JP2017218100A - 車両の降坂速度制御装置 - Google Patents

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【課題】降坂速度制御中において、アクセルやブレーキの誤操作や路面状況の変化に対応する一時的なアクセルやブレーキ操作が行われた場合であっても、意図しない目標車速の変更を未然に防止できる車両の降坂速度制御装置を提供する。【解決手段】降坂速度制御中においてアクセルまたはブレーキペダル12,9が操作されたとしても許可スイッチ19が操作されない場合には、目標車速Vtgtの変更を禁止し、元の目標車速Vtgtを維持する。一方、アクセルまたはブレーキペダル12,9が操作され、且つ許可スイッチ19が操作されたときには、ペダル操作量θacc,θbrkが所定操作量θ0に達することなく所定時間T0未満で終了したか否かを判定し、Noのときにはペダル操作の中止時点または許可スイッチ19の操作の中止時点での車速Vに目標車速Vtgtを変更し、Yesのときには目標車速Vtgtを所定量づつ増加または低下させる。【選択図】図2

Description

本発明は、降坂路を走行中の車両を自動的に制動して目標車速に保つ車両の降坂速度制御装置に関する。
例えば特許文献1には、降坂路を走行中の車両を自動的に制動して目標車速に保つ車両の降坂速度制御装置(所謂ヒルディセントコントロール)に関する技術が開示されている。この種の降坂速度制御装置により実行される降坂速度制御は、当該制御の開始スイッチがON操作されて、アクセル及びブレーキが非操作、降坂路が所定勾配以上、及び車速が所定範囲内の全ての条件が成立したときに、この条件が成立した時点の車速を目標車速として開始される。
降坂速度制御の実行中において、運転者はアクセル及びブレーキのペダル操作に応じて目標車速を任意に増減可能である。例えば増速したい場合には、アクセル操作により希望の車速まで増速してペダル操作を中止すると、その時点のより高い車速が新たな目標車速に設定される。減速の場合も同様であり、ブレーキ操作により希望の車速まで減速してペダル操作を中止すると、その時点のより低い車速が新たな目標車速に設定される。
特開2010−23565号公報
しかしながら、特許文献1に記載の車両の降坂速度制御装置は、操作性や利便性の点で改良の余地があった。
アクセルペダルやブレーキペダルは運転者の足下にあり、降坂速度制御中の運転者はペダルを避けてフロアに足を置いているものの誤操作する可能性があり、誤操作した場合には運転者が意図しないにも拘わらず目標車速が変更されてしまう可能性があった。
また降坂速度制御中において、例えば降坂路の途中に段差や窪みなど路面の荒れた特定の区間が存在したりすると、運転者がブレーキ操作により車両を減速させながら当該区間を通過させるような場合がある。このような場合、特定の区間を通過してブレーキ操作が中止されると、その時点の車速、すなわち元の目標車速より低い車速に目標車速が変更されてしまうため、アクセル操作を行って元の目標車速に再設定する必要があった。
このように、アクセル及びブレーキのペダル操作に応じて目標車速が変更可能とされた車両の降坂速度制御装置では、目標車速を運転者の意図した車速に簡単に変更できる一方で、運転者の意図しない目標車速の変更が生じ易く、操作性や利便性で不利となる面があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、降坂速度制御中におけるアクセルやブレーキの誤操作や路面状況の変化に対応する一時的なアクセルやブレーキ操作が行われた場合であっても、意図しない目標車速の変更を未然に防止できる車両の降坂速度制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の車両の降坂速度制御装置は、車両がアクセルペダルおよびブレーキペダルの操作が無い状態を含む所定の条件を満たした状態で降坂路を走行した際に、設定された目標車速に基づき前記車両を自動的に制動して車速を前記目標車速に保つ降坂速度制御を実行すると共に、前記降坂速度制御の実行中に前記アクセルペダルまたは前記ブレーキペダルが操作された時に、該ペダル操作に応じて増減された車速に前記目標車速を変更する降坂速度制御手段と、前記車両の運転席周りに設けられ、前記目標車速の変更を許可する許可スイッチとを備え、前記降坂速度制御手段が、前記許可スイッチが操作された状態で前記アクセルペダルまたは前記ブレーキペダルが操作されたときには、前記ペダル操作または前記許可スイッチの操作が中止された時点の車速に前記目標車速を変更し、前記許可スイッチが操作されない状態で前記アクセルペダルまたは前記ブレーキペダルが操作されたときには、前記目標車速の変更を禁止することを特徴とする(請求項1)。
このように構成した車両の降坂速度制御装置によれば、許可スイッチが操作された状態でペダル操作されると目標車速が変更され、ペダル操作されたとしても許可スイッチが操作されない場合には目標車速の変更が禁止される。ペダル操作が誤操作であった場合、或いは降坂路の途中で路面状況の変化に対応する一時的なアクセルやブレーキ操作が行われた場合には、目標車速の変更が禁止されることから、ペダル操作の中止と共に車両は元の目標車速に復帰する。よって、意図しない目標車速の変更が防止されると共に、必然的に変更された目標車速を元に戻すための再設定の操作も必要なくなる。
その他の態様として、前記降坂速度制御手段が、前記許可スイッチが操作された状態で前記アクセルペダルまたは前記ブレーキペダルが操作され、且つペダル操作量が所定操作量に達することなく所定時間未満で終了した場合に、前記アクセルペダルの操作時には前記目標車速を所定量だけ増加させ、前記ブレーキペダルの操作時には前記目標車速を所定量だけ低下させることが好ましい(請求項2)。
この態様によれば、許可スイッチが操作された状態でペダル操作され、このときのペダル操作量が所定操作量に達することなく所定時間未満で終了した場合に、目標車速が所定量だけ増加または低下される。このようなペダル操作を繰り返すだけで目標車速は次第に増加または低下されるため、急な降坂路等でも安心して実施可能であると共に、容易且つ確実に所望の目標車速に変更可能となる。さらに、ペダル操作を所定操作量未満且つ所定時間未満に制限することにより、エンジン出力や制動力の変動が抑制されて良好なドライバビリティが達成される。
その他の態様として、前記許可スイッチが、運転者がステアリングハンドルを握った状態で操作可能な位置に設置されていることが好ましい(請求項3)。
この態様によれば、ステアリングハンドルを握った状態で許可スイッチを操作することができるので、運転に集中しながらより確実に目標車速を変更することができる。
本発明の車両の降坂速度制御装置によれば、運転者の意思に応じて的確に目標車速を変更することが可能となるので、降坂速度制御中においてアクセルやブレーキの誤操作や路面状況の変化に対応する一時的なアクセルやブレーキの操作が行われた場合であっても、運転者の意図しない目標車速の変更を未然に防止することができ、操作性および利便性を向上することができる。
実施形態の車両の降坂速度制御装置を示す全体構成図である。 ECUが実行する降坂速度制御ルーチンを示すフローチャートである。
以下、本発明を具体化した車両の降坂速度制御装置の一実施形態を説明する。
図1は本実施形態の車両の降坂速度制御装置を示す全体構成図である。
車両1の前輪2及び後輪3に設けられたホイールブレーキ4(制動手段)は、X型に配置されたブレーキ配管5を介して油圧ユニット6(制動手段)にそれぞれ接続されている。油圧ユニット6はブレーキ装置のマスタシリンダ7がブレーキ配管8を介して接続され、ブレーキペダル9の操作に応じてマスタシリンダ7に発生した油圧がブレーキ配管8を経て油圧ユニット6に入力される。油圧は油圧ユニット6を中継してブレーキ配管5を経て各ホイールブレーキ4に供給され、これにより各ホイールブレーキ4がブレーキ操作に応じた制動力を発生して車両1に作用させる。
また、油圧ユニット6は内蔵したポンプにより任意に油圧を発生可能であり、発生した油圧の供給によっても各ホイールブレーキ4は制動力を発生する。
車両1の室内には入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)等から構成されるECU10(電子制御装置)が設置されている。ECU10は、車両1の図示しないエンジンの運転制御や変速機の変速制御、或いは運転席に設けられたメータ類11の表示制御等を実行すると共に、降坂路を走行中の車両1を自動的に制動して目標車速に保つ降坂速度制御も実行する(降坂速度制御手段)。
そのためにECU10の入力側には、メータ類11、アクセルペダル12の操作量θaccを検出するアクセルセンサ13(アクセル操作検出手段)、ブレーキペダル9の操作量θbrkを検出するブレーキセンサ14(ブレーキ操作検出手段)、車両1の前後方向の加速度Gを検出する加速度センサ15、車速Vを検出する車速センサ16、降坂速度制御を開始するための開始スイッチ17、降坂速度制御中に目標車速の変更を許可するための許可スイッチ19等の各種センサ・スイッチ類が接続されている。またECU10の出力側には、上記した油圧ユニット6等のデバイス類が接続されている。なお、開始スイッチ17及び許可スイッチ19は、運転席の周辺で運転者が適宜操作できる位置に設置されている。特に、許可スイッチ19は、運転者がステアリングハンドル18を握った状態で操作することができる位置、本実施形態では、ステアリングハンドル18に設置されている。
次に、以上のように構成された車両1の降坂速度制御装置により実行される降坂速度制御について説明する。
降坂速度制御ルーチンは、開始スイッチ17がON操作されて以下の全ての条件が成立したときに開始される。
1)アクセル及びブレーキが非操作
2)降坂路が所定勾配以上(例えば10°以上)
3)車速Vが所定範囲内(例えば2〜10km/hの範囲内)
従って、ECU10は開始スイッチ17がON操作されると、アクセルセンサ13及びブレーキセンサ14の検出情報に基づき、条件1)が成立したか否かを判定し、加速度センサ15の検出情報から算出した路面勾配に基づき、条件2)が成立したか否かを判定し、車速センサ16の検出情報に基づき、条件3)が成立したか否かを判定する。そして、全ての条件が成立すると、その時点の車速Vを初期設定の目標車速Vtgtとして降坂速度制御を開始する。
このような制御開始状況の一例を述べると、例えば降坂路の直前で開始スイッチ17がON操作され、アクセル及びブレーキ操作を中止したまま、勾配10°以上の降坂路に車速8km/hで進入した場合には、進入時点の車速8km/hが目標車速Vtgtに設定されて直ちに降坂速度制御が開始される。
このときの車両1は、条件2)の路面勾配により制動力を受けない限り増速する走行状態にある。そして、降坂速度制御の実行中にはECU10により目標車速Vtgtに基づき油圧ユニット6が駆動制御され、ホイールブレーキ4による制動力が車両1に適宜作用することにより車両1が目標車速Vtgtに保たれる。
以上のような降坂速度制御の実行中において、ECU10は図2に示す降坂速度制御ルーチンを所定の制御インターバルで実行し、運転者の意思に応じて的確に目標車速Vtgtが変更できるよう制御している。
まずステップS1でアクセルまたはブレーキペダル12,9が操作されたか否かを判定し、判定がNo(否定)のときには一旦ルーチンを終了する。また、ステップS1でYesの判定を下すとステップS2に移行し、許可スイッチ19がON操作されているか否かを判定する。判定がNoのときにはルーチンを終了し、YesのときにはステップS3に移行する。
ステップS3ではアクセルセンサ13及びブレーキセンサ14の検出情報に基づき、アクセルまたはブレーキのペダル操作量θacc,θbrkが所定操作量θ0に達することなく、ペダル操作が所定時間T0未満で終了したか否かを判定する。所定操作量θ0及び所定時間T0は予め設定された閾値であり、アクセルとブレーキとで共通の閾値としても別の閾値としてもよい。本実施形態では共通の閾値に設定されており、所定操作量θ0は全開100%に対して3%に設定され、所定時間T0は1secに設定されている。
従って、ステップS3でペダル操作量θacc,θbrkが3%に達している場合、ペダル操作が1sec以上継続している場合、或いはその両方に該当する場合には、ステップS3でNoの判定を下してステップS4に移行する。
以下に述べるように本実施形態の降坂速度制御では、アクセルやブレーキペダル12,9の操作状態に応じて、特許文献1の技術と同様、アクセルまたはブレーキペダル12,9の操作により所望の車速Vに増速または減速させ、アクセルまたはブレーキペダル12,9の操作を中止した時点の車速Vに目標車速Vtgtを変更する第1の変更手法と、これとは別に、目標車速Vtgtを所定の速度ずつ増加または減少させて目標車速Vtgtを変更する第2の変更手法とを選択的に実行する。ステップS3は、運転者が何れの手法を希望しているかを判別するものであり、ステップS3で条件設定された僅か且つ瞬間的なペダル操作は通常の運転中にはあり得ないものである。このため、この条件を満たすペダル操作が運転者により意図的に実行された場合には、運転者が後者の第2の変更手法を希望しているものと見なせ、それ以外の通常のペダル操作の場合には前者の第1の変更手法を希望していると見なせる。
ステップS3の判定がNoのときにはステップS4に移行し、アクセルまたはブレーキペダル12,9の通常のペダル操作により増減された車速Vに応じて目標車速Vtgtの変更処理を実行した後にルーチンを終了する。即ち、アクセル操作時にはエンジン出力の増加により車両1は増速し、ブレーキ操作時にはホイールブレーキ4の制動力により車両1は減速し、これらの増速や減速はペダル操作が中止された時点で終了するが、ステップS4の処理によれば、ペダル操作が中止された時点の車速Vが新たな目標車速Vtgtに設定される。
一方、ステップS3の判定がYesのときにはステップS5に移行し、ステップS3で判別された僅か且つ瞬間的な1回分のペダル操作に対応して、アクセル操作時には目標車速Vtgtを1km/h分(所定量)だけ増加させ、ブレーキ操作時には目標車速Vtgtを1km/h分(所定量)だけ低下させた後にルーチンを終了する。
従って、許可スイッチ19がON操作されている状態では、ステップS3の条件を満たす僅か且つ瞬間的なペダル操作が行われる毎に、ECU10はステップS1〜3を経てステップS5に移行し、目標車速Vtgtを1km/h分ずつ増加または低下させることになる。なお、目標車速Vtgtの増加量及び低下量は一例に過ぎず任意に変更可能であると共に、増加量と低下量とを相違させてもよい。
以上のECU10の制御により、降坂速度制御の実行中には運転者の各操作に応じて以下に述べるように目標車速Vtgtが設定される。
まず、アクセルまたはブレーキペダル12,9が操作されたとしても許可スイッチ19が操作されない場合には(ステップS1がYes、ステップS2がNo)、そのままルーチンが終了されるため、目標車速Vtgtは変更されることなく元の値が維持される。つまり目標車速Vtgtの変更が禁止される。アクセル操作時にはエンジン出力の増加により車両1は増速し、ブレーキ操作時にはホイールブレーキ4の制動力により車両1は減速するが、これらのペダル操作が中止された時点で、降坂速度制御により元の目標車速Vtgtに向けて車速Vが調整される。
例えば、降坂速度制御の実行中に運転者に目標車速Vtgtを変更する意思がないのに、何らかの理由でアクセルまたはブレーキペダル12,9を誤操作してしまった場合、一時的に車速Vが増速または減速されるが、目標車速Vtgtの設定は変更されずに元の目標車速Vtgtに維持される。このため運転者がペダル操作を中止すると、降坂速度制御により車両1の車速Vが元の目標車速Vtgtになるよう調整される。よって、運転者が意図しないにも拘わらず目標車速Vtgtが変更されてしまう事態を防止できると共に、必然的に変更された目標車速Vtgtを元に戻すための再設定の操作も必要なくなる。
また、例えば降坂路の途中に路面の荒れた特定の区間が存在すると、運転者はブレーキ操作により車両1を減速させてからこの区間を通過するといった対処を実施する場合があるが、このときの運転者は車両1の一時的な減速を希望しているだけで、上記した誤操作の場合と同じく目標車速Vtgtを変更する意思はない。このような場合も許可スイッチ19を操作していなければ元の目標車速Vtgtが維持されるので、特定の区間を通過した後にブレーキ操作を中止すると、降坂速度制御により車両1の車速Vが元の目標車速Vtgtとなるよう調整される。よって、特許文献1の技術のようにブレーキ操作が中止された時点の目標車速Vtgtに変更されてしまう事態を防止できると共に、必然的に変更された目標車速Vtgtを元に戻すための再設定の操作も必要なくなる。
なお、降坂路の途中に平坦路が存在して車速維持のためにアクセル操作を行うこともあるが、この場合も同様であり、アクセル操作が中止されると、車両1の車速Vが元の目標車速Vtgtになるよう調整される。
また、アクセルまたはブレーキペダル9が操作され、且つ許可スイッチ19が操作され(ステップS1,2がYes)、そのペダル操作がステップS3の条件を満たさない通常のものである場合には(ステップS3がNo)、ペダル操作を中止した時点の車速Vに目標車速Vtgtが変更される(ステップS4)。従って、運転者は従来からのアクセル又はブレーキ操作に加えて許可スイッチ19を操作するだけで目標車速Vtgtを任意に変更でき、操作性を低下させることなく本来の降坂速度制御の機能を得ることができる。
なお、アクセルまたはブレーキペダル12,9を操作している途中で、許可スイッチ19の操作を中止した場合は、許可スイッチ19の操作を中止した時点の車速Vに目標車速Vtgtが変更される。つまり、目標車速Vtgtの設定は、ペダル操作を中止するタイミングおよび許可スイッチ19の操作を中止するタイミングのどちらでも可能となっている。
このように、本実施形態の車両1の降坂速度制御装置によれば、運転者の意思に応じて的確に目標車速Vtgtの変更ができ、降坂速度制御中のアクセルやブレーキの誤操作や路面状況の変化に対応する一時的なアクセルやブレーキの操作が行われた場合であっても、運転者の意図しない目標車速Vtgtの変更(増減)を未然に防止することができる。しかも、従来の機能を生かしつつ操作性および利便性の向上を図ることができる。
一方、アクセルまたはブレーキペダル12,9が操作され、且つ許可スイッチ19が操作され(ステップS1,2がYes)、そのペダル操作がステップS3の条件を満たす僅か且つ瞬間的なものである場合には(ステップS3がYes)、ペダル操作が行われる毎に目標車速Vtgtが1km/h分だけ増加または低下される。そして、目標車速Vtgtの変更に応じて降坂速度制御により目標車速Vtgtに基づく車速調整が逐次行われるため、運転者は調整後の車速Vを確認しながら所望の目標車速Vtgtに達するまで、このような意図的なペダル操作を繰り返す。
ステップS4の手法では、迅速に目標車速Vtgtを変更可能である反面、運転者がペダル操作を行って車両1を増速または減速させながら、所望の車速Vに達したタイミングでペダル操作を中止する必要がある。このような煩雑且つ集中を要する操作を例えば急な降坂路等で実施することは運転者に緊張を強いる上に、中止タイミングの僅かなズレが目標車速Vtgtの誤差要因になって所望の目標車速Vtgtに変更するのが困難である。
これに対してステップS5の手法によれば、運転者は所望の目標車速Vtgtに達するまで自己のペースで意図的なペダル操作を繰り返すだけのため、急な降坂路等でも安心して実施することができる。しかも、ペダル操作毎に目標車速Vtgtを1km/h分ずつ増加または低下して微調整できるため、非常に容易且つ確実に所望の目標車速Vtgtに変更することができる。
なお、ステップS4,5の手法を組み合わせて実施することも可能であり、まずステップS4の手法により所望の目標車速Vtgtの近くまで調整し、その後にステップS5の手法により微調整してもよい。
一方、ステップS3ではペダル操作が所定操作量θ0未満且つ所定時間T0未満に制限されており、これは、運転者が意図的に実行しない限りあり得ない条件であると共に、車両1のドライバビリティに影響を与えない条件でもある。即ち、アクセルペダル12とエンジン出力とは常に連動し、ブレーキペダル9とホイールブレーキ4も常に連動しているため、ステップS3の条件として大きなペダル操作量θacc,θbrkや長い操作時間が設定されている場合には、エンジン出力や制動力が大きく変動してドライバビリティを悪化させてしまう。
ペダル操作を所定操作量θ0未満且つ所定時間T0未満に制限することにより、運転者に僅か且つ瞬間的なペダル操作を促してエンジン出力や制動力の変動を抑制でき、結果として車両1のドライバビリティを悪化させることなく、運転者のペダル操作に応じてステップS4,5の両手法を適切に実施することができる。
また、本実施形態では、許可スイッチ19がステアリングハンドル18に設けられており、運転者がステアリングハンドル18を握った状態で許可スイッチ19の操作が可能な位置とされているので、運転者が操作のために視線を逸らしたり、姿勢を変化させる必要がなく、運転に集中しながら目標車速Vtgtの変更を実施することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、目標車速Vtgtの変更手法としてステップS4の処理とステップS5の処理を運転者の希望に応じて選択的に実行したが、必ずしもステップS5の処理を実行する必要はない。従って、例えばステップS3及びステップS5を省略し、ステップS2でYesの判定を下した場合にはステップS4に移行するようにしてもよい。
4 ホイールブレーキ(制動手段)
6 油圧ユニット(制動手段)
9 ブレーキペダル
10 ECU(降坂速度制御手段)
12 アクセルペダル
13 アクセルセンサ(アクセル操作検出手段)
14 ブレーキセンサ(ブレーキ操作検出手段)
19 許可スイッチ

Claims (3)

  1. 車両がアクセルペダルおよびブレーキペダルの操作が無い状態を含む所定の条件を満たした状態で降坂路を走行した際に、設定された目標車速に基づき前記車両を自動的に制動して車速を前記目標車速に保つ降坂速度制御を実行すると共に、前記降坂速度制御の実行中に前記アクセルペダルまたは前記ブレーキペダルが操作された時に、該ペダル操作に応じて増減された車速に前記目標車速を変更する降坂速度制御手段と、
    前記車両の運転席周りに設けられ、前記目標車速の変更を許可する許可スイッチと
    を備え、
    前記降坂速度制御手段は、前記許可スイッチが操作された状態で前記アクセルペダルまたは前記ブレーキペダルが操作されたときには、前記ペダル操作または前記許可スイッチの操作が中止された時点の車速に前記目標車速を変更し、前記許可スイッチが操作されない状態で前記アクセルペダルまたは前記ブレーキペダルが操作されたときには、前記目標車速の変更を禁止する
    ことを特徴とする車両の降坂速度制御装置。
  2. 前記降坂速度制御手段は、前記許可スイッチが操作された状態で前記アクセルペダルまたは前記ブレーキペダルが操作され、且つペダル操作量が所定操作量に達することなく所定時間未満で終了した場合に、前記アクセルペダルの操作時には前記目標車速を所定量だけ増加させ、前記ブレーキペダルの操作時には前記目標車速を所定量だけ低下させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の降坂速度制御装置。
  3. 前記許可スイッチは、運転者がステアリングハンドルを握った状態で操作可能な位置に設置されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の降坂速度制御装置。
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