JP2017207173A - 親子弁及びその閉弁方法並びに蒸気タービン設備 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、主弁内に子弁が設けられた弁が記載されている。この弁の開弁時、弁棒が上昇すると、弁棒に連結された子弁が主弁に先行して開き、次いで、子弁とともに主弁が開くようになっている。また、子弁が主弁より先行して開くときに主弁前後が均圧化されて、比較的小さな駆動力で主弁を開くことができるようになっている。
例えば、蒸気タービンに用いられる上記特許文献1に記載のバルブは、蒸気タービンの運転状態に応じて急閉鎖される場合がある。このとき、主弁と子弁とが一体的に着座すると、弁体及び弁座に大きな衝撃力が生じるため、弁体及び弁座を含むシート部に損傷が生じる可能性が高くなる。
弁棒と、
前記弁棒の先端側に設けられる子弁と、
前記子弁のための子弁弁座を形成する内壁面を有し、該内壁面によって画定される内部空間に前記子弁を収容する主弁と、
前記主弁のための主弁弁座を有する弁ケーシングと、
を備え、
前記主弁が前記主弁弁座から離れた開弁位置にあるとき、前記弁棒又は前記子弁の一方が前記子弁の開弁方向に前記主弁に対して付勢されるように構成される。
前記主弁は、前記弁棒の外周側に位置し、前記弁棒を該弁棒の軸方向に案内するための第1ブッシュを含み、
前記主弁が前記開弁位置にあるとき、前記第1ブッシュと前記弁棒との間に形成される第1室が、前記小弁が収容される前記主弁の前記内部空間の圧力よりも低圧となるように構成される。
前記第1室は、前記主弁に対して前記弁棒及び前記子弁をリフトするためのリフト用隙間である。
前記弁棒は、前記弁棒の内部おいて前記軸方向に延びる連通路を有し、
前記主弁が前記開弁位置にあるとき、前記連通路を介して、前記第1室と、前記第1室よりも低圧の第2室とが連通され、
前記主弁が閉弁位置にあるとき、前記第1室と前記第2室とが連通しないように構成される。
一方、上記(4)の構成では、主弁が閉弁位置にあるとき、第1室と第2室とが連通しないようになっているので、第1室から第2室に向かう流体のリーク流れが遮断される。これにより、主弁の内部空間からの弁棒と第1ブッシュとの間を介した流体のリークを低減することができる。
前記弁ケーシングは、前記弁棒の前記軸方向に対して交差する方向に沿った副シート面を有し、
前記弁棒は、前記主弁が前記閉弁位置にあるときに前記副シート面に着座可能な副シート部を含み、
前記主弁が前記閉弁位置にあるとき、前記連通路と前記第2室とは、前記副シート部及び前記副シート面が当接することにより形成される当接部によって隔てられるように構成される。
前記弁ケーシングは、前記弁棒の前記外周側に位置し、前記弁棒を該弁棒の前記軸方向に案内するための第2ブッシュを含み、
前記第2ブッシュと前記弁棒との隙間を介したリーク流体を回収するための第1回収ラインをさらに備え、
前記第2室は、前記第1回収ラインによって形成される。
前記第1回収ラインよりも前記子弁から離れた位置にて前記弁ケーシングに設けられ、前記第1回収ラインよりも低圧の流体溜りに接続される第2回収ラインをさらに備える。
前記弁棒は、前記連通路の両端側にそれぞれ接続されるとともに、前記弁棒の半径方向に延びる一対の連通穴を含み、
前記主弁が前記開弁位置にあるとき、前記一対の連通穴のうち前記子弁側に位置する第1連通穴が前記第1室に連通し、前記一対の連通穴のうち前記第1連通穴以外の第2連通穴が前記第2室に連通するように構成される。
前記(1)乃至(8)の何れかに記載の親子弁と、
前記親子弁の下流側に設けられる蒸気タービンと、
を備える。
弁棒と、
前記弁棒の先端側に設けられる子弁と、
前記子弁のための子弁弁座を形成する内壁面を有し、該内壁面によって画定される内部空間に前記子弁を収容する主弁と、
前記主弁のための主弁弁座を有する弁ケーシングと、
を含む親子弁の閉弁方法であって、
前記主弁が前記主弁弁座から離れた開弁位置にあるときに、前記弁棒又は前記子弁の一方を前記子弁の開弁方向に前記主弁に対して付勢する付勢ステップと、
前記付勢ステップの後、前記弁棒を前記小弁の閉弁方向に動かして、前記主弁を前記主弁弁座に着座させるステップと、
前記主弁の着座後、前記弁棒を前記閉弁方向にさらに動かして、前記子弁を前記子弁弁座に着座させるステップと、
を備える。
なお、以下においては、幾つかの実施形態に係るバルブが蒸気タービン設備の蒸気弁として用いられる場合を一例として説明するが、幾つかの実施形態に係るバルブは、蒸気タービン設備以外の用途に用いられるものであってもよく、蒸気以外の流体の制御に用いられるものであってもよい。
図1に示すように、蒸気タービン設備1は、蒸気を生成するためのボイラ2と、ボイラ2からの蒸気の圧力を回転エネルギーに変換する蒸気タービン4と、蒸気タービン4の回転により駆動される発電機8と、を含む。
図1に示す実施形態では、蒸気タービン4は、高圧蒸気タービン5と、中圧蒸気タービン6と、低圧蒸気タービン7と、を含み、高圧蒸気タービン5と中圧蒸気タービン6との間には、再熱器9が設けられる。高圧蒸気タービン5から排出された蒸気は、再熱器9により再加熱されて、中圧蒸気タービン6に供給されるようになっている。また、中圧蒸気タービン6から排出された蒸気は、低圧蒸気タービン7に供給されるようになっている。
また、再熱器9と中圧蒸気タービン6とを接続する配管には止め弁13及び加減弁14が設けられており、これらの止め弁13及び加減弁14によって、中圧蒸気タービン6に供給される蒸気の流れを遮断し、あるいは蒸気の流量を調節することが可能となっている。
幾つかの実施形態において、止め弁11は以下に説明するバルブ20である。幾つかの実施形態では、止め弁13、加減弁12、又は加減弁14が以下に説明するバルブ20であってもよい。
第2弁体34の内部空間35は、第2弁体34の内壁面40により画定され、該内壁面40は、第1弁体32が着座可能な第1弁座(子弁弁座)42を形成する。
ケーシング本体23は、第2弁体34が着座可能な第2弁座(主弁弁座)26を有する。ボンネット24は貫通孔27を有し、該貫通孔27には弁棒30が挿通されている。
ボンネット24には、第2弁体34の背面側空間46と、蒸気入口21側の蒸気流路18とを連通させるバランス孔28が設けられている。
バルブ20の閉状態においては、第1弁体32及び第2弁体34は、スプリング37により、第1弁座42及び第2弁座26に向かって(閉弁方向に向かって)付勢されている。
なお、図3〜図6において、バランス孔の図示は省略されている。また、図4において、第1回収ライン48及び第2回収ライン50の図示は省略されている。
また、ボンネット24(弁ケーシング22)には、弁棒30の外周側に位置し、弁棒30を弁棒30の軸方向に案内するための第2ブッシュ92を含む。
また、ボンネット24は、第2弁体34の外周側に位置し、第2弁体34の軸方向(弁開閉方向)の摺動を案内するためのスリーブ76と、弁棒30の外周側に位置し、弁棒30を弁棒30を軸方向に案内するためのスリーブ78と、を含む。
また、付勢部材としてのばね62Aが、第1弁体32と弁棒30との間に設けられている。弁棒30の先端側には、弁棒30の先端面70に開口するように弁棒30の軸方向に延在する弁棒穴60が設けられており、ばね62Aは、該弁棒穴60の内部に設けられている。
そして、第1弁体32は、弁棒30に対して弁棒30の軸方向に相対変位可能であり、第1弁体32と弁棒30との間に設けられたばね62Aによって第1弁座42に向かって付勢されている。
なお、拡径部31は、弁棒30と一体的に設けられていてもよい。あるいは、弁棒30とは別体として設けられた拡径部31が弁棒30の外周側に取付けられていてもよい。
また、付勢部材としてのばね62Bが、軸方向穴85の内部において該可動片82よりも弁棒30基端側に設けられている。
そして、副シート部33Bは、弁棒30に対して弁棒30の軸方向に相対変位可能であり、ばね62Bによって副シート面98Bに向かって付勢されている。
第1弁体32の閉弁時において凸部(弁棒側係合部)に対して弁開側に第1隙間55が形成されることで、バルブ20への流体(例えば蒸気)の流入停止に伴う弁棒の温度低下に起因して弁棒30が縮む際、第1弁体32が弁棒30によって持ち上げられてしまうことを防止することができる。
一方、第1弁体32の閉弁時において凸部(弁棒側係合部)に対して弁閉側に第2隙間57が形成されることで、第1弁体32及び副シート部33Aが同時着座できない場合であっても、第1弁体32及び副シート部33Aの両方での良好なシールを実現できる。また、第2隙間57によって、弁棒30および第1弁体32を含む各種部品間の熱伸び差を吸収することができる。
この場合、弁棒30の軸方向に延在する弁棒穴60によって案内されたばね62Aにより、第1弁体32に対して軸方向の付勢力を与えることができる。これにより、ばね62Aによって第1弁体32が第1弁座42に適切に押し付けられるので、第1弁体32及び副シート部33Aの両方で確実にシールできる。
このように、弁棒穴60によって軸方向に案内されるように構成された付勢力受け部64を介して、軸方向に沿った付勢力を第1弁体32に与えることで、第1弁体32を第1弁座42により適切に押し付けることができる。
この場合、角部を持つ部分において第1弁体32と接する場合に比べて、応力集中を緩和することができ、付勢力受け部64又は第1弁体32の寿命を向上させることができる。
弁棒30の軸方向に向かって凹むように第1弁体32に形成された溝69に係合する突起68により、付勢力受け部64の中心位置を、弁棒30の中心軸に確実に合わせることができる。これにより、軸方向に沿った付勢力を第1弁体32に確実に与えて、第1弁体32を第1弁座42により確実に押し付けることができる。このため、バルブ20において第1弁体32及び副シート部33Aの両方で確実にシールできる。
本明細書において、弁体が「開弁位置にあるとき」とは、弁体が弁座から離れた任意の位置にあるときに、との意味であってもよく、弁体が弁座から離れた特定の位置にあるときに、との意味であってもよい。すなわち、弁体が「開弁位置にあるとき」とは、弁体が弁座から離れた位置のうち少なくとも1つの位置において、との意味である。
図3に示す例示的な実施形態では、第2室89は、弁ケーシング22に設けられた第2ブッシュ92と弁棒30との隙間を介したリーク流体を回収するための第1回収ライン48によって形成される。
そして、第2弁体34が開弁位置にあるとき(図5参照)、一対の連通穴(94,96)のうち第1弁体32側に位置する第1連通穴94が第1室88に連通し、一対の連通穴の(94,96)うち第2連通穴96が第2室89(図3に示す例では第1回収ライン48)に連通するように構成されている。
まず、図5に示すように、第2弁体34が第2弁座26から離れた開弁位置にあるときには、弁棒30の内部に設けられた連通路90の第1連通穴94が第1室88に連通するとともに、第2連通穴96が第2室89である第1回収ライン48に連通される。
これにより、第1弁体32の背面側に形成される第1室88が、連通路90を介して、内部空間35よりも低圧の第2室89である第1回収ライン48と接続され、第1室88は、第2弁体34の内部空間35の圧力よりも低圧となる。よって、弁棒30には、第1室88と第2弁体34の内部空間35との圧力差に基づく第1弁体32の開弁方向の付勢力が作用する。第1連通穴94は、弁棒側当接面72よりも開弁方向側で弁棒30に開口し、第1室88と連通する。
そして、図6に示すように第2弁体34が第2弁座26に着座した後に、弁棒30がさらに閉弁方向に動き、第1弁体32が第1弁座42に着座する(図3に示す状態となる)。
このように、第2弁体34に対して弁棒30及び第1弁体32をリフトするためのリフト用隙間を利用して、第2弁体34の内部空間35よりも低圧となる第1室88を形成することができる。
これにより、第1ブッシュ86と弁棒30との間に内部空間35からのリーク流体の流入が促進され、第1ブッシュ86と弁棒30との摺動性が向上し、弁棒30を比較的小さな駆動力で移動させることができるようになる。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
2 ボイラ
3 主蒸気供給配管
4 蒸気タービン
5 高圧蒸気タービン
6 中圧蒸気タービン
7 低圧蒸気タービン
8 発電機
9 再熱器
10 蒸気弁
11 止め弁
12 加減弁
13 止め弁
14 加減弁
18 蒸気流路
20 バルブ
21 蒸気入口
22 弁ケーシング
23 ケーシング本体
24 ボンネット
25 収容空間
26 第2弁座
27 貫通孔
28 バランス孔
29 蒸気出口
30 弁棒
31 拡径部
32 第1弁体
33A,33B 副シート部
34 第2弁体
35 内部空間
36 レバー
37 スプリング
38 アクチュエータ
40 内壁面
42 第1弁座
44 通路
46 背面側空間
48 第1回収ライン
50 第2回収ライン
52 凸部
54 第1面
55 第1隙間
56 第2面
57 第2隙間
58 凹部
60 弁棒穴
62A,62B ばね
64 付勢力受け部
66 球面形状部
68 突起
69 溝
70 先端面
72 弁棒側当接面
74 主弁側当接面
76 スリーブ
78 スリーブ
80 凸部
82 可動片
83 凹部
85 軸方向穴
86 第1ブッシュ
88 第1室
90 連通路
92 第2ブッシュ
94 第1連通穴
96 第2連通穴
98A,98B 副シート面
Claims (10)
- 弁棒と、
前記弁棒の先端側に設けられる子弁と、
前記子弁のための子弁弁座を形成する内壁面を有し、該内壁面によって画定される内部空間に前記子弁を収容する主弁と、
前記主弁のための主弁弁座を有する弁ケーシングと、
を備え、
前記主弁が前記主弁弁座から離れた開弁位置にあるとき、前記弁棒又は前記子弁の一方が前記子弁の開弁方向に前記主弁に対して付勢されるように構成された
ことを特徴とする親子弁。 - 前記主弁は、前記弁棒の外周側に位置し、前記弁棒を該弁棒の軸方向に案内するための第1ブッシュを含み、
前記主弁が前記開弁位置にあるとき、前記第1ブッシュと前記弁棒との間に形成される第1室が、前記小弁が収容される前記主弁の前記内部空間の圧力よりも低圧となるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の親子弁。 - 前記第1室は、前記主弁に対して前記弁棒及び前記子弁をリフトするためのリフト用隙間であることを特徴とする請求項2に記載の親子弁。
- 前記弁棒は、前記弁棒の内部おいて前記軸方向に延びる連通路を有し、
前記主弁が前記開弁位置にあるとき、前記連通路を介して、前記第1室と、前記第1室よりも低圧の第2室とが連通され、
前記主弁が閉弁位置にあるとき、前記第1室と前記第2室とが連通しないように構成されたことを特徴とする請求項2又は3に記載の親子弁。 - 前記弁ケーシングは、前記弁棒の前記軸方向に対して交差する方向に沿った副シート面を有し、
前記弁棒は、前記主弁が前記閉弁位置にあるときに前記副シート面に着座可能な副シート部を含み、
前記主弁が前記閉弁位置にあるとき、前記連通路と前記第2室とは、前記副シート部及び前記副シート面が当接することにより形成される当接部によって隔てられるように構成されたことを特徴とする請求項4に記載の親子弁。 - 前記弁ケーシングは、前記弁棒の前記外周側に位置し、前記弁棒を該弁棒の前記軸方向に案内するための第2ブッシュを含み、
前記第2ブッシュと前記弁棒との隙間を介したリーク流体を回収するための第1回収ラインをさらに備え、
前記第2室は、前記第1回収ラインによって形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の親子弁。 - 前記第1回収ラインよりも前記子弁から離れた位置にて前記弁ケーシングに設けられ、前記第1回収ラインよりも低圧の流体溜りに接続される第2回収ラインをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の親子弁。
- 前記弁棒は、前記連通路の両端側にそれぞれ接続されるとともに、前記弁棒の半径方向に延びる一対の連通穴を含み、
前記主弁が前記開弁位置にあるとき、前記一対の連通穴のうち前記子弁側に位置する第1連通穴が前記第1室に連通し、前記一対の連通穴のうち前記第1連通穴以外の第2連通穴が前記第2室に連通するように構成されたことを特徴とする請求項4乃至7の何れか一項に記載の親子弁。 - 請求項1乃至8の何れか一項に記載の親子弁と、
前記親子弁の下流側に設けられる蒸気タービンと、
を備えることを特徴とする蒸気タービン設備。 - 弁棒と、
前記弁棒の先端側に設けられる子弁と、
前記子弁のための子弁弁座を形成する内壁面を有し、該内壁面によって画定される内部空間に前記子弁を収容する主弁と、
前記主弁のための主弁弁座を有する弁ケーシングと、
を含む親子弁の閉弁方法であって、
前記主弁が前記主弁弁座から離れた開弁位置にあるときに、前記弁棒又は前記子弁の一方を前記子弁の開弁方向に前記主弁に対して付勢する付勢ステップと、
前記付勢ステップの後、前記弁棒を前記小弁の閉弁方向に動かして、前記主弁を前記主弁弁座に着座させるステップと、
前記主弁の着座後、前記弁棒を前記閉弁方向にさらに動かして、前記子弁を前記子弁弁座に着座させるステップと、
を備えることを特徴とする親子弁の閉弁方法。
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