本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、光アクセスネットワーク1a(光通信ネットワーク)の構成の例を示す図である。光アクセスネットワーク1aは、光加入者線終端装置10と、光ファイバ11と、光中継装置12aと、光ファイバ13と、光加入者線ネットワーク装置14とを備える。光加入者線ネットワーク装置14は、複数(N台)でもよい。以下、光加入者線終端装置と光中継装置との間の区間を「トランク区間」という。以下、光加入者線終端装置と光加入者線ネットワーク装置との間を「アクセス区間」という。以下、上り光信号の波長と下り光信号の波長とは異なる。
光加入者線終端装置10(OLT)(親局装置)は、光ファイバ11を介して、光信号を光中継装置12aに送信する。光加入者線終端装置10は、光ファイバ11を介して、光中継装置12aから光信号を取得する。光ファイバ11は、光加入者線終端装置10と光中継装置12aとの間の光信号を伝送する。光加入者線終端装置10は、親局に備えられる。
光中継装置12aは、光加入者線終端装置10と光加入者線ネットワーク装置14との間の光信号を中継する光中継装置である。光中継装置12aは、光ファイバ11を介して、光加入者線終端装置10から光信号を取得する。光中継装置12aは、光ファイバ11を介して、光加入者線終端装置10に送信する。光ファイバ13は、光中継装置12aと光加入者線ネットワーク装置14との間の光信号を伝送する。光中継装置12aは、中継局に備えられる。
光加入者線ネットワーク装置14(加入者装置)は、光ファイバ13を介して、光中継装置12aから光信号を取得する。光加入者線ネットワーク装置14は、光ファイバ13を介して、光信号を光中継装置12aに送信する。
次に、光中継装置12aの構成を説明する。
光中継装置12aは、WDMフィルタ120と、光カプラ121と、光減衰器122と、下りアンプ123と、可変光減衰器124と、光カプラ125と、WDMフィルタ126と、光カプラ127と、フォトダイオード128と、フォトダイオード129と、光カプラ130と、光減衰器131と、上りアンプ132と、可変光減衰器133と、フォトダイオード134と、フォトダイオード135と、制御部136とを備える。
WDMフィルタ120(Wavelength Division Multiplexing Filter)(波長合分波器)は、波長分離によって下り光信号を光カプラ121に送信する。WDMフィルタ120は、上り光信号を光カプラ127から取得する。WDMフィルタ120は、波長分離によって上り光信号を光加入者線終端装置10に送信する。
光カプラ121は、下り光信号の一部を光減衰器122に送信する。光カプラ121は、下り光信号の一部をフォトダイオード129に送信する。光カプラ121は、下り光信号の最大強度に対して5〜10%の強度の下り光信号を、フォトダイオード129に送信する。これによって、光カプラ121は、下りアンプ123が増幅する光信号を光減衰器122が過度に減衰することがないようにすることができる。また、光カプラ121は、制御部136に下り光信号の強度を正確に測定させることができる。
光減衰器122(アッテネータ)は、下り光信号を光カプラ121から取得する。光減衰器122は、下りアンプ123において光過入力状態が発生しないように、制御部136による制御に応じて下り光信号の強度を減衰させることによって、下り光信号の強度を調整する。光減衰器122は、強度が調整された下り光信号を下りアンプ123に送信する。
下りアンプ123は、下り光信号を増幅するための光増幅デバイスである。下りアンプ123は、光減衰器122から下り光信号を取得する。下りアンプ123は、下り光信号の強度を増幅する。下りアンプ123は、強度が増幅された下り光信号を可変光減衰器124に送信する。下りアンプ123は、例えば、光半導体増幅素子(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)又は光ファイバアンプである。
可変光減衰器124(VOA: Variable Optical Attenuator)は、制御部136による自動レベル制御(ALC: Auto Level Control)に応じて、下り光信号の強度を一定レベルに調整するための光減衰器(ALC-VOA)である。自動レベル制御の方法は、例えば、特許文献1に記載されている自動レベル制御の方法でもよい。可変光減衰器124は、強度が調整された下り光信号を光カプラ125に送信する。
光カプラ125は、下り光信号の一部を光減衰器122に送信する。光カプラ125は、下り光信号の一部をフォトダイオード135に送信する。光カプラ125は、光信号の最大強度に対して5〜10%の強度の光信号を、フォトダイオード135に送信する。
WDMフィルタ126は、下り光信号を光カプラ125から取得する。WDMフィルタ126は、光ファイバ13を介して、下り光信号を光加入者線ネットワーク装置14に送信する。WDMフィルタ126は、上り光信号を光カプラ130に送信する。
光カプラ127は、可変光減衰器133から取得した上り光信号の一部を、WDMフィルタ120に送信する。光カプラ127は、可変光減衰器133から取得した上り光信号の一部を、フォトダイオード128(強度検出用のフォトダイオード)に送信する。光カプラ127は、上り光信号の最大強度に対して5〜10%の強度の上り光信号を、フォトダイオード128に送信する。
フォトダイオード128(Photodiode)(光強度検出部)は、光カプラ127から取得した上り光信号の強度に応じた信号を、制御部136に送信する。すなわち、フォトダイオード128は、上りアンプ132によって強度が増幅された後の光信号について、可変光減衰器133によって強度が調整された後の上り光信号の強度(増幅後強度)に応じた信号を、制御部136に送信する。
フォトダイオード129(光強度検出部)は、光カプラ121から取得した下り光信号の強度に応じた信号を、制御部136に送信する。すなわち、フォトダイオード129は、下りアンプ123によって強度が増幅される前の光信号について、光減衰器122によって強度が調整される前の下り光信号の強度(増幅前強度)に応じた信号を、制御部136に送信する。
光カプラ130は、上り光信号をWDMフィルタ126から取得する。光カプラ130は、WDMフィルタ126から取得した上り光信号の一部を、光減衰器131に送信する。光カプラ130は、WDMフィルタ126から取得した上り光信号の一部を、フォトダイオード134(強度検出用のフォトダイオード)に送信する。光カプラ130は、上り光信号の最大強度に対して5〜10%の強度の上り光信号を、フォトダイオード134に送信する。
光減衰器131(アッテネータ)は、上り光信号を光カプラ130から取得する。光減衰器131は、上りアンプ132において光過入力状態が発生しないように、制御部136による制御に応じて上り光信号の強度を減衰させることによって、上り光信号の強度を調整する。光減衰器131は、強度が調整された上り光信号を上りアンプ132に送信する。
上りアンプ132は、上り光信号を増幅するための光増幅デバイスである。上りアンプ132は、光減衰器131から上り光信号を取得する。上りアンプ132は、上り光信号の強度を増幅する。上りアンプ132は、強度が増幅された上り光信号を可変光減衰器133に送信する。上りアンプ132は、例えば、光半導体増幅素子(SOA)又は光ファイバアンプである。
可変光減衰器133は(VOA)、制御部136による自動レベル制御(ALC)に応じて、上り光信号の強度を一定レベルに調整するための光減衰器(ALC-VOA)である。可変光減衰器133は、強度が調整された上り光信号を光カプラ127に送信する。
フォトダイオード134(光強度検出部)は、光カプラ130から取得した上り光信号の強度に応じた信号を、制御部136に送信する。すなわち、フォトダイオード134は、上りアンプ132によって強度が増幅される前の光信号について、光減衰器131によって強度が調整される前の上り光信号の強度(増幅前強度)に応じた信号を、制御部136に送信する。
フォトダイオード135(光強度検出部)は、光カプラ125から取得した下り光信号の強度に応じた信号を、制御部136に送信する。すなわち、フォトダイオード135は、下りアンプ123によって強度が増幅された後の光信号について、可変光減衰器124によって強度が調整された後の下り光信号の強度(増幅後強度)に応じた信号を、制御部136に送信する。
制御部136は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、制御部136は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
制御部136は、記憶部を備えてもよい。記憶部は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の不揮発性の記憶媒体(非一時的な記録媒体)を有する記憶装置を用いて構成される。記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)やレジスタなどの揮発性の記憶媒体を有していてもよい。
上り光信号には、上り光信号の最大ゲインが定められる。上り光信号には、上り光信号の飽和出力値が定められる。下り光信号には、下り光信号の最大ゲインが定められる。下り光信号には、下り光信号の飽和出力値が定められる。
制御部136は、光減衰器122による光信号の減衰量を、光減衰器122に電気制御信号を送信することによって制御する。制御部136は、光減衰器131による光信号の減衰量を、光減衰器131に電気制御信号を送信することによって制御する。
制御部136は、可変光減衰器124による下り光信号の自動レベル制御を、可変光減衰器124に電気制御信号を送信することによって実行する。制御部136は、可変光減衰器133による上り光信号の自動レベル制御を、可変光減衰器133に電気制御信号を送信することによって実行する。
制御部136は、各アンプのゲインを制御する。以下、光中継装置12aの最大ゲインは、一例として、20dBである。すなわち、下りアンプ123の最大ゲインは、20dBである。上りアンプ132の最大ゲインは、20dBである。以下、光中継装置12aの飽和出力値は、一例として、5dBmである。
制御部136は、光カプラ130から取得した上り光信号の強度に応じた信号を、フォトダイオード134から取得する。制御部136は、光カプラ127から取得した上り光信号の強度に応じた信号を、フォトダイオード128から取得する。制御部136は、光カプラ121から取得した下り光信号の強度に応じた信号を、フォトダイオード129から取得する。制御部136は、光カプラ125から取得した下り光信号の強度に応じた信号を、フォトダイオード135から取得する。制御部136は、各フォトダイオードから取得した信号に基づいて、光中継装置12aにおける光信号のゲインを定める。
光中継装置12aが取得した光信号の強度が−20dBmである場合に、最大ゲイン20dBで光信号の強度が増幅された場合、増幅後の光信号の強度は0dBmとなる。したがって、増幅後の光信号の強度0dBmは、飽和出力値5dBm未満である。このため、制御部136は、下り光信号の強度を最大ゲイン20dBで増幅させるため、可変光減衰器124による光信号の減衰量を0(=20−20)dBに設定する。制御部136は、上り光信号の強度を最大ゲイン20dBで増幅させるため、可変光減衰器133による光信号の減衰量を0(=20−20)dBに設定する。
光中継装置12aが取得した光信号の強度が−5dBmである場合に、最大ゲイン20dBで光信号の強度が増幅された場合、増幅後の光信号の強度は15dBmとなる。したがって、増幅後の光信号の強度15dBmは、飽和出力値5dBmを超えている。このため、制御部136は、下り光信号の強度を飽和出力値5dBmとするため、可変光減衰器124による光信号の減衰量を10(=15−5)dBに設定する。制御部136は、上り光信号の強度を飽和出力値5dBmとするため、可変光減衰器133による光信号の減衰量を10(=15−5)dBに設定する。これによって、制御部136は、安定で迅速な自動レベル制御を実行することができる。
なお、制御部136は、増幅後の光信号の強度を減衰させることなく光信号を増幅させることが可能である場合、可変光減衰器124及び可変光減衰器133を用いて光信号の強度を一定レベルに調整してもよい。制御部136は、増幅後の光信号の強度を減衰させることなく光信号を増幅させることが可能である場合、上りアンプ132及び下りアンプ123に供給する駆動電力を変化させることによって上りアンプ132及び下りアンプ123におけるゲインを変更し、光信号の強度を一定レベルに調整してもよい。
次に、上りアンプ132及び下りアンプ123が一例として1R型光アンプである場合における制御シーケンスを説明する。
1R型光アンプは、光信号を電気信号などに変換することなく、光半導体増幅素子(SOA)や光ファイバアンプなどのデバイスを用いて光増幅を実行する。1R型光アンプは、入力された光信号の強度に対して光増幅の効果(長延化の効果)が非線形に変化するため、制御機構が複雑である。なお、上りアンプ132及び下りアンプ123は、3R型光アンプでもよい。3R型光アンプは、光信号を電気信号に変換し、変換した電気信号を光信号に変換する。
以下、制御部136が制御に使用するパラメータを示す。
(光加入者線終端装置10に関するパラメータ)
POLT,minは、光加入者線終端装置10(親局装置)が送信する光信号に定められた規格上の最小強度(最小出力)[dBm]を示す。
POLT,maxは、光加入者線終端装置10が送信する光信号に定められた規格上の最大強度[dBm]を示す。
SOLTは、光加入者線終端装置10が取得する光信号に定められた規格上の最小強度(許容最小パワー)[dBm]を示す。
TOLTは、光加入者線終端装置10が取得する光信号に定められた規格上の最大強度(許容最大パワー)[dBm]を示す。
(光加入者線ネットワーク装置14に関するパラメータ)
PONUは、光加入者線ネットワーク装置14が送信する光信号に定められた規格上の最小強度[dBm]を示す。
SONUは、光加入者線ネットワーク装置14が取得する光信号に定められた規格上の最小強度(許容最小パワー)[dBm]を示す。
TONUは、光加入者線ネットワーク装置14が取得する光信号に定められた規格上の最大強度(許容最大パワー)[dBm]を示す。
(光中継装置12aに関するパラメータ)
POA,up,maxは、上りアンプ132の飽和出力値[dBm]を示す。
POA,down,maxは、下りアンプ123の下り飽和出力値[dBm]を示す。
(光減衰器又は可変光減衰器に関するパラメータ)
ATTup,inは、上りアンプ132の入力側の光減衰器131のATT値(光信号の減衰量の設定値)[dB]を示す。
ATTup,outは、上りアンプ132の出力側の可変光減衰器133のATT値[dB]を示す。
ATTdown,inは、下りアンプ123の入力側の光減衰器122のATT値[dB]を示す。
ATTdown,outは、下りアンプ123の出力側の可変光減衰器124のATT値[dB]を示す。
(各アンプにおける光信号の強度のパラメータ)
QOA,upは、上りアンプ132が光減衰器131から取得する上り光信号の強度[dBm]を示す。すなわち、QOA,upは、ATTup,inによる減衰量を含まない正味の光信号の強度[dBm]を示す。
POA,upは、上りアンプ132が可変光減衰器133に送信する上り光信号の強度[dBm]を示す。すなわち、POA,upは、ATTup,outによる減衰量を含まない正味の光信号の強度[dBm]を示す。
QOA,downは、下りアンプ123が光減衰器122から取得する下り光信号の強度[dBm]を示す。すなわち、QOA,downは、ATTdown,inによる減衰量を含まない正味の光信号の強度[dBm]を示す。
POA,downは、下りアンプ123が可変光減衰器124に送信する下り光信号の強度[dBm]を示す。すなわち、POA,downは、ATTdown,outによる減衰量を含まない正味の光信号の強度[dBm]を示す。
(光アクセスネットワーク1aに関するパラメータ)
Dtは、トランク区間の距離[km]を示す。
Daは、光中継装置12aの近傍(所定距離以内)の光加入者線ネットワーク装置14に関するアクセス区間の距離[km]を示す。
Losst,upは、トランク区間の上り線路損失[dB]を示す。
Losst,downは、トランク区間の下り線路損失[dB]を示す。
Lossa,upは、光中継装置12aの近傍の光加入者線ネットワーク装置14に関するアクセス区間の上り線路損失[dB]を示す。
Lossa,downは、光中継装置12aの近傍の光加入者線ネットワーク装置14に関するアクセス区間の下り線路損失[dB]を示す。
(制御シーケンスの初期状態)
制御シーケンスの初期状態では、光加入者線終端装置10(親局装置)と光中継装置12aとは,許容線路損失以内の範囲で接続されている。光中継装置12aと光加入者線ネットワーク装置14とは,許容線路損失以内の範囲で接続されている。これによって、光加入者線終端装置10は、光中継装置12aを用いることによって、光過入力状態を発生させることなく全ての光加入者線ネットワーク装置14を収容することができる。
光加入者線終端装置10(親局装置)は、連続発光状態である。光加入者線ネットワーク装置14は、消灯状態である。したがって、光中継装置12aは上り光信号を取得せずに、下り光信号を取得する。
制御部136は、光減衰器122について、式(1)に示す最大値でATTdown,inを初期化する。制御部136は、光減衰器131について、式(2)に示す最大値でATTup,inを初期化する。制御部136は、可変光減衰器124について、式(3)に示す最大値でATTdown,outを初期化する。制御部136は、可変光減衰器133について、式(4)に示す最大値でATTup,outを初期化する。
ATTdown,in=Losst,max …(1)
ATTup,in=Lossa,max …(2)
ATTdown,out=Lossa,max …(3)
ATTup,out=Losst,max …(4)
例えば、光中継装置12aの近傍の光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップ(通信可能)となり、高い強度の上り光信号を光中継装置12aが取得したとしても、制御部136は、光減衰器131による上り光信号の減衰によって、上りアンプ132における光過入力状態の発生を防止することができる。
なお、制御部136は、光中継装置12aにおいて光過入力状態が発生する可能性があるか否かを、光加入者線ネットワーク装置14の収容情報テーブル、光線路データベース又は施工ログに基づいて事前に判定してもよい。制御部136は、光中継装置12aにおいて光過入力状態が発生しない可能性が閾値以上である場合には、最大値よりも小さい値でATT値を初期化してもよい。
(ATT値の設定シーケンス)
制御部136は、以下に示すATT値の設定シーケンス(i)〜(vii)を実行することよって、ATT値を定める。
(i)下り光信号の強度QOA,downの測定
制御部136は、WDMフィルタ120が取得した下り光信号について、光カプラ121から取得した下り光信号の強度に応じた信号を、フォトダイオード129から取得する。すなわち、制御部136は、光減衰器122によって強度が調整される前の下り光信号の強度に応じた信号を、フォトダイオード129から取得する。
制御部136は、下りアンプ123が光減衰器122から取得する下り光信号の強度QOA,downを測定する。すなわち、制御部136は、光中継装置12aが取得した下り光信号の強度QOA,downを測定する。
なお、フォトダイオード129は、トランク線路損失が光中継装置12aの適用範囲外の線路損失である場合、下り光信号を検出できない場合がある。フォトダイオード129は、トランク区間の線路に障害が発生している場合、下り光信号を検出できない場合がある。フォトダイオード129は、光中継装置12aの各部のいずれかが故障している場合、下り光信号を検出できない場合がある。下り光信号を検出できない場合には、制御部136は、下り光信号の強度が低いことを警告するためのアラームを監視網などに発出した上で、予め定められた異常終了処理を実行してもよい。
・ATT値の設定シーケンス(i)におけるATT値(初期値)
ATTdown,in=Losst,max
ATTup,in=Lossa,max
ATTdown,out=Lossa,max
ATTup,out=Losst, max
(ii)トランク区間の下り線路損失Losst,downの算出
制御部136は、光中継装置12aが取得した下り光信号の強度QOA,downに基づいて、トランク区間の下り線路損失Losst,downを式(5)のように算出する。
Losst,down=POLT,min−QOA,down …(5)
制御部136は、光加入者線終端装置10が送信する光信号の強度に関する製造上の統計データ(実績値)をPOLT,minの代わりに用いて、トランク区間の下り線路損失Losst,downを算出してもよい。制御部136は、製造上の統計データを用いることによって、ATTup,outをより最適に定めることができる。
例えば、制御部136は、10G−EPON(PR30)に示されているように規格上の最小強度POLT,minが+3dBmである場合、仮にQOA,downが−15dBmであれば、Losst,downを18dBと定めてもよい。例えば、99.999%以上の光加入者線終端装置10がPOLT,min=+4dBm以上であることを製造上の統計データが示している場合、制御部136は、99.999%以上の確率でLosst,downが19dBであるとみなし、Losst,downをこの値に定めてもよい。
したがって、制御部136は、規格上の最小強度POLT,minを用いて算出する場合には、製造上の統計データを用いて算出する場合と比較して、Losst,downを1dBだけ小さく定める。線路損失が小さい場合、光アンプにおける光過入力状態が発生しやすい。制御部136は、光アンプにおける光過入力状態が発生することを防止するため、ATT値(光信号の減衰量の設定値)をより大きな値に定める。
制御部136は、制御部136がATT値をより大きな値に定めた場合、光過入力状態が発生することをより防止することができる。大きなATT値は、実際には小さな光減衰量で済む場合(マージンが必要ない場合)、長延化の効果に影響を与えることがある。大きなATT値は、製造上の統計データが装置の測定値を精度良く反映している場合には、長延化の効果に与える影響が少ない。大きなATT値は、製造上の統計データが装置の測定値を精度良く反映している場合には、低い確率で光過入力状態を発生させることがある。制御部136は、光過入力状態の発生を防止するための保証の考え方に応じて、規格上の最小強度と製造上の統計データとのいずれかを用いてもよい。
制御部136は、トランク区間の下り線路損失Losst,downを、式(6)のように統計データに基づいて算出してもよい。
Losst,down=POLT,min−QOA,down+α …(6)
αは、トランク区間線路の接続損失又は融着損失の測定値を示すマージン項(係数)である。接続損失又は融着損失の測定値は、例えば、接続損失又は融着損失の測定値である。αは、0以上の値である。αは、距離に正比例する関数α(Dt)によって表される。制御部136は、係数αを加算することによって、Losst,downをより大きな値に定める。
制御部136は、αが例えば1dBである場合、規格上の最小強度POLT,minに基づいて、Losst,downを19(=18+1)dBと定める。この場合、ATT値(光信号の減衰量の設定値)が小さくなるので、長延化の効果は損なわれない。光過入力状態が発生する確率は、αが0である場合と比較して高くなる。つまり、制御部136は、長延化の効果と光過入力状態の発生確率とのトレードオフに応じてαを適切に定めることによって、自動レベル制御(ALC)を効率的に実行することができる。
(iii)Losst,downに基づくLosst,upの推定
例えば、10G−EPON(10 Gbit/s Ethernet Passive Optical Network)では、上り光信号の波長のバンドは、Oバンドである。下り光信号の波長のバンドは、Lバンドである。この場合、上り光信号の伝送損失は、下り光信号の伝送損失と比較して、1キロメートルあたり0.2dB程度大きくなる。よって、トランク区間における分岐数などが未知である場合、Losst,downとLosst,upとの関係は、近似式(7)によって表される。制御部136は、Losst,downに基づいて、近似式(7)のようにLosst,upを算出する。
Losst,up=Losst,down+0.2Dt …(7)
近似式(7)に示す0.2は、上り光信号の伝送損失と下り光信号の伝送損失との差に基づく値である。Dtは、トランク区間の距離を示す。すなわち、Dtは、集約対象の最小収容距離を示す。Dtは、例えば、1kmである。
例えば、制御部136は、10G−EPONの規定値POLT,min=+3dBmとQOA,down,in=−15dBmとに基づいてLosst,downを18dBと推定した場合、近似式(7)に基づいて、Losst,up=18+0.2×1=18.2dBと算出する。
Losst,downが正確であるほどATT値が最適となるので、長延化の効果は損なわれない。同様に、Losst,upが正確であるほどATT値が最適となるので、長延化の効果は損なわれない。
制御部136は、距離を示す変数Dtを外部データベースから取得した場合、近似式(7)のように距離を示す変数Dtを用いてLosst,upを算出してもよい。制御部136は、Dtが例えば10kmである場合、Losst,upを20(=18+0.2×10)dBと定める。同様に、制御部136は、トランク区間の分岐数を外部データベースから取得した場合、トランク区間の分岐数の常用対数値に10を乗算した値を、Losst,downに加算してもよい。制御部136は、トランク区間の分岐数が例えば4である場合、10×log10(4)(=約6dB)をLosst,downに加算することによって、Losst,upを24(=18+6)dBと定めてもよい。
制御部136は、Oバンド又はLバンドの波長以外を用いる場合、用いられる波長の伝送損失が事前に判明している場合、用いられる波長の測定値に応じて、近似式(7)に示す係数(0.2)を変更してもよい。
制御部136は、線路損失の統計データを取得してもよい。例えば、制御部136は、下り信号の線路損失が所定値である場合、最も確からしい上り損失の値を最尤推定した結果に基づいて、近似式(7)に示す係数(0.2)を変更してもよい。制御部136は、制御部136の記憶部に統計情報を予め記憶させてもよい。制御部136は、最新の統計情報を外部データベースから取得し、制御部136の記憶部に最新の統計情報を記憶させてもよい。
(iv)Losst,downに基づくATTdown,inの算出、Losst,pに基づくATTup,outの算出
制御部136は、Losst,downに基づいて、式(8)のようにATTdown,inを算出する。制御部136は、Losst,upに基づいて、式(9)のようにATTup,outを算出する。
ATTdown,in=Max((POLT,max−QOA,down+Losst,down),0) …(8)
ATTup,out=Max((POA,up,max−(TOLT−Losst,up)),0) …(9)
ここで,ATTdown,inが0dB未満である場合、制御部136は、ATTdown,inを0dBと定める。ATTup,outが0dB以下である場合、制御部136は、ATTdown,inを0dBと定める。
10G−OLT(PR30)におけるTOLTが−6dBmであるため、Losst,upはl8.2dBである。POA,down,max=+5dBで動作可能な光アンプを用いる場合、制御部136は、ATTup,outを−7.2(=+5−(−6)−18.2)dBと定める。制御部136は、ATTup, outが0未満であるため、ATTup,outを0と定める。なお、光加入者線終端装置10が取得する光信号に定められた規格上の強度TOLTは、規定の最大強度(ワーストスペック)でもよいし、製造上の実力値でもよい。
・ATT値の設定シーケンス(iv)におけるATT値
ATTdown,in=Max((POLT,max−QOA,down+Losst,down),0)
ATTup,in=Lossa,max
ATTdown,out=Lossa,max
ATTup,out=Max((POA,up,max−(TOLT−Losst,up)),0)
(v)光中継装置12aの近傍の光加入者線ネットワーク装置14のリンクアップ
光加入者線終端装置10は、リンクアップ開始のための上り光信号(交換信号)を光加入者線ネットワーク装置14から取得する必要がある。光加入者線ネットワーク装置14は、リンクアップ開始のための下り光信号(交換信号)を光加入者線終端装置10から取得する必要がある。光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップした場合でも、光中継装置12aでは、上り光信号による光過入力状態が発生してはならない。制御部136は、ATTup,inを、式(1)に示す初期値から次第に小さくする。制御部136は、ATTdown,outを、式(3)に示す初期値から次第に小さくする。
制御部136は、光カプラ130から取得した上り光信号の強度に応じた信号に基づいて、光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップしたか否かを判定する。トランク区間の上り線路損失Lossa,upは、式(10)のように表される。
Lossa,up=Lossa,down+0.2Da …(10)
ATTdown,outとATTup,inとの関係は、式(11)及び(12)のように表される。
ATTdown,out=Max((POA,down−SONU−Lossa,down),0) …(11)
ATTup,in=Max((PONU,max−SOA,up−Lossa,up),0) …(12)
POA,downは、光中継装置12aの光特性と既知のQOA,downとに基づいて定まる。よって、式(13)が成り立つ。実際には、制御部136は、式(14)のようにATTup,inを算出してもよい。
ATTup,in
=PONU−SOA,up−(Lossa,down+0.2Da)
=PONU−SOA,up−(POA, down−SONU−ATTdown,out+0.2Da)
=ATTdown,out+PONU−SOA,up−(POA,down−SONU) −0.2Da …(13)
ATTup,in
=Max((ATTdown,out+PONU−SOA,up−POA,down−SONU)−0.2Da),0) …(14)
したがって、制御部136は、式(13)と式(14)との差分だけATTdown,outよりも大きな値を、ATTup,inと定めればよい。例えば、PONU,maxが+9dBm(PR30)であり、SOA,upが−30dBmであり、POA,downが+5dBmであり(QOA,downが−15dBmである)、SONUが−28.5dBm(PR30)である場合、式(15)が成り立つ。
ATTup,in
=ATTdown,out+9−(−30)−(5−(−28.5))+0.2Da,min
=ATTdown,out+5.5−0.2Da …(15)
ATTup,inの初期値は、30dBである。ATTdown,outの初期値は、30dBである。Daの最小値であるDa,minは、0である。Daの最小値は、光過入力状態に最も注意すべきアクセス区間の距離を示す変数Daの値である。制御部136は、初期値となっているATTup,inを式(16)のように更新する。
ATTup,in=30+5.5−0.2×0=35.5dB …(16)
制御部136は、式(16)に示すATTup,inを用いても光加入者線ネットワーク装置14が1台もリンクアップしない場合、ATTdown,outとATTup,inとの差を保つように、ATTdown,outとATTup,inとを刻み幅ATTStepで次第に小さくする。制御部136は、例えば式(17)を満たしながら、ATTdown,outとATTup,inとを刻み幅ATTStepで次第に小さくする。
ATTdown,out−ATTup,in=5.5dB …(17)
刻み幅ATTStepは、例えば、0.2〜1.0dBである。ATTStepによって、制御部136は、光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップするためのATT値を、きめ細かく定めることができる。
例えば、ATTdown,outの初期値がLossa,max(=30dB)に設定されている場合、ATTdown,outとATTup,inとを、1秒あたり2dBずつ小さくする。すなわち、制御部136は、(ATTdown,out,ATTup,in)を、(30,35.5)dB、(28,33.5)dB、…、(0,5.5)dBのように1秒ごとに2dBずつ小さくする。
例えば、(ATTdown,out,ATTup,in)の初期値が(30,20)dBである場合、制御部136は、(28,18)dB、…(0,4)dB、(0,2)dB、(0,0)dBのように、(ATTdown,out,ATTup,in)を1秒ごとに2dBずつ小さくする。
制御部136は、ATTdown,outを0dBと定めても光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップしない場合、アクセス区間の距離に関して予め定められた刻み幅であるDstepだけ、アクセス区間の距離を示す変数Daを大きくする。Dstepの値は、例えば、10kmである。制御部136は、ATTdown,outを初期値(=30dB)に戻す。制御部136は、Dstepに基づいて、ATT値を再度定める。例えば、アクセス区間の距離を示す変数Daを刻み幅Dstep(=10km)で変更する場合、0.2Daは2dBである。制御部136は、(30,33.5)dB、(28,31.5)dB、…のように、(ATTdown,out,ATTup,in)を変更する。
制御部136は、アクセス区間の距離を示す変数Daを刻み幅Dstep(=10km)で変更しても光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップしない場合、刻み幅Dstepを大きくする。制御部136は、例えば、刻み幅Dstepを20kmと定める。制御部136は、ATTdown, outを初期値(=30dB)に戻す。制御部136は、Dstep(=20km)に基づいて、ATT値を再度定める。
例えば、アクセス区間の距離を示す変数Daが30kmであり、ATTdown,outが20dBである場合に、光加入者線ネットワーク装置14が初めてリンクアップした場合、制御部136は、ATTup,in(=19.5dB)を、光減衰器131のATT値と定める。制御部136は、ATTdown,out(=20dB)を、可変光減衰器124のATT値と定める。
制御部136は、ATTup,in及びATTdown,outを、0.5〜10dBずつ1秒ごとに小さくしてもよい。光加入者線終端装置10及び光加入者線ネットワーク装置14が短時間でリンクアップすることが可能である場合、制御部136は、ATTup,in及びATTdown,outを変更する時間間隔を短くしてもよい。すなわち、光加入者線終端装置10及び光加入者線ネットワーク装置14が短時間でリンクアップすることが可能である場合、制御部136は、ATTup,in及びATTdown,outの掃引速度(sweep rate)を速くしてもよい。
光加入者線終端装置10及び光加入者線ネットワーク装置14が短時間でリンクアップすることが不可能である場合、制御部136は、ATTup,in及びATTdown,outを変更する時間間隔を長くしてもよい。すなわち、光加入者線終端装置10及び光加入者線ネットワーク装置14が短時間でリンクアップすることが不可能である場合、制御部136は、ATTup,in及びATTdown,outの掃引速度を遅くしてもよい。
制御部136は、光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップしないことに基づくタイムアウト警報が光中継装置12a、光加入者線終端装置10又は光加入者線ネットワーク装置14から発生しない範囲で掃引速度を定める。これによって、制御部136は、光加入者線終端装置10及び光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップするためのATTdown,out及びATTup,inの最小値を、リンクアップのための交換信号に影響を与えることなく定めることができる。制御部136は、光中継装置12aに近い1台の光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップ可能なATT値であって、光中継装置12aにおいて光過入力状態が発生しないATT値を定めることができる。
・ATT値の設定シーケンス(vii)におけるATT値
ATTdown,in=Max((POLT,max−QOA,down+Losst,down),0)
ATTup,in=少なくとも1台の光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップ可能となる値(光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップした場合に、上りアンプ132において光過入力状態が発生しない値)
ATTdown,out=少なくとも1台の光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップ可能となる値(光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップした場合に、光加入者線ネットワーク装置14において光過入力状態が発生しない値)
ATTup,out=Max((POA,up,max−(TOLT−Losst,up)),0)
(vi)QOA,upに基づくLossa,up及びLossa,downの算出
上りアンプ132が光減衰器131から取得する上り光信号の強度QOA,upは、光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップしたことによって測定される。
制御部136は、上りアンプ132が光減衰器131から取得する上り光信号の強度QOA,upに基づいて、光中継装置12aの近傍の光加入者線ネットワーク装置14に関するアクセス区間の上り線路損失Lossa,upを算出する。Lossa,upは、式(18)のように表される。制御部136は、QOA,upに基づくLossa,upに基づいて、光中継装置12aの近傍の光加入者線ネットワーク装置14に関するアクセス区間の下り線路損失Lossa,downを算出する。Lossa,downは、式(19)のように表される。仮にQoA,upがフォトダイオード134によって検出されない場合、制御部136は、予め定められた異常終了処理を実行してもよい。
Lossa,up=PONU−QOA,up+β …(18)
Lossa,down=Lossa,up−0.2Da …(19)
βは、トランク区間線路の接続損失又は融着損失の測定値を示すマージン項(係数)である。QOA,up=−25dBmとPONU=4dBmとβ=0とDa=30kmとが成立している場合、式(18)に示すLossa,upは、33(=4−(−29)+0)dBとなる。式(19)に示すLossa,downは、27(=33−0.2×30)dBとなる。
(vii)全ての光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップ可能となるためのATTdown,out及びATTup,inの調整
制御部136は、全ての光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップ可能となるように、ATTdown,out及びATTup,inを調整する。調整されたATTup,inは、式(20)のように表される。調整されたATTup, outは、式(21)のように表される。
ATTup,in←Max((ATTup,in−(TOA,up−QOA,up),0) …(20)
ATTdown,out=Max((POA,down−TONU−Lossa,down),0) …(21)
TOA,up=−10dBmとPOA,down=+5dBm(QOA,downが−15 dBm)とTONU=−9dBmとが成立している場合、式(20)に示すATTup,inは、4.5(=19.5−(−10−(−25)))dBとなる。式(21)に示すATTdown,outは、−13(=5−(−9)−27)dBとなる。制御部136は、ATTdown,outが0未満である場合、ATTdown,outを0と定める。
ATTdown,outが20dBであり、ATTup,inが19.5dBである場合、光中継装置12aの近傍の光加入者線ネットワーク装置14は、リンクアップすることが可能である。ATTdown,outが4.5dBであり、ATTup,inが0dBである場合、光中継装置12aの最も近傍の光加入者線ネットワーク装置14では、光過入力状態が発生しない。光加入者線終端装置10は、ATTup,inが19.5dBである場合、ATTup,inが0dBである場合と比較して線路損失が少ないので、より遠くの光加入者線ネットワーク装置14を収容することができる。
したがって、許容損失の範囲内で光加入者線ネットワーク装置14が光中継装置12aに接続されている場合、いずれの光加入者線ネットワーク装置14でも光過入力状態を発生させることなく、制御部136は、全ての光加入者線ネットワーク装置14をリンクアップさせることができる。
・ATT値の設定シーケンス(vii)におけるATT値
ATTdown,in=Max((POLT,max−QOA,down+Losst,down),0)
ATTup,in←Max((ATTup,in−(TOA,up−QOA,up),0)
ATTdown,out=Max((POA,down−TONU−Lossa,down),0)
ATTup,out=Max((POA,up,max−(TOLT−Losst,up)),0)
図2は、光アクセスネットワーク1aの動作(ATT値の設定シーケンス)の例を示すフローチャートである。制御部136は、ステップS107からステップS110において、1台の光加入者線ネットワーク装置14をリンクアップさせる。
制御部136は、ATT値を初期化する(ATTdown,in=Losst,max、ATTup,in=Lossa,max、ATTdown,out=Lossa,max、ATTup,out=Losst,max)(ステップS101)。
制御部136は、光中継装置12aが取得した下り光信号の強度QOA,downを測定する(ステップS102)。
制御部136は、光中継装置12aが取得した下り光信号の強度QOA,downに基づいて、トランク区間の下り線路損失Losst,downを算出する(Losst,down=POLT,min−QOA,down)(ステップS103)。
制御部136は、トランク区間の下り線路損失Losst,downに基づいて、トランク区間の上り線路損失Losst,upを算出する(Losst, up=Losst,down+0.2Dt)(ステップS104)。
制御部136は、トランク区間の下り線路損失Losst,downに基づいて、下りアンプ123の入力側の光減衰器122のATT値(ATTdown,in)を更新する(ATTdown,in=Max((POLT, max−QOA,down+Los st,down),0))。
制御部136は、トランク区間の上り線路損失Losst,upに基づいて、上りアンプ132の出力側の可変光減衰器133のATT値(ATTup,out)を更新する(ATTup,out=Max((POA,up,max−(TOLT−Losst,up)),0))(ステップS105)。
制御部136は、光中継装置12aの近傍(所定距離以内)の光加入者線ネットワーク装置14に関するアクセス区間の距離を示す変数Daを0にする(ステップS106)。
制御部136は、上りアンプ132の入力側の光減衰器131のATT値(ATTup,in)を算出する(ATTup,in=Max((ATTdown,out+PONU−SOA,up−(POA,down−SONU)−0.2Da),0))(ステップS107)。
制御部136は、下りアンプ123の出力側の可変光減衰器124のATT値(ATTdown,out)と、下りアンプ123の入力側の光減衰器122のATT値(ATTup,in)とを、刻み幅ATTStepで次第に小さくする(ATTdown,out←ATTdown,out−ATTStep、ATTup,in←ATTup,in−ATTStep)(ステップS108)。
制御部136は、ATTdown,outが0dB未満であるか否かを判定する。すなわち、制御部136は、ATTdown,outを0dB以上と定めた場合に光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップしないか又はリンクアップするかを判定する(ステップS109)。
更新されたATTdown,outが0dB未満となっている場合(ステップS109:YES)、制御部136は、アクセス区間の距離に関して予め定められた刻み幅であるDstepだけ、アクセス区間の距離を示す変数Daを大きくする(ステップS110)。制御部136は、ステップS107に処理を戻す。
更新されたATTdown,outが0dB以上である場合(ステップS109:NO)、制御部136は、1台の光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップしているか否かを判定する(ステップS111)。光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップしていない場合(ステップS111:NO)、制御部136は、ステップS108に処理を戻す。
制御部136は、上りアンプ132が光減衰器131から取得する上り光信号の強度QOA,upに基づいて、光中継装置12aの近傍の光加入者線ネットワーク装置14に関するアクセス区間の上り線路損失Lossa,upを算出する(Lossa,up=PONU−QOA,up+β)。
制御部136は、QOA,upに基づくLossa,upに基づいて、光中継装置12aの近傍の光加入者線ネットワーク装置14に関するアクセス区間の下り線路損失Lossa,downを算出する(Lossa,down=Lossa,up−0.2Da)(ステップS112)。
制御部136は、全ての光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップ可能となるように、ATTdown,out及びATTup,inを調整する(ATTup,in←Max((ATTup,in−(TOA,up−QOA,up),0)、ATTdown,out=Max((POA,down−TONU−Lossa,down),0))(ステップS113)。
以上のように、第1実施形態の光中継装置12aは、フォトダイオード129と、フォトダイオード134と、下りアンプ123と、上りアンプ132と、フォトダイオード135と、フォトダイオード128と、制御部136とを備える。フォトダイオード129(増幅前強度検出部)は、下りアンプ123によって強度が増幅される前における下り光信号の強度(下り光信号の増幅前強度)を検出する。フォトダイオード134(増幅前強度検出部)は、上りアンプ132によって強度が増幅される前における上り光信号の強度(上り光信号の増幅前強度)を検出する。下りアンプ123は、下り光信号の強度を増幅する。上りアンプ132は、上り光信号の強度を増幅する。フォトダイオード135(増幅後強度検出部)は、強度が増幅された後における下り光信号の強度(下り光信号の増幅後強度)を検出する。フォトダイオード128(増幅後強度検出部)は、強度が増幅された後における上り光信号の強度(上り光信号の増幅後強度)を検出する。制御部136は、下り光信号の強度を増幅する前段及び後段の少なくとも一方における下り光信号の減衰量を、下り光信号の増幅前強度及び増幅後強度に基づいて調整する。制御部136は、上り光信号の強度を増幅する前段及び後段の少なくとも一方における上り光信号の減衰量を、上り光信号の増幅前強度及び増幅後強度に基づいて調整する。
これによって、第1実施形態の光中継装置12aは、光中継装置12aにおける光過入力状態の発生を防止した場合でも、光アクセスネットワーク1aを長延化することが可能となる。
すなわち、第1実施形態の光中継装置12aは、光アンプ(光増幅素子)が取得する光信号の減衰量を上り光信号及び下り光信号に基づいて算出するので、光中継装置12aにおける光過入力状態の発生を防止し、光アクセスネットワーク1aを長延化することが可能となる。第1実施形態の光中継装置12aは、光アンプ(光増幅素子)が送信する光信号の減衰量を上り光信号及び下り光信号に基づいて算出するので、光中継装置12aにおける光過入力状態の発生を防止し、光アクセスネットワーク1aを長延化することが可能となる。第1実施形態の光中継装置12aは、挿入作業などを省略して、光過入力状態の発生を自律的に防止することが可能となる。
第1実施形態の光中継装置12aは、光中継装置12aが取得した光信号の強度に基づくフィードフォワード制御と、光中継装置12aが送信する光信号の強度に基づくフィードバック制御との両方によって光信号の強度を制御することができる。第1実施形態の光中継装置12aは、光信号の強度を安定的に制御することができる。
第1実施形態の光中継装置12aは、光アクセスネットワーク1aの設備コストを削減することができる。運用の煩雑化に関する課題に示したように、第1実施形態の制御部136は、例えば、計25億円を削減することができる。第1実施形態の光中継装置12aは、光中継装置12aにおいて光過入力状態が発生する可能性がある場合には、光信号の減衰量を自律的に設定することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、上り光信号を送信する可変光減衰器133に対してのみ制御部136が自動レベル制御を実行する点が、第1実施形態と相違する。第2実施形態では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図3は、光アクセスネットワーク1bの構成の例を示す図である。光アクセスネットワーク1bは、光加入者線終端装置10と、光ファイバ11と、光中継装置12bと、光ファイバ13と、光加入者線ネットワーク装置14とを備える。光加入者線ネットワーク装置14は、複数(N台)でもよい。
次に、光中継装置12bの構成を説明する。
光中継装置12bは、WDMフィルタ120と、光カプラ121と、光減衰器122と、下りアンプ123と、光カプラ125と、WDMフィルタ126と、光カプラ127と、フォトダイオード128と、フォトダイオード129と、光カプラ130と、光減衰器131と、上りアンプ132と、可変光減衰器133と、フォトダイオード134と、フォトダイオード135と、制御部136と、光減衰器137とを備える。すなわち、光中継装置12bは、第1実施形態の光中継装置12aと比較して、可変光減衰器124を備える代わりに光減衰器137を備える。
制御部136は、式(20)のように光減衰器131のATT値(ATTup,in)を更新する。制御部136は、Lossa,downに基づいて、光減衰器137のATT値(ATTdown,out)を式(21)のように定める。
設定シーケンス(v)において光加入者線ネットワーク装置14がリンクアップした場合、制御部136は、可変光減衰器133のATT値(ATTup,out)を定めるための自動レベル制御を開始する。制御部136は、基本的にはフィードフォワード制御及びフィードバック制御の組み合わせによって、自動レベル制御を実行する。
以上のように、第2実施形態の制御部136は、親局装置に向けて光信号を送信(出力)する可変光減衰器133に対して、光信号の強度を変更するための自動レベル制御(ALC)を実行する。これによって、第2実施形態の光中継装置12bは、光中継装置12bにおける光過入力状態の発生を防止した場合でも、信号品質を向上させて、光アクセスネットワーク1bを長延化することが可能となる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、光中継装置が光アンプの駆動回路を備える点が、第1実施形態と相違する。第3実施形態では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図4は、光アクセスネットワーク1cの構成の例を示す図である。光アクセスネットワーク1cは、光加入者線終端装置10と、光ファイバ11と、光中継装置12cと、光ファイバ13と、光加入者線ネットワーク装置14とを備える。光加入者線ネットワーク装置14は、複数(N台)でもよい。
次に、光中継装置12cの構成を説明する。
光中継装置12cは、WDMフィルタ120と、光カプラ121と、光減衰器122と、下りアンプ123と、光カプラ125と、WDMフィルタ126と、光カプラ127と、フォトダイオード128と、フォトダイオード129と、光カプラ130と、光減衰器131と、上りアンプ132と、フォトダイオード134と、フォトダイオード135と、制御部136と、駆動回路138と、駆動回路139とを備える。
すなわち、光中継装置12cは、第1実施形態の光中継装置12aと比較して、可変光減衰器124を備える代わりに駆動回路138を備える。光中継装置12cは、第1実施形態の光中継装置12aと比較して、可変光減衰器133を備える代わりに駆動回路139を備える。
駆動回路138は、制御部136による制御に応じて、下りアンプ123を駆動する。駆動回路139は、制御部136による制御に応じて、上りアンプ132を駆動する。制御部136は、下りアンプ123を駆動するための物理量(駆動量)を変更することによって、下りアンプ123による下り光信号の強度の増幅量を制御する。制御部136は、上りアンプ132を駆動するための物理量を変更することによって、上りアンプ132による上り光信号の強度の増幅量を制御する。
光増幅デバイスを駆動するための物理量は、下りアンプ123及び上りアンプ132が光半導体増幅素子(SOA)である場合、例えば、駆動注入電流の電流量である。光増幅デバイスを駆動するための物理量は、下りアンプ123及び上りアンプ132が光ファイバアンプである場合、例えば、ポンプ光の強度である。
以上のように、第3実施形態の制御部136は、光アンプによる光信号の強度の増幅量を制御する。これによって、第3実施形態の光中継装置12cは、光中継装置12cにおける光過入力状態の発生を防止した場合でも、制御の応答速度を高速化して、光アクセスネットワーク1cを長延化することが可能となる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、光中継装置が親局に備えられる点が、第1実施形態と相違する。第4実施形態では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図5は、光アクセスネットワーク1dの構成の例を示す図である。光アクセスネットワーク1dは、光加入者線終端装置10と、光ファイバ11と、光中継装置12dと、光ファイバ13と、光加入者線ネットワーク装置14とを備える。光加入者線ネットワーク装置14は、複数(N台)でもよい。
光中継装置12dは、中継局に備えられる代わりに、親局2に備えられる。親局2は、例えば、通信ビルである。親局2から光加入者線ネットワーク装置14までの距離が比較的遠い距離にある場合、通信には光中継装置12dが必要となるので、光中継装置12dは、親局2に備えられる。光中継装置12dは、光加入者線終端装置10に備えられてもよい。
次に、光中継装置12dの構成を説明する。
光中継装置12dは、WDMフィルタ120と、光カプラ121と、下りアンプ123と、可変光減衰器124と、光カプラ125と、WDMフィルタ126と、光カプラ127と、フォトダイオード128と、フォトダイオード129と、光カプラ130と、光減衰器131と、上りアンプ132と、フォトダイオード134と、フォトダイオード135と、制御部136と、光減衰器137とを備える。すなわち、光中継装置12dは、第1実施形態の光中継装置12aと比較して、光減衰器122及び可変光減衰器133を備えていない。
親局2から光加入者線ネットワーク装置14までの距離が比較的遠い距離にある場合、上り光信号による光過入力状態が発生しないので、上り光信号を減衰させる必要はない。親局2から光加入者線ネットワーク装置14までの距離が比較的遠い距離にある場合、下り光信号による光過入力状態が発生しないので、下り光信号を減衰させる必要はない。光中継装置12dは、光減衰器122及び可変光減衰器133を備えなくてもよい。制御部136は、ATTdown,in及びATTup,outを定めなくてもよい。
以上のように、第4実施形態の光中継装置12dは、光加入者線終端装置10(親局装置)を備える親局2に備えられる。これによって、第4実施形態の光中継装置12dは、光中継装置12dにおける光過入力状態の発生を防止した場合でも、装置の簡略化による低コストによって、光アクセスネットワーク1aを長延化することが可能となる。
(第5実施形態)
第5実施形態では、光アクセスネットワークに光加入者線ネットワーク装置を新規に接続することが可能であるパラメータの範囲を光中継装置が算出する点が、第1実施形態と相違する。第5実施形態では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図6は、光アクセスネットワーク1eの構成の例を示す図である。光アクセスネットワーク1eは、光加入者線終端装置10と、光ファイバ11と、光中継装置12eと、光ファイバ13と、光加入者線ネットワーク装置14と、記憶装置15とを備える。光加入者線終端装置10は、親局2に備えられる。光中継装置12eは、中継局3に備えられる。光中継装置12eは、複数(M台)でもよい。光加入者線ネットワーク装置14は、複数(N台)でもよい。光アクセスネットワーク1eは、情報処理装置16を更に備えてもよい。
制御部136は、トランク区間の上り線路損失Losst,up及び下り線路損失Losst,downと、アクセス区間の上り線路損失Lossa,up及び下り線路損失Lossa,downとに基づいて、光アクセスネットワーク1eに光加入者線ネットワーク装置14を収容することが可能である条件(以下、「収容可能範囲」という。)を表す値を算出してもよい。収容可能範囲を表す値は、例えば、トランク区間の距離を示す変数Dtを示す変数(パラメータ)の条件を表す値、アクセス区間の距離を示す変数Daを示す変数(パラメータ)の条件を表す値である。
記憶装置15は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の不揮発性の記憶媒体(非一時的な記録媒体)を有する記憶装置を用いて構成される。記憶装置15は、例えば、RAMやレジスタなどの揮発性の記憶媒体を有していてもよい。記憶装置15は、データベース150を記憶する。データベース150は、収容可能範囲のデータベースである。
図7は、データベース150の例を示す図である。データベース150では、親局識別情報と、中継局識別情報と、トランク区間の距離を示す変数Dtと、アクセス区間の距離を示す変数Daと、光加入者線ネットワーク装置14の識別情報とが対応付けられている。親局識別情報は、親局2の識別情報である。データベース150は、親局識別情報の代わりに光加入者線終端装置10の識別情報を含んでもよい。データベース150は、中継局識別情報の代わりに光中継装置12の識別情報を含んでもよい。
図7では、トランク区間の距離を示す変数Dtは、光加入者線ネットワーク装置14のトランク区間の距離に関する収容可能範囲を表す。図7では、アクセス区間の距離を示す変数Daは、光加入者線ネットワーク装置14のアクセス区間の距離に関する収容可能範囲を表す。図7では、光加入者線ネットワーク装置14は、トランク区間の距離が10〜30kmであり、アクセス区間の距離が10〜15kmである場合、光アクセスネットワーク1eに光加入者線ネットワーク装置14を新規接続することが可能である。
図6に示す情報処理装置16は、パーソナルコンピュータ装置、タブレット端末、スマートフォン端末などの情報処理装置である。情報処理装置16は、操作部と、通信部と、表示部と、演算部とを備える。
情報処理装置16の操作部は、オペレータによって操作される。情報処理装置16の操作部は、操作に応じた信号を、情報処理装置16の演算部に送信する。情報処理装置16の通信部は、データベース150を記憶装置15から取得する。情報処理装置16の通信部は、情報処理装置16の演算部による演算結果を、光加入者線ネットワーク装置14に送信してもよい。情報処理装置16の表示部は、演算部による演算結果を表示する。例えば、情報処理装置16の表示部は、データベース150に応じた情報を表示する。すなわち、情報処理装置16の表示部は、収容可能範囲を表す情報を表示する。収容可能範囲を表す情報は、例えば、変数などのパラメータ情報である。
情報処理装置16の演算部は、CPU等のプロセッサである。情報処理装置16の演算部は、オペレーティングシステムを備えてもよい。情報処理装置16の演算部は、データベース150に含まれている情報に基づいて、光アクセスネットワーク1eに光加入者線ネットワーク装置14を新規接続することを許可するか否かを判定する。なお、オペレータは、光アクセスネットワーク1eに光加入者線ネットワーク装置14を新規接続することを許可するか否かを判定してもよい。
情報処理装置16の演算部は、光アクセスネットワーク1eに新規に接続したい光加入者線ネットワーク装置14に対応付けられたパラメータが収容可能範囲内である場合、光アクセスネットワーク1eに光加入者線ネットワーク装置14を新規接続することを許可する。情報処理装置16の演算部は、光アクセスネットワーク1eに光加入者線ネットワーク装置14を新規接続することを許可する場合、予め定められた装置に新規工事の指令を送信してもよい。
情報処理装置16の演算部は、光アクセスネットワーク1eに新規に接続したい光加入者線ネットワーク装置14に対応付けられたパラメータが収容可能範囲外である場合、光アクセスネットワーク1eにおける他の光ファイバ13に光加入者線ネットワーク装置14を新規接続することを許可する。情報処理装置16の演算部は、光アクセスネットワーク1eに新規に接続したい光加入者線ネットワーク装置14に対応付けられたパラメータが収容可能範囲外である場合、光アクセスネットワーク1eに他の光ファイバ13を新設することを許可してもよい。
なお、光中継装置12eの制御部136は、情報処理装置16の演算部と同様の演算処理を実行してもよい。例えば、制御部136は、データベース150に含まれている情報に基づいて、光アクセスネットワーク1eに光加入者線ネットワーク装置14を新規接続することを許可するか否かを判定してもよい。例えば、制御部136は、光アクセスネットワーク1eに新規に接続したい光加入者線ネットワーク装置14に対応付けられたパラメータが収容可能範囲外である場合、光アクセスネットワーク1eにおける他の光ファイバ13に光加入者線ネットワーク装置14を新規接続することを許可してもよい。情報処理装置16の表示部は、制御部136による演算結果を表示してもよい。
以上のように、第5実施形態の制御部136は、光加入者線終端装置10と光加入者線ネットワーク装置14との間の少なくとも一部の上り線路損失及び下り線路損失に基づいて、光アクセスネットワーク1eに光加入者線ネットワーク装置14を接続することが可能である条件を表す値を算出する。これによって、第5実施形態の光中継装置12eは、収容可能範囲を表す情報を、情報処理装置16を介してオペレータに提供することが可能となる。
上述した実施形態における光加入者線終端装置、光加入者線ネットワーク装置、光中継装置の少なくとも一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。