ここで、この明細書において、電子インクカートリッジとは、位置指示器の構成部品のうち、少なくとも芯体と感圧センサとを筒状体の中空部内に収納して、位置指示器の筐体内に収納するための構造物である。位置指示器の主要な構成部品の全てを筒状体の中空部内に収納した電子インクカートリッジは、筆記具のボールペンのインクカートリッジと同様に、位置指示器の筐体内に収納するだけで位置指示器を構成することができる。そこで、この明細書においては、筒状体内に、位置指示器の一部または主要な構成部品が内部に収納されたものを、電子インクカートリッジと呼ぶものである。
[第1の実施形態]
この発明による位置指示器の第1の実施形態は、電子インクカートリッジを、電磁誘導方式の位置指示器に適用した場合である。感圧センサの例としては、電磁誘導方式の位置指示器が備える共振回路を構成するインダクタンスが、芯体に印加される圧力に応じて変化するタイプのもの場合である。そして、この第1の実施形態では、共振回路を構成するインダクタンスを変化させる感圧センサの構成は、前述の図22で示した従来例と同様としている。
図1〜図8は、この発明による電子インクカートリッジの第1の実施形態およびこの第1の実施形態の電子インクカートリッジを用いた位置指示器の構成例を説明するための図である。
この第1の実施形態の位置指示器は、使用者が位置指示器の筐体を把持している状態で操作可能となっているプッシュスイッチを備え、このプッシュスイッチのオン・オフにより、共振回路の共振周波数が変更可能な構成を備える。なお、このプッシュスイッチは、芯体に近い位置であって筐体の周部に設けられており、サイドスイッチとも呼ばれている。なお、プッシュスイッチのオン・オフ操作は、後述するようにして位置検出装置で検出されるが、この位置検出装置が内蔵されている、あるいは外部接続されているパソコンなどの電子機器で、例えば決定操作入力など、種々の機能に割り当てられている。
図2(A)は、この第1の実施形態の位置指示器1の全体の構成の概要を示すもので、ペン形状を備えており、円筒状の筐体2を備える。そして、この筐体2内の内部空間に、位置指示器1の構成部品が収納される。図2(A)では、筐体2の内部の構成の理解を容易にするために、位置指示器1の筐体2のみを断面で示してある。
この第1の実施形態の位置指示器1の筐体2は、非磁性体材料、例えば樹脂で構成され、筐体2のペン先側に開口3aを有する円筒状の下部ハーフ3と、この下部ハーフ3と同心円状に嵌合されて結合される円筒状の上部ハーフ4とからなる。
そして、下部ハーフ3の内部には、断面形状が例えば円形の中空部3bが設けられ、この中空部3b内に、図1(A)に示すように、電磁誘導方式の位置指示器の基本的な構成部品が筒状体5内に収納された電子インクカートリッジ10が配設される。また、下部ハーフ3の周側面の一部には、貫通孔3dが穿かれており、その貫通孔3dには、押下操作子8が設けられ、この押下操作子8により、その下部に設けられているプッシュスイッチ7を押下することができるように構成されている。この位置指示器1の内部構成の詳細については、後述する。
[電子インクカートリッジ10の構成例]
この第1の実施形態の電子インクカートリッジ10の構成例を、図1及び図3〜図6を参照して説明する。図1(A)は、電子インクカートリッジ10の内部構成を説明するための断面図である。この例の電子インクカートリッジ10は、筒状体5の中空部内に、電磁誘導方式の位置指示器の基本的な構成部品、すなわち、芯体11、インダクタンスが可変とされたコイル16、このコイル16と共振回路を構成するコンデンサを含むコンデンサ回路18が収納されて構成されている。筒状体5の中空部の径(内径)は一定とされている。また、この例では、筒状体5の外径も一定とされている。この筒状体5は、非磁性体金属、樹脂材、ガラス、セラミックなどの非磁性体、この例では、SUS305,SUS310Sなどの素材で構成されている。そして、図2に示したように、筒状体5は、その中心軸方向が、位置指示器1の筐体2の中心軸方向となる状態で収納される。
なお、説明の便宜上、電子インクカートリッジ10の筒状体5の内部の一部の構成部品(後述する連結部材17及びコンデンサ回路18)については、図1(A)では断面とせず、後述するように、別途、断面図を用意した。また、図1(B)は、電子インクカートリッジ10の全体の構成を説明するための分解斜視図である。
筒状体5は、この第1の実施形態では、中心軸方向に2分割された第1の筒状体5Aと第2の筒状体5Bとからなる。この例では、この第1の筒状体5A及び第2の筒状体5Bは、それぞれ、外径が例えば2.5mm、内径が例えば1.5mm〜2mmとされた細型形状とされている。
第1の筒状体5Aの中心軸方向(軸芯方向)の一端側には、芯体11の先端を延出するための開口5Aaが設けられている。この開口5Aaの径は、第1の筒状体5Aの内径よりも小さく、このため、第1の筒状体5Aの中心軸方向の一端側には段部5Asが形成されている。一方、第1の筒状体5Aの中心軸方向の他端側は、その内径の全体が開口5Abとされている。また、第2の筒状体5Bは、その中心軸方向の両端側において、その内径の全体が開口とされている。
そして、図1(A)に示すように、第1の筒状体5Aの、開口5Abの外周側面には、第2の筒状体5Bの一端側の開口の内壁面に形成されたネジ部5Baと螺合するネジ部5Acが形成されている。また、第2の筒状体5Bの他端側の開口近傍の内壁面には、非磁性体例えば樹脂からなるキャップ19の外周に形成されているリング状溝部19aと嵌合するリング状突部5Bbが、例えば第2の筒状体5Bが当該位置で絞られることで、形成されている。
また、図1(B)に示すように、第2の筒状体5Bの他端側の開口端の周方向の所定位置には、周方向の位置決め用の溝5Bcが、中心軸方向に沿って形成されている。そして、キャップ19には、第2の筒状体5Bの溝5Bcと係合する突部19cが形成されている。キャップ19は、突部19cが溝5Bc内に挿入されるようにして、第2の筒状体5B内に押し込まれることにより、リング状溝部19aとリング状突部5Bbが嵌合して、第2の筒状体5B内に係止される。
そして、図1(A)及び図1(B)に示すように、第1の筒状体5A内には、開口5Aaから見て、コイルバネ12、芯体11、第2の磁性体の例としてのフェライトチップ13、Oリング14、コイル16が巻回された第1の磁性体の例としてのフェライトコア15及び連結部材17の順に、それら各部品の中心軸が一致するように、順次に並べられて収納される。
この実施形態における芯体11は、例えば樹脂で構成され、第1の筒状体5Aの開口5Aaから延出される径の先端部と、鍔部11aとを備えると共に、この鍔部11aの上面のほぼ中央に突部11bを備える。鍔部11aは、第1の筒状体5A内で中心軸方向に移動可能となるように、第1の筒状体5Aの内径よりも若干小さい径とされている。
フェライトチップ13は、第1の筒状体5A内で中心軸方向に移動可能となるように、第1の筒状体5Aの内径よりも若干小さい径の円柱状形状を有する。そして、フェライトチップ13は、その中心軸方向の芯体11側の端面に凹部13aを備え、この凹部13aに、芯体11の鍔部11aの上面に形成された突部11bが嵌合される。芯体11は、フェライトチップ13に対して、突部11bと凹部13aが嵌合する状態で接着材等により接合される。また、フェライトチップ13の中心軸方向のフェライトコア15側の端面の中央には突部13bが形成されている。
Oリング14は、第1の筒状体5Aの内径より小さい外径を備えると共に、フェライトチップの突部13bの径より大きい内径を備える弾性体、例えば弾性ゴムで構成されている。この場合、Oリング14の断面は円形を有し、その直径は、フェライトチップ13の突部13bの高さよりも大きく選定されている。
フェライトコア15は円柱状形状を有し、巻回されたコイル16の部分も含めた径が、第1の筒状体5Aの内径より若干小さいものとなるようにされている。このフェライトコア15の中心軸方向の連結部材17側の端面には、連結部材17に形成される中心軸位置の位置決め用の突部17cが嵌合する凹部15aが形成されている。
連結部材17は、フェライトコア15とコンデンサ回路18とを機構的に連結すると共に、フェライトコア15に巻回されたコイル16とコンデンサ回路18のコンデンサとの電気的接続を行うためのものである。
図3は、連結部材17の構成例を説明するための図である。図3(A)は、連結部材17を、フェライトコア15と連結する側から見た図、図3(B)は、図3(A)のB−B断面図である。また、図3(C)は、連結部材17を、コンデンサ回路18と連結する側から見た図である。
図3(A),(B)に示すように、連結部材17は、外径が第1の筒状体5Aの内径にほぼ等しい円柱状形状の非磁性体、この例では樹脂からなる本体部171に、コイル16の一端16a及び他端16bと、コンデンサ回路18の一端及び他端とのそれぞれの電気的な接続をするための、弾性を有する導電体からなる端子部材172,173をインサートして成型したものである。
そして、連結部材17の本体部171の外周面の所定の位置には、リング状凹溝17a,17bが形成されている。一方、図1(A)に示すように、第1の筒状体5Aには、連結部材17が収納されたときに前記リング状凹溝17a,17bが対応する位置において、例えば外周面がリング状に絞られることにより、その内壁面側に突出するリング状突部5Ad、5Aeが形成されている。連結部材17を、第1の筒状体5A内の中心軸方向に挿入すると、連結部材17は、その外周面のリング状凹溝17a,17bと、第1の筒状体5Aの内壁面のリング状突部5Ad,5Aeとが嵌合することにより、第1の筒状体5Aに対して固定される。
そして、連結部材17の本体部171のフェライトコア15側の端面の中央に、前述した位置決め用の突部17cが形成されている。この例では、突部17cは、四角柱状の形状とされている。フェライトコア15の端面に形成された凹部15aに、連結部材17の突部17cを嵌合させ、フェライトコア15の端面と連結部材17の本体部171の平坦面とを例えば接着材で接着することにより、フェライトコア15と連結部材17とを結合するようにする。
また、図3(A)に示すように、連結部材17の本体部171の周側面の、この例では、互いに180度角間隔だけ離れた位置には、円柱の中心軸方向に凹溝174,175が形成されている。この凹溝174、175内には、端子部材172,173の一方の端部172a、173aが、周方向に直交する方向に植立されている。そして、当該植立されている状態の端子部材172,173の一方の端部172a、173aには、図3(A)に示すように、V字型切れ込み172b,173bが形成されている。
そして、図3(B)に示すように、コイル16の一端16aを、端子部材172の一方の端部172aのV字型切れ込み172bに圧入して、互いに電気的に接続をすると共に、コイル16の他端16bを、端子部材173の一方の端部173aのV字型切れ込み173bに圧入して、互いに電気的に接続するようにする。このようにして、コイル16が巻回されているフェライトコア15と連結部材17とが連結されたものは、一つのフェライトコアモジュールとして取り扱うことができる。なお、コイル16の一端16a及び他端16bは、連結部材17の凹溝174,175内で、連結部材17の外周面から突出することなく植立された、端子部材172,173の一方の端部172a,173aと接続されている。したがって、コイル16の一端16a及び他端16bは、第1の筒状体5Aの内壁面と接触することはない。
連結部材17の端子部材172の他方の端部は、図3(B)及び(C)に示すように、コンデンサ回路18の端面と対向する端面において、リング状電極導体172cとして形成されている。そして、連結部材17の、コンデンサ回路18の端面と対向する端面の中央には、図3(B)及び(C)に示すように、端子部材172の他方の端部を構成するリング状電極導体172cとは離間した状態の凹穴17dが形成されている。
連結部材17の端子部材173の他方の端部173cは、その凹穴17d内に位置する。そして、端子部材173の他方の端部173cの、当該凹穴17d内に位置する部分には、当該端子部材173に形成された、弾性を有する折り曲げ部からなる挿入孔173dが形成されている。以上のように構成された端子部材172の他方の端部のリング状電極導体172c及び端子部材173の他方の端部173cは、後述するように、コンデンサ回路18の一方及び他方の端子との接続用端子となる。
[電子インクカートリッジ10の第1の筒状体5Aへの構成部品の収納]
電子インクカートリッジ10の第1の筒状体5A内には、各構成部品は、以下のようにして組み立てられて収納される。
図1(B)を参照して説明すると、先ず、連結部材17と、コイル16が巻回されたフェライトコア15とを連結させる。具体的には、連結部材17に形成された中心軸位置の位置決め用の突部17cとフェライトコア15に形成された凹部15aを嵌合させるとともに、フェライトコア15に巻回されたコイル16の一端16a及び他端16bを連結部材17に設けられた端子部材172,173の一方の端部172a、173aにそれぞれ接続する。
次に、フェライトチップ13に形成された凹部13aと芯体11の鍔部11aの上面に形成された突部11bとが嵌合されるとともに、芯体11の先端側にコイルバネ12が装着され、フェライトチップ13の突部13bの周囲にOリング14が配置されて、第1の筒状体5Aの中空部内に、開口5Aa側を先端として、開口5Ab側から、中心軸方向に挿入される。芯体11は、コイルバネ12により、常に、その先端側とは反対側に付勢される状態で、その先端側が第1の筒状体5Aの開口5Aaから延出されるようにされる。
そして、互いが連結された連結部材17とコイル16が巻回されたフェライトコア15が、フェライトコア15がOリング14を介してフェライトチップ13と対向するように、第1の筒状体5A内の中心軸方向に挿入される。
このとき、連結部材17の外周面のリング状凹溝17a,17bが、第1の筒状体5Aの内壁面に設けられているリング状突部5Ad、5Aeに嵌合して、連結部材17は、第1の筒状体5Aに対して固定される。そして、この実施形態では、第1の筒状体5Aの中空部内の芯体11の先端側にコイルバネ12が、その一端が第1の筒状体5Aの中空部内の芯体11の先端側の段部5Asと係合する状態で配置されている。このため、このコイルバネ12の他端側に配置されている芯体11の鍔部11a、フェライトチップ13、Oリング14は、常に、このコイルバネ12の弾性偏倚力により、第1の筒状体5Aに固定されている連結部材17側に付勢されることで、それら各部材のガタツキが防止される。
この状態においては、連結部材17の、フェライトコア15の接合部とは反対側の端面は、第1の筒状体5Aの開口5Abで露呈する。したがって、連結部材17の当該端面に形成されている端子部材172のリング状電極導体172cと、端子部材173の端部173cも、開口5Abで露呈する状態となり、外部から接触可能となる(図1及び図3(C)参照)。
なお、第1の筒状体5Aの内壁面のリング状突部5Ad,5Aeの形成位置は、この例では、連結部材17がコンデンサ回路18と結合される側の端面が、第1の筒状体5Aの開口5Abの端面と面一となるような位置とされている。
この実施形態では、フェライトチップ13と、Oリング14と、コイル16が巻回されているフェライトコア15とにより、芯体11に印加される圧力をセンスする圧力感圧センサが構成されている。連結部材17の開口5Abで露呈する端面に形成されている端子部材172のリング状電極導体172cと、端子部材173の端部173cは、上述したように、フェライトコア15に巻回されているコイル16の一端16a及び他端16bに接続されており、コイル16の一端16a及び他端16bと、コンデンサ回路18の一端及び他端とのそれぞれの電気的な接続をするための接続端子である。
したがって、連結部材17の開口5Abで露呈する端面に形成されている接続端子としての端子部材172のリング状電極導体172cと、端子部材173の端部173cには、感圧センサの電気的特性としての、芯体11に印加される圧力に応じて変化するインダクタンス値が露呈することになる。
よって、インダクタンス測定装置に接続されているプローブ端子を、連結部材17の端面に設けられた端子部材172のリング状電極導体172cと、端子部材173の端部173cのそれぞれに電気的に接触させることで、コイル16のインダクタンス値を測定することができる。なお、この場合にインダクタンス測定装置で測定されるコイル16のインダクタンスは、芯体11に押圧力が印加されていない状態でのインダクタンスである。
そして、測定した、このコイル16のインダクタンス値に応じて、コンデンサ回路18の静電容量の値を決定することで、コイル16とコンデンサ回路18とからなる共振回路の共振周波数を、所望の周波数に設定することができる。すなわち、コイル16のインダクタンス値にバラツキがあっても、それぞれのコイル16のインダクタンス値に応じたコンデンサ18の静電容量を決定することで、コイル16とコンデンサ回路18とからなる共振回路の共振周波数を、所望の周波数に設定することができる。
上記のようにして、コンデンサ回路18に設定される静電容量の値によってコイル16のインダクタンス値のバラツキが補償される。共振周波数が所望のものとなるように静電容量値が設定されたコンデンサ回路18は、図1に示すように、連結部材17に対して、その中心軸方向に連結される。そして、このコンデンサ回路18を収納する状態で、第2の筒状体5Bが、第1の筒状体5Aとネジ部5Ac,5Baにおいて螺合される。そして、第2の筒状体5Bに、キャップ19が挿入されて、第2の筒状体5Bの開口が閉塞され、筒状体5の組立が完了となる。
次に、コンデンサ回路18の構成について説明する。図4は、この実施形態におけるコンデンサ回路18の構成例を説明するための図である。
この第1の実施形態では、コンデンサ回路18は、図1及び図4に示すように、第1のコンデンサ回路181と、第2のコンデンサ回路182とを、中心軸方向に結合した構成を備える。第1のコンデンサ回路181は、プッシュスイッチ7が1つの状態、例えばオフであるときに、コイル16と並列に接続されて共振回路を構成する。また、第2のコンデンサ回路182は、プッシュスイッチ7がオンとされたときに、コイル16及び第1のコンデンサ回路181と互いに並列に接続されて共振回路を構成する。第1のコンデンサ回路181及び第2のコンデンサ回路182の静電容量の値は、それぞれにより構成される共振回路の共振周波数を、所望の周波数とするために設定される。
第1のコンデンサ回路181及び第2のコンデンサ回路182は、図4に示すように、例えば樹脂からなる筒状のホルダー1810及び1820のそれぞれの内部に、チップコンデンサ183が複数個互いに積層されて収納されることで並列接続される。
この例の場合、チップコンデンサ183のそれぞれは、例えば特開2009−124155号公報に記載されている多層セラミックコンデンサが用いられる。この例のチップコンデンサ183は、直方体形状に形成されており、図4において、黒く塗り潰して示すように、コンデンサの積層方向に直交する方向の端面であって、互いに対向する端面には、その積層方向の全体に渡って、チップコンデンサ183の一方の電極184及び他方の電極185が露呈されて形成されている。
したがって、チップコンデンサ183を重ねることで、重ねられた個数分の全ての複数のチップコンデンサは、互いにその一方の電極184及び他方の電極185が接続され、各チップコンデンサ183は互いに並列に接続されることになる。第1のコンデンサ回路181及び第2のコンデンサ回路182の静電容量の値のそれぞれは、ホルダー1810及び1820内に収納される各チップコンデンサ183の静電容量の値と、その個数により、設定される。
なお、ホルダー1810及び1820の中空部1811及び1821の深さ、すなわち積層されるチップコンデンサ183の個数は、それぞれ、前述したコイル16のインダクタンス値のバラツキの程度を勘案して設定される。そして、チップコンデンサ183を積層することで静電容量値を最適化した結果として、中空部1811,1821内に収納されるチップコンデンサ183の個数が所定数に満たないときには、中空部1811,1821内には常に所定の個数となるように、この例では、実質的には静電容量値を有しないダミーのチップコンデンサが収納される。
この例の場合、ホルダー1810及び1820の中空部1811及び1821の開口側には、互いに対向する壁面から中空部1811及び1821側に突出するように形成された、弾性変形可能な爪部1812,1813及び1822,1823が設けられている。チップコンデンサ183は、この爪部1812,1813及び1822,1823を弾性偏倚させることで乗り越えるようにして、中空部1811,1821内に収納される。そして、爪部1812、1813及び1822,1823は、中空部1811及び1821に収納された複数のチップコンデンサ183の最も上のものの上面に係合して、中空部1811及び1821内に、複数個のチップコンデンサ183の全体を係止させる。
そして、第1のコンデンサ回路181のホルダー1810には、図4において点線で示すように、その中心軸方向の両端面間を貫くように、対の端子部材1814及び1815が設けられる。端子部材1814は、中空部1811に収納されたチップコンデンサ183の全ての一方の電極184と接続されるように設けられている。また、端子部材1815は、中空部1811に収納されたチップコンデンサ183の全ての他方の電極185と接続されるように設けられている。
そして、図4において点線で示すように、端子部材1814の一端1814aは、連結部材17と対向する端面側に導出されて、連結部材17の端子部材172の他端のリング状電極導体172cと衝合して電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1814の他端1814bは、図4に示すように、第2のコンデンサ回路182と対向する端面側において、中空部1811の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
また、端子部材1815の一端1815aは、図4に示すように、連結部材17と対向する端面の中央部から突出する棒状体として導出されて、連結部材17に形成されている挿入孔173dに挿入されて、端子部材173の端部173cと電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1815の他端1815bは、図4に示すように、第2のコンデンサ回路182と対向する端面側において、中空部1811の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
また、第2のコンデンサ回路182のホルダー1820には、図4において点線で示すように、その中心軸方向の両端面間を貫くように、端子部材1824及び1825が設けられる。また、ホルダー1820には、端子部材1826が更に設けられる。
端子部材1824は、中空部1821に収納されたチップコンデンサ183の全ての一方の電極184と接続されるように設けられている。端子部材1825は、中空部1821のチップコンデンサ183とは接続されることなく、ホルダー1820の中心軸方向の両端面間を貫くように設けられる。更に、端子部材1826は、中空部1821に収納されたチップコンデンサ183の全ての他方の電極185と接続されるように設けられている。ただし、この端子部材1826は、その一端がホルダー1820内に存在して外部には露呈せず、他端1826bのみが外部に露呈するようにされる。
端子部材1824の一端1824aは、図4において点線で示すように、第1のコンデンサ回路181と対向する端面側に導出されて、第1のコンデンサ回路181の端子部材1814の他端1814bと衝合して電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1824の他端1824bは、図4に示すように、キャップ19の端面と対向する端面側において、中空部1821の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
端子部材1825の一端1825aは、図4において点線で示すように、第1のコンデンサ回路181と対向する端面側に導出されて、第1のコンデンサ回路181の端子部材1815の他端1815bと衝合して電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1825の他端1825bは、図4に示すように、キャップ19と対向する端面側において、中空部1821の開口の側部に露呈するように導出されて設けられている。
中空部1821に収納されたチップコンデンサ183の全ての他方の電極185と接続された端子部材1826の他端1826bは、図4に示すように、キャップ19の端面と対向する端面側において、中空部1821の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
また、第2のコンデンサ回路182のホルダー1820の外周部の所定位置には、中心軸方向に沿う突部182aが形成されている。この突部182aは、この第2のコンデンサ回路182の、第2の筒状体5B内での周方向の位置決め用である。筒状体5Bには、前述したように、その他端側の開口端から軸芯方向に溝5Bcが形成されており、第2のコンデンサ回路182の突部182aは、この溝5Bcに挿入されることで周方向の位置決めがなされる。
更に、第1のコンデンサ回路181のホルダー1810の、第2のコンデンサ回路182のホルダー1820と対向する端面には、図4に示すように、嵌合凹穴1816及び1817が形成される。また、第2のコンデンサ回路182のホルダー1820の、第1のコンデンサ回路181のホルダー1810と対向する端面には、図示は省略するが、ホルダー1810の嵌合凹穴1816及び1817に嵌合する突部が形成される。
この場合に、図示は省略するが、ホルダー1810の嵌合凹穴1816及び1817はL字型に屈曲されていると共に、ホルダー1820の突部は、先端がL字型に屈曲されており、ホルダー1810の嵌合凹穴1816及び1817に、ホルダー1820の突部を嵌合させると、ホルダー1820の突部が、弾性偏倚して嵌合凹穴1816及び1817に挿入され、互いの屈曲部により、第1のコンデンサ回路181と第2のコンデンサ回路182とは、互いの結合が容易に解除されないようにして連結される。
前述したように、第1の筒状体5Aに収納されたコイル16のインダクタンスの値が測定されたら、そのインダクタンスのコイル16と並列共振回路を構成して所望の共振周波数となるような静電容量の値を算出し、その算出した静電容量値となるように、第1のコンデンサ回路181のホルダー1810内に複数個のチップコンデンサ183を収納する。
所望の共振周波数となるように、測定されたインダクタンスの値に基づいて第1のコンデンサ回路181の静電容量の値が設定されると、次に第2のコンデンサ回路182の静電容量の値が設定される。第1のコンデンサ回路181の静電容量の値は、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)7が操作されていない(スイッチオフ状態またはオン状態のいずれか一方)場合に、所望の共振周波数と測定されたインダクタンスの値とから設定される。
これに対し、第2のコンデンサ回路182の静電容量の値は、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)7が操作されたとき(スイッチオフ状態またはオン状態の他方)に所望する共振周波数となるようにするために設定するものであり、その値は測定されたインダクタンスの値と第1のコンデンサ回路181の静電容量の値に依存する。
すなわち、実際の使用状態と同じ状態で第1の筒状体5Aに収納されたコイルのインダクタンスの値が測定される。コイル16と第1のコンデンサ回路181とで構成される共振回路の共振周波数は既知であるために、第1のコンデンサ回路181の静電容量の値は算出可能である。したがって、第1のコンデンサ回路181の静電容量値としては、この算出された静電容量の値と同じあるいは近い値が設定される。
また、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)7を操作することで変移させる共振周波数は既知であることから、測定されたインダクタンスの値と第1のコンデンサ回路181の静電容量の値に依存して、第1のコンデンサ回路181に並列接続させる第2のコンデンサ回路182が備えるべき静電容量の値も算出可能である。
このことを、詳説すると、実際の使用状態と同じ状態で第1の筒状体5Aに収納されたコイルのインダクタンスがL1、プッシュスイッチ7が操作されていないときの共振周波数をf1、第1のコンデンサ回路181の静電容量をC1とすると、
f1=1/{2・π・(L1・C1)1/2}であるから、静電容量C1は、
C1=1/{4・π2・f12・L1}として算出される。
すなわち、共振周波数はf1であり、実際の使用状態と同じ状態で第1の筒状体5Aに収納されたコイルのインダクタンスがL1として測定されるため、第1のコンデンサ回路181の静電容量C1は算出可能である。また、実際に第1のコンデンサ回路181の静電容量として設定された値が、静電容量の測定により、C1に近似したC11であったとすると、プッシュスイッチ7が操作されたときの共振周波数をf2、第2のコンデンサ回路182の静電容量をC2とすると、
f2=1/{2・π・(L1・(C11+C2))1/2}となり、第2のコンデンサ回路182の静電容量として設定すべき値C2は、
C2=1/{4・π2・f22・L1}−C11として算出される。
次に、図5に、キャップ19の構成例を示す。図5(A)は、キャップ19を、コンデンサ回路18との対向面側から見た図であり、図5(B)は、図5(A)のC−C断面図である。また、図5(C)は、キャップ19を、コンデンサ回路18との対向面側とは反対側から見た図である。
キャップ19は、非磁性体、この例では樹脂からなる本体191に、導電体からなる端子部材192,193がインサート成型されて設けられている。また、キャップ19は、後述するプッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9の先端が嵌合されるコネクタ194を備える。
図1及び図5(C)に示すように、キャップ19の本体191は全体として円柱状形状とされており、コンデンサ回路18との対向面側は、電子インクカートリッジ10の第2の筒状体5B内に挿入される径の径小部195とされ、その他は、筒状体5の外径よりも径の大きい径大部196とされている。そして、キャップ19の径大部196の、コンデンサ回路18との対向面側とは反対側の部分は、円柱状形状部分が、中心軸方向に、一部が切り欠かれた形状を備える。図の例では、径大部196は、その円柱状形状部分の半分が切り欠かれて、中心軸方向に平行な平面197が形成されている
キャップ19の径小部195には、前述したように、第2の筒状体5Bの開口内壁に設けられたリング状突部5Bbに嵌合するリング状溝部19aが形成されている。また、キャップ19の径小部195には、第2の筒状体5Bの開口端側に形成されている位置決め用溝5Bcに係合する突部19cが、キャップ19の中心軸方向に形成されている。さらに、キャップ19の径大部196には、後述するように、位置指示器1の筐体の内壁面に形成されているネジ部と螺合するネジ部19bが形成されている。
端子部材192及び193は、コンデンサ回路18と、径大部196に形成された平面197に設けられたコネクタ194との間の電気的接続を行うように設けられている。すなわち、端子部材192の一端192aは、キャップ19の径小部195の、コンデンサ回路18との対向面において、第2のコンデンサ回路182の端面の端子部材1826の他端1826bと弾性的に衝合するように導出される。そして、この端子部材192の他端192bは、コネクタ194の一端に接続される。また、端子部材193の一端193aは、キャップ19の径小部195の、コンデンサ回路18との対向面において、第2のコンデンサ回路182の端面の端子部材1825の他端1825bと弾性的に衝合するように導出される。そして、この端子部材193の他端193bは、コネクタ194の他端に接続される。なお、コネクタ194の一端は、後述するプッシュスイッチ7の一端に接続され、コネクタ194の他端は、プッシュスイッチ7の他端に接続される。
[電子インクカートリッジ10の第2の筒状体5Bの部分の組立]
この第1の実施形態においては、連結部材17に、先ず、上述のようにして静電容量の値が設定された第1のコンデンサ回路181が連結される。具体的には、棒状体に形成された第1のコンデンサ回路181の端子部材1815の一端1815aを連結部材17の挿入孔173dに挿入して連結部材17に設けられた端子部材173の他方の端部173cに連結すると共に、端子部材1814の一端1814aを、連結部材17のリング状電極導体172cに衝合させるようにして連結する。
次に、連結部材17に連結された第1のコンデンサ回路181を第2の筒状体5Bの中空部に収納して、第2の筒状体5Bの一端側の開口の内壁面に形成されたネジ部5Baと第1の筒状体5Aの開口5Abの外周側面に形成されたネジ部5Acとを螺合させて、一体的な筒状体を形成する。このとき、第1のコンデンサ回路181の第2のコンデンサ回路182と対向する端面の嵌合凹穴1816及び1817が、第2のコンデンサ回路182の嵌合突部と係合するような位置となるように、第1のコンデンサ回路181が回転されて周方向の位置が予め定められる。
その後、上述のようにして静電容量の値が設定された第2のコンデンサ回路182を、突部182aを第2の筒状体5Bの位置決め用溝5Bcに係合させながら、図4を参照して説明したように、第1のコンデンサ回路181に機構的ならびに電気的に連結する。
次に、キャップ19の径小部195を、第2の筒状体5B内に、位置決め用溝5Bcに突部19cを係合させるようにして挿入する。すると、キャップ19のリング状溝部19aと第2の筒状部5Bのリング状突部5Bbが嵌合して、キャップ19が第2の筒状体5B内に対して係止される。このとき、第2のコンデンサ回路182の端子部材1825の他端1825b及び端子部材1826の他端1826bが、キャップ19の端子部材193の一端193a及び端子部材192の一端192aとそれぞれ接続される。
以上のようにして、電子インクカートリッジ10が組み立てられる。この電子インクカートリッジ10は、収納するコイル16とコンデンサ回路18とからなる並列共振回路の共振周波数が、プッシュスイッチ7がオフ及びオンのいずれの状態における状態についても、調整済みとなっている。したがって、この実施形態では、当該電子インクカートリッジ10を位置指示器1の筐体2に収納したときには、共振周波数の調整は、もはや無用となる。
[電子インクカートリッジ10の等価回路]
以上説明した電子インクカートリッジ10のコイル16、コンデンサ回路18及びプッシュスイッチ7を含む電子回路部分の等価回路を、図6に示す。この場合に、前述したように、コイル16の一端16a及び他端16bは、連結部材17の端子部材172の一端172a及び端子部材173の一端173aに接続されている。
前述したように、連結部材17に対して、コンデンサ回路18の第1のコンデンサ回路181が結合された状態では、連結部材17の端子部材172の一端172aは、リング状電極導体172cを介して、コンデンサ回路18の第1のコンデンサ回路181の端子部材1814の一端1814aに接続される。また、連結部材17の端子部材173の一端173aは、端部173cを介して、第1のコンデンサ回路181の端子部材1815の一端1815aに接続される。
したがって、図6に示すように、コイル16に対して、第1のコンデンサ回路181に収納された複数個のチップコンデンサ183は、互いに並列に接続される。図6では、5個のチップコンデンサ183の静電容量Ca〜Ceが、コイル16のインダクタンスに対して並列に接続された状態を示している。なお、複数個のチップコンデンサ183の静電容量Ca〜Ceは、互いに等しいものであっても良いし、異なるものであっても良い。静電容量Ca〜Ceは、互いに並列に接続されるので、第1のコンデンサ回路181の全体の静電容量は、この第1のコンデンサ回路181に収納する複数個のチップコンデンサ183のそれぞれの静電容量を単純に加算したものとなる。
次に、第1のコンデンサ回路181に対して、更に第2のコンデンサ回路182を結合した状態では、第1のコンデンサ回路181の端子部材1814の他端1814bと、第2のコンデンサ回路182の端子部材1824の一端1824aとが電気的に接続され、また、第1のコンデンサ回路181の端子部材1815の他端1815bと、第2のコンデンサ回路182の端子部材1825の一端1825aとが電気的に接続される。そして、図6に示すように、第2のコンデンサ回路182の端子部材1826の他端1826bと、端子部材1825の他端1825bとの間には、キャップ19のコネクタ194を通じてプッシュスイッチ7が接続される。
したがって、端子部材1826の他端1826bと、端子部材1825の他端1825bとの間を短絡したときには、プッシュスイッチ7がオンと等価の状態となり、この状態では、コイル16に対して、第2のコンデンサ回路182に収納された複数個のチップコンデンサ183が、第1のコンデンサ回路181の複数個のチップコンデンサ183に加えて、互いに並列に接続される状態となる。なお、図6では、第2のコンデンサ回路182内には、4個のチップコンデンサ183の静電容量Cf〜Ciが収納され、コイル16のインダクタンスに対して並列に接続された状態を示している。この場合においても、複数個のチップコンデンサ183の静電容量Cf〜Ciは、互いに等しいものであっても良いし、異なるものであっても良い。
以上のようにして、この第1の実施形態では、第1の筒状体5Aの中空部内に、芯体11と、感圧センサを構成するインダクタンス可変のコイル16(フェライトチップ13とOリング14とフェライトコア15を含む)と、連結部材17とが中心軸方向に順次に並べられて収納されており、連結部材17の端面には、コイル16の一端16a及び他端16bと接続されているリング状電極導体172c、端部173cが、接続端子として外部から接触可能な状態で形成されている。したがって、芯体11に圧力が印加されたときには、この接続端子には、印加された圧力に応じたコイル16のインダクタンスが現れるものとなる。このため、この接続端子に得られる電気的特性(インダクタンス)を測定することで、芯体11に印加される圧力に対するインダクタンスの変化特性を知ることができ、電子インクカートリッジ10が、所望の筆圧の検知特性を有しているか否かの確認をすることができる。
また、この実施形態では、このようにコイル16の一端16a及び他端16bに接続されている連結部材17に設けられた接続端子が、第1の筒状体5Aから露呈するように構成されているので、所望の静電容量値が設定されたコンデンサ回路18を構成する第1のコンデンサ回路181の一方の電極及び他方の電極を、当該接続端子に接続するように第1のコンデンサ回路181を連結部材17に結合するだけで、位置指示器を構成することができ、構成が非常に簡単になる。
さらに、この実施形態においては、芯体11、インダクタンス可変のコイル16、連結部材17、及びコンデンサ回路18の全てが、電子インクカートリッジ10内に挿入されていると共に、電子インクカートリッジ10は、共振周波数の調整が既になされた状態で組み上げられている。したがって、単に、電子インクカートリッジ10を、位置指示器1の筐体内に収納するだけで、位置指示器1を構成することができる。このため、電子インクカートリッジ10を、いわゆるボールペンなどの替え芯のように扱うことができる位置指示器1を実現することができる。
また、上述したように、この実施形態では、電子インクカートリッジ10の筒状体5内には、その中心軸方向に、全ての構成部品を並べて順次に配置して、電気的に接続すると共に、機構的な結合も行うように構成したので、上述の例のような例えば2.5mmの径というような細型の電子インクカートリッジの構成とすることも容易に実現できるという効果もある。なお、第2のコンデンサ回路182は、位置指示器1にプッシュスイッチ7が配設された際に必要とされるものであり、位置指示器1にプッシュスイッチ7が配設されない場合には、第1のコンデンサ回路181に連結させるとともに、端子部材1826の他端1826bと、端子部材1825の他端1825bとの間を短絡して使用することができる。あるいは、コンデンサ回路18は、第2のコンデンサ回路182を連結せずに、第1のコンデンサ回路181単体で構成することもできる。
[位置指示器の筐体への電子インクカートリッジの収納]
この実施形態の電子インクカートリッジ10は、図2(A)に示すように、位置指示器1の筐体2の下部ハーフ3に対して装着されて、筐体2内に収納される。筐体2の下部ハーフ3には、プッシュスイッチ7が、電子インクカートリッジ10を挿入するに先立ち、以下に説明するように設けられている。
すなわち、下部ハーフ3の周側面の一部には、例えば円形または楕円形の貫通孔3dが設けられており、この貫通孔3dに、プッシュスイッチ7を押下するための押圧操作子8が配される。押圧操作子8は、例えば弾性ゴムなどの弾性体からなる。
プッシュスイッチ7は、図2(B)に示すように、下部ハーフ3の内径にその外径がほぼ等しいリング状部材6の、周方向の一部が切り欠かれた部分6a内に配置される。このリング状部材6は、電子インクカートリッジ10の筒状体5の外径よりも大きい径の貫通孔6bを備えている。
ここで、この実施形態では、下部ハーフ3の中空部3bの開口3a側の径が、他の部分よりも若干小さくされることで段部3eが形成されている。リング状部材6は、この段部3eと係合することで、その中心軸方向の位置が規制され、例えば接着材により下部ハーフ3に固定される。これにより、リング状部材6は、プッシュスイッチ7の被押下面7a(図2(B)参照)が、押下操作子8に対応する中心軸方向位置となるような位置とされている。
この例の場合、プッシュスイッチ7からは、図2(B)に示すように、その電気的接続のためのフレキシブル配線基板からなるリード部(以下、フレキシブルリード部という)9が導出されている。そして、下部ハーフ3の電子インクカートリッジ10のキャップ19と螺合する周部の一部には、図2(A)のA−A断面図である図2(C)に示すように、キャップ19との間で空隙を生じるようにする案内溝3fが形成されている。プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9は、図2(A)及び図2(C)に示すように、この案内溝3fを通じて、下部ハーフ3の外部に導出可能とされる。
以上のようにして、この第1の実施形態においては、プッシュスイッチ7が内部に取り付けられた筐体2の下部ハーフ3の中心軸方向に、電子インクカートリッジ10を、芯体11側とは反対の側から挿入する。この場合に、図2(A)に示すように、電子インクカートリッジ10は、筒状体5から延出されている芯体11が、筐体2の下部ハーフ3の開口3aから外部に延出されるように、リング状部材6の貫通孔6bを通して、下部ハーフ3の中心軸方向に挿入されている。
下部ハーフ3の開口3aは、芯体11の径よりは大きいが、電子インクカートリッジ10の筒状体5の径よりも小さいものとされている。したがって、電子インクカートリッジ10は、その筒状体5の芯体11側が下部ハーフ3の開口3a側の内壁の端部と係合して、その中心軸方向の位置が規制される。
そして、この電子インクカートリッジ10を下部ハーフ3に挿入するに当たっては、プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9を、案内溝3fを通じて、電子インクカートリッジ10のキャップ19側に導出しておくようにする。そして、電子インクカートリッジ10のキャップ19のネジ部19bを、下部ハーフ3のネジ部3cにねじ込むことで、電子インクカートリッジ10を下部ハーフ3に固定する。
その後、プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9の先端を、電子インクカートリッジ10のキャップ19に形成されているコネクタ194に嵌合させることで、電気的に接続する。その後、下部ハーフ3に対して上部ハーフ4を圧入嵌合することで、この実施形態の位置指示器1が完成となる。
以上のように、この実施形態に位置指示器1は、電子インクカートリッジ10を、下部ハーフ3に対して着脱自在に取り付け可能であり、前述したように、電子インクカートリッジ10を、容易に交換可能となる。そして、プッシュスイッチ7は、電子インクカートリッジ10を下部ハーフ3に取り付けた後に接続することができ、その接続も容易であるという効果もある。
[指示位置検出及び筆圧検出の回路構成]
この実施形態の位置指示器1において、芯体11に押圧力(筆圧)が印加されると、フェライトチップ13が、Oリング14を介してフェライトコア15側に偏倚して近づくことでコイル16のインダクタンスが変化し、そのインダクタンスの変化に応じて共振周波数が変化する。すなわち、共振回路のコイル16から送信される電磁誘導信号の共振周波数(位相)が変化する。したがって、この例の位置指示器1を用いることで、以下に説明するような図7に示す回路構成を有する位置検出装置において、位置指示器1の指示位置と、位置指示器1における筆圧の検出が可能となる。
上述した位置指示器1を用いて指示位置の検出および筆圧の検出を行う位置検出装置200における回路構成例について、図7を参照して説明する。図7は、位置指示器1及び位置検出装置200の回路構成例を示すブロック図である。
位置指示器1は、上述したように、プッシュスイッチ7のオン・オフに応じて、コイル16に並列に接続されるコンデンサ回路18の静電容量値が変更されることで、共振回路の共振周波数が変化する。位置検出装置200では、位置指示器1の共振回路の共振周波数の周波数偏移(位相)を検出することで、後述するような筆圧の検出やプッシュスイッチ7の操作状況を検出するようにする。
位置検出装置200には、X軸方向ループコイル群211Xと、Y軸方向ループコイル群212Yとが積層されて位置検出コイルが形成されている。各ループコイル群211X,212Yは、例えば、それぞれn,m本の矩形のループコイルからなっている。各ループコイル群211X,212Yを構成する各ループコイルは、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
また、位置検出装置200には、X軸方向ループコイル群211X及びY軸方向ループコイル群212Yが接続される選択回路213が設けられている。この選択回路213は、2つのループコイル群211X,212Yのうちの一のループコイルを順次選択する。
さらに、位置検出装置200には、発振器221と、電流ドライバ222と、切り替え接続回路223と、受信アンプ224と、検波器225と、低域フィルタ226と、サンプルホールド回路227と、A/D変換回路228と、同期検波器229と、低域フィルタ230と、サンプルホールド回路231と、A/D変換回路232と、処理制御部233とが設けられている。処理制御部233は、例えばマイクロコンピュータにより構成されている。
発振器221は、周波数f0の交流信号を発生する。そして、発振器221で発生した交流信号は電流ドライバ222と同期検波器229に供給される。電流ドライバ222は、発振器221から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路223へ送出する。切り替え接続回路223は、処理制御部233からの制御により、選択回路213によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ222が、受信側端子Rには受信アンプ224が、それぞれ接続されている。
選択回路213により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路213及び切り替え接続回路223を介して受信アンプ224に送られる。受信アンプ224は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器225及び同期検波器229へ送出する。
検波器225は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルタ226へ送出する。低域フィルタ226は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器225の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路227へ送出する。サンプルホールド回路227は、低域フィルタ226の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路228へ送出する。A/D変換回路228は、サンプルホールド回路227のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理制御部233に出力する。
一方、同期検波器229は、受信アンプ224の出力信号を発振器221からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルタ230に送出する。この低域フィルタ230は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器229の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路231に送出する。このサンプルホールド回路231は、低域フィルタ230の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路232へ送出する。A/D変換回路232は、サンプルホールド回路231のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理制御部233に出力する。
処理制御部233は、位置検出装置200の各部を制御する。すなわち、処理制御部233は、選択回路213におけるループコイルの選択、切り替え接続回路223の切り替え、サンプルホールド回路227、231のタイミングを制御する。処理制御部233は、A/D変換回路228、232からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群211X及びY軸方向ループコイル群212Yから一定の送信継続時間をもって電磁誘導信号を送信させる。
X軸方向ループコイル群211X及びY軸方向ループコイル群212Yの各ループコイルには、位置指示器1から送信される電磁誘導信号によって誘導電圧が発生する。処理制御部233は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて位置指示器1のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理制御部233は、送信した電磁誘導信号と受信した電磁誘導信号との位相差に応じた信号のレベルに基づいて、プッシュスイッチ7が押下されたか否かを検出する。
このようにして、位置検出装置200では、接近した位置指示器1の位置を処理制御部233で検出することができる。しかも、位置検出装置200の処理制御部233は、受信した信号の位相(周波数偏移)を検出することにより、位置指示器1の芯体に印加された筆圧を検出することができると共に、位置指示器1においてプッシュスイッチ7がオンとされたか否かを検出することができる。
[第1の実施形態の変形例]
なお、上述した第1の実施形態の電子インクカートリッジ10では、筒状体5を第1の筒状体5Aと第2の筒状体5Bとを連結する構造としたが、筒状体5は、第1の筒状体5Aのみとして、芯体11と、感圧センサ(コイルバネ12、フェライトチップ13、Oリング14、コイル16が巻回されたフェライトコア15)及び連結部材17を筒状体5に収納する構造とするようにしても良い。
図8は、第1の実施形態の変形例の電子インクカートリッジ10Aの構成例を説明するための図であり、上述した第1の実施形態の電子インクカートリッジ10と同一部分には同一参照符号を付してある。図8に示すように、この例の電子インクカートリッジ10Aにおいては、筒状体5A´は、連結部材17が固定される側の開口5Ab´の近傍の構成が、上述した第1の実施形態の第1の筒状体5Aと異なる。
すなわち、この例では、筒状体5A´には、開口5Ab´の近傍に第2の筒状体5Bと螺合するネジ部は形成されない。その代わりに、筒状体5A´は、第1の筒状体5Aよりも中心軸方向の長さが若干長くされ、連結部材17のコンデンサ回路18´との接続端子が形成されている端面と、筒状体5A´の開口5Ab´の端面との間に凹部5AHを構成する。そして、この凹部5AHの内壁面には、リング状突部5Afを形成するようにする。
一方、コンデンサ回路18´の第1のコンデンサ回路181´の周側面には、連結部材17との連結側の端面の近傍において、凹部5AHのリング状突部5Afと嵌合するリング状凹溝181aが形成されている。
そして、この変形例においては、筒状体5A´に、芯体11、コイルバネ12、フェライトチップ13、Oリング14、コイル16が巻回されたフェライトコア15及び連結部材17を挿入し、連結部材17のリング状凹溝17a及び17bを、リング状突部5Ad及び5Aeと嵌合させることで、連結部材17を、筒状体5A´に対して固定する。
その後、コンデンサ回路18´の第1のコンデンサ回路181´を、凹部5AH内に挿入して、端子部材1815の棒状の一端1815aを、連結部材17の凹穴17d内の端子部材173の挿入孔173dに挿入嵌合させて端部173cに接続すると共に端子部材1814の一端1814aを連結部材17のリング状電極導体172cに衝合させるようにして接続する。そして、リング状凹溝181aをリング状突部5Afと嵌合させて、係止させる。
そして、この例では、この状態で、図2(A)に示したのと同様に、位置指示器1の筐体2の下部ハーフ3内に収納し、その後、キャップ19を下部ハーフ3のネジ部3cにねじ込むことで、電子インクカートリッジ10Aを位置指示器1内に固定して収容することができる。なお、この場合に、キャップ19の、コンデンサ回路18と対向する端面側に、コンデンサ回路18の第2のコンデンサ回路182の中心軸方向の一部が嵌合される凹部を形成して、その凹部の底部に、上述した第1の実施形態におけるキャップ19の端子部材192及び193の一端192a及び193aを形成しておくようにすると良い。
なお、以上の変形例は、位置指示器1がプッシュスイッチ(サイドスイッチ)7を備える場合であるが、プッシュスイッチ7を備えない場合には、キャップ19には、プッシュスイッチ7との接続用のコネクタは不要となる。その場合には、キャップ19には、第1のコンデンサ回路181と第2のコンデンサ回路182とを並列に接続するようにする接続端子を設けると良い。すなわち、第2のコンデンサ回路182を第1のコンデンサ回路181とともにコンデンサ回路18として使用する場合には、図6に示す端子部材1825の一端1825aと端子部材1826の他端1826bを導通させる接続端子をキャップ19に設ける。
なお、プッシュスイッチ7を有しない位置指示器の構成の場合には、コンデンサ回路18は、第1のコンデンサ回路181単独で、あるいは、第1のコンデンサ回路181とこの第1のコンデンサ回路181に並列接続された第2のコンデンサ回路182とによって構成しても良い。そして、その場合には、キャップ19を設けずに、コンデンサ回路18の端部を、位置指示器1の筐体2の内部に形成された壁部に突き当てて、電子インクカートリッジが、位置指示器1内で、軸芯方向に移動しないようにしても良い。なお、その場合に、コンデンサ回路18の中心軸方向の端部に保護用キャップを被せて、位置指示器1の筐体2の内部に形成された壁部に突き当てるようにしても、勿論良い。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態の電子インクカートリッジが備える感圧センサは、第1の磁性体としてのフェライトコアの位置は固定とし、第2の磁性体としてのフェライトチップを芯体に印加される押圧力に応じて中心軸方向に偏倚させて、フェライトコアとフェライトチップとの間の距離を変化させることで、フェライトコアに巻回されているコイルのインダクタンスを、押圧力に応じて変化させるようにした。
以下に説明する第2の実施形態の電子インクカートリッジが備える感圧センサは、第1の磁性体としてのフェライトコアを、芯体に印加される押圧力に応じて中心軸方向に偏倚させることで、フェライトコアとフェライトチップとの間の距離を変化させ、フェライトコアに巻回されているコイルのインダクタンスを、押圧力に応じて変化させるようにする。
また、この第2の実施形態においては、位置指示器に情報送信回路を設けることにより、電子インクカートリッジや位置指示器に関連した情報として、例えば電子インクカートリッジや位置指示器の識別情報(ID)を、位置検出装置に送信するようにする。識別情報(ID)は、電子インクカートリッジに関連した情報の例であり、この識別情報としては、電子インクカートリッジあるいは位置指示器に関する製造者、製品番号、製造日付、製造ロット番号、電磁誘導方式あるいは静電容量方式などの位置検出方式、インダクタンス可変あるいは静電容量可変に基づく筆圧検出方式、などを特定するための情報が、メモリ、レジスタなどの半導体素子内に登録される。
以下に説明する第2の実施形態の位置指示器は、電子インクカートリッジの識別情報を、位置検出装置に送信するようにした場合である。このため、この第2の実施形態では、位置指示器は、情報送信回路としてのID送信回路300を備える。そして、この第2の実施形態では、ID送信回路300は、円柱形状のIDパッケージ320内に収納し、そのIDパッケージ320を筒状体内に収納するようにする。
図9は、この第2の実施形態の位置指示器の主要部である電子インクカートリッジ20の構成例を示す図である。図9(A)は、電子インクカートリッジ20の内部構成を説明するための断面図である。この例においても、説明の便宜上、電子インクカートリッジ20の筒状体50の内部の一部の構成部品については、図9(A)では断面とせず、後述するように、別途、断面図を用意した。また、図9(B)は、電子インクカートリッジ20の全体の構成を説明するための分解斜視図である。この第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成部分については、同一の参照符号を付与するものとする。
なお、この第2の実施形態の位置指示器の筐体の構成、及びプッシュスイッチ7の当該筐体への取り付け構造は、第1の実施形態と同様とされるので、その図示および説明は省略する。
図9(A),(B)に示すように、電子インクカートリッジ20においても、電磁誘導方式の位置指示器を構成する主要な部品は、筒状体50内に収納されるが、この第2の実施形態では、筒状体50は、分割されておらず、単体の構成とされる。この第2の実施形態の筒状体50も、外径が例えば2.5mm、内径が例えば1.5mm〜2mmとされた細型形状とされている。また、筒状体50は、非磁性体金属、樹脂材、ガラス、セラミックなどの非磁性体、例えばSUS305,SUS310Sなどの素材で構成されている。
筒状体50の中心軸方向の一端側には、芯体21の先端を延出するための開口50aが設けられている。この開口50aの径は、筒状体50の内径よりも小さい。また、筒状体50の中心軸方向の他端側は、その内径の全体が開口50bとされている。そして、この開口50b側には、前述の第1の実施形態における第2の筒状体5Bと同様に、中心軸方向に沿う溝50fが、周方向の位置決め用として形成されている。
そして、図9(A)及び図9(B)に示すように、筒状体50内には、開口50a側から見て、コイルバネ22、芯体21、コイル24が巻回された第1の磁性体の例としてのフェライトコア23、Oリング25、第2の磁性体の例としてのフェライトチップ26、及び連結部材27、コンデンサ回路28、IDパッケージ320の順に、それら各部品の中心軸方向が筒状体50の中心軸方向となるような状態で、順次に並べられて収納される。そして、筒状体50の開口50bに、キャップ19が挿入されて、筒状体50の開口50bが閉塞される。
なお、この第2の実施形態では、第1の実施形態の場合と異なり、筒状体50の中心軸方向の所定位置に連結部材27が収納された時点で、この連結部材27の側周面に対応する筒状体50の側周面位置50c,50dを絞ることにより筒状体50の内周面に突部を形成することで、筒状体50に押圧部材27を圧接挟持させて固定させ、連結部材27が中心軸方向に移動しないように位置規制させる。
また、筒状体50の他端側の開口50b近傍の内壁面には、非磁性体例えば樹脂からなるキャップ19の径小部195の外周に形成されているリング状溝部19aと嵌合するリング状突部50eが、例えば筒状体50が当該位置で絞られることで形成されている。したがって、キャップ19を筒状体50に挿入したときには、キャップ19の径小部195の外周に形成されたリング状溝部19aと筒状体50の内壁面に形成されたリング状突部50eが嵌合することによりキャップ19が圧接挟持されて、キャップ19が筒状体50の開口50bから離脱しないようにされる。
筒状体50の内部に収納される各部の構成及び電子インクカートリッジ20の組立、更に共振周波数の調整について、更に説明する。
この第2の実施形態における芯体21は、例えば樹脂で構成され、図9(B)に示すように、筒状体50の開口50aから延出される棒形状を有する。そして、この第2の実施形態においては、コイル24が巻回されているフェライトコア23の芯体21側の中心軸方向の端面のほぼ中央に、芯体21が嵌合する凹部23aが形成されている。そして、芯体21は、その開口50aから延出される側とは反対側21aがフェライトコア23の凹部23aに圧入嵌合されて、フェライトコア23に結合される。この実施形態では、芯体21は、フェライトコア23に対して挿脱可能とされており、したがって、電子インクカートリッジ20から挿脱可能とされている。
フェライトコア23の芯体21側とは中心軸方向に反対側の端面のほぼ中央には、位置合わせ用の凹部23bが形成されている。このフェライトコア23の凹部23bには、図9(A)に示すように、例えばゴムなどの弾性体からなるOリング25及びフェライトチップ26を介して、連結部材27の端面から形成されている突部27aが挿入される。フェライトチップ26には、この例では、連結部材27の突部27aが挿通される貫通孔26aが形成されている。連結部材27の突部27aの中心軸方向の長さは、フェライトコア23の凹部23bに、Oリング25及びフェライトチップ26を介して挿入される長さであって、且つ、フェライトコア23が、芯体21に印加される押圧力に応じて、中心軸方向に、連結部材27の方に偏倚可能となる長さとされる。
図10は、連結部材27の構成例を示す図である。図10(A)は、連結部材27を、フェライトコア23の端面と対向する側から見た図、図10(B)は、図10(A)のD−D断面図である。また、図10(C)は、連結部材27を、コンデンサ回路28と連結する側から見た図である。
第1の実施形態における連結部材17と同様に、連結部材27は、図10(A),(B)に示すように、円柱状の樹脂部材からなる本体部271に、コイル24の一端24a及び他端24bと、コンデンサ回路28の一端及び他端とのそれぞれの電気的な接続をするための、弾性を有する端子部材272,273をインサートして成型したものである。そして、本体部271のフェライトコア23側の端面の中央に、位置決め用の突部27aが形成されている。この例では、突部27aは、断面が円形の棒状とされている。
そして、図10(A),(B)に示すように、連結部材27の本体部271の周側面の、この例では、互いに180度角間隔だけ離れた位置には、円柱の中心軸方向に沿う方向に凹溝274,275が形成されている。この凹溝274、275内には、端子部材272,273の一方の端部272a、273aが、周方向に直交する方向に植立されている。そして、当該植立されている状態の端子部材272,273の一方の端部272a、273aには、図10(A)に示すように、V字型切れ込み272b,273bが形成されている。図10(B)に示すように、コイル24の一端24aを、端子部材272の一方の端部272aのV字型切れ込み272bに圧入して、互いに電気的に接続をすると共に、コイル24の他端24bを、端子部材273の一方の端部273aのV字型切れ込み273bに圧入して、互いに電気的に接続するようにする。
連結部材27の端子部材272の他方の端部は、図10(B)及び(C)に示すように、コンデンサ回路28の端面と対向する端面において、リング状の電極導体272cとして形成されている。
また、連結部材27の端子部材273の他方の端部は、端子部材272の他端部のリング状電極導体272cとは非接続の状態で、当該リング状電極導体272cの内側の円形導体273cとされる。以上のように構成された端子部材272の他方の端部のリング状電極導体272c及び端子部材273の他方の端部の円形導体273cは、後述するように、コンデンサ回路28の一方及び他方の端子と接続される。
この場合に、コイル24の一端24a及び他端24bと、連結部材27の端子部材272の一方の端部272aのV字型切れ込み272b及び、端子部材273の一方の端部273aのV字型切れ込み273bとの接続は、連結部材27の突部27aを、フェライトチップ26の貫通孔26a及びOリング25の貫通孔を通して、フェライトコア23の凹部23bに挿入した状態で行われる。したがって、コイル24が巻回されているフェライトコア23と連結部材27とが、Oリング25及びフェライトチップ26を介して連結されたものは、一つのユニット化部品として取り扱うことができる。
なお、コイル24の一端24a及び他端24bは、連結部材27の凹溝274,275内で、端子部材272,273の一方の端部272a,273aとそれぞれ接続されており、コイル24の一端24a及び他端24bは、筒状体50の内壁面と接触することはない。
そして、この第2の実施形態では、コイルバネ22が予め挿入されている筒状体50の中空部内に、開口50a側を先端として開口50b側から、コイル24が巻回されたフェライトコア23の他端面にOリング25及びフェライトチップ26を介して連結部材27が対向するとともに連結部材27の端面から形成されている突部27aがフェライトコア23の凹部23bに挿入された状態のユニット化部品群が、挿入される。芯体21は、その先端側が筒状体50の開口50aから延出されるようにされた状態で、フェライトコア23に圧入嵌合されている。芯体21は、予めフェライトコア23に圧入嵌合させて、筒状体50内に収納するようにしても良いし、フェライトコア23などを筒状体50内に収納した後に、後から、筒状体50の開口50aを貫通させて、フェライトコア23に圧入嵌合させるようにしても良い。
この第2の実施形態では、連結部材27がコイルバネ22の偏倚力に抗して若干筒状体50の中空部内に押圧された状態となるような筒状体50内の中心軸方向の所定位置に、連結部材27が挿入されたら、所定の治具により筒状体50の前述した位置50c,50dにおいてかしめる(絞る)ことにより、連結部材27を筒状体50に固定して、連結部材27が筒状体50内で中心軸方向に移動しないようにする。
この状態では、筒状体50の中空部内の芯体21側に配置されているコイルバネ22により、芯体21が結合されたフェライトコア23、Oリング25、フェライトチップ26は、常に、連結部材27側に付勢され、位置指示器を構成する各部材のガタツキが防止される。
このとき、筒状体50内の連結部材27のコンデンサ回路28側の端面には、接続端子としてのリング状電極導体272c及び円形導体273cが、筒状体50内で露呈する状態となっている。
このため、この第2の実施形態では、この状態でコイル24のインダクタンスを測定するために、連結部材27のリング状電極導体272c及び円形導体273cとそれぞれ電気的に接続する電極端子を備えた測定治具が、筒状体50内に挿入される。この測定治具はインダクタンス測定装置に接続されており、芯体21に押圧力が印加されていない状態におけるコイル24のインダクタンスが測定される。
こうしてコイル24のインダクタンスが測定されたら、上述した第1の実施形態と同様にして、そのインダクタンスのコイル24と並列共振回路を構成して所望の共振周波数となるような静電容量が算出されて、その算出した静電容量値に設定されたコンデンサ回路28が、筒状体50に収納される。
コンデンサ回路28は、第1のコンデンサ回路281と、第2のコンデンサ回路282とから構成されるが、第1の実施形態における第1のコンデンサ回路181と第2のコンデンサ回路182とからなるコンデンサ回路18とほぼ同様の構成を備える。ただし、連結部材27の端面には、図10(C)に示すように、リング状電極導体272c及び円形導体273cが形成されているので、コンデンサ回路28を構成する第1のコンデンサ回路281は、図3に示した第1のコンデンサ回路181の連結部材17の端面に形成された端子部材の形状とは異なった形状の端子部材を備えている点において相違している。
すなわち、図10(D)に示すように、この第1のコンデンサ回路281の連結部材27と対向するホルダー1810の端面に設けられた、この第1のコンデンサ回路281の端子部材1814の一端1814aは、連結部材27のリング状電極導体272cの幅に対応した形状を備えるものの、端子部材1815の一端1815a´は円形形状を有して連結部材27の円形導体273cに弾性衝合するようにされている。第1のコンデンサ回路281のその他の構成は、第1のコンデンサ回路181と同様である。
第2のコンデンサ回路282のIDパッケージ320と対向する端面には、この例では、後述するIDパッケージ320の端面に形成されている嵌合突部3251及び3252と嵌合する嵌合凹穴2821及び2822が形成されている(図9(B)参照)。第2のコンデンサ回路282のその他の構成は、第1の実施形態のコンデンサ回路182と同様とされる。
次に、図11は、IDパッケージ320の構成例を示すもので、図11(A)は、このIDパッケージ320の、第2のコンデンサ回路282側の端面を示す図である。また、図11(B)は、図11(A)のE−E断面図である。また、図11(C)は、IDパッケージ320の、キャップ19側の端面を示す図である。
IDパッケージ320は、図11(B)に示すように、円柱状の樹脂からなるパッケージ321内に、ID送信回路300を収納すると共に、3個の端子部材322、323及び324を有する。ID送信回路300の一端は、電気的に端子部材322に接続され、ID送信回路300の他端は、電気的に端子部材324に接続されている。
そして、図11(A)に示すように、IDパッケージ320の第2のコンデンサ回路282側の端面には、端子部材322の一端322aが、第2のコンデンサ回路282のIDパッケージ320側の端面に形成されている端子部材1824の他端1824bと衝合するように露呈されていると共に、端子部材323の一端323aが、第2のコンデンサ回路282のIDパッケージ320側の端面に形成されている端子部材1826の他端1826bと衝合するように露呈されている。さらに、端子部材324の一端324aが第2のコンデンサ回路282のIDパッケージ320側の端面に形成されている端子部材1825の他端1825bと衝合するように露呈されている。
また、図11(C)に示すように、IDパッケージ320のキャップ19側の端面には、端子部材323の他端323b及び端子部材324の他端324bのそれぞれが露呈されている。端子部材322は、IDパッケージ320内でID送信回路300の一端に接続されるだけで、その他端は、IDパッケージ320のキャップ19側の端面には導出されることなく、IDパッケージ320内とされている。
また、IDパッケージ320の周部には、筒状体50の開口50b側に形成されている軸芯方向の溝50fに係合する中心軸方向に沿う突部320aが形成されている。そして、この例では、第2のコンデンサ回路282のIDパッケージ320側の端面には、前述した第1のコンデンサ回路181の端面に形成されている嵌合凹穴1816,1817(図4参照)と同様の、嵌合凹穴2821及び2822が形成されている。
また、図11(A),(B)に示すように、IDパッケージ320の第2のコンデンサ回路282側の端面には、第2のコンデンサ回路282のIDパッケージ320側の端面に形成されている嵌合凹穴2821及び2822と嵌合する嵌合突部3251及び3252が形成されている。これら嵌合突部3251,3252及び嵌合凹穴2821,2822は、上述した第1のコンデンサ回路181と、第2のコンデンサ回路182との結合のための嵌合突部及び嵌合凹穴と同様の構成となっており、IDパッケージ320を、その嵌合突部3251及び3252を、第2のコンデンサ回路282の嵌合凹穴2821及び2822と嵌合するようにして、第2のコンデンサ回路282と連結する。
この場合に、第2のコンデンサ回路282の突部182a及びIDパッケージ320の突部320aを、筒状体50の溝50fに係合させることにより、周方向の位置決めがなされる。これにより、第2のコンデンサ回路282の端面の端子部材1824の他端1824b、端子部材1826の他端1826b及び端子部材1825の他端1825bが、IDパッケージ320の端子部材322の一端322a、端子部材323の一端323a及び端子部材324の一端324aのそれぞれと衝合して電気的に接続される。
その後、キャップ19の径小部195を筒状体50に挿入して、筒状体50のリング状突部50eを、径小部195のリング状溝部19aに嵌合することにより、キャップ19を筒状体50に固定する。すると、IDパッケージ320のキャップ19側の端面の端子部材324の他端324b及び端子部材323の他端323bと、キャップ19の端子部材192の一端192a及び端子部材193の一端193aとが接続される。この場合に、キャップ19の径小部195の中心軸方向の長さはIDパッケージ320の中心軸方向の厚みに応じて調整されている。
以上のようにして、電子インクカートリッジ20が組み立てられる。この電子インクカートリッジ20においては、芯体21に対して中心軸方向の押圧力が印加されたときには、フェライトコア23が、Oリング25を介してフェライトチップ26側に偏倚することで、フェライトコア23とフェライトチップ26との距離が変わり、コイル24のインダクタンスが変化する。そして、第1の実施形態と同様にして、コイル24のインダクタンスの変化に応じて、位置指示器の共振回路のコイル24から送信される電磁誘導信号の共振周波数(位相)が変化する。これにより、位置指示器の指示位置と筆圧の検出が可能となる。
そして、この電子インクカートリッジ20は、第1の実施形態の電子インクカートリッジ10と同様にして、筐体2に収納される。
この第2の実施形態の位置指示器は、筆圧検出のためのコイルのインダクタンスを可変とするための構成が第1の実施形態と異なるだけで、上述した第1の実施形態と全く同様の作用効果が得られる。
また、この第2の実施形態の電子インクカートリッジ20においては、以上のようにして、IDパッケージ320が筒状体50内に収納されることにより、コイル16の両端間にID送信回路300が並列に接続される状態になる。なお、IDパッケージ320は筒状体50から露出するように連結させることもできる。
[ID送信回路300を用いた情報送信]
図12は、電子インクカートリッジや位置指示器の識別情報(ID)を、位置検出装置に送信するように構成した場合の位置指示器1Bと、位置検出装置200Bとの回路構成を示す図である。図12では、電子インクカートリッジ20は、インダクタンスが筆圧に応じて可変となるコイル24に対して、第1のコンデンサ回路281が並列に接続されると共に、更に、第2のコンデンサ回路282とプッシュスイッチ7との直列回路が並列に接続された並列共振回路20Rとして示してある。プッシュスイッチ7は、図2に示したように、電子インクカートリッジ10のキャップ19のコネクタ194に接続される。
位置指示器1BのID送信回路300は、図12に示すように、ID発生制御回路としてのIC(Integrated Circuit;集積回路)301を備える。このIC301は、並列共振回路20Rにて位置検出装置200Bから電磁結合により受信した交流信号を、ダイオード302及びコンデンサ303からなる整流回路(電源供給回路)304にて整流して得られる電源電圧Vccにより動作するように構成されている。そして、この例のID送信回路300では、並列共振回路20Rの接続端(1824b)と電源供給回路304との間には、通常は開(ノーマルオープン)の状態とされるスイッチ回路305が設けられている。このスイッチ回路305は、例えば半導体スイッチ回路で構成され、開の状態では、高インピーダンスの状態となっている。
このスイッチ回路305は、スイッチ制御回路306からのスイッチ制御信号によりオンとなるように制御される。スイッチ制御回路306は、並列共振回路20Rにて位置検出装置200Bから電磁結合により受信した交流信号からスイッチ制御信号を生成する。
また、ID送信回路300においては、コイル24と、コンデンサ回路28(281、282)とにより構成される並列共振回路20Rに並列に、スイッチ回路307が接続されている。このスイッチ回路307は、IC301によりオン・オフ制御されるように構成されている。
IC301は、この例では、電子インクカートリッジ20または位置指示器1Bの製造者番号及び製品番号を記憶しており、それらの製造者番号及び製品番号を含むID信号を、スイッチ回路307をオン・オフ制御することで、例えば8ビットのデジタル信号として位置検出装置200Bに送信する。
一方、この図12の例の位置検出装置200Bは、図7に示した位置検出装置200の構成において、ゲインが固定の電流ドライバ222の代わりに、外部からのゲイン制御信号によりゲインの可変調整が可能な電流ドライバ222Bを設けると共に、処理制御部233の代わりに、処理制御部233Bを設ける構成とされる。その他の各部は、図7に示した位置検出装置200と全く同様である。
電流ドライバ222Bは、処理制御部233Bからのゲイン制御信号を受けて、送信信号の信号レベルを変更可能に構成されている。
また、処理制御部233Bは、例えばマイクロコンピュータにより構成されており、前述の処理制御部233と同様にして位置指示器1Bとの間での電磁誘導信号の送受により、位置指示器1Bにより指示された位置の検出、また、位置指示器1Bに印加された筆圧の検出を行うことに加え、送信信号レベル制御のための信号を電流ドライバ222Bに供給すると共に、送信信号を断続制御するためのオン・オフ制御信号をスイッチ回路307に供給する。また、位置指示器1BからのID信号の受信処理を行うようにする。処理制御部233Bは、後述するように、位置指示器1Bからの断続信号を、数ビット例えば8ビットのデジタル信号として検出して、ID信号を検出するようにする。
以下に、位置指示器1B及び位置検出装置200B間でのID信号の送受と、位置検出動作及び筆圧検出動作について説明する。図13は、位置指示器1BのIC301の処理動作を説明するためのフローチャートであり、後述するようにスイッチ回路305がオンとされて、IC301に、電源供給回路304から電源電圧Vccが供給されたときに、スタートから処理を開始する。
スイッチ回路305がオフで、電源供給回路304から電源電圧Vccが供給されていない状態ではIC301は動作を停止しており、このときには、並列共振回路20Rとの接続端、この例ではコンデンサ回路18の第2のコンデンサ回路182の端子部材1824の他端1824b及び端子部材1825の他端1825bから見たときは、ID送信回路300が高インピーダンスとなり、並列共振回路20Rとの接続端には実質的に何も接続されていない状態と等価となる。したがって、このときには、並列共振回路20Rに対して静電容量成分が並列に接続することはなく、並列共振回路20Rの共振周波数は、ID送信回路300によって影響を受けることはないように構成されている。なお、IC301には、位置検出装置200Bとの間での電磁誘導信号の授受のための同期信号として、コンデンサ308を介して、位置検出装置200Bから送信された電磁誘導信号が供給される。
図14は、位置検出装置200Bの処理制御部233Bの処理動作を説明するためのフローチャートであり、位置検出装置200Bに電源が投入されているときには、この図14の処理を繰り返し実行する。
すなわち、処理制御部233Bは、先ず、電流ドライバ222Bに、送信信号の信号レベルを大とするゲイン制御信号を供給する。これにより、発振器221からの周波数f0の交流信号は、電流ドライバ222Bにより大レベルとされ、選択回路213を介してループコイル群211X,212Yに供給される(図14のステップS21)。
位置指示器1Bにおいては、この位置検出装置200Bからの大レベルの交流信号による電磁誘導信号を並列共振回路20Rで受信する。このとき、位置検出装置200Bからの交流信号の信号レベルが大きいことに対応して、スイッチ制御回路306は、並列共振回路20Rが受信した交流信号から、スイッチ回路305をオンにするスイッチ制御信号を生成する。これにより、スイッチ回路305がオンになると、並列共振回路20Rが受信した交流信号を整流して生成された電源電圧Vccが、電源供給回路304からIC301に供給される。
IC301に電源電圧Vccが供給されるとIC301は動作を開始する。IC301は、電子インクカートリッジ20の製造者番号及び製品番号を含むID信号をデジタル信号として生成する。そのデジタル信号により、スイッチ回路307がオン・オフ制御された電磁誘導信号が位置指示器1Bから、位置検出装置200Bに送信される(図13のステップS11)。
すなわち、スイッチ回路307がオフであるときには、並列共振回路20Rは、位置検出装置200Bから送信された交流信号に対して共振動作を行って、電磁誘導信号を位置検出装置200Bに返送することができる。位置検出装置200Bのループコイルは、位置指示器1Bの並列共振回路20Rからの電磁誘導信号を受信する。これに対して、スイッチ回路307がオンであるときには、並列共振回路20Rは、位置検出装置1Bからの交流信号に対する共振動作が禁止された状態になり、このために、並列共振回路20Rから位置検出装置200Bに電磁誘導信号は返送されず、位置検出装置200Bのループコイルは、位置指示器1Bからの信号を受信しない。
この例では、位置検出装置200Bの処理制御部233Bは、位置指示器1Bからの受信信号の有無の検出を8回行うことにより、8ビットのデジタル信号を受信する。すなわち、処理制御部233Bは、ステップS21では、電流ドライバ222Bをゲイン制御して、送信信号の信号レベルを大きく設定して送出する状態にすると共に、位置指示器1Bからの8ビットのID信号を検出するため、座標検出の際と同様なタイミングで送受信を8回継続して行う。
一方、位置指示器1BのIC301は、送信するID信号に対応した8ビットのデジタル信号を生成し、その8ビットのデジタル信号により、位置検出装置200Bとの間の電磁誘導信号の送受信に同期してスイッチ回路307をオン・オフ制御する。例えば、ID信号のビットが「1」であるときには、スイッチ回路307はオンにされる。すると、前述したように、位置指示器1Bからは、電磁誘導信号が位置検出装置200Bに返送されない。一方、ID信号のビットが「0」であるときには、スイッチ回路307はオフにされる。すると、前述したように、位置指示器1Bからは、電磁誘導信号が位置検出装置200Bに返送される。
したがって、位置検出装置200Bの処理制御部233Bは、位置指示器1Bからの受信信号の有無の検出を8回行うことにより、8ビットのデジタル信号であるID信号を受信することができる。
位置検出装置200Bの処理制御部233Bは、以上のような処理をすることにより、位置指示器1BからのID信号を受信したか否か判別し(ステップS22)、ID信号を所定の時間内に受信できなかったと判別したときには、ステップS21に戻り、大レベルでの送信信号の送信を所定回数継続して行う。なお、ID信号の受信処理を所定回数継続して行ってもID信号が受信できなかったときには、位置指示器1BにはID信号を送出する機能が備わっていないものと判断してID信号の受信処理をスキップさせる。
そして、ステップS22で、ID信号を受信したと判別したときには、処理制御部233Bは、電流ドライバ222Bのゲインを下げて、送信信号の信号レベルをステップS21での大レベルよりも所定のレベル(通常使用レベル)まで下げて送信するようにする(ステップS23)。このときの所定のレベルは、位置指示器1Bによる指示位置の検出及び筆圧の検出が、位置指示器1Bの並列共振回路20Rとの間で可能であるが、位置指示器1Bのスイッチ制御回路306が、スイッチ回路305を、オンにすることができないレベルとされる。
こうして、位置検出装置200Bから送信された電磁誘導信号の信号レベルが所定レベル(通常使用状態)に設定されると、位置指示器1Bのスイッチ制御回路306はスイッチ回路305をオンとするスイッチ制御信号を出力しない。このため、電源供給回路304からの電源電圧VccのIC301への供給が停止し、IC301は、動作不能となるので、図13のフローチャートの処理は、終了となり、位置指示器1BはID信号の送信を停止する。
しかし、位置検出装置200Bから送信された電磁誘導信号の信号レベルが所定レベル(通常使用状態)に設定された状態は、図7の場合と全く同様の状態となるので、位置検出装置200Bの処理制御部233Bは、位置指示器1Bの並列共振回路20Rとの間での電磁誘導信号の送受により、上述した第1の実施形態で説明したようにして位置指示器1Bによる指示位置及び筆圧を検出する処理を行う(ステップS24)。
そして、処理制御部233Bは、位置指示器1Bの並列共振回路20Rからの電磁誘導信号の返送を監視し、当該電磁誘導信号の返送がなくなったために、位置指示器1Bを検出できない状態になったか否か判別する(ステップS25)。このステップS25で、位置指示器1Bを検出できていると判別したときには、処理制御部233Bは、処理をステップS24に戻す。また、ステップS25で、位置指示器1Bを検出できなくなったと判別したときには、処理制御部233Bは、処理をステップS21に戻して、電流ドライバ222Bに、送信信号の信号レベルを大レベルとするゲイン制御信号を供給することで、ループコイル群211X,212Yに供給する送信信号の信号レベルを大レベルにする。そして、処理制御部233Bは、このステップS21以降の処理を繰り返す。
上述した図11〜図14に示した第2の実施形態によれば、位置指示器1Bからは、電子インクカートリッジ20や位置指示器1Bを識別するためのID信号を、位置検出装置200Bに伝達することができる。したがって、位置検出装置200Bを備える電子機器においては、電子インクカートリッジ20や位置指示器1BのID信号を検出することで、それぞれの電子インクカートリッジや位置指示器に対応した所定の処理を割り当てることが可能となって、非常に便利である。また、電子インクカートリッジ20や位置指示器1BのID信号を検出することで、電子インクカートリッジ20や位置指示器1Bの故障などについての管理も容易になるというメリットがある。
しかも、位置検出装置200Bが動作を開始すると、位置指示器1Bに対して位置指示器1Bが備えるID信号の送信を促し、一旦ID信号が受信できるとID送信回路300を位置指示器1Bの共振回路から電気的に分離させるとともに、通常使用状態にて位置指示器1Bによる指示位置の検出及び筆圧の検出を行うように動作制御が行われる。また、位置指示器1Bに対して位置指示器1Bが備えるID信号の送信を所定回数促した結果、ID信号が受信できないと判別された場合にも、通常使用状態にて位置指示器1Bによる指示位置の検出及び筆圧の検出を行うように動作制御が行われる。したがって、ID信号の送信機能が備わっていない位置指示器1Bを使用する場合でも、特別な処理操作は不要であり、何らの違和感を持つことなく、操作することができる。
なお、上述の例では、位置指示器1Bのスイッチ制御回路306は、位置検出装置200Bからの大レベルの電磁誘導信号を並列共振回路20Rで受信したときに、当該受信した大レベルの電磁誘導信号に基づき、スイッチ回路305をオンにするスイッチ制御信号を生成し、これにより、IC301に電源電圧Vccを供給するようにした。
しかし、位置指示器1Bのスイッチ制御回路306がスイッチ回路305をオンにして、IC301に電源電圧Vccを供給するようにする方法は、このような方法に限られるものではない。
例えば、他の例としては、位置検出装置200Bから所定のデジタル信号を位置指示器1Bに送り、このデジタル信号を受け取ったスイッチ制御回路306にスイッチ回路305をオンにするスイッチ制御信号を生成させるように構成することもできる。
すなわち、例えば、位置検出装置200Bは、位置指示器1Bによる指示位置が検出できないなどによって、位置指示器1Bの存在を検出していないときには、前記所定のデジタル信号を、ループコイル群211X及び212Yを通じて電磁誘導信号として送出する。位置指示器1Bの並列共振回路20Rは、当該デジタル信号に対応した信号エンベロープを備えた電磁誘導信号を受信してスイッチ制御回路306に供給する。
スイッチ制御回路306は、この信号を例えば波形整形しエンベロープ検波することによりデジタル信号を抽出し、そのデジタル信号が、前もって設定されたデジタル信号と一致しているときに、スイッチ回路305をオンにするスイッチ制御信号を生成する。これにより、IC301に電源電圧Vccを供給するようにする。
IC301は、この電源電圧Vccの投入により動作を開始して、並列共振回路20Rを通じて、位置指示器1BのID信号を位置検出装置200Bに送信する。位置検出装置200Bは、ID信号を受け取ると、前記所定のデジタル信号の送出を停止して、ID信号検出モードから、位置指示器1Bによる指示位置を検出する通常使用モードに移行し、位置指示器1Bの指示位置の検出動作を行うようにする。位置指示器1Bのスイッチ制御回路306は、所定のデジタル信号を受信できなくなったときには、スイッチ回路305をオフとして、IC301への電源Vccの供給が停止される。これによって、ID信号の送出は停止されるとともに、ID送信回路300が高インピーダンスとなり、ID送信回路300は並列共振回路20Rとの接続端から電気的に分離された状態となる。
なお、位置検出装置200Bは、位置指示器1Bが検出できなくなったときには、再び、前記所定のデジタル信号の送出を開始するようにする。
なお、ID送信回路300は、コイル24に並列に接続されれば良いので、IDパッケージ320は、コンデンサ回路28とキャップ19との間に設ける場合のみに限られるものではない。例えば、ID送信回路300を連結部材27とコンデンサ回路28との間に設けることもできる。
さらには、キャップ19に、コネクタ194に加えて、第2のコンデンサ回路282の端子部材1824の他端1824bと、端子部材1825の他端1825bとに接続される別のコネクタを設けて、この別のコネクタにID送信回路300を備えるIDパッケージと同様の回路部を、筒状体50の外部に設けても良い。
[第3の実施形態]
以上説明した第1及び第2の実施形態では、感圧センサは、芯体に印加される圧力に応じて共振回路を構成するインダクタンスを変化させるようにした場合であった。これに対して、以下に説明する第3の実施形態では、感圧センサは、共振回路を構成するコンデンサの静電容量を、芯体に印加される圧力に応じて変化させるようにする場合である。そして、この第3の実施形態の位置指示器では、芯体に印加される押圧力に応じて静電容量が変化する感圧センサは、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術により製作される静電容量方式の圧力センシング半導体デバイスにより構成する。
図15は、この第3の実施形態の位置指示器の電子インクカートリッジ30の構成例を示す図である。図15(A)は、電子インクカートリッジ30の内部構成を説明するための断面図である。また、図15(B)は、電子インクカートリッジ30の全体の構成を説明するための分解斜視図である。なお、この例においても、説明の便宜上、電子インクカートリッジ30の筒状体5´の内部の一部の構成部品については、図15(A)では断面として示していない。
そして、この第3の実施形態の位置指示器の筐体の構成、及びプッシュスイッチ7の当該筐体への取り付け構造は、第1の実施形態と同様とされるので、その図示および説明は省略する。また、この第3の実施形態の説明においても、第1の実施形態と同じ構成要素については、同一参照符号を付与して、その説明は省略する。
筒状体5´は、第1の実施形態と同様に、中心軸方向に2分割された第1の筒状体5Cと第2の筒状体5Dとからなり、第1の筒状体5C及び第2の筒状体5Dは、それぞれ、外径が例えば2.5mm、内径が例えば1.5mm〜2mmとされた細型形状とされている。そして、筒状体5´は、非磁性体金属、樹脂材、ガラス、セラミックなどの非磁性体、この例では、例えば導電性を有するSUS305,SUS310Sなどの素材で構成されている。
第1の筒状体5Cの構成は、前述した第1の実施形態の第1の筒状体5Aと同様の構成を有し、その中心軸方向の一端側には、芯体31の先端を延出するための開口5Caが設けられ、その他端側の開口5Cbには、第2の筒状体5Dと螺合するためのネジ部5Ccが形成されている。また、第2の筒状体5Dの構成も、前述した第1の実施形態の第2の筒状体5Bと同様の構成を有し、その一端側に開口部には、第1の筒状体5Cと螺合するためのネジ部5Daが形成され、また、その他端側には、中心軸方向に形成された溝5Dbが形成されていると共に、キャップ19Cの径小部195に形成されているリング状溝部19aに嵌合するリング状突部5Dcが形成されている。
図15に示すように、この第3の実施形態の電子インクカートリッジ30においても、電磁誘導方式の位置指示器を構成する主要な部品は、筒状体5´内にすべて収納されるが、図15(A)及び図15(B)に示すように、第1の筒状体5C内には、開口5Ca側から見て、コイルバネ32、芯体31、圧力センシング半導体デバイス35、コイル33が巻回された磁性体の例としてのフェライトコア34、連結部材36までが、第2の筒状体5D内には、コンデンサ回路18Cが、それら各部品の中心軸方向が筒状体5C及び5Dの中心軸方向となるような状態で、順次に並べられて収納される。そして、第2の筒状体5Dの他端側の開口に、キャップ19Cが挿入されて、筒状体5´の開口が閉塞される。コンデンサ回路18Cは、第1のコンデンサ回路181Cと第2のコンデンサ回路182Cとからなり、第1の実施形態のコンデンサ回路18よりも細い径とされているだけで、その構成は、第1の実施形態のコンデンサ回路18と全く同様である。
なお、この第3の実施形態では、第1の筒状体5Cに、コイルバネ32、芯体31、圧力センシング半導体デバイス35、コイル33が巻回されたフェライトコア34及び連結部材36までが収納された時点で、この連結部材36の側周面に対応する第1の筒状体5Cの側周面位置を中心軸方向に絞る(かしめる)ことにより第1の筒状体5Cの内周面に突部5Cd及び5Ceを形成することで、第1の筒状体5Cにより連結部材36を圧接挟持させて、連結部材36が中心軸方向に移動しないように位置規制させる。そして、第1の筒状体5Cの開口5Ca側と圧力センシング半導体デバイス35との間に配置されているコイルバネ32の偏倚力により、圧力センシング半導体デバイス35及びコイル33が巻回されたフェライトコア34が中心軸方向に、がたつかないようにされている。
その後、前述した第1の実施形態と同様にして、コンデンサ回路18Cが連結部材36に結合されると共に、第2の筒状体5Dが第1の筒状体5Cにねじ込まれて結合され、更に、キャップ19Cにより、第2の筒状体5Dの他端の開口が閉塞される。
筒状体5´の内部に収納される各部の構成及び電子インクカートリッジ30の組立、更に共振周波数の調整について、更に説明する。
この第3の実施形態における芯体31は、図15(A)、(B)に示すように、例えば樹脂からなる棒状の部材で構成される。そして、この第3の実施形態においては、棒状の芯体31は、圧力センシング半導体デバイス35に、押圧部材として挿入される。
フェライトコア34は、この第3の実施形態では、径が一定の円柱状形状を有しており、コイル33が巻回される。そして、圧力センシング半導体デバイス35のパッケージ部材351の、芯体31が挿入される上面351aとは反対側の底面351b側には、凹部352が設けられており、フェライトコア34の中心軸方向の一端側が、この凹部352に嵌合される。
また、フェライトコア34の中心軸方向の他端側は、例えば樹脂からなる連結部材36に嵌合して結合されている。フェライトコア34の連結部材36側の端面の中央には、後述する連結部材36の突部361が嵌合する凹穴34aが形成されている。
[圧力センシング半導体デバイス35の構成例]
この第3の実施形態の位置指示器は、前述したように、筆圧を、コイルと共に共振回路を構成するコンデンサの静電容量の変化として検出するが、この第3の実施形態の位置指示器では、出願人が特願2012−15254として先に提案した、MEMS技術により製作された半導体デバイス(圧力感知チップ)を、筆圧に応じて静電容量が変化する感圧センサとして使用される。
圧力センシング半導体デバイス35は、例えば樹脂からなるパッケージ部材351内に、圧力感知チップ400を、外部からの押圧部材により押圧可能な状態で収納したものとして構成される。押圧部材は、この例では、芯体31とされる。そして、この例の圧力センシング半導体デバイス35は、芯体31を挿脱可能に保持すると共に、コイル33が巻回されたフェライトコア34が、パッケージ部材351に保持されてユニット化された一体化構造とされている。
図16は、この例の圧力センシング半導体デバイス35の構成を説明するための図である。図16(A)は、圧力センシング半導体デバイス35の縦断面図である。また、図16(B)は、圧力センシング半導体デバイス35に収納された圧力感知チップ400を説明するための図である。
圧力センシング半導体デバイス35は、弾性を有すると共に、電気絶縁性材料である樹脂部材、例えばシリコンゴムから成り、例えば円柱形状のパッケージ部材351内に圧力感知チップ400を封止して構成されている。
この例の圧力感知チップ400は、図16(B)に示すように、第1の電極401と、第2の電極402と、第1の電極401及び第2の電極402の間の絶縁層(誘電体層)403とからなる。第1の電極401及び第2の電極402は、単結晶シリコン(Si)からなる導体で構成される。絶縁層403は、この例では酸化膜(SiO2)からなる絶縁膜で構成される。
そして、この絶縁層403には、例えば円形の凹部404が形成され、絶縁層403と、第1の電極401との間に空間405が形成される。凹部404の底面は平坦な面とされ、その直径Rは、例えばR=1mmとされている。また、凹部404の深さは、この例では、数十ミクロン〜数百ミクロン程度とされている。第1の電極401は、面401a側から押圧されると、空間405の方向に撓むように変位可能となる。
以上のような構成の圧力感知チップ400は、第1の電極401と第2の電極402との間に静電容量Cvが形成されるコンデンサである。そして、図16(B)に示すように、第1の電極401の面401a側から第1の電極401に対して圧力Pが印加されると、第1の電極401は、図16(B)において、点線で示すように撓み、第1の電極401と、第2の電極402との間の距離が短くなり、静電容量Cvの値が大きくなるように変化する。第1の電極401の撓み量は、印加される圧力Pの大きさに応じて変化する。したがって、静電容量Cvは、圧力感知チップ400に印加される圧力Pの大きさに応じて変化する。この静電容量Cvの変化に基づいて圧力を検出することが可能となる。
この実施形態の圧力センシング半導体デバイス35においては、以上のような構成を備える圧力感知チップ400は、圧力を受ける第1の電極401の面401aが、図16(A)において、パッケージ部材351の上面351aに対向する状態でパッケージ部材351内に収納されている。
パッケージ部材351には、上面351aから圧力感知チップ400の第1の電極401の面401aの近傍まで連通する、例えば断面が円形の連通穴353が形成されている。この連通穴353には、図15及び図16(A)に示すように、芯体31が、圧力感知チップ400を押圧する押圧部材として挿入される。パッケージ部材351の連通穴353の開口部側(上面351a側)にはテーパー部351cが形成されて、連通穴353の開口部は、ラッパ状形状とされ、押圧部材としての芯体31が連通穴353内に挿入され易く構成されている。
そして、図16(A)に示すように、この連通穴353の内壁面には、丸棒状の芯体31を保持するためのOリング状の突部354a及び354bが設けられている。この場合に、連通穴353の内径は、丸棒状の芯体31が当接する部分の直径と等しいあるいは若干大きくされ、また、Oリング状の突部354a及び354bの内径は、芯体31が当接する部分の直径よりも小さく選定されている。
したがって、芯体31が、パッケージ部材351の開口部側(上面351a側)に設けられたテーパー部351cによってガイドされて連通穴353内に挿入されたときには、芯体31は、Oリング状の突部354a,354bにより保持される。しかし、芯体31は、所定の力で連通穴353から引き抜くことが可能である。したがって、芯体31は、容易に交換可能である。
そして、圧力感知チップ400の第1の電極401は、金線355により、導体で構成される第1のリード端子356に接続され、また、第2の電極402は、導体で構成される第2のリード端子357に接触して接続される。この第3の実施形態では、これら第1及び第2のリード端子356及び357の先端部は、図16(A),(B)に示すように、パッケージ部材351の底面351bに対して直交するように導出されている。
このパッケージ部材351の底面351bには、フェライトコア34の直径にほぼ等しい直径の円形の凹部352が形成されている。この凹部352の深さは、コイル33が巻回されているフェライトコア34の中心軸方向の一端部が嵌合される深さとされている。フェライトコア34は、この凹部352内に挿入され、例えば接着材によりパッケージ部材351と結合される。第1及び第2のリード端子356及び357は、底面351bにおいて凹部352の周囲から導出されている。
この第1のリード端子356及び第2のリード端子357は、後述するように、連結部材36の端子部材362,363に金線やリード線などにより電気的に接続される。また、フェライトコア34に巻回されているコイル33の一端33a及び他端33bも、連結部材36の端子部材362,363に電気的に接続される。
次に、連結部材36の構成例を図17に示す。図17(A)は、連結部材36を、その中心軸方向に、フェライトコア34と結合する側から見た端面を示す図、図17(B)は、図17(A)のF−F断面図、図17(C)は、連結部材36を、その中心軸方向に、コンデンサ回路18C側から見た端面を示す図である。
前述したように、連結部材36は、電気絶縁性材料である例えば樹脂からなり、その外径が第1の筒状体5Cの内径と同一の円柱状形状を有する本体部360を備える。そして、図17(A)及び(B)に示すように、連結部材36の本体部360の、フェライトコア34と結合する側の端面には、フェライトコア34の円柱状部分の一部が嵌合する凹穴364が設けられていると共に、その凹穴364の底面の中央には、フェライトコア34の端面に形成されている凹穴34aに嵌合する突部361が形成されている。
また、図17(A)、(B)に示すように、連結部材36の本体部360の周側面の、この例では、互いに180度角間隔だけ離れた位置には、円柱の中心軸方向に沿う方向に凹溝365及び366が形成されている。この凹溝365及び366内には、端子部材362及び363の一方の端部362a及び363aが、周方向に直交する方向に植立されている。そして、当該植立されている状態の端子部材362及び363の一方の端部362a及び363aのそれぞれには、図17(A)に示すように、V字型切れ込み362c,362d及び363c,363dが形成されている。
端子部材362のV字型切れ込み362c及び362dは、圧力センシング半導体デバイス35の圧力感知チップ400の第1の電極401及びコイル33の一端33aの接続用である。また、端子部材363のV字型切れ込み363c及び363dは、圧力センシング半導体デバイス35の圧力感知チップ400の第2の電極402及びコイル33の他端33bの接続用である。
連結部材36の本体部360のコンデンサ回路18Cと連結側の端面には、図17(B)に示すように、コンデンサ回路18Cの一部が嵌合される凹部368が設けられている。この凹部368の側周面には、コンデンサ回路18Cの第1のコンデンサ回路181Cの周部に形成されたリング状突部181Ca(図15(B)参照)が嵌合されるリング状凹溝368aが形成されている。
また、この凹部368の底面には、連結部材36の端子部材362の他方の端部として、図17(B)及び(C)に示すように、リング状電極導体362bが形成されている。このリング状の電極導体362bは、コンデンサ回路18Cの第1のコンデンサ回路181Cの端子部材1814の一端1814aと衝合する(図4参照)。
さらに、連結部材36の凹部368の底面の中央には、リング状電極導体362bとは離間した状態で、凹穴367が形成されている。連結部材36の端子部材363の他方の端部363bは、その凹穴367内に位置するように形成されていると共に、当該凹穴367内に位置する端子部材363の端部363bには、弾性を有する折り曲げ部からなる挿入孔363eが形成されている。この挿入孔363eには、コンデンサ回路18Cの第1のコンデンサ回路181Cの端子部材1815の棒状の一端1815aが挿入されて端子部材363の他方の端部363bと接続される。
連結部材36は、フェライトコア34の端面の凹穴34aに、突部361を嵌合させた状態で、フェライトコア34に例えば接着材により接着して結合させる。そして、圧力センシング半導体デバイス35の圧力感知チップ400の第1の電極401及び第2の電極402に接続されたリード端子356,357に接続されたリード線を、連結部材36の端子部材362の一方の端部362aのV字型切れ込み362cまたは362d及び端子部材363の一方の端部363aのV字型切れ込み363cまたは363dに挟み込むことで接続する。また、コイル33の一端33a及び他端33bを、連結部材36の端子部材362の一方の端部362aのV字型切れ込み362cまたは362d及び端子部材363の一方の端部363aのV字型切れ込み363cまたは363dに挟み込むことで接続する。
こうして、この第3の実施形態では、圧力センシング半導体デバイス35と、コイル33が巻回されているフェライトコア34と連結部材36とが結合されて、一つのユニット化された構成部品として取り扱うことができるようにされている。
そして、この第3の実施形態では、第1の筒状体5Cの中空部内に、開口5Ca側を先端として、反対側の開口5Cb側からコイルバネ32が挿入され、続いて、圧力センシング半導体デバイス35と、コイル33が巻回されているフェライトコア34と、連結部材36とが連結されて一つのユニットとして一体化された構成部品が、圧力センシング半導体デバイス35の上面351a側にコイルバネ32の一端側が衝合するように挿入される。芯体31は、予め、圧力センシング半導体デバイス35に挿入嵌合させて、第1の筒状体5Cに収納させるようにしても良いし、後から、開口5Ca側から圧力センシング半導体デバイス35に挿入嵌合するようにしても良い。
なお、圧力センシング半導体デバイス35の圧力感知チップ400の第1の電極401及び第2の電極402や、コイル33の一端33a及び他端33bは、連結部材36の凹溝365,366内で、端子部材362,363の、例えば一方の端部362a,363aと接続されているので、圧力感知チップ400の第1の電極401及び第2の電極402のリード部やコイル33の一端33a及び他端33bは、第1の筒状体5Cの内壁面と接触することはない。
以上のようにして第1の筒状体5Cに収納された連結部材36に対して、後述するように、コイル33と、圧力感知チップ400によって構成されるコンデンサと共に並列共振回路を構成するコンデンサ回路18Cが連結される。このコンデンサ回路18Cの静電容量は、後述するようにして所定の値に設定されている。
この場合に、コンデンサ回路18Cの第1のコンデンサ回路181Cの一部が連結部材36の凹部368内に収納され、第1のコンデンサ回路181Cのリング状突部181Caが、凹部368のリング状凹溝368aと嵌合することで、コンデンサ回路18Cが連結部材36に結合される。この結合状態では、第1のコンデンサ回路181Cの端子部材1814の一端1814aが、連結部材36の端子部材362の他端部のリング状電極導体362bに衝合して電気的に接続されると共に、第1のコンデンサ回路181Cの端子部材1815の棒状の一端1815aが、連結部材36の端子部材363の挿入孔363eに挿入されて他端部363bと電気的に接続される。
次に、第2の筒状体5Dを、その内部にコンデンサ回路18Cを収納するようにして、その一端側の開口の内壁面に形成されたネジ部5Daと第1の筒状体5Cの開口5Cbの外周側面に形成されたネジ部5Ccとを螺合させて、一体的な筒状体5´を形成する。
次に、キャップ19Cの径小部195を、第2の筒状体5D内に、位置決め用溝5Dbに突部19cを係合させる。このとき、この第3の実施形態においては、コンデンサ回路18Cの第2のコンデンサ回路182Cの一部が、キャップ19Cの径小部195に設けられた凹部198内に挿入されて、互いの電気的な接続もなされる。
この第3の実施形態におけるキャップ19Cの構成例を、図18に示す。図18(A)は、キャップ19Cを、コンデンサ回路18Cとの対向面側から見た図であり、図18(B)は、キャップ19Cを、コンデンサ回路18Cとの対向面側とは反対側から見た図である。図18(C)は、図18(A)のG−G断面図である。
キャップ19Cは、第1の実施形態におけるキャップ19と同様の構成であるが、径が第1の実施形態のコンデンサ回路18よりも小さい径のコンデンサ回路18Cとの連結部の構成が異なる。この図18において、第1の実施形態におけるキャップ19と同様の構成部分については、同一の参照符号を付与してある。
すなわち、この第3の実施形態におけるキャップ19Cの径小部195の、第2のコンデンサ回路182Cと対向する端面には、図18(A)及び(C)に示すように、コンデンサ回路18Cの第2のコンデンサ回路182Cの一部を嵌合させる凹部198が形成されている。凹部198は、第2のコンデンサ回路182Cの径とほぼ等しい径の円形凹穴である。この凹部198の側壁には、第2のコンデンサ回路182Cのリング状突部182bが嵌合するリング状凹溝198aが形成されていると共に、第2のコンデンサ回路182Cに形成されている中心軸方向突部182aが係合する中心軸方向凹溝198bが形成されている。
また、キャップ19Cの凹部198の底面には、端子部材192,193の一方の端部192a、193aが、第2のコンデンサ回路182Cの端面の端子部材1825の他端1825b及び端子部材1826の他端1826bと弾性的に衝合するように露呈して設けられている。端子部材192の他端192bは、第1の実施形態と同様に、コネクタ194の一端に接続され、また、端子部材193の他端193bは、コネクタ194の他端に接続される。
以上のように構成されたキャップ19Cの径小部195を、第2の筒状体5D内に、位置決め用溝5Dbに突部19cを係合させると共に、第2のコンデンサ回路182Cの突部182aが、キャップ19Cの凹部198の溝198bに係合させるようにして挿入する。すると、キャップ19Cのリング状溝部19aと第2の筒状部5Dのリング状突部5Dcが嵌合して、キャップ19Cが第2の筒状体5D内に対して係止される。このとき、第2のコンデンサ回路182Cの端部がキャップ19Cの凹部198内に挿入され、リング状突部182bが、凹部198のリング状凹溝198aと嵌合して、コンデンサ回路18Cがキャップ19Cと結合される.そして、この結合状態においては、第2のコンデンサ回路182Cの端子部材1825の他端1825b及び端子部材1826の他端1826bが、キャップ19Cの凹部198の底面の端子部材193の一端193a及び端子部材192の一端192aとそれぞれ接続される。以上のようにして、電子インクカートリッジ30が組み立てられる。
[コンデンサ回路18Cの静電容量値の設定]
上述したように、連結部材36が収納された第1の筒状体5Cの開口5Cb側においては、連結部材36の端子部材362の他端部のリング状電極導体362bと、端子部材363の他端部363bが、外部から接触可能に露呈する状態となっている。そして、これらのリング状電極導体362b及び他端部363bは、コイル33及び圧力感知チップ400によって構成されるコンデンサからなる並列共振回路の一端及び他端に接続されている。したがって、これらの端子部材362のリング状電極導体362b及び端子部材363の他端部363bには、コイル33及び圧力感知チップ400によって構成されるコンデンサからなる並列共振回路の電気的特性が取り出し可能とされる。
この実施形態では、このように外部から接触可能な端子部材362のリング状電極導体362b及び端子部材363の他端部363bを用いて、以下のようにして、コンデンサ回路18Cを構成する第1のコンデンサ回路181Cの静電容量及び第2のコンデンサ回路182Cの静電容量を設定する。。
このコンデンサ回路18Cの静電容量値の設定を、図19の等価回路を参照して説明する。前述したように、連結部材36の端子部材362の他端部のリング状電極導体362bと、端子部材363の他端部363bとの間には、ファライトコア34に巻回されたコイル33と、圧力センシング半導体デバイス35に収納されている圧力感知チップ400を構成する容量可変のコンデンサ400Cとの並列回路が接続されている。このとき芯体31には筆圧が印加されていない状態とされており、そのときのコイル33のインダクタンスLc、圧力感知チップ400によって構成されるコンデンサ400Cの静電容量CVoはそれぞれ製造に起因したバラツキを含んだ値であるとする。
そこで、まずは、コイル33のインダクタンスLc、圧力感知チップ400によって構成されるコンデンサ400Cの静電容量CVoから構成される共振回路の共振周波数f1を、端子部材362の他端部のリング状電極導体362bと端子部材363の他端部363bを使用して測定する。次に、容量値Coが既知のコンデンサを、端子部材362の他端部のリング状電極導体362bと端子部材363の他端部363bに接続して、同様にして、共振周波数f2を測定する。なお、設定したい共振周波数f0は既知であり、コンデンサ回路18Cの第1のコンデンサ回路181Cで設定すべき容量値をCxとする。
f1 2=1/{4・π2・Lc・CVo}
f2 2=1/{4・π2・Lc・(CVo+Co)}
f0 2=1/{4・π2・Lc・(CVo+Cx)}
これらの式から、
Cx=Co・(f2/f0)2・(f1 2−f0 2)/(f1 2−f2 2)
となる。
以上のように、コイル33のインダクタンスLc及び圧力感知チップ400によって構成されるコンデンサ400Cの静電容量が不明、あるいはバラツキを含む値であったとしても、設定したい共振周波数foに対応してこのコイル33とコンデンサ400Cとの並列回路に更に並列に接続される静電容量の値Cxを算出できる。換言すれば、プッシュスイッチ7がオフであるときの位置指示器の共振回路の共振周波数を目的の周波数f0とするようにする静電容量(コンデンサ回路18Cの第1のコンデンサ回路181Cの静電容量)を算出でき、コンデンサ回路18Cの第1のコンデンサ回路181Cに、その算出した静電容量となる個数のチップコンデンサ183を収納して、第1のコンデンサ回路181Cの静電容量を設定する。
また、同様に、コイル33、圧力感知チップ400、第1のコンデンサ回路181Cから構成される共振回路に対して、プッシュスイッチ7がオンであるときの位置指示器の共振回路の共振周波数を目的の周波数f4とするようにするための静電容量(コンデンサ回路18Cの第2のコンデンサ回路182Cで設定すべき容量値をCx2とする)を次のようにして算出する。
第1のコンデンサ回路181Cに設定された静電容量値をCx1(この値は、Cxと同じ値あるいは近似値である)として、容量値Coが既知のコンデンサに代えて静電容量値がCx1に設定された第1のコンデンサ回路181Cを、端子部材362の他端部のリング状電極導体362bと端子部材363の他端部363bに接続して、同様にして、共振周波数f3を測定する。
f1 2=1/{4・π2・Lc・CVo}
f3 2=1/{4・π2・Lc・(CVo+Cx1)}
f4 2=1/{4・π2・Lc・(CVo+Cx1+Cx2)}
これらの式から、
Cx2=Cx1・(f1/f4)2・(f3 2−f4 2)/(f1 2−f3 2)
となる。
そして、その算出した静電容量Cx2となるように、コンデンサ回路18Cの第2のコンデンサ回路182Cの静電容量値Cx2を設定する。
以上のようにして、実際の使用状態と同じ状態で共振周波数を測定することで、コンデンサ回路18Cの第1のコンデンサ回路181Cの静電容量の値は算出でき、この算出された静電容量の値と同じあるいは近い値が設定される。
また、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)7を操作することで変移させる共振周波数は既知であることから、コンデンサ回路18Cの第1のコンデンサ回路181Cの静電容量の値に依存性のある第2のコンデンサ回路182Cの静電容量の値も算出可能である。
この第3の実施形態の電子インクカートリッジ30は、筒状体5´に収納するコイル33と圧力感知チップ400の静電容量400Cとコンデンサ回路18Cに設定された静電容量(Cx1、Cx2)とからなる並列共振回路の共振周波数が、プッシュスイッチ7がオフ及びオンのいずれの状態においても、調整済みとなっている。したがって、この第3の実施形態の場合にも、当該電子インクカートリッジ30を位置指示器の筐体2に収納したときには、共振周波数の調整は、もはや無用となる。
そして、この第3の実施形態では、第1の筒状体5Cの中空部内に、芯体31と、コイル33が巻回されているフェライトコア34と、圧力センシング半導体デバイス35とを結合してユニット化した一体化構造として収納し、連結部材36の端面に、コンデンサ回路18Cとの接続用の端子であって、コイル33の一端及び他端並びに圧力感知チップ400によって構成される容量可変のコンデンサ400Cの一端及び他端とがそれぞれ接続されている接続端子を、外部から接触可能な状態で露呈させるようにした。
このため、第1の筒状体5C内に収納された状態のコイル33と、圧力センシング半導体デバイス35が収納する圧力感知チップ400の静電容量とからなる共振回路の共振周波数を、当該連結部材36の端面に設けられた接続端子を用いて測定することが可能となる。これにより、共振周波数が所望の値となるように、コイル33と圧力感知チップ400の並列共振回路に並列接続されて並列共振回路を構成するコンデンサ回路18Cの静電容量値を上述したようにして算出できる。
そして、上述の実施形態では、静電容量が所望の値に設定されたコンデンサ回路18Cの一方の電極及び他方の電極を、当該連結部材36の接続端子に接続するように、コンデンサ回路18Cを連結部材36に結合するだけで、電子インクカートリッジ30を構成することができ、構成が非常に簡単になる。
さらに、この第3の実施形態においては、芯体31、コイル33が巻回されているフェライトコア34、感圧センサとしての圧力センシング半導体デバイス35、及びコンデンサ回路18Cが、電子インクカートリッジ30内に挿入されていると共に、電子インクカートリッジ30は、共振周波数の調整が既になされた状態で組み上げられている。したがって、単に、電子インクカートリッジ30を、位置指示器の筐体内に収納するだけで、位置指示器を構成することができる。このため、電子インクカートリッジ30を、いわゆるボールペンなどの替え芯のように扱うことができる位置指示器を実現することができる。
また、上述の実施形態と同様に、電子インクカートリッジ30の筒状体5´内には、その中心軸方向に、構成部品を並べて順次に配置して、電気的に接続すると共に、機構的な結合も行うように構成したので、例えば2.5mmの径というような細型の電子インクカートリッジの構成とすることも容易に実現できるという効果がある。
[第3の実施形態の変形例]
以上説明した第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様のID送信回路300を収納するIDパッケージを、筒状体5´内に収納することで、第2の実施形態と同様に、電子インクカートリッジ30の識別情報等の情報を、位置検出装置に伝達するようにすることができる。この場合に、ID送信回路300を収納するIDパッケージは、コイル33に並列に接続されれば良いので、図19の等価回路から判るように、筒状体5´内において、連結部材36とコンデンサ回路18Cとの間、あるいはコンデンサ回路18Cとキャップ19Cとの間の、いずれの位置であっても良い。
また、上述の第3の実施形態では、芯体31により圧力センシング半導体デバイス35の圧力感知チップ400を押圧するようにする構成であるが、圧力センシング半導体デバイス35の圧力感知チップ400に、芯体に印加される圧力を伝達する構成は、これに限られるものではない。例えば図示は省略するが、芯体は、第2の実施形態のようにフェライトコアに結合して設けるようにすると共に、フェライトコアの芯体との結合側とは反対側に、圧力センシング半導体デバイスを配置する。そして、フェライトコアの芯体との結合側とは反対側に、圧力感知チップの押圧部材を設け、その押圧部材により、圧力センシング半導体デバイスの圧力感知チップを押圧する構成とするようにしてもよい。
また、上述した第3の実施形態では、圧力センシング半導体デバイス35とコイル33が巻回されたフェライトコア34とを一体的に結合するようにしたが、圧力センシング半導体デバイス35とコイル33が巻回されたフェライトコア34とを、更なる連結部材を介して連結するように構成しても良い。
図20は、その場合の電子インクカートリッジ30Aの要部の構成例を示す図である。
すなわち、この図20の例においては、圧力センシング半導体デバイス35とコイル33が巻回されたフェライトコア34との間に、連結部材36の他に、更なる連結部材38を設ける。この連結部材38は、圧力センシング半導体デバイス35の凹部352に収納される突部381を備えると共に、コイル33が巻回されたフェライトコア34を内部に収納する中空部が形成された筒状部382を備える。この筒状部382は、その開口側の端面が、コンデンサ回路18Cに連結される連結部材36に衝合するような長さとされている。
そして、連結部材38は、筒状部382の圧力センシング半導体デバイス35と対向する端面に、圧力センシング半導体デバイス35のリード端子356及び357とそれぞれ嵌合する嵌合部383及び384を備える。
また、連結部材38に形成された筒状部382の、連結部材36と衝合する端面には、
圧力センシング半導体デバイス35のリード端子356及び357と嵌合した嵌合部383及び384と、例えば金線などで電気的に接続されている接続端子385及び386がそれぞれ設けられている。この接続端子385及び386には例えば金線がそれぞれ接続されており、その金線が連結部材36の端子部材362及び363のV字型切れ込み362c及び363cに電気的に接続されるようにされている。
そして、連結部材38は、リング状凹溝38a及び38bを備え、当該リング状凹溝38a及び38bが、第1の筒状体5Cに形成されたリング状突部5Cf及び5Cgに嵌合することで、第1の筒状体5Cに対して固定されて、中心軸方向に移動しないようにされている。したがって、この図20の例では、圧力センシング半導体デバイス35の圧力感知チップ400は、連結部材38が第1の筒状体5Cに対して固定されることで、圧力センシング半導体デバイス35が、中心軸方向において芯体31に印加される圧力に抗して、移動しないようになることで、前記芯体31に印加される圧力を検知することが可能となる。しかも、圧力センシング半導体デバイス35とともに共振回路を構成するコイル33が巻回されたフェライトコア34は、連結部材38に形成された筒状部382に収納されるとともに、圧力センシング半導体デバイス35とは電気的に並列接続されて、更には、連結部材36に設けられた端子部材362及び363にそれぞれ接続される構成を備えている。
なお、上述の第3の実施形態では、芯体に印加される圧力(筆圧)に応じて静電容量を変化する感圧センサとして、圧力センシング半導体デバイスを用いるようにしたが、感圧センサとしては、これに限られるものではない。例えば、本出願人が、特願2012−151357として出願した、芯体に印加される圧力(筆圧)に応じて静電容量を変化させるようにした容量可変型コンデンサを感圧センサとして用いることもできる。
この特願2012−151357に記載の容量可変型コンデンサは、中空の空間を有する円筒からなる外側部材の当該中空部分の内壁面に所定形状のフィルム電極を被着形成する。一方、柱状の内側部材の外周面にも、所定形状のフィルム電極を形成する。そして、外側部材の中空の空間内に、内側部材を、中心軸方向に移動可能に収納する。この場合に、外側部材の内壁面の電極と、内側部材の外周面の電極とは、誘電体を介して対向させることで、その対向する面積に応じた静電容量を呈するコンデンサを形成するようにする。
この構成によれば、内側部材に対して中心軸方向に外部から圧力が印加されたときには、内側部材が中心軸方向に、外側部材に対して移動することより、誘電体を介して対向する外側部材の内壁面の電極と内側部材の外周面の電極との面積が変化する。したがって、外側部材の電極と、内側部材の電極との間で形成されるコンデンサの静電容量は、両電極の対向面積の変化により、印加された圧力に応じた静電容量を呈する。
以上のような構成の容量可変型コンデンサは、細型の棒状に形成することができ、上述の圧力センシング半導体デバイス35に代えて、感圧センサとして用いた電子インクカートリッジを構成することができる。
[第4の実施形態]
以上の実施形態では、筆圧を検出する感圧センサは、位置指示器が備える共振回路を構成するインダクタンス回路又はコンデンサ回路を使用して実現される構成とし、位置検出装置側において、位置指示器からの電磁誘導信号の周波数偏移(位相偏移)を検出することにより、位置指示器での筆圧を検出するようにした。
しかし、上述の実施形態における情報送信回路のIC回路を用いることにより、上述の例の電子インクカートリッジや位置指示器の識別情報(ID)と同様に、デジタル信号として、筆圧の情報を、位置指示器から位置検出装置に伝送するもできる。この第4の実施形態の位置指示器は、そのように構成した場合の例である。
図21の上側に示す回路は、この第4の実施形態の位置指示器1Dの等価回路である。この位置指示器1Dと電磁結合により位置検出及び筆圧検出を行う位置検出装置は、前述の第1の実施形態の場合の図7に示した位置検出装置200とされる。
この第4の実施形態の位置指示器1Dを構成する電子インクカートリッジ30Dの主要な構成要素の機構的な配置構成は、図15に示した上述の第3の実施形態の電子インクカートリッジ30または図20に示した第3の実施形態の変形例の電子インクカートリッジ30Aと同様とされる。ただし、この第4の実施形態では、コンデンサ18Cと、キャップ19Cとの間に、第1の実施形態の変形として示した図9の例におけるIDパッケージ320が設けられている点と、圧力センシング半導体デバイス35のパッケージ部材351内に、圧力感知チップ400と共に、その圧力感知チップ400で検知される筆圧情報を、電磁結合により、位置検出装置200に送るように制御する制御回路500が収納されている点が、第3の実施形態及び第3の実施形態の変形例の電子インクカートリッジ30及び30Aとは異なる。
この第4の実施形態の電子インクカートリッジ30Dでは、図21に示すように、電子インクカートリッジ30Dの筒状体5´内のコイル33と、コンデンサ回路18Cの第1のコンデンサ回路181C及び第2のコンデンサ回路182Cにより、並列共振回路20R´が構成され、この並列共振回路20R´の一端及び他端が、IDパッケージ320の一端及び他端にそれぞれ接続される。
そして、この第4の実施形態の電子インクカートリッジ30Dにおいては、制御回路500が、図21に示すように、コイル33の一端と他端との間に設けられる。この制御回路500は、制御用のIC501を備える。このIC501には、圧力感知チップ400によって構成されるコンデンサ(静電容量Cv)が接続されており、IC501は、筆圧に応じた可変容量Cvを検出することができる。IC501は、可変容量Cvの値から位置指示器1Dにおける筆圧を検出する。
このIC501は、並列共振回路20R´にて位置検出装置200から電磁結合により受信した交流信号がダイオード502及びコンデンサ503からなる整流回路を備える駆動信号生成回路504にて整流されて得られる電源電圧Vccにより動作するように構成されている。また、制御回路500においては、並列共振回路20R´に並列に、スイッチ回路505が接続されている。このスイッチ回路505は、IC501によりオン・オフ制御されるように構成されている。なお、IC501には、位置検出装置200との間での電磁誘導信号の授受のための同期信号として、コンデンサ506を介して、位置検出装置200から送信された電磁誘導信号が供給される。
そして、この第4の実施形態の制御回路500のIC501は、圧力感知チップ400で構成される可変容量コンデンサの静電容量Cvの値を、位置指示器1Dにおける筆圧の情報として検出し、その検出した筆圧を、例えば8ビットのデジタル信号に変換し、その筆圧に対応するデジタル信号により、スイッチ505を制御する。
以上のように構成された位置指示器1D及び位置検出装置200の位置検出動作及び筆圧検出動作について説明する。
処理制御部233は、先ず、前述の実施形態と同様にして、ドライブ回路222の駆動、選択回路213の選択制御及び切り替え接続回路223の切り替え制御を行って、位置指示器1Dとの間で、電磁誘導信号の送受を行って、位置指示器1Dにより指示された位置のX座標値及びY座標値を求める。
以上のようにして、位置指示器1Dの指示位置を検出したら、処理制御部233は、位置指示器1Dからの8ビットの筆圧情報を検出するため、位置指示器1Dの存在位置近傍のループコイルにおいて、同期を取るための信号の送信を所定時間行った後、座標検出の際と同様なタイミングで送受信を8回継続して行う。すなわち、処理制御部233は、選択回路213を制御して、検出した位置指示器1Dの座標値に従い、位置指示器1Dから最も近いループコイル(X軸方向ループコイル,Y軸方向ループコイルのどちらでもよい)を選択して信号を送受信する。
一方、位置指示器1Dの制御回路500のIC501は、圧力感知チップ400の静電容量Cvに対応して得られた筆圧を8ビットのデジタル信号に変換し、その8ビットのデジタル信号により、位置検出装置200からの信号の送受信に同期してスイッチ回路505をオン・オフ制御する。スイッチ505回路がオフであるときには、共振回路20R´は、位置検出装置200から送信された信号を位置検出装置200に返送することができるので、位置検出装置200のループコイルはこの信号を受信する。これに対して、スイッチ回路505がオンであるときには共振回路20R´は動作が禁止された状態にあり、このために、共振回路20R´から位置検出装置200に信号は返送されず、位置検出装置200のループコイルは信号を受信しない。
位置検出装置200の処理制御部233は、受信信号の有無の検出を8回行うことにより、筆圧に応じた8ビットのデジタル信号を受信し、位置指示器1Dからの筆圧情報を検出することができる。
[その他の実施形態または変形例]
以上の第1〜第3の実施形態では、コンデンサ回路18及び18Cは、チップコンデンサを積層する構成とすると共に、積層するコンデンサの個数により、静電容量を設定する構成のものを用いたが、これに限られるものではない。例えば、本出願人が、特願2012−128834として出願した、所定のパターン形状の電極を形成した誘電体シートを棒状に巻回した構成のコンデンサを用いることができる。この特願2012−128834に記載のコンデンサは、棒状のコンデンサにおいては、一部の電極パターンを、事後的に切断または結合することができる構成とすることにより、事後的に静電容量の設定が可能なものである。
また、上述の実施形態では、コイル16、24または33と、コンデンサ回路18、28または18Cとの間に配設される連結部材17、27または36のコンデンサ回路18,28または18C側の端面には、コイル16,24または33の一端及び他端と、コンデンサ回路18,28または18Cの一端及び他端とを電気的に接続するための2個の接続端子を設けるようにした。しかし、筒状体5、50または5´が、上述の例のSUS310などの非磁性体かつ導電性を有する材料である場合には、連結部材17、27または36の端面には前記2個の接続端子のうちの少なくとも一方のみを配設して、他方は、導電性の筒状体5、50または5´を利用するようにすることもできる。
例えば、上述の第1の実施形態では、連結部材17のコンデンサ回路18と対向する端面には、端子部材173の端部173cのみをその挿入孔173dを露呈するように設けるようにすると共に、端子部材172のリング状電極導体172cは、前記端面ではなく、連結部材17の本体部171の周部に露呈させて、第1の筒状体5Aと電気的に結合するように構成する。
一方、コンデンサ回路18の第1のコンデンサ回路181においては、端子部材1815の棒状体の一端1815aは、上述の実施形態と同様に形成するが、端子部材1814の一端1814aは、ホルダー1810の周部に露呈させて、第2の筒状体5Bと電気的に結合するように構成する。
このように構成した場合には、コンデンサ回路18と連結部材とを連結すると共に、第1の筒状体5Aと第2の筒状体5Bとを螺合して連結することで、電気的な接続がなされる。この場合には、筒状体5は、例えばグランド電極とするようにすると良い。
また、第2の実施形態においても、同様に、例えば、連結部材27のコンデンサ回路28側の端面には、端子部材273の他方の端部は、上述の実施形態のように円形導体273cとすると共に、端子部材272の他方の端部272cは、前記端面ではなく、本体部271の周部に露呈させて、筒状体50と電気的に結合するように構成する。
そして、コンデンサ回路28の第1のコンデンサ回路281の端子部材1815の一端1815a´は、上述の例のように、連結部材27の端面の円形導体273cと衝合する円形形状の電極として形成するが、端子部材1814の一端1814aは、ホルダー1810の周部に露呈させて、筒状体50と電気的に結合するように構成する。
この第2の実施形態の場合には、コンデンサ回路28を、筒状体50内に挿入することで、ホルダー1810の周部に露呈した端子部材1814の一端1814aが筒状体50に電気的に接続される。
また、第3の実施形態においては、連結部材36及びコンデンサ回路18Cを、上述の第1の実施形態の連結部材17及びコンデンサ回路18と同様に変形した構成とすることで、筒状体5´を電気的な接続用電極の一方の構成とすることができる。
また、上述したように、この発明の電子インクカートリッジにおいては、筒状体には、芯体が位置する側の端部と連結部材との間に、コイルが巻回されたフェライトコアと、感圧センサとが配置される。そして、上述の第1の実施形態や第2の実施形態で説明したように、コイルが巻回されたフェライトコアと、感圧センサとの筒状体の中心軸方向の配列順序は、いずれが連結部材側になっていても良い。また、連結部材と、コイルが巻回されたフェライトコアと、感圧センサとの3個の部材は、それぞれを独立のものとして連結するようにしてもよいし、3個を組み合わせて一体化したり、あるいは3個のうちの2個を組み合わせて一体化したりするようにしても良い。
すなわち、電子インクカートリッジとして、
(1)コイルが巻回されたフェライトコア→感圧センサ→連結部材の順に、独立の部材で連結
(2)感圧センサ→コイルが巻回されたフェライトコア→連結部材の順に、独立の部材で連結
(3)コイルが巻回されたフェライトコア→感圧センサ→連結部材の順に連結したものを一体化構造としてユニット化
(4)感圧センサ→コイルが巻回されたフェライトコア→連結部材の順に連結したものを一体化構造としてユニット化
(5)コイルが巻回されたフェライトコア→感圧センサの順に連結したものを一体化構造としてユニット化したものに対して連結部材を別途連結
(6)感圧センサ→コイルが巻回されたフェライトコアの順に連結したものを一体化構造としてユニット化したものに対して連結部材を別途連結
(7)芯体側に配置したコイルが巻回されたフェライトコアに対して、感圧センサに連結部材を一体的に設けてユニット化したものを連結
(8)芯体側に配置した感圧センサに対して、コイルが巻回されたフェライトコアに連結部材を一体的に設けてユニット化したものを連結
の8通りの組合せの構成が可能である。
なお、上述したように、この発明の電子インクカートリッジは、筆記具のボールペンなどのように、筐体に収納するインクカートリッジ(替え芯)と同様に扱うことができる。ボールペンでは、インクカートリッジを、いわゆるノック式により、あるいは、回転式に、ペン先を筐体内に収納した状態と、ペン先を筐体外に延出させた状態とを切り替えたり、また、例えばインクの色が異なる複数本のインクカートリッジを切り替えて、ペン先を筐体から延出させたりする構造を有するものが知られている。
そこで、この発明の位置指示器においても、同様にして、電子インクカートリッジを、いわゆるノック式により、あるいは、回転式に、芯体を筐体内に収納した状態と、芯体を筐体外に延出させた状態とを切り替える構造とすることができる。また、この発明の位置指示器は、例えば芯体の太さの異なる複数本の電子インクカートリッジを切替えたり、ボールペンのインクカートリッジと電子インクカートリッジとを切替えたりする構成とすることもできる。