JP2017212042A - 有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL素子の発光効率向上を図りつつ長期信頼性を確保する為に、反射陰極層の材料としてAgを用いた素子において、Ag拡散に起因する透明陽極層側からのホール注入阻害を抑制できる素子を提供すること。【解決手段】順に、透明陽極層、有機機能層、及び反射陰極層を含み、有機機能層が、透明陽極層側発光ユニット、接続層、及び反射陰極層側発光ユニットを含み、反射陰極層が、2nm未満の平均厚みの超薄膜Al層、及び、5nm以上の平均厚みの薄膜Ag層を含む有機EL素子とする。【選択図】図3

Description

本発明は、有機EL素子に関し、特に、反射陰極層側発光ユニット側の超薄膜Al層、及び、当該超薄膜Al層と接する薄膜Ag層を含む、反射陰極層を備える有機EL素子に関する。
有機EL素子は電気エネルギーを光エネルギーに変える半導体素子であり、近年、携帯端末やポータブルディスプレイの表示画面、照明装置光源への適用を目指し、より高性能の有機EL素子とする為の研究が盛んに行われている。例えば、有機EL素子を構成する有機材料等の改良により、低素子駆動電力で高輝度となるよう、発光効率を大きくする為の種々検討が進められている。
即ち、高輝度とするには、より大きな電流を素子に供給することとなるが、それは駆動電圧の上昇に直結するので、結局、有機EL素子の高性能化は直接的には発光効率の向上を意味する。
また、このような発光効率向上により、一定輝度確保に必要な電流を小さく抑えることが可能となり、少なくとも供給電流に正相関を有すると考えられる素子劣化も抑制されることとなるので、その長期信頼性に関わる素子寿命をも長くできることとなる。
このような有機EL素子の発光効率向上の方法としては、前述した有機材料改良する方法の他に、一般に対向する2つの電極層で発光層を含む有機機能層を挟持した構造を備える有機EL素子において、少なくともその一方の電極層として反射陰極層を適用する方法があり、また、こうした反射陰極層の発光光に対する反射率をより大きくする方法がある。
例えば、特許文献1は、高い反射率を有する反射陰極層を用い微小空洞共振器(マイクロキャビティ)効果を使用して輝度を改善することを開示している。
また、このような反射陰極層の材料としては反射率の高いAgが使用される場合が多い。しかしながら、Agのみから形成される反射陰極層は、当該層形成に起因し、ショート欠陥が発生し易いことが知られており、例えば、特許文献2は、0.1nm以上10nm以下の厚さを有するAl層と、3nm以上50nm以下の厚さを有するAg層とを含む反射陰極層とすることで、ショート欠陥の発生を抑制することを提案している。
さらに、このようなショート欠陥が発生し易いAg薄膜を高信頼性の反射陰極層とせしめる方法として、特許文献3は、Ag層と電子注入層であるフッ化リチウム層との間にAl薄膜を挿入すること、特許文献4は、このような反射陰極層を更に、Al薄膜およびAg薄膜の多層膜とすることを提案している。
特開2015−173042号公報 特開2010−123439号公報 特開2007−005784号公報 特開2001−052878号公報
このように、反射陰極層の材料として銀(Ag)を使用することで、アルミニウム(Al)を使用した場合に比べ、輝度が1.2〜1.3倍向上することが知られており、実際にこれらの単膜を、反射陰極層とした白色発光有機EL素子の発光スペクトルを比較すると、素子作製直後同電流密度において、図1に示す如く、全可視光波長領域でAg単膜がAl単膜の素子発光強度を上回ることが確認でき、特に480nm付近の青色発光ピークでは、Al単膜の発光強度は、Ag単膜に対し、50%程度の値となることが判った。
しかしながら、これら単膜を反射陰極層とする有機EL素子につき引き続き高温促進条件での給電発光継続試験による素子寿命の評価を行うと、Ag反射陰極層素子は、Al反射陰極層素子に比べ、試験経過時間に対する発光輝度の低下が激しく、輝度寿命が著しく短いことが分かった。即ち、Ag反射陰極層素子では、85℃促進条件下での当該試験により、輝度低下が著しく低下することが分かった。特に青発光強度が低下し、色シフトが生じた。
原因を調査するため、このAg反射陰極層素子について、当該給電発光継続試験の前後における、陽極層(この素子では、ITO透明陽極層である)との接触部分における有機機能層をXPS分析し、当該接触部分の元素分析を実施した。
この結果であるAg反射陰極層素子のITO透明陽極層との接触部分の有機機能層の給電発光継続試験後のXPS分析結果を図2に示す。
図2に示すように、給電発光継続試験前のAg反射陰極層素子の当該接触部分の有機機能層では検出されないAgが、給電発光継続試験後では検出された。従って、給電発光継続試験を行った素子では、反射陰極層から透明陽極層に向かって、また、当該透明陽極層に達する程度までAgが拡散していることが判明した。
本発明者らは、このAgの拡散が前記著しい輝度低下の原因であると推測し、さらに、当該Ag拡散に起因する透明陽極層側からのホール注入阻害が、その直接の原因であり、当該Ag反射陰極層素子では、透明陽極層に接して、青発光する発光層を含むユニットを形成しており、その為、前述の如く青発光強度が著しく低下し色シフトが発生したものと推測した。
本発明は、このような状況に鑑み、前述の先行技術及び前記Ag拡散の課題を解決するために為されたものであり、有機EL素子の発光効率向上を図りつつ長期信頼性を確保する為に、反射陰極層の材料としてAgを用いた素子において、Ag拡散に起因する透明陽極層側からのホール注入阻害を抑制できる素子を提供することをその目的とし、前述のAg反射陰極層のショート欠陥や、前述の色シフトの発生を、同時に抑制することを目的としている。
このような課題に鑑み、本発明者らは、いずれも前述のAg拡散起因ホール注入阻害、Ag反射陰極層ショート欠陥、及び色シフト発生の問題を解決する為に、銀電極からの拡散を防ぎかつ反射効率も維持しながら安定した反射陰極層を形成するために、有機機能層上に超薄膜アルミニウム層を挿入した薄膜銀層の構造、即ち「超薄膜Al薄膜Ag反射陰極層」を有する各種有機EL素子を作製し検討を行った。
その結果、本発明者らは、反射陰極層として、反射率が高いAg層を用い、このAg層の銀が高温・高湿下でも拡散しないように薄いAl層を、有機機能層と当該Ag層との間に挿入するだけでは、前記Ag反射陰極層ショート欠陥の抑制はある程度可能であるものの、前記Ag拡散起因ホール注入阻害の抑制及び色シフト発生の抑制には不十分であり、これらの抑制を図る為には、このようなAl層挿入と合わせて特定の構造の有機EL素子とすることが必要であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、順に、透明陽極層、有機化合物を主成分とする発光層を含む有機機能層、及び反射陰極層を含む有機EL素子であって、
該有機機能層が、該透明陽極層側から順に、透明陽極層側発光ユニット、接続層、及び反射陰極層側発光ユニットを含み、
該反射陰極層が、
該反射陰極層側発光ユニット側の2nm未満の平均厚みの超薄膜Al層、及び、
該超薄膜Al層と接し、かつ、5nm以上の平均厚みの薄膜Ag層を含み、さらに、
該接続層が、該有機EL素子への通電時に、該透明陽極層側発光ユニットに電子を注入し、かつ、該反射陰極層側発光ユニットに正孔を注入する、
有機EL素子に関する。
このような本発明の有機EL素子は、超薄膜Al層が、有機機能層と薄膜Ag層との間に挿入されているので、Ag層の高反射性を損なうことなく、そのショート欠陥の発生が抑制されるだけでなく、接続層を含む特定構造を有するので、Ag拡散起因ホール注入阻害及び色シフト発生をも抑制された、高効率かつ長寿命の素子となり、具体的には、駆動時に陰極電極層から有機機能層に電子が問題なく注入され、かつ、超薄膜Al層は薄膜Ag層の反射率を損なうことなく、信頼性試験にも十分耐え得ることができる。
また、前記反射陰極層側発光ユニットは、前記超薄膜Al層に接する反射陰極層隣接電子注入層であって、有機化合物のみからなる反射陰極層隣接電子注入層を含むことが好ましく、より、本発明の効果である前記Ag拡散起因ホール注入阻害及び色シフト発生の抑制効果が発揮せしめられた、より高効率かつ長寿命の素子となる。
また、前記反射陰極層隣接電子注入層は、リチウムキノリン(Liq)を含むことが好ましく、より好ましくはLiqの単膜とすることであり、より前記本発明の効果が顕著となり、また、Liqは、金属層との接触においてAg層に比べAl層との接触により電子注入が起こり易く、特に超薄膜のAl層からでも電子注入を安定的に受け易く、結果、その分Agの拡散抑制効果が高まると共に駆動時の直列抵抗が低減されるので、さらに高効率かつ長寿命の素子となる。
また、前記接続層は、電子供与性ドーパント及び電子受容性ドーパントを含まない、有機化合物の電荷輸送性材料のみからなる有機電荷輸送性界面層を含むことが好ましく、さらに前記本発明の効果が顕著となり、さらに高効率かつ長寿命の素子となる。
また、前記有機電荷輸送性界面層の材料は、電子輸送性有機化合物であることが好ましく、よりホール注入阻害の抑制効果が高まり、より高効率かつ長寿命の素子となる。
また、前記超薄膜Al層の平均厚みは、1nm以下であることが好ましく、0.3nm以上であることがより好ましく、よりAg層本来の高反射性が活かされた素子となるので、より高効率の素子となる。
本発明の有機EL素子は、その反射陰極層に含まれるAg層の高反射性を損なうことなくショート欠陥発生が抑制された素子であって、さらに、Ag拡散起因ホール注入阻害及び色シフト発生も抑制された、高効率かつ長寿命の素子である。
Ag及びAlの単膜を各々反射陰極層とした白色発光有機EL素子の素子作製直後同電流密度における発光スペクトルを比較する図である。 Ag反射陰極層素子のITO透明陽極層との接触部分の有機機能層の給電発光継続試験後のXPS分析結果である。 本発明に係る超薄膜Al層/薄膜Ag層2層積層体の形成に適した製膜装置の一例の模式図である。 実施例1の有機EL素子の層構成を示す断面図である。 実施例1(実線)、及び比較例1(破線)のサンプルの発光スペクトルである。 実施例1(実線)、比較例1(一点鎖線)、及び比較例2(破線)のサンプルの信頼性試験での青色発光ピーク強度保持率の経時変化を比較して示すグラフである。 実施例1(実線)、比較例1(細実線)、実施例2(破線)、実施例3(一点鎖線)、及び実施例4(二点鎖線)のサンプルの信頼性試験での青色発光ピーク強度保持率の経時変化を比較して示すグラフである。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。
(有機EL素子)
本発明の有機EL素子は、有機化合物を主成分とする発光層を含む有機機能層が透明陽極層及び反射陰極層で挟持された構造における、これら3層の重畳部分であって、前記発光層が面状に発光する面状発光素子であり、当該発光光は、前記透明陽極層を介して素子外に放出され、好ましくは白色光で、即ち、本発明の有機EL素子は、好ましくは白色発光有機EL素子である。
このような有機EL素子は、例えば、面状に広がりを有する透明基板上に、透明基板側から順に、透明陽極層、有機機能層、及び反射陰極層を順次積層することで形成され、当該透明基板を含む有機ELパネル中の素子とされることが一般的であり、前記素子から放出された光は、さらに、当該透明基板を介しパネル光放射面から外界に放出される。
本発明の有機EL素子は、その有機機能層が、各々前記発光層を含む2つの発光ユニットを含み、前記透明陽極層側から順に、透明陽極層側発光ユニット、接続層、及び反射陰極層側発光ユニットを含むことを一つの特徴としており、当該接続層は、有機EL素子への通電時、前記透明陽極層側発光ユニットに電子を注入し、かつ、前記反射陰極層側発光ユニットに正孔を注入する機能を有する。
また、本発明の有機EL素子は、その反射陰極層が、前記反射陰極層側発光ユニット側の超薄膜Al層、及び、当該超薄膜Al層と接する薄膜Ag層を含むことを一つの特徴としている。
前記透明基板としては、簡便に高信頼性のボトムエミッション型の有機ELパネルを構成する観点から、透光性及び絶縁性を有する、ガラス基板、フレキシブルなフィルム基板、及びプラスチック基板からなる群から選ばれる基板とすることが好ましく、その中でもガラス基板がより好ましい。
また、本発明の有機EL素子は、トップエミッション型有機EL素子とすることもでき、その場合の基板としては、シリコン基板、金属シートが使用可能である。
(透明陽極層)
本発明に係る透明陽極層の材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電性酸化物などが採用される。発光ユニットから発生した光を効果的に取り出せる点では、透明性が高いITOあるいはIZOが特に好ましい。
本発明に係る透明陽極層の平均厚みとしては、20nm以上、2μm以下とすることが好ましく、40nm以上、500nm以下とすることがより好ましい。
(有機機能層)
本発明に係る有機機能層は、有機化合物を主成分とし、かつ、発光層を含み、複数の薄膜が積層された積層多層構造体であることが一般的であり、例えば、正孔注入層や正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を含み、本発明においては、これらの層の積層体として、いずれも後述する、透明陽極層側発光ユニット、及び反射陰極層側発光ユニットと、さらには接続層とを含むことを一つの特徴としており、発光ユニットは2個以上含まれていれば、3個以上であっても良く、接続層も1個以上含まれていれば、3個以上であっても良い。
本発明に係る有機機能層の材料としては、有機EL素子に用いられる一般的な材料を使用することができ、低分子系機能材料や、共役系高分子材料などの公知の材料を用いることができる。このような有機化合物は、ポリマーやオリゴマーを塗布形成したものとしても使用できるが、好ましくは各層いずれをも真空蒸着法によって製膜できる材料により、より好ましくは、ガス化して製膜可能な材料により、真空蒸着法で製膜することであり、高性能な有機EL素子とすることができる。また、これら有機機能層を構成する各層は、真空蒸着法やスパッタ法、CVD法、ディッピング法、ロールコート法(印刷法)、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、フローコート法など適宜公知の方法を併用して形成することも可能である。
(反射陰極層)
本発明に係る反射陰極層は、前述したように、前記反射陰極層側発光ユニット側の超薄膜Al層、及び、当該超薄膜Al層と接する薄膜Ag層を含み、好ましくは、前記超薄膜Al層/前記薄膜Ag層の構造の2層積層体である。
前記超薄膜Al層は、前記薄膜Ag層の高反射性を活かす観点から、その平均厚みが2nm未満であることを要し、好ましくは、その平均厚みが1nm以下であり、連続膜とすることで当該超薄膜Al層の高温・高湿下での拡散抑止効果を十分に確保する観点から、0.2nm以上とすることがより好ましく、0.3nm以上とすることがさらに好ましく、この様な超薄膜であっても前記連続膜として製膜せしめる観点、及び、下地となる有機機能層にダメージを与えることなく製膜せしめる観点から、真空蒸着法で製膜されてなることが好ましく、より好ましくは0.1nm/秒以下の製膜速度で製膜すること、及び/又は、抵抗加熱真空蒸着法で製膜されてなることであり、更に好ましくは、ワークを真空状態に維持したまま有機機能層に引き続き製膜されてなることであり、簡便にかつコンパクトな装置で製膜する観点から、特に好ましくは、特開2014−35864号公報に記載されて図3に示す製膜装置の第一製膜室で製膜されてなることである。
また、このような前記超薄膜Al層は、後述する、前記反射陰極層側発光ユニットに好ましくは含まれる反射陰極層隣接電子注入層に接するように有機EL素子が構成されていることが好ましく、高い電子注入特性が得られるので、素子の直列抵抗成分が低減され、高効率素子となる。
前記薄膜Ag層は、本発明に係る反射陰極層の面内抵抗を小さくすることで面内発光ムラを低減せしめる観点から、その平均厚みが5nm以上であることを要し、好ましくは50nm以上であり、100nm以上であることがより好ましく、また、層内応力による剥離やひび割れ、前記有機機能層へのダメージの発生を抑制せしめる観点から、好ましくは、その平均厚みは200nm未満であることが好ましく、より好ましくは150nm未満とすることである。
また、前記薄膜Ag層は、この様な薄膜であっても製造過程におけるワークの露出層としての機械的強度を確保し有機機能層を十分に保護可能とせしめる観点から、少なくとも有機EL素子露出面全面にこれと接して、窒素若しくは乾燥空気の雰囲気を介し、又は好ましくは真空が維持された状態で引き続いて製膜されてなる、後述する酸化、及び/又は窒化された珪素材料からなる無機封止層を備えることが好ましく、より好ましくは、この無機封止層は、0.5μm以上、5μm以下の平均厚みを有するものとすることであり、さらに好ましくは、当該薄膜Ag層側のCVD法で製膜される乾式無機封止層、及びポリシラザン溶液を原料とする転化シリカの層である湿式無機封止層の2層積層封止層とすることである。
さらに、このような前記薄膜Ag層は、前述の如く好ましくは連続膜である前記超薄膜Al層の連続性が維持された状態で製膜せしめる観点、及び、当該薄膜Ag層をその高反射性が十分発揮できる層として高速で製膜する観点から、ワークを真空状態に維持したまま前記超薄膜Al層に引き続き製膜されてなることが好ましく、スパッタ法、及び/又は、レーザーアブレーション法で製膜されてなること、及び/又は、1nm/秒以上の製膜速度で製膜することがより好ましく、さらに好ましくは、より高速で製膜でき生産性が向上するスパッタ法で製膜することであり、さらに簡便かつコンパクトな装置で製膜する観点から、特に好ましくは、特開2014−35864号公報に記載された図3に示す製膜装置の第二製膜室で製膜されてなることである。
前述の図3に示す製膜装置1について以下説明する。
製膜装置1は、真空蒸着法による蒸着(好ましくはエリア蒸着)と、スパッタリング法、及び/又は、レーザーアブレーション法によるライン製膜を、ワーク8を移動させることにより連続して行えるものである。以下、ワーク8にエリア蒸着による製膜を行い、続いてライン製膜による製膜を行う手順例について説明する。
まず、製膜対象のワーク8を製膜装置1にセットする。例えば、装置に付随するレール上に設置する。
次に、装置に付随するワーク搬入口からワーク8を第一製膜室2に搬送し、ワーク搬入口を閉じる。そして、エリア蒸着装置10の薄膜材料放出部15に対向する位置でワーク8を静止させる(図3(a))。
粗引きポンプで粗引きを行った後、第一製膜室2に直結するクライオポンプを動作させ(全開)、第一製膜室2内を高真空状態にする。
蒸発装置(図示せず)を動作させて薄膜材料を蒸発させ薄膜材料放出部15から静止状態のワーク8に向けて薄膜材料を蒸着する(3(a)矢印)。これにより、ワーク8の全面に所望の薄膜(例えば、超薄膜Al層)が製膜される(エリア蒸着)。必要に応じて、放出される薄膜材料の種類を切り替えて、複数種の薄膜を製膜することもできる。
続いてスパッタリング法による製膜を行う。まず予め、装置に付随する開閉部を開放して、予めターボ分子ポンプ等で高真空とした真空室5と第二製膜室3とを連通させ、スパッタリングに必要な量のArガスを第二製膜室3に導入する。そして真空度を調整した後、ライン製膜装置20のプラズマ発生空間22にArプラズマを発生させる。
この状態で、ワーク8を第一製膜室2から真空室5に向け移動させる(図3(b))。このとき、ワーク8が、その被製膜面をプラズマ発生空間22に向けた状態で第二製膜室3を通過する。このとき、プラズマ発生空間22からターゲット由来の薄膜材料(例えば、Ag)がワーク8に向かい、第二製膜室3内にあるワーク8の線状の領域が順次製膜される(ライン製膜)。すなわち、搬送中(移動中)のワーク8に対してスパッタリング法によるライン製膜が行われる。
そのままワーク8を真空室5まで搬送する(図9(c))。このようして、ワーク8の被製膜面が全て第二製膜室3を通過し、スパッタリング法によるライン製膜が完了する。
この例では、ワーク8を第一製膜室2から真空室5に移動させながらライン製膜を行っているが、逆方向、すなわち真空室5から第一製膜室2に移動させながらライン製膜を行ってもよい。
(発光ユニット)
本発明に係る発光ユニットは、後述する接続層と共に前記有機機能層を構成し、本発明の有機EL素子においては、前記透明陽極層側の透明陽極層側発光ユニット、及び前記反射陰極層側の反射陰極層側発光の少なくとも2つの発光ユニットが、当該素子を構成するように含まれ、各々の発光ユニットは、少なくとも1層の発光層を含み、この発光層以外に、当該発光層を発光せしめる為に、当該発光層への電荷(電子、及び正孔)の注入輸送機能を担う、前記透明陽極層側の構成(透明陽極層側から正孔注入層や正孔輸送層)や前記反射陰極層側の構成(反射陰極層側から電子注入層や電子輸送層)を含み、このような主に有機化合物からなる複数の層から構成されている。
(透明陽極層側発光ユニット)
本発明に係る透明陽極層側発光ユニットは、本発明の有機EL素子を高効率かつ高演色性の素子とせしめる観点から、青色発光する青発光層を含む発光ユニットとすることが好ましく、さらに長期間に亘って高効率が維持できる長寿命の素子とする観点から、当該青発光層は蛍光発光する蛍光青発光層であることがより好ましく、簡便に高性能の素子とする観点から、さらに好ましくは、本発明に係る透明陽極層側発光ユニットを、青色の波長範囲内にのみ発光ピークを有する、青発光ユニットとすることであり、特に好ましくは、蛍光青発光ユニットとすることである。
(接続層)
本発明に係る接続層は、本発明の有機EL素子への通電時に前記透明陽極層側発光ユニットに電子を注入し、かつ、前記反射陰極層側発光ユニットに正孔を注入する機能を有する層であり、このような機能を有するのであれば、各種材料、例えば有機材料を用い、また、これらを組み合わせて用い、形成できる。
このような本発明に係る接続層は、その透明性を向上させ輝度向上を図る観点、及び、その各電荷の注入性を向上させ電気特性向上を図る観点から、各々の電荷の注入層を組み合わせて用いることが好ましく、本発明に係るAg拡散起因ホール注入阻害抑制効果、及び色シフト発生抑制効果をより向上せしめる観点から、より好ましくはこれら注入層に挟持されてなる、後述する電荷輸送性界面層を含むことが好ましい。
前記電荷輸送性界面層は、電子供与性及び受容性等のドーパントを含まない層であることが、前記発明効果をより確実に発揮せしめる観点から好ましく、有機化合物の電荷輸送性材料のみからなる有機電荷輸送性界面層であることがより好ましく、その材料が電子輸送性有機化合物であることがさらに好ましい。
前記各々の電荷の注入層としては、各々の電荷の輸送性材料に対応する電子受容性、又は電子供与性ドーパントをドープしたドープ層が好ましく、例えば、正孔輸送性材料に電子受容性ドーパントをドープした正孔注入層と、電子輸送性材料に電子供与性ドーパントをドープした電子注入層を好ましく例示できる。
(反射陰極層側発光ユニット)
本発明に係る反射陰極層側発光ユニットは、本発明の有機EL素子を高効率かつ高演色性の素子とせしめる観点から、赤色、及び緑色に発光する赤緑発光ユニットとすることが好ましく、より高効率の素子とする観点から、燐光発光する燐光赤緑発光ユニットとすることがより好ましく、素子への駆動電流密度変化に伴う発光界面の位置変化に起因する素子発光色目の変動を抑制せしめる観点から、赤色燐光材料、緑色燐光材料、及び燐光発光層ホスト材料を含む、即ち、これらの材料が混合(より好ましくは共蒸着)された、燐光赤緑発光層を含む発光ユニットをすることがさらに好ましく、簡便に高性能の素子とする観点から特に好ましくは、本発明に係る反射陰極層側発光ユニットを、赤色、及び緑色の波長範囲内の各々にのみ発光ピークを有する燐光赤緑発光ユニットとすることである。
また、このような反射陰極層側発光ユニットは、前記超薄膜Al層に接する反射陰極層隣接電子注入層を含むことが好ましく、本発明に係るAg拡散起因ホール注入阻害抑制効果、及び色シフト発生抑制効果をより向上せしめる観点から、反射陰極層隣接電子注入層は、有機化合物のみからなる層であることがより好ましく、また、リチウムキノリン(Liq)を含む層であることがより好ましく、より高効率の素子とする観点から、さらに好ましくは、Liqのみを含む層とすることである。
(正孔(ホール)注入層)
正孔注入層は、例えば、正極から正孔を取り入れ、正孔輸送層に正孔を注入する層であり、その材料としては、例えば、アリールアミン類、フタロシアニン類、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、及び、これらの誘導体等の導電性高分子などが採用でき、また、正孔注入層の透明性を向上させることで輝度を向上させる観点から、正孔輸送性材料に電子受容性のドーパントをドープしたものも好ましく採用できる。
(正孔(ホール)輸送層)
正孔輸送層は、正孔注入層側から発光層に正孔を効率的に輸送しつつ、正極側への電子の移動を制限する層である。
正孔輸送層の材料としては、正孔輸送性を有する化合物である公知の材料を使用することができる。
正孔輸送層の平均厚みは、1nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上40nm以下であることがより好ましい。
(発光層)
発光層は、正孔輸送性、及び/又は、電子輸送性の性質を有した層であって、電界を印加することにより正孔輸送層から流入する正孔と、電子輸送層から流入する電子とが結合して発光性励起子が発生する層である。
発光層は、一般に、ホスト材料に発光材料をドープした層であり、具体的には、正孔輸送性材料、電子輸送性材料、又は正孔及び電子の両性輸送性材料に発光性ドーパントとして蛍光性ドーパント又は燐光性ドーパントをドープした層である。
発光層の厚みは、適宜設計可能であるが、0.1nm以上40nm以下であることが好ましく、3nm以上30nm以下であることがより好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子注入層側から発光層に電子を効率的に輸送しつつ、負極側への電子の移動を制限する層である。
電子輸送層の材料としては、電子輸送性を有する化合物である公知の材料を使用することができる。
電子輸送層の平均厚みは、1nm以上100nm以下であることが好ましく、30nm以上60nm以下であることがより好ましい。
(電子注入層)
電子注入層は、例えば、負極から電子を取り入れ、電子輸送層に電子を注入する層であり、その材料としては、例えば、リチウム(Li)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類金属やこれらの化合物等が採用でき、また、電子注入層の透明性を向上させることで輝度を向上させる観点から、電子輸送性材料に電子供与性のドーパントをドープしたものも好ましく採用できる。
電子注入層の平均厚みは、0.1nm以上20nm以下であることが好ましく、1nm以上5nm以下であることがより好ましい。
(正孔輸送性材料)
正孔輸送性材料としては、例えば、トリフェニルアミン系化合物、カルバゾール系化合物等が採用できる。
トリフェニルアミン系化合物としては、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’,4”−トリス〔N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(2−TNATA)等が挙げられる。
カルバゾール系化合物としては、
4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、4,4′,4″−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−2,2’−ジメチルビフェニル(CDBP)、等が挙げられる。
(電子輸送性材料)
電子輸送性材料としては、例えば、キノリノラト系金属錯体、アントラセン系化合物、オキサジアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、フェナントロリン系化合物、シロール系化合物等が採用できる。
キノリノラト系金属錯体としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、等が挙げられる。
アントラセン系化合物としては、3−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)等が挙げられる。
オキサジアゾール系化合物としては、1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール]フェニレン(OXD−7)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、1,3,5−トリス(4−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)ベンゼン(TPOB)等が挙げられる。
トリアゾール系化合物としては、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等が挙げられる。
フェナントロリン系化合物としては、バソフェナントロリン(Bphen)、バソクプロイン(BCP)等が挙げられる。
シロール系化合物としては、2,5−ジ−(3−ビフェニル)−1,1,−ジメチル−3,4−ジフェニルシラシクロペンタジエン(PPSPP)、1,2−ビス(1−メチル−2,3,4,5−テトラフェニルシラシクロペンタジエニル)エタン(2PSP)、2,5−ビス−(2,2−ビピリジン−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシラシクロペンタジエン(PyPySPyPy)等が挙げられる。
(発光性ドーパント)
赤色系の蛍光発光材料としては、ルブレン、DCM、DCM2、DBzRなどが採用できる。
緑色系の蛍光発光材料としては、クマリン6、C545Tなどが採用できる。
青色系の蛍光発光材料としては、ペリレン4,4′−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1−ビフェニル(BCzVBi)、4,4′−ビス[4−(ジ−p−トリアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)などが採用できる。
赤色系の燐光発光材料としては、イリジウム錯体である、(bzq)2Ir(acac)、(btp)2Ir(acac)、Ir(bzq)3、Ir(piq)3などが採用できる。
緑色系の燐光発光材料としては、イリジウム錯体である、(ppy)2Ir(acac)、Ir(ppy)3などが採用できる。
青色系の燐光発光材料としては、イリジウム錯体である、FIrpic、FIr6、Ir(Fppy)3などが採用できる。
(電子受容性ドーパント)
電子受容性ドーパントとしては、テトラシアノキノジメタン系化合物、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化バナジウム(V2O5)等が採用できる。
テトラシアノキノジメタン系化合物としては、テトラシアノキノジメタン(TCNQ) 2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)等が挙げられる。
(電子供与性ドーパント)
電子供与性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属や、これらの金属の化合物、特に、これらの金属のフッ化物やこれを中心金属とするフタロシアニン錯体、さらには、有機化合物であるジヒドロイミダゾール化合物等が採用でき、これらの材料からなる群から選ばれる一種類以上の混合物とすることもできる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられ、好ましくはCsである。
アルカリ土類金属としては、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
希土類金属としては、スカンジウム、イットリウム、セリウム、テルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。
ジヒドロイミダゾール化合物としては、ビス−[1,3 ジエチル−2−メチル−1,2−ジヒドロベンズイミダゾリル]テトラチアフルバレン(TTF)、テトラチアナフタセン(TTT)等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
以下記載の手順で、図4にその層構成を示す実施例1の有機EL素子評価サンプルを作製した。
具体的には、まず、透明陽極層となる平均厚み120nmのITO膜がその片面に形成されてなるITO付きガラス基板の当該ITO膜上に、所定のシャドーマスクを載置固定しワークを準備した。
次に、このワークを製膜装置に導入し真空度1×10-4Pa以上の減圧真空下で、当該ITO膜上に図4に示すホール輸送層から、Liq層に隣接する電子輸送層までを、各層形成材料を約0.1nm/秒の蒸着速度で、図4に示す膜厚となるように蒸着し、各層を形成した。なお、接続層としては、電子輸送性有機化合物のみからなる有機電荷輸送性界面層を中心層とし、これを挟んで、いずれも有機化合物のみからなり、かつ、電荷輸送材料及びドーパント材料の共蒸着層である、正孔注入層、及び電子注入層が形成されてなる、ITO膜側から、電子注入層、有機電子輸送性界面層、及び正孔注入層の3層構造とした。また、発光層など2つ以上の材料からなる混合材料の層は、所定の混合比で形成されるように共蒸着した。
次に、前記真空度を維持したまま、前記Liq層に隣接する電子輸送層の上に、反射陰極層隣接電子注入層として、Liq(8−ヒドロキシキノリノラト−リチウム)を約0.02nm/秒の蒸着速度で蒸着形成した。
次に、前記真空度を維持したまま、前記反射陰極層隣接電子注入Liq層の上に、アルミニウムを約0.01nm/秒の蒸着速度で蒸着することで、平均厚み0.5nmの超薄膜Al層を形成した。ここまでの層形成は、図3に示す製膜装置1の第一製膜室2に対応する製膜室で実施した。
次に、このようにして超薄膜Al層まで形成したワークを、図3に示す製膜装置1の第二製膜室3に対応する製膜室を通過させつつ、当該超薄膜Al層上に銀をスパッタ製膜することで、平均厚み120nmの薄膜Ag層を形成した。第二製膜室3における製膜エリア及びワーク搬送速度から、この際の銀のスパッタ製膜速度は、平均10nm/秒であった。
このようにして、ガラス基板上に、図4の層構成の重畳部分として2mm×2mmの発光領域を有する実施例1の有機EL素子、及びこの有機EL素子の透明陽極層、反射陰極層に、各々電気接続し、当該有機EL素子に給電する為の、陽極用給電端子、及び、陰極用給電端子を含む実施例1のプレサンプルを作製した。
続いて、実施例1の有機EL素子の露出面の全面と、前記陽極用給電端子、及び前記陰極用給電端子の一部分とに亘って、連続する無機封止層を形成した。具体的には、反射陰極層側から順に、CVD法にて酸窒化珪素層(平均厚み2μm)、及びポリシラザン転化シリカ層(平均厚み2μm)を形成し、前記無機封止層とした。
続いて、この無機封止層が形成された実施例1のプレサンプルのガラス基板のITO膜が形成されてない片面に、光取り出し(OCF)フィルムを、貼り付けることで、実施例1のサンプルを得た。
このようにして得た実施例1のサンプルの有機EL素子に、前記無機封止層に覆われていない前記陽極用給電端子及び前記陰極用給電端子を介して、通電電流4mA/cm2の定電流を通電し、発光させたところ、そのOCFフィルム側中央での発光輝度は、3070cd/m2であった。
また、この際の実施例1サンプルからの発光スペクトルを分光放射系輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて評価した。結果を図5の実施例1実線に示す。全可視光波長領域での発光、及びRGB各領域各々でのピークが確認され、高演色性の白色発光となっていることが判る。
さらに、信頼性試験として通電状態を維持した実施例1サンプルをオーブンに入れて、85℃に維持し一定時間経過した後、前述の方法で発光スペクトルを評価し、その青色発光ピーク強度の保持率を評価した。図6及び図7の実施例1実線に結果を示す。
(比較例1:Ag単膜反射陰極層)
比較例1として、実施例1の、反射陰極層隣接電子注入Liq層、及び超薄膜Al層/薄膜Ag層2層積層体反射陰極層に代えて、反射陰極層隣接電子注入Li層、及びAg単膜反射陰極層としたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のサンプルを作製した。なお、前記反射陰極層隣接電子注入Li層は、約0.01nm/秒の蒸着速度で金属Liを蒸着し、また、前記Ag単膜反射陰極層は、平均10nm/秒の製膜速度でスパッタ製膜した。
実施例1と同様にして、比較例1サンプル中央の発光輝度を測定したところ
3175cd/m2であった。
また、実施例1と同様にして、比較例1サンプルにつき青色発光ピーク強度の保持率を評価したところ、図6の一点鎖線及び図7の細実線の結果となった。
上述の結果から、初期スペクトルでは、超薄膜Al層/薄膜Ag層2層積層体反射陰極層を備える実施例1の有機EL素子は、Ag単膜反射陰極層を備える比較例1の有機EL素子と遜色なく、かつ、このような実施例1の有機EL素子は、比較例1の有機EL素子より、Ag拡散起因ホール注入阻害及び色シフト発生が抑制された高効率かつ長寿命の素子であることが判る。
(比較例2:Al単膜反射陰極層)
比較例2として、実施例1の超薄膜Al層/薄膜Ag層2層積層体反射陰極層に代えて、120nmの平均厚みのAl単膜反射陰極層としたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のサンプルを作製した。なお、前記Al単膜反射陰極層は、0.3nm/秒の製膜速度で蒸着製膜した。
実施例1と同様にして、比較例2サンプル中央の発光輝度を測定したところ
2741cd/m2であった。
また、実施例1と同様にして、比較例2サンプルにつき青色発光ピーク強度の保持率を評価したところ、図6の破線の結果となった
上述の結果から、初期スペクトルでは、超薄膜Al層/薄膜Ag層2層積層体反射陰極層を備える実施例1の有機EL素子は、Al単膜反射陰極層を備える比較例2の有機EL素子を上回り、かつ、このような実施例1の有機EL素子は、比較例2の有機EL素子と、素子寿命に関して遜色ないことが判る。
(実施例2〜4)
実施例2〜4として、実施例1の超薄膜Al層/薄膜Ag層2層積層体反射陰極層について、その超薄膜Al層の平均厚み、及び、製膜速度を変化させたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4のサンプルを作製した。
各実施例の超薄膜Al層の平均厚み、及び、製膜速度は以下の通りである。
実施例2:平均厚み=1.0nm、製膜速度=約0.05nm/秒
実施例3:平均厚み=0.3mm、製膜速度=約0.01nm/秒
実施例4:平均厚み=1.5nm、製膜速度=約0.05nm/秒
実施例1と同様にして、実施例2〜4のサンプルにつき青色発光ピーク強度保持率を評価したところ、図7の、各々、破線(実施例2)、一点鎖線(実施例3)、二点鎖船(実施例4)の結果となった
これらの結果から、超薄膜Al層/薄膜Ag層2層積層体反射陰極層を備える実施例の有機EL素子において、超薄膜Al層の平均厚み、及び、製膜速度が、素子の効率や寿命に影響すること、即ち、本発明のAg拡散起因ホール注入阻害抑制効果、及び色シフト発生抑制効果の発揮程度に影響を与えることが判る。
1 製膜装置
2 第一製膜室
3 第二製膜室
5 真空室
8 ワーク
10 エリア蒸着装置
15 薄膜材料放出部
22 プラズマ発生空間
20 ライン製膜装置

Claims (6)

  1. 順に、透明陽極層、有機化合物を主成分とする発光層を含む有機機能層、及び反射陰極層を含む有機EL素子であって、
    該有機機能層が、該透明陽極層側から順に、透明陽極層側発光ユニット、接続層、及び反射陰極層側発光ユニットを含み、
    該反射陰極層が、
    該反射陰極層側発光ユニット側の2nm未満の平均厚みの超薄膜Al層、及び、
    該超薄膜Al層と接し、かつ、5nm以上の平均厚みの薄膜Ag層を含み、さらに、
    該接続層が、該有機EL素子への通電時に、該透明陽極層側発光ユニットに電子を注入し、かつ、該反射陰極層側発光ユニットに正孔を注入する、
    有機EL素子。
  2. 前記反射陰極層側発光ユニットが、前記超薄膜Al層に接する反射陰極層隣接電子注入層であって、有機化合物のみからなる反射陰極層隣接電子注入層を含む請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記反射陰極層隣接電子注入層が、リチウムキノリン(Liq)を含む、請求項2に記載の有機EL素子。
  4. 前記接続層が、電子供与性ドーパント及び電子受容性ドーパントを含まない、有機化合物の電荷輸送性材料のみからなる有機電荷輸送性界面層を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の有機EL素子。
  5. 前記有機電荷輸送性界面層の材料が、電子輸送性有機化合物である、請求項4に記載の有機EL素子。
  6. 前記超薄膜Al層の平均厚みが、1nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の有機EL素子。
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