JP2017212201A - 多孔質膜および積層多孔質膜 - Google Patents

多孔質膜および積層多孔質膜 Download PDF

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Abstract

【課題】無機粒子の分散性、担持性に優れ、高耐熱かつ低抵抗、高強度である多孔質膜およびこの多孔質膜を有する積層多孔質膜を提供。【解決手段】芳香族耐熱樹脂と無機粒子とを含有し、無機粒子の含有量が60〜99質量%であり、芳香族耐熱樹脂の芳香環上に電子求引性基を有する多孔質膜。また、前記芳香族耐熱樹脂が芳香族ポリアミド樹脂である多孔質膜。好ましくは、500℃における、厚み方向の熱収縮率が−0.5〜15.0%である多孔質膜。さらに、ポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜基材の少なくとも一方の表面に、前記多孔質膜が形成された積層多孔質膜。好ましくは、25℃における膜抵抗が1.6〜9.6Ωcm2であり、面内方向の少なくとも1方向における150℃熱収縮率が、−0.5〜20%である、積層多孔質膜。【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質膜および積層多孔質膜に関するものであり、特にリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池用セパレータとして好適に使用できる多孔質膜に関するものである。
リチウムイオン二次電池(LIB)などの非水電解質二次電池は、携帯機器用途を中心に広範に普及しており、一般にそれらのセパレータとしては、シャットダウン機能を有するポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜が用いられている。シャットダウン機能とは、電池の温度が上昇したときに孔が閉塞し、イオン透過を遮断して電池の暴走を未然に防ぐ一種の安全機能である。
LIBの開発課題の1つとして、さらなる高エネルギー密度化が挙げられ、特に車載用LIBにおいては大型化による高容量化も相まって、セパレータへの耐熱性、とりわけ高温での寸法安定性向上の要求は益々高くなっている。
このような背景のもと、ポリオレフィン多孔質膜に耐熱多孔質膜を積層する構成が提案されており、例えば、特許文献1や2には、ポリオレフィン多孔質膜の片面または両面に耐熱樹脂と無機粒子との複合体からなる耐熱多孔質膜を形成した積層多孔質膜からなるセパレータが提案されている。
特開2000−30686号公報 特開2006−32246号公報
しかしながら、従来技術では、耐熱多孔質膜中の無機粒子の含有量を一定量以上とすると、無機粒子の凝集や結着性不足による粉落ちが起きることが課題である。一方で、耐熱多孔質膜中の耐熱樹脂含有量を多くすると、耐熱性(特に高温での寸法安定性)の低下、膜抵抗の上昇、薄膜化時の機械特性(特に耐圧縮性)の低下などの課題がある。
本発明は上記事情に鑑み、無機粒子の分散性、担持性に優れ、高耐熱かつ低抵抗、高強度である多孔質膜およびこの多孔質膜を有する積層多孔質膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成を特徴とする。
芳香族耐熱樹脂と無機粒子とを含有し、無機粒子の含有量が60〜99質量%であり、かつ芳香族耐熱樹脂の芳香環上に電子求引性基を有することを特徴とする多孔質膜。
本発明の多孔質膜(以下、耐熱多孔質膜ということがある)は、芳香族耐熱樹脂と無機粒子とを含有し、無機粒子の含有量が60〜99質量%であり、かつ芳香族耐熱樹脂の芳香環上に電子求引性基を有することを特徴とする。この耐熱多孔質膜は、無機粒子の含有量が多く、かつその分散性と担持性に優れるため、膜抵抗を低くすることが可能である。そのため、二次電池用セパレータとして用いた際に、良好な出力特性やサイクル特性が得られる。また、耐圧縮性と耐熱性に優れるため、何らかの原因で電池内部に圧力がかかったり、高温に曝され続けても、正負極間の絶縁を保持することが可能である。
本発明において用いる芳香族耐熱樹脂とは、主鎖上に芳香環を有し、かつASTM E1640−13に準拠する方法で測定したガラス転移温度が150℃以上の樹脂をいう。好ましくはガラス転移温度が200℃以上の樹脂であり、より好ましくはガラス転移温度が250℃以上の樹脂である。また、主鎖上の芳香環の少なくとも一部が、電子求引性基で置換された芳香環であることを特徴とする。好ましくは、すべての芳香環の合計の30〜100モル%が電子求引性基で置換された芳香環であり、より好ましくは、50〜100モル%、さらに好ましくは、70〜100モル%である。ここで、本発明における電子求引性基とは、電気陰性度が2.5以上の基をいう。このような電子求引性基として、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基、トリフルオロメチル基などのハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、シアネート基、フェニル基などが挙げられる。中でも特に好ましくは、フルオロ基、クロロ基、トリフルオロメチル基である。
上記ポリマー骨格として、例えば、次の化学式(1)および/または化学式(2)で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリアミド(アラミド)、化学式(3)で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリイミド、化学式(4)で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリアミドイミドなどが挙げられる。
化学式(1):
Figure 2017212201
化学式(2):
Figure 2017212201
化学式(3):
Figure 2017212201
化学式(4):
Figure 2017212201
ここで、Ar〜Arの骨格としては、例えば、次の化学式(5)〜(9)などが挙げられる。Ar〜Arのそれぞれについて、化学式(5)〜(9)から選ばれる複数の基による共重合としてもよい。
化学式(5)〜(9):
Figure 2017212201
また、化学式(8)、(9)におけるX、Yは、−O−、−CO−、−SO−、−CH−、−S−、−C(CH−などから選択することができるが、これに限定されるものではない。
通常、芳香族耐熱樹脂は、その芳香環がパラ配向性を有したり結合手の分子内回転が制限されるなどの剛直な分子構造であるほど、また分子量が大きいほど、強度、耐熱性などの特性に優れる。一方でその反面、剛直で高分子量の芳香族耐熱樹脂は、分子鎖の凝集力が強いため、溶媒への溶解性が低く重合や溶液調製が困難であったり、多孔化し難く膜抵抗が上昇しやすいことがある。一方、本発明において用いる芳香族耐熱樹脂は、芳香環上に電子求引性基を有することで、斥力の作用が働き、剛直で高分子量であっても、溶媒中で分子内および分子間凝集が抑えられ、高い溶媒溶解性と孔形成能が得られる。さらに溶媒中で分子鎖が凝集せず広がりやすいことが、本発明のように無機粒子の含有量を多くしても、その分散性と担持性に優れることにつながる。
また、Ar〜Arにおける結合手は、オルト配向性、メタ配向性、パラ配向性のいずれであってもよいが、パラ配向性を有しているものが、全芳香環の50〜100モル%であることが好ましく、80〜100モル%であることがより好ましい。ここでいうパラ配向性とは、芳香環上主鎖を構成する結合手が互いに同軸または平行にある状態をいう。このパラ配向性が50モル%未満の場合、得られる耐熱多孔質膜の強度や耐熱性が不十分となる場合がある。
さらに、Ar〜Arの一部に、化学式(8)、(9)におけるX、Yとして酸素原子Oを持つ骨格を有すると、さらに高い溶媒溶解性と孔形成能が得られるためより好ましい。
芳香族耐熱樹脂の化学構造について同定が必要な場合は、核磁気共鳴法(NMR)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)および質量分析法(MS)などを組み合わせて構造解析を行うことができる。なお、ポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜基材(以下、単にポリオレフィン多孔質膜ということがある。)の少なくとも一方の上に形成した積層多孔質膜から、芳香族耐熱樹脂の化学構造について同定する場合は、以下の方法で解析を行うことができる。積層多孔質膜試料100質量部に対して100質量部の濃硫酸中に60℃加温下で24時間浸漬することで試料からポリオレフィン多孔質膜を分離する。その後、回収した濃塩酸溶液から遠心分離などで不溶分(例えば無機粒子など)を除去し、得られた耐熱樹脂成分について上記構造解析を行うことで同定ができる。
本発明において用いる無機粒子としては、例えば、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属リン酸塩、金属珪素塩、金属硫酸塩、粘土鉱物などが挙げられる。より具体的には、二酸化珪素(湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、塩基性炭酸鉛(鉛白)、リン酸カルシウム、珪酸アルミ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム及びフッ化カルシウムなどが挙げられる。これらの粒子を1種類で用いても良く、2種類以上を混合して用いてもよい。この中で電池用セパレータとして用いるのにより好ましいのは、二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムであり、特に好ましいのは、酸化アルミニウムである。無機粒子の平均一次粒径は、0.01〜5.0μmが好ましい。無機粒子の形状としては、球状、板状、針状、棒状、楕円状などが挙げられ、いずれの形状であってもよいが、分散性、塗工性の観点から球状であることが好ましい。
本発明の耐熱多孔質膜における上記無機粒子の含有量は60〜99質量%であり、好ましくは70〜99質量%、より好ましくは80〜99質量%である。無機粒子の含有量が60質量%未満であると、耐熱性、特に高温での寸法安定性が低下することがある。また、ガーレ透気度や膜抵抗の上昇が起きることがある。無機粒子の含有量を本発明の範囲内とするため、芳香族耐熱樹脂の構造を上述のとおりとし、後述の条件で製膜原液中に無機粒子を分散させることが好ましい。ここで、耐熱多孔質膜中における無機粒子の含有量は、多孔膜試料を灰化後、塩酸にて加熱溶解した溶液について、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により求めることができる。
本発明の耐熱多孔質膜の厚みは、0.5〜30μmであることが好ましく、1.0〜20μmであることがより好ましい。厚みが0.5μm未満であると、十分な耐熱性や強度が得られないことがある。厚みが30μmを超えると、膜抵抗が高く、電池用セパレータとして使用した際に出力が低下したり、電池内に組み込める活物質層の厚みが薄くなり体積あたりのエネルギー密度が小さくなることがある。
本発明の耐熱多孔質膜は、ガーレ透気度が1〜200秒/100mlであることが好ましい。より好ましくは1〜150秒/100mlである。ガーレ透気度が1秒/100mlより小さいと強度が低下し、加工時にフィルムの破断が起きたり、電池用セパレータとして使用したときに電極間の短絡が起き易くなることがある。ガーレ透気度が200秒/100mlより大きいと、膜抵抗が高く、電池用セパレータとして使用したときに、出力特性の低下が起きたり、繰り返し使用した際に容量劣化が大きくなることがある。ガーレ透気度を上記範囲内とするため、芳香族耐熱樹脂の構造および無機粒子の含有量を上述のとおりとし、製膜原液中への無機粒子の分散および多孔質膜の製膜条件を後述の範囲内とすることが好ましい。
なお、耐熱多孔質膜のガーレ透気度について、ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも一方の上に形成した積層状態の多孔質膜から計測する場合は、積層多孔質膜試料のガーレ透気度からポリオレフィン多孔質膜基材のガーレ透気度を減ずることで算出する。ポリオレフィン多孔質膜基材のガーレ透気度が不明の場合は、以下の方法でポリオレフィン多孔質膜基材を分離して測定を行うことができる。積層多孔質膜試料100質量部に対して100質量部の濃硫酸中に60℃加温下で24時間浸漬することで積層多孔質膜試料から耐熱多孔質膜を取り除く。その後、流水で洗浄し、真空乾燥機にて80℃で12時間乾燥させることで、ポリオレフィン多孔質膜基材を分離する。
本発明の耐熱多孔質膜は、面内方向の少なくとも一方向における200℃の熱収縮率が−0.5〜5.0%であることが好ましく、−0.5〜3.0%であることがより好ましい。熱収縮率が5.0%を超える場合、電池の異常発熱時にセパレータの収縮により、電池端部において短絡が起こることがある。熱収縮率を上記範囲内とするため、芳香族耐熱樹脂の構造および無機粒子の含有量を上述のとおりとし、製膜原液中への無機粒子の分散および多孔質膜の製膜条件を後述の範囲内とすることが好ましい。
本発明の耐熱多孔質膜は、厚み方向の500℃の熱収縮率が−0.5〜15.0%であることが好ましく、−0.5〜10.0%であることがより好ましい。熱収縮率が15.0%を超える場合、電池の異常発熱時にセパレータの厚みが減少することにより、正負極間において短絡が起きることがある。耐熱多孔質膜中の無機粒子の含有量が多く、かつその分散性に優れることで、厚み方向の熱収縮率を低く抑えることができる。厚み方向の500℃の熱収縮率を上記範囲内とするため、芳香族耐熱樹脂の構造および無機粒子の含有量を上述のとおりとし、製膜原液中への無機粒子の分散および多孔質膜の製膜条件を後述の範囲内とすることが好ましい。
本発明の耐熱多孔質膜は、単独で二次電池用セパレータとして用いてもよいし、ポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜基材(以下、単にポリオレフィン多孔質膜ということがある。)の少なくとも一方の表面に形成して積層多孔質膜として用いてもよい。積層多孔質膜のカールを抑制できる点、および、高い耐熱性を得られる点から、耐熱多孔質膜はポリオレフィン多孔質膜の両方の表面に形成することが好ましい。
本発明において用いるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ノルボルネン系誘導体を開環メタセシス重合することにより得た環状ポリオレフィン系樹脂や、ノルボルネン系誘導体とエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンなどのα−オレフィン類を共重合した環状ポリオレフィン共重合体樹脂などが好適である。また、これらのポリオレフィン樹脂のうち複数種を混合したり積層して用いてもよい。
本発明において用いるポリオレフィン多孔質膜とは、ポリオレフィン多孔質膜中における上述のポリオレフィン樹脂の含有量が55〜100質量%である多孔質膜を意味する。ポリオレフィン樹脂の含有量が55質量%未満であると、十分なシャットダウン機能が得られないことがある。
本発明において用いるポリオレフィン多孔質膜の厚みは、2〜30μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましい。厚みが2μm未満であると、加工時にフィルムの破断が起きたり、十分なシャットダウン機能が得られないことがある。厚みが30μmを超えると、膜抵抗が高くなり、電池用セパレータとして使用した際に出力が低下したり、電池内に組み込める活物質層の厚みが薄くなり体積あたりのエネルギー密度が小さくなることがある。
本発明の積層多孔質膜は、25℃における膜抵抗が1.6〜9.6Ω・cmであることが好ましい。より好ましくは1.6〜7.2Ω・cmである。膜抵抗を上記範囲内とすることで、電池用セパレータとして使用したときに、イオン透過性が高く、優れた出力特性やサイクル特性が得られる。膜抵抗が9.6Ω・cmを超えると、電池用セパレータとして使用したときに、イオン透過性が低く、出力特性の低下が起きたり、繰り返し使用した際に容量劣化が大きくなることがある。膜抵抗を上記範囲内とするため、ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも一方の上に形成する耐熱多孔質膜を本発明に記載の条件で形成することが好ましい。
本発明の積層多孔質膜は、面内方向の少なくとも一方向における150℃の熱収縮率が−0.5〜20.0%であることが好ましく、−0.5〜10.0%であることがより好ましい。熱収縮率が20.0%を超える場合、電池の異常発熱時にセパレータの収縮により、電池端部において短絡が起こることがある。熱収縮率を上記範囲内とするため、ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも一方の上に形成する耐熱多孔質膜を本発明に記載の条件で形成することが好ましい。
次に、本発明の耐熱多孔質膜および積層多孔質膜の製造方法について、以下に説明する。
初めに、本発明に用いることができる芳香族耐熱樹脂を得る方法を芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリイミドを例に説明するが、本発明に用いることができる芳香族耐熱樹脂およびその重合方法はこれらに限定されるものではない。
芳香族ポリアミドを得る方法は種々の方法が利用可能であるが、例えば、酸ジクロライドとジアミンを原料として低温溶液重合法を用いる場合には、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合により合成する方法や、水系媒体を使用する界面重合で合成する方法等をとることができる。ポリマーの分子量を制御しやすいことから、非プロトン性有機極性溶媒中での溶液重合が好ましい。酸ジクロライドとジアミンを原料とする場合、重合反応の進行に伴って塩化水素が副生するが、これを中和する場合には炭酸リチウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどの無機の中和剤、あるいは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機の中和剤を使用するとよい。
芳香族ポリイミドあるいはその前駆体であるポリアミド酸を、例えば、テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンを原料として重合する場合には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合により合成する方法などをとることができる。合成した芳香族ポリアミド酸をイミド化して芳香族ポリイミドを得る方法としては、熱処理や化学処理、およびその併用などが用いられる。熱処理法は、一般的にポリアミド酸を100〜500℃程度で加熱処理することでイミド化する方法である。一方、化学処理は、トリエチルアミンなどの第三級アミンを触媒として、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などの脱水剤を用いる方法や、ピリジンなどのイミド化剤を用いる方法がある。
芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドあるいはその前駆体であるポリアミド酸の対数粘度(ηinh)は、1.5〜7.0dl/gであることが好ましく、2.0〜5.0dl/gであることがより好ましい。対数粘度が1.5dl/g未満であると、重合度が低く、十分な強度が得られなかったり、無機粒子の担持性が低下し粉落ちなどが発生することがある。樹脂の溶解性を維持して対数粘度を上記範囲内とするため、芳香族耐熱樹脂の構造を上述のとおりとすることが好ましい。
次に、耐熱多孔質膜を製造する工程に用いる芳香族耐熱樹脂と無機粒子とを含有する製膜原液(以下、単に製膜原液ということがある。)について説明する。製膜原液には重合後の芳香族耐熱樹脂溶液をそのまま使用してもよく、あるいは芳香族耐熱樹脂を一度単離してから溶媒に再溶解して使用してもよい。芳香族耐熱樹脂を単離する方法としては、特に限定しないが、重合後の芳香族耐熱樹脂溶液を多量の水中に投入することで溶媒および中和塩などを水中に抽出し、析出した芳香族耐熱樹脂のみを分離した後、乾燥させる方法などが挙げられる。また、再溶解時に溶解助剤として金属塩などを添加してもよい。金属塩としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物が好ましく、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウムなどが挙げられる。
芳香族耐熱樹脂溶液に無機粒子を分散させてスラリー状の製膜原液を得る方法としては、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザーなどの公知の手法を用いることができる。ここで、無機粒子を分散させる際の芳香族耐熱樹脂溶液の液性を、塩基性とすることが無機粒子の分散性の点で好ましく、pH値で8〜12であることがより好ましい。これは、無機粒子同士の斥力による効果と考えられる。すなわち、液性を塩基性とすることで、無機粒子表面のプロトンが解離し、無機粒子が負電荷を帯びる。これにより、無機粒子同士が互いに反発し、凝集が抑えられると考えられる。ここで、芳香族耐熱樹脂溶液の液性は、芳香族耐熱樹脂溶液10gを容量50mlのビーカーに採取後、純水40gを添加して25℃にて10分間撹拌後の抽出液について測定することができる。芳香族耐熱樹脂溶液の液性は、重合後あるいは単離する場合は再溶解後の芳香族耐熱樹脂溶液に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの塩基性物質を添加することで調整できる。
製膜原液には孔形成能を向上させる目的で、親水性ポリマーを混合してもよい。親水性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
また、製膜原液には、上記の他に必要に応じて、電極との接着性を付与するフッ素系樹脂やアクリル系樹脂、分散剤、増粘剤、安定化剤、消泡剤、レベリング剤等を添加してもよい。
製膜原液中の芳香族耐熱樹脂および無機粒子の合計含有量は、5〜30質量%が好ましく、より好ましくは7〜20質量%である。
上記のようにして調製された製膜原液を用いて、いわゆる溶液製膜法により、耐熱多孔質膜の製造が行われる。溶液製膜法として、代表的には湿式法や吸湿法、あるいはその組み合わせなどが挙げられるが、特に限定されない。いずれも方法も、まず製膜原液を支持体(ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも一方の上に形成して積層多孔質膜とする場合はポリオレフィン多孔質膜)上にキャスト(流延)した後、湿式法の場合は水や貧溶媒からなる凝固浴に導入することで、吸湿法の場合は調温調湿雰囲気下で徐々に吸湿させることで芳香族耐熱樹脂を析出させて多孔質膜を得る。また、これらの組み合わせで、調温調湿雰囲気下で吸湿後、凝固浴に導入してもよい。湿式法における凝固浴の浴組成は特に限定されないが、水、あるいは有機溶媒/水の混合系を用いることが好ましい。また、湿式浴中には無機塩が含まれていてもよい。吸湿法における調温調湿雰囲気条件は、容積絶対湿度10〜500g/mとすることが好ましく、また、この容積絶対湿度を満たす範囲内で雰囲気の温度は20〜100℃、相対湿度は60〜100%RHとすることがより好ましい。処理時間は0.1〜5分とすることが好ましい。
このようにして多孔質膜化したのち、テンターなどを用いて熱処理を施す。熱処理温度は40〜300℃が好ましく、150〜280℃がより好ましい。ただし、ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも一方の上に形成して積層多孔質膜とする場合は、熱処理温度を40〜120℃とすることが好ましい。
次に、本発明において用いるポリオレフィン多孔質膜の製膜方法を説明する。原料となるポリオレフィン溶液は、前述のポリオレフィンを溶媒に加熱溶解することにより調製する。この溶媒としては、ポリオレフィンを十分に溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、パラフィン油などの脂肪族または環式の炭化水素などが挙げられる。加熱溶解は、ポリオレフィンが溶媒中で完全に溶解する温度で撹拌しながら行う。その温度は使用する重合体及び溶媒により異なるが、例えばポリエチレンの場合には140〜250℃の範囲が好ましい。また、ポリオレフィン溶液の濃度は、10〜50質量%が好ましい。次にこのポリオレフィンの加熱溶液をダイスから押し出した後、冷却することによりゲル状物に成形される。なお、ダイスから押し出された溶液は、冷却前あるいは冷却中に、1〜10の引取比で引き取るのが好ましい。次にテンターなどでこのゲル状成形物を加熱し、所定の倍率で2軸延伸を行う。延伸温度は、使用するポリオレフィンの融点+10℃以下、好ましくは結晶分散温度から結晶融点未満の範囲である。例えば、多段重合ポリエチレンの場合は90〜140℃の範囲である。延伸倍率は原反の厚さによって異なるが、面倍率で10〜400倍である。得られた延伸成形物は、溶剤で洗浄することにより残留溶媒を除去する。洗浄溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エタンなどのフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類などの易揮発性のものを用いることができる。その後洗浄溶剤を乾燥するが、洗浄溶剤の乾燥方法は加熱乾燥、風乾などの方法で行うことができる。乾燥した延伸成形物は、結晶分散温度〜融点の温度範囲で熱固定することが好ましい。
本発明の耐熱多孔質膜は、芳香族耐熱樹脂と無機粒子とを含有し、無機粒子の含有量が60〜99質量%であり、かつ芳香族耐熱樹脂の芳香環上に電子求引性基を有することを特徴とする。この耐熱多孔質膜は、無機粒子の含有量が多く、かつその分散性と担持性に優れるため、膜抵抗を低くすることが可能である。そのため、二次電池用セパレータとして用いた際に、良好な出力特性やサイクル特性が得られる。また、耐圧縮性と耐熱性に優れるため、何らかの原因で電池内部に圧力がかかったり、高温に曝され続けても、正負極間の絶縁を保持することを可能とする。さらに本発明の耐熱多孔質膜をポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜基材の少なくとも一方の上に形成した積層多孔質膜は、基材のシャットダウン機能に加え、上述の耐熱多孔質膜の特性により、低抵抗、耐圧縮性、耐熱性に優れる積層多孔質膜となるため、幅広い用途の二次電池用セパレータとして好適に用いることができる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
実施例における物性の測定方法は次の方法に従って行った。
(1)厚み
定圧厚み測定器FFA−1(尾崎製作所社製)を用いて試料の厚み(μm)を測定した。測定子径は5mm、測定荷重は1.25Nである。試料の幅方向に10点測定し、平均値を求めた。
(2)ガーレ透気度
B型ガーレデンソメーター(安田精機製作所社製)を使用し、JIS−P8117(1998)に規定された方法に従って、試料のガーレ透気度(秒/100ml)の測定を行った。試料を直径28.6mm、面積642mmの円孔に締め付け、内筒により(内筒質量567g)、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させ、空気100mlが通過する時間を測定することでガーレ透気度とした。
(3)25℃における膜抵抗
測定用電極1として、厚み20μmのアルミシートを長辺50mm×短辺40mmに切り出した。このうち、短辺40mm×長辺の端10mmはタブを接続するためののりしろであり、有効測定面積は40mm×40mm(1,600mm=16cm)である。切り出したアルミシートののりしろ部の任意の位置に幅5mm、長さ30mm、厚み100μmのアルミ製タブを超音波溶接した後、溶接部を含むのりしろ部全体をカプトン(登録商標)テープで覆うことで絶縁処理を行った。測定用電極2として、同様のアルミシートを長辺55mm×短辺45mmに切り出した。このうち、短辺45mm×長辺の端10mmはタブを接続するためののりしろである。切り出したアルミシートののりしろ部の任意の位置に幅5mm、長さ30mm、厚み100μmのアルミ製タブを超音波溶接した後、溶接部を含むのりしろ部全体をカプトン(登録商標)テープで覆うことで絶縁処理を行った。試料の多孔質膜を55mm×55mmに切り出した。
切り出した測定用電極1、測定用電極2、および試料を乾燥器(減圧度0.09MPa、80℃)にて12時間減圧乾燥させた後、測定用電極1/試料/測定用電極2の順に重ねた。このとき、測定用電極1の40mm×40mmの有効測定領域の全てが試料膜を隔てて測定用電極2と対向するように配置した。次に、アルミラミネートフィルムに上記の(電極/試料/電極)積層体を挟み込み、アルミラミネートフィルムの1辺を残して熱融着し、袋状とした。袋状にしたアルミラミネートフィルムに、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=3:7(体積比)の混合溶媒に溶質としてLiPFを濃度1mol/Lとなるように溶解させた電解液を1.5g注入し、減圧含浸させながらアルミラミネートフィルムの短辺部を熱融着させてラミネートセルを作製した。このようなセルを、電極間の試料を2枚、4枚として2種類作製した。
以上により作製した各セルについて、25℃雰囲気下、電圧振幅10mV、周波数10〜5,000Hzの条件で交流インピーダンスを測定し、Cole−Coleプロットから交流抵抗(Ω)を求めた。得られた交流抵抗を試料の枚数に対してプロットし、このプロットを直線で結んだときの傾きから試料1枚あたりの交流抵抗を算出した。得られた交流抵抗に有効測定面積16cmを乗ずることで、規格化した膜抵抗(Ω・cm)を算出した。なお、上記したプロットに供する交流抵抗値は、試料の枚数が異なる2種類の評価用セルについて、各5個づつ作成し、交流抵抗値の最大値、最小値を除いた3個の測定値を平均した値をそれぞれ用いた。
(4)面内方向の熱収縮率
試料を、長手方向(MD)50mm×幅方向(TD)50mm(ここで、MDとは膜の製膜方向であり、TDとはそれと直交する方向である。)に切り出し、所定温度(150℃または200℃)の熱風オーブン中で1時間、実質的に張力を掛けない状態で熱処理を行った後、25℃まで冷却した。処理後の試料を厚み3mmのガラス板で挟み込み、MDおよびTDのそれぞれにおいて最も寸法変化が大きい部分の寸法を計測し、処理後の寸法L(mm)とした。求めたLを用いて、下式でMDおよびTDの熱収縮率(%)を計算した。測定は5回実施し、MDおよびTDそれぞれについて平均値を求めた。
面内方向の熱収縮率(%)=((50−L)/50)×100
(5)厚み方向の熱収縮率
試料を、長手方向50mm×幅方向50mmに切り出し、(1)に記載の方法にて処理前の厚みD(μm)を測定した。この試料を2枚のステンレス板(SUS316、厚み1mm、200mm角)に挟んだ状態で、500℃の熱風オーブン中で10分間熱処理を行った後、25℃まで冷却した。処理後の試料厚みDを上記と同様に測定し、下式で熱収縮率(%)を計算した。
厚み方向の熱収縮率(%)=((D−D)/D)×100
(実施例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に、ジアミン全量に対して80モル%に相当する2−クロロ−1,4−フェニレンジアミンと20モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを溶解させた。そこへ酸ジクロライドとして、ジアミン全量に対して99モル%に相当する2−クロロテレフタロイルクロライドを添加し撹拌を行うことで、芳香族ポリアミド(A)を重合した。得られた重合溶液を、酸ジクロライド全量に対して97モル%の炭酸リチウムで中和し、さらに15モル%のジエタノールアミン、25モル%のトリエタノールアミンにてpHを10.0に調整し、芳香族ポリアミド濃度が10質量%である溶液を得た。なお、pHの測定は、ビーカーに上記の溶液を10g採取したところに純水40gを添加し、スターラーを用いて25℃で10分間撹拌後、抽出水についてpHメーターを用いて測定した。得られた芳香族ポリアミドの対数粘度ηinhは2.5dl/gであった。
次に、得られた芳香族ポリアミド溶液中にアルミナ粒子(平均粒径0.4μm)および希釈用のNMPを加えて攪拌機で予備分散後、ビーズミルにて混練することで、製膜原液中の芳香族ポリアミドおよびアルミナ粒子の合計量に対するアルミナ粒子の含有量が90質量%となるように調製した。
以上で得られた製膜原液を、支持体であるステンレス(SUS316)ベルト上に膜状に連続的に塗布し、温度50℃、相対湿度85%RHの調温調湿空気中で、塗布膜が支持体から剥離可能になるまで処理した。次に、塗布膜を支持体から剥離し、30℃の水浴に導入することで、溶媒および中和塩などの抽出を行った。続いて、得られた含水状態の多孔質膜を、温度280℃のテンターに導入し、テンター室内にて製膜方向(MD)は定長で、幅方向(TD)に1.05倍の延伸を施しながら、1分間の高温熱処理を施し、MDに連続で巻き取ることで、厚み10μmの耐熱多孔質膜を得た。
得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
芳香族ポリアミド(B)を得るためのジアミンを、ジアミン全量に対して50モル%に相当する2−クロロ−1,4−フェニレンジアミンと50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとすること以外は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
芳香族ポリアミド(C)を得るための酸ジクロライドを、ジアミン全量に対して30モル%に相当する2−クロロテレフタロイルクロライドと69モル%に相当するテレフタロイルクロライドとすること以外は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
芳香族ポリアミド(D)を得るためのジアミンを、ジアミン全量に対して50モル%に相当する2−クロロ−1,4−フェニレンジアミンと50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとし、酸ジクロライドを、ジアミン全量に対して99モル%に相当するテレフタロイルクロライドとすること以外は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例5)
芳香族ポリアミド(E)を得るためのジアミンを、ジアミン全量に対して100モル%に相当する2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニルとすること以外は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例6)
製膜原液中の芳香族ポリアミドおよびアルミナ粒子の合計量に対するアルミナ粒子の含有量を80質量%とすること以外は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例7)
製膜原液中の芳香族ポリアミドおよびアルミナ粒子の合計量に対するアルミナ粒子の含有量を70質量%とすること以外は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例8)
重量平均分子量(Mw)が2.0×10の超高分子量ポリエチレン20質量% 、Mwが3.5×10の高密度ポリエチレン70質量%、及びMwが3.8×10のポリブチレンテレフタレート10質量%からなる樹脂組成物を二軸押出機に投入した。この二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィンを樹脂組成物:流動パラフィンの質量比=3:7となるように230℃で溶融混練して、押出機中で樹脂溶液を調製した。続いてこの樹脂溶液を押出機の先端に設置されたTダイから押し出し、0℃に温調された冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。得られたゲル状シートについて、テンター延伸機を用いて115℃でMDおよびTDともに5倍となるように同時二軸延伸し、延伸膜を得た。得られた延伸膜を、25℃に温調されたジクロロメタンを含有する洗浄槽中に導入して洗浄を行った。最後に、テンターに導入してMD、TDとも定長定幅、125℃で2分間熱固定処理後、連続的に巻き取ることにより、ポリオレフィン多孔質膜を得た。得られたポリオレフィン多孔質膜は厚み8μm、ガーレ透気度90秒/100mlであった。
次に、実施例1と同様にして得た芳香族ポリアミドと無機粒子とを含む製膜原液を、ポリオレフィン多孔質膜の両面にディップコートにて連続的に膜状に塗布し、30℃の水浴に導入した。続いて、得られた含水状態の膜を、80℃の熱風オーブンにて10分熱処理を施すことで、ポリオレフィン多孔質膜の両面に片面厚み2μmずつ(両面合計厚み4μm)の耐熱多孔質膜を形成した積層多孔質膜を得た。得られた積層多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例9)
ポリオレフィン多孔質膜の両面に形成する耐熱多孔質膜の厚みを、片面厚み4μmずつ(両面合計厚み8μm)とすること以外は実施例8と同様にして、積層多孔質膜を得た。得られた積層多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例7と同様にして得た芳香族ポリアミドと無機粒子とを含む製膜原液を用いること以外は実施例8と同様にして、積層多孔質膜を得た。得られた積層多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例11)
脱水したN−メチル−2−ピロリドンに、ジアミンとしてジアミン全量に対して100モル%に相当する2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニルを室温にて溶解させた。そこへ、ジアミン全量に対して100モル%に相当する4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物を30分かけて添加し、全量添加後約2時間の撹拌を行うことで、芳香族ポリイミド(G)の前駆体を重合した。さらにトリエタノールアミンにてpHを10.0に調整し、前駆体濃度が10質量%である溶液を得た。得られた芳香族ポリイミド前駆体の対数粘度ηinhは2.5dl/gであった。
以降は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例12)
実施例11と同様にして得た芳香族ポリイミド前駆体と無機粒子とを含む製膜原液を用いること以外は実施例8と同様にして、積層多孔質膜を得た。得られた積層多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例13)
実施例5と同様にして得た芳香族ポリアミドと無機粒子とを含む製膜原液を用いること以外は実施例8と同様にして、積層多孔質膜を得た。得られた積層多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例14)
実施例7と同様にして得た芳香族ポリアミドと無機粒子とを含む製膜原液を、実施例8と同様にして得たポリオレフィン多孔質膜の両面にディップコートにて連続的に膜状に塗布した。次に、温度90℃、相対湿度95%RHの調温調湿空気中で10秒間処理した後、30℃の水浴に導入した。続いて、得られた含水状態の膜を、80℃の熱風オーブンにて10分熱処理を施すことで、ポリオレフィン多孔質膜の両面に片面厚み2μmずつ(両面合計厚み4μm)の耐熱多孔質膜を形成した積層多孔質膜を得た。得られた積層多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(実施例15)
芳香族ポリアミド溶液のpHを7.0とすること以外は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
芳香族ポリアミド(F)を得るためのジアミンを、ジアミン全量に対して100モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとし、酸ジクロライドを、ジアミン全量に対して99モル%に相当するテレフタロイルクロライドとすること以外は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜は無機粒子の凝集による表面荒れ、粉落ちが見られた。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
芳香族ポリアミド(F)を用い、製膜原液中の芳香族ポリアミドおよびアルミナ粒子の合計量に対するアルミナ粒子の含有量を70質量%とすること以外は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(比較例3)
製膜原液中の芳香族ポリアミドおよびアルミナ粒子の合計量に対するアルミナ粒子の含有量を50質量%とすること以外は実施例1と同様にして、耐熱多孔質膜を得た。得られた耐熱多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(比較例4)
比較例2と同様にして得た芳香族ポリアミドと無機粒子とを含む製膜原液を用いること以外はは実施例8と同様にして、積層多孔質膜を得た。得られた積層多孔質膜の評価結果を表1に示す。
(比較例5)
比較例3と同様にして得た芳香族ポリアミドと無機粒子とを含む製膜原液を用いること以外はは実施例8と同様にして、積層多孔質膜を得た。得られた積層多孔質膜の評価結果を表1に示す。
Figure 2017212201
本発明の耐熱多孔質膜は、無機粒子の含有量が多く、かつその分散性と担持性に優れるため、膜抵抗が低いことが特徴である。そのため、二次電池用セパレータとして用いた際に、良好な出力特性やサイクル特性が得られる。また、耐圧縮性と耐熱性に優れるため、何らかの原因で電池内部に圧力がかかったり、高温に曝され続けても、正負極間の絶縁を保持することを可能とする。さらに本発明の耐熱多孔質膜をポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜基材の少なくとも一方の上に形成した積層多孔質膜は、基材のシャットダウン機能に加え、上述の耐熱多孔質膜の特性により、低抵抗、耐圧縮性、耐熱性に優れる積層多孔質膜となるため、幅広い用途の二次電池用セパレータとして好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 芳香族耐熱樹脂と無機粒子とを含有し、無機粒子の含有量が60〜99質量%であり、かつ芳香族耐熱樹脂の芳香環上に電子求引性基を有する多孔質膜。
  2. 前記芳香族耐熱樹脂が芳香族ポリアミド樹脂である請求項1に記載の多孔質膜。
  3. 厚み方向の500℃の熱収縮率が−0.5〜15.0%である、請求項1または2に記載の多孔質膜。
  4. ポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜基材の少なくとも一方の表面に、請求項1または2に記載の多孔質膜が形成された積層多孔質膜。
  5. 25℃における膜抵抗が1.6〜9.6Ωcmである、請求項4に記載の積層多孔質膜。
  6. 面内方向の少なくとも一方向における150℃熱収縮率が−0.5〜20%である、請求項4または5に記載の積層多孔質膜。
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