JP2017222494A - 粘着剤転写ユニットおよびプリンタ - Google Patents

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亮 紅林
Ryo Kurebayashi
亮 紅林
収 水野
Osamu Mizuno
収 水野
鈴木 祐司
Yuji Suzuki
祐司 鈴木
和充 新村
Kazumitsu Nimura
和充 新村
裕基 井上
Hironori Inoue
裕基 井上
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Abstract

【課題】粘着剤が転写された用紙の搬送が妨げられた場合であっても、粘着剤カートリッジに及ぼす悪影響を抑える工夫がなされた粘着剤転写ユニットおよびプリンタを提供する。
【解決手段】一対の下流側搬送ローラ54と、粘着テープTが巻き掛けられた転写部Wを有するものであって、搬送されてきた用紙Pの一方の面側に転写部Wが位置するように着脱自在に装着される粘着剤カートリッジと、搬送されてきた用紙Pの他方の面側に設けられ、転写部Wに巻き掛けられた粘着テープTの粘着剤Sを一方の面P1に転写する際に、用紙Pを転写部Wとの間に挟み込む転写ローラ52とを備え、一対の下流側搬送ローラ54は、用紙Pにおける、転写部Wを通過している部分および転写部Wを通過した後の部分の双方の部分を除く、転写部W以降の下流側の箇所を、挟んで搬送するものである。
【選択図】図11

Description

本発明は、搬送されてきた用紙に粘着剤が転写される粘着剤転写ユニット、およびこの粘着剤転写ユニットを備えたプリンタに関する。
飲食店などでは、壁面等に貼り付けるオーダー表が用いられており、ピザ等の料理をテイクアウトで提供する店舗においては、その商品に貼り付ける商品ラベル等が用いられている。これらオーダー表等は、おもて面にオーダー等の情報が印字され、うら面に粘着剤が付されている。また、オーダー表等は、粘着剤として粘着力の弱い糊等が用いられているため、付箋と同様に、貼り付けたり剥がしたりできるものである。
このようなオーダー表等は、粘着剤転写ユニットを備えたプリンタによって作成することができる(例えば、特許文献1等参照)。特許文献1に記載されたプリンタの粘着剤転写ユニットは、粘着剤が塗布された粘着テープを繰り出す繰出リール、粘着テープが巻き掛けられる転写部、粘着テープを巻き取る巻取リールおよび押圧部材を有している。この粘着剤転写ユニットでは、転写部に押圧部材を押圧し、搬送されてきた用紙を転写ローラと転写部との間に挟み込んだ転写状態と、搬送されてきた用紙から押圧部材が離れた退避状態との間で状態が移行する。押圧部材が、搬送されてきた用紙を転写部との間に挟み込んだ転写状態では、この用紙の一方の面に、転写部に巻き掛けられた粘着テープから粘着剤が転写される。一方、押圧部材が、搬送されてきた用紙から離れた退避状態では、転写部からも用紙が離れ粘着剤が転写されなくなる。特許文献1に記載されたプリンタによれば、押圧部材を移動させ、搬送されてきた用紙に粘着剤が転写される状態と、搬送されてきた用紙に粘着剤が非転写となる状態との間で状態を移行させることによって、用紙の搬送方向における所望の部分に粘着剤を転写させることもできる。以下、搬送されてきた用紙に粘着剤が転写される状態を、単に、転写される状態と称することがあり、搬送されてきた用紙に粘着剤が非転写となる状態を、非転写状態と称することがある。
しかしながら、特許文献1に記載された粘着剤転写ユニットでは、消耗品である粘着テープを使い切った場合には、転写部に巻き掛けられた粘着テープを転写部から外し、繰出リールおよび巻取リールをそれぞれ取り外した後、未使用の粘着テープを転写部に巻き掛け、繰出リールおよび巻取リールをそれぞれセットする、という非常に煩雑な作業が必要になり交換性が悪い。
そこで、粘着剤カートリッジを用いることで交換性を向上させたプリンタが提案されている(例えば、特許文献2および特許文献3等参照)。特許文献2や特許文献3に記載されたプリンタの粘着剤転写ユニットは、粘着剤カートリッジと、転写ローラとを備えている。粘着剤カートリッジは、粘着剤が塗布された粘着テープが収容され、この粘着テープを繰り出す繰出リール、転写部、および粘着テープを巻き取る巻取リールを有している。粘着テープは、転写部に巻き掛けられ、繰出リールから繰り出された粘着テープは、転写部を経由して走行し、巻取リールに巻き取られる。搬送されてきた用紙が、転写部と転写ローラとの間に挟み込まれると、この用紙の一方の面に、転写部に巻き掛けられた粘着テープから粘着剤が転写される。一方、転写部または転写ローラが移動し、搬送されてきた用紙が転写部から離れると、この用紙に粘着剤が転写されなくなる。特許文献2や特許文献3に記載されたプリンタによれば、消耗品である粘着テープを使い切った場合には、粘着剤カートリッジごと交換するすることができるため、交換性が格段に向上する。
特開2011−235595号公報 特開2014−097851号公報 特開2015−209325号公報
しかしながら、特許文献2や特許文献3に記載されたプリンタでは、例えば用紙排出口が塞がれてしまうこと等により、粘着剤が転写された用紙の搬送が妨げられると、粘着剤カートリッジに不具合が生じる虞がある。具体的には、搬送を妨げられた用紙が撓んでシワになった状態で転写部の粘着テープに巻き込まれてしまい、これによって巻取リールによる粘着テープの巻き取り不良等が生じ、粘着剤カートリッジが使用できなくなってしまう場合がある。
本発明は上記事情に鑑み、粘着剤が転写された用紙の搬送が妨げられた場合であっても、粘着剤カートリッジに及ぼす悪影響を抑える工夫がなされた粘着剤転写ユニットおよびプリンタを提供することを目的とする。
上記目的を解決する本発明の粘着剤転写ユニットは、用紙を該用紙の厚み方向に挟んで搬送する一対の搬送ローラと、
粘着剤が塗布され前記用紙よりも狭幅の粘着テープを収容し、該粘着テープが巻き掛けられた転写部を有するものであって、搬送されてきた用紙の一方の面側に該転写部が位置するように着脱自在に装着される粘着剤カートリッジと、
搬送されてきた用紙の他方の面側に設けられ、前記転写部に巻き掛けられた前記粘着テープの粘着剤を前記一方の面に転写する際に、該用紙を前記転写部との間に挟み込む転写ローラとを備え、
前記一対の搬送ローラは、前記用紙における、前記転写部を通過している部分および該転写部を通過した後の部分の双方の部分を除く、該転写部以降の下流側の箇所を、挟んで搬送するものであることを特徴とする。
ここで、前記一対の搬送ローラは、搬送方向と直行する用紙幅方向に複数並べて配置してもよいし、用紙幅方向の中央部分に前記転写部と前記転写ローラを配置し、これら転写部と転写ローラから、該用紙幅方向に外れた両側それぞれに、該一対の搬送ローラを配置してもよい。
本発明の粘着剤転写ユニットによれば、粘着剤が転写された用紙の搬送が妨げられた場合であっても、前記一対の搬送ローラが用紙を搬送方向下流側に向けて搬送し続けるため、粘着剤が転写された用紙が搬送方向下流側で引っ張られる。これにより、前記用紙が、前記粘着テープに巻き込まれてしまうことが阻止され、搬送が妨げられた用紙が、前記粘着剤カートリッジに悪影響を及ぼすことが抑えられる。
また、前記一対の搬送ローラは、前記用紙における、前記転写部を通過している部分および該転写部を通過した後の部分の双方の部分を除く箇所を挟んで搬送するものであるため、該用紙に転写された粘着剤が該一対の搬送ローラに付着してしまうこともない。このため、搬送ローラに粘着剤が付着した場合に生じる、紙ジャム等の搬送不良や、搬送ローラの粘着剤汚れが用紙に移って用紙が汚れてしまうといった不具合を防止することができる。また、この構成によれば、前記一対の搬送ローラに付着した粘着剤の除去機構を設ける必要もなく、付着した粘着剤を除去するメンテナンスも不要になる。この結果、前記一対の搬送ローラを備えたことによる、装置コストの増大やメンテナンスの負担が大きくなるといった虞もない。なお、前記用紙における、前記転写部を通過している部分および該転写部を通過した後の部分には、粘着剤が転写されている場合もあるし、粘着剤が転写されていない場合もある。
ここで、前記粘着剤カートリッジは、前記粘着剤転写ユニットにおける、粘着剤カートリッジ装着スペースに対して着脱自在なものであり、例えばプリンタのリヤーカバー等に設けられた装着部に装着される。前記粘着剤カートリッジが着脱自在なものであるため、消耗品である前記粘着テープを使い切った場合には、該粘着剤カートリッジを容易に交換することができる。ここで、前記粘着剤カートリッジに、いわゆるスナップフィット構造を設け、このスナップフィット構造により、該粘着剤カートリッジを着脱できる態様を採用してもよい。
本発明の粘着剤転写ユニットは、前記転写部の位置が固定され、前記転写ローラが、搬送されてきた用紙を該転写部との間に挟み込み該転写部に巻き掛けられた前記粘着テープの粘着剤が前記一方の面に転写される転写状態と、該用紙から離れ該粘着剤が該一方の面に非転写となる退避状態との間で状態が移行するものであってもよい。また、本発明の粘着剤転写ユニットは、前記転写ローラの位置が固定され、前記粘着剤カートリッジを動作させることで、前記転写部が、搬送されてきた用紙を該転写ローラとの間に挟み込み該転写部に巻き掛けられた前記粘着テープの粘着剤が前記一方の面に転写される状態と、該用紙から離れ該粘着剤が該一方の面に非転写となる状態との間で状態が移行するものであってもよい。さらに、本発明の粘着剤転写ユニットは、前記転写部と前記転写ローラとの位置がともに固定され、搬送されてきた用紙を該転写部と該転写ローラとの間に挟み込み、前記粘着テープの粘着剤が前記一方の面に転写される転写状態が維持されるものであってもよい。
本発明の粘着剤転写ユニットにおいて、前記一対の搬送ローラは、前記転写部よりも前記用紙の搬送方向の下流側に配置されたものであることが好ましく、該一対の搬送ローラは、回転が停止した状態では搬送されてきた用紙を挟持しつつ該用紙が該搬送方向に引っ張られた際には空転するものであってもよい。
こうすることで、例えば所定長に切断された用紙における、搬送方向上流側の部分を前記一対の搬送ローラで挟持することで、該用紙を、搬送方向下流側の部分がプリンタ等の用紙排出口から出た状態に保持することができる。使用者により、前記用紙における、用紙排出口から出た部分が引っ張られると前記一対の搬送ローラが空転し、該一対の搬送ローラで挟持された用紙をスムーズに取り出すことができる。
また、本発明の粘着剤転写ユニットにおいて、前記転写部よりも前記用紙の搬送方向の上流側に配置され、搬送されてきた用紙を該用紙の厚み方向に挟んで搬送する一対の上流側搬送ローラを備え、
前記一対の搬送ローラの少なくとも一方は、駆動部材によって回転される駆動ローラであり、
前記一対の上流側搬送ローラの少なくとも一方は、前記駆動部材によって回転される駆動ローラであってもよい。
前記一対の上流側搬送ローラを備える態様を採用すれば、例えば、所定長に切断され搬送されてきた用紙を、前記一対の搬送ローラで挟み込むとともに、該一対の上流側搬送ローラで挟み込むことができ、該用紙の最少用紙長を短くすることができる。
ここで、前記搬送ローラの駆動ローラと、前記上流側搬送ローラの駆動ローラとは、前記駆動部材の駆動力が伝達されて連動して回転するものであってもよい。この態様を採用すれば、これらのローラの回転の同期が容易になり、用紙を安定して搬送することができる。
上記目的を解決する本発明のプリンタは、搬送されてきた用紙に印字を施す印字機構と、
前記印字機構によって印字された用紙に粘着剤を転写する請求項1〜4のうちいずれか1項記載の粘着剤転写ユニットとを備えたものであることを特徴とする。
ここで、前記プリンタは、搬送されてきた用紙を切断するカッタ機構を備え、
前記カッタ機構によって切断された前記用紙を前記転写部と前記転写ローラとの間に挟み込み、該用紙の前記一方の面に、前記粘着テープの粘着剤を転写してもよい。
この態様のプリンタによれば、前記カッタ機構によって切断された用紙に粘着剤を転写することで、切断された用紙における、搬送方向の上流側の端部部分にも粘着剤を転写させることができ、粘着剤が転写されない後端余白を少なくすることができる。
また、前記プリンタは、前記上流側搬送ローラよりも前記用紙の搬送方向の上流側に配置され、搬送されてきた用紙を切断するカッタ機構を備え、
前記搬送ローラと前記上流側搬送ローラとの距離を、該上流側搬送ローラと前記カッタ機構との距離と同じにしてもよい。
この態様のプリンタによれば、前記カッタ機構によって切断された用紙の最少用紙長を、前記搬送ローラと前記上流側搬送ローラとの距離、および該上流側搬送ローラと前記カッタ機構との距離と同じに設定することができる。この結果、限られた搬送経路の中で、最少用紙長を短く設定することができる。
本発明の粘着剤転写ユニットおよびプリンタによれば、粘着剤が転写された用紙の搬送が妨げられた場合であっても、粘着剤カートリッジに及ぼす悪影響を抑える工夫がなされた粘着剤転写ユニットおよびプリンタを提供することができる。
本発明の一実施形態であるプリンタのリヤーカバーを開けた状態を正面右斜め上方から見た斜視図である。 本発明の一実施形態であるプリンタを正面右斜め上方から見た斜視図である。 (a)は、図2に円で囲んで示す粘着剤カートリッジのA−A線断面図であり、(b)は、繰出リールから繰出された粘着テープが巻掛ローラに巻き掛けられた部分に、用紙が圧接されながら搬送されていく様子を概念的に示す図である。 図2に示すプリンタのB−B線断面図である。 図4に示すデカール機構を説明するための概念図である。 第1ユニットの全体を、左斜め後方から見た斜視図である。 図4に示す第1ユニットの要部を示す図である。 転写ローラにおける、転写状態と退避状態との間の状態の移行を説明するための図である。 図2に示すプリンタから取り外したリヤーカバーを、左斜め前方から見た斜視図である。 図4に示す粘着剤転写ユニットにおける第2ユニットの要部を抜き出して示す図である。 (a)は、転写ローラが転写状態にあり、搬送されきた用紙に粘着剤が転写される状態を側方から見て概念的に示す図である。(b)は、搬送ローラによって用紙が搬送される様子を他方の面側から見た図である。(c)は、搬送ローラによって用紙が搬送される様子を一方の面側から見た図である。 転写される状態から非転写状態への移行を説明するための図である。 用紙の一方の面における、ガイド部が接する部分を説明するための概念図である。 図1および図2に示すプリンタの回路構成を表すブロック図である。 剥離ガイドの構成が異なる第1変形例を示す図である。 剥離ガイドの構成が異なる第2〜第4変形例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明の一実施形態であるプリンタは、長尺の用紙がロール状に巻かれたロール紙を収容し、収容したロール紙から用紙を搬送しながらその用紙に印字を行い、印字された用紙を切断するプリンタである。また、このプリンタは、本発明の一実施形態である粘着剤転写ユニットを備えており、この粘着剤転写ユニットによって、用紙における、印字される面とは反対側の面に粘着剤が転写されるものである。なお、本発明の粘着剤転写ユニットは、プリンタに搭載される態様に限定されるものではなく、用紙を搬送する搬送機構を備えた各種機器に搭載可能なものである。
図1および図2は、本発明の一実施形態であるプリンタを正面右斜め上方から見た斜視図である。なお、図1は、後述するリヤーカバー12を開けた状態を示し、図2は、リヤーカバー12を閉めた状態を示している。図1および図2では、左斜め下側が前側(正面側)であり、右斜め上側が後ろ側(背面側)である。以下、各部品がプリンタ1に組み付けられた状態を基準にして前後左右を使い分けることがある。
図1および図2に示すように、プリンタ1は、プリンタ本体11と、リヤーカバー12と、フロントカバー13とを備えている。リヤーカバー12は、その一端部がプリンタ本体11における後側の上部部分にヒンジ結合されることでプリンタ本体11に回動自在に取り付けられており、リヤーカバー12を回動させることで、プリンタ本体11内を開閉することができる。フロントカバー13は、プリンタ本体11の前側上部部分に着脱自在に取り付けられている。
図1に示すように、プリンタ本体11には、ロール紙P’を収容する収容部111が設けられており、図1では、収容部111にロール紙P’が収容された様子を示している。リヤーカバー12を閉じると、フロントカバー13とリヤーカバー12との間に用紙排出口1aが形成される。なお、図1では、用紙排出口1aを画定する、フロントカバー13とリヤーカバー12それぞれの部分に用紙排出口1aの符号を付して示している。図1に示すプリンタ1では、収容部111と用紙排出口1aを結ぶ経路が用紙の搬送経路になり、収容部111から用紙排出口1aに向かう方向が用紙の搬送方向に相当する。以下の説明では、用紙の搬送経路を単に搬送経路と称し、用紙の搬送方向を単に搬送方向と称する。
図2では、粘着剤転写ユニットの構成部品の一つである粘着剤カートリッジ3を円で囲んで示すとともに、この粘着剤カートリッジ3が、リヤーカバー12に装着された様子を示してる。リヤーカバー12における、左右方向の中央部分には、装着部121が設けられており、この装着部121に粘着剤カートリッジ3が装着されている。また、粘着剤カートリッジ3は、ケーシング31の後端側の部分に、弾性変形可能なスナップフィット片311を有しており、前端側の下側部分には、係合凹部312が形成されている。粘着剤カートリッジ3は、スナップフィット片311が弾性変形する、いわゆるスナップフィット構造により、装着部121に対して容易に着脱することができる。なお、係合凹部312は、粘着剤カートリッジ3の、リヤーカバー12に対する位置決めのための構成であり詳しい説明は後述する。
図3(a)は、図2に円で囲んで示す粘着剤カートリッジ3のA−A線断面図である。
図3(a)に示すように、粘着剤カートリッジ3は、点線で示す粘着テープTと、ケーシング31と、ケーシング31内に収容された、繰出リール32、巻取リール33、逆転防止ギヤ34および連動ギヤ37を有している。なお、粘着テープTは、搬送される用紙Pよりも狭幅のものである。また、ケーシング31から前側(図では左側)に突き出た位置に、回転自在な巻掛ローラ35が配置されている。なお、図3(a)では、巻掛ローラ35は、左右両側に配置されたガイド36に隠れている。
繰出リール32は、図では時計回りに回転することで、粘着テープTを繰り出すものであり、巻取リール33は、図では時計回りに回転することで粘着テープTを巻き取るものである。繰出リール32は、その外周部分に歯321を有しており、巻取リール33は、図の裏側に歯車331を有している。連動ギヤ37は、繰出リール32の歯321と巻取リール33の歯車331とに歯合し、繰出リール32と巻取リール33とを連動させるものであり、この連動ギヤ37によって、繰出リール32が回転すると巻取リール33も回転する。なお、連動ギヤ37は、図では、その大部分が繰出リール32と巻取リール33に隠れている。逆転防止ギヤ34は、繰出リール32の歯321に歯合し、繰出リール32の時計回りの回転は許容する一方、繰出リール32の反時計回りの回転を阻止するものである。これにより、粘着テープTを巻き取る方向になる、繰出リール32の逆転(反時計回りの回転)が防止される。繰出リール32から繰出された粘着テープTは、巻掛ローラ35に巻き掛けられ、この巻掛ローラ35を経由した後、巻取リール33に巻き取られる。
図3(b)は、繰出リール32から繰出された粘着テープTが巻掛ローラ35に巻き掛けられた部分に、用紙Pが圧接されながら搬送されていく様子を概念的に示す図である。
粘着テープTは、その一方側の面に粘着剤Sが塗布されている。本実施形態では、粘着剤Sとして粘着力の弱い糊を用いており、図3(b)では、二点鎖線で示す粘着剤Sが塗布された面を外側にして、巻掛ローラ35に巻き掛けられている。用紙Pが、粘着テープTにおける、巻掛ローラ35に巻き掛けられた部分に圧接されると、粘着テープTから用紙Pに対して粘着剤Sが転写される。また、粘着テープTが巻掛ローラ35に巻き掛けられた部分に圧接された状態で、用紙Pが直線の矢印で示す搬送方向(図では左斜め上方)に搬送されると、用紙Pには粘着剤Sが転写されていくとともに、巻掛ローラ35は円弧状の矢印で示すように時計回りに回転し、粘着テープTは、白抜きの矢印で示す方向に走行する。以下、巻掛ローラ35に巻き掛けられた粘着テープTから、用紙Pに対して、粘着剤Sが転写される部位を転写部Wと称することがある。さらに、粘着剤Sについては、用紙Pに転写済みの粘着剤を転写済粘着剤S1と称し、転写部Wに巻き掛けられた粘着テープTの未転写の粘着剤を未転写粘着剤S2と称して区別する場合がある。また、図3(b)に示す、用紙Pが転写部Wに圧接する状態が、粘着剤が転写される状態であり、用紙Pが転写部Wから離れ、用紙Pに粘着剤Sが転写されない状態が非転写状態になる。以下の説明では、用紙Pにおける、粘着剤Sが転写される面(粘着剤Sが転写される前の状態、粘着剤Sが転写された状態、および粘着剤Sが転写されることなく転写部Wを通過した状態をすべて含む)を一方の面P1と称する場合があり、用紙Pにおける、一方の面P1とは反対側の面を他方の面P2と称する場合がある。なお、他方の面P2は、詳しくは後述する印字機構22(図4参照)によって印字が施される面である。
用紙Pが、転写部Wに圧接された状態で搬送され、粘着テープTが白抜きの矢印の方向に走行すると、図3(a)に示す、繰出リール32は、粘着テープTを繰出しつつ時計回りに回転する。これに連動して巻取リール33も時計回りに回転し、転写部Wを経由してきた粘着テープTが巻取リール33に巻き取られる。すなわち、本実施形態の粘着剤カートリッジ3は、転写される状態で粘着テープTが走行し、非転写状態では、粘着テープTの走行が停止する。これにより、非転写状態における粘着テープTの走行が回避され、用紙Pに粘着剤Sを転写することなく粘着テープTが巻取リール33に巻き取られてしまう、といった不経済な問題が生じない。
ここで、転写部Wに対して用紙Pを圧接する力を解除しても、粘着剤Sの粘着力により、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とが分断されにくい場合がある。転写部Wに対して用紙Pを圧接する力を解除したにも関わらず、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とが分断されない状態で用紙Pが搬送されると、用紙Pが粘着テープTに巻き込まれ(巻き連れ)、搬送不良を招く虞がある。また、転写部Wに対して用紙Pを圧接する力を解除したにも関わらず、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とが分断されない状態で用紙Pが搬送されると、搬送される用紙Pに粘着テープTが連れて送り出され、転写済粘着剤S1の搬送方向の長さが意図した長さよりも長くなってしまう場合がある。そこで、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とを分断させやすくする剥離ガイド7(図4や図9等参照)を設けている。詳しい説明は後述するが、剥離ガイド7は、一方の面P1に当接するガイド部G(図9や図10等参照)を有している。
図4は、図2に示すプリンタのB−B線断面図である。
図4では、収容部111に収容されたロール紙P’から引き出された用紙が、用紙排出口1aから排出されるまでの搬送経路Rを太い点線の矢印で示している。搬送経路Rにおいては、収容部111に収容されたロール紙P’側が上流側になり、用紙排出口1a側が下流側になる。
プリンタ1の内部には、収容部111に収容されたロール紙P’から搬送方向下流側に向かって、デカール機構21、印字機構22、カッタ機構23、および粘着剤転写ユニット10が記載順に配置されている。なお、前述した粘着剤カートリッジ3は、粘着剤転写ユニット10に含まれている。搬送経路Rを搬送される用紙には、印字機構22によって、他方の面P2(図2(b)参照)に印字が施され、粘着剤転写ユニット10によって、一方の面P1に粘着剤が転写される。以下の説明では、搬送経路Rを搬送される用紙における一方の面側を、単に一方の面側と称する場合があり、搬送経路Rを搬送される用紙における他方の面側を、単に他方の面側と称する場合がある。図4では、一方の面側R1と、他方の面側R2を示している。
図5は、図4に示すデカール機構を説明するための概念図である。
ロール紙P’は、長尺の用紙がロール状に巻かれたものであり、ロール紙P’から引き出された用紙Pには巻き癖(カール)がついている。この巻き癖によって、用紙Pが、粘着剤が転写される一方の面P1を内側にして丸まってしまい、用紙排出口1a(図4参照)から排出された後、一方の面P1が、リヤーカバー12(図4参照)の外装面に貼り付いてしまう場合がある。また、丸まった用紙Pどうしが、転写済粘着剤S1(図3(b)参照)によりくっついてしまう場合もある。そこで、本実施形態では、用紙Pの巻き癖を矯正するデカール機構21を設けている。
図4および図5に示すように、デカール機構21は、デカール部材211と、押え部材212とを有している。デカール部材211は、板状の本体部2111と、この本体部2111の搬送方向下流側に設けられたしごき部2112と、ばね2113とを有している。しごき部2112は、例えば金属製のシャフトによって構成されている。ばね2113は、本体部2111の搬送方向下流側の部分を、図の右斜め上方に付勢するものであり、これにより、用紙Pは、しごき部2112に接する部分で屈曲する。用紙Pが搬送され、用紙Pが屈曲した状態でしごき部2112を通過すると、しごき部2112によって用紙Pがしごかれ、用紙Pの巻き癖を矯正することができる。
ロール紙P’のロール径が小さくなると巻き癖が強くなり、切断された用紙Pが丸まる程度も大きくなる。このため、本実施形態では、ロール紙P’のロール径が小さくなると巻き癖の矯正力を大きくする押え部材212を設けている。
押え部材212は、アーム2121と、押え部2122と、軸2123とを有している。アーム2121は、軸2123を中心としてロール紙P’のロール径の変化に追従して回動するものであり、一端側がロール紙P’の外周面に当接し、一点鎖線で示すように、ロール紙P’のロール径が小さくなると一端側が下方に回動する。押え部2122は、アーム2121が回動するとアーム2121の下端部分に押されて軸2123を中心として回動するものであり、押え部2122は、用紙Pの一方の面P1における、しごき部2112に接する部分よりも搬送方向上流側の部分を抑え込む。これにより、用紙Pは、しごき部2112に接する部分で屈曲する角度が小さくなり、より大きな力で用紙Pの巻き癖を矯正することができる。このように、デカール機構21を備える態様を採用すれば、用紙Pの巻き癖を矯正することができる。
図4に示すように、プリンタ1には、デカール機構21よりも搬送方向下流側に、印字機構22が設けられている。この印字機構22は、プラテンローラ221と、印字ヘッド222とを有している。ロール紙P’から引き出され、デカール機構21を通過した用紙は、プラテンローラ221と印字ヘッド222との間に挟み込まれる。プラテンローラ221は、不図示のステッピングモータによって、時計回りに回転するものである。プラテンローラ221の回転に伴い、ロール紙P’から用紙が引き出され、引き出された用紙が搬送方向下流側に搬送される。印字ヘッド222は、用紙における、搬送方向と直行する用紙幅方向に並んだ複数の発熱素子を有し、用紙Pの他方の面P2(図3(b)参照)に印字を施すものである。詳しくは後述するプリンタ制御部90(図14参照)がこれら複数の発熱素子を選択的に発熱させることで、発熱素子に接した用紙に印字が施される。
印字機構22よりも搬送方向下流側には、カッタ機構23が設けられている。このカッタ機構23は、固定刃231と、カッタユニット232とを有している。カッタユニット232は、可動刃2321を有しており、この可動刃2321を固定刃231に対して往復動させることで用紙が切断される。
粘着剤転写ユニット10は、前述した粘着剤カートリッジ3、一対の上流側搬送ローラ51、転写ローラ52、一対の下流側搬送ローラ54、転写ローラ移動機構6、および剥離ガイド7を有している。
一対の上流側搬送ローラ51は、カッタ機構23よりも搬送方向下流側に配置され、搬送されてきた用紙を挟み込むものである。転写ローラ52は、転写ローラ移動機構6によって移動することで、転写部Wに対して接離自在に設けられたものである。一対の下流側搬送ローラ54は、転写部Wおよび転写ローラ52よりも搬送方向下流側に配置され、搬送されてきた用紙を挟み込むものである。剥離ガイド7は、軸シャフト71を回転中心として、他方の面側R2に向かう方向(図では前側)と、他方の面側R2に向かう方向とは反対の方向(図では後側)とに回動するものである。前述した粘着剤カートリッジ3は、その係合凹部312が、剥離ガイド7の軸シャフト71に係合し、スナップフィット片311の係合突起311aが、リヤーカバー12の装着部121に形成された凹部1211に係合している。この態様により、粘着剤カートリッジ3は、装着部121に対して着脱自在に位置決めされ、これにより、転写部Wの位置が固定される。このように、本実施形態では、粘着剤カートリッジ3をリヤーカバー12に固定する態様を採用しているため、粘着剤カートリッジ3を動作させる機構は不要になる。このため、粘着剤カートリッジ3を動作させる機構によってリヤーカバー12が重くなることがなく、開閉する際の操作性が悪化する虞がない。さらに、粘着剤カートリッジ3を動作させる機構に接続されるリード線等をリヤーカバー12に這い回す必要がなくなり、断線等の不具合が生じることがない。
粘着剤転写ユニット10は、フロントカバー13内に収容された第1ユニット10aと、リヤーカバー12内に収容された第2ユニット10bとから構成されている。第1ユニット10aは、前述した粘着剤転写ユニット10を構成する部材のうち、一対の上流側搬送ローラ51の一方、転写ローラ52、一対の下流側搬送ローラ54のうちの一方および転写ローラ移動機構6を有しており、これら部材が、他方の面側R2に配置されている。また、第2ユニット10bは、前述した粘着剤転写ユニット10を構成する部材のうち、粘着剤カートリッジ3、一対の上流側搬送ローラ51の他方、一対の下流側搬送ローラ54の他方、および剥離ガイド7を有しており、これら部材が、一方の面側R1に配置されている。
図6は、第1ユニットの全体を、左斜め後方から見た斜視図である。図6では、図の左斜め上方が前側になり、図の右斜め下方が後側になる。図7は、図4に示す第1ユニットの要部を示す図である。図6および図7では、搬送経路Rを太い点線で示している。また、図7では、説明の便宜のため、図3(b)に示す転写部Wを一点鎖線で示している。
図6に示すように、第1ユニット10aは、ケーシング41を有しており、このケーシング41の後側部分には、後側壁部411が設けられ、ケーシング41の左右両側にはそれぞれ側壁部412が設けられている。後側壁部411には、その左右方向の中央部分に、上下方向に大きく開口した中央開口411aが形成されている。また、後側壁部411における、中央開口411aの左右両側の下側部分それぞれには、中央開口411aよりも上下寸法の小さな上流側開口411bが形成され、中央開口411aの左右両側の上端部分それぞれには、下流側開口411cが形成されている。
上流側搬送ローラ51は、左右方向に延在した上流側シャフト511に、左右方向に互いに間隔をあけて3つ設けられている。左右の上流側搬送ローラ51は、その一部が、上流側開口411bから露出した状態で配置され、中央の上流側搬送ローラ51は、中央開口411a部分に配置されている。また、上流側シャフト511における、左側の側壁部412から突出した部分には、上流側ギヤ512が設けられている。
図7では、中央の上流側搬送ローラ51の断面を示しており、図6および図7に示すように、中央の上流側搬送ローラ51の搬送方向下流側には、転写ローラ52が設けられている。この転写ローラ52は、図7に示すように、転写ローラシャフト521に取り付けられている。また、中央の上流側搬送ローラ51と転写ローラ52の左右両側には、搬送方向に延在した一対の側板42が設けられている。図7では、左右一対の側板42のうち、右側に配置された側板42が示されている。この側板42の搬送方向上流側の部分には、上流側シャフト511が貫通し、側板42の搬送方向下流側の部分には、転写ローラシャフト521が取り付けられている。これら一対の側板42は、詳しくは後述する転写ローラ移動機構6によって、上流側シャフト511を回転中心として、一方の面側R1に向かう方向と、一方の面側R1に向かう方向とは反対の方向とに回動するものである。また、図6および図7に示すように、中央の上流側搬送ローラ51と転写ローラ52は、平ベルト53によって連結されている。これらにより、一対の側板42が、上流側シャフト511を回転中心として、一方の面側R1に向かう方向と、一方の面側R1に向かう方向とは反対の方向とに回動すると、平ベルト53が巻き掛けられた転写ローラ52は、転写部Wに対して接離自在に移動する。すなわち、転写ローラ52は、詳しくは後述する転写ローラ移動機構6によって移動され、搬送されてきた用紙を転写部Wとの間に挟み込み、図3(b)に示す、転写部Wに巻き掛けられた粘着テープTの粘着剤Sが一方の面P1に転写される状態と、用紙Pから離れ粘着剤Sが一方の面P1に非転写となる状態との間で状態が移行するものである。以下、転写ローラ52における、転写部Wに巻き掛けられた粘着テープTの粘着剤Sが一方の面P1に転写される状態を転写状態と称することがあり、用紙Pから離れ粘着剤Sが一方の面P1に非転写となる状態を退避状態と称することがある。
下流側搬送ローラ54は、左右方向に延在した下流側シャフト541の左右両側部分にそれぞれ設けられている。これら下流側搬送ローラ54は、その一部が、下流側開口411cから露出した状態で配置され、転写ローラ52の搬送方向下流側になる、中央開口411a部分には設けられていない。また、下流側シャフト541における、左側の側壁部412から突出した部分には、下流側ギヤ542が設けられている。
ケーシング41には、搬送モータが収容されており、この搬送モータの回転軸43が、左側の側壁部412から突出し、この突出した部分にピニオンギヤ431が取り付けられている。また、左側の側壁部412には、二段ギヤ44と、2つの連結ギヤ45が設けられている。搬送モータのピニオンギヤ431は、二段ギヤ44の大径部に噛合しており、二段ギヤ44の小径部には2つの連結ギヤ45が噛合している。また、一方の連結ギヤ45に上流側ギヤ512が噛合し、他方の連結ギヤ45に下流側ギヤ542が噛合している。本実施形態では、搬送モータを駆動させ、左側から見て、ピニオンギヤ431が、時計回りに回転すると、二段ギヤ44が反時計回りに回転し、2つの連結ギヤ45が時計回りに回転する。2つの連結ギヤ45が時計回りに回転すると、図6において、円弧上の矢印で示すように、上流側ギヤ512と下流側ギヤ542が反時計回りに回転する。これによって、上流側シャフト511に取り付けられた3つの上流側搬送ローラ51も反時計回りに回転し、下流側シャフト541に取り付けられた2つの下流側搬送ローラ54も反時計回りに回転する。さらに、前述したように、中央の上流側搬送ローラ51と転写ローラ52が平ベルト53によって連結されているため、図7において円弧状の矢印で示すように、中央の上流側搬送ローラ51が反時計回りに回転すると、直線の矢印で示すように平ベルト53が反時計回りに走行し、これによって円弧状の矢印で示すように、転写ローラ52も、反時計回りに回転する。
すなわち、3つの上流側搬送ローラ51、2つの下流側搬送ローラ54および転写ローラ52は、駆動部材としての搬送モータによって回転される駆動ローラである。以下、上流側搬送ローラ51のうちの駆動ローラを、上流側搬送駆動ローラ51aと称し、下流側搬送ローラ54のうちの駆動ローラを、下流側搬送駆動ローラ54aと称して、区別する場合がある。
このように、一つの駆動部材によって、上流側搬送駆動ローラ51a、下流側搬送駆動ローラ54aおよび転写ローラ52を回転させる態様を採用すれば、これらのローラの回転の同期が容易になる。さらに、転写ローラ52を回転させる個別の駆動部材が不要になり、機構の複雑化や大型化を回避することもできる。ここで、転写ローラ52を移動させる態様においては、転写ローラ52を回転させる個別の駆動部材を設けると、転写ローラ52を移動させる機構の複雑化やコストアップを招く虞もある。このため、転写ローラ52を移動させる態様において、転写ローラ52が不要になるメリットが特に大きくなる。
また、本実施形態では、上流側搬送駆動ローラ51aを駆動させる搬送モータの駆動力を、平ベルト53によって転写ローラ52に伝達する態様を採用している。すなわち、平ベルト53は、伝達機構の一例に相当する。なお、この伝達機構は、平ベルト53に限らず、複数のギヤの組合せであってもよいし、駆動部材もモータに限定されるものではない。
図7に示すように、転写ローラ移動機構6は、ソレノイド61と、リンク板62と、連結ロッド63と、押圧駒64と、押圧ばね65とを備えている。連結ロッド63は、下端部分がリンク板62に取り付けられるとともに、頭部631が押圧駒64を貫通した状態で押圧駒64に取り付けられており、連結ロッド63によって、リンク板62と押圧駒64とが連結されている。押圧駒64は、側板42に連結したものであり、押圧ばね65によって一方の面側R1に向けて付勢されている。
図8は、転写ローラにおける、転写状態と退避状態との間の状態の移行を説明するための図である。図8では、平ベルト53が巻き掛けられた転写ローラ52、転写ローラ移動機構6、粘着剤カートリッジ3および上流側搬送ローラ51を、上方から見た様子を示している。また、図8(a)では、転写ローラ52の退避状態を示し、同図(b)では、転写ローラ52の転写状態を示している。
図8(a)および同図(b)に示すように、ソレノイド61のプランジャ611には、下方(図における紙面奥側)に突出した係止ピン611aが設けられている。リンク板62は、平面視略逆L字状の板材であり、右側の端部部分が、軸ピン621によって回動自在に軸支されている。また、リンク板62の左側部部分における、前側には、スリット62aが形成され、後側には、ガイド長孔62bが形成されている。スリット62aには、ソレノイド61の係止ピン611aが挿入され、ガイド長孔62bにはガイドピン622が挿入されている。押圧駒64には、矩形孔64aが形成されており、リンク板62と押圧駒64とを連結する連結ロッド63(図7参照)の頭部631が矩形孔64aから突出している。
図8(a)に示す、転写ローラ52の退避状態から、ソレノイド61を駆動させ、図8(b)に細い直線の矢印で示すようにプランジャ611が突出すると、スリット62aに挿入された係止ピン611aによってリンク板62の前側部分が押され、リンク板62は、円弧状の矢印で示すように、軸ピン621を回動中心としガイドピン622にガイドされながら反時計回りにわずかに回動する。リンク板62が反時計回りに回動すると、リンク板62と連結ロッド63によって連結された押圧駒64が、太い直線の矢印で示すように、一方の面側(後側)に向けて移動する。これにより、側板42が上流側シャフト511を中心に一方の面側R1に向けて回動し(図7参照)、転写ローラ52が、図8(b)に示す転写状態に移行する。
一方、図8(a)に細い直線の矢印で示すように、ソレノイド61のプランジャ611が後退すると、リンク板62が円弧状の矢印で示すように時計回りに回動し、押圧駒64が押圧ばね65の付勢力に抗して太い直線の矢印で示すように転写部Wから離れる方向(図の前側)に向けて移動する。これにより、側板42が上流側シャフト511を中心に、一方の面側に向かう方向とは反対の方向に向けて回動し(図7参照)、転写ローラ52が、転写部Wから離れ、図8(a)に示す退避状態に移行する。
このように転写ローラ52の状態を、転写状態と退避状態との間で状態を移行させることで、転写される状態と非転写状態との間で状態を移行させることができる。すなわち、転写ローラ52の状態を移行させるタイミングを調整することで、搬送されてきた用紙Pにおける、搬送方向の所望の箇所に粘着剤を転写させることができる。例えば、図4に示すカッタ機構23によって切断された用紙Pにおける、搬送方向の全長にわたって粘着剤を転写させることもできるし、搬送方向上流側部分のみ、あるいは搬送方向下流側部分のみに粘着剤を転写させることもできる。さらには、粘着剤を全く転写させずに、転写部Wを通過させることもできる。
図9は、図2に示すプリンタから取り外したリヤーカバーを、左斜め前方から見た斜視図である。図10は、図4に示す粘着剤転写ユニットにおける第2ユニットの要部を抜き出して示す図である。なお、図9および図10では、搬送経路Rを太い点線の矢印で示している。
図9に示すように、リヤーカバー12には、第2ユニット10bの他に、プラテンローラ221も設けられている。第2ユニット10bは、前側部分に立設した前側壁部46を有しており、この前側壁部46には、転写部Wと剥離ガイド7が前側に露出する切欠部46aが形成されている。また、前側壁部46には、切欠部46aの下方位置に、左右方向に間隔をあけて3つの開口部46bが形成されている。この3つの開口部46bそれぞれからは、上流側搬送ローラ51の一部が露出している。リヤーカバー12の天面における、前側部分には、剥離ガイド7を挟んだ左右両側それぞれに、前側に向かって下方に傾斜した傾斜部122が形成されており、この傾斜部122と、前側壁部46の上端部分との間には、一部が露出した状態で下流側搬送ローラ54が配置されている。すなわち、下流側搬送ローラ54は、転写部Wを挟んだ左右両側に配置されている。前述の3つの上流側搬送ローラ51は、図6に示す上流側搬送駆動ローラ51aの回転に伴い回転する従動ローラである。また、2つの下流側搬送ローラ54は、図6に示す下流側搬送駆動ローラ54aの回転に伴い回転する従動ローラである。
剥離ガイド7は、転写部Wを挟んだ左右両側に立設した一対の側方ガイド72と、これら一対の側方ガイド72を、転写部Wよりも搬送方向上流側で連結する連結ガイド73とを有し、前側から見て、上方が解放した略U字状に形成されている。図10に示すように、側方ガイド72は、その前端部分が、連結ガイド73の前面から前側に傾斜して立ち上がった後、上端部分721が後側に傾斜している。この上端部分721は、搬送されてきた用紙Pが接触して搬送が妨げられることを回避する、いわゆる逃げの作用を奏する部分である。
本実施形態では、剥離ガイド7における、連結ガイド73の前面、および、側方ガイド72の、上端部分721を除いた、前端部分が、用紙の一方の面に接するガイド部Gに相当する。なお、連結ガイド73には、左右方向における中央部分にリブ731が形成されており、連結ガイド73まで搬送されてきた用紙は、このリブ731に特に強く接触する。
前述したように、剥離ガイド7は、軸シャフト71を中心にして回動するものである。また、剥離ガイド7は、円弧状の矢印で示すように、ガイド部Gを他方の面側R2に向けて付勢するばね74(図12参照)を有している。なお、図10では、ばね74は、粘着剤カートリッジ3に隠れている。図9および図10では、図7に示す転写ローラ52が退避状態にあり、ガイド部Gが、ばね74の付勢力により他方の面側R2に向けて前進した位置にある様子を示している。ガイド部Gが前進した状態では、ガイド部Gが転写部Wよりも搬送経路R側(図では前側であり、搬送経路Rに近づく側)に位置し、搬送経路Rを搬送されてきた用紙が、転写部Wに接触することが防止される。
一方、図7に示す転写ローラ52が転写状態に移行し、転写ローラ52が、搬送されてきた用紙Pを転写部Wとの間に挟み込むと、剥離ガイド7は用紙Pに押される。これにより、剥離ガイド7は、ばね74の付勢力に抗して時計回りに回動し、ガイド部Gが、図9に示す、前進した位置から後退する。すなわち、ガイド部Gが後退した位置にあると、搬送されてきた用紙が転写部Wに接触することが許容される。図9では、剥離ガイド7が時計回りに回動し、ガイド部Gが後退した位置にある様子を円で囲んで示している。なお、プリンタ1における、リヤーカバー12を、第2ユニット10bを除いたリヤーカバー(印字機構のうちのプラテンローラ221等を有するもの)に交換し、図4に示すフロントカバー13も、図6に示す第1ユニット10aを除いたフロントカバーに交換することで、粘着剤の転写機能を有しないプリンタ1として使用することもできる。
続いて、図11を用いて、搬送ローラによる用紙の搬送と、搬送される用紙への粘着剤の転写について詳しく説明する。
図11(a)は、転写ローラ52が転写状態にあり、搬送されきた用紙Pに粘着剤Sが転写される状態を側方から見て概念的に示す図である。この図11(a)では、左右方向における、中央の上流側搬送ローラ51を示し、下流側搬送ローラ54は、その位置を二点鎖線で示している。また、搬送方向を直線の矢印で示している。図11(b)は、搬送ローラによって用紙が搬送される様子を他方の面側から見た図であり、同図(c)は、搬送ローラによって用紙が搬送される様子を一方の面側から見た図である。この図11(c)では、転写部Wを、四角で囲んで概念的に示している。なお、図11では、剥離ガイドを省略している。
図11(a)に示すように、用紙Pが転写ローラ52と転写部Wとの間に挟み込まれた状態で搬送されると、一方の面P1に粘着剤Sが転写されていく。図11(c)では、一方の面P1に粘着剤Sが転写された部分S’を網掛けして示しており、本実施形態では、用紙Pの用紙幅方向(用紙搬送方向に直行する方向)における中央部分に転写部Wから粘着剤Sが転写されていく。ここで、用紙Pにおける、粘着剤Sが転写される部分には、粘着テープTを走行させる際の負荷や粘着テープTから粘着剤Sを剥がすための負荷等が生じる。このため、用紙Pにおける粘着剤Sが転写された部分S’は、その左右両側の部分に比べ、搬送が遅れ、搬送不良が発生する虞がある。このため、転写ローラ52を、上流側搬送駆動ローラ51aと平ベルト53によって連結し、転写ローラ52も駆動ローラとすることで、転写部Wにおいても用紙Pを搬送する力を生じさせている。これにより、用紙Pにおける粘着剤Sが転写された部分S’の搬送遅れを抑制することができる。また、本実施形態では、転写ローラ52と上流側搬送駆動ローラ51aとを連結する平ベルト53が走行することで、この平ベルト53によっても用紙Pが搬送され、用紙Pにおける粘着剤Sが転写された部分S’の搬送遅れをより回避することができる。さらに、平ベルト53によって、搬送される用紙Pが撓まず安定して用紙Pを搬送できるとともに、平ベルト53は、転写部Wにおいて粘着剤Sを転写する際の支持台としても機能するものである。
ここで、図2や図4に示す用紙排出口1aが塞がれてしまった場合には、用紙排出口1aから用紙Pが排出されず、この排出されない用紙Pが撓んでシワになった状態で、転写部Wの粘着テープTに巻き込まれて、粘着剤カートリッジ3に不具合を生じさせる虞がある。このため、転写部Wよりも搬送方向の下流側に下流側搬送ローラ54を設けている。この態様によれば、用紙排出口1aからの用紙Pの排出不良が発生した場合であっても、下流側搬送ローラ54が用紙Pを用紙排出口1aに向けて搬送し続けるため、撓んでシワになった用紙Pが転写部Wの粘着テープTに巻き込まれてしまうことが防止できる。なお、図11(b)および同図(c)に二点鎖線で示すように、下流側シャフト541が、用紙搬送方向において転写部Wと並んだ位置になるように、下流側搬送ローラ54を設けてもよい。すなわち、下流側搬送ローラ54は、転写部W以降の下流側の箇所を、挟んで搬送するものであればよい。
さらに、図11(c)に示すように、下流側搬送ローラ54は、用紙Pにおける粘着剤Sが転写された部分S’には、配置されていない。すなわち、下流側搬送ローラ54は、用紙Pにおける、転写部Wを通過している部分および転写部Wを通過した後の部分の双方の部分を除く箇所を挟んで搬送するものである。このため、下流側搬送ローラ54に粘着剤が付着して汚れてしまう虞がない。これにより、搬送ローラが粘着剤で汚れることで生じる、紙ジャム等の搬送不良を防止することができる。なお、下流側搬送ローラ54に非粘着処理を施したり、粘着剤除去機構を設ける態様も考えられるが、その分装置コストが増大してしまう。また、定期的にメンテナンスを行い、付着した粘着剤を除去することも考えられるが、メンテナンスの負担が増大し、好ましくない。
また、本実施形態の下流側搬送ローラ54は、図4に示すカッタ機構23によって切断され搬送されてきた用紙Pを挟持しつつ、この用紙Pが引っ張られた際には、空転する、いわゆる遊びを有するものである。これにより、用紙Pを、その搬送方向下流側の部分が用紙排出口1a(図4等参照)から出た状態で下流側搬送ローラ54によって挟持し、使用者により用紙Pが引っ張られると下流側搬送ローラ54が空転し、用紙排出口1aから用紙Pをスムーズに取り出すことができる。
図12は、転写される状態から非転写状態への移行を説明するための図である。図12においては、(a−1)、(b−1)および(c−1)は、上方から見た図であり、(a−2)、(b−2)および(c−2)は側方から見た図である。また、図12においては、(a−1)および(a−2)は、転写ローラ52が、退避状態の様子を示し、(b−1)および(b−2)は、転写ローラ52が、転写状態の様子を示し、(c−1)および(c−2)は、転写ローラ52が、転写状態から退避状態へ移行する様子を示している。なお、図12では、用紙Pを点線で示しており、図の左側が前側になり、図の右側が後側になる。
図12(a−1)および同図(a−2)に示すように、転写ローラ52が退避状態にある場合には、剥離ガイド7がばね74によって付勢され、ガイド部Gが、他方の面側に向けて前進した位置にあり、用紙Pは、その一方の面P1がガイド部Gに接することで、転写部Wから離れるように案内されている。これにより、用紙Pの一方の面P1が、転写部Wに接することが防止されている。なお、用紙Pは、ガイド部Gよりも離れた位置で、一対の下流側搬送ローラ54に挟み込まれているため、図12(a−1)に示すように、転写部Wの左右両側に位置するガイド部Gどうしの間の部分には、張力がかかって張った状態になり、搬送方向においては、同図(a−2)に示すように、ガイド部Gに沿った状態になる。この状態は非転写状態であり、この非転写状態で用紙Pが搬送されても、一方の面P1には粘着剤は転写されない。
次いで、ソレノイド61(図8参照)を駆動させ、転写ローラ52が転写状態に移行すると、図12(b−1)および同図(b−2)に示すように、用紙Pが、転写部Wと転写ローラ52との間に挟み込まれる。これにより、剥離ガイド7が用紙Pに押され、ばね74の付勢力に抗して、図の円弧状の矢印で示すように時計回りに回動し、ガイド部Gが、図12(a−1)および同図(a−2)に示す、前進した位置から後退する。この状態が転写状態であり、この転写状態で用紙Pが搬送されると、図11を用いて前述したように、用紙Pの一方の面に粘着剤が転写される。なお、図では明らかではないが、一対の上流側搬送ローラ51に用紙Pが挟み込まれる箇所と、一対の下流側搬送ローラ54に用紙Pが挟み込まれる箇所とを結ぶ線上に対して、転写部Wと転写ローラ52との間に用紙Pが挟み込まれる箇所は、剥離ガイド7が付勢される方向とは反対側にわずかに後退した位置にある。
次に、ソレノイド61を駆動させ、図12(c−1)および同図(c−2)に示すように、転写ローラ52が転写部Wから離れる方向に移動して転写状態から退避状態に移行すると、剥離ガイド7がばね74の付勢力によって反時計回りに回動を開始し、ガイド部Gが他方の面側に向けて前進する。これにより、用紙Pがガイド部Gによって他方の面側に向けて押され、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とが分断されやすい(図3(b)参照)。この結果、転写ローラ52が、転写状態から退避状態に移行すると直ぐに、用紙Pが、転写される状態から非転写状態に移行する。すなわち、転写ローラ52が退避状態に移行したにも関わらず、未転写粘着剤S2が用紙Pに転写されて転写される状態が続いてしまうことを防止できる。このため、転写ローラ52を、転写状態から退避状態に移行させるタイミングを調整することで、転写済粘着剤S1の、搬送方向における長さを、所望の長さに調整することが容易になる。また、転写ローラ52が、転写状態から退避状態に移行したにも関わらず、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とが分断されない状態で用紙Pが搬送され、用紙Pが粘着テープTに巻き込まれて搬送不良を招くといった虞もない。
ここで、本実施形態では、図12(b−2)に示すように、転写部Wを通過した粘着テープT(巻き取られる方向)と、用紙Pにおける、転写部Wを通過した部分との角度αが、90°以上になるように設定されている。この態様を採用すれば、いわゆる糊切れがよくなり、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とがより分断されやすくなる。また、本実施形態では、ソレノイド61のプランジャ611(図8参照)の動きが早いため、転写ローラ52が転写状態から退避状態に移行すると、用紙Pは、平ベルト53における、転写ローラ52に巻き掛けられた部分に接しない状態で、ガイド部Gによって他方の面P2側に押されることになる。
なお、本実施形態では、転写ローラ52の退避状態から転写状態に移行する際に、用紙Pによってガイド部Gを押す態様を採用しているが、転写ローラ52の幅寸法を大きくして転写ローラ52によってガイド部Gを押す態様を採用してもよい。
図13は、用紙の一方の面における、ガイド部が接する部分を説明するための概念図である。図13は、図11(c)に対応した一方の面側から見た図であり、図の下から上に向かう方向が搬送方向になり、図の左右方向が用紙幅方向になる。
この図13では、用紙Pの一方の面P1における、ガイド部Gが接する部分のうち、転写部Wによって粘着剤が転写される転写部分よりも搬送方向下流側の下流側部分Y1には左下がりのハッチングを施し、転写部分から用紙幅方向に外れた並列部分Y2にはクロスハッチングを施し、転写部分よりも搬送方向上流側の上流側部分Y3には右下がりのハッチングを施している。
下流側部分Y1は、用紙Pにおける、転写部Wを通過した後の用紙幅方向の一部分から用紙Pの用紙幅方向に外れた部分に相当する。ガイド部Gが下流側部分Y1に接することで、転写ローラ52が転写状態から退避状態に移行する際に、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とを、より分断させやすくなる。
ここで、転写ローラ52が転写状態にある場合において、用紙Pの、転写部Wを通過した部分の転写済粘着剤S1と、未転写粘着剤S2とが分断されず、用紙Pの搬送不良が生じる場合がある。本実施形態では、転写ローラ52が転写状態にある場合であっても、ガイド部Gが下流側部分Y1に接することで、転写状態において、用紙Pの、転写部Wを通過した部分の転写済粘着剤S1と、未転写粘着剤S2とを分断させやすくなる。
さらに、用紙排出口1aから排出された用紙Pにおける、粘着剤が転写された一方の面P1を下側にして倒れることを防ぎ、例えば、プリンタ1の外装面に貼り付いてしまうといった不具合を回避することができる。なお、本実施形態では、図4に示す、用紙排出口1aから排出される用紙の搬送経路Rを、鉛直方向に対して前側に15度程度傾斜させている。この搬送経路Rを前側に傾斜させる態様によっても、用紙排出口1aから排出された用紙Pが、一方の面P1を下側にして倒れにくくなる。しかしながら、搬送経路Rを前側に傾斜させるほど、装置の設置面積が大きくなるといった問題が生じるため、搬送経路Rを前側に傾斜させるといった対策は、許容される装置の設置面積の範囲で制限されてしまう。本実施形態では、用紙Pの下流側部分Y1に接するガイド部Gを採用することで、装置の設置面積の拡大を抑えつつ、簡易な構成によって、用紙排出口1aから排出された用紙Pにおける、粘着剤が転写された一方の面P1を下側にして倒れることを防止することができる。
図13に示す並列部分Y2は、用紙Pにおける、転写部Wに位置する用紙幅方向の一部分から用紙幅方向に外れた部分に相当するものである。ガイド部Gが並列部分Y2に接することで、転写状態における、用紙Pの、粘着剤が転写されている転写部分に近い部分にガイド部Gが接することになり、転写ローラ52が転写状態から退避状態に移行する際に、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とを、より効率的に分断させることができる。
上流側部分Y3は、用紙Pにおける、転写部Wを通過する前の用紙全幅のうちの一部分に相当する。用紙Pにおける、転写部Wを通過する前の部分には粘着剤が転写されていない。このため、本実施形態では、用紙Pにおける、転写部Wの搬送方向上流側に位置する部分にもガイド部Gが接してもよい。この態様によれば、転写ローラ52が転写状態から退避状態に移行する際に、特に、用紙Pにおける、用紙幅方向の中央部分の、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とを効率的に分断させることができる。
本実施形態のプリンタ1においては、用紙Pの搬送や切断、用紙Pへの印字や粘着剤の転写等は、マイクロコンピュータで構成されるプリンタ制御部90によって制御される。
図14は、図1および図2に示すプリンタの回路構成を表すブロック図である。
図1および図2に示すプリンタ1の内部には、図14に示すようにプリンタ制御部90が設けられている。プリンタ制御部90には、プラテン制御回路94、印字ヘッド制御回路95、カッタ制御回路96、転写ローラ制御回路97および搬送ローラ制御回路98それぞれが接続されている。プリンタ制御部90は、CPU91、RAM92およびROM93を備えている。ROM93には、プラテン制御回路94を制御するプラテン制御プログラム、印字ヘッド制御回路95を制御する印字ヘッド制御プログラム、カッタ制御回路96を制御するカッタ制御プログラム、転写ローラ制御回路97を制御する転写ローラ制御プログラム、搬送ローラ制御回路98を制御する搬送ローラ制御プログラム等の各種プログラムが記憶されている。
プラテン制御回路94は、プラテンローラ221を回転させる不図示のプラテン用モータに接続している。印字ヘッド制御回路95は、図4に示す印字ヘッド222に接続し、カッタ制御回路96は、同じく図4に示すカッタユニット232に接続している。転写ローラ制御回路97は、図8に示すソレノイド61に接続している。搬送ローラ制御回路98は、図6に示すケーシング41内に収容された、不図示の搬送モータに接続している。
プラテン制御回路94は、プラテン制御プログラムに基づくCPU91の制御に従って、プラテン用モータを駆動させ、プラテン用モータを回転させる。プラテン用モータが回転すると、プラテンローラ221も回転し、これにより、用紙Pが、搬送方向に搬送される。
印字ヘッド制御回路95は、印字ヘッド制御プログラムに基づくCPU91の制御に従って、印字ヘッド222に用紙Pの他方の面P2への印字動作を行わせるものである。印字ヘッド222は、CPU91の制御に従って複数の発熱素子を選択的に発熱させることで、発熱素子に接した用紙Pに印字を施すものである。
カッタ制御回路96は、カッタ制御プログラムに基づくCPU91の制御に従って、カッタユニット232の可動刃2321を駆動させるものである。可動刃2321が駆動すると、可動刃2321と固定刃231によって用紙Pが切断される。
転写ローラ制御回路97は、転写ローラ制御プログラムに基づくCPU91の制御に従って、ソレノイド61を駆動させ、転写ローラ52を、転写状態と退避状態との間で状態を移行させるものである。
搬送ローラ制御回路98は、搬送ローラ制御プログラムに基づくCPU91の制御に従って、不図示の搬送モータを駆動させ、図6に示す搬送モータの回転軸43を回転させる。搬送モータの回転軸43が回転すると、上流側搬送ローラ51、下流側搬送ローラ54および転写ローラが連動して回転し、用紙Pが搬送される。
次いで、図14に示すプリンタ制御部90によって行われるメインプログラムの動作を説明する。
このメインプログラムは、プリンタ1の電源投入によってスタートする。初めに、プリンタ制御部90のCPU91は、印字指令が発生したと判定すると、プラテン用モータを駆動しプラテンローラ221の回転を開始するとともに印字ヘッド222によって用紙Pの他方の面P2への印字を開始する。プラテンローラ221が回転すると、用紙Pは搬送方向に搬送され、デカール機構21によって巻き癖が矯正される。
CPU91は、搬送される用紙Pが上流側搬送ローラ51に到達する前に、搬送モータを駆動させ、上流側搬送駆動ローラ51a、下流側搬送駆動ローラ54aおよび転写ローラの回転を開始するとともに、所定のタイミングで、ソレノイド61を駆動させ、転写ローラ52を、転写状態と退避状態との間で状態を移行させる。これにより、転写部Wにおいて用紙Pの一方の面P1の所定の箇所に粘着剤が転写されながら、用紙Pが用紙排出口1aから排出される。また、CPU91は、印字ヘッド222による印字が終了した後、プラテンローラ221の回転を停止する。次いで、CPU91は、カッタユニット232の可動刃2321を駆動させる。これにより、用紙Pは、所定長に切断される。ここで、カッタ機構23による用紙Pの切断のタイミングと、転写部Wにおける粘着剤を転写するタイミングとは、用紙Pの用紙長や粘着剤を転写する位置によって決定されるものである。例えば、カッタ機構23によって用紙Pを切断した後に、転写部Wで粘着剤を転写させれば、粘着剤が転写されない後端余白を少なくすることができる。また、用紙Pの前端部分にのみ粘着剤を転写させる場合には、転写部Wでの粘着剤の転写が終了した後、カッタ機構23によって用紙Pが切断される場合もある。本実施形態のプリンタ1では、図4に示すように、カッタユニット232の可動刃2321が往復動する位置から上流側搬送ローラ51によって用紙Pを挟み込む位置までの間隔と、上流側搬送ローラ51によって用紙Pを挟み込む位置から下流側搬送ローラ54によって用紙Pを挟み込む位置までの間隔とを略同じに設定している。これにより、最少用紙長を短くすることができる。
次いで、これまで説明してきた粘着剤転写ユニット10の変形例について説明する。以下の変形例の説明では、これまで説明してきた粘着剤転写ユニット10との相違点を中心に説明し、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
図15は、剥離ガイドの構成が異なる第1変形例を示す図であり、図15(a)〜(c)は、図12(a−2)〜(c−2)に対応する図である。
図15に示すように、本変形例の剥離ガイド7は、下流側ガイド部G1と、並列ガイド部G2とを有している。
図15(a)に示すように、転写ローラ52が退避状態にある場合には、剥離ガイド7がばね74によって付勢され、下流側ガイド部G1および並列ガイド部G2が、他方の面側に向けて前進した位置にある。搬送されてきた用紙Pは、その一方の面P1が下流側ガイド部G1に接することで、転写部Wから離れるように案内されている。また、本変形例では、図12に示す下流側搬送ローラ54は設けられていないため、搬送されてきた用紙Pは、平ベルト53に接した状態になり、平ベルト53によって、用紙Pの搬送がより効果的に行われる。
次いで、図8に示すソレノイド61を駆動させ、転写ローラ52が転写状態に移行すると、図15(b)に示すように、用紙Pが、転写部Wと転写ローラ52との間に挟み込まれる。これにより、剥離ガイド7が用紙Pに押され、ばね74の付勢力に抗して、図の円弧状の矢印で示すように、時計回りに回動し、下流側ガイド部G1および並列ガイド部G2が、前進した位置から後退する。この状態が転写状態であり、この転写状態で用紙Pが搬送されると、転写部Wにおいて、用紙Pの一方の面P1に粘着剤が転写され、転写部Wを通過した部分は、下流側ガイド部G1によって、転写部Wから離れるように案内される。これにより、転写ローラ52が転写状態にある場合であっても、ガイド部Gが下流側部分Y1(図13参照)に接することで、転写状態において、用紙Pの、転写部Wを通過した部分の転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とを分断させやすくなる。
次に、ソレノイド61(図8参照)を駆動させることで、転写ローラ52が転写状態から退避状態に移行し、図15(c)に示すように、転写ローラ52が転写部Wから離れる方向に移動すると、剥離ガイド7がばね74の付勢力によって反時計回りに回動し始め、下流側ガイド部G1および並列ガイド部G2が、他方の面側に向けて前進する。これにより、用紙Pが他方の面側に向けて押され、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とが分断される。
本変形例では、図15(b)に示す転写状態においても、下流側ガイド部G1によって、搬送されてきた用紙Pが、転写部Wから離れるように案内される。このため、転写ローラ52が転写状態から退避状態に移行した際に、転写済粘着剤S1と未転写粘着剤S2とをより効率的に分断させることができる。
図16は、剥離ガイド7の構成が異なる第2〜第4変形例を示す図であり、図16(a)〜(c)は、図15(b)に対応する図である。
図16(a)は、第2変形例を示す図であり、この第2変形例の剥離ガイド7は、図13に示す下流側部分Y1に接する下流側ガイド部G1を有するものである。図16(b)は、第3変形例を示す図であり、この第3変形例の剥離ガイド7は、図13に示す並列部分Y2に接する並列ガイド部G2を有するものである。また、図16(c)は、第4変形例を示す図であり、この第4変形例の剥離ガイド7は、図13に示す上流側部分Y3に接する上流側ガイド部G3を有するものである。
これら第2〜第4変形例のように、剥離ガイド7は、下流側部分Y1、並列部分Y2および上流側部分Y3のうちのいずれか1つに接するガイド部を有するものであってもよい。また、上記実施形態のように、剥離ガイド7は、下流側部分Y1、並列部分Y2および上流側部分Y3の全てに接するガイド部Gを有するものであってもよい。さらに、図15に示す第1変形例のように、剥離ガイド7は、下流側部分Y1、並列部分Y2および上流側部分Y3のうちの2つに接するガイド部Gを有するものであってもよい。
本発明は前述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。なお、以上説明した実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、実施形態や他の変形例に適用してもよい。
10 粘着剤転写ユニット
1 プリンタ
21 デカール機構
3 粘着剤カートリッジ
51 上流側搬送ローラ
52 転写ローラ
53 平ベルト
54 下流側搬送ローラ
6 転写ローラ移動機構
7 剥離ガイド
G ガイド部
G1 下流側ガイド部
G2 並列ガイド部
G3 上流側ガイド部
P1 一方の面
P2 他方の面
S 粘着剤
T 粘着テープ
W 転写部

Claims (5)

  1. 用紙を該用紙の厚み方向に挟んで搬送する一対の搬送ローラと、
    粘着剤が塗布され前記用紙よりも狭幅の粘着テープを収容し、該粘着テープが巻き掛けられた転写部を有するものであって、搬送されてきた用紙の一方の面側に該転写部が位置するように着脱自在に装着される粘着剤カートリッジと、
    搬送されてきた用紙の他方の面側に設けられ、前記転写部に巻き掛けられた前記粘着テープの粘着剤を前記一方の面に転写する際に、該用紙を前記転写部との間に挟み込む転写ローラとを備え、
    前記一対の搬送ローラは、前記用紙における、前記転写部を通過している部分および該転写部を通過した後の部分の双方の部分を除く、該転写部以降の下流側の箇所を、挟んで搬送するものであることを特徴とする粘着剤転写ユニット。
  2. 前記一対の搬送ローラは、前記転写部よりも前記用紙の搬送方向の下流側に配置されたものであることを特徴とする請求項1記載の粘着剤転写ユニット。
  3. 前記一対の搬送ローラは、回転が停止した状態では搬送されてきた用紙を挟持しつつ該用紙が前記搬送方向に引っ張られた際には空転するものであることを特徴とする請求項2記載の粘着剤転写ユニット。
  4. 前記転写部よりも前記用紙の搬送方向の上流側に配置され、搬送されてきた用紙を該用紙の厚み方向に挟んで搬送する一対の上流側搬送ローラを備え、
    前記一対の搬送ローラの少なくとも一方は、駆動部材によって回転される駆動ローラであり、
    前記一対の上流側搬送ローラの少なくとも一方は、前記駆動部材によって回転される駆動ローラであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の粘着剤転写ユニット。
  5. 搬送されてきた用紙に印字を施す印字機構と、
    前記印字機構によって印字された用紙に粘着剤を転写する請求項1〜4のうちいずれか1項記載の粘着剤転写ユニットとを備えたものであることを特徴とするプリンタ。
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