JP2017214695A - 不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】不織布の繊維間にできる液膜を低減してより高いレベルでの液残り低減を実現しながら、表面における液流れ防止性を高めた不織布を提供する。【解決手段】不織布5表面が、液膜開裂剤を含む含有部6と、前記液膜開裂剤を含まない非含有部7とを有し、かつ、含有部6及び非含有部7が配置された不織布5表面に対し1辺5mmの正方形8を区画したときに、正方形8の領域中に含有部6と非含有部7との界面9を1つ以上有する、不織布5。【選択図】図2

Description

本発明は、不織布に関する。
近年、吸収性物品の肌に触れる表面シートに用いられる不織布について、ドライ性など着用者の着用感を高める技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、吸収性物品の肌接触シートをなす不織布について、肌カブレ抑制の観点から、スキンケア剤を含有させることが記載されている。該スキンケア剤を不織布の窪み部よりも突出部に多く含有させて肌への接触性を高めようとしている。
特許文献2には、吸収性物品の表面シートについて、ウエットバックを抑制しつつ液吸収性を高める観点から、撥水部を所定の割合で設けることが記載されている。
また、特許文献3には、おむつ等において、便が装着者の皮膚に付着するのを抑えるために、肌に触れるトップシートの外表面をローション被覆することが記載されている。
特開2012−55409号公報 特開2011−189065号公報 特開2010−75733号公報
表面シート等に用いられる不織布には、繊維間が狭い領域が存在している。その領域には、排泄液等(例えば尿や経血。単に液体ともいう。)を透過できる空間があっても、繊維間のメニスカス力や血漿タンパク質による表面活性、また血液の表面粘性が高いことから、繊維間に安定した液膜が生じ、液が留まりやすい。従来の技術においては、完全には液膜を解消することはできず、ドライ性はまだ改善の余地があった。さらに、近年はドライ性に加え、消費者から肌触りの良さが求められている。そのため、細い繊維を用いることが行われている。しかしながら、細い繊維を用いると繊維間はより狭くなる。これにより、繊維間の液膜が更に生じやすく、かつ液膜が破裂しにくくなって、液がなおさら残りやすくなる。
また、これは吸収対象液が血液に限定されるものでない。例えば、尿においてもリン脂質による表面活性があるため、上記と同様に液膜が生じて液残りに繋がり、結果としてドライ性はまだ改善の余地があった。
このように、不織布中の繊維間が狭い部分にできる液膜を取り除く技術が求められている。しかし、液膜の高い安定性ゆえに取り除くことは困難であった。また、液の表面張力を下げて液膜を取り除くべく、水溶性の界面活性剤を塗布することも考えられる。しかし、このような界面活性剤を吸収性物品に用いて液膜除去を可能にしようとすると、液が液防漏性のバックシートをも透過するおそれがあった。
また、不織布における液透過性の観点から、不織布の表面において、液が繊維間に入り込みやすい適度な親水性が必要である。不織布表面における親水性が低すぎると、液が繊維間に入るよりも先に、不織布表面の液流れが発生する可能性が高くなる。
本発明は、上記の問題点に鑑み、不織布の繊維間にできる液膜を低減してより高いレベルでの液残り低減を実現しながら、表面における液流れ防止性を高めた不織布に関する。
本発明は、不織布表面が、液膜開裂剤を含む含有部と、前記液膜開裂剤を含まない非含有部とを有し、かつ、前記含有部及び前記非含有部が配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形を区画したときに、該正方形の領域中に前記含有部と前記非含有部との界面を1つ以上有する、不織布を提供する。
また、本発明は、不織布表面が、下記化合物C1を含む含有部と、下記化合物C1を含まない非含有部とを有し、かつ、前記含有部及び前記非含有部が配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形を区画したときに、該正方形の領域中に前記含有部と前記非含有部との界面を1つ以上有する、不織布を提供する。
[化合物C1]
表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上である化合物。
また、本発明は、不織布表面が、下記化合物C2を含む含有部と、下記化合物C2を含まない非含有部とを有し、かつ、前記含有部及び前記非含有部が配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形を区画したときに、該正方形の領域中に前記含有部と前記非含有部との界面を1つ以上有する、不織布を提供する。
[化合物C2]
表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物。
本発明の不織布は、不織布の繊維間にできる液膜を低減してより高いレベルでの液残り低減を実現しながら、表面における液流れ防止性を高めることができる。
本発明に係る不織布の好ましい実施形態を示す平面図である。 図1に示す不織布において、含有部と非含有部とが配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形を区画して示す部分拡大平面図であり、(A)は前記正方形の外周線が含有部と非含有部との界面の線に重ならない配置を示し、(B)は前記正方形の外周線が含有部と非含有部との界面の線と一部重なる配置を示している。 (A)及び(B)は、含有部と非含有部との好ましい配置パターンの具体例を示す一部拡大平面図である。 (C)及び(D)は、含有部と非含有部との他の好ましい配置パターンの具体例を示す一部拡大平面図である。 図1に示す不織布の表面において、液滴が正方形の領域内で波形化している状態を示す説明図である。 本発明に係る不織布を生理用ナプキンの表面シートとして適用した場合の排泄口当接部を示した、生理用ナプキンの一部切欠平面図である。 (A)は図1に示す不織布の含有部の幅、非含有部の幅及び含有部と非含有部の幅の合計を示す説明図であり、(B)は含有部が円形状として配した本発明に係る不織布の態様において含有部の幅、非含有部の幅及び含有部と非含有部の幅の合計を示す説明図である。 不織布の繊維間の隙間に形成された液膜を示す模式図である。 (A1)〜(A4)は本発明に係る液膜開裂剤が液膜を開裂していく状態を側面から模式的に示す説明図であり、(B1)〜(B4)は本発明に係る液膜開裂剤が液膜を開裂していく状態を上方から模式的に示す説明図である。 本発明に係る不織布の好ましい態様(第1実施態様)を示す、不織布の断面図である。 本発明に係る不織布の別の好ましい態様(第2実施態様)を一部断面にして模式的に示す斜視図である。 本発明に係る不織布のさらに別の好ましい態様(第3実施態様)を一部断面にして模式的に示す斜視図であり、(A)は1層からなる不織布を示し、(B)は2層からなる不織布を示す。 本発明に係る不織布の別の好ましい態様(第4実施態様)を模式的に示す斜視図である。 図12に示す不織布の変形例を示す斜視図である。 本発明に係る不織布の別の好ましい態様(第5実施態様)を模式的に示す斜視図である。 図14に示す不織布の構成繊維同士が熱融着部にて固定された状態を模式的に示す説明図である。 本発明に係る不織布の別の好ましい態様(第6実施態様)を模式的に示す斜視図である。 本発明に係る不織布の別の好ましい態様(第7実施態様)を模式的に示す斜視図である。
本発明に係る不織布の好ましい実施形態としては、例えば、図1に示すような不織布5が挙げられる。なお、本発明の不織布は、液吸収に係る種々の物品に適用でき、例えば、生理用ナプキン、ベビー用おむつ、大人用おむつ等の吸収性物品の表面シートとして用いることができる。
不織布5は、不織布表面に、液膜開裂剤を含む含有部6と、前記液膜開裂剤を含まない非含有部7とを有する。不織布5においては、ともに長手方向(Y方向)に帯状に延出した含有部6と非含有部7とが前記長手方向に直交する幅方向(X方向)に交互に配置されている。すなわち、含有部6と非含有部7とがストライプ状の配置パターンをなしている。なお、含有部6及び非含有部7の延出方向は、本実施形態における長手方向に限らず、幅方向であってよい。
前記長手方向とは、その名の通り不織布の相対的に長さが長い方向であり、不織布が原反としてロール状にされている場合、又はロール状にされた状態から巻き出されている場合は、該不織布が巻き出される方向を意味する。前記幅方向は、前記長手方向に直交する方向であり、前記原反の状態においては、ロール軸方向を意味する。また、不織布を構成する繊維の配向方向が分かる場合は、繊維の配向方法が長手方向であると言える。このとき、前記幅方向は、繊維の配向方向に直交する方向であると言える。
また、前記長手方向は、不織布の製造段階においては、機械搬出方向(MD:Machine Direction)を意味する。前記幅方向は、不織布の製造段階においては、機械搬出方向に直交する幅方向(CD:Cross Direction)を意味する。
さらに、不織布を所定の大きさに裁断して吸収性物品の表面シートとする場合は、該不織布の長手方向は、前記吸収性物品の長手方向に一致する方向である。そのため、含有部6及び非含有部7の延出方向を、液漏れ防止の観点から、前記長手方向(Y方向)として、吸収性物品の長手方向に向けて配置されることが好ましい。
不織布5において、含有部6及び非含有部7が配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形8を区画したときに、正方形8の領域中に含有部6と非含有部7との界面9を1つ以上有する。ここで言う「1辺5mmの正方形」は、不織布の表面を流れる液滴や、ナプキン装着時に着用者の体をつたい漏れる液滴の大きさを想定したものである。「1辺5mmの正方形」は、含有部6及び非含有部7が配置された不織布表面の領域に対して適宜任意に区画される。
したがって、不織布5は、表面において前記正方形を任意に1ないし2以上区画したときに、区画した正方形の領域ごとに、含有部6と非含有部7との界面9を1つ以上有するものである。このとき、界面9は、正方形8の内側にあるものを意味し、正方形8の外周線と重なる線状の界面9はカウントしない。例えば、図2(A)の場合は、正方形8の内側の領域にある界面9の数を7と判断する。図2(B)の場合は、正方形8の外周線と重なる界面9をカウントせず、正方形8の内側の領域にある界面9の数を6と判断する。
含有部6と非含有部7とは、液膜開裂剤の有無により区分されるものである。なお、図1では、含有部6と非含有部7の配置領域及び配置パターンの理解のため含有部6に模様を付して示しているが、実際には目視によって区別できるとは限らない(以下、図2〜6において同様。)。
そのため、上記の含有部6と非含有部7との区分は、目視ではなく、次の方法により確認される。すなわち、不織布5の表面に対してあぶらとり紙をあてた後、厚み4mmのアクリル板をのせ、その上から600g/cmとなるように錘で30秒荷重する。荷重後、すぐに、該あぶらとり紙を剥がし、黒色の台紙に該あぶらとり紙を載せて色の変化を目視で確認する。色の変化した部分が液膜開裂剤を含む含有部6であり、それ以外の部分が非含有部7である。上記のあぶらとり紙として種々のものを用いることができ、例えばカタニ産業株式会社製の金箔打紙製法あぶらとり紙を挙げることができる。
含有部6に含まれる液膜開裂剤とは、液、例えば、経血等の高粘性の液や尿などの排泄液が不織布に触れて不織布の繊維間ないしは繊維表面に形成される液膜を開裂させたりして、液膜の形成を阻害する剤のことをいい、形成された液膜を開裂させる作用と、液膜の形成を阻害する作用とを有する。前者は主たる作用、後者は従たる作用ということができる。液膜の開裂は、液膜開裂剤の、液膜の層の一部を押しのけて不安定化せる作用によりなされる。この液膜開裂剤の作用により、液が不織布の繊維間の狭い領域に留まることなく通過しやすくなる。すなわち、液透過性に優れた不織布となる。これにより、不織布を構成する繊維を細くして繊維間距離を狭めても、肌触りの柔らかさと液残り抑制とが両立する。
(液膜を消失させる性質)
本発明で用いられる液膜開裂剤は、液膜を消失させる性質を有しており、斯かる性質により、該液膜開裂剤を、血漿成分を主体とする試験液又は人工尿に適用した場合に液膜消失効果を発現し得る。人工尿は、尿素1.940質量%、塩化ナトリウム0.795質量%、硫酸マグネシウム0.110質量%、塩化カルシウム0.062質量%、硫酸カリウム0.197質量%、赤色2号(染料)0.010質量%、水(約96.88質量%)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(約0.07質量%)の組成を有する混合物を、表面張力を53±1mN/m(23℃)に調整したものである。ここでいう液膜消失効果には、試験液又は人工尿から形成される液膜によって空気が抱えこまれた構造体について、該構造体の液膜形成を阻害する効果と、形成された該構造体を消失させる効果との双方が含まれ、少なくとも一方の効果を発現する剤は、液膜消失効果を発現し得る性質を有していると言える。
前記試験液は、馬脱繊維血液(株式会社日本バイオテスト製)から抽出された液体成分である。具体的には、100mLの馬脱繊維血液を温度22℃、湿度65%の条件下で1時間静置すると、該馬脱繊維血液は上層と下層とに分離するところ、この上層が前記試験液である。上層は主に血漿成分を含み、下層は主に血球成分を含む。上層と下層とに分離した馬脱繊維血液から上層のみを取り出すには、例えばトランスファーピペット(日本マイクロ株式会社製)を用いることができる。
ある剤が前記の「液膜を消失させる性質」を有するか否かは、当該剤が適用された前記試験液又は人工尿から形成される液膜によって空気が抱えこまれた構造体が発生しやすい状態にした場合の、該構造体即ち液膜の量の多少で判断される。すなわち、前記試験液又は人工尿を、温度25℃に調整し、その後、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.5 胴径27mm、全長55mm)に10g入れて、標準サンプルを得る。また、測定サンプルとして、標準サンプルと同じものに、25℃に予め調整した測定対象の剤を0.01g添加したものを得る。標準サンプルと測定サンプルをそれぞれ前記スクリュー管の上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。このサンプルの振とうにより、振とう後のスクリュー管の内部には、前記構造体の無い液体層(下層)と、該液体層の上に形成された多数の該構造体からなる構造体層(上層)とが形成される。振とう直後から10秒経過後に、両サンプルの構造体層の高さ(液体層の液面から構造体層上面までの高さ)を測定する。そして、標準サンプルの構造体層の高さに対して、測定サンプルの構造体層の高さが90%以下となった場合、測定対象の剤は液膜開裂効果を有しているとする。
本発明で用いられる液膜開裂剤は、前記の性質に当てはまる単一の化合物若しくは前記の性質に当てはまる単一の化合物を複数組み合わせた混合物、又は複数の化合物の組み合わせによって前記の性質を満たす(液膜の開裂を発現し得る)剤である。つまり液膜開裂剤とは、あくまで前記定義によるところの液膜開裂効果があるものに限定した剤のことである。したがって、吸収性物品中に適用されている化合物に、前記定義に当てはまらない第三成分を含む場合には、液膜開裂剤と区別する。
なお、液膜開裂剤及び第三成分について、「単一の化合物」とは、同じ組成式を有するが、繰り返し単位数が異なることにより、分子量が異なる化合物を含める概念である。
液膜開裂剤としては、国際公開第2016/098796号の明細書の段落[0007]〜[0186]に記載のものから適宜に選んで用いることができる。
本発明において、不織布の含有部6が液膜開裂剤を含有する又は含むとは、主に繊維の表面に付着させることをいう。ただし、液膜開裂剤は、繊維の表面に残存する限り、繊維内に内包しているようなものや、内添により繊維内部に存在しているようなものがあってもよい。液膜開裂剤を繊維の表面に付着させる方法としては、通常用いられる各種の方法を特に制限なく採用することができる。例えば、フレキソ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、噴霧、刷毛塗布等が挙げられる。これらの処理は、繊維を各種の方法でウエブ化した後に行ってもよいし、その後、該ウエブを不織布にした後や吸収性物品に組み込んだ後に行ってもよい。液膜開裂剤が表面に付着した繊維は、例えば、熱風送風式の乾燥機により、繊維樹脂の融点より十分に低い温度(例えば120℃以下)で乾燥される。また、前記付着方法を用いて繊維へ付着させる場合、必要により液膜開裂剤を溶媒に溶解させた液膜開裂剤を含む溶液、ないしは液膜開裂剤の乳化液、分散液を用いてもよい。
本発明に係る液膜開裂剤は、不織布において後述する液膜開裂効果を有するためには、液膜開裂剤が体液に触れた際に液状として存在する必要がある。この点から、本発明に係る液膜開裂剤の融点は40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがより好ましい。さらに、本発明に係る液膜開裂剤の融点は−220℃以上が好ましく、−180℃以上がより好ましい。
液膜開裂剤は、後述するように表面張力が、不織布繊維に用いられる従来の親水化処理剤等に比べて小さい。すなわち、含有部6の構成繊維の接触角は、非含有部7の構成繊維の接触角よりも大きい。そのため、含有部6の構成繊維は、液膜開裂剤による滑性ないし疎水性を付与され、液膜開裂剤が無い場合に比べて、不織布表面にある液の滑性を高める。特に、表面がドライな状況から最初に液を受けたときには、液の表面流出が生じやすい。これに対し、非含有部7が液膜開裂剤を有さないため、液が不織布5の表面で流出するのを抑制する作用をする。
不織布5においては、液滴に相当する大きさの正方形の領域に、含有部6と非含有部7との界面を少なくとも1以上有する。そのため、不織布5の表面において、1つの液滴に対して、液膜開裂剤を含む含有部6と、液膜開裂剤を含まない非含有部7とが少なくとも1組以上重なることになる。このような重なりにおいて、液滴に対して、含有部6における液膜の開裂作用と、非含有部による液流れ抑制作用とが同時に発現する。その結果、不織布5では、不織布表面の液流れを抑えつつ、繊維間に入り込んで形成される液膜を開裂して厚み方向の液透過性を高める。これにより、不織布5の高い液残り低減を達成し維持しつつ、液の表面流れ防止性を高めることができる。
なお、液膜開裂剤の作用および具体例の詳細については後述する。
含有部6の構成繊維の接触角と非含有部7の構成繊維の接触角の差は、含有部6上の液滴の外周の括れやすさ、すなわち、液滴90の外周の波形化の生じやすさの観点から、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましく、20度以上が更に好ましい。また、前記接触角の差は、生じた波形化の維持しやすさの観点から、70度以下が好ましく、50度以下がより好ましく、30度以下が更に好ましい。なお、上記の接触角は、後述する方法により測定することができる。
非含有部7の構成繊維の接触角は90度以下であることが好ましく、80度以下であることがより好ましく、70度以下であることが更に好ましい。これにより、繊維表面の濡れ性が適度に付与されて液が繊維間に入り込み液流れを抑制しやすく、濡れる面積が増加し、液膜開裂剤が液膜へ移行しやすくなる。
また、含有部6の構成繊維の接触角は110度以下であることが好ましく、90度以下であることがより好ましく、80度以下であることが更に好ましい。これにより、含有部6の滑性ないし疎水性が弱まり、不織布表面にある液の表面流出が生じにくくなる。
上記の接触角の測定は、次の方法により行うことができる。
すなわち、不織布の所定の部位から繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角の測定には脱イオン水を用いる。温度25度、相対湿度(RH)65%の測定条件で行う。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー株式会社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析や画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、不織布から取り出した繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。不織布から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。該繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を接触角と定義する。
含有部6と非含有部7の配置パターンは、上記の正方形8の条件を満たし、前述した液膜の開裂作用と液滴の表面流れ抑制作用とを両立できる限り、図1のものに限定されず、種々とりうる。例えば、同じストライプ状の配置パターンでも延出方向を図1のもとは異なるものとしてもよい。その具体例として、図3−1(A)に示す、Y方向と直交するX方向に含有部6及び非含有部7の帯が延出するパターンなどが挙げられる。
また、含有部6を、非連続にして、互いに離間配置させたものであってもよい。このとき、互いに離間する含有部6の形状は特に限定されず、円形、矩形、破線等など種々の形状をとりえる。このように所定の形状にした含有部6を、Y方向及びX方向に沿って互いに離間させて配置させたパターンでもよい。すなわち、所定の形状にした含有部6が複数、不織布の長手方向及び幅方向の両方向に沿って互いに離間し、複数の方向に分散配置された配置パターンでもよい。例えば、図3−1(B)に示すように、円形(ドット)にした含有部6を、Y方向及びX方向に沿って互いに離間させて配置させたパターンなどが挙げられる。この場合、含有部6に隣接する部分が非含有部7となる。このパターンにおいて、Y方向及びX方向における含有部6間のピッチを同じようにしてもよく、異ならせてもよい。図3−1(B)は、縦横の含有部間のピッチを一定にしたパターンである。なお、含有部6ではなく、非含有部7を所定に形状にして複数の方向に分散配置させた配置パターンでもよい。この場合、非含有部7に隣接する部分が含有部6となる。
また、含有部6又は非含有部7を様々な図形の形状に象った配置パターンでもよい。例えば、含有部6を波線にして複数配し、含有部6間を非含有部7としてもよい。含有部6を大きさの異なる複数の楕円形とし、同心円状に互いに離間させて配置したパターンでもよい。この場合も含有部6間が非含有部となる。
さらに、含有部6又は非含有部7をより複雑な幾何学形状としてもよい。例えば、図3−2(C)のように、含有部6が格子状などの幾何学形状の複数の線からなり、該含有部6の間が非含有部7としてもよい。これを反転させて、図3−2(D)のように、非含有部7が格子状などの幾何学形状の複数の線からなり、該非含有部7の間が含有部6としてもよい。
不織布5は、正方形8の領域に界面9が複数(2以上)あることがより好ましい。界面9が複数存在することで、含有部6及び非含有部7の両方に跨る液滴に対してピン止め作用が強く働き、より液の表面流れが生じ難くなる。この作用は、具体的には次のようなことである。すなわち、界面9は、液膜開裂剤の有無により、隣接する含有部6及び非含有部7の互いに異なる接触角の境界であり、含有部6の構成繊維の接触角は、非含有部7の構成繊維の接触角よりも大きく、液膜開裂剤による滑性ないし疎水性が付与されているため液滴の濡れが進行しづらい。そして、非含有部7の構成繊維の接触角は、含有部6の構成繊維の接触角よりも小さく、液膜開裂剤が有る場合に比べて液滴の濡れが進行しやすい。この濡れ性の違いにより、界面9を境界として、含有部6上の液滴の外周は、ピン止めされたように、非含有部7上の液滴の外周に対して内部へと縮まるように括れる。界面9が複数存在することで液滴の括れる箇所が多くなり、図4に示すように、液滴90の外周が波形化する。波形化に伴い不織布5との液滴の接触線の距離が増加して、液滴は不織布5の表面を移動しづらく、液滴の表面流れ抑制の作用がより強く働く。同時に、接触角の境界としての界面9が液膜開裂剤によってなることで、不織布5の繊維間の液膜が開裂する作用が生じ、液の厚み方向の透過性が高まる。これにより、不織布5の高い液残り低減を実現しつつ、液の表面流れ防止性を高めることができる。
また、正方形8の領域に界面9が複数存在することにより、不織布平面において、排泄液の液滴又は吸収性物品装着時に着用者の体をつたい流れる液滴が、不織布と初めて接触するとき又は不織布と接触した後に不織布の表面を流れる過程で、含有部6及び非含有部7の両方に跨る確率がより高くなる。これにより、上記の作用がより強く働き、不織布の高い液残り低減と液の表面流れ防止性とを更に高めることができる。
不織布5において、上記のような作用を奏する界面9を含む正方形8の領域は、不織布5の全体にあってもよく、一部にあってもよい。すなわち、液膜開裂剤の含有部6と非含有部7との組み合わせは、不織布5の全面にあってもよく、一部にあってもよい。
少なくとも正方形8の領域は、不織布5の、液を直接的に受け取る受液部となる位置に配されていることが好ましい。受液部とは、その名の通り、不織布5が吸収性物品に使用される場合には、排泄液を受ける部分を意味する。例えば、受液部は、不織布5を紙おむつや昼用ナプキンの表面シートとして適用した場合、該紙おむつや昼用ナプキンの長手方向及び幅方向の中央部分と考えることができる。また、受液部は、不織布5を夜用ナプキンの表面シートとして適用した場合、該夜用ナプキンを長手方向に4分割した場合の前から2番目の領域における、長手方向及び幅方向の中央部と考えることができる。ここでいう「前」とは、該夜用ナプキンを装着した場合に、着用者の腹側に向く方向を指す。これは、特に不織布5を吸収性物品の表面シートとして用いる際に液吸収性の観点から効果的である。すなわち、吸収性物品において、排泄液に対し効果的に作用するために、不織布5の正方形の領域が、着用者の排泄部に当接する部分(排泄口当接部)にあることが好ましい。排泄口当接部は、吸収性物品の用途等に応じて異なる。例えば、図5に示すようなウイング付き生理用ナプキン100においては、表面シート110の、吸収体120と重なる幅中央位置において、ウイング130に挟まれた位置から前後に長手方向に延びる、防漏溝140に囲まれた部分が排泄口当接部150となる。ここに、1以上の界面9を有する正方形8の領域が配されるように、不織布5が構成されていることが好ましい。
加えて、不織布5の厚み方向に関しては、少なくとも液を受け取る側の面に含有されることが好ましい。上記の例の表面シートにおいては、着用者の肌に触れる肌当接面側に少なくとも液膜開裂剤が含有されることが好ましい。
また、不織布5において、含有部6の非含有部7に対する面積比が1より大きいことが好ましい。これは、前述した1辺5mmの正方形8で区画される領域での面積比を意味する。前記面積比1以上の条件を満たす1辺5mmの正方形の領域が、含有部6と非含有部7が配置された不織布表面の領域に対し、少なくとも1つあればよく、該正方形の領域が、前記受液部から不織布5の長手方向すなわち吸収性物品の長手方向に一致する方向のいずれかの位置に少なくとも1つあることが好ましい。この場合、前記「不織布5の長手方向すなわち吸収性物品の長手方向に一致する方向のいずれかの位置」には前記受液部も含む。なお、前記面積比は、前述したあぶらとり紙を用いた方法により測定することができる。
面積比が1より大きいことで安定して液流れが低減できる、ということが確認されている。含有部6は、液滴の外周は内部に縮まるように括れが生じる部位であるため、含有部6の非含有部7に対する面積比が1より大きい方が括れ方は大きく、波形の振幅が大きく生じやすくなる。これにより、不織布5との液滴の接触線の距離が増加し、液滴の表面流れ抑制の作用を高めることができる。さらに、不織布5では、面積比が1より大きいことで、液流れするのを止められた液滴が繊維間に入り込んだ際に、液膜開裂作用を受けやすくなる。すなわち、不織布5が受けた液に対し、液膜開裂作用と液流れ防止作用とがより明確に同時発現し、不織布5の高い液残り低減を実現しつつ、液の表面流れ防止性を高めることができる。
上記の面積比(含有部の面積/非含有部の面積)は、波形の増大化の観点から、1.3以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましい。また、前記面積比の上限は特に制限されるものではない。液滴の波形化において、含有部6での括れと非含有部7での拡がりのバランスの維持の観点からは、前記面積比は、16以下が好ましく、10以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
さらに、不織布5において、含有部6と非含有部7とが不織布表面に周期的に配されていることがより好ましい。これにより、1つ以上の界面9を有する正方形8で区画される領域と同一のものが、不織布の平面方向に繰り返してパターン配置される。また、正方形8で区画される領域が「含有部6の非含有部7に対する面積比が1より大きい」との条件を満たす場合、上記の周期的な配置において、上記面積比の条件を満たす正方形8の領域が不織布の平面方向に繰り返してパターン配置される。例えば、前述した図3−1及び3−2に示す配置などが挙げられる。
周期的に配することで、正方形8で区画される領域で発現する上記作用が、不織布表面の様々な地点において均質性高く発現される。すなわち、液を受け取る位置が一定でなく受液毎にずれるような場合でも、期待される、液滴に対するピン止め作用及び繊維間の液膜の開裂作用が効果的に発現される。これにより、不織布5は、広い面で優れた液透過性が得られ、高い液残り低減性を実現しつつ、液の表面流れ防止性を高めることができる。
このことは、不織布5を吸収性物品の表面シートとして用いる際に液吸収性の観点から効果的である。不織布5を吸収性物品の表面シートとしたときに、仮に装着の仕方や日常の動作で、液滴の付着部位が変化しても、高い防漏性と液透過性を発揮することができる。これにより、不織布5を表面シートとして用いると、吸収性物品の液吸収性と装着感の向上に大きく寄与し得る。
また、不織布5において、含有部6と非含有部7の幅の和が2500μm以下であることが好ましい。特に、前述した1辺5mmの正方形で区画される領域において上記の幅の和の条件を満たすことが好ましい。これにより、流れる液滴(約5mm程度)の不織布との接触線は波形化が生じやすくなり、液の表面流れ抑制作用を高めることができる。このとき、前述した「面積比が1より大きい」の条件をみたすと、これによる液の表面流れ抑制作用がより強化され好ましい。
ここで、「含有部6の幅」とは、隣り合う非含有部7、7間の最短距離である。「非含有部7の幅」とは、隣り合う含有部6、6間の最短距離である。例えば、ストライプ状のパターン配置の場合、図6(A)に示すように、含有部6の幅は、隣り合う非含有部7,7間の帯幅6Aであり、非含有部7の幅は、隣り合う含有部6、6間の帯幅7Aである。また、図6(B)に示すように、含有部6が円形(ドット)で互いに所定の間隔で配列されているパターン配置の場合、含有部6の幅は円の直径6Bであり、非含有部7の幅は含有部6、6間の最短距離7Bである。
上記の幅は、前述したあぶらとり紙を用いた方法により、上記の定義に基づいて測定することができる。
上記の含有部6と非含有部7の幅の和は、液滴の波形化の観点から、2000μm以下がより好ましく、1500μm以下が更に好ましい。また、前記幅の和の下限は特に制限されるものではないが、波形の振幅の増大化の観点からは、前記幅の和は、100μm以上が好ましく、500μm以上がより好ましく、1000μm以上が更に好ましい。
次に、本発明に係る不織布の含有部に含まれる液膜開裂剤の好ましい実施形態について説明する。
第1実施形態の液膜開裂剤は、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上である。なお、第1実施形態の液膜開裂剤の性質を有する化合物を化合物C1と言うことがある。そして、該液膜開裂剤は、水溶解度が0g以上0.025g以下であることが好ましい。第1実施形態の不織布は、前記液膜開裂剤を含む。
液膜開裂剤が有する「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」とは、上記のような経血や尿等の排泄液を想定した液体に対する拡張係数をいう。該「拡張係数」とは、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で後述の測定方法により得られる測定値から、下記数式(1)に基づいて求められる値である。なお、数式(1)における液膜は「表面張力が50mN/mの液体」の液相を意味し、繊維間や繊維表面で膜を張った状態の液体、膜を張る前の状態の液体の両方を含み、単に液体とも言う。また、数式(1)の表面張力は、液膜及び液膜開裂剤の気相との界面における界面張力を意味し、液相間の、液膜開裂剤の液膜との界面張力とは区別する。この区別は、本明細書の他の記載においても同様である。
S=γ−γ−γwo ・・・・・ (1)
γ:液膜(液体)の表面張力
γ:液膜開裂剤の表面張力
γwo:液膜開裂剤の液膜との界面張力
数式(1)から分かるとおり、液膜開裂剤の拡張係数(S)は、液膜開裂剤の表面張力(γ)が小さくなることで大きくなり、液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)が小さくなることで大きくなる。この拡張係数が15mN/m以上であることで、液膜開裂剤は、繊維間の狭小領域で生じる液膜の表面上での移動性、すなわち拡散性の高いものとなる。この観点から、前記液膜開裂剤の拡張係数は、20mN/m以上がより好ましく、25mN/m以上が更に好ましく、30mN/m以上が特に好ましい。一方、その上限は特に制限されるものではないが、数式(1)より表面張力が50mN/mの液体を用いた場合は上限値が50mN/m、表面張力が60mN/mの液体を用いた場合は上限値が60mN/m、表面張力が70mN/mの液体を用いた場合には上限値が70mN/mといったように、液膜を形成する液体の表面張力が上限となる。そこで、本発明では、表面張力が50mN/mの液体を用いている観点から、50mN/m以下である。
液膜開裂剤が有する「水溶解度」とは、脱イオン水100gに対する液膜開裂剤の溶解可能質量(g)であり、後述の測定方法に基づいて、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で測定される値である。この水溶解度が0g以上0.025g以下であることで、液膜開裂剤は、溶解しにくく液膜との界面を形成して、上記の拡散性をより効果的なものとする。同様の観点から、液膜開裂剤の水溶解度は、0.0025g以下が好ましく、0.0017g以下がより好ましく、0.0001g未満が更に好ましい。また、前記水溶解度は小さいほどよく、0g以上であり、液膜への拡散性の観点から、1.0×10−9g以上とすることが実際的である。なお、上記の水溶解性は、水分を主成分とする経血や尿等に対しても当てはまるものと考えられる。
上記の、液膜(表面張力が50mN/mの液体)の表面張力(γ)、液膜開裂剤の表面張力(γ)、液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)、及び液膜開裂剤の水溶解度は、次の方法により測定される。
なお、測定対象の不織布が生理用品や使い捨ておむつなどの吸収性物品に組み込まれた部材(例えば、表面シート)である場合は次のように取り出して測定を行う。すなわち、吸収性物品において、測定対象の部材と他の部材との接合に用いられる接着剤などをコールドスプレー等の冷却手段で弱めた後に、測定対象の部材を丁寧に剥がして取り出す。この取り出し方法は、後述する繊維間距離及び繊度の測定など、本発明の不織布に係る測定において適用される。
また、繊維に付着した液膜開裂剤について測定する場合、まず液膜開裂剤が付着した繊維をヘキサンやメタノール、エタノールなどの洗浄液で洗浄し、その洗浄に用いた溶媒(液膜開裂剤を含む洗浄用溶媒)を乾燥させて取り出す。このときの取り出した物質の質量は、液膜開裂剤の繊維質量に対する含有割合(OPU)を算出するときに適用される。取り出した物質の量が表面張力や界面張力の測定には少ない場合、取り出した物質の構成物に合わせて適切なカラム及び溶媒を選択した上で、それぞれの成分を高速液体クロマトグラフィーで分画し、さらに各画分についてMS測定、NMR測定、元素分析等を行うことで、各画分の構造を同定する。また、液膜開裂剤が高分子化合物を含む場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの手法を併用することで、構成成分の同定を行うことがより容易になる。そして、その物質が市販品であれば調達、市販品でなければ合成することにより十分な量を取得し、表面張力や界面張力を測定する。特に、表面張力と界面張力の測定に関しては、上記のようにして取得した液膜開裂剤が固体である場合、該液膜開裂剤の融点+5℃まで加熱して液体に相転移させ、その温度条件のまま測定を実施する。
(液膜(液体)の表面張力(γ)の測定方法)
温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、プレート法(Wilhelmy法)により、白金プレートを使用して測定することができる。その際の測定装置としては、自動表面張力計「CBVP−Z」(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いることができる。白金プレートは、純度99.9%、大きさが横25mm、縦10mmのものを用いる。
なお、液膜開裂剤に関する下記測定では、前述した「表面張力が50mN/mの液体」は、上記の測定方法を用いて、脱イオン水にノニオン系界面活性物質であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例えば、花王株式会社製、商品名レオオールスーパーTW−L120)を加えて、表面張力50±1mN/mに調整された溶液を用いる。
(液膜開裂剤の表面張力(γ)の測定方法)
液膜の表面張力(γ)の測定と同様に、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、プレート法により、同じ装置を使用して測定することができる。この測定に際し、前述のとおり、取得した液膜開裂剤が固体である場合、該液膜開裂剤の融点+5℃まで加熱して液体に相転移させ、その温度条件のまま測定を実施する。
(液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)の測定方法)
温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、ペンダントドロップ法により測定できる。その際の測定装置としては、自動界面粘弾性測定装置(TECLIS−ITCONCEPT社製、商品名THE TRACKERや、KRUSS社、商品名DSA25S)を用いることができる。ペンダントドロップ法では、ドロップが形成されると同時に表面張力が50mN/mの液体に含まれたノニオン系界面活性物質の吸着が始まり、時間経過で界面張力が低下していく。そのため、ドロップが形成された時(0秒時)の界面張力を読み取る。また、この測定に際し、前述のとおり、取得した液膜開裂剤が固体である場合、該液膜開裂剤の融点+5℃まで加熱して液体に相転移させ、その温度条件のまま測定を実施する。
また界面張力の測定時に、液膜開裂剤と表面張力が50mN/mの液体の密度差が非常に小さい場合や、粘度が著しく高い場合、界面張力値がペンダントドロップの測定限界以下の場合には、ペンダントドロップ法による界面張力測定が困難になる場合がある。その場合には、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、スピニングドロップ法により測定することで、測定が可能となる。その際の測定装置としては、スピニングドロップ界面張力計(KRUSS社製、商品名SITE100)を用いることができる。また、この測定についても、ドロップの形状が安定化した時の界面張力を読み取り、取得した液膜開裂剤が固体である場合には、該液膜開裂剤の融点+5℃まで加熱して液体に相転移させ、その温度条件のまま測定を実施する。
尚、双方の測定装置で界面張力を測定可能な場合は、より小さな界面張力値を測定結果として採用する。
(液膜開裂剤の水溶解度の測定方法)
温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、100gの脱イオン水をスターラーで撹拌しながら、取得した液膜開裂剤を徐々に溶解していき、溶けなくなった(浮遊や沈殿、析出、白濁が見られた)時点での溶解量を水溶解度とする。具体的には、0.0001g毎に剤を添加して測定する。その結果、0.0001gも溶けないと観察されたものは「0.0001g未満」とし、0.0001gは溶けて、0.0002gは溶けなかったと観察されたものは「0.0001g」とする。なお、液膜開裂剤が界面活性剤の場合、「溶解」とは単分散溶解とミセル分散溶解の両方を意味し、浮遊や沈殿、析出、白濁が見られた時点での溶解量が水溶解度となる。
本実施形態の液膜開裂剤は、上記の拡張係数と水溶解度とを有することで、液膜の表面上で、溶解することなく広がり、液膜の中心付近から液膜の層を押しのけることができる。これにより、液膜を不安定化させて開裂する。
ここで、本実施形態の液膜開裂剤の不織布における作用について、図7及び8を参照して具体的に説明する。
図7に示すように、繊維間の狭い領域においては、経血等の粘性の高い液や尿などの排泄液は、液膜2を張りやすい。これに対し、液膜開裂剤は次のようにして液膜を不安定化して破り、形成を阻害して、不織布中からの排液を促す。まず、図8(A1)及び(B1)に示すように、不織布の繊維1が有する液膜開裂剤3が、液膜2との界面を保ったまま、液膜2の表面上を移行する。次いで、液膜開裂剤3は、図8(A2)及び(B2)に示すように、液膜2の一部を押しのけて厚み方向へと侵入し、図8(A3)及び(B3)に示すように、液膜2を徐々に不均一で薄い膜へと変化させていく。その結果、液膜2は、図8(A4)及び(B4)に示すように、はじけるようにして穴が開き開裂される。開裂された経血等の液は、液滴となってなお不織布の繊維間を通過しやすくなり、液残りが低減される。また、上記の液膜開裂剤の液膜に対する作用は、繊維間の液膜に対する場合に限らず、繊維表面にまとわりついた液膜に対しても同様に発揮される。すなわち、液膜開裂剤は、繊維表面にまとわりついた液膜上を移行して該液膜の一部を押しのけ、液膜を開裂させることができる。また、液膜開裂剤は、繊維表面にまとわりついた液膜に対しては、繊維に付着した位置で移動せずともその疎水作用によっても液膜を開裂させ、形成を阻害することができる。
このように本発明に係る液膜開裂剤は、液膜の表面張力を下げるなどの液改質をするのではなく、繊維間や繊維表面に生じる液膜自体を押しのけながら開裂し、阻害することで不織布中からの液の排液を促す。これにより、不織布の液残りを低減することができる。また、このような不織布を表面シートとして吸収性物品に組み込むと、繊維間での液の滞留が抑えられて、吸収体までの液透過路が確保される。これにより、液の透過性が高まり、シート表面での液流れが抑制され、液の吸収速度が高まる。特に、粘性の高い経血など繊維間に留まりやすい液の吸収速度を高めることができる。そして、表面シートにおける赤み等の汚れが目立ちにくく、吸収力を実感できる、安心で信頼性の高い吸収性物品となる。
本実施形態において、前記液膜開裂剤は、さらに、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下であることが好ましい。すなわち、前述した数式(1)における拡張係数(S)の値を定める1変数である「液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)」が20mN/m以下であることが好ましい。「液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)」を低く抑えることで、液膜開裂剤の拡張係数が上がり、繊維表面から液膜中心付近へ液膜開裂剤が移行しやすくなり、前述の作用がより明確となる。この観点から、液膜開裂剤の「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」は、17mN/m以下がより好ましく、13mN/m以下が更に好ましく、10mN/m以下がより更に好ましく、9mN/m以下が特に好ましく、1mN/m以下がとりわけ好ましい。一方、その下限は特に制限されるものではなく、液膜への不溶性の観点から0mN/mより大きければよい。なお、界面張力が0mN/m、すなわち溶解する場合には、液膜と液膜開裂剤間での界面を形成することができないため、数式(1)は成り立たず、剤の拡張は起きない。
拡張係数はその数式からもわかるように、対象となる液の表面張力により、その数値が変化する。例えば、対象液の表面張力が72mN/m、液膜開裂剤の表面張力が21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は50.8mN/mとなる。
また、対象液の表面張力が30mN/m、液膜開裂剤の表面張力21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は8.8mN/mとなる。
いずれの場合においても、拡張係数が大きい剤ほど、液膜開裂効果は大きくなる。
本明細書では、表面張力50mN/mにおける数値を定義したが、表面張力が異なったとしても、その各物質同士の拡張係数の数値の大小関係に変化はないことから、体液の表面張力が仮に、日ごとの体調などで変化したとしても、拡張係数が大きい剤ほど優れた液膜開裂効果を示す。
また、本実施形態において、液膜開裂剤の表面張力は、32mN/m以下が好ましく、30mN/m以下がより好ましく、25mN/m以下が更に好ましく、22mN/m以下が特に好ましい。また、前記表面張力は小さいほどよく、その下限は特に限定されるものではない。液膜開裂剤の耐久性の観点から、1mN/m以上が実際的である。
液膜開裂剤の表面張力を上記のような範囲以下とすることで、液膜を張る対象液の表面張力が下がった場合でも、液膜開裂作用を効果的に発揮させることができる。
次に、第2実施形態の液膜開裂剤について説明する。
第2実施形態の液膜開裂剤は、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きい、すなわち正の値であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である。なお、第2実施形態の液膜開裂剤の性質を有する化合物を化合物C2と言うことがある。そして、該液膜開裂剤は、水溶解度が0g以上0.025g以下であることが好ましい。
第2実施形態の不織布は前記液膜開裂剤を含む。前記「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」を20mN/m以下とすることは、前述のように液膜開裂剤の液膜上での拡散性が高まることを意味する。これにより、前記「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」が15mN/m未満であるような拡張係数が比較的小さい場合でも、拡散性が高いため繊維表面から多くの液膜開裂剤が液膜内に分散し、多くの位置で液膜を押しのけることにより、第1実施形態の場合と同様の作用を奏し得る。
なお、液膜開裂剤に関する、「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」、「水溶解度」及び「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」とは、第1実施形態で定義したものと同様のものであり、その測定方法も同様である。
本実施形態において、液膜開裂剤の前記作用をより効果的なものとする観点から、前記「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」は、17mN/m以下が好ましく、13mN/m以下がより好ましく、10mN/m以下が更に好ましく、9mN/m以下がより更に好ましく、1mN/m以下が特に好ましい。下限値については、第1実施形態と同様に特に制限されるものでなく、液膜(表面張力が50mN/mの液体)に溶解しない観点から、0mN/mより大きくするのが実際的である。
また、「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」は、液膜開裂剤の前記作用をより効果的なものとする観点から、9mN/m以上が好ましく、10mN/m以上がより好ましく、15mN/m以上が更に好ましい。その上限は特に制限されるものではないが、数式(1)より液膜を形成する液体の表面張力が上限となる観点から、50mN/m以下が実質的である。
また、液膜開裂剤の表面張力及び水溶解度のより好ましい範囲は、第1実施形態と同様である。
第1実施形態の液膜開裂剤を含む不織布及び第2実施形態の液膜開裂剤を含む不織布は、さらにリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。これにより、繊維表面の親水性が高まり、濡れ性が向上することによって、液膜と液膜開裂剤が接する面積が大きくなること、そして、血液や尿は生体由来のリン酸基を有する界面活性物質を有することから、リン酸基を有する界面活性剤を併用することで、活性剤の相溶性に起因して、さらに血液や尿に含まれるリン脂質との親和性もよいため、液膜開裂剤が液膜に移行しやすくなり、液膜の開裂がさらに促進される。液膜開裂剤とリン酸エステル型のアニオン界面活性剤との含有比率は、質量比(液膜開裂剤:リン酸エステル型のアニオン界面活性剤)で、1:1〜19:1が好ましく、2:1〜15:1がより好ましく、3:1〜10:1が更に好ましい。特に、前記含有比率は、質量比で、5:1〜19:1が好ましく、8:1〜16:1がより好ましく、11:1〜13:1が更に好ましい。
リン酸エステル型のアニオン界面活性剤としては特に制限なく用いられる。例えば、その具体例としては、アルキルエーテルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルなどが挙げられる。その中でも、アルキルリン酸エステルが液膜との親和性を高めると同時に不織布の加工性を付与する機能の観点から好ましい。
アルキルエーテルリン酸エステルとしては、特に制限なく種々のものを用いることができる。例えば、ポリオキシアルキレンステアリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンミリスチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンパルミチルエーテルリン酸エステルなどの飽和の炭素鎖を持つものや、ポリオキシアルキレンオレイルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンパルミトレイルエーテルリン酸エステルなどの不飽和の炭素鎖及び、これらの炭素鎖に側鎖を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素鎖が16〜18のモノ又はジポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である。また、ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン及びこれ等の構成モノマーが共重合されたものなどが挙げられる。なお、アルキルエーテルリン酸エステルの塩としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、アンモニア、各種アミン類などが挙げられる。アルキルエーテルリン酸エステルは、一種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アルキルリン酸エステルの具体例としては、ステアリルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、パルミチルリン酸エステル等の飽和の炭素鎖を持つものや、オレイルリン酸エステル、パルミトレイルリン酸エステル等の不飽和の炭素鎖及び、これらの炭素鎖に側鎖を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である。尚、アルキルリン酸エステルの塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、アンモニア、各種アミン類等が挙げられる。アルキルリン酸エステルは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
次に、第1実施形態及び第2実施形態における液膜開裂剤の具体例について説明する。これらは前述した特定の数値範囲にあることで水に溶けないか水難溶性の性質を有し、前記液膜開裂の作用をする。これに対し、従来の繊維処理剤として使用される界面活性剤などは実用上、水に対して溶解して使用する基本的には水溶性のものであり、本発明の液膜開裂剤ではない。
第1実施形態及び第2実施形態における液膜開裂剤としては、質量平均分子量が500以上の化合物が好ましい。この質量平均分子量は液膜開裂剤の粘度に大きく影響する。液膜開裂剤は、粘度を高く保つことで、液が繊維間を通過する際に流れ落ちにくく、不織布における液膜開裂効果の持続性を保つことができる。液膜開裂効果を十分に持続させる粘度とする観点から、液膜開裂剤の質量平均分子量は、1000以上がより好ましく、1500以上が更に好ましく、2000以上が特に好ましい。一方、液膜開裂剤が配された繊維から液膜への液膜開裂剤の移行、即ち拡散性を保持する粘度とする観点から、50000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下が更に好ましい。この質量平均分子量の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)「CCPD」(商品名、東ソー株式会社製)を用いて測定される。測定条件は下記のとおりである。また、換算分子量の計算はポリスチレンで行う。
分離カラム:GMHHR−H+GMHHR−H(カチオン)
溶離液:LファーミンDM20/CHCl3
溶媒流速:1.0ml/min
分離カラム温度:40℃
また、第1実施形態における液膜開裂剤としては、後述するように、下記の構造X、X−Y、及びY−X−Yからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する化合物が好ましい。
構造Xは、>C(A)−〈Cは炭素原子を示す。また、<、>及び−は結合手を示す。以下、同様。〉、−C(A)−、−C(A)(B)−、>C(A)−C(R)<、>C(R)−、−C(R)(R)−、−C(R−、>C<及び、−Si(RO−、−Si(R)(R)O−のいずれかの基本構造が、繰り返されるか、もしくは2種以上が組み合わされた構造のシロキサン鎖、又はその混合鎖を表す。構造Xの末端には、水素原子、又は、−C(A)、−C(A)B、−C(A)(B)2、−C(A)−C(R、−C(RA、−C(R、また、−OSi(R、−OSi(R(R)、−Si(R、−Si(R(R)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する。
上記のRやRは各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えば、フェニル基が好ましい。)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子が好ましい。)などの各種置換基を示す。A、Bは各々独立に、水酸基やカルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基などの酸素原子や窒素原子を含む置換基を示す。構造X内にR、R、A、Bが各々複数ある場合は、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。また、連続するC(炭素原子)やSi間の結合は、通常、単結合であるが、二重結合や三重結合を含んでいてもよく、CやSi間の結合には、エーテル基(−O−)、アミド基(−CONR−:Rは水素原子または一価の基)、エステル基(−COO−)、カルボニル基(−CO−)、カーボネート基(−OCOO−)などの連結基を含んでもよい。一つのC及びSiが、他のC又はSiと結合している数は、1つ〜4つで、長鎖のシリコーン鎖(シロキサン鎖)又は混合鎖が分岐していたり、放射状の構造を有している場合があってもよい。
Yは、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子から選ばれる原子を含む、親水性を有する親水基を表す。例えば、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基、ポリオキシアルキレン基(オキシアルキレン基の炭素数は1〜4が好ましい。例えば、ポリオキシエチレン(POE)基、ポリオキシプロピレン(POP)基が好ましい。)、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、スルホベタイン基、カルボベタイン基、ホスホベタイン基(これらのベタイン基は、各ベタイン化合物から水素原子を1つ取り除いてなるベタイン残基をいう。)、4級アンモニウム基などの親水基単独、もしくは、その組み合わせからなる親水基などである。これらの他にも、後述するMで挙げた基及び官能基も挙げられる。なお、Yが複数の場合は互いに同一でも異なっていてもよい。
構造X−Y及びY−X−Yにおいて、Yは、X、又はXの末端の基に結合する。YがXの末端の基に結合する場合、Xの末端の基は、例えばYとの結合数と同数の水素原子等が取り除かれてYと結合する。
この構造において、親水基Y、A、Bを具体的に説明した基から選択して前述の拡張係数、水溶解度、界面張力を満たすことができる。こうして、目的の液膜開裂効果を発現する。
上記の液膜開裂剤は、構造Xがシロキサン構造である化合物が好ましい。さらに、液膜開裂剤において、上記の構造X、X−Y、Y−X−Yの具体例として、下記(1)〜(11)式で表される構造を、任意に組み合せたシロキサン鎖からなる化合物が好ましい。さらに、この化合物が前述した範囲の質量平均分子量を有することが液膜開裂作用の観点から好ましい。
Figure 2017214695
式(1)〜(11)において、M、L、R21、及びR22は次の1価又は多価(2価又はそれ以上)の基を示す。R23、及びR24は次の1価若しくは多価(2価又はそれ以上)の基、又は単結合を示す。
は、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、もしくはそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基を有する基や、エリスリトール基、キシリトール基、ソルビトール基、グリセリン基もしくはエチレングリコール基などの複数の水酸基を有する親水基(エリスリトール等の複数の水酸基を有する上記化合物から水素原子を1つ取り除いてなる親水基)、水酸基、カルボン酸基、メルカプト基、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えばメトキシ基が好ましい。)、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基、スルホン酸基、4級アンモニウム基、スルホベタイン基、ヒドロキシスルホベタイン基、ホスホベタイン基、イミダゾリウムベタイン基、カルボベタイン基、エポキシ基、カルビノール基、(メタ)アクリル基、又はそれらを組み合わせた官能基を示す。なお、Mが多価の基である場合、Mは、上記各基又は官能基から、さらに1つ以上の水素原子を除いた基を示す。
は、エーテル基、アミノ基(Lとして採りうるアミノ基は、>NR(Rは水素原子または一価の基)で表される。)、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基の結合基を示す。
21、R22、R23、及びR24は、各々独立に、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えばフェニル基が好ましい。)、フルオロアルキル基、もしくはアラルキル基、又はそれらを組み合わせた炭化水素基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子が好ましい。)を示す。なお、R22及びR23が多価の基である場合、上記炭化水素基から、さらに1つ以上の水素原子又はフッ素原子を除いた多価炭化水素基を示す。
また、R22又はR23がMと結合する場合、R22又はR23として採りうる基は、上記各基、上記炭化水素基又はハロゲン原子の他に、R32として採りうるイミノ基が挙げられる。
液膜開裂剤は、なかでも、Xとして、(1)、(2)、(5)及び(10)式のいずれかで表される構造を有し、Xの末端、又はXの末端とYとからなる基として、これらの式以外の上記式のいずれかで表される構造を有する化合物が好ましい。さらに、X、又はXの末端とYとからなる基が、上記(2)、(4)、(5)、(6)、(8)及び(9)式のいずれかで表される構造を少なくとも1つ有するシロキサン鎖からなる化合物が、好ましい。
上記化合物の具体例として、シリコーン系の界面活性剤の有機変性シリコーン(ポリシロキサン)が挙げられる。例えば、反応性の有機基で変性された有機変性シリコーンとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性、ジオール変性、カルビノール変性、(メタ)アクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性のものが挙げられる。また、非反応性の有機基で変性された有機変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性(ポリオキシアルキレン変性を含む)、メチルスチリル変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性のものなどが挙げられる。これらの有機変性の種類に応じて、例えば、シリコーン鎖の分子量、変性率、変性基の付加モル数など適宜変更することで、上記の液膜開裂作用を奏する拡張係数を得ることができる。ここで、「長鎖」とは、炭素数が12以上であるものをいい、好ましくは12〜20であるものをいう。また、「高級」とは、炭素数が6以上であるものをいい、好ましくは6〜20であるものをいう。
その中でも、ポリオキシアルキレン変性シリコーンやエポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、ジオール変性シリコーンなど、変性シリコーンである液膜開裂剤が少なくとも一つの酸素原子を変性基中に有する構造を有する変性シリコーンが好ましく、特にポリオキシアルキレン変性シリコーンが好ましい。ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、ポリシロキサン鎖を有することで、繊維の内部に浸透し難く表面に残りやすい。また、親水的なポリオキシアルキレン鎖を付加したことにより、水との親和性が高まり、界面張力が低いため、前述した液膜表面上での移動が起きやすく好ましい。そのため、前述した液膜表面上での移動が起きやすく好ましい。また、ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、エンボス等の熱溶融加工が施されても、その部分において繊維の表面に残りやすく液膜開裂作用は低減し難い。特に液が溜まりやすいエンボス部分において液膜開裂作用が十分に発現するので好ましい。
ポリオキシアルキレン変性シリコーンとしては、下記式[I]〜[IV]で表されるものが挙げられる。さらに、このポリオキシアルキレン変性シリコーンが前述した範囲の質量平均分子量を有することが液膜開裂作用の観点から好ましい。
Figure 2017214695
Figure 2017214695
Figure 2017214695
Figure 2017214695
式中、R31は、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2エチル−ヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)を示す。R32は、単結合又はアルキレン基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。)を示し、好ましくは前記アルキレン基を示す。複数のR31、複数のR32は各々において、互いに同一でも異なってもよい。M11は、ポリオキシアルキレン基を有する基を示し、ポリオキシアルキレン基が好ましい。上記のポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、又はこれらの構成モノマーが共重合されたものなどが挙げられる。m、nは各々独立に1以上の整数である。なお、これら繰り返し単位の符号は、各式(I)〜(IV)において別々に決められるものであり、必ずしも同じ整数を示すものではなく異なっていてもよい。
また、ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、ポリオキシエチレン変性及びポリオキシプロピレン変性のいずれか又は双方の変性基を有するものであってもよい。また、水に溶けない、かつ低い界面張力を有するにはシリコーン鎖のアルキル基R31にメチル基を有することが望ましい。この変性基、シリコーン鎖をもつものとしては、特に制限するものではないが、例えば特開2002−161474の段落[0006]及び[0012]に記載のものがある。より具体的には、ポリオキシエチレン(POE)ポリオキシプロピレン(POP)変性シリコーンや、ポリオキシエチレン(POE)変性シリコーン、ポリオキシプロピレン(POP)変性シリコーンなどが挙げられる。POE変性シリコーンとしては、POEを3モル付加したPOE(3)変性ジメチルシリコーンなどが挙げられる。POP変性シリコーンとしては、POPを10モル、12モル、又は24モル付加したPOP(10)変性ジメチルシリコーン、POP(12)変性ジメチルシリコーン、POP(24)変性ジメチルシリコーンなどが挙げられる。
前述の第1実施形態の拡張係数と水溶解度は、ポリオキシアルキレン変性シリコーンにおいて例えば、ポリオキシアルキレン基の付加モル数(ポリオキシアルキレン変性シリコーン1モルに対する、ポリオキシアルキレン基を形成するオキシアルキレン基の結合数)、下記変性率等により、所定の範囲にすることができる。この液膜開裂剤において、表面張力及び界面張力も同様にして、それぞれ、所定の範囲にすることができる。
上記観点から、該ポリオキシアルキレン基の付加モル数が1以上であるものが好ましい。1未満では、上記の液膜開裂作用にとって界面張力が高くなることにより、拡張係数が小さくなることから液膜開裂効果が弱くなってしまう。この観点から、付加モル数は3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。一方、付加モル数は多すぎると親水的になって水溶解度が高くなってしまう。この観点から、付加モル数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。
変性シリコーンの変性率は、低すぎると親水性が損なわれるため、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。また、高すぎると水に溶けてしまうため、95%以下が好ましく、70%以下がより好ましく40%以下が更に好ましい。なお、前記変性シリコーンの変性率とは、変性シリコーン1分子中のシロキサン結合部の繰り返し単位の総個数に対する、変性したシロキサン結合部の繰り返し単位の個数の割合である。例えば、上記式[I]及び[IV]では(n/m+n)×100%であり、式[II]では、(2/m)×100%であり、式[III]では(1/m)×100%である。
また、前述の拡張係数及び水溶解度は、ポリオキシアルキレン変性シリコーンにおいて、それぞれ、上記したもの以外にも、変性基を水可溶性のポリオキシエチレン基と水不溶性のポリオキシプロピレン基及びポリオキシブチレン基を併用すること、水不溶性のシリコーン鎖の分子量を変化させること、変性基としてポリオキシアルキレン変性に加えてアミノ基、エポキシ基、カルボキシ基、水酸基、カルビノール基などを導入すること等により、所定の範囲に設定できる。
この液膜開裂剤として用いられるポリアルキレン変性シリコーンは、繊維質量に対する含有割合として(Oil Per Unit)、0.02質量%以上5質量%以下含有されることが好ましい。該ポリアルキレン変性シリコーンの含有割合(OPU)は、1質量%以下がより好ましく、0.4質量%以下が更に好ましい。こうすることで、不織布の触感が好ましいものになる。また、該ポリアルキレン変性シリコーンによる液膜開裂効果を十分に発揮する観点から、前記含有割合(OPU)は、0.04質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。
なお、ここでいう繊維質量は、含有部6及び非含有部7を含む不織布全体の繊維質量を意味する(以下で説明する含有割合(OPU)においても同様である。)。
第2実施形態における液膜開裂剤としては、後述するように、下記の構造Z、Z−Y、及びY−Z−Yからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する化合物が好ましい。
構造Zは、>C(A)−<C:炭素原子>、−C(A)−、−C(A)(B)−、>C(A)−C(R)<、>C(R)−、−C(R)(R)−、−C(R−、>C<のいずれかの基本構造が、繰り返されるか、もしくは2種以上が組み合わされた構造の炭化水素鎖を表す。構造Zの末端には、水素原子、又は、−C(A)、−C(A)B、−C(A)(B)2、−C(A)−C(R、−C(RA、−C(Rからなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する。
上記のRやRは各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2エチル−ヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えば、フェニル基が好ましい。)、フルオロアルキル基、アラルキル基、もしくはそれらを組み合わせた炭化水素基、又はフッ素原子などの各種置換基を示す。A、Bは各々独立に、水酸基やカルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基などの酸素原子や窒素原子を含む置換基を示す。構造Z内にR、R、A、Bが各々複数ある場合は、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。また、連続するC(炭素原子)間の結合は、通常、単結合であるが、二重結合や三重結合を含んでいてもよく、C間の結合には、エーテル基、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基などの連結基を含んでも良い。一つのCが、他のCと結合している数は、1つ〜4つで、長鎖の炭化水素鎖が分岐していたり、放射状の構造を有している場合があってもよい。
Yは、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子から選ばれる原子を含む、親水性を有する親水基を表す。例えば、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基; 又は、ポリオキシアルキレン基(オキシアルキレン基の炭素数は1〜4が好ましい。例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、もしくはそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基が好ましい。); 又は、 エリスリトール基、キシリトール基、ソルビトール基、グリセリン基、エチレングリコール基、などの複数の水酸基を有する親水基; 又は、 スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、スルホベタイン基、カルボベタイン基、ホスホベタイン基、4級アンモニウム基、イミダゾリウムベタイン基、エポキシ基、カルビノール基、メタクリル基などの親水基単独; 又は、 その組み合わせからなる親水基などである。なお、Yが複数の場合は互いに同一でも異なっていてもよい。
構造Z−Y及びY−Z−Yにおいて、Yは、Z、又はZの末端の基に結合する。YがZの末端の基に結合する場合、Zの末端の基は、例えばYとの結合数と同数の水素原子等が取り除かれてYと結合する。
この構造において、親水基Y、A、Bを具体的に説明した基から選択して前述の拡張係数、水溶解度、界面張力を満たすことができる。こうして、目的の液膜開裂効果を発現する。
上記の液膜開裂剤は、上記の構造Z、Z−Y、Y−Z−Yの具体例として、下記(12)〜(25)式で表される構造を、任意に組み合せた化合物が好ましい。さらに、この化合物が前述した範囲の質量平均分子量を有することが液膜開裂作用の観点から好ましい。
Figure 2017214695
式(12)〜(25)において、M、L、R41、R42、及びR43は下記の1価又は多価の基(2価又はそれ以上)を示す。
は、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、もしくはそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基を有する基や、エリスリトール基、キシリトール基、ソルビトール基、グリセリン基もしくはエチレングリコール基などの複数の水酸基を有する親水基、水酸基、カルボン酸基、メルカプト基、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えばメトキシ基が好ましい。)、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基、スルホン酸基、4級アンモニウム基、スルホベタイン基、ヒドロキシスルホベタイン基、ホスホベタイン基、イミダゾリウムベタイン基、カルボベタイン基、エポキシ基、カルビノール基、(メタ)アクリル基、又はそれらを組み合わせた官能基を示す。
は、エーテル基、アミノ基、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、又は、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、もしくはそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基、などの結合基を示す。
41、R42、及びR43は各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えばフェニル基が好ましい。)、フルオロアルキル基、アラルキル基、もしくはそれらを組み合わせた炭化水素基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子が好ましい。)からなる各種置換基を示す。
42が多価の基である場合、R42は、上記各置換基から、さらに1つ以上の水素原子を除いた基を示す。
なお、それぞれの構造に記載されている結合手の先には、任意に他の構造が連結しても、水素原子が導入されてもよい。
さらに上記化合物の具体例として、次のような化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
第1に、ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤が挙げられる。具体的には、式(V)のいずれかで表されるポリオキシアルキレンアルキル(POA)エーテルや、式(VI)で表される質量平均分子量1000以上のポリオキシアルキレングリコール、ステアレス、ベヘネス、PPGミリスチルエーテル、PPGステアリルエーテル、PPGベヘニルエーテルなどが挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、POPを3モル以上24モル以下、好ましくは5モル付加したラウリルエーテルなどが好ましい。ポリエーテル化合物としては、ポリプロピレングリコールを17モル以上180モル以下、好ましくは約50モル付加した質量平均分子量1000〜10000、好ましくは3000のポリプロピレングリコールなどが好ましい。なお、上記の質量平均分子量の測定は、前述した測定方法で行うことができる。
このポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤は、繊維質量に対する含有割合として(Oil Per Unit)、0.1質量%以上5質量%以下含有されることが好ましい。該ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤の含有割合(OPU)は、1質量%以下がより好ましく、0.4質量%以下が更に好ましい。こうすることで、不織布の触感が好ましいものになる。また、該ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤による液膜開裂効果を十分に発揮する観点から、前記含有割合(OPU)は、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましい。
Figure 2017214695
Figure 2017214695
式中、L21は、エーテル基、アミノ基、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、又はそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基、などの結合基を示す。R51は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、フルオロアルキル基、アラルキル基、もしくはそれらを組み合わせた炭化水素基、又はフッ素原子からなる各種置換基を示す。また、a、b、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、Cはアルキル基(n=2m+1)を表し、Cはアルキレン基(a=2b)を表す。なお、これら炭素原子数および水素原子数は、各式(V)及び(VI)において各々独立に決められるものであり、必ずしも同じ整数を示すものではなく異なっていてもよい。以下、式(VII)〜(XV)のm、m’、m’’、n、n’及びn’’においても同様である。なお、−(CO)−の「m」は、1以上の整数である。この繰り返し単位の値は、各式(V)及び(VI)において各々独立に決められるものであり、必ずしも同じ整数を示すものではなく異なっていてもよい。
前述の第2実施形態の拡張係数、表面張力及び水溶解度は、ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤において、例えば、ポリオキシアルキレン基のモル数等により、それぞれ、所定の範囲に設定することができる。この観点から、ポリオキシアルキレン基のモル数が1以上70以下であるものが好ましい。1以上とすることで、上記の液膜開裂作用が十分に発揮される。この観点から、モル数は5以上がより好ましく、7以上がさらに好ましい。一方、付加モル数は、70以下が好ましく、60以下がより好ましく、50以下が更に好ましい。こうすることで、分子鎖のからみが適度に弱くなり、液膜内での拡散性に優れ、好ましい。
また、前述の拡張係数、表面張力、界面張力及び水溶解度は、それぞれ、ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤において、水溶性のポリオキシエチレン基と水不溶性のポリオキシプロピレン基及びポリオキシブチレン基を併用すること、炭化水素鎖の鎖長を変化させること、炭化水素鎖に分岐鎖を有するものを用いること、炭化水素鎖に二重結合を有するものを用いること、炭化水素鎖にベンゼン環やナフタレン環を有するものを用いること、または上記を適宜組み合わせること等により、所定の範囲に設定できる。
第2に、炭素原子数5以上の炭化水素化合物が挙げられる。炭素原子数は、液体の方がより液膜表面に拡張しやすくなる観点から、100以下が好ましく、50以下がより好ましい。この炭化水素化合物は、ポリオルガノシロキサンを除くもので、直鎖に限らず、分岐鎖であってもよく、その鎖は飽和、不飽和に特に限定されない。また、その中間及び末端には、エステルやエーテルなどの置換基を有していてもよい。その中でも、常温で液体のものが好ましく単独で用いられる。この炭化水素化合物は、繊維質量に対する含有割合として(Oil Per Unit)、0.1質量%以上5質量%以下含有されることが好ましい。該炭化水素化合物の含有割合(OPU)は、1質量%以下が好ましく、0.99質量%以下がより好ましく、0.4質量%以下が更に好ましい。こうすることで、不織布の触感が好ましいものになる。また、該炭化水素化合物の含有割合による液膜開裂効果を十分に発揮する観点から、前記含有割合(OPU)は、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましい。
炭化水素化合物としては、油又は脂肪、例えば天然油もしくは天然脂肪が挙げられる。具体例としては、ヤシ油、ツバキ油、ヒマシ油、ココナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ひまわり油、トール油、及びこれらの混合物などが挙げられる。
また、カプリル酸、カプリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、及びこれらの混合物などの式(VII)で表すような脂肪酸が挙げられる。
Figure 2017214695
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、Cは、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換の多価アルコール脂肪酸エステル又は多価アルコール脂肪酸エステルの混合物の例として、式(VIII−I)又は(VIII−II)で表すような、グリセリン脂肪酸エステルやペンタエリスリトール脂肪酸エステルが挙げられ、具体的にはグリセリルトリカプリレート、グリセリルトリパルミテート及びこれらの混合物などが挙げられる。なお、グリセリン脂肪酸エステルや、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの混合物には、典型的には多少のモノ、ジ、およびトリエステルが含まれる。グリセリン脂肪酸エステルの好適な例としては、グリセリルトリカプリレート、グリセリルトリカプリエートの混合物などが挙げられる。また、界面張力を低下させ、より高い拡張係数を得る観点から、水不溶性を維持できる程度にポリオキシアルキレン基を導入した多価アルコール脂肪酸エステルを用いてもよい。
Figure 2017214695
Figure 2017214695
式中、m、m’、m’’、n、n’及びn’’は各々独立に1以上の整数である。複数のm、複数のnは各々において、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、C、C’H’及びC’’H’’は、それぞれ、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の脂肪酸が、多数の水酸基を有するポリオールとエステルを形成し、一部の水酸基がエステル化されずに残存している脂肪酸又は脂肪酸混合物の例として、式(IX)のいずれか、式(X)のいずれか、又は式(XI)のいずれかで表すような、グリセリン脂肪酸エステルや、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの部分エステル化物が挙げられる。具体的には、エチレングリコールモノミリステート、エチレングリコールジミリステート、エチレングリコールパルミテート、エチレングリコールジパルミテート、グリセリルジミリステート、グリセリルジパルミテート、グリセリルモノオレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリステアリル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、及びこれらの混合物などが挙げられる。なお、グリセリン脂肪酸エステルや、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどの部分エステル化物からなる混合物には、典型的には多少の完全エステル化された化合物が含まれる。
Figure 2017214695
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。複数のm、複数のnは各々において、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、Cは、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
Figure 2017214695
式中、R52は、炭素原子数2以上22以下の、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)を示す。具体的には、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、オレイル基、リノール基などが挙げられる。
Figure 2017214695
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。複数のm、複数のnは各々において、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、Cは、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
また、ステロール、フィトステロール及びステロール誘導体が挙げられる。具体例としては、式(XII)のステロール構造を有する、コレステロール、シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、及びこれらの混合物などが挙げられる。
Figure 2017214695
アルコールの具体例としては、式(XIII)で表すような、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物などが挙げられる。
Figure 2017214695
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、Cは、上記各アルコールの炭化水素基を示す。
脂肪酸エステルの具体例としては、式(XIV)で表すような、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、セチルエチルヘキサノエート、トリエチルヘキサノイン、オクチルドデシルミリステート、エチルヘキシルパルミテート、エチルヘキシルステアレート、ブチルステアレート、ミリスチルミリステート、ステアリルステアレート、コレステリルイソステアレート及びこれらの混合物などが挙げられる。
Figure 2017214695
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、2つのCは、同一でも異なっていてもよい。C−COO−のCは上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。−COOCのCはエステルを形成するアルコール由来の炭化水素基を示す。
また、ワックスの具体例としては、式(XV)で表すような、セレシン、パラフィン、ワセリン、鉱油、流動イソパラフィンなどが挙げられる。
Figure 2017214695
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。
前述の第2実施形態の拡張係数、表面張力、水溶解度及び界面張力は、それぞれ、上記の炭素原子数5以上の炭化水素化合物において、例えば、親水的なポリオキシエチレン基を水不溶性が維持できる程度に少量導入すること、疎水的だが界面張力を低下させることができるポリオキシプロピレン基やポリオキシブチレン基を導入すること、炭化水素鎖の鎖長を変化させること、炭化水素鎖に分岐鎖を有するものを用いること、炭化水素鎖に二重結合を有するものを用いること、炭化水素鎖にベンゼン環やナフタレン環を有するものを用いること等により、所定の範囲に設定できる。
本発明に係る不織布において、上述した液膜開裂剤の他に、必要により他の成分を含有させてもよい。また、第1実施形態の液膜開裂剤、第2実施形態の液膜開裂剤は、別々に用いる形態以外にも、両者の剤を組み合わせて用いてもよい。この点は、第2実施形態の液膜開裂剤における第1の化合物と第2の化合物についても同じである。
なお、本発明に係る不織布において、含有される液膜開裂剤やリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を同定する場合は、上記の液膜(表面張力が50mN/mの液体)の表面張力(γw)等の測定方法で述べた同定の方法を用いることができる。
また、液膜開裂剤の成分が主鎖がシロキサン鎖を有する化合物又は炭素原子数1以上20以下の炭化水素化合物である場合、その繊維質量に対する含有割合(OPU)は、前述の分析手法により得た物質の質量を基に、その液膜開裂剤の含有量を繊維の質量で割ることにより求めることができる。
本発明に係る不織布は、繊維の太さや繊維間距離に関係なく、液透過性の高いものとなる。しかしながら、本発明の不織布は、特に細い繊維を用いた場合に効果的である。通常よりも肌触りの柔らかい不織布とするために細い繊維を用いると、繊維間距離が小さくなり、繊維間の狭い領域が多くなる。例えば、通常、一般的に用いられる不織布(繊度が2.4dtex)の場合、繊維間距離が120μmで、形成される液膜面積率が約2.6%程度となる。しかし、繊度を1.2dtexに下げると、繊維間距離が85μmで、液膜面積率は約7.8%と通常の不織布の3倍程度にまでなってしまう。これに対し、本発明に係る液膜開裂剤が、多発する液膜を確実に開裂して液残りを低減する。後述するように、液膜面積率は、不織布表面からの画像解析により算出する液膜面積率であり、表面材の最表面における液残りの状態と強い相関がある。そのため、液膜面積率が減少すると、肌近傍にある液が取り除かれ、排泄後の快適性が高まり、排泄後も着け心地の良い吸収性物品となる。一方で、後述する液残り量は、不織布全体に保持されている液量を意味する。液膜面積率が小さくなれば、一概に比例的とまではいかないが、液残りは低減する。また、表面の白さは後述するL値として表される。L値は、表面の液膜が破れることで、液残り量が低下し、数値が高まる傾向にあり、視覚的に白さが際立ちやすくなる。本発明に係る液膜開裂剤を含む不織布は、繊維を細くしても液膜面積率及び液残り量を低下させ、L値を高くできるので、ドライ感と繊維を細くすることによる柔らかな肌触りとを高レベルで両立することができる。また、本発明に係る不織布を吸収性物品の表面材等の構成部材として用いることにより、肌に触れる部分でのドライ感が高く、視覚的な白さにより体液による汚れが目立ち難いため、漏れの心配も抑えられる、つけ心地のよい快適さを実現する吸収性物品を提供できる。
このような液膜開裂剤を含む不織布において、肌触りの柔らかさを高める観点から、不織布の繊維間距離は、150μm以下が好ましく、90μm以下がより好ましい。また、その下限は、繊維間が狭くなりすぎることにより通液性が損なわれるのを抑える観点から、50μm以上が好ましく、70μm以上がより好ましい。具体的には、50μm以上150μm以下が好ましく、70μm以上90μm以下がより好ましい。
この場合の上記の繊維の繊度は、3.3dtex以下が好ましく、2.4dtex以下がより好ましい。また、その下限は、0.5dtex以上が好ましく、1dtex以上がより好ましい。具体的には、0.5dtex以上3.3dtex以下が好ましく、1dtex以上2.4dtex以下がより好ましい。
(繊維間距離の測定方法)
繊維間距離は、次のようにして測定対象の不織布の厚みを測定し、下記数式(2)に当てはめて求める。
まず、測定対象の不織布を長手方向50mm×幅方向50mmに切断し、該不織布の切断片を作製する。測定対象の不織布が生理用品や使い捨ておむつなどの吸収性物品に組み込まれている場合など、この大きさの切断片を得られない場合には、得られる最大限の大きさに切断して切断片を作製する。
この切断片の厚みを、49Pa加圧で測定する。測定環境は温度20±2℃、相対湿度65±5%、測定機器にはマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−1000)を用いる。まず、前記不織布断面の拡大写真を得る。拡大写真には、既知の寸法のものを同時に写しこむ。前記不織布断面の拡大写真にスケールを合わせ、不織布の厚みを測定する。以上の操作を3回行い、3回の平均値を乾燥状態の不織布の厚み[mm]とする。なお積層品の場合は、繊維径からその境界を判別し、厚みを算出する。
次いで、測定対象の不織布を構成する繊維の繊維間距離は、以下に示す、Wrotnowskiの仮定に基づく式により求められる。Wrotnowskiの仮定に基づく式は、一般に、不織布を構成する繊維の繊維間距離を求める際に用いられる。Wrotnowskiの仮定に基づく式によれば、繊維間距離A(μm)は、不織布の厚みh(mm)、坪量e(g/m)、不織布を構成する繊維の繊維径d(μm)、繊維密度ρ(g/cm)によって、以下の数式(2)で求められる。なお、凹凸を有する場合には、代表値として凸部の不織布厚みh(mm)を用いて算出する。
繊維径d(μm)は、走査型電子顕微鏡(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用いて、カットした繊維の繊維断面を10本測定し、その平均値を繊維径とする。
繊維密度ρ(g/cm)は、密度勾配管を使用して、JIS L1015化学繊維ステープル試験方法に記載の密度勾配管法の測定方法に準じて測定する。
坪量e(g/m)は、測定対象の不織布を所定(0.12m×0.06mなど)の大きさにカットし、質量測定後に、「質量÷所定の大きさから求められる面積=坪量(g/m)」の式で算出して坪量を求める。
Figure 2017214695
(構成繊維の繊度の測定方法)
電子顕微鏡等により繊維の断面形状を計測し、繊維の断面積(複数の樹脂より形成されている繊維では各々の樹脂成分の断面積)を計測するとともに、DSC(示差熱分析装置)により、樹脂の種類(複数樹脂の場合は、おおよその成分比も)を特定して、比重を割り出し、繊度を算出する。例えば、PETのみから構成される短繊維であれば、まず断面を観察し、その断面積を算出する。その後、DSCで測定することで、融点やピーク形状から単成分の樹脂から構成されており、それがPET芯であることを同定する。その後、PET樹脂の密度と断面積を用いて、繊維の質量を算出することで、繊度を算出する。
本発明に係る不織布を構成する繊維としては、この種の物品に通常用いられるものを特に制限なく採用することができる。例えば、熱融着性芯鞘型複合繊維、熱伸長性繊維、非熱伸長性繊維、熱収縮性繊維、非熱収縮性繊維、立体捲縮繊維、潜在捲縮繊維、中空繊維等の種々の繊維を挙げることができる。特に熱可塑性樹脂を有することが好ましい。また、非熱伸長性繊維及び非熱収縮性繊維は熱融着性であることが好ましい。芯鞘型の複合繊維は、同心の芯鞘型でも、偏心の芯鞘型でも、サイド・バイ・サイド型でも、異型形でも良く、同心の芯鞘型であることが好ましい。この繊維及び不織布の製造において、液膜開裂剤、又は液膜開裂剤及びリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の繊維への含有は、いずれの工程において行ってもよい。例えば、繊維の紡糸時に通常用いられる繊維用紡糸油剤に液膜開裂剤や、液膜開裂剤及びリン酸型アニオン界面活性剤の混合物を配合して塗布してもよく、繊維の延伸前後の繊維用仕上げ油剤に液膜開裂剤や、液膜開裂剤及びリン酸型アニオン界面活性剤の混合物を配合して、塗布してもよい。また、不織布の製造に通常用いられる繊維処理剤に液膜開裂剤やリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を配合して繊維に塗工してもよく、不織布化後に塗工してもよい。
本発明に係る不織布は、液膜開裂剤、又はこれにさらにリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を含むことから、様々な繊維構造に対応して、液残り抑制に優れる。そのため不織布に多量の液がかかっても、繊維間における液の透過通路が常に確保され液透過性に優れる。これにより、繊維間距離と液膜形成の問題に制限されることなく、不織布に種々の機能を付加することができる。例えば、1層からなるものであってもよく、2層以上の複数層からなるものであってもよい。また、不織布の形状が平坦なものでもよく、一面側又は両面側が凹凸にされたものでもよく、繊維の坪量又は密度に種々の変化を付けたものであってもよい。
凸部と凹部を備えた凹凸形状を有する不織布に液膜開裂剤を施す場合も、図1〜3に示されるパターンや、その他の任意のパターンで液膜開裂剤を含有させることができる。一般に、表面に空隙が存在しないフィルムシートと空隙が存在する不織布シートとの表面液流れを対比すると、該シートの全体が親水性である場合は、不織布シートの方がシート全体としてより親水的な性能を発現し、液流れはフィルムシートよりも短くなる。一方、シートの全体が疎水性である場合は、不織布シートの方がシート全体としてより疎水的な性能を発現し、液流れはフィルムシートよりも長くなる。これは、Cassie−Baxterの理論(辻井薫著、「超撥水と超親水−その仕組みと応用−」、米田出版、2009年初版、p38記載)によるものである。この傾向は、平坦な不織布よりも凹凸形状の不織布の場合に、より顕著に生ずる。そのため、本発明は、平坦な不織布よりも、凹凸不織布の場合による顕著な効果を奏する。凹凸形状を有する不織布に液膜開裂剤を含有させる場合には、凸部頂部に液膜開裂剤を含有させて含有部を配し、凹部底部には液膜開裂剤を含有させずに非含有部を配することができる。このとき、前記凸部の頂部が前記含有部を有するパターン、前記凹部の底部が前記非含有部を有するパターン、前記凸部と前記含有部が一致しており、前記凹部と前記非含有部とが一致しているパターンなどがある。これにより、肌に接しやすい凸部にて高いレベルの液残り低減を実現しながら、凹凸不織布であっても表面における液流れ防止性を高めることができる。また、この塗工パターンは、凹凸形状を有する不織布に液膜開裂剤をフレキソ印刷方式などの印刷方式によって塗工する場合には、凸部が印刷ロールと接触するため、製造方法の観点からも好ましい。凸部と含有部とが一致している場合、図9〜11に示す不織布の含有部のパターンは図3−1(B)と同じか類似したものになる。同様に、図12〜14に示す不織布の含有部のパターンは図1か図3−1(A)と同じか類似したものになり、図16に示す不織布の含有部のパターンは図3−2(D)と同じか類似したものになる。
さらに、本発明に係る不織布は、液膜開裂剤の作用により液透過性に優れるため、吸収体との組み合わせについても選択肢の幅が広がる。また、本発明に係る不織布が複数層からなる場合の液膜開裂剤は、全ての層に含有されてもよく、一部に含有されてもよい。少なくとも、液を直接受け止める側の層に含有されることが好ましい。例えば、本発明の不織布を吸収性物品の表面シートとする場合、少なくとも肌当接面側の層に液膜開裂剤が含有されることが好ましい。
本発明に係る不織布は、少なくとも一部の繊維交絡点付近又は繊維融着点付近に液膜開裂剤が局在化していることが好ましい。ここでいう液膜開裂剤の「局在」とは、不織布を構成する繊維の表面全体に均等に液膜開裂剤が付着した状態ではなく、各繊維の表面よりも繊維交絡点付近又は繊維融着点付近に偏って付着している状態をいう。具体的には、繊維表面(交絡点間あるいは融着点間の繊維表面)に比べて交絡点や融着点付近の液膜開裂剤濃度が高いと定義することができる。その際、繊維交絡点付近又は繊維融着点付近に存在する液膜開裂剤は、繊維交絡点又は繊維融着点を中心に繊維間の空間を部分的に被覆するように付着されていてもよい。交絡点や融着点付近の液膜開裂剤濃度は濃い程良い。該濃度は、用いる液膜開裂剤の種類や使用する繊維の種類、他の剤と混合する場合の有効成分割合等により変わってくるため一義的に定められないが、前述した液膜開裂作用を発揮する観点から適宜定めることができる。
液膜開裂剤の局在によって、液膜開裂作用がより発現しやすくなる。すなわち、繊維交絡点付近又は繊維融着点付近は特に液膜が生じやすい場所であるため、その場所に、より多くの液膜開裂剤があることで液膜に直接的に作用しやすくなる。
このようは液膜開裂剤の局在は、不織布全体の繊維交絡点付近又は繊維融着点付近の30%以上で生じていることが好ましく、40%以上で生じていることがより好ましく、50%以上で生じていることが更に好ましい。不織布のなかでも、繊維交絡点または繊維融着点同士の距離が比較的短いところは繊維間の空間が小さく特に液膜が生じやすい。そのため、繊維間の空間が小さいところの繊維交点付近又は繊維融着点付近に選択的に液膜開裂剤が局在していると特に液膜開裂作用が効果的に発現し好ましい。また、上記のような選択的な局在の場合、液膜開裂剤は、比較的小さな繊維間空間に対する被覆率を大きくし、比較的大きな繊維間空間に対する被覆率を小さくすることが好ましい。これにより、不織布における液透過性を保持しつつ、毛管力が大きく液膜が生じやすい部分での開裂作用を効果的に発現することができ、不織布全体における液残り低減効果が高くなる。ここで「比較的小さな繊維間空間」とは、前述した(繊維間距離の測定方法)で求めた繊維間距離に対して1/2以下の繊維間距離を有する繊維間空間のことをいう。
(液膜開裂剤の局在状態の確認方法)
上記の液膜開裂剤の局在状態は、以下の方法により確認することができる。
まず、不織布を5mm×5mmにカットし、試料台にカーボンテープを用いて取り付ける。試料台を走査型電子顕微鏡(S4300SE/N、株式会社日立製作所製)に無蒸着の状態で入れ、低真空もしくは真空状態にする。アニュラー形反射電子検出器(付属品)を用いて検出を行うことにより、原子番号の大きいほど反射電子を放出しやすいことから、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)やポリエステル(PET)を主に構成する炭素原子や水素原子より原子番号の大きい酸素原子やケイ素原子を多く含む液膜開裂剤が塗工された部分が白く写るので、白さによって局在の状態を確認できる。なお、その白さは原子番号が大きいか、または付着量が多いほど白さが増す。
また、本発明に係る不織布の製造に際しては、この種の物品に通常用いられる方法を採用できる。例えば、繊維ウエブの形成方法として、カード法、エアレイド法、スパンボンド法等を用いることができる。繊維ウエブの不織布化方法としては、スパンレース、ニードルパンチ、ケミカルボンド、ドット状のエンボス加工等の通常用いられる各種の不織布化方法を採用できる。その中でも、肌触りの観点から、エアスルー不織布、スパンボンド不織布であることが好ましい。ここでいう「エアスルー不織布」とは、50℃以上の流体、例えば気体や水蒸気を、ウエブ又は不織布に吹き付ける工程(エアスルー処理工程)を経て製造された不織布をいう。また、「スパンボンド不織布」はスパンボンド法で製造された積層不織布をいう。本工程のみで製造される不織布のみならず、他の方法で作製された不織布に本工程を付加して製造した不織布あるいは本工程の後に何らかの工程を行って製造した不織布をも含む意味である。また、本発明の不織布は、エアスルー不織布やスパンボンド不織布のみからなるものに限らず、エアスルー不織布、スパンボンド不織布と他の不織布等の繊維シートやフィルム材とを複合化したものも包含する。
本発明に係る不織布の製造方法において、前述のように不織布化後に液膜開裂剤を塗工する場合、液膜開裂剤を含む溶液中に原料不織布を浸漬する方法が挙げられる。前記溶液は、例えば液膜開裂剤を溶媒で希釈した溶液などが挙げられる(以下、この溶液を液膜開裂剤溶液ともいう。)。希釈する溶媒としては、エタノールなどのアルコールが挙げられる。また別の方法としては、原料不織布に対して、液膜開裂剤単体、もしくは前記液膜開裂剤を含む溶液を塗布する方法が挙げられる。なお、前記液膜開裂剤を含む溶液にリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を混合していてもよい。その場合の液膜開裂剤とリン酸エステル型のアニオン界面活性剤との含有比率は前述のとおりであることが好ましい。前記溶媒としては、水溶解度の極めて小さい液膜開裂剤を、不織布に塗工しやすいように溶媒中に適度に溶解または分散させて乳化させることができるものを特に制限なく用いることができる。例えば、溶解させるものとしてエタノール、メタノール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒、もしくは乳化液とする場合には当然ながら水も溶媒ないしは分散媒体として用いることができ、乳化させる時に使用する乳化剤としてアルキルリン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキルベタイン、アルキルスルホコハク酸ナトリウムなどを含む各種界面活性剤が挙げられる。なお、原料不織布とは、液膜開裂剤を塗工する前のものをいい、その製造方法としては、前述のとおり通常用いられる製造方法を特に制限なく用いることができる。
上記の原料不織布に対して塗布する方法としては、この不織布の製造方法に用いられるものを特に制限なく採用することができる。例えば、スプレーによる塗布、スロットコーターによる塗布、グラビア方式、フレキソ方式、ディッピング方式による塗布等などが挙げられる。
前述した繊維交絡点付近又は繊維融着点付近への液膜開裂剤の局在化の観点からは、不織布化後の原料不織布に塗工することが好ましく、浸漬でなく、原料不織布に対して塗布する方法がより好ましい。塗布する方法の中でも、フレキソ方式による塗布方法が、液膜開裂剤の局在化をより明確にする観点から特に好ましい。
また、原料不織布としては、種々の不織布を特に制限なく用いることができる。特に、液膜開裂剤の局在化を保つ観点から繊維交絡点が熱融着又は熱圧着しているものが好ましく、前述したエアスルー処理や熱エンボスにより繊維同士を熱接着して得られた不織布を用いることがより好ましい。
液膜開裂剤を繊維に付着させる際には、液膜開裂剤を含む繊維処理剤として用いることが好ましい。該液膜開裂剤を含む溶液は、繊維処理剤として別途単独の溶液として作製しておいくこともできる。ここで説明する「繊維処理剤」とは、すなわち、水溶解度が極めて小さい油状の液膜開裂剤を、水と界面活性剤等で乳化するなどして、原料不織布ないし繊維に塗工処理しやすい状態にしたものをいう。液膜開裂剤を塗工するための繊維処理剤において、液膜開裂剤の含有割合は繊維処理剤の質量に対して50質量%以下であることが好ましい。これにより、繊維処理剤は、油状の成分となる液膜開裂剤を溶媒中に安定的に乳化させた状態とすることができる。安定的な乳化の観点から、液膜開裂剤の含有割合は、繊維処理剤の質量に対して40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、塗工後に液膜開裂剤が繊維上を適度な粘度で移動して前述した不織布における液膜開裂剤の局在化を実現する観点から、上記の含有割合とすることが好ましい。液膜開裂剤の含有割合は、十分な液膜開裂効果を発現させる観点から、繊維処理剤の質量に対して5質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましい。なお、液膜開裂剤を含有する繊維処理剤は、液膜開裂剤の作用を阻害しない範囲で、他の剤を含んでもよい。例えば、前述したリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を含んでいてもよい。その場合の液膜開裂剤とリン酸エステル型のアニオン界面活性剤との含有比率は前述のとおりであることが好ましい。その他、繊維加工の際に用いられる静電気防止剤や耐摩擦剤、また不織布に適度な親水性を付与する親水化剤、乳化安定性を付与する乳化剤などを含んでいてもよい。
本発明に係る不織布の好ましい実施形態として、凹凸形状を有するものの具体例について説明する。
例えば、熱収縮性繊維を利用した、図9に示すものが挙げられる(第1実施態様)。図9に示す不織布10は、上面1A(表面シートとしたときの肌当接面)側の上層11と下面1B(表面シートとしたときの非肌当接面)側の下層12の2層からなる。また、上面1Aから厚み方向にエンボス加工(圧搾)が施されて2層が接合されている(エンボス加工が施された部分をエンボス凹部(凹状の接合部)13という。)。下層12は、熱収縮性繊維の熱収縮が発現した層である。上層11は、非熱収縮性繊維を含む層であり、非熱収縮性繊維は凹状の接合部13で部分的に接合されている。非熱収縮性繊維は、加熱により全く収縮しないものに限らず、下層12の熱収縮性繊維の熱収縮を阻害しない程度に収縮するものを含む。この非熱収縮性繊維としては、熱による不織布化の観点から、非熱収縮性熱融着繊維が好ましい。
この不織布10は、例えば、特開2002−187228号公報の段落[0032]〜[0048]の記載の素材と製造方法とによって製造することができる。この製造において、例えば、上層11と下層12の積層体に対し、上層側11からエンボス加工等した後、熱処理で熱収縮性繊維を熱収縮させる。このとき、その繊維の収縮によって隣接するエンボス部分同士が引っ張られ互いの間隔が縮まる。この変形により、上層11の繊維は、エンボス凹部13を基点として上面1A側に隆起し、凸部14を形成する。又は、熱収縮が発現した下層12を伸長させた状態で上層を積層し、上記のエンボス加工を施す。その後、下層12の伸長状態を解放すると、上層11側が上面1A側に隆起し凸部14が形成される。このエンボス加工としては、ヒートエンボス加工や超音波エンボスなど通常用いられる方法で行うことができる。また、両層の接合に関し、接着剤を用いた接合方法でもよい。
このように製造された不織布10において、エンボス凹部(凹状の接合部)13では、上層11が下層側12に圧搾されて接合されている。このエンボス凹部13は、不織布10の平面方向に散点状に形成されており、エンボス凹部13に囲まれた部分が、前述の、上層11が隆起した凸部14である。凸部14は、三次元的な立体形状であり、例えばドーム形状をなしている。上記のようの製造方法で形成される凸部14は、繊維が下層12よりも粗な状態となっている。凸部14の内部は、図9に示すように繊維で満たされていてもよく、上層11と下層12とが分離してなる中空部を有していてもよい。エンボス凹部13と凸部14との配置は任意とすることができ、例えば、格子配置としてもよい。格子配置としては、複数のエンボス凹部13からなる列が複数条配列され、各列におけるエンボス凹部13の間隔が隣り合う列同士で反ピッチずれた配置などが挙げられる。また、エンボス凹部13の平面視形状は、点状にする場合、円形や、楕円形状、三角形状、方形状、その他の多角形状としてもよく、適宜任意に設定できる。また、エンボス凹部13は、点状以外に、線状としてもよい。
不織布10は、上面1A側に、凸部14とエンボス凹部13とを有する凹凸面を有するため、平面方向へ伸長させた場合の形状回復性、厚み方向へ圧縮させたときの圧縮変形性に優れる。また、上記のような上層11の繊維の隆起により比較的嵩高な不織布となる。これにより、不織布10に触れた使用者は、柔らかなやさしい肌触りを感じることができる。また不織布10を、上面10Aを肌当接面、下面1Bを非肌当接面とする表面シートとして組み込んだ吸収性物品では、凸部14とエンボス凹部13とを有する凹凸で肌当接面側が通気性に優れたものとなる。
また、不織布10は、前述の液膜開裂剤の作用、又は液膜開裂剤及びリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の協働作用により、液残りが少なくなる。これにより、凹凸面とエンボスの密な部分を利用した液透過性をさらに高めることができる。
なお、不織布10は、上層11と下層12の2層構造に限らず、さらに他の層を有していてもよい。例えば、上層11と下層12との間に単層又は複数層を配してもよく、不織布10の上面10A側、下面10B側に単層又は複数層を配してもよい。この単層又は複数層は、熱収縮性繊維を有する層であってもよく、非熱収縮性繊維を有する層であってもよい。
本発明の不織布を、凹凸形状としたものの他の具体例として、不織布20、30、40、50、60、70(第2〜第7実施態様)を以下に示す。
まず、第2実施態様の不織布20は、図10に示すように、中空部21を有する二層構造である。いずれの層も熱可塑性繊維を含む。不織布20においては、第1不織布20Aと第2不織布20Bとが部分的に熱融着された接合部22を有する。接合部22に囲まれた非接合部において、第1不織布20Aが、第2不織布20Bから離れる方向に突出して、内部に中空部21を有する凸部23を多数有する。接合部22は、隣り合う凸部23,23間に位置する凹部であり、凸部23と共に第1面1Aの凹凸を構成している。この不織布20は、通常用いられる方法により形成することができる。例えば、2つの凹凸ロールの噛み合わせにより第1不織布20Aを凹凸賦形した後、第2不織布を貼り合わせて不織布20を得る。凹凸ロールの噛み合わせにより不織布を賦形する観点から、第1不織布20A及び第2不織布20Bはいずれも、非熱伸長性で非熱収縮性の熱融着繊維を含むことが好ましい。
不織布20は、例えば、第1面1Aを肌当接面側に向けた表面シートとして吸収体上に積層して使用した際に、第1面1A側から第2面1B側への液透過性に優れる。具体的には、中空部21を経由する液透過である。また、着用者の体圧が凸部23に加わって、凸部23にある液が直接的に第2不織布3へと移行する。これにより、第1面1A側での液残りが少ない。このような作用は、前述した液膜開裂剤の作用、又は液膜開裂剤及びリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の協働作用によって、より高いレベルで持続的に発揮され得る。すなわち、長時間使用や多量の排泄があった場合でも、液膜破裂で液の透過経路が確保されるので、上記のような液透過性が十分に発揮され得る。
次に、第3実施態様の不織布30は、図11(A)及び(B)に示すように、熱可塑性繊維を含み、両面に凹凸する形状の第1繊維層301を有する。図11(A)は第1繊維層301のみからなる1層構造の不織布30Aを示している。図11(B)は第1繊維層301と、第1繊維層301の第2面1B側に沿って接合された第2繊維層302とを有する2層構造の不織布30Bを示している。以下に、それぞれの不織布について具体的に説明する。
図11(A)に示す不織布30A(第1繊維層301)は、第1面1Aに突出する第1突出部31と第2面1B側に突出する第2突出部32とが、不織布30Aを平面視した際の交差する異なる方向において交互に連続して配されている。第1突出部31及び第2突出部32は、ぞれぞれの反対面側に解放された内部空間を有しており、この部分がその面における凹部33、34をなす。これにより、第1面1Aは、第1突出部31と凹部34の凹凸形状である。また、第2面1Bは、第2突出部32と凹部33の凹凸形状である。また、不織布30Aは、第1突出部31と第2突出部32とを繋ぐ壁部35を有する。壁部35は、第1突出部31及び第2突出部32それぞれの内部空間の壁面を形成しており、平面方向に環状構造を有する。壁部35を構成する繊維は、環状構造のいずれの地点においても、第1突出部31と第2突出部32とを繋ぐ方向に繊維配向性を有する。これにより壁部にコシが生まれる。その結果、不織布30Aは、ほどよいクッション性を有し、圧力がかかっても回復性に優れ、各内部空間の潰れを回避できる。また、両面突出により体圧に対する分散性が高く、接触面積も抑えられるので、柔らかい肌触りと液戻り防止性に優れる。不織布30Aは、いずれかの面を肌当接面側として吸収性物品の表面シートとして採用でき、吸収性物品にほどよいクッション性や柔らかい肌触り、優れた液戻り防止性を付与することができる。
図11(B)に示す不織布30Bは、前述の第1繊維層301の第2面1B側の凹凸に沿って第2繊維層302が配され接合されてなる。この不織布30Bは典型的には第1面1Aを肌当接面として用いる。不織布30Bの第1面1A側では、前述した第1繊維層301の第1突出部31と凹部34との凹凸形状が広がり、第1突出部31と凹部32との間の環状構造の壁部35が配されている。したがって、不織布30Bにおいても前述した第1繊維層301の繊維配向性を有し、それにより壁部にコシが生まれ凹凸の回復性に優れる。
これに加え、不織布30Bは、エアスルー工程による熱風処理により、繊維ウエブの賦形、不織布化、及び両層の接合を行っているため、全体として嵩高で低目付なものとなっている。特に、両繊維層301及び302の接合が、熱風による繊維同士の熱融着で接合されているため、繊維層間の接合部分の繊維間に隙間ができ、接合部となる凹部32であっても液通過速度が速い。また、第1繊維層301の第1突出部31の頂部の第2面1B側に、第2繊維層302の繊維密度が第1繊維層301および第2繊維層302の他の部分の繊維密度よりも低い部分36を有する。この繊維密度が低い部分36が存在することによって、低荷重であっても、第1繊維層301の第1突出部31が凹みやすくなるので、不織布30Bのクッション性が高められる。不織布30Bは、吸収性物品の表面シートとして採用する場合、第1面1A側(すなわち第1繊維層301側)を肌当接面側とすることが好ましい。
不織布30(30A及び30B)においても、前述した液膜開裂剤の作用、又は液膜開裂剤及びリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の協働作用により液の透過経路が常に確保される。これにより、繊維の径や繊維密度についての設計の幅が広がる。
この不織布30(30A及び30B)の製造には、例えば、繊維ウエブに対して、熱風温度及び風速を制御しながら多段階の熱風処理を行うエアスルー加工を採用することができる。例えば、不織布30A(第1繊維層301)は、特開2012−136790号の段落[0031]及び[0032]に記載の製造方法を用いることができる。また、ウエブを凹凸賦形させる支持体としては、中実の突起部と開口部とを有するものを用いることが好ましい。例えば、特開2012−149370号の図1及び2に示す支持体や特開2012−149371号の図1及び2に示すに示す支持体を用いることができる。また、不織布30B(第1繊維層301及び第2繊維層302の積層不織布)は、上記の第1繊維層301のエアスルー工程の中で第2繊維層302となる繊維ウエブを積層させることにより製造することができる。例えば、特開2013−124428号公報の段落[0042]〜[0064]に記載の製造方法を用いることができる。エアスルー加工により不織布30A及び30Bを賦形する観点から、第1繊維層301及び第2繊維層302のいずれも、非熱伸長性で非熱収縮性の熱融着繊維であることが好ましい。
次に、第4実施態様の不織布40は、図12に示すように、熱可塑性繊維を含む1層からなり、第1面1A側において、半円筒状の凸部41と該凸部41の側縁に沿って配された凹部42とが複数交互に配置された形状を有する。凹部42の下側には、不織布の繊維からなる凹部底部43が配されている。凹部底部43は、凸部41よりも繊維密度が低くされている。この不織布30においては、凸部41上に別の繊維層45を部分的に積層してもよい(図13参照)。不織布40を第1面1A側を肌当接面側とする表面シートとして吸収性物品に組み込むと、凸部41で受け取った液が凹部42へと移行しやすく、凹部43において第2面1B側へと移行しやすい。これにより液残りが少なく肌のべたつきが抑えられる。
不織布40においても、前述した液膜開裂剤、又は液膜開裂剤及びリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の作用により液の透過経路が常に確保される。これにより、繊維の径や繊維密度についての設計の幅が広がる。
このような不織布40は、繊維ウエブに対して、凹部42とする部分に熱風等の流体を吹き付けて繊維を移動させることにより形成することができる。これにより凹部底部43の繊維密度がその周辺よりも低くすることができる。
次に、第5実施態様の不織布50は、図14に示すように、一方向(Y方向)に延びる筋状の凸条部51と凹条部52とが、交互に配された凹凸構造を有する。また、この不織布シート50の厚み方向において、前記凹凸構造を、頂部域50A、底部域50B及びこれらの間に位置する側部域50Cの3等分に区分することができる。
不織布50は構成繊維54同士の交点の熱融着部55を複数有する。1本の構成繊維54に着目すると、構成繊維54は、図15に示すように、隣り合う融着部55同士の間に、繊維径の小さい2個の小径部56に挟まれた大径部57を有する。これにより、不織布50の柔軟性が向上し肌触りが良好なものとなる。また、繊維単位で肌との接触面積が低減され、より良いドライ感が得られる。また、柔軟性の観点から、小径部56から該大径部57への変化点58は、隣り合う融着部55,55同士の間隔Tの、融着部55寄りの1/3の範囲内(図15のT1及びT3の範囲)にあることが好ましい。なお、この小径部56とこれに挟まれた大径部57との組み合わせは、間隔Tにおいて複数あってもよい。このような構成繊維における小径部56及び大径部57の構成は、凸条部51及び凹条部52を形成する刃溝延伸加工の際に、繊維が延伸されることによって形成される。その際用いる繊維としては、延伸度の高い繊維が好ましい。例えば、特開2010−168715号公報の段落[0033]に記載の処理工程を経て得られる、加熱により樹脂の結晶状態が変化して長さの延びる熱伸張性繊維などが挙げられる。
さらに、不織布50は、液透過性の観点から、小径部の親水度が大径部の親水度よりも小さくされていることが好ましい。この親水度の差は、繊維に付着する繊維処理剤に延伸性の成分(疎水成分)を含ませことで形成できる。特に、延伸性の成分と親水性の成分とが含まれていることが好ましい。具体的には、上記の刃溝延伸加工によって繊維が延伸すると、延伸してなる小径部35に延伸性の成分が広がり大径部との間に親水度の差が生じる。大径部では、広がりにくい親水性の成分が留まって小径部よりも親水度が高くなる。前記延伸性の成分としては、例えば、ガラス転移点が低く、分子鎖に柔軟性のあるシリコーン樹脂が挙げられ、シリコーン樹脂として、Si−O−Si鎖を主鎖とするポリオルガノシロキサンが好ましく用いられる。
加えて、不織布50は、上記の液透過性の観点から、側壁域30Cの繊維密度が頂部域30A、底部域30Bの繊維密度よりも低いことが好ましい。
不織布50においても、前述した液膜開裂剤、又は液膜開裂剤及びリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の作用により液の透過経路が常に確保される。これにより、繊維の径や繊維密度についての設計の幅が広がる。
不織布50は、単独で用いてもよく、平坦な繊維層と接合されて積層不織布としてもよく、凹凸のある繊維層に積層して該凹凸に沿って一体化した積層不織布としてもよい。例えば、第2実施態様(図10)の不織布20における第2不織布上に積層してもよく、第3実施態様(図11(A))の不織布30Aや第4実施態様(図12又は図13)の不織布40に積層してもよい。
次に、第6実施態様の不織布60は、熱伸長性繊維を含む凹凸形状を有する。図16に示すように、第1面1A側が凹凸形状である。一方、第2面1B側は平坦であるか第1面1A側よりも凹凸の程度が極めて小さい。第1面1A側の凹凸形状は、具体的には、複数の凸部61とこれを囲む線状の凹部62とを有する。凹部62は、不織布60の構成繊維が圧着又は接着された圧接着部を有し、熱伸長性繊維は非伸長の状態である。凸部62は、熱伸長性繊維が熱伸長して第1面1A側に隆起した部分である。したがって、凸部62は、繊維密度が凹部62よりも疎で嵩高い部分となっている。また、線状の凹部62は格子状に配置しており、格子で区画される各領域に凸部61が点在して配置されている。これにより不織布60は、着用者の肌との接触面積が抑えられ蒸れやかぶれが効果的に防止される。また、肌に触れる凸部61は、熱伸長性繊維の熱伸長により嵩高く、柔らかい肌触りとなる。なお、不織布60は、単層構造であってもよく、2層以上の複数層の構造であってもよい。例えば2層構造である場合、第2面1B側の層は、熱伸長性繊維を含まないか、凹凸形状を有する第1面1A側の層よりも熱伸長性繊維の含有量が少ないことが好ましい。また、両層は凹部62の圧接着部で接合されていることが好ましい。
不織布60においても、前述した液膜開裂剤、又は液膜開裂剤及びリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の作用により液の透過経路が常に確保される。これにより、繊維の径や繊維密度についての設計の幅が広がる。
このような不織布60は次の方法により製造することができる。まず、繊維ウエブに対して、ヒートエンボス加工によって線状の凹部62を形成する。このとき、凹部62では、熱伸長性繊維は圧着または融着されて熱熱伸長されないで固定されている。次いで、エアスルー加工により凹部61以外の部分に存する熱伸長性繊維が伸長して凸部61が形成され、不織布60となる。また、不織布60の構成繊維としては、上記の熱伸長性繊維と非熱伸長性の熱融着性繊維との混綿であってもよい。これらの構成繊維としては、例えば、特開2005−350836号公報の段落[0013]、[0037]〜[0040]に記載のもの、特開2011−1277258号公報の段落[0012]、[0024]〜[0046]に記載のものなどを用いることができる。
次に、第7実施態様の不織布70は、図17に示すように、熱可塑性繊維を含む上層71と下層72からなる積層不織布である。上層71には凸状部73と凹状部74とが交互に配されており、凹状部74は開孔している。凹状部74の繊維密度は、凸状部73の繊維密度よりも低くされている。凸状部73と凹状部74とが交互に繰り返し配置される領域は、上層71の一部にあってもよく全体にあってもよい。凸状部73と凹状部74とが交互に繰り返し配置される領域が上層の一部にある場合、該領域は、不織布70を吸収性物品の表面シートとして用いる際に受液領域(排泄部対応領域)となる部分にあることが好ましい。一方、下層72は実質的に繊維密度が均一である。下層72は、少なくとも、上層71の凸状部73と凹状部74とが交互に繰り返し配置される領域に対応して積層される。これにより、不織布70は、凸状部73の繊維密度が高いために嵩高なクッション性を有しており、吸収性物品の表面シートとして用いると液戻りが生じ難くなる。また、不織布70は、凹状部74の繊維密度が低く開孔状態にあるために、液透過性、特に高粘性の液に対する透過性に優れる。
不織布70においても、前述した液膜開裂剤、又は液膜開裂剤及びリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の作用により液の透過経路が常に確保される。これにより、繊維の径や繊維密度についての設計の幅が広がる。
このような不織布70は、例えば、特開平4−24263号公報の第6頁左下欄12行〜第8頁右上欄19行の記載の方法により製造することができる。
本発明に係る液膜開裂剤及び該液膜開裂剤を含む不織布は、その柔らかな肌触りと液残りの低減とを活かして、種々の分野に適用できる。例えば生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ、失禁パッドなどの身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品における表面シート、セカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、吸収体、吸収体を包む被覆シート、防漏シート、あるいは対人用清拭シート、スキンケア用シート、更に対物用のワイパーなどとして好適に用いられる。本発明の不織布を吸収性物品の表面シートやセカンドシートとして用いる場合には、該不織布の第1層側を肌対向面側として用いることが好ましい。なお、本発明に係る液膜開裂剤は、液膜を開裂する作用を奏するものであれば、不織布に限らず、織布など種々の繊維材に適用することができる。
本発明に係る不織布の製造に用いるウエブの坪量は、目的とする不織布の具体的な用途に応じて適切な範囲が選択される。最終的に得られる不織布の坪量は、10g/m以上100g/m以下、特に15g/m以上80g/m以下であることが好ましい。
身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。本発明に係る不織布を表面シートとして用いた場合の吸収体及び裏面シートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができる。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の不織布及び吸収性物品を開示する。
<1>
不織布表面が、液膜開裂剤を含む含有部と、前記液膜開裂剤を含まない非含有部とを有し、かつ、前記含有部及び前記非含有部が配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形を区画したときに、該正方形の領域中に前記含有部と前記非含有部との界面を1つ以上有する、不織布。
<2>
前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上である、前記<1>に記載の不織布。
<3>
不織布表面が、下記化合物C1を含む含有部と、下記化合物C1を含まない非含有部とを有し、かつ、前記含有部及び前記非含有部が配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形を区画したときに、該正方形の領域中に前記含有部と前記非含有部との界面を1つ以上有する、不織布。
[化合物C1]
表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上である化合物。
<4>
前記液膜開裂剤又は前記化合物C1の拡張係数は、20mN/m以上がより好ましく、25mN/m以上が更に好ましく、30mN/m以上が特に好ましい、前記<2>又は<3>に記載の不織布。
<5>
前記液膜開裂剤又は前記化合物C1の、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力は、20mN/m以下が好ましく、17mN/m以下がより好ましく、13mN/m以下が更に好ましく、10mN/m以下がより更に好ましく、9mN/m以下が特に好ましく、1mN/m以下がとりわけ好ましく、0mN/mより大きい、前記<2>〜<4>のいずれか1に記載の不織布。
<6>
前記液膜開裂剤又は前記化合物C1が、下記の構造X、X−Y、及びY−X−Yからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する化合物からなる、前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の不織布。
構造Xは、>C(A)−〈Cは炭素原子を示す。また、<、>及び−は結合手を示す。以下、同様。〉、−C(A)−、−C(A)(B)−、>C(A)−C(R)<、>C(R)−、−C(R)(R)−、−C(R−、>C<及び、−Si(RO−、−Si(R)(R)O−のいずれかの基本構造が、繰り返されるか、もしくは2種以上が組み合わされた構造のシロキサン鎖、又はその混合鎖を表す。構造Xの末端には、水素原子、又は、−C(A)、−C(A)B、−C(A)(B)2、−C(A)−C(R、−C(RA、−C(R、また、−OSi(R、−OSi(R(R)、−Si(R、−Si(R(R)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する。
上記のRやRは各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はハロゲン原子を示す。A、Bは各々独立に、酸素原子又は窒素原子を含む置換基を示す。構造X内にR、R、A、Bが各々複数ある場合は、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
Yは、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子から選ばれる原子を含む、親水性を有する親水基を表す。Yが複数の場合は互いに同一でも異なっていてもよい。
<7>
前記液膜開裂剤又は前記化合物C1が、シリコーン系の界面活性剤の有機変性シリコーンからなり、該有機変性シリコーンとして、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性、ジオール変性、カルビノール変性、(メタ)アクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性及びフッ素変性の、シリコーンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>〜<6>のいずれか1に記載の不織布。
<8>
前記液膜開裂剤又は前記化合物C1が、ポリオキシアルキレン変性シリコーンからなり、該ポリオキシアルキレン変性シリコーンが、下記式[I]〜[IV]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記<1>〜<7>のいずれか1に記載の不織布。
Figure 2017214695
Figure 2017214695
Figure 2017214695
Figure 2017214695
式中、R31は、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2エチル−ヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)を示す。R32は、単結合又はアルキレン基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。)を示し、好ましくは前記アルキレン基を示す。複数のR31、複数のR32は各々において、互いに同一でも異なってもよい。M11は、ポリオキシアルキレン基を有する基を示し、ポリオキシアルキレン基が好ましい。上記のポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、又はこれらの構成モノマーが共重合されたものなどが挙げられる。m、nは各々独立に1以上の整数である。なお、これら繰り返し単位の符号は、各式[I]〜[IV]において別々に決められるものであり、必ずしも同じ整数を示すものではなく異なっていてもよい。
<9>
前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である、前記<1>に記載の不織布。
<10>
不織布表面が、下記化合物C2を含む含有部と、下記化合物C2を含まない非含有部とを有し、かつ、前記含有部及び前記非含有部が配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形を区画したときに、該正方形の領域中に前記含有部と前記非含有部との界面を1つ以上有する、不織布。
[化合物C2]
表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物。
<11>
前記液膜開裂剤又は前記化合物C2の、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力は、17mN/m以下が好ましく、13mN/m以下がより好ましく、10mN/m以下が更に好ましく、9mN/m以下が特に好ましく、1mN/m以下がとりわけ好ましく、0mN/mより大きい、前記<9>又は<10>に記載の不織布。
<12>
前記液膜開裂剤又は前記化合物C2の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数は、9mN/m以上が好ましく、10mN/m以上がより好ましく、15mN/m以上が更に好ましく、50mN/m以下である、前記<9>〜<11>のいずれか1に記載の不織布。
<13>
前記液膜開裂剤又は前記化合物C2が、下記の構造Z、Z−Y、及びY−Z−Yからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する化合物からなる前記<1>及び<9>〜<12>のいずれか1に記載の不織布。
構造Zは、>C(A)−<C:炭素原子>、−C(A)−、−C(A)(B)−、>C(A)−C(R)<、>C(R)−、−C(R)(R)−、−C(R−、>C<のいずれかの基本構造が、繰り返されるか、もしくは2種以上が組み合わされた構造の炭化水素鎖を表す。構造Zの末端には、水素原子、又は、−C(A)、−C(A)B、−C(A)(B)、−C(A)−C(R、−C(RA、−C(Rからなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する。
上記のRやRは各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フルオロアルキル基、アラルキル基、もしくはそれらを組み合わせた炭化水素基、又はフッ素原子を示す。A、Bは各々独立に、酸素原子又は窒素原子を含む置換基を示す。構造Z内にR、R、A、Bが各々複数ある場合は、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
Yは、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子から選ばれる原子を含む、親水性を有する親水基を表す。Yが複数の場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。
<14>
前記液膜開裂剤又は前記化合物C2が、下記式[V]のいずれかで表されるポリオキシアルキレンアルキル(POA)エーテル、並びに、下記式[VI]で表される質量平均分子量1000以上のポリオキシアルキレングリコール、ステアレス、ベヘネス、PPGミリスチルエーテル、PPGステアリルエーテル及びPPGベヘニルエーテル、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる、前記<1>及び<9>〜<13>のいずれか1に記載の不織布。
Figure 2017214695
Figure 2017214695
式中、L21は、エーテル基、アミノ基、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、又はそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基、などの結合基を示す。R51は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、フルオロアルキル基、アラルキル基、もしくはそれらを組み合わせた炭化水素基、又はフッ素原子からなる各種置換基を示す。また、a、b、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、Cはアルキル基(n=2m+1)を表し、Cはアルキレン基(a=2b)を表す。なお、これら炭素原子数および水素原子数は、各式[V]及び[VI]において各々独立に決められるものであり、必ずしも同じ整数を示すものではなく異なっていてもよい。なお、−(CO)−の「m」は、1以上の整数である。この繰り返し単位の値は、各式[V]及び[VI]において各々独立に決められるものであり、必ずしも同じ整数を示すものではなく異なっていてもよい。
<15>
前記液膜開裂剤又は前記化合物C2が、下記式[VII]で表される脂肪酸、下記式[VIII−I]又は[VIII−II]で表されるグリセリン脂肪酸エステル及びペンタエリスリトール脂肪酸エステル、下記式[IX]のいずれか、下記式[X]のいずれか、又は下記式[XI]のいずれかで表される、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びペンタエリスリトール脂肪酸エステルの部分エステル化物、下記式[XII]のステロール構造を有する化合物、下記式[XIII]で表されるアルコール、下記式[XIV]で表される脂肪酸エステル、並びに下記式[XV]で表されるワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる、<1>及び<9>〜<13>のいずれか1に記載の不織布。
Figure 2017214695
式[VII]中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、Cは、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
Figure 2017214695
Figure 2017214695
式[VIII−I]及び[VIII−II]中、m、m’、m’’、n、n’及びn’’は各々独立に1以上の整数である。複数のm、複数のnは各々において、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、C、C’H’及びC’’H’’は、それぞれ、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
Figure 2017214695
式[IX]中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。複数のm、複数のnは各々において、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、Cは、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
Figure 2017214695
式[X]中、R52は、炭素原子数2以上22以下の、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)を示す。具体的には、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、オレイル基、リノール基などが挙げられる。
Figure 2017214695
式[XI]中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。複数のm、複数のnは各々において、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、Cは、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
Figure 2017214695
Figure 2017214695
式[XIII]中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、Cは、上記各アルコールの炭化水素基を示す。
Figure 2017214695
式[XIV]中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、2つのCは、同一でも異なっていてもよい。C−COO−のCは上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。−COOCのCはエステルを形成するアルコール由来の炭化水素基を示す。
Figure 2017214695
式[XV]中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。
<16>
前記正方形の領域が、受液部となる位置に配されている前記<1>〜<15>のいずれか1に記載の不織布。
<17>
前記受液部は、前記不織布を紙おむつ又は昼用ナプキンの表面シートとして適用した場合、前記紙おむつ又は昼用ナプキンの長手方向及び幅方向の中央部分であり、前記不織布を夜用ナプキンの表面シートとして適用した場合、該夜用ナプキンを長手方向に4分割した場合の前から2番目の領域における、長手方向及び幅方向の中央部分である、前記<16>に記載の不織布。
<18>
前記正方形の領域に前記界面が複数存在する、前記<1>〜<17>のいずれか1に記載の不織布。
<19>
前記正方形の領域において、前記含有部の前記非含有部に対する面積比が1より大きい、前記<1>〜<18>のいずれか1に記載の不織布。
<20>
前記含有部の前記非含有部に対する面積比が1より大きい正方形が、前記受液部から不織布の長手方向のいずれかの位置に少なくとも1つ配されている前記<16>〜<19>のいずれか1に記載の不織布。
<21>
前記面積比、即ち含有部の面積/非含有部の面積は、1超16以下であり、1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、3以下がより好ましい、前記<19>又は<20>に記載の不織布。
<22>
前記面積比、即ち含有部の面積/非含有部の面積は、1.5以上3以下である、前記<19>又は<20>に記載の不織布。
<23>
前記含有部と前記非含有部とが不織布表面に周期的に配されている前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の不織布。
<24>
前記含有部及び非含有部はともに長手方向に帯状に延出し、かつ、該帯状の含有部及び非含有部は幅方向に交互に配置されている、前記<1>〜<23>のいずれか1に記載の不織布。
<25>
前記含有部が円形を有し、該含有部が複数、長手方向及び幅方向の両方向に沿って互いに離間し、複数の方向に分散配置されている、前記<1>〜<23>のいずれか1に記載の不織布。
<26>
前記含有部が幾何学形状の複数の線からなり、該含有部の間が前記非含有部とされている、前記<1>〜<23>のいずれか1に記載の不織布。
<27>
前記非含有部が幾何学形状の複数の線からなり、該非含有部の間が前記含有部とされている、前記<1>〜<23>のいずれか1に記載の不織布。
<28>
隣り合う前記含有部と前記非含有部との幅の和が2500μm以下である、前記<1>〜<27>のいずれか1に記載の不織布。
<29>
隣り合う前記含有部と前記非含有部との幅の和は、100μm以上2500μm以下であり、2000μm以下が好ましく、1500μm以下がより好ましく、また、500μm以上が好ましく、1000μm以上がより好ましい、前記<28>に記載の不織布。
<30>
隣り合う前記含有部と前記非含有部との幅の和は、1000μm以上1500μm以下である、前記<28>に記載の不織布。
<31>
前記含有部の構成繊維の接触角は、前記非含有部の構成繊維の接触角よりも大きい、前記<1>〜<30>のいずれか1に記載の不織布。
<32>
前記含有部の構成繊維の接触角と前記非含有部の構成繊維の接触角の差は、5度以上70度以下であり、10度以上が好ましく、20度以上がより好ましく、また、50度以下が好ましく、30度以下がより好ましい、前記<31>に記載の不織布。
<33>
前記含有部の構成繊維の接触角と前記非含有部の構成繊維の接触角の差は、20度以上30度以下である、前記<31>に記載の不織布。
<34>
前記非含有部の構成繊維の接触角は90度以下であることが好ましく、80度以下であることがより好ましく、70度以下であることが更に好ましい、前記<31>〜<33>のいずれか1に記載の不織布。
<35>
前記含有部の構成繊維の接触角は110度以下であることが好ましく、90度以下であることがより好ましく、80度以下であることが更に好ましい、前記<31>〜<34>のいずれか1に記載の不織布。
<36>
前記液膜開裂剤、前記化合物C1又は前記化合物C2の水溶解度が0g以上0.025g以下である前記<1>〜<35>のいずれか1に記載の不織布。
<37>
前記液膜開裂剤、前記化合物C1又は前記化合物C2の表面張力は、32mN/m以下が好ましく、30mN/m以下がより好ましく、25mN/m以下が更に好ましく、22mN/m以下が特に好ましく、1mN/m以上が好ましい、前記<1>〜<36>のいずれか1に記載の不織布。
<38>
前記不織布が凸部と凹部を有する凹凸形状である、前記<1>〜<37>のいずれか1に記載の不織布。
<39>
前記凸部の頂部が前記含有部を有する、前記<38>に記載の不織布。
<40>
前記凹部の底部が前記非含有部を有する、前記<38>又は<39>に記載の不織布。
<41>
前記凸部と前記含有部が一致しており、前記凹部と前記非含有部が一致している、前記<38>に記載の不織布。
<42>
少なくとも一部の繊維交絡点付近又は繊維融着点付近に前記液膜開裂剤、前記化合物C1又は前記化合物C2が局在化している、前記<1>〜<41>のいずれか1に記載の不織布。
<43>
前記<1>〜<42>のいずれか1に記載の不織布を表面シートとして用いた吸収性物品。
<44>
前記吸収性物品が生理用ナプキンである前記<43>に記載の吸収性物品。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。また、拡張係数、界面張力、表面張力及び水溶解度は、前述のとおり、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で測定したものである。下記実施例における、液膜開裂剤の表面張力、水溶解度及び界面張力は、前述の測定方法により行った。なお、下記表中における、「−」は、項目名に示される剤を用いないこと、項目に該当する値を有さないこと等を意味する。また、「←」は、左隣の記載内容と同じであることを意味する。
(実施例1)
図9に示す凹凸形状の原料不織布を前述の方法により作製した。上層(第1面1A側の層)には繊度1.2dtexの非熱収縮性熱融着繊維を用い、下層(第2面1B側の層)には繊度2.3dtexの熱収縮性繊維を用いた。このときの上層の繊維間距離は80μm、下層の繊維間距離は60μmであった。また、当該不織布の坪量は、74g/mであった。
前記原料不織布の凹凸構造の面に対し、ポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーン(信越化学工業株式会社製 KF−6015)で、構造X−YにおけるXが−Si(CHO−からなるジメチルシリコーン鎖、Yが−(CO)−からなるPOE鎖からなり、POE鎖の末端基がメチル基(CH)であり、変性率が20%、ポリオキシエチレン付加モル数が3、質量平均分子量が4000の液膜開裂剤を、フレキソ印刷方式によりパターン塗工した。これにより、含有部と非含有部とが図1に示すストライプ状のパターン配置とした不織布試料S1を作製した。この液膜開裂剤としてのポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーンの不織布全体の繊維質量に対する含有割合(OPU)、1辺5mmの正方形の領域における界面の数、面積の比、含有部及び非含有部の幅、幅の和は、表1に示すとおりであった。
前記液膜開裂剤は、表面張力21.0mN/m、水溶解度0.0001g未満であった。また、前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数は28.8mN/mであり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力は、0.2mN/mであった。これらの数値は、前述の測定方法により測定した。その際、「表面張力が50mN/mの液体」は、100gの脱イオン水にノニオン系界面活性物質であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(花王株式会社製、商品名レオオールスーパーTW−L120)をマイクロピペット(ACURA825、Socorex Isba SA社製)で3.75μL添加し、表面張力を50±1mN/mに調整した溶液を用いた。また、水溶解度は、0.0001g毎に剤を添加して測定した。その結果、0.0001gも溶けないと観察されたものは「0.0001g未満」とし、0.0001gは溶けて、0.0002gは溶けなかったと観察されたものは「0.0001g」とした。それ以外の数値についても同様の方法により測定した。
(実施例2)
液膜開裂剤の不織布全体の繊維質量に対する含有割合(OPU)、1辺5mmの正方形の領域における界面の数、面積の比、含有部及び非含有部の幅、幅の和を表1のとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例2の不織布試料S2を作製した。
(実施例3)
液膜開裂剤の不織布全体の繊維質量に対する含有割合(OPU)、1辺5mmの正方形の領域における界面の数、面積の比、含有部及び非含有部の幅、幅の和を表1のとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例3の不織布試料S3を作製した。
(実施例4)
液膜開裂剤の不織布全体の繊維質量に対する含有割合(OPU)、1辺5mmの正方形の領域における界面の数、面積の比、含有部及び非含有部の幅、幅の和を表1のとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例4の不織布試料S4を作製した。
(実施例5)
液膜開裂剤の不織布全体の繊維質量に対する含有割合(OPU)、1辺5mmの正方形の領域における界面の数、面積の比、含有部及び非含有部の幅、幅の和を表1のとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例5の不織布試料S5を作製した。
(実施例6)
含有部と非含有部とを図3−1(B)に示すドットを90度回転させたパターン配置とし、液膜開裂剤の不織布全体の繊維質量に対する含有割合(OPU)、1辺5mmの正方形の領域における界面の数、面積の比、含有部及び非含有部の幅、幅の和を表1のとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例6の不織布試料S6を作製した。
(実施例7)
液膜開裂剤としてエポキシ変性ジメチルシリコーン(信越化学工業株式会社製、KF−101)で、構造X−YにおけるXが−Si(CHO−からなるジメチルシリコーン鎖、Yが−(RCO)−から成るエポキシ基からなるものであり、変性率が32%、質量平均分子量が35800のものを用い、該液膜開裂剤を溶質エタノールに溶解させ、液膜開裂剤の有効成分3.0質量%として液膜開裂剤の塗工液を作製した。
前記液膜開裂剤の塗工液を用いて、液膜開裂剤の不織布全体の繊維質量に対する含有割合(OPU)、1辺5mmの正方形の領域における界面の数、面積の比、含有部及び非含有部の幅、幅の和を表2のとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例7の不織布試料S7を作製した。
前記液膜開裂剤は、表面張力21.0mN/m、水溶解度0.0001g未満であった。また、前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数は26.0mN/mであり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力は3.0mN/mであった。これらの数値は、実施例1と同様の方法により測定した。
(実施例8)
液膜開裂剤としてトリカプリル酸・カプリン酸グリセリン(花王株式会社製 ココナードMT)で、構造Z−YにおけるZが*−O−CH(CHO−*)(*は結合部を示す。)であり、YがC15O−やC1019O−の炭化水素鎖からなるものであり、脂肪酸組成がカプリル酸を82%、カプリン酸を18%からなり、質量平均分子量が550のものを用い、該液膜開裂剤を溶質エタノールに溶解させ、液膜開裂剤の有効成分3.0質量%として液膜開裂剤の塗工液を作製した。
前記液膜開裂剤の塗工液を用いて、液膜開裂剤の不織布全体の繊維質量に対する含有割合(OPU)、1辺5mmの正方形の領域における界面の数、面積の比、含有部及び非含有部の幅、幅の和を表2のとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例8の不織布試料S8を作製した。
前記液膜開裂剤は、表面張力28.9mN/m、水溶解度0.0001g未満であった。また、前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数は8.8mN/mであり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力12.3mN/mであった。これらの数値は、実施例1と同様の方法により測定した。
(実施例9)
液膜開裂剤として流動イソパラフィン(ルビトールLite、BASFジャパン株式会社製)、質量平均分子量が450のものを用い、該液膜開裂剤を溶質ヘキサンに溶解させ、液膜開裂剤の有効成分3.0質量%として液膜開裂剤の塗工液を作製した。
前記液膜開裂剤の塗工液を用いて、液膜開裂剤の不織布全体の繊維質量に対する含有割合(OPU)、1辺5mmの正方形の領域における界面の数、面積の比、含有部及び非含有部の幅、幅の和を表2のとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例9の不織布試料S9を作製した。
前記液膜開裂剤は、表面張力27.0mN/m、水溶解度0.0001g未満であった。また、前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数は14.5mN/mであり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力8.5mN/mであった。これらの数値は、実施例1と同様の方法により測定した。
(実施例10〜12)
液膜開裂剤の不織布全体の繊維質量に対する含有割合(OPU)、1辺5mmの正方形の領域における界面の数、面積の比、含有部及び非含有部の幅、幅の和を表2のとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例10〜12の不織布試料S10〜S12を作製した。
(比較例1)
実施例1で用いた、液膜開裂剤を塗工する前の原料不織布をそのまま比較例1の不織布試料C1として準備した。
(比較例2)
実施例1で用いた液膜開裂剤を原料不織布の全面に塗工した以外は、実施例1と同様にして比較例2の不織布試料C2を作製した。
(表面シート(不織布試料)の液残り量)
吸収性物品の一例として生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエエフ しあわせ素肌 30cm、2014年製)から表面シートを取り除き、その代りに不織布の試料(以下、不織布試料という)を積層し、その周囲を固定して得た評価用の生理用ナプキンを作製した。
各評価用の生理用ナプキンの表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて、該ナプキンに100Paの一定荷重を掛けた。斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から経血に相当する疑似血液(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)6.0gを流し込んだ。なお、用いた馬脱繊維血液は、東機産業株式会社のTVB10形粘度計にて、30rpmの条件下で調整した。馬脱繊維血液は、放置すると、粘度の高い部分(赤血球など)は沈殿し、粘度の低い部分(血漿)は、上澄みとして残る。その部分の混合比率を、8.0cPになるように調整した。合計6.0gの疑似血液を流し込んでから60秒後にアクリル板を取り除く。次いで、不織布試料の重量(W2)を測定し、予め測定しておいた、疑似血液を流し込む前の不織布試料の重量(W1)との差(W2−W1)を算出した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液残り量(mg)とした。液残り量は、装着者の肌がどの程度濡れるかの指標となるものであり、液残り量が少ないほど程、良い結果である。なお、粘度の単位cP(センチポアズ)は、1cP=1×10−3Pa・sによって換算される。
(不織布表面の液流れ長さ)
試験装置は、試験サンプルの載置面が水平面に対して45°傾斜している載置部を有するものを用いた。各試料を表面シートとした評価用の生理用ナプキンを、表面シートが上方を向くようにして、前記載置部に載置した。評価用の生理用ナプキンは、前記表面シート(不織布試料)の液残り量の測定と同様の方法で作成した。各評価用の生理用ナプキンの表面上に、疑似血液(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)を0.1g/秒の速度で0.5g滴下させた。初めに不織布に着液した地点から、試験液が不織布内部に引き込まれて流れなくなった地点までの距離を測定した。なお、用いた疑似血液は、前記表面シート(不織布試料)の液残り量の測定と同様の方法で調整した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液流れ距離(mm)とした。液流れ距離は、液が試験サンプルに吸収されずに表面上を流れ、装着時にどの程度漏れやすくなるかの指標となるものであり、液流れ距離が短いほど高評価となる。
上記実施例及び比較例の成分構成、及び該実施例及び比較例についての各評価の結果は下記表1及び2のとおりである。
Figure 2017214695
Figure 2017214695
表1及び2に示すとおり、液膜開裂剤を含有ませなかった比較例1の液残り量が265mgであった。これに対し、液膜開裂剤を含有させた実施例1〜12の液残り量は、比較例1の液残り量の半分以下となり、液膜の効果的な開裂が確認された。
また、液膜開裂剤を全面に含有させた比較例2は、液残り量が73mgであったのに対し、液流れ長さが70mmと、比較例1の液流れ長さ33mmの2倍以上であった。すなわち、比較例2は、液膜開裂による液残り低減があった一方で、不織布表面での液流れが悪化し、液流れ防止性が低下していた。これに対し、実施例1〜12は、液流れ長さが比較例2のものよりも17%以上短く、液流れ防止性が向上していた。すなわち、実施例1〜12は、比較例1及び2がなし得なかった、液残り低減の向上と液流れ防止性の向上を両立させていた。
さらに、実施例2〜5、11及び12において、1辺5mmの正方形内の含有部/非含有部の面積比が1以下の実施例2の液流れ長さが54mmであったのに対し、前記面積比が1よりも大きい実施例3〜5、11及び12の液流れ長さは、実施例2の液流れ長さの2割以上も短く抑えられていた。すなわち、前記面積比が1よりも大きいことで、液残り低減効果と合わせて、液流れ防止性の効果が高いことが分かった。加えて、実施例1、3〜5及び10〜12において、隣り合う含有部と非含有部との幅の和が2500μm超の実施例1の液流れ長さが58mmであった。これに対し、前記幅の和が2500μm以下である実施例3〜5及び10〜12の液流れ長さは3割以上も短く抑えられていた。すなわち、前記幅の和が2500μm以下であることで、液残り低減効果と合わせて、液流れ防止性の効果が高いことが分かった。
1 繊維
2 液膜
3 液膜開裂剤
6 含有部
7 非含有部
8 正方形
9 界面
5、10、20、30、40、50、60、70 不織布


Claims (12)

  1. 不織布表面が、液膜開裂剤を含む含有部と、前記液膜開裂剤を含まない非含有部とを有し、かつ、前記含有部及び前記非含有部が配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形を区画したときに、該正方形の領域中に前記含有部と前記非含有部との界面を1つ以上有する、不織布。
  2. 前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上である請求項1に記載の不織布。
  3. 不織布表面が、下記化合物C1を含む含有部と、下記化合物C1を含まない非含有部とを有し、かつ、前記含有部及び前記非含有部が配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形を区画したときに、該正方形の領域中に前記含有部と前記非含有部との界面を1つ以上有する、不織布。
    [化合物C1]
    表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上である化合物。
  4. 前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である請求項1に記載の不織布。
  5. 不織布表面が、下記化合物C2を含む含有部と、下記化合物C2を含まない非含有部とを有し、かつ、前記含有部及び前記非含有部が配置された不織布表面に対し1辺5mmの正方形を区画したときに、該正方形の領域中に前記含有部と前記非含有部との界面を1つ以上有する、不織布。
    [化合物C2]
    表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物。
  6. 前記正方形の領域が、受液部となる位置に配されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布。
  7. 前記正方形の領域に前記界面が複数存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布。
  8. 前記正方形の領域において、前記含有部の前記非含有部に対する面積比が1より大きい、請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布。
  9. 前記含有部と前記非含有部とが不織布表面に周期的に配されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の不織布。
  10. 隣り合う前記含有部と前記非含有部との幅の和が2500μm以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の不織布。
  11. 前記液膜開裂剤、前記化合物C1又は前記化合物C2の水溶解度が0g以上0.025g以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の不織布。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の不織布を表面シートとして用いた吸収性物品。
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