JP2017225087A - 誘電体共振器およびその製造方法 - Google Patents

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裕太 芦田
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一成 木村
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Abstract

【課題】シールド導体部を構成する導体層を共振器本体の近くに配置し、且つ誘電体共振器のQを大きくする。
【解決手段】誘電体共振器は、誘電体よりなる共振器本体2Aと、共振器本体2Aを構成する誘電体よりも比誘電率が小さい誘電体よりなり、共振器本体2Aの周囲に存在する周囲誘電体部と、導体よりなるシールド導体部5を備えている。周囲誘電体部は、積層された複数の誘電体層を有している。シールド導体部5は、周囲誘電体部の内部に位置する第1の内部シールド導体層51と、周囲誘電体部の外面上に位置する外部導体部53を含んでいる。外部導体部53は、第1の導電率を有する外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fを含んでいる。第1の内部シールド導体層51は、第1の導電率よりも大きい第2の導電率を有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、誘電体よりなる共振器本体と、積層された複数の誘電体層を用いて構成された周囲誘電体部と、シールド導体部とを含む誘電体共振器およびその製造方法に関する。
現在、第5世代移動通信システム(以下、5Gと言う。)の規格化が進められている。5Gでは、周波数帯域を拡大するために、10GHz以上の周波数帯域、特に30〜300GHzのミリ波帯の利用が検討されている。
通信装置に用いられる電子部品には、バンドパスフィルタのように、共振器を含むフィルタがある。10GHz以上の周波数帯域に用いられるフィルタとしては、誘電体共振器を含む誘電体フィルタが有望である。
一般的に、誘電体共振器は、誘電体よりなる共振器本体と、共振器本体を構成する誘電体よりも比誘電率が小さい誘電体よりなる周囲誘電体部と、シールド導体部とを含んでいる。シールド導体部は、共振器本体の周囲に配置されている。周囲誘電体部は、共振器本体とシールド導体部の間に配置されている。
特許文献1および2には、誘電体共振器を含む誘電体フィルタが記載されている。
特許文献1には、誘電体基体と、誘電体基体に埋設された複数の誘電体共振器と、入力部と、出力部と、外導体膜とを含む誘電体フィルタが記載されている。外導体膜は、入力部および出力部に接しないように、誘電体基体の外面の大部分を覆っている。特許文献1における誘電体共振器、誘電体基体および外導体膜は、それぞれ、前記の共振器本体、周囲誘電体部およびシールド導体部に対応する。
特許文献2には、2つの誘電体基板と、複数の誘電体共振器と、2つのマイクロストリップ線路と、接地導体とを含むフィルタが記載されている。このフィルタにおいて、2つの誘電体基板は、接地導体を挟んで、接地導体の上下に配置されている。上側の誘電体基板には、その上面で開口する複数の孔が形成されている。複数の誘電体共振器は、複数の孔に埋め込まれている。2つのマイクロストリップ線路は、上側の誘電体基板の上面上に形成されている。一方のマイクロストリップ線路は、1つの誘電体共振器の近くに配置されている。他方のマイクロストリップ線路は、他の1つの誘電体共振器の近くに配置されている。上側の誘電体基板には、複数の誘電体共振器と接地導体の間に位置する複数の空洞が形成されている。特許文献2における誘電体共振器と誘電体基板は、それぞれ、前記の共振器本体と周囲誘電体部に対応する。
特開2006−238027号公報 特開平11−355005号公報
誘電体共振器の周囲誘電体部を構成する誘電体としては、例えばセラミックが用いられる。この場合の周囲誘電体部の形成方法としては、例えば、低温同時焼成法が用いられる。低温同時焼成法では、必要に応じて焼成前の導体層や焼成前のスルーホールが形成された複数の焼成前のセラミックシートであるセラミックグリーンシートを積層して、焼成前積層体を作製し、この焼成前積層体を焼成することによって、焼成後積層体を作製する。積層された複数のセラミックグリーンシートは、焼成されて、積層された複数の誘電体層からなる誘電体部になる。この誘電体部によって、周囲誘電体部が構成される。
以下、低温同時焼成法を用いて周囲誘電体部を形成する場合における問題点について説明する。シールド導体部は、周囲誘電体部の複数の面に形成された複数の外部導体層を含む。外部導体層の形成方法としては、主に以下の第1ないし第3の方法がある。第1の方法では、焼成前積層体に、外部導体層に対応する焼成前の導体層を形成せずに、焼成前積層体を焼成して焼成後積層体を形成した後、この焼成後積層体の表面に、外部導体層に対応する焼成前の導体層を形成し、これを焼成して外部導体層を形成する。第2の方法では、焼成前積層体に、外部導体層に対応する焼成前の導体層を形成し、焼成前積層体と、外部導体層に対応する焼成前の導体層を同時に焼成して、焼成後積層体と外部導体層を同時に形成する。第3の方法では、焼成前積層体に、外部導体層に対応する焼成前の導体層を形成せずに、焼成前積層体を焼成して焼成後積層体を形成した後、この焼成後積層体の表面に、薄膜形成方法を用いて外部導体層を形成する。
上記の第1および第2の方法では、一般的に、外部導体層を形成するための導体ペーストは、誘電体部の内部に位置する内部導体層を形成するための導体ペーストに比べて、誘電体部に対する接着力が大きくなるような組成のものが用いられる。これに起因して、外部導体層は、内部導体層に比べて、導電率を大きくすることが難しい。
また、上記の第3の方法では、誘電体部に対する外部導体層の接着力を大きくするために、一般的に、まず、例えばスパッタ法や真空蒸着法によって、誘電体部に対する密着力の大きい第1層を形成する。次に、この第1層の上に、例えばめっき法によって第2層を形成して、第1層と第2層を含む外部導体層を形成する。この場合、一般的に、第1層を構成する材料としては、第2層を構成する材料に比べて導電率は小さいが誘電体部に対する密着力が大きいものが用いられる。シールド導体部を構成する外部導体層を第3の方法で形成した場合には、第1層の導電率が、シールド導体部の実質的な導電率になる。
一方、シールド導体部の導電率が大きいほど、シールド導体部による導体損を小さくして誘電体共振器のQを大きくすることができる。シールド導体部を複数の外部導体層によって形成する場合には、上記の第1ないし第3の方法のいずれにおいても、上記の理由から、シールド導体部の導電率を大きくすることが難しく、その結果、誘電体共振器のQを大きくすることができないという問題点がある。
ところで、誘電体共振器では、高次隣接共振モードの影響を低減する等の目的で、シールド導体部の一部を構成する1つの導体層を、シールド導体部の残りの部分を構成する1つ以上の導体層に比べて、共振器本体に近づけた構成とする場合がある。一般的に、導体層を共振器本体に近づけると、導体層による導体損が増加して、その結果、誘電体共振器のQが小さくなる。シールド導体部が、共振器本体に近い導体層を有する場合、この導体層が外部導体層で構成されていると、この導体層の導電率を大きくすることが難しいと理由と、この導体層が共振器本体に近いという理由の2つの理由から、誘電体共振器のQを大きくすることができないという問題が生じる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、シールド導体部を構成する導体層を共振器本体の近くに配置でき、且つQを大きくすることができるようにした誘電体共振器およびその製造方法を提供することにある。
本発明の誘電体共振器は、
誘電体よりなる共振器本体と、
共振器本体を構成する誘電体よりも比誘電率が小さい誘電体よりなり、共振器本体の周囲に存在する周囲誘電体部と、
導体よりなるシールド導体部とを備えている。
周囲誘電体部は、積層された複数の誘電体層を有している。シールド導体部は、周囲誘電体部の内部に位置する第1の内部シールド導体層と、周囲誘電体部の外面上に位置する外部導体部とを含んでいる。外部導体部は、第1の導電率を有する少なくとも1つの外部シールド導体層を含んでいる。第1の内部シールド導体層は、第1の導電率よりも大きい第2の導電率を有している。第1の内部シールド導体層と共振器本体との間の距離は、少なくとも1つの外部シールド導体層と共振器本体との間の距離よりも小さい。
本発明の誘電体共振器において、第1の内部シールド導体層は、共振器本体に接していてもよい。また、第1の内部シールド導体層は、外部導体部に電気的に接続されていてもよい。
また、本発明の誘電体共振器において、周囲誘電体部は、第1の内部シールド導体層を挟む第1の誘電体部と第2の誘電体部を含んでいてもよく、共振器本体は、第1の誘電体部内に位置していてもよい。この場合、第1の内部シールド導体層は、第1の誘電体部と第2の誘電体部を部分的に接触させるための複数の切り欠き部を有していてもよい。
また、第2の誘電体部は、第1の内部シールド導体層に接した第1の面と、第1の面とは反対側の第2の面とを有していてもよい。少なくとも1つの外部シールド導体層は、第2の誘電体部の第2の面上に位置する外部シールド導体層を含んでいてもよい。誘電体共振器は、更に、第2の誘電体部に形成されて、第1の内部シールド導体層と、第2の面上に位置する外部シールド導体層とを電気的に接続する複数のスルーホールを備えていてもよい。
また、シールド導体部は、更に、第1の誘電体部内に位置する第2の内部シールド導体層を含んでいてもよい。第2の内部シールド導体層は、第1の導電率よりも大きい導電率を有している。この場合、共振器本体は、第1の内部シールド導体層と第2の内部シールド導体層の間に位置していてもよい。
本発明の誘電体共振器の製造方法は、周囲誘電体部と共振器本体と第1の内部シールド導体層とを含む積層体を作製する工程と、外部導体部を形成する工程とを含んでいる。
積層体を作製する工程は、複数の誘電体層となる複数の焼成前のセラミックシートと第1の内部シールド導体層となる焼成前の内部シールド導体層と含む焼成前積層体を作製する工程と、焼成前積層体を焼成して、周囲誘電体部と第1の内部シールド導体層とを形成する工程とを含んでいる。外部導体部を形成する工程は、積層体を作製する工程と同時に、あるいは積層体を作製する工程の後で、少なくとも1つの外部シールド導体層を形成する工程を含んでいる。
本発明の誘電体共振器およびその製造方法によれば、共振器本体の近くに、導電率の大きな第1の内部シールド導体層を配置することができる。そのため、本発明によれば、シールド導体部を構成する導体層を共振器本体の近くに配置でき、且つ誘電体共振器のQを大きくすることができるという効果を奏する。
本発明の一実施の形態に係る誘電体フィルタの内部を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る誘電体フィルタの外観を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る誘電体フィルタの内部を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態に係る誘電体フィルタの外観を示す斜視図である。 図1および図3に示した誘電体フィルタの内部の一部を示す斜視図である。 図1ないし図4に示した誘電体フィルタの等価回路を示す回路図である。 第1の入出力導体部と第1の入出力段共振器本体を示す斜視図である。 第1の入出力導体部の周りに生じる磁界を模式的に示す説明図である。 第1の入出力段共振器本体の周りに生じる磁界を模式的に示す説明図である。 第1の入出力導体部と第1の入出力段共振器本体の位置関係を説明するための説明図である。 図10に示したL1とL2の比率と第1の外部Qとの関係を示す特性図である。 第1の入出力導体部と第1の入出力段共振器本体の位置関係を説明するための説明図である。 図12に示したL3と第1の外部Qとの関係を示す特性図である。 本発明の一実施の形態に係る誘電体フィルタの通過減衰特性および反射減衰特性の一例を示す特性図である。 図1ないし図4に示した誘電体フィルタにおける1層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図1ないし図4に示した誘電体フィルタにおける2層目ないし5層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図1ないし図4に示した誘電体フィルタにおける6層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図1ないし図4に示した誘電体フィルタにおける7層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図1ないし図4に示した誘電体フィルタにおける8層目および9層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図1ないし図4に示した誘電体フィルタにおける10層目ないし29層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図1ないし図4に示した誘電体フィルタにおける30層目の誘電体層の一面を示す説明図である。 図1ないし図4に示した誘電体フィルタにおける31層目ないし38層目の誘電体層の一面を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1ないし図5を参照して、本発明の一実施の形態に係る誘電体フィルタの構造について説明する。図1および図3は、本実施の形態に係る誘電体フィルタの内部を示す斜視図である。図2および図4は、本実施の形態に係る誘電体フィルタの外観を示す斜視図である。図5は、図1および図3に示した誘電体フィルタの内部の一部を示す斜視図である。
本実施の形態に係る誘電体フィルタ1は、誘電体よりなる複数の共振器本体と、複数の共振器本体の周囲に存在する周囲誘電体部3と、第1の入出力導体部4Aと、第2の入出力導体部4Dと、シールド導体部5とを備えている。
周囲誘電体部3は、複数の共振器本体を構成する誘電体よりも比誘電率が小さい誘電体よりなる。周囲誘電体部3を構成する誘電体の比誘電率は、例えば、2〜10の範囲内である。複数の共振器本体を構成する誘電体の比誘電率は、周囲誘電体部3を構成する誘電体の比誘電率の10倍以上であることが好ましい。
第1の入出力導体部4A、第2の入出力導体部4Dおよびシールド導体部5は、それぞれ導体によって形成されている。シールド導体部5は、複数の共振器本体の少なくとも一部とシールド導体部5との間に周囲誘電体部3の少なくとも一部が介在するように、複数の共振器本体の周囲に配置されている。
複数の共振器本体のうちの、回路構成上隣接する2つの共振器本体は電磁結合する。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。複数の共振器本体は、第1の入出力段共振器本体2Aと、第2の入出力段共振器本体2Dとを含んでいる。第1の入出力導体部4Aは、第1の入出力段共振器本体2Aへの電磁波の供給と第1の入出力段共振器本体2Aからの電磁波の取り出しの少なくとも一方を行うためのものである。第2の入出力導体部4Dは、第2の入出力段共振器本体2Dへの電磁波の供給と第2の入出力段共振器本体2Dからの電磁波の取り出しの少なくとも一方を行うためのものである。
複数の共振器本体は、第1および第2の入出力段共振器本体の他に、回路構成上、第1の入出力段共振器本体と第2の入出力段共振器本体の間に位置する1つ以上の中間共振器本体を含んでいてもよい。本実施の形態では特に、複数の共振器本体は、1つ以上の中間共振器本体として、2つの中間共振器本体2B,2Cを含んでいる。
ここで、図1ないし図5に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dの各々は、そのZ方向の寸法が、Z方向に直交する方向の第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dの各々の最大の寸法よりも大きい。また、第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dの各々は、Z方向の両端に位置する第1の端面2aおよび第2の端面2bを有している。なお、第1および第2の端面2a,2bは、後で説明する図7に示されている。本実施の形態では特に、Z方向に直交する第1の入出力段共振器本体2Aのいかなる断面の形状も、その断面から第1の端面2aまでの距離に関わらずに一定である。同様に、Z方向に直交する第2の入出力段共振器本体2Dのいかなる断面の形状も、その断面から第1の端面2aまでの距離に関わらずに一定である。なお、Z方向は、本発明における第1の方向に対応する。
上記の第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dの形状についての説明は、中間共振器本体2B,2Cにも当てはまる。本実施の形態では、共振器本体2A,2B,2C,2Dの共振モードは、いずれもTMモードである。
図1ないし図5には、第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dと中間共振器本体2B,2Cの各々が直方体形状を有している例を示している。しかし、第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dと中間共振器本体2B,2Cの各々の形状は、この例に限られず、例えば円柱形状であってもよい。
周囲誘電体部3は、外面を有する直方体形状をなしている。周囲誘電体部3の外面は、Z方向における互いに反対側に位置する下面3aおよび上面3bと、下面3aと上面3bを接続する4つの側面3c,3d,3e,3fとを含んでいる。側面3c,3dは、Y方向における互いに反対側に位置している。側面3e,3fは、X方向における互いに反対側に位置している。図1および図2は、上面3b側から見た誘電体フィルタ1を示している。図3および図4は、下面3a側から見た誘電体フィルタ1を示している。
第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dは、中間共振器本体2B,2Cに比べて、周囲誘電体部3の側面3cにより近い位置にある。第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dは、周囲誘電体部3の側面3e側からこの順に並んでいる。中間共振器本体2B,2Cは、第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dに比べて、周囲誘電体部3の側面3dにより近い位置にある。中間共振器本体2B,2Cは、周囲誘電体部3の側面3e側からこの順に並んでいる。
第1および第2の入出力導体部4A,4Dの各々は、Z方向の両端に位置する第3の端面4aおよび第4の端面4bを有している。なお、第3および第4の端面4a,4bは、後で説明する図7に示されている。第1の入出力導体部4Aは、第1の入出力段共振器本体2Aの近傍に配置されている。第1の入出力導体部4Aの第3の端面4aは、第1の入出力導体部4Aの第4の端面4bよりも第1の入出力段共振器本体2Aの第1の端面2aにより近い。第1の入出力導体部4Aは、その第4の端面4bが周囲誘電体部3の下面3a上に露出するように、周囲誘電体部3に埋め込まれている。
第2の入出力導体部4Dは、第2の入出力段共振器本体2Dの近傍に配置されている。第2の入出力導体部4Dの第3の端面4aは、第2の入出力導体部4Dの第4の端面4bよりも第2の入出力段共振器本体2Dの第1の端面2aにより近い。第2の入出力導体部4Dは、その第4の端面4bが周囲誘電体部3の下面3a上に露出するように、周囲誘電体部3に埋め込まれている。
入出力段共振器本体2A,2Dおよび入出力導体部4A,4Dの形状と、入出力段共振器本体2Aと入出力導体部4Aとの位置関係、ならびに入出力段共振器本体2Dと入出力導体部4Dとの位置関係については、後で詳しく説明する。
シールド導体部5は、それぞれ周囲誘電体部3の内部に位置する第1の内部シールド導体層51および第2の内部シールド導体層52と、周囲誘電体部3の外面上に位置する外部導体部53とを含んでいる。
外部導体部53は、外部シールド導体層53A,53B,53C,53D,53E,53Fを含んでいる。外部シールド導体層53Aは、周囲誘電体部3の下面3a上に位置している。外部シールド導体層53Bは、周囲誘電体部3の上面3b上に位置している。外部シールド導体層53C,53D,53E,53Fは、それぞれ、周囲誘電体部3の側面3c,3d,3e,3f上に位置している。図1および図3は、誘電体フィルタ1のうち、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fを除いた部分を示している。
外部シールド導体層53A〜53Fの各々は、その外縁において隣接する他の4つのシールド導体層に接続されている。外部シールド導体層53Aは、第1の入出力導体部4Aの第4の端面4bとその周囲の下面3aの一部とを露出させる第1の開口部と、第2の入出力導体部4Dの第4の端面4bとその周囲の下面3aの他の一部とを露出させる第2の開口部とを有している。
第1の内部シールド導体層51と共振器本体2A,2B,2C,2Dのそれぞれとの間の距離は、少なくとも1つの外部シールド導体層と共振器本体2A,2B,2C,2Dのそれぞれとの間の距離よりも小さい。本実施の形態では特に、第1の内部シールド導体層51と共振器本体2A,2B,2C,2Dのそれぞれとの間の距離は、どの外部シールド導体層と共振器本体2A,2B,2C,2Dのそれぞれとの間の距離よりも小さい。
本実施の形態では、第1の内部シールド導体層51は、共振器本体2A,2B,2C,2Dに接している。具体的には、第1の内部シールド導体層51は、共振器本体2A,2B,2C,2Dのそれぞれの第2の端面2bに接している。
外部導体部53は、第1の導電率を有する少なくとも1つの外部シールド導体層を含んでいる。本実施の形態では特に、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fは、第1の導電率を有している。第1の内部シールド導体層51は、第1の導電率よりも大きい第2の導電率を有している。外部シールド導体層53Aは、第2の導電率以下の導電率を有している。外部シールド導体層53Aの導電率は、第1の導電率と等しくてもよい。また、第2の内部シールド導体層52は、第1の導電率よりも大きい導電率を有している。第2の内部シールド導体層52の導電率は、第2の導電率と等しくてもよい。
上述のように、第1および第2の内部シールド導体層51,52の導電率は、外部導体部53のうちの少なくとも外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fの導電率よりも大きい。この導電率の違いは、後で説明する誘電体フィルタ1の製造方法に起因する。
周囲誘電体部3は、積層された複数の誘電体層を有している。また、周囲誘電体部3は、第1の内部シールド導体層51を挟む第1の誘電体部3Aと第2の誘電体部3Bを含んでいる。共振器本体2A,2B,2C,2Dは、第1の誘電体部3A内に位置している。複数の誘電体層については、後で詳しく説明する。
第2の誘電体部3Bは、第1の内部シールド導体層51に接した第1の面と、第1の面とは反対側の第2の面とを有している。第2の誘電体部3Bの第2の面は、周囲誘電体部3の上面3bを構成する。外部シールド導体層53Bは、第2の誘電体部3Bの第2の面上に位置している。
第1の内部シールド導体層51は、外部導体部53に電気的に接続されている。本実施の形態では、第1の内部シールド導体層51は、直接、外部シールド導体層53C〜53Fに電気的に接続されている。また、誘電体フィルタ1は、更に、第2の誘電体部3Bに形成されて、第1の内部シールド導体層51と外部シールド導体層53Bとを電気的に接続する複数のスルーホールを備えている。本実施の形態では、Z方向に直列に接続された複数のスルーホールの集合体をスルーホール列と言う。第2の誘電体部3Bに形成された上記の複数のスルーホールは、図1および図3に示した複数のスルーホール列6Eを構成する。第1の内部シールド導体層51は、複数のスルーホール列6Eを介して、外部シールド導体層53Bに電気的に接続されている。
第1の内部シールド導体層51は、複数の切り欠き部を有している。個々の切り欠き部は、第1の内部シールド導体層51の外周部から内側に向けて凹んだ形状を有している。複数の切り欠き部は、第1の誘電体部3Aと第2の誘電体部3Bを部分的に接触させて、これらを接合させるためのものである。
第2の内部シールド導体層52は、第1の誘電体部3A内に位置している。共振器本体2A,2B,2C,2Dは、第1の内部シールド導体層51と第2の内部シールド導体層52の間に位置している。第2の内部シールド導体層52は、直接、外部シールド導体層53D〜53Fに電気的に接続されている。第2の内部シールド導体層52の外周部のうち、外部シールド導体層53D〜53Fの近傍の部分には、第1の内部シールド導体層51の複数の切り欠き部と同様の複数の切り欠き部が形成されている。この複数の切り欠き部は、第2の内部シールド導体層52を挟む2つの誘電体層を部分的に接触させて、これらを接合させるためのものである。
図1、図3および図5に示したように、誘電体フィルタ1は、更に、第1の誘電体部3Aに形成された複数のスルーホール列を備えている。この複数のスルーホール列は、複数のスルーホール列6Aと、複数のスルーホール列6Bと、複数のスルーホール列6Cと、複数のスルーホール列6Dと、複数のスルーホール列6Fとを含んでいる。複数のスルーホール列6Aは、第1の入出力段共振器本体2Aと第2の入出力段共振器本体2Dの間に介在している。複数のスルーホール列6Bは、第1の入出力段共振器本体2Aと中間共振器本体2Bの間に介在している。複数のスルーホール列6Cは、中間共振器本体2Bと中間共振器本体2Cの間に介在している。複数のスルーホール列6Dは、中間共振器本体2Cと第2の入出力段共振器本体2Dの間に介在している。複数のスルーホール列6Fは、第2の内部シールド導体層52と外部シールド導体層53Aとを電気的に接続している。
誘電体フィルタ1は、更に、周囲誘電体部3の下面3aに配置された第1の入出力端子8Aと第2の入出力端子8Dとを備えている。第1の入出力端子8Aは、第1の入出力導体部4Aの第4の端面4bに接続されている。第2の入出力端子8Dと、第2の入出力導体部4Dの第4の端面4bに接続されている。
誘電体フィルタ1は、複数の誘電体共振器を含んでいる。1つの誘電体共振器は、1つの共振器本体と、周囲誘電体部3と、シールド導体部5とを備えている。周囲誘電体部3とシールド導体部5は、複数の誘電体共振器を構成するために共通に用いられている。
複数の誘電体共振器は、第1の入出力段共振器12Aと、第2の入出力段共振器12Dとを含んでいる。なお、符号12A,12Dは、図1ないし図5には示していないが、後で説明する図6に示している。第1の入出力段共振器12Aは、第1の入出力段共振器本体2Aと、周囲誘電体部3と、シールド導体部5とを備えている。第2の入出力段共振器12Dは、第2の入出力段共振器本体2Dと、周囲誘電体部3と、シールド導体部5とを備えている。
複数の共振器本体が1つ以上の中間共振器本体を含んでいる場合、複数の誘電体共振器は、第1および第2の入出力段共振器12A,12Dの他に、1つ以上の中間共振器を含む。1つ以上の中間共振器は、回路構成上、第1の入出力段共振器12Aと第2の入出力段共振器12Dの間に位置する。1つの中間共振器は、1つの中間共振器本体と、周囲誘電体部と、シールド導体部とを備えている。本実施の形態では特に、複数の誘電体共振器は、1つ以上の中間共振器として、2つの中間共振器12B,12Cを含んでいる。なお、符号12B,12Cは、図1ないし図5には示していないが、後で説明する図6に示している。中間共振器12Bは、中間共振器本体2Bと、周囲誘電体部3と、シールド導体部5とを備えている。中間共振器12Cは、中間共振器本体2Cと、周囲誘電体部3と、シールド導体部5とを備えている。
シールド導体部5のうちの第1の内部シールド導体層51は、共振器12A,12B,12C,12Dの構成要素である。シールド導体部5のうちの第2の内部シールド導体層52は、共振器12B,12Cの構成要素ではあるが、共振器12A,12Dの構成要素ではない。
シールド導体部5は、共振器本体2A,2B,2C,2Dから放射される電磁波を閉じ込めて、放射損を低減する機能を有する。本実施の形態におけるシールド導体部5が第1および第2の内部シールド導体層51,52を含む理由については、後で説明する。複数のスルーホール列6Eは、第1の内部シールド導体層51と外部シールド導体層53Bとを電気的に接続することによって、シールド導体部5の上記の機能を高める。同様に、複数のスルーホール列6Fは、第2の内部シールド導体層52と外部シールド導体層53Aとを電気的に接続することによって、シールド導体部5の上記の機能を高める。
次に、図1および図7を参照して、第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dと第1および第2の入出力導体部4A,4Dの形状について説明する。図7は、第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aを示す斜視図である。図7に示したように、Z方向(第1の方向)に直交する方向の第1の入出力導体部4Aの最大の寸法は、Z方向に直交する方向の第1の入出力段共振器本体2Aの最大の寸法よりも小さいことが好ましい。同様に、Z方向に直交する方向の第2の入出力導体部4Dの最大の寸法は、Z方向に直交する方向の第2の入出力段共振器本体2Dの最大の寸法よりも小さいことが好ましい。
第1および第2の入出力導体部4A,4Dならびに第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dは、いずれも、Z方向(第1の方向)に平行な軸について3回以上の回転対称の形状を有することが好ましく、Z方向に平行な軸について4回以上の回転対称の形状を有することがより好ましい。Z方向に平行な軸について3回以上の回転対称の形状には、Z方向に直交する断面の形状が円形となる形状も含まれる。
図1には、第1および第2の入出力導体部4A,4Dならびに第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dが、いずれも、Z方向(第1の方向)に平行な軸(以下、中心軸と言う。)について4回以上の回転対称の形状を有する例を示している。図7において、符号C1は第1の入出力導体部4Aの中心軸を示し、符号C2は第1の入出力段共振器本体2Aの中心軸を示している。
図1に示した例では、第1および第2の入出力導体部4A,4Dの形状は、Z方向に直交する断面の形状が円形となる形状である。しかし、第1および第2の入出力導体部4A,4Dの形状は、この例に限られず、例えば、Z方向に直交する断面の形状が正方形となる形状であってもよい。
また、図1に示した例では、第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dの形状は、Z方向に直交する断面の形状が正方形となる形状である。しかし、第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dの形状は、この例に限られず、例えば、Z方向に直交する断面の形状が円形となる形状であってもよい。
次に、図6を参照して、誘電体フィルタ1の回路構成について説明する。図6は、誘電体フィルタ1の等価回路を示している。図6に示したように、誘電体フィルタ1は、前記の第1の入出力段共振器12A、第1の中間共振器12B、第2の中間共振器12Cおよび第2の入出力段共振器12Dに加えて、第1の入出力部14Aと第2の入出力部14Dを含んでいる。
第1の入出力部14Aは、第1の入出力端子8Aと第1の入出力導体部4Aによって構成されている。第2の入出力部14Dは、第2の入出力端子8Dと第2の入出力導体部4Dによって構成されている。
第1の入出力段共振器12A、第1の中間共振器12B、第2の中間共振器12Cおよび第2の入出力段共振器12Dは、回路構成上、第1の入出力部14Aと第2の入出力部14Dの間に、第1の入出力部14A側から、この順に設けられている。
共振器12A,12B,12C,12Dの各々は、インダクタンスとキャパシタンスを有している。
回路構成上隣接する2つの共振器は電磁結合する。また、第1の入出力部14Aと第1の入出力段共振器12Aも電磁結合し、第2の入出力部14Dと第2の入出力段共振器12Dも電磁結合する。
図6には、第1の入出力部14Aに信号源15が接続され、第2の入出力部14Dに負荷16が接続された例を示している。しかし、第2の入出力部14Dに信号源15が接続され、第1の入出力部14Aに負荷16が接続されてもよい。
誘電体フィルタ1は、バンドパスフィルタを構成している。この誘電体フィルタ1よりなるバンドパスフィルタの特性を決める主要なパラメータは、共振器12A,12B,12C,12Dの各々の共振周波数と、電磁結合する複数組の要素間のそれぞれの結合係数と、第1の入出力部14Aと第1の入出力段共振器12Aとの電磁結合によって生じる第1の外部Qと、第2の入出力部14Dと第2の入出力段共振器12Dとの電磁結合によって生じる第2の外部Qである。
第1の外部Qは、第1の入出力部14Aと第1の入出力段共振器12Aとの電磁結合に依存し、この電磁結合が強くなるほど小さくなる。同様に、第2の外部Qは、第2の入出力部14Dと第2の入出力段共振器12Dとの電磁結合に依存し、この電磁結合が強くなるほど小さくなる。
誘電体フィルタ1よりなるバンドパスフィルタの比帯域幅は、第1および第2の外部Qに反比例する。従って、このバンドパスフィルタの比帯域幅を大きくするには、第1および第2の外部Qを小さくすること、すなわち、第1の入出力部14Aと第1の入出力段共振器12Aとの電磁結合と、第2の入出力部14Dと第2の入出力段共振器12Dとの電磁結合を、それぞれ強くすることが有効である。
本実施の形態では、第1の入出力部14Aと第1の入出力段共振器12Aとの電磁結合は、第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aとの電磁結合による。また、第2の入出力部14Dと第2の入出力段共振器12Dとの電磁結合は、第2の入出力導体部4Dと第2の入出力段共振器本体2Dとの電磁結合による。
本実施の形態によれば、第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aとの電磁結合と、第2の入出力導体部4Dと第2の入出力段共振器本体2Dとの電磁結合を、それぞれ強くすることができる。これにより、本実施の形態によれば、第1および第2の外部Qを小さくして、誘電体フィルタ1よりなるバンドパスフィルタの比帯域幅を大きくすることができる。以下、その理由について詳しく説明する。
図7は、第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aの位置関係を表している。図7に示したように、第1の入出力段共振器本体2Aの第1の端面2aに相当する仮想の平面をZ方向(第1の方向)に沿って第1の入出力段共振器本体2Aの第2の端面2bとは反対側に移動してできる第1の空間Sを想定する。第1の入出力導体部4Aは、第1の空間S内に第1の入出力導体部4Aの少なくとも一部が含まれるか、第1の入出力導体部4Aが第1の空間Sに接するように配置されている。第1の入出力導体部4Aは、第1の空間S内に第1の入出力導体部4Aの少なくとも一部が含まれるように配置されることが好ましく、その全体が第1の空間Sに含まれるように配置されることがより好ましい。
図8は、第1の入出力導体部4A内を第1の方向に信号電流が流れるときに第1の入出力導体部4Aの周りに生じる磁界M1を模式的に示している。図9は、第1の入出力段共振器12Aで共振が生じているときに第1の入出力段共振器本体2Aの周りに生じる磁界M2を模式的に示している。図8および図9において、紙面に垂直な方向がZ方向、すなわち第1の方向となる。磁界M1に対応する磁力線と、磁界M2に対応する磁力線は、いずれも、Z方向(第1の方向)に平行な軸を中心として回転するように分布する。すなわち、これら磁力線の分布は似たものとなる。そのため、本実施の形態によれば、第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aとの電磁結合、特に磁気結合を強くすることができる。これにより、本実施の形態によれば、第1の外部Qを小さくすることができる。
図示しないが、第2の入出力導体部4Dと第2の入出力段共振器本体2Dの位置関係は、図7に示した第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aの位置関係と同様である。すなわち、第2の入出力段共振器本体2Dの第1の端面2aに相当する仮想の平面をZ方向(第1の方向)に沿って第2の入出力段共振器本体2Dの第2の端面2bとは反対側に移動してできる第2の空間を想定する。第2の入出力導体部4Dは、第2の空間内に第2の入出力導体部4Dの少なくとも一部が含まれるか、第2の入出力導体部4Dが第2の空間に接するように配置されている。第2の入出力導体部4Dは、第2の空間内に第2の入出力導体部4Dの少なくとも一部が含まれるように配置されることが好ましく、その全体が第2の空間に含まれるように配置されることがより好ましい。本実施の形態によれば、第2の入出力導体部4Dと第2の入出力段共振器本体2Dとの電磁結合、特に磁気結合を強くすることができる。これにより、本実施の形態によれば、第2の外部Qを小さくすることができる。
本実施の形態では、第1の入出力導体部4Aの形状や、第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aの位置関係によって、第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aとの電磁結合の強さが変化する。従って、本実施の形態では、第1の入出力導体部4Aの形状や、第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aの位置関係によって、第1の外部Qを調整することができる。
以下、図10および図11を参照して、第1の外部Qを調整する方法の一例について説明する。図10は、第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aの位置関係を説明するための説明図である。まず、図10に示したように、第1の入出力導体部4AのZ方向(第1の方向)の寸法をL1とする。また、第1の入出力導体部4Aの第4の端面4bを含み第1の入出力段共振器本体2Aの第1の端面2aに平行な仮想の平面Pと、第1の入出力段共振器本体2Aの第1の端面2aとの間の距離をL2とする。第1の外部Qは、L1/L2の値によって変化する。
ここで、L1/L2と第1の外部Qとの関係を調べた第1のシミュレーションの結果について説明する。第1のシミュレーションでは、第1の入出力導体部4Aの中心軸C1と第1の入出力段共振器本体2Aの中心軸C2を一致させ、L2を220μmとし、L1を変えることによってL1/L2を変えた。
図11は、第1のシミュレーションで求めたL1/L2と第1の外部Qとの関係を示す特性図である。図11において、横軸はL1/L2であり、縦軸は第1の外部Qである。図11に示したように、L1/L2が大きくなるほど、第1の外部Qは小さくなる。従って、L1/L2の値によって第1の外部Qを調整することができる。
L1/L2が0.2から1の範囲では、L1/L2の変化量に対する第1の外部Qの変化量の割合はほぼ一定である。従って、L1/L2が0.2〜1の範囲では、L1/L2の値による第1の外部Qの調整が容易である。また、L1/L2が0.2〜1の範囲では、L1/L2が0、すなわちL1が0の場合に比べて、第1の外部Qが5%以上小さくなる。これらのことから、L1/L2は、0.2〜1の範囲内であることが好ましい。言い換えると、L1は、L2の0.2〜1倍の範囲内であることが好ましい。
また、前述のとおり、L1/L2が大きくなるほど、第1の外部Qは小さくなる。誘電体フィルタ1よりなるバンドパスフィルタの比帯域幅を大きくする観点からは、L1/L2は、0.5〜1の範囲内であることがより好ましい。
次に、図12および図13を参照して、第2のシミュレーションの結果について説明する。図12は、第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aの位置関係を説明するための説明図である。第2のシミュレーションでは、図12に示したように、中心ずれ量L3を、第1の入出力導体部4Aの中心軸C1と第1の入出力段共振器本体2Aの中心軸C2とのずれ量と定義して、中心ずれ量L3と第1の外部Qとの関係を調べた。第2のシミュレーションでは、第1の入出力段共振器本体2Aの第1の端面2aの形状を、一辺の長さが200μmの正方形とした。また、図10に示したL1を200μmとし、図10に示したL2を220μmとした。
図13は、第2のシミュレーションで求めた中心ずれ量L3と第1の外部Qとの関係を示す特性図である。図13において、横軸は中心ずれ量L3であり、縦軸は第1の外部Qである。図13に示したように、中心ずれ量L3が大きくなるほど、第1の外部Qは大きくなる。また、中心ずれ量L3が大きくなるほど、中心ずれ量L3の変化量に対する第1の外部Qの変化量の割合が大きくなる。この割合が大きいと、第1の入出力段共振器本体2Aに対する第1の入出力導体部4Aの相対的な位置のばらつきによる第1の外部Qのばらつきが大きくなる。
第2のシミュレーションにおいて、第1の入出力段共振器本体2Aの第1の端面2aの外縁を表す図形の内接円の半径は100μmである。図13に示したように、中心ずれ量L3が0〜100μmの範囲内では、第1の外部Qが十分に小さく、且つ中心ずれ量L3の変化量に対する第1の外部Qの変化量の割合も十分に小さい。そのため、中心ずれ量L3は、上記内接円の半径以下であることが好ましい。また、中心ずれ量L3が上記内接円の半径以下であれば、必ず、図7に示した第1の空間S内に第1の入出力導体部4Aの少なくとも一部が含まれる。この点からも、中心ずれ量L3は、上記内接円の半径以下であることが好ましい。
第2の入出力導体部4Dと第2の入出力段共振器本体2Dの好ましい位置関係は、上記の第1の入出力導体部4Aと第1の入出力段共振器本体2Aの好ましい位置関係と同様である。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1および第2外部Qを小さくすることができ、その結果、誘電体フィルタ1の比帯域幅を大きくすることができる。
図14は、本実施の形態に係る誘電体フィルタ1の通過減衰特性および反射減衰特性の一例を示す特性図である。図14において、横軸は周波数であり、縦軸は減衰量である。また、図14において、符号101を付した曲線は誘電体フィルタ1の通過減衰特性の一例を示し、符号102を付した曲線は誘電体フィルタ1の反射減衰特性の一例を示している。
次に、図15ないし図22を参照して、周囲誘電体部3の複数の誘電体層について詳しく説明する。周囲誘電体部3は、積層された38層の誘電体層を有している。以下、この38層の誘電体層を、下から順に1層目ないし38層目の誘電体層と呼ぶ。図15は、1層目の誘電体層の一面を示している。図16は、2層目ないし5層目の誘電体層の一面を示している。図17は、6層目の誘電体層の一面を示している。図18は、7層目の誘電体層の一面を示している。図19は、8層目および9層目の誘電体層の一面を示している。図20は、10層目ないし29層目の誘電体層の一面を示している。図21は、30層目の誘電体層の一面を示している。図22は、31層目ないし38層目の誘電体層の一面を示している。図15ないし図22に示した誘電体層の一面は、いずれも、図1ないし図4における下方に向いた面である。以下、1層目ないし38層目の誘電体層を符号301〜338で表す。
図15に示したように、1層目の誘電体層301の一面には、外部シールド導体層53Aと、第1および第2の入出力端子8A,8Dとが形成されている。また、誘電体層301には、第1の入出力導体部4Aを構成するスルーホール41Aと、第2の入出力導体部4Dを構成するスルーホール41Dと、複数のスルーホール列6Aを構成する複数のスルーホール61Aと、複数のスルーホール列6Fを構成する複数のスルーホール61Fとが形成されている。スルーホール41A,41Dは、それぞれ第1および第2の入出力端子8A,8Dに接続されている。複数のスルーホール61Aと複数のスルーホール61Fは、外部シールド導体層53Aに接続されている。
図16に示したように、2層目ないし5層目の誘電体層302〜305には、それぞれ、第1の入出力導体部4Aを構成するスルーホール42Aと、第2の入出力導体部4Dを構成するスルーホール42Dと、複数のスルーホール列6Aを構成する複数のスルーホール62Aと、複数のスルーホール列6Fを構成する複数のスルーホール62Fとが形成されている。
図17に示したように、6層目の誘電体層306には、複数のスルーホール列6Aを構成する複数のスルーホール63Aと、複数のスルーホール列6Fを構成する複数のスルーホール63Fとが形成されている。
図18に示したように、7層目の誘電体層307の一面には、第2の内部シールド導体層52が形成されている。また、誘電体層307には、複数のスルーホール列6Aを構成する複数のスルーホール64Aと、複数のスルーホール列6Bを構成する複数のスルーホール64Bと、複数のスルーホール列6Cを構成する複数のスルーホール64Cと、複数のスルーホール列6Dを構成する複数のスルーホール64Dとが形成されている。複数のスルーホール64Bと、複数のスルーホール64Cと、複数のスルーホール64Dと、図17に示した複数のスルーホール63Fは、第2の内部シールド導体層52に接続されている。
図19に示したように、8層目および9層目の誘電体層308,309には、それぞれ、複数のスルーホール列6Aを構成する複数のスルーホール65Aと、複数のスルーホール列6Bを構成する複数のスルーホール65Bと、複数のスルーホール列6Cを構成する複数のスルーホール65Cと、複数のスルーホール列6Dを構成する複数のスルーホール65Dとが形成されている。
図20に示したように、10層目ないし29層目の誘電体層310〜329には、それぞれ、複数のスルーホール列6Aを構成する複数のスルーホール66Aと、複数のスルーホール列6Bを構成する複数のスルーホール66Bと、複数のスルーホール列6Cを構成する複数のスルーホール66Cと、複数のスルーホール列6Dを構成する複数のスルーホール66Dとが形成されている。第1および第2の入出力段共振器本体2A,2Dと、中間共振器本体2B,2Cは、誘電体層310〜329を貫通するように設けられている。
図21に示したように、30層目の誘電体層330の一面には、第1の内部シールド導体層51が形成されている。また、誘電体層330には、複数のスルーホール列6Eを構成する複数のスルーホール67Eが形成されている。
図22に示したように、31層目ないし38層目の誘電体層331〜338には、それぞれ、複数のスルーホール列6Eを構成する複数のスルーホール68Eが形成されている。
誘電体フィルタ1のうち、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fを除いた部分は、図15に示した1層目の誘電体層301の一面が周囲誘電体部3の下面3aになるように、1層目ないし38層目の誘電体層301〜338が積層されて構成されている。
本実施の形態では、第1の入出力導体部4Aは、1つのスルーホール41Aと4つのスルーホール42Aが、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。また、第2の入出力導体部4Dは、1つのスルーホール41Dと4つのスルーホール42Dが、Z方向に直列に接続されることによって構成されている。
次に、本実施の形態に係る誘電体フィルタ1の製造方法について説明する。誘電体フィルタ1の製造方法は、周囲誘電体部3と、共振器本体2A,2B,2C,2Dと、第1および第2の入出力導体部4A,4Dと、第1および第2の内部シールド導体層51,52と、周囲誘電体部3内の複数のスルーホール列とを含む積層体を作製する工程と、外部導体部53と第1および第2の入出力端子8A,8Dを形成する工程とを含んでいる。
積層体を作製する工程は、複数の誘電体層301〜338となる複数の焼成前のセラミックシートと、第1および第2の内部シールド導体層51,52となる焼成前の2つの内部シールド導体層と含む焼成前積層体を作製する工程と、焼成前積層体を焼成して、周囲誘電体部3と第1および第2の内部シールド導体層51,52とを形成する工程とを含んでいる。上記の焼成前の2つの内部シールド導体層は、導体ペーストを用いて形成される。
複数の焼成前のセラミックシートには、図15ないし図22に示した複数のスルーホールとなる焼成前の複数のスルーホールが形成されている。焼成前の複数のスルーホールは、焼成前積層体を焼成する際に焼成されて、図15ないし図22に示した複数のスルーホールになる。
焼成前積層体を作製する工程では、以下のようにして、焼成前積層体に共振器本体2A,2B,2C,2Dを埋め込む。まず、図20に示した誘電体層310〜329となる複数の焼成前のセラミックシートを積層して、焼成前積層体の一部を形成する。次に、この焼成前積層体の一部に、共振器本体2A,2B,2C,2Dを収容するための4つの収容部を形成する。次に、この4つの収容部に共振器本体2A,2B,2C,2Dを収容する。次に、上記焼成前積層体の一部と、焼成前積層体の残りの部分を構成する複数の焼成前のセラミックシートとを積層して、焼成前積層体を完成させる。
外部導体部53と第1および第2の入出力端子8A,8Dを形成する工程は、上記積層体を作製する工程と同時に、あるいは上記積層体を作製する工程の後で、少なくとも1つの外部シールド導体層を形成する工程を含んでいる。
以下、外部導体部53と第1および第2の入出力端子8A,8Dを形成する工程の第1ないし第3の例について説明する。
第1の例では、誘電体層301となる焼成前のセラミックシートに、導体ペーストを用いて、外部シールド導体層53Aとなる焼成前の外部シールド導体層と、第1および第2の入出力端子8A,8Dとなる焼成前の2つの入出力端子を形成し、これらを含む焼成前積層体を作製する。焼成前の外部シールド導体層と焼成前の2つの入出力端子は、焼成前積層体を焼成する際に焼成されて、外部シールド導体層53Aと第1および第2の入出力端子8A,8Dになる。従って、第1の例では、外部シールド導体層53Aと第1および第2の入出力端子8A,8Dは、積層体を作製する工程と同時に形成される。第1の例では、積層体の表面に、導体ペーストを用いて、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fとなる焼成前の5つの導体層を形成し、これを焼成して外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fを形成する。従って、第1の例では、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fは、積層体を作製する工程の後で形成される。
第2の例では、第1の例と同様にして焼成前積層体を作製した後、焼成前積層体の表面に、導体ペーストを用いて、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fとなる焼成前の5つの導体層を形成する。その後、焼成前積層体を焼成して、積層体と外部シールド導体層53A〜53Fと第1および第2の入出力端子8A,8Dを同時に形成する。従って、第2の例では、外部シールド導体層53A〜53Fと第1および第2の入出力端子8A,8Dは、積層体を作製する工程と同時に形成される。
第3の例では、第1の例と同様にして積層体を作製した後、積層体の表面に、薄膜形成方法を用いて、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fを形成する。第3の例では、外部シールド導体層53Aと第1および第2の入出力端子8A,8Dは、積層体を作製する工程と同時に形成され、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fは、積層体を作製する工程の後で形成される。外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fの各々は、例えばスパッタ法や真空蒸着法によって形成された第1層と、この第1層の上に、例えばめっき法によって形成された第2層を含む。
第1および第2の例では、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fを形成するための導体ペーストとしては、第1および第2の内部シールド導体層51,52を形成するための導体ペーストに比べて、周囲誘電体部3に対する接着力が大きくなるような組成、具体的にはガラス成分の割合が大きい組成のものが用いられる。そのため、第1および第2の内部シールド導体層51,52の導電率は、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fの導電率である第1の導電率よりも大きくなる。
第3の例では、外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fの各々の第1層を構成する材料として、第2層に比べて導電率は小さいが周囲誘電体部3に対する密着力が大きい材料が用いられる。その結果、第1層の導電率は、第2層の導電率および第1および第2の内部シールド導体層51,52の導電率よりも小さくなる。外部シールド導体層53B,53C,53D,53E,53Fの各々の実質的な導電率は、周囲誘電体部3に接する第1層の導電率である。そのため、第1および第2の内部シールド導体層51,52の導電率は、第1の導電率よりも大きくなる。
第1ないし第3の例のいずれにおいても、外部シールド導体層53Aを形成するための導体ペーストも、第1および第2の内部シールド導体層51,52を形成するための導体ペーストに比べて、周囲誘電体部3に対する接着力が大きくなるような組成、具体的にはガラス成分の割合が大きい組成のものとすることが好ましい。この場合には、第1および第2の内部シールド導体層51,52の導電率は、外部シールド導体層53A,53B,53C,53D,53E,53Fの導電率よりも大きくなる。
第1の導電率は、例えば、20×10S/m〜30×10S/mの範囲内である。第1の内部シールド導体層51の導電率である第2の導電率と第2の内部シールド導体層52の導電率は、例えば、22×10S/m〜50×10S/mの範囲内である。第2の導電率と第2の内部シールド導体層52の導電率は、第1の導電率に比べて、第1の導電率の30%以上大きいことが好ましい。
第1の内部シールド導体層51と共振器本体2A,2B,2C,2Dのそれぞれとの間の距離は、どの外部シールド導体層と共振器本体2との間の距離よりも小さい。このように共振器本体2A,2B,2C,2Dの近くに第1の内部シールド導体層51を設けることにより、第1の内部シールド導体層51を設けない場合に比べて、共振器12A,12B,12C,12Dにおいて、高次隣接共振モードの共振周波数を共振モードの共振周波数で割った値を大きくすることができ、その結果、高次隣接共振モードの影響を低減することが可能になる。
同様に、共振器本体2B,2Cの近くに第2の内部シールド導体層52を設けることにより、第2の内部シールド導体層52を設けない場合に比べて、共振器12B,12Cにおいて、高次隣接共振モードの共振周波数を共振モードの共振周波数で割った値を大きくすることができ、その結果、高次隣接共振モードの影響を低減することが可能になる。
ところで、高次隣接共振モードの影響を低減するために、例えば、第1の内部シールド導体層51を設けずに、外部シールド導体層53Bを共振器本体2A,2B,2C,2Dに近づけることも考えられる。しかし、この場合は、外部シールド導体層53Bの導電率が第1の内部シールド導体層51の導電率よりも小さいために、導体損が増加して、共振器12A,12B,12C,12DのQが小さくなるという問題が発生する。
これに対し、本実施の形態によれば、外部シールド導体層53Bの導電率よりも大きい導電率を有する第1の内部シールド導体層51を、共振器本体2A,2B,2C,2Dの近くに配置することができる。これにより、本実施の形態によれば、共振器12A,12B,12C,12Dにおいて高次隣接共振モードの影響を低減することができ、且つ共振器12A,12B,12C,12DのQを大きくすることができる。
同様に、共振器本体2B,2Cの近くに第2の内部シールド導体層52を設けることにより、共振器12B,12Cにおいて高次隣接共振モードの影響を低減することができ、且つ共振器12B,12CのQを大きくすることができる。
また、第1および第2の内部シールド導体層51,52は、周囲誘電体部3の内部に位置するため、外部シールド導体層に比べて、変形しにいく。そのため、外部シールド導体層を共振器本体2A,2B,2C,2Dに近づける場合に比べて、導体層の変形による共振器12A,12B,12C,12Dおよび誘電体フィルタ1の特性の変動を抑制することができる。
次に、第1の内部シールド導体層51による効果を示す第3のシミュレーションの結果について説明する。第3のシミュレーションでは、共振器12Aに対応する実施例の誘電体共振器と、第1および第2の比較例の誘電体共振器について、共振周波数およびQを比較した。
実施例の誘電体共振器では、外部シールド導体層53Bの導電率すなわち第1の導電率を22×10S/mとし、第1の内部シールド導体層51の導電率すなわち第2の導電率を40×10S/mとした。
第1の比較例の誘電体共振器は、実施例の誘電体共振器から第1の内部シールド導体層51を除いたものである。
第2の比較例の誘電体共振器は、実施例の誘電体共振器における第1の内部シールド導体層51を、外部シールド導体層53Bの導電率と等しい導電率を有する内部シールド導体層に置き換えたものである。第2の比較例の誘電体共振器は、外部シールド導体層53Bを設けずに、外部シールド導体層53Bを共振器本体2Aに近づけた構成の誘電体共振器に相当する。第3のシミュレーションの結果を下記の表1に示す。
Figure 2017225087
表1に示されるように、第2の比較例では、第1の比較例に比べて、Qが小さくなっている。これは、外部シールド導体層53Bの導電率と等しい第1の導電率を有する内部シールド導体層が、共振器本体の近くに存在しているためである。実施例では、第1の内部シールド導体層51が共振器本体の近くに存在しているにも関わらず、第1および第2の比較例に比べてQが大きくなっている。これは、第1の内部シールド導体層51が、第1の導電率よりも大きい第2の導電率を有することによる効果である。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、周囲誘電体部が直方体形状の場合、外部シールド導体部の外部導体部は、必ずしも、周囲誘電体部の6面全てを覆う6つの外部シールド導体層を有している必要はない。本発明では、第1の内部シールド導体層は、少なくとも1つの外部シールド導体層に比べて、導電率が大きく且つ共振器本体に近ければよい。
1…誘電体フィルタ、2A…第1の入出力段共振器本体、2B,2C…中間共振器本体、2D…第2の入出力段共振器本体、3…周囲誘電体部、4A…第1の入出力導体部、4D…第2の入出力導体部、5…シールド導体部、51…第1の内部シールド導体層、52…第2の内部シールド導体層、53A,53B,53C,53D,53E,53F…外部シールド導体層。

Claims (8)

  1. 誘電体よりなる共振器本体と、
    前記共振器本体を構成する誘電体よりも比誘電率が小さい誘電体よりなり、前記共振器本体の周囲に存在する周囲誘電体部と、
    導体よりなるシールド導体部とを備えた誘電体共振器であって、
    前記周囲誘電体部は、積層された複数の誘電体層を有し、
    前記シールド導体部は、前記周囲誘電体部の内部に位置する第1の内部シールド導体層と、前記周囲誘電体部の外面上に位置する外部導体部とを含み、
    前記外部導体部は、第1の導電率を有する少なくとも1つの外部シールド導体層を含み、
    前記第1の内部シールド導体層は、前記第1の導電率よりも大きい第2の導電率を有し、
    前記第1の内部シールド導体層と前記共振器本体との間の距離は、前記少なくとも1つの外部シールド導体層と前記共振器本体との間の距離よりも小さいことを特徴とする誘電体共振器。
  2. 前記第1の内部シールド導体層は、前記共振器本体に接していることを特徴とする請求項1記載の誘電体共振器。
  3. 前記第1の内部シールド導体層は、前記外部導体部に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の誘電体共振器。
  4. 前記周囲誘電体部は、前記第1の内部シールド導体層を挟む第1の誘電体部と第2の誘電体部を含み、
    前記共振器本体は、前記第1の誘電体部内に位置することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の誘電体共振器。
  5. 前記第1の内部シールド導体層は、前記第1の誘電体部と前記第2の誘電体部を部分的に接触させるための複数の切り欠き部を有することを特徴とする請求項4記載の誘電体共振器。
  6. 前記第2の誘電体部は、前記第1の内部シールド導体層に接した第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面とを有し、
    前記少なくとも1つの外部シールド導体層は、前記第2の誘電体部の前記第2の面上に位置する外部シールド導体層を含み、
    誘電体共振器は、更に、前記第2の誘電体部に形成されて、前記第1の内部シールド導体層と、前記第2の面上に位置する前記外部シールド導体層とを電気的に接続する複数のスルーホールを備えたことを特徴とする請求項4または5記載の誘電体共振器。
  7. 前記シールド導体部は、更に、前記第1の誘電体部内に位置する第2の内部シールド導体層を含み、
    前記第2の内部シールド導体層は、前記第1の導電率よりも大きい導電率を有し、
    前記共振器本体は、前記第1の内部シールド導体層と前記第2の内部シールド導体層の間に位置していることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の誘電体共振器。
  8. 請求項1記載の誘電体共振器の製造方法であって、
    前記周囲誘電体部と前記共振器本体と前記第1の内部シールド導体層とを含む積層体を作製する工程と、
    前記外部導体部を形成する工程とを含み、
    前記積層体を作製する工程は、前記複数の誘電体層となる複数の焼成前のセラミックシートと前記第1の内部シールド導体層となる焼成前の内部シールド導体層と含む焼成前積層体を作製する工程と、前記焼成前積層体を焼成して、前記周囲誘電体部と前記第1の内部シールド導体層とを形成する工程とを含み、
    前記外部導体部を形成する工程は、前記積層体を作製する工程と同時に、あるいは前記積層体を作製する工程の後で、前記少なくとも1つの外部シールド導体層を形成する工程を含むことを特徴とする誘電体共振器の製造方法。
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