JP2017213527A - 排ガス浄化触媒の製造方法並びに排ガス浄化触媒及び排ガス浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を低温で燃焼できる高い触媒活性を有し、環境負荷が懸念されている金属元素の飛散リスクがない排ガス浄化触媒の製造方法並びに排ガス浄化触媒及び排ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】排ガス中に含まれる粒子状物質を燃焼することができる排ガス浄化触媒を製造する方法であって、少なくとも1種のアルカリ金属と、Siと、Zrとを含む複合酸化物を調製する工程と、複合酸化物とセシウム塩とを含む触媒前駆体を調製する工程と、触媒前駆体を低酸素濃度雰囲気下において600℃以上で加熱処理し、排ガス浄化触媒を製造する工程とを備えることを特徴としている。
【選択図】図2
【解決手段】排ガス中に含まれる粒子状物質を燃焼することができる排ガス浄化触媒を製造する方法であって、少なくとも1種のアルカリ金属と、Siと、Zrとを含む複合酸化物を調製する工程と、複合酸化物とセシウム塩とを含む触媒前駆体を調製する工程と、触媒前駆体を低酸素濃度雰囲気下において600℃以上で加熱処理し、排ガス浄化触媒を製造する工程とを備えることを特徴としている。
【選択図】図2
Description
本発明は、排ガス中に含まれる粒子状物質(PM:particlulate matter)を燃焼させる排ガス浄化触媒の製造方法並びに排ガス浄化触媒及び排ガス浄化装置に関するものである。
従来、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を除去する方法として、排気系にシリコンカーバイド、チタン酸アルミニウム、コーデュエライト等の耐熱セラミックからなるハニカムフィルタを配置し、このハニカムフィルタにPMを捕集して排ガス中から除去した後、PMが所定量堆積したところで、ハニカムフィルタを加熱してPMを燃焼分解する方法がある。
しかし、PMの燃焼温度は550〜650℃と高いことから、排ガスを浄化する装置全体として大がかりになり、また加熱するためのエネルギーコストが高くなるという問題がある。このため、PMを燃焼させる触媒を表面に担持したハニカムフィルタが一般的に用いられている。
この方法によれば、触媒作用によってPMの燃焼温度を低下させることが可能となり、ハニカムフィルタを加熱するエネルギーを低減することができる。このような触媒としては白金等の貴金属が知られているが、高温に晒されるとシンタリング現象で触媒性能が劣化するという不具合があった。
そこで特許文献1では、多孔質担体に白金を担持し、該触媒担持担体を非酸化性雰囲気中にて熱処理することで、排ガス浄化用触媒を製造することが提案されている。これは、非酸化性雰囲気中にて熱処理することで白金の酸化物等が生じず白金の気相移動が起こらないため、熱処理中に白金のシンタリングがほとんど生じず、担体のγ−Al2O3が熱収縮して白金を緊密に取り囲むことができるというものである。
しかし、白金は生産量が極めて少なく、需給バランスや価格が大きく変動するリスクがあることから、白金フリーの排ガス浄化触媒が求められている。
そこで、特許文献2では、金属酸化物と、アルカリ金属から構成される硫酸塩及び/又はアルカリ土類金属から構成される硫酸塩と、を含むことを特徴とする排ガス浄化触媒が提案されている。特許文献3では、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種又は2種以上の元素(A)と、Zr、Si及びTiから選ばれる1種又は2種以上の元素(B)とを含む酸化物と、セシウム塩と、を含むことを特徴とする排ガス浄化触媒が提案されている。
しかし、特許文献2で提案されている排ガス浄化触媒は触媒効果が十分ではなく、また
自動車用触媒で環境懸念されている金属元素(Cu、V等)が使用されており、環境負荷が懸念されている金属元素の飛散リスクがあるという問題がある。特許文献3で提案されている排ガス浄化触媒においても、近年、市場の求める触媒効果は高度なものになり、さらなる性能向上が求められている。
自動車用触媒で環境懸念されている金属元素(Cu、V等)が使用されており、環境負荷が懸念されている金属元素の飛散リスクがあるという問題がある。特許文献3で提案されている排ガス浄化触媒においても、近年、市場の求める触媒効果は高度なものになり、さらなる性能向上が求められている。
本発明の目的は、PMを低温で燃焼できる高い触媒活性を有し、環境負荷が懸念されている金属元素の飛散リスクがない排ガス浄化触媒の製造方法並びに排ガス浄化触媒及び排ガス浄化装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、少なくとも1種のアルカリ金属と、Siと、Zrとを含む複合酸化物と、セシウム塩とを含む触媒前駆体を低酸素濃度雰囲気下で加熱処理することで、酸化物を用いているにもかかわらず高い触媒活性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の排ガス浄化触媒の製造方法並びに排ガス浄化触媒及び排ガス浄化装置を提供する。
項1 排ガス中に含まれる粒子状物質を燃焼することができる排ガス浄化触媒を製造する方法であって、少なくとも1種のアルカリ金属と、Siと、Zrとを含む複合酸化物を調製する工程と、前記複合酸化物とセシウム塩とを含む触媒前駆体を調製する工程と、前記触媒前駆体を低酸素濃度雰囲気下において600℃以上で加熱処理し、排ガス浄化触媒を製造する工程とを備える、排ガス浄化触媒の製造方法。
項2 担体に前記複合酸化物を担持させた担持体を作製し、前記担持体の表面に前記セシウム塩を付着させることにより、前記触媒前駆体を調製する、項1に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
項3 前記担体が多孔質体である、項2に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
項4 前記低酸素濃度雰囲気が、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気である、項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
項5 前記複合酸化物における酸素を除く各金属の含有割合が、アルカリ金属 30〜60モル%、Zr 10〜40モル%、Si 20〜60モル%である、項1〜4のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
項6 前記複合酸化物が、以下の一般式で表される、項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
A2XZrXSiYO3X+2Y
(式中、Aは少なくとも1種のアルカリ金属を示し、Xは1≦X≦2を満たす正の実数を示し、Yは1≦X≦6を満たす正の実数を示す。)
項7 前記セシウム塩が、硫酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム及び塩化セシウムから選ばれる少なくとも1種である、項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
(式中、Aは少なくとも1種のアルカリ金属を示し、Xは1≦X≦2を満たす正の実数を示し、Yは1≦X≦6を満たす正の実数を示す。)
項7 前記セシウム塩が、硫酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム及び塩化セシウムから選ばれる少なくとも1種である、項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
項8 前記複合酸化物と前記セシウム塩との比率(複合酸化物/セシウム塩)が、質量比で0.01〜100である、項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
項9 項1〜8のいずれか一項に記載の方法で製造された、排ガス浄化触媒。
項10 項9の排ガス浄化触媒を備えた、排ガス浄化装置。
本発明によれば、PMを低温で燃焼できる高い触媒活性を有し、環境負荷が懸念されている金属元素の飛散リスクがない排ガス浄化触媒の製造方法並びに排ガス浄化触媒及び排ガス浄化装置を提供することができる。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
<排ガス浄化触媒の製造方法>
本発明の排ガス浄化触媒の製造方法は、少なくとも1種のアルカリ金属と、Siと、Zrとを含む複合酸化物を調製する工程と、前記複合酸化物とセシウム塩とを含む触媒前駆体を調製する工程と、前記触媒前駆体を低酸素濃度雰囲気下において600℃以上で加熱処理し、排ガス浄化触媒を製造する工程とを備える。
本発明の排ガス浄化触媒の製造方法は、少なくとも1種のアルカリ金属と、Siと、Zrとを含む複合酸化物を調製する工程と、前記複合酸化物とセシウム塩とを含む触媒前駆体を調製する工程と、前記触媒前駆体を低酸素濃度雰囲気下において600℃以上で加熱処理し、排ガス浄化触媒を製造する工程とを備える。
(複合酸化物)
本発明における複合酸化物は、少なくとも1種のアルカリ金属と、Siと、Zrとを含む複合酸化物である。
本発明における複合酸化物は、少なくとも1種のアルカリ金属と、Siと、Zrとを含む複合酸化物である。
前記複合酸化物は、アルカリ金属30〜60モル%、Zr 10〜40モル%、Si 20〜60モル%を含む複合酸化物であることが好ましく、アルカリ金属33〜50モル%、Zr16〜25モル%、Si 25〜51モル%を含む複合酸化物であることが更に好ましい。なお、これらのモル%の値は、複合酸化物中の酸素を除く金属の含有割合であり、全ての金属の含有割合を100モル%としたときの値である。
好ましい実施形態の複合酸化物は、より具体的には、A2XZrXSiYO3X+2Yの一般式で表すことが出来る。式中、Aは少なくとも1種以上のアルカリ金属を示す。Xは1≦X≦2を満たす正の実数を示し、Yは1≦Y≦6を満たす正の実数を示す。より好ましくは、Yは1≦Y≦3を満たす正の実数であることがよい。
アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Frがあり、この中でも経済的に有利な点からLi、Na、K、Csが好ましい。
前記複合酸化物は、例えば、Li2ZrSiO5、Na2ZrSiO5、Na4Zr2Si3O12、Na2ZrSi2O7、Na2ZrSi3O9、K2ZrSiO5、K2ZrSi2O7、K2ZrSi3O9、Cs4Zr2Si3O12、Cs2ZrSi2O7、Cs2ZrSi3O9等を例示することができる。
前記複合酸化物は、その優れた特性を損なわない範囲で他の元素を含むことできる。例えばFe、Nb、Ti、Al、Ce、Ca、Mg、Sr、Ba、Y、Mn、P等を例示することができる。他の元素の含有割合は0.1〜30.0モル%の範囲が好ましい。
本発明で使用する複合酸化物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも1種のアルカリ金属塩と、ジルコニウム源と、ケイ素源を含む混合物を焼成して製造することができる。
アルカリ金属塩、ジルコニウム源及びケイ素源の混合割合は、目的とする複合酸化物粒子の組成により適宜選択することができるが、アルカリ金属塩20〜50モル%、ジルコニウム源10〜50モル%、ケイ素源20〜70モル%とするのが好ましく、アルカリ金属塩20〜35モル%、ジルコニウム源20〜35モル%、ケイ素源30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
アルカリ金属塩としては、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酢酸塩等の有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩などがあるが、炭酸塩が好ましい。
ケイ素源としては、ケイ素元素を含有し、焼成により本発明で用いる複合酸化物の生成を阻害しない原材料であれば特に限定されないが、例えば空気中で焼成することにより酸化ケイ素に導かれる化合物などがある。かかる化合物としては、例えば酸化ケイ素、ケイ素などが挙げられ、酸化ケイ素が好ましい。
ジルコニウム源としては、ジルコニウム元素を含有し、焼成により本発明で用いる複合酸化物の生成を阻害しない原材料であれば特に限定されないが、例えば空気中で焼成することにより酸化ジルコニウムに導かれる化合物などがある。かかる化合物としては、例えば酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム水和物、硫酸ジルコニウム水和物などが挙げられ、酸化ジルコニウムが好ましい。
混合物を焼成する温度は、目的とする複合酸化物の組成により適宜選択することができるが、900〜1300℃の範囲であることが好ましい。
混合物を焼成する時間は、目的とする複合酸化物の組成により適宜選択することができるが、4〜24時間であることが好ましい。
本発明で用いる複合酸化物は、アルカリ金属の高い触媒活性により、内燃機関等から排出される排ガス中に含まれるPMを低温で燃焼することが可能となり、結晶構造内にSiとZrを含むことで、耐熱性を向上させることができる。
(セシウム塩)
本発明で用いるセシウム塩は、より具体的には、硫酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム、塩化セシウム等が挙げられる。好ましくは、耐熱性の観点から硫酸セシウム、塩化セシウムが好ましい。
本発明で用いるセシウム塩は、より具体的には、硫酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム、塩化セシウム等が挙げられる。好ましくは、耐熱性の観点から硫酸セシウム、塩化セシウムが好ましい。
前記複合酸化物とセシウム塩が共存することで、相乗効果により全体として触媒活性が優れた排ガス浄化触媒となり、後述するように、低酸素濃度雰囲気下で加熱処理することで触媒活性が更に向上し、PMの燃焼効率が高くなる。
(触媒前駆体)
本発明の製造方法においては、上記複合酸化物と上記セシウム塩とを含む触媒前駆体を調製する。触媒前駆体における複合酸化物とセシウム塩の比率(複合酸化物/セシウム塩)は特に制限されないが、目的とする性能及び用途に応じて適宜選択すればよく、通常、質量比で0.01〜100であり、好ましくは0.1〜50であり、より好ましくは0.25〜10である。
本発明の製造方法においては、上記複合酸化物と上記セシウム塩とを含む触媒前駆体を調製する。触媒前駆体における複合酸化物とセシウム塩の比率(複合酸化物/セシウム塩)は特に制限されないが、目的とする性能及び用途に応じて適宜選択すればよく、通常、質量比で0.01〜100であり、好ましくは0.1〜50であり、より好ましくは0.25〜10である。
本発明における触媒前駆体は、それ自体でも排ガス浄化触媒としての触媒活性を有するものであるが、後述する低酸素濃度雰囲気下での加熱処理で、さらに触媒活性を向上させることができるものである。
触媒前駆体は、担体に担持させてもよい。触媒前駆体を担体に担持させる方法としては、1)複合酸化物とセシウム塩の混合物を担体に担持させる方法や、2)担体に複合酸化物を担持させた担持体を作製し、この担持体の表面にセシウム塩を付着させる方法などを採用することができる。
触媒前駆体の担体への担持量は、目的とする性能及び用途に応じて適宜選択すればよく、通常、担体100質量部に対して、触媒前駆体0.1〜50質量部、好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜25質量部である。
担体としては、化学的に安定であって、排ガス中に含まれる粒子状物質を燃焼することができ、触媒前駆体を担持できるものであれば特に制限はないが、例えば、シリコンカーバイド、コーデュエライト、ムライト、アルミナ、チタン酸アルミニウム等のセラミック粒子(以下「担体原料」ということがある)から形成される多孔質体が挙げられる。
前記多孔質体としては、濾過機能を有することが好ましく、例えばハニカムフィルタが挙げられる。具体的にはセラミック製のウォールフロー型ハニカムフィルタが好ましく用いられる。ウォールフロー型であれば、そのセル数、壁厚は特に限定されないが、セル数は200〜400セル/平方インチであることが好ましく、壁厚は200〜380μmであることが好ましい。セル壁面は多孔質壁であれば特に制限されないが長径1〜50μm程度の細孔を有することが好ましく、気孔率は40〜65%であることが好ましい。
ハニカムフィルタは、例えば、担体原料、造孔剤、バインダー、分散剤及び水を混合し、押出成形機を用いてハニカム構造体となるように成形し、セルの開口が市松模様となるに片側の目封止めを行った後に得られた成形体を焼成し、担体原料を焼結し、造孔剤等の有機成分を焼成除去することで製造することができる。焼成条件は、使用する担体原料により適宜選択されるが、担体原料としてチタン酸アルミニウムを用いる場合、焼成温度としては900〜1500℃が挙げられ、焼成時間としては2〜15時間が挙げられる。
造孔剤としては、黒鉛、グラファイト、木粉、ポリエチレン等が挙げられる。バインダーとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。分散剤としては、脂肪酸石鹸、エチレングリコール等が挙げられる。これらの使用量及び種類を適宜調製することで、目的とする多孔質壁の細孔形状、気孔率を得ることができる。
例えば、ハニカムフィルタの形態で触媒前駆体を調製する場合、以下の方法を採用することができる。
上記1)複合酸化物とセシウム塩の混合物を担体に担持させる方法の場合
複合酸化物とセシウム塩の混合物をバインダーや分散剤等とともにスラリーとし、このスラリーにハニカムフィルタを浸漬し、引き上げて乾燥し、必要に応じて乾燥後に有機分を300〜800℃で焼成除去する。なお、この焼成を低酸素濃度雰囲気下で行うことで、後述する低酸素濃度雰囲気下での加熱処理を同時に行うこともできる。
複合酸化物とセシウム塩の混合物をバインダーや分散剤等とともにスラリーとし、このスラリーにハニカムフィルタを浸漬し、引き上げて乾燥し、必要に応じて乾燥後に有機分を300〜800℃で焼成除去する。なお、この焼成を低酸素濃度雰囲気下で行うことで、後述する低酸素濃度雰囲気下での加熱処理を同時に行うこともできる。
上記2)担体に複合酸化物を担持させた担持体の表面にセシウム塩を付着させる方法の場合
担体原料、造孔剤、バインダー、分散剤及び水に、さらに複合酸化物を混合した混合物を用いてハニカムフィルタを製造した後、該ハニカムフィルタに対して浸漬法等を用いてセシウム塩を担持させる。具体的には、セシウム塩の水溶液にハニカムフィルタを浸漬し、引き上げて乾燥し、必要に応じて乾燥後に300〜800で焼成する。なお、この焼成を低酸素濃度雰囲気下で行うことで、後述する低酸素濃度雰囲気下での加熱処理を同時に行うこともできる。
担体原料、造孔剤、バインダー、分散剤及び水に、さらに複合酸化物を混合した混合物を用いてハニカムフィルタを製造した後、該ハニカムフィルタに対して浸漬法等を用いてセシウム塩を担持させる。具体的には、セシウム塩の水溶液にハニカムフィルタを浸漬し、引き上げて乾燥し、必要に応じて乾燥後に300〜800で焼成する。なお、この焼成を低酸素濃度雰囲気下で行うことで、後述する低酸素濃度雰囲気下での加熱処理を同時に行うこともできる。
(低酸素濃度雰囲気下での加熱処理)
上記のようにして調製した触媒前駆体を、低酸素濃度雰囲気下において600℃以上で加熱処理することで、本発明の排ガス浄化触媒を製造することができる。
上記のようにして調製した触媒前駆体を、低酸素濃度雰囲気下において600℃以上で加熱処理することで、本発明の排ガス浄化触媒を製造することができる。
本発明において、低酸素濃度雰囲気は、大気よりも酸素濃度が低ければよく、例えば窒素、アルゴン等の不活性ガスにより酸素濃度を適宜調整し、酸素濃度が調整された雰囲気下において触媒前駆体を加熱処理する。酸素濃度は、通常、20体積%以下、好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下、さらに好ましくは3体積%以下である。有機成分の除去の観点から、酸素濃度は、通常、0体積%よりも高く、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは0.5体積%以上である。
加熱処理の温度は600℃以上であり、好ましくは700℃以上である。加熱処理の上限値は、排ガス浄化触媒の融点及び分解温度よりも低い温度であればよく、好ましくは1200℃、より好ましくは1000℃である。
加熱処理の時間は、0.5〜15時間であることが好ましい。
触媒前駆体を、低酸素濃度雰囲気下において600℃以上で加熱処理することで、触媒活性を向上させることができ、本発明の排ガス浄化触媒を製造することができる。
<排ガス浄化触媒>
本発明の排ガス浄化触媒は、上述の製造方法により製造されるものである。触媒前駆体は、既に酸化されている酸化物を用いているにもかかわらず、上述のように低酸素濃度雰囲気下で加熱処理することで、予想に反し高い触媒活性を得ることができる。本発明で用いる複合酸化物とセシウム塩は価数変化が生じにくい化合物であるという点では、それぞれの接触界面の活性は低いが、いずれもアルカリ金属を含む化合物であり、イオン結合性が高く表面親和性が高いと考えられる。このため本発明で用いる複合酸化物とセシウム塩との接触界面は、低酸素濃度雰囲気下で加熱処理することで界面付近の結合状態が緩く、エネルギーレベルの高い状態になることで触媒活性が高くなると考えられる。
本発明の排ガス浄化触媒は、上述の製造方法により製造されるものである。触媒前駆体は、既に酸化されている酸化物を用いているにもかかわらず、上述のように低酸素濃度雰囲気下で加熱処理することで、予想に反し高い触媒活性を得ることができる。本発明で用いる複合酸化物とセシウム塩は価数変化が生じにくい化合物であるという点では、それぞれの接触界面の活性は低いが、いずれもアルカリ金属を含む化合物であり、イオン結合性が高く表面親和性が高いと考えられる。このため本発明で用いる複合酸化物とセシウム塩との接触界面は、低酸素濃度雰囲気下で加熱処理することで界面付近の結合状態が緩く、エネルギーレベルの高い状態になることで触媒活性が高くなると考えられる。
本発明の排ガス浄化触媒は、担体に担持された形態で用いることが好ましい。担体が、濾過機能を有している多孔質体、例えばハニカムフィルタである場合、PMの燃焼効率が高く、異常燃焼時の高温による触媒劣化を抑制することができる。また、本発明の排ガス浄化触媒は、環境負荷が懸念されている金属元素の飛散リスクがないことから、環境負荷が小さい。そのため、内燃機関から排出される排ガス中に含まれるPMを除去するためのディーゼルエンジン用フィルタ(DPF)やガソリンエンジン用フィルタ等に好適に用いることができる。
(排ガス浄化装置)
本発明の排ガス浄化装置は、本発明の排ガス浄化触媒を備えている。排ガス浄化触媒の担体が、濾過機能を有している多孔質体、例えばハニカムフィルタである場合、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン用フィルタ等の排ガス浄化装置として好適に用いることができる。
本発明の排ガス浄化装置は、本発明の排ガス浄化触媒を備えている。排ガス浄化触媒の担体が、濾過機能を有している多孔質体、例えばハニカムフィルタである場合、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン用フィルタ等の排ガス浄化装置として好適に用いることができる。
図1は、本発明に従う一実施形態の排ガス浄化装置を示す模式図である。排ガス浄化装置1は、排ガス発生源2と、パイプ3を介して接続されており、排ガス発生源2から排出されたガスはパイプ3を通り、排ガス浄化装置1に送られる。排ガス浄化装置1で排ガスが浄化された後、浄化されたガスはパイプ4を通り排出される。排ガス発生源2としては、例えば、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関が挙げられる。
以下、本発明について、実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
<複合酸化物の製造>
(合成例1)
炭酸ナトリウム33.2質量部、酸化ジルコニウム38.6質量部、及び酸化ケイ素28.2質量部を混合し、1200℃で4時間焼成した。得られた粒子状固体が、X線回折によりNa4Zr2Si3O12の単相であることを確認した。
(合成例1)
炭酸ナトリウム33.2質量部、酸化ジルコニウム38.6質量部、及び酸化ケイ素28.2質量部を混合し、1200℃で4時間焼成した。得られた粒子状固体が、X線回折によりNa4Zr2Si3O12の単相であることを確認した。
<排ガス浄化触媒担持体の製造>
(実施例1)
合成例1で合成したNa4Zr2Si3O1220質量部に対し、チタン酸アルミニウム(丸ス釉薬社製)80質量部、黒鉛10質量部、メチルセルロース10質量部、及び脂肪酸石鹸0.5質量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土を得た。
(実施例1)
合成例1で合成したNa4Zr2Si3O1220質量部に対し、チタン酸アルミニウム(丸ス釉薬社製)80質量部、黒鉛10質量部、メチルセルロース10質量部、及び脂肪酸石鹸0.5質量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土を得た。
得られた坏土を押出成形機にてハニカム構造体となるように押し出して成形し、成形体を得た。金型のセル密度は、300セル/平方インチ(46.5セル/cm2)とし、隔壁厚みは300μmとした。
固形分がほぼチタン酸アルミニウム(丸ス釉薬社製)と合成例1で合成したNa4Zr2Si3O12からなり、粘度調整材等の添加物を加えたスラリーを調製した。なお、スラリー中における固形分の比率は上記と同様である。
ハニカム構造体である成形体において、開口したセルと封止したセルが交互に市松模様となるように、ハニカム構造体のセルに、このスラリーを注入し、目封じを行った。
得られた成形体を、600℃で10時間保持し、その後25℃/時間で1000℃まで昇温し、1000℃で10時間保持して焼成することで、細孔径11μm、気孔率53%のハニカム構造体を得た。
次に、Cs2SO4(和光純薬社製、商品名:硫酸セシウム、粉末)20質量部と水80質量部とを混ぜ合わせた溶液を調製した。調製した溶液に上記で得たハニカム構造体を含浸した。含浸後、酸素濃度1%の低酸素雰囲気下において800℃で5時間焼成し、排ガス浄化触媒担持体を製造した。なお、酸素濃度は、窒素ガスを用いて調整した。
図2は、製造した、排ガス浄化触媒担持体5を示す斜視図である。図2において矢印Aは、押出方向を示している。排ガス浄化触媒担持体5に担持されたCs2SO4の総量は、Na4Zr2Si3O1220質量部に対して5質量部であった。
(実施例2)
Cs2SO4含浸後の焼成における酸素濃度を4%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で排ガス浄化触媒担持体を製造した。
Cs2SO4含浸後の焼成における酸素濃度を4%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で排ガス浄化触媒担持体を製造した。
(実施例3)
Cs2SO4含浸後の焼成における酸素濃度を8%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で排ガス浄化触媒担持体を製造した。
Cs2SO4含浸後の焼成における酸素濃度を8%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で排ガス浄化触媒担持体を製造した。
(比較例1)
Cs2SO4含浸後の焼成における酸素濃度を21%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で排ガス浄化触媒担持体を製造した。
Cs2SO4含浸後の焼成における酸素濃度を21%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で排ガス浄化触媒担持体を製造した。
<排ガス浄化触媒担持体の評価>
得られた排ガス浄化触媒担持体(以下「フィルタ」ということもある)の評価として再生試験を以下の手順で行った。
得られた排ガス浄化触媒担持体(以下「フィルタ」ということもある)の評価として再生試験を以下の手順で行った。
(フィルタ再生率)
フィルタの初期重量を予め測定しておき、ディーゼルエンジンの排気ラインに、酸化触媒(DOC)とフィルタを順に設置する。設置後、ディーゼルエンジンを始動させ、排気温度が低温となる運転条件でPMを所定量(約8g/L)堆積させた後、一度フィルタを取り外し、堆積したPMの重量を測定する。
フィルタの初期重量を予め測定しておき、ディーゼルエンジンの排気ラインに、酸化触媒(DOC)とフィルタを順に設置する。設置後、ディーゼルエンジンを始動させ、排気温度が低温となる運転条件でPMを所定量(約8g/L)堆積させた後、一度フィルタを取り外し、堆積したPMの重量を測定する。
次いで、PMを堆積させたフィルタを模擬排ガスの排気ラインに設置した後、模擬排ガスを440℃まで上昇させ再生試験を開始した。440℃に到達した時点から30分間440℃±10℃の温度を保持し、30分経過後、模擬排ガスの全量を窒素ガスに切り替えた。
温度が室温まで低下後、再度、フィルタを取り出し、重量減少分(=PM燃焼重量)を測定した。結果を表1に示した。
以下の計算式により再生率を算出した。
再生率(%)=100−[(PM堆積重量(g)−PM燃焼重量(g))/PM堆積重量(g)]×100
表1から触媒成分が低酸素濃度で焼成された実施例1〜3は、酸素濃度21%で焼成された比較例1に比べ、高いフィルタ再生率が得られることが分かる。
1…排ガス浄化装置
2…排ガス発生源
3,4…パイプ
5…排ガス浄化触媒担持体
A…成形体の押出方向
2…排ガス発生源
3,4…パイプ
5…排ガス浄化触媒担持体
A…成形体の押出方向
Claims (10)
- 排ガス中に含まれる粒子状物質を燃焼することができる排ガス浄化触媒を製造する方法であって、
少なくとも1種のアルカリ金属と、Siと、Zrとを含む複合酸化物を調製する工程と、
前記複合酸化物とセシウム塩とを含む触媒前駆体を調製する工程と、
前記触媒前駆体を低酸素濃度雰囲気下において600℃以上で加熱処理し、排ガス浄化触媒を製造する工程とを備える、排ガス浄化触媒の製造方法。 - 担体に前記複合酸化物を担持させた担持体を作製し、前記担持体の表面に前記セシウム塩を付着させることにより、前記触媒前駆体を調製する、請求項1に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
- 前記担体が多孔質体である、請求項2に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
- 前記低酸素濃度雰囲気が、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
- 前記複合酸化物における酸素を除く各金属の含有割合が、アルカリ金属 30〜60モル%、Zr 10〜40モル%、Si 20〜60モル%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
- 前記複合酸化物が、以下の一般式で表される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
A2XZrXSiYO3X+2Y
(式中、Aは少なくとも1種のアルカリ金属を示し、Xは1≦X≦2を満たす正の実数を示し、Yは1≦X≦6を満たす正の実数を示す。) - 前記セシウム塩が、硫酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム及び塩化セシウムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
- 前記複合酸化物と前記セシウム塩との比率(複合酸化物/セシウム塩)が、質量比で0.01〜100である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法で製造された、排ガス浄化触媒。
- 請求項9の排ガス浄化触媒を備えた、排ガス浄化装置。
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