JP2017213802A - 液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】給排機構を備えないハンディ型の液体吐出装置において、利用者による走査の方向の制限をなくし、それにより実質的な記録速度を向上させる。【解決手段】第1の方向に延びる第1の吐出口列が設けられている第1の液体吐出ヘッドと、第2の方向に延びる第2の吐出口列が設けられている第2の液体吐出ヘッドと、を設け、第1及び第2の吐出口列が同一平面内にあって、かつ、第1の方向が第2の方向とは異なるようにする。さらに液体吐出装置に、その移動方向を検出する方向検出部と、検出された移動方向に基づいて、第1の液体吐出ヘッドと第2の液体吐出ヘッドの少なくとも一方を選択する制御部と、を設け、制御部で選択された液体吐出ヘッドの吐出口から液体を吐出して被記録媒体の被記録面に記録を行う。【選択図】図1
Description
本発明は、被記録媒体に液体を吐出して記録を行う液体吐出装置に関し、特に、被記録媒体を搬送するための機構を備えない液体吐出装置と、このような液体吐出装置による液体吐出方法とに関する。
家庭用のインクジェット記録装置などの液体吐出装置では、主として据え置いて使用されることを目的として、その装置において記録を行う位置にまで被記録媒体を搬送し、記録後の被記録媒体を排出する給排機構が設けられているのが一般的である。据え置いて使用されることを前提とした液体吐出装置は、据置型の液体吐出装置と呼ばれる。据置型の液体吐出装置は、情報処理装置によって被記録媒体でのレイアウトに変換された情報に基づいて、給排機構によって被記録媒体を搬送しつつ被記録媒体の全面に対して記録を行う。しかしながら、被記録媒体の給排機構を備える据置型の液体吐出装置は、その寸法が大きくなりがちであって携帯することが困難であり、任意の場所で使用する形態には適していない。そこで、給排機構を備えない液体吐出装置であって、利用者が手に持って被記録媒体上で移動させることによりその被記録媒体に対する記録を行うことができる、ハンディ型の液体吐出装置が提案されている。利用者は、液体吐出装置の液体吐出ヘッドを被記録媒体の表面に近接させあるいは接触させ、そのまま液体吐出装置を手で移動させることにより被記録媒体に対する走査を行う。この走査に応じて、液体吐出ヘッドから記録用の液体が吐出される。ハンディ型の液体吐出装置は、持ち運びが容易であり、小型、軽量、携帯性の面で据置型の液体吐出装置と比べて任意の場所で記録を行う使用形態に適している。
ハンディ型の液体吐出装置では、被記録媒体に対する液体吐出装置の移動方向が厳密に固定されているわけではない。このため、液体吐出装置に設けられる液体吐出ヘッドの現在の位置と進行方向を検出し、現在位置と記録すべきデータとを比較することによってはじめて、どのドットをこれから記録するのかが決まることになる(特許文献1)。一般に液体吐出装置では、液体を吐出する吐出口がその液体吐出ヘッドに複数設けられており、複数の吐出口は列をなして配置して吐出口列を形成する。1つの液体吐出装置に複数列の吐出口列が設けられる場合もあるが、その場合も各吐出口列は同じ方向に延びている。特許文献2に示すように、ハンディ型の液体吐出装置でも吐出口列は同じ方向に延びていることを前提としている。
特許文献1,2に示すようなハンディ型の液体吐出装置では、多少のぶれはあるとしても利用者が液体吐出装置を特定の一方向に移動させることを前提としている。例えば、記録すべきデータが2次元の画像データであって、その画像データ内の各点がXY座標で表される場合に、X方向への移動すなわちX方向での走査を前提とする。そのため、これまでのハンディ型の液体吐出装置は、利用者が液体吐出装置をX方向に直交するY方向や斜め方向に移動させたときの処理に対応していない。このため、利用者は液体吐出装置による走査を行う際にその方向に制限を受け、利便性が低下する。また、例えば液体吐出装置のサイズを超えるような大きな円弧を記録する場合を考えると、円弧に沿って液体吐出装置を移動させることができないので、全体としての液体吐出装置の移動距離が長くなり、このことは記録速度の実質的な低下につながる。
本発明の目的は、給排機構を備えないハンディ型の液体吐出装置であって、利用者による走査の方向の制限をなくし、それにより実質的な記録速度を向上させることができる液体吐出装置と、そのような液体吐出装置による液体吐出方法とを提供することにある。
本発明の液体吐出装置は、被記録媒体の被記録面に沿って移動させることにより画像データを被記録面に記録することが可能な液体吐出装置であって、液体を吐出する複数の吐出口を有して第1の方向に延びる第1の吐出口列が設けられている第1の液体吐出ヘッドと、液体を吐出する複数の吐出口を有して第2の方向に延びる第2の吐出口列が設けられている第2の液体吐出ヘッドと、液体吐出装置の移動方向を検出する方向検出部と、検出された移動方向に基づいて、第1の液体吐出ヘッドと第2の液体吐出ヘッドの少なくとも一方を選択する制御部と、を有し、第1の吐出口列と第2の吐出口列とは同一平面内にあって、かつ、第1の方向と第2の方向とが異なり、制御部で選択された液体吐出ヘッドの吐出口から液体を吐出して被記録面に記録を行うを特徴とする。
本発明の液体吐出方法は、液体を吐出する複数の吐出口を有して第1の方向に延びる第1の吐出口列が設けられている第1の液体吐出ヘッドと、液体を吐出する複数の吐出口を有して第2の方向に延びる第2の吐出口列が設けられている第2の液体吐出ヘッドとを備え、第1の吐出口列と第2の吐出口列とは同一平面内にあって、かつ、第1の方向と第2の方向とが異なる液体吐出装置を使用し、被記録媒体の被記録面に沿って液体吐出装置を移動させながら画像データを被記録面に記録する液体吐出方法であって、液体吐出装置の移動方向を検出する工程と、検出された移動方向に基づいて、第1の液体吐出ヘッドと第2の液体吐出ヘッドの少なくとも一方を選択する工程と、選択された液体吐出ヘッドの吐出口から液体を吐出して被記録面に記録を行う工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、液体吐出装置において利用者による走査の方向の制限がなくなり、それにより実質的な記録速度を向上させることができる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の一形態の液体吐出装置を示しており、(a)は要部の外観を示す透視図であり、(b)はこの液体吐出装置における液体吐出ヘッド及び位置センサの位置関係を示す図である。本実施形態の液体吐出装置は、給排機構を備えないハンディ型のものであり、大別すると、本体部60と、利用者の手62によって把持される把持部61とを備えている。利用者は、把持部61によってこの液体吐出装置を把持し、被記録媒体の被記録面上で、被記録面に沿って、この液体吐出装置を動かす。液体吐出装置は、その移動方向や移動速度によらずに所望の記録が形成されるように、液体吐出装置の動きに応じた吐出制御を行って被記録面に対して液体を吐出して被記録媒体上に記録を形成する。
液体吐出装置の本体部60には、液体を吐出するための2つの液体吐出ヘッド23,27が設けられている。液体吐出ヘッド23,27の各々では、液体を吐出する複数の吐出口が一列に設けられた吐出口列40が、被記録面に対向するように形成されており、液体吐出ヘッド23,27の全体でこの液体吐出装置における吐出面を形成している。第1の液体吐出ヘッドである液体吐出ヘッド23の吐出口列40と、第2の液体吐出ヘッドである液体吐出ヘッド27の吐出口列40とは同一平面内にある。図示したものでは、液体吐出ヘッド23,27の各々には1列の吐出口列40が設けられているが、液体吐出ヘッドごとに、相互に平行となるように複数列の吐出口列40を設けるようにしてもよい。液体吐出ヘッド23に設けられる吐出口列40は第1の方向に延びており、液体吐出ヘッド27に設けられる吐出口列40は第2の方向の方向に延びている。この液体吐出装置では、被記録面に平行な面内での任意方向への走査に対応するために、第1の方向と第2の方向とが異なっている。液体吐出ヘッド23の吐出口列40が延びる方向と液体吐出ヘッド27の吐出口列40とがなす角が90°であること、すなわち液体吐出ヘッド23と液体吐出ヘッド27とでは吐出口列40の延びる方向が相互に直交していることが好ましい。そこで以下の説明では、液体吐出ヘッド23に設けられる吐出口列40が延びる方向をY方向と呼び、液体吐出ヘッド27に設けられる吐出口列40が延びる方向をX方向と呼ぶ。したがって液体吐出ヘッド23はYヘッドとも呼ばれ、液体吐出ヘッ27ドはXヘッドとも呼ばれる。液体吐出装置がX方向に移動しているときには、主として液体吐出ヘッド23が液体の吐出による記録を行い、液体吐出装置がY方向に移動しているときには、主として液体吐出ヘッド27が液体の吐出による記録を行う。この液体吐出装置では、吐出口列が相互に直交する2つの液体吐出ヘッド23,27を記録駆動することで、利用者によって液体吐出装置が被記録媒体に平行な面内で任意の方向に動かされた場合でも記録を行うことができるようになる。これにより、記録すべき全データの記録を完了するまでの時間も短くすることができるようになる。被記録媒体に平行な面は、上述したX方向とY方向とで表される面である。
液体吐出ヘッド23の一方の端部には位置センサ32aが取り付けられ、液体吐出ヘッド23の他方の端部には位置センサ32bが取り付けられている。液体吐出ヘッド23の他方の端部は液体吐出ヘッド27の一方の端部の位置でもある。液体吐出ヘッド27の他方の端部は位置センサ32bが取り付けられている。位置センサ32a,32bは、Yヘッドである液体吐出ヘッド23の位置の検出に用いられるものであり、後述するY位置検出部7に接続する。同様に位置センサ32b,32cは、Xヘッドである液体吐出ヘッド27の位置の検出に用いられるものであり、後述するX位置検出部6に接続する。位置センサ32a〜32cとしては、例えば、加速度センサを用いて加速度を積分して位置を算出するものや、イメージセンサの検出結果から位置を検出するものを用いることができる。さらに本体部60には、液体吐出装置の制御を行うためのセンサとして、読取り部2及び方向検出部5が設けられている。読取り部4は、記録のための基準位置である記録基準位置として、被記録媒体に予め設けられている基準位置マークなどを読取るものである。この読取り結果から、被記録媒体に対する液体吐出装置、具体的には各吐出口の相対的な位置を決定することができる。方向検出部5は、液体吐出装置の移動方向を決定するためのセンサであり、例えば加速度センサなどによって構成されている。
図2は、本実施形態の液体吐出装置を用いて記録を行う時の記録エリアと記録基準位置との関係を示している。記録エリア30は、被記録媒体の被記録面上の領域であって、液体吐出装置による記録が行われる領域の全体である。記録基準位置31は、記録エリア30に対して記録を行うときの位置の基準となるものである。記録エリア30が長方形状であるとして、記録基準位置31は、例えば、記録エリア30の長方形の頂点の1つに設定される。なお以下の説明において、2次元に配置した点であってそれぞれが記録の最小単位となる点によって画像データが構成されているとして、この点のことを画素と呼ぶ。被記録面への画像データの記録は、記録エリア30内で2次元に配置している仮想的な点である記録ドット位置に関し、記録ドット位置と画像データの画素とを1対1で対応させ、画素のデータに基づいて記録ドット位置に対して液体を吐出することである。
図3は、液体吐出ヘッド23,27からの液体の吐出を制御するために液体吐出装置の内部に設けられる回路の構成を示している。液体吐出装置における制御を行うためにCPU28が設けられており、CPU28はバス29に接続している。バス29には、調停回路15と、Yヘッドである液体吐出ヘッド23を駆動するYヘッド制御部22と、Xヘッドである液体吐出ヘッド27を駆動するXヘッド制御部26とが接続している。バス29には、さらに、入出力制御部10、エリア判定部11、IF(インタフェース)制御部12、読取り制御部13、メモリコントローラ14,16、タイミング生成部18及び画像データ処理部19が接続している。調停回路15は、バス29に接続するこれらの各部の間でのバス29の使用権を調停するものである。CPU28は、バス29と調停回路15を介して統括的に液体吐出装置の制御を行うものであり、この液体吐出装置の全体に対する制御部として機能する。IF制御部12には、この液体吐出装置と外部の他の装置との接続に用いられるインタフェース(IF)1が、入出力部(I/O)9aを介して接続している。IF制御部12は、CPU28からの指示に基づき、IF1を介した外部装置との接続及び通信を制御する。IF1を介してこの液体吐出装置に接続される外部装置は例えば情報処理装置であるが、本実施形態の液体吐出装置はハンディ型であるため、外部装置として接続される情報処理装置の環境も様々であると予想される。このためIF1としては、有線接続によるものと無線接続によるものとのどちらも利用可能であり、また有線接続機能と無線接続機能の両方を有するものも使用可能である。さらに複数の接続形態を有するものであってもよい。
記録基準位置31を読み取る上述した読取り部2は、入出力部9bを介して読取り制御部13に接続しており、CPU28からの指示に基づき、読取り制御部13によって制御される。読取り部2は記録基準位置31を認識すると、その旨をCPU28に通知する。入出力制御部10には、表示部3及び操作部4が接続している。表示部3は、液晶パネルなどの表示器を備え、表示器における表示によって液体吐出装置の状態や操作を促すメッセージを利用者に通知するものである。操作部4は、押しボタンなどの入力装置を備え、利用者による液体吐出装置の操作を可能とする。表示部3及び操作部4は、CPU28からの指示に基づき、入出力制御部10によって制御される。タイミング生成部18は、CPU28によって設定されたタイミングで記録タイミング信号を生成し、エリア判定部11に入力する。メモリコントローラ14は入出力部9cを介して不揮発性メモリ8に接続し、メモリコントローラ16は入出力部9dを介して揮発性メモリ17に接続している。不揮発性メモリ8には、CPU28を動作させるためのプログラム類が格納されている。揮発性メモリ17は、処理データの一時格納先として使用されるものであって、メモリコントローラ16経由で読み書きされる。特に揮発性メモリ17は、被記録媒体の被記録面全体に対応して展開した画像データ17aを格納し、また、画像データ17aを構成する各画素について画素ごとに吐出済みか否かを示す吐出済テーブル17bを格納するために用いられる。IF部1から入力された画像データはIF制御部12によって、バス29を介してメモリコントローラ16に入力され、さらに入出力部9dを介してる揮発性メモリ17内に格納されるようになっている。
エリア判定部11は、上述した方向検出部5、X位置検出部6及びY位置検出部7が接続されており、X位置検出部6及びY位置検出部7を制御するとともに、これら各検出部5〜7から検出結果の通知を受ける。例えば方向検出部5からは、液体吐出装置の移動方向について通知を受ける。そしてエリア判定部11は、通知された検出結果に基づき、液体吐出ヘッド23,27についてエリア判定を実行する。エリア判定は、各吐出口についてその吐出口が液体の吐出を行ってもよい状態にあるかどうかをその位置に基づいて判定することであるが、その詳細については後述する。画像データ処理部19は、エリア判定部11からの情報に基づいて、揮発性メモリ17内の画像データから、エリア判定の対象となった吐出口位置に対応する領域部分のデータである中間画像データを生成する。Yヘッド制御部22は、記録データを生成する記録データ生成部20と液体吐出ヘッド23を駆動するYヘッド駆動部21とを備えている。記録データ生成部20は、画像データ処理部19での処理結果に基づいて、液体吐出ヘッド23を駆動して液体を吐出するための記録データを生成する。生成された記録データは、液体吐出ヘッド23の各吐出口から液体を吐出するために液体吐出ヘッドを駆動するYヘッド駆動部21及び入出力部9eを経て、液体吐出ヘッド23に供給される。同様にXヘッド制御部26は、記録データを生成する記録データ生成部24と液体吐出ヘッド27を駆動するXヘッド駆動部25とを備えている。本実施形態では画像データ処理部19を設けて中間画像データを生成しているが、記録データ生成部20,24の各々に画像データ処理部19としての機能を持たせるようにしてもよい。
この液体吐出装置では、CPU28は、読取り部2より通知を受けると、表示部3に対し、記録基準位置を検出したこと、その記録基準位置で問題なければ操作部4で通知することを促す表示を行わせる。そしてCPU28は、利用者が操作部4を操作したタイミングで、X位置検出部6及びY位置検出部7に対して、位置情報のリセット処理を指示する通知をする。
本実施形態の液体吐出装置は、液体吐出ヘッド23,27の少なくとも一方を使用して記録を行うことができるので、上述したX方向及びY方向で形成される面内で任意の方向に動かされた場合であっても記録を行うことができる。液体吐出装置の移動方向に応じてどちらの液体吐出ヘッド23,27を選択すべきかが異なってくるから、本実施形態の液体吐出装置では、この選択を含むエリア判定の処理が重要となってくる。以下、図4を参照して、エリア判定の処理も含めて本実施形態の液体吐出装置の動作を説明する。記録開始の指令を受けると、IF部1から入力された画像データは、ステップ101において、画像データ17aとして揮発性メモリ17内に展開される。利用者は、読取り部2を用いて記録基準位置31を検出させ、操作部4に対する操作によってその記録基準位置の承認を入力する。その結果、ステップ102においてCPU28は記録基準位置の決定を行い、記録基準位置の決定はX位置検出部6及びY位置検出部7に通知される。X位置検出部6及びY位置検出部7では、この通知を受けて、それぞれの位置情報がリセットされる。以上が、被記録媒体に対する記録を行うための準備段階となる処理である。ここから、記録のための処理が開始し、利用者に対して走査、すなわち被記録媒体の被記録面に沿って液体吐出装置を移動させることを促す表示が表示部5に表示される。
記録のための処理が開始すると、CPU28は、ステップ103において、記録のためのタイミングが生成されたかの判定を行う。生成されていないときは、生成されるまで処理を待ち合わせる。タイミングの生成が確認されると、ステップ104において、方向検出部5によって、利用者が液体吐出方向を移動すなわち走査させている方向を検出する。この検出結果によって、X方向に走査している場合、Y方向に走査している場合、及び斜め方向に走査している場合、の3通りに処理が分かれることになる。図5は、走査方向Sによる液体吐出ヘッドの選択を示す図である。CPU28は、ステップ105において、検出された走査方向がX方向かどうかを判定し、X方向の走査であればステップ106以下の処理を実行し、X方向の走査ではないときはステップ115においてY方向の走査であるかを判定する。CPU28は、ステップ115においてY方向の走査であると判定したときは、ステップ116以下の処理を実行し、Y方向の走査ではないと判定したときは、斜め方向の走査であるので、ステップ121以下の処理を実行する。
まず、ステップ105においてX方向の走査であると判定した場合の処理を説明する。X方向に走査している状態とは、図5(a)に示す状態であり、Yヘッドである液体吐出ヘッド23を使用して記録処理を実行する。ステップ106において、Y位置検出部7が液体吐出ヘッド23のみの位置検出を行い、ステップ107において、エリア判定部11が、液体吐出ヘッド23についてその吐出口が記録可能位置にあるかどうかのエリア判定を行う。記録可能位置とは、後述するように、記録品質の低下を伴うことなくその吐出口から液体を吐出して記録を行うことができる位置のことである。そののちステップ108において、ステップ107において記録可能位置にあると判定された吐出口に関し、画像データ処理部19が、揮発性メモリ17に格納された画像データのうちその吐出口位置に対応する領域部分のデータである中間画像データを生成する。ステップ108で生成された中間画像データは、Yヘッド制御部22内の記録データ生成部20によって受信される。ステップ109において記録データ生成部20は、中間画像データを液体吐出ヘッド23の駆動に用いられる記録データに変換するとともに、二重記録を避けるために、揮発性メモリ17内の吐出済テーブル17bを読み出し、吐出済み画素をマスクする。吐出済み画素のマスクとは、画像データを構成する画素のうち、既に記録済みの画素について、その画素に対応する吐出口からの吐出が行われないように記録データにおいて当該吐出口に関するデータをマスクする処理のことである。
次にステップ110において、Y位置検出部7は液体吐出ヘッド23の位置を再度取得し、ステップ111において、エリア判定部11は、液体吐出ヘッド23の吐出口の位置が記録可能位置であるかどうかを判定する。ここで液体吐出ヘッド23の位置を再度検出するのは、ステップ106の実行からステップ109の実行終了までの処理時間中に、液体吐出ヘッド23が大きく動いて吐出口が記録可能位置以外の位置に移動することがあるからである。ステップ111において記録可能位置にないときは、このタイミングでは吐出による記録を行わないものとして、生成した記録データを破棄しステップ103に戻る。言い換えれば、再度の位置検出の結果、吐出口が記録可能位置にないときには、液体の吐出の処理をスキップさせる。ステップ111において記録可能位置にあるときは、ステップ112に進み、Yヘッド駆動部21が液体吐出ヘッド23を駆動し、それにより液体吐出ヘッド23は、記録データに基づく液体の吐出を行う。その後、ステップ113において記録データ生成部20が、吐出が行われた画素について吐出済みフラグが設定されるように、揮発性メモリ17内の吐出済テーブル17bを更新する。CPU28は、ステップ114において吐出済テーブル17bを参照し、画像データの全ての画素について吐出による記録が行われたかを判定し、全画素の記録が済んでいれば記録終了とし、未記録の画素があれば処理をステップ103に戻す。
次に、液体吐出装置の走査方向がY方向である場合の処理を説明する。Y方向に走査している状態とは、図5(b)に示す状態であり、Xヘッドである液体吐出ヘッド27のみを使用して記録処理を実行する。ステップ116において、X位置検出部6が液体吐出ヘッド27のみの位置検出を行い、ステップ117においてエリア判定部11が液体吐出ヘッド27についてのエリア判定を行う。次にステップ118において、ステップ117で判定したエリアに関し、画像データ処理部19が、液体吐出ヘッド27の吐出口に関連した中間画像データを生成し、この中間画像データは、Xヘッド制御部26内の記録データ生成部24に送られる。ステップ119において記録データ生成部24は、中間画像データを液体吐出ヘッド27用の記録データに変換し、吐出済テーブル17bを読み出して吐出済み画素をマスクする。ステップ120において、X位置検出部6は液体吐出ヘッド27の位置を再度取得し、その後、処理は上述のステップ111に移行し、ステップ111〜114の処理が実行される。ここではY方向の走査であるので、ステップ111では液体吐出ヘッド27の吐出口の位置が記録可能位置であるかが判定され、ステップ112ではXヘッド駆動部25が液体吐出ヘッド27を駆動する。またステップ113では、記録データ生成部24が、吐出済テーブル17bの更新の処理を実行する。
次に、液体吐出装置の走査方向が斜め方向である場合の処理を説明する。斜め方向に走査している状態とは、図5(c)に示す状態であり、液体吐出ヘッド23と液体吐出ヘッド27の両方を使用して、すなわちYヘッドとXヘッドの両方を使用して記録処理を実行する。図4では、2つの液体吐出ヘッド23,27の両方を使用することを「X/Yヘッド」と記載している。ステップ121においてY位置検出部7とX位置検出部6がそれぞれ液体吐出ヘッド23と液体吐出ヘッド27の位置検出を行い、ステップ122においてエリア判定部11が液体吐出ヘッド23と液体吐出ヘッド27の両方についてのエリア判定を行う。次にステップ123において、ステップ122で判定したエリアに関し、画像データ処理部19が、液体吐出ヘッド27の吐出口に関連した中間画像データと液体吐出ヘッド23の吐出口に関連した中間画像データとを作成する。これらの2つの中間画像データは、それぞれ、Yヘッド制御部22内の記録データ生成部20とXヘッド制御部16内の記録データ生成部24とによって受信される。ステップ124において、記録データ生成部20,24は、それぞれ中間画像データを液体吐出ヘッド23,27用の記録データに変換し、吐出済テーブル17bを読み出して吐出済み画素をマスクする。ステップ125においてY位置検出部7とX位置検出部6は、液体吐出ヘッド23,27の位置をそれぞれ再度取得し、その後、処理は上述のステップ111に移行し、ステップ111〜114の処理が実行される。ここでは斜め方向の走査であるので、ステップ111では液体吐出ヘッド23,27の吐出口の位置が記録可能位置であるかが判定され、ステップ112ではYヘッド駆動部21及びXヘッド駆動部25が液体吐出ヘッド23,27をそれぞれ駆動する。またステップ113では、記録データ生成部20,24が、吐出済テーブル17bの更新の処理を実行する。
ステップ114において画像データの全画素の記録が確認されるまで上述の処理をステップ103〜113の処理を繰り返すことにより、最終的には画像データの全体が被記録媒体の記録エリア30に記録されることになり、記録が完成することになる。
次に、ステップ107,117,122におけるエリア判定について説明する。エリア判定は、CPU28による総括制御によって実行される。Yヘッドである液体吐出ヘッド23とXヘッドである液体吐出ヘッド27は、液体吐出ヘッドとしては同一の形状を有し、このため両者に対するエリア判定処理の内容は同様のものとなる。そこでここではステップ107での液体吐出ヘッド23(Yヘッド)に対するエリア判定を説明する。被記録媒体に記録すべき画像データに対応して、被記録媒体の被記録面には画像データの各画素に1対1で対応する記録ドット位置が想定されているものとする。本実施形態のようなハンディ型の液体吐出装置では、液体吐出ヘッドの各吐出口が被記録媒体上に想定される記録ドット位置の真上に来てはじめて記録を行う方式にしてしまうと、画素の細かさと同等の走査精度で利用者が液体吐出装置を動かす必要が生じる。本実施形態では、その制限を緩和するために、記録ドット位置に対して液体を吐出する位置をその近傍領域に拡大して管理する。吐出口が近傍領域33内にあるということは、その位置で吐出を行ったときに記録品質が保たれることを意味し、その吐出口が液体の吐出による記録を行うべき位置すなわち記録可能位置にあるということを意味する。
図6は、液体吐出ヘッド23の吐出口34と被記録媒体の被記録面に設定される記録ドット位置との関係を示すことにより、記録ドット位置の近傍領域33も液体の吐出がなされ得る領域として管理する状態を示している。液体吐出ヘッド23は多数の吐出口が一列に配置した吐出口列40を備えているが、記録ドット位置の近傍領域33の上に吐出口列40内のある吐出口34が位置しているかどうかを各検出結果から判定することがエリア判定処理である。液体吐出ヘッド23の全ての吐出口についてエリア判定処理を行うことが、Yヘッドである液体吐出ヘッド23のエリア判定である。同様に、Xヘッドである液体吐出ヘッド27の全ての吐出口について近傍領域33の上にあるかを判定することが、液体吐出ヘッド27についてのエリア判定(ステップ117)である。両方の液体吐出ヘッド23,27の全ての吐出口について近傍領域33の上にあるかを判定することが、ステップ122で実施するエリア判定となる。なお、ステップ122では両方の液体吐出ヘッド23,27を対象としているので、複数の吐出口が同一の近傍領域32に対応する場合がある。このような場合にYヘッドである液体吐出ヘッド23とXヘッドである液体吐出ヘッド27とのどちらを優先するかは、CPU28からの設定で変更できるようにしておくことが好ましい。
次に、ステップ110,120,125における位置再検出と、ステップ111での記録可能位置かどうかの再判定とについて説明する。位置再検出と記録可能位置かどうかの再判定も、CPU28の総括制御の下に行われる。エリア判定後、判定されたエリアに応じた記録データの生成と吐出済テーブル17bを使用したマスク処理を行うことは上述の通りである。エリア判定から記録データの生成とマスク処理までの処理が即座に即座に完了するのであれば、位置検出した位置に液体を吐出することが可能であるが、実際にはこれらの処理には少なからぬ時間を要する。その結果、その間の液体吐出装置の移動により、ステップ106などで検出した位置と実際に液体が吐出されるときの吐出口の位置との間にずれが生じることがある。このようなずれがあったとしても吐出時の吐出口の位置が、符号35で表されるように記録ドット位置の近傍領域33の内側に収まっていれば、液体吐出装置で想定する記録品位を保つことができる。しかしながら、吐出時の吐出口の位置が、符号36に示されるように近傍領域33の外側に位置することになると、すなわち、記録を行うべき位置以外の位置に吐出口があると、本来の記録ドット位置から離れた位置に対して液体が吐出されることとなる。これは想定しない場所への記録となって記録の乱れとなり、記録品質の低下を引き起こす。この液体吐出装置では、吐出直前における吐出口の位置が、その吐出口に対応付けられた画素に対応する記録ドット位置の近傍領域33の外側であるか内側であるかを判別するために、ステップ110,120,125において位置の再検出を実行している。そして、ステップ111では、吐出口の位置が対応する近傍位置33すなわち記録可能位置から外れているときには、吐出を行わないこととして記録データを破棄し、処理をステップ103に戻している。
6 方向検出部
23,27 液体吐出ヘッド
28 CPU
40 吐出口列
23,27 液体吐出ヘッド
28 CPU
40 吐出口列
Claims (7)
- 被記録媒体の被記録面に沿って移動させることにより画像データを前記被記録面に記録することが可能な液体吐出装置であって、
液体を吐出する複数の吐出口を有して第1の方向に延びる第1の吐出口列が設けられている第1の液体吐出ヘッドと、
前記液体を吐出する複数の吐出口を有して第2の方向に延びる第2の吐出口列が設けられている第2の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出装置の移動方向を検出する方向検出部と、
検出された前記移動方向に基づいて、前記第1の液体吐出ヘッドと前記第2の液体吐出ヘッドの少なくとも一方を選択する制御部と、
を有し、
前記第1の吐出口列と前記第2の吐出口列とは同一平面内にあって、かつ、前記第1の方向と前記第2の方向とが異なり、
前記制御部で選択された液体吐出ヘッドの吐出口から前記液体を吐出して前記被記録面に記録を行うことを特徴とする液体吐出装置。 - 前記第1の方向と前記第2の方向とが相互に直交している請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記液体吐出装置が前記第1の方向に沿って移動しているときには前記第2の液体吐出ヘッドが選択され、前記液体吐出装置が前記第2の方向に沿って移動しているときには前記第1の液体吐出ヘッドが選択され、前記液体吐出装置が前記第1の方向に対しても前記第2の方向に対しても斜めとなる方向に沿って移動しているときには前記第1の液体吐出ヘッド及び前記第2の液体吐出ヘッドが選択される、請求項2に記載の液体吐出装置。
- 前記第1の液体吐出ヘッドの位置を検出する第1の位置検出部と、
前記第2の液体吐出ヘッドの位置を検出する第2の位置検出部と、
前記第1及び第2の位置検出部のうち前記制御部で選択された液体吐出ヘッドに対応する位置検出部からの検出結果に基づき、前記選択された液体吐出ヘッドの吐出口が記録に適した状態にあるかを判定するエリア判定部と、
前記エリア判定部での判定の結果と前記画像データとに基づいて前記選択された液体吐出ヘッドの駆動に用いられる記録データを生成する記録データ生成部と、
をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 前記制御部は、前記記録データの生成の後に、前記エリア判定部に再度、前記選択された液体吐出ヘッドの吐出口が記録に適した状態にあるかを判定させ、前記記録に適した状態にないときには前記液体の吐出の処理をスキップさせる、請求項4に記載の液体吐出装置。
- 液体を吐出する複数の吐出口を有して第1の方向に延びる第1の吐出口列が設けられている第1の液体吐出ヘッドと、前記液体を吐出する複数の吐出口を有して第2の方向に延びる第2の吐出口列が設けられている第2の液体吐出ヘッドとを備え、前記第1の吐出口列と前記第2の吐出口列とは同一平面内にあって、かつ、前記第1の方向と前記第2の方向とが異なる液体吐出装置を使用し、被記録媒体の被記録面に沿って前記液体吐出装置を移動させながら画像データを前記被記録面に記録する液体吐出方法であって、
前記液体吐出装置の移動方向を検出する工程と、
検出された前記移動方向に基づいて、前記第1の液体吐出ヘッドと前記第2の液体吐出ヘッドの少なくとも一方を選択する工程と、
前記選択された液体吐出ヘッドの吐出口から前記液体を吐出して前記被記録面に記録を行う工程と、
を有することを特徴とする液体吐出方法。 - 前記第1の方向と前記第2の方向とが相互に直交し、
前記液体吐出装置が前記第1の方向に沿って移動しているときには前記第2の液体吐出ヘッドを選択し、前記液体吐出装置が前記第2の方向に沿って移動しているときには前記第1の液体吐出ヘッドを選択し、前記液体吐出装置が前記第1の方向に対しても前記第2の方向に対しても斜めとなる方向に沿って移動しているときには前記第1の液体吐出ヘッド及び前記第2の液体吐出ヘッドを選択する、請求項6に記載の液体吐出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016110111A JP2017213802A (ja) | 2016-06-01 | 2016-06-01 | 液体吐出装置及び液体吐出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016110111A JP2017213802A (ja) | 2016-06-01 | 2016-06-01 | 液体吐出装置及び液体吐出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017213802A true JP2017213802A (ja) | 2017-12-07 |
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ID=60575153
Family Applications (1)
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JP2016110111A Pending JP2017213802A (ja) | 2016-06-01 | 2016-06-01 | 液体吐出装置及び液体吐出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
2016
- 2016-06-01 JP JP2016110111A patent/JP2017213802A/ja active Pending
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