JP2017214602A - アセチル化アジピン酸架橋澱粉及び該澱粉を含有する麺類用食感改良剤の製造方法、並びに該澱粉及び該食感改良剤を用いた麺類の製造方法 - Google Patents
アセチル化アジピン酸架橋澱粉及び該澱粉を含有する麺類用食感改良剤の製造方法、並びに該澱粉及び該食感改良剤を用いた麺類の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】麺類の弾力、表面のつるみ、脆さの少なさといった食感を向上させ、且つそれらの食感の経時劣化を抑制することができる、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を提供する。【解決手段】アセチル基含量が1.8%〜2.5%であり、且つ架橋剤として無水アジピン酸及び/又はアジピン酸を使用し、アジピン酸として添加率0.0005 %〜0.0034 % でアセチル化アジピン酸架橋処理されることによって、アセチル化アジピン酸架橋澱粉を得る。【選択図】なし
Description
本発明は、麺類の食感改良効果に優れ、経時変化による食感の低下を抑制することができるアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法、該澱粉を用いた食感改良剤の製造方法、該澱粉及び/又は該食感改良剤を用いた麺類の製造方法に関する。
従来より、生麺はもとより、冷凍麺、常温での長期保存可能なLL(ロングライフ)麺、乾麺、即席フライ麺、即席ノンフライ麺などの麺類を製造する際には、製麺性の向上、保存性の向上、食味の向上、収量の向上、変色防止及び色相の向上等の目的で、澱粉の構造や性質を変化させた様々な加工澱粉が利用されてきた。
例えば、特許文献1には、置換度が0.005〜0.3のエーテル化澱粉またはエステル化澱粉を麺類原料粉に配合することで、熱湯復元性に優れ、滑らかで良好な食感を有する麺類が得られることが開示されている。
特許文献2には、架橋度0.01〜1.0で、かつ膨潤度9.5〜2.0mlの架橋エーテル化澱粉または架橋エステル化澱粉を麺類原料粉に配合することで、熱湯復元性に優れ、良好な食感を有する麺類が得られることが開示されている。
特許文献3には、リン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉やリン酸架橋アセチル澱粉などのリン酸架橋化工澱粉及び熱凝固性蛋白質素材を麺類原料に配合することで、加熱調理せずに喫食可能で、且つ長期保存でき、しかも長期保存による品質の劣化がほとんど見られない麺類が得られることが開示されている。
特許文献4には、タピオカ澱粉に、ヒドロキシプロピル化又はアセチル化のうち、いずれか1種の化工を施し、さらに澱粉に対し200〜1000ppmの有効塩素量の次亜塩素酸ソーダ処理を施すことによって得られた化工澱粉を麺類に含有させることで、弾力、モチモチ感に優れ、かつ滑らかさに富んだ良好な食感を有する麺類を製造する方法が開示されている。
特許文献5には、アジピン酸基含量が0.01質量%を超えないアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉であって、6質量%でのアミログラフィー分析においてピーク粘度が800BU以上であり且つ該ピーク粘度からボトム粘度を差し引いたブレークダウンが150〜500BUであるアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を麺製品に用いることで、麺の伸びや食感の経時的な劣化を抑制する効果を付与することが開示されている。
特許文献6には、小麦粉にサゴ澱粉、馬鈴薯澱粉および/または緑豆澱粉の架橋エーテル化および/または架橋エステル化誘導体を混合し、これにかん水を加えて混練することにより、長期保存に優れ、且つ食感の良好な生中華麺が得られることが開示されている。
特許文献7には、原料澱粉の懸濁液に該澱粉乾燥質量に対する有効塩素濃度が50〜800ppmとなるように次亜塩素酸又はその塩を添加し、pH7.0〜10.0で撹拌した後に、無水酢酸により、アセチル基含量1.5〜2.5質量%となるようにアセチル化処理を施すことによって得られる加工澱粉を麺類に用いることで、麺類のしなやかさ、ソフトさといった食感を向上させ、更にそれらの食感の経時劣化を抑制することが開示されている。
特許文献8には、タピオカ澱粉に極度に軽度な架橋と、エーテル化の両方を施した化工澱粉を麺類に含有させることで、加工麺類において茹で上げ直後の麺質を再現することができ、また小麦粉の品質のふれなどによる麺質に与える影響を抑制できることが開示されている。
また、近年、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等においては、そば、うどん、中華麺、スパゲティ―などの麺類が加熱調理され、α化された麺類の形態で、流通、販売されおり、その需要は大きく伸びている。しかしながら、これら加熱調理された麺類は、冷蔵で保存すると数時間で麺中の澱粉の老化が進行し、製造後1〜2日も経過すると、麺の美味しさとしてのつるみや弾力が失われ、ボソボソした食感となり、喫食には不快な食感の麺になってしまうという問題があった。
麺類の食感改良のため、様々な加工澱粉が用いられてきたが、従来用いられてきた加工澱粉では、加熱調理後、一定期間保存され喫食される麺類において、麺類の弾力、表面のつるみ、脆さの少なさといった食感を向上させ、且つそれらの食感の経時劣化を抑制するのに十分なものとは言えなかった。また、高い食感改良及び老化抑制効果を有するヒドロキシルプロピル化澱粉においては、加工剤であるプロピレンオキサイドが非常に高価で、且つ反応効率が悪いことから製造コストが嵩むという問題があった。
本発明は、製造コストを抑え且つ、麺類のつるみ、弾力、脆さの少なさといった食感を向上させ、更にそれらの食感の経時劣化を抑制することができる加工澱粉を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、アセチル化及び極めて微弱なアジピン酸架橋を施すことによって得られるアセチル化アジピン酸架橋澱粉を麺類に添加することで優れた食感改良効果及び食感の経時劣化抑制効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)アセチル基含量が1.8%〜2.5%であるアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法であって、架橋剤として無水アジピン酸及び/又はアジピン酸を原料澱粉に対してアジピン酸換算で0.0005 %〜0.0034 %となるように添加してアセチル化アジピン酸架橋処理をする工程を含む、アセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法。
(2)アセチル化アジピン酸架橋処理前に、原料澱粉懸濁液のpHを2.5〜5.0に調整した後、澱粉懸濁液に澱粉乾燥質量に対する有効塩素濃度が100〜1000 ppmとなるように次亜塩素酸塩を澱粉に添加して次亜塩素酸塩処理し、その後残留塩素除去処理する工程を含む、上記(1)に記載のアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法。(3)上記(1)または(2)記載のアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法で得られるアセチル化アジピン酸架橋澱粉を配合することを特徴とする麺類用食感改良剤の製造方法。
(4)上記(1)または(2)記載のアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法で得られるアセチル化アジピン酸架橋澱粉及び/又は上記(3)記載の麺類用食感改良剤の製造方法で得られる麺類用食感改良剤を配合するする、麺類の製造方法。
(1)アセチル基含量が1.8%〜2.5%であるアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法であって、架橋剤として無水アジピン酸及び/又はアジピン酸を原料澱粉に対してアジピン酸換算で0.0005 %〜0.0034 %となるように添加してアセチル化アジピン酸架橋処理をする工程を含む、アセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法。
(2)アセチル化アジピン酸架橋処理前に、原料澱粉懸濁液のpHを2.5〜5.0に調整した後、澱粉懸濁液に澱粉乾燥質量に対する有効塩素濃度が100〜1000 ppmとなるように次亜塩素酸塩を澱粉に添加して次亜塩素酸塩処理し、その後残留塩素除去処理する工程を含む、上記(1)に記載のアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法。(3)上記(1)または(2)記載のアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法で得られるアセチル化アジピン酸架橋澱粉を配合することを特徴とする麺類用食感改良剤の製造方法。
(4)上記(1)または(2)記載のアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法で得られるアセチル化アジピン酸架橋澱粉及び/又は上記(3)記載の麺類用食感改良剤の製造方法で得られる麺類用食感改良剤を配合するする、麺類の製造方法。
本発明によれば、本発明の製造方法により得られるアセチル化アジピン酸架橋澱粉及び/又は該アセチル化アジピン酸架橋澱粉を含有する麺類用食感改良剤を麺類に用いることで、脆さが少なく、つるみがあり、弾力に優れた麺類を得ることができ、更に麺類の食感の経時劣化を抑制することができる。
本発明のアセチル化アジピン酸架橋澱粉は、原料澱粉に対してアセチル化アジピン酸架橋処理を施すことによって得られる。
原料澱粉としては、食用として利用可能な澱粉であればよく、特に制限は無い。例えば、コーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、片栗澱粉、葛澱粉、蕨澱粉、サゴ澱粉、オオウバユリ澱粉、エンドウ澱粉などが挙げられる。この中でも特にタピオカ澱粉が好ましい。また、いずれの澱粉においても通常の澱粉に加え、ウルチ種、ワキシー種、ハイアミロース種のように、育種学的手法もしくは遺伝子工学的手法において改良されたものを用いてもよい。
本発明のアセチル化アジピン酸架橋澱粉は、アセチル化及びアジピン酸エステル化の2種のエステル化が組み合わせて施されて成るものである。アジピン酸によるジエステル化により架橋構造が付与されたものは架橋澱粉とも称される。本発明においては、これらのエステル化と組み合わせて、本発明の効果を損なわない範囲で、コハク酸エステル化、オクテニルコハク酸エステル化、脂肪酸エステル化、リン酸エステル化等のエステル化や、エーテル化(ヒドロキシプロピル化)や酸化等といったエステル化以外の加工処理を施すことに制限はなく、湿熱処理、油脂加工、ボールミル処理、微粉砕処理、α化、加熱処理、温水処理、漂白処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理等の物理加工を施すことにも制限はない。
本発明のアセチル化アジピン酸架橋澱粉は、通常知られたエステル化剤を用いる方法で調製することが可能である。例えば、アセチル化剤として無水酢酸、酢酸ビニルモノマー等を用いてアセチル化された澱粉を調製することができる。また、アジピン酸エステル化された澱粉は、アジピン酸・無水アジピン酸、無水酢酸・酢酸・アジピン酸・無水アジピン酸の平衡混合物等を架橋剤として用いて調製することができる。
本発明のアセチル化アジピン酸架橋澱粉のアセチル基含量は1.8%〜2.5%であることが好ましく、2.0%〜2.5%であることがより好ましい。後述の実施例からも明らかなように、アセチル基含量を上記範囲とすることにより、麺類のしなやかさ、ソフトさ、つるみといった食感を向上させることができる。アセチル基含量が1.8%未満だと硬く脆い食感となり、目的とする食感改良効果が得られ難くなる傾向があるので好ましくない。また、アセチル化剤によるアセチル化反応の効率や、食品衛生法の食品、及び添加物等の規格基準を考慮すれば、アセチル化澱粉のアセチル基含量は2.5質量%以下とすることが好ましい。
(アセチル基含量の測定)
アセチル基含量は以下の方法で求めることができる。
アセチル基含量は以下の方法で求めることができる。
澱粉試料5.0gを精密に量り、水50ml(水可溶性の場合は100ml)に懸濁し、フェノールフタレイン試液数滴を加え、液が微紅色を呈するまで0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液を滴下後、0.45mol/l水酸化ナトリウム溶液25mlを正確に加え、温度が30℃以上にならないように注意しながら栓をして30分間激しく振り混ぜる。0.2mol/l塩酸で過量の水酸化ナトリウムを滴定する。終点は液の微紅色が消えるときとする。別に空試験を行い補正する。下記式(1)によりアセチル基含量を求める。
アセチル基含量(%)=(e−f)×n×0.043×100/w…(1)
上記式(1)中、eは空試験滴定量(ml)を、fは試料滴定量(ml)を、nは0.2mol/l塩酸の力価を、wは試料乾燥物質量(g)を意味する。
上記式(1)中、eは空試験滴定量(ml)を、fは試料滴定量(ml)を、nは0.2mol/l塩酸の力価を、wは試料乾燥物質量(g)を意味する。
本発明のアセチル化アジピン酸架橋澱粉のアジピン酸基含量は、本発明の加工澱粉に通常の測定方法では検出できない程度に極微量に含まれていることが好ましい。具体的には、架橋剤を原料澱粉に対してアジピン酸換算で0.0005%〜0.0034%となるように添加し、アジピン酸エステル化することが好ましく、0.001%〜0.002%となるように添加することがより好ましい。アジピン酸換算での添加率が0.0005%未満であると、ソフトでつるみや弾力がなくなる傾向があり、アジピン酸としての添加率が0.0034%を超えると脆くなる傾向にあるので、いずれも好ましくない。
以下には、アセチル化アジピン酸架橋澱粉の調製法の一例を示す。
(アセチル化アジピン酸架橋澱粉)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、澱粉スラリーにアルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH7〜10に調整する。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を添加する。このとき、アセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として6〜9質量%となる量で添加し、アジピン酸として0.0005〜0.034質量%となる量で添加する。そして、アセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間程度かけて徐々に添加する。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後、塩酸等の酸を添加して澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋澱粉を得る。
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、澱粉スラリーにアルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH7〜10に調整する。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を添加する。このとき、アセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として6〜9質量%となる量で添加し、アジピン酸として0.0005〜0.034質量%となる量で添加する。そして、アセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間程度かけて徐々に添加する。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後、塩酸等の酸を添加して澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋澱粉を得る。
また、本発明のアセチル化アジピン酸架橋澱粉は、アセチル化アジピン酸架橋処理を施す前の原料澱粉に次亜塩素酸塩を添加し、所定条件において処理することが好ましい。具体的には、水等に懸濁した原料澱粉の懸濁液のpHを2.5〜5.0、好ましくは2.5〜4.5に調整した後、澱粉懸濁液に澱粉乾燥質量に対する有効塩素濃度が100〜1000ppm、好ましくは、100〜700ppm、より好ましくは100〜500ppmとなるように次亜塩素酸塩を添加し、次亜塩素酸塩による処理を行う。なお、次亜塩素酸塩としては次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウムなどが挙げられる。
有効塩素濃度とは、下記式(1)で表わされる化学反応により、次亜塩素酸水の酸化力を、ヨウ化カリウム(KI)との反応によりヨウ素(I2)に変換してその濃度を測定し、それを塩素(Cl2)濃度に換算した値のことを言う。ヨウ素(I2)は、公知のヨウ素滴定法などにより定量することができる。例えば、ヨウ素(I2)をでんぷん溶液中に加えて呈色させ、下記式(2)で表わされる化学反応により、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)溶液にて比色滴定する方法などが挙げられる。次亜塩素酸水の有効塩素存在百分率が100%であるときには、次亜塩素酸イオンの濃度と、有効塩素濃度とは、相等しい。
NaClO+2KI+H2SO4 → I2+K2SO4+NaCl+H2O …(1)
I2+2Na2S2O3 → 2NaI+Na2S4O6 …(2)
I2+2Na2S2O3 → 2NaI+Na2S4O6 …(2)
次亜塩素酸塩による処理の後には、残存塩素除去処理を行ってもよい。ここで、残存塩素除去処理とは、澱粉懸濁液に亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムなどの還元剤を添加することにより、有効塩素を除去することを意味する。還元剤は固体又は溶液のいずれであってもよい。また、還元剤の添加量は、次亜塩素酸塩の添加量や残留している残存塩素量に応じて適宜調整することができる。
次亜塩素酸塩で処理した澱粉は、そのままアセチル化処理に供してもよいし、あるいは、一旦脱水・乾燥させた後に水に再懸濁したものをアセチル化処理に供してもよい。
本発明のアセチル化アジピン酸架橋澱粉は、食品、特に麺類に添加することにより、優れた食感改良効果を発揮できる。例えば後述の実施例で示すように、麺類の表面のつるみ、弾力、脆さの少なさといった食感を向上させることができ、更に食感の経時劣化を抑制することができる。よって、麺類の食感改良剤の有効成分として有用である。その食感改良剤は、上記のアセチル化アジピン酸架橋澱粉自体により構成されていてもよいが、上記のアセチル化アジピン酸架橋澱粉以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、穀粉類、上記のアセチル化アジピン酸架橋澱粉以外の澱粉、デキストリン、食物繊維、グルテン、蛋白類、油脂類、無機塩、糖類、色素、保存料、香料、多糖類、乳化剤、酸化剤、還元剤などが挙げられる。その食感改良剤中の上記のアセチル化アジピン酸架橋澱粉の含有量としては、典型的には3〜1 0 0 質量% であり、より典型的には1 0 〜 5 0 質量% である。
本発明のアセチル化アジピン酸架橋澱粉は、例えば、うどん、そば、焼きそば、そうめん、ひや麦、きしめん、中華麺、冷麺、スパゲッティー、ギョウザの皮、ワンタンの皮等の生麺、茹麺( チルド麺、調理麺) 、蒸し麺、ロングライフ麺、包装蒸煮麺、冷凍麺、即席麺などに用いて、食感改良効果を得ることができる。これら麺類に添加する方法に特に制限はなく、上記のアセチル化アジピン酸架橋澱粉をそのまま、あるいは麺類の食感改良剤として調製されたものを、麺類原材料もしくはその原材料の一部に配合し、又は製造工程の途中で添加、混合する等して、その麺類中に所定量含有するようにすればよい。その添加量に特に制限はないが、麺類の穀粉及び澱粉原料中、上記のアセチル化アジピン酸架橋澱粉を5 〜 3 0 質量% となるように添加することが好ましく、1 0 〜 2 0 質量% 添加することがより好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[加工澱粉の調製]
(澱粉試料No.1〜5)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%、アジピン酸として0.01、0.005、0.002、0.001、0.0005質量%(澱粉試料No.1、2、3、4、5)となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉試料No.1〜5)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%、アジピン酸として0.01、0.005、0.002、0.001、0.0005質量%(澱粉試料No.1、2、3、4、5)となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉試料No.6、7)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpHを7.5に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度200ppmとなるようにそれぞれ添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%、アジピン酸として0.002、0.001質量%(澱粉試料No.6、7)となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpHを7.5に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度200ppmとなるようにそれぞれ添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%、アジピン酸として0.002、0.001質量%(澱粉試料No.6、7)となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉試料No.8〜12)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを6.0、4.5、3.0(澱粉試料No.8、9、10〜12)に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度200、400、600(澱粉試料No.8〜10、11、12)となるようにそれぞれ添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%、アジピン酸として0.001質量%となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを6.0、4.5、3.0(澱粉試料No.8、9、10〜12)に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度200、400、600(澱粉試料No.8〜10、11、12)となるようにそれぞれ添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%、アジピン酸として0.001質量%となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉試料No.13)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを3.0に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度200ppmとなるようにそれぞれ添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸を澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%となる量で添加した。このとき無水酢酸は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。無水酢酸添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化タピオカ澱粉を得た。
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを3.0に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度200ppmとなるようにそれぞれ添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸を澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%となる量で添加した。このとき無水酢酸は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。無水酢酸添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化タピオカ澱粉を得た。
(澱粉試料No.14)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを3.0に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度200ppmとなるようにそれぞれ添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。塩化カルシウムを1%添加した後にアルカリ剤(水酸化ナトリウム)を添加してpHを11に調整した。トリメタリン酸ナトリウムを0.005%添加し60分間撹拌した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、リン酸架橋反応を終了した。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸を澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%となる量で添加した。このとき無水酢酸は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。無水酢酸添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを3.0に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度200ppmとなるようにそれぞれ添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。塩化カルシウムを1%添加した後にアルカリ剤(水酸化ナトリウム)を添加してpHを11に調整した。トリメタリン酸ナトリウムを0.005%添加し60分間撹拌した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、リン酸架橋反応を終了した。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸を澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%となる量で添加した。このとき無水酢酸は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。無水酢酸添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉試料No.15)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを3.0に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度200ppmとなるように添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%、アジピン酸として0.004質量%となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを3.0に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度200ppmとなるように添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%、アジピン酸として0.004質量%となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉試料No.16〜23)
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを3.0(澱粉試料No.16〜19、22〜23)、2.5(澱粉試料No.21)、2.0(澱粉試料No.20)に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度50、100、200、1000、1200ppm(澱粉試料No.16、17、20〜23、18、19)となるように添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%(澱粉試料No.16〜21)、6質量%(澱粉試料No.23)、5質量%(澱粉試料No.22)、アジピン酸として0.001質量%となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
未加工のタピオカ澱粉に水を加えて40質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを3.0(澱粉試料No.16〜19、22〜23)、2.5(澱粉試料No.21)、2.0(澱粉試料No.20)に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度50、100、200、1000、1200ppm(澱粉試料No.16、17、20〜23、18、19)となるように添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%(澱粉試料No.16〜21)、6質量%(澱粉試料No.23)、5質量%(澱粉試料No.22)、アジピン酸として0.001質量%となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(澱粉試料No.24、25)
未加工のワキシーコーンスターチに水を加えて36質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを3.0に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度400ppmとなるように添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%、アジピン酸として0.0034、0.001質量%(澱粉試料No.24、25)となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋ワキシーコーンスターチを得た。
未加工のワキシーコーンスターチに水を加えて36質量%の澱粉スラリーを調製し、塩酸を添加してpHを3.0に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを澱粉乾燥物質量に対し有効塩素濃度400ppmとなるように添加して10〜60分撹拌を維持した。その後、亜硫酸ナトリウムを澱粉懸濁液に添加し、残存塩素除去処理を行なった。その後、アルカリ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等)を添加してpH9に調整した。次いで、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製したアセチル化アジピン酸架橋反応液を、澱粉スラリーの澱粉乾燥物質量に対する添加量が無水酢酸として8〜9質量%、アジピン酸として0.0034、0.001質量%(澱粉試料No.24、25)となる量で添加した。このときアセチル化アジピン酸架橋反応液は、澱粉スラリーのpHが保たれるように適宜アルカリ剤を添加しながら30〜300分間かけて徐々に添加した。アセチル化アジピン酸架橋反応液の添加終了後に10分間程度pHを維持した後に、塩酸で澱粉スラリーを中和し、水洗浄・脱水・乾燥を行ってアセチル化アジピン酸架橋ワキシーコーンスターチを得た。
澱粉試料1〜25の加工澱粉に関し、アセチル基含量を測定した。それらの結果を表1に纏めた。
[試験例1]
上記澱粉試料1〜25を用い中華麺を調製した。すなわち、表2に示す通り、A群の原材料に予め混合・溶解したB群の原材料を添加して、混練し、麺帯を形成させ、圧延(1.3mm厚)し、切り刃(#20)にて切り出した。切り出し後の麺線100gをそれぞれ2Lの熱湯中で、歩留まり178質量%まで茹でた。なお、かんすいとしては、オリエンタル酵母株式会社製「かんすいCS」(商品名)を用いた。
上記澱粉試料1〜25を用い中華麺を調製した。すなわち、表2に示す通り、A群の原材料に予め混合・溶解したB群の原材料を添加して、混練し、麺帯を形成させ、圧延(1.3mm厚)し、切り刃(#20)にて切り出した。切り出し後の麺線100gをそれぞれ2Lの熱湯中で、歩留まり178質量%まで茹でた。なお、かんすいとしては、オリエンタル酵母株式会社製「かんすいCS」(商品名)を用いた。
茹でた中華麺について流水でぬめりを取った後に氷水で冷やし、ほぐれ剤(不二製油株式会社製「ソヤアップM3000」)を4%添加し、5℃にて1日間および3日間保存した後にそれぞれ評価した。評価は表面のつるみ、脆さ、弾力についてそれぞれ1〜10点の10段階で行ない、6名のパネラーによる平均値を算出し、合計を総合評価とした。表面がざらつき、脆く、弾力のないもの程1点に近い評価、表面につるみがあり、粘りや弾力のあるもの程10点に近い評価とした。総合評価について、15点以上を良好な食感とした。結果を表3に示す。
表3に示すように、アジピン酸エステル化されていない澱粉試料13及び14は、経時的な食感の劣化は少なかったものの、脆く弾力のない麺となり、良好な麺は得られなかった。
アジピン酸添加率が0.004%、0.005%、0.01%である澱粉試料15、2、1は、脆さ、弾力の食感改良効果は低く、経時的に中華麺が脆くなり良好ではなかった。
アセチル基含量1.5%である澱粉試料22は、中華麺の食感改良効果は低く、調理後の経時的な食感の劣化を防止することはできなかった。
アセチル基含量が1.8〜2.5%であり、且つアジピン酸として添加率0.0005%〜0.0034%でアセチル化アジピン酸架橋処理を施すことによって得られた、澱粉試料3〜12、16〜21、23〜25は、D+1(1日間保存後の評価)及びD+3(3日間保存後の評価)のいずれにおいても好ましい食感が得られた。また、加えて、アセチル化アジピン酸処理前に、原料澱粉の懸濁液のpHを2.5〜5.0に調整し、次亜塩素酸ナトリウムを有効塩素濃度が100−1000ppmとなるように添加して、次亜塩素酸塩処理した後に、アセチル化アジピン酸架橋処理を施した澱粉試料9〜12、17、18、21、23〜25がより好ましい食感を示し、特に澱粉試料10、11、17、24は、表面のつるみ、脆さの少なさ、弾力の点で非常に好ましい食感であった。
Claims (4)
- アセチル基含量が1.8%〜2.5%であるアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法であって、架橋剤として無水アジピン酸及び/又はアジピン酸を原料澱粉に対してアジピン酸換算で0.0005 %〜0.0034 %となるように添加してアセチル化アジピン酸架橋処理をする工程を含む、アセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法。
- アセチル化アジピン酸架橋処理前に、原料澱粉の懸濁液のpHを2.5〜5.0に調整した後、澱粉懸濁液に、澱粉乾燥質量に対する有効塩素濃度が100〜1000 ppmとなるように次亜塩素酸塩を添加して次亜塩素酸塩処理し、その後残留塩素除去処理する工程を含む、請求項1に記載のアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法。
- 請求項1又は2記載のアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法で得られるアセチル化アジピン酸架橋澱粉を配合することを特徴とする麺類用食感改良剤の製造方法。
- 請求項1又は2記載のアセチル化アジピン酸架橋澱粉の製造方法で得られるアセチル化アジピン酸架橋澱粉及び/又は請求項3記載の麺類用食感改良剤の製造方法で得られる麺類用食感改良剤を配合することを特徴とする麺類の製造方法。
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JP2021126076A (ja) * | 2020-02-14 | 2021-09-02 | 株式会社ニップン | 製麺用粉体組成物 |
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