JP2017205992A - 加飾シート及び加飾物品 - Google Patents

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田 貴 之 嶋
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Abstract

【課題】物品に視野角依存性を持たせることができる加飾シートを提供する。【解決手段】物品に加飾層を転写するための加飾シートは、基材と、基材に積層され、複数の凸部と、凸部に設けられた金属層と、を含む加飾層と、加飾層に積層された接着層と、を備える。凸部の表面は、加飾シートの面方向に平行な第1方向に沿って凸部を見た場合に視認される第1壁面と、第1方向とは逆の第2方向に沿って凸部を見た場合に視認される第2壁面と、を含む。凸部の第1壁面に設けられた金属層の面積は、凸部の第2壁面に設けられた金属層の面積よりも大きい。【選択図】図2

Description

本発明は、物品の表面を加飾するための加飾シートに関する。また、本発明は、物品と、物品に転写された加飾シートと、を備える加飾物品に関する。
従来、物品の表面を加飾する方法として、物品の表面に加飾シートを貼り付けるという方法が知られている。加飾シートは、例えば特許文献1に開示されているように、物品に接する接着層と、接着層に積層され、所定のパターンで分布する金属層と、を備える。
特開2002−36429号公報
物品の意匠性を高める方法の1つとして、観察者が物品を見る角度に応じて物品の見え方を異ならせるという方法、言い換えると、物品の外観に視野角依存性を持たせるという方法が考えられる。しかしながら、特許文献1のように金属層を所定のパターンで分布させるだけでは、物品の外観に視野角依存性を持たせることはできない。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る加飾シートを提供することを目的とする。
本発明は、物品に加飾層を転写するための加飾シートであって、基材と、前記基材に積層され、複数の凸部と、前記凸部に設けられた金属層と、を含む前記加飾層と、前記加飾層に積層された接着層と、を備え、前記凸部の表面は、前記加飾シートの面方向に平行な第1方向に沿って前記凸部を見た場合に視認される第1壁面と、前記第1方向とは逆の第2方向に沿って前記凸部を見た場合に視認される第2壁面と、を含み、前記凸部の前記第1壁面に設けられた前記金属層の面積が、前記凸部の前記第2壁面に設けられた前記金属層の面積よりも大きい、加飾シートである。
本発明による加飾シートにおいて、前記凸部の前記第2壁面に設けられた前記金属層の面積が、前記凸部の前記第1壁面に設けられた前記金属層の面積の0.5倍未満であってもよい。
本発明による加飾シートにおいて、前記加飾層と前記接着層との間の屈折率の差が、0.05以下であってもよい。
本発明による加飾シートは、前記基材と前記加飾層との間に位置する離型層を更に備えていてもよい。
本発明は、物品と、前記物品に転写された加飾シートと、を備え、前記加飾シートは、前記物品に接する接着層と、前記接着層に積層され、複数の凸部と、前記凸部に設けられた金属層と、を含む加飾層と、を備え、前記凸部の表面は、前記加飾シートの面方向に平行な第1方向に沿って前記凸部を見た場合に視認される第1壁面と、前記第1方向とは逆の第2方向に沿って前記凸部を見た場合に視認される第2壁面と、を含み、前記凸部の前記第1壁面に設けられた前記金属層の面積が、前記凸部の前記第2壁面に設けられた前記金属層の面積よりも大きい、加飾物品である。
本発明による加飾物品において、前記凸部の前記第2壁面に設けられた前記金属層の面積が、前記凸部の前記第1壁面に設けられた前記金属層の面積の0.5倍未満であってもよい。
本発明による加飾物品において、前記加飾シートの前記加飾層と前記接着層との間の屈折率の差が、0.05以下であってもよい。
本発明によれば、物品に視野角依存性を持たせることができる加飾シートを提供することができる。
本発明の実施の形態における加飾シートを示す斜視図である。 図1の加飾シートをII−II方向から見た縦断面図である。 図2の加飾シートを拡大して示す縦断面図である。 加飾シートの加飾層を示す平面図である。 本発明の実施の形態における加飾物品を示す断面図である。 本発明の実施の形態における加飾物品の作用を説明する図である。 基材上に加飾層の基部及びパターン層を形成する工程を示す図である。 図7に示すエンボスロールを示す平面図である。 加飾層の凸部上に金属層を設ける工程を示す図である。 図9に示す工程を基材の搬送方向に沿って見た場合を示す図である。 加飾層上に接着層を設ける工程を示す図である。 加飾物品製造装置を示す図である。 図12に示す加飾物品製造装置の型を示す平面図である。 型に加飾シートを密着させる工程を示す図である。 型の周囲の空間を減圧する工程を示す図である。 基板の周囲の空間を加圧して基板を加飾シートに密着させる工程を示す図である。 基板から保持部を取り外す工程を示す図である。 加飾層の第1の変形例を示す縦断面図である。 加飾層の第2の変形例を示す縦断面図である。 加飾層の第3の変形例を示す平面図である。 加飾シートの一変形例を示す縦断面図である。 型の一変形例を示す断面図である。 加飾物品の変形例を示す断面図である。 加飾物品の製造方法の第1の変形例において用いられる加飾物品製造装置を示す図である。 加飾物品の製造方法の第1の変形例における一工程を示す図である。 加飾物品の製造方法の第1の変形例における一工程を示す図である。 加飾物品の製造方法の第1の変形例における一工程を示す図である。 加飾物品の製造方法の第1の変形例における一工程を示す図である。 加飾物品の製造方法の第2の変形例において用いられる加飾物品製造装置を示す図である。 加飾物品の製造方法の第2の変形例における一工程を示す図である。 加飾物品の製造方法の第2の変形例における一工程を示す図である。 加飾物品の製造方法の第2の変形例における一工程を示す図である。 加飾物品の製造方法の第2の変形例における一工程を示す図である。 加飾物品の製造方法の第3の変形例において用いられる加飾物品製造装置を示す図である。 加飾物品の製造方法の第3の変形例における一工程を示す図である。 加飾物品の製造方法の第3の変形例における一工程を示す図である。 加飾物品の製造方法の第3の変形例における一工程を示す図である。
図1乃至図17を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから適宜変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
加飾シート
図1乃至図3を参照して、本発明の一実施の形態における加飾シート10について説明する。加飾シート10は、加飾層を物品に転写するためのものである。図1は、加飾シート10を示す斜視図である。図2は、図1の加飾シート10をII−II方向から見た縦断面図である。図3は、図2の加飾シート10を拡大して示す縦断面図である。
図1及び図2に示すように、加飾シート10は、基材13と、基材13に積層された加飾層20と、加飾層20に積層された接着層14と、を備える。基材13が、加飾シート10の第1面11を構成し、接着層14が、第1面11の反対側に位置する加飾シート10の第2面12を構成している。図2に示すように、加飾シート10は、基材13と加飾層20との間に位置する離型層13aを更に備えていてもよい。加飾シート10は、第2面12側から物品に貼り付けられ、少なくとも接着層14及び加飾層20が物品側に転写される。
(基材)
基材13は、加飾シート10の製造工程において加飾層20などのその他の層を支持する部材である。基材13は、加飾シート10を物品に貼り付けて少なくとも接着層14及び加飾層20を物品側に転写させた後、取り除かれる。
基材13としては、熱可塑性樹脂を含むフィルムが使用され、熱可塑性樹脂フィルムが好適に使用され得る。この場合、加飾シート10を加熱することによって加飾シート10の成形性を高めることができる。
基材13の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート、ポリウレタン系などのエラストマー系樹脂などによるものが利用される。これらのうち、成形性および剥離性が良好である点から、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)が好ましい。
基材13としては、上述の様な樹脂を含む単層又は多層構成の樹脂フィルムを使用することができる。また、基材13は、必要に応じて適宜、安定剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、体質顔料等の各種添加剤を、物性調整のために含む。なお、基材13は、透明性が損なわれない範囲で着色されていてもよい。
基材13の厚みは、例えば38μm以上且つ125μm以下であり、より好ましくは38μm以上50μm以下である。また、基材13の表面は、基材13に接する他層との密着性向上のため、コロナ放電処理層、プラズマ処理層、ウレタン樹脂等によるプライマー層などによって構成されていてもよい。
(離型層)
離型層13aは、基材13と加飾層20との間の剥離性を高めるため、必要に応じて設けられる。離型層13aは、離型層13aと基材13との間の密着性が、離型層13aと加飾層20との間の密着性に比べて高くなるよう構成される。離型層13aを構成する材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、又はこれら樹脂と適宜の他の樹脂(アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂等)との混合物を用いることができる。
(剥離層)
離型層によってもたらされる剥離性が不十分な場合、離型層13aと加飾層20の間に、剥離層を設けてもよい。剥離層を構成する材料としては、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニル系樹脂が挙げられる。これらの樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を混合してもよい。
(加飾層)
加飾層20は、加飾シート10の意匠性を発現する層である。図2に示すように、加飾層20は、基材13側に位置する基部21と、基部21上に設けられた複数の凸部23を含むパターン層22と、凸部23に設けられた金属層26と、を有する。基部21及びパターン層22は、一体的に構成されている。金属層26は、加飾シート10の意匠性を発現する所定のパターンで凸部23上に分布している。
凸部23は、例えば、第2面12側へ、すなわち接着層14側へ突出した三角形の断面形状を有する。この場合、断面形状は、図2に示すように二等辺三角形であってもよく、若しくは、図示はしないが、不等辺三角形であってもよい。図1に示すように、複数の凸部23はそれぞれ、加飾シート10の面方向に沿う所定の一方向(図1に示す第3方向D3)に延びている。
図3に示すように、凸部23の表面は、第1壁面24及び第2壁面25を含む。第2壁面25は、凸部23の表面のうち、加飾シート10の面方向に平行な所定の第1方向D1に沿って凸部23を見た場合に視認される表面である。また、第2壁面25は、第1方向D1とは逆の第2方向D2に沿って凸部23を見た場合に視認される表面である。本実施の形態において、第1方向D1及び第2方向D2はそれぞれ、加飾シート10の面方向において凸部23が延びる第3方向D3に直交している。
図4は、加飾層20を示す平面図である。図3及び図4に示すように、金属層26は、主に凸部23の第1壁面24に設けられている。言い換えると、凸部23の第1壁面24に設けられた金属層26の面積は、凸部23の第2壁面25に設けられた金属層26の面積よりも大きい。例えば、第1壁面24のうち金属層26によって覆われている部分の比率を第1面積率と称し、第2壁面25のうち金属層26によって覆われている部分の比率を第2面積率と称する場合、第1面積率は第2面積率よりも大きい。このように第1壁面24と第2壁面25の間で金属層26の面積率に差をつけることにより、後述するように、加飾シート10が転写された物品の外観に視野角依存性を持たせることができる。好ましくは、第2壁面25に設けられた金属層26の面積は、第1壁面24に設けられた金属層26の面積の0.5倍未満であり、より好ましくは0.2倍以下であり、更に好ましくは0.1倍以下である。若しくは、第2面積率は、第1面積率の0.5倍未満であり、より好ましくは0.2倍以下であり、更に好ましくは0.1倍以下である。
第1壁面24上の金属層26の面積、第1面積率、第2壁面25上の金属層26の面積、及び第2面積率は、例えば、加飾シート10の基部21法線方向に平行な所定の切断面で加飾シート10を切断することによって得られる、加飾シート10の縦断面図(例えば図2、図3や後述する図18、図19、図21)に基づいて算出することができる。例えば、縦断面図における第1壁面24の寸法及び第2壁面25の寸法をそれぞれ算出する。また、縦断面図における、第1壁面24上の金属層26の寸法、及び第2壁面25上の金属層26の寸法を算出する。縦断面図における、第1壁面24上の金属層26の寸法が、第1壁面24上の金属層26の面積に対応し、第2壁面25上の金属層26の寸法が、第2壁面25上の金属層26の面積に対応する。また、縦断面図における、第1壁面24上の金属層26の寸法を、第1壁面24上の金属層26の寸法で割ることにより、第1面積率を算出し、同様に、縦断面図における、第2壁面25上の金属層26の寸法を、第2壁面25上の金属層26の寸法で割ることにより、第2面積率を算出する。測定装置としては、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−5000を用いることができる。なお、基部21の法線方向に平行な複数の切断面で加飾シート10を切断することによって得られる、加飾シート10の複数の縦断面図の解析結果に基づいて、第1壁面24上の金属層26の面積、第1面積率、第2壁面25上の金属層26の面積、及び第2面積率を算出してもよい。
以下、凸部23の形状について説明する。図3において、符号H1は、基部21の厚みを表し、符号H2は、パターン層22の凸部23の厚みを表す。基部21の厚みH1は、凸部23の厚みH2の0.5%以上且つ20%以下である。また、凸部23の厚みH2は、例えば10μm以上且つ30μm以下である。
図3において、符号Pは、加飾シート10の面方向において隣り合う2つの凸部23の間の間隔を表す。凸部23の間隔Pは、例えば20μm以上且つ60μm以下である。
図3において、符号θ1は、凸部23の第1壁面24が加飾シート10の面方向に対して成す角度を表し、符号θ2は、凸部23の第2壁面25が加飾シート10の面方向に対して成す角度を表す。角度θ1及び角度θ2は、加飾シート10に対して求められる視野角依存性に基づいて定められるが、例えば30°以上且つ60°以下である。角度θ1及び角度θ2は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
凸部23の間隔Pに対する凸部23の厚みH2は、例えば28%以上87%以下である。
以下、加飾層20の各部材を構成する材料について説明する。
基部21及びパターン層22を構成する材料としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの樹脂であって、且つ透明性を有する樹脂が用いられる。この中でも、電離放射線硬化性樹脂が好ましく用いられる。基部21及びパターン層22は、例えば、電離放射線硬化性樹脂及び多官能イソシアネートを含むインキ組成物を基材13に塗布することによって形成される。なお、「透明性」とは、ヘイズメータで測定した場合のヘイズの値が10%以下であることを意味する。ヘイズメータとしては、株式会社村上色彩技術研究所製のヘイズメータを用いることができる。JIS7136に準拠してヘイズを測定する。
電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋・重合させ得るエネルギー量子を有するもの(例えば紫外線、電子線等)の照射により励起して、重合反応を生じることにより架橋・硬化する性能を有する樹脂である。電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線硬化性官能基を含む。電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線硬化性を発現しうる官能基のことであり、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、およびエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1種である。
電離放射線硬化性官能基を有するポリマーは、例えば、アクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、およびポリエーテル(メタ)アクリレートなどであり、特にウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。これらのポリマーを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
電離放射線硬化性官能基を有するポリマーの重量平均分子量は、好ましくは5000以上且つ150000以下であり、より好ましくは20000以上且つ100000以下である。重量平均分子量が上記範囲内であれば、インキ組成物のチキソ性が得られ、良好な成形性も得られる。重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された値であり、標準サンプルにポリスチレンを用いた条件で測定された値である。優れた高硬度性および耐スクラッチ性を得る観点から、ポリマーの二重結合当量は、50以上且つ1000以下、好ましくは100以上且つ1000以下、より好ましくは100以上且つ500以下である。二重結合当量は、電離放射線硬化性官能基1個あたりの分子量である。
多官能イソシアネートとは、イソシアネート基を2個以上有する化合物である。多官能イソシアネートは、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、あるいは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(ないしは脂環式)イソシアネート等のポリイソシアネートである。また、これら各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等や、ブロック化されたイソシアネート化合物等も用いられ得る。
また、多官能イソシアネートのうち、電離放射線硬化性官能基としてビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも一種をさらに有するものが、高硬度性の観点から特に好ましい。具体的には「Laromer LR9000(商品名)」(BASF社製)のように、エチレン性不飽和結合を有する官能基を少なくとも1個と、2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートが好ましい。
インキ組成物は、粘度を調整する目的で溶媒を含有してもよい。溶媒は、例えば、トルエン、キシレンなどの炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ニトロメタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレンなどのその他の物;またはこれらの混合物である。より好ましい溶剤は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどである。
インキ組成物中の溶媒の量は、ポリマーの固形分及びその他後述する光重合開始剤などを合わせた固形分の含有量が10質量%以上且つ50質量%以下、好ましくは20質量%以上且つ40質量%以下になるよう定められる。
インキ組成物は、光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン系、ケトン系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ケタール系、アントラキノン系、ジスルフィド系、チオキサントン系、チウラム系、フルオロアミン系などの光重合開始剤である。なかでも、アセトフェノン系、ケトン系、ベンゾフェノン系が好ましく用いられる。これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で使用することができ、また複数を組み合わせて使用することもできる。
光重合開始剤の含有量は、上記のポリマーに対して、0.5〜10質量%程度とすることが好ましく、より好ましくは1質量%以上且つ8質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上且つ8質量%以下である。
インキ組成物は、得られる所望物性に応じて、各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、チキソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤などである。
基部21及びパターン層22が熱硬化性樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂は、例えば、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、アクリルポリオールをイソシアネートで硬化させた樹脂、ポリエステルポリオールをイソシアネートで硬化させた樹脂、アクリル酸をメラミンで硬化させた樹脂などである。
基部21及びパターン層22が熱可塑性樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂などである。
(金属層)
金属層26は、金属層26に到達した光を反射することによって、加飾シート10の意匠性を発現させる。金属層26は、クロム、インジウム、錫、チタンなどの金属材料を含む。金属層26の厚みは、例えば10nm以上且つ100nm以下である。なお、金属層26の厚みは、金属層26が第1壁面24上に位置する場合は、第1壁面24の法線方向における厚みであり、金属層26が第2壁面25上に位置する場合は、第2壁面25の法線方向における厚みである。金属層26は、例えば蒸着法によって凸部23上に設けられる。
(接着層)
図2及び図3に示すように、接着層14は、加飾層20の凸部23の間の隙間に入り込み、隙間を埋める。また、接着層14は、加飾シート10を物品に貼り付けるための接着性を有する。なお、接着層14の接着性は、接着層14を加熱した時に発現してもよく、接着層14が常温の場合や常温未満の場合にも発現してもよい。すなわち、接着層14は、粘着層の概念も含むものである。
接着層14の厚みH3は、接着層14が凸部23の間の隙間を埋めることができるよう、凸部23の厚みH2よりも少なくとも大きい。接着層14の厚みH3は、例えば15μm以上且つ45μm以下である。
接着層14は、透明性を有する樹脂によって構成される。
接着層14には、物品の素材に適した感熱性又は感圧性の樹脂を適宜使用する。例えば、物品の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、物品の材質がポリフェニレンオキサイド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用することが好ましい。さらに、物品の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
接着層14が粘着剤から構成される場合、粘着剤を構成する材料としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられるが、その中でもアクリル系樹脂が好適に用いられる。これらの粘着剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、粘着剤はその他の成分を含んでいてもよく、所望に応じて、イソシアネート化合物等の架橋剤、粘着付与剤、各種界面活性剤、シランカップリング剤等が含まれていても良い。
加飾物品
次に、図5及び図6を参照して、加飾物品30について説明する。図5は、加飾物品30を示す断面図である。また、図6は、図5に示す加飾物品30を拡大して示す図である。
図5に示すように、加飾物品30は、物品35と、物品35に転写された加飾シートと、を備える。物品35は、後述する型を用いて基板40を成形することによって作製される。物品35は、自動車部品、家庭用電化製品などである。なお、物品35に転写された状態の加飾シートは、基材13を含まない。基材13を含む状態の加飾シート10との区別のため、物品35に転写された状態の加飾シートには符号10Aを付す。
図5に示すように、物品35は、型を用いた成形によって形成された例えば凹部36を有する。以下の説明において、基板40のうち凹部36が形成される側の面を内面42と称し、内面42の反対側に位置する面を外面41と称する。図5及び図6に示す例において、加飾シート10Aは、基板40の外面41に転写されている。
基板40は、成形性を有する材料を含む。基板40の材料は、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などである。基板40の厚みは、0.5mm以上3.0mm以下とすることができる。基板40は、着色剤を含んでいてもよい。
図6は、物品35及び加飾シート10Aを含む加飾物品30の各層を拡大して示す断面図である。上述のように、接着層14及び加飾層20を物品側に転写させた後、基材13は取り除かれる。このため、加飾物品30に転写された加飾シート10Aは、少なくとも接着層14及び加飾層20を含み、基材13を含まない。図6に示すように、加飾物品30の状態においては、加飾層20が加飾シート10Aの第1面11を構成し、接着層14が加飾シート10Aの第2面12を構成する。なお、図示はしないが、加飾層20上に保護層が設けられていてもよい。この場合、保護層が加飾シート10Aの第1面11を構成する。保護層は、物品35に転写される前の加飾シート10の状態においては、加飾層20と離型層13a又は基材13との間に位置する。
次に、図6を参照して、加飾物品30において発現される意匠性について説明する。
観察者が、加飾層20の凸部23の第1壁面24の面方向に平行な第4方向D4に沿って加飾シート10A側から加飾物品30を視認する場合、第1壁面24上に設けられた金属層26によって反射された光は、観察者にはほとんど到達しない。このため、第1壁面24に設けられた金属層26のパターンは、観察者によってほとんど認識されないと考えられる。
一方、観察者が、加飾層20の凸部23の第2壁面25の面方向に平行な第5方向D5に沿って加飾シート10A側から加飾物品30を視認する場合は、第4方向D4に沿って加飾物品30を視認する場合に比べて、第1壁面24上に設けられた金属層26によって反射された光がより多く観察者に到達する。このため、観察者は、第1壁面24に設けられた金属層26のパターンを認識することができる。
このように本実施の形態によれば、加飾層20が凸部23を有し、凸部23の第1壁面24上の金属層26の面積を凸部23の第2壁面25上の金属層26の面積よりも大きくすることにより、加飾物品30の外観に視野角依存性を持たせることができる。
なお、図6に示すように、観察者が基板40側から加飾物品30を視認する場合も考えられる。この場合にも、観察者が、加飾層20の凸部23の第1壁面24の面方向に平行な第4方向D4に沿って加飾シート10A側から加飾物品30を視認する場合には、第1壁面24上に設けられた金属層26によって反射された光は、観察者にはほとんど到達しない。一方、観察者が、加飾層20の凸部23の第2壁面25の面方向に平行な第5方向D5に沿って加飾シート10A側から加飾物品30を視認する場合は、第4方向D4に沿って加飾物品30を視認する場合に比べて、第1壁面24上に設けられた金属層26によって反射された光がより多く観察者に到達する。このため、観察者は、第1壁面24に設けられた金属層26のパターンを認識することができる。
ところで、加飾層20と接着層14との間の界面、又は接着層14と基板40との間の界面で光の屈折が生じると、金属層26のパターンが歪んだ状態で観察者によって認識されることが考えられる。この点を考慮し、好ましくは、加飾層20の基部21を構成する材料の屈折率と、加飾層20のパターン層22を構成する材料の屈折率との間の差は、0.05以下である。また、好ましくは、加飾層20のパターン層22を構成する材料の屈折率と、接着層14を構成する材料の屈折率との間の差は、0.05以下である。また、好ましくは、接着層14を構成する材料の屈折率と、基板40を構成する材料との屈折率との間の差は、0.05以下である。これによって、基部21とパターン層22との間の界面、加飾層20と接着層14との間の界面、及び接着層14と基板40との間の界面で光の屈折が生じることを抑制できる。
上述の屈折率の差を満たすことができる材料の組み合わせの一例は、下記のとおりである。
・基部21及びパターン層22:アクリル系電離放射線硬化性樹脂(屈折率は例えば1.54)
・接着層14:アクリル系粘着剤(屈折率は例えば1.54)
・基板40:アクリル系樹脂(屈折率は例えば1.49)
上述の各部材及び各層の屈折率を測定する屈折率計としては、株式会社アタゴ製のアッベ屈折率計 DR−A1を用いることができる。JIS7142に準拠して屈折率を測定する。
加飾シートの製造方法
次に、加飾シート10の製造方法の一例について、図7乃至図11を参照して説明する。
まず、基材13が巻き取られた第1ロール51を準備する。次に、図7に示すように、第1ロール51から基材13を巻き出す。基材13の搬送方向は、例えば、上述の加飾層20の凸部23が延びる第3方向D3に平行である。図示はしないが、必要に応じて、基材13上には離型層13aが予め設けられており、若しくは、第1ロール51から巻き出された基材13上に離型層13aが設けられる。
続いて、図7に示すように、第1塗布装置52が基材13上に、電離放射線硬化性樹脂を含むインキ組成物20aを塗布する。例えば、第1塗布装置52は、ダイコート法によって、基材13上にインキ組成物20aを塗布する。図示はしないが、グラビアコート法、スリットリバース法などのその他の方法でインキ組成物20aを基材13に塗布してもよい。その後、図示しない乾燥装置を用いてインキ組成物20aを乾燥させて、基材13上に樹脂層20bを形成する。なお、インキ組成物20aが溶媒を含まない場合は、インキ組成物20aを乾燥させることなく、基材上に樹脂層20bを形成する。
続いて、エンボスロール54を用いて樹脂層20bに凸部23を形成する。図8は、エンボスロール54をエンボスロール54の回転軸54aに直交する方向から見た場合を示す図である。図8に示すように、エンボスロール54の表面には、回転軸54aに直交する方向に延びる凹部55が形成されている。凹部55は、凸部23の第1壁面24に対応する第1壁面56、及び、凸部23の第2壁面25に対応する第2壁面57を含む。
図7に示すように、搬送方向におけるエンボスロール54の上流側及び下流側には、エンボスロール54との間で基材13及び樹脂層20bを挟圧する一対のニップロール53が設けられている。また、搬送方向において一対のニップロール53の間の位置には、エンボスロール54に接している樹脂層20bに向けて紫外線を照射して樹脂層20bを硬化させる硬化装置58が設けられている。なお、樹脂層20bを硬化させることができる限りにおいて、硬化装置58が照射する電磁波等が紫外線に限られることはない。
上流側のニップロール53が、基材13を押圧して樹脂層20bをエンボスロール54の表面に押し付けると、樹脂層20bの表面に、エンボスロール54の凹部55に対応した凸部23が形成される。この状態で、硬化装置58が樹脂層20bに向けて紫外線を照射して、樹脂層20bを硬化させる。これによって、基部21と、基部21上に形成された複数の凸部23を含むパターン層22と、を含む加飾層20が得られる。その後、下流側のニップロール53が、基材13及び加飾層20をエンボスロール54から剥離させる。基材13及び加飾層20は、巻き取られて第2ロール59が形成される。
なお、硬化装置58が樹脂層20bを完全に硬化させる場合、その後の加飾物品30の製造工程において、加飾層20のパターン層22に損傷が生じやすくなることがある。例えば、パターン層22の凸部23の先端が欠けてしまうことなどが考えられる。この点を考慮し、硬化装置58は、樹脂層20bを完全には硬化させない程度に樹脂層20bに紫外線などを照射してもよい。すなわち、硬化装置58による硬化工程は、いわゆるハーフキュア工程であってもよい。
続いて、加飾層20の凸部23上に金属層26を形成する工程を実施する。まず、図9に示すように、第2ロール59から基材13と基部21と複数の凸部23を含むパターン層22の積層体を巻き出す。続いて、図9に示すように、蒸着装置60が、金属材料を含む蒸着材料60aを凸部23に向けて蒸発させる。これによって、凸部23に蒸着材料60aが付着し、凸部23上に金属層26が形成される。このようにして、基部21と、基部21上に設けられた複数の凸部23を含むパターン層22と、凸部23に設けられた金属層26と、を有する加飾層20が得られる。基材13と加飾層20とを含む積層体は、巻き取られて第3ロール61が形成される。
図10は、図9の第3方向D3に直交する平面で基材13及び加飾層20を切断した場合を示す図である。図10に示すように、蒸着装置60は、蒸着材料60aが基材13及び基部21の法線方向に対して傾斜した蒸着方向D6から凸部23に到達するよう、蒸着材料60aを蒸発させる。これによって、凸部23の第1壁面24又は第2壁面25のいずれかにより多くの蒸着材料60aを付着させることができる。ここでは、蒸着方向D6と凸部23の第1壁面24とが成す角度が、蒸着方向D6と凸部23の第2壁面25とが成す角度よりも大きくなるように、蒸着方向D6を設定する。これによって、凸部23の第1壁面24に、第2壁面25よりも多くの蒸着材料60aを付着させることができる。このことにより、凸部23の第1壁面24に設けられる金属層26の面積を、凸部23の第2壁面25に設けられる金属層26の面積よりも大きくすることができる。なお、図10には、蒸着装置60が一つしか設置されていないが、必要に応じて複数の蒸着装置60を設置するようにしてもよい。また、全ての凸部23に金属層26を形成するために、凸部23と蒸着装置60との間の距離や、基材13と基部21と複数の凸部23を含むパターン層22の積層体の搬送速度などを調整してもよい。
続いて、凸部23上に接着層14を形成する工程を実施する。まず、図11に示すように、第3ロール61から、基材13及び加飾層20を含む積層体を巻き出す。続いて、図11に示すように、第2塗布装置62が、接着層14を構成する粘着剤を加飾層20上に塗布する。次に、乾燥装置63が粘着剤を乾燥させる。例えば、乾燥装置63が粘着剤を加熱し、粘着剤中の溶媒を蒸発させる。これによって、加飾層20上に、凸部23の間の隙間を埋める接着層14を形成することができる。このようにして、基材13、加飾層20及び接着層14を備える加飾シート10を作製することができる。なお、接着層14が、感熱性又は感圧性の樹脂である熱可塑性樹脂である場合、溶融押出しラミネート法を用いて、熱可塑性樹脂を加飾層20上に積層することができる。
続いて、図11に示すように、接着層14上にセパレータフィルム17を設けてもよい。例えば、第4ロール64からセパレータフィルム17を巻き出す。また、積層ロール65が、セパレータフィルム17を接着層14に積層させる。セパレータフィルム17が取り付けられた加飾シート10は、巻き取られて第5ロール66が形成される。
加飾物品の製造方法
次に、加飾物品30の製造方法の一例について、図12乃至図17を参照して説明する。まず、図12を参照して、加飾物品30を製造する加飾物品製造装置70について説明する。
加飾物品製造装置70は、基板40を成形して物品35を作製する工程、並びに、加飾シート10を成形する工程及び加飾シート10を基板40に転写する工程を実施することができる。すなわち、加飾物品製造装置70は、1つの装置内で基板40の成形及び基板40への加飾シート10の転写を行う、いわゆる一次加飾成形法を実施することができる。図12に示すように、加飾物品製造装置70は、第1チャンバ71、型72、吸着部73、第1加熱部74、保持部75、第2加熱部76、第1圧力調整部77、移動部78、第2チャンバ79及び第2圧力調整部80を備える。
第1チャンバ71は、保持部75や第2チャンバ79と組み合わされることによって、第1チャンバ71の内部の空間を外部から密閉することができる。第1チャンバ71には型72が配置されている。
型72は、基板40及び加飾シート10を成形して基板40に上述の凹部36を形成する。図13は、型72を示す平面図である。型72は、成形部72aと、成形部72aの周囲の枠部72cと、に区画される。成形部72aには、物品35の凹部36に対応する凹部72bが設けられている。
吸着部73は、成形の対象となる部材(ここでは加飾シート10)を型72の成形部72aに密着させて、成形部72aの凹部72bに対応した形状を部材に付与する。吸着部73は、図12及び図13に示すように、例えば、型72の枠部72cに設けられた複数の吸引口を含む。この場合、吸引口を介して空気などの気体を加飾シート10側からその反対側へ吸引することにより、加飾シート10を型72に密着させることができる。
第1加熱部74は、型72に密着する加飾シート10を加熱して加飾シート10を軟化させる。第1加熱部74は、例えば、赤外線を加飾シート10に照射することによって加飾シート10を加熱する赤外線ヒータである。第1加熱部74は、例えば、型72と加飾シート10との間に配置される。なお、第1加熱部74が加飾シート10を加熱して加飾シート10を軟化させることができる限りにおいて、第1加熱部74の配置は特には限られない。
保持部75は、型72とは反対側で基板40の外面41が加飾シート10と対向するよう基板40を保持する。図12に示すように、保持部75は、例えば、基板40の端部を保持する。
第2加熱部76は、基板40を加熱して基板40を軟化させる。第2加熱部76は、例えば、赤外線を基板40に照射することによって基板40を加熱する赤外線ヒータである。第2加熱部76は、例えば、型72とは反対側で基板40と対向するよう配置される。なお、第2加熱部76が基板40を加熱して基板40を軟化させることができる限りにおいて、第2加熱部76の配置は特には限られない。
第1圧力調整部77は、第1チャンバ71の内部の空間が外部から密閉されている場合に、密閉されている空間(以下、第1の密閉空間とも称する)の圧力を調整する。例えば、第1圧力調整部77は、第1チャンバ71の内部の空気などの気体を外部に排出して、型72の周囲の第1の密閉空間を、大気圧よりも低い減圧雰囲気P1にする。
移動部78は、保持部75によって保持された基板40に対して型72を相対的に移動させる。例えば、図12に示すように、移動部78は、型72を支持しており、且つ、後述するように、型72を例えば上下に移動させる。移動部78は、例えばエアシリンダーなどを含む。
第2チャンバ79は、基板40に対して第1チャンバ71とは反対側に位置する。すなわち、第2チャンバ79は、基板40の面のうち加飾シート10に接触する面とは反対側の面の側に位置する。第2チャンバ79は、保持部75や第1チャンバ71と組み合わされることによって、第2チャンバ79の内部の空間を外部から密閉することができる。
第2圧力調整部80は、第2チャンバ79の内部の空間が外部から密閉されている場合に、密閉されている空間(以下、第2の密閉空間とも称する)の圧力を調整する。例えば、第2圧力調整部80は、第2チャンバ79の内部に圧縮空気等を導入して、第2の密閉空間を、大気圧よりも高い加圧雰囲気P2にする。
以下、図12乃至図17を参照して、加飾物品製造装置70を用いて加飾物品30を作製する方法について説明する。
まず、加飾シート10からセパレータフィルム17を取り除く。次に、図12に示すように、加飾シート10の第1面11が型72の凹部72bに対向するように加飾シート10を配置する。また、基板40の外面41が加飾シート10に対向するように基板40を配置する。
続いて、図14に示すように、第1加熱部74が加飾シート10を加熱して、加飾シート10を軟化させる。また、吸着部73が空気などの気体を吸引して、加飾シート10を型72の凹部72bに密着させる。第1加熱部74による加飾シート10の加熱は、吸着部73による吸引よりも先に開始してもよく、後に開始してもよく、同時に開始してもよい。加飾シート10を型72に密着させた後、第1加熱部74を第1チャンバ71と基板40の間の空間から取り除く。
また、第2加熱部76が基板40を加熱して基板40を軟化させる。第2加熱部76による基板40の加熱は、上述の第1加熱部74による加飾シート10の加熱や吸着部73による吸引よりも先に開始してもよく、後に開始してもよく、同時に開始してもよい。また、第2加熱部76による基板40の加熱は、後述する第1圧力調整部77による第1の密閉空間の減圧よりも先に開始してもよく、後に開始してもよく、同時に開始してもよい。基板40を軟化させた後、第2加熱部76を第2チャンバ79と基板40の間の空間から取り除く。
続いて、図15に示すように、第1チャンバ71を保持部75に対して相対的に移動させて、第1チャンバ71と保持部75とを組み合わせる。これによって、第1チャンバ71、保持部75及び基板40によって囲まれた空間が、第1の密閉空間になる。次に、第1圧力調整部77が第1の密閉空間を減圧雰囲気P1にする。減圧雰囲気P1は、例えば0.05atm(0.05×10Pa)以上且つ0.3atm(0.3×10Pa)以下であり、より好ましくは0.1atm(0.1×10Pa)以上且つ0.2atm(0.2×10Pa)以下である。また、図15に示すように、第2チャンバ79を保持部75に対して相対的に移動させて、第2チャンバ79と保持部75とを組み合わせる。これによって、第2チャンバ79、保持部75及び基板40によって囲まれた空間が、第2の密閉空間になる。
続いて、図16に示すように、第2圧力調整部80が第2の密閉空間を加圧雰囲気P2にする。加圧雰囲気P2は、例えば1atm(1.0×10Pa)以上且つ3atm(3.0×10Pa)以下である。また、図16に示すように、移動部78が、加飾シート10が密着した型72を、基板40に向けて移動させる。
第1の密閉空間が減圧雰囲気P1であり、第2の密閉空間が加圧雰囲気P2であるので、両者の間には所定の圧力差ΔPが存在する。このため、図16に示すように、基板40は、型72に密着している加飾シート10上に密着する。これによって、基板40が型72の凹部72bに沿って成形される。また、加飾シート10の接着層14によって加飾シート10が基板40の外面41に貼り付けられる。圧力差ΔPは、例えば0.9atm(0.9×10Pa)以上且つ2.9atm(2.9×10Pa)以下である。
続いて、図17に示すように、第1チャンバ71及び第2チャンバ79を保持部75から離間させて、第1の密閉空間及び第2の密閉空間を開放する。また、型72を、基板40に転写された接着層14及び加飾層20を少なくとも含む加飾シート10Aから剥離させる。このとき、基材13は型72の側に残る。また、保持部75を基板40から取り外す。その後、基板40及び加飾シート10Aの不要部分(本実施形態では基材13)を除去する。このようにして、成形された基板40を含む物品35と、物品35に転写された加飾シート10Aと、を備える加飾物品30を作製することができる。なお、第1の密閉空間及び第2の密閉空間を開放した後、保持部75を基板40から取り外す前、型72を加飾シート10Aから剥離させる前、又は基板40及び加飾シート10Aの不要部分を除去する前に、基板40及び加飾シート10Aを冷却する工程を実施してもよい。冷却工程は、空冷や、室温までの放冷などを含む。
なお、硬化装置58を用いて樹脂層20bを硬化させる上述の工程が、ハーフキュア工程である場合、加飾シート10Aを基板40に転写した後に加飾シート10Aに紫外線を照射して加飾層20を更に硬化させる工程、いわゆるアフターキュア工程を実施してもよい。
本実施の形態によれば、加飾物品製造装置70によって、基板40の成形及び基板40への加飾シート10Aの転写の両方を実施することができる。このため、加飾物品30の製造工程を削減することができ、これによって、加飾物品30の生産性を向上させることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(加飾層20の第1の変形例)
上述の本実施の形態においては、加飾層20の凸部23が、接着層14側へ突出した三角形の断面形状を有する例を示した。しかしながら、加飾層20に視野角依存性を持たせることができる限りにおいて、凸部23の断面形状は特には限定されない。例えば、図18に示すように、加飾層20の凸部23が、接着層14側へ突出した半円形の断面形状を有していてもよい。
(加飾層20の第2の変形例)
また、図19に示すように、加飾層20の凸部23が、接着層14側へ突出した長方形又は正方形の断面形状を有していてもよい。この場合、凸部23の第1壁面24及び第2壁面25はそれぞれ、第1方向D1及び第2方向D2に対して直交している。
(加飾層20の第3の変形例)
上述の本実施の形態においては、加飾層20の凸部23が、加飾シート10の面方向に沿って延びる例を示した。しかしながら、加飾層20に視野角依存性を持たせることができる限りにおいて、加飾シート10の面方向における凸部23の形状は特には限定されない。例えば、図20に示すように、凸部23は、基部21上に離散的に形成された半球状の部分であってもよい。
(加飾シートの変形例)
図21に示すように、加飾シート10は、接着層14と加飾層20との間に位置する絵柄層15を更に備えていてもよい。絵柄層15には、文字、数字、記号、図形、絵柄等のデザインや情報が、印刷などによって施されている。絵柄層15を設けることにより、加飾シート10の意匠性を向上させることができる。
絵柄層は、バインダーと着色剤を含む。バインダーとしては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂を使用することができる。着色剤としては、顔料または染料を使用することができる。絵柄層の厚みは、意匠性の観点から5〜40μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
なお、絵柄層は、加飾シート10ではなく、物品35に設けるようにしてもよい。
(アンカー層)
加飾シート10は、アンカー層を備えていてもよい。アンカー層は、加飾層20と接着層14、あるいは絵柄層がある場合は絵柄層と接着層14との密着性を向上させるために、所望により設けられる層である。アンカー層は、2液性硬化ウレタン樹脂、熱硬化ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩素含有ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系共重合体樹脂などを使用することができる。アンカー層の厚さは、通常、0.1μm以上且つ5μm以下であり、好ましくは1μm以上且つ5μm以下である。
(帯電防止層)
加飾シート10は、帯電防止層を備えていてもよい。帯電防止層は、加飾シート10や加飾物品30への異物の付着を防止するために好ましく設けられる層であり、基材13の加飾層20を設ける面とは反対側の面に設けられる。
帯電防止層に用いられる帯電防止剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系、リン酸系などのアニオン性界面活性剤;第4級アンモニウム系などのカチオン系界面活性剤;アルキルベタイン系、アルキルイミダゾリン系、アルキルアラニン系などの両性界面活性剤;アルキレンオキサイド重合体、アルキレンオキサイド共重合体、脂肪族アルコール−アルキレンオキサイド付加物などのノニオン系界面活性剤;カーボンや、金、白金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、モリブデンなどの各種金属粉末などの無機導電性物質;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリビニルカルバゾール、あるいはアミノカルボン酸、ジカルボン酸及びポリエチレングリコールからなるポリエーテルエステルアミド樹脂などの導電性高分子などが好ましく挙げられる。帯電防止層の厚さは、通常、0.1μm以上且つ5μm以下であることが好ましい。帯電防止層の厚さが上記範囲内であれば、優れた帯電防止性能が効率よく得られる。
(型の変形例)
図22に示すように、型72の枠部72cのうち加飾シート10が密着する側の表面には、溝72dが形成されていてもよい。この場合、吸着部73の吸引口は、好ましくは、溝72dに設けられる。溝72dを形成することにより、加飾シート10を型72に密着させ易くなる。
(加飾物品の変形例)
上述の本実施の形態においては、加飾物品30を構成する基板40の外面41に加飾シート10Aが転写される例を示した。その他にも、図23に示すように、加飾物品30を構成する基板40の内面42に加飾シート10Aを転写してもよい。
(加飾物品の製造方法の第1の変形例)
上述の本実施の形態においては、凹部72bを有する型72を用いて加飾シート10及び基板40を成形して加飾物品30を製造する例を示した。本変形例においては、図24に示すように、凸部72eを有する型72を用いて加飾シート10及び基板40を成形して加飾物品30を製造する例について説明する。
以下、図25乃至図28を参照して、図24に示す加飾物品製造装置70を用いて加飾物品30を作製する方法について説明する。なお、図12に示す加飾物品製造装置70を用いて加飾物品30を作製する場合と重複する説明については、適宜省略する。
まず、図24に示すように、加飾シート10の第1面11が型72の凸部72eに対向するように加飾シート10を配置する。また、基板40の内面42が加飾シート10に対向するように基板40を配置する。続いて、図25に示すように、加飾シート10を型72の凸部72eに密着させる。続いて、図26に示すように、第1チャンバ71側に第1の密閉空間を形成し、第2チャンバ79側に第2の密閉空間を形成する。また、第1の密閉空間を減圧雰囲気P1にする。
続いて、図27に示すように、第2の密閉空間を加圧雰囲気P2にする。また、図27に示すように、移動部78が、加飾シート10が密着した型72を、基板40に向けて移動させる。これによって、基板40が型72の凸部72eに沿って成形される。また、加飾シート10の接着層14によって加飾シート10が基板40の内面42に貼り付けられる。
続いて、図28に示すように、第1チャンバ71及び第2チャンバ79を保持部75から離間させて、第1の密閉空間及び第2の密閉空間を開放する。また、型72を、基板40に転写された接着層14及び加飾層20を少なくとも含む加飾シート10Aから剥離させる。このとき、基材13は型72の側に残る。また、保持部75を基板40から取り外す。その後、基板40及び加飾シート10Aの不要部分を除去する。このようにして、成形された基板40を含む物品35と、物品35に転写された加飾シート10Aと、を備える加飾物品30を作製することができる。
(加飾物品の製造方法の第2の変形例)
上述の本実施の形態においては、加飾物品製造装置70によって、基板40の成形及び基板40への加飾シート10Aの転写の両方を実施する例を示した。本変形例においては、加飾物品製造装置70が、予め基板40を成形することによって得られた物品35に加飾シート10Aを転写して加飾物品30を製造する例について、すなわち二次加飾成形法の例について説明する。具体的には、三次元表面加飾技術(いわゆるTOM工法:Three dimension Overlay Method)を用いる例について説明する。
図29は、本変形例における加飾物品製造装置70を示す図である。本変形例における加飾物品製造装置70のうち、上述の本実施の形態における加飾物品製造装置70と同一の構成要素については、説明を省略する。
図29に示すように、第1チャンバ71には、予め基板40を成形することによって得られた物品35が配置される。保持部75は、加飾シート10の第2面12が物品35に対向するように加飾シート10を保持する。第1加熱部74は、第2チャンバ79側に配置される。移動部78は、保持部75によって保持された加飾シート10に対して物品35を相対的に移動させる。
以下、図30乃至図33を参照して、図29に示す加飾物品製造装置70を用いて加飾物品30を作製する方法について説明する。
まず、図29に示すように、移動部78上に物品35を配置する。また、保持部75によって保持された加飾シート10の第2面12が物品35に対向するよう、保持部75及び加飾シート10を配置する。また、第1チャンバ71と保持部75とを組み合わせて、第1チャンバ71の内部に第1の密閉空間を形成する。
続いて、図30に示すように、第2チャンバ79に第2の密閉空間を形成する。また、第1圧力調整部77が第1の密閉空間を、大気圧よりも低圧の減圧雰囲気P1にする。また、第2圧力調整部80が第2の密閉空間を、大気圧よりも低圧の減圧雰囲気P1にする。また、第1加熱部74が加飾シート10を加熱して、加飾シート10を軟化させる。第1の密閉空間を減圧雰囲気P1にすることにより、次の工程において加飾シート10を物品35に密着させるときに、加飾シート10と物品35との間に気泡が残ることを抑制することができる。また、第2の密閉空間を減圧雰囲気P1にすることにより、加飾シート10を加熱する際に加飾シート10が第1チャンバ71側へ凹むことを抑制することができる。このため、第1加熱部74を用いて加飾シート10をその面方向においてより均一に加熱することができる。なお、第1の密閉空間における減圧雰囲気P1の圧力と、第2の密閉空間における減圧雰囲気P1の圧力とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
続いて、図31に示すように、移動部78が物品35を加飾シート10に向けて移動させる。また、図32に示すように、第2圧力調整部80が第2チャンバ79の内部に圧縮空気などを導入し、第2の密閉空間を、大気圧よりも高圧の加圧雰囲気P2にする。この結果、加飾シート10は、第1の密閉空間と第2の密閉空間の間の圧力差ΔPにより、物品35に密着する。これによって、加飾シート10が物品35の形状に沿って成形される。また、加飾シート10の接着層14によって加飾シート10が基板40に貼り付けられる。圧力差ΔPは、例えば0.9atm(0.9×10Pa)以上且つ2.9atm(2.9×10Pa)以下である。
なお、第2の密閉空間の圧力が大気圧や大気圧以下の場合であっても加飾シート10を物品35に密着させることができる場合、第2圧力調整部80は、第2の密閉空間を加圧雰囲気P2に調整しなくてもよい。例えば、第2の密閉空間が大気圧であってもよい。
続いて、図33に示すように、第1チャンバ71及び第2チャンバ79を保持部75から離間させて、第1の密閉空間及び第2の密閉空間を開放する。また、基材13を、基板40に転写された接着層14及び加飾層20を少なくとも含む加飾シート10Aから剥離させる。このようにして、成形された基板40を含む物品35と、物品35に転写された加飾シート10Aと、を備える加飾物品30を作製することができる。
なお、第2圧力調整部80は、第2チャンバ79の内部に加圧且つ加熱された水蒸気を導入することにより、第2の密閉空間を加圧雰囲気P2に調整してもよい。すなわち、加飾物品製造装置70は、空気転写装置(いわゆるNATS:Navitas Air-heat Transfer System)であってもよい。
(加飾物品の製造方法の第3の変形例)
本変形例においては、二次加飾成形法のその他の例として、熱板式減圧被覆成形法を用いる例について説明する。
図34は、本変形例における加飾物品製造装置70を示す図である。本変形例における加飾物品製造装置70のうち、図29に示す加飾物品製造装置70と同一の構成要素については、説明を省略する。
図34に示すように、加飾シート10は、第1チャンバ71の開口を覆うように配置されている。また、第1加熱部74は、物品35とは反対側から加飾シート10を加熱するよう配置されている。第1加熱部74は、加飾シート10と接触することによって加飾シート10を加熱するよう構成されている。例えば、第1加熱部74は、電熱線などのヒータを含む熱板である。
以下、図35乃至図37を参照して、図34に示す加飾物品製造装置70を用いて加飾物品30を作製する方法について説明する。
まず、図34に示すように、第1チャンバ71の内部に物品35を配置する。また、第1チャンバ71の開口が加飾シート10によって覆われるよう、加飾シート10を配置する。
続いて、図35に示すように、第1加熱部74を加飾シート10の第1面11に接触させる。この結果、第1加熱部74が加飾シート10を加熱して加飾シート10を軟化させる。また、第1チャンバ71及び第1加熱部74によって囲まれた空間が、第1の密閉空間になる。次に、第1圧力調整部77が第1の密閉空間を減圧雰囲気P1にする。これによって、加飾シート10が第1加熱部74により強く密着する。
続いて、図36に示すように、第1加熱部74の図示しない貫通孔等を介して、加飾シート10の第1面11と第1加熱部74との間の空間に圧縮空気を導入する。これによって、加飾シート10と第1加熱部74との間の空間を加圧雰囲気P2にする。この結果、図36に示すように、加飾シート10が物品35に密着する。これによって、加飾シート10が物品35の形状に沿って成形される。また、加飾シート10の接着層14によって加飾シート10が基板40に貼り付けられる。
続いて、図37に示すように、第1加熱部74を加飾シート10から離間させる。また、基材13を、基板40に転写された接着層14及び加飾層20を少なくとも含む加飾シート10Aから剥離させる。このようにして、成形された基板40を含む物品35と、物品35に転写された加飾シート10Aと、を備える加飾物品30を作製することができる。
(その他の変形例)
加飾シート10Aを物品35に転写する方法が、上述の方法に限られることはない。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
10、10A 加飾シート
11 第1面
12 第2面
13 基材
13a 離型層
14 接着層
15 絵柄層
16 アンカー層
17 セパレータフィルム
20 加飾層
21 基部
22 パターン層
23 凸部
24 第1壁面
25 第2壁面
26 金属層
30 加飾物品
35 物品
36 凹部
40 基板
41 外面
42 内面
51 第1ロール
52 第1塗布装置
53 ニップロール
54 エンボスロール
55 凹部
56 第1壁面
57 第2壁面
58 硬化装置
59 第2ロール
60 蒸着装置
61 第3ロール
62 第2塗布装置
63 乾燥装置
64 第4ロール
65 積層ロール
66 第5ロール
70 加飾物品製造装置
71 第1チャンバ
72 型
72a 成形部
72b 凹部
72c 枠部
72d 溝
72e 凸部
73 吸着部
74 第1加熱部
75 保持部
76 第2加熱部
77 第1圧力調整部
78 移動部
79 第2チャンバ
80 第2圧力調整部

Claims (7)

  1. 物品に加飾層を転写するための加飾シートであって、
    基材と、
    前記基材に積層され、複数の凸部と、前記凸部に設けられた金属層と、を含む前記加飾層と、
    前記加飾層に積層された接着層と、を備え、
    前記凸部の表面は、前記加飾シートの面方向に平行な第1方向に沿って前記凸部を見た場合に視認される第1壁面と、前記第1方向とは逆の第2方向に沿って前記凸部を見た場合に視認される第2壁面と、を含み、
    前記凸部の前記第1壁面に設けられた前記金属層の面積が、前記凸部の前記第2壁面に設けられた前記金属層の面積よりも大きい、加飾シート。
  2. 前記凸部の前記第2壁面に設けられた前記金属層の面積が、前記凸部の前記第1壁面に設けられた前記金属層の面積の0.5倍未満である、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記加飾層と前記接着層との間の屈折率の差が、0.05以下である、請求項1又は2に記載の加飾シート。
  4. 前記基材と前記加飾層との間に位置する離型層を更に備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加飾シート。
  5. 物品と、
    前記物品に転写された加飾シートと、を備え、
    前記加飾シートは、
    前記物品に接する接着層と、
    前記接着層に積層され、複数の凸部と、前記凸部に設けられた金属層と、を含む加飾層と、を備え、
    前記凸部の表面は、前記加飾シートの面方向に平行な第1方向に沿って前記凸部を見た場合に視認される第1壁面と、前記第1方向とは逆の第2方向に沿って前記凸部を見た場合に視認される第2壁面と、を含み、
    前記凸部の前記第1壁面に設けられた前記金属層の面積が、前記凸部の前記第2壁面に設けられた前記金属層の面積よりも大きい、加飾物品。
  6. 前記凸部の前記第2壁面に設けられた前記金属層の面積が、前記凸部の前記第1壁面に設けられた前記金属層の面積の0.5倍未満である、請求項5に記載の加飾物品。
  7. 前記加飾シートの前記加飾層と前記接着層との間の屈折率の差が、0.05以下である、請求項5又は6に記載の加飾物品。
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