[第1の実施形態]
図1〜図8は、この発明による、ペン形状の位置指示器用の、連結部材を備える磁性体の第1の実施形態が適用された電磁誘導方式の位置指示器の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。この第1の実施形態の位置指示器は、筆圧検出のためにコイルのインダクタンスを変化させる構成は、前述の図21で示した従来例と同様のものである。また、この第1の実施形態の位置指示器は、前述の図21で示した従来例と同様に、プッシュスイッチを備え、このプッシュスイッチのオン・オフにより、共振回路の共振周波数を変更するようにする構成を備える。なお、このプッシュスイッチは、芯体に近い位置であって筐体の周部に設けられており、サイドスイッチとも呼ばれている。
図2(A)は、この第1の実施形態の位置指示器1の全体の構成の概要を示すもので、ペン形状を備えており、円筒状の筐体2内の内部空間に、位置指示器の構成部品が収納されるものである。図2(A)では、筐体2の内部の構成の理解を容易にするために、位置指示器1の筐体2のみを断面で示してある。
この第1の実施形態の位置指示器1の筐体2は、非磁性体材料、例えば樹脂で構成され、筐体2のペン先側に開口3aを有する円筒状の下部ハーフ3と、この下部ハーフ3と同心円状に嵌合されて結合される円筒状の上部ハーフ4とからなる。
そして、下部ハーフ3の内部は、断面形状が例えば円形の中空部3bが設けられ、この中空部3b内に、図1に示すように、電磁誘導方式の位置指示器の基本的な構成部品、すなわち、芯体11、インダクタンスが可変とされたコイル16、このコイル16と共振回路を構成するコンデンサを含むコンデンサ回路18が収納された筒状体5が、その中心軸方向が、筐体2の中心軸方向となる状態で収納される。筒状体5は、非磁性体金属、樹脂材、ガラス、セラミックなどの非磁性体、この例では、SUS305,SUS310Sなどの素材で構成されている。
この第1の実施形態では、この筒状体5を、筆記具のボールペンのインクカートリッジと同様に、筐体2内に収納するだけで位置指示器1を構成することができる。また、筐体2に対して、筒状体5を交換することも可能である。そこで、この明細書においては、筒状体内に、電磁誘導方式の位置指示器の基本的な構成部品が内部に収納されたものを、電子インクカートリッジと呼ぶことにする。
[電子インクカートリッジの構成例]
この第1の実施形態における電子インクカートリッジ10の構成例を、図1及び図3〜図8を参照して説明する。図1(A)は、電子インクカートリッジ10の内部構成を説明するための断面図である。ただし、説明の便宜上、電子インクカートリッジ10の筒状体5の内部の一部の構成部品(後述する連結部材17及びコンデンサ回路18)については、図1(A)では断面とせず、後述するように、別途、断面図を用意した。また、図1(B)は、電子インクカートリッジ10の全体の構成を説明するための分解斜視図である。
筒状体5は、この第1の実施形態では、中心軸方向に2つに分けられた第1の筒状体5Aと第2の筒状体5Bとからなる。この例では、この第1の筒状体5A及び第2の筒状体5Bは、それぞれ、外径が例えば2.5mm、内径が例えば1.5mm〜2mmとされた細型形状とされている。
第1の筒状体5Aの中心軸方向(軸芯方向)の一端側には、芯体11の先端を延出するための開口5Aaが設けられている。この開口5Aaの径は、第1の筒状体5Aの内径よりも小さい。一方、第1の筒状体5Aの中心軸方向の他端側は、その内径の全体が開口5Abとされている。また、第2の筒状体5Bは、その中心軸方向の両端側において、その内径の全体が開口とされている。
そして、図1(A)に示すように、第1の筒状体5Aの、開口5Abの外周側面には、第2の筒状体5Bの一端側の開口の内壁面に形成されたネジ部5Baと螺合するネジ部5Acが形成されている。また、第2の筒状体5Bの他端側の開口近傍の内壁面には、非磁性体例えば樹脂からなるキャップ19の外周に形成されているリング状溝部19aと嵌合するリング状突部5Bbが、例えば第2の筒状体5Bが当該位置で絞られることで、形成されている。また、第2の筒状体5Bの他端側の開口端の周方向の所定位置には、周方向の位置決め用の溝5Bcが、中心軸方向に沿って形成されている。そして、キャップ19には、第2の筒状体5Bの溝5Bcと係合する突部19cが形成されている。キャップ19は、突部19cが溝5Bc内に挿入されるようにして、第2の筒状体5B内に押し込まれることにより、リング状溝部19aとリング状突部5Bbが嵌合して、第2の筒状体5B内に係止される。
そして、図1(A)及び図1(B)に示すように、第1の筒状体5A内には、開口5Aaから見て、コイルバネ12、芯体11、第2の磁性体の例としてのフェライトチップ13、Oリング14、コイル16が巻回された第1の磁性体の例としてのフェライトコア15及び連結部材17の順に、それら各部品の中心軸が一致するように、順次に並べられて収納される。そして、連結部材17に対して、その中心軸方向にコンデンサ回路18が連結され、このコンデンサ回路18を収納する状態で、第2の筒状体5Bが、第1の筒状体5Aとネジ部5Ac,5Baにおいて螺合される。そして、第2の筒状体5Bに、キャップ19が挿入されて、第2の筒状体5Bの開口が閉塞され、筒状体5の組立が完了となる。
筒状体5の内部に収納される各部の構成を、更に説明する。
この実施形態における芯体11は、例えば樹脂で構成され、第1の筒状体5Aの開口5Aaから延出される径の先端部と、第1の筒状体5A内で中心軸方向に移動可能となるように、第1の筒状体5Aの内径よりも若干小さい径の鍔部11aとを備えると共に、この鍔部11aの上面のほぼ中央に突部11bを備える。そして、フェライトチップ13は、第1の筒状体5A内で中心軸方向に移動可能となるように、第1の筒状体5Aの内径よりも若干小さい径の円柱状形状を有する。また、フェライトチップ13は、その中心軸方向の芯体11側の端面に、芯体11の鍔部11aの上面に形成された突部11bが嵌合される凹部13aを備える。また、フェライトチップ13の中心軸方向のフェライトコア15側の端面の中央には突部13bが形成されることで、それぞれが互いに中心軸方向に位置決めされる。
Oリング14は、第1の筒状体5Aの内径より小さい外径を備えると共に、フェライトチップの突部13bの径より大きい内径を備える弾性体、例えば弾性ゴムで構成されている。この場合、Oリング14の断面は円形を有し、その直径は、フェライトチップ13の突部13bの高さよりも大きく選定されている。
フェライトコア15は円柱状形状を有し、コイル16が巻回された状態で、そのコイル16の部分も含めた径が、第1の筒状体5Aの内径と等しい、あるいは若干小さいものとなるようにされている。このフェライトコア15の中心軸方向の連結部材17側の端面には、連結部材17に形成される中心軸位置の位置決め用の突部17cが嵌合する凹部15aが形成されている。
連結部材17は、フェライトコア15とコンデンサ回路18とを機構的に連結すると共に、フェライトコア15に巻回されたコイル16とコンデンサ回路18のコンデンサとの電気的接続を行うためのものである。この連結部材17は、外径が第1の筒状体5Aの内径にほぼ等しい円柱状形状の非磁性体、この例では樹脂で構成されていると共に、この樹脂内に、コイル16とコンデンサ回路18のコンデンサとの電気的接続を行うための導電体からなる端子部材がインサート成型されて構成されている。
そして、連結部材17の外周面の所定の位置には、リング状凹溝17a,17bが形成されている。一方、第1の筒状体5Aには、連結部材17が収納されたときに前記リング状凹溝17a,17bが対応する位置において、例えば外周面がリング状に絞られることにより、その内壁面側に突出するリング状突部5Ad、5Aeが形成されている。
したがって、連結部材17を、第1の筒状体5A内の中心軸方向に挿入すると、連結部材17は、その外周面のリング状凹溝17a,17bと、第1の筒状体5Aの内壁面のリング状突部5Ad,5Aeとが嵌合することにより係止して、第1の筒状体5A内でのその中心軸方向の位置決めが行われる。なお、第1の筒状体5Aの内壁面のリング状突部5Ad,5Aeの形成位置は、この例では、連結部材17がコンデンサ回路18と結合される側の端面が、第1の筒状体5Aの開口5Abの端面と面一となるような位置とされている。
図3は、連結部材17の構成例を説明するための図である。図3(A)は、連結部材17を、フェライトコア15と連結する側から見た図、図3(B)は、図3(A)のB−B断面図である。また、図3(C)は、連結部材17を、コンデンサ回路18と連結する側から見た図である。
図3(A),(B)に示すように、連結部材17は、円柱状の樹脂部材からなる本体部171に、コイル16の一端16a及び他端16bと、コンデンサ回路18の一端及び他端とのそれぞれの電気的な接続をするための、弾性を有する導電体からなる端子部材172,173をインサートして成型したものである。そして、連結部材17の本体部171のフェライトコア15側の端面の中央に、前述した位置決め用の突部17cが形成されている。この例では、突部17cは、四角柱状の形状とされている。
そして、図3では、図示は省略するが、フェライトコア15の端面に形成された、突部17cと対応する形状の凹部15aに、連結部材17の本体部171の突部17cを嵌合させた状態で、フェライトコア15の端面と連結部材17の本体部171の平坦面とを、例えば接着材で接着するようにする。
また、図3(A)に示すように、連結部材17の本体部171の周側面の、この例では、互いに180度角間隔だけ離れた位置には、円柱の中心軸方向に凹溝174,175が形成されている。この凹溝174、175内には、端子部材172,173の一方の端部172a、173aが、周方向に直交する方向に植立されている。そして、当該植立されている状態の端子部材172,173の一方の端部172a、173aには、図3(A)に示すように、V字型切れ込み172b,173bが形成されている。
そして、図3(B)に示すように、コイル16の一端16aを、端子部材172の一方の端部172aのV字型切れ込み172bに圧入して、互いに電気的に接続をすると共に、コイル16の他端16bを、端子部材173の一方の端部173aのV字型切れ込み173bに圧入して、互いに電気的に接続するようにする。このようにして、コイル16が巻回されているフェライトコア15と連結部材17とが連結されたものは、一つのフェライトコアモジュールとして取り扱うことができる。なお、コイル16の一端16a及び他端16bは、連結部材17の凹溝174,175内で、連結部材17の外周面から突出することなく植立された、端子部材172,173の一方の端部172a,173aと接続されている。したがって、コイル16の一端16a及び他端16bは、第1の筒状体5Aの内壁面と接触することはない。
連結部材17の端子部材172の他方の端部は、図3(B)及び(C)に示すように、コンデンサ回路18の端面と対向する端面において、リング状の電極導体172cとして形成されている。そして、連結部材17の、コンデンサ回路18の端面と対向する端面の中央には、図3(B)及び(C)に示すように、端子部材172の他方の端部を構成するリング状電極導体172cとは離間した状態の凹穴17dが形成されている。
連結部材17の端子部材173の他方の端部173cは、その凹穴17d内に位置するようにされる。そして、端子部材173の他方の端部173cの、当該凹穴17d内に位置する部分には、当該端子部材173に形成された、弾性を有する折り曲げ部からなる挿入孔173dが形成されている。以上のように構成された端子部材172の他方の端部のリング状電極導体172c及び端子部材173の他方の端部173cの挿入孔173dは、以下に説明するように、コンデンサ回路18の一方及び他方の端子との接続用である。
次に、コンデンサ回路18の構成について説明する。図4〜図6は、この実施形態におけるコンデンサ回路18の構成例を説明するための図である。
この第1の実施形態では、コンデンサ回路18は、図1及び図4に示すように、第1のコンデンサ回路181と、第2のコンデンサ回路182とを、中心軸方向に結合した構成を備える。第1のコンデンサ回路181は、プッシュスイッチが1つの状態、例えばオフであるときに、コイル16と並列に接続されて共振回路を構成する。そして、この第1のコンデンサ回路181の静電容量は、その共振回路の共振周波数を、所望の周波数とするために調整可能である。また、第2のコンデンサ回路182は、プッシュスイッチがオンとされたときに、コイル16及び第1のコンデンサ回路181と互いに並列に接続されて共振回路を構成する。そして、第2のコンデンサ回路182の静電容量もまた、その共振回路の共振周波数を、所望とする周波数とするために調整可能である。
第1のコンデンサ回路181及び第2のコンデンサ回路182は、図4に示すように、例えば樹脂からなる筒状のホルダー1810及び1820のそれぞれの内部に、チップコンデンサ183が複数個互いに積層されて収納されることで並列接続される。第2のコンデンサ回路182のホルダー1820の外周部の所定位置には、中心軸方向に沿う突部182aが形成されている。この突部182aは、この第2のコンデンサ回路182の、筒状体5B内での周方向の位置決め用である。筒状体5Bには、前述したように、その他端側の開口端から軸芯方向に溝5Bcが形成されており、第2のコンデンサ回路182の突部182aは、この溝5Bcに挿入されることで周方向の位置決めがなされる。
この例の場合、チップコンデンサ183のそれぞれは、例えば特開2009−124155号公報に記載されている多層セラミックコンデンサが用いられる。この例のチップコンデンサ183は、直方体形状に形成されており、図4において、黒く塗り潰して示すように、コンデンサの積層方向に直交する方向の端面であって、互いに対向する端面には、その積層方向の全体に渡って、チップコンデンサ183の一方の電極184及び他方の電極185が露呈されて形成されている。
したがって、チップコンデンサ183を、その一方の電極184及び他方の電極185が、他のチップコンデンサ183の一方の電極184及び他方の電極185とそれぞれ接触するように積層方向に重ねることで、重ねられた数分の全ての複数のチップコンデンサは、互いにその一方の電極184及び他方の電極185が接続される。これによって、各チップコンデンサ183は互いに並列に接続されることになる。この場合に、ホルダー1810及び1820内に収納される各チップコンデンサ183の静電容量の値と、その数により、第1のコンデンサ回路181の静電容量及び第2のコンデンサ回路182の静電容量が定まる。
なお、ホルダー1810及び1820の中空部1811及び1821の深さ、すなわち積層されるチップコンデンサ183の数は、それぞれ、前述したコイル16のインダクタンスのバラツキの程度を勘案して設定される。そして、チップコンデンサ183を積層することで静電容量値を最適化した結果として、中空部1811,1821内に収納されるチップコンデンサ183の数が所定数に満たないときには、後述もするように、中空部1811,1821内には常に所定の数となるように、この例では、実質的には微小な静電容量しか有しないダミーのチップコンデンサが収納される。
図5は、第1のコンデンサ回路181の構成例を示すものである。図5(A)は、第1のコンデンサ回路181の、連結部材17と対向する端面を示す図であり、また、図5(B)は、図5(A)のC−C断面図である。更に、図5(C)は、第1のコンデンサ回路181の、第2のコンデンサ回路182と対向する端面を示す図である。また、図6は、第2のコンデンサ回路182の構成例を示すものである。図6(A)は、第2のコンデンサ回路182の、第1のコンデンサ回路181の端面と対向する端面を示す図であり、また、図6(B)は、図6(A)のD−D断面図である。更に、図6(C)は、第2のコンデンサ回路182の、キャップ19と対向する端面を示す図である。
図4、図5及び図6に示すように、第1のコンデンサ回路181のホルダー1810及び第2のコンデンサ回路182のホルダー1820は、その中心軸方向に、チップコンデンサ183の形状に応じた有低の中空部1811及び1821をそれぞれ備える。
この例の場合、ホルダー1810及び1820の中空部1811及び1821の開口側には、互いに対向する壁面から中空部1811及び1821側に突出するように形成された、弾性変形可能な爪部1812,1813及び1822,1823が設けられている。チップコンデンサ183は、この爪部1812,1813及び1822,1823を弾性偏倚させることで乗り越えるようにして、中空部1811,1821内に収納される。爪部1812、1813及び1822,1823は、中空部1811及び1821に収納された複数のチップコンデンサ183の最も上のものの上面に係合して、中空部1811及び1821内に、必要に応じダミーのチップコンデンサを含んで、複数個のチップコンデンサ183の全体を係止させる。
そして、第1のコンデンサ回路181のホルダー1810には、図5(B)に示すように、その中心軸方向の両端面間を貫くように、対の端子部材1814及び1815が設けられる。端子部材1814は、中空部1811に収納されたチップコンデンサ183の全ての一方の電極184と接続されるように設けられている。また、端子部材1815は、中空部1811に収納されたチップコンデンサ183の全ての他方の電極185と接続されるように設けられている。
そして、端子部材1814の一端1814aは、図5(A)及び(B)に示すように、連結部材17と対向する端面側に導出されて、連結部材17の端子部材172の他端のリング状電極導体172cと衝合して電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1814の他端1814bは、図5(B)及び(C)に示すように、第2のコンデンサ回路182と対向する端面側において、中空部1811の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
また、端子部材1815の一端1815aは、図5(A)及び(B)に示すように、連結部材17と対向する端面の中央部から突出する棒状体として導出されて、連結部材17の端子部材173の他端173bに形成されている挿入孔173dに挿入されて電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1815の他端1815bは、図5(B)及び(C)に示すように、第2のコンデンサ回路182と対向する端面側において、中空部1811の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
また、第2のコンデンサ回路182のホルダー1820には、図6(B)に示すように、その中心軸方向の両端面間を貫くように、端子部材1824及び1825が設けられる。また、ホルダー1820には、端子部材1826が更に設けられる。
端子部材1824は、中空部1821に収納されたチップコンデンサ183の全ての一方の電極184と接続されるように設けられている。端子部材1825は、中空部1821のチップコンデンサ183とは接続されることなく、ホルダー1820の中心軸方向の両端面間を貫くように設けられる。更に、端子部材1826は、中空部1821に収納されたチップコンデンサ183の全ての他方の電極185と接続されるように設けられている。ただし、この端子部材1826は、その一端がホルダー1820内に存在して外部には露呈せず、他端のみが外部に露呈するようにされる。
端子部材1824の一端1824aは、図6(A)及び(B)に示すように、第1のコンデンサ回路181と対向する端面側に導出されて、第1のコンデンサ回路181の端子部材1814の他端1814bと衝合して電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1824の他端1824bは、図6(B)及び(C)に示すように、キャップ19の端面と対向する端面側において、中空部1821の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
端子部材1825の一端1825aは、図6(A)及び(B)に示すように、第1のコンデンサ回路181と対向する端面側に導出されて、第1のコンデンサ回路181の端子部材1815の他端1815bと衝合して電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1825の他端1825bは、図6(B)及び(C)に示すように、キャップ19と対向する端面側において、中空部1821の開口の側部に露呈するように導出されて設けられている。
中空部1821に収納されたチップコンデンサ183の全ての他方の電極185と接続された端子部材1826の他端1826bは、図6(B)及び(C)に示すように、キャップ19の端面と対向する端面側において、中空部1821の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
更に、第1のコンデンサ回路181のホルダー1810の、第2のコンデンサ回路182のホルダー1820と対向する端面には、図4及び図5(C)に示すように、嵌合凹穴1816及び1817が形成される。また、第2のコンデンサ回路182のホルダー1820の、第1のコンデンサ回路181のホルダー1810と対向する端面には、図6(A)及び図6(B)に示すように、ホルダー1810の嵌合凹穴1816及び1817に嵌合する突部1827及び1828が形成される。この場合に、図6(D)に示すように、ホルダー1810の嵌合凹穴1816及び1817はL字型に屈曲されていると共に、ホルダー1820の突部1827及び1828は、先端がL字型に屈曲されている。
第1のコンデンサ回路181のホルダー1810と、第2のコンデンサ回路182のホルダー1820とを互いの端面を付き合わせて、ホルダー1810の嵌合凹穴1816及び1817に、ホルダー1820の突部1827及び1828をそれぞれ嵌合させると、ホルダー1820の突部1827及び1828は、弾性偏倚して嵌合凹穴1816及び1817に挿入される。そして、ホルダー1810の嵌合凹穴1816及び1817と、ホルダー1820の突部1827及び1828とのそれぞれの嵌合が完了した後には、互いの屈曲部により、第1のコンデンサ回路181と第2のコンデンサ回路182とは、互いの結合が容易に解除されないようにして連結される。
次に、図7に、キャップ19の構成例を示す。図7(A)は、キャップ19を、コンデンサ回路18との対向面側から見た図であり、図7(B)は、図7(A)のE−E断面図である。また、図7(C)は、キャップ19を、コンデンサ回路18との対向面側とは反対側から見た図である。
キャップ19は、非磁性体、この例では樹脂からなる本体191に、導電体からなる端子部材192,193がインサート成型されて設けられている。また、キャップ19は、後述するプッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9の先端が嵌合されるコネクタ194を備える。
図1及び図7(C)に示すように、キャップ19の本体191は全体として円柱状形状とされており、コンデンサ回路18との対向面側は、電子インクカートリッジ10の第2の筒状体5B内に挿入される径の径小部195とされ、その他は、筒状体5の外径よりも径の大きい径大部196とされている。そして、キャップ19の径大部196の、コンデンサ回路18との対向面側とは反対側の部分は、円柱状形状部分が、中心軸方向に、一部が切り欠かれた形状を備える。図の例では、径大部196は、その円柱状形状部分の半分が切り欠かれて、中心軸方向に平行な平面197が形成されている。
キャップ19の径小部195には、前述したように、第2の筒状体5Bの開口内壁に設けられたリング状突部5Bbに嵌合するリング状溝部19aが形成されている。また、キャップ19の径小部195には、第2の筒状体5Bの開口端側に形成されている位置決め用溝に係合する突部19cが、キャップ19の中心軸方向に形成されている。さらに、キャップ19の径大部196には、後述するように、位置指示器1の筐体の内壁面に形成されているネジ部と螺合するネジ部19bが形成されている。
そして、端子部材192及び193は、コンデンサ回路18と、径大部196に形成された平面197に設けられたコネクタ194との間の電気的接続を行うように設けられている。すなわち、端子部材192の一端192aは、キャップ19の径小部195の、コンデンサ回路18との対向面において、第2のコンデンサ回路182の端面の端子部材1826の他端1826bと弾性的に衝合するように導出される。そして、この端子部材192の他端192bは、コネクタ194の一端に接続される。また、端子部材193の一端193aは、キャップ19の径小部195の、コンデンサ回路18との対向面において、第2のコンデンサ回路182の端面の端子部材1825の他端1825bと弾性的に衝合するように導出される。そして、この端子部材193の他端193bは、コネクタ194の他端に接続される。なお、コネクタ194の一端は、後述するプッシュスイッチ7の一端に接続され、コネクタ194の他端は、プッシュスイッチ7の他端に接続される。
以上説明した電子インクカートリッジ10のコイル16、コンデンサ回路18及びプッシュスイッチ7を含む電子回路部分の等価回路を、図8に示す。この場合に、前述したように、コイル16の一端16a及び他端16bは、連結部材17の端子部材172の一方の端部172a及び端子部材173の一方の端部173aに接続されている。
前述したように、連結部材17に対して、コンデンサ回路18の第1のコンデンサ回路181が結合された状態では、連結部材17の端子部材172の一方の端部172aは、他方の端部172cを介して、コンデンサ回路18の第1のコンデンサ回路181の端子部材1814の一端1814aに接続される。また、連結部材17の端子部材173の一方の端部173aは、他方の端部173cを介して、第1のコンデンサ回路181の端子部材1815の一端1815aに接続される。
したがって、図8に示すように、コイル16に対して、第1のコンデンサ回路181に収納された複数個のチップコンデンサ183は、互いに並列に接続される。図8では、5個のチップコンデンサ183の静電容量Ca〜Ceが、コイル16のインダクタンスに対して並列に接続された状態を示している。なお、複数個のチップコンデンサ183の静電容量Ca〜Ceは、互いに等しいものであっても良いし、異なるものであっても良い。静電容量Ca〜Ceは、互いに並列に接続されるので、第1のコンデンサ回路181の全体の静電容量は、この第1のコンデンサ回路181に収納する複数個のチップコンデンサ183のそれぞれの静電容量を単純に加算したものとなる。
次に、第1のコンデンサ回路181に対して、更に第2のコンデンサ回路182を結合した状態では、第1のコンデンサ回路181の端子部材1814の他端1814bと、第2のコンデンサ回路182の端子部材1824の一端1824aとが電気的に接続され、また、第1のコンデンサ回路181の端子部材1815の他端1815bと、第2のコンデンサ回路182の端子部材1825の一端1825aとが電気的に接続される。そして、図8に示すように、第2のコンデンサ回路182の端子部材1826の他端1826bと、端子部材1825の他端1825bとの間には、キャップ19のコネクタ194を通じてプッシュスイッチ7が接続される。
したがって、端子部材1826の他端1826bと、端子部材1825の他端1825bとの間を短絡したときには、プッシュスイッチ7がオンと等価の状態となり、この状態では、コイル16に対して、第2のコンデンサ回路182に収納された複数個のチップコンデンサ183が、第1のコンデンサ回路181の複数個のチップコンデンサ183に加えて、互いに並列に接続される状態となる。なお、図8では、第2のコンデンサ回路182内には、4個のチップコンデンサ183の静電容量Cf〜Ciが収納され、コイル16のインダクタンスに対して並列に接続された状態を示している。この場合においても、複数個のチップコンデンサ183の静電容量Cf〜Ciは、互いに等しいものであっても良いし、異なるものであっても良い。
[電子インクカートリッジ10の組立及び共振周波数の調整]
電子インクカートリッジ10は、以下のようにして組み立てられる。また、コイル16のインダクタンスに対応して、コンデンサ回路18を構成する第1のコンデンサ回路181および第2のコンデンサ回路182のそれぞれの静電容量値を最適化することで、所望の共振周波数となるように調整がなされる。この場合に、電子インクカートリッジ10の組み立て、及び共振周波数の調整は、自動機が用いられて、自動的に行うことができる。
図1(B)を参照して説明すると、先ず、連結部材17と、コイル16が巻回されたフェライトコア15とを連結させる。具体的には、連結部材17に形成された中心軸位置の位置決め用の突部17cとフェライトコア15に形成された凹部15aを嵌合させるとともに、フェライトコア15に巻回されたコイル16の一端16a及び他端16bを連結部材17に設けられた端子部材172,173の一方の端部172a、173aにそれぞれ接続する。
次に、フェライトチップ13に形成された凹部13aと芯体11の鍔部11aの上面に形成された突部11bとが嵌合されるとともに、芯体11の先端側にコイルバネ12が装着され、フェライトチップ13の突部13bの周囲にOリング14が配置されて、第1の筒状体5Aの中空部内に、開口5Aa側を先端として、開口5Ab側から、中心軸方向に挿入される。芯体11は、コイルバネ12により、常に、その先端側とは反対側に付勢される状態で、その先端側が第1の筒状体5Aの開口5Aaから延出されるようにされる。
そして、互いが連結された連結部材17とコイル16が巻回されたフェライトコア15が、フェライトコア15がOリング14を介してフェライトチップ13と対向するように、第1の筒状体5A内の中心軸方向に挿入される。
このとき、連結部材17の外周面のリング状凹溝17a,17bが、第1の筒状体5Aの内壁面に設けられているリング状突部5Ad、5Aeに嵌合して、連結部材17は、第1の筒状体5A内に係止される。そして、この実施形態では、第1の筒状体5Aの中空部内の芯体11の先端側に、コイルバネ12が配置されているので、このコイルバネ12により、芯体11、フェライトチップ13、Oリング14は、常に、コイル16が巻回されたフェライトコア15側に付勢されることで、それら各部材のガタツキが防止される。
この状態においては、連結部材17の、フェライトコア15の接合部とは反対側の端面は、第1の筒状体5Aの開口5Abで露呈する状態となる。したがって、連結部材17の当該端面に形成されている端子部材172のリング状電極導体172cと、端子部材173の挿入孔173dが外部から接触可能となる(図3(C)参照)。
この実施形態では、この状態において、インダクタンス測定装置に接続されているプローブ端子を、連結部材17の端面に設けられた端子部材172のリング状電極導体172cと、端子部材173の挿入孔173dのそれぞれに電気的に接触させる。そして、実際の使用状態と同じ状態で第1の筒状体5Aに収納されたコイルのインダクタンスを測定することができるために、コイルのインダクタンスを測定することで所望の共振周波数に対するコンデンサの静電容量を算出することができる。なお、インダクタンス測定装置で測定されるコイル16のインダクタンスは、芯体11に押圧力が印加されていない状態でのインダクタンスである。
こうして第1の筒状体5Aに収納されたコイル16のインダクタンスが測定されたら、次には、そのインダクタンスのコイル16と並列共振回路を構成して所望の共振周波数となるような静電容量を算出し、その算出した静電容量となるように、第1のコンデンサ回路181のホルダー1810内に複数個のチップコンデンサ183を収納する。このとき、ホルダー1810の中空部1811に収納されるチップコンデンサ183の数が、中空部1811内に収納可能な最大数に満たないときには、チップコンデンサ183と同様の形状で静電容量が実質的にゼロのダミー部品(ダミーコンデンサ)を、チップコンデンサ183に積層することで収納個数が常に既定数となるようにする。これにより、中空部1811には、最適な数のチップコンデンサ183が収納されるとともに、複数のチップコンデンサ183が互いにしっかりと積層されることで電気的接続が確保される。なお、この例では、第1のコンデンサ回路181のホルダー1810内に収納された複数のチップコンデンサ183は中空部1811の開口部に設けられている爪部1812,1813により、中空部1811内に係止される。
所望の共振周波数となるように、測定されたインダクタンスの値に基づいて第1のコンデンサ回路181の静電容量の値が設定されると、次に第2のコンデンサ回路182の静電容量の値が設定される。第1のコンデンサ回路181の静電容量の値は、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)7が操作されていないとき(スイッチオフ状態またはオン状態のいずれか一方)の、所望の共振周波数と、測定されたインダクタンスの値とから設定することができる。
これに対し、第2のコンデンサ回路182の静電容量の値は、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)7が操作されたとき(スイッチオフ状態またはオン状態の他方)に所望する共振周波数となるようにするために設定するものであり、その値は測定されたインダクタンスの値と第1のコンデンサ回路181の静電容量の値に依存する。
すなわち、実際の使用状態と同じ状態で第1の筒状体5Aに収納されたコイルのインダクタンスが測定され、コイル16と第1のコンデンサ回路181とで構成される共振回路の共振周波数は既知であるために、第1のコンデンサ回路181の静電容量の値は算出可能である。したがって、第1のコンデンサ回路181の静電容量値としては、この算出された静電容量の値と同じあるいは近い値が設定される。
また、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)7を操作することで変移させる共振周波数は既知であることから、測定されたインダクタンスの値と第1のコンデンサ回路181の静電容量の値に依存して、第1のコンデンサ回路181に並列接続させる第2のコンデンサ回路182が備えるべき静電容量の値も算出可能である。
このことを、詳説すると、実際の使用状態と同じ状態で第1の筒状体5Aに収納されたコイルのインダクタンスがL1、プッシュスイッチ7が操作されていないときの共振周波数をf1、プッシュスイッチ7が操作されたときの共振周波数をf2、第1のコンデンサ回路181の静電容量をC1、第2のコンデンサ回路182の静電容量をC2とすると、
f1=(L1・C1)1/2
f2=(L1・(C1+C2))1/2となり、
C1=f12/L1
C2=f22/L1−C1となる。
すなわち、共振周波数はf1であり、実際の使用状態と同じ状態で第1の筒状体5Aに収納されたコイルのインダクタンスがL1として測定されるため、第1のコンデンサ回路181の静電容量C1は算出可能である。また、実際に第1のコンデンサ回路181の静電容量として設定された値が、静電容量の測定により、C1に近いC11であったとすると、第2のコンデンサ回路182の静電容量として設定すべき値C2は、f22/L1−C11として算出される。
電子インクカートリッジ10の組み立てを更に説明する。上述したように、実際の使用状態と同じ状態で第1の筒状体5Aに収納されたコイルのインダクタンスが測定され、測定されたインダクタンスの値に基づいて第1のコンデンサ回路181に実際に設定された静電容量の値が測定されると、第2のコンデンサ回路182に設定すべき静電容量の値は、測定されたインダクタンスの値と第1のコンデンサ回路181に実際に設定された静電容量の値に基づいて算出可能である。第2のコンデンサ回路182には、この算出された静電容量の値と同じ値あるいは近い値が設定される。
上述のようにしてそれぞれの静電容量の値が設定された第1のコンデンサ回路181と第2のコンデンサ回路182が、図6(D)を参照して説明したように、互いに機構的ならびに電気的に連結される。
なお、図8及び図6(C)に示すように、第1のコンデンサ回路181と第2のコンデンサ回路182が互いに連結された場合であっても、第1のコンデンサ回路181の静電容量の値は、第2のコンデンサ回路182の端面に設けられた端子部材1824の他端1824bと端子部材1825の他端1825bを使用して測定することができる。同様にして、第2のコンデンサ回路182の静電容量の値は、第2のコンデンサ回路182の端面に設けられた端子部材1824の他端1824bと端子部材1826の他端1826bを使用して測定することができる。更には、第1のコンデンサ回路と第2のコンデンサ回路が並列接続された際の全体としての静電容量の値は、端子部材1825の他端1825bと端子部材1826の他端1826bを接続して、端子部材1824の他端1824bと端子部材1825の他端1825bを使用して測定することができる。
更には、後述するように、第2のコンデンサ回路182が連結された第1のコンデンサ回路181を、図3(C)に示される連結部材17の端面に衝合させることで、リング状電極導体172cと端子部材173の他方の端部173cとにそれぞれ電気的に連結させた場合には、第2のコンデンサ回路182の端面に設けられた端子部材1824の他端1824bと端子部材1825の他端1825bを使用して、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)7の操作有無に対応した共振周波数を測定することができる。
次に、第2のコンデンサ回路182が連結された第1のコンデンサ回路181は連結部材17に連結させる。具体的には、棒状体に形成された端子部材1815の一端1815aを連結部材17の挿入孔173dに挿入して連結部材17に設けられた端子部材173の他方の端部173cに連結すると共に、端子部材1814の一端1814aを、連結部材17のリング状電極導体172cに衝合させるようにして連結する。
この状態では、第2のコンデンサ回路182の開放端面において、端子部材1824の他端1824b、端子部材1825の他端1825b及び端子部材1826の他端1826bがそれぞれ露呈している状態となっている(図6(C)参照))。そして、この露呈している端子部材1824の他端1824b及び端子部材1825の他端1825bに対して、共振周波数の測定器のプローブ端子を押圧接触させることで、コイル16と第1のコンデンサ回路181の静電容量とからなる並列共振回路の共振周波数を測定し、所定の共振周波数となっていることを確認することができる。更には、端子部材1826の他端1826bを端子部材1825の他端1825bに短絡させて測定することで、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)7が操作されたときの共振周波数を測定することができる。
上述の共振周波数の確認作業が終了したら、連結部材17に連結された第1のコンデンサ回路181及び第2のコンデンサ回路182を第2の筒状体5Bの中空部に収納して、第2の筒状体5Bの一端側の開口の内壁面に形成されたネジ部5Baと第1の筒状体5Aの開口5Abの外周側面に形成されたネジ部5Acとを螺合させて、一体的な筒状体を形成する。
以上のようにして、第1のコンデンサ回路181と第2のコンデンサ回路182とからなるコンデンサ回路18の共振周波数の確認が終了した後には、キャップ19の径小部195を、第2の筒状体5B内に、位置決め用溝5Bcに突部19cを係合させるようにして挿入する。すると、キャップ19のリング状溝部19aと第2の筒状体5Bのリング状突部5Bbが嵌合して、キャップ19が第2の筒状体5B内に対して係止される。このとき、第2のコンデンサ回路182の端子部材1825の一端1825a及び端子部材1826の他端1826bが、キャップ19の端子部材193の一端193a及び端子部材192の一端192aとそれぞれ接続される。
以上のようにして、電子インクカートリッジ10が組み立てられる。この電子インクカートリッジ10は、内蔵するコイル16とコンデンサ回路18とからなる並列共振回路の共振周波数が、プッシュスイッチ7がオフ及びオンのいずれの状態における状態についても、調整済みとなっている。したがって、この実施形態では、当該電子インクカートリッジ10を位置指示器1の筐体2に収納したときには、共振周波数の調整は、もはや無用となる。
そして、この第1の実施形態では、第1の筒状体5Aの中空部内に、芯体11と、インダクタンス可変のコイル16(フェライトチップ13とOリング14とフェライトコア15を含む)と、連結部材17とが中心軸方向に順次に並べられて収納されており、連結部材17の端面には、コンデンサ回路18との接続用の端子であって、コイル16の一端及び他端と接続されている端子(リング状電極導体)172c、端子(他方の端部)173cが、外部から接触可能な状態で形成されている。
このため、第1の筒状体5A内に収納された状態のコイル16のインダクタンスを、連結部材17の端面に設けられた端子を用いて測定することが可能となる。これにより、共振周波数が所望の値となるように、コイル16と共に並列共振回路を構成するコンデンサの静電容量値を算出できる。
そして、上述の実施形態では、コイル16の一端及び他端に接続されている連結部材17に設けられた端子が、第1の筒状体5Aから露呈するように構成されているので、静電容量が調整されたコンデンサ回路18の一方の電極及び他方の電極を、当該コイル16の一端及び他端に接続されている連結部材17に設けられた端子に接続するように、コンデンサ回路18を連結部材に結合するだけで、位置指示器を構成することができ、構成が非常に簡単になる。
さらに、この実施形態においては、芯体11、インダクタンス可変のコイル16、連結部材17、及びコンデンサ回路18の全てが、電子インクカートリッジ10内に挿入されていると共に、電子インクカートリッジ10は、共振周波数の調整が既になされた状態で組み上げられている。したがって、単に、電子インクカートリッジ10を、位置指示器の筐体内に収納するだけで、位置指示器を構成することができる。このため、電子インクカートリッジ10を、いわゆるボールペンなどの替え芯のように扱うことができる位置指示器を実現することができる。
また、上述したように、この実施形態では、電子インクカートリッジ10の筒状体5内には、その中心軸方向に、全ての構成部品を並べて順次に配置して、電気的に接続すると共に、機構的な結合も行うように構成したので、上述の例のような例えば2.5mmの径というような細型の電子インクカートリッジの構成とすることも容易に実現できるという効果もある。
[位置指示器の筐体への電子インクカートリッジの収納]
この実施形態の電子インクカートリッジ10は、図2(A)に示すように、位置指示器1の筐体2の下部ハーフ3に対して装着されて、筐体2内に収納される。筐体2の下部ハーフ3には、プッシュスイッチ7が、電子インクカートリッジ10を挿入するに先立ち、以下に説明するように設けられている。
すなわち、下部ハーフ3の周側面の一部には、例えば円形または楕円形の貫通孔3dが設けられており、この貫通孔3dに、プッシュスイッチ7を押下するための押圧操作子8が配される。押圧操作子8は、例えば弾性ゴムなどの弾性体からなる。
プッシュスイッチ7は、図2(B)に示すように、下部ハーフ3の内径にその外径がほぼ等しいリング状部材6の、周方向の一部が切り欠かれた部分6a内に配置される。このリング状部材6は、電子インクカートリッジ10の筒状体5の外径よりも大きい径の貫通孔6bを備えている。そして、このリング状部材6は、プッシュスイッチ7の被押下面7aが、押圧操作子8を介して押下可能とされる位置となるように、下部ハーフ3の中空部3b内に収納される。
ここで、この実施形態では、下部ハーフ3の中空部3bの開口3a側の径が、他の部分よりも若干小さくされることで、段部3eが形成されるようにされている。この段部3eの位置は、リング状部材6が、この段部3eと係合して中心軸方向の位置が規制されることで、下部ハーフ3の中空部3b内に収納されるプッシュスイッチ7の被押下面7aが押圧操作子8に対応する中心軸方向位置となるような位置とされている。
したがって、プッシュスイッチ7を取り付けたリング状部材6を下部ハーフ3内の段部3eの位置まで挿入し、プッシュスイッチ7の被押下面7aが押圧操作子8に対応するように回転方向位置を定めることで、プッシュスイッチ7の位置決めができる。位置決めがなされた後には、例えば接着材により、リング状部材6が下部ハーフ3に固定される。
この例の場合、プッシュスイッチ7からは、図2(B)に示すように、その電気的接続のためのフレキシブル基板からなるリード部(以下、フレキシブルリード部という)9が導出されている。そして、下部ハーフ3の電子インクカートリッジ10のキャップ19と螺合する周部の一部には、図2(A)のA−A断面図である図2(C)に示すように、キャップ19との間で空隙を生じるようにする案内溝3fが形成されている。プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9は、図2(A)及び図2(C)に示すように、この案内溝3fを通じて、下部ハーフ3の外部に導出可能とされる。
以上のようにして、この第1の実施形態においては、プッシュスイッチ7が内部に取り付けられた筐体2の下部ハーフ3の中心軸方向に、電子インクカートリッジ10を、芯体11側とは反対の側から挿入する。この場合に、図2(A)に示すように、電子インクカートリッジ10は、筒状体5から延出されている芯体11が、筐体2の下部ハーフ3の開口3aから外部に延出されるように、リング状部材6の貫通孔6bを通して、下部ハーフ3の中心軸方向に挿入されている。
下部ハーフ3の開口3aは、芯体11の径よりは大きいが、電子インクカートリッジ10の筒状体5の径よりも小さいものとされている。したがって、電子インクカートリッジ10は、その筒状体5の芯体11側が下部ハーフ3の開口3a側の内壁の端部と係合して、その中心軸方向の位置が規制される。
そして、この電子インクカートリッジ10を下部ハーフ3に挿入するに当たっては、プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9を、案内溝3fを通じて、電子インクカートリッジ10のキャップ19側に導出しておくようにする。そして、電子インクカートリッジ10のキャップ19のネジ部19bを、下部ハーフ3のネジ部3cにねじ込むことで、電子インクカートリッジ10を下部ハーフ3に固定する。
その後、プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9の先端を、電子インクカートリッジ10のキャップ19に形成されているコネクタ194に嵌合させることで、電気的に接続する。その後、下部ハーフ3に対して上部ハーフ4を圧入嵌合することで、この実施形態の位置指示器1が完成となる。
以上のように、この実施形態に位置指示器1は、電子インクカートリッジ10を、下部ハーフ3に対して着脱自在に取り付け可能であり、前述したように、電子インクカートリッジ10を、容易に交換可能となる。そして、プッシュスイッチ7は、電子インクカートリッジ10を下部ハーフ3に取り付けた後に接続することができ、その接続も容易であるという効果もある。
[指示位置検出及び筆圧検出の回路構成]
この実施形態の位置指示器1において、芯体11に押圧力(筆圧)が印加されると、フェライトチップ13が、Oリング14を介してフェライトコア15側に偏倚して近づくことでコイル16のインダクタンスが変化し、そのインダクタンスの変化に応じて共振周波数が変化する。すなわち、共振回路のコイル16から送信される電磁誘導信号の共振周波数(位相)が変化する。したがって、この例の位置指示器1を用いることで、以下に説明するような図9に示す回路構成を有する位置検出装置において、位置指示器1の指示位置と、位置指示器1における筆圧の検出が可能となる。
上述した位置指示器1を用いて指示位置の検出および筆圧の検出を行う位置検出装置200における回路構成例について、図9を参照して説明する。図9は、位置指示器1及び位置検出装置200の回路構成例を示すブロック図である。
位置指示器1は、インダクタンス可変のコイル16と、第1のコンデンサ回路181と第2のコンデンサ回路182から構成されるコンデンサ回路18を備えている。第1のコンデンサ回路181の静電容量及び第2のコンデンサ回路182の静電容量との組み合わせからなるそれぞれの共振回路を備えており、共振周波数を切り替えるプッシュスイッチ7で位置指示器1の共振回路が切り替えられる。
位置指示器1は、上述したように、プッシュスイッチ7のオン・オフに応じて、コイル16に並列に接続されるコンデンサ回路が変更されることで、共振回路の共振周波数が変化する。位置検出装置200では、位置指示器1の共振回路の共振周波数の周波数偏移(位相)を検出することで、後述するような筆圧の検出やプッシュスイッチ7の操作状況を検出するようにする。
位置検出装置200には、X軸方向ループコイル群211Xと、Y軸方向ループコイル群212Yとが積層されて位置検出コイルが形成されている。各ループコイル群211X,212Yは、例えば、それぞれn,m本の矩形のループコイルからなっている。各ループコイル群211X,212Yを構成する各ループコイルは、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
また、位置検出装置200には、X軸方向ループコイル群211X及びY軸方向ループコイル群212Yが接続される選択回路213が設けられている。この選択回路213は、2つのループコイル群211X,212Yのうちの一のループコイルを順次選択する。
さらに、位置検出装置200には、発振器221と、電流ドライバ222と、切り替え接続回路223と、受信アンプ224と、検波器225と、低域フィルム226と、サンプルホールド回路227と、A/D変換回路228と、同期検波器229と、低域フィルム230と、サンプルホールド回路231と、A/D変換回路232と、処理制御部233とが設けられている。処理制御部233は、例えばマイクロコンピュータにより構成されている。
発振器221は、周波数f0の交流信号を発生する。そして、発振器221で発生した交流信号は電流ドライバ222と同期検波器229に供給される。電流ドライバ222は、発振器221から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路223へ送出する。切り替え接続回路223は、処理制御部233からの制御により、選択回路213によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ222が、受信側端子Rには受信アンプ224が、それぞれ接続されている。
選択回路213により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路213及び切り替え接続回路223を介して受信アンプ224に送られる。受信アンプ224は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器225及び同期検波器229へ送出する。
検波器225は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルム226へ送出する。低域フィルム226は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器225の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路227へ送出する。サンプルホールド回路227は、低域フィルム226の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路228へ送出する。A/D変換回路228は、サンプルホールド回路227のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理制御部233に出力する。
一方、同期検波器229は、受信アンプ224の出力信号を発振器221からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルム230に送出する。この低域フィルム230は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器229の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路231に送出する。このサンプルホールド回路231は、低域フィルム230の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路232へ送出する。A/D変換回路232は、サンプルホールド回路231のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理制御部233に出力する。
処理制御部233は、位置検出装置200の各部を制御する。すなわち、処理制御部233は、選択回路213におけるループコイルの選択、切り替え接続回路223の切り替え、サンプルホールド回路227、231のタイミングを制御する。処理制御部233は、A/D変換回路228、232からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群211X及びY軸方向ループコイル群212Yから一定の送信継続時間をもって電磁誘導信号を送信させる。
X軸方向ループコイル群211X及びY軸方向ループコイル群212Yの各ループコイルには、位置指示器1から送信される電磁誘導信号によって誘導電圧が発生する。処理制御部233は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて位置指示器1のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理制御部233は、送信した電磁誘導信号と受信した電磁誘導信号との位相差に応じた信号のレベルに基づいて、プッシュスイッチ7が押下されたか否かを検出する。
このようにして、位置検出装置200では、接近した位置指示器1の位置を処理制御部233で検出することができる。しかも、位置検出装置200の処理制御部233は、受信した信号の位相(周波数偏移)を検出することにより、位置指示器1の芯体に印加された筆圧を検出することができると共に、位置指示器1においてプッシュスイッチ7がオンとされたか否かを検出することができる。
以上のようにして、位置検出装置200では、位置指示器1の共振回路の共振周波数の周波数偏移(位相)を検出することで、筆圧検出やプッシュスイッチ7のオンを検出するようにする。
なお、上述の第1の実施形態の電子インクカートリッジでは、筒状体5の中空部内には、芯体11、フェライトコア15に巻回されたコイル16及びコンデンサ回路18を収納するようにした。しかし、筒状体には、コンデンサ回路18を収納しないようにしても良い。すなわち、例えば、電子インクカートリッジを、芯体11及びフェライトコア15に巻回されたコイル16を収納した図1の第1の筒状体5Aの部分からなるものとしてもよい。その場合には、第1の筒状体5Aの開口5Ab側のネジ部5Acを、当該第1の筒状体5Aの直径よりも大径の部分に形成し、その形成したネジ部5Acを例えばキャップ19のネジ部19bと同様に、筐体2の下部ハーフ3に形成したネジ部3cと同様のネジ部に螺合させることで、電子インクカートリッジを、筐体2内に係止させるようにすることができる。
また、その例の場合には、電子インクカートリッジの筒状体5Aの開口5Ab側において、連結部材17の端面が露呈されているので、コンデンサ回路18は、上述の実施形態の説明と同様にして、連結部材17に嵌合させることで筐体内に収納させることができる。なお、その場合に、電子インクカートリッジの筒状体5Aの長さを、上述の実施形態よりも長くして、開口5Ab側においては、連結部材17の端面と、筒状体5Aの開口5Abの端面との間で、凹部を形成し、コンデンサ回路18の一部をその凹部内に収納することができるようにしてもよい。そして、その場合には、その凹部内に収納されるコンデンサ回路18部分においては、周面にリング状突部を設けると共に、当該凹部の筒状体5Aの中空部の内壁面には、対応するリング状凹溝を形成しておき、コンデンサ回路18のリング状突部を、筒状体5Aのリング状凹溝に嵌合させることで、コンデンサ回路18を、電子インクカートリッジの開口5Ab側に係止させることができる。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、第1の磁性体としてのフェライトコアの位置は固定とし、第2の磁性体としてのフェライトチップを芯体に印加される押圧力に応じて中心軸方向に偏倚させて、フェライトコアとフェライトチップとの間の距離を変化させることで、フェライトコアに巻回されているコイルのインダクタンスを、押圧力に応じて変化させるようにした。
以下に説明する第2の実施形態は、第1の磁性体としてのフェライトコアを、芯体に印加される押圧力に応じて中心軸方向に偏倚させることで、フェライトコアとフェライトチップとの間の距離を変化させ、フェライトコアに巻回されているコイルのインダクタンスを、押圧力に応じて変化させるようにする。
図10は、この第2の実施形態の位置指示器の主要部である電子インクカートリッジ20の構成例を示す図である。図10(A)は、電子インクカートリッジ20の内部構成を説明するための断面図である。この例においても、説明の便宜上、電子インクカートリッジ20の筒状体50の内部の一部の構成部品については、図10(A)では断面とせず、後述するように、別途、断面図を用意した。また、図10(B)は、電子インクカートリッジ20の全体の構成を説明するための分解斜視図である。
なお、この第2の実施形態の位置指示器の筐体の構成、及びプッシュスイッチ7の当該筐体への取り付け構造は、第1の実施形態と同様とされるので、その図示および説明は省略する。
図10(A),(B)に示すように、電子インクカートリッジ20においても、電磁誘導方式の位置指示器の構成部品は、筒状体50内にすべて収納されるが、この第2の実施形態では、筒状体50は、2分されず、単体の構成とされる。そして、この第2の実施形態の筒状体50も、外径が例えば2.5mm、内径が例えば1.5mm〜2mmとされた細型形状とされている。また、筒状体50は、非磁性体金属、樹脂材、ガラス、セラミックなどの非磁性体、例えばSUS305,SUS310などの素材で構成されている。
筒状体50の中心軸方向の一端側には、芯体21の先端を延出するための開口50aが設けられている。この開口50aの径は、筒状体50の内径よりも小さい。また、筒状体50の中心軸方向の他端側は、その内径の全体が開口50bとされている。そして、この開口50b側には、前述の第1の実施形態における第2の筒状体5Bと同様に、中心軸方向に沿う溝50fが、周方向の位置決め用として形成されている。
そして、図10(A)及び図10(B)に示すように、筒状体50内には、開口50a側から見て、コイルバネ22、芯体21、コイル24が巻回された第1の磁性体の例としてのフェライトコア23、Oリング25、第2の磁性体の例としてのフェライトチップ26、及び連結部材27、コンデンサ回路28の順に、それら各部品の中心軸方向が筒状体50の中心軸方向となるような状態で、順次に並べられて収納される。そして、筒状体50の開口50bに、キャップ29が挿入されて、筒状体50の開口50bが閉塞される。
なお、この第2の実施形態では、第1の実施形態の場合と異なり、筒状体50の中心軸方向の所定位置に連結部材27が収納された時点で、この連結部材27の側周面に対応する筒状体50の側周面位置50c,50dを絞ることにより筒状体50の内周面に突部を形成することで、筒状体50に連結部材27を圧接挟持させて、連結部材27が中心軸方向に移動しないように位置規制させる。
また、筒状体50の他端側の開口近傍の内壁面には、非磁性体例えば樹脂からなるキャップ19の径小部195の外周に形成されているリング状溝部19aと嵌合するリング状突部50eが、例えば筒状体50が当該位置で絞られることで形成されている。したがって、キャップ19を筒状体50に挿入したときには、キャップ19の径小部195の外周に形成されたリング状溝部19aと筒状体50の内壁面に形成されたリング状突部50eが嵌合することによりキャップ19が圧接挟持されて、キャップ19が筒状体50の開口50bから離脱しないようにされる。
キャップ19の径大部196には、位置指示器の筐体2の下部ハーフ3に形成されているネジ部3c(図2(A)参照)に、螺合するネジ部19bが形成されている。
筒状体50の内部に収納される各部の構成及び電子インクカートリッジ20の組立、更に共振周波数の調整について、更に説明する。
この第2の実施形態における芯体21は、例えば樹脂で構成され、図10(B)に示すように、筒状体50の開口50aから延出される棒形状の先端部と、筒状体50内で中心軸方向に移動可能となるように、筒状体50の内径よりも若干小さい径の鍔部21aを備えると共に、この鍔部21aの上面のほぼ中央に突部21bを備える。
そして、この第2の実施形態においては、コイル24が巻回されているフェライトコア23の芯体21側の中心軸方向の端面のほぼ中央に、芯体21の突部21bが嵌合する凹部23aが形成されている。芯体21は、突部21bがフェライトコア23の凹部23aに嵌合されて位置合わせされると共に、鍔部21aの上面が、フェライトコア23の端面と、例えば接着材などにより接着されて、フェライトコア23に結合される。
フェライトコア23の芯体21側とは中心軸方向に反対側の端面のほぼ中央には、位置合わせ用の凹部23bが形成されている。このフェライトコア23の凹部23bには、図10(A)に示すように、例えばゴムなどの弾性体からなるOリング25及びフェライトチップ26を介して、連結部材27の端面から形成されている突部27aが挿入される。フェライトチップ26には、この例では、連結部材27の突部27aが挿通される貫通孔26aが形成されている。連結部材27の突部27aの中心軸方向の長さは、フェライトコア23の凹部23bに、Oリング25及びフェライトチップ26を介して挿入される長さであって、且つ、フェライトコア23が、芯体21に印加される押圧力に応じて、中心軸方向に、連結部材27の方に偏倚可能となる長さとされる。
図11は、連結部材27の構成例を示す図である。図11(A)は、連結部材27を、フェライトコア23の端面と対向する側から見た図、図11(B)は、図11(A)のF−F断面図である。また、図11(C)は、連結部材27を、コンデンサ回路28と連結する側から見た図である。
第1の実施形態における連結部材17と同様に、連結部材27は、図11(A),(B)に示すように、円柱状の樹脂部材からなる本体部271に、コイル24の一端24a及び他端24bと、コンデンサ回路28の一端及び他端とのそれぞれの電気的な接続をするための、弾性を有する端子部材272,273をインサートして成型したものである。そして、本体部271のフェライトコア23側の端面の中央に、位置決め用の突部27aが形成されている。この例では、突部27aは、断面が円形の棒状とされている。
そして、図11(A),(B)に示すように、連結部材27の本体部271の周側面の、この例では、互いに180度角間隔だけ離れた位置には、円柱の中心軸方向に沿う方向に凹溝274,275が形成されている。この凹溝274、275内には、端子部材272,273の一方の端部272a、273aが、周方向に直交する方向に植立されている。そして、当該植立されている状態の端子部材272,273の一方の端部272a、273aには、図11(A)に示すように、V字型切れ込み272b,273bが形成されている。図11(B)に示すように、コイル24の一端24aを、端子部材272の一方の端部272aのV字型切れ込み272bに圧入して、互いに電気的に接続をすると共に、コイル24の他端24bを、端子部材273の一方の端部273aのV字型切れ込み273bに圧入して、互いに電気的に接続するようにする。
連結部材27の端子部材272の他方の端部は、図11(B)及び(C)に示すように、コンデンサ回路28の端面と対向する端面において、リング状の電極導体272cとして形成されている。
また、連結部材27の端子部材273の他方の端部は、端子部材272の他端部のリング状電極導体272cとは非接続の状態で、当該リング状電極導体272cの内側の円形導体273cとされる。以上のように構成された端子部材272の他方の端部のリング状電極導体272c及び端子部材273の他方の端部の円形導体273cは、後述するように、コンデンサ回路28の一方及び他方の端子と接続される。
この場合に、コイル24の一端24a及び他端24bと、連結部材27の端子部材272の一方の端部272aのV字型切れ込み272b及び、端子部材273の一方の端部273aのV字型切れ込み273bとの接続は、連結部材27の突部27aを、フェライトチップ26の貫通孔26a及びOリング25の貫通孔を通して、フェライトコア23の凹部23bに挿入した状態で行われる。したがって、コイル24が巻回されているフェライトコア23と連結部材27とが、Oリング25及びフェライトチップ26を介して連結されたものは、一つの構成部品として取り扱うことができる。
なお、コイル24の一端24a及び他端24bは、連結部材27の凹溝274,275内で、端子部材272,273の一方の端部272a,273aとそれぞれ接続されており、コイル24の一端24a及び他端24bは、筒状体50の内壁面と接触することはない。
そして、この第2の実施形態では、コイル24が巻回されたフェライトコア23の一端面にはコイルバネ22が装着された芯体21が接合され、フェライトコア23の他端面にはOリング25及びフェライトチップ26を介して連結部材27が対向するとともに連結部材27の端面から形成されている突部27aがフェライトコア23の凹部23bに挿入された状態で、筒状体50の中空部内に、開口50a側を先端として開口50b側から挿入される。芯体21は、コイルバネ22により、常に、その先端側とは反対側に付勢される状態で、その先端側が筒状体50の開口50aから延出されるようにされる。
この第2の実施形態では、連結部材27がコイルバネ22の偏倚力に抗して若干押圧された状態となるような筒状体50内の中心軸方向の所定位置に、連結部材27が挿入されたら、所定の治具により筒状体50の前述した位置50c,50dにおいて絞り、連結部材27が筒状体50内で中心軸方向に移動しないように係止される。
この状態では、筒状体50の中空部内の芯体21の先端側に配置されているコイルバネ22により、芯体21が結合されたフェライトコア23、Oリング25、フェライトチップ26は、常に、連結部材27側に付勢され、位置指示器を構成する各部材のガタツキが防止される。
このとき、筒状体50内の連結部材27のコンデンサ回路28側の端面は、リング状電極導体272c及び円形導体273cが筒状体50内で露呈する状態となっている。このため、この実施形態では、この状態でコイル24のインダクタンスを測定するために、連結部材27のリング状電極導体272c及び円形導体273cとそれぞれ電気的に接続する電極端子を備えた測定治具が、筒状体50内に挿入される。この測定治具はインダクタンス測定装置に接続されており、芯体21に押圧力が印加されていない状態におけるコイル24のインダクタンスが測定される。
こうしてコイル24のインダクタンスが測定されたら、記述したように、そのインダクタンスのコイル24と並列共振回路を構成して所望の共振周波数となるような静電容量が算出されて、その算出した静電容量値に設定されたコンデンサ回路28が、筒状体50に収納される。
このコンデンサ回路28の回路構成は、第1の実施形態におけるコンデンサ回路18と同様であり、第1のコンデンサ回路281と、第2のコンデンサ回路282とからなる。そして、この第2の実施形態においては、図3に示す連結部材17の端面に形成された端子部材の形状とは異なった形状の端子部材を備えている。すなわち、図11に示すように、連結部材27の端面にはリング状電極導体272c及び円形導体273cが形成されており、第1のコンデンサ回路281の端子部材は、連結部材27の端面に形成された端子部材の形状に対応するような形状を備えている。連結部材27と第1のコンデンサ回路281との当接面に形成された端子部材以外の構成は、第1の実施形態と全く同様とされる。なお、第2のコンデンサ回路282においては、第1の実施形態のコンデンサ回路182と全く同様の構成とされるので、ここでは、その説明を省略する。
図12は、第2の実施形態におけるコンデンサ回路28を構成する第1のコンデンサ回路281の構成例を説明するための図である。図12(A)は、第1のコンデンサ回路281の、連結部材27と対向する端面側を示す図であり、また、図12(B)は、図12(A)のG−G断面図である。更に、図12(C)は、第1のコンデンサ回路281の、第2のコンデンサ回路282と対向する端面側を示す図である。この図12において、第1の実施形態における第1のコンデンサ回路181と同じ部分には、同一参照符号を付して、その説明は省略する。
すなわち、この第2の実施形態における第1のコンデンサ回路281は、前述した第1のコンデンサ回路181の端子部材1814及び1815に替えて、端子部材2814及び2815を備える。そして、この第1のコンデンサ回路281の端子部材2814及び2815は、図12(A)及び図12(B)に示すように、端子部材1814及び1815と同様に、ホルダー1810の、連結部材17に対向する端面とキャップ19に対向する端面との間を貫くように形成されるものである。しかしながら、この第1のコンデンサ回路281の端子部材2814の一端2814aは、連結部材27のリング状電極導体272cの幅に対応した形状を備えるとともに、弾性を備えて衝合するようにされている。端子部材2814の他端2814bは、端子部材1814の他端1814bと同様の構成を有する。端子部材2815の一端2815aは円形形状を有して連結部材27の円形導体273cに弾性衝合するようにされている。また、端子部材2815の他端2815bは、端子部材1815の他端1815bと同様の構成を有する。その他の構成は、第1のコンデンサ回路181と同様である。
そして、この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、この第1のコンデンサ回路281に設定すべき静電容量値が、前述したようにして測定されたコイル24のインダクタンスに基づいて算出されて実装される。この第1のコンデンサ回路281に連結された第2のコンデンサ回路282についても同様であり、コイル24のインダクタンスと第1のコンデンサ回路281に設定された静電容量値に基づいて、実装されるべき静電容量値が算出される。
そして、第1のコンデンサ回路281と第2のコンデンサ回路282が互いに連結されるとともに、それぞれの静電容量値が設定されたコンデンサ回路28が、筒状体50内に挿入されて、筒状体50内に係止されている連結部材27の端面に設けられたリング状電極導体272c及び円形導体273cと、端子部材2814の一端2814a及び端子部材2815の一端2815aとがそれぞれ衝合されることで、電気的に接続されるように連結する。
そして、第1の実施形態で説明したように、筒状体50の開口50bの側に露呈された第2のコンデンサ回路282の開放端面に設けられた端子(1824b、1825b、1826b)を利用して、所定の共振周波数となっていることを確認する作業が行われる。
なお、第2のコンデンサ回路282の外周部の所定位置には、中心軸方向に沿う突部282aが形成されている。この突部282aは、この第2のコンデンサ回路282の、筒状体50内での周方向の位置決め用である。
以上のようにして、第1のコンデンサ回路281と第2のコンデンサ回路282とからなるコンデンサ回路28の共振周波数の確認が終了した後には、第1の実施形態と同様に、筒状体50に対して、キャップ19の径小部195を、その突部19cが、筒状体50に形成された溝50f内に挿入係合される。キャップ19の径小部195の外周に形成されたリング状溝部19aが筒状体50の他端側の開口近傍の内壁面に形成されたリング状突部50eに、キャップ19によりコンデンサ回路28を若干押圧する状態となるように、嵌合される。
以上のようにして、電子インクカートリッジ20が組み立てられる。この電子インクカートリッジ20においては、芯体21に対して中心軸方向の押圧力が印加されたときには、フェライトコア23が、Oリング25を介してフェライトチップ26側に偏倚することで、フェライトコア23とフェライトチップ26との距離が変わり、コイル24のインダクタンスが変化する。そして、第1の実施形態と同様にして、コイル24のインダクタンスの変化に応じて、位置指示器の共振回路のコイル24から送信される電磁誘導信号の共振周波数(位相)が変化する。これにより、位置指示器の指示位置と筆圧の検出が可能となる。
そして、この電子インクカートリッジ20は、第1の実施形態の電子インクカートリッジ10と同様にして、筐体2に収納される。すなわち、図2に示したように、プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9を、案内溝3fを通じて、電子インクカートリッジ20のキャップ19側に導出しておくようにする。そして、電子インクカートリッジ20のキャップ19に形成されているネジ部19bを、下部ハーフ3のネジ部3cにねじ込むことで、電子インクカートリッジ20を下部ハーフ3に固定する。その後、プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9の先端を、電子インクカートリッジ20のキャップ19に形成されているコネクタ部194に嵌合させることで、電気的に接続する。その後、下部ハーフ3に対して上部ハーフ4を圧入嵌合することで、この実施形態の位置指示器1が完成となる。
この第2の実施形態の位置指示器は、筆圧検出のためのコイルのインダクタンスの可変のための構成が第1の実施形態と異なるだけで、上述した第1の実施形態と全く同様の作用効果が得られる。
[第3の実施形態]
次に、上述した実施形態の位置指示器においては、コイルとコンデンサとからなる並列共振回路を用いて、位置検出装置との間で電磁誘導信号の送受を行うことにより、指示体による指示位置及び位置指示器における筆圧を、位置検出装置が検出することができるようにした。しかし、位置指示器に信号処理回路を設けることにより、位置指示器や電子インクカートリッジに関連した情報として、例えば位置指示器や電子インクカートリッジの識別情報(ID)を、位置検出装置に送信するようにすることができる。識別情報(ID)は、電子インクカートリッジに関連した情報の例であり、この識別情報としては、電子インクカートリッジあるいは位置指示器に関する製造者、製品番号、製造日付、製造ロット番号、電磁誘導方式あるいは静電方式などの位置検出方式、インダクタンス可変あるいは静電容量可変に基づく筆圧検出方式、などを特定するための情報が、メモリ、レジスタなどの半導体素子内に登録される。
第3の実施形態は、電子インクカートリッジの識別情報を、位置検出装置に送信するようにした位置指示器1Bの場合である。図13は、第3の実施形態の位置指示器1Bの構成例を説明するための図である。この第3の実施形態の位置指示器1Bは、上述した第1の実施形態の電子インクカートリッジ10と同様の構成の電子インクカートリッジ10Bを備えると共に、情報送信回路としてのID送信回路300を備える。
この第3の実施形態の電子インクカートリッジ10Bは、第1の実施形態におけるキャップ19とは構成が異なるキャップ19Bを備えると共に、このキャップ19Bに対してID送信回路300を接続するように構成する。図13(A)は、図2(A)に示した第1の実施形態の位置指示器1の構成に対応する位置指示器1Bの構成例を示すものである。また、図13(B)〜(D)は、電子インクカートリッジ10Bのキャップ19Bの構成を説明するための図であり、第1の実施形態の図7(A)〜(C)のキャップ19の構成例に対応する図である。この図13において、図2及び図7に示した第1の実施形態の各部と同一の構成部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図13(B)〜(D)に示すように、第3の実施形態における電子インクカートリッジ10Bのキャップ19Bは、端子部材192及び193に加えて端子部材198を備える。この端子部材198の一端198aは、図13(B),(C)に示すように、キャップ19Bの、コンデンサ回路18の第2のコンデンサ回路182の端面と衝合する端面側に露呈され、且つ、例えば図6に示した第2のコンデンサ回路182の端子部材1824の他端1824bと衝合して電気的に接続されるように構成される。
また、キャップ19Bの平面197には、図13(A)及び(C)に示すように、コネクタ194に加えて、ID送信回路300と接続するための2端子のコネクタ199が形成されている。そして、端子部材198の他端は、図13(C)に示すように、このコネクタ199の2端子の一方の端子198bに接続されている。また、図13(C)に示すように、端子部材193はコネクタ194の他端193bに接続されているとともに、コネクタ199の他端193bbに接続されている。したがって、ID送信回路300はコイル16とコンデンサ回路18で構成される共振回路に並列接続される。
一方、ID送信回路300には、キャップ19Bに設けられたコネクタ199と接続するためのリード部310を備える。そして、図13(A)に示すように、ID送信回路300は、キャップ19Bの平面197に載置されると共に、リード部310が、キャップ19Bのコネクタ199に接続される。以上のようにして、図13(A)に示すように、ID送信回路300は、電子インクカートリッジ10Bが位置指示器1Bの筐体2内に装着されたときに、キャップ19Bと、筐体2の上部ハーフ4の中空部との間で形成される空間内に収納される。
図14は、位置指示器や電子インクカートリッジの識別情報(ID)を、位置検出装置に送信するように構成した場合の位置指示器1Bと、位置検出装置200Bとの回路構成を示す図である。図14では、電子インクカートリッジ10Bは、インダクタンスが筆圧に応じて可変となるコイル16に対して、第1のコンデンサ回路181が並列に接続されると共に、更に、第2のコンデンサ回路182とプッシュスイッチ7との直列回路が並列に接続された並列共振回路10Rとして示してある。プッシュスイッチ7は、図2に示したように、電子インクカートリッジ10のキャップ19のコネクタ194に接続される。
なお、並列共振回路10Rとしては、第2の実施形態の電子インクカートリッジ20の構成の場合の並列共振回路を同様に用いることができることは言うまでもない。
そして、コネクタ199の2端子198b及び193bbは、コイル16の一端及び他端にそれぞれ接続されており、このコネクタ199の2端子198b及び193bbが、ID送信回路300の2端子300a及び300bにそれぞれ接続される。
位置指示器1BのID送信回路300は、図14に示すように、ID発生制御回路としてのIC(Integrated Circuit;集積回路)301を備える。このIC301は、並列共振回路10Rにて位置検出装置200Bから電磁結合により受信した交流信号を、ダイオード302及びコンデンサ303からなる整流回路(電源供給回路)304にて整流して得られる電源Vccにより動作するように構成されている。そして、この例では、コネクタ199と電源供給回路304との間には、通常は開(ノーマルオープン)の状態とされるスイッチ回路305が設けられている。このスイッチ回路305は、例えば半導体スイッチ回路で構成され、開の状態では、高インピーダンスの状態となっている。
このスイッチ回路305は、スイッチ制御回路306からのスイッチ制御信号によりオンとなるように制御される。スイッチ制御回路306は、並列共振回路10Rにて位置検出装置200Bから電磁結合により受信した交流信号からスイッチ制御信号を生成する。
また、ID送信回路300においては、コイル16と、コンデンサ回路18(181、182)とにより構成される並列共振回路10Rに並列に、スイッチ回路307が接続されている。このスイッチ回路307は、IC301によりオン・オフ制御されるように構成されている。
IC301は、この例では、位置指示器1Bまたは電子インクカートリッジ10Bの製造者番号及び製品番号を記憶しており、それらの製造者番号及び製品番号を含むID信号を、スイッチ回路307をオン・オフ制御することで、例えば8ビットのデジタル信号として位置検出装置200Bに送信する。
一方、この図14の例の位置検出装置200Bは、図9に示した位置検出装置200の構成において、ゲインが固定の電流ドライバ222の代わりに、外部からのゲイン制御信号によりゲインの可変調整が可能な電流ドライバ222Bを設けると共に、処理制御部233の代わりに、処理制御部233Bを設ける構成とされる。その他の各部は、図9に示した位置検出装置200と全く同様である。
電流ドライバ222Bは、処理制御部233Bからのゲイン制御信号を受けて、送信信号の信号レベルを変更可能に構成されている。
また、処理制御部233Bは、例えばマイクロコンピュータにより構成されており、前述の処理制御部233と同様にして位置指示器1Bとの間での電磁誘導信号の送受により、位置指示器1Bにより指示された位置の検出、また、位置指示器1Bに印加された筆圧の検出を行うことに加え、電流ドライバ222Bに、送信信号を断続制御するための信号及び送信信号レベル制御のための信号を供給すると共に、位置指示器1BからのID信号の受信処理を行うようにする。処理制御部233Bは、後述するように、位置指示器1Bからの断続信号を、数ビット例えば8ビットのデジタル信号として検出して、ID信号を検出するようにする。
以下に、位置指示器1B及び位置検出装置200B間でのID信号の送受と、位置検出動作及び筆圧検出動作について説明する。図15は、位置指示器1BのIC301の処理動作を説明するためのフローチャートであり、後述するようにスイッチ回路305がオンとされて、IC301に、電源供給回路304から電源電圧Vccが供給されたときに、スタートから処理を開始する。
スイッチ回路305がオフで、電源供給回路304から電源電圧Vccが供給されていない状態ではIC301は動作を停止しており、このときには、コネクタ199から見たとき、ID送信回路300が高インピーダンスとなり、コネクタ199には、何も接続されていない状態と等価となる。したがって、このときには、並列共振回路10Rに対して容量成分が並列に接続することはなく、並列共振回路10Rの共振周波数は、ID送信回路300によって影響を受けることはないように構成されている。なお、IC301には
位置検出装置200Bとの間での電磁誘導信号の授受のための同期信号として、コンデンサ308を介して、位置検出装置200Bから送信された電磁誘導信号が供給される。
図16は、位置検出装置200Bの処理制御部233Bの処理動作を説明するためのフローチャートであり、位置検出装置200Bに電源が投入されているときには、この図16の処理を繰り返し実行する。
すなわち、処理制御部233Bは、先ず、電流ドライバ222Bに、送信信号の信号レベルを大とするゲイン制御信号を供給する。これにより、発振器221からの周波数f0の交流信号は、電流ドライバ222Bにより大レベルとされ、選択回路213を介してループコイル群211X,212Yに供給される(図16のステップS21)。
位置指示器1Bにおいては、この位置検出装置200Bからの大レベルの交流信号による電磁誘導信号を並列共振回路10Rで受信する。このとき、位置検出装置200Bからの交流信号の信号レベルが大きいことに対応して、スイッチ制御回路306は、並列共振回路10Rが受信した交流信号から、スイッチ回路305をオンにするスイッチ制御信号を生成する。これにより、スイッチ回路305がオンになると、並列共振回路10Rが受信した交流信号を整流して生成された電源電圧Vccが、電源供給回路304からIC301に供給される。
IC301に電源電圧Vccが供給されるとIC301は動作を開始する。IC301は、電子インクカートリッジ10の製造者番号及び製品番号を含むID信号をデジタル信号として生成する。そのデジタル信号により、スイッチ回路307がオン・オフ制御された電磁誘導信号が位置指示器1Bから、位置検出装置200Bに送信される(図15のステップS11)。
すなわち、スイッチ回路307がオフであるときには、並列共振回路10Rは、位置検出装置200Bから送信された交流信号に対して共振動作を行って、電磁誘導信号を位置検出装置200Bに返送することができる。位置検出装置203のループコイルは、位置指示器1Bの共振回路10Rからの電磁誘導信号を受信する。これに対して、スイッチ回路307がオンであるときには、並列共振回路10Rは、位置検出装置200Bからの交流信号に対する共振動作が禁止された状態になり、このために、並列共振回路10Rから位置検出装置200Bに電磁誘導信号は返送されず、位置検出装置200Bのループコイルは、位置指示器1Bからの信号を受信しない。
この例では、位置検出装置200Bの処理制御部233Bは、位置指示器1Bからの受信信号の有無の検出を8回行うことにより、8ビットのデジタル信号を受信する。すなわち、処理制御部233Bは、ステップS21では、電流ドライバ222Bをゲイン制御して、送信信号の信号レベルを大きく設定して送出する状態にすると共に、位置指示器1Bからの8ビットのID信号を検出するため、座標検出の際と同様なタイミングで送受信を8回継続して行う。
一方、位置指示器1BのIC301は、送信するID信号に対応した8ビットのデジタル信号を生成し、その8ビットのデジタル信号により、位置検出装置200Bとの間の電磁誘導信号の送受信に同期してスイッチ回路307をオン・オフ制御する。例えば、ID信号のビットが「1」であるときには、スイッチ回路307はオンにされる。すると、前述したように、位置指示器1Bからは、電磁誘導信号が位置検出装置200Bに返送されない。一方、ID信号のビットが「0」であるときには、スイッチ回路307はオフにされる。すると、前述したように、位置指示器1Bからは、電磁誘導信号が位置検出装置200Bに返送される。
したがって、位置検出装置200Bの処理制御部233Bは、位置指示器1Bからの受信信号の有無の検出を8回行うことにより、8ビットのデジタル信号であるID信号を受信することができる。
位置検出装置200Bの処理制御部233Bは、以上のような処理をすることにより、位置指示器1BからのID信号を受信したか否か判別し(ステップS22)、ID信号を所定の時間内に受信できなかったと判別したときには、ステップS21に戻り、大レベルでの送信信号の送信を所定回数継続して行う。なお、処理制御部233Bは、ID信号の受信処理を所定回数継続して行ってもID信号が受信できなかったときには、位置指示器1BにはID信号を送出する機能が備わっていないものと判断してID信号の受信処理をスキップさせる。
そして、ステップS22で、ID信号を受信したと判別したときには、処理制御部233Bは、電流ドライバ222Bのゲインを下げて、送信信号の信号レベルを、ステップS21での大レベルよりも所定のレベル(通常使用レベル)まで下げるようにする(ステップS23)。このときの所定のレベルは、位置指示器1Bによる指示位置の検出及び筆圧の検出が、位置指示器1Bの並列共振回路10Rとの間で可能であるが、位置指示器1Bのスイッチ制御回路306が、スイッチ回路305を、オンにすることができないレベルとされる。
こうして、位置検出装置200Bから送信された電磁誘導信号の信号レベルが所定レベル(通常使用状態)に設定されると、位置指示器1Bのスイッチ制御回路306はスイッチ回路305をオンとするスイッチ制御信号を出力しない。このため、電源供給回路304からの電源電圧VccのIC301への供給が停止し、IC301は、動作不能となるので、図15のフローチャートの処理は、終了となり、位置指示器1BはID信号の送信を停止する。
しかし、位置検出装置200Bから送信された電磁誘導信号の信号レベルが所定レベル(通常使用状態)に設定された状態は、図9の場合と全く同様の状態となるので、位置検出装置200Bの処理制御部233Bは、位置指示器1Bの並列共振回路10Rとの間での電磁誘導信号の送受により、上述した第1の実施形態で説明したようにして位置指示器1Bによる指示位置及び筆圧を検出する処理を行う(ステップS24)。
そして、処理制御部233Bは、位置指示器1Bの並列共振回路10Rからの電磁誘導信号の返送を監視し、当該電磁誘導信号の返送がなくなったために、位置指示器1Bを検出できない状態になったか否か判別する(ステップS25)。このステップS25で、位置指示器1Bを検出できていると判別したときには、処理制御部233Bは、処理をステップS24に戻す。また、ステップS25で、位置指示器1Bを検出できなくなったと判別したときには、処理制御部233Bは、処理をステップS21に戻して、電流ドライバ222Bに、送信信号の信号レベルを大レベルとするゲイン制御信号を供給することで、ループコイル群211X,212Yに供給する送信信号の信号レベルを大レベルにする。そして、処理制御部233Bは、このステップS21以降の処理を繰り返す。
上述した図13〜図16に示した第3の実施形態によれば、位置指示器からは、位置指示器や電子インクカートリッジを識別するためのID信号を、位置検出装置に伝達することができる。したがって、位置検出装置を備える電子機器においては、位置指示器や電子インクカートリッジのID信号を検出することで、それぞれの位置指示器や電子インクカートリッジに対応した所定の処理を割り当てることが可能となって、非常に便利である。また、位置指示器や電子インクカートリッジのID信号を検出することで、位置指示器や電子インクカートリッジの故障などについての管理も容易になるというメリットがある。
しかも、位置検出装置が動作を開始すると、位置指示器に対して位置指示器が備えるID信号の送信を促し、一旦ID信号が受信できるとID送信回路300を位置指示器の共振回路から電気的に分離させるとともに、通常使用状態にて位置指示器による指示位置の検出及び筆圧の検出を行うように動作制御が行われる。また、位置指示器に対して位置指示器が備えるID信号の送信を所定回数促した結果、ID信号が受信できないと判別された場合にも、通常使用状態にて位置指示器による指示位置の検出及び筆圧の検出を行うように動作制御が行われる。したがって、ID信号の送信機能が備わっていない位置指示器を使用する場合でも、特別な処理操作は不要であり、何らの違和感を持つことなく、操作することができる。
なお、上述の例では、位置指示器1Bのスイッチ制御回路306は、位置検出装置200Bからの大レベルの電磁誘導信号を並列共振回路10Rで受信したときに、当該受信した大レベルの電磁誘導信号に基づき、スイッチ回路305をオンにするスイッチ制御信号を生成し、これにより、IC301に電源Vccを供給するようにした。
しかし、位置指示器1Bのスイッチ制御回路306がスイッチ回路305をオンにして、IC301に電源Vccを供給するようにする方法は、このような方法に限られるものではない。
例えば、他の例としては、位置検出装置200Bから所定のデジタル信号を位置指示器1Bに送り、このデジタル信号を受け取ったスイッチ制御回路306にスイッチ回路305をオンにするスイッチ制御信号を生成させるように構成することもできる。
すなわち、例えば、位置検出装置200Bは、位置指示器1Bによる指示位置が検出できないなどによって、位置指示器1Bの存在を検出していないときには、前記所定のデジタル信号を、ループコイル群211X及び212Yを通じて電磁誘導信号として送出する。位置指示器1Bの並列共振回路10Rは、当該デジタル信号に対応した信号エンベロープを備えた電磁誘導信号を受信してスイッチ制御回路306に供給する。
スイッチ制御回路306は、この信号を例えば波形整形しエンベロープ検波することによりデジタル信号を抽出し、そのデジタル信号が、前もって設定されたデジタル信号と一致しているときに、スイッチ回路305をオンにするスイッチ制御信号を生成する。これにより、IC301に電源Vccを供給するようにする。
IC301は、この電源Vccの投入により動作を開始して、並列共振回路10Rを通じて、位置指示器1BのID信号を位置検出装置200Bに送る。位置検出装置200Bは、ID信号を受け取ると、前記所定のデジタル信号の送出を停止して、ID信号検出モードから、位置指示器1Bによる指示位置を検出する通常使用モードに移行し、位置指示器1Bの指示位置の検出動作を行うようにする。位置指示器1Bのスイッチ制御回路306は、所定のデジタル信号を受信できなくなったときには、スイッチ回路305をオフとして、IC301への電源Vccの供給が停止される。これによって、ID信号の送出は停止されるとともに、ID送信回路300が高インピーダンスとなりコネクタ199から電気的に分離された状態となる。
なお、位置検出装置200Bは、位置指示器1Bが検出できなくなったときには、再び、前記所定のデジタル信号の送出を開始するようにする。
[第4の実施形態]
この第4の実施形態の位置指示器は、第3の実施形態の位置指示器の変形例である。すなわち、上述した第3の実施形態では、キャップ19BにID送信回路300と接続するためのコネクタ199を設けるようにしたが、この第4の実施形態では、ID送信回路300を、電子インクカートリッジの筒状体内に配置する構成とする。以下に説明する第4の実施形態は、上述の第2の実施形態と同様の構成の電子インクカートリッジ20Aに、ID送信回路300を内蔵させる場合の例である。
図17は、この第4の実施形態の位置指示器の電子インクカートリッジ20Aの構成例を示す図である。この図17において、図10に示した第2の実施形態の電子インクカートリッジ20と同一部分には、同一参照符号を付与して、その詳細な説明は省略する。
この第4の実施形態においては、ID送信回路300を内蔵する円柱形状のIDパッケージ320を用意する。この第4の実施形態の筒状体50Aは、第2の実施形態の筒状体50よりは、IDパッケージ320の中心軸方向の長さ分だけ長いものとしている。
そして、このIDパッケージ320を、図17(A)及び(B)に示すように、筒状体50Aの中空部内において、中心軸方向に並ぶコンデンサ回路28を構成する第2のコンデンサ回路282Aとキャップ29との間に配置する。なお、第2のコンデンサ回路282Aは、IDパッケージ320との結合部の構成をのぞき、図6に示した第2のコンデンサ回路182と、同様の構成を備える。
図18は、IDパッケージ320の構成例を示すもので、図18(A)は、このIDパッケージ320を、コンデンサ回路28を構成する第2のコンデンサ回路282A側から見た図である。また、図18(B)は、図18(A)のI−I断面図である。また、図18(C)は、IDパッケージ320を、キャップ29側から見た図である。
IDパッケージ320は、図18(B)に示すように、円柱状の樹脂からなるパッケージ321内に、ID送信回路300を収納すると共に、このID送信回路300の前述した2端子が接続される2個の端子部材322及び323を有する。また、IDパッケージ320の周部には、筒状体50Aの開口50b側に形成されている軸芯方向の溝50fに係合する中心軸方向に沿う突部320aが形成されている。更に、IDパッケージ320は、第2のコンデンサ回路282Aは、図6に示す第2のコンデンサ回路282と同様に、その中心軸方向の両端面間を貫通する端子部材1825と、図7に示すキャップ29の端面の端子部材193とを電気的に接続するための貫通端子部材324を有する。
そして、第2のコンデンサ回路282AのIDパッケージ320側の端面には、図19に示すように、端子部材1824の他端1824bと、端子部材1826の他端1826bと、端子部材1825の他端1825bが、図6(C)と同様に、露呈されている。ただし、この第4の実施形態においては、第2のコンデンサ回路282AのIDパッケージ320側の端面には、図19に示すように、図5(C)に示した第1のコンデンサ回路181の、第2のコンデンサ回路282側と対向する端面に形成されている嵌合凹穴1816,1817(図6(D)参照)と同様の嵌合凹穴2821及び2822が形成されている。
そして、図18(A)に示すように、IDパッケージ320の第2のコンデンサ回路282A側の端面には、図19に示した第2のコンデンサ回路282AのIDパッケージ320側の端面に形成されている端子部材1824の他端1824b、端子部材1826の他端1826b及び端子部材1825の他端1825bがそれぞれ衝合するように、端子部材322の一端322a、端子部材323の一端323a及び端子部材324の一端324aのそれぞれが露呈されている。
また、図18(A),(B)に示すように、IDパッケージ320の第2のコンデンサ回路282A側の端面には、図19に示した第2のコンデンサ回路282AのIDパッケージ320側の端面に形成されている嵌合凹穴2821及び2822と嵌合する嵌合突部3251及び3252が形成されている。
更に、図18(C)に示すように、IDパッケージ320のキャップ29側の端面には、端子部材322の他端322b、端子部材323の他端323b及び端子部材324の他端324bのそれぞれが露呈されている。
そして、この第4の実施形態においては、上述した第2の実施形態と同様にして、筒状体50A内に、第2のコンデンサ回路282Aを含むコンデンサ回路28を収納した後、IDパッケージ320を、その嵌合突部3251及び3252を、第2のコンデンサ回路282Aの嵌合凹穴1816,1817と嵌合するようにして、筒状体50A内に挿入する。
このとき、第2のコンデンサ回路282Aの突部282Aa及びIDパッケージ320の突部320aを、筒状体50Aの溝50fに係合させることにより、周方向の位置決めがなされる。これにより、第2のコンデンサ回路282Aの端面の端子部材1824の他端1824b、端子部材1826の他端1826b及び端子部材1825の他端1825bが、IDパッケージ320の端子部材322の他端322b、端子部材323の他端323b及び端子部材324の他端324bのそれぞれと衝合して電気的に接続される。
その後、径小部195の中心軸方向の長さはIDパッケージ320の中心軸方向の厚みに応じて調整されるものの、キャップ19の径小部195を筒状体50Aに挿入しキャップ19を筒状体50Aに固定する構成は、上述した第2の実施形態と同様である。
この第4の実施形態の電子インクカートリッジ20Aにおいては、以上のようにして、IDパッケージ320が筒状体50A内に収納されることにより、コイル16の両端間にID送信回路300が並列に接続される状態になる。すなわち、前述した図14において、コネクタ199を介することなく、コイル16及び第1のコンデンサ回路281に並列に、IDパッケージ320が接続される。
したがって、この第4の実施形態においても、前述した第3の実施形態で説明した位置検出回路200Bは、電子インクカートリッジ20Aからの電磁誘導信号により、当該電子インクカートリッジ20Aの識別情報を認識することができる。
この第4の実施形態においては、ID送信回路300を内蔵するIDパッケージ320を筒状体50A内に収納する構成であるので、第3の実施形態のように、電子インクカートリッジ10Bに対してID送信回路300を事後的に接続する必要はない。
なお、ID送信回路300は、コイル16に並列に接続されれば良いので、IDパッケージ320は、コンデンサ回路28とキャップ19との間に設ける場合のみに限られるものではない。例えば、ID送信回路300を連結部材27とコンデンサ回路28との間に設けることもできる。
[他の実施形態]
上述した第1の実施形態においては、芯体11を樹脂で構成すると共に、フェライトチップ13と結合するように構成したが、このような構成に限られるものではなく、例えば図20(A),(B),(C)に示すように構成することもできる。
すなわち、図20(A)の例は、磁性体により芯体11Aを構成し、この芯体11Aの鍔部11Aaと、コイル16が巻回されたフェライトコア15の端面との間に、Oリング14を設ける。この図20(A)の例によれば、芯体11Aが第2の磁性体の役割をするので、第1の実施形態で用いたフェライトチップ13が不要になり、その分、構成が簡単になる。
また、図20(B)の例は、フェライトチップ13Bは貫通孔13Baを備えるものを用いる。そして、芯体11Bは樹脂で構成すると共に、その鍔部11Baの端面の中央部に、棒状突部11Bbを形成する。また、フェライトコア15Bの端面には、棒状突部11Bbの先端部が挿入される凹部15Baを設ける。
そして、芯体11Bの棒状突部11Bbを、フェライトチップ13Bの貫通孔13Baを貫通し、さらにOリング14を貫通して、フェライトコア15Bの端面の凹部15Baに挿入するように構成する。この場合、芯体11Bの棒状突部11Bbの長さは、芯体11Bが押圧力を受けたときに、Oリング14を介してフェライトチップ13Bを、フェライトコア15B側に偏倚させることができる長さとされる。この図20(B)の例によれば、棒状突部11Bbがフェライトチップ13Bの貫通孔13Ba及びOリング14を貫通することにより、それらの中心軸方向に直交する方向の位置規制がなされるという効果がある。
また、図20(C)の例は、図20(B)の例において、芯体の先端部を、芯体の鍔部から着脱自在とした構成に等しい。すなわち、図20(C)の例においては、芯体11Cは、鍔部11Caに棒状の突部11Cbを形成したものと、鍔部11Caに対して着脱自在とされた芯体先端部11Ccとからなる。この図20(C)の例によれば、芯体先端部11Ccを、任意に交換することが可能であるという効果がある。
また、第2の実施形態についても、芯体21とフェライトコア23とからなる部分の構成は、上述した例に限られるものではなく、例えば図20(D),(E)に示すように構成することもできる。
図20(D)の例は、第2の実施形態において、芯体の先端部を、芯体の鍔部から着脱自在として、芯体の先端部を交換可能に構成した場合に相当する。すなわち、図20(D)の例においては、芯体21Aは、鍔部21Aaと、鍔部21Aaに対して着脱自在とされた芯体先端部21Abとを別体に構成する。そして、鍔部21Aaに、フェライトコア23の凹部23aに嵌合する突部21Acを形成して、フェライトコア23に嵌合させる。また、鍔部21Aaに、芯体先端部21Abを着脱自在に嵌合する凹部21Adを形成する。芯体先端部21Abは、鍔部21Aaの凹部21Adに嵌合することで、着脱自在となる。この図20(D)の例によれば、芯体先端部21Abを、任意に交換することが可能であるという効果がある。
図20(E)の例は、第2の実施形態において、フェライトコア23Bに、芯体23Baとなる突部を形成する。この図20(E)の例においては、芯体を、別途に設ける必要はない。
図20(F)は、第1の磁性体と第2の磁性体との距離を、芯体に印加される押圧力に応じて変えて、第1の磁性体に巻回されているコイルのインダクタンスを変化させる他の構成例を示す図である。この例においては、コイル33が巻回されるフェライトコア32には、例えば樹脂からなる芯体31を挿通する貫通孔32aが形成されている。そして、筒状体に固定されたフェライトコア32の、芯体31の先端部側とは反対側には、芯体31が挿通される貫通孔34aを備えるゴムなどの弾性体34を介して、第2の磁性体の例としてのフェライトチップ35が設けられている。このフェライトチップ35には、フェライトコア32及び弾性体34を貫通した芯体31の、先端部とは反対側の端部が嵌合される凹穴35aが形成されている。そして、フェライトチップ35と、中心軸方向の位置が固定とされた所定の部材37との間には、例えば弾性体のOリング36などの弾性部材が設けられる。
この図20(F)の構成によれば、芯体31の先端側に中心軸方向の押圧力が印加されると、フェライトチップ35は、Oリング36を押圧して中心軸方向に偏倚し、フェライトコア32との距離を変化させ、この距離の変化に応じてコイル33のインダクタンスが変化する。
[その他の実施形態または変形例]
上述したように、この発明の電子インクカートリッジは、筆記具のボールペンなどのように、筐体に収納するインクカートリッジ(替え芯)と同様に扱うことができる。ボールペンでは、インクカートリッジを、いわゆるノック式により、あるいは、回転式に、ペン先を筐体内に収納した状態と、ペン先を筐体外に延出させた状態とを切り替えたり、また、例えばインクの色が異なる複数本のインクカートリッジを切り替えて、ペン先を筐体から延出させたりする構造を有するものが知られている。
そこで、この発明の位置指示器においても、同様にして、電子インクカートリッジを、いわゆるノック式により、あるいは、回転式に、芯体を筐体内に収納した状態と、芯体を筐体外に延出させた状態とを切り替える構造とすることができる。また、この発明の位置指示器は、例えば芯体の太さの異なる複数本の電子インクカートリッジを切替えたり、ボールペンのインクカートリッジと電子インクカートリッジとを切替えたりする構成とすることもできる。
なお、上述の第1及び第2の実施形態のコンデンサ回路18及び28は、多層セラミックコンデンサを複数個積層することで、複数個の互いに並列に接続された複数個のコンデンサを備えるように構成し、その積層する多層セラミックコンデンサの数により、コンデンサ回路18の静電容量を調整するようにした。しかし、コンデンサ回路18及び28の構成は、この例に限られるものではないことは言うまでもない。例えば、出願人が、特願2012−128834として提案しているコンデンサを、コンデンサ回路18及び28に適用することもできる。
また、上述の実施形態では、コイルのインダクタンスを可変するために、第1の磁性体と第2の磁性体の距離を、芯体に印加される押圧力に応じた変える手段としての弾性部材は、弾性体からなるOリングを用いたが、これに限られるものではなく、例えばコイルバネやゴムなどの弾性体を所定形状にしたもの、それらの組合せなどを用いることもできる。
なお、上述の第3及び第4の実施形態では、電子インクカートリッジに関連した情報として、識別情報の場合を例に取ったが、電子インクカートリッジに関連した情報は、識別情報に限られるものではなく、様々な情報とすることができる。