JP2017215867A - 入力素子及び入力装置 - Google Patents
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Abstract
Description
PVDFやPVDF−TFEなどの圧電素子を用いた入力素子は、高温に曝された場合、圧電性が著しく低下してしまう。そのため、環境条件に対する十分な注意が必要であった。
『概要』
図1は、本発明を適用可能な入力素子の基本構成を示す模式断面図である。入力素子1は、互いに対向する第1の電極2及び第2の電極3と、第1及び第2の電極間に配置され、シロキサンを含有するゴムまたはゴム組成物で形成された中間層4とを有している。
[第1の電極、及び第2の電極]
第1の電極、及び第2の電極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、タッチに伴って変形できるものが好ましい。
第1の電極、及び第2の電極の材質としては、例えば、金属、炭素系導電材料、導電性ゴム組成物、導電性高分子、酸化物などが挙げられる。
第1の電極の材質、及び第2の電極の材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1の電極のパターン、及び第2の電極のパターンは、一様であってもよいし、分割されていてもよい。電極が分割されている場合は、線状パターン、格子状パターン、ダイヤモンド状パターンなどを複数配置することが好ましい(特許文献3の図7〜9参照)。
線状パターンの幅は、実用上の現実性から、0.5mm〜20mmが好ましく、1mm〜10mmがより好ましい。前記幅が1mmより狭いと、ペン先のような細い物での入力においても複数の電極が反応することになり不必要な信号処理を増やしてしまい非効率である。
一方、10mmを越えると、指先のタッチや移動による入力に対する滑らかな追従が難しく、入力の位置精度が低下する。
第1及び第2の電極の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、導電性及び変形追従性の点から、0.01μm〜200μmが好ましく、0.1μm〜50μmがより好ましい。前記平均厚みが、0.01μm以上であると、機械的強度が適正であり、導電性が向上する。また、前記平均厚みが、200μm以下であると、素子が変形可能であり、押圧操作した位置情報及び/又は押圧情報を高感度で高精度に検出できる。
中間層は、可撓性を有することが好ましい。
中間層においては、以下の条件(1)及び条件(2)の少なくともいずれかを満たすことが好ましい。
条件(1):中間層の面に対して直交する方向から中間層が加圧された際に、中間層における第1の電極側(一方側)の変形量と、中間層における第2の電極側(他方側)の変形量とが、異なる。
条件(2):中間層の第1の電極側における10μm押し込み時のユニバーサル硬度(H1)と、中間層の第2の電極側における10μm押し込み時のユニバーサル硬度(H2)とが、異なる。
本発明において、変形量とは、以下の条件で中間層を押し付けた際の、圧子の最大押し込み深さである。
測定機:フィッシャー社製、超微小硬度計WIN−HUD
圧子:対面角度136°の四角錐ダイヤモンド圧子
初期荷重:0.02mN
最大荷重:1mN
初期荷重から最大荷重までの荷重増加時間:10秒間
{測定条件}
測定機:フィッシャー社製、超微小硬度計WIN−HUD
圧子:対面角度136°の四角錐ダイヤモンド圧子
押し込み深さ:10μm
初期荷重:0.02mN
最大荷重:100mN
初期荷重から最大荷重までの荷重増加時間:50秒間
前記ゴム組成物としては、例えば、フィラーと前記ゴムとを含有する組成物などが挙げられる。これらの中でも、前記シリコーンゴムを含有するシリコーンゴム組成物は大きな電気信号を得られるため好ましい。また、高温に曝された場合でも検出感度が低下しにくいため好ましい。
前記無機フィラーとしては、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、窒化物、炭素類、金属、又はその他の化合物などが挙げられる。
前記水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
前記炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。
前記硫酸塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
前記ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト、ゾノトライト)、ケイ酸ジルコン、カオリン、タルク、マイカ、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、モンモロナイト、セリサイト、活性白土、ガラス、中空ガラスビーズなどが挙げられる。
前記炭素類としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン(誘導体を含む)、グラフェンなどが挙げられる。
前記金属としては、例えば、金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
前記その他の化合物としては、例えば、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛、炭化ケイ素、硫化モリブテン、などが挙げられる。なお、前記無機フィラーは、表面処理をしていてもよい。
前記有機無機複合フィラーとしては、例えば、シリカ・アクリル複合微粒子、シルセスキオキサンなどが挙げられる。
前記フィラーの平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜30μmが好ましく、0.1μm〜10μmがより好ましい。前記平均粒径が、0.01μm以上であると、電気信号が大きくなることがある。また、前記平均粒径が、30μm以下であると、中間層が変形可能であり、押圧操作した位置情報及び/又は押圧情報を高感度で高精度に検出できる。
前記フィラーの含有量は、ゴム100質量部に対して、0.1質量部〜100質量部が好ましく、1質量部〜50質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部以上であると、電気信号が大きくなることがある。また、前記含有量が、100質量部以下であると、中間層が変形可能であり、押圧操作した位置情報及び/又は押圧情報を高感度で高精度に検出できる。
前記添加剤としては、例えば、架橋剤、反応制御剤、充填剤、補強材、老化防止剤、導電性制御剤、着色剤、可塑剤、加工助剤、難燃剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、チクソ性付与剤などが挙げられる。
前記中間層を構成する材料の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記ゴム組成物の調製方法としては、前記ゴム及び前記フィラー、更に必要に応じて前記その他の成分を混合し、混錬分散することにより調製することができる。
中間層は、絶縁性であることが好ましい。絶縁性としては、108Ωcm以上の体積抵抗率を持つことが好ましく、1010Ωcm以上の体積抵抗率を持つことがより好ましい。中間層は、複層構造であってもよい。
中間層において、両面での変形量、又は硬度を異ならせる方法としては、例えば、表面改質処理、不活性化処理などが挙げられる。これらの処理は、両方を行ってもよいし、片方のみを行ってもよい。
表面改質処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン処理、放射線(X線、α線、β線、γ線、中性子線)照射処理などが挙げられる。これらの処理の中でも、処理スピードの点から、プラズマ処理、コロナ放電処理、電子線照射処理が好ましいが、ある程度の照射エネルギーを有し、材料を改質しうるものであれば、これらに限定されない。
プラズマ処理の場合、プラズマ発生装置としては、例えば、平行平板型、容量結合型、誘導結合型のほか、大気圧プラズマ装置でも可能である。耐久性の観点から、減圧プラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理における反応圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05Pa〜100Paが好ましく、1Pa〜20Paがより好ましい。
プラズマ処理における反応雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不活性ガス、希ガス、酸素などのガスが有効であるが、効果の持続性においてアルゴンが好ましい。
プラズマ処理における照射電力量は、(出力×照射時間)により規定される。前記照射電力量としては、5Wh〜200Whが好ましく、10Wh〜50Whがより好ましい。照射電力量が、好ましい範囲内であると、中間層に電気信号を発生させる機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
コロナ放電処理における印加エネルギー(積算エネルギー)としては、6J/cm2〜300J/cm2が好ましく、12J/cm2〜60J/cm2がより好ましい。印加エネルギーが、好ましい範囲内であると、中間層に電気信号を発生させる機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
電子線照射処理における照射量としては、1kGy以上が好ましく、300kGy〜10MGyがより好ましい。照射量が、好ましい範囲内であると、中間層に電気信号を発生させる機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
電子線照射処理における反応雰囲気としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素等の不活性ガスが充填し酸素分圧を5,000ppm以下とすることが好ましい。反応雰囲気における酸素分圧が、5,000ppm以下であると、オゾンの発生を抑制でき、オゾン処理装置の使用を控えることができる。
紫外線照射処理における紫外線としては、波長365nm以下で200nm以上が好ましく、波長320nm以下で240nm以上がより好ましい。
紫外線照射処理における積算光量としては、5J/cm2〜500J/cm2が好ましく、50J/cm2〜400J/cm2がより好ましい。積算光量が、好ましい範囲内であると、中間層に電気信号を発生させる機能を付与でき、かつ照射過剰により耐久性を低下させることもない。
さらに加えて「架橋密度向上による緻密化」に起因して離型性が向上すると考えられる。なお、本発明においても一部活性基は形成されてしまうが、後述するカップリング剤や風乾処理にて、活性基を不活性化させている。
中間層の表面は、各種材料を用いて、適宜不活性化処理が施されてもよい。
不活性化処理としては、中間層の表面を不活性化させる処理であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不活性化剤を前記中間層の表面に付与する処理が挙げられる。不活性化とは、中間層の表面を、化学反応を起こしにくい性質に変化させることを意味する。この変化は、プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、電子線照射処理などによる励起又は酸化によって発生した活性基(例えば、−OHなど)を不活性化剤と反応させて、中間層の表面の活性度を下げることで得られる。
カップリング剤としては、例えば、金属アルコキシド、金属アルコキシドを含む溶液などが挙げられる。
R1 (4−n)Si(OR2)n・・・一般式(1)
ただし、一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、アルキルポリエーテル鎖、及びアリール基のいずれかを表す。nは、2〜4の整数を表す。
中間層前駆体としてシリコーンゴムを用いた場合は、前記表面改質処理を行った後に、空気中に静置して風乾することにより、失活させてもよい。
中間層において、酸素濃度のプロファイルが極大値を示す位置と、炭素濃度のプロファイルが極小値を示す位置とは、一致することがより好ましい。
酸素濃度のプロファイル、及び炭素濃度のプロファイルは、X線光電子分光分析法(XPS)によって求めることができる。
測定方法は、例えば、以下の方法が挙げられる。
測定装置:Ulvac−PHI QuanteraSXM、アルバック・ファイ株式会社製
測定光源:Al(mono)
測定出力:100μmφ、25.1W
測定領域:500μm×300μm
パスエネルギー:55eV(narrow scan)
エネルギーstep:0.1eV(narrow scan)
相対感度係数:PHIの相対感度係数を使用
スパッタ源:C60クラスターイオン
Ion Gun 出力:10 kV、10 nA
Raster Control:(X=0.5,Y=2.0)mm
スパッタレート:0.9nm/min(SiO2換算)
XPSでは、光電子効果により飛び出す電子を捕捉することにより、測定対象物中の原子の存在濃度比や結合状態を知ることができる。
図2は、シリコーンゴムを用い、更に前記表面改質処理(プラズマ処理)及び前記不活性処理を行って得られた中間層のサンプルである。図2において、横軸は表面から内部方向への分析深さであり、縦軸は存在濃度比である。
その結果を図3示す。図3の測定対象は、図2の測定に用いたサンプルである。図3において、横軸は結合エネルギーであり、縦軸は強度比である。また、下から上に向かっては深さ方向での測定スペクトルを示している。
一般に、ピークシフトの量は結合状態に依存することが知られており、本件に関するシリコーンゴムの場合、Si2p軌道において高エネルギー側にピークがシフトするということは、Siに結合している酸素の数が増えていることを示す。
さらに図2のαの位置で検出された酸素の極大値は、Si2p結合エネルギーシフトが高エネルギー側にシフトすることと一致(図3のαの位置)しており、酸素増加がSiに結合した酸素の数に起因することが示されている。
図4には、図2にみられたような酸素濃度の極大値、及び炭素濃度の極小値は見られない。更に、図5より、Si2p結合エネルギーシフトが高エネルギー側にシフトする様子もみられないことから、Siに結合した酸素の数も変化していないことが確認された。
結果として、中間層は、3つ〜4つの酸素原子と結合したケイ素原子を有するシロキサンを含有することとなる。
前処理:温度30℃相対湿度40%雰囲気に24h静置後、除電を60sec(Keyence製のSJ−F300を使用)
装置:Treck Model344
測定プローブ:6000B−7C
測定距離:2mm
測定スポット径:直径10mm
素子は、中間層と、第1及び第2の電極の少なくとも一方は、互いに接着されていないことが好ましい。更には、中間層と、第1の電極及び第2の電極の少なくともいずれかとの間に空間を有することが好ましい。そうすることにより、摩擦ないし剥離帯電の機会が増え、電気信号を大きくすることができる。
前記空間を設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、中間層と、第1の電極及び第2の電極の少なくともいずれかとの間にスペーサを配置する方法などが挙げられる。
前記無機材料としては、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム等が挙げられる。前記高分子材料と無機材料との複合材料を用いても良い。
前記導電性フィラーとしては、例えば、炭素材料(例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、グラフェンなど)、金属(例えば、金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウム、ニッケルなど、導電性高分子材料(例えば、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、及びポリパラフェニレンビニレンのいずれかの誘導体、又は、これら誘導体にアニオン若しくはカチオンに代表されるドーパントを添加したものなど)、イオン液体などが挙げられる。
前記スペーサの形態としては、例えばシート、フィルム、メッシュ、ドットなどが挙げられる。ドットの形状は例えば、球状、円柱状、角柱状などを用いる事ができる。前記スペーサの形状、大きさ、設置場所などは、素子の構造に応じて選択する。初期状態では中間層、と第一の電極と第二の電極の少なくともいずれかとの間に空間を有し、押圧が加わったときに中間層が撓むあるいはスペーサが中間層にめり込むことによって電極と中間層が局所的に接触する状態を実現できるような、形状、大きさ、設置場所などを設定する。
これにより、同じ変形付与力である加圧力Fが第1の電極a側と第2の電極c側に作用した場合、中間層bの第1の電極a側の変形の度合いが、第2の電極c側よりも小さくなる。
図7に示すように、本実施形態に係る入力素子1Aは、中間層4と第2の電極3との間に耐熱層19を有している。中間層4は前記濃度プロファイルを第1の電極2側(一方側)のみに有し、他方側とこれに対向する第2の電極3との間が接着層としての機能を有する耐熱層19を介して加熱接着されている。
耐熱層としては、接着性を有するものが好ましく、特に加熱により接着可能になるものが好ましい。加熱により接着可能になる耐熱層は耐熱性が高いものが多く、高温環境において高い信頼性が要求される素子に適している。加熱接着方式は、UV(紫外線)硬化のように、接着したい部材の色の制約を受けないため、素子の部材の色によらずに接着可能である。また、素子の製造工程において加熱圧着できるため、部材同士を強固に接着できる。
熱硬化性材料としては、例えば、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン系、変成シリコーン系、フェノール樹脂系などが挙げられる。熱可塑性材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル樹脂系、ポリアミド樹脂系、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
耐熱層が電極と中間層との間に設けられる場合、耐熱層は導電性であることが好ましい。導電性としては、103Ω・cm以下の体積抵抗率を持つことが好ましい。
耐熱層は、接着したい部材同士の間の全面に設けられてもよいし、一部に設けられてもよい。
なお、耐熱層としては、耐熱性を有するものであれば粘着テープも使用できる。
図8(a)に示す入力素子1Aは、第1の電極2と中間層4とが耐熱層19を介して全面が接着されており、且つ、中間層4と第2の電極3とが耐熱層19を介して全面が接着されている。
図8(b)に示す入力素子1Aは、第1の電極2と中間層4とが耐熱層19を介してその一部が接着されており、且つ、中間層4と第2の電極3とが耐熱層19を介して全面が接着されている。
図8(c)に示す入力素子1Aは、第1の電極2と中間層4とが耐熱層19を介してその一部が接着されており、且つ、中間層4と第2の電極3とが耐熱層19を介してその一部が接着されている。
図8(d)に示す入力素子1Aは、第1の電極2の上面を覆う保護層7と第1の電極2と中間層4とが耐熱層19を介して全面またはその一部が接着されており、且つ、中間層4と第2の電極3とが耐熱層19を介して全面が接着されている。
また、図8(b)〜(d)に示す入力素子1Aは、中間層4と第1及び第2の電極の少なくとも一方とは互いに接着されていない部分を有することとなり、上記のように摩擦ないし剥離帯電の機会が増えて電気信号(出力電圧)を大きくすることができる。なお、第1及び第2の電極の形状はストライプ状でも面でもよい。
図9(a)に示す入力素子1Aは、中間層4の表面改質処理がなされた側に対向する第1の電極2と中間層4との間にスペーサ20を有している。
図9(b)に示す入力素子1Aは、図9(a)の構成において、第1の電極2とスペーサ20との間を耐熱層19で接着した構成となっている。
図9(c)に示す入力素子1Aは、さらに、スペーサ20と中間層4との間を耐熱層19で接着した構成となっている。
図9(d)に示す入力素子1Aは、第1の電極2の中間層4と反対側において、第1の電極2及びスペーサ20と保護層7との間を耐熱層19で接着した構成となっている。
図10乃至図12に基づいて、上記入力素子1Aを用いた入力装置(第2の実施形態)を説明する。
図10に示すように、入力装置5は、入力素子1Aと、表示素子6と、入力操作面側(視認面側)である第1の電極2の上面を覆う保護層7と、中間層4が押圧されることで発生する電気信号を処理する信号処理部8(図11参照)とを備えている。
図10に示す入力装置5は、入力素子1Aが表示素子6の表面側(入力操作面側)に設けられた、いわゆる外付けタイプのタッチパネル(タッチスクリーン)として好適に使うことができる。
第1の電極2、第2の電極3、中間層4は、中間層4の厚み方向(Z方向)の両側を第1の電極2と第2の電極3とで挟むように積層されている。なお、耐熱層19は省略している。
第1の電極2の各電極2xは配線13を介して、第2の電極3の各電極3yは配線14を介して、それぞれ信号処理部8に電気的に接続されている。
押圧により中間層4から発せられる電気信号は、押圧位置に応じた部位の電極を通って信号処理部8に入力される。信号が発生した第1の電極2と第2の電極3との組み合わせによるマトリクス状の位置座標から、位置検出部8Aにおいて押圧位置が検出(特定)される。同時に、信号波形の電圧値から、圧力検出部8Bにおいて押圧力の大きさが検出される。
押圧力の検出においては、発生した電圧信号のピーク値を利用してもよく、電圧の時間積分値を利用してもよい。想定する用途によって適切な処理をすることが望ましい。
図13に示すように、第1の電極2の電極2xと交互に接地電極15xがX方向に配置され、圧力測定に使用する圧力測定電極16yがY方向に配置されている。なお、耐熱層19は省略している。
圧力を検知する電極と位置を検知する電極とを別々にし、接地することで信号電圧の値をより正確に取得することができる。
図11に示した構成の場合と同様に、押圧により電気信号が発生した第1と第2の電極の組合せによるマトリクス状の位置座標から、位置検出部8Aにおいて押圧位置が検出される。
この測定電圧値は押圧力を示す値であり、圧力がかかり続けている間はキャパシタ17に保持されているので、静圧を検知することができる。このようにして押圧位置と押圧力それぞれの値を単一の中間層4から取得するとともに静圧を検知することができる。
図15に示すように、表示素子6は、液晶9と、TFT(薄膜トランジスタ)10と、一対の基板11と、一対の偏光板12とを有している。
表示素子6の基板11の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。基板11としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ガラス板などが挙げられる。
図15に示す表示素子6は、いわゆる液晶ディスプレイであるが、本発明の入力素子を表示素子の表示部分に重ねてタッチパネルとして使用する場合、表示素子としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。表示素子としては、例えば、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子ペーパーなどが挙げられる。
図16に示す入力装置21は、入力素子1Aが押圧する側からみて表示素子6の背面側に配置された外付けタイプのタッチパネル(タッチスクリーン)である。本発明の入力素子は、後述するように、押圧に対する感度がPVDFに比べて格段に高いため、入力素子の配置を任意に設定できる。これにより、入力素子を備えた電子機器の設計の自由度を向上させることができる。
図17に示す入力装置22は、入力素子1Aが内蔵されたタイプのタッチパネル(タッチスクリーン)である。本発明の入力素子は、押圧に対する感度が高いため、入力素子の配置を任意に設定できる。これにより、入力素子を備えた電子機器の設計の自由度を向上させることができる。
図18に示すように、入力装置23は、入力素子1と、絶縁性のカバーシート24と、絶縁層25とを備えている。
図18に示す入力装置23は、いわゆるタッチパッドとして好適に使うことができる。
カバーシート24、絶縁層25の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、上記した保護層7と同じものが使える。
タッチパッドとして使用する場合は、組み合わせる表示素子付き電子デバイスとしては特に制限は無く、ノート型のパーソナルコンピュータに付属のタッチパッドをはじめ、描画・作図装置に付属のペンタブレット、ゲーム機器類に付属の入力コントローラー等に用いることができる。
(実施例1)
<入力素子の作製>
図19に示す断面構成を有する評価用の入力素子1Aを、以下の手順で作製した。なお、入力素子1Aの断面構成は図9(b)とし、入力素子1Aの外面はカバーシート24で覆われている構成とした。すなわち、評価対象の入力素子は全てカバーシート24でパッケージングされている。
表面改質処理として、以下の条件でプラズマ処理(処理条件;ヤマト科学株式会社製、PR−500、出力100W、処理時間3分間、反応雰囲気:アルゴン99.999%、反応圧力10Pa)を施した。
表面改質処理後、中間層前駆体の処理面に、フッ素系炭素化合物(ダイキン工業株式会社製、オプツールDSX)をパーフルオロヘキサンで希釈した0.1%溶液を、引き上げ速度10mm/minのディッピング工法にて塗布した。その後、相対湿度90%、温度60℃の環境で30分間以上保持し、50℃で10分間乾燥させて、不活性化処理を施した。
第一の基板の電極面に、フィルムスペーサ(東レ株式会社製、U34ルミラー#50、厚み50μm)をL/S=1mm/9mmのストライプ状になるように、両面テープ(太陽金網式会社製、TRAN−SIL NT−1001、厚さ50μm)で固定した。
第二の基板の電極面に、導電性両面テープ(太陽金網株式会社製、CHO−FOIL CCD、厚さ112μm)、前記中間層の順に重ねて貼り付けた。
第一および第二の基板にある各電極それぞれを引き出し電極に接続した。
前記二枚の基板を、第一の基板の電極面と第二の基板上の中間層が対向し、かつ電極のストライプ方向(長手方向)が直交するように重ね合わせ、両面テープ(太陽金網株式会社製、TRAN−SIL NT−1001、厚さ50μm)で固定して、実施例1の入力素子を作製した。
作製した入力素子の押圧に対する検出感度を評価した。評価は以下の手順で実施した。結果を表1に示す。表1の入力素子の欄における「図19/図9(b)」は、図9(b)の断面構成を有する入力素子が図19に示すようにパッケージングされていることを示している。実施例6における入力素子の断面構成は図7に示すものであり、実施例7、8における入力素子の断面構成は図9(a)に示すものである。
実施例9における入力素子の断面構成は図8(b)に示すものである。
比較例5は、図1に示した耐熱層を有しない本発明の基本構成をパッケージングした構成を有している。
(1)図20に示すように、検出感度評価用の入力素子26を測定装置27のステージ28上に固定し、オシロスコープ29に接続する。
(2)プローブ30の先端にスポンジ31を取り付け、これを第一及び第二の電極の交点と中心が一致する位置に押し付ける。
(3)オシロスコープ29に表示された出力電圧を記録する。出力電圧は5回測定した平均値とする。
(4)後述する比較例1に対する出力電圧倍率を求め、検出感度をランク判定する。
測定装置:定着シミュレータFSR−1000(レスカ製)
測定パターン:荷重制御
押し付け速度:5mm/sec
押し付け荷重:300gf
押し付け保持時間:1sec
引き上げ速度:5mm/sec
プローブ径:直径10mm
スポンジ:シリコーンスポンジ、硬さ15、直径10mm、厚さ5mm
オシロスコープ:WaveAce1001(LeCroy製)
比較結果を図21及びその部分拡大図である図22に示す。ゴム組成物からなる中間層4を有する本実施形態の入力素子では、電圧信号の出力が、プローブ30に取り付けられたスポンジ31が入力素子に接触してから約0.01sec(10msec)後に開始している。
入力素子の感度において、この大きな遅延が生じる理由は、PVDFは中間層4に比べてヤング率が大きく固いため、電圧信号の出力が開始する変形が生じるまで時間がかかるためである。
ランクA:比較例1に対して出力電圧が5倍以上
ランクB:比較例1に対して出力電圧が3倍以上
ランクC:比較例1に対して出力電圧が1倍以上
ランクD:比較例1に対して出力電圧が1倍未満
<入力素子の作製>
実施例1の入力素子において、中間層に高温負荷を加えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の入力素子を作製した。すなわち、図19/図9(b)に示す断面構成を有する入力素子とした。
中間層を温度150℃の恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN410H)に24時間保持して、高温負荷を加えた。その後、中間層を取り出して、24℃、40RH%の条件下で24時間静置保管した。
作製した実施例2の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例2の中間層は高温負荷後に検出感度が低下するものの、比較例1に比べて検出感度が高く、十分な耐熱性を有していることがわかる。
すなわち、比較例1の入力素子では高温負荷後に検出感度が8割も低下しているのに対し、実施例2の入力素子では3割弱しか低下していない。このことは、炎天下での車中の温度上昇等の環境変動に十分に耐えることができ(ランクA、Bを維持)、スマートフォン等の電子機器の使用性の向上に寄与することを意味する。
<入力素子の作製>
実施例1の入力素子において、第二の基板にある電極面と中間層とを導電性接着剤(スリーボンド製、TB3303B、厚さ50μm、接着条件150℃で1時間)で加熱接着したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の入力素子を作製した。すなわち、図19/図9(b)に示す断面構成を有する入力素子とした。
作製した実施例3の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例3の中間層は高温負荷後に検出感度が低下するものの、比較例1に比べて検出感度が高く、十分な耐熱性を有していることがわかる。これにより、入力素子の製造工程において、加熱接着を利用できる。製造段階で加熱接着できることにより、高信頼性につながる製造精度の向上を得ることができるとともに、製品化後の位相ずれによる信号相殺に起因する出力低下等の問題を抑制できる。
<入力素子の作製>
実施例1の入力素子に高温負荷を加えて、実施例4の入力素子とした。
(高温負荷)
入力素子を温度150℃の恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN410H)に1時間保持して、高温負荷を加えた。その後、入力素子を取り出して、24℃、40RH%の条件下で1時間静置保管した。
作製した実施例4の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例4の入力素子は高温負荷後に検出感度が低下するものの、比較例1に比べて検出感度が高く、十分な耐熱性を有していることがわかる。これにより、本発明の入力素子は高温環境においても使用できる。
<入力素子の作製>
実施例3の入力素子に高温負荷を加えて、実施例5の入力素子とした。
(高温負荷)
入力素子を温度150℃の恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN410H)に1時間保持して、高温負荷を加えた。その後、入力素子を取り出して、24℃、40RH%の条件下で1時間静置保管した。
作製した実施例5の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例5の入力素子は高温負荷後も高い検出感度を維持しており、十分な耐熱性を有していることがわかる。これにより、本発明の入力素子は高温環境においても使用できる。
<入力素子の作製>
実施例3の入力素子において、第一の基板にある電極面に接着層とスペーサを設けなかったこと以外は、実施例3と同様にして、実施例6の入力素子を作製した。すなわち、図19/図7に示す断面構成を有する入力素子とした。更に、入力素子に高温負荷を加えた。
入力素子を温度150℃の恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN410H)に1時間保持して、高温負荷を加えた。その後、入力素子を取り出して、24℃、40RH%の条件下で1時間静置保管した。
<評価>
作製した実施例6の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例6の入力素子はスペーサを有する入力素子に比べて検出感度が低いものの、比較例1に比べると検出感度は高いことがわかる。換言すれば、電極と中間層との間に隙間を設け、あるいは非接着状態とすることにより、摩擦ないし剥離帯電を増加させ、大きな電気信号を得ることができる。
<入力素子の作製>
図19に示す断面構成を有する評価用の入力素子を、以下の手順で作製した。なお、入力素子1Aの断面構成は図9(a)とし、入力素子1の外面はカバーシート24で覆われている構成とした。
PETフィルム上に、シリコーンゴム(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、TSE3033)100質量部、及びシリカ(日本アエロジル株式会社製、R972)10質量部とからなるシリコーンゴム組成物を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させて、厚み100μmの中間層前駆体を形成した。更に、上記中間層前駆体に表面改質処理を施して、PETフィルムから剥がし、中間層を得た。
表面改質処理として、以下の条件でコロナ放電処理(処理条件;印加電圧100V、積算エネルギー:60J/cm2、反応雰囲気:空気)を施した。
次に、40mm×40mmに切り出したPET基板上に、L/S=8mm/2mmのストライプ状にITO電極を形成したものを二枚準備した。
第一の基板の電極面に、スペーサとして直径10μmの球状シリカをイソプロピルアルコール中に分散させたスペーサ散布液を、スピンコート機にて散布した。その後、乾燥させて、第一の基板の電極面にスペーサを設けた。
第一および第二の基板にある各電極それぞれを引き出し電極に接続した。
前記二枚の基板を、第一の基板の電極面と第二の基板上の中間層が対向し、かつ電極のストライプ方向(長手方向)が直交するように重ね合わせ、両面テープ(太陽金網株式会社製、TRAN−SIL NT−1001、厚さ50μm)で固定して、実施例7の入力素子を作製した。更に、入力素子に高温負荷を加えた。
入力素子を温度150℃の恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN410H)に1時間保持して、高温負荷を加えた。その後、入力素子を取り出して、24℃、40RH%の条件下で1時間静置保管した。
<評価>
作製した実施例7の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例7の入力素子は高温負荷後も高い検出感度を示すことがわかる。
<入力素子の作製>
図19に示す断面構成を有する評価用の入力素子を、以下の手順で作製した。なお、入力素子1の断面構成は図9(a)とし、入力素子1の外面はカバーシート24で覆われている構成とした。
PETフィルム上に、フロロシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、X36−420U)、及びチタン酸バリウム(ALDRICH社製、208108)30質量部とからなるシリコーンゴム組成物を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させて、厚み100μmの中間層前駆体を形成した。更に、上記中間層前駆体に表面改質処理を施して、PETフィルムから剥がし、中間層を得た。
表面改質処理として、以下の条件でUV照射処理(処理条件;ヴィルバー・ルーマット社製、VL−215.C、波長254nm、積算光量300J/cm2、反応雰囲気:窒素、酸素分圧5,000ppm以下)を施した。
次に、40mm×40mmに切り出したPET基板上に、L/S=8mm/2mmのストライプ状にITO電極を形成したものを二枚準備した。
第一の基板の電極面に、スペーサとして直径10μmの球状シリカをイソプロピルアルコール中に分散させたスペーサ散布液を、スピンコート機にて散布した。その後、乾燥させて、第一の基板の電極面にスペーサを設けた。
第一および第二の基板にある各電極それぞれを引き出し電極に接続した。
前記二枚の基板を、第一の基板の電極面と第二の基板上の中間層が対向し、かつ電極のストライプ方向(長手方向)が直交するように重ね合わせ、両面テープ(太陽金網株式会社製、TRAN−SIL NT−1001、厚さ50μm)で固定して、実施例8の入力素子を作製した。更に、入力素子に高温負荷を加えた。
入力素子を温度150℃の恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN410H)に1時間保持して、高温負荷を加えた。その後、入力素子を取り出して、24℃、40RH%の条件下で1時間静置保管した。
<評価>
作製した実施例8の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例8の入力素子は高温負荷後も高い検出感度を示すことがわかる。
<入力素子の作製>
図19に示す断面構成を有する評価用の入力素子を、以下の手順で作製した。なお、入力素子1の断面構成は図8(b)とし、入力素子1の外面はカバーシート24で覆われている構成とした。
PETフィルム上に、シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、KE−1935)、及びチタン酸バリウム(ALDRICH社製、208108)50質量部とからなるシリコーンゴム組成物を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させて、厚み100μmの中間層前駆体を形成した。更に、上記中間層前駆体に表面改質処理を施して、PETフィルムから剥がし、中間層を得た。
表面改質処理として、以下の条件で電子線照射処理(処理条件;浜松ホトニクス株式会社製、ライン照射型低エネルギー電子線照射源、照射量1MGy、反応雰囲気:窒素、酸素分圧5000ppm以下)を施した。
次に、40mm×40mmに切り出したPET基板上に、L/S=8mm/2mmのストライプ状にITO電極を形成したものを二枚準備した。
第一および第二の基板にある各電極それぞれを引き出し電極に接続した。
上記にようにして、実施例9の入力素子を作製した。更に、入力素子に高温負荷を加えた。
入力素子を温度150℃の恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN410H)に1時間保持して、高温負荷を加えた。その後、入力素子を取り出して、24℃、40RH%の条件下で1時間静置保管した。
<評価>
作製した実施例9の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例9の入力素子は高温負荷後も高い検出感度を示すことがわかる。
<入力素子の作製>
実施例1の入力素子において、中間層をPVDF(東京センサ株式会社製、厚み110μm)に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の入力素子を作製した。すなわち、図19/図9(b)に示す断面構成を有する入力素子とした。
<評価>
作製した比較例1の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例1の入力素子は高温負荷がかからない状態での比較においても本発明の入力素子に比べて検出感度が低いことがわかる。
<入力素子の作製>
比較例1の入力素子において、中間層に高温負荷を加えたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2の入力素子を作製した。すなわち、図19/図9(b)に示す断面構成を有する入力素子とした。
中間層を温度150℃の恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN410H)に24時間保持して、高温負荷を加えた。その後、中間層を取り出して、24℃、40RH%の条件下で24時間静置保管した。
<評価>
作製した比較例2の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例2の中間層は高温負荷後に検出感度が著しく低下することがわかる。このことは、炎天下での車中の温度上昇等の環境変動に十分に耐えることができず、場合によっては使用不可となり得ることを意味する。
<入力素子の作製>
比較例1の入力素子において、第二の基板にある電極面と中間層とを導電性接着剤(スリーボンド製、TB3303B、厚さ50μm、接着条件150℃で1時間)で加熱接着したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例3の入力素子を作製した。すなわち、図19/図9(b)に示す断面構成を有する入力素子とした。
作製した比較例3の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例3の中間層は高温負荷後に検出感度が著しく低下することがわかる。
<入力素子の作製>
比較例1の入力素子に高温負荷を加えて、比較例4の入力素子とした。
(高温負荷)
入力素子を温度150℃の恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN410H)に1時間保持して、高温負荷を加えた。その後、入力素子を取り出して、24℃、40RH%の条件下で1時間静置保管した。
作製した比較例4の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例4の入力素子は高温負荷後に検出感度が著しく低下することがわかる。
<入力素子の作製>
図23に示す断面構成を有する評価用の入力素子を、以下の手順で作製した。すなわち、図1で示した基本構成の入力素子をカバーシート24でパッケージングしたものである。
PETフィルム上に、シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、KE−1935)を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させて、厚み100μmの中間層前駆体を形成した。更に、上記中間層前駆体に表面改質処理及び不活性化処理を施して、PETフィルムから剥がし、中間層を得た。
表面改質処理として、以下の条件でプラズマ処理(処理条件;ヤマト科学株式会社製、PR−500、出力100W、処理時間3分間、反応雰囲気:アルゴン99.999%、反応圧力10Pa)を施した。
(不活性化処理)
表面改質処理後、中間層前駆体の処理面に、フッ素系炭素化合物(ダイキン工業株式会社製、オプツールDSX)をパーフルオロヘキサンで希釈した0.1%溶液を、引き上げ速度10mm/minのディッピング工法にて塗布した。その後、相対湿度90%、温度60℃の環境で30分間以上保持し、50℃で10分間乾燥させて、不活性化処理を施した。
第二の基板の電極面に、前記中間層、第一の基板の電極面の順に重ね、両面テープ(太陽金網式会社製、TRAN−SIL NT−1001、厚さ50μm)で固定した。なお、第一の基板の電極面と第二の基板上の中間層が対向し、かつ電極のストライプ方向(長手方向)が直交するように重ね合わせた。
第一および第二の基板にある各電極それぞれを引き出し電極に接続した。
上記にようにして、比較例5の入力素子を作製した。更に、入力素子に高温負荷を加えた。
入力素子を温度150℃の恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN410H)に1時間保持して、高温負荷を加えた。その後、入力素子を取り出して、24℃、40RH%の条件下で1時間静置保管した。
<評価>
作製した比較例5の入力素子について、実施例1と同様にして、押圧に対する検出感度を評価した。結果を表1に示す。
実施例5では、中間層4と第2の電極3との間が導電性シリコーン系の熱硬化性材料で加熱接着されており、入力素子全体を加熱している。
実施例5では加熱負荷が多いにも拘わらず、加熱負荷の少ない実施例4よりも出力電圧の倍率が高い。このことは、中間層4の材質(シリコーン)と、耐熱層19の材質とが実施例5では熱特性が同一又は同等のものとなっていることも一因と考えられる。
すなわち、高温負荷による熱膨張率の違いに基づく界面剥離や位相ずれによる信号相殺等が高精度に抑制されるからであると考えられる。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
2 第1の電極
3 第2の電極
4 中間層
5 入力装置
6 表示素子
8 信号処理部
8A 位置検出部
8B 圧力検出部
19 耐熱層
20 スペーサ
Claims (10)
- 互いに対向する第1及び第2の電極と、
第1及び第2の電極間に配置され、シロキサンを含有するゴムまたはゴム組成物で形成された中間層と、
第1及び第2の電極の少なくとも一方と前記中間層との間、あるいは第1及び第2の電極の少なくとも一方の前記中間層と反対側に配置される耐熱層と、
を備えている入力素子。 - 請求項1に記載の入力素子において、
前記耐熱層が熱硬化性材料または熱可塑性材料で形成され、接着層としての機能を有している入力素子。 - 請求項2に記載の入力素子において、
前記耐熱層は前記中間層と熱特性が同一又は同等の材料で形成されている入力素子。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の入力素子において、
前記中間層は、その厚み方向の一方側から他方側へ向かって酸素が増加して極大値を持ち、且つ、前記一方側から他方側へ向かって炭素が減少して極小値を持つ濃度プロファイルを有する入力素子。 - 請求項4に記載の入力素子において、
前記中間層は前記濃度プロファイルを前記一方側のみに有し、前記他方側とこれに対向する第1又は第2の電極との間が前記耐熱層を介して加熱接着されている入力素子。 - 請求項5に記載の入力素子において、
前記中間層の前記一方側と、該一方側に対向する第1又は第2の電極との間にスペーサを有する入力素子。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の入力素子において、
第1の電極は第1の方向に沿って配列した複数の電極からなり、第2の電極は第1の方向と直交する第2の方向に沿って配列した複数の電極からなる入力素子。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の入力素子と、
前記中間層が押圧されることで発生する電気信号を処理する信号処理部と、
を備えた入力装置。 - 請求項8に記載の入力装置において、
前記信号処理部は、押圧位置を検出する位置検出部と、押圧力を検出する圧力検出部とを有している入力装置。 - 請求項8又は9に記載の入力装置において、
表示素子を有する入力装置。
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