JP2016207649A - 電池用セパレータおよび電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】シャットダウン機能を有し、かつ高耐熱、低抵抗、高強度な電池用セパレータおよびそれを用いた電池を提供すること。【解決手段】主として耐熱素材からなる多孔質膜と、主として熱可塑性樹脂からなる多孔質膜とが接着剤層を介して積層された電池用セパレータとする。【選択図】 なし
Description
本発明は、電池用セパレータに関するものであり、特にリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池用として好適に使用できるセパレータおよびそれを用いた電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池(LIB)などの非水電解質二次電池は、携帯機器用途を中心に広範に普及している。一般にそれらの電池用セパレータとしては、シャットダウン機能を有するポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜が用いられてきた。シャットダウン機能とは、電池の温度が上昇したときに樹脂の融点付近で孔が閉塞し、イオン透過を遮断する一種の安全機能である。
LIBの開発課題の1つとして、さらなる高エネルギー密度化が挙げられ、特に車載用LIBにおいては大型で内部の蓄熱が懸念されることから、セパレータへの耐熱性、とりわけ高温での寸法安定性の要求は益々高くなっている。一方で、セパレータに用いる素材の耐熱性を上げると、上記シャットダウン機能の発現する温度が高くなりすぎることがある。
このような背景のもと、シャットダウン機能と耐熱性を併せ持つセパレータが提案されており、ポリオレフィン多孔質膜の片面または両面に耐熱性樹脂または耐熱性樹脂と無機粒子の複合体からなる多孔質層を形成したり(例えば、特許文献1、2)、耐熱性樹脂の多孔質膜にポリエチレン樹脂からなる粒子層を形成した(例えば、特許文献3、4)セパレータが開示されている。
しかしながら、ポリオレフィン多孔質膜に耐熱層を形成することによる高温寸法安定性への効果は限定的で、基材であるポリオレフィン層の収縮や溶融が起きる温度以上に曝され続けた際に、セパレータ全体の収縮を有効に阻止できないことがある。また、収縮を抑えるために耐熱層を厚くすると、膜抵抗が上昇し、電池特性の低下を招くことがある。
一方、耐熱多孔質膜にポリエチレン粒子層を形成したものも、十分なシャットダウン機能を得るためにポリエチレン粒子層を厚くすると、膜抵抗の上昇が起きることがある。また、基材である芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミドなどの耐熱多孔質膜は、一般に、強度がポリオレフィン多孔質膜に比べて低くなりやすいため、電池組立工程通過時に破膜が発生したり、電池用セパレータとして使用時に電極表面の凹凸、混入異物などによる正負極の微短絡が生じることがある。
以上のように、シャットダウン機能を有する電池用セパレータにおいて、高耐熱性と低抵抗性、そして膜強度を満足するセパレータを得るには、なお改良の余地を有する。
本発明は上記事情に鑑み、シャットダウン機能を有し、かつ高耐熱、低抵抗、高強度な電池用セパレータおよびそれを用いた電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成を特徴とする。
主として耐熱素材からなる多孔質膜と、主として熱可塑性樹脂からなる多孔質膜とが接着剤層を介して積層された電池用セパレータ。
本発明の電池用セパレータは、主として耐熱素材からなる多孔質膜と、主として熱可塑性樹脂からなる多孔質膜とが積層された、高耐熱、高強度かつシャットダウン機能を有するセパレータである。このセパレータは、スリット工程や電池組立工程などの通過に十分な剥離強度を有する一方、電池内に組み込まれて使用される際の剥離強度が低いことが特徴である。これにより、熱可塑性樹脂層の熱収縮が耐熱素材層に与える影響を抑え、電池内部が高温に曝され続けても耐熱素材からなる多孔質膜によって正負極間の絶縁を保持することを可能とする。また、両層界面による膜抵抗の上昇を抑えることができる。そのため、シャットダウン機能、高耐熱、低抵抗、高強度を求められる電池用セパレータに好適に用いることができる。
本発明において用いる耐熱素材とは、JIS−K7191−2(2007)にて規定された荷重たわみ温度が100℃以上の素材を意味する。上記のような素材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂、セルロースおよびその誘導体などが挙げられる。また、これらの素材のうち複数種を混合したり積層して用いてもよい。中でもより好ましくは、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミドであり、最も好ましくは芳香族ポリアミドである。
本発明において好適に用いることができる芳香族ポリアミドとしては、次の化学式(1)および/または化学式(2)で表される繰り返し単位を有するものである。
化学式(1):
化学式(1):
化学式(2):
ここで、Ar1、Ar2およびAr3としては、例えば、次の化学式(3)〜(7)で表される基から選ばれた基などが挙げられる。
化学式(3)〜(7):
化学式(3)〜(7):
また、XおよびYとしては、−O−、−CO−、−CO2−、−SO2−、−CH2−、−S−、−C(CH3)2−などから選ばれるが、これに限定されるものではない。
さらに、これらAr1〜Ar3における芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、臭素、塩素などのハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基などの置換基で置換されていてもよい。特に、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基などの電子吸引性の置換基を有すると、電気化学的な耐酸化性に優れ、セパレータとして用いたときに正極側における酸化などの変質を防げるため好ましい。なかでも置換基としてハロゲン基がより好ましく、塩素原子が最も好ましい。
また、Ar1〜Ar3における結合手は、オルト配向性、メタ配向性、パラ配向性のいずれであってもよいが、パラ配向性を有しているものが全芳香環の50モル%以上を占めていることが好ましい。より好ましくは100モル%である。ここでいうパラ配向性とは、芳香環において主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態をいう。
本発明において用いる、主として耐熱素材からなる多孔質膜(以下、単に耐熱多孔質膜ということがある。)とは、耐熱多孔質膜中における上述の耐熱素材の含有量が55〜100質量%である多孔質膜を意味する。耐熱多孔質膜中における上述の耐熱素材の含有量は、より好ましくは、70〜100質量%である。耐熱多孔質膜中の耐熱素材の含有量が55質量%未満であると、耐熱性が低下してセパレータの熱収縮率が本発明の範囲内とならないことがある。耐熱多孔質膜中における耐熱素材の含有量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)に、低角度レーザー光散乱光度計(LALLS)および示差屈折率計(RI)を組み入れることで測定できる。すなわち、多孔質膜を溶解させた溶液に対してGPC装置でサイズ分別し、その光散乱強度を、溶出時間を追って測定することで、溶質の分子量とその含有率を計算することができる。なお、GPCにより分離した各分子量物の同定が必要な場合は、核磁気共鳴法(NMR)およびフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)を組み合わせた構造解析を用いることができる。
本発明において用いる耐熱多孔質膜の厚みは、2〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。厚みが2μm未満であると、加工時にフィルムの破断が起きたり、耐熱性が低下してセパレータの熱収縮率が本発明の範囲内とならないことがある。厚みが30μmを超えると、セパレータの膜抵抗が本発明の範囲内とならず、電池用セパレータとして使用した際に出力が低下したり、電池内に組み込める活物質層の厚みが薄くなり体積あたりのエネルギー密度が小さくなることがある。本発明の耐熱多孔質膜の厚みは、耐熱素材の化学構造、重合度、また、溶液製膜の場合、製膜原液濃度、製膜原液粘度、製膜原液中の添加物、流延厚み、多孔化条件、湿式浴温度、熱処理温度および延伸条件など種々の条件により制御することができる。
本発明において用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ノルボルネン系誘導体を開環メタセシス重合することにより得た環状ポリオレフィン系樹脂や、ノルボルネン系誘導体とエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンなどのα−オレフィン類を共重合した環状ポリオレフィン共重合体樹脂などを含むポリオレフィン樹脂が好適である。また、これらの熱可塑性樹脂のうち複数種を混合したり積層して用いても良い。
本発明において用いる、主として熱可塑性樹脂からなる多孔質膜(以下、単に熱可塑性樹脂多孔質膜ということがある。)とは、熱可塑性樹脂多孔質膜中における上述の熱可塑性樹脂の含有量が55〜100質量%である多孔質膜を意味する。熱可塑性樹脂多孔質膜中における上述の熱可塑性樹脂の含有量は、より好ましくは、80〜100質量%である。熱可塑性樹脂多孔質膜中における熱可塑性樹脂の含有量が55質量%未満であると、本発明の温度範囲において十分なシャットダウン機能が得られないことがある。
本発明において用いる熱可塑性樹脂多孔質膜の厚みは、2〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。厚みが2μm未満であると、加工時にフィルムの破断が起きたり、十分なシャットダウン機能が得られないことがある。厚みが30μmを超えると、セパレータの膜抵抗が本発明の範囲内とならず、電池用セパレータとして使用した際に出力が低下したり、電池内に組み込める活物質層の厚みが薄くなり体積あたりのエネルギー密度が小さくなることがある。本発明の熱可塑性樹脂多孔質膜の厚みは、押し出し厚み、多孔化条件、延伸条件など種々の条件により制御することができる。
本発明の電池用セパレータは、前述の耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜とが接着剤層を介して積層されている。接着剤層の存在は、セパレータ試料に対してアルゴンイオンミリングと白金コートにて断面加工を行い、走査型電子顕微鏡(SEM)にて断面観察を行うことで確認することができる。また、接着剤層を構成する物質の同定が必要な場合は、耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜とを剥離した後、両多孔質膜の剥離面について、NMRおよびFT−IRを組み合わせた構造解析を行うことで同定することができる。
本発明の電池用セパレータは、耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜とが、剥離強度5〜150N/mにて積層されていることが好ましく、より好ましくは10〜150N/mである。剥離強度を上記範囲内とすることで、電池用セパレータとして用いる際に、所定幅へのスリット工程や電池組立時の搬送、捲回または他部材との積層工程などの通過に耐える接着性が得られる。一方で、電池内に組み込まれた後に、耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜とが剥離しやすいため、熱可塑性樹脂多孔質膜の熱収縮が耐熱多孔質膜に与える影響を抑えることができる。これにより、電池内部が高温に曝され続けても耐熱多孔質膜によって正負極間の絶縁を保持することができる。剥離強度が5N/m未満であると、スリット工程や電池組立工程において、耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜が剥離し、工程通過の歩留まりが低下したり、製造が困難になることがある。剥離強度が150N/mを超えると、熱可塑性樹脂多孔質膜の熱収縮により耐熱多孔質膜側が収縮応力を受け、セパレータの熱収縮率が本発明の範囲内とならないことがある。剥離強度を上記範囲内とするため、後述の方法にて耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜とを積層することが好ましい。
本発明の電池用セパレータは、標準電解液中へ浸漬後の耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜の剥離強度が0〜3N/mであることが好ましく、より好ましくは0〜2N/mである。ここで、本発明における標準電解液とは、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=3:7(体積比)の混合溶媒に溶質としてLiPF6を濃度1mol/Lとなるように溶解させた電解液を意味する。標準電解液中へ浸漬後の剥離強度を上記範囲内とすることで、電池用セパレータとして電池内に組み込まれ電解液を注入された後に、熱可塑性樹脂多孔質膜の熱収縮が耐熱多孔質膜に与える影響を抑えることができる。これにより、電池内部が高温に曝され続けても耐熱多孔質膜によって正負極間の絶縁を保持することができる。また、接着界面による膜抵抗の上昇を抑えることができる。標準電解液中へ浸漬した後の剥離強度が3N/mを超えると、熱可塑性樹脂多孔質膜の熱収縮により耐熱多孔質膜側が収縮応力を受け、セパレータの熱収縮率が本発明の範囲内とならないことがある。また、接着界面による膜抵抗の上昇により、セパレータの膜抵抗が本発明の範囲内とならないことがある。剥離強度を上記範囲内とするため、後述の方法にて耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜とを積層することが好ましい。
本発明の電池用セパレータは、80〜160℃のシャットダウン温度を有することが好ましい。シャットダウン温度を上記範囲内とすることで、電池温度上昇時にイオン透過を遮断するため、電池の暴走を未然に防ぐことが可能となる。シャットダウン温度が80℃未満であると、電池の想定常用温度での使用時にシャットダウンが起こり、電池が使用できなくなることがある。シャットダウン温度が160℃を超えると、電解液や電極材の分解が起こり、電池の発熱が加速しやすくなることがある。シャットダウン温度を上記範囲内とするため、本発明における熱可塑性樹脂として前述のポリオレフィン樹脂を用いることが好ましい。
本発明の電池用セパレータは、180℃における長手方向(MD)および幅方向(TD)の熱収縮率のいずれもが、−2.0〜10.0%であることが好ましく、いずれもが−2.0〜5.0%であることがより好ましい。さらに好ましくは、いずれもが−2.0〜3.0%である。いずれかの熱収縮率が10.0%を超える場合、電池の異常発熱時にセパレータの収縮により、電池端部において短絡が起こることがある。熱収縮率を上記範囲内とするため、本発明における耐熱多孔質膜に前述の耐熱素材を使用し、さらに、後述の方法にて熱可塑性樹脂多孔質膜と積層することが好ましい。より好ましくは、耐熱多孔質膜に前述の芳香族ポリアミドを使用し、多孔質膜の製造条件を後述の範囲内とすることである。
また、本発明の電池用セパレータは、230℃における長手方向(MD)および幅方向(TD)の熱収縮率のいずれもが、−2.0〜10.0%であることが好ましく、いずれもが−2.0〜5.0%であることがより好ましい。さらに好ましくは、いずれもが−2.0〜3.0%である。いずれかの熱収縮率が10.0%を超える場合、電池の異常発熱時にセパレータの収縮により、電池端部において短絡が起こることがある。熱収縮率を上記範囲内とするため、本発明における耐熱多孔質膜に前述の耐熱素材を使用し、さらに、後述の方法にて熱可塑性樹脂多孔質膜と積層することが好ましい。より好ましくは、耐熱多孔質膜に前述の芳香族ポリアミドを使用し、多孔質膜の製造条件を後述の範囲内とすることである。
本発明の電池用セパレータは、25℃における膜抵抗が0.4〜20.0Ω・cm2であることが好ましい。より好ましくは0.4〜15.0Ω・cm2、さらに好ましくは0.4〜10.0Ω・cm2である。膜抵抗を上記範囲内とすることで、電池用セパレータとして使用したときに、イオン透過性が高く、優れた出力特性やサイクル特性が得られる。膜抵抗が0.4Ω・cm2未満であると、電池用セパレータとして使用した際に電極間の微短絡が起き易くなることがある。一方で膜抵抗が20Ω・cm2を超えると、電池用セパレータとして使用したときに、イオン透過性が低く、出力特性の低下が起きたり、繰り返し使用した際に容量劣化が大きくなることがある。膜抵抗を上記範囲内とするため、耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜を本発明に記述のものとし、後述の方法にて積層することが好ましい。
本発明の電池用セパレータは、突き刺し強度が2.5〜15.0Nであることが好ましく、より好ましくは3.0〜15.0N、さらに好ましくは5.0〜15.0Nである。である。突き刺し強度が2.5N未満であると、スリット工程や電池組立工程通過時に破膜やピンホール欠点が発生したり、電池用セパレータとして使用時に電極表面の凹凸、混入異物、析出した金属デンドライトなどによる正負極の短絡が生じることがある。突き刺し強度を上記範囲内とするため、後述の方法にて耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜とを積層することが好ましい。
本発明の電池用セパレータにおける耐熱多孔質膜は、長手方向の破断伸度が5〜100%であることが好ましく、より好ましくは10〜100%である。耐熱多孔質膜の長手方向の破断伸度が5%未満であると、熱可塑性樹脂多孔質膜と積層する際に破膜したり、積層後のスリット工程や電池組立工程通過時、あるいは電池用セパレータとして使用時に、耐熱多孔質膜側において破膜やひび割れ、欠けが発生することがある。耐熱多孔質膜の長手方向の破断伸度を上記範囲内とするため、耐熱多孔質膜の製造方法を後述のとおりとすることが好ましい。
次に、本発明の電池用セパレータの製造方法について、以下に説明する。
まず、本発明において用いる耐熱多孔質膜の製造方法について、芳香族ポリアミド多孔質膜を例に説明する。
本発明において用いる芳香族ポリアミドを、例えば、酸ジクロライドとジアミンを原料として重合する場合には、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合により合成する方法や、水系媒体を使用する界面重合で合成する方法等をとることができる。ポリマーの分子量を制御しやすいことから、非プロトン性有機極性溶媒中での溶液重合が好ましい。酸ジクロライドとジアミンを原料とする場合、重合反応の進行に伴って塩化水素が副生するが、これを中和する場合には炭酸リチウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどの無機の中和剤、あるいは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機の中和剤を使用するとよい。芳香族ポリアミドの対数粘度(ηinh)は、1.0〜3.5dl/gであることが好ましく、1.5〜3.0dl/gであることがより好ましい。
次に、芳香族ポリアミド多孔質膜を製造する工程に用いる製膜原液(以下、単に製膜原液ということがある。)について、説明する。製膜原液には重合後のポリマー溶液をそのまま使用してもよく、あるいはポリマーを一度単離してから上述の非プロトン性有機極性溶媒や硫酸などの無機溶剤に再溶解して使用してもよい。芳香族ポリアミドを単離する方法としては、特に限定しないが、重合後の芳香族ポリアミド溶液を多量の水中に投入することで溶媒および中和塩を水中に抽出し、析出した芳香族ポリアミドのみを分離した後、乾燥させる方法などが挙げられる。また、再溶解時に溶解助剤として金属塩などを添加してもよい。金属塩としては、非プロトン性有機極性溶媒に溶解するアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物が好ましく、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウムなどが挙げられる。製膜原液100質量%中の芳香族ポリアミドの含有量は、5〜20質量%が好ましく、より好ましくは7〜15質量%である。
製膜原液には孔形成能を向上させる目的で、親水性ポリマーを混合してもよい。親水性ポリマーを混合する場合、その含有量は製膜原液100質量%に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。親水性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン等が挙げられる。親水性ポリマーは重合後の芳香族ポリアミド溶液あるいは再溶解した芳香族ポリアミド溶液中に投入しても、単離した芳香族ポリアミドとともに非プロトン性有機極性溶媒中に投入して混練してもよい。
製膜原液には、芳香族ポリアミド多孔質膜中の芳香族ポリアミドの含有量が55質量%を下回らない限りにおいて、得られる多孔質膜の耐圧縮性や耐突刺性、耐熱性の向上、あるいは静摩擦係数や帯電の低減を目的に、無機粒子または有機粒子を添加してもよい。無機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム及びフッ化カルシウム等が挙げられる。有機粒子としては、例えば、高分子化合物を架橋剤を用いて架橋した粒子が挙げられる。このような架橋粒子として、ポリメトキシシラン系化合物の架橋粒子、ポリスチレン系化合物の架橋粒子、アクリル系化合物の架橋粒子、ポリウレタン系化合物の架橋粒子、ポリエステル系化合物の架橋粒子、フッ素系化合物の架橋粒子、もしくはこれらの混合物が挙げられる。
上記のようにして調製された製膜原液を用いて、いわゆる溶液製膜法により、多孔質膜の製造が行われる。溶液製膜法としては特に限定されず、代表的には湿式法、析出法などが挙げられるが、凝固浴を用いる湿式法では、形成される孔の粗大化や厚み方向の孔形状の不均一化が起きたり、孔間に隔壁が生じやすい場合がある。そのため、本発明の多孔質膜を得るには、孔構造を微細かつ均一に制御しやすい析出法で製膜することが好ましい。
析出法による多孔質膜の製造を行う場合、まず、製膜原液を口金やダイコーターを用いて、支持体上にキャスト(流延)し、製膜原液のキャスト膜を得た後、ポリマーを析出させて多孔質膜を得る。支持体の素材は、特に限定しないが、ステンレス、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂などが挙げられる。キャスト膜からポリマーを析出させる方法として、調温調湿雰囲気下でキャスト膜を吸湿させてポリマーを析出させる方法、キャスト膜を冷却することによりポリマーの溶解性を低下させて相分離または析出させる方法、キャスト膜に霧状の水を吹き付けてポリマーを析出させる方法などが挙げられる。冷却する方法ではポリマーの析出までに時間を要し、孔形状の不均一化が起きやすかったり、生産性が低下することがある。一方、霧状の水を吹き付ける方法では、表面に緻密な層が形成されることがある。これらのことから、調温調湿雰囲気下でキャスト膜に吸湿させる方法が、水の供給速度および量を任意に制御可能で、均質な多孔質構造を短時間で形成させることができることから好ましい。
上記の多孔質膜の製造工程において、調温調湿雰囲気の容積絶対湿度は10〜180g/m3とすることが好ましい。より好ましくは30〜100g/m3、さらに好ましくは40〜90g/m3である。また、この絶対湿度を満たす範囲内で、雰囲気の温度は20〜70℃、相対湿度は60〜95%RHとすることが好ましい。より好ましくは、雰囲気の温度は30〜60℃、相対湿度は70〜90%RHである。調温調湿雰囲気下での処理時間は0.1〜5分とすることが好ましい。
次に、析出させた芳香族ポリアミド多孔質膜を支持体ごとあるいは支持体から剥離して湿式浴に導入し、溶媒および親水性ポリマーや無機塩などの添加剤の除去を行う。浴組成は特に限定されないが、水、あるいは有機溶媒/水の混合系を用いることが、経済性および取扱いの容易さから好ましい。また、湿式浴中には無機塩が含まれていてもよい。湿式浴温度は、溶媒等を効率的に除去できることから、20℃以上であることが好ましい。浴温度の上限は特に定めることはないが、水の蒸発や沸騰による気泡の発生の影響を考えると、90℃までに抑えることが効率的である。導入時間は、1〜20分にすることが好ましい。この時、湿式浴中で多孔質膜の長手方向(MD)あるいは/および幅方向(TD)に0.8〜1.2倍にて延伸あるいはリラックスを施してもよい。
このようにして脱溶媒を終えた多孔質膜に、テンターなどを用いて熱処理を施す。熱処理温度は180〜350℃が好ましく、220〜330℃がより好ましい。熱処理温度が180℃未満であると、セパレータの熱収縮率が本発明の範囲外となることがある。高温熱処理の温度が高いほど多孔質膜の耐熱性が向上するが、温度が350℃を超えると、ポリマーの環化や分解などにより、破断点伸度などの機械特性が低下することがある。また、熱処理工程において、多孔質膜の長手方向(MD)および/または幅方向(TD)に0.8〜1.2倍にて延伸あるいはリラックスを施してもよい。
次に、本発明において用いる熱可塑性樹脂多孔質膜の製造方法について、ポリオレフィン溶液からの湿式製膜法を例に説明するが、特に限定されず、公知の乾式法を用いても良い。
原料となるポリオレフィン溶液は、前述のポリオレフィンを溶媒に加熱溶解することにより調製する。この溶媒としては、ポリオレフィンを十分に溶解できるものであれば特に限定されない。例えば、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、パラフィン油などの脂肪族または環式の炭化水素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留分などが挙げられるが、溶媒含有量が安定なゲル状成形物を得るためには、パラフィン油のような不揮発性の溶媒が好ましい。加熱溶解は、ポリオレフィンが溶媒中で完全に溶解する温度で撹拌しながら行う。その温度は使用する重合体及び溶媒により異なるが、例えばポリエチレンの場合には140〜250℃の範囲が好ましい。また、ポリオレフィン溶液の濃度は、10〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。濃度が10質量%未満では、ダイス出口でスウェルやネックインが大きくシート状に成形することが困難なことがある。一方、濃度が50質量%を超えると、均一な溶液の調製が困難となることがある。なお、加熱溶解にあたってはポリオレフィンの酸化を防止するために酸化防止剤を添加するのが好ましい。
次にこのポリオレフィンの加熱溶液をダイスから押し出して成形する。ダイスは、通常長方形の口金形状をしたシートダイスが用いられるが、二重円筒状の中空系ダイス、インフレーションダイス等も用いることができる。シートダイスを用いた場合のダイスギャップは通常0.1 〜5mmであり、押出し成形時には140〜250℃に加熱される。この際、押し出し速度は、通常0.2〜3m/分である。
このようにしてダイスから押し出された溶液は、冷却することによりゲル状物に成形される。冷却は少なくともゲル化温度以下までは50℃/ 分以上の速度で行うのが好ましい。冷却速度が遅いと結晶化度が上昇し、延伸に適したゲル状物となりにくい。冷却方法としては、冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法等を用いることができる。なお、ダイスから押し出された溶液は、冷却前あるいは冷却中に、1〜10の引取比で引き取るのが好ましく、より好ましくは1〜5である。引取比が10を超えるとネックインが大きくなったり、破膜を起こしやすくなることがある。
次にこのゲル状成形物を延伸する。延伸は、ゲル状成形物を加熱し、通常のテンター法、ロール法、インフレーション法、圧延法もしくはこれらの方法の組合せによって所定の倍率で行う。2軸延伸が好ましく、縦横同時延伸または逐次延伸のいずれでもよいが、特に同時2軸延伸が好ましい。延伸温度は、使用するポリオレフィンの融点+10℃以下、好ましくは結晶分散温度から結晶融点未満の範囲である。例えば、多段重合ポリエチレンの場合は90〜140℃で、より好ましくは100〜130℃の範囲である。延伸温度が融点+10℃を超える場合は、樹脂の溶融により分子鎖の配向ができない。また、延伸温度が結晶分散温度未満では、樹脂の軟化が不十分で、延伸中に破膜し易く、高倍率の延伸ができないことがある。延伸倍率は原反の厚さによって異なるが、一軸方向で2〜30倍が好ましく、より好ましくは3〜30倍であり、面倍率で10〜400倍、より好ましくは15〜400倍である。面倍率が10倍未満では延伸が不十分で高弾性、高強度の多孔質膜が得られない。
得られた延伸成形物は、溶剤で洗浄することにより残留溶媒を除去する。洗浄溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エタンなどのフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類などの易揮発性のものを用いることができる。これらの溶剤は、ポリオレフィンの溶解に用いた溶媒に応じて適宜選択し、単独でもしくは混合して用いる。溶媒除去方法としては、洗浄溶剤に浸漬して抽出する方法、洗浄溶剤をシャワーする方法、またはこれらの組合せなどがある。洗浄は、延伸成形物中の残留溶媒が1質量%未満になるまで行う。その後洗浄溶剤を乾燥するが、洗浄溶剤の乾燥方法は加熱乾燥、風乾などの方法で行うことができる。乾燥した延伸成形物は、結晶分散温度〜融点の温度範囲で熱固定することが好ましい。
以上の方法にて得られた耐熱多孔質膜および熱可塑性樹脂多孔質膜を積層する方法としては、接着剤を用いて貼り合わせる方法が挙げられる。用いる接着剤の構成成分としては、種々のものを用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂などの熱硬化性樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、シリコーン系樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂を主成分とする共重合体(例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体)や混合体を使用することもできる。接着剤のタイプとしては、ホットメルト接着剤、イソシアネートまたはポリイソシアネートあるいはエポキシアクリレートなどを硬化剤とする二液硬化型接着剤、エマルジョン接着剤、溶液系接着剤、あるいは粘着剤などが挙げられる。中でも、電解液浸漬前の剥離強度が高く、一方で電解液浸漬後の剥離強度や膜抵抗が低いことから、アクリル系粘着剤を用いるのが最も好ましい。
上述の接着剤を用いて多孔質膜を貼り合わせる方法は特に限定されず、ロールコート、グラビアコート、スプレーコート、コンマコート、ノズルコートなどの公知の塗工方法にて耐熱多孔質膜および熱可塑性樹脂多孔質膜のいずれか一方あるいは両方の接着面に塗工し、ラミネートする方法などを用いることができる。塗布パターンは点状、線状、らせん状、霧状などから選ばれる。なお、接着性を向上させる目的で、耐熱多孔質膜および熱可塑性樹脂多孔質膜のいずれか一方あるいは両方の接着面に対して、塗工前にコロナ処理やプラズマ処理など公知の方法による表面処理を施してもよい。
本発明の電池用セパレータは、高強度かつシャットダウン機能を有している。そのため、スリット工程や電池組立工程などの通過に十分な剥離強度を有する一方、電池内に組み込まれた際の剥離強度が低いことが特徴である。これにより、熱可塑性樹脂多孔質膜の熱収縮が耐熱多孔質膜に与える影響を抑え、電池内部が高温に曝され続けても耐熱多孔質膜によって正負極間の絶縁を保持することを可能とする。また、両多孔質膜界面による膜抵抗の上昇を抑えることができる。そのため、シャットダウン機能、高耐熱、低抵抗、高強度を求められる電池用セパレータに好適に用いることができる。
本発明の電池用セパレータを用いた電池は、出力特性などに優れるとともに、電池温度が上昇した際にはセパレータのシャットダウン機能による安全停止機能を有する。さらに、それ以上の高温に曝された場合にもセパレータが絶縁を保持し続けることにより、優れた安全性を有する。従って、本発明の電池用セパレータを用いた電池は、小型の電子機器や電動工具を始め、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)などの車両、産業用クレーンなどの大型の産業機器などの動力源として好適に用いることができる。また、太陽電池、風力発電装置などにおける電力の平準化やスマートグリッドのための定置用蓄電装置としても好適に用いることができる。
本発明の電池の一例として、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、ナトリウム溶融塩電池、マグネシウムイオン二次電池、有機二次電池などが挙げられる。
一般的なリチウムイオン二次電池は、負極と正極がセパレータを介して対向して配置された電池要素に電解質を含む電解液が含浸され、これが外装材に封入された構造を有している。
負極の例としては、負極活物質、導電助剤およびバインダーからなる負極合剤が、集電体上に成形されたものが挙げられる。負極活物質としては、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料が用いられる。具体的には、黒鉛やカーボンなどの炭素材料、シリコン酸化物、シリコン合金、スズ合金、リチウム金属、リチウム合金などなどが挙げられる。導電助剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの炭素材料が用いられる。バインダーとしてはスチレン・ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミドなどが用いられる。集電体としては銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔などが用いられる。
正極の例としては、正極活物質、導電助剤およびバインダーからなる正極合剤が、集電体上に成形されたものが挙げられる。正極活物質としては、Mn、Fe、Co、Niなどの遷移金属を少なくとも1種含むリチウム複合酸化物が用いられる。具体的には、例えば、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムなどが挙げられる。導電助剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの炭素材料が用いられる。バインダーとしてはポリフッ化ビニリデンなどが用いられる。集電体としてはアルミ箔、ステンレス箔などが用いられる。
電解液としては、例えば、リチウム塩を非水系溶媒に溶解させたものを用いることができる。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(SO2CF3)2などが挙げられる。非水系溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられ、通常はビニレンカーボネートなどの各種添加剤とともに、これらのうちの2種以上を混合したものが用いられる。また、イミダゾリウム陽イオン系などのイオン液体(常温溶融塩)も用いられる。
外装材としては、金属缶またはアルミラミネートパックなどが挙げられる。電池の形状は、コイン型、円筒型、角型、ラミネート型などが挙げられる。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
実施例における物性の測定方法は次の方法に従って行った。
実施例における物性の測定方法は次の方法に従って行った。
(1)厚み
定圧厚み測定器FFA−1(尾崎製作所社製)を用いて多孔質膜試料の厚み(μm)を測定した。測定子径は5mm、測定荷重は1.25Nである。試料の幅方向に10点測定し、平均値を求めた。
定圧厚み測定器FFA−1(尾崎製作所社製)を用いて多孔質膜試料の厚み(μm)を測定した。測定子径は5mm、測定荷重は1.25Nである。試料の幅方向に10点測定し、平均値を求めた。
(2)剥離強度
複合膜試料を、幅15mm、長さ150mmの短冊状に切り取り、長さ50mmまで耐熱多孔質膜層と熱可塑性樹脂多孔質膜層とを剥離した。このとき、セロテープ(登録商標)No.405(ニチバン社製、粘着力393N/m)にて剥離できない場合、「剥離不可」とし、本発明の範囲外とした。
引張試験機ロボットテンシロンAMF/RTA−100(オリエンテック社製)を用いて、剥離した部分の耐熱多孔質膜側と熱可塑性樹脂多孔質膜側をそれぞれチャックに挟んだ後、残りの長さ100mm部分において剥離試験を実施した。初期チャック間距離を50mm、引張速度を100mm/分とし、剥離長さ25〜75mmにおける荷重の平均値を幅15mmで除した値を剥離強度(N/m)とした。なお、剥離角度はJIS−K6854−3(1994)に規定されたT型はくりに準ずる。
複合膜試料を、幅15mm、長さ150mmの短冊状に切り取り、長さ50mmまで耐熱多孔質膜層と熱可塑性樹脂多孔質膜層とを剥離した。このとき、セロテープ(登録商標)No.405(ニチバン社製、粘着力393N/m)にて剥離できない場合、「剥離不可」とし、本発明の範囲外とした。
引張試験機ロボットテンシロンAMF/RTA−100(オリエンテック社製)を用いて、剥離した部分の耐熱多孔質膜側と熱可塑性樹脂多孔質膜側をそれぞれチャックに挟んだ後、残りの長さ100mm部分において剥離試験を実施した。初期チャック間距離を50mm、引張速度を100mm/分とし、剥離長さ25〜75mmにおける荷重の平均値を幅15mmで除した値を剥離強度(N/m)とした。なお、剥離角度はJIS−K6854−3(1994)に規定されたT型はくりに準ずる。
標準電解液中へ浸漬後の剥離強度は次のように実施した。まず、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=3:7(体積比)の混合溶媒に溶質としてLiPF6を濃度1mol/Lとなるように溶解させた標準電解液(三井化学社製)を深さ10mmまで注いだ縦×横×深さ170×130×20mmのステンレス製バットに、上記と同様に一部剥離して準備した試料を浸漬した。次に、標準電解液と試料の入ったバットの開口部に同サイズのバットの開口部を合わせ、接合部をビニルテープで被覆することで密封した。そのまま室温で24時間静置後、試料をハイゼガーゼ(登録商標)上に取り出し、上記と同様にして引張試験機にて剥離試験を実施した。なお、24時間静置時にバット内で接着面全域において自然剥離した場合は、剥離強度:0N/mとした。
測定は5回実施し、平均値を求めた。
(3)シャットダウン温度
φ45mmの複合膜試料をヒーターブロックにセットし、5℃/分で昇温しながら王研式透気抵抗度計EGO−1T(旭精工社製)により透気度を測定し、透気度が10万秒/100mlに到達する温度を測定しシャットダウン温度とした。
φ45mmの複合膜試料をヒーターブロックにセットし、5℃/分で昇温しながら王研式透気抵抗度計EGO−1T(旭精工社製)により透気度を測定し、透気度が10万秒/100mlに到達する温度を測定しシャットダウン温度とした。
(4)熱収縮率
セパレータ試料を、長手方向50mm×幅方向50mmに切り出し、所定温度(180℃または230℃)の熱風オーブン中で10分間、実質的に張力を掛けない状態で熱処理を行った後、25℃まで冷却した。処理後の試料を厚み3mmのガラス板で挟み込み、長手方向および幅方向において最も寸法変化大きい部分の寸法を計測し、処理後の寸法L(mm)とした。求めたLを用いて、下式で熱収縮率(%)を計算した。
セパレータ試料を、長手方向50mm×幅方向50mmに切り出し、所定温度(180℃または230℃)の熱風オーブン中で10分間、実質的に張力を掛けない状態で熱処理を行った後、25℃まで冷却した。処理後の試料を厚み3mmのガラス板で挟み込み、長手方向および幅方向において最も寸法変化大きい部分の寸法を計測し、処理後の寸法L(mm)とした。求めたLを用いて、下式で熱収縮率(%)を計算した。
なお、処理後の試料が耐熱多孔質膜と熱可塑性樹脂多孔質膜とに分離していた場合は、それらの両方について計測、計算し、得られた熱収縮率の小さい方をセパレータ試料の熱収縮率とした。測定は5回実施し、平均値を求めた。
熱収縮率(%)=((50−L)/50)×100
(5)25℃における膜抵抗
まず、セパレータ試料を55mm×55mmに切り出した。
(5)25℃における膜抵抗
まず、セパレータ試料を55mm×55mmに切り出した。
次に、測定用電極1として、厚み20μmのアルミシートを長辺50mm×短辺40mmに切り出した。このうち、短辺40mm×長辺の端10mmはタブを接続するためののりしろであり、有効測定面積は40mm×40mm(16cm2)である。切り出したアルミシートののりしろ部の任意の位置に幅5mm、長さ30mm、厚み100μmのアルミ製タブを超音波溶接した後、溶接部を含むのりしろ部全体をカプトン(登録商標)テープで覆うことで絶縁処理を行った。
また、測定用電極2として、同上のアルミシートを長辺55mm×短辺45mmに切り出した。このうち、短辺45mm×長辺の端10mmはタブを接続するためののりしろである。切り出したアルミシートののりしろ部の任意の位置に幅5mm、長さ30mm、厚み100μmのアルミ製タブを超音波溶接した後、溶接部を含むのりしろ部全体をカプトン(登録商標)テープで覆うことで絶縁処理を行った。
以上の部材を、測定用電極1/複合膜試料/測定用電極2の順に重ね、測定用電極1の40mm×40mmの有効測定領域の全てがセパレータ試料を隔てて測定用電極2と対向するように配置した。次にアルミラミネートフィルムに上記の(電極/セパレータ試料/電極)試料を挟み込み、アルミラミネートフィルムの1辺を残して熱融着し、袋状とした。
袋状にしたアルミラミネートフィルム内に、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=3:7(体積比)の混合溶媒に溶質としてLiPF6を濃度1mol/Lとなるように溶解させた電解液を1.5g注入し、減圧含浸させながらアルミラミネートフィルムの短辺部を熱融着させてラミネートセルを作製した。このようなセルを、電極間の試料膜を2枚、4枚として2種類作製した。
作製した各セルについて、25℃雰囲気下、電圧振幅10mV、周波数10Hz〜5,000kHzの条件で交流インピーダンスを測定し、Cole−Coleプロットから交流抵抗(Ω)を求めた。得られた交流抵抗を試料膜の枚数に対してプロットし、このプロットを直線で結んだときの傾きから試料膜1枚あたりの交流抵抗を算出した。得られた交流抵抗に有効測定面積16cm2を乗ずることで、規格化した膜抵抗(Ω・cm2)を算出した。なお、上記したプロットに供する交流抵抗値は、試料膜の枚数が異なる2種類の評価用セルについて、各5個づつ作成し、交流抵抗値の最大値、最小値を除いた3個の測定値を平均した値をそれぞれ用いた。
(6)突き刺し強度
圧縮試験器KES−G5(カトーテック社製)を用いて、先端が球面(曲率半径R=0.5mm)の直径1mmの針で、試料を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重を突き刺し強度(N)とした。測定は5回実施し、平均値を求めた。
圧縮試験器KES−G5(カトーテック社製)を用いて、先端が球面(曲率半径R=0.5mm)の直径1mmの針で、試料を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重を突き刺し強度(N)とした。測定は5回実施し、平均値を求めた。
(7)ガーレ透気度
B型ガーレデンソメーター(安田精機製作所社製)を使用し、JIS−P8117(1998)に規定された方法に従って、セパレータ試料のガーレ透気度(秒/100ml)の測定を行った。セパレータ試料を直径28.6mm、面積642mm2の円孔に締め付け、内筒により(内筒質量567g)、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させ、空気100mlが通過する時間を測定することでガーレ透気度とした。
B型ガーレデンソメーター(安田精機製作所社製)を使用し、JIS−P8117(1998)に規定された方法に従って、セパレータ試料のガーレ透気度(秒/100ml)の測定を行った。セパレータ試料を直径28.6mm、面積642mm2の円孔に締め付け、内筒により(内筒質量567g)、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させ、空気100mlが通過する時間を測定することでガーレ透気度とした。
(8)破断伸度
幅10mm、長さ150mmに切断した耐熱多孔質膜試料を、引張試験機ロボットテンシロンAMF/RTA−100(オリエンテック社製)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度300mm/分、温度23℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行うことで求めた。測定は5回実施し、平均値を求めた。
幅10mm、長さ150mmに切断した耐熱多孔質膜試料を、引張試験機ロボットテンシロンAMF/RTA−100(オリエンテック社製)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度300mm/分、温度23℃、相対湿度65%の条件下で引張試験を行うことで求めた。測定は5回実施し、平均値を求めた。
なお、複合膜試料から耐熱多孔質膜を分離できない場合は、100℃に加熱したデカヒドロナフタレン(デカリン)中で熱可塑性樹脂多孔質膜層を溶解させて除去した試料について測定を行った。
(9)電池評価
A.セル作製
正極として、充電容量4.00mAh/cm2、放電容量3.64mAh/cm2のコバルト酸リチウム(LiCoO2)を活物質として用いた正極シート(宝泉社製)を50mm×40mmに切り出した。このうち、短辺40mm×長辺の一部10mmはタブを接続するための未塗布部であって、活物質塗布部は40mm×40mmである。幅5mm、長さ30mm、厚み0.1mmのアルミ製正極タブを正極未塗布部に超音波溶接した。
A.セル作製
正極として、充電容量4.00mAh/cm2、放電容量3.64mAh/cm2のコバルト酸リチウム(LiCoO2)を活物質として用いた正極シート(宝泉社製)を50mm×40mmに切り出した。このうち、短辺40mm×長辺の一部10mmはタブを接続するための未塗布部であって、活物質塗布部は40mm×40mmである。幅5mm、長さ30mm、厚み0.1mmのアルミ製正極タブを正極未塗布部に超音波溶接した。
負極として、充電容量4.17mAh/cm2、放電容量3.65mAh/cm2の黒鉛を活物質として用いた負極シート(宝泉社製)を55mm×45mmに切り出した。このうち、短辺45mm×10mmはタブを接続するための未塗工部であって、活物質塗布部は45mm×45mmである。正極タブと同サイズの銅製負極タブを負極未塗布部に超音波溶接した。
セパレータ試料を60mm×60mmに切り出し、正極/試料/負極の順に重ね、正極塗布部の全てが試料を隔てて負極塗布部と対向するように配置して電極群を得た。次に、アルミラミネートフィルムに上記の(正極/試料/負極)積層体を挟み込み、アルミラミネートフィルムの1辺を残して熱融着し、袋状とした。
袋状にしたアルミラミネートフィルム内に、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=3:7(体積比)の混合溶媒に溶質としてLiPF6を濃度1mol/Lとなるように溶解させ、添加剤としてビニレンカーボネートを2質量%添加して作製した電解液を1.5g注入し、減圧含浸させながらアルミラミネートフィルムの短辺部を熱融着させてラミネートセルを作製した。設計放電容量は、58.24mAhである。
作製したラミネートセルについて、25℃の雰囲気下で試験を行った。試験値は測定項目ごとにセルを5個作製し、測定値が最大、最小となるセルを除去した3個のセルの平均値とした。
(仕上充放電)
0.5Cの電流値で4.2Vとなるまで定電流充電を行い、4.2Vの電圧で電流値が50μAになるまで定電圧充電を行った。続いて、0.5Cの電流値で2.7Vの電圧まで定電流放電を行った。充電及び放電が交互となるように、上記充電・放電を合計4回行った。充電時間が24時間を越えるセルはその時点で試験を終了し、電池評価不可とした。
0.5Cの電流値で4.2Vとなるまで定電流充電を行い、4.2Vの電圧で電流値が50μAになるまで定電圧充電を行った。続いて、0.5Cの電流値で2.7Vの電圧まで定電流放電を行った。充電及び放電が交互となるように、上記充電・放電を合計4回行った。充電時間が24時間を越えるセルはその時点で試験を終了し、電池評価不可とした。
(出力特性試験)
1Cの電流値で4.2Vとなるまで定電流充電を行った。続いて、1Cの電流値で2.7Vの電圧まで定電流放電を行い、1Cにおける放電容量を得た。以降、充電はすべて1Cの定電流充電とし、3C、5C、7Cの定電流放電を行うことでそれぞれのCレートにおける放電容量を得た。
1Cの電流値で4.2Vとなるまで定電流充電を行った。続いて、1Cの電流値で2.7Vの電圧まで定電流放電を行い、1Cにおける放電容量を得た。以降、充電はすべて1Cの定電流充電とし、3C、5C、7Cの定電流放電を行うことでそれぞれのCレートにおける放電容量を得た。
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。
(実施例1)
脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)に、ジアミン全量に対して50モル%に相当する2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン(日本化薬社製)と50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成社製)を窒素気流下で溶解させ、30℃以下に冷却した。そこへ、系内を窒素気流下、30℃以下に保った状態で、ジアミン全量に対して99モル%に相当する2−クロロテレフタロイルクロライド(日本軽金属社製)を30分かけて添加し、全量添加後、約2時間の撹拌を行うことで、芳香族ポリアミドを重合した。得られた重合溶液を、酸クロライド全量に対して97モル%の炭酸リチウム(本荘ケミカル社製)および6モル%のジエタノールアミン(東京化成社製)により中和することで芳香族ポリアミドの溶液を得た。得られた芳香族ポリアミドの対数粘度ηinhは2.5dl/gであった。
脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社製)に、ジアミン全量に対して50モル%に相当する2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン(日本化薬社製)と50モル%に相当する4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成社製)を窒素気流下で溶解させ、30℃以下に冷却した。そこへ、系内を窒素気流下、30℃以下に保った状態で、ジアミン全量に対して99モル%に相当する2−クロロテレフタロイルクロライド(日本軽金属社製)を30分かけて添加し、全量添加後、約2時間の撹拌を行うことで、芳香族ポリアミドを重合した。得られた重合溶液を、酸クロライド全量に対して97モル%の炭酸リチウム(本荘ケミカル社製)および6モル%のジエタノールアミン(東京化成社製)により中和することで芳香族ポリアミドの溶液を得た。得られた芳香族ポリアミドの対数粘度ηinhは2.5dl/gであった。
次に、得られた芳香族ポリアミド溶液中にポリビニルピロリドン(PVP、BASF社製K90)および希釈用のNMPを加え、製膜原液中の芳香族ポリアミドおよびPVPの含有量が、それぞれ10質量%、4質量%となるように調製した。製膜原液は60℃で2時間撹拌を行うことで均一透明な溶液とした。
この製膜原液を、支持体であるステンレス(SUS316)ベルト上に膜状に塗布し、温度50℃、相対湿度85%RHの調温調湿空気中で、塗布膜が支持体から剥離可能になるまで処理した。次に、塗布膜を支持体から剥離し、30℃の水浴に導入することで、溶媒およびPVP、中和塩などの抽出を行った。この湿式浴工程は定長(MD延伸倍率:1.00倍)、幅方向(TD)無把持で通過させた。続いて、得られた含水状態の多孔質膜を、温度200℃のテンター室内に定長定幅で1分間導入して予備乾燥後、300℃のテンター室内にて、定長で幅方向(TD)に1.05倍の延伸を施しながら、1分間の高温熱処理を施し、厚み10μmの芳香族ポリアミド多孔質膜を得た。
一方、熱可塑性樹脂多孔質膜として、厚み5μmのポリエチレン(PE)セパレータF05DC1(東レバッテリーセパレータフィルム社製)を使用した。
上記の芳香族ポリアミド多孔質膜とPEセパレータとを、二液硬化型接着剤(主剤:AD−76P1、硬化剤:CAT−RT85、いずれも東洋モートン社製)を用いてドライラミネートにより積層することで、セパレータを得た。接着剤はPEセパレータ側に全面塗布とし、塗布量は3g/m2、乾燥・圧着温度は80℃とした。
得られた複合膜の評価結果を表1に示す。
また、得られたセパレータを用いて電池評価を実施した結果、仕上充放電で設計容量の98%の容量発現が確認され、出力特性は1Cで96%、3Cで94%、5Cで90%、7Cで86%であった。
(実施例2)
熱可塑性樹脂多孔質膜として、厚み9μmのPEセパレータF09BC1(東レバッテリーセパレータフィルム社製)を使用する以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
熱可塑性樹脂多孔質膜として、厚み9μmのPEセパレータF09BC1(東レバッテリーセパレータフィルム社製)を使用する以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
芳香族ポリアミド多孔質膜の厚みを5μmとし、熱可塑性樹脂多孔質膜として、厚み9μmのPEセパレータF09BC1を使用する以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
芳香族ポリアミド多孔質膜の厚みを5μmとし、熱可塑性樹脂多孔質膜として、厚み9μmのPEセパレータF09BC1を使用する以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
また、得られたセパレータを用いて電池評価を実施した結果、仕上充放電で設計容量の98%の容量発現が確認され、出力特性は1Cで95%、3Cで93%、5Cで86%、7Cで79%であった。
(実施例4)
積層化に使用する接着剤を、ホットメルト接着剤TW−370Z(モレスコ社製)とすること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
積層化に使用する接着剤を、ホットメルト接着剤TW−370Z(モレスコ社製)とすること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
(実施例5)
ホットメルト接着剤TW−370ZをPEセパレータ側にドット状に塗布(塗布量は2g/m2)とすること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
ホットメルト接着剤TW−370ZをPEセパレータ側にドット状に塗布(塗布量は2g/m2)とすること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
(実施例6)
脱水したNMPに、ジアミン全量に対して100モル%に相当するパラフェニレンジアミン(東京化成社製)を窒素気流下で溶解させ、30℃以下に冷却した。そこへ、系内を窒素気流下、30℃以下に保った状態で、ジアミン全量に対して98モル%に相当する3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(東京化成社製)を添加して、全量添加後、約2時間の撹拌を行い、芳香族ポリアミド酸を重合した。得られた芳香族ポリアミド酸の対数粘度ηinhは2.0dl/gであった。
脱水したNMPに、ジアミン全量に対して100モル%に相当するパラフェニレンジアミン(東京化成社製)を窒素気流下で溶解させ、30℃以下に冷却した。そこへ、系内を窒素気流下、30℃以下に保った状態で、ジアミン全量に対して98モル%に相当する3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(東京化成社製)を添加して、全量添加後、約2時間の撹拌を行い、芳香族ポリアミド酸を重合した。得られた芳香族ポリアミド酸の対数粘度ηinhは2.0dl/gであった。
この芳香族ポリアミド酸の重合溶液を水とともにミキサーに投入し、攪拌しながら芳香族ポリアミド酸ポリマーを沈殿させて取り出した。取り出したポリマーを水洗し十分に乾燥させ、ポリマーを単離した。この単離ポリマーを用いて、芳香族ポリアミド酸が8質量%、塩化リチウムが2質量%、NMPが27質量%、ジメチルアセトアミド(DMAc)が63質量%の紡糸原液を調製した。
次に、この紡糸原液を用いて、電界紡糸によりナノファイバー(NF)不織布状の芳香族ポリアミド酸膜を作成した。紡糸は電界紡糸装置NEU(カトーテック社製)を用い、雰囲気温度18℃、雰囲気相対湿度40%RHのもとで行った。また、紡糸原液を吐出するノズルには18ゲージのノンベベル針を用い、捕集装置としては直径10cm、幅30cmの回転ローラーを用いた。回転ローラーは20rpmで回転させ、吐出量は3μL/分、吐出部と捕集部との間の電界密度は2.5kV/cmとした。最後に芳香族ポリアミド酸膜をステンレス製の金枠に固定し、400℃の熱風オーブンにて5分熱処理を施すことで環化させ、厚み20μmの芳香族ポリイミドNF不織布を得た。
以降、使用する熱可塑性樹脂多孔質膜と複合化方法は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
(実施例7)
耐熱多孔質膜を、厚み15μmのセルロース紙012TH−10(廣瀬製紙社製)とすること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
耐熱多孔質膜を、厚み15μmのセルロース紙012TH−10(廣瀬製紙社製)とすること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
(実施例8)
芳香族ポリアミド多孔質膜の厚みを5μmとし、熱可塑性樹脂多孔質膜として、厚み25μmのポリプロピレン(PP)セパレータ セルガード(登録商標)2500(ポリポア社製)を使用する以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
芳香族ポリアミド多孔質膜の厚みを5μmとし、熱可塑性樹脂多孔質膜として、厚み25μmのポリプロピレン(PP)セパレータ セルガード(登録商標)2500(ポリポア社製)を使用する以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
(実施例9)
積層化に使用する接着剤を、アクリル系粘着剤(アクリル酸エステル系共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸=90質量部/10質量部)とすること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
積層化に使用する接着剤を、アクリル系粘着剤(アクリル酸エステル系共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸=90質量部/10質量部)とすること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
芳香族ポリアミド多孔質膜とPEセパレータとを、接着剤を用いることなく、圧着温度120℃、圧力5kNにてカレンダー処理を施すことにより積層すること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
芳香族ポリアミド多孔質膜とPEセパレータとを、接着剤を用いることなく、圧着温度120℃、圧力5kNにてカレンダー処理を施すことにより積層すること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
また、得られたセパレータを用いて電池評価を実施した結果、仕上充放電で設計容量の80%の容量発現が確認され、出力特性は1Cで70%、3Cで54%、5Cで32%、7Cで14%であった。
(比較例2)
芳香族ポリアミド多孔質膜とPEセパレータとを、接着剤を用いることなく、プラズマ処理を施したのち、室温で圧力5kNにて圧着することにより積層すること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。プラズマ処理は、大気圧プラズマ処理装置ADMASTERII−300dM(イー・スクエア社製)を用い、出力0.9kWにて施した。
芳香族ポリアミド多孔質膜とPEセパレータとを、接着剤を用いることなく、プラズマ処理を施したのち、室温で圧力5kNにて圧着することにより積層すること以外は実施例1と同様にして、セパレータを得た。プラズマ処理は、大気圧プラズマ処理装置ADMASTERII−300dM(イー・スクエア社製)を用い、出力0.9kWにて施した。
この方法では十分な接着性が得られず、セパレータとしての評価は実施できなかった。
(比較例3)
実施例1と同様にして得られた芳香族ポリアミド多孔質膜上に、PE粒子の水分散液ケミパール(登録商標)W400(三井化学社製)を塗布後、ステンレス製の金枠に固定し、100℃の熱風オーブンにて10分熱処理を施すことで、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にして得られた芳香族ポリアミド多孔質膜上に、PE粒子の水分散液ケミパール(登録商標)W400(三井化学社製)を塗布後、ステンレス製の金枠に固定し、100℃の熱風オーブンにて10分熱処理を施すことで、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1と同様にして得られた芳香族ポリアミド溶液中にアルミナ粒子Alu C(日本アエロジル社製)および希釈用のNMPを加え、製膜原液中の芳香族ポリアミドおよびアルミナ粒子の含有量が、それぞれ5.5質量%、4.5質量%となるように製膜原液を調製した。
実施例1と同様にして得られた芳香族ポリアミド溶液中にアルミナ粒子Alu C(日本アエロジル社製)および希釈用のNMPを加え、製膜原液中の芳香族ポリアミドおよびアルミナ粒子の含有量が、それぞれ5.5質量%、4.5質量%となるように製膜原液を調製した。
この製膜原液を、PEセパレータF09BC1上に膜状に塗布後、PEセパレータごと30℃の水浴に導入した。続いて、得られた含水状態の膜を、100℃の熱風オーブンにて10分熱処理を施すことで、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
(比較例5)
PEセパレータとしてF05DC1を用い、芳香族ポリアミド/アルミナ粒子層の厚みを表1のとおりとすること以外は比較例4と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
PEセパレータとしてF05DC1を用い、芳香族ポリアミド/アルミナ粒子層の厚みを表1のとおりとすること以外は比較例4と同様にして、セパレータを得た。得られたセパレータの評価結果を表1に示す。
本発明の電池用セパレータは、シャットダウン機能、高耐熱、低抵抗、高強度などの特性を有するため、高エネルギー密度、大型、高出力電池など、セパレータに高い安全性とイオン透過性能の両立を求められる電池に好適に用いることができる。
Claims (9)
- 主として耐熱素材からなる多孔質膜と、主として熱可塑性樹脂からなる多孔質膜とが接着剤層を介して積層された電池用セパレータ。
- 多孔質膜間の界面の剥離強度が5〜150N/mである、請求項1に記載の電池用セパレータ。
- 標準電解液中へ浸漬した後の前記界面の剥離強度が0〜3N/mである、請求項1または2に記載の電池用セパレータ。
- 80〜160℃のシャットダウン温度を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 180℃における長手方向および幅方向の熱収縮率のいずれもが、−2.0〜10.0%である、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 25℃における膜抵抗が0.4〜20.0Ω・cm2である、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 耐熱素材が、芳香族ポリアミド樹脂である、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 主として耐熱素材からなる多孔質膜の長手方向の破断伸度が5〜100%である、請求項1〜7のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の電池用セパレータを用いた電池。
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-
2016
- 2016-04-12 JP JP2016079329A patent/JP2016207649A/ja active Pending
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