JP2017218425A - テトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンの製造方法 - Google Patents

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Atsushi Okamura
淳志 岡村
尚道 萩庭
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尚道 萩庭
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Abstract

【課題】汎用性の高い比較的安価な原料からテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンをより高収率で得るための新規な製造方法の提供。
【解決手段】式(1)で表される第一級アルコールを出発原料に、末端水酸基を脱離基に変換し、脱離基を脱離して、対応する式(2)で表されるテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを得るα−オレフィンの製造方法。
Figure 2017218425

Figure 2017218425

[RはH又はC1〜5の炭化水素基;nは2〜6の整数]
【選択図】なし

Description

本発明は、テトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンの新規な製造方法に関する。
テトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンは、従来のベンゼン環を有するα−オレフィンに比べて、テトラヒドロフラン環が有する極性により極性材料や極性溶媒への密着性、相溶性、分散性が向上することが想定され、また、テトラヒドロフラン環による耐熱性や酸素補足機能の付与なども期待される物質である。
これらテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを、例えば、従来のスチレンのような極性を持たないベンゼン環を有するα−オレフィンの用途の一つである印刷インキ用バインダー、顔料分散剤、増粘剤向け機能性ポリマーの共重合物に代用することで、新たな機能を付与した機能性ポリマーとなることが期待されるが、現状テトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンは試薬レベルでも入手困難な物質である。
これらテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを製造する方法として、非特許文献1には、アリルテトラヒドロフランを製造する方法が、また、非特許文献2には、ビニルテトラヒドロフランを製造する方法が開示されている。
しかしながら、非特許文献1の方法においては、汎用性の低い非常に高価な原料である2−ヒドロキシテトラヒドロフランを使用する方法であり、工業的な実施においては、経済面ならびに原料確保の面から課題が残る。
また、非特許文献2の方法は、原料として汎用性の高いテトラヒドロフランを用いた方法であるが、得られるビニルテトラヒドロフランの収率は高々14%程度であり、工業的な実施においては、技術的な課題が残る。
上述の通り、従来は実現性のあるテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンの製造方法は提案されていない。
かくして、本発明は、汎用性の高い比較的安価な原料からテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンをより高収率で得るための新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、汎用性が高く比較的入手容易であるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールを出発原料とすることで、対応するテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを効率よく得られることを見出し、本発明を完成した。
さらには、原料であるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールの末端水酸基を水酸基以外の他の脱離基に変換後に当該脱離基を脱離させることで、対応するテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンをより高収率で得られることも見出した。
以下、本発明を示す。
[1]下記式(1)で表されるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールを出発原料として対応する下記式(2)で表されるテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを得ることを特徴とするα−オレフィンの製造方法。
Figure 2017218425
Figure 2017218425
[式中、Rは水素原子または炭素数が1〜5である炭化水素基を示し、nは2以上6以下の整数を示す]
[2]前記式(1)で表されるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールの末端水酸基を脱離基に変換後、当該脱離基を脱離させて対応する前記式(2)で表されるテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを得ることを特徴とする[1]記載のα−オレフィンの製造方法。
[3]前記式(1)および前記式(2)におけるnが3である[1]または[2]記載のα−オレフィンの製造方法。
本発明によれば、汎用性の高い比較的安価な原料であるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールから新たな機能を付与した機能性ポリマー原料として期待されるテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンをより高収率で得ることができる。
以下、本発明に係るα−オレフィンの製法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し、実施することができる。
(テトラヒドロフラン環を有する第一級アルコール)
本発明に係る前記式(1)で表される出発原料であるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールとしては、前記式(1)中のテトラヒドロフラン環に結合したR基が水素原子または炭素数が1〜5である炭化水素基であり、また、テトラヒドロフラン環に結合したヒドロキシアルキル基のnが2以上6以下の整数、すなわち炭素数が2〜6のヒドロキシアルキル基である。
具体的には、テトラヒドロフラン−2−エタノール、テトラヒドロフラン−2−プロパノール、テトラヒドロフラン−2−ブタノール、テトラヒドロフラン−2−プロパノール、テトラヒドロフラン−2−ペンタノール、テトラヒドロフラン−2−ヘキサノール、5−メチルテトラヒドロフラン−2−エタノール、5−メチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−メチルテトラヒドロフラン−2−ブタノール、5−メチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−メチルテトラヒドロフラン−2−ペンタノール、5−メチルテトラヒドロフラン−2−ヘキサノール、5−エチルテトラヒドロフラン−2−エタノール、5−エチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−エチルテトラヒドロフラン−2−ブタノール、5−エチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−エチルテトラヒドロフラン−2−ペンタノール、5−エチルテトラヒドロフラン−2−ヘキサノール、5−プロピルテトラヒドロフラン−2−エタノール、5−プロピルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−プロピルテトラヒドロフラン−2−ブタノール、5−プロピルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−プロピルテトラヒドロフラン−2−ペンタノール、5−プロピルテトラヒドロフラン−2−ヘキサノール、5−isoプロピルテトラヒドロフラン−2−エタノール、5−isoプロピルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−isoプロピルテトラヒドロフラン−2−ブタノール、5−isoプロピルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−isoプロピルテトラヒドロフラン−2−ペンタノール、5−isoプロピルテトラヒドロフラン−2−ヘキサノール、5−ブチルテトラヒドロフラン−2−エタノール、5−ブチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−ブチルテトラヒドロフラン−2−ブタノール、5−ブチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−ブチルテトラヒドロフラン−2−ペンタノール、5−ブチルテトラヒドロフラン−2−ヘキサノール、5−isoブチルテトラヒドロフラン−2−エタノール、5−isoブチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−isoブチルテトラヒドロフラン−2−ブタノール、5−isoブチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−isoブチルテトラヒドロフラン−2−ペンタノール、5−isoブチルテトラヒドロフラン−2−ヘキサノール、5−tertブチルテトラヒドロフラン−2−エタノール、5−tertブチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−tertブチルテトラヒドロフラン−2−ブタノール、5−tertブチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−tertブチルテトラヒドロフラン−2−ペンタノール、5−tertブチルテトラヒドロフラン−2−ヘキサノール、5−ペンチルテトラヒドロフラン−2−エタノール、5−ペンチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−ペンチルテトラヒドロフラン−2−ブタノール、5−ペンチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−ペンチルテトラヒドロフラン−2−ペンタノール、5−ペンチルテトラヒドロフラン−2−ヘキサノール、5−isoペンチルテトラヒドロフラン−2−エタノール、5−isoペンチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−isoペンチルテトラヒドロフラン−2−ブタノール、5−isoペンチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−isoペンチルテトラヒドロフラン−2−ペンタノール、5−isoペンチルテトラヒドロフラン−2−ヘキサノール、5−neoペンチルテトラヒドロフラン−2−エタノール、5−neoペンチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−neoペンチルテトラヒドロフラン−2−ブタノール、5−neoペンチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−neoペンチルテトラヒドロフラン−2−ペンタノール、5−neoペンチルテトラヒドロフラン−2−ヘキサノールが挙げられる。
中でも、前記式(1)におけるnが3である、テトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−メチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−エチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−プロピルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−isoプロピルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−ブチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−isoブチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−tertブチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−ペンチルテトラヒドロフラン−2−プロパノールが好ましい。
これら、テトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールは、汎用性が高く比較的容易に入手することができる。例えば、テトラヒドロフラン−2−プロパノール、5−メチルテトラヒドロフラン−2−プロパノール、であれば、試薬としても容易に入手でき、また、フルフラール、アセトアルデヒド、アセトン、水素等の汎用の原料から容易に合成することもできる。
(テトラヒドロフラン環を有するα−オレフィン)
本発明に係る前記式(2)で表される目的生成物であるテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンとしては、前記した出発原料であるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールに対応したものであって、前記式(2)中のテトラヒドロフラン環に結合したR基が水素原子または炭素数が1〜5である炭化水素基である。また、出発原料であるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールの水酸基から水一分子が脱離することによって得られる末端に二重結合を持つ不飽和炭化水素基のnが2以上6以下の整数、すなわち炭素数が2〜6の末端に二重結合を持つ不飽和炭化水素基を有する。
具体的には、2−ビニルテトラヒドロフラン、2−メチル−5−ビニルテトラヒドロフラン、2−エチル−5−ビニルテトラヒドロフラン、2−プロピル−5−ビニルテトラヒドロフラン、2−isoプロピル−5−ビニルテトラヒドロフラン、2−ブチル−5−ビニルテトラヒドロフラン、2−isoブチル−5−ビニルテトラヒドロフラン、2−tertブチル−5−ビニルテトラヒドロフラン、2−ペンチル−5−ビニルテトラヒドロフラン、2−isoペンチル−5−ビニルテトラヒドロフラン、2−neoペンチル−5−ビニルテトラヒドロフラン、2−アリルテトラヒドロフラン、2−メチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−エチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−プロピル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−isoプロピル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−ブチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−isoブチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−tertブチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−ペンチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−isoペンチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−neoペンチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)−5−メチルテトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)−5−エチルテトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)−5−プロピルテトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)−5−isoプロピルテトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)−5−ブチルテトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)−5−isoブチルテトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)−5−tertブチルテトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)−5−ペンチルテトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)−5−isoペンチルテトラヒドロフラン、2−(but−3−en−1−yl)−5−neoペンチルテトラヒドロフラン、2−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−メチル−5−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−エチル−5−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−プロピル−5−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−isoプロピル−5−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−ブチル−5−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−isoブチル−5−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−tertブチル−5−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−ペンチル−5−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−isoペンチル−5−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−neoペンチル−5−(pent−4−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)テトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)−5−メチルテトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)−5−エチルテトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)−5−プロピルテトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)−5−isoプロピルテトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)−5−ブチルテトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)−5−isoブチルテトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)−5−tertブチルテトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)−5−ペンチルテトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)−5−isoペンチルテトラヒドロフラン、2−(hex−5−en−1−yl)−5−neoペンチルテトラヒドロフランが挙げられる。
中でも、前記式(2)におけるnが3である、2−アリルテトラヒドロフラン、2−メチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−エチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−プロピル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−isoプロピル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−ブチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−isoブチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−tertブチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−ペンチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−isoペンチル−5−アリルテトラヒドロフラン、2−neoペンチル−5−アリルテトラヒドロフランが好ましい。
(テトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールから対応するα−オレフィンの製法)
本発明に係るテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールから対応するα−オレフィンの製法については、対応するα−オレフィンが製造できる限り特段の限定はない。
その製法としては、例えば、テトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールを分子内脱水(直接脱水)する方法、あるいは、テトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールの水酸基を他の脱離基に変換後、脱離基を脱離させて対応するα−オレフィンを得る方法
が挙げられる。
しかし、テトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールは、テトラヒドロフラン環の酸素原子の方が水酸基酸素原子より電子密度が高いため酸触媒等に優先的に吸着することから、テトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールの状態からの分子内脱水は比較的進行しにくい。そのため、テトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールの末端水酸基を一旦水酸基以外の脱離基に変換して、当該脱離基を脱離させることで対応するテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを得る方法が好ましい。
テトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールの末端水酸基を脱離基に変換する方法としては、出発原料や脱離基によって異なるため一概には決定できないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)無触媒、酸触媒または脱水縮合剤存在下にオキソ酸との脱水縮合反応により当該オキソ酸エステルへと変換する方法
(2)塩基の存在下に、オキソ酸ハロゲン化物またはオキソ酸無水物との縮合反応により当該オキソ酸エステルへと変換する方法
(3)酸触媒または塩基触媒存在下、オキソ酸エステルとの置換反応により当該オキソ酸エステルへと変換する方法
(4)ハロゲン化物との置換反応により当該ハロゲン化アルキルへと変換する方法
(5)(1)〜(4)で合成されたエステルまたはハロゲン化アルキルとハロゲン化物との置換反応により当該ハロゲン化アルキルへ変換する方法
(1)の方法としては、例えば、酸触媒として硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、脱水縮合剤としては、N,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N‘−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチル アミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド等が挙げられる。オキソ酸としては、酢酸等のアルキルカルボン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸、リン酸等が挙げられる。
(2)の方法としては、例えば、塩基としてピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。オキソ酸ハロゲン化物としては、酢酸クロリド等のアルキルカルボン酸ハロゲン化物、安息香酸クロリド等の芳香族カルボン酸ハロゲン化物、p−トルエンスルホン酸クロリド、メタンスルホン酸クロリド等のスルホン酸ハロゲン化物、塩化ホスホリル等のリン酸ハロゲン化物等が挙げられる。オキソ酸無水物としては、無水酢酸、無水安息香酸等のカルボン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物等のスルホン酸無水物等が挙げられる。
(3)の方法としては、例えば、酸触媒として硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。塩基触媒としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
(4)の方法としては、例えば、ハロゲン化物としてヨウ化水素、臭化水素、塩化水素等のハロゲン化水素、塩化オキサリル等のカルボン酸ハロゲン化物、三フッ化N,N−ジエチルアミノ硫黄、塩化チオニル、塩化スルフリル等のハロゲン化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、リン酸トリクロリド、三臭化リン、五臭化リン等のハロゲン化リン等が挙げられる。
(5)の方法としては、例えば、エステルとしてトリフルオロメタンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル等のスルホン酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル等が挙げられる。ハロゲン化アルキルとしては、ヨウ化アルキル、臭化アルキル、塩化アルキル等、またはアジ化アルキル等の擬ハロゲン化アルキル等が挙げられる。ハロゲン化物しては、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム等、またはアジ化ナトリウム等の擬ハロゲン化物等が挙げられる。
また、脱離基に変換した後に、当該脱離基を脱離させる条件等も、出発原料や脱離基によって異なるため一概には決定できないが、例えば、不活性ガス中での熱分解反応や液相での塩基との反応が挙げられる。
不活性ガス中での熱分解反応を利用して脱離基を脱離させる場合、石英砂やガラスビーズのような不活性な充填剤を充填した反応管を外部加熱により加温し、加温された充填層に、窒素、ヘリウムのような不活性ガスで希釈した原料を流通することで行うことができる。充填剤体積基準のSVは200〜20000h−1、熱分解温度は400〜700℃、原料濃度は1〜99体積%として実施することができる。この熱分解反応を利用して脱離基を脱離させる場合には、生成物としてテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンと脱離基由来のオキソ酸、または、ハロゲン化物が等モル量生成するので、テトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンとオキソ酸、または、ハロゲン化物を分離すれば、目的物としてテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを得ることができる。なお、ここで分離されるオキソ酸、または、ハロゲン化物は、原料であるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールの末端水酸基を脱離基に変換する反応に再利用することができるため、テトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを経済的に製造することが可能となるため好ましい。
脱離基としては、不活性ガス中での熱分解反応でテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンと脱離基由来のオキソ酸、または、ハロゲン化物を与えるものであれば、前記したいずれの脱離基も利用することができるが、より安価で取扱いの容易な点から酢酸等のアルキルカルボン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸、リン酸等が好ましい。
また、液相での塩基との反応の場合、オキソ酸エステルまたはハロゲン化アルキルは塩基存在下、脱離反応により当該アルケンへ変換できる。オキソ酸エステルとしては酢酸エステル等のアルキルカルボン酸エステル、安息香酸エステル等の芳香族カルボン酸エステル、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル等のスルホン酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステルが挙げられる。ハロゲン化アルキルとしては、ヨウ化アルキル、臭化アルキル、塩化アルキル等、またはアジ化アルキル等の擬ハロゲン化物等が挙げられる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
<末端水酸基の変換>
(調製例1)テトラヒドロフラン−2−プロパノールトシル酸エステルの調製
200mL三口フラスコにテトラヒドロフラン−2−プロパノール(シグマアルドリッチ社製)10.1g、p−トルエンスルホニルクロリド17.8g、ピリジン9.4g、4−ジメチルアミノピリジン4.7g、ジクロロメタン68g(モレキュラシーブス3A脱水品、52mL)を加え、室温で6.5時間撹拌した後、飽和NHCl水溶液を加えてクエンチした。得られた水溶液をジクロロメタンで抽出、飽和食塩水で脱水、NaSOで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた濃縮液27.2gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー((シリカゲル60、粒子径40〜100μm)300g、展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン=2/3重量比、Rf値0.27)を用いて精製し、薄黄色液体のテトラヒドロフラン−2−プロパノールトシル酸エステル11.8gを取得した。その収率は、55モル%であった。
(調製例2)テトラヒドロフラン−2−プロパノールヨウ素体の調製
50mLナスフラスコに、調製例1で得られたテトラヒドロフラン−2−プロパノールトシル酸エステル6.0g、ヨウ化カリウム7.1g、アセトン16.7gを加えて、室温で120 時間撹拌した。ロータリーエバポレーターでアセトンを除去した後、ジクロロメタンで抽出して、水で洗浄した。得られた油層をNaSOで乾燥して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた濃縮液5.2g をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ200g、展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン=1/9重量比、Rf 値0.24)を用いて精製し、薄黄色液体のテトラヒドロフラン−2−プロパノールヨウ素体4.5gを取得した。その収率は、92モル%であった。
(調製例3)テトラヒドロフラン−2−プロパノール酢酸エステルの調製
100mL ナスフラスコにテトラヒドロフラン−2−プロパノール(シグマアルドリッチ社製)10.0g、無水酢酸12.0g、ピリジン10.6g、ジクロロメタン67.9g(モレキュラシーブス3A脱水品、51mL)を加え、室温で19 時間撹拌した後、水を加えてクエンチした。得られた水溶液をジクロロメタンで抽出、水で洗浄、NaSOで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた濃縮液17.6gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ250g、展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン=1/4重量比、Rf値0.24)を用いて精製し、無色透明液体のテトラヒドロフラン−2−プロパノール酢酸エステル12.6gを取得した。その収率は、97モル%であった。
<テトラヒドロフラン環を有するα−オレフィン(アリルテトラヒドロフラン)の製造>
(実施例1)
ニッケル−鉄合金製の反応管に石英砂5mLを充填し、窒素を50mL/minで流しながら、反応管を電気ヒーターにより外部から加熱した。反応管が所定温度に到達後、調製例3で調製したテトラヒドロフラン−2−プロパノール酢酸エステルを0.05g/minで供給して熱分解反応を行った。反応管出口に冷却トラップを設けて未反応原料、および、熱分解生成物を捕集した。一定時間捕集した後に冷却トラップ内の捕集液を回収、重量測定後、内部標準液を加えてGC−FIDで分析した。525℃、550℃での熱分解反応結果を表1に示す。
Figure 2017218425
525℃でのアリルテトラヒドロフラン収率は55.5%であったが、550℃とすると収率は85%まで向上した。また、いずれの温度でも、アリルテトラヒドロフラン(ATHF)選択率はほぼ100%であった。
(実施例2)
50mLナスフラスコに調製例2で合成したテトラヒドロフラン−2−プロパノールヨウ素体1.8g、テトラヒドロフラン27g(モレキュラシーブス3A 脱水品、31mL)、カリウムtert−ブトキシド1.3g、1,4−ジオキサン0.2g(内部標準物質、モレキュラシーブス3A 脱水品)を加え、室温で1時間撹拌した。撹拌後、GC−FIDにて分析した。その結果、アリルテトラヒドロフランが収率88%で得られた。
(実施例3)
50mLナスフラスコに調製例1で合成したテトラヒドロフラン−2−プロパノールトシル酸エステル0.11g、テトラヒドロフラン2.0g(モレキュラシーブス3A 脱水品、2.3mL)、カリウムtert−ブトキシド0.07g、1,4−ジオキサン0.06g(内部標準物質、モレキュラシーブス3A 脱水品)を加え、室温で2時間撹拌した。撹拌後、GC−FIDにて分析した。その結果、アリルテトラヒドロフランが収率60%で得られた。
現状、試薬レベルでも入手困難な物質であり、新たな機能を付与した機能性ポリマー原料として期待されるテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを効率よく製造するができる。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表されるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールを出発原料として対応する下記式(2)で表されるテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを得ることを特徴とするα−オレフィンの製造方法。
    Figure 2017218425
    Figure 2017218425
    [式中、Rは水素原子または炭素数が1〜5である炭化水素基を示し、nは2以上6以下の整数を示す]
  2. 前記式(1)で表されるテトラヒドロフラン環を有する第一級アルコールの末端水酸基を脱離基に変換後、当該脱離基を脱離させて対応する前記式(2)で表されるテトラヒドロフラン環を有するα−オレフィンを得ることを特徴とする請求項1記載のα−オレフィンの製造方法。
  3. 前記式(1)および前記式(2)におけるnが3である請求項1または2記載のα−オレフィンの製造方法。
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