JP2017206170A - 回転補助装置、鞍乗型車両及び回転補助方法 - Google Patents

回転補助装置、鞍乗型車両及び回転補助方法 Download PDF

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剛士 豊田
Takeshi Toyoda
剛士 豊田
延男 原
Nobuo Hara
延男 原
幸英 福原
Yukie Fukuhara
幸英 福原
達矢 長田
Tatsuya Nagata
達矢 長田
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Abstract

【課題】鞍乗型車両におけるウィーブモードによる振動の収束性を良くする。【解決手段】回転補助装置は、バーハンドル8の回転を車輪に伝達する操舵系29に対して、トルクを付与する回転補助装置である。回転補助装置は、操舵系29に付与するトルクを発生させる駆動部70を備える。駆動部70は、バーハンドル8の操舵トルクと同じ方向であるプラス方向のトルク、及び、操舵トルクと反対方向であるマイナス方向のトルクを含む範囲でトルクを発生するよう制御される。操舵トルクが第1閾値より大きいときに、車速が上昇すると駆動部のトルクが、プラス方向からマイナス方向へ転じる。【選択図】図8

Description

本発明は、バーハンドルを有する鞍乗型車両において、操舵系統の回転を補助する技術に関する。
従来、ステアリングダンパを備える自動二輪車が提案されている。例えば、下記特開2010−269789号公報には、減衰係数を電子的に調整可能なステアリングダンパが開示されている。このステアリングダンパは、ステアリングの回転速度に従って調節された減衰トルクをステアリング組立体に付与する。ステアリングダンパの瞬時減衰係数は、二輪自動車のヨーレートを含む制御変数に基づいて計算される。これにより、ウォッブル振動モードとウィーブ振動モードの両方に対して有効なステアリングダンパの制御が提供される。
特開2010−269789号公報
上記従来の構成においては、ステアリングダンパの減衰係数を、ステアリングの回転速度及びヨーレート等を用いて計算する。この計算により、ウォッブルモードに起因する振動と、ウィーブモードに起因する振動の両方を減衰できるような減衰係数が求められる。そのため、計算が複雑になり、制御処理が複雑になる。
そこで、本願は、従来とは異なる方法で、ウィーブモードによる振動の収束性を良くする回転補助装置、鞍乗型車両、及び回転補助方法を開示する。
課題を解決するための手段及び発明の効果
発明者らは、ウィーブモード(weave mode)について注意深く観察した。ウィーブモードは、鞍乗型車両の振動現象の1つのである。ウィーブモードは、車体のヨー軸回りの回転とロール軸回りの回転が連成した振動モードである。これに対して、車体の操舵系の回転軸回りの回転が主となる振動モードが、ウォブルモード(wobble mode)である。
操縦テストを繰り返した結果、発明者らは、車両にウィーブモードの振動が起きているときに、ライダーがバーハンドルの振動を抑えようとして、バーハンドルに力を入れると、ウィーブモードの振動が収束しにくくなる場合があることがわかった。すなわち、車両にウィーブモードの振動が起きているときに、ライダーからバーハンドルに対してトルクが入力されると、ウィーブモードの収束性が悪くなることがわかった。
そこで、発明者は、車両走行中に、操舵系に対して、駆動部で発生させた様々なトルクを与えてウィーブモードの収束性を試験した。その結果、車両にウィーブモードの振動が起きているときに、ライダーのバーハンドルに対するトルク入力に対して反対方向のトルクを与えると、ウィーブモードの振動の収束性が高められることを見出した。また、ウィーブモードの振動は、低速域では発生しにくいことがわかった。
これらの知見に基づいて、発明者らは、バーハンドルから操舵トルクが入力されているときに車速が上昇した際に、操舵系に対して付与するトルクを、操舵トルクと同じ方向すなわちプラス方向から操舵トルクと反対方向すなわちマイナス方向へ転じることに想到した。これにより、ウィーブモードの収束性を高められることが見出された。これに基づいて、発明者らは、下記の実施形態に想到した。
本発明の実施形態における回転補助装置は、バーハンドルの回転を車輪に伝達する操舵系に対して、トルクを付与する回転補助装置である。前記回転補助装置は、前記操舵系に付与するトルクを発生させる駆動部を備える。前記駆動部は、前記バーハンドルの操舵トルクと同じ方向であるプラス方向のトルク、及び、前記操舵トルクと反対方向であるマイナス方向のトルクを含む範囲でトルクを発生するよう制御される。前記操舵トルクが第1閾値より大きいときに、車速が上昇すると前記駆動部のトルクが、前記プラス方向から前記マイナス方向へ転じる(第1の構成)。
上記第1の構成において、駆動部は、操舵トルクと同じ方向のプラス方向及び操舵トルクと反対方向のマイナス方向の双方に渡る範囲のトルクを出力するよう制御される。そのため、プラス方向とマイナス方向の両方を含む広いレンジで操舵系にトルクを付与することができる。この構成において、操舵トルクが第1閾値より大きときに車速が上昇すると、駆動部のトルクが、プラス方向からマイナス方向へ転じる。これにより、車両におけるウィーブモードの振動を、効率良く収束させることができる。すなわち、ウィーブモードの振動の収束性がよくなる。
上記第1の構成において、前記操舵トルクが前記第1閾値より大きいときに、前記車速が第2閾値を越えると前記駆動部のトルクが前記プラス方向から前記マイナス方向へ転じるよう、駆動部を制御することができる(第2の構成)。これにより、車速に応じて、適切なタイミングで、駆動部のトルクの方向をマイナス方向にすることができる。その結果、効率よくウィーブモードの振動の収束性を高めることができる。
上記第2の構成において、前記操舵トルクが前記第1閾値より大きいときに、前記車速が、前記第2閾値から第3閾値の間である場合に、前記駆動部のトルクが前記マイナス方向となるよう、駆動部を制御することができる(第3の構成)。これにより、適切な車速域で、駆動部のトルクの方向をマイナス方向にすることができる。その結果、効率よくウィーブモードの振動の収束性を高めることができる。
上記第3の構成において、前記車速が前記第2閾値より小さいときの、所定の大きさの操舵トルクに対して前記駆動部から付与されるプラス方向のトルクの最大値は、前記車速が前記第3閾値より大きいときの、前記所定の大きさの操舵トルクに対して前記駆動部から付与されるプラス方向のトルクの最大値より、大きくすることができる(第4の構成)。
第4の構成において、低速域の操舵アシストを、高速域の操舵アシストより大きくすることができる。すなわち、駆動部により操舵系に付与されるプラス方向のトルクは、低速域で最も大きくなり、低速域と高速域の間の中速域で最も小さくなる(すなわち付与トルクがマイナスになる)よう制御される。これにより、操舵トルクと同じ方向のアシストが必要な低速域でプラス方向のアシストを大きくし、ウィーブモードの振動が発生しやすい中速域でマイナス方向のアシストとすることができる。そのため、車速に応じた適切な操舵系へのトルクの付与が可能になる。
上記第1〜4のいずれかの構成において、前記駆動部のトルクが、前記プラス方向から前記マイナス方向へ転じた後、さらに車速が上昇すると、前記駆動部のトルクの大きさは、車速の上昇に伴って小さくなるよう制御されてもよい(第5の構成)。これにより、より効率よくウィーブモードの振動の収束性を高めることができる。
上記第1〜5のいずれかの構成において、前記駆動部のトルクが前記プラス方向の場合、前記操舵トルクが増加するに従って前記駆動部のトルクが大きくなるよう前記駆動部を制御することができる(第6の構成)。これにより、ウィーブモードの振動が発生しにくい車速の時は、操舵トルクに応じて、操舵トルクと同じ方向のトルクが操舵系に付与される。すなわち、ライダーのバーハンドルの操作をアシストすることができる。
上記第1〜6のいずれかの構成において、前記回転補助装置は、前記バーハンドルの操舵トルクを検出するトルク検出部と、前記車速を検出する車速センサと、前記トルク検出部で検出された操舵トルクと、前記車速センサで検出された車速に基づいて前記駆動部を制御する駆動制御部とを備えることができる(第7の構成)。
上記第7の構成により、操舵トルク及び車速に基づいて駆動部が発生するトルクを決定することができる。これにより、ウィーブモードの振動の収束性をよくすることができる。駆動制御部は、操舵トルクが第1閾値より大きいときに車速が上昇すると、駆動部が発生させるトルクの方向を、プラス方向からマイナス方向へ転じることができる。
上記第1〜第7のいずれかの構成の回転補助装置を備える鞍乗型車両も、本発明の実施形態に含まれる。
本発明の実施形態における回転補助方法は、バーハンドルの回転を車輪に伝達する操舵系へトルクを付与する回転補助方法である。前記回転補助方法は、駆動部に、前記バーハンドルの操舵トルクと同じ方向であるプラス方向のトルクを発生させ、発生したトルクを前記操舵系へ伝達する工程と、前記駆動部に、前記操舵トルクと反対方向であるマイナス方向のトルクを発生させ、発生したトルクを前記操舵系へ伝達する工程とを有する。前記操舵トルクが第1閾値以上のときに車速が上昇すると前記駆動部のトルクが前記プラス方向から前記マイナス方向へ転じる。
本発明の一実施形態に係る自動二輪車の側面図である。 図1に示した車両の一部を示す正面図である。 トップブリッジの上面図である。 図2のVI−VI線断面図である。 ハンドルホルダのロア部材を示す図である。 図4の拡大図である。 回転補助装置の構成例を示す機能ブロック図である。 回転補助装置を含む自動二輪車の構成例を示す機能ブロック図である。 操舵系に付与するトルクの方向と、操舵トルク及び車速との関係の一例を示すグラフである。 駆動制御部の処理の流れの一例を示す図である。 操舵トルクとアシスト指令値との対応関係の一例を示すグラフである。 出力指令値の一例を示すグラフである。 トルク付与の変形例を示すグラフである。 トルク付与の変形例を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図面において、矢印Fは、車両の前方向を示している。矢印Bは、車両の後方向を示している。矢印Uは、車両の上方向を示している。矢印Dは、車両の下方向を示している。矢印Rは、車両の右方向を示している。矢印Lは、車両の左方向を示している。直立し無転舵状態の車両の上下方向は、鉛直方向と一致する。
図1は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車1の側面図である。図1に示すように、自動二輪車1は、バーハンドル8と、車体フレーム2と、車体フレーム2に懸架されるエンジン3と、車体フレーム2の前部に取り付けられる前輪4と、車体フレーム2の後部に取り付けられる後輪5とを備えている。エンジン3により後輪5が駆動される。バーハンドル8は、車体フレーム2に対して回転可能に取り付けられる。バーハンドル8の回転は、操舵輪である前輪4へ伝達される。ライダーはバーハンドル8を操作することで、自動二輪車1を操舵する。自動二輪車1は、車体フレーム2を車両の左右方向に傾けて旋回可能な車両である。バーハンドル8の可動範囲は、180度(二分の一回転)以下である。この可動範囲は、バーハンドル8を左に最大限操作したときの舵角と、右に最大限操作したときの舵角との差(lock to lock)とする。
自動二輪車1では、車体フレーム2の前部にヘッドパイプ10が一体的に形成される。ヘッドパイプ10にはステアリングシャフト9が貫通している。ステアリングシャフト9は、車体フレーム2の一部であるヘッドパイプ10に回転可能に支持される。ステアリングシャフト9の上部にトップブリッジ50が接続される。ステアリングシャフト9の下部にボトムブリッジ14が接続される。トップブリッジ50及びボトムブリッジ14は、ステアリングシャフト9に固定され、ステアリングシャフト9とともに回転する。
トップブリッジ50には、伝達部材20が接続される。伝達部材20に、バーハンドル8が接続される。すなわち、バーハンドル8とステアリングシャフト9は、伝達部材20を介して接続される。ステアリングシャフト9は、バーハンドル8の回転に応じて回転する。
ステアリングシャフト9の左右には、それぞれ左緩衝器6及び右緩衝器7が配置される。左緩衝器6及び右緩衝器7は、トップブリッジ50及びボトムブリッジ14に固定される。左緩衝器6及び右緩衝器7は、下端部で、前輪4を回転自在に支持する。左緩衝器6及び右緩衝器7は、フロントフォークを形成する。左緩衝器6および右緩衝器7は、前輪4を車体フレーム2に対して上下方向に変位可能に支持する。
図1に示す自動二輪車1において、伝達部材20、トップブリッジ50、ボトムブリッジ14、左緩衝器6、右緩衝器7、及びステアリングシャフト9は、バーハンドル8の回転を前輪4に伝達する操舵系29(操舵力伝達機構)の一例である。操舵系29は、バーハンドル8と車輪の間に設けられ、バーハンドル8の回転に応じて回転することで、車輪にバーハンドル8の回転を伝達する。操舵系29は、車体フレーム2(図1の例では、ヘッドパイプ10)に対して回転可能に支持される。
自動二輪車1は、操舵系29の回転にトルクを付与する回転補助装置を備える。自動二輪車1には、回転補助装置の一部として、操舵系に付与するトルクを発生させるモータ70(駆動部の一例)が設けられる。モータ70の回転は、減速機80を介してステアリングシャフト9に伝達される。モータ70は、取付部85aによって、ヘッドパイプ10に取り付けられる。回転補助装置の詳細については、後述する。
図2は、図1に示した自動二輪車1の一部の正面図である。図2に示すように、正面から見て、左緩衝器6及び右緩衝器7の間に、ヘッドパイプ10が配置される。左緩衝器6及び右緩衝器7、ヘッドパイプ10及びステアリングシャフト9は、平行に配置される。
ヘッドパイプ10は上下方向に延びる筒状の部材である。ステアリングシャフト9は、ヘッドパイプ10の内部に回転可能に支持されている。ステアリングシャフト9は、上下方向に延びる操舵軸線A回りに回転可能である。ステアリングシャフト9の上部は、トップブリッジ50に固定されている。
トップブリッジ50には、ステアリングシャフト9の上部と、左緩衝器6の上部と、右緩衝器7の上部とが接続される。ステアリングシャフト9、左緩衝器6、及び右緩衝器7は、いずれも、トップブリッジ50に対して回転不能に取り付けられる。トップブリッジ50は、ステアリングシャフト9、左緩衝器6、及び右緩衝器7を連結する。トップブリッジ50は、ヘッドパイプ10の上端よりも上方に設けられている。また、トップブリッジ50は、バーハンドル8より下方に設けられている。
トップブリッジ50よりも下方において、左緩衝器6と右緩衝器7を連結するボトムブリッジ14が設けられる。左緩衝器6及び右緩衝器7をボトムブリッジ14に対して回転不能に固定される。このボトムブリッジ14は、ヘッドパイプ10よりも下方に設けられている。ボトムブリッジ14の下方において、前輪4が、左緩衝器6及び右緩衝器7によって左右から支持される。これにより、ステアリングシャフト9、左緩衝器6、右緩衝器7、及び前輪4は、操舵軸線A回りに一体的に回転可能である。
図3は、トップブリッジ50の上面図である。図3に示すように、トップブリッジ50の左部に、左緩衝器6の上部が嵌め込まれる左支持孔51が設けられている。トップブリッジ50の右部に、右緩衝器7の上部が嵌め込まれる右支持孔52が設けられている。
トップブリッジ50の左右方向の中央部であってトップブリッジ50の後部には、後支持孔53が設けられている。後支持孔53には、ステアリングシャフト9の上部が嵌め込まれる。トップブリッジ50の左右方向の中央部であって後支持孔53の前方には、前支持孔54が設けられている。前支持孔54の内周面にはスプライン溝が形成されている。前支持孔54には、伝達部材20の一部である軸部材12(後述)が嵌め込まれる。
バーハンドル8が回転すると、トップブリッジ50が操舵軸線A(図2参照)回りに回転する。トップブリッジ50が回転すると、トップブリッジ50の左部に固定された左緩衝器6とトップブリッジ50の右部に固定された右緩衝器7も操舵軸線A回りに移動する。これにより、左緩衝器6および右緩衝器7に支持された前輪4が転舵される。このようにしてライダーがバーハンドル8を操作すると、このバーハンドル8の操作に応じて前輪4が転舵される。
(伝達部材20)
次に、図4を用いて、バーハンドル8に入力された操舵力が伝達部材20を介してトップブリッジ50に伝達される様子を説明する。図4は、図2のVI−VI断面図である。
図4に示す例では、伝達部材20は、バーハンドル8に固定されたハンドルホルダ21(第一部の一例)と、トップブリッジ50に固定された軸部材12(第二部の一例)と、トルク伝達部13とを備えている。
軸部材12は、ステアリングシャフト9よりも前方でトップブリッジ50に固定されている。軸部材12は、その軸線がステアリングシャフト9と同じ方向に延びる筒状の部材である。軸部材12の下部は、トップブリッジ50の前支持孔54にスプライン嵌合されている。軸部材12はトップブリッジ50に対して相対回転不可能に固定されている。
軸部材12は、バーハンドル8に操舵力が入力されたときに、操舵力に応じてハンドルホルダ21に対して相対変位する。本実施形態では、バーハンドル8に操舵力が入力されたときに、操舵力に応じてハンドルホルダ21が軸部材12に対してトルク伝達部13の中心軸線B回りに相対回転する。
(ハンドルホルダ21)
ハンドルホルダ21は、トップブリッジ50より上方に設けられている。ハンドルホルダ21はバーハンドル8を保持している。ハンドルホルダ21は、ロア部材30とアッパー部材40を備えている。アッパー部材40はロア部材30の上部に固定されている。ロア部材30のロアハンドル受け部31と、アッパー部材40のアッパーハンドル受け部41が、バーハンドル8を挟み込み、バーハンドル8を固定している。
ハンドルホルダ21は、軸部材12が挿通される貫通孔32を有する。貫通孔32の上部には、上軸受17が設けられる。上軸受17の内輪は、軸部材12に固定され、上軸受17の外輪は、ハンドルホルダ21に固定される。これにより、軸部材12は、ハンドルホルダ21の貫通孔32に、回転可能に配置される。
ハンドルホルダ21の下部には、下軸受16が設けられる。下軸受16の外輪は、ハンドルホルダ21に固定される。下軸受16の内輪は、トップブリッジ50に固定される。これにより、ハンドルホルダ21は、トップブリッジ50に回転可能に支持される。
図5はハンドルホルダ21のロア部材30を示す図である。図5(a)はロア部材30の上面図、図5(b)は図5(a)のb−b断面図である。図5(a)に示すように、ロア部材30には、軸部材12が挿通される貫通孔32が設けられている。この貫通孔32に上軸受17が設けられている。この上軸受17の内輪17aは、前述したように軸部材12が回転不可能に固定される。この貫通孔32の左右それぞれに、ロアハンドル受け部31が形成される。
ロア部材30の上面に、一対の第一ねじ穴33が設けられている。一対の第一ねじ穴33は、ロアハンドル受け部31の前後に配置されている。アッパー部材40を、アッパーハンドル受け部41がロアハンドル受け部31に対向するように、ロア部材30に対して位置合わせし、第一ねじ穴33にねじをねじ込むことにより、アッパー部材40がロア部材30に固定される。
図5(b)に示すように、ロア部材30の下面に、第二ねじ穴34が設けられている。第二ねじ穴34は、貫通孔32の左右に設けられる。ロア部材30の左部の第二ねじ穴34に、左補助伝達部材19が、ねじ込まれている。ロア部材30の右部の第二ねじ穴34に、右補助伝達部材18が、ねじ込まれている。一対の第二ねじ穴34はそれぞれ、トップブリッジ50に設けられた左中間孔55および右中間孔56(図3参照)と対応する位置に設けられている。そのため、左補助伝達部材19及び右補助伝達部材18は、トップブリッジ50の左中間孔55及び右中間孔56を、それぞれ貫通する。
(トルク伝達部13)
図6は、図4の一部の拡大図である。図6に示すように、軸部材12とハンドルホルダ21との間にトルク伝達部13が設けられている。トルク伝達部13は金属製の円筒部材である。円筒状のトルク伝達部13の内径は軸部材12の外径とほぼ等しい。トルク伝達部13の内周面は、軸部材12の外周面を囲んでいる。トルク伝達部13は、軸部材12の外側かつハンドルホルダ21の内側に配置される。トルク伝達部13は、一部においてハンドルホルダ21に固定され、他の一部において軸部材12に固定される。
具体的には、トルク伝達部13の下部の内周面にはスプライン溝が設けられている。トルク伝達部13の下部は、ロア部材30に固定されず、軸部材12の外周面にスプライン嵌合されている。トルク伝達部13の上部の外周面にはスプライン溝が設けられている。トルク伝達部13の上部は、軸部材12に固定されず、ロア部材30にスプライン嵌合されている。
バーハンドル8から操舵力が作用してハンドルホルダ21が軸部材12に対して回転すると、トルク伝達部13が捻れてロア部材30から軸部材12へ操舵力を伝達する。つまり、バーハンドル8に入力された操舵力は、トルク伝達部13を介してトップブリッジ50に伝達される。
(補助伝達部材18、19)
なお、本実施形態においては、操舵力は、トルク伝達部13の他に、右補助伝達部材18および左補助伝達部材19を介して、バーハンドル8からトップブリッジ50に伝達される。
図3に示すように、トップブリッジ50には、左支持孔51と後支持孔53の間であって後支持孔53よりも前方に、左中間孔55が設けられている。この左中間孔55の内周面にゴムリング57が嵌め込まれている。また、右支持孔52と後支持孔53の間であって、後支持孔53よりも前方に、右中間孔56が設けられている。この右中間孔56の内周面にゴムリング57が嵌め込まれている。
ロア部材30に固定された左補助伝達部材19はトップブリッジ50の左中間孔55を貫通する。ロア部材30に固定された右補助伝達部材18はトップブリッジ50の右中間孔56を貫通している。
図3に示したように、左補助伝達部材19と左中間孔55の内周面との間にはゴムリング57が設けられている。右補助伝達部材18と右中間孔56の内周面との間にはゴムリング57が設けられている。ライダーがバーハンドル8に操舵力を作用させると、トルク伝達部13が捩じられた後に、ゴムリング57が弾性変形し、ゴムリング57を介して左補助伝達部材19が左中間孔55の内壁に操舵力を作用させる。また、トルク伝達部13が捩じられた後に、ゴムリング57が弾性変形し、ゴムリング57を介して、右補助伝達部材18が右中間孔56の内壁に操舵力を作用させる。
つまり、左補助伝達部材19および右補助伝達部材18が、補助的に、バーハンドル8に入力された操舵力をトップブリッジ50に伝達する。このように、トルク伝達部13のみに操舵力が作用しないので、トルク伝達部13に要求される剛性が大きくならず、トルク伝達部13の大型化が抑制されている。
(トルクセンサ90)
本実施形態において、トルクセンサ90は、磁歪型のトルクセンサである。図6に示すように、トルクセンサ90は、被検出部としてのトルク伝達部13と、検出部としてのピックアップコイル91を備えている。ピックアップコイル91は、トルク伝達部13の外周に設けられている。ピックアップコイル91は、搭載基板92に固定されている。この搭載基板92はハンドルホルダ21のロア部材30にブッシュ93を介して固定されている。
図6において、矢視Tは力の伝達経路を示す。矢視Tで示したように、バーハンドル8に操舵力が入力されると、この力はハンドルホルダ21に作用する。ハンドルホルダ21のロア部材30に入力された力は、トルク伝達部13の上部に設けられたスプライン溝13bを介してトルク伝達部13に伝達される。さらにこの力は、トルク伝達部13の下部に設けられたスプライン溝13aを介して軸部材12に伝達される。軸部材12は、スプライン溝12aおよびスプライン溝が設けられた前支持孔54を介してトップブリッジ50に該操舵力を伝達する。
トルク伝達部13は、上部がロア部材30(筒状部の一例)に固定され、下部が軸部材12に固定されている。このため、バーハンドル8に操舵力が入力されると、トルク伝達部13は捩じられる。そこで、ピックアップコイル91がこの捩じれ量に応じた物理量の変化を検出する。ピックアップコイル91に電気的に接続された電子回路により、この物理量が操舵力を示す値に変換される。
上記の構成では、自動二輪車1は、バーハンドル8に対して回転不能に連結された第一部(一例としてハンドルホルダ21)と、ステアリングシャフト9に対して回転不能に連結された第二部(一例として軸部材12)とを備える。第一部と第二部は、相対変位可能に接続されている。トルクセンサ90は、これら第一部と第二部の相対変位に基づく物理量の変化を検出することにより、バーハンドル8の操舵トルクを検出する。上記例では、トルクセンサ90は、第一部と第二部との間に設けられるトルク伝達部13の歪みを測定することで、操舵トルクを検出する。トルクセンサ90は、トルク検出部の一例である。
(トルク付与機構60)
図4に示すように、本実施形態に係る自動二輪車1は、ヘッドパイプ10の前部にトルク付与機構60を備えている。ヘッドパイプ10の上下方向において、上から下に向かって、トルクセンサ90、トップブリッジ50、トルク付与機構60がこの順に並んでいる。
トルク付与機構60は、モータ70と、減速機80を備えている。モータ70により発生したモータトルクは、減速機80を介して、ステアリングシャフト9に作用する。
モータ70は出力軸71を有している。出力軸71が操舵軸線Aと平行となるように、モータ70がヘッドパイプ10に取り付けられている。モータ70の出力軸71は、ステアリングシャフト9の操舵軸線Aより前方に設けられている。
減速機80は、中間軸81上に固定された第一歯車82と第二歯車83を有している。減速機80の中間軸81の軸線と、モータ70の出力軸71の軸線と、操舵軸線Aは互いに平行である。第一歯車82は、モータ70の出力軸71と噛み合っている。減速機80の第二歯車83は、ステアリングシャフト9の外周面に固定された第三歯車84と噛み合っている。
モータ70および減速機80は、ハウジング85の内部に設けられている。ハウジング85は、後部に取付部85aを備えている。このハウジング85の取付部85aは、トップブリッジ50とヘッドパイプ10に挟まれている。
モータ70が駆動されて出力軸71が回転すると、出力軸71から減速機80の第一歯車82にモータトルクが伝達される。第一歯車82が回転されると、これとともに第二歯車83が回転する。第二歯車83の回転は、ステアリングシャフト9の第三歯車84に伝達される。このようにして、モータ70のモータトルクがステアリングシャフト9に伝達される。
トルク付与機構60は、モータ70と、モータの回転をステアリングシャフト9に伝達する減速機80を有する。また、トルク付与機構60は、モータ70と減速機80を収容するハウジング85を有する。ハウジング85は、自動二輪車1の車体フレーム2の一部であるヘッドパイプ10に取り付けられる。すなわち、モータ70は、車体フレーム2に取り付けられ、操舵系(上記例ではステアリングシャフト9)の回転をアシストする構成である。
(回転補助装置)
図7は、回転補助装置100の構成例を示す機能ブロック図である。回転補助装置100は、バーハンドル8の回転を車輪4に伝達する操舵系29に対して、トルクを付与する。回転補助装置100は、操舵系29に付与するトルクを発生させる駆動部70を備える。本実施形態では、駆動部70は、一例として、上記モータ70で構成される。駆動部70は、バーハンドル8の操舵トルクと同じ方向であるプラス方向のトルク、及び、操舵トルクと反対方向であるマイナス方向のトルクを含む範囲でトルクを発生するよう制御される。操舵トルクが第1閾値より大きいときに、車速が上昇すると駆動部70のトルクが、プラス方向からマイナス方向へ転じる。これにより、車両におけるウィーブモードの振動を、効率良く収束させることができる。
駆動部70の一例であるモータ70は、操舵系29に付与するトルクの基となる回転を出力する。モータ70の出力軸71の回転は、操舵系29の一部であるステアリングシャフト9に伝達される。そのため、モータ70の出力が、操舵系29に付与するトルクを決定する。モータ70の回転は、バーハンドル8の操舵トルクと同じ方向であるプラス方向のトルク、及び、操舵トルクと反対方向であるマイナス方向のトルクを含む範囲のトルクを発生するよう制御される。モータ70の出力は、操舵トルクと車速に応じて決定することができる。なお、
(回転補助装置の構成例)
図8は、回転補助装置100を含む自動二輪車1の構成例を示す機能ブロック図である。図8において、回転補助装置100は、駆動制御部61及びトルク付与機構60で構成される。すなわち、図4に示したトルク付与機構60は、回転補助装置の一部である。
駆動制御部61は、モータ70を制御する回路及び/又はプロセッサで構成することができる。駆動制御部61は、例えば、ハウジング85内の基板に設けることができる。或いは、自動二輪車1に搭載された電子制御ユニット(Electronic Control Unit(ECU))を駆動制御部とすることができる。
回転補助装置100は、さらに、トルクセンサ90及び車速センサ66を含むことができる。駆動制御部61は、トルクセンサ90で検出された操舵トルクと、車速センサ66で検出された車速に基づいてモータ70を制御する。
また、自動二輪車1は、舵角センサ44を備えてもよい。舵角センサ44は、バーハンドル8の舵角を検出する。舵角センサ44は、例えば、操舵系29(例えば、ステアリングシャフト9、伝達部材20又はフロントフォーク等)に取り付けられ、車体フレーム2に対する操舵系29の回転を検出するセンサとすることができる。駆動制御部61は、舵角センサ44で検出された舵角に関する信号を取り込むことができる。
駆動制御部61は、モータ70のドライバ72(駆動回路)に対して制御信号を送る。また、駆動制御部61は、トルクセンサ90で検出された操舵トルクを示す信号、舵角センサ44で検出された舵角に関する信号及び車速センサ66で検出された車速に関する信号を取り込むことができる。
駆動制御部61は、舵角検出部43、トルクセンサ90、車速センサ66及びモータ70のドライバ72に接続される。駆動制御部61は、舵角検出部43からバーハンドル8の舵角及び舵角速度の情報を受け付ける。駆動制御部61は、トルクセンサ90からバーハンドル8の操舵トルクの情報を受け付ける。駆動制御部61は、車速センサ66から、自動二輪車1の車速の情報を受け付ける。駆動制御部61は、舵角検出部43で検出された舵角速度、トルクセンサ90で検出された操舵トルク及び車速センサ66で検出された車速から得られる車速に基づいて、モータ70の出力を制御する指令値を計算する。駆動制御部61は、計算した指令値を、モータ70のドライバ72に出力する。
駆動制御部61の構成は、図8に示す例に限られない。例えば、駆動制御部61は、操舵トルク、舵角速度、車速以外のデータを受け付けることができる。一例として、駆動制御部61は、ライダー操作で入力された各種指示信号等を受け付けることができる。また、駆動制御部61は、LED又はディスプレイを含む表示部に接続され、表示部を通じてライダーへ情報を出力する構成であってもよい。
<舵角センサ>
図8に示す例では、舵角センサ44は、操舵系29の回転角及び回転の向きを検出する。舵角センサ44は、検出した回転角及び回転の向きに応じたデータを、バーハンドル8の舵角を示すデータとして、駆動制御部61へ送る。ここで、バーハンドル8の舵角を示すデータは、例えば、バーハンドル8の回転角を示す値であってもよいし、ステアリングシャフト9又はその他操舵系29の回転角、若しくは、前輪4の切れ角を示す値であってもよい。バーハンドル8の舵角速度は、バーハンドル8の回転の変化の度合いである。舵角速度は、バーハンドル8又は操舵系29のうち一部の回転を検出することにより得ることができる。
舵角検出部43は、舵角センサ44が検出した舵角を舵角速度に変換する変換部45を有する。変換部45は、例えば、舵角を微分して舵角速度を演算する微分回路を含む構成とすることができる。なお、駆動制御部61が、舵角センサ44から受け取った舵角の値を用いて舵角速度を演算することもできる。この場合、舵角検出部43は、変換部45を備えなくてもよい。
<トルクセンサ>
トルクセンサ90は、磁歪部94、増幅部95、及び変換部96を含む。トルクセンサ90は、上述したように、第一部(ハンドルホルダ21)の回転を第二部(軸部材12)に伝達するトルク伝達部13の捩れを検出することで、操舵トルクを検出する。そのため、トルク伝達部13は、磁歪部94を含む。磁歪部94は磁性体を含む。トルク伝達部13において、磁歪部94は、ピックアップコイル91と、軸部材12の径方向において対向する部分に形成される。変換部96及び増幅部95は、例えば、上記の搭載基板92に搭載される。
バーハンドル8の回転によるトルクで磁歪部94が歪むと、磁歪部94の透磁率が変化する。磁歪部94の透磁率変化により、ピックアップコイル91に誘導電圧が発生する。この誘導電圧は、磁歪部94にかかるトルクに応じた値になる。ピックアップコイル91の電圧は、増幅部95で増幅される。また、増幅部95は、誘導電圧をPWM信号に変換してもよい。変換部96は、増幅部95で増幅された信号を、操舵トルクを示す値に変換する。操舵トルクを示す値は、駆動制御部61へ送られる。増幅部95で、異常が発生した場合は、増幅部95から駆動制御部61にエラー信号が送られる。
このように、トルクセンサ90を磁歪側のトルクセンサとすることで、トーションバーを用いたトルクセンサに比べて、操舵力の伝達ロスを少なくすることができる。また、トルクセンサ90の小型化が可能になる。
<トルク付与機構>
トルク付与機構60は、上記のモータ70及び減速機80に加え、駆動制御部61の制御信号に基づいてモータ70を駆動するドライバ72を有する。ドライバ72は、例えば、モータ70に交流電流を印加するインバータ等の駆動回路を含む。ドライバ72は、駆動制御部61から、制御信号として電流指令値を受け取り、電流指令値に応じてPWM信号を生成し、PWM信号によりインバータを駆動する。なお、上記のドライバ72の動作の一部は、駆動制御部61で実行されてもよい。
図8に示す例では、自動二輪車1は、モータ70の電流を検出する電流センサ73を備える。駆動制御部61は、電流センサ73で検出されたモータ電流を用いて、例えば、フィードバック制御を実行することができる。
<車速センサ66>
車速センサ66は、例えば、前輪又は後輪の回転速度を検出する構成であってもよいし、エンジンの出力スプロケットの回転数を検出する構成であってもよい。又は、車速センサは、エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサ及びギヤポジションを検出するギヤポジションセンサで構成されてもよい。
本例では、車速センサ66は、前輪4の回転を検出し、前輪4の回転に応じたパルス信号を駆動制御部61に送る。駆動制御部61は、車速センサ66から受け取ったパルス信号により車速を算出する。
<駆動制御部61>
駆動制御部61は、操舵トルク及び車速に応じたモータ70の制御信号を生成しドライバ72へ送る。そのため、駆動制御部61は、操舵トルク及び車速を用いてモータ70制御の指令値を計算する指令値算出部(図示せず)を有することができる。駆動制御部61は、モータ70の回転力と回転方向を示す指令値を計算する。駆動制御部61は、操舵トルクと同じ方向の回転すなわちプラス方向の回転を示す指令値を計算する場合と、操舵トルクと反対方向の回転すなわちマイナス方向の回転を示す指令値を計算する場合がある。指令値を、プラス方向の回転を示す値とするかマイナス方向の回転を示す値とするかは、操舵トルク及び車速の組み合わせに応じて決定される。なお、駆動制御部61は、操舵トルク及び車速以外にも、他の車両状態を示す値を用いて、指令値を計算してもよい。
これにより、モータ70は、バーハンドル8で入力された操舵トルクと同じ方向の回転力と、操舵トルクと反対方向の回転力とを、操舵トルク及び車速に応じて切り替えて、操舵系29に付与することができる。すなわち、駆動制御部61により、プラス方向のトルクと、マイナス方向のトルクとが、操舵トルク及び車速に応じて切り替わるように、モータ70の出力が制御される。
このように、モータ70の回転は、操舵トルクと同じ方向の回転と、操舵トルクと反対方向の回転の双方を含むレンジで制御される。これにより、操舵力を増やすパワーステアリングと、操舵系29の回転を減衰させるステアリングダンパの双方の機能をモータ70により実現できる。
また、モータ70を用いることで、操舵系29に付与するトルクの方向(プラス方向のトルクとマイナス方向のトルク)の切り替わりがスムーズになる。そのため、プラス方向とマイナス方向の両方を含む広いレンジで切れ目なくスムーズに操舵系の回転をアシストすることができる。すなわち、パワーステアリングとステアリングダンパの切り替えを迅速且つスムーズに実行することが可能になる。
具体的には、駆動制御部61は、操舵トルクが第1閾値Th1より大きいときに、車速が上昇すると操舵系29へ付与するトルクの方向がプラス方向からマイナス方向へ転じるよう、モータ70を制御することができる。すなわち、モータ70は、ある一定の大きさより大きな操舵トルクが入力される状況下において、車速が上昇した場合、操舵系29に付与するトルクの方向を、操舵トルクと同じプラス方向から操舵トルクと反対のマイナス方向に切り替えるよう制御される。
例えば、車両が低速域で一定の速度で走行している時に、ライダーがバーハンドル8に対して、第1閾値Th1より大きい操舵トルクを付与すると、バーハンドル8の操作方向と同じ方向の回転がモータ70によって操舵系29に付与される。そのため、ライダーが、操舵の意図を持ってある程度の力でバーハンドル8を操作する場合は、軽い動作でバーハンドル8を操作することができる。
ウィーブモードは、低速域よりも高速域で発生しやすい。ウィーブモードの振動が発生した場合、車体フレーム2において、ロール軸回りの回転とヨー軸回りの回転が同時に発生する。このウィーブモードにより、操舵系29も車体フレーム2に対して回転するセルフステアが発生する。ライダーが、バーハンドル8を把持して、このセルフステアを抑えようとすると、操舵系29に操舵トルクが発生する。本実施形態では、駆動制御部61は、操舵トルクが発生している場合、低速域では、プラス方向のトルクをモータ70に発生させ、高速域では、マイナス方向のトルクをモータ70に発生させる。これにより、第1閾値以上の操舵トルクが発生しているときのモータ70のトルクの方向は、車速の上昇に伴ってプラス方向からマイナス方向(操舵トルクと反対方向)へ転じる。これにより、ウィーブモードが発生しやすい車速域において、ライダーのバーハンドル8に対する入力が、モータ70のトルクによりキャンセルされる。そのため、ライダーがバーハンドル8を把持する動作は、車体に発生するセルフステアを妨げない。すなわち、ライダーのバーハンドル8を抑制する操作によってウィーブモードの収束性が悪化するのを防ぐことができる。結果として、ウィーブモードの収束性がよくなる。
上記のように、自動二輪車1が低速走行中で、車速が上昇していない時に、ライダーの意図するバーハンドル8の操作に対しては、バーハンドル8の回転を促す力が働く。そのため、ウィーブモードの振動が起こりにくい低速域では、ライダーの意図する操舵に対して操舵を促す方向にアシストすることができる。これに対して、車速が上昇して、自動二輪車1にウィーブモードの振動が発生した場合には、バーハンドル8の回転に抵抗する力が働く。そのため、ウィーブモードの振動が起こりやすい車速域において、ライダーのバーハンドル8に対する入力をキャンセルすることができる。また、車速上昇時に、ウィーブモードの振動が発生していない場合であっても、バーハンドル8が重くなり、操縦安定性が増す。すなわち、ライダー及び車両の状況に応じた適切なアシストが可能になる。
駆動制御部61は、操舵トルクが第1閾値Th1より大きく、かつ、車速が第2閾値Th2より大きいときに、操舵系29へ付与するトルクの方向がプラス方向からマイナス方向へ転じるよう、モータ70を制御することができる。これにより、モータ70は、操舵トルクが第1閾値Th1より大きいときに、車速が第2閾値Th2を越えた場合に、出力するトルクの方向を、操舵トルクと同じプラス方向から操舵トルクと反対のマイナス方向に切り替える。そのため、モータ70は、車速が第2閾値Th2より小さい場合は、操舵トルクが第1閾値Th1より大きくても、出力するトルクの方向を、プラス方向からマイナス方向へ切り替えないようになる。
これにより、車速が、第2閾値Th2より小さい低速域の場合は、アシストの方向がプラス方向となる。そのため、ウィーブモードの振動が発生しにくく、操舵するのに比較的大きな力が必要となる低速域では、ライダーのバーハンドル8に対する操作をアシストできる。その結果、ライダーの意図及び車両の状態に応じた適切な操舵アシストが可能になる。
また、駆動制御部61は、操舵トルクが第1閾値Th1より大きく、かつ車速が第2閾値Th2より大きく第3閾値Th3より小さいときに、操舵系29に付与するトルクの方向が、マイナス方向となるよう、モータ70を制御することができる。これにより、モータ70は、車速が第3閾値を越えると、操舵トルクと同じ方向のトルクを操舵系29に付与するか、または、トルクを付与しない。
車両にウィーブモードの振動が発生した場合、さらに車速を上げるとウィーブモードの振動が収まることが多い。また、車両が高速で走行している時は、バーハンドル8を回転させるのに要する力が大きくなる。そのため、車速が第3閾値Th3より大きいときに、モータ70が、0又はプラス方向のトルクを操舵系29へ付与することで、車両の状態に応じた適切な操舵アシストが可能になる。
駆動制御部61は、モータ70のトルクが、プラス方向からマイナス方向へ転じた後、さらに車速が上昇すると、モータ70のトルクの大きさが車速の上昇に伴って小さくなるよう制御することができる。発明者らは、ウィーブモードの振動は、車速の上昇に伴って小さくなることを見出した。そのため、マイナス方向のモータ70のトルクの大きさを、車速の上昇に伴って小さくなるよう制御することで、ウィーブモードの変化に応じた適切な大きさのトルクを操舵系29に付与することができる。
また、駆動制御部61は、モータ70のトルクがプラス方向の場合、操舵トルクが増加するに従ってモータ70のトルクが大きくなるよう、制御することができる。これにより、ライダーのバーハンドル8に対する力の入れ具体に応じた適切な操舵アシストが可能になる。
図9は、駆動制御部61によって制御されるアシスト方向と、操舵トルク及び車速との関係の一例を示すグラフである。図9に示すグラフでは、縦軸は操舵トルクTs、横軸は車速Vvを示す。
図9に示す例では、操舵トルクTsが第1閾値Th1より大きい状況下で、車速Vvが第2閾値Th2を越える(Th2<Vv)よう変化した場合、モータ70が操舵系29に付与するトルクの方向は、プラス方向からマイナス方向に切り替わる。また、車速がさらに第3閾値Th3を越える(Th3<Vv)と、モータ70のトルクの方法は、マイナス方向から0又はプラス方向に切り替わる。
図9に示す例では、車速Vvが、第2閾値Th2と第3閾値Th3の間のときに、第1閾値Th1より大きい操舵トルクTsが入力されると、操舵トルクTsと反対方向のトルクが、モータ70から操舵系29へ付与される。これにより、Th2<Vv<Th3の車速域では、ライダーがバーハンドル8に入力する操舵トルクがキャンセルされる。そのため、この車速域での車両の直進安定性を高めることができる。また、ウィーブモードの振動が発生した場合には、ウィーブモードの振動による操舵系29のセルフステアをライダーのバーハンドル8把持動作が妨げないようすることができる。その結果、ウィーブモードの収束性をよくすることができる。
ウィーブモードの収束性の観点からは、Th2<Vv<Th3の車速域VB2は、ウィーブモードが顕著に現れる車速域とすることが好ましい。ウィーブモードが現れる車速域は、例えば、車両の重量、重心位置、車体フレーム2の剛性、キャスタ角、トレール、その他の車両の構成又は特性に応じて決まる。そのため、第2閾値Th2、及び第3閾値Th3は、車両の構成又は特性に応じて設定することができる。
図9において、説明の便宜上、0<=Vv<=Th2の車速域を低速域VB1、Th2<Vv<Th3の車速域を中速域VB2、Th3<=Vvの車速域を高速域VB3とする。この場合、低速域VB1におけるモータ70から操舵系29に付与されるプラス方向のトルクの最大値は、高速域VB3におけるモータ70から操舵系29に付与されるプラス方向のトルクの最大値より大きくすることができる。すなわち、モータ70によるプラス方向のアシストは、低速域VB1で最も大きくなり、中速域VB2で最も小さくなり、高速域VB3ではこれらの中間の値とすることができる(低速域VB1>高速域VB3>中速域VB2)。
発明者らは、操舵特性として、低速域VB1では、求められるプラス方向の操舵アシストが最も大きくなることを見出した。また、上記のように、中速域VB2では、ウィーブモードの振動の収束性をよくするため、マイナス方向のアシストが好ましい。さらに、発明者らは、高速域VB3では、操舵アシストは、0か又は低速域より小さくてよいことを見出した。これらの知見に基づいて、発明者らは、上記のように、モータ70によるプラス方向のアシストを、低速域VB1>高速域VB3>中速域VB2とすることで、車速に応じた適切な操舵特性が得られることに想到した。
なお、図9における第1閾値Th1は、例えば、ウィーブモードの振動による生じるセルフステアのトルクに応じて決めることができる。目安としては、第1閾値Th1は、自動二輪車1(鞍乗型車両)が停止している状態でバーハンドルの操作により舵角を変化させるのに必要な操舵トルク(以下、停車時の操舵トルクと称する)の40〜60%(例えば、50%程度)の値とすることができる。停車時の操舵トルクは、据え切り時の操作トルクと言うこともできる例えば、車両の重量、操舵伝達機構の構造等によって決まる。第1閾値Th1を、停車時の操舵トルクの50%程度とすることで、状況に応じて適切にアシスト方向を切り替えることが可能になる。ここで、第1閾値Th1を停車時の操舵トルクの50%とする態様は、第1閾値Th1が厳密に停車時の操舵トルクの50%に一致する場合に限られず、一致すると見なせる程度の誤差がある場合も含む。すなわち、第1閾値Th1を、停車時の操舵トルクの50%と略同じ程度に設定することで、より適切な操舵特性が得られる。ここで、停車時の操舵トルクは、乾いた舗装路面に鞍乗型車両が停止した状態で舵角を変化させるのに必要な操舵トルクとする。
上記の閾値Th1〜Th3は、例えば、予め駆動制御部61に記録されたデータによって決められる。この場合、駆動制御部61は、閾値Th1〜Th3を記録するためのメモリなどの記録部を有する。
閾値Th1〜Th3は、固定値でなくてもよい。例えば、閾値Th1〜Th3は、操舵トルク、舵角速度、車速、車両の加速度等の車両状態に応じて決まる値とすることができる。一例として、駆動制御部61は、車両の状態を示す値と閾値Th1〜Th3との対応を示すデータを参照して、車両の状態に応じた閾値Th1〜Th3を決定することができる。
<動作例>
図10は、駆動制御部61の処理の流れの一例を示す図である。図10に示す例では、駆動制御部61は、トルクセンサ90から受け取った操舵トルクTs及び車速センサ66から受け取った車速Vvを用いて、アシスト指令値Iaを算出する(ステップS1)。アシスト指令値Iaは、例えば、操舵系29に付与するトルクをモータ70に発生させるための値とすることができる。例えば、アシスト指令値Iaは、操舵トルクTs及び車速Vvに応じて決まる値とすることができる。ここでは、一例として、アシスト指令値Iaは、電流指令値とし、操舵トルクと同じ方向のトルクを発生させるためのアシスト指令値Iaは、正(Ia>0)とし、操舵トルクと反対方向のトルクを発生させるためのアシスト指令値Iaは、負(Ia<0)とする。
ステップS1において、駆動制御部61は、操舵トルク、車速及びアシスト指令値の対応関係を示すデータを参照し、入力された操舵トルクTs及び車速Vvに対応するアシスト指令値Iaを決定する。例えば、駆動制御部61は、対応関係を示すデータとしてマップデータを用いて、マップ演算により、入力された操舵トルクTs及び車速Vvに対応するアシスト指令値Iaを決定することができる。
図11は、操舵トルク及び車速とアシスト指令値との対応関係の一例を示すグラフである。図11に示す例では、操舵トルクとアシストトルク指令値との対応関係が、複数の車速又は車速域について用意されている。すなわち、操舵トルクとアシストトルク指令値との対応関係は、車速によって異なるように、設定される。ここでは、操舵トルクの増加に伴って正のアシストトルク指令値が増加する対応関係と、操舵トルクの増加に伴って負のアシストトルク指令値が減少する対応関係とが、それぞれ、異なる車速に対応して設定されている。
例えば、0<Vv<V1、Vv=V2、又は、Vv=V3の場合は、操舵トルクの増加に伴って正のアシストトルク指令値が大きくなり、操舵トルクが所定値以上となると、アシストトルク指令値は一定となる。Vv=Vv4、又は、V5<Vv<V6の場合は、操舵トルクの増加に伴って負のアシストトルク指令値が小さくなる。Vv>=V7の場合は、操舵トルクに依らずアシストトルク指令値は一定(0)となる。ここで、V1〜V7は、0でない車速の値とし、0<V1<V2<V3<V4<V5<V6<V7とする。
なお、操舵トルクとアシスト指令値の対応関係は、図11に示す例に限られない。この対向関係は、例えば、マップデータとしてアシスト制御部61に記録することができるが、対応関係を示すデータの形式はマップデータに限定されない。例えば、テーブル形式のデータの他、与えられた操舵トルク及び車速の値を用いて、対応するアシストトルク指令値を計算するための関数等のデータを、対応関係を示すデータとすることができる。
図10に示す例では、ステップS1の処理において、入力データは、操舵トルクTsと車速Vvであるが、入力データは、操舵トルクTsのみであってもよいし、さらに他のデータが含まれてもよい。
図10に示すように、駆動制御部61は、ステップS1で算出したアシストトルク指令値Iaを、モータ70へ出力する。
駆動制御部61は、モータ70で検出されたモータ電流Imと、出力したアシストトルク指令値Iaを用いて電流フィードバック処理を実行する(ステップS2)。例えば、駆動制御部61は、モータ70で検出されたモータ電流Imと、アシストトルク指令値Iaとを比較し、それらの差を小さくするような制御信号を生成してモータ70に出力することができる。なお、フィードバック処理は、ドライバ72が実行してもよい。
なお、図10に示す例では、アシストトルク指令値Iaを出力指令値としているが、アシストトルク指令値Iaをさらに他の指令値と加算したものを、出力指令値とすることができる。また、アシストトルク指令値に、車両の状態に応じて決められる係数を掛ける処理を追加することもできる。他の指令値の例としては、例えば、舵角速度に応じて決められるマイナス方向のアシスト度合いを示す粘性補償指令値In、操舵トルクTsの微分値に応じて決定されるプラス方向のアシスト度合いを示す静止摩擦補償指令値Is、及び、舵角速度に応じて決定されるプラス方向のアシスト度合いを示す動摩擦補償指令値Id等が挙げられる。これらを、アシストトルク指令値Iaに加算したものを出力指令値Iとすることができる。この場合、出力指令値Iは、I=アシストトルク指令値Ia+静止摩擦補償指令値Is+粘性補償指令値In+動摩擦補償指令値Idで算出することができる。
ここで、入力される操舵トルクが一定で、車速が変化した場合の駆動制御部61の動作の一例を説明する。例えば、入力される操舵トルクTsがTs=Ts1である場合について説明する。駆動制御部61は、一例として、図11に示す対応関係のマップデータを参照し、Ts=Ts1、及び与えられた車速Vvに対応するアシストトルク指令値Iaを決定する。車速Vvが、Vv<V1の場合、決定されるアシストトルク値Iaは、正となる。Vv=V4又はV5の場合、図11に示す対応関係のマップデータを用いて決定されるアシストトルク指令値Iaは、負となる。
ここで、入力される操舵トルクTsが一定(Ts=Ts1)の条件下で、入力される車速Vvが、0からV6まで上昇した場合について説明する。この場合、駆動制御部61は、図11に示す対応関係を示すデータを参照して、操舵トルクTs=Ts1及び車速Vvに応じたアシストトルク指令値Iaを決定する。Vvが、0、V1、V2、V3の時は、決定されるアシストトルク指令値Iaは正の値となる。Vvが、V4、V5〜V6の時は、決定されるアシストトルク指令値Iaは、負の値となる。Vvが、V7以上の時は、決定されるアシストトルク指令値Iaは、0となる。
図12は、このようにして決定されるアシストトルク指令値Iaを出力指令値Iとした場合の出力指令値Iを示すグラフである。図12に示す例では、出力指令値Iは、車速の上昇に伴って、プラスからマイナスへ転じる。すなわち、操舵トルクTsが所定値以上の条件において、車速が上昇してある値を超えると、モータ70に出力される指令値Iは、プラスからマイナスへ転じる。これにより、モータ70の回転は、閾値を跨がる車速の上昇に伴って、操舵トルクと同じ方向の回転を操舵系29に付与する回転から操舵トルクと反対方向の回転を操舵系29に付与する回転に切り替わる。
また、図12に示す例では、出力指令値Iの絶対値は、プラスからマイナスへ転じた後、さらに車速が上昇すると、車速の上昇に伴って小さくなる(V6<Vv<V7の区間参照)。これにより、モータ70のトルクの方向が、プラス方向からマイナス方向へ転じた後、モータ70のトルクの絶対値(大きさ)は、車速の上昇に伴って小さくなる。
車速がV7以上(Vv>=V7)の時は、出力指令値Iは0となる。この車速域では、モータ70が操舵系29に付与するトルクは0となる。すなわち、図12に示す例では、モータ70のトルクがマイナス方向となる車速域は、V4<Vv<V7である。
図12に示す出力指令値により、車速が低速域のときは、ライダーのバーハンドル8の操作をアシストし、中速域では、ライダーのバーハンドル8に対する入力をキャンセルしてウィーブモードの収束性をよくし、高速域では、操舵アシストをしないようにすることができる。その結果、ライダーは、より快適なステアリング操作ができるようになる。
図13及び図14は、トルク付与の変形例を示すグラフである。図13及び図14に示すグラフでは、縦軸は、モータ70が操舵系29に付与するトルク、横軸は車速を示す。これらのグラフは、操舵トルクTsが第1閾値Th1より大きな値で一定である条件下で、車速が変化した場合のトルクの遷移を示している。
図13に示す例では、中速域VB2(Th2<Vv<Th3)において、モータ70が操舵系29に付与するトルクTaの方向がマイナス方向(操舵トルクと反対方向)になる。高速域VB3(Th3<=Vv)では、トルクTaの方向はプラス方向(操舵トルクと同じ方向)になる。この例では、高速域VB3で、車速の上昇に伴ってプラス方向のトルクTaの大きさも上昇している。しかし、高速域VB3でのプラス方向のトルクTaの最大値は、低速域VB1(0<=Vv<Th2)のトルクTaの最大値を超えない。
図14に示す例では、第2閾値Th2を含む車速域VBcにおいて、モータ70が操舵系29に付与するトルクが0になる。この例では、車速の上昇に伴って、トルクTaが、プラス方向から、0になり、その後、マイナス方向になる。すなわち、車速Vvが第2閾値Th2より小さいときにトルクTaが0になり、車速Vvがさらに上昇して第2閾値Th2を越えるまでトルクTa=0が維持され、車速Vvが第2閾値Th2より大きくなったときにトルクTaがマイナス方向になる。このような形態も、トルクTaがプラス方向からマイナス方向に転じる形態の一例である。
(変形例)
以上、回転補助装置の実施形態を説明したが、本発明の回転補助装置の実施形態は、上記例に限られない。
例えば、トルク付与機構60の構成は、図4に示す例に限られない。モータ70の回転を、ステアリングシャフト9以外の操舵系29の部分に伝達する構成であってもよい。例えば、トップブリッジ50、ボトムブリッジ14、左緩衝器6、又は右緩衝器7のいずれかにモータ70の回転を伝達する構成とすることができる。
上記例では、駆動部がモータ70であるが、駆動部は、モータ70以外のアクチュエータであってもよい。例えば、油圧アクチュエータを駆動部としてもよい。
また、図1の例では、操舵系29は、伝達部材20、トップブリッジ50、ボトムブリッジ14、左緩衝器6、右緩衝器7、及びステアリングシャフト9を含むが、操舵系29はこの例に限られない。操舵系29は、操舵輪を転舵させるための任意の構成を採ることができる。例えば、伝達部材20を省略してもよい。この場合、バーハンドル8がステアリングシャフト9に対して回転不能に連結される構成とすることができる。また、伝達部材20及びトップブリッジ50を省略することもできる。また、緩衝器が、操舵系29に含まれない構成とすることもできる。
上記例では、操舵輪である前輪4が1つであるが、操舵輪は、左右に並べて配置された一対の車輪であってもよい。この場合、鞍乗型車両は、一対の車輪車体とフレームとの間に設けられ、車体フレームに対して回転可能に支持されるアームを含むリンク機構を備えることができる。アームが車体フレームに対して回転することにより、一対の車輪の車体フレームに対する上下方向の相対位置が変更する。これにより、車体フレームが、鉛直方向に対して傾斜する。この構成では、リンク機構のアームを、バーハンドルの操舵力を一対の車輪へ伝達する操舵系の一部とすることができる。
また、駆動制御部61の動作も上記例に限られない。例えば、ステップS1において、対応関係を示すデータとして、マップデータを用いる代わりに、関数データを用いて、指令値Iaを演算することもできる。
また、上記例では、アシストトルク指令値Iaの符号により、操舵系29に付与されるトルクの方向が決定される。これに対して、アシストトルク指令値Iaは正の値とし、他の指令値を負の値として決定して、両者を加算した指令値をモータに出力する構成とすることもできる。
上記実施形態では、閾値と車両の状態を示す検出値との比較する処理として、閾値と検出値とが同じある場合を含まない判定(例えば、Ts>Th1等)の例を示している。これを、閾値=検出値を含むような判定(例えば、Ts>=Th1)とした場合も、技術的意義は同じである。
トルク検出部も、上記構成のトルクセンサ90に限られない。例えば、トルク検出部は、モータ70の電流に基づいて、操作トルクを計算する構成であってもよい。或いは、トルクセンサ90は、ステアリングシャフト9又は減速機80の回転軸のトルクを検出する構成であってもよい。また、磁歪式トルクセンサの代わりに、その他の方式のトルクセンサを用いることもできる。他の方式として、例えば、トーションバーの捩れを検出するトーションバー式、又は、ひずみゲージによりトルクを検出する方式等が挙げられる。
また、上記例では、トルクセンサ90は、操舵系29の一部に設けられ、操舵系29に入力されるトルクに応じて変形する変形容易部(トルク伝達部13)の変形に基づく物理量の変化を検出する構成である。変形容易部の構成は、上記例に限られない。操舵トルクを検出するための変形容易部を、操舵系29の任意の位置に設けることができる。例えば、ステアリングシャフト9とヘッドパイプ10の間、又は、バーハンドル8に変形容易部を設けてもよい。
トルクセンサ90の出力は、操舵力のアシストの他の任意の制御に用いることもできる。例えば、トルクセンサ90の出力を、トラクションコントロール、及び/又は、ABS(Anti-lock Brake System)の制御に用いることができる。同様に、舵角センサ44、及び、車速センサ66の出力も、他の任意の制御に用いることができる。
舵角検出部43も、図8に示す構成に限られない。例えば、舵角検出部は、モータ70の電流に基づいて、舵角速度を計算する構成であってもよい。
本発明は、自動二輪車1以外の任意の鞍乗型車両に適用することができる。例えば、自動三輪車、ATV、スノーモービル、自転車等に本発明を適用することができる。なお、鞍乗型車両とは、乗員が鞍にまたがるような状態で乗車する車両全般を指している。
本発明の図示実施形態を幾つかここに記載した。本発明は、ここに記載した各種の好ましい実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。

Claims (9)

  1. バーハンドルの回転を車輪に伝達する操舵系に対して、トルクを付与する回転補助装置であって、
    前記操舵系に付与するトルクを発生させる駆動部を備え、
    前記駆動部は、前記バーハンドルの操舵トルクと同じ方向であるプラス方向のトルク、及び、前記操舵トルクと反対方向であるマイナス方向のトルクを含む範囲でトルクを発生するよう制御され、
    前記操舵トルクが第1閾値より大きいときに、車速が上昇すると前記駆動部のトルクが、前記プラス方向から前記マイナス方向へ転じる、操舵補助装置。
  2. 請求項1に記載の回転補助装置であって、
    前記操舵トルクが前記第1閾値より大きいときに、前記車速が第2閾値を越えると前記駆動部のトルクが前記プラス方向から前記マイナス方向へ転じる、操舵補助装置。
  3. 請求項2に記載の回転補助装置であって、
    前記操舵トルクが前記第1閾値より大きいときに、前記車速が、前記第2閾値から第3閾値の間である場合に、前記駆動部のトルクが前記マイナス方向となる、回転補助装置。
  4. 請求項3に記載の回転補助装置であって、
    前記車速が前記第2閾値より小さいときの、所定の大きさの操舵トルクに対して前記駆動部から付与されるプラス方向のトルクの最大値は、前記車速が前記第3閾値より大きいときの、前記所定の大きさの操舵トルクに対して前記駆動部から付与されるプラス方向のトルクの最大値より、大きい、回転補助装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転補助装置であって、
    前記駆動部のトルクが、前記プラス方向から前記マイナス方向へ転じた後、さらに車速が上昇すると、前記駆動部のトルクの大きさは、車速の上昇に伴って小さくなるよう制御される、回転補助装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転補助装置であって、
    前記駆動部のトルクが前記プラス方向の場合、前記操舵トルクが増加するに従って前記駆動部のトルクが大きくなる、回転補助装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転補助装置であって、
    前記バーハンドルの操舵トルクを検出するトルク検出部と、
    前記車速を検出する車速センサと、
    前記トルク検出部で検出された操舵トルクと、前記車速センサで検出された車速に基づいて前記駆動部を制御する駆動制御部とを備える、回転補助装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転補助装置を備える、鞍乗型車両。
  9. バーハンドルの回転を車輪に伝達する操舵系へトルクを付与する回転補助方法であって、
    駆動部に、前記バーハンドルの操舵トルクと同じ方向であるプラス方向のトルクを発生させ、発生したトルクを前記操舵系へ伝達する工程と、
    前記駆動部に、前記操舵トルクと反対方向であるマイナス方向のトルクを発生させ、発生したトルクを前記操舵系へ伝達する工程とを有し、
    前記操舵トルクが第1閾値以上のときに車速が上昇すると前記駆動部のトルクが前記プラス方向から前記マイナス方向へ転じる、回転補助方法。
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