JP2017206418A - Pcグラウト及びpcグラウト注入工法 - Google Patents

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【課題】短期的にも長期的にも防錆効果を発揮することができるPCグラウト及びグラウト注入工法を提供する。【解決手段】PC構造物のシース内に注入するPCグラウトにおいて、防錆材として亜硝酸塩を含有するとともに、塩化物イオン固定化材としてポルトランドセメント中にCaO・2AL2O3を含有する粉末を混和する。また、PC構造物のシース内にグラウトを注入するPCグラウト注入工法において、防錆材として亜硝酸塩を含有するとともに、塩化物イオン固定化材としてポルトランドセメント中にCaO・2AL2O3を含有する粉末を混和したPCグラウトを注入する。【選択図】図6

Description

本発明は、橋梁のPC桁などのプレストレストコンクリート(以下、PCという)構造物のシース内に注入してPC鋼材が腐食することを防止するPC構造物注入用グラウト(以下、PCグラウトという)及びPCグラウト注入工法に関する。
橋梁のPC桁などのPC構造物は、PC鋼材によりポストテンション方式でコンクリート構造物にプレストレスが導入された後、PC鋼材の防錆のため、PC鋼材が挿通されたシース内にPCグラウトが注入される。しかし、グラウト注入時に空気が抜けなかったり、シースが閉塞していたりするなど様々な理由によりPC鋼材の周りにPCグラウトが注入できていない未充填部分が発生することがあった。
特に、高架道路のPC桁においては、引張応力が作用する個所が端部と中央部で相違することから、シースが上下に蛇行しており、一度に、未充填部分のないようにPCグラウトを注入することが困難であった。また、高架道路のPC桁においては、凍結防止剤として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が散布されるため、これらの塩化物が、降水とともにシース内の未充填部分に到達し、PC鋼材を腐食させるという問題が発生していた。
その上、既存のPC桁(PC構造物)においては、既存のPCグラウトやシース内に塩化物イオンが残留しており、PCグラウトを再注入してもPC鋼材の不動態皮膜がすぐに破壊され、PC鋼材が早期に発錆してしまうおそれがあった。
このような問題を解決するため、特許文献1には、ポストテンション方式のPC構造物のPC緊張材の腐食を抑制するに当り、シース内のグラウト材未充填空間に水を供給してシース内や錆層内に存在する塩化物イオンを除去または減少させ、次いで上記水を除去し、この水を除去した空間にグラウト材を充填するPC緊張材の腐食抑制方法が開示されている(特許文献1の請求項1、明細書の段落[0027]〜[0037]、図面の図2〜図4等参照)。
しかし、特許文献1に記載のPC緊張材の腐食抑制方法は、シース内に水を注入して塩化物を洗い流すものであり、水を注入したり排出したりするのに手間と時間がかかる上、水を完全に排出することができないことによりグラウト未充填部分を発生させる要因となるという問題があった。
また、亜硝酸リチウムなどの亜硝酸塩は、短期的には、水に溶解した亜硝酸イオンが鋼材表面の不動態皮膜を修復して防錆効果を発揮するものである。このため、凍結防止剤として塩化物イオンが供給され続けたり、海風に曝露され続けたりすると、長期的(経時的)には、グラウト中の亜硝酸塩が消失して亜硝酸イオンが供給されず防錆効果を発揮することができないという問題があった。
これに対しては、グラウト中の亜硝酸塩の含有率を高めることも考えられる。しかし、グラウト中の亜硝酸塩の含有率を高めることは、グラウト注入費用が嵩む上、亜硝酸塩は、一般に健康に対する有害性が認められる劇物であり、雨水に溶け出して周囲の環境を汚染するおそれがあるという問題がある。
特開2013−2056号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、短期的にも長期的にも防錆効果を発揮することができるPCグラウト及びグラウト注入工法を提供することにある。
第1発明に係るPCグラウトは、PC構造物のシース内に注入するPCグラウトであって、防錆材として亜硝酸塩を含有するとともに、塩化物イオン固定化材としてポルトランドセメント中にCaO・2AL23を含有する粉末を混和することを特徴とする。
第2発明に係るPCグラウト注入工法は、PC構造物のシース内にグラウトを注入するPCグラウト注入工法であって、防錆材として亜硝酸塩を含有するとともに、塩化物イオン固定化材としてポルトランドセメント中にCaO・2AL23を含有する粉末を混和するPCグラウトを注入することを特徴とする。
第3発明に係るPCグラウト再注入工法は、PC構造物のシース内のグラウト未充填部分にPCグラウトを再注入するPCグラウト再注入工法であって、PC構造物の外表面から前記グラウト未充填部分に連通する注入孔と、前記グラウト未充填部分から空気を排気する排気孔を削孔する削孔工程と、前記注入孔から前記グラウト未充填部分にグラウトを再注入する注入工程と、を備え、この注入工程では、防錆材として亜硝酸塩を含有するとともに、塩化物イオン固定化材としてポルトランドセメント中にCaO・2AL23を含有する粉末を混和したグラウトを注入することを特徴とする。
第1発明〜第3発明によれば、凍結防止剤として塩化物イオンが供給され続けたり、海風に曝露され続けたりした場合であっても、塩化物イオン固定化材としてのCaO・2AL23の働きにより、塩化物イオンを固定化することができる。このため、第1発明〜第3発明によれば、PC鋼材外表面の不働態皮膜を保護し、防錆材としての亜硝酸塩の働きを幇助して短期的にも長期的にも防錆効果を発揮することができる。
特に、第3発明によれば、既存のグラウトやシース内に塩化物イオンが残留している既存のPC構造物においても防錆材としての亜硝酸塩の働きにより、PC鋼材外表面の不動態皮膜を修復し、PC鋼材が早期に発錆してしまうことを防ぐことができる。
本発明の実施形態に係る図である。 鋼材の腐食のメカニズムを模式的に表して説明する説明図である。 亜硝酸イオンによる不動態皮膜の再生メカニズムを模式的に表して説明する説明図である。 亜硝酸塩の防錆効果を確認するための鉄筋の食塩水浸漬実験の写真であり、(a)が亜硝酸リチウムを塗布しない場合であり、(b)が亜硝酸リチウムを塗布した場合である。 新規PCグラウトと既設PCグラウトの打ち継ぎを表す模式図である。 新規PCグラウトと既設PCグラウトを打ち継いだ場合の塩化物イオンの移動挙動についての解析結果を時系列で整理して示したグラフである。
以下、本発明に係る鋼管杭の施工方法を実施するための一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[PCグラウト]
先ず、本発明の実施形態に係るPCグラウトについて説明する。本発明の実施形態に係るPCグラウトは、水硬成分であるポルトランドセメントと、上道水と、数種類の混和材など、から主に構成され、図1に示すように、PC構造物1の上下に蛇行するシース2内を充填してPC鋼材3を被覆し、PC鋼材3を防蝕するとともにPC構造物1と一体化する機能を有している。
このため、PCグラウトには、一般的に、(1)注入充填が確実に行える適切な粘性を有すること、(2)材料分離がなく、均一でブリーディングの発生が無いか極めて少ないこと、(3)硬化中の収縮が無いか極めて小さいこと、(4)所定の圧縮強度を有し、PC鋼材との充分な付着強度を持ち、防錆効果を発揮できる程度の水密性を有すること等が要求される。
(ポルトランドセメント)
本実施形態に係るPCグラウトに調合するポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメントである。勿論、本発明に係るPCグラウトに調合するポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメントに限定されるものではなく、用途に応じて、早強、超早強、低熱、及び中庸熱のポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種の混合セメントを用いることは可能である。
(水)
本実施形態に係るPCグラウトに調合する水は、上道水で構わないが、水セメント比は、PC鋼材の種類やシースの配置形状等に応じた所定の圧縮強度を確保するため45%以下が標準となる。
(混和材)
混和材としては、減水材や分離抑制材など用途に応じた種々の混和材を使用することができる。但し、本実施形態に係るPCグラウトに調合する混和材は、防錆材として亜硝酸塩と、塩化物イオン固定化材としてCaO・2AL23(カルシウムアルミネート:以下CA2という)を含有する粉末を混和することを必須要件としている。
(防錆材)
本実施形態に係るPCグラウトには、防錆材として亜硝酸塩が混和されている。亜硝酸塩は、亜硝酸イオンを持つ塩であり、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウムなどのアルカリ金属の亜硝酸塩、亜硝酸カルシウムや硝酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の亜硝酸塩、又は、亜硝酸亜鉛、亜硝酸アルミニウム、亜硝酸鉄等を挙げることができる。但し、亜硝酸塩のなかでも亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カルシウムは、他の物性への悪影響もないことから好ましく、費用の面では、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カルシウムがさらに好ましい。
(塩化物イオン固定化材)
本実施形態に係るPCグラウトには、ポルトランドセメントに加え、塩化物イオン固定化材として水硬成分であるCA2が添加されている。このCA2は、炭酸カルシウムと酸化アルミニウムを原料とし、これらが所定のモル比で粉砕混合され、ロータリーキルンで焼成合成されて生成される次表に示す化学成分及び物理特性を示す物質である。このCA2は、後で詳述するように、ポルトランドセメントと混和されることによりハイドロカルマイトを多量に生成する。
なお、CA2は、急硬材として知られているモノカルシウムアルミネートCaO・AL23(以下、CAという)とは、異なる物質である。CAは、水和活性が高すぎて、普通ポルトランドセメントに混和されると、急硬してしまいPCグラウトとして使用できないうえ、ハイドロカルマイトを生成せず、塩化物イオンを固定化することができないからである。
<亜硝酸塩の防錆メカニズム>
次に、図2〜図4を用いて、亜硝酸塩の防錆メカニズムについて詳細に説明する。通常、鋼材の表面には、不動態皮膜(酸化皮膜:Fe23)が形成されており、それ以上の酸化は進行しない。しかし、図2に示すように、鋼材の表面に傷等がありFeが露出している部分があると、酸素と水のある環境下では、酸化還元反応によりFe表面が電子を失ってイオン化し、遊離して行くことで錆びが進行する。また、一旦、鋼材表面に錆びが発生すると凹凸が大きくなり、反応面積が増大するため、加速度的に錆びが進行していくこととなる。
特に、塩化物イオンCl-が存在すると、Cl-が配位することで鉄イオンが安定化され、鉄の酸化還元電位がマイナス方向へ移動して酸化されやすくなる上、酸化鉄の水への溶解度が上がるために不動態皮膜が破壊されてしまい、錆びの進行がより促進される。
ここで、PCグラウト中に亜硝酸塩が存在すると、図3に示すように、亜硝酸イオンNO2 -が、鉄イオンFe2+と反応してアノード部からの鉄イオンFe2+の溶出を防止し、次式に示すように、不動態皮膜(Fe23)として鉄筋表面に着床することによって腐食反応を抑制し、防錆効果を発揮する。
鉄イオン(2Fe2+)+水酸化物イオン(2OH-)+亜硝酸イオン(2NO2)−→一酸化窒素(2NO)+不動態皮膜(Fe23)+水(H2O)
本願出願人らは、このような亜硝酸塩の防錆効果を確認すべく、亜硝酸リチウムを塗布した鉄筋を重量比で3%の食塩水に一定期間浸漬して、亜硝酸リチウムを塗布した場合と塗布しない場合で比較する実験を行った。
図4は、鉄筋の食塩水浸漬実験の写真であり、(a)が亜硝酸リチウムを塗布しない場合であり、(b)が亜硝酸リチウムを塗布した場合である。図4の写真から分かるように、鉄筋は、いずれも同程度発錆しており、亜硝酸リチウムの塗布の有無にかかわらず差はみられなかった。
これは、亜硝酸リチウムの塗布量に比べて、食塩水の量が圧倒的に多かったからと推測される。即ち、亜硝酸イオンNO2 -の量に比べて、塩化物イオンCl-の量が極めて多く、硝酸イオンNO2 -の不動態皮膜(Fe23)の修復効果が殆ど無効化されて、塩化物イオンCl-の不動態皮膜の破壊効果が勝ってしまったものと推測される。このように、凍結防止剤として塩化物イオンが供給され続けたり、海風に曝露され続けたりして、長期的には、多量の塩化物イオンCl-が存在することが考えられる環境下では、亜硝酸塩の防錆効果は限定的なものとなり、長期的には、防錆効果を発揮し続けることができないものと考えられる。
そこで、本実施形態に係るPCグラウトでは、短期的には効果のあると考えられる亜硝酸塩の防錆効果を幇助すべく、前述のように、ポルトランドセメントに加え、塩化物イオン固定化材として水硬成分であるCA2を添加している。
<CA2の塩化物イオン固定化メカニズム>
次に、このCA2の塩化物固定化メカニズムについて詳細に説明する。本実施形態に係るPCグラウトでは、普通ポルトランドセメント中に、前術のように表1に示した化学成分及び物理特性を示すCA2(CaO・2Al23)を含有する粉末を混和することにより、次式に示す化学反応を起こし、ハイドロカルマイト(3CaO・Al23・Ca(OH)2・12H2O)が多量に生成される。
7Ca(OH)2+CaO・2Al23+19H2O→2(3CaO・Al23・Ca(OH)2・12H2O)
このハイドロカルマイトは、塩化物イオンCl-が水中に遊離している状態で、次式に示すように、塩化物イオンCl-をフリーデル氏塩(3CaO・Al23・CaCl2・11H2O)に固定化する。
3CaO・Al23・Ca(OH)2・12H2O+2Cl-→3CaO・Al23・CaCl2・11H2O+2OH-
このように、本実施形態に係るPCグラウトでは、多量にCA2を含有することにより、可溶性の塩化物イオンがフリーデル氏塩として固定化され、水中に遊離し易い可溶性の塩化物イオンが減少し、塩化物イオンによる不動態皮膜の損傷を抑える効果を発揮する。このため、亜硝酸塩の防錆効果を幇助することとなり、防錆効果を長期的に発揮し続けることができるようになると考えられる。
また、CA2は、安価である上、水和活性は低いものの水硬成分であるため、PCグラウト中に多量に含有させても、PCグラウトの前述の(1)〜(4)の要求を満たすことができる。その上、亜硝酸塩と相違して、雨水に溶け出して周囲の環境を汚染するおそれも極めて少ない。
本願出願人らは、このようなCA2の塩化物固定化の能力を確認すべく、PCグラウトを打ち継いだ場合の塩化物イオンの移動挙動を解析した。図5は、新規PCグラウトと既設PCグラウトの打ち継ぎを表す模式図であり、図6は、解析結果を時系列で整理して示したグラフである。
本解析は、図5に示すように、新規PCグラウトと既設PCグラウトを打ち継いだ場合の塩化物イオンの移動挙動について、フィックの法則を拡張し、塩化物イオンの固定化を考慮した塩化物イオン拡散に関する数値解析を行った。また、本解析は、塩化物イオン固定化材であるCA2を混和していないものと、ポルトランドセメントに対して重量%で10%混和した2種類の新規PCグラウトを想定して、これらを比較した。なお、解析の用いた塩化物イオン拡散係数Dは、セメントペーストの拡散係数値を参考に0.05cm2/yearと設定して解析を行った。
図6から分かるように、0.5年後では、CA2の混和の有無にかかわらず、既設PCグラウトから新規PCグラウトへ拡散する塩化物イオン量に大きな差異は認められない。これに対し、3年後には、新規PCグラウトの可溶性塩化物イオン量は、CA2が混和されていないものが約1.4kg/m3であり、CA2が混和されたものが約0.6kg/m3程度と略半分に抑制されていることが分かる。また、10年後でも、新規PCグラウトの可溶性塩化物イオン量は、CA2が混和されたものが、CA2が混和されていないものに比べて半分程度に抑制されていることが分かる。
このように、速効性は有していないものの、可溶性塩化物イオンを固定化する能力は優れていることが分かる。このため、前述のように、亜硝酸塩の防錆効果を幇助して、防錆効果を長期的に発揮し続けることができるものと考えられる。
[PCグラウト再注入工法]
次に、図1を用いて、本発明の実施形態に係るPCグラウト再注入工法(PCグラウト注入工法)について説明する。
(未充填部分の特定)
先ず、本実施形態に係るPCグラウト再注入工法では、事前準備として、PCグラウトの未充填部分を特定する。未充填部分を特定には、インパクトエコー法やX線透過法などの非破壊検査により、おおよその検討をつけ、この未充填部分と連通する孔を削孔し、CCDカメラ等で未充填部分を確認して、未充填部分の範囲を特定する。
(削孔工程)
次に、本実施形態に係るPCグラウト再注入工法では、PC構造物1の外表面からグラウト未充填部分の最下点付近に連通する注入孔H1と、グラウト未充填部分の最上点付近から空気を排気する排気孔H2を削孔する削孔工程を行う。例えば、先端にドリルビットが装着された電動穿孔機を、注入孔H1及び排気孔H2を穿孔する位置に設置し、穿孔機を駆動させてPC構造物1の外表面からシース2を貫通する注入孔H1及び排気孔H2を穿孔する。
(注入工程)
次に、本実施形態に係るPCグラウト再注入工法では、削孔した孔の気密性を確認したうえ、前工程で穿孔した注入孔H1から前述の実施形態に係るPCグラウトを再注入する注入工程を行う。本注入工程では、グラウトチャンバーから自然流下によりPCグラウトを注入してもよいし、圧入ポンプを用いてPCグラウトを圧入してもよい。また、排気孔H2側に真空ポンプを接続し、グラウト未充填部分の圧力を下げつつ、注入孔H1から圧入ポンプでPCグラウトを圧入する真空グラウト注入工法により注入しても構わない。
最後に、排気孔H2からのPCグラウトの吐出の確認、CCDカメラ等による充填の確認等により、PCグラウトの充填確認を行って本実施形態に係るPCグラウト再注入工法が終了する。
以上説明した本発明の実施形態に係るPCグラウト及びPCグラウト再注入工法によれば、凍結防止剤として塩化物イオンが供給され続けたり、海風に曝露され続けたりした場合であっても、塩化物イオン固定化材としてのCaO・2AL23の働きにより、塩化物イオンを固定化することができる。このため、PC鋼材外表面の不働態皮膜を保護し、防錆材としての亜硝酸塩の働きを幇助して短期的にも長期的にも防錆効果を発揮することができる。
以上、本発明の実施形態に係るPCグラウト及びPCグラウト再注入工法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。特に、既存のPC構造物のシース内のグラウト未充填部分にグラウトを再注入するグラウト再注入工法を例示して説明したが、新設のPC構造物のシース内にグラウトを注入するPCグラウト注入工法にも適用できるのは明らかである。
1 :PC構造物
2 :シース
3 :PC鋼材
H1 :注入孔
H2 :排気孔

Claims (3)

  1. PC構造物のシース内に注入するPCグラウトであって、
    防錆材として亜硝酸塩を含有するとともに、塩化物イオン固定化材としてポルトランドセメント中にCaO・2AL23を含有する粉末を混和すること
    を特徴とするPCグラウト。
  2. PC構造物のシース内にグラウトを注入するPCグラウト注入工法であって、
    防錆材として亜硝酸塩を含有するとともに、塩化物イオン固定化材としてポルトランドセメント中にCaO・2AL23を含有する粉末を混和するPCグラウトを注入すること
    を特徴とするPCグラウト注入工法。
  3. 既存のPC構造物のシース内のグラウト未充填部分にPCグラウトを再注入するPCグラウト再注入工法であって、
    PC構造物の外表面から前記グラウト未充填部分に連通する注入孔と、前記グラウト未充填部分から空気を排気する排気孔を削孔する削孔工程と、
    前記注入孔から前記グラウト未充填部分にグラウトを再注入する注入工程と、を備え、
    この注入工程では、防錆材として亜硝酸塩を含有するとともに、塩化物イオン固定化材としてポルトランドセメント中にCaO・2AL23を含有する粉末を混和したグラウトを注入すること
    を特徴とするPCグラウト再注入工法。
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