以下、本発明の第1実施形態に係る内容物検知装置について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る内容物検知装置101を模式的に示す外観斜視図である。図2は、図1に示す内容物検知装置101の正面透視図である。図3は、図1に示すセンサ110及びホルダ140の断面図である。図1に示す矢印は、重力の方向を示す。
内容物検知装置101は、容器80とホルダ140とセンサ110と検出回路175と供給部180とを備える。供給部180は、センサ110の上方に位置した状態で容器80に固定されている。供給部180は、粉体Pを容器80に供給する。
容器80は、粉体Pを収納する第1空間S1を構成する。粉体Pは、供給部180から第1空間S1へ重力によって降る。また、容器80の底面には、開口部89が設けられている。そのため、容器80に収納されている粉体Pは所定量ずつ、開口部89から重力によって流出する。
センサ110は図3に示すように、ホルダ140に固定される固定部52と、固定部52から第1空間S1へ伸びるセンサ部16と、固定部52からセンサ部16とは逆方向へ伸びる回路部53と、を有する。
なお、センサ110が、本発明の圧電素子の一例を構成する。容器80とホルダ140とが、本発明の筐体の一例を構成する。センサ部16が、本発明の圧電部の一例を構成する。粉体Pが、本発明の内容物の一例を構成する。
センサ110は、後述する圧電フィルム31の主面が重力方向に直交する状態でホルダ140に固定される。すなわちセンサ110は、後述する圧電フィルム31の主面が粉体面Qに対して平行となる状態でホルダ140に固定される。
ホルダ140の形状は円柱状である。ホルダ140は例えば弾性体によって構成される。ホルダ140は例えば弾性体を介して固定部52を固定する。また、ホルダ140は図3に示すように、第1空間S1と異なる第2空間S2を構成する。回路部53は、第2空間S2に位置する。また、センサ部16は、容器80の中に挿入されている端部51を有する。端部51は、容器80の中の予め定められた所定高さに位置している。
ここで、回路部53が第1空間S1に位置すると、粉体Pが回路部53に付着するおそれがあり、付着位置によっては回路部53がショートし、センサとして機能しなくなる可能性がある。特に粉体Pがカーボンのような導電性を持つ材料である場合、その可能性が高い。そのため、回路部53が第2空間S2に位置する。
また、回路部53が第2空間S2に位置する最大の理由はセンサ部16の一端をできるだけ固定部52に近付けたいためである。仮に固定部52、回路部53、及びセンサ部16になると、センサ部16の変位が小さくなるおそれがある。
なお、内容物検知装置101は例えば、画像形成装置に備えられる。粉体Pは例えばトナーである。画像形成装置は、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する。画像形成装置は、現像装置によって感光体ドラムに対してトナーを供給することによって静電潜像を現像する。トナーは、現像装置が現像を行う毎に、消費される。そのため、トナーボトルに貯蔵されたトナーは、供給部180を介して内容物検知装置101の容器80に供給され、容器80に供給されたトナーが、容器80の底面に設けられた開口部89を介して現像装置へ流出する。
内容物検知装置101は例えば、容器80に供給されたトナーの有無をチェックするために、センサ110を備える。これにより、トナーボトル内にトナーがなくなったとしても、内容物検知装置101の容器80内にトナーが収納されているため、画像形成装置の印刷動作を停止させることなく、空になったトナーボトルを取り外して、新しいトナーボトルに交換するために必要な時間を確保することができる。すなわち、内容物検知装置101は、トナーボトルが交換される間、画像形成動作を続けることが可能となる。
図4は、図1に示すセンサ110の平面図である。図5は、図4に示すセンサ部16の断面図である。図6は、図4に示すセンサ部16に備えられる圧電フィルム31の平面図である。
センサ110は図4に示すように、センサ部16と第1端子32と第2端子33とセンサ回路39と接続端子71と基板30とを有する。基板30の表主面には、センサ部16、センサ回路39、接続端子71、第1端子32及び第2端子33が実装されている。センサ回路39及び接続端子71は、回路部53を構成する。基板30の材料は例えば、ポリイミド等の樹脂である。第1端子32及び第2端子33は、導体パターンである。
次に、センサ部16は、図5に示すように、圧電フィルム31、粘着剤層91及び粘着剤層92、第1電極34、第2電極35、基板30、及び基板37を備える。基板37の材料は例えば、PET等の樹脂である。
図5に示すように、第1電極34、第2電極35、圧電フィルム31、基板30、及び基板37は、それぞれ平板状で厚み方向に対向する表主面および裏主面を備える。なお、図5中の上側面を表主面、下側面を裏主面と称する。
図5に示すように、基板37、第2電極35、粘着剤層91、圧電フィルム31、粘着剤層92、第1電極34、及び基板30は、この順に表主面側から裏主面側にかけて積層されている。
具体的には、圧電フィルム31の表主面に第2電極35が粘着剤層91を介して積層され、第2電極35の表主面にさらに基板37が積層されている。また、圧電フィルム31の裏主面に第1電極34が粘着剤層92を介して積層され、第1電極34の裏主面にさらに基板30が積層されている。
なお、第2電極35、第1電極34、圧電フィルム31、及び基板37は、それぞれの平面視した外形状が概略長方形状である。基板37の外形状は、圧電フィルム31の外形状より若干大きい。
基板37の裏主面には、第2電極35が形成されており、基板30の表主面には、第1電極34が形成されている。そして、図5に示すように、第1電極34の表主面には、圧電フィルム31が粘着剤層92によって貼付されている。また、第2電極35の裏主面には、圧電フィルム31が粘着剤層91によって貼付されている。なお、粘着剤層91及び粘着剤層92は、例えばアクリル系粘着剤で構成される。
なお、電極の役割として、第2電極35は基準電位電極であり、第1電極34を電荷検知電極であることが好ましい。この構成は、静電気や電磁ノイズ等の影響を受けにくくすることができる。
次に、図4、図5に示すように、第1端子32の第1の端は、第2電極35に接続している。一方、第1端子32の第2の端は、センサ回路39に接続している。第2電極35はグランド電極である。
そして、第2端子33の第1の端は、第1電極34に接続している。一方、第2端子33の第2の端は、センサ回路39に接続している。第1電極34はホット電極である。基板30の表主面には、第1電極34、センサ回路39、及び第2端子33が実装されている。
なお、基板30の裏主面にもグランド電極が形成されていてもよい。この構成は、このグランド電極と第2電極35とで第1電極34を挟み込む構造となるため、ノイズの影響を軽減することができる。
したがって、センサ回路39は、図4、図5に示すように、第1端子32及び第2端子33を介して第1電極34と第2電極35とに接続している。また、センサ回路39は、接続端子71に接続している。センサ回路39はセンサ部16で発生した電荷を電圧に変換し、増幅した検知信号を接続端子71に出力する。
次に、圧電フィルム31の構成について詳述する。
図6に示すように、圧電フィルム31は、圧電フィルム31の長辺に対して約45°を成す方向19へ分子配向している。圧電フィルム31は、圧電フィルム31の短辺に対して約45°を成す方向19へ分子配向している。
圧電フィルム31は、L型ポリ乳酸(PLLA)を主材料とするフィルムである。PLLAは、主鎖が螺旋構造を有するキラル高分子であり、所定の軸方向に配向させることで圧電性を発現する性質を有している。この圧電性は、圧電フィルムの厚み方向を第1軸とし、PLLAの分子が配向する方向を第3軸として圧電テンソル成分d14で表わされる。すなわちPLLAはずり圧電性を有する圧電体である。
ここで、圧電フィルム31における延伸方向19の角度は、長辺に対して正確な45°に限られることなく、45°に近い任意の角度とすることができる。延伸方向19の角度が、長辺に対して45°に近い角度であるほど、曲げ力を効率的に検知することができる。
したがって、本発明でいう略45°とは、例えば45°±10°程度の45°を中心とする所定範囲の角度をいう。これらの具体的な角度は、曲げセンサの用途や各部の特性などに基づいて全体の設計に応じて適宜決定するとよい。
なお、圧電フィルム31は、PLLAを主材料とするフィルムに限られず、D型ポリ乳酸(PDLA)や、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタメート(PBLG)等の他のキラル高分子を主材料とするフィルムでもよい。ただし、PLLAやPDLAのようなキラル高分子を主材料とする圧電フィルム31の圧電性は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やPZT等の強誘電体のようにイオンの分極によって発現するものではなく、分子の特徴的な構造である螺旋構造に由来するものである。
したがって、キラル高分子は、PVDF等の他のポリマーや、圧電結晶薄膜を用いた圧電セラミックスのように、ポーリング処理によって圧電性を発現させる必要がなく、また、PVDF等は経時的に圧電定数の変動が見られ、場合によっては圧電定数が著しく低下する場合があるが、キラル高分子の圧電定数は経時的に極めて安定している。
さらには、キラル高分子は、他の強誘電性の圧電体で生じる焦電性が生じることがない。したがって、キラル高分子を主材料とする圧電フィルム31は、温度変化に依存することなく、力のみに応じた電圧を得ることができる。
また、キラル高分子はポリマーであり、柔軟性を有するので、圧電セラミックスのように、大きな変位で破損することがない。したがって、キラル高分子を主材料とする圧電フィルム31は、変位量が大きくても破損することがなく、確実に変位量を検知することができる。よって、センサ110は、センサ部16の変位を、確実且つ高感度に検知することができる。
次に、センサ110の検知方法について、より詳細に説明する。図7は、図1に示すセンサ部16を模式的に示す外観図である。図8は、図7に示すセンサ部16が曲がった状態の概念図である。図9は、図7に示すセンサ部16が捻れた状態の概念図である。
なお、図8では、センサ部16の固定部52の端辺DCを固定端辺とし、端部51の端辺BAに曲げが生じた場合を図示している。言い換えれば、固定端辺DCの両端となる角Dおよび角Cが固定された角となり、端辺BAの両辺となる角Bおよび角Aが、互いに同じ方向へ変位した場合を示している。
また、図9では、センサ部16の固定部52の端辺DCを固定端辺とし、端部51の端辺BAに捻れが生じた場合を図示している。言い換えれば、固定端辺DCの両端となる角Dおよび角Cが固定された角となり、端辺BAの両辺となる角Bおよび角Aが、互いに逆方向へ変位した場合を示している。
(曲げ変形)
図7に示すように、曲げ変位が0の場合、すなわちセンサ部16に対して曲げを生じさせる外力が加わっていない場合、センサ部16は、平坦な状態となる。
この場合、センサ部16の圧電フィルム31は伸縮せず、センサ部16から出力される電圧の変化は生じない。例えば、この状態で電圧が0[V]になるように予め設定すれば、センサ部16から出力される電圧は、0[V]となる。
そして、図8に示すようにセンサ部16に対して曲げを生じさせる外力が加わった場合、センサ部16は、長手方向に沿って湾曲する。この場合、センサ部16の圧電フィルム31は、センサ部16に貼付されている面と曲げ方向によって、伸びるか若しくは縮む。
このとき、圧電フィルム31の延伸方向19が圧電フィルム31の長辺に対して約45°を成す方向であるため、圧電フィルム31の伸長方向または圧縮方向は延伸方向19に対して約45°を成す。
そのため、圧電フィルム31は、センサ部16に貼付されている面と曲げ方向によって、ずり変形を生じる。このずり変形の圧電効果により電荷が発生し、センサ部16から出力される電圧に変化が生じる。すなわち、センサ部16から出力される電圧は、0[V]から所定電圧値(例えば数V)に変化する。
(捻れ変形)
図7に示すように、捻れ変位が0の場合、すなわちセンサ部16に対して捻れを生じさせる外力が加わっていない場合、センサ部16は、平坦な状態となる。
この場合、圧電フィルム31は伸縮せず、センサ部16から出力される電圧の変化は生じない。例えば、この状態で電圧が0[V]になるように予め設定すれば、センサ部16から出力される電圧は、0[V]となる。
そして、図9に示すようにセンサ部16に対して捻れを生じさせる外力が加わった場合、センサ部16では角Aと角Bが、それぞれ異なる方向へ変位した状態となる。
しかし、圧電フィルム31の延伸方向19が圧電フィルム31の長辺に対して約45°を成す方向であるため、圧電フィルム31の伸長方向または圧縮方向は延伸方向19と一致する。このとき、圧電フィルム31はずり変形を生じていないため、圧電定数d14による電荷を生じない。すなわち、捻れ変形によってセンサ部16から出力される電圧に変化が生じない。すなわち、センサ部16から出力される電圧は、0[V]である。
したがって、センサ110は、センサ部16から出力される微弱な電圧をセンサ回路39によって観測することで、センサ部16の曲げ変形を検知できる。センサ回路39は、この検知結果を示す検知信号を接続端子71から外部の検出回路175等へ出力する。
以上の構成において、端部51は図1、図2に示すように、容器80の中の予め定められた所定高さに位置している。また、端部51は、容器80に収納されている粉体Pの中に挿入されている。粉体Pは、供給部180から第1空間S1へ重力によって降る。そして、容器80に収納されている粉体Pは所定量ずつ、開口部89から重力によって流出する。
そのため、センサ部16は図8に示すように、粉体Pの移動によって端部51が曲がった形状に変形する。この変形は一定以上になるとセンサ部16の弾性によりある程度戻る。よって、端部51が粉体Pに接触する間、センサ110には、粉体Pの移動による捻れと、センサ部16の弾性による戻りとが繰り返して生じる。これにより、圧電フィルム31には圧電効果により電荷が生じ、センサ部16から出力される電圧に変化が生じる。
ここで、供給部180から容器80への粉体Pの供給が停止した時、容器80に収納されている粉体Pの量は所定量ずつ減っていく。そして、容器80に収納されている粉体Pの量が所定高さ以下に減少した時、センサ部16は、端部51が粉体Pの中に挿入されていない状態となる。そのため、センサ部16は図7に示すように、端部51が曲がっていない元の形状に戻る。これにより、センサ部16から出力される電圧が0Vになる。
以上により、内容物検知装置101は、センサ部16の曲げ状態に基づいて、予め定められた所定高さまで粉体Pが収納されているか否かを検知できる。ここで、センサ110は、センサ部16の主面でなく、固定部52でホルダ140に固定されている。そのため、センサ部16の振動がホルダ140によって殆ど阻害されない。すなわちセンサ110は端部51を効率よく振動させることができる。
したがって、内容物検知装置101は、粉体Pの量の検知精度を向上することができる。
また、衝撃を含む外部の振動が、容器80からホルダ140を介してセンサ110に伝わる場合がある。そのため、センサ部16も図8に示すように、外部の振動によって曲げ変位を起こす場合がある。
しかし、ホルダ140が弾性体で構成されている或いはホルダ140が弾性体を介して固定部52を固定する場合、容器80に外部の振動が加わったとしても、弾性体によって外部の振動が減衰されるため、容器80からホルダ140を介してセンサ部16に伝わり難い。よって、内容物検知装置101は、外部の振動によって誤検知を行うことを防止できる。
また、センサ110では回路部53とセンサ部16との間に固定部52が配置されているため、センサ部16の振動が回路部53に伝わり難い。よって、内容物検知装置101は、センサ部16の振動によるノイズの影響を低減できる。
また、ホルダ140が弾性体で構成されている場合、センサ部16の振動が回路部53にさらに伝わり難い。よって、内容物検知装置101は、センサ部16の振動によるノイズの影響をさらに低減できる。
また、仮にセンサ部16と回路部53とが別々の基板に形成されていた場合、センサ部16と回路部53とは配線で接続される必要がある。この場合、配線の揺れによってノイズが発生したりセンサ部16と配線との接続箇所において亀裂が発生したりするおそれがある。センサ110は、センサ部16と回路部53とが1つの基板30に形成されているため、ノイズを軽減したり亀裂の発生を抑制したりすることができる。
また、内容物検知装置101では、回路部53が粉体Pの状態を検知するため、回路部53と検出回路175とを接続する伝送線路L1が揺れたとしても、結果に影響を与えない。
なお、センサ110は、図2に示すように、端部51が、容器80に収納されている粉体Pの中に挿入される状態でホルダ140に固定されているが、これに限るものではない。センサ110は、図10に示すように、端部51が、容器80に収納されている粉体Pの中に挿入されない状態でホルダ140に固定されてもよい。この場合、センサ110は、センサ部16の曲げ状態に基づいて、供給部180から容器80へ降る粉体Pの流量を検知することもできる。
以下、本発明の第2実施形態に係る内容物検知装置について説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係る内容物検知装置201を模式的に示す外観斜視図である。図12は、図11に示す圧電素子150の断面図である。
なお、図11は、説明簡略化のため、容器80及び供給部180の図示を省略している。
内容物検知装置201が内容物検知装置101と相違する点は、ホルダ240、アクチュエータ210及び駆動回路275を備える点である。内容物検知装置201は、センサ110及びアクチュエータ210によって構成される圧電素子150を備える。その他の構成に関してはホルダ140と同じであるため、説明を省略する。
ホルダ240の形状は四角柱状である。その他の構成に関してはホルダ140と同じである。
圧電素子150は、圧電フィルム31の主面が重力方向に直交する状態でホルダ240に固定される。すなわち圧電素子150は、圧電フィルム31の主面が粉体面Qに対して平行となる状態でホルダ140に固定される。
センサ110は前述したように、ホルダ240に固定される固定部52と、固定部52から第1空間S1へ伸びるセンサ部16と、固定部52からセンサ部16とは逆方向へ伸びる回路部53と、を有する。
同様にアクチュエータ210は、ホルダ240に固定される固定部252と、固定部252から第1空間S1へ伸びるアクチュエータ部216と、固定部252からアクチュエータ部216とは逆方向へ伸びる回路部253と、を有する。
次に、センサ部16は、図12に示すように、圧電フィルム31、粘着剤層91及び粘着剤層92、第1電極34、第2電極35、基板30、及び基板37を備える。アクチュエータ部216は同様に、圧電フィルム31、粘着剤層91及び粘着剤層92、第1電極34、第2電極35、基板30、及び基板37を備える。回路部253は、アクチュエータ部216の第1電極34及び第2電極35に接続している。
圧電素子150は、センサ110及びアクチュエータ210が積層されることによって構成されている。センサ110に関して回路部53は図11に示すように、センサ部16で発生した電荷を電圧に変換し、増幅した検知信号を検出回路175に出力する。
一方、アクチュエータ210に関して駆動回路275は、交流の駆動電圧をアクチュエータ210の回路部253に出力する。回路部253は、駆動電圧をアクチュエータ部216の第1電極34及び第2電極35に印加する。
次に、内容物検知装置201の動作について説明する。
図13は、図11に示す圧電素子150が振動している時における内容物検知装置201の外観斜視図である。
アクチュエータ210に関して回路部253が駆動電圧を第1電極34及び第2電極35に印加すると、圧電フィルム31が伸縮する。圧電フィルム31が貼付された基板30及び基板37は伸縮しないため、アクチュエータ部216が図13に示すように撓み振動する。
一方、センサ110に関してセンサ部16はこの撓み振動で電荷を発生し、回路部53は電荷を電圧変換し、増幅した検知信号を検出回路175に出力する。すなわち、回路部53は、センサ部16の振幅を検知信号として検出回路175に出力する。
以上の構成において、端部51が粉体Pに接触する第1状態から、端部51が粉体Pに接触しない第2状態になった時、センサ部16の振幅が変化する。そのため、内容物検知装置201は、センサ部16の振幅に基づいて、予め定められた所定高さまで粉体Pが収納されているか否かを検知できる。
また、センサ110は、センサ部16の主面でなく、固定部52でホルダ140に固定されている。そのため、センサ部16の振動がホルダ140によって殆ど阻害されない。すなわちセンサ110は端部51を効率よく振動させることができる。
したがって、内容物検知装置201は、内容物検知装置101と同様に、粉体Pの量の検知精度を向上することができる。
なお、図14に示すように、アクチュエータ210の長手方向の長さをセンサ110の長手方向の長さより長くし、センサ110がアクチュエータ210によって拘束されない領域を有することが好ましい。この構成は、端部51の可動範囲が広がるため、粉体Pの量の検知精度をより向上することができる。
以下、本発明の第3実施形態に係る内容物検知装置について説明する。
図15は、本発明の第3実施形態に係る内容物検知装置301を模式的に示す外観斜視図である。
なお、図15は、説明簡略化のため、容器80及び供給部180の図示を省略している。
内容物検知装置301が内容物検知装置201と相違する点は、ホルダ340、圧電素子250及び基準電圧回路375を備える点である。その他の構成に関してはホルダ240と同じであるため、説明を省略する。
圧電素子250の構成は、圧電素子150の構成と同じである。ホルダ340は、ホルダ240より大きい。圧電素子150の固定部52及び固定部252と、圧電素子250の固定部52及び固定部252とは、ホルダ340に固定される。
圧電素子150及び圧電素子250は、圧電フィルム31の主面が重力方向に直交する状態でホルダ340に固定される。すなわち圧電素子150及び圧電素子250は、圧電フィルム31の主面が粉体面Qに対して平行となる状態でホルダ140に固定される。基準電圧回路375は基準電圧を生成する。
次に、内容物検知装置301の動作について説明する。
図16は、図15に示す圧電素子150及び圧電素子250が振動している時における圧電素子150及び圧電素子250の外観斜視図である。図17は、図15に示す圧電素子150のセンサ部16から出力される第1検知信号の波形を示す図である。図18は、図15に示す圧電素子250のセンサ部16から出力される第2検知信号の波形を示す図である。図19は、図15に示す圧電素子150のセンサ部16から出力される第1検知信号と図15に示す圧電素子250のセンサ部16から出力される第2検知信号との差を示す図である。図20は、外部から振動が加わった時における圧電素子150及び圧電素子250の外観斜視図である。
圧電素子150に対して駆動回路275は、基準電圧に基づいて交流の第1駆動電圧をアクチュエータ210の回路部253に出力する。回路部253は、第1駆動電圧をアクチュエータ部216の第1電極34及び第2電極35に印加する。回路部253が第1駆動電圧を第1電極34及び第2電極35に印加すると、圧電素子150はアクチュエータ部216によって図16に示すように撓み振動する。
一方、圧電素子150のセンサ110に関してセンサ部16はこの撓み振動で電荷を発生し、回路部53は電荷を電圧変換し、増幅した第1検知信号(図17参照)を検出回路175に出力する。すなわち、回路部53は、センサ部16の振幅を第1検知信号として検出回路175に出力する。
圧電素子250に対して駆動回路275は、基準電圧に基づいて交流の第2駆動電圧をアクチュエータ210の回路部253に出力する。第2駆動電圧は、第1駆動電圧とは逆位相の電圧である。回路部253は、第2駆動電圧をアクチュエータ部216の第1電極34及び第2電極35に印加する。回路部253が第2駆動電圧を第1電極34及び第2電極35に印加すると、圧電素子250はアクチュエータ部216によって図16に示すように圧電素子150とは逆位相で撓み振動する。
一方、圧電素子250のセンサ110に関してセンサ部16はこの撓み振動で電荷を発生し、回路部53は電荷を電圧変換し、増幅した第2検知信号(図18参照)を検出回路175に出力する。すなわち、回路部53は、センサ部16の振幅を第2検知信号として検出回路175に出力する。この第2検知信号は、第1検知信号と逆位相の信号となる。
検出回路175は図19に示すように、基準電圧に基づいて第1検知信号と第2検知信号との差を示す差信号を生成する。
以上の構成において圧電素子150及び圧電素子250では、端部51が粉体Pに接触する第1状態から、端部51が粉体Pに接触しない第2状態になった時、センサ部16の振幅が変化する。そのため、内容物検知装置301は、差信号の振幅に基づいて、予め定められた所定高さまで粉体Pが収納されているか否かを検知できる。
また、センサ110は、センサ部16の主面でなく、固定部52でホルダ140に固定されている。よって、センサ部16の振動がホルダ340によって殆ど阻害されない。すなわちセンサ110は端部51を効率よく振動させることができる。
したがって、内容物検知装置301は、内容物検知装置101と同様に、粉体Pの量の検知精度を向上することができる。
ここで、外部から圧電素子150及び圧電素子250に振動が加わった時、同じ向きの力が圧電素子150及び圧電素子250に加わる。そのため、圧電素子150及び圧電素子250は図20に示すように同位相で振動する。そのため、第1検知信号と第2検知信号とが同位相になる。すなわち、検出回路175では第1検知信号と第2検知信号とが相殺される。よって、外部の振動によって発生する検出回路175の出力は大幅に低減する。
したがって、内容物検知装置301は、外部の振動によって誤検知を行うことを防止できる。
以下、本発明の第4実施形態に係る内容物検知装置について説明する。
図21は、本発明の第4実施形態に係る内容物検知装置401を模式的に示す正面透視図である。図22は、図21に示すカバー440を示す外観斜視図である。図23は、図22に示すカバー440の変形例に係るカバー441を示す外観斜視図である。図24は、図1に示すセンサ110の変形例に係るセンサ111を示す外観斜視図である。図25は、図1に示すセンサ110の変形例に係るセンサ112を示す外観斜視図である。
なお、図21に示す矢印は、粉体Pの動きを示している。
内容物検知装置401が内容物検知装置101と相違する点は、カバー440を備える点である。カバー440は図21及び図22に示すように、センサ部16の上方に位置しセンサ部16を保護する。カバー440はホルダ140に固定されている。その他の構成に関しては同じであるため、説明を省略する。
以上の構成では、供給部180から第1空間S1へ降る粉体Pが、センサ部16に直接接触しない。したがって、内容物検知装置401は、容器80に収納されている粉体Pの正確な量を検知できる。
なお、図21及び図22に示すようにカバー440は上方から平面視してセンサ部16を全て覆うように配置することが効果的であるが、これに限るものではない。
例えば図23に示すように上方から平面視して、少なくとも一部がセンサ部16と重なるカバー441も、一定の効果を得ることができる。また、カバーは供給部180から降る粉体Pに対して凸であることが好ましい。
また、例えば図24に示すようにカバー部442を有するセンサ111を使用し、センサ111の両端をホルダ140に固定してもよい。センサ111は、カバー部442をさらに有する点でセンサ110と相違する。カバー部442はセンサ部16の上方に位置しセンサ部16を保護する。
また、例えば図25に示すようにセンサ部116を有するセンサ112を使用し、センサ112の両端をホルダ140に固定してもよい。センサ111がセンサ110と相違する点は、センサ部116の長手方向の長さがセンサ部16の長手方向の長さより長い点である。その他の構成については同じであるため、説明を省略する。
このセンサ112は、片端をホルダ140に固定したセンサ110と比べて剛性を高めることができる。さらに、このセンサ112は、省スペースでセンサ部116の長さを得ることができるため、S/N比を改善できる。
以下、本発明の第5実施形態に係る内容物検知装置について説明する。
図26は、本発明の第5実施形態に係る内容物検知装置501を模式的に示す正面透視図である。図27は、図7に示すセンサ部16の変形例に係るセンサ部516を模式的に示す外観図である。図28は、図27に示すセンサ部516が曲がった状態の概念図である。図29は、図27に示すセンサ部516が捻れた状態の概念図である。
内容物検知装置501が内容物検知装置101と相違する点は、曲げ変形を検知できるセンサ110に代えて、捻れ変形を検知できるセンサ113を備える点である。その他の構成については同じであるため、説明を省略する。
センサ113がセンサ110と相違する点は、圧電フィルム31の延伸方向19がセンサ部16と異なるセンサ部516を備える点である。圧電フィルム31の延伸方向19は図27に示すように、センサ部516の長手方向と一致している。すなわち、圧電フィルム31は、圧電フィルム31の長辺に対して約0°を成す方向19へ分子配向している。圧電フィルム31は、圧電フィルム31の短辺に対して約90°を成す方向19へ分子配向している。
ここで、圧電フィルム31における延伸方向19の角度は、長辺に対して正確な0°に限られることなく、0°に近い任意の角度とすることができる。延伸方向19の角度が、長辺に対して0°に近い角度であるほど、捻れ力を効率的に検知することができる。したがって、約0°とは、例えば0°±10°程度の0°を中心とする所定範囲の角度をいう。同様に約90°とは、例えば90°±10°程度の90°を中心とする所定範囲の角度をいう。
なお、図28では、センサ部516の固定部52の端辺DCを固定端辺とし、端部51の端辺BAに曲げが生じた場合を図示している。言い換えれば、固定端辺DCの両端となる角Dおよび角Cが固定された角となり、端辺BAの両辺となる角Bおよび角Aが、互いに同じ方向へ変位した場合を示している。
また、図29では、センサ部516の固定部52の端辺DCを固定端辺とし、端部51の端辺BAに捻れが生じた場合を図示している。言い換えれば、固定端辺DCの両端となる角Dおよび角Cが固定された角となり、端辺BAの両辺となる角Bおよび角Aが、互いに逆方向へ変位した場合を示している。
(曲げ変形)
図27に示すように、曲げ変位が0の場合、すなわちセンサ部516に対して曲げを生じさせる外力が加わっていない場合、センサ部516は、平坦な状態となる。この場合、センサ部516の圧電フィルム31は伸縮せず、センサ部516から出力される電圧の変化は生じない。例えば、この状態で電圧が0[V]になるように予め設定すれば、センサ部516から出力される電圧は、0[V]となる。
そして、図28に示すようにセンサ部516に対して曲げを生じさせる外力が加わった場合、センサ部516は、長手方向に沿って湾曲する。この場合、センサ部516の圧電フィルム31は、センサ部516に貼付されている面と捻れ方向によって、伸びるか若しくは縮む。
しかし、圧電フィルム31の延伸方向19がセンサ部516の長手方向と一致しているため、圧電フィルム31の伸長または圧縮方向は延伸方向19と一致する。このとき圧電フィルム31はずり変形をおこしていないので、圧電定数d14による電荷を生じない。すなわち、曲げ変位によってセンサ部516から出力される電圧に変化が生じない。すなわち、センサ部516から出力される電圧は、0[V]である。
(捻れ変形)
図27に示すように、捻れ変位が0の場合、すなわちセンサ部516に対して捻れを生じさせる外力が加わっていない場合、センサ部516は、平坦な状態となる。この場合、圧電フィルム31は伸縮せず、センサ部516から出力される電圧の変化は生じない。例えば、この状態で電圧が0[V]になるように予め設定すれば、センサ部516から出力される電圧は、0[V]となる。
そして、図29に示すようにセンサ部516に対して捻れを生じさせる外力が加わった場合、センサ部516では角Aと角Bが、それぞれ異なる方向へ変位した状態となる。
この場合、圧電フィルム31は、センサ部516に貼付されている面と捻れ方向によって、ずり変形が生じる。このずり変形の圧電効果により電荷が発生し、これによりセンサ部516から出力される電圧に変化が生じる。すなわち、センサ部516から出力される電圧は、0[V]から所定電圧値(例えば数V)に変化する。
したがって、センサ113は、センサ部16から出力される微弱な電圧をセンサ回路39によって観測することで、センサ部516の捻れ変形を検知できる。そして、センサ回路39は、この検知結果を示す検知信号を接続端子71から外部の検出回路175等へ出力する。
なお、センサ部516が捻れ易くなるよう、センサ113は図26に示すように、粉体Pが流出する開口部89の中心軸からずれていることが好ましい。
以上の構成においてセンサ部516は図29に示すように、粉体Pの移動によって端部51が捻れた形状に変形する。この変形は一定以上になるとセンサ部516の弾性によりある程度戻る。
よって、端部51が粉体Pに接触する間、センサ110には、粉体Pの移動による捻れと、センサ部516の弾性による戻りとが繰り返して生じる。これにより、圧電フィルム31には圧電効果により電荷が生じ、センサ部516から出力される電圧に変化が生じる。
ここで、供給部180から容器80への粉体Pの供給が停止した時、容器80に収納されている粉体Pの量は所定量ずつ減っていく。そして、容器80に収納されている粉体Pの量が所定高さ以下に減少した時、センサ部516は、端部51が粉体Pの中に挿入されていない状態となる。そのため、センサ部516は図27に示すように、端部51が捻れていない元の形状に戻る。これにより、センサ部516から出力される電圧が0Vになる。
以上により、内容物検知装置501は、センサ部516の捻れ状態に基づいて、予め定められた所定高さまで粉体Pが収納されているか否かを検知できる。また、センサ113は、センサ部16の主面でなく、固定部52でホルダ140に固定されている。よって、センサ部16の振動がホルダ340によって殆ど阻害されない。すなわちセンサ113は端部51を効率よく振動させることができる。
したがって、内容物検知装置501は、内容物検知装置101と同様に、粉体Pの量の検知精度を向上することができる。
一方、内容物検知装置501においても、衝撃を含む外部の振動が、容器80から固定部52を介してセンサ113に伝わる場合がある。そのため、センサ113も図28に示すように、外部の振動によって曲げ変位を起こす場合がある。
しかし、センサ113では前述したように、曲げ変位によってセンサ部516から出力される電圧に変化が生じない。即ちセンサ113は、センサ部516が捻れたことを検知するセンサであって、センサ部516が曲がったことを検知するセンサではない。また一般に、外部の振動によってセンサ部516が捻れ振動を生じる可能性は、外部の振動によってセンサ部516が曲げ振動を生じる可能性と比較して低い。そのため、センサ113は、外部の振動によって誤検知を行うことを防止できる。
したがって、内容物検知装置501は、粉体Pの量を検知できるとともに、外部の振動によって誤検知を行うことを防止できる。
《他の実施形態》
なお、前記実施形態では、内容物検知装置101は内容物として粉体Pを収納しているが、これに限るものではない。実施の際、内容物検知装置は内容物として例えば液体を収納しても良い。液体は例えば薬液やインクなどである。
また、前記実施形態では回路部53は図7〜図9に示すように、センサ部16が曲がっているか曲がっていないかを検知しているが、これに限るものではない。実施の際、回路部53は、センサ部16から出力される電圧の値を測定してもよい。回路部53は、電圧の値から曲げ方向および曲げ量を検知することもできる。例えば、曲げ方向は内容物の移動方向を示し、曲げ量は容器80に収納されている内容物の量を示す。
また、前記実施形態では回路部53は図27〜図29に示すように、センサ部516が捻れているか捻れていないかを検知しているが、これに限るものではない。実施の際、回路部53は、センサ部516から出力される電圧の値を測定してもよい。回路部53は、電圧の値から捻れ方向および捻れ量を検知することもできる。例えば、捻れ方向は内容物の移動方向を示し、捻れ量は容器80に収納されている内容物の量を示す。
また、前記実施形態では容器80とホルダ140とが別になっているが、これに限るものではない。実施の際、容器80とホルダ140とが一体成型されていても良い。
また、前記実施形態ではセンサ110が図2、図10に示すように、センサ部16の主面(圧電フィルム31の主面)が粉体面Qに対して平行となる状態でホルダ140に固定されているが、これに限るものではない。
実施の際、センサ110が図30に示すように、センサ部16の主面(圧電フィルム31の主面)が粉体面Qと直交する状態でホルダ140に固定されていてもよい。この構成では、センサ110が粉体面Qの重力方向の変化を検出することができる。また、供給部180から降る粉体Pがセンサ部16の主面に堆積しないため、センサ110は、供給部180から降る粉体Pの流量を検出することができる。
また、センサ110が図31に示すように、センサ部16の主面(圧電フィルム31の主面)が粉体面Qと斜めに交わる状態でホルダ140に固定されていてもよい。
最後に、前記実施形態の説明は、すべての点で例示であり、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の範囲を含む。