JP2017222750A - 蛍光体、発光装置および表示装置 - Google Patents

蛍光体、発光装置および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】自然光に近いスペクトルを有する光が得られる発光装置に用いる蛍光体を提供する。【解決手段】本発明の蛍光体は、一般式が、MI8Mg(MIIO4)4Cl2:Eu2+(ただし、MIは、Ca、Sr、Baからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、MIIは、Si、Tiからなる群から選ばれ、Tiを必須とする少なくとも1種の元素である)で表される。【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光体、発光装置および表示装置に関する。
従来から、一般的な白色発光ダイオードは、可視光領域における短波長の発光ダイオードと、短波長の光により励起されて発光を生じる蛍光体と、の組合せで製品化されている。以下、発光ダイオードをLEDと略記する。白色光を射出するLEDに使用可能な蛍光体は、例えば下記の特許文献1−3に開示されている。
特許文献1に、一般式がSiO・aMO・bSrCl:Eu2+(ただし、MはMg、Ca、SrおよびBaからなる群から選ばれる少なくともCaおよびSrを必須とする元素を示し、CaおよびSrの割合が60mol%である。aは0.1≦a≦1.3の範囲であり、bは0.1≦b≦0.25の範囲である)で表される蛍光体が開示されている。
特許文献2に、第1の発光体と、第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体と、を備えた発光装置が開示されている。第1の発光体は、300nm以上、420nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、第2の発光体は、所定の発光強度特性を有する赤色蛍光体と、510nm以上、545nm以下の波長範囲に発光ピークを有する緑色蛍光体と、420nm以上、470nm以下の波長範囲に発光ピークを有する青色蛍光体と、を含有する。
特許文献3に、425nm以上、465nm以下のピーク波長の光を発する発光素子と、485nm以上、530nm以下のピーク波長の光を発する第1の蛍光体と、第1の蛍光体より長いピーク波長の光を発する第2の蛍光体と、第2の蛍光体より長いピーク波長の光を発する第3の蛍光体と、を備えた発光装置が開示されている。この発光装置では、発光素子のピーク波長をλ(nm)、第1の蛍光体のピーク波長をλ(nm)とした場合、30≦λ−λ≦70である。
特開2008−274240号公報 特開2009−94231号公報 特開2014−203932号公報
特許文献1の蛍光体は、発光スペクトルのピーク波長が520nm付近にある。この蛍光体を用いた白色LEDでは、440nm付近および540nm付近にスペクトルの谷が生じ、自然光のスペクトルとはかけ離れた形状となる。
特許文献2に記載された実施例8のスペクトルは、自然光のスペクトルに比較的近い。しかしながら、この例でも、420nm付近、および480〜560nmの波長範囲にスペクトルの谷が生じ、自然光のスペクトルに近付けるにはまだ改善の余地がある。
特許文献3に記載された白色光スペクトルは、自然光スペクトルに比較的近い。しかしながら、この例でも、ナローバンドの青色LEDからの光を白色光の一部として使用しており、480nm付近にスペクトルの谷がある。そのため、自然光のスペクトルに近付けるにはまだ改善の余地がある。
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであって、自然光に比較的近いスペクトルを有する光が得られる発光装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、上記の発光装置に用いて好適な特性を備えた蛍光体を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、上記の発光装置を備えた照明装置を提供することを目的の一つとする。
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の蛍光体は、一般式が、MIMg(MIIOCl:Eu2+(ただし、MIは、Ca、Sr、Baからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、MIIは、Si、Tiからなる群から選ばれ、Tiを必須とする少なくとも1種の元素である)で表される。
本発明の一つの態様の蛍光体において、前記一般式のMIIは、SiとTiとを含有し、Siの含有量をaモルとし、Tiの含有量をbモルとすると、0.3<b/(a+b)×100<11を満たしてもよい。
本発明の一つの態様の蛍光体において、前記一般式のMIは、CaとSrとを含有し、CaとSrとが、モル比としてCa:Sr=7:3〜8:2で含有していてもよい。
本発明の一つの態様の蛍光体において、前記一般式からなる蛍光体の励起スペクトルにおける強度のピーク波長をλsp[nm]としたとき、λsp≦400を満たしてもよい。
本発明の一つの態様の蛍光体において、350〜400nmの波長域における励起スペクトル強度の積分値をfsとし、400〜450nmの波長域における励起スペクトル強度の積分値をflとし、前記積分値fsに対する前記積分値flの比を積分値比T(T=fl/fs×100)としたとき、前記積分値比Tが、T≦98を満たしてもよい。
本発明の一つの態様の発光装置は、本発明の一つの態様の蛍光体と、前記蛍光体を励起させる励起光を射出する光源と、を備え、前記蛍光体により生成された蛍光光を含む光を射出する。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記励起光のスペクトルのピーク波長をλrp[nm]としたとき、λrp≦400を満たしてもよい。
本発明の一つの態様の発光装置において、波長380nm〜780nmの可視域から選ばれるm個の波長の各々をλ(n:1,2,…m)とし、当該発光装置の前記可視域での発光スペクトルの強度最大値を1としたときの前記波長λにおける相対強度と、前記可視域での自然光のスペクトルの強度最大値を1としたときの前記波長λにおける相対強度と、の差の絶対値をg(n:1,2,…m)とし、前記m個の波長における(1−g)×100の平均値を類似率Rとしたとき、前記類似率Rが、R≧77を満たしてもよい。
本発明の一つの態様の表示装置は、本発明の一つの態様の発光装置を備える。
本発明の一つの態様によれば、自然光に極力近いスペクトルを有する光が得られる発光装置を提供することができる。また、本発明の一つの態様によれば、上記の発光装置に用いて好適な蛍光体を提供することができる。また、本発明の一つの態様は、上記の発光装置を備えた照明装置を提供することができる。
一実施形態の発光装置の断面図である。 試料1−1の蛍光体の励起スペクトルを示す図である。 試料1−1の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 実施例1の発光装置の発光スペクトルを示す図である。 試料2−3の蛍光体の励起スペクトルを示す図である。 試料2−3の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 実施例2の発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例3の蛍光体の励起スペクトルを示す図である。 実施例3の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 実施例3の発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例4の蛍光体の励起スペクトルを示す図である。 実施例4の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 実施例4の発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例5の蛍光体の励起スペクトルを示す図である。 実施例5の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 実施例5の発光装置の発光スペクトルを示す図である。 比較例1の蛍光体の励起スペクトルを示す図である。 比較例1の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 表8の2つのパラメータの関係を示すグラフである。 実施例1の発光装置の発光スペクトル、従来の白色LEDの発光スペクトル、および自然光のスペクトルを示す図である。 一実施形態の照明装置を示す模式図である。 一実施形態の表示装置を示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、一実施形態の発光装置の断面図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素により寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
[発光装置]
図1に示すように、本実施形態の発光装置10は、光源1と、複数の蛍光体粒子2と媒質3とからなる蛍光体層8と、アノード4と、カソード5と、基板9と、パッケージ6と、ボンディングワイヤー7と、を備える。
基板9には、透明基板および不透明基板のいずれが用いられてもよい。透明基板の材料として、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂材料などが挙げられる。不透明基板の材料として、例えばセラミックス等の無機材料、樹脂材料等が挙げられる。または、金属基板の表面に絶縁処理を施したものが用いられてもよい。上記の材料が積層または混合された複合材料からなる基板が用いられてもよい。基板9の表面に、樹脂材料からなる公知の平坦化層が形成されていてもよい。
パッケージ6は、基板9の一面に設けられている。パッケージ6は、例えば絶縁性を有するセラミック材料等で形成されている。パッケージ6の内壁は、光反射性材料で覆われていてもよい。または、パッケージ6が光反射性材料で形成されていてもよい。光反射性材料として、光透過性を有する樹脂材料中に酸化チタン等の高屈折率を有する無機フィラーが高濃度に分散された高反射性樹脂材料、アルミニウム、銀等の金属材料を挙げることができる。パッケージ6の内壁を覆う材料またはパッケージ6の形成材料がアルミニウム、銀等の金属材料である場合、後述のアノード4およびカソード5とパッケージ6とは絶縁する必要がある。
アノード4およびカソード5は、基板9の一面に設けられている。アノード4およびカソード5は、光源1を駆動するための電力を供給する。アノード4およびカソード5は、所定の間隔をおいて配置されていることにより絶縁されている。もしくは、アノード4とカソード5との間に絶縁材が介在していてもよい。アノード4およびカソード5は、ボンディングワイヤー7を介して光源1と電気的に接続されている。ボンディングワイヤー7の材料としては、主にAuが用いられるが、特に限定されるものではない。
光源1は、基板9の一面に設けられている。光源1は、蛍光体粒子2を励起する波長400nm以下の励起光を射出する発光素子で構成されている。本実施形態においては、光源1として、LED、レーザーダイオード等の発光素子を用いることができる。さらに、光源1として、近紫外発光を生じる発光素子を用いることができ、特に限定されるものではない。近紫外光以外にも、青紫光、紫光、紫外光などの波長域の光を発光可能な発光素子も使用が可能である。発光素子の構成材料として、例えばGaN、InGaN、AlGaInN、AlGaN、GaAs、ZnSe等が挙げられる。
蛍光体粒子2は、緑色蛍光体として、後述する本発明特有の材料で構成されている。この場合、青色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体は、400nm以下の励起光を受けて発光する蛍光体であればよく、特に限定されない。蛍光体粒子2は、光源1から射出された光を励起光として吸収し、励起光よりも長波長の蛍光光に変換して射出する。媒質3は、屈折率が高い材料の使用が望ましく、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂などが用いられる。
上記構成の発光装置10は、一つの例に過ぎず、例えば、一つの発光装置の内部にLEDからなる光源1が複数含まれていてもよいし、媒質3が光源1に接することなく離れて配置されていてもよいし、蛍光体粒子2が媒質3中に分散された構成に代えて、バルク状の蛍光体であってもよい。
[実施例1:蛍光体の合成]
実施例1では、一般式としてMIMg(MIIOCl:Eu2+ (ただし、MIは、Ca、Sr、Baからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、MIIは、Si、Tiからなる群から選ばれ、Tiを必須とする少なくとも1種の元素)で表される蛍光体を合成する。
具体的には、実施例1に係る蛍光体の化学式は、CaMg(SiO4−x(TiOCl:Eu2+で表される。
本発明者らは、以下に記載する方法を用いて、試料1−1、試料1−2、試料1−3の3種類の蛍光体を合成した。実施例1では、SiOおよびTiOの含有量を変化させた3種類の試料を作製した。
CaCOを10.4g、MgCOを1.3g、SiOを3.6g(試料1−1)、3.5g(試料1−2)、3.3g(試料1−3)、TiOを0.05g(試料1−1)、0.25g(試料1−2)、0.41g(試料1−3)、CaClを2.5g、Euを0.4g評量し、これらの材料にメタノールを加えてメノウ乳鉢で湿式混合した。
次に、上記の混合物を乾燥炉にて乾燥した後、アルミナ製るつぼに充填し、弱還元気流中、管状炉にて1050℃で各4時間焼成した。
混合物を焼成した後、粉砕し、水を加えて濾過した後、温水にて数回洗浄して乾燥させた。
このように、蛍光体を合成する際には、各成分の酸化物、あるいは炭酸塩、あるいは塩化物を量論比(一部1.5倍)で混合し、還元雰囲気中管状炉にて800〜1400℃にて3〜5時間焼成を行う。
本実施例では、純度、および取扱いのしやすさの観点から、炭酸化物としてCaCO、SrCO、BaCO、MgCO、酸化物としてEu、TiO、SiO、塩化物としてCaCl、SrCl、BaClを用いる。
還元雰囲気とは、還元ガスを含む雰囲気であり、還元ガスとは、水素、ジボラン、一酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。これらの還元ガスのうち、不純物の混入が少なく、濃度により安全に還元できる点から、水素ガスを用いることが望ましい。水素ガスの濃度は、爆発限界未満である4%未満が好ましく、2%がより好ましい。ただし、安全が確保された環境であれば、4%よりも高い濃度であっても、本実施例の蛍光体を得ることができる。水素ガスは、不活性ガスとともに供給される。不活性ガスとは、窒素、および希ガスと呼ばれる、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等を指す。一般的に、窒素、ヘリウム、アルゴンが用いられる。不純物がより混入しにくい観点では、ヘリウム、アルゴンが望ましい。
上記の成分のうち、SiO、およびTiOは、融点が高く、粉体では固溶しにくい。そのため、小粒子化されたものを用いることが望ましい。ただし、小粒子化されたものは凝集しやすいため、水溶性溶媒に分散されたものを用いることが望ましい。
TiO濃度は、上述の一般式のMIIのうち、Si含有量をaモル、Ti含有量をbモルとしたとき、0.3<b/(a+b)×100<11(モル%)を満たすことが望ましい。この数値の根拠については後述する。
また、上記成分の酸化物のうち、Euについては、Eu2+含有量をcモル、MI含有量をdモルとしたとき、0<(c/d)×100<0.4(モル%)を満たすように合成することが望ましい。(c/d)×100が0であると、発光が生じない。また、(c/d)×100が0.4(モル%)以上であると、本発明の蛍光体として機能するものの、Eu2+が過剰となり、発光効率が多少低下する。ただし、実用上特に問題はない。
また、上記成分のうち、最も融点が低い成分(この場合は塩化物)は、フラックス(融剤)として機能していると考えられる。フラックスとは、自身が溶融することにより混合物の結晶成長を促進する材料である。したがって、焼成温度は、最も融点が低い成分の融点よりも高い温度であることが望ましい。例えば塩化物がCaClである場合は800℃が望ましく、SrClである場合は900℃が望ましく、BaClである場合は1000℃以上が望ましい。
焼成温度が高すぎる場合は、結晶の焼結が進み過ぎ、結晶が粉砕しにくいなどの不具合が生じる。また、管状炉の材質保持のためには、焼成温度は1200℃以下に抑えることが望ましい。ただし、管状炉の耐熱性が十分であり、不純物が混入せずに粉砕できる手段があれば、1200℃以上でも本実施例の物質を得ることができる。
混合物を焼成した後、粉砕し、水を加えて濾過した後、温水にて数回洗浄を行う。次いで、エタノール等の揮発性有機溶媒で置換し、乾燥することにより、蛍光体粉末が得られる。
本実施例の試料1−1、試料1−2、試料1−3の各原料の重量(g)を、表1に示す。
Figure 2017222750
試料1−1、試料1−2、試料1−3について、励起スペクトルおよび発光スペクトルを測定した。
測定方法としては、光源にXeランプを用い、分光計器社製分光計によって励起光を分光し、ANDOR社製の分光器Shamlockによって蛍光光を分光することにより、励起スペクトルおよび発光スペクトルをそれぞれ測定した。
測定方法は、以降の実施例についても共通である。
3種類の試料を代表して、図2に試料1−1の励起スペクトルを示し、図3に試料1−1の発光スペクトルを示す。
図2に示す試料1−1の励起スペクトルにおける強度のピーク波長は370nm程度であり、強度のピーク波長をλsp[nm]としたとき、λsp≦400を満たしている。
なお、励起スペクトル、発光スペクトルともに、ピーク波長における強度を1とし、それぞれの波長の強度は、ピーク波長における強度に対する相対値で示した。
実施例2以降についても同様である。
試料1−1、試料1−2、試料1−3の各試料について、350〜400nmの励起強度積分値(=fs)に対する400〜450nmの励起強度積分値(=fl)の比T(T=fl/fs×100)を算出した。積分値比Tが100以下であれば、400nm以下の波長域の励起光で励起される蛍光体として適している、と評価することができる。積分値比Tの算出結果を表2に示す。
Figure 2017222750
[実施例2:蛍光体の合成]
実施例2として、化学式が、CaMg(SiO4−x(TiOCl:Eu2+で表される蛍光体を合成した。
本発明者らは、以下に記載する方法を用いて、試料2−1〜2−7の7種類の蛍光体を合成した。実施例2では、Euの含有量を変化させた7種類の試料を作製した。
CaCOを10.4g、MgCOを1.3g、SiOを3.3g、TiOを0.05g、CaClを2.5g、Euを0.05g(試料2−1)、0.1g(試料2−2)、0.2g(試料2−3)、0.4g(試料2−4)、0.8g(試料2−5)、2.1g(試料2−6)、4.2g(試料2−7)評量し、これらの材料にメタノールを加えてメノウ乳鉢で湿式混合した。
次に、上記の混合物を乾燥炉にて乾燥した後、アルミナ製るつぼに充填し、弱還元気流中、管状炉にて1050℃で各4時間焼成した。
混合物を焼成した後、粉砕し、水を加えて濾過した後、温水にて数回洗浄して乾燥させた。
本実施例の試料2−1〜2−7の各原料の重量(g)をまとめて表3に示す。
Figure 2017222750
7種類の試料について、実施例1と同様の方法により、励起スペクトルおよび発光スペクトルを測定した。
7種類の試料を代表して、図5に試料2−3の励起スペクトルを示し、図6に試料2−3の発光スペクトルを示す。
図5に示す試料2−3の励起スペクトルにおける強度のピーク波長は350nm程度であり、強度のピーク波長をλsp[nm]としたとき、λsp≦400を満たしている。
試料2−1〜2−7の各試料について、350〜400nmの励起強度積分値(=fs)に対する、400〜450nmの励起強度積分値(=fl)の比T(=fl/fs×100)を算出した。積分値比Tの算出結果を表4に示す。
Figure 2017222750
[実施例3:蛍光体の合成]
実施例3として、化学式が、SrMg(SiO4−x(TiOCl:Eu2+で表される蛍光体を合成した。すなわち、一般式中のMIで示される元素として、実施例1,2ではCaを用いたが、実施例3ではSrを用いた。
本発明者らは、以下に記載する方法を用いて、実施例3の蛍光体を合成した。
SrCOを11.6g、MgCOを0.97g、SiOを5.2g、TiOを1.0g、SrClを1.9g、Euを0.3g評量し、これらの材料にメタノールを加えてメノウ乳鉢で湿式混合した。
次に、上記の混合物を乾燥炉にて乾燥した後、アルミナ製るつぼに充填し、弱還元気流中、管状炉にて1050℃で各4時間焼成した。
混合物を焼成した後、粉砕し、水を加えて濾過した後、温水にて数回洗浄して乾燥させた。
実施例1と同様の方法を用いて、励起スペクトルおよび発光スペクトルを測定した。
図8に実施例3の蛍光体の励起スペクトルを示し、図9に実施例3の蛍光体の発光スペクトルを示す。
図8に示す実施例3の励起スペクトルにおける強度のピーク波長は370nm程度であり、強度のピーク波長をλsp[nm]としたとき、λsp≦400を満たしている。
350〜400nmの励起強度積分値(=fs)に対する400〜450nmの励起強度積分値(=fl)の比T(=fl/fs×100)は、53%であった。
[実施例4:蛍光体の合成]
実施例4として、化学式が、(Ca,Sr)Mg(SiO4−x(TiOCl:Eu2+で表される蛍光体を合成した。すなわち、一般式中のMIで示される元素として、実施例1〜3ではCa、Srのいずれか一方を用いたが、実施例4ではCaとSrの双方を含んでいる。CaとSrとの混合モル比は、Ca:Sr=7.5:2.5とした。CaとSrとは、モル比としてCa:Sr=7:3〜8:2の範囲内で混合されていることが望ましい。
本発明者らは、以下に記載する方法を用いて、実施例4の蛍光体を合成した。
CaCOを6.7g、SrCOを3.9g、MgCOを1.1g、SiOを6.2g、TiOを1.3g、CaClを2.3g、Euを0.4g評量し、これらの材料にメタノールを加えてメノウ乳鉢で湿式混合した。
次に、上記の混合物を乾燥炉にて乾燥した後、アルミナ製るつぼに充填し、弱還元気流中、管状炉にて1050℃で各4時間焼成した。
混合物を焼成した後、粉砕し、水を加えて濾過した後、温水にて数回洗浄して乾燥させた。
実施例1と同様の方法を用いて、励起スペクトルおよび発光スペクトルを測定した。
図11に実施例4の蛍光体の励起スペクトルを示し、図12に実施例4の蛍光体の発光スペクトルを示す。
図11に示す実施例4の励起スペクトルにおける強度のピーク波長は380nm程度であり、強度のピーク波長をλsp[nm]としたとき、λsp≦400を満たしている。
350〜400nmの励起強度積分値(=fs)に対する400〜450nmの励起強度積分値(=fl)の比T(=fl/fs×100)は、74%であった。
[実施例5:蛍光体の合成]
実施例5として、化学式が、BaMg(SiO4−x(TiOCl:Eu2+で表される蛍光体を合成した。すなわち、一般式中のMIで示される元素として、実施例1〜3ではCa、Srのいずれか一方、実施例4ではCaとSrの双方を用いたのに対し、実施例5ではBaを用いた。
本発明者らは、以下に記載する方法を用いて、実施例5の蛍光体を合成した。
BaCOを9.8g、MgCOを0.75g、SiOを4.1g、TiOを0.81g、BaClを2.8g、Euを2.5g評量し、これらの材料にメタノールを加えてメノウ乳鉢で湿式混合した。
次に、上記の混合物を乾燥炉にて乾燥した後、アルミナ製るつぼに充填し、弱還元気流中、管状炉にて1050℃で各4時間焼成した。
混合物を焼成した後、粉砕し、水を加えて濾過した後、温水にて数回洗浄して乾燥させた。
実施例1と同様の方法を用いて、励起スペクトルおよび発光スペクトルを測定した。
図14に実施例5の蛍光体の励起スペクトルを示し、図15に実施例5の蛍光体の発光スペクトルを示す。
図14に示す実施例5の励起スペクトルにおける強度のピーク波長は370nm程度であり、強度のピーク波長をλsp[nm]としたとき、λsp≦400を満たしている。
350〜400nmの励起強度積分値(=fs)に対する400〜450nmの励起強度積分値(=fl)の比T(=fl/fs×100)は、28%であった。
次に、本発明者らは、上記の各実施例の蛍光体を用いて図1に示す発光装置を作製し、蛍光体単体ではなく、発光装置としての発光スペクトルを評価した。
[実施例1:発光装置の作製および評価]
実施例1〜5に示す青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色または橙色蛍光体を、表5に示す重量比で混合し、エポキシ樹脂に分散させ、図1に示す発光装置10のパッケージ6の内部に充填し、発光装置を作製した。
具体的に、実施例1の発光装置では、発光素子の材料としてピーク波長が365nmのInGaNを使用した。青色蛍光体として、発光ピーク波長が442nmのYSiON:Ce3+、緑色蛍光体として、前述の試料1−1の蛍光体、黄色蛍光体として、発光ピーク波長が550〜610nmのLaSi11:Ce3+,Ca2+を、表5に示す重量比で用いた。
Figure 2017222750
各色の蛍光体としては、Sr:Sn4+、SrAl1425:Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+、SrGa:Ce3+、CaGa:Ce3+、(Ba、Sr)(Mg、Mn)Al1017:Eu2+、(Sr、Ca、Ba、 Mg)10(POCl:Eu2+、BaAlSiO:Eu2+、Sr:Eu2+、Sr(POCl:Eu2+、(Sr,Ca,Ba)(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、(Ba,Ca)(POCl:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、SrMgSi:Eu2+
(Ba,Mg)Al1627:Eu2+,Mn2+、SrAl1425:Eu2+、(Sr,Ba)Al12Si:Eu2+、(Ba,Mg)SiO:Eu2+、YSiO:Ce3+,Tb3+、Sr Sr:Eu2+、(Ba,Ca,Mg)(POCl:Eu2+、SrSi−2SrCl:Eu2+、ZnSiO:Mn2+、MgAl1119:Ce3+,Tb3+、BaSiO:Eu2+、SrSiO:Eu2+、(Ba,Sr)SiO:Eu2+、(Si,Al)(O,N):Eu2+、BaYSi:Ce3+、(Sc,Mg)Si12:Ce3+、SrSi(O,Cl): Eu2+、BaSi:Eu2+、YS:Eu3+、YAlO:Eu3+、Ca(SiO:Eu3+、LiY(SiO:Eu3+、YVO:Eu3+、CaS:Eu2+、Gd:Eu3+、GdS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、YSiON:Ce3+、MgGeO5.5F:Mn4+、MgGeO:Mn4+、KEu2.5(WO6.25、NaEu2.5(WO6.25、KEu2.5(MoO6.25、NaEu2.5(MoO6.25、(Sr,Ca)AlSiN:Eu2+、CaAlSiN:Eu2+、SrSiN:Eu2+、SrAlSiN:Eu2+、CaSi:Eu2+、SrSi:Eu2+、BaAlSi:Eu2+、SrSi:Eu2+、SrSiAl:Eu2+、SrSi:Eu、SrSc:Eu2+、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、LaSi11:Ce3+,Ca2+、MgTiO:Mn2+、(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ce3+等を用いることができる。
蛍光体層8は、各実施例に係る蛍光体の混合物を、蛍光体粒子2として、例えばエポキシ樹脂等からなる媒質3に5重量%から50重量%の割合で分散、もしくは沈降させることによって形成することができる。
なお、400nmよりも短波長の光は、人体に影響を及ぼす恐れがあるため、外部に漏れないようにすることが望ましい。そのためには、光源1もしくは蛍光体粒子2から外部空間までの光路上(図示せず)に、紫外光をカットするロングパスフィルター、もしくはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系のような有機系紫外光吸収剤、もしくはアルミナやチタニアのような無機系紫外光吸収剤が設けられることが望ましい。
実施例1の発光装置の発光スペクトルを図4に示す。
図4に示した実施例1の発光装置の発光スペクトルの自然光スペクトルに対する類似率は、79%であった。500nm付近に発光ピーク波長を有する紫外励起青緑発光蛍光体を用いることにより、自然光に近いスペクトルを有する白色発光装置を実現できることがわかった。
本発明者らは、各実施例の発光装置から得られる発光スペクトルの自然光スペクトルに対するスペクトル形状の類似の度合いを定量的に表すため、「自然光スペクトルに対する類似率」なる指標を考案した。「自然光スペクトルに対する類似率」を、以下単に「類似率」と称する。
類似率Rは、波長380nm〜780nmの可視域から選択されるm個の波長の各々をλ(n:1,2,…m)とし、当該発光装置の前記可視域における発光スペクトルの強度最大値を1としたときの波長λにおける相対強度と、前記可視域における自然光スペクトルの強度最大値を1としたときの波長λにおける相対強度と、の差の絶対値をg(n:1,2,…m)としたとき、m個の波長における(1−g)×100の平均値である。ただし、実際の計算では、小数点第1位を四捨五入した。
上記の類似率Rの定義によれば、類似率Rが100に近い程、自然光に類似したスペクトルを有する発光装置である、と言うことができる。
[実施例2:発光装置の作製および評価]
実施例2の発光装置では、発光素子の材料としてピーク波長が365nmのInGaNを使用した。青色蛍光体として、発光ピーク波長が417nmのBaYSi:Ce3+、緑色蛍光体として、前述の試料2−3の蛍光体、黄色蛍光体として、発光ピーク波長が550〜610nmのLaSi11:Ce3+,Ca2+を、表5に示す重量比で用いた。
実施例2の発光装置の発光スペクトルを図7に示す。
図7に示した実施例2の発光装置の発光スペクトルの類似率Rは、77%であった。500nm付近に発光ピークを有する紫外励起青緑発光蛍光体を使用することにより、自然光に近いスペクトルを有する白色発光装置を実現できることがわかった。
[実施例3:発光装置の作製および評価]
実施例3の発光装置では、発光素子の材料としてピーク波長が365nmのInGaNを使用した。青色蛍光体として、発光ピーク波長が417nmであるBaYSi:Ce3+、青緑色蛍光体として、前述の実施例3の蛍光体、緑色蛍光体として、発光ピーク波長が500nmのBaSi:Eu2+、橙色蛍光体として、発光ピーク波長が600nmのSrSi:Eu2+を、表5に示す重量比で用いた。
実施例3の発光装置の発光スペクトルを図10に示す。
図10に示した実施例3の発光装置の発光スペクトルの類似率Rは、78%であった。460〜480nm付近に発光波長を有する紫外励起青色発光蛍光体を使用することにより、自然光に近いスペクトルを有する白色発光装置を実現できることがわかった。
[実施例4:発光装置の作製および評価]
実施例4の発光装置では、発光素子の材料としてピーク波長が365nmのInGaNを使用した。青色蛍光体として、発光ピーク波長が442nmのYSiON:Ce3+、緑色蛍光体として、前述の実施例4の蛍光体、橙色蛍光体として、発光ピーク波長が660nmのCaAlSiN:Eu2+を、表5に示す重量比で用いた。
実施例4の発光装置の発光スペクトルを図13に示す。
図13に示した実施例4の発光装置の発光スペクトルの類似率Rは、80%であった。540nm付近に発光波長を有する紫外励起緑青発光蛍光体を使用することにより、自然光に近いスペクトルを有する白色発光装置を実現できることがわかった。また、実施例4の場合、CaとSrとの配合比を調整することにより、発光ピーク波長をコントロールできることがわかった。
[実施例5:発光装置の作製および評価]
実施例5の発光装置では、発光素子の材料としてピーク波長が365nmのInGaNを使用した。青色蛍光体として、発光ピーク波長が442nmのYSiON:Ce3+、緑色蛍光体として、前述の実施例5の蛍光体、橙色蛍光体として、発光ピーク波長が550〜610nmのLaSi11:Ce3+,Ca2+を、表5に示す重量比で用いた。
実施例5の発光装置の発光スペクトルを図16に示す。
図16に示した実施例5の発光装置の発光スペクトルの類似率Rは、86%であった。490nm付近に発光ピーク波長を有する紫外励起青色発光蛍光体を使用することにより、自然光に近いスペクトルを有する白色発光装置を実現できることがわかった。
[従来例および比較例]
本発明者らは、上記の実施例1〜5の発光装置との間で性能を比較するために、従来例1として、一般的な市販の白色LEDを用い、類似率R、および相関色温度を算出した。
従来例2として、特許文献1における実施例1の蛍光体、発光ピークが480nm付近の実施例2の蛍光体、および発光ピーク波長が550〜610nmのLaSi11:Ce3+,Ca2+の蛍光体を用いて白色発光装置を作製し、積分値比T(=fl/fs×100)、類似率R、および相関色温度を算出した。
従来例3として、特許文献2に記載の白色LED発光スペクトルを用い、類似率R、および相関色温度を算出した。
従来例4として、特許文献3に記載の白色LED発光スペクトルを用い、類似率R、および相関色温度を算出した。
比較例1として、化学式が、CaMg(SiOCl:Eu2+で表される蛍光体を合成した。すなわち、実施例1〜5と異なり、TiOを含まない蛍光体を合成した。
本発明者らは、以下に記載する方法を用いて、比較例1の蛍光体を合成した。
CaCOを10.1g、MgCOを1.2g、SiOを3.6、CaClを2.5g、Euを0.4g評量し、これらの材料にメタノールを加えてメノウ乳鉢で湿式混合した。
次に、上記の混合物を乾燥炉にて乾燥した後、アルミナ製るつぼに充填し、弱還元気流中、管状炉にて1050℃で各4時間焼成した。
混合物を焼成した後、粉砕し、水を加えて濾過した後、温水にて数回洗浄して乾燥させた。
実施例1〜5と同様の方法を用いて、励起スペクトルおよび発光スペクトルを測定した。
図17に比較例1の蛍光体の励起スペクトルを示し、図18に比較例1の蛍光体の発光スペクトルを示す。
図18に示すように、波長405nmの励起光による発光スペクトルEにおける発光ピーク強度を1とすると、波長365nmの励起光による発光スペクトルFにおける発光ピーク強度は、0.84であった。
図17の励起スペクトルに基づく計算によれば、350〜400nmの励起強度積分値(=fs)に対する400〜450nmの励起強度積分値(=fl)の比T(=fl/fs×100)は、116であった。
従来例2、比較例1、および実施例3〜5について、積分値比Tを比較した結果を表6に示す。
Figure 2017222750
上述したように、350〜400nmの励起強度積分値をfsとし、400〜450nmの励起強度積分値をflとしているため、積分値比Tの値が98以下の小さい値を取る程、400nm以下の波長域の励起光で励起される蛍光体として適している、と評価することができる。表6を見ると、比較例1ではTが116であり、従来例2ではTが99であるのに対し、実施例3〜5ではTが29〜74と小さい値である。したがって、実施例3〜5の蛍光体は、400nm以下の波長域の励起光で励起される蛍光体として優れた特性を有している。
従来例1〜4、および実施例1〜5について、類似率Rおよび相関色温度を比較した結果を表7に示す。
Figure 2017222750
一般に、自然光(昼間の太陽光)の相対色温度は、5500〜6000K程度と言われている。表7の相対色温度を見る限りは、従来例、実施例のいずれも自然光と同様であり、特に違いが認められない。しかしながら、類似率Rに着目すると、従来例1〜4の類似率Rが31〜76の範囲にあるのに対し、実施例1〜5の類似率Rが77〜86に範囲にある。そのため、実施例1〜5の蛍光体(成分としてTiOを含む蛍光体)の使用により、自然光に近いスペクトルを有する発光装置を実現できることがわかった。
また、本発明者らは、本発明の蛍光体の一般式のMII中のSiとTiとの含有比率について検討した。Si含有量をaモルとし、Ti含有量をbモルとする。
実施例1(試料1−1,1−2,1−3)および従来例5におけるb/(a+b)×100、積分値比T(=fl/fs×100)の値を表8に示す。
Figure 2017222750
表8に基づいて、b/(a+b)×100をxとし、xに対する積分値比T(=fl/fs×100)の値をyとしたとき、各測定値をプロットし、2次近似曲線を得た。
図19は2次近似曲線を示し、2次近似曲線の式は下記の(1)式で示される。
y=1.62x−18.0x+106.6 …(1)
(1)式から解くと、y=100(%)となるときのxは、x=0.38、10.7である。よって、b/(a+b)×100の値が0.3以下、11以上であると、積分値比Tの値が100%を超えてしまう。すなわち、b/(a+b)×100の値が0.3以下および11以上であると、励起スペクトルにおける350〜400nmでの励起強度積分値が400〜450nmでの励起強度積分値を下回るため、400nm以下の励起光で励起させる蛍光体として適さない。したがって、0.3<b/(a+b)×100<11(モル%)を満たすことが望ましい。
一般的な白色LEDは、405nm付近の発光波長を有するLEDからの光により励起され、青色光・緑色光・赤色光を発光する蛍光体が用いられるもの、もしくは465nm付近の発光波長を有するLEDからの光により励起され、黄色光を発光する蛍光体が用いられるもの、もしくは、465nm付近の発光波長を有するLEDからの光により励起され、赤色光・緑色光を発光する蛍光体が用いられるもの、に分類される。
図20は、従来例1の発光スペクトルと自然光スペクトルとを比較した図である。
従来例1の発光スペクトルを符号Bで示し、および自然光スペクトルを符号Cで示す。
図20に示すように、400nm以上の発光波長を有するLEDによる励起を用いた従来例1の発光スペクトルBの場合、白色光の一部として外部に放出される短波長光は、蛍光体の発光スペクトルに比べて半値幅が狭いため、長波長側に隣接する色光のスペクトルとの間に大きな「谷」が生じやすい。そこで、従来例2〜4のように、各種の蛍光体を組み合わせて自然光スペクトルに近づける方法が提案されているが、LEDから発せられる光によって長波長側に隣接する発光スペクトルの間の「谷」は改善されることはなく、自然光スペクトルとの形状の差は縮小されない。
さらに、比較例1の蛍光体を用いた場合、400nm以下の発光波長を有するLEDからの光によって蛍光体を励起すると、350〜450nmの励起強度積分値から計算される積分値比Tが98%より大きい116%となるために、発光スペクトルピーク強度が26%低下した。これは、量子効率が低下していることに等しく、したがって、積分値比Tが98%より大きい材料では、輝度の低下、発熱が課題となる。
上記の課題に対して、上記本実施例の蛍光体は、460〜550nmの波長域に発光スペクトルのピークを有し、350〜450nmの波長域の励起強度積分値から計算される積分値比Tが98%以下であり、400nm以下の発光ピーク波長を有するLEDを励起光として使用し、400〜780nmの波長域で発光スペクトルを有する蛍光体が2種以上混合されて形成された発光装置に用いられる。これにより、自然光スペクトルCに対する類似率Rが77%以上というように、自然光に近いスペクトルを有する白色発光装置を実現することができる。
また、本実施例の蛍光体および発光装置によれば、さらに以下の効果を得ることもできる。
(1)本実施例の蛍光体は、常圧において固相法での合成が可能であるため、製造コストを抑えることができる。
(2)励起光のスペクトルが発光装置の発光スペクトルに関与しないため、蛍光体のみで発光装置の発光スペクトルを設計することができる。
(3)可視光領域の発光に全て蛍光体からの発光を利用するため、面発光設計とすれば、明るさを失わずに面積当たりの光子量を低減することができ、白色LEDの課題である眩しさを緩和することができる。
(4)青色光および紫色光(400〜500nm)が強いスペクトルは、人の目に対して刺激となる場合がある。これは、青色光および紫色光は可視光の中では最もエネルギーが高い光であることが原因である。これに対し、本実施例の蛍光体は、350〜400nmの範囲に強い励起帯を持っているため、400nm以下での励起による発光デバイスに適している。これにより、輝度を落とさずに450nm付近の青色光強度を低減できるため、目に対する刺激を緩和することができる。
(5)青色光には覚醒作用があるとも言われている。これは、460nm付近の光が目に入ると、メラトニンという睡眠リズムを整えるホルモンを抑制することによるものである(樋口重和(2008)、時間生物学、Vol14,No.1)。この作用が夜間に生じると、睡眠障害を引き起こす要因とされている。これに対して、本実施例の蛍光体は、前述のように、青色光を低減できるため、覚醒作用を引き起こすことを低減できる。
(6)本実施例の蛍光体は、380nm以下の紫外光を効率良く可視光に変換できるため、色素増感太陽電池の波長変換膜として使用できる。
以下、本発明の蛍光体の応用例について説明する。
図21は、一実施形態のバックライト(照明装置)を示す模式図である。
図21に示すように、本実施形態のバックライト500は、発光装置501、導光板502、拡散板503、反射部材504を有している。
発光装置501は、上述した本発明に係る発光装置であって、例えば上記実施形態で例示したような白色光を射出するLEDによって構成されている。
導光板502は、例えばアクリル樹脂等の光透過性を有する樹脂からなる板体である。導光板502の端面502xには、発光装置501が設けられている。導光板502は、発光装置501から射出された光を端面502xから入射させ、内部で伝播させる間に第1の主面502aから射出させる機能を有する。導光板502としては、公知のものを用いることができる。
拡散板503は、導光板502の第1の主面502aに対向して設けられている。拡散板503は、導光板502の第1の主面502aから射出された光を拡散させ、配光分布を調整する機能を有する。拡散板503としては、公知のものを用いることができる。
反射部材504は、導光板502の第2の主面502bに対向して設けられている。反射部材504は、導光板502の第2の主面502bから射出された光を反射して、導光板502の内部に入射させる機能を有する。反射部材504で反射した光は、さらに導光板の内部を伝播し、第1の主面502aから射出する。
反射部材504は、導光板502の第2の主面502bと離間して設けられていてもよく、導光板502の第2の主面502bに接して設けられていてもよい。反射部材504としては、公知のものを用いることができる。
以上のような構成のバックライト500によれば、上述した本発明の発光装置を備え、良好な色再現性を示すものとなる。
図22は、一実施形態の表示装置を示す模式図である。
図22に示すように、本実施形態の表示装置1000は、上述のバックライト500と、バックライト500から射出された白色光を変調する液晶パネル600と、を備える。
液晶パネル600は、第1基板610と、第2基板620と、第1基板610と第2基板620との間に挟持された液晶層630と、第1基板610に対向して設けられた第1偏光板640と、第2基板620に対向して設けられた第2偏光板650と、を備える。
第1基板610は、透明基板上にスイッチング素子等の素子層が形成された素子基板611と、素子基板611の液晶層630側に設けられた透明電極612と、を備える。
第2基板620は、透明基板621と、透明基板621の液晶層630側に設けられた格子状のブラックマトリクス622と、ブラックマトリクス622の液晶層630側に設けられたカラーフィルタ層623と、カラーフィルタ層623の液晶層630側に設けられた透明電極624と、を備える。
カラーフィルタ層623は、ブラックマトリクス622の開口に対応して設けられた赤色カラーフィルタ623R、緑色カラーフィルタ623G、および青色カラーフィルタ623Bを備える。
第1偏光板640と第2偏光板650は、互いの吸収軸が例えばクロスニコルの配置で配置されている。
以上のような構成の表示装置1000によれば、上述した実施形態の発光装置を備え、良好な色再現性を示すものとなる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
本発明は、蛍光体、発光装置、および表示装置に利用が可能である。
2…蛍光体粒子、10…発光装置、1000…表示装置。

Claims (9)

  1. 一般式が、
    MIMg(MIIOCl:Eu2+
    (ただし、MIは、Ca、Sr、Baからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、MIIは、Si、Tiからなる群から選ばれ、Tiを必須とする少なくとも1種の元素である)
    で表される、蛍光体。
  2. 前記一般式のMIIは、SiとTiとを含有し、Siの含有量をaモルとし、Tiの含有量をbモルとすると、0.3<b/(a+b)×100<11を満たす、請求項1に記載の蛍光体。
  3. 前記一般式のMIは、CaとSrとを含有し、CaとSrとが、モル比としてCa:Sr=7:3〜8:2で含有している、請求項1に記載の蛍光体。
  4. 前記一般式からなる蛍光体の励起スペクトルにおける強度のピーク波長をλsp[nm]としたとき、
    λsp≦400を満たす、請求項1または請求項2に記載の蛍光体。
  5. 350〜400nmの波長域における励起スペクトル強度の積分値をfsとし、400〜450nmの波長域における励起スペクトル強度の積分値をflとし、前記積分値fsに対する前記積分値flの比を積分値比T(T=fl/fs×100)としたとき、前記積分値比Tが、T≦98を満たす、請求項1または請求項2に記載の蛍光体。
  6. 請求項1に記載の蛍光体と、
    前記蛍光体を励起させる励起光を射出する光源と、を備え、
    前記蛍光体により生成された蛍光光を含む光を射出する、発光装置。
  7. 前記励起光のスペクトルのピーク波長をλrp[nm]としたとき、
    λrp≦400を満たす、請求項6に記載の発光装置。
  8. 波長380nm〜780nmの可視域から選ばれるm個の波長の各々をλ(n:1,2,…m)とし、当該発光装置の前記可視域での発光スペクトルの強度最大値を1としたときの前記波長λにおける相対強度と、前記可視域での自然光のスペクトルの強度最大値を1としたときの前記波長λにおける相対強度と、の差の絶対値をg(n:1,2,…m)とし、前記m個の波長における(1−g)×100の平均値を類似率Rとしたとき、前記類似率Rが、R≧77を満たす、請求項7に記載の発光装置。
  9. 請求項6に記載の発光装置を備えた、表示装置。
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