JP2017210155A - 車体の接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】断面ハット状の車体構成部材の曲げに対する剛性や座屈強度の向上を図ることができる車体の接合構造を提供することを課題とする。
【解決手段】第1側面部92、該第1側面部に対向する第2側面部93、前記第1及び第2側面部92,93の一方側の端部同士を繋ぐ連絡面部94、並びに、前記第1側面部92の他方側の端部から反連絡面部側に延びるフランジ部95を有する第1車体構成部材91と、前記フランジ部95に接合された第2車体構成部材78との間に閉断面が形成された車体の接合構造において、前記第1側面部92と前記フランジ部95との間に鋭角のコーナ部K1を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、断面ハット状の車体構成部材を有する車体の接合構造に関し、車体の生産技術分野に属する。
自動車の車体には、車体の剛性を確保したり、荷重を伝達したりする機能を有する車体構成部材として、断面ハット状の部材が設けられることがある。この種の車体構成部材は、その一対のフランジ部において、溶接によって別の車体構成部材に接合され、該車体構成部材との間に、長さ方向に連続する閉断面が形成される。
このような断面ハット状の車体構成部材の一例として、特許文献1には、車体後部においてフロアパネルの下面に沿って車体幅方向に延びるクロスメンバが開示されている。該クロスメンバは、左右のリヤサイドフレーム間に架設されており、これにより、車体の剛性が確保されると共に、クロスメンバを介した左右のリヤサイドフレーム間での荷重伝達が果たされるようにしてある。
特許文献1に開示されたクロスメンバは、互いに対向する前面部及び後面部と、これらの下端同士を繋ぐ下面部と、前面部及び後面部の上端からそれぞれ外方に延びる前後一対のフランジ部とを有し、各フランジ部は、車体後方側に向かって上側に傾斜したフロアパネルの傾斜部に接合されている。
このようにして傾斜部に接合されたクロスメンバにおいて、後面部は車体上下方向に沿って配置されているのに対して、前面部は車体下方側に向かって車体後方側へ傾斜して配置されており、クロスメンバの前側フランジ部と前面部との間には、車体側面視において略直角のコーナ部が形成されている。これにより、前側フランジ部の後下方に、前面部に干渉することなく溶接ガンを配置し得るスペースが確保されるため、前側フランジ部及びフロアパネルを上下両側から挟み込む溶接ガンによって、これらを溶接することができる。
特開2008−013052号公報
しかしながら、上記の特許文献1のクロスメンバのように、その前面部が前側フランジ部の後端から後下方に傾斜した方向に延びるように設けられる場合、前側フランジ部の後端から真下へ傾斜することなく延びる場合に比べて、中立軸の位置から前面部の下端までの距離、ひいてはクロスメンバの断面二次モーメントが小さくなる。
したがって、上記のように断面ハット状の車体構成部材が傾斜部に接合される車体の接合構造においては、当該車体構成部材の曲げに対する剛性や座屈強度を向上させる上で改良の余地がある。
そこで、本発明は、断面ハット状の車体構成部材の曲げに対する剛性や座屈強度の向上を図ることができる車体の接合構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る車体の接合構造は次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明に係る車体の接合構造は、
第1側面部、該第1側面部に対向する第2側面部、前記第1及び第2側面部の一方側の端部同士を繋ぐ連絡面部、並びに、前記第1側面部の他方側の端部から反連絡面部側に延びるフランジ部を有する第1車体構成部材と、前記フランジ部に接合された第2車体構成部材との間に閉断面が形成された車体の接合構造であって、
前記第1側面部と前記フランジ部との間に鋭角のコーナ部が形成されていることを特徴とする。
また、本願の請求項2に記載の発明に係る車体の接合構造は、
第1側面部、該第1側面部に対向する第2側面部、前記第1及び第2側面部の一方側の端部同士を繋ぐ連絡面部、並びに、前記第1側面部の他方側の端部から反連絡面部側に延びるフランジ部を有する第1車体構成部材と、前記フランジ部に接合された第2車体構成部材との間に閉断面が形成された車体の接合構造であって、
前記第1車体構成部材には、前記第1側面部から外側に突出した複数のリブが前記第1車体構成部材の長さ方向に間隔を空けて設けられ、
前記複数のリブのそれぞれは、前記第1車体構成部材の長さ方向から見て、前記フランジ部における第1側面部側の端部との間に直角のコーナ部を形成するように前記第1側面部側の端部から延びる仮想の半直線とオーバラップするように設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記第2車体構成部材はフロアパネルであり、
前記フロアパネルの上面にシートベルトアンカが固定され、
前記フロアパネルの下面に、該フロアパネルを挟んで前記シートベルトアンカに対向するシートベルトアンカレインフォースメントが固定され、
前記第1車体構成部材は、前記フロアパネルの下面における前記シートベルトアンカレインフォースメントの車体後方側に隣接する部位に前記フランジ部において接合されて、車体幅方向に延びるクロスメンバであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記第2車体構成部材はフロアパネルであり、
前記フロアパネルの上面に、車体下方側に開放した断面ハット状の上側クロスメンバが接合され、
前記第1車体構成部材は、車体上方側に開放した向きで前記フロアパネルを挟んで前記上側クロスメンバに接合された下側クロスメンバであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明において、
前記フランジ部は、該フランジ部に直交させてねじ込まれたスクリュ部材によって前記第2車体構成部材に接合されており、
前記スクリュ部材の先端は、前記第1側面部に対向していることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、
前記第1車体構成部材は、アルミニウム合金からなることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の発明によれば、第1車体構成部材における第1側面部とフランジ部との間に鋭角のコーナ部が形成されていることにより、従来のハット状車体構成部材のように直角ないし鈍角のコーナ部が形成される場合に比べて、第1車体構成部材における中立軸の位置から第1側面部の反フランジ部側の端部までの距離、ひいては、断面二次モーメントの増大を図ることができる。そのため、第1車体構成部材の曲げに対する剛性及び座屈強度を向上させることができ、これにより、該第1車体構成部材の荷重伝達機能を向上させたり、車体全体の剛性を向上させたりすることが可能になる。
また、請求項2に記載の発明によれば、第1車体構成部材において、第1側面部から外側に突出した複数のリブのそれぞれが、第1車体構成部材の長さ方向から見て、フランジ部における第1側面部側の端部との間に直角のコーナ部を形成するように前記第1側面部側の端部から延びる仮想の半直線とオーバラップするように設けられていることにより、各リブが位置する第1車体構成部材の断面において、中立軸の位置からリブの縁部までの距離を大きく確保することができる。そのため、上記のような鋭角のコーナ部が形成されることがない従来のハット状車体構成部材に比べて、第1車体構成部材の断面二次モーメントの増大を図ることができる。したがって、第1車体構成部材の曲げに対する剛性及び座屈強度を向上させることができ、これにより、該第1車体構成部材の荷重伝達機能を向上させたり、車体全体の剛性を向上させたりすることが可能になる。
請求項3に記載の発明によれば、シートベルトアンカを介してシートベルトアンカレインフォースメントに入力された衝撃荷重を、上記のように荷重伝達機能の向上が図られたクロスメンバを介して左右のサイドフレームに伝達させることで、車体各部へ効果的に分散させることができる。これにより、フロアパネルへの応力集中が抑制されて、フロアパネルの変形を抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、フロアパネルの上面側に接合された上側クロスメンバと下面側に接合された下側クロスメンバとの間に、上側クロスメンバが設けられない場合に比べて車体上下方向寸法が増大された閉断面が形成されるため、該閉断面を構成する部分において断面二次モーメントが効果的に増大されることで、荷重伝達機能及び車体剛性の更なる向上を図ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、第1車体構成部材のフランジ部と第2車体構成部材との接合は、第2車体構成部材側からスクリュ部材をねじ込むことによって行われる。この接合作業において、第1車体構成部材側には何らツールを配置する必要がないため、上記のような鋭角のコーナ部をフランジ部との間に形成する第1側面部又はリブとの干渉が生じることなく、フランジ部を第2車体構成部材に接合することができる。
また、スクリュ部材の先端は第1車体構成部材の第1側面部に対向するため、ハーネス等の周辺部品の組付け時やメンテナンス時において、スクリュ部材にその先端側から接近する周辺部品等の物体がスクリュ部材の先端に接触して損傷することを抑制できる。
さらに、スクリュ部材による接合が行われることで、第1車体構成部材と第2車体構成部材を異種材料で構成しやすくなる。そのため、例えば、第1車体構成部材をアルミニウム合金やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等の軽量材料で構成したり、材料の軽量化に伴って板厚の増大を図ったりしやすくなり、これにより、第1車体構成部材の剛性や強度の向上を図りやすくなる。したがって、このように軽量化並びに剛性や強度の向上が図られた第1車体構成部材を用いて車体が構成されることで、車体の軽量化を図りつつ、車体剛性及び荷重分散機能の向上を図りやすくなる。
請求項6に記載の発明によれば、第1車体構成部材がアルミニウム合金で構成されることで、鋼材で構成される場合に比べて、第1車体構成部材の軽量化を図りつつ、材料の軽量化に伴って板厚の増大を図りやすくなることで、第1車体構成部材の剛性や強度の向上を図りやすくなる。したがって、このように軽量化並びに剛性や強度の向上が図られた第1車体構成部材を用いて車体が構成されることで、車体の軽量化を図りつつ、車体剛性及び荷重分散機能の向上を図りやすくなる。
本発明の実施形態に係る車体の接合構造を有する車両におけるリヤフロアパネル及びその周辺部を車体後上方側から見た斜視図である。 同リヤフロアパネル及びその周辺部を示す底面図である。 クロスメンバ及びその周辺部を示す図2のA−A線断面図である。 スクリュ部材をその側方から見た図である。 クロスメンバとリヤフロアパネルとの接合部を示す拡大断面図である。 クロスメンバの変形例を示す図5と同様の拡大断面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る車体の接合構造の詳細を説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「右」、「左」、「上」、「下」等の方向を示す用語は、特段の説明がある場合を除いて、車両の前進走行時の進行方向を「前」とした場合における車体の各方向を指すものとする。また、添付図面では、車体幅方向に符号「X」、車体前後方向に符号「Y」、車体上下方向に符号「Z」を付している。
図1に示すように、本実施形態に係る車体の接合構造を有する自動車1は、フロアパネル2、左右一対のサイドシル4、左右一対のルーフレール6、左右一対のヒンジピラー10、左右一対のセンタピラー12、左右一対のリヤピラー14、左右一対のフロアフレーム26、左右一対のリヤサイドフレーム28、リヤフロアパネル78及びクロスメンバ80を備えている。
フロアパネル2は、車室内空間の床面を構成する部材である。フロアパネル2の車体幅方向X中央部には、車体前後方向Yに延びるフロアトンネル2aが設けられており、該フロアトンネル2a内に、排気管やハーネス等が配設されている。
サイドシル4は、フロアパネル2の車体幅方向Xの端部に沿って車体前後方向Yに延びるように設けられている。ルーフレール6は、サイドシル4の車体上方側において車体前後方向Yに延びるように設けられている。
ヒンジピラー10は、サイドシル4及びルーフレール6の前端部間に跨がって、センタピラー12は、サイドシル4及びルーフレール6の中間部間に跨がって、リヤピラー14は、サイドシル4及びルーフレール6の後端部間に跨がって、それぞれ車体上下方向Zに延びるように設けられている。
フロアフレーム26は、フロアパネル2の下面に沿って車体前後方向Yに延びるように設けられている。フロアフレーム26は、車体幅方向Xにおいてサイドシル4よりも内側に配置されている。
図1及び図2に示すように、リヤサイドフレーム28は、車体前後方向Yに延びるように設けられており、その前端部において、フロアフレーム26の後端部に連結されている。リヤフロアパネル78は、左右のリヤサイドフレーム28間に架設されている。クロスメンバ80は、左右のリヤサイドフレーム28間に跨がって車体幅方向Xに延びるように設けられている。
図3に示すように、クロスメンバ80が配設された車体前後方向Y位置において、リヤフロアパネル78は、車体後方に向かって車体上方側へ傾斜した傾斜面部となっている。リヤフロアパネル78は、例えば鋼板からなる。
リヤフロアパネル78におけるクロスメンバ80の車体前方側に隣接する位置には、後席用シートベルト(図示せず)を支持する板状のシートベルトアンカ101,102が固定されている。シートベルトアンカ101,102は、車体上下方向Zに2枚重ねられた状態で、ボルト106によってリヤフロアパネル78の上面に固定されている。これらのシートベルトアンカ101,102は、車体幅方向Xの複数箇所(例えば2箇所)に配設されている。
クロスメンバ80は、リヤフロアパネル78の上面側に配設された上側クロスメンバ81と、リヤフロアパネル78の下面側に配設された下側クロスメンバ91とで構成されている。上側クロスメンバ81は、例えば鋼板からなる。下側クロスメンバ91は、例えばアルミニウム合金からなり、例えばダイカストによって成形されている。
上側クロスメンバ81は、車体下方側に開放した断面ハット状の部材である。上側クロスメンバ81は、車体前後方向Yに間隔を空けて対向する前面部82及び後面部83と、前面部82の上端と後面部83の上端とを繋ぐ連絡面部としての上面部84と、前面部82の下端から車体前方側に延びる前側フランジ部85と、後面部83の下端から車体後方側に延びる後側フランジ部86とを有する。
上側クロスメンバ81の上面部84は、車体上下方向Zに略垂直に配置され、前面部82は、車体前方に向かって車体下方側に傾斜して配置され、後面部83は、車体後方に向かって車体下方側に傾斜して配置されている。前側フランジ部85及び後側フランジ部86は、リヤフロアパネル78に接合される接合面部とされており、リヤフロアパネル78の上面に沿って配置されている。
下側クロスメンバ91は、車体上方側に開放した断面ハット状の部材である。下側クロスメンバ91は、車体前後方向Yに間隔を空けて対向する前面部92及び後面部93と、前面部92の下端と後面部93の下端とを繋ぐ連絡面部としての下面部94と、前面部92の上端から車体前方側に延びる前側フランジ部95と、後面部93の上端から車体後方側に延びる後側フランジ部96とを有する。
下側クロスメンバ91の下面部94は、車体上下方向Zに略垂直に配置され、前面部92及び後面部93は、車体側面視において車体上下方向Zに沿うように配置されている。前側フランジ部95及び後側フランジ部96は、リヤフロアパネル78に接合される接合面部とされており、リヤフロアパネル78の下面に沿って配置されている。
図2及び図3に示すように、下側クロスメンバ91の前側フランジ部95には、車体前方側に延びる左右一対の前方延長部95aが設けられている。各前方延長部95aには、シートベルトアンカ101,102をリヤフロアパネル78に固定するための上記のボルト106が差し込まれている。
リヤフロアパネル78の下面側には、該リヤフロアパネル78を挟んでシートベルトアンカ101,102に対向する板状のアンカ補強部材98が配設されている。
アンカ補強部材98は、下側クロスメンバ91の前方延長部95aが設けられた車体幅方向X位置において前側フランジ部95の下面に沿って配置されたベース面部98a、ベース面部98aの後端から車体下方側に延びて、下側クロスメンバ91の前面部92の前面に沿って配置された下方延長部98b、及び、下方延長部98bの下端から車体後方側に延びて、下側クロスメンバ91の下面部94の下面に沿って配置された後方延長部98cを有する。
アンカ補強部材98のベース面部98aの下面には、例えば溶接によりナット104が固定されている。このナット104には、車体上方側から差し込まれて上下のシートベルトアンカ101,102、リヤフロアパネル78、下側クロスメンバ91の前方延長部95a及びアンカ補強部材98のベース面部98aを貫通するボルト106が螺合されて締め付けられ、これにより、シートベルトアンカ101,102とアンカ補強部材98とがリヤフロアパネル78に固定されている。
アンカ補強部材98の後方延長部98cは、下側クロスメンバ91の下面部94に例えば溶接により固定されている。
このようにしてアンカ補強部材98が下側クロスメンバ91に接合されていることにより、後席用シートベルト装置(図示せず)の作動によりシートベルトアンカ101,102に入力された衝撃荷重は、アンカ補強部材98を介して下側クロスメンバ91に伝達され、さらに、クロスメンバ80を介してリヤサイドフレーム28に伝達される。このような荷重分散により、リヤフロアパネル78におけるシートベルトアンカ101,102の固定部への応力集中が抑制されて、リヤフロアパネル78の変形が抑制される。
上側クロスメンバ81及び下側クロスメンバ91の後側フランジ部86,96は、リヤフロアパネル78を介して、例えばSPR(セルフピアシングリベット)によって相互に接合されている。
上側クロスメンバ81及び下側クロスメンバ91の前側フランジ部85,95は、リヤフロアパネル78を介して、複数のセルフタッピング式のスクリュ部材70を用いて相互に接合されている。なお、この接合には、スクリュ部材70に加えて接着剤が併用されてもよい。
複数のスクリュ部材70は、上側クロスメンバ81及び下側クロスメンバ91の長さ方向において、これらの接合強度が十分に確保され得るような適当な間隔を空けて打ち込まれている。
図4及び図5を参照しながら、スクリュ部材70による上側クロスメンバ81及び下側クロスメンバ91の前側フランジ部85,95間の接合部の構成について具体的に説明する。
スクリュ部材70は、例えば特表平4−506243号公報に開示されたスクリュ部材と同様、下穴が形成されていない複数の被接合部(図4に示す例では、上側クロスメンバ81の前側フランジ部85、リヤフロアパネル78、下側クロスメンバ91の前側フランジ部95)に対してねじ穴を形成しながらねじ込まれるタイプのものである。
スクリュ部材70は、頭部71と、頭部71から延びる軸部74とを有する。頭部71における軸部74側の面には、軸部74の基端部を囲む周溝72(図5参照)が形成されている。軸部74は、その基端部から中間部にかけて設けられたねじ部75と、鋭利な先端76とを有する。
リヤフロアパネル78を介して前側フランジ部85,95間が接合されるとき、スクリュ部材70は、高速回転されながら、下穴が形成されていない上側クロスメンバ81の前側フランジ部85、リヤフロアパネル78、下側クロスメンバ91の前側フランジ部95に対して、車体上方側(上側クロスメンバ81側)から打ち込まれる。
スクリュ部材70の軸部74が上側クロスメンバ81の前側フランジ部85、リヤフロアパネル78、下側クロスメンバ91の前側フランジ部95を貫通するとき、これらの接合面部78,85,95における軸部74に対する接触面と、軸部74の外周面との間に摩擦熱が発生し、この熱により軸部74の周囲で塑性化した接合面部78,85,95にねじ穴が形成されながら、該ねじ穴にスクリュ部材70がねじ込まれる。
下側クロスメンバ91の前側フランジ部95には、スクリュ部材70の軸部74の貫通時に塑性化した母材が軸部74に沿って軸方向の先端側に伸張されることで、車体下方側に突出した突出部95bが形成される。また、上側クロスメンバ81の前側フランジ部85には、スクリュ部材70の軸部74の貫通時に塑性化した母材が軸方向に伸張されることで、車体上方側に突出してスクリュ部材70の周溝72に収容される突出部85aが形成される。
これにより、スクリュ部材70がねじ込まれる接合面部78,85,95において、軸方向に長いねじ穴が形成されることで、ねじ代が増大されるため、鋼板からなるリヤフロアパネル78及び上側クロスメンバ81の前側フランジ部85に対して、アルミニウム合金からなる下側クロスメンバ91の前側フランジ部95を強固に接合できる。
また、この種のスクリュ部材70を用いることで、接合面部78,85,95に下穴を開けることなく、車体上方側からの作業のみによって接合面部78,85,95間を接合できる。
このようにしてリヤフロアパネル78を挟んで上側クロスメンバ81と下側クロスメンバ91が接合されることにより、上側クロスメンバ81とリヤフロアパネル78との間、及び、下側クロスメンバ91とリヤフロアパネル78との間には、それぞれ車体幅方向Xに連続する閉断面が形成されている。
図5を参照しながら、スクリュ部材70による上側クロスメンバ81及び下側クロスメンバ91の前側フランジ部85,95間の接合部及びその周辺部の構成について説明する。
各スクリュ部材70の軸部74の先端側部分は、下側クロスメンバ91の前側フランジ部95から車体下方側に突出している。このようなスクリュ部材70の突出部分は、下側クロスメンバ91の前面部92の車体前方側に隣接して配置されている。
各スクリュ部材70は、上記の接合面部78,85,95に直交させてねじ込まれている。これにより、車体側面視において、各スクリュ部材70の軸心L1は、下側クロスメンバ91の前側フランジ部95に対して直角に配置されている。
これに対して、前側フランジ部95の後端から車体下方側へ延びる前面部92は、車体側面視において、車体上下方向Zに沿って、すなわち前側フランジ部95に対して傾斜した方向に沿って配置されている。これにより、前側フランジ部95と前面部92との間には、車体側面視において鋭角のコーナ部K1が形成されている。
前面部92は、スクリュ部材70の軸心L1と交差している。これにより、前面部92は、スクリュ部材70の先端76に対向する対向壁部を構成している。そのため、スクリュ部材70にその先端76側、すなわち車体後下方側から接近する周辺部品等の物体とスクリュ部材70との間に前面部92が介在されることで、スクリュ部材70の先端76と前記物体との接触が抑制され、これにより、該物体の保護を図ることができる。
また、下側クロスメンバ91の前面部92を利用して、スクリュ部材70の先端76からの物体の保護を図ることができるため、スクリュ部材70の先端76に対向させる専用の対向壁部を下側クロスメンバ91に追加する必要がなく、これにより、下側クロスメンバ91の構造の簡素化を図ることができる。
上述のように、下側クロスメンバ91の前面部92は、前側フランジ部95との間に鋭角のコーナ部K1を形成するように前側フランジ部95に対して傾斜して設けられているため、前側フランジ部95と前面部92との間に、溶接ガン、又は、SPR接合時に用いられるレシーバやダイ等を配置するスペースを確保し難くなっている。
この点に関して、本実施形態で用いられるスクリュ部材70は、リヤフロアパネル78の上面側からのみの作業によって、前側フランジ部85,95間を接合できるため、上記のスペースを確保する必要がない。
また、本実施形態では、図3の二点鎖線に示されるように前側フランジ部95に対して前面部192が直角ないし鈍角のコーナ部を形成するように配置される一般的な断面形状とは異なり、上記の鋭角のコーナ部K1が形成されることで、前面部92の下端が車体前方側に位置し、下面部94が車体前方側に延長されている。これにより、下側クロスメンバ91とリヤフロアパネル78との間の閉断面において、車体幅方向Xに延びる中立軸(図示せず)と、前面部92の下端との間の距離が拡大されることで、下側クロスメンバ91の断面二次モーメントが増大される。
そのため、クロスメンバ80の曲げに対する剛性や座屈強度の向上を図ることができ、これにより、車体剛性の向上、及び、クロスメンバ80からリヤサイドフレーム28への荷重伝達機能の向上を図ることができる。
図6は、下側クロスメンバ91の変形例を示す図5と同様の拡大断面図である。なお、図6に示す変形例において、上述した実施形態と同様の構成要素については、図6において同一の符号を付すとともに、その説明を省略する。
図6に示す変形例における下側クロスメンバ91において、前面部192と前側フランジ部95との間には、下側クロスメンバ91の長さ方向から見て直角ないし鈍角のコーナ部K2が形成されている。また、下側クロスメンバ91には、前面部192から外側に突出した複数のリブ193が下側クロスメンバ91の長さ方向に間隔を空けて設けられている。
各リブ193は、前側フランジ部95と前面部192とに跨がって設けられている。各リブ193は、下側クロスメンバ91の長さ方向から見て、前側フランジ部95の後端との間に直角のコーナ部K3を形成するように該後端から延びる仮想の半直線L2とオーバラップするように設けられている。
これにより、各リブ193が設けられた車体幅方向Xの位置における下側クロスメンバ91の断面において、下側クロスメンバ91の長さ方向に延びる中立軸(図示せず)の位置からリブ193の縁部194までの距離を大きく確保することができる。そのため、上述の実施形態と同様、下側クロスメンバ91の断面二次モーメントの増大を図ることができ、これにより、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図6に示す変形例において、リブ193は、下側クロスメンバ91の長さ方向から見てスクリュ部材70の突出部とオーバラップするように設けられることが好ましく、これにより、スクリュ部材70の先端76への物体の接触を抑制しやすくなる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、下側クロスメンバ91がアルミニウム合金からなる例を説明したが、本発明において、下側クロスメンバ91の材料は特に限定されるものでなく、例えばCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等の軽量材料であってもよい。
また、上述の実施形態では、異種金属材料からなる車体構成部材間の接合部に本発明を適用する例を説明したが、本発明は、同種材料からなる車体構成部材間の接合部にも同様に適用できる。
さらに、上述の実施形態では、セルフタッピング式のスクリュ部材70による接合部を例に挙げて本発明を説明したが、本発明は、セルフタッピング式でないスクリュ部材、又は、スクリュ部材以外の接合手段による接合部にも適用可能である。
またさらに、上述の実施形態では、リヤフロアパネル78を介した上側クロスメンバ81と下側クロスメンバ91との接合部を例に挙げて本発明を説明したが、本発明は、その他の車体構成部材間の接合部にも適用可能である。
以上のように、本発明によれば、断面ハット状の車体構成部材の曲げに対する剛性や座屈強度の向上を図ることが可能となるから、この種の車体構成部材を有する自動車の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
1 自動車
2 フロアパネル
4 サイドシル
6 ルーフレール
10 ヒンジピラー
12 センタピラー
14 リヤピラー
26 フロアフレーム
28 リヤサイドフレーム
70 スクリュ部材
71 頭部
74 軸部
76 先端
78 リヤフロアパネル(第2車体構成部材)
80 クロスメンバ
81 上側クロスメンバ
91 下側クロスメンバ(第1車体構成部材)
92 前面部(第1側面部)
93 後面部(第2側面部)
94 下面部(連絡面部)
95 前側フランジ部
95a 前方延長部
98 アンカ補強部材
101,102 シートベルトアンカ
104 ナット
106 ボルト
192 前面部(第1側面部)
193 リブ
194 リブの縁部
K1,K2 コーナ部
K3 前側フランジ部と仮想の半直線との間のコーナ部
L1 スクリュ部材の軸心
L2 仮想の半直線

Claims (6)

  1. 第1側面部、該第1側面部に対向する第2側面部、前記第1及び第2側面部の一方側の端部同士を繋ぐ連絡面部、並びに、前記第1側面部の他方側の端部から反連絡面部側に延びるフランジ部を有する第1車体構成部材と、前記フランジ部に接合された第2車体構成部材との間に閉断面が形成された車体の接合構造であって、
    前記第1側面部と前記フランジ部との間に鋭角のコーナ部が形成されていることを特徴とする車体の接合構造。
  2. 第1側面部、該第1側面部に対向する第2側面部、前記第1及び第2側面部の一方側の端部同士を繋ぐ連絡面部、並びに、前記第1側面部の他方側の端部から反連絡面部側に延びるフランジ部を有する第1車体構成部材と、前記フランジ部に接合された第2車体構成部材との間に閉断面が形成された車体の接合構造であって、
    前記第1車体構成部材には、前記第1側面部から外側に突出した複数のリブが前記第1車体構成部材の長さ方向に間隔を空けて設けられ、
    前記複数のリブのそれぞれは、前記第1車体構成部材の長さ方向から見て、前記フランジ部における第1側面部側の端部との間に直角のコーナ部を形成するように前記第1側面部側の端部から延びる仮想の半直線とオーバラップするように設けられていることを特徴とする車体の接合構造。
  3. 前記第2車体構成部材はフロアパネルであり、
    前記フロアパネルの上面にシートベルトアンカが固定され、
    前記フロアパネルの下面に、該フロアパネルを挟んで前記シートベルトアンカに対向するシートベルトアンカレインフォースメントが固定され、
    前記第1車体構成部材は、前記フロアパネルの下面における前記シートベルトアンカレインフォースメントの車体後方側に隣接する部位に前記フランジ部において接合されて、車体幅方向に延びるクロスメンバであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車体の接合構造。
  4. 前記第2車体構成部材はフロアパネルであり、
    前記フロアパネルの上面に、車体下方側に開放した断面ハット状の上側クロスメンバが接合され、
    前記第1車体構成部材は、車体上方側に開放した向きで前記フロアパネルを挟んで前記上側クロスメンバに接合された下側クロスメンバであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車体の接合構造。
  5. 前記フランジ部は、該フランジ部に直交させてねじ込まれたスクリュ部材によって前記第2車体構成部材に接合されており、
    前記スクリュ部材の先端は、前記第1側面部に対向していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車体の接合構造。
  6. 前記第1車体構成部材は、アルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車体の接合構造。
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