JP2017221499A - 皮膚被覆用織編物基材及びこれを用いたフェイスマスク - Google Patents

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Abstract

【課題】顔面の弛みが生じやすい目尻、頬、口元、顎、ほうれい線を斜め上方向に持ち上げるリフトアップ機能を有し、加齢とともに増加する小皺を目立たなくするアンチエイジング効果があり、顔面への追随性、密着性、肌触り感に優れ、湿潤状態における取り扱い性、装着性にも優れた、伸長回復性に優れた織編物により形成されていることを特徴とする皮膚被覆用織編物基材及びこれを用いたフェイスマスクを提供することである。【解決手段】セルロース系繊維を80〜99wt%、エラストマー系弾性繊維を1〜20wt%含む皮膚被覆用織編物基材であって、湿潤状態における該織編物の少なくとも一方向における20%伸長モジュラス強度が0.1〜2.0N/50mmの範囲であり、且つ、同方向における20%伸長時の応力保持率が70%以上であることを特徴とする前記皮膚被覆用織編物基材、及び該皮膚被覆用織編物基材に化粧液が含浸されてなるフェイスマスク。【選択図】図1

Description

本発明は皮膚被覆用織編物基材に関する。より詳しくは、本発明は、これをフェイスマスクに用いた場合に、顔面の弛みが生じやすい目尻、頬、口元、顎、ほうれい線を斜め上方向に持ち上げるリフトアップ機能を有し、加齢とともに増加する小皺を目立たなくする効果があり、顔面への追随性、密着性、肌触り感が良好で、湿潤状態における取り扱い性にも優れた、伸縮性のある織編物により形成された皮膚被覆織用編物基材、並びにフェイスマスクに関する。
一般にフェイスマスクとして流通している顔面へ装着する皮膚被覆用基材としては、従来より不織布基材が用いられている。特に顔面に直接載置して使用される場合は、顔面への追随性、密着性、肌触り感、化粧液の保液性が重要な要求性能とされており、セルロース系繊維不織布が多用されている。これらセルロース系繊維不織布が皮膚被覆用基材として好適に用いられる理由としては、セルロース系織編物構造体に比べて化粧液の保液性が高いためである。また、不織布の中でも合成繊維系不織布に比べるとセルロース系不織布は親水性が大きいため、化粧液の保液性能が高く、装着時の液持ちも良く、装着時の湿潤状態を長い時間維持することができる。さらに化粧液を肌の内部にまで浸透させやすいことや湿潤時の柔らかさによる肌あたりのやさしさが特徴として挙げられる。セルロース系不織布の代表例としては、銅アンモニアレーヨン法によるキュプラ連続長繊維不織布(旭化成(株)製ベンリーゼ(登録商標))、キュプラ短繊維不織布やコットン、及びレーヨンや精製レーヨンに代表されるセルロース系短繊維不織布が挙げられる。他方、近年、加齢とともに肌が弛むのを防ぎ、見た目年齢を引き下げ、若々しく見せる効果があるフェイスマスクとして頬やほうれい線、口角周りを引き上げるリフトアップ機能を打ち出した商品も市場に多く出回るようになってきている。
例えば、以下の特許文献1には、親水性繊維層と伸縮性の極細繊維シートの部分的熱圧着法による積層シートが提案されている。具体的には伸縮性の極細繊維シートとしてウレタン系エラストマー繊維、スチレン系エラストマー繊維、オレフィン系エラストマー繊維、エステル系エラストマー繊維から選ばれた少なくとも1種のエラストマー繊維からなる積層シートを用いて、該積層湿潤シートの少なくとも一方向における10%伸長モジュラス強度が0.1〜4.0N/25mmの範囲であり、同方向における30%伸長時の伸長回復率が30〜100%の範囲である基材を使用した肌装着シートが開示されている。特許文献1のシートは、従来の親水性繊維(主にセルロース系繊維)だけからなるシートに比べると伸長させたときの伸縮性や回復性に優れるため、肌に張り付けた時、肌が適度に引っ張られることに起因する引締め感が従来のシートとは異なることが謳われている。但し、特許文献1のシートは親水性繊維シートと伸縮性の極細繊維シートの部分的圧着法による2層構造の積層体であるため、肌への密着性や肌触り感や化粧液の保液性が親水性繊維100%の物に比べると物足りないシートとなっている。
また、10%伸長モジュラス強度が0.1〜4N/25mmの範囲であり、肌の引き締め機能を付与する目的においては、10%伸長時のモジュラス強度は充分と思われるが、頬やほうれい線、口角周りを引き上げるリフトアップ機能を達成するためには、伸長時のモジュラス強度が大きい、つまり伸長しにくいという欠点を有している。
以下の特許文献2には、少なくとも一方向に伸縮性を有する不織布を、着用時に鼻より下の顔の部位を覆うようにV字型の形状に打抜き成形してなるフェイスマスクであって、フェイスマスクの両端部の耳に対応する左右の位置に開口部からなる耳掛け孔を有する耳掛け式フェイスマスクが開示されている。鼻より下の顔の部位を覆うようにV字型の形状に打抜き成形してなる該フェイスマスクは、顔面上部が欠如しており、目元のリフトアップ効果は無い。また、額や目元、頬上部は化粧液を含浸させた基材を載置することができず、本来のフェイスマスク機能を持たないので顔全体の肌の潤いを十分満足するものではない。さらに、シートを十分伸長させるには、耳掛け部を引張り両耳に係止させなければ、弛みを持ち上げることができないため、耳への負担が大きく、長時間の装着に耐えるものではない。しかも伸長回復性に劣っているため、一旦外して再度装着する場合、シートは伸びきった状態となり、弛みを持ち上げる効果は殆どない等の多くの問題がある。
このように、顔面全体の各部位をリフトアップする機能を有し、フェイスラインを引き締め、潤いに満ちたハリのある素肌を甦らせるアンチエイジングケアフェイスマスクは未だ存在していない。
以下の特許文献3には、1枚のフェイスマスクにおいて頬に対向する部分の所定の位置に切りこみを形成することによって頬のリフトアップ状態を維持することができるフェイスマスクが提案されている。特許文献3に記載のフェイスマスクは、頬に対向する部分に所定の切り込みを入れ、切り込みを境にして上側部と下側に分割されるため、下側部のマスクを上方に持ち上げても下側部のマスクが上側部と重なるため、皺が出来ず密着した状態を維持しながらリフトアップが可能であると記載されている。このように形状を工夫してリフトアップ効果を維持することは可能であるが、従来の不織布シートを用いたフェイスマスクではマスクを持ち上げたときの伸長性が小さく、且つ、応力保持率が低いため、リフトアップ感は充分であるとは言い難い。
このように、現在流通している不織布製のフェイスマスクは、ストレッチ機能を有するものが非常に少ない。リフトアップ機能を謳った商品も僅かに見受けられるが、長時間使用すると時間経過と共に不織布が弛んでストレッチ機能が大きく低下し、加齢とともに生じる顔面の弛みを引き上げ、小皺を解消するリフトアップ機能に欠けていた。
特許第5019265号公報 実用新案登録第3187086号公報 特開2009−195373号公報
前記した従来技術の問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、顔面の弛みが生じやすい目尻、頬、口元、顎、ほうれい線を斜め上方向に持ち上げるリフトアップ機能を有し、加齢とともに増加する小皺を目立たなくするアンチエイジング効果があり、顔面への追随性、密着性、肌触り感に優れ、湿潤状態における取り扱い性、装着性にも優れた、伸長回復性に優れた織編物により形成されていることを特徴とする皮膚被覆用織編物基材及びこれを用いたフェイスマスクを提供することである。
かかる課題を解決すべく、本願明者らは、鋭意検討し実験を重ねた結果、不織布では達成されなかった高い伸長特性と応力保持特性を実現するためには、セルロース系繊維とエラストマー系弾性繊維を用いた織編物構造体にすることによって付与できること、より詳しくは、セルロース系繊維とエラストマー系弾性繊維で構成された織編物を用いてなる皮膚被覆用織編物基材の、少なくとも一方向において、湿潤状態における伸長特性と伸長回復性及び優れた応力保持性を有することが重要であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、下記の通りのものである。
[1]セルロース系繊維を80〜99wt%、エラストマー系弾性繊維を1〜20wt%含む皮膚被覆用織編物基材であって、湿潤状態における該織編物の少なくとも一方向における20%伸長モジュラス強度が0.1〜2.0N/50mmの範囲であり、且つ、同方向における20%伸長時の応力保持率が70%以上であることを特徴とする前記皮膚被覆用織編物基材。
[2]湿潤時の経方向と緯方向の20%伸長時の初期モジュラスの比(緯/経)が0.5〜3.0の範囲にある、前記[1]に記載の皮膚被覆用織編物基材。
[3]前記セルロース系繊維が銅アンモニアレーヨンである、前記[1]又は[2]に記載の皮膚被覆用織編物基材。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の皮膚被覆用織編物基材に化粧液が含浸されてなるフェイスマスク。
本発明の皮膚被覆用織編物基材を用いたフェイスマスクは、顔面の弛みが生じやすい目尻、頬、口元、顎、ほうれい線を斜め上方向に持ち上げるリフトアップ機能を有し、加齢とともに増加する小皺を目立たなくするアンチエイジング効果があり、さらに、顔面への追随性、密着性、肌触り感に優れ、長時間装着しても快適な付け心地が保たれ、美肌効果が十分提供できる。湿潤状態における取り扱い性、装着性にも優れている。
実施例で着用評価をした皮膚被覆用織編物基材のフェイスマスク形状の概略図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の皮膚被覆用織編物を構成するセルロース系繊維としては、綿、銅アンモニアレーヨン(キュプラ)、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、精製レーヨン、高強力レーヨン等が好ましく挙げられる。これらセルロース系繊維の単糸繊度、繊維長、総繊度等は何ら限定される物ではないが織編物に用いる総繊度としては長繊維の場合、33dtex〜135dtexが好適に用いられ、より好ましくは56dt〜110dtである。33dtを下回ると薄すぎるため、化粧液の含有量が少なく、十分な湿潤感を得られないのみならず、乾燥も速いので長時間の使用ができず、また、取り扱い性が悪く、装着時に時間を要する。他方、135dtを上回ると、厚くぼったく柔軟性に劣り、肌触りが悪く、透明感に欠ける。セルロース系繊維糸条が短繊維の場合、糸の太さは英式綿番手で#170〜40が好ましく、より好ましくは#100〜50番手である。
本実施形態の皮膚被覆用織編物基材の肌触りや密着感を格段に向上させるには、断面が円形で吸水性の高い銅アンモニアレーヨンであることがより好ましく、具体的には、旭化成(株)製キュプラ(商標名ベンベルグ)が挙げられる。銅アンモニアレーヨンは、吸水性や透明感が他のセルロース系繊維に比べて高く本願発明の織編物基材として、好適に用いられる。また、銅アンモニアレーヨンは、皮膚への刺激性が非常に低く、肌に優しい素材である。長繊維では繊維の脱落による皮膚への再汚染も非常に少ないという特徴がある。銅アンモニアレーヨンは、短繊維であっても自己接着により他のセルロース系繊維に比べて、繊維の脱落は極めて少ない。セルロース系繊維が、銅アンモニアレーヨン以外の場合は皮膚との摩擦が大きくなり、物理刺激により皮膚への刺激がやや大きくなる傾向にある。
本実施形態の皮膚被覆用織編物を構成するセルロース系繊維の混用率は、80〜99wt%である。99wt%を超えると、20%伸長時の応力保持率が甚だしく低下し、応力保持率は65%を下回るため、リフトアップ効果を長時間、持続することができず、また、伸長特性も劣るため、顔面への追随性及び装着性が格段に劣る。他方、80wt%未満であると、吸水性や湿潤時の柔軟性が大きく低下し、皮膚被覆用織編物基材としての性能が悪くなり好ましくない。前記混用率は、好ましくは85wt〜95wt%の範囲である。
本実施形態の皮膚被覆用織編物を構成するエラストマー系弾性繊維としては、ポリウレタンエラストマー繊維、ポリエステル系エラストマー繊維、ポリオレフィン系エラストマー繊維、ポリアミド系エラストマー繊維等が好ましく用いられるが、なかでもポリウレタン系エラストマー繊維が好適に用いられる。エラストマー系弾性繊維の繊度やフィラメント数は特に限定されるものではないが、繊度は10dt〜44dtが好ましく、より好ましくは22dt〜33dtである。10dtよりも細いとストレッチ性が不足するため、十分なリフトアップ機能が得られない。他方、44dtより太いと応力保持性に優れたものが得られるが、伸長時のパワーが高く、ゴム感が強く、肌触りのごわつきが強く感じられ、長時間の装着に耐えるものではない。用いるエラストマー系繊維のフィラメント数については特に限定されない。
エラストマー系弾性繊維の混用率は1〜20wt%である。1wt%未満であるとストレッチ性が不足し、十分なリフトアップ機能が得られないのみならず、伸長回復性も格段に劣るため、形態変形して顔面への密着性が悪く、満足な密着感が得られない。他方、20wt%を超えると伸長時のパワーが強すぎるため、顔面から剥れたり、鼻の凹凸部へ密着しにくくなり、被覆性能に劣るだけでなく、伸長時のパワーが高いため顔面への圧迫感が過剰に大きくなり、長時間の着用に耐えうるものではない。エラストマー系弾性繊維の混用率は、好ましくは5〜15wt%の範囲である。エラストマー系弾性繊維には、通常用いられる他の化合物、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐塩素脆化剤、耐ガス安定剤、着色剤、つや消し剤及び重点剤等を添加していてもよい。エラストマー繊維には、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性シリコン、ポリエーテル変性シリコン、アミノ変性シリコン、鉱物油、鉱物性微粒子、例えば、シリカ、コロイダルアルミナ、タルク等、高級脂肪酸金属塩粉末、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン等の常温で固形状ワックス等の油剤を単独で又は必要に応じて任意に組合せて付与してもよい。
以下、セルロース系繊維とエラストマー系弾性繊維からなる本実施形態の織編物について詳述する。本実施形態の織物では、織機上の経糸/緯糸ともに、セルロース系繊維とエラストマー系弾性繊維の複合糸を用いても経糸/緯糸のどちらか一方だけに複合糸を用いても構わない。セルロース系繊維の形態は、長繊維、短繊維のいずれでもよいが、肌に対する滑らかさや低刺激性を高めるためには、長繊維糸条が好ましい。経糸/緯糸は、原糸でも、予め撚りや熱による捲縮を付与されている糸でもよい。織物組織としては、平織、綾織、朱子織等が挙げられるが、何れの織組織でも特に限定されるものではない。
織物の経糸及び/又は緯糸に用いる、セルロース系繊維とエラストマー系弾性繊維からなる複合糸条としては、セルロース系繊維が長繊維の場合は、両者を引き揃えてエア交絡、エア交絡後に追撚する方法や、ドラフトされたエラストマー系弾性繊維をセルロース系繊維でカバリングする方法、ドラフトされたエラストマー系弾性繊維をセルロース系繊維と直接合撚する方法、ドラフトされたエラストマー系弾性繊維をセルロース系繊維と合糸してから撚糸する方法が挙げられる。中でも、ドラフトされたエラストマー系繊維をセルロース系繊維でカバリング方法が好ましい。カバリング回数については、エラストマー系弾性繊維とセルロース系繊維の繊度により適切に選定すればよいが、一般的には500〜1500t/mの回数が好ましい。緯糸及び/又は経糸のセルロース系繊維が短繊維の場合は、精紡交撚の技術により、エラストマー系弾性繊維を内層に、セルロース系短繊維を外層に配置したコアスパンヤーン等で複合糸条を得、これを用いてもよい。
本実施形態の編物については、上記に記載したセルロース系繊維とエラストマー系弾性繊維からなる複合糸条を用いてもよいし、エラストマー系弾性繊維をベアで挿入してもよい。編物組織としては、トリコットハーフ、バックハーフ、クインズコード、メッシュ等が挙げられるが、何れの編組織でも適用することができ何ら限定されるものではない。
本実施形態の織編物を基材として用いてリフトアップ機能を満足させるためには、単にセルロース系繊維とエラストマー系弾性繊維を配するだけではなく、湿潤状態において適度な伸長時のパワーを有し、応力保持性を有することが重要である。すなわち、薬液を含浸したフェイスマスクとして用いる場合、伸長時のパワーが強すぎると生地を伸ばして肌に張り付けたとき肌のリフトアップ感や引締め感を初期は強く感じるが、肌に密着せず直ぐに剥がれてしまうとう問題が発生する。また、伸長時のパワーが弱すぎると肌のリフトアップ感や引締め感が従来の不織布を用いたシート基材と殆ど大差ないものとなってしまう。
本願発明者らは、リフトアップ感、密着感、総合的な装着感等と、湿潤時の織編物の伸長−回復特性との関係を詳細に検討した結果、伸長時の応力と応力保持率が極めて重要であることを突き止めた。具体的には、湿潤状態における該織編物の少なくとも一方向における20%伸長モジュラス強度が0.1〜2N/50mmの範囲であり、且つ、同方向における20%伸長時の応力保持率が70%以上の条件を満足することが重要である。
本実施形態の皮膚被覆用織編物基材は、その優れた伸長特性と応力保持特性の両特性を保有しているがゆえに、顔面に装着するとき伸び柔らかく、装着後の伸長特性のパワーによって顔面にしっかりフィットする。この伸長特性によって、肌が適度に引っ張られることによる引き締め感が快適な装着感をもたらす。快適な装着感を保持しながら、リフトアップ機能を持続させるためには、ストレッチ性に加えて応力保持率は大きい方が好ましい。従って、湿潤状態における該織編物の少なくとも一方向における20%伸長モジュラス強度が0.1〜2N/50mmの範囲であるのが好ましく、0.8〜1.5N/50mmの範囲であるのがさらに好ましい。20%伸長モジュラス強度が0.1Nより小さいとストレッチパワーが小さく、肌の引き締め感が感じられないため、装着感が満足できない。他方、2N/50mmより大きいと、ストレッチパワーが大きすぎるため、顔面の圧迫感が大きく、長時間に装着に耐えうるものではない。また、生地端がカールして顔面に密着しにくく、フェイスマスク全体または部分的に剥れることもある。20%伸長時の応力保持率が70%以上であり、80%以上であるのがさらに好ましい。20%伸長時の応力保持率が70%未満であると、ストレッチパワーが低下しリフトアップ感の持続機能が発揮されない。応力保持率が80%以上であると極めて優れたリフトアップ効果が得られる。
湿潤状態における該織編物の20%伸長モジュラスは、経/緯の2方向とも0.1〜2N/50mmの範囲にある布帛が皮膚被覆用基材としては、より好ましい。
顔に装着するとき経/緯の2方向に伸長し、且つ、回復特性に優れた織編物であると、目尻、頬、口元、顎、ほうれい線を斜め上方向に持ち上げるリフトアップ機能が一方向しかない物に比べて更に優れたものとなるためである。また、2方向に伸長する特性を有する織編物であれば、人の顔の大小にかかわらず顔にフィットすることが可能になり1サイズでの適用可能範囲が格段広くなるという長所も有している。
湿潤時の経/緯2方向の20%伸長時の初期モジュラスの比としては、0.5〜3.0の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、1.0〜2.0の範囲である。
本実施形態の皮膚被覆用織編物基材は、その優れた顔面への追随性、密着性、肌触り感、及び装着感を満足するという特徴は、湿潤時における織編物基材のせん断剛性と曲げ剛性も大きく寄与している。本実施形態の湿潤時のせん断剛性の経方向と緯方向の平均値は、好ましくは0.1〜2.0gf/cm・degree、より好ましくは0.3〜1.5gf/cm・degreeである。湿潤時の曲げ剛性の経方向と緯方向の平均値は、好ましくは0.002〜0.1gf・cm/cm、より好ましくは0.003〜0.05gf・cm/cmである。この範囲を満足するものは、せん断柔らかく、且つ、曲げ柔らかいため、フェイスラインの丸みや鼻や口元の凹凸にも沿いやすく、シート材がだぶついたり、浮き上がったりすることなく、しっかりフィットし、また、ごわつき感や圧迫感が殆ど感じられず、非常に快適な装着感が得られる。
一般にフェイスマスクとして市場に流通している顔面へ装着する皮膚被覆用基材としては、主として不織布が用いられていることを前述した。これまでのセルロース系織編物は含水性が不織布に比べて格段に低いため採用されていなかった。しかしながら、本願発明においては、鋭意検討し実験を重ねた結果、皮膚被覆用織編物基材として最適な生地設計条件を導出することによって、低含水性の課題を解決した。
セルロース系繊維不織布は、高い含水性を有している。以下の表1の比較例1〜3に示したように含水率は480〜640%の範囲である。
本実施形態の皮膚被覆用織編物基材に、高い含水性を付与するためには、織編物を皮膚被覆用基材として設計する必要がある。本実施形態の皮膚被覆用織編物基材は、基材の目付や厚みの設計に加えて布帛の空隙率の設計が重要であり、空隙率を70%以上、好ましくは80%以上にすることによって不織布に近い含水性を付与することが可能となる。この点では、織物に比べて編物の方が設計によって高い空隙率を付与できるので、より好ましい。上記の空隙率に加えて織編物の性量は、標準状態(20℃×65%RH)において、目付80〜150g/m、厚み0.2〜0.7mmとすると高い含水性を有した布帛を得ることができる。目付や厚みの最適値は皮膚被覆用織編物基材に含浸する薬液の成分や粘度との関係で適宜選択すればよい。
本実施形態の皮膚被覆用織編物基材に化粧液が含浸されてなるフェイスマスクの形状は、フェイスマスク本体の目、鼻、口の対応部に穴を設けた形状、前記マスク本体の下部に顎に沿った形状の顎係止部を設け、両側には耳掛けを突設した形状、鼻より下の顔の部位を覆うようにした形状、額から鼻より上の顔の部位を覆うようにした形状が挙げられるが、何れの形状でも特に限定されるものではない。フェイスラインのリフトアップ効果をより一層高めるためは、両側には耳掛けを突設した形状、またはマスク本体に切込みを入れた形状等の耳掛け式フェイスマスクが好ましい。
本実施形態の織編物の仕上げ加工としては、精練、プレセット加工の順で行うとよいがこの限りではない。精練は、一般的なオープンソーパー型の拡布型連続精練機や液流型のバッチ式精練機が好ましく用いられる。精練時の温度は40℃〜90℃の範囲で、乾燥温度は80℃〜150℃の範囲で適宜選定すればよい。プレセットは、ピンテンター型の処理機にて150℃〜195℃の範囲で適宜選定すればよい。また、セット幅は、精練・乾燥後の幅と目標とするストレッチ率の関係から最適な条件を設定すればよい。
本実施形態のフェイスマスクは、前記した皮膚被覆用織編物基材に化粧液が含浸されてなるものである。化粧液の含浸量としては、皮膚被覆用織編物基材100重量部に対して、液体化粧料が200重量部以上2000重量部以下の範囲である。化粧液の量は、皮膚被覆用織編物基材の性量(目付、厚み、空隙率)と、化粧液の成分や粘度特性等を考慮して適宜選定すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、物性は以下の方法で測定した。
(1)織編物の目付、厚み、密度
織編物の目付の評価は、JISL−1096A法に準じて、単位面積当たりの質量(g/m)を算出した。厚みの評価も同様にJISL−1096A法に準じて厚み(mm)を算出した。織物及び編物の糸密度もJISL−1096法に準じて測定し、織物の場合は、1インチ当たりの経糸/緯糸本数を算出した。編み物の場合は、1インチあたりのコース/ウェール数をそれぞれ算出した。
(2)織編物の空隙率
下記式により空隙率を計算した。
空隙率=[1−{a/(100×100×b×e)}]×100
目付:a(g/m
厚み:b(cm)
セルロース繊維とエラストマー繊維の複合布帛中の繊維の比重eは、下記式より算出した。
複合布帛中の繊維の比重e(g/cm)=(c×1.5+d×1.0)/100
セルロース繊維の含有率:c(wt%)
セルロース繊維の比重:1.5g/cm
エラストマー繊維の含有率:d(wt%)
エラストマー繊維の比重:1.0g/cm
(3)基材の含水率
基材を200mm×200mmの大きさに2枚切り出し、標準状態(20℃×65%RH)での重量(W)と湿潤状態での重量(W)を測定し、次の式によって含水率(M)を求め、その平均値を算出した。
(%)=(W−W)/W×100
:20℃×65%RH環境下の重量
:水の中に基材を10分間浸漬した後、湿潤状態の基材を取り出し、金網の上に10分間広げた状態で自然放置し、過剰な水分を除去した後の重量
(4)湿潤時の20%伸長時のモジュラス強度(N/50mm)
湿潤時の基材の20%伸長時の応力の評価は、JISL−1096A法にて定義される方法に準じて試験を実施して算出した。幅×長さ50mm×400mmのサンプルを、水の中に10分間浸漬し、その後、金網の上に50mm×400mmのサンプルを広げた状態で自然放置し、水滴が落ちなくなった後、5点について下記条件で伸長させ、20%伸長時の応力Mを測定し、その平均値をモジュラス強度とした。
引張試験機:エー・アンド・デイ社製
チャック間距離:300mm
引張速度:300mm/分
(5)湿潤時の20%伸長時の応力保持率
上記(3)の要領で、引張速度300mm/分で60mmまで伸長させた後、停止し、10分間その状態を維持した。10分後の20%伸長時のモジュラス強度(M10)を5点のサンプルについて測定し平均値を算出し、下記式により応力保持率Y(%)を算出した。
Y(%)=M10/M×100
:60mm伸長させた直後のモジュラス強度
(6)湿潤時の基材のせん断剛性及び曲げ剛性
基材を20cm×20cmの大きさに3枚切りだし、水の中に基材を10分間浸漬した後、湿潤状態の基材を取り出し、金網の上に不織布を10分間広げた状態で自然放置し、過剰な水分を除去した後、カトーテック社製 KES−FB1せん断試験機を用いてせん断剛性(gf/cm・degree)を測定した。同様に処理した湿潤状態の基材をKES−FB2純曲げ試験機を用いて曲げ剛性(gf・cm/cm)を測定した。
(7)フェイスマスク着用官能(試験)検査
図1に示す形に打ち抜いた皮膚被覆用基材に薬用化粧液(商品名:肌美精 クラシエホームプロダクツ株式会社製)を含浸させ、八つ折りにしてポリエチレン製袋に入れた。25℃±1℃、50±5%RHの室内にて、20歳台から50歳台の女性被験者5名に、リフトアップ感、柔軟性、総合装着感、伸長性、取扱い性について判定させた。回答については、5段階評定とし、その平均値を示した。
尚、着用時は、図1にa1とa2、b1とb2、c1とc2で示す端部を親指と人差し指で摘み、斜め約45℃方向に基材を引張り、フェイスラインを強制的にリフトアップさせた。
[リフトアップ感]
5:非常にリフトアップする
4:リフトアップする
3:どちらともいえない
2:リフトアップしない
1:全くリフトアップしない
[柔軟性]
5:非常に柔らかくて肌に馴染む
4:柔らかくて肌に馴染む
3:どちらともいえない
2:硬くてごわごわする
1:非常に硬くてごわごわする
[総合装着感]
5:大変快適
4:快適
3:どちらともいえない
2:不快
1:非常に不快
[伸長性]
5:大変伸び柔らかい
4:伸び柔らかい
3:どちらともいえない
2:伸び硬い
1:非常に伸び硬い
[取扱い性]
5:大変取扱いやすい
4:取扱いしやすい
3:どちらともいえない
2:取扱いにくい
1:非常に取扱いにくい
[実施例1]
帝人ファイバー(株)製ポリステル繊維34dtex/18fを耳部に、旭化成(株)製のベンベルグ(登録商標)繊維(素材名キュプラ)33dtex/24fをミドル側に、旭化成(株)製のロイカ(登録商標)繊維(素材名ポリウレタン)22dtexをバック側に用いて28GGトリコット編機を用いてベンベルグ(登録商標)は2針間振り、ロイカ(登録商標)繊維は1針間振りのハーフ組織の編地を作製した。ポリエステル繊維は耳部の組織補強用として用いた。
トリコット編機の機上幅は327cm、機上でのコース設計は72/インチ、機上でのウエル設計は28/インチ、機上でのロイカ(登録商標)のドラフトは2.0倍の設計で製編した。
耳部を除くベンベルグ(登録商標)とロイカ(登録商標)の糸の混率は、ベンベルグ(登録商標)繊維=84.5%、ロイカ(登録商標)繊維=15.5%とした。
得られた生機を、液流染色機を用いて50℃×30分のリラックス精練処理を実施後、有幅にて190℃×30秒の熱セットを施し、化粧用基材として準備した。
尚、熱セット後の生地幅は、140cm、目付142g/m、厚み0.68mm、コース数156/インチ、ウエル数58/インチであった。
この基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
[実施例2]
帝人ファイバー(株)製ポリステル繊維34dtex/18fを耳部に、旭化成(株)製のベンベルグ(登録商標)繊維(素材名キュプラ)33dtex/24fをミドル1に、ベンベルグ(登録商標)繊維(素材名キュプラ)33dtex/24fをミドル2に、旭化成(株)製のロイカ(登録商標)繊維(素材名ポリウレタン)22dtexをバック側に用いて28GGトリコット編機を用いて2wayメッシュ編地を作製した。ポリエステル繊維は耳部の組織補強用として用いた。
尚、ミドル1の組織は10/23/10/23/56/43/56/43//
ミドル2の組織は45/32/45/32/10/23/10/23//
バック側の組織は12/10//
の設計とした。
トリコット編機の機上幅は327cm、機上でのコース設計は65/インチ、機上でのウエル設計は28/インチ、機上でのロイカ(登録商標)のドラフトは、2.0倍の設計で製編した。
耳部を除くベンベルグ(登録商標)とロイカ(登録商標)の糸の混率は、ベンベルグ(登録商標)繊維=85.0%、ロイカ(登録商標)繊維=15.0%とした。
得られた生機を液流染色機を用いて50℃×30分のリラックス精練処理を実施後、有幅にて190℃×30秒の熱セットを施し、化粧用基材として準備した。
尚、熱セット後の生地幅は、151cm、目付113g/m、厚み0.68mm、コース数114/インチ、ウエル数55/インチであった。
この基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
[実施例3]
帝人ファイバー(株)製ポリステル繊維34dtex/18fを耳部に、旭化成(株)製のロイカ(登録商標)繊維(素材名ポリウレタン)33dtexを芯糸に、ベンベルグ(登録商標)繊維(素材名キュプラ)84dtex/54fを鞘側に用いたカバリング糸(カバリング撚数=500t/m、ドラフト=2.5)をミドル側に、バック側にもミドル側と同じカバリング糸を用いて28GGトリコット編機を用いてトリコットメッシュ編地を作製した。ポリエステル繊維は耳部の組織補強用として用いた。
尚、ミドル側の組織は21/10/12/23//、
バック側の組織は12/23/21/10//
の設計とした。
トリコット編機の機上幅は327cm、機上でのコース設計は60/インチ、機上でのウエル設計は28/(登録商標)、機上でのロイカ(登録商標)のドラフトは3.0倍の設計で製編した。
耳部を除くベンベルグ(登録商標)とロイカ(登録商標)の糸の混率は、ベンベルグ(登録商標)繊維=88.5%、ロイカ(登録商標)繊維=11.5%2.0%とした。
得られた生機を液流染色機を用いて50℃×30分のリラックス精練処理を実施後、有幅にて190℃×30秒の熱セットを施し、化粧用基材として準備した。
尚、熱セット後の生地幅は、187cm、目付136g/m、厚み0.62mm、コース数82/インチ、ウエル数45/インチであった。
この基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
[実施例4]
経糸に旭化成(株)製のベンベルグ(登録商標)繊維(素材名キュプラ)84dtex/45f、緯糸に旭化成(株)製のロイカ(登録商標)繊維(素材名ポリウレタン)33dtexを芯糸に、ベンベルグ(登録商標)繊維(素材名キュプラ)84dtex/54fを鞘側に用いたカバリング糸(カバリング撚数=500t/m、ドラフト=2.5)を用いて平織物を作製した。
織機の通し幅は161cm、経糸密度101本/インチ、緯糸密度64本/インチの設計にて生機を作製した。生機設計でのベンベルグ(登録商標)繊維の混率は93.7%、ロイカ(登録商標)の混率は6.3%であった。
この生機を80℃の温度で連続精練加工を実施した。精練後の生地幅は98cm、経糸密度158本/インチ、緯糸密度65本/インチ、目付95g/m、厚み0.25mmであった。この基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
[実施例5]
旭化成(株)製のロイカ(登録商標)繊維(素材名ポリウレタン)17dtexを芯糸に、ベンベルグ(登録商標)繊維(素材名キュプラ)56dtex/45fを鞘側に用いたカバリング糸(カバリング撚数=800t/m、ドラフト2.8)を経糸に、緯糸に旭化成(株)製のロイカ(登録商標)繊維(素材名ポリウレタン)33dtexを芯糸に、ベンベルグ(登録商標)繊維(素材名キュプラ)84dtex/54fを鞘側に用いたカバリング糸(カバリング撚数=500t/m、ドラフト=2.5)を用いて平織物を作製した。
織機の通し幅は161cm、経糸密度101本、緯糸密度64本の設計にて生機を作製した。生機設計でのベンベルグ繊維の混率は89.5%、ロイカの混率は11.5%であった。
この生機を液流染色機を用いて80℃×20分の条件でリラックス精練を実施した。精練後の生地幅は100cm、経糸密度161本/インチ、緯糸密度85本/インチ、目付89g/m、厚み0.28mmであった。
この基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
[実施例6]
実施例2の旭化成(株)製のベンベルグ(登録商標)繊維(素材名キュプラ)33dtex/24fの代わりにビスコースレーヨン繊維33dtex/20fを用いた以外は全て実施例2と同様の編機を用いて2wayメッシュ編地を作製した。
耳部を除くレーヨンとロイカ(登録商標)の糸の混率は、レーヨン繊維=85.0%、ロイカ(登録商標)繊維=15.0%とした。
得られた生機を液流染色機を用いて50℃×30分のリラックス精練処理を実施後、有幅にて190℃×30秒の熱セットを施し、化粧用基材として準備した。
尚、熱セット後の生地幅は、151cm、目付113g/m、厚み0.68mm、コース数114/インチ、ウエル数55/インチであった。
この基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官試験結果を以下の表1、2に示す。
[実施例7]
経糸に精製セルロース繊維繊維(素材名:指定外繊維)60番単糸を、緯糸に旭化成(株)製のロイカ(登録商標)繊維(素材名ポリウレタン)22dtexを芯糸に、リヨセル(登録商標)繊維40番単を鞘側に用いたカバリング糸(カバリング撚数=500t/m、ドラフト=2.5)を用いて平織物を作製した。
織機の通し幅は148.5cm、経糸密度90本/インチ、緯糸密度52本/インチの設計にて生機を作製した。生機設計でのベンベルグ繊維の混率は97.2%、ロイカの混率は2.8%であった。
この生機を80℃の温度で連続精練加工を実施した。精練後の生地幅は98cm、経糸密度120本/インチ、緯糸密度52本/インチ、目付97g/m、厚み0.25mmであった。
この基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
[比較例1]
旭化成(株)製のベンベルグ(登録商標)短繊維(素材名キュプラ)1.7dtex×51mmの綿を使用して、スパンレース製造設備を用いて85g/mのカードウエッブを作製した。引き続き、ウエッブ支持体のメッシュ織物開口度45メッシュ、ノズル径0.14mmφ、ノズルピッチ1.0mm千鳥柄、水流圧力1MPaで表裏の処理を実施した後、表側から再度3MPaにて処理し、150℃のシリンダー乾燥機にて乾燥処理を実施した。これら一連の加工は、10m/分の速度で実施した。
この基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
[比較例2]
実施例1記載のベンベルグ(登録商標)短繊維をビスコースレーヨン3.3dtex×38mmに変更した以外は、実施例1記載の条件で不織布シートを作製した。
得られた基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
[比較例3]
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、この原液を直径0.6mmの原液吐出穴が45.3個/cmである紡口を用いて、流下緊張下で連続してネット上に5層重ねて紡糸して再生セルロース連続長繊維不織布シートを形成した。得られた不織布シートを構成する繊維の平均単糸繊度2.2dtex、目付84g/m、厚み0.62mmのシートを得た。
得られた基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
[比較例4]
帝人ファイバー(製)製ポリステル繊維34dtex/18fを耳部に、旭化成(株)製のベンベルグ(登録商標)繊維(素材名キュプラ)84dtex/54fをミドル側に、バック側にもミドル側と同じベンベルグ(登録商標)繊維を用いて28GGトリコット編機を用いてトリコットメッシュ編地を作製した。ポリエステル繊維は耳部の組織補強用として用いた。
尚、ミドル側の組織は21/10/12/23//、
バック側の組織は12/23/21/10//
の設計とした。
トリコット編機の機上幅は327cm、機上でのコース設計は60/インチ、機上でのウエル設計は28/インチの設計で製編した。
耳部を除くとベンベルグの組織繊維=100%の編物を得た。
得られた生機を液流染色機を用いて80℃×30分のリラックス精練処理を実施後、有幅にて190℃×30秒の熱セットを施し、化粧用基材として準備した。
尚、熱セット後の生地幅は、300cm、目付134g/m、厚み0.28mm、コース数66/インチ、ウエル数100/インチであった。
この基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
[比較例5]
経糸に旭化成(株)製のベンベルグの組織繊維(素材名キュプラ)84dtex/45f、緯糸に旭化成(株)製のベンベルグの組織繊維(素材名キュプラ)84dtex/54fを用いて平織物を作製した。
織機の通し幅は161cm、経糸密度101本/インチ、緯糸密度64本/インチの設計にて生機を作製した。生機設計でのベンベルグの組織繊維の混率は100%であった。
この生機を80℃の温度で連続精練加工を実施した。精練後の生地幅は138cm、経糸密度122本/インチ、緯糸密度92本/インチ、目付75g/m、厚み0.10mmであった。
この基材の生地特性の評価結果及びフェイスマスク形状に切り出した時の、着用官能試験結果を以下の表1、2に示す。
Figure 2017221499
Figure 2017221499
本発明に係る皮膚被覆用織編物基材を用いたフェイスマスクは、顔面の弛みが生じやすい目尻、頬、口元、顎、ほうれい線を斜め上方向に持ち上げるリフトアップ機能を有し、加齢とともに増加する小皺を目立たなくするアンチエイジング効果があり、顔面への追随性、密着性、肌触り感に優れ、湿潤状態における取り扱い性、装着性にも優れた、伸長回復性に優れた織編物により形成されているため、フェイスマスク用基材として好適に利用可能である。

Claims (4)

  1. セルロース系繊維を80〜99wt%、エラストマー系弾性繊維を1〜20wt%含む皮膚被覆用織編物基材であって、湿潤状態における該織編物の少なくとも一方向における20%伸長モジュラス強度が0.1〜2.0N/50mmの範囲であり、且つ、同方向における20%伸長時の応力保持率が70%以上であることを特徴とする前記皮膚被覆用織編物基材。
  2. 湿潤時の経方向と緯方向の20%伸長時の初期モジュラスの比(緯/経)が0.5〜3.0の範囲にある、請求項1に記載の皮膚被覆用織編物基材。
  3. 前記セルロース系繊維が銅アンモニアレーヨンである、請求項1又は2に記載の皮膚被覆用織編物基材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚被覆用織編物基材に化粧液が含浸されてなるフェイスマスク。
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