JP2017216372A - 化合物半導体の保持体、および化合物半導体の保持体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】実際の測定温度に基づき、ウェハとウェハ保持面との間の距離を調整して精度よくウェハの均熱化を図る。【解決手段】複数のウェハ保持面を有する化合物半導体の保持体の製造方法であって、ウェハ保持面の各々に少なくとも3つのウェハ支持部を有する保持体を形成する保持体形成工程と、ウェハ保持面にダミーウェハを載置するとともに、保持体を所定温度に加熱し、ダミーウェハの表面の温度分布を計測する計測工程と、ダミーウェハの表面の温度が低い領域のウェハ保持面とダミーウェハ下面の距離が近くなるようウェハ支持部を調整する調整工程と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は化合物半導体の保持体および化合物半導体の保持体の製造方法に関する。
従来、化合物半導体結晶を成長させる方法の一つとして、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:以下、MOCVD法と呼ぶ。)が知られている。MOCVD法を用いた化合物半導体製造装置は、例えば原料ガスが供給される反応管の内部に、化合物半導体結晶の成長対象となる複数の基板を、SiCで形成されたホルダにそれぞれ結晶の成長面が上方となるように搭載し、ホルダを回転させることで基板を回転させながら結晶成長を行わせる。
MOCVD法を用いた化合物半導体製造装置では、サテライトディスクやウェハキャリヤ(以下、併せて「サテライトディスク」と称する。)と呼ばれるホルダ上にサファイア基板等が載置される。そして、装置内に導入された原料ガスが反応することにより生成した化合物半導体の結晶を、サテライトディスクを介して加熱されたサファイア基板上にエピタキシャル成長させる。この場合、サテライトディスクとサファイア基板とが直接接触しないように、サファイア基板を所定の支持部材上に載置する方法が採用されている。
しかし、サファイア基板を支持する支持部材の位置や形状により、サファイア基板表面に温度差が生じ、化合物半導体の結晶成長の均一性が低下する場合がある。また、サファイア基板および化合物半導体層の成長過程で生じるウェハの反りによっても、同様な問題が発生する。
特許文献1にはこのような問題を解決し、発光素子の場合、発光波長、発光出力の特性の均一性が向上し、収率の改善する化合物半導体の製造装置として、次のような製造装置が提案されている。すなわち、有機金属気相成長法を用いて化合物半導体の層を形成する化合物半導体製造装置であって、反応容器と、前記反応容器内に配置され、被形成体の被形成面が上方を向くように当該被形成体が載置される保持体と、前記反応容器内に外部から原料ガスを供給する原料供給口と、を備え、前記保持体は、当該保持体の上面の中心から前記被形成体の外周部よりも内側で当該被形成体の下面と接し、当該保持体の上面と当該被形成体の下面とが所定の間隔を保つように当該被形成体を支持する支持部を有する化合物半導体の製造装置が記載されている。
上記の特許文献では、(1)保持体上に直接載置する場合に比べ基板表面の温度分布を抑制する、(2)基板に反りが生じても基板表面の温度分布が抑制される、(3)基板の保持体との接触面積が小さく接触面積のバラツキによる温度不均一が生じにくい、などの効果が記載されている。しかしながら、これらの効果は、支持、基板の反りによる基板と保持体との部分的な接触、基板の反りによる伝熱の不均一性、に由来する温度ムラの解消に関するものである。そして、保持体そのものが持つ温度ムラを解消することは検討されていない。
また、上記の特許文献では、支持体の周囲に配置され公転しながら自転するサテライトディスクに適用されているので、温度分布ができにくいが、パンケーキ型の保持体では、サテライトディスクと支持体が一体化した構造で、自転する機構を備えていないので中心部と周辺部との間で発生する温度分布を解消することはできない。
本発明では、前記課題を鑑み、化合物半導体の製造段階におけるウェハの温度分布を小さくすることができる複数のウェハ保持面を有する化合物半導体の保持体の製造方法および化合物半導体の保持体を提供することを目的とする。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法は、以下の構成を有する。
(A1)複数のウェハ保持面を有する化合物半導体の保持体の製造方法であって、前記ウェハ保持面の各々に少なくとも3つのウェハ支持部を有する保持体を形成する保持体形成工程と、前記ウェハ保持面にダミーウェハを載置するとともに、前記保持体を所定温度に加熱し、前記ダミーウェハの表面の温度分布を計測する計測工程と、前記ダミーウェハの表面の温度が低い領域のウェハ保持面とダミーウェハ仮面との距離が近くなるよう前記ウェハ支持部を調整する調整工程と、を備える。
本発明の化合物半導体の製造方法は、ウェハとウェハ保持面との間の距離と、ウェハの温度に負の相関があり、距離が離れる(増大する)にしたがって、ウェハの温度が低下していくことを利用する。ウェハを模したダミーウェハの載置された保持体を所定温度まで加熱し、ダミーウェハ表面の温度分布を計測し、計測結果に基づいてウェハ支持部の高さを調整し、ウェハの温度を均熱化できるようにするようにすることを要旨とする。「ウェハ支持部の調整」は、主としてウェハ支持部の高さを調整することを意味する。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、このように実際の測定温度に基づき、ウェハとウェハ保持面との間の距離を調整しているので、精度よくウェハの均熱化を図ることができる。
また、化合物半導体の製造段階においてウェハに生じる温度分布は、保持体の形状や、加熱位置、製造装置の種類などの仕様に基づいて生じる表面の温度分布と、個別の保持体ごとのバラツキよって生じる表面の温度分布とがあるが、実際の温度の計測結果に基づいて調整しているのでいずれのばらつきも補正することができる。
保持体および化合物半導体の製造装置の仕様に基づいて生じる温度分布に対しては、一つの仕様ごとに調製する量を決定し、個別の保持体ごとに生じる特性バラツキなどによって生じる温度分布に対しては、1枚ごとに温度分布を測定して調整する量を決定する。
また、複数のウェハ保持面を有するパンケーキ型などの保持体では、ウェハ保持面内でも保持体の外側寄りと中央寄りの部分がある。さらにウェハ保持面は保持体に固定されているため、温度分布が生じやすい構造となっている。ダミーウェハを用いた温度分布の計測結果に基づいて、ウェハ支持部を調整してウェハが載置されるため、化合物半導体の製造段階で載置されるウェハの温度分布を小さくすることができる。
(A2)前記保持体形成工程は、黒鉛からなる基材を形成する基材形成工程と、前記基材を覆うセラミック被覆を形成する被覆工程と、を含む。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、基材は黒鉛からなるので熱伝導率が高いうえに、容易に加工でき、ウェハ支持部、ウェハ保持面を有する保持体を容易に形成することができる。またセラミック被覆が形成されているので、化合物半導体の製膜の雰囲気においても保持体の劣化を防止することができる。セラミック被覆は、SiC、TaCなどが適用できる。
(A3)前記基材形成工程では、孔を形成するとともに前記孔に凸部材を挿入することにより前記ウェハ支持部を形成し、前記被覆工程では、前記凸部材および前記基材を覆う。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、基材に孔を形成し、凸部材を挿入することによりウェハ支持部を形成しているので、ウェハ支持部を残して加工する必要が無いので容易に加工することができる。
(A4)前記凸部材は、ピンまたは球である。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、凸部材にピンを用いることにより、セラミック被覆を形成する前にウェハ保持面の高さを設定することができる。また、あらかじめウェハ保持面の高さを設定しておくことにより、後の研磨工程で調整する研磨量を少なくすることができ、作業性を高めることができる。また、凸部材に球を用いることにより、傾いて挿入されることが無いので、高さの精度を高めることができる。
(A5)前記調整工程は、前記凸部材の高さを調整することにより行う。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、凸部材の高さを調整することにより行うので、容易に高さの調整をすることができる。
(A6)前記調整工程は、研磨により行われる。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、調整工程が研磨により行われるので、個々の保持体の調整が可能であり、より均熱化を図ることができる。
(A7)前記所定温度は500℃〜1500℃の温度である。
所定温度が、500℃以上であると減圧下で行われる化合物半導体の製造と同様に輻射熱による影響が大きくなり、実際に適用される化合物半導体の製膜条件を精度よく再現することができる。所定温度が、1500℃以下であると、ダミーウェハの軟化、変形が起こりにくく、精度のよい温度の計測を行うことできる。
(A8)前記所定温度は前記化合物半導体の製膜温度±50℃以内である。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法は、計測工程において、化合物半導体の製膜温度±50℃以内で計測しているので、均熱化の精度を高めることができる。
(A9)前記ダミーウェハは、表面に不透明コートが形成されたサファイア基板である。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法において、計測工程でダミーウェハとして用いられるサファイア基板は、化合物半導体の製造段階においてGaNを用いたLED素子の基板に用いられているので、精度よく温度分布を再現することができる。
また、サファイア基板は、非常に透明度が高く、放射温度計など非接触の計測器では測温が困難であるが、不透明コートを施すことにより容易に非接触の計測器で測温することができる。
(A10)前記不透明コートは前記サファイア基板の上面側に形成され、下面側は前記サファイア基板が露出している。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法において、計測工程では、サファイア基板の上面側に不透明コートを施され、下面側はサファイア基板が露出しているので、サファイア基板はウェハ支持部と直接接している。このため、サファイア基板からウェハ支持部への伝熱による熱移動は実際の化合物半導体の製造をする際と同条件になる。一方、サファイア基板の上面側に不透明コートが形成されているので、光が透過せず放射温度計によって容易に計測することができる。
(A11)前記不透明コートは、炭素からなる。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法において、計測工程では、炭素からなる不透明コートが形成されたサファイア基板を用いている。炭素は、放射率が高いので、外部光源の反射の影響を受けにくく、精度よく測温することができる。炭素の形態としては、黒鉛、熱分解炭素などが挙げられる。
(A12)前記サファイア基板は、主面の結晶面の方位がC面(0001)である。
サファイアは、6方晶系の結晶構造である。このため、c軸方向と、これに垂直な方向とで特性が異なる。サファイア基板の主面がC面(0001)であると、面内では特性に方向性が小さく、そりなどが生じにくく計測誤差が生じにくい。このため精度よくウェハ支持部の研磨する量を得ることができる。
また、本発明の化合物半導体の保持体は、以下の構成を有する。
(B1)複数のウェハ保持面を有する化合物半導体の保持体であって、前記ウェハ保持面の各々は、少なくとも3つのウェハ支持部を有し、前記ウェハ支持部は、載置されるウェハの下面と前記ウェハ保持面との距離が、当該保持体の中央側と外側とで異なるように備えられる。
複数のウェハ保持面を有するパンケーキ型などの保持体では、外側寄りと中央寄りの部分があり、温度差が形成されやすい。ウェハ支持部の高さを、載置されるウェハの下面とウェハ保持面との距離が保持体の中央側と外側とで異なるよう調整することにより、載置されるウェハが外側あるいは内側にわずかに傾斜させ、化合物半導体の製造段階においてウェハの温度を均熱化することができる。
(B2)当該保持体の外側の方が中央側より、載置される前記ウェハの下面と前記ウェハ保持面との距離が遠くなるように前記ウェハ支持部が備えられている。
保持体の外側の方が中央側より載置されるウェハの下面とウェハ保持面との距離が遠くなるようウェハ支持部を備えることにより、外側の温度が高くなる保持体においてウェハの均熱化を図ることができる。このような保持体としては、外側に電流が多く流れる誘導加熱を用いた保持体に適用することができる。
(B3)当該保持体の中央側の方が外側より、載置される前記ウェハの下面と前記ウェハ保持面との距離が遠くなるよう前記ウェハ支持部が備えられている。
保持体の中央側の方が外側より載置されるウェハの下面とウェハ保持面との距離が遠くなるようウェハ支持部を備えることにより、中央側の温度が高くなる保持体においてウェハの均熱化を図ることができる。このような保持体としては、下面からの輻射加熱を用いた保持体に適用することができる。
(B4)前記保持体は、黒鉛からなる基材と、前記基材を覆うセラミック被覆とを含む。
本発明の化合物半導体の保持体によれば、基材は黒鉛からなるので熱伝導率が高いうえに、容易に加工できるのでウェハ支持部を容易に形成することができる。またセラミック被覆が形成されているので、化合物半導体の製膜の雰囲気においても保持体の劣化を防止することができる。セラミック被覆は、SiC、TaCなどが適用できる。
(B5)前記基材のウェハ支持部には凸部材が挿入された孔を有し、前記セラミック被覆は、前記凸部材および前記基材を覆っている。
本発明の化合物半導体の保持体によれば、基材のウェハ支持部を凸部材として別途作製しているので、精度よく加工できる。また、凸部材として作製されているので、あらかじめ凸部材の高さを変えておくことができ、容易に高さ調整をすることができる。
(B6)前記凸部材は、ピンまたは球である。
本発明の化合物半導体の保持体によれば、凸部材にピンを用いることにより、セラミック被覆を形成する前にウェハ保持面の高さを設定することができる。また、後の研磨による調整工程を行う場合には調整する研磨量を少なくすることができ、作業性を高めることができる。また、凸部材に球を用いることにより、傾いて挿入されることが無いので、高さの精度を高めることができる。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、実際の測定温度に基づき、ウェハとウェハ保持面との距離を調整しているので、精度よくウェハの均熱化を図ることができる。
また、化合物半導体の製造段階においてウェハに生じる温度分布は、保持体の形状、加熱位置など仕様に基づいて生じる温度分布と、個別の保持体ごとのバラツキよって生じる温度分布とがある。
保持体および化合物半導体の製造装置の仕様に基づいて生じる温度分布に対しては、一つの仕様ごとに調製する量を決定する。個別の保持体ごとに生じる特性バラツキなどによって生じる温度分布に対しては、1枚ごとに温度分布を測定して調整する量を決定する。このように、計測結果に基づいて調整しているのでいずれのばらつきも補正することができる。
また、複数のウェハ保持面を有する保持体では、ウェハ保持面内で保持体の外側寄りと中央寄りの部分がある。さらにウェハ保持面は保持体に固定されているため、温度分布が生じやすい構造となっている。ダミーウェハを用いた温度分布の計測結果に基づいてウェハ支持部を調整してウェハが載置されるので化合物半導体の製造段階で載置されるウェハの温度分布を小さくすることができる。
また、本発明の化合物半導体の保持体によれば、複数のウェハ保持面を有する保持体では、ウェハ保持面内で保持体の外側寄りと中央寄りの部分があり、温度差が形成されやすい。ウェハ支持部の高さを、載置されるウェハの下面とウェハ保持面との距離が保持体の中央側と外側とで異なるよう調整することにより、載置されるウェハが外側あるいは内側にわずかに傾斜させ、化合物半導体の製造段階においてウェハの温度を均熱化することができる。
(発明の詳細な説明)
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法は、複数のウェハ保持面を有する化合物半導体の保持体の製造方法であって、ウェハ保持面の各々に少なくとも3つのウェハ支持部を有する保持体を形成する保持体形成工程と、ウェハ保持面にダミーウェハを載置するとともに、保持体を所定温度に加熱し、ダミーウェハの表面の温度分布を計測する計測工程と、ダミーウェハの表面の温度が低い領域のウェハ保持面とダミーウェハ下面との距離が近くなるようウェハ支持部を調整する調整工程と、を備える。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法は、複数のウェハ保持面を有する化合物半導体の保持体の製造方法であって、ウェハ保持面の各々に少なくとも3つのウェハ支持部を有する保持体を形成する保持体形成工程と、ウェハ保持面にダミーウェハを載置するとともに、保持体を所定温度に加熱し、ダミーウェハの表面の温度分布を計測する計測工程と、ダミーウェハの表面の温度が低い領域のウェハ保持面とダミーウェハ下面との距離が近くなるようウェハ支持部を調整する調整工程と、を備える。
一般的に、ウェハの温度と保持体からの距離との関係は線形の関係であり、距離が離れる(距離が大きくなる)にしたがって、ウェハの温度が低下していくことを利用する。すなわち、保持体を所定温度まで加熱し、ウェハを模したダミーウェハを用いて表面の温度分布を計測し、計測結果に基づいてウェハ支持部を調整した(ウェハ支持部の高さを調整)結果、本来のウェハの加熱においてウェハの温度が均等になるように加熱することを本旨とする。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、このように実際の測定温度に基づきウェハとウェハ保持面との距離を調整しているので、精度よくウェハの均熱化を図ることができる。
また、保持体に生じる温度分布は、その形状、加熱位置など仕様に基づいて生じる温度分布、個別の保持体ごとのバラツキよって生じる温度分布とがあるが、計測結果に基づいて調整しているのでいずれにも対応することができる。
仕様に基づいて生じる温度分布に対しては、一つの仕様ごとに調製する量を決定し、個別の保持体ごとに生じる温度分布に対しては、1枚ごとに温度分布を測定して調整する量を決定する。
また、複数のウェハ保持面を有するパンケーキ型などの保持体では、ウェハ保持面の中で保持体の外側寄りと中央寄りの部分がある。またウェハ保持面は保持体に固定されているため、温度分布が生じやすい構造となっている。パンケーキ型の化合物半導体の保持体のウェハ支持部を、ダミーウェハを用いた温度分布の計測結果に基づいて調整してウェハが載置されるので、化合物半導体の製膜段階で載置されるウェハの温度分布を小さくすることができる。
保持体形成工程は、黒鉛からなる基材を形成する基材形成工程と、基材を覆うセラミック被覆を形成する被覆工程と、を含むのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、基材は黒鉛からなるので熱伝導率が高いうえに、容易に加工できるので、ウェハ支持部、ウェハ支持部を有する保持体を容易に形成することができる。また、セラミック被覆が形成されているので、化合物半導体の製膜の雰囲気においても保持体の劣化を防止することができる。セラミック被覆は、SiC、TaCなどが適用できる。
基材形成工程では、孔を形成するとともに孔に凸部材を挿入することによりウェハ支持部を形成し、被覆工程では、凸部材および基材を覆うのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、基材に孔を有し、凸部材を挿入することによりウェハ保持面を形成しているので、ウェハ支持部を残して加工する必要が無いので容易に加工することができる。
凸部材は、ピンまたは球であるのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、凸部材にピンを用いることにより、セラミック被覆を形成する前にウェハ保持面の高さを設定することができる。また、あらかじめウェハ保持面の高さを設定しておくことにより、後の研磨工程で調整する研磨量を少なくすることができ、作業性を高めることができる。また、凸部材に球を用いることにより、傾いて挿入されることが無いので、高さの精度を高めることができる。
調整工程は、凸部材の高さを調整することにより行うのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、凸部材の高さを調整することにより行うので、容易に高さの調整をすることができる。
調整工程は、研磨により行われるのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、調整工程が研磨により行われるので、個々の保持体の調整が可能であり、より均熱化を図ることができる。
所定温度は500℃〜1500℃の温度であるのが好ましい。
所定温度が、500℃以上であると減圧下で行われる化合物半導体の製造と同様に輻射熱による影響が大きくなり、実際に適用される化合物半導体の製膜条件を精度よく再現することができる。所定温度が、1500℃以下であると、ダミーウェハの軟化、変形が起こりにくく、精度のよい温度の計測を行うことできる。
所定温度は化合物半導体の製膜温度±50℃以内であるのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法は、計測工程において、化合物半導体の製膜温度±50℃以内で計測しているので、温度の偏差が少なくすることができる。
ダミーウェハは、表面に不透明コートが形成されたサファイア基板であるのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法において、計測工程でダミーウェハとして用いられるサファイア基板は、化合物半導体の製造段階においてGaNを用いたLED素子の基板に用いられているので、精度よく温度分布を再現することができる。サファイア基板は、非常に透明度が高く、放射温度計など非接触の計測器では測温が困難であるが、不透明コートを施すことにより容易に非接触の計測器で測温することができる。
不透明コートはサファイア基板の上面側に形成され、下面側はサファイア基板が露出しているのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法において、計測工程では、サファイア基板の上面側に不透明コートを施され、下面側はサファイア基板が露出しているので、サファイア基板はウェハ支持部と直接接している。このため、サファイア基板からウェハ支持部への伝熱による熱移動は実際の化合物半導体の製造をする際と同条件になる。一方、サファイア基板の上面側に不透明コートが形成されているので、放射温度計によって容易に計測することができる。
不透明コートは、炭素からなるのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法において、計測工程では、炭素からなる不透明コートが形成されたサファイア基板を用いている。炭素は、放射率が高いので、外部光源からの反射の影響を受けにくく、精度よく測温することができる。炭素の形態としては、黒鉛、熱分解炭素などが挙げられる。
サファイア基板は、主面の結晶面の方位がC面(0001)であるのが好ましい。
サファイアは、6方晶系の結晶構造である。このため、c軸方向と、これに垂直な方向とで特性が異なる。サファイア基板の主面がC面(0001)であると、面内では特性に方向性が小さく、計測誤差が生じにくい。このため精度よくウェハ支持部の研磨する量を得ることができる。
本発明の化合物半導体の保持体は、複数のウェハ保持面を有する化合物半導体の保持体であって、前記ウェハ保持面の各々は、少なくとも3つのウェハ支持部を有し、前記ウェハ支持部は、載置されるウェハの下面とウェハ保持面との距離が保持体の中央側と外側とで異なるように備えられる。
複数のウェハ保持面を有するパンケーキ型などの保持体では、保持体の外側寄りと中央寄りの部分があり温度差が形成されやすい。載置されるウェハの下面とウェハ保持面との距離が保持体の中央側と外側とで異なるように調整することにより、載置されるウェハが外側あるいは内側にわずかに傾斜させ、化合物半導体の製造段階においてウェハの温度を均熱化することができる。
本発明の保持体は、載置されるウェハを保持体の外側の方が中央側より載置されるウェハの下面とウェハ保持面との距離が遠くなるようウェハ指示部が備えられている。
載置されるウェハを保持体の外側の方が中央側より載置されるウェハの下面とウェハ保持面との距離が遠くなるようウェハ支持部を備えることにより、外側の温度が高くなる保持体においてウェハの均熱化を図ることができる。このような保持体としては、外側に電流が多く流れる誘導加熱を用いた保持体に適用することができる。
本発明の保持体は、前記載置されるウェハを保持体の中央側の方が外側より載置されるウェハの下面とウェハ保持面との距離が遠くなるようウェハ指示部が備えられている。
載置されるウェハを保持体の中央側の方が外側より載置されるウェハの下面とウェハ保持面との距離が遠くなるようウェハ支持部を備えることにより、中央側の温度が高くなる保持体においてウェハの均熱化を図ることができる。このような保持体としては、下面からの輻射加熱を用いた保持体に適用することができる。
保持体は、黒鉛からなる基材と、基材を覆うセラミック被覆とを含むのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体によれば、基材は黒鉛からなるので熱伝導率が高いうえに、容易に加工できるのでウェハ支持部を容易に形成することができる。またセラミック被覆が形成されているので、化合物半導体の製膜の雰囲気においても保持体の劣化を防止することができる。セラミック被覆は、SiC、TaCなどが適用できる。
基材のウェハ支持部には凸部材が挿入された孔を有し、セラミック被覆は、凸部材および基材を覆っているのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体によれば、基材のウェハ支持部を凸部材として別途作製しているので、精度よく加工できる。また、凸部材として作製されているので、あらかじめ凸部材の高さを変えておくことができ、容易に高さ調整をすることができる。
凸部材は、ピンまたは球であるのが好ましい。
本発明の化合物半導体の保持体によれば、凸部材にピンを用いることにより、セラミック被覆を形成する前にウェハ保持面の高さを設定することができる。また、後の研磨工程で調整する研磨量を少なくすることができ、作業性を高めることができる。また、凸部材に球を用いることにより、傾いて挿入されることが無いので、高さの精度を高めることができる。
調整工程で設定するウェハ支持部の高さは、保持体の形成方法によって適用の仕方が異なる。
ウェハ支持部が一体的なものであれば、切削加工・研磨によって調整することができる。
また、基材をセラミック被覆で覆うのであれば、基材の段階でウェハ支持部が目的の高さとなるよう調整することができる。例えば、基材を切削加工でウェハ支持部が目的の高さとなるよう調整することができる。また、基材のウェハ支持部に孔を形成し、凸部材を孔に挿入する場合には、凸部材の高さを調整してもよい。凸部材の高さの調整は、凸部材がピンであればピンの長さを調整し、球であれば球の直径を調整することによって行うことができる。また、形成する孔の深さを適宜調整してもよい。
(発明を実施するための形態)
本発明の実施の形態1〜3について、図面を用いて順に説明する。製造方法に関する各実施形態の説明に先立って、完成品としての化合物半導体の保持体100について説明する。図1は、化合物半導体の保持体100を示す図であり、図1(a)は保持体100の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A’線に沿った断面図である。保持体100は、パンケーキ型の形状を呈しており、表面に7つのウェハ保持面1を有している。7つのウェハ保持面1のうち周囲の6つのウェハ保持面1の中心軸は、保持体100の中心軸とずれて備えられている。ウェハ保持面1は、保持体100の表面から窪んだ位置、すなわち表面から低い位置において形成され、ウェハ、ダミーウェハが載置可能な面を画定している。そして、ウェハ保持面1の各々には、少なくとも3つのウェハ支持部2が設けられている。
本発明の実施の形態1〜3について、図面を用いて順に説明する。製造方法に関する各実施形態の説明に先立って、完成品としての化合物半導体の保持体100について説明する。図1は、化合物半導体の保持体100を示す図であり、図1(a)は保持体100の平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A’線に沿った断面図である。保持体100は、パンケーキ型の形状を呈しており、表面に7つのウェハ保持面1を有している。7つのウェハ保持面1のうち周囲の6つのウェハ保持面1の中心軸は、保持体100の中心軸とずれて備えられている。ウェハ保持面1は、保持体100の表面から窪んだ位置、すなわち表面から低い位置において形成され、ウェハ、ダミーウェハが載置可能な面を画定している。そして、ウェハ保持面1の各々には、少なくとも3つのウェハ支持部2が設けられている。
図2は、図1(a)のB−B’線に沿った断面図であり、ウェハ支持部2を含むウェハ保持面1の断面図に相当する。ウェハ支持部2は、ウェハ保持面1から上方に突出している凸部材6によって構成される。
図3は本発明の化合物半導体の製造方法の実施形態1〜3各々の工程フロー図を示し、(a)は実施形態1の工程フロー図、(b)は実施形態2の工程フロー図、(c)は実施形態3の工程フロー図をそれぞれ示している。
<実施形態1>
図3(a)に示すように、実施形態1の化合物半導体の保持体100の製造方法は、計測工程(S2)、調整工程(S3)、保持体形成工程(S1)の順で行われる。実施形態1は、保持体の形状や、加熱位置、製造装置の種類などに関する代表的な仕様に対して発生する温度分布をまずは把握し、仕様毎に最適な保持体を製造することを狙っている。
図3(a)に示すように、実施形態1の化合物半導体の保持体100の製造方法は、計測工程(S2)、調整工程(S3)、保持体形成工程(S1)の順で行われる。実施形態1は、保持体の形状や、加熱位置、製造装置の種類などに関する代表的な仕様に対して発生する温度分布をまずは把握し、仕様毎に最適な保持体を製造することを狙っている。
(計測工程:S2)
特定の仕様に対応した、図1に示したような保持体100をあらかじめ作製しておく。ここでウェハ支持部の先端は、同じ高さになるように備えられている。計測工程(S2)では、ウェハ保持面1にダミーウェハを載置し、化合物半導体の製造装置と同様の加熱源を用いて加熱し、その温度を測定する。ダミーウェハは、例えばサファイア基板よりなり、上面側に不透明コートが形成されている。好ましくは上面側にのみ不透明コートが形成され、下面側はサファイア基板が露出している。不透明コートは上面側に黒鉛の微粒子を含有する黒化スプレーを噴霧することによって得られ、黒鉛の微粒子によって形成されている。サファイア基板は、主面がC面(0001)方向となるよう加工されている。計測工程(S2)により、例えば図4に示すような、ダミーウェハ3の温度分布が得られる。尚、ダミーウェハ(例えばダミーウェハの下面)とウェハ保持面1との間隔(距離)も予め測定されている。
特定の仕様に対応した、図1に示したような保持体100をあらかじめ作製しておく。ここでウェハ支持部の先端は、同じ高さになるように備えられている。計測工程(S2)では、ウェハ保持面1にダミーウェハを載置し、化合物半導体の製造装置と同様の加熱源を用いて加熱し、その温度を測定する。ダミーウェハは、例えばサファイア基板よりなり、上面側に不透明コートが形成されている。好ましくは上面側にのみ不透明コートが形成され、下面側はサファイア基板が露出している。不透明コートは上面側に黒鉛の微粒子を含有する黒化スプレーを噴霧することによって得られ、黒鉛の微粒子によって形成されている。サファイア基板は、主面がC面(0001)方向となるよう加工されている。計測工程(S2)により、例えば図4に示すような、ダミーウェハ3の温度分布が得られる。尚、ダミーウェハ(例えばダミーウェハの下面)とウェハ保持面1との間隔(距離)も予め測定されている。
(調整工程:S3)
次に、計測工程(S2)であらかじめ温度分布の計測された保持体100の温度分布のデータを用いて、この保持体100の仕様における保持体100のウェハ支持部2を設計し、その高さを設定する。ここで、ダミーウェハの表面の温度の低い領域におけるウェハ支持部2の高さが低くなるように調整する。計測工程(S2)により、ダミーウェハとウェハ保持面1との間隔(距離)と、ダミーウェハの表面の温度との関係をあらかじめ求めておくことにより、この関係に基づいてウェハ支持部2の高さを調整することにより、ウェハ支持部2の高さを適切な値に設定することができる。
次に、計測工程(S2)であらかじめ温度分布の計測された保持体100の温度分布のデータを用いて、この保持体100の仕様における保持体100のウェハ支持部2を設計し、その高さを設定する。ここで、ダミーウェハの表面の温度の低い領域におけるウェハ支持部2の高さが低くなるように調整する。計測工程(S2)により、ダミーウェハとウェハ保持面1との間隔(距離)と、ダミーウェハの表面の温度との関係をあらかじめ求めておくことにより、この関係に基づいてウェハ支持部2の高さを調整することにより、ウェハ支持部2の高さを適切な値に設定することができる。
調整工程(S3)で設定するウェハ支持部2の高さは、次の保持体形成工程(S1)における保持体100の形成方法によって調整の仕方が異なる。図5は、図2のS領域の拡大図であり、(a)はウェハ支持部2を構成する凸部材6として先端の尖ったピン61を用いた例、(b)は凸部材6として球62を用いた例の図である。保持体100は、基材4をセラミック被覆5で覆うことにより形成される。ここでは、基材4のウェハ保持面1の内部に形成された孔12にピン61または球62を挿入し、基材4をセラミック被覆5で覆う。よって、ピン61の長さまたは球62の直径を調整することにより、ウェハ支持部2の高さを調整することができる。
図6は、図3のS領域の拡大図であり、図5(b)で示した球62の直径を調整する例を示す図であり、(a)では直径の小さな球を用いた場合の例、(b)では(a)より直径の大きな球を用いた場合の例の図である。このように球の直径を選定して、凸部材6すなわちウェハ支持部2の高さを調整することができる。
(保持体形成工程:S1)
保持体形成工程(S1)は、基材形成工程と、被覆工程とを含む。基材形成工程では、黒鉛からなる基材4を作製し、それぞれのウェハ保持面1の内部に孔12を形成し、凸部材6である黒鉛からなるピン61または球62を挿入する(図5および図6参照)。ピン61の長さまたは球62の直径は、調整工程(S3)で設定された値である。
保持体形成工程(S1)は、基材形成工程と、被覆工程とを含む。基材形成工程では、黒鉛からなる基材4を作製し、それぞれのウェハ保持面1の内部に孔12を形成し、凸部材6である黒鉛からなるピン61または球62を挿入する(図5および図6参照)。ピン61の長さまたは球62の直径は、調整工程(S3)で設定された値である。
次に孔12に凸部材6の挿入された基材4をCVD炉に入れ、基材4の表面にセラミック被覆5を形成する(図5および図6参照)。セラミック被覆5は、例えばSiC被覆からなる。こうして保持体100を得ることができる。
本実施形態によれば、同一仕様の化合物半導体の保持体100を繰り返し作成する場合、一つの計測工程(S2)で得られた温度分布のデータを繰り返し使用することができ、化合物半導体の製造装置においてウェハの温度を均熱化できる化合物半導体の保持体100を効率よく得ることができる。
<実施形態2>
図3(b)、図7に示すように、実施形態2の化合物半導体の保持体の製造方法は、保持体形成工程(S1)、計測工程(S2)、調整工程(S3)の順に行われ、調整工程(S3)は、研磨によって行われる。実施形態2の化合物半導体の保持体100は、温度分布を直接測定し、その結果に基づいて製作されるので、精度よくウェハを均熱化することができる。
図3(b)、図7に示すように、実施形態2の化合物半導体の保持体の製造方法は、保持体形成工程(S1)、計測工程(S2)、調整工程(S3)の順に行われ、調整工程(S3)は、研磨によって行われる。実施形態2の化合物半導体の保持体100は、温度分布を直接測定し、その結果に基づいて製作されるので、精度よくウェハを均熱化することができる。
(保持体形成工程:S1)
保持体形成工程(S1)は、基材形成工程と、被覆工程とからなる。基材形成工程では、黒鉛からなる基材4を作製し、それぞれのウェハ保持面1の内部に孔12を形成し、凸部材6である黒鉛からなるピン61または球62を挿入する(図5および図6参照)。次に孔12に凸部材6の挿入された基材4をCVD炉に入れ、基材4の表面にセラミック被覆5を形成する(図5、図6)。セラミック被覆5は、例えばSiC被覆からなる。こうして、図1に示すような保持体100を得ることができる。
保持体形成工程(S1)は、基材形成工程と、被覆工程とからなる。基材形成工程では、黒鉛からなる基材4を作製し、それぞれのウェハ保持面1の内部に孔12を形成し、凸部材6である黒鉛からなるピン61または球62を挿入する(図5および図6参照)。次に孔12に凸部材6の挿入された基材4をCVD炉に入れ、基材4の表面にセラミック被覆5を形成する(図5、図6)。セラミック被覆5は、例えばSiC被覆からなる。こうして、図1に示すような保持体100を得ることができる。
(計測工程:S2)
次に得られた保持体100のウェハ保持面1にダミーウェハ3を載置し、化合物半導体の製造装置と同様の加熱源13を用いて加熱し、ダミーウェハ3の温度を測定する(図7のS2参照)。ダミーウェハ3は例えばサファイア基板よりなり、上面側に不透明コート7が形成されている。好ましくは上面側にのみ不透明コート7が形成され、下面側はサファイア基板が露出している。不透明コート7は上面側に黒鉛の微粒子を含有する黒化スプレーを噴霧することによって得られ、黒鉛の微粒子によって形成されている。サファイア基板は、主面がC面(0001)方向となるよう加工されている。
次に得られた保持体100のウェハ保持面1にダミーウェハ3を載置し、化合物半導体の製造装置と同様の加熱源13を用いて加熱し、ダミーウェハ3の温度を測定する(図7のS2参照)。ダミーウェハ3は例えばサファイア基板よりなり、上面側に不透明コート7が形成されている。好ましくは上面側にのみ不透明コート7が形成され、下面側はサファイア基板が露出している。不透明コート7は上面側に黒鉛の微粒子を含有する黒化スプレーを噴霧することによって得られ、黒鉛の微粒子によって形成されている。サファイア基板は、主面がC面(0001)方向となるよう加工されている。
実際に使用する化合物半導体の製造装置の温度(1100℃)まで加熱源13を用いて加熱し、ダミーウェハ3が載置された保持体100の温度を非接触の温度測定器8で測定し、温度分布を計測する。計測工程(S2)により、例えば図4に示すような、ダミーウェハ3の温度分布が得られる。
(調整工程:S3)
次に得られた温度分布のデータを用い、温度の低い部分のウェハ支持部2の高さを、例えば図7のS3に示すように回転する砥石9を用いて研磨して低くし、調整する。研磨する量は、実験的に求めることができ、ダミーウェハ3の下面とウェハ保持面1との間隔(距離)と、ダミーウェハの温度との関係をあらかじめ求め、その関係に基づいて研磨する量を決定する。
次に得られた温度分布のデータを用い、温度の低い部分のウェハ支持部2の高さを、例えば図7のS3に示すように回転する砥石9を用いて研磨して低くし、調整する。研磨する量は、実験的に求めることができ、ダミーウェハ3の下面とウェハ保持面1との間隔(距離)と、ダミーウェハの温度との関係をあらかじめ求め、その関係に基づいて研磨する量を決定する。
こうして得られた化合物半導体の保持体100は、製造装置及び保持体100の仕様に由来する温度バラツキと、個別の保持体100ごとに由来する温度バラツキを少なくすることができ、化合物半導体の製造時にウェハの温度をより均熱化することができる。
<実施形態3>
図3(c)に示すように、実施形態3の化合物半導体の保持体100の製造方法は、実施形態1の工程フローと、実施形態2の工程フローとを組み合わせた製造方法である。実施形態3の化合物半導体の保持体の製造方法は、計測工程(S2;1回目)、調整工程(S3;1回目)、保持体形成工程(S1)、計測工程(S2;2回目)、調整工程(S3;2回目)、の順で行われる。すなわち、本実施形態の化合物半導体の保持体の製造方法は、2段階に分けて、計測工程、調整工程が行われる。1回目では、その仕様の保持体、化合物半導体の製造装置に起因する温度分布を解消し、2回目では、個別の保持体に起因する温度分布を解消する。このため1回目の調整工程で調整される保持体は、1回目の計測工程で温度分布を測定した保持体である必要は無い。
図3(c)に示すように、実施形態3の化合物半導体の保持体100の製造方法は、実施形態1の工程フローと、実施形態2の工程フローとを組み合わせた製造方法である。実施形態3の化合物半導体の保持体の製造方法は、計測工程(S2;1回目)、調整工程(S3;1回目)、保持体形成工程(S1)、計測工程(S2;2回目)、調整工程(S3;2回目)、の順で行われる。すなわち、本実施形態の化合物半導体の保持体の製造方法は、2段階に分けて、計測工程、調整工程が行われる。1回目では、その仕様の保持体、化合物半導体の製造装置に起因する温度分布を解消し、2回目では、個別の保持体に起因する温度分布を解消する。このため1回目の調整工程で調整される保持体は、1回目の計測工程で温度分布を測定した保持体である必要は無い。
1回目の調整工程では凸部材6の高さ調整が行われる。2回目の調整工程(S3)では研磨が行われる。1回目の計測工程に用いる保持体100と、それ以降の工程における保持体100とは異なる。具体的には、保持体100及び化合物半導体の製造装置の仕様に基づいて発生する温度分布を、1回目の調整工程で解消することができる。さらに2回目の計測工程で温度分布を直接測定し、その結果に基づいて2回目の調整工程でウェハ支持部2の高さを調整するので、精度よく均熱化することができる。また、1回目の調整工程で大まかにウェハ支持部の高さが調整され均熱化されているので、2回目の調整工程での研磨量は少なく、精度よく均熱化をはかることができる。
次に実施形態2の調整工程及び実施形態3の2回目の調整工程の具体的方法の一例について、図8、図9を用いながら説明する。
図8に示すように、ウェハとウェハ保持面との距離と、ウェハ温度との間には負の相関がある。つまり、ウェハとウェハ保持面と間の距離が離れる(距離が大きくなる)につれてウェハ温度が低下する。一方、化合物半導体を製造する段階のウェハの温度と、得られる発光素子の波長との関係は負の相関がある。つまり、ウェハの温度が低いと得られる発光素子の波長は長くなる。
上述した二つの関係を関連付けると、ウェハとウェハ保持面との間の距離と、得られる発光素子の波長との関係は正の相関があり、ウェハとウェハ保持面との距離が小さくなると、得られる発光素子の波長が短くなり、ウェハとウェハ保持面との距離が大きくなると、得られる発光素子の波長が長くなる(図8の下段参照)。
以上の関係を利用して、ダミーウェハを保持体に載置して加熱手段で加熱した後、得られた温度分布の値を演算することにより、それぞれのウェハ支持部の高さを求めることができる。以下、図9を用いて具体的に説明する。
図9において、P0、P1はウェハ支持部に載置されるウェハの下面によって定義される平面を示し、P0は調整前、P1は調整後である。
(1)ウェハ保持面1に、複数の計測ポイントAij(x=xi、y=yj)を設定する(図9(a))。
(2)ウェハ支持部2に、ダミーウェハ3を載置する(図9(b))ダミーウェハの下面が定義する平面はP0であり、座標系をz=0のとなるよう定義する。
(3)保持体100を加熱源によって所定温度まで加熱し、ダミーウェハ3上の複数の計測ポイントAijに対応する位置の温度tijを計測する。
(4)全ての温度tijの温度の平均値taveを求め、各位置における温度の偏差Δtijを算出する。
(5)事前に実験的に求められたウェハとウェハ保持面1の間の距離と、ウェハ温度との関係における係数kを温度偏差Δtijに乗じ、計測ポイントAijにおける基準面P0との相当高さ偏差Δhij=k(tij−tave)を算出する(図9(c))。基準面P0は、図9(b)に示すように、3つのウェハ支持部2によって定義される基準面のことであり、ウェハ保持面1からの高さzが一定のz=c(cは定数)によって表される面である。
(6)基準面P0(z=c)を傾斜させることにより定義される平面P(z=ax+by+c)に対して、axi+byi+c−Δhijの自乗和を小さくさせる、あるいは最小化させる定数a、bを算出し、平面Pを確定させる。
(7)3つのウェハ支持部2を上記得られた平面Pと距離が等しくなるように長さを決定する(図9(d))。
(8)ウェハ支持部2の高さを、例えば凸部材6の設計や凸部材6の研磨により調整する。
(1)ウェハ保持面1に、複数の計測ポイントAij(x=xi、y=yj)を設定する(図9(a))。
(2)ウェハ支持部2に、ダミーウェハ3を載置する(図9(b))ダミーウェハの下面が定義する平面はP0であり、座標系をz=0のとなるよう定義する。
(3)保持体100を加熱源によって所定温度まで加熱し、ダミーウェハ3上の複数の計測ポイントAijに対応する位置の温度tijを計測する。
(4)全ての温度tijの温度の平均値taveを求め、各位置における温度の偏差Δtijを算出する。
(5)事前に実験的に求められたウェハとウェハ保持面1の間の距離と、ウェハ温度との関係における係数kを温度偏差Δtijに乗じ、計測ポイントAijにおける基準面P0との相当高さ偏差Δhij=k(tij−tave)を算出する(図9(c))。基準面P0は、図9(b)に示すように、3つのウェハ支持部2によって定義される基準面のことであり、ウェハ保持面1からの高さzが一定のz=c(cは定数)によって表される面である。
(6)基準面P0(z=c)を傾斜させることにより定義される平面P(z=ax+by+c)に対して、axi+byi+c−Δhijの自乗和を小さくさせる、あるいは最小化させる定数a、bを算出し、平面Pを確定させる。
(7)3つのウェハ支持部2を上記得られた平面Pと距離が等しくなるように長さを決定する(図9(d))。
(8)ウェハ支持部2の高さを、例えば凸部材6の設計や凸部材6の研磨により調整する。
なお、具体的な調整工程の方法は、これに限定されず、例えば温度分布の傾向を確認して、傾斜している方向を特定し、対応するウェハ支持部2の長さを研磨して調整する簡略化した方法でもよい。
図10は完成品の保持体100であり、ウェハ支持部2の高さが調整され、載置されるウェハの高さが保持体の平面視における中央側と外側とで異なるように備えられている。
このようにウェハ支持部2の高さが調整されるので、化合物半導体の製造装置において保持体100に載置されるウェハ10は、図10に示すように、傾斜の小さな円錐面の表面に沿って配置される。
保持体100の中央が低い温度分布である場合、載置されるウェハを保持体の外側の方が中央側より高くなるように前記ウェハ支持部が備えられている。すなわち中央が低い漏斗状の円錐面に沿ってウェハが配置される(図10(a)参照)。
一方、保持体の中央が高い温度分布である場合、載置されるウェハを保持体の中央側の方が外側より高くなるようにウェハ支持部が備えられている。すなわち中央が高い山状の円錐面に沿ってウェハが配置される(図10(b)参照)。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
本発明の化合物半導体の保持体の製造方法によれば、実際の測定温度に基づき、ウェハとウェハ保持面との間の距離を調整しているので、精度よくウェハの均熱化を図ることができる。
1 ウェハ保持面
2 ウェハ支持部
3 ダミーウェハ
4 基材
5 セラミック被覆
6 凸部材
61 ピン
62 球
7 不透明コート
8 温度測定器
9 砥石
10 ウェハ
11 中心軸(回転軸)
12 孔
100 保持体
S1 保持体形成工程
S2 計測工程
S3 調整工程
2 ウェハ支持部
3 ダミーウェハ
4 基材
5 セラミック被覆
6 凸部材
61 ピン
62 球
7 不透明コート
8 温度測定器
9 砥石
10 ウェハ
11 中心軸(回転軸)
12 孔
100 保持体
S1 保持体形成工程
S2 計測工程
S3 調整工程
Claims (18)
- 複数のウェハ保持面を有する化合物半導体の保持体の製造方法であって、
前記ウェハ保持面の各々に少なくとも3つのウェハ支持部を有する保持体を形成する保持体形成工程と、
前記ウェハ保持面にダミーウェハを載置するとともに、前記保持体を所定温度に加熱し、前記ダミーウェハの表面の温度分布を計測する計測工程と、
前記ダミーウェハの表面の温度が低い領域のウェハ保持面とダミーウェハ下面の距離が近くなるよう前記ウェハ支持部を調整する調整工程と、
を備える化合物半導体の保持体の製造方法。 - 前記保持体形成工程は、黒鉛からなる基材を形成する基材形成工程と、前記基材を覆うセラミック被覆を形成する被覆工程と、を含む請求項1に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 前記基材形成工程では、孔を形成するとともに前記孔に凸部材を挿入することにより前記ウェハ支持部を形成し、前記被覆工程では、前記凸部材および前記基材を覆う請求項2に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 前記凸部材は、ピンまたは球である請求項3に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 前記調整工程は、前記凸部材の高さを調整することにより行う請求項3または4に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 前記調整工程は、研磨により行われる請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 前記所定温度は500℃〜1500℃の温度である請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 前記所定温度は前記化合物半導体の製膜温度±50℃以内である請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 前記ダミーウェハは、表面に不透明コートが形成されたサファイア基板である請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 前記不透明コートは前記サファイア基板の上面側に形成され、下面側は前記サファイア基板が露出している請求項9に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 前記不透明コートは、炭素からなる請求項9または10に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 前記サファイア基板は、主面の結晶面の方位がC面(0001)である請求項9から11のいずれか1項に記載の化合物半導体の保持体の製造方法。
- 複数のウェハ保持面を有する化合物半導体の保持体であって、
前記ウェハ保持面の各々は、少なくとも3つのウェハ支持部を有し、
前記ウェハ支持部は、載置されるウェハの下面と前記ウェハ保持面との距離が、当該保持体の中央側と外側とで異なるように備えられる化合物半導体の保持体。 - 当該保持体の外側の方が中央側より、載置される前記ウェハの下面と前記ウェハ保持面との距離が遠くなるように前記ウェハ支持部が備えられている請求項13に記載の化合物半導体の保持体。
- 当該保持体の中央側の方が外側より、載置される前記ウェハの下面と前記ウェハ保持面との距離が遠くなるように前記ウェハ支持部が備えられている請求項13に記載の化合物半導体の保持体。
- 前記保持体は、黒鉛からなる基材と、前記基材を覆うセラミック被覆とを含む請求項13から15のいずれか1項に記載の化合物半導体の保持体。
- 前記基材のウェハ支持部には凸部材が挿入された孔を有し、前記セラミック被覆は、前記凸部材および前記基材を覆っている請求項16に記載の化合物半導体の保持体。
- 前記凸部材は、ピンまたは球である請求項17に記載の化合物半導体の保持体。
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