以下、本発明の一実施形態に係る駆動伝達装置及び画像形成装置について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す図である。画像形成装置1は、フルカラープリンターであるが、他の実施形態において、画像形成装置1は、フルカラーの複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機等であってもよい。
なお、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置1の原理を何ら限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパーや画像形成処理を受ける他のシート材料或いは画像形成処理以外の任意の処理を受けるシート材料を意味する。
画像形成装置1は、シートに画像を形成するための各種の装置を収容する箱形の装置本体である本体ハウジング10を備える。本体ハウジング10の前後左右の側面は、それぞれ外装を兼ねる前側板101、左側板、右側板及び後側板104で覆われている。本体ハウジング10の上面は、天板105で覆われている。天板105の後方側には、排紙口17Hを備えた膨出部106が、前方側には排紙口17Hから排出されるシートを受け取る排紙トレイ107が、それぞれ備えられている。また、本体ハウジング10の底部には、給紙カセット11が着脱自在に装着されている。更に、給紙カセット11の下方には、給紙装置12が増設されている。
画像形成装置1は、給紙部としての給紙カセット11、給紙装置12及び手差しトレイ13と、トナー像(現像剤像)を形成する作像ユニット2(作像系)と、中間転写ユニット3と、定着ユニット4と、上記給紙部及び排紙トレイ107を含み、本体ハウジング10内においてシートを搬送するシート搬送系とを備えている。
給紙カセット11は、トナー像が転写されるシートSの束を収容する。給紙カセット11は、前記シートSの束を収容するシート収容部111と、前記シートSの束が載置されるリフト板112と、前記シートSの束の最上位のシートを主搬送路P1へ送り出す給紙ローラー113とを備えている。給紙装置12は、本体ハウジング10の底部に取り付けられるオプション給紙ユニットであり、同様にシート収容部121、リフト板122及び給紙ローラー123を備えている。給紙装置12は、給紙ローラー123によって繰り出されるシートが通過する連絡搬送路P4を備え、その下流端には送り出しローラー124が配置されている。手差しトレイ13は、手差しシートが載置されるトレイである。手差しトレイ13の付近には、手差しシートを取り込むニップローラー131、手差しシートを手差し搬送路PMに送り出す手差し給紙ローラー132が配置されている。手差し搬送路PMに沿って、複数の搬送ローラー133が配置されている。
作像ユニット2は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(Bk)の各色のトナー像をそれぞれ作像する4つの画像形成ユニットを備えている。すなわち、作像ユニット2は、イエロー色のトナー像を作像するための画像形成ユニット2Yと、シアン色のトナー像を作像するための画像形成ユニット2Cと、マゼンタ色のトナー像を作像するための画像形成ユニット2Mと、ブラック色のトナー像を作像するための画像形成ユニット2Bkと、を備えている。
各画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bkは、感光体ドラム21(像担持体)、帯電部22、現像部23、一次転写ローラー24、クリーニング部25を備えている。更に作像ユニット2は、4色の画像形成ユニットで共通に用いられる光走査部26を備えている。
感光体ドラム21は、円筒状の部材であり、その周面に静電潜像及びトナー像(現像剤像)を担持する。感光体ドラム21は、左右方向に延びるドラム回転軸を備え、このドラム回転軸の軸回りに回転駆動される。帯電部22は、感光体ドラム21の周面を略一様に帯電させる。光走査部26は、走査用のレーザー光を発する光源、偏向用のポリゴンミラー及び結像光学系を含む。光走査部26は、略一様に帯電された感光体ドラム21の周面に対して画像データに応じたレーザー光を照射し、静電潜像を形成する。
現像部23は、静電潜像を現像して顕在化させるものであり、静電潜像が形成された感光体ドラム21の周面にトナー(現像剤)を供給する現像ローラー231を含む。現像ローラー231は、左右方向に延びるローラー回転軸を備え、このローラー回転軸の軸回りに回転駆動される。現像部23からのトナー供給によって、感光体ドラム21の周面にはトナー像が形成される。
一次転写ローラー24は、感光体ドラム21に対して上方から対向するよう配置され、後述する中間転写ベルト31を挟んで両者で転写ニップ部を形成している。一次転写ローラー24には、中間転写ベルト31に感光体ドラム21が担持する前記トナー像を転写させるための転写バイアスが与えられる。クリーニング部25は、シートSへトナー像が転写された後に、感光体ドラム21の周面に残るトナーを除去する。
画像形成装置1は、更に、作像ユニット2の一部の構成として、現像部23にトナーを補給するトナーコンテナ27(現像剤補給部)を備えている。図3では、画像形成ユニット2Y用のトナーコンテナ27のみを図示し、他色用は図示を省いている。トナーコンテナ27は、各色のトナーを貯留するコンテナ本体27H(補給部本体)と、コンテナ本体27Hの内部に配置され貯留トナーを図略のトナー排出口に向けて搬送する搬送フィーダ271とを備えている。搬送フィーダ271は、左右方向に延びる回転軸と、その回転軸の周上に設けられたスパイラル片とを含み、前記回転軸回りに回転駆動される。
中間転写ユニット3は、作像ユニット2の上方に配置され、感光体ドラム21の周面に担持されたトナー像が一次転写される中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31を周回駆動するベルト駆動ローラー32及びテンションローラー33とを含む。中間転写ベルト31は、無端ベルトであり、前記トナー像が一次転写される外周面を有する。中間転写ベルト31は、ベルト駆動ローラー32とテンションローラー33との間に張設され、ベルト駆動ローラー32が回転駆動されることによって周回走行する。ベルト駆動ローラー32に対して、中間転写ベルト31を介して二次転写ローラー15が圧接され、二次転写部が形成されている。
定着ユニット4は、熱源が内蔵された定着ローラー41と、定着ローラー41と共に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。定着ローラー41及び加圧ローラー42は、各々左右方向に延びる回転軸を備え、この回転軸の軸回りに回転駆動される。定着ユニット4は、前記二次転写部においてトナー像が転写されたシートを、前記定着ニップ部において加熱及び加圧しつつ搬送することで、トナーをシートに溶着させる定着処理を施す。
画像形成装置1は、シート搬送系として、上述の給紙カセット11、給紙装置12及び手差しトレイ13を含み、トナー像が二次転写されるシートを給紙する給紙部と、二次転写後のシートを受け取る上述の排紙トレイ107と、各種のシート搬送路と、これらのシート搬送路に配置されたシート搬送ローラーとを含む。
前記シート搬送路は、主搬送路P1、反転搬送路P2、連絡搬送路P3、P4及び既述の手差し搬送路PMを含む。主搬送路P1は、概ね上下方向に延び、中間転写ユニット3(二次転写部)及び定着ユニット4(定着ニップ部)を経由して、前記給紙部から排紙トレイ107へシートを導く搬送路である。反転搬送路P2は、シートに両面印刷が施される際に、主搬送路P1の下流端付近から上流端付近へシートを逆搬送させる搬送路である。本体ハウジング10側の連絡搬送路P3と給紙装置12側の連絡搬送路P4とは、給紙装置12が本体ハウジング10に装着された際に互いに連通する搬送路である。連絡搬送路P3の下流端及び手差し搬送路PMの下流端は、主搬送路P1の上流端付近に接続されている。
前記シート搬送ローラーとして、既述の給紙ローラー113、123、132、送り出しローラー124及び搬送ローラー133に加え、本実施形態では、主搬送路P1に配置されたレジストローラー14、二次転写ローラー15、定着出口の搬送ローラー16及び排紙ローラー17と、反転搬送路P2に配置された反転搬送ローラー181、182とを含む。
レジストローラー14は、主搬送路P1において前記二次転写部よりも上流側に配置されている。レジストローラー14は、シートを一時待機させた後に、所定のタイミングで前記二次転写部へシートを供給する。二次転写ローラー15は、中間転写ベルト31を介してベルト駆動ローラー32に対向配置され、前記二次転写部を形成している。二次転写部を通過するシートは、二次転写ローラー15と中間転写ベルト31とに接しながら、下流側へ搬送される。
搬送ローラー16は、定着ユニット4を通過したシートを排紙口17Hに向けて搬送するローラーである。排紙ローラー17は、二次転写及び定着処理が施されたシートを、主搬送路P1から排紙口17Hを通して排紙トレイ107に向けて排出するローラーである。反転搬送ローラー181、182は、反転搬送路P2においてシートを逆搬送するローラーである。なお、定着ローラー41及び加圧ローラー42のペアも、主搬送路P1におけるシート搬送の役目を果たす。
上述の通り、画像形成装置1は、作像ユニット2が含む感光体ドラム21、現像ローラー231及びトナーコンテナ27の搬送フィーダ271、中間転写ユニット3が備えるベルト駆動ローラー32、定着ユニット4の定着ローラー41及び加圧ローラー42、前記シート搬送系が含む搬送ローラー群など、回転駆動を要する多数の回転体を含んでいる。本実施形態の画像形成装置1は、これらの回転体を駆動する駆動源としての駆動モーターと、駆動モーターが発生する駆動力の伝達経路を形成する駆動伝達系と、駆動伝達系により伝達された駆動力を、回転体へ伝達するための駆動伝達装置と、を備えている。
図2を参照して、画像形成装置1が備える駆動伝達系及び駆動伝達装置について説明する。図2は、画像形成装置1の駆動伝達系5におけるギア列と駆動伝達装置6との関係を示す図である。本実施形態の駆動伝達装置6は、駆動モーターからの駆動力を所定のタイミングで回転体に伝達するための装置である。駆動伝達装置6における駆動力伝達対象の回転体は、画像形成装置1が備える上記の回転体であれば特に限定されるものではない。以下では、駆動伝達装置6における駆動力伝達対象の回転体が、トナーコンテナ27の搬送フィーダ271である例について、説明する。
図2に示すように、駆動伝達系5及び駆動伝達装置6は、本体ハウジング10に配置されている。画像形成装置1は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びブラック(Bk)の各色のトナーを貯留する4つのトナーコンテナ27にそれぞれ対応して、4つの駆動伝達装置6を備えている。4つの駆動伝達装置6は、それぞれ同一に構成されている。駆動伝達系5は、駆動モーターのモーター出力軸MSからの駆動力を、4つの駆動伝達装置6へ伝達するための駆動伝達経路を形成する。
駆動伝達系5は、複数の駆動伝達ギアを含む。図2に示す例では、駆動伝達系5は、第1駆動伝達ギア5A、第2駆動伝達ギア5B、第3駆動伝達ギア5C、第4駆動伝達ギア5D、第5駆動伝達ギア5E、第6駆動伝達ギア5F、第7駆動伝達ギア5G、第8駆動伝達ギア5H、第9駆動伝達ギア5I、第10駆動伝達ギア5J、第11駆動伝達ギア5Ka、第12駆動伝達ギア5L、第13駆動伝達ギア5M、第14駆動伝達ギア5N、及び第15駆動伝達ギア5Kbを含む。
第1駆動伝達ギア5Aは、駆動モーターのモーター出力軸MSに噛合され、モーター出力軸MSからの駆動力を直接的に受ける。第1駆動伝達ギア5Aが受けたモーター出力軸MSからの駆動力は、第2駆動伝達ギア5B、第3駆動伝達ギア5C、第4駆動伝達ギア5D、第5駆動伝達ギア5E、第6駆動伝達ギア5F、第7駆動伝達ギア5G、第8駆動伝達ギア5H、第9駆動伝達ギア5I、第10駆動伝達ギア5J、第11駆動伝達ギア5Ka、第12駆動伝達ギア5L、第13駆動伝達ギア5M、第14駆動伝達ギア5N、及び第15駆動伝達ギア5Kbの順に、伝達される。
駆動伝達系5を構成する上記の駆動伝達ギアのうち、第11駆動伝達ギア5Kaは、マゼンタ色のトナーを貯留するトナーコンテナ27に対応して設けられた駆動伝達装置6と、ブラック色のトナーを貯留するトナーコンテナ27に対応して設けられた駆動伝達装置6とに、モーター出力軸MSからの駆動力を伝達する。また、駆動伝達系5を構成する上記の駆動伝達ギアのうち、第15駆動伝達ギア5Kbは、イエロー色のトナーを貯留するトナーコンテナ27に対応して設けられた駆動伝達装置6と、シアン色のトナーを貯留するトナーコンテナ27に対応して設けられた駆動伝達装置6とに、モーター出力軸MSからの駆動力を伝達する。
駆動伝達装置6は、駆動伝達系5により伝達されたモーター出力軸MSからの駆動力を、トナーコンテナ27の搬送フィーダ271に伝達する。駆動伝達装置6は、現像部23にトナー補給が必要となった所定のタイミングで、搬送フィーダ271に駆動力を伝達する。この駆動伝達装置6の詳細について、図3乃至図5を参照して説明する。図3は駆動伝達装置6の構成を示す斜視図であり、図4は平面図であり、図5は分解斜視図である。駆動伝達装置6は、駆動入力部61と、欠け歯ギア部62と、駆動出力部63とを備える。
駆動入力部61は、駆動伝達装置6における、駆動モーターのモーター出力軸MSからの駆動力が駆動伝達系5を介して入力される部分である。図6は駆動伝達装置6における駆動入力部61の構成を示す斜視図であり、図7は平面図であり、図8は断面図である。駆動入力部61は、第1入力ギア611と、第2入力ギア612とを含む。
駆動入力部61において、第1入力ギア611は、駆動伝達系5の第11駆動伝達ギア5Ka又は第15駆動伝達ギア5Kbに噛合され、駆動モーターのモーター出力軸MSからの駆動力が入力されるギアである。この第1入力ギア611は、左右方向に延びる第1シャフト613に回転可能に挿通されている。図5乃至図7に示すように、第1入力ギア611には、周方向(回転方向)に延びる孔部である駆動入力係合孔部611aが形成されている。本実施形態では、第1入力ギア611には、2つの駆動入力係合孔部611aが形成されている。
駆動入力部61において、第2入力ギア612は、第1シャフト613に回転可能に挿通され、第1入力ギア611と係合可能なギアである。この第2入力ギア612は、後述の欠け歯ギア部62の第1欠け歯ギア621と噛合可能である。図5乃至図7に示すように、第2入力ギア612には、中央部に第1シャフト613が挿通される第1シャフト挿通孔部612bが形成されている。更に、第2入力ギア612には、軸方向(径方向と直交する左右方向)に突出し、周方向(回転方向)に延びる突片である駆動入力係合突片612aが、第1シャフト挿通孔部612bに沿って形成されている。本実施形態では、第2入力ギア612には、第1入力ギア611の駆動入力係合孔部611aに対応して、2つの駆動入力係合突片612aが形成されている。第2入力ギア612は、駆動入力係合突片612aが駆動入力係合孔部611aに挿入されるように、第1シャフト613に挿通されている。
図7に示すように、駆動入力部61において、第1入力ギア611と第2入力ギア612とは、回転方向に所定の入力回転クリアランス61Aを有して互いに係合される。具体的には、第1入力ギア611の駆動入力係合孔部611aの周方向の長さが、第2入力ギア612の駆動入力係合突片612aの周方向の長さよりも、長く設定されている。そして、駆動入力係合突片612aが駆動入力係合孔部611aに挿入された状態において、駆動入力係合孔部611aにおける駆動入力係合突片612aが配置されていない隙間領域が、入力回転クリアランス61Aとなる。
上記構成の駆動入力部61では、モーター出力軸MSからの駆動力の入力により第1入力ギア611が入力回転クリアランス61Aの範囲で回転し、駆動入力係合孔部611aの回転方向上流側端縁が駆動入力係合突片612aの回転方向上流側端部に当接して係合すると、第2入力ギア612が第1入力ギア611の回転に連動して回転する。すなわち、モーター出力軸MSからの駆動力が第1入力ギア611に入力される時点と、第1入力ギア611と係合して第2入力ギア612の回転が開始される時点とは、時間差を有している。従って、モーター出力軸MSからの駆動力が、第1入力ギア611に入力されると同時に、第1欠け歯ギア621と噛合した第2入力ギア612に伝達されることが防止される。これにより、第1欠け歯ギア621と噛合した第2入力ギア612に対して第1入力ギア611から駆動力が伝達されるときの衝撃力を、緩和することができる。
駆動伝達装置6において、欠け歯ギア部62は、モーター出力軸MSからの駆動力が駆動入力部61から伝達される部分である。図3乃至図5に示すように、欠け歯ギア部62は、第2入力ギア612と噛合可能に設けられ、欠け歯部を有する第1欠け歯ギア621と、第1欠け歯ギア621と同軸上に配置され、欠け歯部を有する第2欠け歯ギア622と、を含む。この欠け歯ギア部62の構成の詳細については、後述する。
駆動伝達装置6において、駆動出力部63は、欠け歯ギア部62から駆動力が伝達される部分であり、その伝達された駆動力をトナーコンテナ27の搬送フィーダ271へ出力する。図9は駆動伝達装置6における駆動出力部63の構成を示す平面図であり、図10は断面図である。駆動出力部63は、第1出力ギア631と、第2出力ギア632とを含む。
駆動出力部63において、第1出力ギア631は、第2欠け歯ギア622と噛合可能に設けられたギアであり、当該第2欠け歯ギア622から駆動力が伝達される。この第1出力ギア631は、第1シャフト613と平行な左右方向に延びる第2シャフト633に回転可能に挿通されている。図5及び図9に示すように、第1出力ギア631には、中央部に第2シャフト633が挿通される第2シャフト挿通孔部631bが形成されている。更に、第1出力ギア631には、周方向(回転方向)に延びる孔部である駆動出力係合孔部631aが、第2シャフト挿通孔部631bに沿って形成されている。本実施形態では、第1出力ギア631には、2つの駆動出力係合孔部631aが形成されている。
駆動出力部63において、第2出力ギア632は、第2シャフト633に回転可能に挿通され、第1出力ギア631と係合可能なギアである。この第2出力ギア632は、第1出力ギア631から駆動力が伝達され、その伝達された駆動力を、トナーコンテナ27の搬送フィーダ271へ出力する。図5及び図9に示すように、第2出力ギア632には、軸方向(径方向と直交する左右方向)に突出し、周方向(回転方向)に延びる突片である駆動出力係合突片632aが形成されている。本実施形態では、第2出力ギア632には、第1出力ギア631の駆動出力係合孔部631aに対応して、2つの駆動出力係合突片632aが形成されている。第2出力ギア632は、駆動出力係合突片632aが駆動出力係合孔部631aに挿入されるように、第2シャフト633に挿通されている。
図9に示すように、駆動出力部63において、第1出力ギア631と第2出力ギア632とは、回転方向に所定の出力回転クリアランス63Aを有して互いに係合される。具体的には、第1出力ギア631の駆動出力係合孔部631aの周方向の長さが、第2出力ギア632の駆動出力係合突片632aの周方向の長さよりも、長く設定されている。そして、駆動出力係合突片632aが駆動出力係合孔部631aに挿入された状態において、駆動出力係合孔部631aにおける駆動出力係合突片632aが配置されていない隙間領域が、出力回転クリアランス63Aとなる。
上記構成の駆動出力部63では、第2欠け歯ギア622からの駆動力の伝達により第1出力ギア631が出力回転クリアランス63Aの範囲で回転し、駆動出力係合孔部631aの回転方向上流側端縁が駆動出力係合突片632aの回転方向上流側端部に当接して係合すると、第2出力ギア632が第1出力ギア631の回転に連動して回転する。すなわち、第2欠け歯ギア622の歯部が第1出力ギア631の歯部に衝突して第1出力ギア631の回転が開始される時点と、第1出力ギア631と係合して第2出力ギア632の回転が開始される時点とは、時間差を有している。従って、第2欠け歯ギア622の歯部が第1出力ギア631の歯部に衝突したときの衝撃力が、駆動力をトナーコンテナ27の搬送フィーダ271へ出力するための第2出力ギア632に、直接的に伝達されることが防止される。
更に、図10に示すように、駆動出力部63において、第1出力ギア631と第2出力ギア632とは、第2シャフト633に近接する内側の出力ギアが第2シャフト633との間に所定の摺動クリアランスよりも大きなクリアランス63B(以下では、「径方向クリアランス63B」という)を有して配置されている。本実施形態では、第1出力ギア631及び第2出力ギア632のうち、第2シャフト633に近接する内側の出力ギアは、第2出力ギア632である。
従来、シャフトに回転可能に挿通されるギアにおいては、シャフトの外周面に対するギアの回転摺動特性を維持しつつ、回転時におけるギアの径方向への変位が極力小さくなるように、ギアとシャフトとの間の摺動クリアランスが設定される。例えば、外径6mmのシャフトに対し、一般的には、0.05mmの摺動クリアランスが設定される。ギアとシャフトとの間のクリアランスを所定の摺動クリアランスに設定すると、ギアの径方向への変位が許容されない構成となる。このような構成では、静止しているギアの歯部に対して一定速度で回転する欠け歯ギアの歯部が衝突したときの衝撃力が大きなものとなってしまう。
そこで、本実施形態の駆動伝達装置6において、第1出力ギア631と第2出力ギア632とは、第2シャフト633に近接する内側の出力ギア(第2出力ギア632)が第2シャフト633との間に所定の摺動クリアランスよりも大きな径方向クリアランス63Bを有して配置されている。例えば、外径6mmの第2シャフト633に対し、0.25mmの径方向クリアランス63Bが設定される。径方向クリアランス63Bの上限値としては、第1出力ギア631と第2欠け歯ギア622との間の噛合性能が低下しない値が選ばれ、例えば、第1出力ギア631の歯部の歯たけ(歯高)に設定される。このような構成とすることによって、静止している第1出力ギア631の歯部に対して一定速度で回転する第2欠け歯ギア622の歯部が衝突したときに、第1出力ギア631並びに当該第1出力ギア631に係合された第2出力ギア632の径方向への変位が許容される。これにより、第1出力ギア631の歯部に対して第2欠け歯ギア622の歯部が衝突したときの衝撃力を低減することができる。従って、衝撃音及び振動の発生を抑止することができる。
また、本実施形態では、図9に示すように、第2出力ギア632の駆動出力係合突片632aが第1出力ギア631の駆動出力係合孔部631aに挿入された状態において、駆動出力係合孔部631aにおける駆動出力係合突片632aが配置されていない隙間領域に、付勢バネ部材68が配置されている。この付勢バネ部材68は、一端部が一の駆動出力係合孔部631aの回転方向上流側端縁に接続され、他端部が一の駆動出力係合突片632aの回転方向上流側端部に接続されて、第2出力ギア632を回転方向に付勢するバネ部材である。駆動伝達装置6では、第1出力ギア631が第2欠け歯ギア622と噛合して回転し、当該第1出力ギア631と係合した第2出力ギア632が回転することにより、第2出力ギア632からの搬送フィーダ271への駆動力の伝達が完了すると、付勢バネ部材68の付勢力により第2出力ギア632が回転される。これにより、第1出力ギア631が第2出力ギア632と係合するまでの第1出力ギア631の回転移動距離が出力回転クリアランス63Aと一致するように、第1出力ギア631と第2出力ギア632とを配置することができる。
また、図3(1)、図4(1)及び図5に示すように、駆動伝達装置6は、第1欠け歯ギア621と同軸上に配置され、当該第1欠け歯ギア621に固定された円環状の第1カム部材64を備える。この第1カム部材64は、係止部641を有する。更に、駆動伝達装置6は、ソレノイド65を備える。このソレノイド65は、通電により回動可能なフラッパー651を含む。ソレノイド65において、フラッパー651は、その先端爪部651aが第1カム部材64の係止部641に係止して、所定のタイミングで第1欠け歯ギア621の回転を規制する。ソレノイド65を備えた駆動伝達装置6では、通電によるフラッパー651の回動によって、フラッパー651と第1カム部材64の係止部641との間の係止が解除されることにより、第1欠け歯ギア621の回転が可能となり、当該第1欠け歯ギア621と同軸上に配置された第2欠け歯ギア622の回転も可能となる。ソレノイド65の構成の詳細については、後述する。
また、図3(2)及び図4(2)に示すように、駆動伝達装置6は、第2欠け歯ギア622と同軸上に配置され、当該第2欠け歯ギア622に固定された円環状の第2カム部材66を備える。更に、駆動伝達装置6は、回動付勢アーム67(付勢部材)を備える。この回動付勢アーム67は、ソレノイド65による係止部641との係止が解除されたときに、第1欠け歯ギア621及び第2欠け歯ギア622が回転するように、第2カム部材66を付勢する。回動付勢アーム67は、第2カム部材66の周面(カム面)に当接する突起部671を含む。回動付勢アーム67は、第2欠け歯ギア622の回転に応じて突起部671が第2カム部材66のカム面に沿って移動するように、回動可能である。
回動付勢アーム67を備えた駆動伝達装置6では、モーター出力軸MSからの駆動力が第1入力ギア611及び第2入力ギア612を介して第1欠け歯ギア621に入力されていない期間において、回動付勢アーム67の付勢力により、第1欠け歯ギア621及び第2欠け歯ギア622を回転させることができる。
次に、駆動伝達装置6に備えられる欠け歯ギア部62の構成の詳細について、図11乃至図15を参照して説明する。図11は駆動伝達装置6における欠け歯ギア部62の構成を示す斜視図であり、図12は分解斜視図であり、図13は断面図であり、図14は分解断面図であり、図15は平面図である。なお、図15は、第2カム部材66を取り除いた状態で第2欠け歯ギア622側から見た平面図である。
前述の如く、欠け歯ギア部62は、第2入力ギア612と噛合可能に設けられた第1欠け歯ギア621と、当該第1欠け歯ギア621と同軸上に配置され、第1出力ギア631と噛合可能に設けられた第2欠け歯ギア622と、を含む。第1欠け歯ギア621は、周方向(回転方向)の一定領域に歯部が存在しない欠け歯部621aを有する。また、第2欠け歯ギア622も同様に、周方向(回転方向)の一定領域に歯部が存在しない欠け歯部622aを有する。
図11に示すように、本実施形態では、欠け歯ギア部62において、第1欠け歯ギア621の回転方向最下流の歯部621bは、第2欠け歯ギア622の回転方向最下流の歯部622bよりも、回転方向上流側に配置されている。前述の如く、駆動伝達装置6は、モーター出力軸MSからの駆動力が第1入力ギア611及び第2入力ギア612を介して第1欠け歯ギア621に入力されていない期間において、回動付勢アーム67の付勢力により、第1欠け歯ギア621及び第2欠け歯ギア622を回転させるよう、構成されている。
このような回動付勢アーム67を備えた駆動伝達装置6において、第1欠け歯ギア621の回転方向最下流の歯部621bが、第2欠け歯ギア622の回転方向最下流の歯部622bよりも、回転方向上流側に配置された構成とすることによって、回動付勢アーム67の付勢力により第1欠け歯ギア621及び第2欠け歯ギア622を回転させたときに、第2欠け歯ギア622が第1出力ギア631と噛合していない状態で、第1欠け歯ギア621が第2入力ギア612と噛合した状態とすることができる。第2入力ギア612と噛合した状態の第1欠け歯ギア621を回動付勢アーム67の付勢力によって回転させることにより、モーター出力軸MSからの駆動力が第1入力ギア611に入力される前に、第1入力ギア611が第2入力ギア612と係合するまでの第1入力ギア611の回転移動距離が入力回転クリアランス61Aと一致するように、第1入力ギア611と第2入力ギア612とを配置することができる。
また、図12及び図15に示すように、第1欠け歯ギア621は、欠け歯ギア用シャフト623に回転可能に挿通される円環状の欠け歯ギアであり、径方向外方側に突出する第1嵌合突部621cを有する。本実施形態では、図15に示すように、第1欠け歯ギア621は、周方向に等間隔に配置される4つの第1嵌合突部621cを有する。
第2欠け歯ギア622は、欠け歯ギア用シャフト623に回転可能に挿通される円環状の欠け歯ギアであり、径方向内方側に突出する第2嵌合突部622dを有する。本実施形態では、図12及び図15に示すように、第2欠け歯ギア622は、周方向に等間隔に配置される4つの第2嵌合突部622dを有し、これら4つの第2嵌合突部622dの間に4つの嵌合溝622cが形成されている。
そして、第1欠け歯ギア621と第2欠け歯ギア622とは、欠け歯ギア用シャフト623に挿通された状態において、第1欠け歯ギア621の第1嵌合突部621cが第2欠け歯ギア622の嵌合溝622cに嵌め込まれて嵌合されている。このような構成の第1欠け歯ギア621及び第2欠け歯ギア622では、第1嵌合突部621cの回転方向下流側端部と、第2嵌合突部622dの回転方向上流側端部との当接位置において、トルク伝達が行われる。
また、図12に示すように、第2欠け歯ギア622は、第1欠け歯ギア621と第2カム部材66との間に配置され、第2カム部材66によって軸方向の移動が規制されている。換言すると、第2カム部材66は、第1欠け歯ギア621と協働して、第2欠け歯ギア622を挟持する挟持部材としての機能を有する。
図12を参照して説明すると、第2カム部材66は、欠け歯ギア用シャフト623が挿通可能な略円筒状に形成され、挿通筒部661と、カム部662と、延出部663とを含む。挿通筒部661は、第2カム部材66における欠け歯ギア用シャフト623が挿通される部分である。カム部662は、上記の回動付勢アーム67の突起部671が当接するカム面を形成し、第2カム部材66においてカム形状を有する部分である。回動付勢アーム67は、第2カム部材66におけるカム部662を付勢するように構成される。延出部663は、挿通筒部661とカム部662との間に配置され、挿通筒部661及びカム部662の外周面よりも径方向外方側に延出して設けられる。この延出部663は、第2カム部材66における、第2欠け歯ギア622の軸方向への移動を規制する機能を果たす部分である。
更に、本実施形態の駆動伝達装置6において、第2欠け歯ギア622は、衝撃吸収性を有するエラストマー材料からなる。これにより、静止している第1出力ギア631の歯部に対して一定速度で回転する第2欠け歯ギア622の歯部が衝突したときの衝撃力を、より確実に低減することができる。従って、衝撃音及び振動の発生を、より確実に抑止することができる。
ここで、第2欠け歯ギア622と第1出力ギア631との噛合開始時の衝撃力を低減する構成としては、第2欠け歯ギア622における回転方向最下流の歯部622bのみを衝撃吸収性を有するエラストマー材料とする構成や、第2欠け歯ギア622における回転方向下流側の一定範囲の歯部を変形させる構成が考えられる。しかしながら、第2欠け歯ギア622における一部の歯部のみを別材料で構成すると、隣接する歯部間のピッチの安定性が低下してしまう。また、第2欠け歯ギア622における一部の歯部を変形させると、第1出力ギア631との噛合性能が低下したり、トルクロスが生じてしまう。
そこで、第2欠け歯ギア622は、全体が、衝撃吸収性を有するエラストマー材料により構成されている。従って、第2欠け歯ギア622における歯部間のピッチの安定性、並びに第1出力ギア631との噛合性能を高水準に維持しつつ、衝撃音及び振動の発生を抑止することができる。
第2欠け歯ギア622を構成する、衝撃吸収性を有するエラストマー材料としては、低弾性の熱可塑性高分子材料が挙げられる。ここで、「低弾性」とは、第2欠け歯ギア622が第1出力ギア631と噛合したときに、その歯部が変形せず、且つ衝撃吸収性を保持する「硬さ」に選ばれる。
熱可塑性高分子材料としては、例えば、スチレン系(ブタジエンスチレン系、イソプレンスチレン系など)、エステル系、アミド系、ウレタン系などの各種熱可塑性エラストマー、並びに、それらの水添、その他による変性物、スチレン系、ABS系、オレフィン系(エチレン系、プロピレン系、エチレンプロピレン系、エチレンスチレン系、プロピレンスチレン系など)、塩化ビニル系、アクリル酸エステル系(アクリル酸メチル系など)、メタクリル酸エステル系(メタクリル酸メチル系、など)カーボネート系、アセタール系、ナイロン系、ハロゲン化ポリエーテル系(塩化ポリエーテル系など)、ハロゲン化オレフィン系(四フッ化エチレン系、フッ化−塩化エチレン系、フッ化エチレンプロピレン系
など)、セルロース系(アセチルセルロース系、エチルセルロース系など)、ビニリデン系、ビニルブチラール系、アルキレンオキサイド系(プロピレンオキサイド系など)等の熱可塑性樹脂、及びこれらの樹脂のゴム変性物などが挙げられる。
次に、駆動伝達装置6の動作について説明する。図16A、図16B及び図16Cは、駆動伝達装置6の動作を説明するための図である。
ソレノイド65への通電によりフラッパー651が第1カム部材64から離間する方向に回動すると、フラッパー651と第1カム部材64の係止部641との間の係止が解除される。このように、フラッパー651と第1カム部材64の係止部641との間の係止が解除された状態で、図16A(1)に示すように、回動付勢アーム67の付勢力により、第1欠け歯ギア621及び第2欠け歯ギア622が回転する。
回動付勢アーム67の付勢力により第1欠け歯ギア621が回転し、第1欠け歯ギア621の回転方向最下流の歯部621bが、第2入力ギア612の歯部に到達すると、図16A(2)に示すように、第2入力ギア612の回転が開始される。このとき、第1欠け歯ギア621の回転方向最下流の歯部621bが、第2欠け歯ギア622の回転方向最下流の歯部622bよりも、回転方向上流側に配置された構成であるので、第2欠け歯ギア622は第1出力ギア631と噛合しておらず、このため第1出力ギア631は回転していない。
第2欠け歯ギア622の回転に応じて突起部671が第2カム部材66のカム面に沿って移動するように回動する回動付勢アーム67は、突起部671がカム面上の所定の位置に到達した時点で、その回動動作が停止される。このような状態では、回動付勢アーム67は、第1欠け歯ギア621及び第2欠け歯ギア622に対し、回転可能な付勢力を与えない。このため、図16A(3)に示すように、第1欠け歯ギア621及び第2欠け歯ギア622、並びに第2入力ギア612の回転が停止される。なお、図16A(3)に示す状態では、第1入力ギア611と第2入力ギア612とは、第1入力ギア611が第2入力ギア612と係合するまでの第1入力ギア611の回転移動距離が入力回転クリアランス61Aと一致するような位置関係で、配置されている。
次に、駆動伝達系5の第11駆動伝達ギア5Ka又は第15駆動伝達ギア5Kbを介してモーター出力軸MSからの駆動力が第1入力ギア611に入力されると、第1入力ギア611は回転する。
モーター出力軸MSからの駆動力の入力により第1入力ギア611が入力回転クリアランス61Aの範囲で回転し、駆動入力係合孔部611aの回転方向上流側端縁が駆動入力係合突片612aの回転方向上流側端部に当接して係合すると、第2入力ギア612が第1入力ギア611の回転に連動して回転する。このように、第2入力ギア612が回転すると、図16B(4)に示すように、第2入力ギア612と噛合した第1欠け歯ギア621が回転し、その第1欠け歯ギア621の回転に伴って第2欠け歯ギア622も回転する。
第2欠け歯ギア621が回転すると、図16B(5)に示すように、第2欠け歯ギア621の回転方向最下流の歯部622bが、第1出力ギア631の歯部に到達する。
第2欠け歯ギア621の回転方向最下流の歯部622bが、第1出力ギア631の歯部に到達すると、図16B(6)に示すように、第1出力ギア631の回転が開始される。
そして、第2欠け歯ギア622からの駆動力の伝達により第1出力ギア631が出力回転クリアランス63Aの範囲で回転し、駆動出力係合孔部631aの回転方向上流側端縁が駆動出力係合突片632aの回転方向上流側端部に当接して係合すると、図16C(7)に示すように、第2出力ギア632が第1出力ギア631の回転に連動して回転する。
上記のように、第2出力ギア632が回転すると、その回転駆動力がトナーコンテナ27の搬送フィーダ271へ伝達される。このようにして、駆動伝達装置6は、駆動モーターのモーター出力軸MSからの駆動力を所定のタイミングで、搬送フィーダ271に伝達する。
第2出力ギア632からの搬送フィーダ271への駆動力の伝達が完了すると、付勢バネ部材68の付勢力により第2出力ギア632が回転される。これにより、第1出力ギア631が第2出力ギア632と係合するまでの第1出力ギア631の回転移動距離が出力回転クリアランス63Aと一致するように、第1出力ギア631と第2出力ギア632とを配置することができる。
次に、駆動伝達装置6に備えられるソレノイド65の構成の詳細について、図17乃至図19を参照して説明する。図17は、駆動伝達装置6におけるソレノイド65の近傍を示す平面図である。図18は、駆動伝達装置6におけるソレノイド65の動作を説明するための図である。図19は、駆動伝達装置6におけるソレノイド65の近傍を拡大して示す平面図である。
ソレノイド65は、ソレノイド本体65Aと、当該ソレノイド本体65Aに回動可能に取り付けられたフラッパー651とを含む。ソレノイド65において、フラッパー651は、通電により回動可能である。前述の如く、ソレノイド65において、フラッパー651は、その先端爪部651aが第1カム部材64の係止部641に係止して、所定のタイミングで第1欠け歯ギア621の回転を規制する。
フラッパー651は、通電とその通電停止とにより第1位置と該第1位置とは異なる第2位置との間で回動可能である。本実施形態では、フラッパー651は、ソレノイド65への通電により第1カム部材64から離間する方向へ回動し、第1カム部材64から離間した第1位置に配置される。フラッパー651が第1位置に配置された状態は、図18の実線で示される。ソレノイド65への通電によりフラッパー651が第1位置に配置されると、フラッパー651と第1カム部材64の係止部641との間の係止が解除された状態となり、第1欠け歯ギア621の回転が可能となる。
ソレノイド65が通電状態から通電停止状態へ切り替えられると、第1カム部材64から離間した第1位置に配置されていたフラッパー651は、第1カム部材64に近接する方向へ回動する。ソレノイド65への通電停止時には、フラッパー651は、通電停止状態での停止位置となる第2位置に達するまで回動可能である。フラッパー651が第2位置に停止した状態は、図18の破線で示される。
上記のように、フラッパー651は、通電による第1位置と通電停止による第2位置との間で回動可能である。そして、フラッパー651は、前記第1位置と前記第2位置との間の係止位置において、第1カム部材64の係止部641に係止する。
ソレノイド65が通電状態から通電停止状態へ切り替えられると、第1カム部材64から離間した第1位置に配置されていたフラッパー651は、第1カム部材64に当接する、通電停止状態での停止位置となる第2位置に達するまで回動しようとする。ソレノイド65への通電停止によりフラッパー651が第1カム部材64に近接する方向へ回動し、第1カム部材64に衝突すると、ユーザーにとって不快な衝撃音が発生し、更には画像形成装置1が振動することもある。
そこで、本実施形態の駆動伝達装置6は、図19に示すように、回動規制部材69を備えている。回動規制部材69は、フラッパー651の回動経路上に配置され、ソレノイド65において通電状態から通電停止状態となったときに、フラッパー651の第2位置までへの回動を規制する部材である。回動規制部材69は、ソレノイド65において通電状態から通電停止状態となったときに、フラッパー651の第2位置までへの回動を規制するので、フラッパー651の回動による第1カム部材64への衝突を防止することができる。このため、フラッパー651の第1カム部材64への衝突に起因した衝撃音及び振動の発生を抑止することができる。
更に、回動規制部材69は、フラッパー651の回動経路上において、前記係止位置と前記第2位置との間に配置されていることが望ましい。このような回動規制部材69の配置によって、第1位置と第2位置との間の係止位置における、フラッパー651と第1カム部材64の係止部641との間の係止状態が阻害されることを、抑止することができる。
更に、回動規制部材69は、衝撃緩衝材料からなることが望ましい。衝撃緩衝材料は、クッション性を有する材料であり、ゴムやポリウレタンなどが挙げられる。この構成によって、回動規制部材69がフラッパー651の回動を規制したときに衝撃音が発生することを、抑止することができる。
また、ソレノイド65は、ソレノイド本体65Aに固定された第1衝撃緩衝材65Aaと、フラッパー651の先端爪部651aに固定された第2衝撃緩衝材651aaと、を含む構成としてもよい。ソレノイド本体65Aに第1衝撃緩衝材65Aaが固定された構成とすることによって、通電によりフラッパー651が第1カム部材64から離間する方向に回動したときの、フラッパー651のソレノイド本体65Aに対する直接的な衝突を防止することができる。これにより、フラッパー651のソレノイド本体65Aに対する衝突に起因した衝撃音の発生を抑止することができる。また、先端爪部651aに第2衝撃緩衝材651aaが固定された構成とすることによって、先端爪部651aが第1カム部材64の係止部641に係止するときの、先端爪部651aの係止部641に対する直接的な衝突を防止することができる。これにより、先端爪部651aの係止部641に対する衝突に起因した衝撃音の発生を抑止することができる。
図20A、図20B及び図20Cは、駆動伝達装置6におけるソレノイド65の動作に対する回動規制部材69の機能を説明するための図である。
図20A(1)に示すように、ソレノイド65において、フラッパー651は、前記第1位置と前記第2位置との間の係止位置において、第1カム部材64の係止部641に係止する。これにより、第1欠け歯ギア621の回転を規制する。フラッパー651が係止部641に係止した状態では、回動規制部材69は、フラッパー651から離間した状態である。
ソレノイド65に通電されると、図20A(2)に示すように、フラッパー651が第1カム部材64から離間する方向へ回動し、第1カム部材64から離間した第1位置に配置される。これにより、フラッパー651と第1カム部材64の係止部641との間の係止が解除された状態となり、第1欠け歯ギア621が回転する。
ソレノイド65への通電が停止されると、図20A(3)に示すように、フラッパー651が第1カム部材64に近接する方向へ回動する。第1カム部材64に近接する方向へ回動するフラッパー651は、第2位置に到達する前に回動規制部材69に接触する。これにより、フラッパー651の第2位置までへの回動が規制される。
回動規制部材69によりフラッパー651の、第1カム部材64に近接する方向への回動が規制された状態では、図20B(4)に示すように、第1欠け歯ギア621の回転は継続されている。そして、第1欠け歯ギア621に固定された第1カム部材64は、第1欠け歯ギア621の回転に連動して、回転する。
回動規制部材69により回動が規制され、フラッパー651が回動規制部材69と接触して静止した状態で、第1欠け歯ギア621の回転に連動して第1カム部材64が回転すると、やがて、図20B(5)に示すように、フラッパー651の先端爪部651aの先端が、第1カム部材64のカム面に当接するようになる。
ここで、第1カム部材64におけるカム面の中心からの距離は、係止部641を基準として、回転方向下流側から上流側に向かって徐々に長くなるように設定されている。図20B(5)、図20B(6)、図20C(7)、図20C(8)及び図20C(9)を参照して説明すると、第1カム部材64におけるカム面の中心からの距離は、距離a、距離b、距離c、距離d、距離eの順に長くなっている。
第1カム部材64のカム面が上記のように構成されているので、フラッパー651の先端爪部651aの先端が、第1カム部材64のカム面に当接すると、図20B(6)、図20C(7)及び図20C(8)に示すように、フラッパー651は、第1カム部材64の回転に応じて先端爪部651aの先端が第1カム部材64のカム面に沿って移動するように回動する。これにより、フラッパー651は、回動規制部材69から離間した状態となる(図20C(8)参照)。
第1カム部材64の回転に応じて先端爪部651aの先端が第1カム部材64のカム面に沿って移動し、先端爪部651aが係止部641に到達すると、図20C(9)に示すように、フラッパー651は、係止部641に係止する。これにより、第1欠け歯ギア621の回転を規制する。
以上説明したように、本実施形態の駆動伝達装置6は、第2欠け歯ギア622の歯部と第1出力ギア631の歯部との間の衝突に起因した衝撃音及び振動の発生を抑止することができる。また、本実施形態の駆動伝達装置6は、フラッパー651の第1カム部材64への衝突に起因した衝撃音及び振動の発生を抑止することができる。
また、駆動伝達装置6を備えた画像形成装置1は、駆動モーターのモーター出力軸MSからの駆動力を所定のタイミングで回転体に伝達するときに、衝撃音及び振動の発生が抑止されるので、ユーザーに不快感を与えることが防止され、且つシートに形成された画像に筋状の画像欠陥が発生することを抑止することができる。