JP2017049135A - 粘度検出装置 - Google Patents

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道山 勝教
Katsunori Michiyama
勝教 道山
晃示 大矢
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晃示 大矢
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Abstract

【課題】異物の付着による粘度の検出精度の低下を改善することができる粘度検出装置を提供する。
【解決手段】振動部2は、液体内に配置された状態で駆動素子20の駆動に応じて液体を直接押すことにより中心軸を中心とした一方向への回転と一方向とは逆方向への回転とを交互に繰り返す振動を行う。加速度センサ30は、振動部2が振動した状態で振動部2の振幅を第1物理量として検出する。出力検出部54は、一対のピエゾ素子を駆動したときの当該一対のピエゾ素子のインピーダンスを第2物理量として検出する。偏差検出部55は、液体の粘度と第1物理量との相関関係に基づく第1粘度を取得すると共に、液体の粘度と第2物理量との相関関係に基づく第2粘度を取得し、第1粘度と第2粘度との偏差を取得する。演算回路部57は、当該偏差に基づいて第1粘度を補正することにより液体の粘度を取得する。
【選択図】図4

Description

本発明は、液体の粘度を検出する粘度検出装置に関する。
従来より、液体の粘度を測定するための粘度計が、例えば特許文献1で提案されている。具体的には、粘度計は、駆動部及び振動検出部が中空部に収容された振動子と、振動子に接続されたトーションバーと、を備えている。駆動部は屈折運動を行う駆動素子を有している。トーションバーは振動子が液体に浸るようにベースに固定される。
そして、駆動素子が振動子の内部で屈折運動を行うと、その反動で振動子がねじり方向に振動する。振動検出部は液体の粘度に応じた振動子の振動幅または振動周波数を検出する。これにより、液体の粘度を検出することができる。
国際公開第2000/022412号
しかしながら、上記従来の技術では、振動子にスラッジ等の粘性の高い異物が付着した場合、振動子の振動状態が変化してしまう。すなわち、異物によって振動子の振動が阻害されてしまう。このため、本来測定されるべき粘度の測定値にズレが生じてしまうという問題がある。
本発明は上記点に鑑み、異物の付着による粘度の検出精度の低下を改善することができる粘度検出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、駆動素子(20)を有し、液体内に配置された状態で駆動素子の駆動に応じて液体を直接押すことにより中心軸を中心とした一方向への回転と一方向とは逆方向への回転とを交互に繰り返す振動を行う振動部(2)を備える。
また、振動部が振動した状態で振動部の振動の振幅を液体の粘度に対応した第1物理量として検出し、第1物理量の情報を含んだ第1信号を出力する第1検出部(30、80)と、液体の粘度に対応した第2物理量を検出し、第2物理量の情報を含んだ第2信号を出力する第2検出部(54)と、を備える。
さらに、第1信号及び第2信号を入力し、液体の粘度と第1物理量との相関関係に基づく第1粘度を取得すると共に、液体の粘度と第2物理量との相関関係に基づく第2粘度を取得し、第1粘度と第2粘度との偏差に基づいて第1粘度を補正することにより液体の粘度を取得する演算部(55、57)を備える。
このように、液体の粘度に対する2つの異なる出力特性から第1粘度と第2粘度との偏差が取得されるので、本来の粘度に対するズレの大きさが明確になる。このため、この偏差に基づいて振動部の振幅に対応した第1粘度の補正を行うことができる。したがって、振動部に対する異物の付着による粘度の検出精度の低下を改善することができる。
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態に係る粘度検出装置の平面図である。 図1のA方向を見た側面図である。 図1のB方向を見た側面図である。 回路チップに設けられた回路構成を示したブロック図である。 ピエゾ素子の駆動による振動部の振動を説明するための図である。 液体の粘度に応じた振動部の振動の振幅を示した図である。 異物による振幅の変化を示した図である。 異物によるインピーダンスの変化を示した図である。 第1粘度と第2粘度との偏差に基づいて第1粘度を補正する内容を示した図である。 第2実施形態において、第2物理量を検出する内容を説明するための図である。 液体の粘度とピエゾ素子の出力との相関関係を示した図である。 第3実施形態において、各ピエゾ素子を同時に駆動した様子を示した図である。 第3実施形態において、各ピエゾ素子のいずれかに異常が発生した場合を説明するための図である。 第4実施形態において、振動部の固着を検出する内容を示した図である。 第5実施形態に係る粘度検出装置の平面図である。 第6実施形態に係る粘度検出装置の平面図である。 第7実施形態に係る粘度検出装置の平面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る粘度検出装置は、液体の粘度を測定するための装置である。液体は、例えば車両に用いられるエンジンオイル等である。
図1及び図2に示されるように、粘度検出装置1は、振動部2、本体部3、及びトーションバー4を有している。振動部2は本体部3を振動させる部分である。振動部2及び本体部3は測定対象の液体内に配置される。本体部3は演算等の電気的な機能を持った部分である。トーションバー4は本体部3と図示しないベースとを繋ぐ部分である。トーションバー4は、振動部2の振動に応じて粘度検出装置1の中心軸を中心にねじれる。
具体的に、粘度検出装置1は、基板10、駆動素子20、加速度センサ30、温度センサ40、回路チップ50、リードフレーム60、及びモールド樹脂部70を有して構成されている。なお、図ではモールド樹脂部70は外形のみを示している。
基板10は、表面11及び裏面12を有する板状の部品である。表面11及び裏面12は粘度検出装置1の中心軸に対して平行に配置されている。基板10は、例えばプリント基板やフレキシブル基板等である。基板10は、表面11や裏面12に形成された図示しない配線パターンやスルーホール等の配線部品を有している。
駆動素子20は、振動部2をねじれ振動させる振動子である。図3に示されるように、駆動素子20は、第1ピエゾ素子21、第2ピエゾ素子22、第3ピエゾ素子23、及び第4ピエゾ素子24で構成されている。各ピエゾ素子21〜24は、印加される電圧の大きさに応じて厚みが変化する圧電素子である。
第1ピエゾ素子21及び第2ピエゾ素子22は、基板10の表面11のうち振動部2に対応する位置において粘度検出装置1の中心軸に対して線対称に配置されている。そして、第3ピエゾ素子23は、基板10の裏面12のうち第1ピエゾ素子21に対応する位置に配置されている。第4ピエゾ素子24は、基板10の裏面12のうち第2ピエゾ素子22に対応する位置に配置されている。
つまり、第3ピエゾ素子23及び第4ピエゾ素子24も、基板10の裏面12において粘度検出装置1の中心軸に対して線対称に配置されている。また、第1ピエゾ素子21及と第3ピエゾ素子23とが一対のピエゾ素子を構成し、第2ピエゾ素子22と第4ピエゾ素子24とが一対のピエゾ素子を構成している。
加速度センサ30は、振動部2が液体内で振動した状態で振動部2及び本体部3の振動の振幅を検出するセンサである。すなわち、加速度センサ30は、当該振幅を液体の粘度に対応した第1物理量として検出する。加速度センサ30は、第1物理量の情報を含んだ第1信号を出力する。このような加速度センサ30は、例えば基板10の表面11のうち本体部3に対応する位置に実装されている。
温度センサ40は、液体の温度を検出するセンサである。液体の粘度は液体の温度によって変化するため、液体の温度の測定及び温度に基づく粘度の補正が必要になるからである。温度センサ40は、例えば、サーミスタやダイオード等の温度検出回路で構成されている。温度センサ40は、基板10の表面11のうちの本体部3に対応する位置に実装されている。温度センサ40は、検出した液体の温度の情報を含んだ温度信号を出力する。
回路チップ50は、駆動素子20を駆動する機能や、液体の粘度を取得する機能を備えた電子部品である。回路チップ50は、基板10の裏面12のうちの本体部3に対応する位置に実装されている。回路チップ50は、例えばICチップとして構成されている。
リードフレーム60は、外部装置と回路チップ50とを電気的に接続するための配線部品である。リードフレーム60は金属板がプレス加工されることで形成されている。リードフレーム60の一端側は基板10の配線パターンに接続されている。また、リードフレーム60の他端側はトーションバー4を通って本体部3とは反対側に引き延ばされている。そして、リードフレーム60の他端側が外部装置に電気的に接続される。
モールド樹脂部70は、粘度検出装置1の外観をなすものである。モールド樹脂部70は、基板10に実装された駆動素子20、加速度センサ30、温度センサ40、回路チップ50、及びリードフレーム60の一部を封止している。これにより、駆動素子20に対する密閉性を向上させることができる。すなわち、振動部2に空間部が無いので、液体の浸入を防止できる。
本実施形態では、モールド樹脂部70のうち振動部2に対応する部分は板状に成形されている。振動部2は、駆動素子20と、駆動素子20が実装された基板10と、駆動素子20及び基板10を封止したモールド樹脂部70と、を有して構成されていると言える。モールド樹脂部70のうち振動部2や本体部3に対応する部分が液体に直接接する。
また、モールド樹脂部70のうち本体部3に対応する部分は円柱状に成形され、トーションバー4に対応する部分は本体部3よりも細い円柱状に成形されている。モールド樹脂部70は、例えばポリフェニレンサルファイド等の樹脂材料によって構成されている。
次に、回路チップ50の回路構成について説明する。図4に示されるように、回路チップ50は、発振制御部51、周波数検出部52、振幅検出部53、出力検出部54、偏差検出部55、温度補正部56、及び演算回路部57を有して構成されている。なお、図4では、駆動素子20、加速度センサ30、及び温度センサ40を一つのブロックとして示している。
発振制御部51は、演算回路部57の指令に基づいて各ピエゾ素子21〜24に対して所定の周期で所定の電圧を印加する回路部である。
周波数検出部52は、発振制御部51によって駆動された振動部2の振動の周波数を検出する回路部である。周波数検出部52は、加速度センサ30から第1信号を入力して周波数を検出する。周波数検出部52は周波数の情報を含んだ信号を演算回路部57に出力する。
振幅検出部53は、発振制御部51によって駆動された振動部2の振動の振幅を検出する回路部である。振幅検出部53は、加速度センサ30から第1信号を入力して振幅の大きさを検出する。振幅検出部53は、振幅の情報を含んだ信号を偏差検出部55及び演算回路部57に出力する。
出力検出部54は、各ピエゾ素子21〜24の出力としてインピーダンスを検出する回路部である。出力検出部54は、発振制御部51によって一対のピエゾ素子が所定の周波数で駆動されたときの当該一対のピエゾ素子のインピーダンスを検出する。このインピーダンスは液体の粘度に対応して変化する物理量である。したがって、出力検出部54は、当該インピーダンスを液体の粘度に対応した第2物理量として検出する。出力検出部54は、第2物理量の情報を含んだ第2信号を偏差検出部55に出力する。
偏差検出部55は、第1物理量に基づく液体の第1粘度と、第2物理量に基づく液体の第2粘度と、の偏差を取得する回路部である。このため、偏差検出部55は、液体の粘度と第1物理量との相関関係の情報及び液体の粘度と第2物理量との相関関係の情報を図示しないメモリに記憶している。相関関係は、例えば関数やマップとしてメモリに記憶されている。
したがって、偏差検出部55は、第1信号及び第2信号を入力し、液体の粘度と第1物理量との相関関係に基づく第1粘度を取得すると共に、液体の粘度と第2物理量との相関関係に基づく第2粘度を取得する。また、偏差検出部55は、第1粘度と第2粘度との偏差を取得する。そして、偏差検出部55は、当該偏差の情報を含んだ信号を演算回路部57に出力する。
温度補正部56は、温度センサ40から温度信号を入力し、液体の温度に基づいた粘度を取得する。このため、温度補正部56は、液体の粘度と温度との相関関係の情報を図示しないメモリに記憶している。相関関係は、例えば関数やマップとしてメモリに記憶されている。温度補正部56は、温度補正後の粘度の情報を含んだ信号を演算回路部57に出力する。
演算回路部57は、発振制御部51を制御する機能、及び、液体の粘度を演算する機能を備えた回路部である。演算回路部57は、第1粘度と第2粘度との偏差に基づいて第1粘度を補正することにより液体の粘度を取得する。すなわち、各ピエゾ素子21〜24のインピーダンス特性が振動部2に付着した異物の影響を受けることを第1粘度の補正に利用する。また、演算回路部57は、液体の温度によって第1粘度を補正する。演算回路部57は、このようにして取得した粘度の情報を含んだ粘度信号を外部装置に出力する。以上が、粘度検出装置1の全体構成である。
次に、粘度検出装置1の作動について説明する。まず、粘度検出装置1の振動部2及び本体部3が液体内に配置される。そして、振動部2の振動の振幅及びピエゾ素子21〜24のインピーダンスが検出される。
振動部2が振動の振幅は次のように検出される。具体的には、図5に示されるように、時点T10から時点T12までに対角配置された第1ピエゾ素子21と第4ピエゾ素子24とに同時に電圧が印加される。これにより、電圧が最大となる時点T11で第1ピエゾ素子21及び第4ピエゾ素子24の厚みが最大になる。
これに伴い、モールド樹脂部70のうち第1ピエゾ素子21及び第4ピエゾ素子24を覆う部分が液体を直接押す。これにより、液体を押す力の反作用により第1ピエゾ素子21が第3ピエゾ素子23側に移動し、第4ピエゾ素子24が第2ピエゾ素子22側に移動するので、振動部2はトーションバー4の中心軸を中心として一方向に回転する。つまり、トーションバー4が一方向にねじれる。
続いて、時点T12から時点T14までに対角配置された第2ピエゾ素子22と第3ピエゾ素子23とに同時に電圧が印加される。これにより、上記と同様に時点T13で第2ピエゾ素子22及び第3ピエゾ素子23の厚みが最大になる。したがって、第3ピエゾ素子23が第1ピエゾ素子21側に移動し、第3ピエゾ素子23が第4ピエゾ素子24側に移動するので、振動部2及び本体部3はトーションバー4の中心軸を中心として一方向とは逆方向に回転する。
上記のように、対角配置されたピエゾ素子21〜24に交互に電圧が印加されることで、振動部2は中心軸を中心とした一方向への回転と逆方向への回転とを交互に繰り返す振動を行う。液体を押す力の反作用による回転振動となるため、図6に示されるように、液体の粘度が高いほど振動部2の振動の振幅は大きくなり、液体の粘度が低いほど振動部2の振動の振幅は小さくなる。このような振幅が加速度センサ30及び振幅検出部53によって検出される。
一方、ピエゾ素子21〜24のインピーダンスは振動部2が振動していない状態で出力検出部54に検出される。具体的には、第2ピエゾ素子22と第4ピエゾ素子24とで構成された一対のピエゾ素子が発振制御部51によって駆動される。ここで、インピーダンスは、例えば所定の周波数の電圧が一対のピエゾ素子に与えられた状態で測定される。なお、所定の周波数範囲の電圧が一対のピエゾ素子に与えられた状態でインピーダンスが測定されても良い。
そして、液体が劣化する等して発生したスラッジ等の異物が振動部2に付着した場合、振動部2の振動の振幅及びインピーダンスが変化する。振動部2が液体を押す力は異物に吸収されてしまうため、駆動力が減衰する。このため、図7に示されるように、異物付着有りの場合、振動部2の振動の振幅は異物付着無しの場合よりも小さくなる。また、一対のピエゾ素子が駆動されたときに振動部2が異物によって動きにくくなる。このため、図8に示されるように、インピーダンスはピーク周波数が低下する。
上述のように、振動部2に異物が付着することにより、振動部2の回転振動自体が減衰するため、異物付着時はさらに回転振幅が減少する。したがって、図9に示されるように、振動部2にとって見かけ上、粘度が低い測定結果になる。つまり、偏差検出部55では、振幅について、異物が付着していない正常時よりも低い第1粘度が取得される。一方、振動部2に異物が付着すると、ピエゾ素子21〜24のインピーダンスとしては、見かけ上、粘度が高い測定値となる。つまり、偏差検出部55では、インピーダンスについて、異物が付着していない正常時よりも高い第2粘度が取得される。
さらに、偏差検出部55において偏差演算処理が行われることにより、第1粘度と第2粘度との偏差が取得される。粘度に対して振幅は正の傾きで変化し、粘度に対してインピーダンスは負の傾きで変化する。このため、異物の影響が少ないほど偏差は小さくなり、異物付着による影響が大きいほど偏差は大きくなる。
そして、演算回路部57において補正演算処理が行われることにより、上記の偏差に基づいて第1粘度が補正される。例えば、第1粘度と振幅との相関関係のずれが正常時に一致するように第1粘度が補正される。また、液体の温度に応じて第1粘度が補正される。これにより、異物の影響が低減された液体の粘度が取得される。したがって、演算回路部57から粘度に対応した粘度出力が粘度信号として外部装置に出力される。
なお、振動部2の振幅の測定とピエゾ素子21〜24のインピーダンスの測定は、どちらが先に行われても良い。すなわち、粘度検出装置1に電源が投入された初期の段階でインピーダンスが測定され、その後振動が開始して振幅が測定されても良い。また、振動が開始されて振幅が測定された後、インピーダンスが測定されても良い。さらに、振動とインピーダンスが交互に測定されても良い。
以上説明したように、本実施形態では、液体の粘度に対する2つの異なる出力特性を利用して第1粘度と第2粘度との偏差が取得される構成になっている。このため、異物の影響が少ない正常時の粘度に対するズレの大きさが明確になる。したがって、この偏差を用いた第1粘度の補正を行うことにより、異物による粘度の検出精度の低下を改善することができる。
例えば、自動車のエンジンオイルの粘度を測定するために、エンジン下部のオイルパンに、この粘度検出装置1が装着される場合を考える。この場合、エンジンオイルが劣化してできるスラッジ状の粘性の高い異物が振動部2に付着すると、上述のように通常よりも高い粘度が測定される状態となる。測定毎に振動部2の異物をふき取れば良いが、一旦、粘度検出装置1が自動車に装着された場合は異物の拭き取りができない。このような状況において、粘度検出装置1は自動車に装着された状態で異物の影響を低減した粘度の測定を行うことができる。もちろん、自動車から抜き取られたエンジンオイルの粘度を測定するオフライン測定においても、異物の影響を低減した粘度の測定が可能である。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、加速度センサ30が特許請求の範囲の「第1検出部」に対応し、出力検出部54が特許請求の範囲の「第2検出部」に対応する。また、偏差検出部55及び演算回路部57が特許請求の範囲の「演算部」に対応する。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、図4に示された出力検出部54は、第2物理量としてインピーダンスではなくピエゾ素子21〜24の出力を検出するように構成されている。ピエゾ素子21〜24の出力とは、例えば電圧である。
具体的には、各ピエゾ素子21〜24のうち隣同士の素子が用いられる。例えば、図10に示されるように、出力検出部54は、発振制御部51によって第4ピエゾ素子24が駆動されたときの第3ピエゾ素子23の電圧を第2物理量として検出する。この検出は、隣同士の一方の素子と他方の素子との役割が異なるので、振動部2の振動に関わらず行うことができる。
なお、一つのピエゾ素子21〜24が駆動用素子とされ、その隣の素子が検出用素子とされれば良い。例えば、第1ピエゾ素子21が駆動用素子の場合は第2ピエゾ素子22が検出用素子とされ、その逆も成立する。もちろん、第3ピエゾ素子23が駆動用素子とされ、第4ピエゾ素子24が検出用素子とされても良い。
これにより、第4ピエゾ素子24の振動がモールド樹脂部70を介して第3ピエゾ素子23に伝わる。図11に示されるように、第3ピエゾ素子23によって検出される振動の大きさは液体の粘度によって変化する。
ここで、振動部2に異物が付着した場合、異物に吸収されると共に振動部2の体積が増加するために第4ピエゾ素子24の駆動力が減衰する。このように、振動部2の振動が阻害されるため、第3ピエゾ素子23に振動が伝わりにくくなる。したがって、振動部2に異物が付着した場合、正常時よりも第3ピエゾ素子23の出力が下がる。この出力に基づいて取得された第2粘度が第1粘度の補正に利用される。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、演算回路部57は、ピエゾ素子21〜24のいずれかに異常が発生していること判定する機能を有している。
具体的には、演算回路部57は、一対のピエゾ素子が同時に同じ駆動力で駆動されたときの振動部2の回転に基づいて、一対のピエゾ素子のいずれか一方に異常が発生していると判定する。図12(a)に示されるように、第1ピエゾ素子21及び第3ピエゾ素子23の一対と、第2ピエゾ素子22及び第4ピエゾ素子24の一対と、が同時に駆動される。一方、図12(b)に示されるように、第2ピエゾ素子22及び第4ピエゾ素子24の一対が同時に駆動されても良い。このように、各ピエゾ素子21〜24が同時に駆動された場合、ピエゾ素子21〜24に異常が無ければ振動部2は回転しない。
しかしながら、図13(a)に示されるように、例えば第3ピエゾ素子23に異常が発生している場合、振動部2は回転してしまう。また、図13(b)に示されるように、第4ピエゾ素子24に異常が発生している場合、振動部2は回転してしまう。したがって、演算回路部57は、加速度センサ30によって振動部2の振幅が検出された場合にピエゾ素子21〜24の異常を検出することができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、演算回路部57は、駆動素子20の駆動力の大きさと振動部2の振動の振幅との関係に基づいて、振動部2の異常の有無を判定する機能を有している。
この異常の判定は、各ピエゾ素子21〜24の駆動力が大きくなるほど振動部2の振動の振幅が大きくなることを利用する。図14に示されるように、各ピエゾ素子21〜24に与える電圧を例えば2倍にすると、加速度センサ30で検出されるセンサ出力も2倍になる。
しかしながら、各ピエゾ素子21〜24に与える電圧を例えば2倍にしてもセンサ出力が変化しない場合や変化が僅かな場合、振動部2が異物によって固着または固着の可能性が考えられる。したがって、演算回路部57は、各ピエゾ素子21〜24の駆動力に応じた加速度センサ30のセンサ出力が得られないと判定した場合、振動部2の異常を検出することができる。
第3、第4実施形態における異常判定は、例えば粘度検出装置1に電源が印加された初期に行われることが望ましいが、振動が開始した後に、振動が一旦停止されて異常判定が行われるとしても良い。また、演算回路部57は、振動部2の異常検出時には、異常判定出力を外部装置に出す機能を有する。これにより、外部装置に振動部2の異常を報知することができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、第1〜第4実施形態と異なる部分について説明する。図15に示されるように、粘度検出装置1は、振動部2の振動を検出するセンサとして、歪ゲージ80を備えている。歪ゲージ80は、例えばリードフレーム60のうちトーションバー4に対応する位置に実装されている。これにより、トーションバー4が振動部2の振動によってねじれることで、歪ゲージ80によって振動部2の振動が検出される。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、歪ゲージ80が特許請求の範囲の「第1検出部」に対応する。
(第6実施形態)
本実施形態では、第1〜第5実施形態と異なる部分について説明する。図16に示されるように、モールド樹脂部70は、リードフレーム60の一部がトーションバー4から露出するように成形されている。これにより、トーションバー4のねじりを容易にすることができる。
(第7実施形態)
本実施形態では、第6実施形態と異なる部分について説明する。図17に示されるように、モールド樹脂部70は、トーションバー4の一部が細くなるように成形されている。このような形状によりトーションバー4のねじりを容易にすることができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された粘度検出装置1の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、振動部2の振幅の変化が一定になるように振動部2を制御する回路構成とし、その振幅を一定にするための駆動電圧を測定することにより第1粘度を算出しても良い。
また、第2実施形態では、4個のピエゾ素子21〜24にさらに検出用素子としてのピエゾ素子が実装された構成でも良い。
2 振動部
20 駆動素子
30 加速度センサ(第1検出部)
54 出力検出部(第2検出部)
55 偏差検出部(演算部)
57 演算回路部(演算部)

Claims (7)

  1. 駆動素子(20)を有し、液体内に配置された状態で前記駆動素子の駆動に応じて前記液体を直接押すことにより中心軸を中心とした一方向への回転と前記一方向とは逆方向への回転とを交互に繰り返す振動を行う振動部(2)と、
    前記振動部が振動した状態で前記振動部の振動の振幅を前記液体の粘度に対応した第1物理量として検出し、前記第1物理量の情報を含んだ第1信号を出力する第1検出部(30、80)と、
    前記液体の粘度に対応した第2物理量を検出し、前記第2物理量の情報を含んだ第2信号を出力する第2検出部(54)と、
    前記第1信号及び前記第2信号を入力し、前記液体の粘度と前記第1物理量との相関関係に基づく第1粘度を取得すると共に、前記液体の粘度と前記第2物理量との相関関係に基づく第2粘度を取得し、前記第1粘度と前記第2粘度との偏差に基づいて前記第1粘度を補正することにより前記液体の粘度を取得する演算部(55、57)と、
    を備えた粘度検出装置。
  2. 前記振動部は、前記中心軸に対して平行に配置された表面(11)及び裏面(12)を有する基板(10)を備え、
    前記駆動素子は、一方が前記表面に配置されると共に他方が前記裏面のうち前記一方に対応する位置に配置された一対のピエゾ素子を有して構成されており、
    前記第2検出部は、前記一対のピエゾ素子を駆動したときの当該一対のピエゾ素子のインピーダンスを前記第2物理量として検出する請求項1に記載の粘度検出装置。
  3. 前記振動部は、前記中心軸に対して平行に配置された表面(11)を有する基板(10)を備え、
    前記駆動素子は、前記表面において前記中心軸に対して線対称に配置された第1ピエゾ素子(21)及び第2ピエゾ素子(22)を有して構成されており、
    前記第2検出部は、前記第1ピエゾ素子が駆動されたときの前記第2ピエゾ素子の出力を前記第2物理量として検出する請求項1に記載の粘度検出装置。
  4. 前記振動部は、前記中心軸に対して平行に配置された表面(11)及び裏面(12)を有する基板(10)を備え、
    前記駆動素子は、一方が前記表面に配置されると共に他方が前記裏面のうち前記一方に対応する位置に配置された一対のピエゾ素子を有して構成されており、
    前記演算部は、前記一対のピエゾ素子が同時に駆動されたときの前記振動部の回転に基づいて、前記一対のピエゾ素子のいずれか一方に異常が発生していると判定する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の粘度検出装置。
  5. 前記振動部は、前記駆動素子の駆動力が大きくなるほど前記振動の振幅が大きくなり、
    前記演算部は、前記駆動素子の駆動力の大きさと前記振動部の振動の振幅との関係に基づいて、前記振動部の異常の有無を判定する請求項1ないし4のいずれか1つに記載の粘度検出装置。
  6. 前記演算部は、前記振動部の異常を検出した場合、異常判定を出力する機能を有する請求項4または5に記載の粘度検出装置。
  7. 前記振動部は、
    前記駆動素子が実装された基板(10)と、
    前記駆動素子及び前記基板を封止し、前記液体に直接接するモールド樹脂部(70)と、を有して構成された請求項1ないし6のいずれか1つに記載の粘度検出装置。
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