔽効果を得るにはその厚さを厚くする必要があり、使用できる用途が限定されたり、搬送が困難になったりする場合があるためである。
また、熱線遮蔽粒子の含有量が80.0質量%を超える場合は、コーティング層においてバインダーの割合が少なくなるため、強度が低下するためである。
透明基材については既述のように、樹脂基材(プラスチック基材)、またはガラス材料からなるガラス基材等を好ましく用いることができる。
特に、透明基材としては、用途等にも拠るが、例えば樹脂基材を好ましく用いることができる。樹脂基材としては、用途に適した樹脂基材を選択すればよく、特に限定されるものではない。樹脂基材としては、可視光の透過性があり散乱の少ない、無色透明の樹脂が適しており、例えば、ポリカーボネート系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、環状オレフィン系、飽和ポリエステル系の樹脂や、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の透明基材が挙げられる。特に樹脂基材としては、ポリエステルフィルムを好ましく用いることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをより好ましく用いることができる。
透明基材の厚さは、透明基材の材料等に応じて任意に選択することができ、特に限定されないが、例えば透明基材が樹脂基材の場合は3μm以上が好ましい。これは、透明基材が樹脂基材の場合、厚さを3μm以上とすることで、十分な強度を有することができるからである。
透明基材が樹脂基材の場合、厚さの上限値は特に限定されるものではないが、取扱い性等を考慮すると、100μm以下であることが好ましい。
また、透明基材がガラス基材の場合、ガラス基材の厚さは1mm以上であることが好ましい。これはガラス基材の厚さを1mm以上とすることで十分な強度を有することができるからである。
透明基材がガラス基材の場合の厚さの上限値についても特に限定されるものではないが、例えば5mm以下であることが好ましい。これはガラス基材の厚さが5mmを超えると、重量が増加し、取扱い性が低下する等の問題を生じるためである。
なお、透明基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよく、透明基材が複数の層から構成される場合、各層が、上記範囲であることが好ましい。
また、透明基材表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの表面処理が施されていてもよい。
透明基材は、高い透明性を有している基材であることが好ましい。例えば、JIS K 7361−1に基いて評価した、透明基材の可視光波長領域における全光線透過率は85%以上であることが好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。
また、透明基材のJIS K 7136に基いて評価したヘイズは、例えば、1.5%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下である。
本実施形態の熱線遮蔽透明基材においては、可視光透過率が70%以上であり、さらに熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用い、かつ可視光透過率が同じ(比較用の)熱線遮蔽透明基材と比較して日射透過率が低いことが好ましい。
なお、係る比較用の、熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用いた、熱線遮蔽透明基材の可視光透過率は、例えばコーティング層である熱線遮蔽粒子分散体の厚さ等を調整することにより、本実施形態の熱線遮蔽透明基材と同じ可視光透過率とすることができる。また、比較用の、熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用いた熱線遮蔽透明基材は、熱線遮蔽粒子と、可視光透過率を調整した点以外は、比較の対象となる本実施形態の熱線遮蔽透明基材と同様に構成することが好ましい。
ただし、熱線遮蔽透明基材、及び該熱線遮蔽透明基材と可視光透過率が同じ(比較用の)熱線遮蔽透明基材を作製する際、両熱線遮蔽透明基材の可視光透過率を完全に一致させることは困難である。このため、可視光透過率が目標値の±0.5%以内になるようにして、各熱線遮蔽透明基材を作製し、比較を行うことができる。すなわち、本実施形態の熱線遮蔽透明基材においては、可視光透過率を目標可視光透過率±0.5%の範囲内とした場合に、熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用い、かつ可視光透過率が目標可視光透過率±0.5%である(比較用の)熱線遮蔽透明基材と比較して、日射透過率が低いことが好ましい。この際、目標可視光透過率は70%以上とすることができる。
次に、本実施形態の熱線遮蔽透明基材の製造方法の一構成例について説明する。
熱線遮蔽透明基材は、バインダーと熱線遮蔽粒子分散液とを混合して、またはバインダーと熱線遮蔽粒子とを混合して塗布液とする塗布液調製工程を有することができる。そして、透明基材上に塗布液を塗布する塗布工程。さらに、透明基材上に塗布した塗布液を乾燥、硬化する乾燥・硬化工程を有することができる。
なお、塗布液を調製する際、必要に応じて溶媒を添加してもよい。
透明基材上への塗布液の塗布方法は特に限定されるものではなく、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、スピンコート法、グラビヤコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、ブレードコート法など、塗布液を平坦かつ薄く均一に塗布できる方法であれば如何なる方法でもよい。透明基材上におけるコーティング層の厚さは、特に限定されないが10μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましい。これはコーティング層の厚さが10μm以下であれば、十分な鉛筆硬度を発揮して耐擦過性を有することに加えて、コーティング層における溶媒の揮散およびバインダーの硬化の際に、透明基材の反り発生等の工程異常発生を抑制できるからである。
また、透明基材上に塗布した塗布液を硬化させる方法は、バインダーの種類によって適宜選択される。紫外線硬化性樹脂であればそれぞれの光開始剤の共鳴波長や、目的の硬化速度にあわせて紫外線ランプを選択すればよい。代表的なランプとしては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、パルスキセノンランプ、無電極放電ランプ等が挙げられる。光開始剤を使用しない電子線硬化タイプの樹脂バインダーの場合は、走査型、エレクトロンカーテン型等の電子線照射装置を使用して硬化させればよい。熱硬化性樹脂バインダーの場合は、目的の温度で加熱すればよく、また常温硬化性樹脂の場合は、塗布後そのまま放置しておけばよい。
なお、ここでは塗布液を調製し、該塗布液を塗布、乾燥、硬化することにより、熱線遮蔽透明基材を製造した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。例えば、熱線遮蔽粒子分散液を透明基材上に塗布し、その後、熱線遮蔽粒子分散液を塗布した面上にさらにバインダーを塗布し、乾燥、硬化することにより熱線遮蔽透明基材を製造することもできる。
以上に説明した本実施形態の熱線遮蔽透明基材は、そのコーティング層に可視光透過率が高く、かつ日射透過率を抑制した熱線遮蔽粒子を含有することができる。該熱線遮蔽粒子は、熱線遮蔽透明基材の可視光透過率の高い場合において、日射透過率を特に抑制できる。具体的には例えば熱線遮蔽透明基材の可視光透過率が70%以上の場合において、日射透過率を特に抑制する効果が得られる。熱線遮蔽透明基材の可視光透過率が75%以上の場合であればその効果はより顕著となる。
そして、本実施形態の熱線遮蔽透明基材のコーティング層が含有する熱線遮蔽粒子においては、複合タングステン酸化物粒子とスズ酸化インジウム粒子とを所定の重量比で混合して用いることで、複合タングステン酸化物粒子を単独で用いた場合よりも低い日射透過率とすることができる。複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを混合した場合に、日射透過率を抑制できる理由は明らかではないが、複合タングステン酸化物粒子の有する近赤外領域の光の遮蔽力と、スズ酸化インジウム粒子の有する、可視光に対する高い透明性とが相乗的に働いているためと考えられる。
以下に実施例を参照しながら本発明を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の、各実施例、比較例における、熱線遮蔽透明基材の可視光透過率並びに日射透過率は、ISO 9050及びJIS R 3106に準拠して測定を行った。具体的には、日立製作所(株)製の分光光度計U−4100を用いて透過率を測定し、太陽光のスペクトルに応じた係数を乗じて算出した。透過率の測定に当たっては波長300nm以上2100nm以下の範囲について、5nm間隔で測定を行っている。なお、日射透過率は、熱線遮蔽透明基材の熱線遮蔽特性を示す指標である。
[実施例1]
熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子(Cs0.33WO:住友金属鉱山製)を20質量%、官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g(以下、分散剤aと略称する))を10質量%、メチルイソブチルケトンを70質量%秤量した。なお、用いた複合タングステン酸化物粒子は、六方晶を有する複合タングステン酸化物Cs0.33WOから構成されている。これらを、0.3mmφのZrOビーズを入れたペイントシェイカーに装填し、15時間粉砕・分散処理し、Cs0.33WOを含む熱線遮蔽粒子分散液(以下、分散液Aと略称する。)を得た。
複合タングステン酸化物粒子の代わりにスズ酸化インジウム粒子(三菱マテリアル株式会社製)を用いた点以外は分散液Aと同じ配合で15時間粉砕・分散処理を行い、スズ酸化インジウム粒子含む熱線遮蔽粒子分散液(以下、分散液Bと略称する。)を得た。
ここで、分散液A中の複合タングステン酸化物粒子の平均分散粒子径を大塚電子(株)社製の粒度分布計(ELS−8000)を用いて測定したところ80nmであり、分散液B中のスズ酸化インジウム粒子の平均分散粒子径は85nmであった。
得られた分散液Aと分散液Bを重量比で40:60となるように混合して混合分散液を調製した。そして、混合分散液を2gと、バインダーとしてアクリル系の紫外線硬化性樹脂(UV3701 東亜合成株式会社製)を1gとを混合して、塗布液Aを作製した。
塗布液Aをガラス基材(厚さ3mm)にバーコーター(No.3)で可視光透過率が80±0.5%となるように塗布し、70℃で1分乾燥させ、紫外線を250mJ/cm以上照射させることによって、実施例1にかかる、ガラス基材の一方の面上にコーティング層である熱線遮蔽粒子分散体を備えた熱線遮蔽透明基材を得た。
得られた熱線遮蔽透明基材のコーティング層の厚さは約6μmであった。なお、以下の実施例、比較例においても同じバーコーターを用いており、おおよそ同じ厚さのコーティング層が形成されている。
また、得られた熱線遮蔽透明基材のコーティング層に分散して含まれる熱線遮蔽粒子の含有量(含有割合)は、25質量%となる。以下の実施例、比較例においてもコーティング層中の熱線遮蔽粒子の含有量は同様になっている。
得られた熱線遮蔽透明基材の可視光透過率並びに日射透過率を測定した。結果を表1、および図2に示す。
[実施例2]
熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子(Cs0.33WO:住友金属鉱山製)を10質量%とスズ酸化インジウム粒子(三菱マテリアル株式会社製)を10質量%、分散剤aを10質量%、メチルイソブチルケトンを70質量%秤量した。これらを、0.3mmφのZrOビーズを入れたペイントシェイカーに装填し、15時間粉砕・分散処理し、Cs0.33WO粒子とスズ酸化インジウム粒子を含む熱線遮蔽粒子分散液(以下、分散液Cと略称する。)を得た。分散液Cの中の粒子の平均分散粒子径は82nmであった。なお、複合タングステン酸化物粒子、及びスズ酸化インジウム粒子は、実施例1と同じ原料を用いている。
得られた分散液Cを2g、バインダーとしてアクリル系の紫外線硬化性樹脂(UV3701 東亜合成株式会社製)を1g混合して、塗布液Cを作製した。
塗布液Cをガラス基材(厚さ3mm)にバーコーター(No.3)で可視光透過率が80±0.5%となるように塗布し、70℃で1分乾燥させ、紫外線を250mJ/cm以上照射させることによって、実施例2にかかる、ガラス基材の一方の面上にコーティング層である熱線遮蔽粒子分散体を備えた熱線遮蔽透明基材を得た。
得られた熱線遮蔽透明基材の可視光透過率並びに日射透過率を測定した。結果を表1、および図2に示す。
[実施例3〜8]
分散液Aと分散液Bの重量比を表1に記載に比率に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3〜8にかかる、ガラス基材の一方の面上にコーティング層である熱線遮蔽粒子分散体を備えた熱線遮蔽透明基材を得た。
得られた熱線遮蔽透明基材の可視光透過率並びに日射透過率を測定した。結果を表1、および図2に示す。
[実施例9]
熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子(Rb0.33WO:住友金属鉱山製)を20質量%、分散剤aを10質量%、メチルイソブチルケトンを70質量%秤量した。なお、用いた複合タングステン酸化物粒子は、六方晶を有する複合タングステン酸化物Rb0.33WOから構成されている。これらを、0.3mmφのZrOビーズを入れたペイントシェイカーに装填し、18時間粉砕・分散処理し、Rb0.33WOを含む熱線遮蔽粒子分散液(以下、分散液Dと略称する。)を得た。分散液Dの中の粒子の平均分散粒子径は89nmであった。
得られた分散液Dと分散液Bを重量比で40:60となるように混合して混合分散液を調製した。そして、混合分散液を2gと、バインダーとしてアクリル系の紫外線硬化性樹脂(UV3701 東亜合成株式会社製)を1gとを混合して、塗布液Eを作製した。
塗布液Aを塗布液Eに変更した以外は実施例1と同様にしてガラス基材の一方の面上にコーティング層である熱線遮蔽粒子分散体を備えた熱線遮蔽透明基材を得た。
得られた熱線遮蔽透明基材の可視光透過率並びに日射透過率を測定した。結果を表1、および図2に示す。
[実施例10]
分散液Dと分散液Bの重量比を60:40に変更した以外は実施例9と同様にしてガラス基材の一方の面上にコーティング層である熱線遮蔽粒子分散体を備えた熱線遮蔽透明基材を得た。
得られた熱線遮蔽透明基材の可視光透過率並びに日射透過率を測定した。結果を表1、および図2に示す。
[比較例1]
熱線遮蔽粒子を複合タングステン酸化物粒子(Cs0.33WO)のみに変更した以外は実施例1と同様にして比較例1にかかる、ガラス基材の一方の面上にコーティング層である熱線遮蔽粒子分散体を備えた熱線遮蔽透明基材を得た。
すなわち、分散液Aを2gと、バインダーとして紫外線硬化性樹脂(UV3701 東亜合成株式会社製)を1gとを混合して、塗布液A´を作製した。
塗布液A´をガラス基材(厚さ3mm)にバーコーター(No.3)で可視光透過率が80±0.5%となるように塗布し、70℃で1分乾燥させ、紫外線を250mJ/cm以上照射させることによって、熱線遮蔽透明基材を得た。
得られた熱線遮蔽透明基材の可視光透過率並びに日射透過率を測定した。結果を表1、および図2に示す。
[比較例2]
熱線遮蔽粒子をスズ酸化インジウム粒子のみに変更した以外は実施例1と同様にして比較例2にかかる、ガラス基材の一方の面上にコーティング層である熱線遮蔽粒子分散体を備えた熱線遮蔽透明基材を得た。
すなわち、分散液Bを2gと、バインダーとして紫外線硬化性樹脂(UV3701 東亜合成株式会社製)を1gとを混合して、塗布液B´を作製した。
塗布液B´をガラス基材(厚さ3mm)にバーコーター(No.3)で可視光透過率が80±0.5%となるように塗布し、70℃で1分乾燥させ、紫外線を250mJ/cm以上照射させることによって、熱線遮蔽透明基材を得た。
得られた熱線遮蔽透明基材の可視光透過率並びに日射透過率を測定した。結果を表1、および図2に示す。
[比較例3]
得られた分散液Aと分散液Bとを重量比で2:8で混合した混合液を用いた点以外は実施例1と同様にして熱線遮蔽透明基材を得た。
すなわち、混合液を2gと、バインダーとして紫外線硬化性樹脂(UV3701 東亜合成株式会社製)を1gとを混合して、塗布液C´を作製した。
塗布液C´をガラス基材(厚さ3mm)にバーコーター(No.3)で可視光透過率が80±0.5%となるように塗布し、70℃で1分乾燥させ、紫外線を250mJ/cm以上照射させることによって、ガラス基材の一方の面上にコーティング層である熱線遮蔽粒子分散体を備えた熱線遮蔽透明基材を得た。
得られた熱線遮蔽透明基材の可視光透過率並びに日射透過率を測定した。結果を表1、および図2に示す。
[比較例4]
熱線遮蔽粒子を複合タングステン酸化物粒子(Rb0.33WO)のみに変更した以外は実施例1と同様にして比較例1にかかる、ガラス基材の一方の面上にコーティング層である熱線遮蔽粒子分散体を備えた熱線遮蔽透明基材を得た。
すなわち、分散液Dを2gと、バインダーとして紫外線硬化性樹脂(UV3701 東亜合成株式会社製)を1gとを混合して、塗布液D´を作製した。
塗布液D´をガラス基材(厚さ3mm)にバーコーター(No.3)で可視光透過率が80±0.5%となるように塗布し、70℃で1分乾燥させ、紫外線を250mJ/cm以上照射させることによって、熱線遮蔽透明基材を得た。
得られた熱線遮蔽透明基材の可視光透過率並びに日射透過率を測定した。結果を表1、および図2に示す。
Figure 2017226833
なお、図2は、表1に示した各実施例、比較例における、熱線遮蔽粒子中の複合タングステン酸化物粒子(Cs0.33WOまたはRb0.33WO)の割合と、日射透過率との関係をプロットしたグラフであり、実施例1〜実施例10は黒塗りの四角で、比較例1〜比較例4は白抜きの三角で示している。
表1、及び図2に示した結果から明らかなように、熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲にある実施例1〜実施例10については、熱線遮蔽粒子として、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とのいずれか一方のみを用いた比較例1、2、4と比較して日射透過率を抑制できていることを確認できた。
可視光透過率についても、表1に示したように、実施例1〜実施例10では、熱線遮蔽粒子として、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とのいずれか一方のみを用いた比較例1、2、4と同程度を維持できている、すなわち高い可視光透過率を有することが確認できた。
また、比較例3では、熱線遮蔽粒子として、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを用いているものの、熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲から外れているため、日射透過率の抑制効果は見られなかった。
以上の結果から、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲にある熱線遮蔽粒子は、可視光透過率が高く、かつ日射透過率を抑制できることを確認できた。
また、本実施例では、係る熱線遮蔽粒子を含有するコーティング層、すなわち熱線遮蔽粒子分散体を有する熱線遮蔽透明基材の例を示したが、例えばコーティング層上にさらに透明基材を配置することで熱線遮蔽合わせ透明基材とすることもできる。この場合も、ここで示した熱線遮蔽透明基材と同様の特性を有することができる。
10 熱線遮蔽合わせ透明基材
11、12、13 透明基材
14、15 透明基材間

Claims (20)

  1. 熱線遮蔽粒子と、液状媒体とを含有する熱線遮蔽粒子分散液であって、
    前記熱線遮蔽粒子は、少なくとも複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを含み、
    前記熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲である熱線遮蔽粒子分散液。
  2. 前記複合タングステン酸化物粒子が、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物を含む請求項1に記載の熱線遮蔽粒子分散液。
  3. 前記複合タングステン酸化物粒子が、セシウムタングステン酸化物粒子、ルビジウムタングステン酸化物粒子、カリウムタングステン酸化物粒子から選択される1種類以上である請求項1または2に記載の熱線遮蔽粒子分散液。
  4. 前記液状媒体が水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、可塑剤から選択される1種類以上である請求項1から3のいずれか一項に記載の熱線遮蔽粒子分散液。
  5. 分散剤、カップリング剤、界面活性剤から選択された1種類以上をさらに含有する請求項1から4のいずれか一項に記載の熱線遮蔽粒子分散液。
  6. 前記熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=85/15〜30/70の範囲である請求項1から5のいずれか一項に記載の熱線遮蔽粒子分散液。
  7. 熱線遮蔽粒子と、バインダーとを含有する熱線遮蔽粒子分散体であって、
    前記熱線遮蔽粒子は、少なくとも複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを含み、
    前記熱線遮蔽粒子中の複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲である熱線遮蔽粒子分散体。
  8. 前記複合タングステン酸化物粒子が、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物を含む請求項7に記載の熱線遮蔽粒子分散体。
  9. 前記バインダーが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂から選択される1種類以上である請求項7または8に記載の熱線遮蔽粒子分散体。
  10. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂という樹脂群から選択される1種類の樹脂、または、前記樹脂群から選択される2種類以上の樹脂の混合物、または、前記樹脂群から選択される2種類以上の樹脂の共重合体、のいずれかである請求項9に記載の熱線遮蔽粒子分散体。
  11. 前記熱線遮蔽粒子を、0.001質量%以上80.0質量%以下含む請求項7から10のいずれか一項に記載の熱線遮蔽粒子分散体。
  12. 前記熱線遮蔽粒子分散体が、シート形状、ボード形状またはフィルム形状を有する請求項7から11のいずれか一項に記載の熱線遮蔽粒子分散体。
  13. 複数枚の透明基材と、
    請求項7から12のいずれか一項に記載の熱線遮蔽粒子分散体とを有し、
    前記熱線遮蔽粒子分散体が、前記複数枚の透明基材間に位置する熱線遮蔽合わせ透明基材。
  14. 前記複数枚の透明基材のうち、少なくとも1枚がガラス基材である請求項13に記載の熱線遮蔽合わせ透明基材。
  15. 可視光透過率が70%以上であり、
    熱線遮蔽粒子として複合タングステン酸化物粒子のみを用い、かつ可視光透過率が同じ熱線遮蔽合わせ透明基材と比較して、日射透過率が低い請求項13または14に記載の熱線遮蔽合わせ透明基材。
  16. 樹脂基材またはガラス基材である透明基材の少なくとも一方の面上に、熱線遮蔽粒子とバインダーとを含むコーティング層を備えた、熱線遮蔽透明基材であって、
    前記熱線遮蔽粒子は、少なくとも複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子とを含み、
    前記熱線遮蔽粒子中の、複合タングステン酸化物粒子と、スズ酸化インジウム粒子との重量比が、複合タングステン酸化物粒子/スズ酸化インジウム粒子=99/1〜22/78の範囲である熱線遮蔽透明基材。
  17. 前記複合タングステン酸化物粒子が六方晶の結晶構造を有する請求項16に記載の熱線遮蔽透明基材。
  18. 前記バインダーが、紫外線硬化性樹脂である請求項16または17に記載の熱線遮蔽透明基材。
  19. 前記コーティング層の厚さが10μm以下である請求項16から18のいずれか一項に記載の熱線遮蔽透明基材。
  20. 前記透明基材が前記樹脂基材であって、前記樹脂基材がポリエステルフィルムである請求項16から19のいずれか一項に記載の熱線遮蔽透明基材。
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