以下では、本発明の実施の形態に係る建物ユニット及びその製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態)
[建物ユニット]
まず、本実施の形態に係る建物ユニット1の概要について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る建物ユニット1の斜視図である。
建物ユニット1は、建物の一部を構成する。建物ユニット1は、建物を建築する際のコアとなるコアユニットである。建物ユニット1の周囲に、玄関、居室などが建築現場で建設される。建物は、例えば住宅であるが、店舗、工場又は倉庫などの非住宅でもよい。建物は、例えば、2階建て以上であるが、1階建て(平屋)でもよく、又は、地下室を有してもよい。
本実施の形態に係る建物ユニット1は、住宅に必要な水廻り設備の大半を集約させた水廻りコアユニットである。水廻り設備の大半を建物ユニット1に集約させることで、小さな住宅であっても広い居住空間を確保することができる。
本実施の形態では、建物ユニット1の形状は、略直方体状であり、少なくとも1つの側面が建物の外壁になる。建物ユニット1は、図1に示すように、基礎2に連結固定される。基礎2は、例えば、コンクリート及び鉄筋などから形成された布基礎又はべた基礎であり、上面から上方に向かってアンカーボルト(図示せず)が突出している。アンカーボルトを柱脚金具200に締結することで、建物ユニット1が基礎2に固定される。
本実施の形態では、建物ユニット1は、1以上のユニットを備える。建物ユニット1は、例えば2階建て以上の住宅の一部を構成する住宅ユニットであり、複数階の各々の階を構成するユニットを複数個積み上げて形成されている。具体的には、図1に示すように、建物ユニット1は、第1ユニット10と、第2ユニット20とを含む2つのユニットを備える。
第1ユニット10は、複数階のうちの一の階を構成するユニットである。本実施の形態では、第1ユニット10は、建物の1階を構成する。第2ユニット20は、第1ユニット10の直上階を構成するユニットである。本実施の形態では、第2ユニット20は、建物の2階を構成する。
第1ユニット10及び第2ユニット20の各々は、工場などの建築現場以外で予め組み立てられる。つまり、第1ユニット10及び第2ユニット20の各々は、工場などで各種設備が予め組み込まれた工業化ユニットである。工場生産により、高品質かつ高機能のユニットを製造することができ、また、建築現場での建築工期を短縮することができる。
工場で組み立てられた(生産された)第1ユニット10及び第2ユニット20はそれぞれ、トラックなどの運搬車両によって建築現場に運搬される。運搬された第1ユニット10及び第2ユニット20は、建築現場で積み重ねられて、互いに連結固定される。なお、トラックの高さ制限の許容範囲内である場合など、運搬が可能であれば、第1ユニット10と第2ユニット20とを工場などで連結固定した後に建築現場まで運搬してもよい。
第1ユニット10及び第2ユニット20は、互いに略同じ大きさである。第1ユニット10及び第2ユニット20の各々は、例えば、トラックなどの運搬車両の荷台に載せたときに道路交通法の高さ制限を超えないような高さに設計されている。第1ユニット10及び第2ユニット20の各々のサイズは、一例として、平面サイズが4655mm×1925mmであり、高さが2700mmである。
第1ユニット10及び第2ユニット20の各々は、木造軸組工法によって形成されている。具体的には、第1ユニット10及び第2ユニット20の各々は、複数の柱、横架材、及び、面材などを備える。各ユニットの詳細な構成については、後で説明する。
[設備]
本実施の形態では、建物ユニット1は、設備を備える。設備は、具体的には、住宅設備であり、例えば、水廻り設備、電気設備、空調設備などを含んでいる。各設備は、建物ユニット1を構成する1以上のユニットの少なくとも1つに、建築現場以外で予め設置されている。
水廻り設備は、例えば、バス(浴室)、トイレ、洗面台及びキッチンの少なくとも1つを含む。水廻り設備は、さらに、給湯器(給湯システム)、並びに、天井裏、床下又は壁内に形成されたパイプスペースに設置される配水管(排水管、給水管及び給湯管)などを含んでもよい。
図2は、図1のII−II線における本実施の形態に係る建物ユニット1の1階を構成する第1ユニット10の断面図である。図3は、図1のIII−III線における本実施の形態に係る建物ユニット1の2階を構成する第2ユニット20の断面図である。なお、図2及び図3は、建物ユニット1に設けられた水廻り設備の一例を説明するための模式的な図であり、図1と比較して必ずしも一致しない点がある。
本実施の形態では、図2に示すように、第1ユニット10の内部に、トイレ31と、洗面台32とが設置されている。さらに、第1ユニット10の内部には、設備機器の配置が可能なスペース33が設けられている。スペース33には、例えば、電源コンセントが配置されており、スペース33は、食品を貯蔵する冷蔵庫などが設置されるパントリとして利用可能である。
図3に示すように、第2ユニット20の内部に、トイレ31と、洗面台32と、ユニットバス34とが設置されている。また、図示しないが、各種配水管が第1ユニット10と第2ユニット20との間のスペースなどに設けられている。
電気設備は、例えば、分電盤、情報盤、各種設備機器を操作するための操作盤、創蓄連携機器(創蓄連携システム)、及び、照明などの設備機器を含んでいる。電気設備は、さらに、スイッチ、コンセント及び配線(情報配線、電気配線)などの配線設備を含んでもよい。分電盤、情報盤、操作盤、創蓄連携機器、スイッチ、コンセントなどは、屋内に配置される。各種配線は、天井裏、床下又は壁内に配置される。
空調設備は、例えば、室内に設置されるエアコンなどの空調室内機、天井裏などに設置される熱交換器などを含んでいる。空調設備は、さらに、パイプスペースに設置されるダクトなどの各種配管を含んでもよい。
なお、図2及び図3に示した各設備の個数及び配置などは、一例に過ぎず、特に限定されない。例えば、本実施の形態では、第1ユニット10と第2ユニット20との両方が水廻り設備を備える例について示したが、第1ユニット10のみ(又は第2ユニット20のみ)が水廻り設備を備えてもよい。また、建物ユニット1は、第2ユニット20は有さず、第1ユニット10のみを有してもよい。
[ユニット]
続いて、建物ユニット1を構成する第1ユニット10及び第2ユニット20を説明する。第1ユニット10及び第2ユニット20の各々は、例えば、木造軸組工法による軸組構造体としての建築構造体を備える。建築構造体は、梁などの横架材及び柱などの建材からなる軸組と、大引き、根太などの建材からなる床組とを備える。建築構造体は、工場などの建築現場以外で予め組み立てられている。
第1ユニット10は、図1及び図2に示すように、複数の柱11と、複数の土台12〜14と、柱脚金具200とを備える。詳細な説明を省略するが、第1ユニット10は、間柱、下地材、内装材又は外装材などを備える。下地材、内装材又は外装材は、第1ユニット10の床、壁及び天井などを構成する。また、図示しないが、第1ユニット10は、さらに、大引き、根太、筋違、野縁などを備える。
第2ユニット20は、第1ユニット10と同様の構成を有する。詳細な説明を省略するが、第2ユニット20は、図1及び図3に示すように、複数の柱と、複数の横架材と、間柱、下地材、内装材又は外装材、大引き、根太、筋違、野縁などを備える。
以下では、第1ユニット10の詳細な構成について図面を用いて説明する。
[第1ユニット]
図4は、本実施の形態に係る第1ユニット10の軸組を示す斜視図である。具体的には、図4は、第1ユニット10が備える複数の柱11と、複数の土台12〜14と、柱脚金具200とを図示しており、面材などのその他の建材及び内部に配置される設備などを図示していない。
なお、本実施の形態では、第1ユニット10は、例えば12本の柱11を備えるが、図4(他の図も同様)においては、全ての柱11に参照符号を付している訳ではなく、参照符号を付していない柱も存在する。柱脚金具200についても同様である。
また、第1ユニット10は、天井側の梁(具体的には、胴差し又は二階梁)を備えない。図1に示すように、第1ユニット10の複数の柱11の上部には、第2ユニット20の床側の梁が第1ユニット10の天井側の梁として接続される。
[柱]
複数の柱11は、第1ユニット10の垂直材であり、上下方向(鉛直方向)に延在している。複数の柱11の各々は、例えば木材から形成され、具体的には、断面が略正方形の角材から形成される。本実施の形態では、複数の柱11の大きさ及び形状は、互いに略同じである。
図5は、本実施の形態に係る柱11の下部を示す斜視図である。具体的には、図5は、下方から見た場合の柱11の下部を示している。
図5に示すように、柱11には、下部の端面110にホゾ穴111が設けられている。ホゾ穴111は、柱脚金具200のホゾ部220(図8を参照)を挿入するための穴である。ホゾ穴111に、柱脚金具200のホゾ部220が挿入されることで、柱11と土台12とが固定される。
ホゾ穴111は、例えば、柱11の長手方向(z軸方向)に沿って凹んだ円柱状の穴であり、ホゾ部220の長さ以上の深さを有する。ホゾ穴111には、ピン、ボルトなどの固定具を挿入するための1以上の貫通孔が設けられている。本実施の形態では、柱11の短手方向(x軸方向及びy軸方向)に沿って柱11を貫通する3つの貫通孔112a〜112cが設けられている。3つの貫通孔112a〜112cの各々は、断面が円形の貫通孔であり、ホゾ穴111と交差している。本実施の形態では、図5に示すように、真ん中の貫通孔112bの貫通方向(x軸方向)は、上側の貫通孔112a及び下側の貫通孔112cの貫通方向(y軸方向)と略直交している。3つの貫通孔112a〜112cの貫通方向及びその形状などは、特に限定されない。
[土台]
図4に示す土台12〜14はそれぞれ、第1ユニット10が備える横架材の一例であり、建物の土台として機能する。土台12は、柱脚金具200の台座部210(図8を参照)を収納するための凹部120が設けられた第1横架材の一例である。土台12は、第1ユニット10の長手方向に延在している。土台13及び14は、土台12の側方に位置する第2横架材の一例である。土台13及び14は、第1ユニット10の短手方向に延在している。なお、土台14は、第1横架材の一例でもあり、凹部120が設けられている。
土台12〜14はそれぞれ、基礎2に載置される。土台12〜14の各々は、例えば木材から形成され、具体的には、断面が略正方形の角材から形成される。土台12〜14はそれぞれ、例えば1本の角材から形成されている。
土台12は、柱11の端面110に接触し、柱11を支持する。本実施の形態では、図4に示すように、土台12は、第1ユニット10の長手方向における一端から他端まで延在しており、複数の柱11を上面12aで支持する。図4に示す例では、4本の柱11が、各々の端面110(図5参照)と上面12aとが接触するように上面12aに載置されて、土台12に支持されている。
図6は、本実施の形態に係る土台12の凹部120の近傍を示す斜視図である。図6に示すように、土台12には、凹部120と、貫通孔123とが設けられている。土台12には、図4に示すように、土台12が支持する柱11の本数と同数の凹部120及び貫通孔123が設けられている。
凹部120は、土台12の下面12bから上方に向かって凹んだ凹部である。本実施の形態では、凹部120は、土台12の短手方向(y軸方向)に沿って切り欠かれた溝である。凹部120は、図6に示すように、第1収納部121と、第2収納部122とを有する。
第1収納部121は、凹部120の主要部であり、台座部210の底板211(図8を参照)を除く部分を収納するための部分である。第1収納部121は、下面と、y軸方向に沿って互いに対向する2つの側面とが開放された略直方体状の空間を形成し、当該空間に台座部210の天板212及び側面板213〜215(図8を参照)が収納される。
第1収納部121は、凹部120の底面に相当する上面121aを有する。凹部120に台座部210が収納された場合に、台座部210の天板212が上面121aに当接する。具体的には、上面121aの形状及び大きさは、台座部210の天板212の上面210aと略同じである。
第2収納部122は、台座部210の底板211を収納するための部分である。第2収納部122は、下面と、y軸方向に沿って互いに対向する2つの側面とが開放された平板状の空間を形成し、当該空間に底板211が収納される。第2収納部122の形状及び大きさは、台座部210の底板211と略同じである。凹部120に台座部210が収納された場合に、底板211の延設部218(図8を参照)が第2収納部122の上面122aに当接する。
貫通孔123は、凹部120の上面121aを貫通し、ホゾ穴111に繋がる第1貫通孔の一例である。貫通孔123は、柱脚金具200のホゾ部220の形状とほぼ同じであり、断面が略円形の円柱状の貫通孔である。貫通孔123は、凹部120の上面121aから土台12の上面12aまでを貫通している。
貫通孔123は、例えば、土台12の短手方向(y軸方向)の略中央に設けられている。具体的には、貫通孔123は、平面視において、凹部120の上面121aの略中央に設けられている。
土台13及び14は、図4に示すように、2つの土台12の間に挟まれている。土台13は、柱11を支持していないのに対して、土台14は、柱11を支持している。このため、土台13には、凹部120が設けられておらず、土台14には、凹部120が設けられている。図4に示す例では、土台12の長手方向の両端部分に土台14が設けられているが、柱11の配置に応じて、土台13及び14のいずれかを適宜配置することができる。
図7は、本実施の形態に係る建物ユニット1が備える土台13の端部を示す斜視図である。ここでは、土台13の端部を例に説明するが、土台14の端部も同様の構造を有する。
図7に示すように、土台13には、凹部130と、挿入穴131とが設けられている。本実施の形態では、土台13の両端に凹部130及び挿入穴131が設けられている。
凹部130は、土台13の下面13bから上方に向かって凹んだ凹部である。本実施の形態では、凹部130は、土台13の下面側の角が短手方向(x軸方向)に沿って切り欠かれた切り欠きである。
凹部130は、土台13に隣接する土台12に設けられた柱脚金具200の底板211の延設部218を避けるための凹部である。凹部130の厚さ(z軸方向)は、延設部218の厚さと略同じである。土台13を土台12に離接して配置した場合に、延設部218が凹部130内に配置され、延設部218の下面(下面210b)と土台13の下面13bとが略面一になる。
挿入穴131は、柱脚金具200の突出部230(図8を参照)が挿入される挿入穴である。挿入穴131は、例えば、断面が略円形の円柱状の貫通孔であり、凹部130の上面130aから土台13の上面13aまで貫通している。挿入穴131の下方から突出部230が挿入され、上方から座付ナット203(図8を参照)が挿入される。
挿入穴131は、土台13の上面13a側に、座付ナット203を挿入するためのザグリ部132を有する。ザグリ部132は、座付ナット203の大きさ及び形状に合うように、土台13の上面13aから下方に向かって凹んだ凹部(段差部)である。ザグリ部132に座付ナット203が収納されることで、座付ナット203と第3延設部218cとが土台13を挟み込む。これにより、土台13を柱脚金具200に固定することができる。
なお、挿入穴131は、土台12に固定された柱脚金具200の突出部230が挿入された場合に、土台13の端面133が土台12の側面に当接するように設けられている。具体的には、挿入穴131は、土台13の短手方向の略中央に設けられ、かつ、長手方向において端面133からの距離が、柱脚金具200の天板212から突出部230までの距離に略等しくなる位置に設けられている。
[柱脚金具]
柱脚金具200は、複数の柱11の各々に対応して設けられている。すなわち、第1ユニット10は、複数の柱11と同数の柱脚金具200を備える。柱脚金具200は、柱11の下部と土台12とを連結して固定する。本実施の形態では、柱脚金具200は、さらに、土台12と土台13又は14とを連結して固定する。
以下では、柱脚金具200の詳細な構成について説明する。図8は、本実施の形態に係る建物ユニット1が備える柱脚金具200の斜視図である。図8に示すように、柱脚金具200は、金具本体201と、複数のピン202と、座付ナット203と、複数のビス204とを備える。
金具本体201は、柱脚金具200の本体である。図9〜図11はそれぞれ、本実施の形態に係る柱脚金具200の金具本体201の上面図、正面図及び左側面図である。図9〜図11に示すように、金具本体201は、台座部210と、ホゾ部220と、突出部230とを備える。
台座部210は、土台12の厚さより薄く、土台12の凹部120に収納される。図8に示すように、台座部210は、底板211と、天板212と、側面板213〜215とを備える。台座部210には、底板211と、天板212と、側面板213〜215とによって空間216が形成されている。
底板211は、基礎2に連結固定される平板である。図8〜図11に示すように、底板211には、貫通孔217が設けられている。貫通孔217は、空間216に繋がる第2貫通孔の一例である。貫通孔217には、基礎2に設けられたボルト(アンカーボルト)が挿入される。ボルトの先端が空間216内に位置しており、ナットなどの締結具とボルトとを締結することで、底板211(柱脚金具200)が基礎2に固定される。
天板212は、2つの側面板213及び214に支持された平板である。本実施の形態では、天板212は、さらに、側面板215にも支持されている。天板212の平面視形状は、略矩形である。
天板212の上面210aには、柱11のホゾ穴111に挿入されるホゾ部220が設けられている。天板212の上面210aは、台座部210が土台12の凹部120に収納された場合に、凹部120の上面121aに当接する。
側面板213〜215はそれぞれが、略矩形の平板である。側面板213〜215は、底板211に立設されている。例えば、図9に示すように、側面板213〜215は、平面視において略U字状になるように、底板211に立設されている。具体的には、側面板213と側面板214とは、略平行で、互いに対向している。側面板215は、側面板213及び側面板214の各々の端部に接続され、各々に対して略直角に配置されている。
空間216は、少なくとも一面が開放された略直方体状の空間である。具体的には、空間216の、側面板215に対向する面が開放されている。なお、台座部210は、側面板215を備えていなくてもよい。この場合、空間216は、互いに対向する二面が開放された空間になる。
本実施の形態では、図8〜図11に示すように、底板211は、平面視において、天板212より外側に延設された延設部218を有する。図9に示すように、延設部218は、天板212の3辺より外側に延設されており、延設部218の平面視形状は、略U字状である。具体的には、延設部218は、第1延設部218aと、第2延設部218bと、第3延設部218cとを有する。第1延設部218aは、平面視において側面板213より外側に位置し、平面視形状が略矩形の部分である。第2延設部218bは、平面視において側面板214より外側に位置し、平面視形状が略矩形の部分である。第3延設部218cは、平面視において側面板215より外側に位置し、平面視形状が略台形の部分である。底板211の平面視形状は、隣り合う2つの角が斜めに切り欠かれた形状(略六角形状)である。
本実施の形態では、図8〜図11に示すように、延設部218には、貫通孔219が設けられている。貫通孔219は、ビス204を挿入するための孔であり、底板211(延設部218)を厚み方向(z軸方向)に貫通している。具体的には、延設部218の第1延設部218a及び第2延設部218bにそれぞれ2つずつの合計4つの貫通孔219が設けられている。なお、貫通孔219の個数及び位置はこれに限定されない。
なお、台座部210の形状は、図示した例に限定されない。例えば、台座部210は、側面板215を備えずに、2つの側面板213及び214が平面視において略V字状に配置されていてもよい。この場合、天板212の平面視形状が三角形であり、空間216が略三角柱状の空間であってもよい。
ホゾ部220は、台座部210の上面210aから上方に突出している。具体的には、ホゾ部220は、天板212の上面210aから上方に突出している。ホゾ部220は、土台12の貫通孔123及び柱11のホゾ穴111に挿入される。ホゾ部220は、土台12の貫通孔123より長い。このため、貫通孔123に挿入されたホゾ部220は、台座部210が凹部120に収納された場合に、貫通孔123から上方に突き出る。
本実施の形態では、ホゾ部220は、側面に1以上の貫通孔が設けられた円柱部である。例えば、図8、図10及び図11に示すように、ホゾ部220には、3つの貫通孔221a〜221cが設けられている。3つの貫通孔221a〜221cは、上下方向に並んで配置されている。真ん中の貫通孔221bの貫通方向は、上側の貫通孔221a及び下側の貫通孔221cの貫通方向と略直交している。3つの貫通孔221a〜221cの各々には、柱11がホゾ部220に接続された状態で、ピン202が挿入される。
突出部230は、延設部218から上方に突出する棒状の突出部(ピン)である。突出部230の高さ(z軸方向の長さ)は、例えば、土台12と略同じである。つまり、図11に示すように、突出部230は、底板211の上面から天板212の上面210aより高い位置まで突出している。
本実施の形態では、突出部230は、第3延設部218cに設けられているが、これに限定されない。突出部230は、第1延設部218a又は第2延設部218bに設けられていてもよい。また、突出部230は、土台13又は土台14を接続しなくてよい場合、設けられていなくてもよい。例えば、図4に示す柱脚金具200の1つ(奥側の土台12に固定されたもの)は、突出部230を備えない柱脚金具である。
突出部230の先端には、座付ナット203に設けられた雌ねじに螺合する雄ねじ231が設けられている。図7に示す挿入穴131に突出部230を挿入し、雄ねじ231に座付ナット203をねじ入れることで、土台13が柱脚金具200に固定される。
金具本体201は、鉄、又は、ステンレス鋼、炭素鋼などの合金などから形成される。具体的には、金具本体201は、底板211、天板212、側面板213〜215、ホゾ部220及び突出部230が互いに溶接されて形成される。
複数のピン202は、固定具の一例であり、柱脚金具200と柱11とを連結固定するための部材である。具体的には、複数のピン202は、柱11の貫通孔112a〜112c及び柱脚金具200のホゾ部220の貫通孔221a〜221cに挿入される。複数のピン202の大きさ及び形状は、例えば、柱11の貫通孔112a〜112cと略同じ大きさ及び形状である。柱11と柱脚金具200との固定は、ピン202ではなく、ボルトとナットとを用いてもよい。
座付ナット203は、固定具の一例であり、柱脚金具200と土台13とを連結固定するための部材である。具体的には、座付ナット203は、土台13の挿入穴131に挿入された突出部230に固定される。
本実施の形態では、座付ナット203は、挿入穴131のザグリ部132に収納されるが、これに限定されない。突出部230の長さが土台13より長い場合、突出部230は、挿入穴131から上方に突き抜ける。この場合、挿入穴131には、ザグリ部132が設けられていなくてもよく、座付ナット203は、土台13の上面13aと凹部130の上面130aとを挟み込んでもよい。
複数のビス204は、固定具の一例であり、柱脚金具200と土台12とを連結固定するための部材である。具体的には、複数のビス204は、柱脚金具200の貫通孔219に、底板211の下面210b側から挿入されて、土台12に刺し入れられる。なお、ビス204には、雄ねじが設けられていてもよい。
ピン202、座付ナット203及びビス204は、例えば、金具本体201と同じ材料から形成される。
本実施の形態では、柱脚金具200は、空間216の開口された面が第1ユニット10の外側になるように土台12に固定される。これにより、建物ユニット1の外側に空間216を露出させることができる。このため、工場生産された建物ユニット1を基礎2に載置した後、建物ユニット1の外側からアンカーボルトと柱脚金具200との締結を行うことができる。
[建物ユニットの製造方法]
続いて、建物ユニット1の製造方法について説明する。以下では、第1ユニット10の製造工程、特に、柱脚金具200を用いた柱11と土台12及び13との接続工程について説明する。
図12A〜図12Cは、本実施の形態に係る建物ユニット1の製造方法を示す斜視図である。具体的には、図12Aは、柱脚金具200の金具本体201と土台12とを固定する工程を示している。図12Bは、柱脚金具200の金具本体201と土台13とを固定する工程を示している。図12Cは、柱脚金具200の金具本体201と柱11とを固定する工程を示している。
建物ユニット1の製造方法では、まず、柱脚金具200の金具本体201と土台12とを固定する。具体的には、図12Aの(a)に示すように、土台12の貫通孔123に柱脚金具200のホゾ部220を挿入し、かつ、土台12の凹部120に柱脚金具200の台座部210を収納する。
具体的には、凹部120の第1収納部121に、台座部210の天板212及び側面板213〜215が収納され、第2収納部122に、台座部210の底板211が収納される。これにより、図12Aの(b)に示すように、台座部210の下面210bと土台12の下面12bとが略面一になる。また、ホゾ部220は、土台12の上方の所定の高さまで貫通孔123を突き抜ける。
次に、複数のビス204を用いて、底板211の延設部218と土台12とを固定する。具体的には、底板211の第1延設部218a及び第2延設部218bの各々に設けられた複数の貫通孔219の各々に下方からビス204を挿入する。ビス204は、貫通孔219を挿通されて土台12に刺し入れられる。これにより、土台12と金具本体201とが固定される。
続いて、柱脚金具200の金具本体201と土台13とを固定する。なお、ここでは、土台13を固定する場合について説明するが、土台14を固定する場合も同様に行うことができる。
図12Bの(c)に示すように、底板211の第3延設部218cは、土台12の側方に張り出している。第3延設部218cから上方に突出した突出部230を、土台13の挿入穴131に挿入する。第3延設部218cは、凹部130に収納される。これにより、図12Bの(d)に示すように、台座部210の下面210bと土台13の下面13bとが略面一になる。
次に、座付ナット203を用いて、突出部230と土台13とを固定する。具体的には、突出部230の先端に設けられた雄ねじ231に座付ナット203をねじ入れる。座付ナット203のフランジ部と底板211の第3延設部218cとが土台13を挟むことで、土台13と金具本体201とが固定される。
続いて、柱脚金具200の金具本体201と柱11とを固定する。具体的には、図12Cの(e)に示すように、土台12の貫通孔123を突き抜けたホゾ部220を、柱11のホゾ穴111に挿入する。ホゾ部220をホゾ穴111に挿入した状態で、柱11を土台12に載置する。これにより、柱11の端面110と土台12の上面12aとが接触する。土台12は、上面12aで柱11を支持することができる。なお、ホゾ部220をホゾ穴111に挿入する際に、ホゾ部220の貫通孔221a〜221cの各々の貫通方向と、柱11の貫通孔112a〜112cの各々の貫通方向とを一致させる。
次に、複数のピン202を用いて、金具本体201と柱11とを固定する。具体的には、図12Cの(f)に示すように、柱11の貫通孔112a〜112cの各々と貫通孔221a〜221cの各々とにピン202を挿入する。これにより、柱11と金具本体201とを固定することができる。
なお、本実施の形態では、金具本体201に対して土台12、土台13(又は土台14)及び柱11の順で固定したが、これに限らない。例えば、金具本体201に対して、土台12、柱11、土台13(又は土台14)の順で固定してもよい。あるいは、金具本体201に対して、土台13(又は土台14)、土台12、柱11の順で固定してもよい。
図12A〜図12Cで示した工程を柱脚金具200の数だけ繰り返すことで、図4に示す建物ユニット1の軸組が完成する。具体的には、全ての柱脚金具200と全ての土台12〜14とを固定した後、全ての柱11の各々を柱脚金具200に固定するが、これに限らない。1つの柱脚金具200に対して土台12〜14と柱11とを固定した後、別の柱脚金具200に対して土台12〜14と柱11とを固定してもよい。
図4に示す建物ユニット1の軸組が完成した後、間柱、下地材、内装材又は外装材などを取り付け、さらに、各種設備を設置する。これにより、図1〜図3に示す建物ユニット1が製造される。
製造された建物ユニット1は、トラックなどの運搬車両に載置されて建築現場まで運搬される。建築現場に運搬された建物ユニット1は、クレーンなどによって吊り上げられて基礎2上に載置されて固定される。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る建物ユニット1は、建物の一部を構成する、建築現場以外で予め組み立てられた建物ユニットであって、下部の端面110にホゾ穴111が設けられた柱11と、柱11の端面110に接触し、柱11を支持する土台12と、柱11の下部と土台12とを連結して固定する柱脚金具200とを備え、土台12には、下面12bから上方に向かって凹んだ凹部120と、凹部120の上面121aを貫通し、ホゾ穴111に繋がる貫通孔123とが設けられ、柱脚金具200は、土台12の厚さより薄く、かつ、凹部120に収納される台座部210と、台座部210の上面210aから上方に突出し、貫通孔123及びホゾ穴111に挿入されるホゾ部220とを備える。
これにより、柱脚金具200を利用して柱11と土台12とを強固に連結して固定することができるので、建物ユニット1の強度を高めることができる。また、土台12に設けられた凹部120に柱脚金具200の台座部210を収納することができるので、土台12の途中に柱脚金具200を配置することができる。すなわち、1本の材料(木材)で土台12(通し土台)を形成することができるので、土台12の通り芯、及び、柱11の配置間隔(ピッチ)の精度を高めることができる。これにより、高品質で強度が高い建物ユニット1を提供することができる。
本実施の形態に係る建物ユニット1は、工場で製造された後、建築現場まで運搬され、ロープなどを用いて吊り上げられて基礎2上に載置される。このため、吊り上げの際の自重に対して、土台12及び柱脚金具200などが耐える必要がある。本実施の形態によれば、土台12が柱脚金具200によって分断されず、建物ユニット1の強度が高められるので、吊り上げの際の自重に耐えることができ、極めて有用である。
また、例えば、台座部210は、底板211と、互いに対向する2つの側面板であって、各々が、底板211に立設された2つの側面板213及び214と、2つの側面板213及び214に支持された天板212とを備え、ホゾ部220は、天板212の上面210aから上方に突出している。また、例えば、底板211と、2つの側面板213及び214と、天板212とで囲まれた空間216は、少なくとも一面が開放された略直方体状の空間であり、底板211には、空間216に繋がる貫通孔217が設けられている。
これにより、例えば、台座部210の外形を略直方体などの簡単な形状にすることができ、土台12に形成する凹部120の形状も簡単な形状にすることができる。よって、建物ユニット1を容易に製造することができる。また、基礎2に設けられたアンカーボルトを接続するための貫通孔217が底板211に設けられているので、建物ユニット1の製造後に、基礎2に載置することができる。さらに、貫通孔217は一面が開放された空間216に繋がるので、貫通孔217に挿入されたアンカーボルトの先端を空間216に露出させることができる。このため、ナットなどを利用してアンカーボルトを締結することができ、基礎2に建物ユニット1を固定することができる。
また、例えば、底板211は、平面視において、天板212より外側に延設された延設部218を有する。また、例えば、柱脚金具200は、さらに、延設部218から上方に突出する棒状の突出部230を備える。また、例えば、建物ユニット1は、さらに、土台12の側方に位置し、突出部230が挿入される挿入穴131が設けられた土台13又は14を備える。
これにより、土台12だけでなく土台13も柱脚金具200に固定することができる。つまり、複数の土台を1つの柱脚金具200で固定することができるので、部品点数を削減することができる。
また、例えば、本実施の形態に係る建物ユニット1の製造方法は、建物の一部を構成する建物ユニット1の製造方法であって、下面12bから上方に向かって凹んだ凹部120と、凹部120の上面121aを貫通する貫通孔123とが設けられた土台12の貫通孔123に、土台12の厚さより薄い台座部210と、台座部210の上方から突出した、貫通孔123より長いホゾ部220とを備える柱脚金具200のホゾ部220を挿入し、かつ、凹部120に台座部210を収納する工程と、貫通孔123を突き抜けたホゾ部220を、下部の端面110にホゾ穴111が設けられた柱11のホゾ穴111に挿入する工程とを含む。
これにより、柱脚金具200を利用して柱11と土台12とを強固に連結して固定することができるので、建物ユニット1の強度を高めることができる。また、土台12に設けられた凹部120に柱脚金具200の台座部210を収納することができるので、土台12の途中に柱脚金具200を配置することができる。すなわち、1本の材料(木材)で土台12(通し土台)を形成することができるので、土台12の通り芯、及び、柱11の配置間隔(ピッチ)の精度を高めることができる。これにより、高品質で強度が高い建物ユニット1を製造することができる。
(その他)
以上、本発明に係る建物ユニット1及びその製造方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施の形態では、柱脚金具200と土台12とをビス204によって固定したが、これに限らない。柱脚金具200と土台13(又は土台14)との固定と同様に、突出部230と座付ナット203とによって、柱脚金具200と土台12とを固定してもよい。具体的には、土台12には、突出部230が挿入される挿入穴131が設けられていてもよい。なお、柱脚金具200と土台12とは、柱11の貫通孔112a〜112cにピン202を挿入することで固定されるため、直接の固定はしなくてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、土台12には切り欠き(溝)状の凹部120が設けられる例について示したが、これに限らない。具体的には、凹部120は、下面のみが開放された略直方体状の空間を形成してもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、台座部210の底板211が延設部218を有する例について示したが、これに限らない。底板211と天板212とは平面視形状が同じでもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、第1ユニット10が柱脚金具200を備える例について示したが、第2ユニット20が柱脚金具200を備えてもよい。すなわち、建物の2階以上の上層階を構成するユニットが、第1ユニット10と同じ構成を有してもよい。
また、本発明は、建物ユニットとして実現されるだけでなく、建物ユニットに用いられる柱脚金具として実現することもできる。具体的には、本発明の一態様は、建物の一部を構成する建物ユニット1に用いられる柱脚金具200であって、土台12の厚さより薄い台座部210と、台座部210の上方から突出したホゾ部220とを備える柱脚金具として実現することもできる。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。