JP2017206492A - オキサアジリジン化合物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、微生物代謝産物からの医薬品シード化合物の探索は、陸上の分離源を中心に採集され微生物分離に供されてきた。現在までに発見された微生物代謝産物はペニシリンやアドリアマイシンをはじめとして、数多くの抗生物質や抗がん剤が発見され、感染症や癌などの治療薬として利用されてきた。しかし、長期間の継続的探索の結果、陸域から得られる微生物代謝産物は殆ど全て既知化合物となり、新規薬剤の候補となる二次代謝産物の取得は極めて困難となった。このため、天然物創薬企業による新規薬剤開発は急速に縮小した。この状況を打開するため、ケミカルライブラリー(天然物および合成化合物)を用いたスクリーニングが世界的な規模で行われてきた。しかし、結果は予想に反し、ケミカルライブラリーからは、有望な新規薬剤候補化合物が得られなかった。これらの状況から新たな薬剤候補化合物を得る事は極めて困難な状況となった。
新規薬剤候補化合物の探索における上述の現状に鑑み、海洋性の微生物資源が注目されている。海洋性の微生物資源はこれまでに殆ど利用されておらず、新規の二次代謝産物発見の大きな可能性を有している。
最近、鹿児島県・奄美群島の加計呂麻島周辺の海底砂中から採取した微生物から発見された、下式:
従って、カケロマイシンの部分骨格である双環状オキサアジリジン環を有する化合物もまた、抗真菌活性及び細胞毒性を示すことが期待できる。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]式1:
Xは、単結合、−C(H)(R6)−または−C(H)(R7)−C(H)(R8)−を示し;
R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す。]
で表される化合物(本明細書中、「化合物1」と略記する場合がある)またはその塩;
[2]式4:
Xは、単結合、−C(H)(R6)−または−C(H)(R7)−C(H)(R8)−を示し;
R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す。]
で表される化合物(本明細書中、「化合物4」と略記する場合がある)またはその塩を酸化反応に供する工程を包含する、式1:
で表される化合物またはその塩の製造方法;
[3]式3:
で表される化合物(本明細書中、「化合物3」と略記する場合がある)またはその塩を脱保護反応に供して式4で表される化合物またはその塩を製造する工程をさらに包含する、[2]記載の製造方法;
[4]式2:
で表される化合物(本明細書中、「化合物2」と略記する場合がある)またはその塩を、(A)R5が、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基である場合、式:R5−M[式中、Mは、MgX(Xは、ハロゲン原子を示す。)、LiまたはCuを示す。]で表されるカルバニオン反応剤と反応させて、あるいは(B)R5が、水素原子である場合、ヒドリド反応剤と反応させて、式3で表される化合物またはその塩を製造する工程をさらに包含する、[3]記載の製造方法。
Xは、単結合、−C(H)(R6)−または−C(H)(R7)−C(H)(R8)−を示す。
R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す。
「C1−20アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチルが挙げられる。
「C2−20アルケニル基」としては、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニルが挙げられる。
「C2−20アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、4−メチル−2−ペンチニルが挙げられる。「C2−20アルキニル基」は、好ましくは「C2−6アルキニル基」である。
「C3−20シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチルが挙げられる。「C3−20シクロアルキル基」は、好ましくは「C3−10シクロアルキル基」である。
「C3−20シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルが挙げられる。
「C6−20アリール基」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリルが挙げられる。「C6−20アリール基」は、好ましくは「C6−14アリール基」である。
「C7−20アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、フェニルプロピルが挙げられる。
「芳香族複素環基」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫
黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環基が挙げられる。
該「芳香族複素環基」の好適な例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルなどの5ないし6員単環式芳香族複素環基;
ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、ピラゾロトリアジニル、ナフト[2,3−b]チエニル、フェノキサチイニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環基が挙げられる。
該「非芳香族複素環基」の好適な例としては、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロイソチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゼピニル、オキセパニル、アゾカニル、ジアゾカニルなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環基;
ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、ジヒドロナフト[2,3−b]チエニル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、4H−キノリジニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロチエノ[2,3−c]ピリジニル、テトラヒドロベンゾアゼピニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロフェナントリジニル、ヘキサヒドロフェノチアジニル、ヘキサヒドロフェノキサジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロナフチリジニル、テトラヒドロキナゾリニル、テトラヒドロシンノリニル、テトラヒドロカルバゾリル、テトラヒドロ−β−カルボリニル、テトラヒドロアクリジニル、テトラヒドロフェナジニル、テトラヒドロチオキサンテニル、オクタヒドロイソキノリルなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基が挙げられる。
換基」としては、例えば、以下が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、
(2)ニトロ基、
(3)シアノ基、
(4)オキソ基、
(5)ヒドロキシ基、
(6)置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、
(7)置換されていてもよいC6−14アリールオキシ基、
(8)置換されていてもよいC7−16アラルキルオキシ基、
(9)置換されていてもよい芳香族複素環−オキシ基、
(10)置換されていてもよい非芳香族複素環−オキシ基、
(11)置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニルオキシ基、
(12)置換されていてもよいC6−14アリール−カルボニルオキシ基、
(13)置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニルオキシ基、
(14)置換されていてもよいモノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基、
(15)置換されていてもよいC6−14アリール−カルバモイルオキシ基、
(16)置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環−カルボニルオキシ基、
(17)置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環−カルボニルオキシ基、
(18)置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニルオキシ基、
(19)置換されていてもよいC6−14アリールスルホニルオキシ基、
(20)置換されていてもよいC1−6アルキルチオ基、
(21)置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基、
(22)置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基、
(23)ホルミル基、
(24)カルボキシ基、
(25)置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基、
(26)置換されていてもよいC6−14アリール−カルボニル基、
(27)置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環−カルボニル基、
(28)置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環−カルボニル基、
(29)置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基、
(30)置換されていてもよいC6−14アリールオキシ−カルボニル基、
(31)置換されていてもよいC7−16アラルキルオキシ−カルボニル基、
(32)カルバモイル基、
(33)チオカルバモイル基、
(34)置換されていてもよいモノ−またはジ−C1−6アルキル−カルバモイル基、
(35)置換されていてもよいC6−14アリール−カルバモイル基、
(36)置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環−カルバモイル基、
(37)置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環−カルバモイル基、
(38)置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基、
(39)置換されていてもよいC6−14アリールスルホニル基、
(40)置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環−スルホニル基、
(41)置換されていてもよいC1−6アルキルスルフィニル基、
(42)置換されていてもよいC6−14アリールスルフィニル基、
(43)置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環−スルフィニル基、
(44)アミノ基、
(45)置換されていてもよいモノ−またはジ−C1−6アルキルアミノ基、
(46)置換されていてもよいモノ−またはジ−C6−14アリールアミノ基、
(47)置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環−アミノ基、
(48)置換されていてもよいC7−16アラルキルアミノ基、
(49)ホルミルアミノ基、
(50)置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニルアミノ基、
(51)置換されていてもよい(C1−6アルキル)(C1−6アルキル−カルボニル)アミノ基、
(52)置換されていてもよいC6−14アリール−カルボニルアミノ基、
(53)置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニルアミノ基、
(54)置換されていてもよいC7−16アラルキルオキシ−カルボニルアミノ基、
(55)置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニルアミノ基、
(56)置換されていてもよいC6−14アリールスルホニルアミノ基、
(57)置換されていてもよいC1−6アルキル基、
(58)置換されていてもよいC2−6アルケニル基、
(59)置換されていてもよいC2−6アルキニル基、
(60)置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基、
(61)置換されていてもよいC3−10シクロアルケニル基、及び
(62)置換されていてもよいC6−14アリール基。
Xが−C(H)(R7)−C(H)(R8)−である場合、R7は、好ましくは、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり、より好ましくは、置換されていてもよいC2−6アルキニル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり、特に好ましくは、置換されていてもよいC6−14アリール基であり、R8は、好ましくは、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり、より好ましくは、置換されていてもよいC2−6アルキニル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり、特に好ましくは、置換されていてもよいC6−14アリール基である。
Xは、好ましくは、−C(H)(R6)−(R6は、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基である。)であり、より好ましくは、−C(H)(R6)−(R6は、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基または置換されていてもよいC6−14アリール基である。)であり、特に好ましくは、−C(H)(R6)−(R6は、水素原子または置換されていてもよいC6−14アリール基である。)である。
[化合物1−1]
Xが、−C(H)(R6)−(R6は、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基である。)であり;
R1が、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R2が、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R3が、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R4が、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R5が、水素原子、、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基または置換されていてもよいC6−14アリール基(例、フェニル)である;
化合物1。
Xが、−C(H)(R6)−(R6は、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基または置換されていてもよいC6−14アリール基である。)であり;
R1が、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基または置換されていて
もよいC6−14アリール基であり;
R2が、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R3が、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R4が、水素原子、置換されていてもよいC2−6アルキニル基または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R5が、置換されていてもよいC2−6アルキニル基または置換されていてもよいC6−14アリール基(例、フェニル)である;
化合物1。
Xが、−C(H)(R6)−(R6は、水素原子または置換されていてもよいC6−14アリール基である。)であり;
R1が、水素原子または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R2が、水素原子または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R3が、水素原子または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R4が、水素原子または置換されていてもよいC6−14アリール基であり;
R5が、置換されていてもよいC6−14アリール基(例、フェニル)である;
化合物1。
以下に、本発明のオキサアジリジン化合物の製造方法の全体スキームを示す。
本発明のオキサアジリジン化合物1またはその塩の製造方法は、化合物4またはその塩を酸化反応に供する工程(工程3)を包含することを特徴とする。
本発明のオキサアジリジン化合物1またはその塩の製造方法は、化合物3またはその塩を脱保護反応に供して化合物4またはその塩を製造する工程(工程2)をさらに包含していてもよい。
本発明のオキサアジリジン化合物1またはその塩の製造方法は、化合物2またはその塩を、カルバニオン反応剤またはヒドリド反応剤と反応させて、化合物3またはその塩を製造する工程(工程1)をさらに包含していてもよい。
N−Boc−アミノケトン(3)は、N−Boc−ラクタム(2)と、(A)R5が、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基である場合、カルバニオン反応剤との処理、あるいは(B)R5が、水素原子である場合、ヒドリド反応剤との処理により合成することができる。カルバニオン反応剤としては、式:R5−M[式中、Mは、MgX(Xは、ハロゲン原子を示す。)、LiまたはCuを示す。]で表されるカルバニオン反応剤、すなわち、Grignard試薬などの有機マグネシウム化合物
、有機リチウム化合物、有機銅化合物等が挙げられるが、特にGrignard試薬などの有機マグネシウム化合物が好ましい。ヒドリド反応剤としては、水素化ジイソブチルアルミニウム、NaBH4、LiAlH4等が挙げられるが、特に水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。カルバニオン反応剤は、N−Boc−ラクタム(2)に対して通常1〜3モル等量、好ましくは1〜1.5モル等量用いることができる。ヒドリド反応剤は、N−Boc−ラクタム(2)に対して通常0.5〜3モル等量、好ましくは1〜1.5モル等量用いることができる。反応温度は、通常−78℃〜30℃、好ましくは−78℃〜0℃の範囲であり、反応時間は、試薬の種類、反応温度などによって異なるが、通常0.5〜48時間、好ましくは0.5〜3時間である。反応溶媒としては、THF、ジエチルエーテル、ヘキサン、トルエン、あるいはそれらの混合溶媒等を用いることができるが、特にTHF溶媒が好ましい。
なお、N−Boc−ラクタム(2)は、市販品にて入手でき、また、自体公知の方法またはこれらに準じた方法に従って製造することもできる。
環状イミン(4)は、N−Boc−アミノケトン(3)のアミノ基のBoc保護基を脱保護することにより合成することができる。脱保護剤としては、トリフルオロ酢酸、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を、N−Boc−アミノケトン(3)に対して通常1〜50モル等量、好ましくは1〜10モル等量用いることができるが、特にトリフルオロ酢酸が好ましい。反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは20〜30℃の範囲であり、反応時間は、試薬の種類、反応温度などによって異なるが、通常1〜24時間、好ましくは1〜3時間である。反応溶媒としては、THF、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、あるいはそれらの混合溶媒等を用いることができるが、特にジクロロメタン、ジクロロエタンが好ましい。
双環状オキサアジリジン(1)は、環状イミン(4)の酸化反応により合成することができる。酸化剤としては、m−クロロ過安息香酸、過酢酸等を、環状イミン(4)に対して通常1〜5モル等量、好ましくは1〜2モル等量用いることができるが、特にm−クロロ過安息香酸が好ましい。反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは10〜30℃の範囲であり、反応時間は、試薬の種類、反応温度などによって異なるが、通常0.5〜12時間、好ましくは1〜2時間である。反応溶媒としては、THF、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トルエン、エタノール、メタノール、アセトニトリルあるいはそれらの混合溶媒等を用いることができるが、特にTHF、メタノール、ジクロロメタンが好ましい。
gatus、Aspergillus flavus、Aspergillus niger、Aspergillus terreus等)、トリコフ
ィトン属(例:Trichophyton rubrum、Trichophyton mentagrophytes、Trichophyton tonsurans、Microsporumcanis、Microsporum gypseum、Trichophyton verrucosum等)等の真菌が挙げられるがこれらに限定されない。また、真菌症としては、特に限定されず、深部皮膚真菌症、深在性真菌症、菌腫、または真菌血症が挙げられる。
酸化剤、防腐剤、保存剤、保型剤、保湿剤、皮膚保護剤、清涼化剤、香料、着色剤、キレート剤、潤沢剤、血行促進剤、収斂剤、組織修復促進剤、制汗剤、植物抽出成分、動物抽出成分、抗炎症剤、鎮痒剤等を必要に応じて配合することができる。これらの添加物はいずれも、一般に製剤に用いられるものが使用できる。
1H NMRスペクトルは、核磁気共鳴装置(Varian製、400MR)で測定し、全δ値をppmで示した。マススペクトルは、HPLC−Chip/QTOF質量分析システム(アジレントテクノロジー社)で測定し、m/z値を示した。
実施例1
N−Boc−ラクタム2a−1(300mg、1.50mmol)をTHF(3mL)に溶解し、フェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(1mol/L溶液、1.5mL、1.50mmol)を0℃で加え、0℃で1時間撹拌した。水(1.0mL)を加えた後、無水硫酸ナトリウムを加え反応系内の水を除去し、コットンを用いてろ過した。得られたろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサンおよび酢酸エチル)により精製し、N−Boc−アミノケトン3a−1(313mg、1.13mmol)を無色の液体として得た(収率75%)。
MS: m/z 278 ([M+1], C16H23NO3)
N−Boc−アミノケトン3a−1(50mg、0.18mmol)をジクロロエタン(3mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(0.5mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液をロータリーエバポレーターで濃縮し、環状イミン4a−1(26mg、0.16mmol)を無色の液体として得た(収率90%)。
MS: m/z 160 ([M+1], C11H13N)
環状イミン4a−1(10mg、0.06mmol)をTHF(3mL)に溶解し、m−クロロ過安息香酸(11mg)を加え、室温で3時間撹拌し、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサンおよび酢酸エチル)により精製し、双環状オキサアジリジン1a−1(3mg、0.018mmol)を黄色の液体として得た(収率30%)。
1H NMR: δ 1.80-2.26 (m, 4H), 2.32-2.76 (m, 2H), 2.90-3.28 (m, 2H), 7.10-7.50 (m, 5H); MS: m/z 176 ([M+1], C11H13NO)
Claims (4)
- 式1:
[式中、
Xは、単結合、−C(H)(R6)−または−C(H)(R7)−C(H)(R8)−を示し;
R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す。]
で表される化合物またはその塩。 - 式4:
[式中、
Xは、単結合、−C(H)(R6)−または−C(H)(R7)−C(H)(R8)−を示し;
R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す。]
で表される化合物またはその塩を酸化反応に供する工程を包含する、式1:
[式中、XおよびR1〜R8は上記で定義した通りである。]
で表される化合物またはその塩の製造方法。 - 式3:
[式中、XおよびR1〜R8は請求項2で定義した通りである。]
で表される化合物またはその塩を脱保護反応に供して式4で表される化合物またはその塩を製造する工程をさらに包含する、請求項2記載の製造方法。 - 式2:
[式中、X、R1〜R4およびR6〜R8は請求項2で定義した通りである。]
で表される化合物またはその塩を、(A)R5が、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基である場合、式:R5−M[式中、Mは、MgX(Xは、ハロゲン原子を示す。)、LiまたはCuを示す。]で表されるカルバニオン反応剤と反応させて、あるいは(B)R5が、水素原子である場合、ヒドリド反応剤と反応させて、式3で表される化合物またはその塩を製造する工程をさらに包含する、請求項3記載の製造方法。
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