以下、図面を参照しながら本実施形態に係わるX線コンピュータ断層撮影装置及び寝台装置を説明する。
本実施形態に係る寝台装置は、X線コンピュータ断層撮影装置、X線診断装置、PET(positron emission tomography)装置及びSPECT(single photon emission computed tomography)装置等の医用画像診断装置に用いられる医用撮像用の寝台装置である。本実施形態に係る寝台装置は、上記のようなシングルモダリティ装置に限定されず、PET/CT装置、SPECT/CT装置、IVR(interventional radiology)/CT等のマルチモダリティ装置に用いられても良い。以下、本実施形態に係る寝台装置は、X線コンピュータ断層撮影装置に設けられているものとする。
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。図1に示すように、図1に示すように、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台10とコンソール100とを有する。例えば、架台10はCT検査室に設置され、コンソール100はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台10とコンソール100とは互いに通信可能に接続されている。架台10は、被検体OをX線CTスキャンするためのスキャン機構を搭載する。コンソール100は、架台10を制御するコンピュータである。
図1に示すように、架台10は、撮影空間(field of view)をなす開口が形成された略円筒形状の回転フレーム11を有する。図1に示すように、回転フレーム11には、開口を挟んで対向するように配置されたX線管13とX線検出器15とが取付けられている。回転フレーム11は、アルミ等の金属により円環形状に形成された金属枠である。後述するが、架台10は、アルミ等の金属により形成されたメインフレームを有する。回転フレーム11は、当該メインフレームにより中心軸AR回りに軸受等を介して回転可能に支持されている。メインフレームの回転フレーム11との接触部には環状電極(図示せず)が設けられている。当該接触部には環状電極に摺り接触するように導電性の摺動子(図示せず)が取り付けられている。当該環状電極及び摺動子を介して、架台10に収容された電源装置(図示せず)からの電力が回転フレーム11に搭載されたX線検出器15や高電圧発生器17等の各種機器に供給される。
X線管13は、高電圧発生器17に接続されている。高電圧発生器17は、例えば、回転フレーム11に取付けられている。高電圧発生器17は、架台の電源装置(図示せず)から環状電極及び摺動子を介して供給された電力から、架台制御回路33による制御に従いX線管13に印加する高電圧を発生しフィラメント加熱電流を供給する。高電圧発生器17とX線管13とは高圧ケーブル(図示せず)を介して接続されている。高電圧発生器17により発生された高電圧は、高圧ケーブルを介してX線管13に印加される。また、高電圧発生器17により発生されたフィラメント加熱電流は、高圧ケーブルを介してX線管13に印加される。
回転フレーム11は、回転駆動装置21からの動力を受けて中心軸AR回りに一定の角速度で回転する。回転駆動装置21としてダイレクトドライブモータやサーボモータ等の任意のモータが用いられる。回転駆動装置21は、例えば、架台10に収容されている。回転駆動装置21は、架台制御回路33からの駆動信号を受けて回転フレーム11を回転させるための動力を発生する。
回転フレーム11の開口(bore)にはFOV(field of view)が設定される。回転フレーム11の開口内には寝台23に支持された天板が挿入される。天板には被検体Oが載置される。寝台23は、例えば、2段スライド型である。寝台23は、架台/寝台駆動系25からの動力を受けて天板を自在に移動する。寝台23と架台/寝台駆動系25とについての詳細は後述する。天板は、載置された被検体Oの撮像部位がFOV内に含まれるように天板が位置決めされる。
架台/寝台駆動系25は、架台10のチルトやスリュー(slew)等の架台10の移動に関する駆動装置と寝台23の移動に関する駆動装置とを含む。架台/寝台駆動系25は、架台制御回路33からの駆動信号を受けて動力を発生する。架台/寝台駆動系25の詳細については後述する。
X線検出器15は、X線管13から発生されたX線を検出する。具体的には、X線検出器15は、2次元湾曲面上に配列された複数の検出器素子を有している。各検出器素子は、シンチレータと光電変換素子とを有する。シンチレータは、X線を蛍光に変換する物質である。シンチレータは、入射X線を、当該入射X線の強度に応じた個数の蛍光光子に変換する。光電変換素子は、蛍光を増幅して電気信号に変換する回路素子である。光電変換素子としては、例えば、光電子増倍管やフォトダイオード等が用いられる。なお、検出器素子は、上記の通りX線を光に変換してから検出する間接検出型でも良いし、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型であっても良い。直接検出型の検出器画素としては、例えば、半導体の両端に電極が取り付けられてなる半導体ダイオードを含むタイプが適用可能である。
X線検出器15にはデータ収集回路27が接続されている。データ収集回路27は、X線検出器15から、X線検出器15により検出されたX線の強度に応じたデータ(以下、生データと呼ぶ)をビュー毎に収集する。具体的には、データ収集回路27は、例えば、検出器素子毎に積分回路(図示せず)とA/D変換器(図示せず)とを有する。積分回路は、検出器素子からの電気信号をビュー毎に積分する。A/D変換器は、積分された電気信号をアナログ信号からデジタル信号(生データ)に変換する。これにより、ビュー毎の生データが収集される。生データは、生成元の検出器素子のチャンネル番号、列番号及び収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線の強度を示すデジタル値のセットである。生データは、例えば、架台10に収容された非接触データ伝送装置(図示せず)を介してコンソール100に供給される。なお、データ収集回路27には前置増幅器やIV変換器等の他の回路素子が実装されていても良い。データ収集回路27は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の半導体集積回路を有し、当該半導体集積回路に上記の積分回路やA/D変換器等の回路素子が実装される。
表示回路29は、寝台23や架台10の幾何学的配置やスキャン条件等の種々の情報を表示する。具体的には、表示回路29は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、架台10の表面に設けられる。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力回路31は、寝台23や架台10の移動に関するユーザからの各種指令を入力する。具体的には、入力回路31は、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、操作パネルや各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介して架台制御回路33に供給する。
架台制御回路33は、コンソール100のシステム制御回路113からの撮影条件に従いX線CTスキャンを実行するために高電圧発生器17、回転駆動装置21、架台/寝台駆動系25及びデータ収集回路27を同期的に制御する。また、架台制御回路33は、架台/寝台駆動系25を制御し、天板の撓み及び振動が少ない架台10と寝台23との位置決めを実現するために架台10と寝台23とを連動して移動させる。ハードウェア資源として、架台制御回路33は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)とROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、架台制御回路33は、ASICやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Logic Device:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。架台制御回路33の詳細については後述する。
図1に示すように、コンソール100は、前処理回路101、再構成回路103、画像処理回路105、表示回路107、入力回路109、主記憶回路111及びシステム制御回路113を有する。前処理回路101、再構成回路103、画像処理回路105、表示回路107、入力回路109、主記憶回路111及びシステム制御回路113間のデータ通信は、バス(bus)を介して行われる。
前処理回路101は、ハードウェア資源として、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等の記憶装置とを有する。前処理回路101は、架台10から伝送された生データに対数変換等の前処理を施す。前処理後の生データは投影データとも呼ばれている。
再構成回路103は、ハードウェア資源として、CPUあるいはMPU、GPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。再構成回路103は、前処理後の生データに基づいて被検体Oに関するCT値の空間分布を表現するCT画像を発生する。画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(filtered back projection)法やCBP(convolution back projection)法等の解析学的画像再構成法や、ML−EM(maximum likelihood expectation maximization)法やOS−EM(ordered subset expectation maximization)法等の統計学的画像再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられれば良い。
なお、前処理回路101と再構成回路103とは単一のハードウェア資源に組み込まれても良い。
画像処理回路105は、再構成回路103により再構成されたCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、画像処理回路105は、当該CT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を生成する。画像処理回路105は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。また、画像処理回路105は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。
表示回路107は、2次元のCT画像や表示画像等の種々のデータを表示する。具体的には、表示回路107は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力回路109は、ユーザからの各種指令を入力する。具体的には、入力回路109は、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介してシステム制御回路113に供給する。
主記憶回路111は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路111は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、主記憶回路111は、CT画像や表示画像のデータを記憶する。また、主記憶回路111は、本実施形態に係るX線CTスキャンに関する制御プログラム等を記憶する。
システム制御回路113は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。また、システム制御回路113は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。システム制御回路113は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路113は、主記憶回路111に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線コンピュータ断層撮影装置の各部を制御する。
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係る架台10と寝台23との位置関係について説明する。図2は、本実施形態に係る架台10と寝台23との外観を模式的に示す図である。図2に示すように、架台10は、略円筒形の開口41が形成された筐体43を有する。筐体43には、開口41を挟んでX線管13とX線検出器15とが設けられた回転フレーム11が収容されている。
架台10の前方には寝台23が設置されている。寝台23は、天板51と天板支持フレーム53と支持台55とを装備する。天板51は、天板51の長軸A1が開口41の中心軸ARに平行するように配置される。天板支持フレーム53は、天板51を天板51の長軸A1に沿ってスライド可能に支持する。支持台55は、天板支持フレーム53を長軸A1に平行な軸に沿ってスライド可能な且つ長軸A1に鉛直に直交する鉛直軸A2に沿って昇降可能に支持している。支持台55は、片持ち支持構造を有する。すなわち、支持台55は、天板51及び天板支持フレーム53を長軸A1方向に関して片側からのみで支持する。ここで長軸A1に平行する軸をZ軸に規定し、鉛直軸A2に平行する軸をY軸に規定する。Z軸とY軸とに直交する軸をX軸に規定する。XYZ座標系は直交座標系をなす。また、以下、天板51の長軸A1に平行する方向を長軸方向又はZ方向、鉛直軸A2に平行する方向を鉛直方向又はY方向と呼ぶことにする。また、寝台23が架台10に接近する方向を+Z方向、寝台23が架台10から離れる方向を−Z方向、寝台23が上昇する方向を+Y方向、寝台23が下降する方向を−Y方向とする。
次に、寝台23の構造について説明する。図3は、本実施形態に係る寝台23の側面を模式的に示す図である。なお、図3において寝台23の筐体は図示していない。図3に示すように、寝台23は、架台10の前方(−Z方向)に設置されている。図3に示すように、寝台23は、天板51、天板支持フレーム53及び支持台55を有する。天板51には被検体が載置される。天板51は、柔軟性を有する板状構造体である。天板51は、例えば、発泡ウレタンやカーボン等のX線透過率が比較的高い材質により形成される。
天板51は、天板支持フレーム53によりZ方向に関してスライド可能に支持されている。天板支持フレーム53は、上段フレーム61と下段フレーム63とを有する。上段フレーム61は、天板51を下方から支持する。上段フレーム61は、天板51をスライド可能であれば如何なる構造を有していても良い。例えば、上段フレーム61は、天板51を支持する頑強な枠状フレーム(図示せず)と、当該枠状フレームに設けられ、天板51をZ方向に案内する案内レール(図示せず)とを有している。上段フレーム61には、天板51をZ方向にスライドするための動力を発生する駆動装置(以下、上段駆動装置と呼ぶ)253が設けられている。上段駆動装置253は、サーボモータ等の既存のモータにより実現される。上段駆動装置253は、架台制御回路33の制御により駆動する。
下段フレーム63は、上段フレーム61を下方から支持する。下段フレーム63は、上段フレーム61をZ方向に関してスライド可能に支持している。下段フレーム63は、上段フレーム61をスライド可能であれば如何なる構造を有していても良い。例えば、下段フレーム63は、ボールねじにより実現される。下段フレーム63には、上段フレーム61をZ方向に関してスライドするための動力を発生する駆動装置(以下、下段駆動装置と呼ぶ)255が設けられている。下段駆動装置255は、サーボモータ等の既存のモータにより実現される。下段駆動装置255は、架台制御回路33の制御により駆動する。
支持台55は、床面に設置される。支持台55は、下段フレーム63をY方向に関して上昇又は下降しつつ架台10に対して接近又は離間することが可能な支持構造を有している。例えば、支持台55は、Xリンク65と基台67とを有する。Xリンク65は、下段フレーム63と基台67とに接続されている。基台67には、Xリンク65により下段フレーム63をY方向に関して昇降するための動力を発生する駆動装置(以下、昇降駆動装置と呼ぶ)73が設けられている。昇降駆動装置257は、サーボモータ等の既存のモータにより実現される。昇降駆動装置257は、架台制御回路33の制御により駆動する。
図4は、下段フレーム63、Xリンク65及び基台67の斜視図である。図4に示すように、下段フレーム63は、枠状フレーム631を有している。枠状フレーム631は、Z方向に延在する矩形形状を有する金属フレームである。枠状フレーム631には、ボールねじ632が設けられている。ボールねじ632は、ねじ軸6321とスライダ6323とを有している。ボールねじ632には、摩擦低減のための複数の剛球がねじ軸6321とスライダ6323との間で循環可能に溝が形成されている。ねじ軸6321は、Z方向に延在するように枠状フレーム631に設けられている。ねじ軸6321にはスライダ6323が螺合する。スライダ6323は、ねじ軸6321が貫通するための貫通孔を有し、当該貫通孔にはねじ軸6321に形成されたねじ山に噛み合うねじ溝が形成されている。スライダ6323には上段フレーム61(図4に図示せず)が取付けられる。枠状フレーム631には、スライダ6323のZ方向に関するスライドを案内するための案内レール633が設けられている。ねじ軸6321の一端は軸心回りに回転可能に枠状フレーム631に設けられている。ねじ軸6321は、下段駆動装置255の駆動軸の回転に連動して軸心回りに回転する。スライダ6323は、ねじ軸6321の回転に連動してねじ軸6321の軸心方向(すなわち、Z方向)に沿ってスライドする。ねじ軸6321には、スライダ6323の可動範囲を機械的に制限するストッパ636が設けられると良い。
Xリンク65は、X形状に枢支された一対のリンク651とリンク652とを有する。リンク651とリンク652とは、支点75を中心に回転可能に設けられている。リンク651とリンク652との各々は、例えば、略同一長さを有する一対の板状形状を有する金属板により形成される。一方のリンク652の基台67側の端部656は基台67に固定される。端部656は、例えば、締結具等により固定されると良い。リンク652の他の端部655は枠状フレーム631に固定される。より詳細には、端部655は、枠状フレーム631のうちの長辺に関する一対のフレームに設けられる転子634に固定されている。転子634は案内レール633に締結具等により固定されている。これにより、端部655を枠状フレーム631に対して固定することができる。
他方のリンク651の基台67側の端部654は、基台67にZ方向に関してスライド可能に支持される。具体的には、端部654にはリードスクリュ76が挿通されている。リードスクリュ76の一端は昇降駆動装置257に接続される。昇降駆動装置257は基台67に配置されている。リードスクリュ76の他端には制動装置77が取付けられている。リードスクリュ76には端部654と制動装置77との間においてナット78が取り付けられている。ナット78は、リードスクリュ76のねじ山に螺合するねじ溝が形成された貫通孔を有する構造体である。リンク651の他の端部653は、枠状フレーム631にZ方向に関してスライド可能に支持される。具体的には、他端653は、枠状フレーム631のうちの長辺に関する一対のフレームに設けられる転子635に固定されている。転子635は案内レール633にZ方向に関してスライド可能に取付けられている。すなわち、枠状フレーム631に設けられた案内レール633は、スライダ6323(すなわち、上段フレーム61)のZ方向に関するスライドとリンク651のZ方向に関するスライドとの両方を一のレールで案内する。
昇降駆動装置257の駆動軸回りの回転に連動してリードスクリュ76が軸心回りに回転する。リードスクリュ76の回転に連動してナット78がリードスクリュ76の軸心に沿って、すなわち、Z方向にスライドする。例えば、リードスクリュ76が順方向に回転するとナット78が+Z方向にスライドし、リードスクリュ76が逆方向に回転するとナット78が−Z方向にスライドする。ナット78が+Z方向にスライドすることによりリンク651を+Z方向に押圧し、リンク651とリンク652とのZ方向に関する間隔を狭めることにより枠状フレーム631を+Y方向に上昇させる。ナット78が−Z方向にスライドすることによりリンク651が+Z方向の押圧から開放され、リンク651とリンク652とのZ方向に関する間隔が広がることにより枠状フレーム631を−Y方向に下降させる。
次に、本実施形態に係る2段スライド型の寝台23の迫り出しについて説明する。図5は、寝台23の迫り出しを示す図である。図5においては、下限高さに配置された寝台23は点線で示されており、上昇後の寝台23は実線で示されている。
図5に示すように、下限高さにおいて下段フレーム63のZ方向に関する端部、より詳細には、下段フレーム63の枠状フレーム631のZ方向に関する端部は、Z方向に関する位置PE1に配置されているものとする。上記の通り、リンク651の端部653は下段フレーム63にZ方向に関してスライド可能に設けられ、端部654は基台67にZ方向に関してスライド可能に設けられている。リンク652の端部655は下段フレーム63に固定され、端部656は基台67に固定されている。このため、ナット78によるリンク651の押圧により、端部655は、端部656を支点とし端部655と端部656とを結ぶ直線を半径とする円弧PRに沿って移動する。当該移動の前後において下段フレーム63での端部655の位置と基台67での端部656の位置とは不動である。よって下段フレーム63のZ方向に関する端部は、+Z方向、すなわち、架台10側に迫り出す。例えば、天板が目標高さまで上昇した場合、下段フレーム63のZ方向に関する端部は、下限高さにおける位置PE1よりも架台10側に近いPE2まで迫り出すこととなる。このように下段フレーム63が架台10に向けて迫り出すことにより、架台本体81に接触する直前まで、上段フレーム61に支持された下段フレーム63を接近させることができる。従って天板51が開口41に挿入されているときの天板51の撓み及び振動を低減することができる。
次に、架台10の構造について説明する。図6は、架台10の内部を模式的に示した側面図である。図6に示すように、架台10は、架台本体81と架台基台部83とを有している。架台本体81は、回転フレーム11とメインフレーム85と架台アーム87とを有する。メインフレーム85は、回転フレーム11を中心軸AR回りに回転可能に支持する金属枠である。メインフレーム85には、中央に開口が形成されている金属枠である。メインフレーム85は、アルミニウム等の金属により形成される。架台アーム87は、アルミニウム等の金属により形成される金属枠である。架台アーム87は、メインフレーム85と架台基台部83とを連結する。架台基台部83は、架台本体81を支持する。具体的には、架台基台部83は、具体的には、ベーススタンド89を有する。ベーススタンド89は、検査室の床面に据え付けられる金属枠である。ベーススタンド89は、アルミニウム等の金属により形成される。ベーススタンド89は、架台本体81を床面から離間して支持する。ベーススタンド89は架台アーム87をチルト軸AT回りに傾動(チルト)可能に接続され、架台アーム87を介してメインフレーム85に連結されている。すなわち、ベーススタンド89は、架台本体81をチルト軸AT回りにチルト可能に支持する。なおチルト軸ATは、中心軸ARに水平に直交する軸に規定される。
架台本体81と架台基台部83とは架台筐体(図6に図示せず)43に覆われている。架台筐体43は、互いに分離可能な上側筐体431と下側筐体432とを有する。上側筐体431は、回転フレーム11とメインフレーム85と架台アーム87とを覆う。下側筐体432は、メインフレーム85の下部を覆う。回転フレーム11とメインフレーム85とのチルト時において下側筐体432は床面に固定され、上側筐体431は下側筐体432から分離してチルトする。
次に、架台10と寝台23との干渉について説明する。図7は、架台10と寝台23との干渉について説明するための図であり、架台10の架台本体81、天板51及び上段フレーム61の縦断面を模式的に示す図である。図7に示すように、CT撮像のため、天板51が架台10の開口41に挿入される。本実施形態に係る2段スライド式の寝台23は、天板51の撓み及び振動を低減するため、天板51を支持する上段フレーム61が架台本体81に対して接触直前まで接近することとなる。
天板51が開口41に挿入された状態において架台本体81のチルトが行われる場合がある。しかしながら、天板51が開口41に挿入された状態において架台本体81の下部(チルト軸ATよりも下方の部分)が上段フレーム61に近づくようにチルトした場合、上段フレーム61が架台本体81、より詳細には、上側筐体431に干渉するおそれがある。換言すれば、チルト軸AT回りにチルトするときの架台本体81の移動経路PTに上段フレーム61が存在すると、架台本体81が上段フレーム61に干渉するおそれがある。干渉を避けるためにチルト角を制限すると、架台本体81及び寝台23に関する位置決めの自由度が低減することとなる。また、干渉を避けるために上段フレーム61の上側筐体431への接近を制限する場合、2段スライド型の寝台23が有する、天板51の撓み及び振動を低減する能力を十分に発揮することができなくなる。
以下、上記問題点を解決するために、本実施形態に係る架台制御回路33の制御により行われる架台10及び寝台23の動作について詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る架台/寝台駆動系25と架台制御回路33との構成について説明する。図8は、本実施形態に係る架台/寝台駆動系25と架台制御回路33との一構成例を示す図である。図8に示すように、架台/寝台駆動系25は、チルト駆動装置251、上段駆動装置253、下段駆動装置255、昇降駆動装置257を有する。
チルト駆動装置251は、架台基台部83に設けられている。チルト駆動装置251は架台制御回路33からの駆動信号を受けて駆動し、架台本体81をチルトする。チルト駆動装置251の駆動軸にはチルト検出器252が接続されている。チルト検出器252は、チルト駆動装置251の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号を出力するロータリーエンコーダと、当該パルス信号に基づいて架台のチルト角を検出する演算回路とを有する。チルト角に関するデータは、架台制御回路33に供給される。
上段駆動装置253は上段フレーム61に設けられている。上段駆動装置253は架台制御回路33からの駆動信号を受けて駆動し、天板51をスライドする。上段駆動装置253の駆動軸には上段検出器254が接続されている。上段検出器254は、上段駆動装置253の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号を出力するロータリーエンコーダと、当該パルス信号に基づいて天板51のZ軸に関する位置(以下、Z位置と呼ぶ)を検出する演算回路とを有する。天板のZ位置に関するデータは、架台制御回路33に供給される。
下段駆動装置255は下段フレーム63に設けられている。下段駆動装置255は架台制御回路33からの駆動信号を受けて駆動し、上段フレーム61をスライドする。下段駆動装置255の駆動軸には下段検出器256が接続されている。下段検出器256は、下段駆動装置255の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号を出力するロータリーエンコーダと、当該パルス信号に基づいて上段フレーム61のZ位置を検出する演算回路とを有する。上段フレーム61のZ位置に関するデータは、架台制御回路33に供給される。
昇降駆動装置257は支持台55に設けられている。昇降駆動装置257は架台制御回路33からの駆動信号を受けて駆動し、下段フレーム63と下段フレーム63に支持される上段フレーム61及び天板51とを上昇する。昇降駆動装置257の駆動軸には昇降検出器258が接続されている。昇降検出器258は、昇降駆動装置257の駆動軸が所定角度回転する毎にパルス信号を出力するロータリーエンコーダと、当該パルス信号に基づいて天板51のY軸に関する位置(以下、Y位置と呼ぶ)を検出する演算回路とを有する。天板51のY位置に関するデータは、架台制御回路33に供給される。
架台制御回路33は、入力回路31、チルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力に基づいて架台/寝台駆動系25を制御する。本実施形態に係る架台制御回路33は、架台10のチルト前又はチルト時において、架台10に対する天板51の位置(絶対位置)を固定するように、天板51と天板支持フレーム53とを移動させる。例えば、本実施形態に係る架台制御回路33は、架台10のチルト前又はチルト時において架台10と天板支持フレーム53との干渉を避けるような動作(以下、干渉回避動作と呼ぶ)を行う。架台10のチルト時において架台制御回路33は、具体的には、干渉判定機能331、チルト機能333及び干渉回避動作機能335を実行する。
干渉判定機能331において架台制御回路33は、チルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力に基づいて架台10と天板支持フレーム53との間の距離(以下、架台寝台距離と呼ぶ)が所定の距離(以下、干渉距離と呼ぶ)よりも接近しているか否かを判定する。架台寝台距離は、架台10と天板支持フレーム53との最短距離により規定される。干渉判定機能331はチルト機能333の実行時に並行して行われる。チルト機能333の実行時において架台制御回路33は、架台寝台距離が干渉距離よりも長い場合、引き続きチルト機能333を実行する。チルト機能333の実行時において架台制御回路33は、架台寝台距離が干渉距離よりも短い場合、チルト機能333を停止し干渉回避動作機能335を実行する。干渉回避動作機能335が実行されると架台制御回路33は、再びチルト機能333を実行する。
換言すれば、架台制御回路33は、架台寝台距離と干渉距離との比較に基づいて動作モードを通常モードと拡張モードとの間で切り替える。通常モードは、チルト角ゼロ度の架台本体81に天板支持フレーム53を接触直前まで接近させた状態において、架台本体81が天板支持フレーム53に干渉しない範囲でチルトさせるモードである。以下、架台本体81が天板支持フレーム53に干渉しないでチルト可能な範囲をチルト可能範囲と呼ぶことにする。通常モードにおいては、架台本体81のチルト前後を通じて、天板51と天板支持フレーム53との双方が静止されている、すなわち、干渉回避動作は行われない。拡張モードにおける架台本体81のチルト角範囲は、通常モードに比して拡張される。すなわち、拡張モードにおいては、本実施形態に係る干渉回避動作によりチルト角範囲を拡張した後、架台10がチルトされる。
図9と図10とは、架台制御回路33の干渉判定機能331について説明するための図である。図9に示すように、架台寝台距離Dgbが干渉距離Dthよりも長い場合、架台10と天板支持フレーム53とが比較的離れており、干渉の蓋然性は低い。干渉判定機能331により架台寝台距離Dgbが干渉距離Dthよりも長いと判定された場合、モードの切り替えを行わない。すなわち、通常モードに設定される。図10に示すように、架台寝台距離Dgbが干渉距離Dthよりも短い場合、架台10と天板支持フレーム53とが接近しており、干渉の蓋然性が高い。干渉判定機能331により架台寝台距離Dgbが干渉距離Dthよりも短いと判定された場合、通常モードから拡張モードに切り替えられる。これにより、架台本体81と天板支持フレーム53との干渉を回避しつつ架台本体81のチルト角の上限を拡張することができる。干渉距離Dthの設定値は、ユーザにより入力回路31及び入力回路109等を介して任意に設定可能である。
チルト機能333において架台制御回路33は、入力回路31等を介してチルト指示がなされた場合、チルト駆動装置251に駆動信号を供給し架台基台部83を作動させる。これにより架台本体81がチルトする。この際、架台制御回路33は、天板51と天板支持フレーム53とは作動させないため、上段駆動装置253と下段駆動装置255とには駆動信号を供給しない。通常モードの場合、架台制御回路33は、架台10を、通常モードにおけるチルト可能範囲内でチルトする。拡張モードの場合、架台制御回路33は、架台10を、拡張モードにおけるチルト可能範囲内でチルトする。
干渉回避動作機能335において架台制御回路33は、架台10に対する天板51の位置を固定しつつ天板支持フレーム53が架台10から離れるように、天板51と天板支持フレーム53とを略同時に移動させる。干渉回避動作後、架台制御回路33は、チルト機能333を実行し、この天板51と天板支持フレーム53との連動移動に追従して架台10をチルトする。すなわち、拡張モードにおいて架台制御回路33は、干渉回避動作後、架台10を拡張モードにおけるチルト可能範囲においてチルトする。干渉回避動作により天板支持フレーム53が架台本体81から離れるので、拡張モードにおけるチルト可能範囲は、通常モードにおけるチルト可能範囲よりも広くなる。換言すれば、架台制御回路33は、架台寝台距離に応じて架台本体81のチルト可能範囲を切り替えることができる。より詳細には、架台制御回路33は、架台寝台距離が干渉距離よりも小さくなったことを契機として、架台本体81のチルト可能範囲を通常モードに係るチルト可能範囲から拡張モードに係るチルト可能範囲に切り替える。
図11は、拡張モードにおける天板51と天板支持フレーム53との動作を示す図であり、干渉回避動作の前後における架台本体81と寝台23とを示す図である。図11の上段に示すように、干渉回避動作の前において、架台本体81の下方が上段フレーム61に近づく方向にチルトされており、架台寝台距離が干渉距離よりも短いとする。この時点において、天板51のZ方向の先端はZtop_bfに位置し、上段フレーム61のZ方向の先端はZfra_bfに位置しているものとする。架台寝台距離が干渉距離よりも短い場合、動作モードが拡張モードに切り替えられる。架台制御回路33は、拡張モードにおいて入力回路31等を介してチルト指示がなされた場合、上段フレーム61に対する天板51と下段フレーム63に対する上段フレーム61とが互いに逆方向に移動するように上段駆動装置253と下段駆動装置255とを略同時に駆動する。具体的には、架台制御回路33は、上段駆動装置253と下段駆動装置255とを所定の移動速度時間変化曲線(以下、速度カーブと呼ぶ)に従い連動的に制御する。速度カーブは、駆動開始時点からの経過時間に伴う駆動対象物の速さの推移を示す。具体的には、上段駆動装置253の速度カーブは、上段フレーム61に対する天板51の相対的な移動速度の時間的な推移を示し、下段駆動装置255の速度カーブは、下段フレーム63に対する上段フレーム61の相対的な移動速度の時間的な推移を示す。上段駆動装置253の速度カーブと下段駆動装置255の速度カーブとは、各時点において互いに逆方向且つ同一速さに設定されると良い。
当該速度カーブに従う連動制御により、天板支持フレーム53を−Z方向にスライドしつつ天板51を逆向きの+Z方向にスライドし、天板51の絶対位置(XYZ空間における位置、すなわち、見かけの位置)を動かさずに天板支持フレーム53を退避させることができる。図11の下段に示すように、干渉回避動作後において、天板51のZ方向の先端の位置Ztop_afは、移動前の位置Ztop_bfと同一であり、上段フレーム61のZ方向の先端の位置Zfra_afは、移動前の位置Zfra_bfよりも後方(−Z方向)に位置することとなる。上段フレーム61はZ方向に関して所定の厚みを有するので、天板51の絶対位置が不変であっても、上段フレーム61が後退することにより、架台本体81のチルト可能範囲が拡張される。本実施形態に係る干渉回避動作により、天板51の絶対位置を固定しつつ上段フレーム61のみを退避できるので、天板51と上段フレーム61とが共に退避される場合に比して、上段フレーム61の退避後の天板51の位置決めのやり直しを防止することができる。
次に、本実施形態に係る架台制御回路33によるチルト動作制御について実施例1と実施例2に分けて説明する。
図12は、実施例1に係る架台制御回路33の制御のもとに行われるチルト動作制御の典型的な流れを示す図である。図13は、実施例1に係る寝台23と架台本体81との動作を模式的に示す図である。なお図12のチルト動作制御の開始時点において天板51は架台本体81の開口41内に挿入されているものとする。
図12に示すように、架台制御回路33は、入力回路31に設けられたチルトボタンの押下を待機している(ステップSA1)。例えば、天板に載置された被検体Oの目(より詳細には、水晶体)にX線が照射されることを避けるため、OM(orbito-meatal baseline)ライン等の解剖学的基準線に対してスキャン面が傾斜するように、所望の角度だけ架台本体81がチルトされる。放射線技師等のユーザは、チルトが必要だと判断した場合、チルトボタンを押下する。
ステップSA1が行われると(ステップSA1:YES)、架台制御回路33は、チルト機能333を実行する(ステップSA2)。ステップSA2において架台制御回路33は、チルトボタンが押下されている期間、チルト駆動装置251に駆動信号を繰り返し供給し、所定の角速度で架台本体81をチルトさせる。本実施例における架台本体81のチルト方向は、架台本体81の下部が上段フレーム61に接近する方向であるとする。なお、チルトボタンが離された場合、架台制御回路33は、チルト駆動装置251への駆動信号の供給を停止し、架台本体81のチルト動作を停止する。すなわち、チルトボタンは、安全のため、デッドマン・スイッチであるものとする。
架台本体81がチルト動作している期間、架台制御回路33は干渉判定機能351を実行する(ステップSA3)。ステップSA3において架台制御回路33は、架台本体81が天板支持フレーム53に所定距離(干渉距離)まで接近しているか否かを判定する。換言すれば、架台制御回路33は、架台本体81と天板支持フレーム53との間の空間(クリアランス)が十分に確保されているか否かを確認する。具体的には、ステップSA3において架台制御回路33は、チルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力に基づいて架台寝台距離を算出し、架台寝台距離が所定の干渉距離よりも接近しているか否かを繰り返し判定する。なお、当該判定は、必ずしもチルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力に基づいて架台寝台距離を算出される必要はない。予めチルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力と架台寝台距離とを関連づけたテーブルが作成され、チルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力に当該テーブルを適用して架台寝台距離が決定されても良い。あるいは、予めチルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力と架台寝台距離が干渉距離よりも接近しているか否かの判定結果とを関連づけたテーブルが作成されても良い。この場合、架台制御回路33は、チルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力に当該テーブルを適用して上記判定を行うこととなる。
架台寝台距離が干渉距離よりも長い、すなわち、架台本体81が上段フレーム61に干渉距離よりも接近していないと判定された場合(ステップSA3:NO)、架台制御回路33は、チルト駆動装置251に駆動信号を繰り返し供給し、所定の角速度で架台本体81をチルトし続ける。
一方、架台寝台距離が干渉距離に到達、すなわち、架台本体81が上段フレーム61に干渉距離よりも接近していると判定された場合(ステップSA3:YES)、架台制御回路33は、チルト駆動装置251をインターロック制御し、架台本体81のチルト動作を停止(インターロック停止)させる(ステップSA4)。インターロック停止は、チルトボタンが押下されている状態においても発動される。インターロック停止が行われると、架台制御回路33は、表示回路29に警告を表示させる。警告の表示態様としては、点滅や警メッセージ等が挙げられる。また、架台制御回路33は、例えば、チルトボタンに埋め込まれたLEDランプ等を点滅させても良いし、架台本体81等に設けられたスピーカを介して警告音を発しても良い。
インターロック停止の後、架台制御回路33は、再びチルトボタンが押下されることを待機する。例えば、ユーザが現状の架台本体81のチルト角にてX線CTスキャンを行うと判断した場合、スキャンボタンを押下することとなる。この場合、架台制御回路33は、再びチルトボタンが押下されないと判断し(ステップSA5:NO)、本実施形態に係るチルト動作制御が終了する。
一方、ユーザが更なるチルトを優先する場合、再びチルトボタンを押下することとなる。再びチルトボタンが押下された場合(ステップSA5:YES)、架台制御回路33は、モード切替機能353を実行する(ステップSA6)。ステップSA6において架台制御回路33は、干渉回避動作機能335を実行する(ステップSA6)。ステップSA6において架台制御回路33は、干渉回避動作を行う。すなわち、架台制御回路33は、天板51と上段フレーム61とを逆方向にスライドさせ、天板51の絶対位置を固定したまま上段フレーム61を退避位置Psまでスライドさせる。退避位置Psは、架台本体81が天板51に最接近した場合においても架台本体81が上段フレーム61に干渉しない位置よりも架台最接近位置Pc側の任意の位置に設定される。架台最接近位置Pcから退避位置Psまでの距離は、入力回路31等を介して任意の値に設定可能である。実施例1において上段フレーム61は架台最接近位置Pcから退避位置Psまで一挙にスライドされる。
ステップSA6が行われると架台制御回路33は、チルト機能333を実行する(ステップSA7)。ステップSA7において架台制御回路33は、チルト駆動装置251を制御し、ユーザ所望のチルト角まで架台本体81をチルトさせる。具体的には、ユーザは、架台本体81が所望のチルト角に位置するまでチルトボタンを押下し、架台本体81が所望のチルト角に位置した時点でチルトボタンを離す。チルトボタンが押下されている期間、架台制御回路33は、チルト駆動装置251に繰り返し駆動信号を供給し、架台本体81を所定の角速度でチルトさせる。チルトボタンが離されたことを契機として架台制御回路33は、チルト駆動装置251に停止信号を供給し、架台本体81のチルト動作を停止する。
ステップSA7において架台制御回路33は、干渉判定機能351を実行しても良い。この場合、架台制御回路33は、チルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力に基づいて架台寝台距離を算出し、架台寝台距離が所定の干渉距離よりも接近しているか否かを繰り返し判定する。架台寝台距離が干渉距離よりも長いと判定された場合、架台制御回路33は、架台本体81をチルトするためにチルト駆動装置251に駆動信号を供給し、架台寝台距離が干渉距離よりも短いと判定された場合、チルト駆動装置251をインターロック制御し、架台本体81のチルト動作を停止させる。
架台本体81のチルト動作が停止されると、架台制御回路33による制御のもとX線CTスキャンが行われることとなる。
以上により、実施例1に係るチルト動作制御の説明を終了する。
次に、図14と図15とを参照しながら、実施例2に係るチルト動作制御について説明する。図14は、実施例2に係る架台制御回路33の制御のもとに行われるチルト動作制御の典型的な流れを示す図である。図15は、実施例2に係る寝台23と架台本体81との動作を模式的に示す図である。なお、図14及び図15のステップSB1からSB5はそれぞれ図12及び図13のステップSA1からSA5と同一の工程であるので、説明は省略する。
ステップSB5においてチルトボタンが押下されると架台制御回路33は、実施例2に係る干渉回避動作機能335を実行する(ステップSB6)。ステップSB6において架台制御回路33は、天板51と上段フレーム61とを逆方向にスライドさせ、天板51の絶対位置を固定したまま上段フレーム61を退避位置Psにむけて所定距離Dmだけ退避させる。所定距離Dmは、架台最接近位置Pcから退避位置Psまでの距離の1/2よりも短い距離が好適である。具体的には、所定距離Dmは、1cmや5cm等の比較的短い距離に予め設定される。所定距離Dmのスライドにより上段フレームは、架台最接近位置Pcと退避位置Psとの間の位置Ps’に位置する。
ステップSB6が行われると架台制御回路33は、チルト機能333を実行させる(ステップSB7)。ステップSB7において架台制御回路33は、チルト駆動装置251に駆動信号を供給し、所定角度だけ架台本体81をチルトする。所定角度は、具体的には、ステップSB6における所定距離Dmに対応するチルト角に設定される。すなわち、所定角度は、架台寝台距離が現在角度から所定の干渉距離に到達するまでの角度に設定される。所定角度だけ架台本体81がチルトされた場合、架台制御回路33は、チルト駆動装置251をインターロック制御し、架台本体81のチルト動作を停止させる。なお、架台制御回路33は、架台寝台距離を所定の干渉距離まで接近させるため干渉判定機能351を実行しても良い。
インターロック停止の後、架台制御回路33は、チルトを終了するか否かを判定する(ステップSB8)。ステップSB8において架台制御回路33は、例えば、チルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力に基づいて上段フレーム61が退避位置Psまで退避されたか否かを判定する。退避位置Psまで退避されていない場合、架台制御回路33は、チルトを終了しないと判定する(ステップSB8:NO)。この場合、架台制御回路33は、再び上段フレーム61の所定距離Dmの退避(ステップSB6)と架台本体81の所定角度のチルト(ステップSB7)とを行う。所定距離Dmは各干渉回避動作において同一値であっても良いし異なる値であっても良い。
そしては、ユーザは、架台本体81が所望のチルト角に位置決めされたと判断した場合、ユーザは、チルトボタンを離す。ユーザがチルトボタンを離した場合、架台制御回路33は、チルトを終了すると判定する(ステップSB8:YES)。
架台本体81のチルト動作が停止されると、架台制御回路33による制御のもとX線CTスキャンが行われることとなる。
なお、架台制御回路33は、上段フレーム61が退避位置Psまで退避されたと判定した場合においてもチルトを終了すると判定しても良い。これにより、架台本体81と上段フレーム61との干渉を回避することができる。また、上記の説明においては、拡張モードにおいて架台本体81が上段フレーム61に接近する毎にインターロック停止するとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。架台制御回路33は、架台本体81が上段フレーム61に接近したと判定した場合、天板51と上段フレーム61との干渉回避動作を行っても良い。これにより、チルトボタンを何回も押下することなく、架台本体81を位置決めすることができる。
また、ステップSB6及びステップSB7において干渉回避動作とチルトとが交互に行われるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、架台制御回路33は、チルト駆動装置251、上段駆動装置253及び下段駆動装置255を同時に制御し、干渉回避動作と架台本体81のチルトとを同時に行っても良い。干渉回避動作とチルトとを同時に行うことにより、干渉回避動作とチルトとを交互に行う場合に比して、架台本体81の位置決めを短時間に行うことができる。
以上により、実施例2に係るチルト動作制御の説明を終了する。
上記の通り実施例1において上段フレーム61は非干渉位置まで一挙にスライドされ、実施例2において上段フレーム61は退避位置Psまで間欠的にスライドされる。実施例1の干渉回避動作と実施例2の干渉回避動作とは、ユーザにより入力回路31又は入力回路109等を介して任意に選択可能である。実施例1の干渉回避動作は、上段フレーム61が一挙に退避位置Psまで退避するので制御が容易である。実施例2の干渉回避動作は、上段フレーム61を退避位置Psまで一挙に退避する必要がないので位置決めに関する時間効率が向上し、ひいてはCT検査のスループットが向上する。また、実施例2の干渉回避動作は、上段フレーム61の間欠的な退避に架台本体81が追従してチルトするので、架台本体81の直前まで上段フレーム61を接近させるために、上段フレーム61の退避後に再び上段フレーム61を架台本体81に接近させる必要がない。
なお、上記の実施形態において架台制御回路33は、チルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力に基づいて架台寝台距離を算出するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、架台制御回路33は、寝台23の表面に取り付けられた位置検出器からの位置検出信号と架台10の表面に取り付けられた位置検出器からの位置検出信号とに基づいて架台寝台距離を算出しても良い。当該位置検出器としては電気的原理、磁気的原理及び光学的原理等の既存の如何なる原理に基づく検出器が利用可能である。
上記の実施形態においては、チルト時における架台本体81と天板支持フレーム53との干渉を例に干渉回避動作を説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。以下、他の干渉回避動作について簡単に説明する。
(変形例1)
変形例1に係る架台制御回路33は、架台本体81のスリュー時における架台本体81と天板支持フレーム53との干渉を回避するために寝台23に係る干渉回避動作を行う。以下、変形例1について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
変形例1に係る架台/寝台駆動系25は、架台本体81を旋回軸回りに旋回させる。当該旋回軸は、Y軸に平行する鉛直軸であり、且つ架台本体81のX軸に関する略中心部を貫くように設定される。架台/寝台駆動系25は、図示しないスリューのための駆動装置(以下、スリュー駆動装置と呼ぶ)を有している。架台制御回路33は、架台/寝台駆動系25のスリュー駆動装置を制御し、当該旋回軸回りに架台本体81をスリューする。
天板51が架台本体81の開口41内に配置されている状態において架台本体81がスリューする場合も、上段フレーム61と架台本体81、より詳細には、上側筐体431とが干渉し得る。この干渉を回避するため架台制御回路33は、スリュー時においても、チルト時と同様、干渉判定機能331、チルト機能333及び干渉回避動作機能335を実行する。なお、変形例1に係るチルト機能333はスリュー機能に差し替えられる。スリュー機能において架台制御回路33は、スリュー駆動装置に駆動信号を供給し、架台本体81をスリューさせる。具体的には、架台制御回路33は、架台本体81のスリュー時において干渉判定機能331を実行し、架台本体81と上段フレーム61との間の架台寝台距離が干渉距離内にあるか否かを判定する。当該架台寝台距離が当該干渉距離内にないと判定した場合、架台制御回路33は、スリュー機能を維持する。この場合、架台制御回路33は、入力回路31等を介したユーザからの指示に従いスリュー駆動装置を制御し、旋回軸回りに架台本体81をスリューする。一方、当該架台寝台距離が当該干渉距離内にあると判定した場合、架台制御回路33は、干渉回避動作機能335を実行する。干渉回避動作機能335において架台制御回路33は、架台本体81に対する天板51の位置を固定しつつ上段フレーム61が架台本体81から離れるように、天板51と上段フレーム61とをスライドさせる。上段フレーム61の退避後、架台制御回路33は、拡張モードに係るチルト角範囲において架台本体81をスリューする。
上記の通り、変形例1に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台本体81のスリュー時においても、天板51の絶対位置を変化させることなく上段フレーム61を退避させることができる。
(変形例2)
変形例2に係る架台制御回路33は、天板の短軸方向に関する移動時における架台本体81と天板支持フレーム53との干渉を回避するために寝台23に係る干渉回避動作を行う。以下、変形例2について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
変形例2に係る寝台23の下段フレーム63は、更に天板51と上段フレーム61とを天板51の短軸に平行する方向、すなわち、X方向にスライド可能に支持する。架台/寝台駆動系25は、天板51をX方向にスライドする。架台/寝台駆動系25は、図示しないX方向のスライドのための駆動装置(以下、短軸スライド駆動装置と呼ぶ)を有している。架台制御回路33は、架台/寝台駆動系25の短軸スライド駆動装置を制御し、X方向に天板51と上段フレーム61とを一体にスライドする。
天板51が架台本体81の開口41内に配置されている状態において天板51と上段フレーム61とがX方向にスライドする場合も、上段フレーム61と架台本体81、より詳細には、上側筐体431とが干渉し得る。この干渉を回避するため架台制御回路33は、X方向に関する天板51と上段フレーム61とのスライド時においても、チルト時と同様、干渉判定機能331、チルト機能333及び干渉回避動作機能335を実行する。なお、変形例2に係るチルト機能333は短軸スライド機能に差し替えられる。短軸スライド機能において架台制御回路33は、短軸スライド駆動装置に駆動信号を供給し、X方向に天板51と上段フレーム61とを一体にスライドさせる。具体的には、架台制御回路33は、X方向に関する天板51と上段フレーム61とのスライド時において干渉判定機能331を実行し、架台本体81と上段フレーム61との間の架台寝台距離が干渉距離内にあるか否かを判定する。当該架台寝台距離が当該干渉距離内にないと判定した場合、架台制御回路33は、短軸スライド機能333を維持する。この場合、架台制御回路33は、入力回路31等を介したユーザからの指示に従い短軸スライド駆動装置を制御し、X方向に関して天板51と上段フレーム61とをスライドする。一方、当該架台寝台距離が当該干渉距離内にあると判定した場合、架台制御回路33は、干渉回避動作機能335を実行する。干渉回避動作機能335において架台制御回路33は、架台本体81に対する天板51の位置を固定しつつ上段フレーム61が架台本体81から離れるように、天板51と上段フレーム61とをスライドさせる。上段フレーム61の退避後、架台制御回路33は、X方向に関して更に天板51と上段フレーム61とを上側筐体431側にスライドすることができる。
上記の通り、変形例2に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、天板51と上段フレーム61とのX方向に関するスライド時においても、天板51の絶対位置を変化させることなく上段フレーム61を退避させることができる。
(変形例3)
変形例3に係る架台制御回路33は、天板51の下降時における架台本体81と天板支持フレーム53との干渉を回避するために寝台23に係る干渉回避動作を行う。以下、変形例3について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
天板51が架台本体81の開口41内に配置されている状態において天板51と上段フレーム61とがY方向に下降する場合も、上段フレーム61と架台本体81、より詳細には、上側筐体431とが干渉し得る。この干渉を回避するため架台制御回路33は、天板51と上段フレーム61との下降時においても、チルト時と同様、干渉判定機能331、チルト機能333及び干渉回避動作機能335を実行する。なお、変形例3に係るチルト機能333は天板昇降機能に差し替えられる。天板昇降機能において架台制御回路33は、昇降駆動装置257に駆動信号を供給し、天板51と上段フレーム61とを上昇又は下降する。具体的には、架台制御回路33は、X方向に関する天板51と上段フレーム61との下降時において干渉判定機能331を実行し、架台本体81と上段フレーム61との間の架台寝台距離が干渉距離内にあるか否かを判定する。当該架台寝台距離が当該干渉距離内にないと判定した場合、架台制御回路33は、天板昇降機能333を維持する。この場合、架台制御回路33は、入力回路31等を介したユーザからの指示に従い昇降駆動装置257を制御し、Y方向に関して天板51と上段フレーム61とを下降する。一方、当該架台寝台距離が当該干渉距離内にあると判定した場合、架台制御回路33は、干渉回避動作機能335に切り替える。干渉回避動作機能335において架台制御回路33は、架台本体81に対する天板51の位置を固定しつつ上段フレーム61が架台本体81から離れるように、天板51と上段フレーム61とをスライドさせる。上段フレーム61の退避後、架台制御回路33は、Y方向に関して更に天板51と上段フレーム61とを下降することができる。
上記の通り、変形例3に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、天板51と上段フレーム61とのY方向に関する下降時においても、天板51の絶対位置を変化させることなく上段フレーム61を退避させることができる。
(変形例4)
上記の実施形態において架台制御回路33は、天板51をZ軸、X軸及びY軸の3軸に関して移動するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、寝台23は、天板51を、XYZ空間に設定された任意の回転軸回りに回転可能な機構を装備しても良い。この場合、架台制御回路33は、天板51を当該回転軸回りに回転させ可能である。上記構成により、例えば、天板51を架台開口41に対して斜めに挿入することができ、天板51の位置決めの自由度を更に向上させることができる。この場合においても架台制御回路33は、上記実施形態と同様、架台本体81と天板支持フレーム53との干渉を回避するため干渉回避動作を行うことが可能である。
(変形例5)
上記の実施形態においては干渉回避動作において上段フレーム61等の天板支持フレーム53を退避させるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、支持台55がZ方向に関して移動可能な機構を有する場合、支持台55を退避させても良い。例えば、CT検査室の床面においてZ軸に沿うレールが設けられ、支持台55の底部等に当該レールを走行するための滑車が設けられる場合がある。支持台55には、架台/寝台駆動系25として、当該滑車を駆動するための滑車駆動装置が設けられている。架台制御回路33は、滑車駆動装置を制御し、支持台55をZ方向に移動することができる。
干渉回避動作において架台制御回路33は、架台10に対する天板51の位置を固定しつつ支持台55が架台10から離れるように、天板51と支持台55とを連動的に移動させる。この際、上段フレーム61をスライドするための下段駆動装置255を駆動する必要はない。架台制御回路33は、上段駆動装置253と滑車駆動装置とを、上記実施形態と同様、天板51と支持台55とが各時点において互いに逆方向且つ同一速さで移動するための所定の速度カーブに従い連動的に制御する。干渉回避動作後、架台制御回路33は、この天板51と支持台55との連動移動に追従して架台10をチルトする。
上記の通り、変形例5によれば、2段スライド型の寝台でなくても、支持台55の移動機構を搭載した寝台であれば、干渉回避動作を行うことができる。
(変形例6)
上記の実施形態において上段駆動装置253、下段駆動装置255及び昇降駆動装置257は架台制御回路33が制御し、架台制御回路33は架台10に設けられるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。上段駆動装置253、下段駆動装置255及び昇降駆動装置257は、架台10に設けられた架台制御回路33ではなく、寝台23に設けられた他の制御回路が制御しても良い。これにより干渉回避動作を寝台23の構成のみで行うことが可能となる。
(変形例7)
上記の実施形態において寝台23は、下段フレーム63が上下動するに伴いZ方向に機械的に移動する構造を有するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、寝台23は、下段フレーム63が上下動するに伴いZ方向に機械的に移動しない構造、すなわち、下段フレーム63が垂直方向に上下する構造を有しても良い。
(変形例8)
上記の実施形態において架台制御回路33は、架台10と天板支持フレーム53との距離(架台寝台距離)が所定距離内にある場合、架台10に対する天板51の位置を固定しつつ天板支持フレーム53が架台10から離れるように、天板51と天板支持フレーム53とを移動させるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。変形例8に係る架台制御回路33は、架台10と天板支持フレーム53との距離(架台寝台距離)が所定距離外にある場合、架台10に対する天板51の位置を固定しつつ天板支持フレーム53が架台10に接近するように、天板51と天板支持フレーム53とを移動させる。以下、変形例8に係るX線コンピュータ断層撮影装置について説明する。なお以下の説明において、上記実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
図16は、変形例8に係る寝台23と架台本体81との動作を模式的に示す図である。なお図16のチルト動作制御の開始時点において架台本体81は所定角度にチルトしており、且つ天板51は架台本体81の開口41内に挿入されているものとする。
図16に示すように、架台制御回路33は、架台本体81の下部が上段フレーム61から離れる方向(以下、マイナス方向)へのチルトのための−チルトボタンの押下を待機している。例えば、放射線技師等のユーザは、患者等の位置決めのために−チルトボタンを押下する。
−チルトボタンが押下されている期間、架台制御回路33は、チルト駆動装置251に駆動信号を繰り返し供給し、所定の角速度で架台本体81を、マイナス方向にチルトさせる。ユーザは、所定のチルト角に架台本体81が到達すると−チルトボタンを離す。−チルトボタンが離された場合、架台制御回路33は、チルト駆動装置251への駆動信号の供給を停止し、架台本体81のチルト動作を停止する。
架台本体81のチルト動作が停止すると架台制御回路33は、架台本体81が天板支持フレーム53から所定距離(以下、追従距離と呼ぶ)より離間しているか否かを判定する。具体的には、架台制御回路33は、チルト検出器252、上段検出器254、下段検出器256及び昇降検出器258からの出力に基づいて架台寝台距離を算出し、架台寝台距離が追従距離よりも離間しているか否かを繰り返し判定する。
架台寝台距離が追従距離よりも短い、すなわち、架台本体81が上段フレーム61に追従距離よりも離間していないと判定された場合、架台制御回路33は、動作を停止する。
一方、架台寝台距離が追従距離よりも長い、すなわち、架台本体81が上段フレーム61に追従距離よりも離間していると判定された場合、架台制御回路33は、追従動作機能を実行する。追従動作機能において架台制御回路33は、上段駆動装置253と下段駆動装置255とを同期的に制御し、天板51と上段フレーム61とを同一速度且つ逆方向にスライドさせ、天板51の絶対位置を固定したまま上段フレーム61を架台本体81に接近させる。接近中、架台制御回路33は、架台寝台距離を算出し、架台寝台距離が干渉距離よりも接近しているか否かを繰り返し判定し、架台寝台距離が干渉距離よりも短い場合、上段駆動装置253と下段駆動装置255とをインターロック制御し、天板51と上段フレーム61とを停止させる。追従動作機能により、天板51の絶対位置を固定しつつ、架台本体81のチルト動作に追従して上段フレーム61を架台本体81に接近させることができる。架台本体81に上段フレーム61を可能な限り接近させることができるので、開口41内での天板51の撓み等を低減することができる。
なお、上記動作例においては、架台本体81が所望のチルト角に到達し終えてから天板51及び上段フレーム61が追従動作を行うものとした。しかしながら、架台制御回路33は、架台本体81が所望のチルト角に到達するまで、架台本体81のチルト動作と、天板51及び上段フレーム61の追従動作とを間欠的に交互に行っても良い。また、架台制御回路33は、架台本体81のチルトと、天板51及び上段フレーム61の追従動作とを同時に行っても良い。これにより、干渉回避動作とチルトとを交互に行う場合に比して、架台本体81の位置決めを短時間に行うことができる。
(総括)
上記の説明の通り、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台10、寝台23及び架台制御回路33を有している。架台10は、X線管13とX線検出器15とを有している。寝台23は、被検体Oが載置される天板51と、天板51を長軸に沿って移動可能に支持する天板支持フレーム53と、を有する。架台制御回路33は、架台10に対する天板51の位置を固定するように、天板51と天板支持フレーム53とを移動させる。
上記の構成により、天板51の絶対位置を固定しつつ天板支持フレーム53を架台本体81から退避させたり接近させたりすることができる。従って本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、天板51の絶対位置が変化する場合に比して、患者の負担無く、天板支持フレーム53と架台本体81とのクリアランスを調節することができる。また、干渉回避動作又は架台追従動作の前後を通じて天板51の絶対位置が不変であるので、干渉回避動作後等において再度、天板51の位置決めを行う必要がない。そのため、チルト角や天板支持フレーム53の位置等に制限を設けることで対処していた従来に比して位置決め効率が向上する。
より具体的には、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、天板51の撓みや振動を低減するために天板支持フレーム53を架台10に可能な限り接近させている場合において架台本体81等をチルト等するとき、天板51の絶対位置を固定しつつ天板支持フレーム53を架台10から退避させることができる。従って本実施形態によれば、チルト角や天板支持フレーム53の位置等に制限を設けることなく、寝台23の駆動のみで干渉を回避することができる。よって、2段スライド型の寝台23を備えるX線コンピュータ断層撮影装置の能力を最大限に発揮することができる。
かくして、本実施形態によれば、天板の撓みや振動を軽減しつつ架台及び寝台の位置決めの自由度を高めることが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。