JP2017205828A - ワイヤーソー装置及びこの装置を用いた粉末成形体の切り出し方法 - Google Patents

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【課題】粉末成形体から二次成形体を切り出して、超硬合金などの焼結体を製造するのに有用なワイヤーソー装置、前記二次成形体及び焼結体の製造方法を提供する。【解決手段】X軸方向にワイヤーソー1を走行させ、このワイヤーソーに対して、テーブル11上の粉末成形体10をY軸方向及びZ軸方向に移動させ、所定形状の二次成形体を製造する。この二次成形体を焼結し、焼結体を製造する。この方法では、柔らかく脆い粉末成形体から、薄肉及び/又は小径部を有する二次成形体であっても、高い歩留まり及び生産性で製造でき、焼結体の生産性を高めることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、一次成形体としての粉末成形体から所定の形状の二次成形体を切り出して、所定の超硬合金などの焼結体を製造するのに有用なワイヤーソー装置、この装置を用いて粉末成形体(又は圧縮成形体)から所定形状の二次成形体を切り出す方法(又は切断方法)、並びに二次成形体を焼結して焼結体(超硬合金など)を製造する方法に関する。
超硬合金は、切削工具、掘削具、打ち抜き金具などに広く利用されている。このような超硬合金は、通常、粉末冶金法、例えば、タングステンカーバイドWCとコバルトとの粉末混合物をブロック状に圧縮成形し、必要により熱処理(予備焼結)して成形体を調製し、所定の形状に整形し、整形した成形体を焼結し、さらに寸法精度を高めるため、焼結体を、ダイヤモンド砥石、カッターなどを用いて所定の形態に加工している。しかし、超硬合金は、硬度が極めて高いため、加工性が劣り、製品の生産性を大きく低下させる。特に、ブロック状の焼結体から複数の製品を切り出す場合には、製品の生産性を著しく低下させる。また、加工過程で焼結体が欠損し、製品の歩留まりも低下させる場合もある。さらには、焼結体の加工により生成する切粉は、焼結されているため、再利用することが困難である。
このような焼結体の加工方法の1つとして、放電加工(ワイヤーカット放電加工)が知られている。しかし、この放電加工では、一対の電極間での放電を利用して溶融させて切断するため、消費エネルギー及び電極の消耗が大きいだけでなく、水性又は油性の加工液を用いて加工する必要がある。
一方、粉末混合物の圧縮成形により生成したブロック状の一次成形体から所定の二次成形体を、切削工具を用いて切り出して整形し、この成形体を焼結することが考えられる。しかし、この方法では、前記ブロック状の一次成形体がチョーク状であり柔らかく脆いため、切り出し及び整形加工で、二次成形体にクラックが生成し易く、切り出しに伴って二次成形体が落下すると、二次成形体が損傷する。さらに、端部では切削部位に欠けが生じやすいため、欠け部を考慮して端部を切り代とし、所定の加工を施した後、切り代を切断する必要がある。そのため、工程数が多くなるとともに、歩留まりが低下する。また、一次成形体が損傷しやすいことは、短時間で効率よく加工するうえで、大きな弊害であり、生産性を高めることが困難である。
特開2003−165047号公報(特許文献1)には、微粒の硬質切削材が表面に設けられたワイヤーソーを、対向する第1及び第2の案内機構によって直線状に送り出し、前記第1及び第2の案内機構間に配置されたテーブルに固定されたセラミックス被加工物に前記ワイヤーソーを押しつけながら、前記被加工物の形状加工を行うセラミック加工装置が記載され、この装置では、前記テーブルを、X及びY方向に自在又は予めプログラムされた命令に従って移動するXYテーブルとすることが記載されている。また、前記第1及び第2の案内機構をそれぞれ独立に制御することも記載されている。しかし、この装置では、ワイヤーソーを送り出しながらセラミックを切断すると、セラミックが硬質であるため、切断部位が発熱し、乾式で切断すると、砥粒が付着したワイヤーソーによる切断効率が大きく低下する。また、第1及び第2の案内機構のプーリーにワイヤーソーを架け渡して縦方向に送り出し、XYテーブルでセラミックをXY軸方向に移動させると、ワイヤーソーに対してテーブルの移動方向に張力が作用してワイヤーソーが傾斜する。そのため、切断部位とプーリーとの間でワイヤーソーが傾斜した状態で走行するため、プーリーがワイヤーソーにより研削されてしまい、長時間に亘り安定してセラミックを切断できなくなる。しかも、ワイヤーソーによりセラミックス被加工物を縦方向に切断し、円柱状などの所定形状に抜き取って、セラミックス被加工物に丸孔などの貫通部を形成するため、切断又はスライスしたセラミックが落下して損傷するおそれがある。
特開2003−303728号公報(特許文献2)には、磁石粉末の成形体を作製する工程と、砥粒が固定されたワイヤーソーを用いて前記成形体を加工する工程と、前記成形体を焼結する工程とを含む焼結磁石の製造方法が記載され、前記加工工程では、前記成形体を前記ワイヤーソーに対して相対的に移動させて前記成形体をスライスすること、前記ワイヤーソーに対して前記成形体を水平面内で相対的に移動させ、スライスした複数の部分を鉛直方向に引き離すこと、成形体のうちワイヤーソーとの接触部に切削液を付与することも記載されている。
特開2005−268668号公報(特許文献3)には、希土類元素を含む原料合金粉を成形し、成形した成形体を所定の形状に切断加工するに際し、前記成形体の切断面と略直交する2方向の面のうち少なくとも1方向の面を加圧支持することが記載され、ワイヤーソー加工により切断加工することが記載されている。
しかし、これらの方法では、成形体を縦方向に所定の幅でスライスしており、切断加工された成形体の形状が板状の形態に制約される。特に、スライス加工された成形体が倒れて損傷する可能性があるとともに、スライス加工された成形体が倒れるのを防止するためには、前記のように加圧支持機構を必要とする。さらに、切削液が付着すると、焼結時の割れや、組織不良による焼結体の性能ムラが生じるおそれがある。
特開2013−63648号公報(特許文献4)には、押出成形により、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、その側面に外周壁が形成された炭化ケイ素を含む材料からなる柱状のハニカム成形体を作製し、このハニカム成形体を所定の長さに切断するハニカム成形体の切断方法が記載され、この方法では、前記ハニカム成形体の外周に対して、波長領域0.7〜2.5μmのレーザーにより切断補助溝を設け、この切断補助溝を介してワイヤーにより切断することが記載されている。この方法でも、ハニカム成形体の長さ方向に対して直交する方向に所定長さでハニカム成形体を切断しており、ハニカム状の形態に制約される。
なお、コンターマシン(バンドソー装置)で粉末成形体を切断することも考えられる。しかし、コンターマシンでは、帯鋸を用いるため、粉末成形体を直線加工しかできない。
特開2003−165047号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2003−303728号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2005−268668号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2013−63648号公報(特許請求の範囲、図1)
従って、本発明の目的は、一次成形体としての粉末成形体から所定形状の二次成形体を安定に切り出(又は切断)して、超硬合金などの所定の焼結体を製造するのに有用なワイヤーソー装置、この装置を用いて粉末成形体(又は圧縮成形体)から二次成形体を切り出す方法(又は切断方法)、並びに二次成形体を焼結して焼結体(超硬合金など)を製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、粉末成形体から、二次成形体を非平板状(又は三次元立体形状)に切り出す(又は切断加工する)のに有用なワイヤーソー装置及び切り出し方法(又は切断方法)、並びに三次元立体形状の二次成形体を焼結して焼結体(超硬合金など)を製造する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、一次成形体が柔らかく脆く、しかも二次成形体が薄肉及び/又は小径部を有していても、転倒や落下を防止しつつ、二次成形体を損傷することなく精度よく切り出し(又は切断)可能なワイヤーソー装置、この装置を用いて二次成形体を切り出す方法(又は切断方法)、並びに焼結体(超硬合金など)を製造する方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、高い歩留まり及び生産性で二次成形体及び焼結体を製造可能であるとともに、生成する切粉又は粉塵を有効に再利用可能なワイヤーソー装置、この装置を用いて二次成形体を切り出す方法(又は切断方法)、並びに焼結体(超硬合金など)を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、粉末冶金において、焼結体は加工効率が大きく低下すること、焼結に供する粉末成形体(圧縮成形体)は加工し易いものの、柔らかくて脆く損傷しやすいことに着目し、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ワイヤーソーで粉末成形体を縦方向にスライスして切断加工するのではなく、ワイヤーソーを横方向(左右のX軸方向)に走行させ、かつ粉末成形体(一次成形体)を少なくともY軸方向(奥行き方向)に移動させ、粉末成形体を乾式で横方向に切断又はスライスすると、二次成形体(予備成形体)を積み重ねた状態で切断又はスライスできるため、二次成形体(予備成形体)が落下又は倒れることがないため、殆ど損傷しないだけでなく、湿式による切断と異なり、切断部での二次成形体(予備成形体)の組織変動が生じないこと、特に、粉末成形体(一次成形体)をY軸方向及びZ軸方向(高さ方向)に移動させると、粉末成形体から三次元立体形状の二次成形体を損傷させることなく精度よく、しかも高い歩留まり及び生産性で切断又は切り出しできることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の装置は、粉末成形体(又は一次成形体)をワイヤーソーで切断加工するための装置(ワイヤーソー装置)であって、X軸方向に走行可能なワイヤーソーと、このワイヤーソーに対して、Y軸方向及びZ軸方向のうち少なくともY軸方向に相対的に移動可能であり、かつ前記粉末成形体を載置又は保持可能なテーブルとを備えている。
このようなワイヤーソー装置は、X軸方向(横方向)にワイヤーソーが走行可能な切断域と、この切断域において、ワイヤーソーに対してY−Z軸方向に移動可能なテーブルとを備えていてもよい。さらに、ワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持された粉末成形体をY軸方向に進退動させるための進退動手段と、ワイヤーソーに対して粉末成形体をZ軸方向に上下動させるための上下動手段と、前記進退動手段と上下動手段とを制御し、ワイヤーソーを中心として粉末成形体をY−Z軸方向(周方向)に移動させるための制御ユニットとを備えていてもよい。
前記粉末成形体(又は一次成形体)は、必要に応じてバインダーを用い、原料粉末を圧縮成形した成形体であればよく、柔らかくて脆いチョーク状の成形体であってもよい。粉末成形体は、粉末冶金での焼結前の成形体、例えば、超硬合金粉末成形体などであってもよい。このような粉末成形体は、下記(a)(b)及び(c)から選択された少なくとも1つの特性を有していてもよい。
(a)硬度0.01〜1GPa
(b)密度3〜10g/cm
(c)抗折力0.1〜50MPa
前記硬度は、JIS Z 2244に準じて測定荷重9.8Nで測定でき、前記密度は、物理的方法に測定した一次成形体の容積と重量とから算出できる。また、抗折力は、CIS(日本機械工具工業会(旧超硬工具協会)規格)026に規定する方法に従って測定できる。
本発明では、一次成形体としての粉末成形体をワイヤーソーで切断して二次成形体を製造する方法であって、ワイヤーソーをX軸方向に走行させ、このワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持した粉末成形体を、Y軸方向及びZ軸方向のうち少なくともY軸方向に相対的に移動させ、粉末成形体を切断して二次成形体を製造する方法(又は切断方法)も包含する。
このような方法において、粉末成形体をY軸方向に移動させて粉末成形体の一方の端面から他方の端面までスライス(又は切断)する操作を少なくとも1回行い、厚みの薄いシート状又はプレート状の二次成形体を製造してもよい。また、ワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持した粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させ、三次元立体形状の二次成形体を切り出し(又は刳り抜いて)てもよい。例えば、粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させ、ワイヤーソーによる連続した形態(一筆書きの形態)の切断軌跡で複数の二次成形体を切り出し(又は切断し)てもよく、二次成形体は、一筆書きの要領で、切断軌跡を形成することにより粉末成形体から切り出してもよい。また、ワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持した粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させ、複数の三次元立体形状の二次成形体をY軸方向に隣接させて切り出してもよい。
より具体的には、本発明の方法は、(A)ワイヤーソーに対して、粉末成形体を少なくともY軸方向に前進動させて粉末成形体の第1の切断開始部から所定の第1の基点にまで粉末成形体を切断加工する第1の横方向切断工程(少なくとも横方向に切断加工する工程)と、
(B)第1の基点への切断部の到達の後(又は到達に応答して)、粉末成形体を少なくともY軸方向に前進動させつつY軸方向及びZ軸方向に移動させ、二次成形体の断面外形線(断面形状)の少なくとも一部の外形線に対応する切断軌跡で粉末成形体を切断加工するための立体切断工程と、
(C)第1の横方向切断工程と立体切断工程とを1つの切断サイクルとし、この切断サイクルを、粉末成形体を少なくともY軸方向に前進動させつつ、Y軸方向に繰り返し、少なくとも前記第1の基点に戻る複数の切断軌跡を形成して、複数の二次成形体をY軸方向に隣接させて粉末成形体を切断加工するための繰返し工程と、
(D)最終切断サイクルの立体切断工程の後、二次成形体を分離回収する工程とを含んでいてもよい。
なお、粉末成形体を異なる高さ位置で切断加工し、Z軸方向に間隔をおいて、Y軸方向に隣接して形成された複数の二次成形体の列が形成された形態で、複数列の二次成形体を形成してもよい。例えば、前記工程で粉末成形体を切断加工した後、以下の(H1)又は(H2)の態様で粉末成形体を異なる高さ位置で切断加工してもよい。
(H1)粉末成形体をZ軸方向に移動させ、粉末成形体の第1の切断終点部と異なる高さ位置を第2の切断開始部として粉末成形体をY軸方向に後退動させ、切断サイクルを逆方向に繰り返し、粉末成形体の第2の切断終点部に至るまで横方向に切断加工する
(H2)ワイヤーソーとの接触を回避して、粉末成形体をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させ、粉末成形体の第1の切断開始部側にワイヤーソーを位置(初期位置)させ、第1の切断開始部と異なる高さ位置を第2の切断開始部として、粉末成形体をY軸方向に前進動させ、切断サイクルを順方向に繰り返し、粉末成形体の第2の切断終点部に至るまで横方向に切断加工する
本発明は、さらに、前記方法で生成した二次成形体を焼結し、焼結体を製造する方法も包含する。この焼結体は超硬合金であってもよい。
なお、本明細書中、「X軸方向」は横方向、「Y軸方向」は奥行き方向、「Z軸方向」は高さ方向と同義に用いる。また、「粉末成形体」を、バインダーを除去した予備焼結体(又は仮焼結体)も含め、粉末圧縮成形体、一次成形体という場合があり、「粉末成形体」から切断又は切り出しなどにより生成した成形体を「二次成形体」といい、この「二次成形体」を予備成形体という場合がある。
本発明では、ワイヤーソーを利用し、少なくとも横方向(X軸方向)に粉末成形体(一次成形体)を切断加工するため、切断した二次成形体が倒れることがなく、二次成形体を安定に製造でき、超硬合金などの所定の焼結体を効率よく製造できる。さらに、粉末成形体(一次成形体)をY−Z方向に移動可能であるため、粉末成形体から、非平板状(又は三次元立体形状)である二次成形体を効率よく切り出し(又は切断)できる。特に、一次成形体が柔らかく脆く、しかも二次成形体が薄肉及び/又は小径部を有していても、転倒や落下を防止しつつ、二次成形体を損傷することなく精度よく切り出し(又は切断)可能である。さらに、ワイヤーソーで切断加工するため、高い歩留まり及び生産性で二次成形体及び焼結体を製造可能である。さらには、切断加工により生成した切粉又は粉塵が未焼結体であるため、切粉又は粉塵を有効に再利用できる。
図1は本発明のワイヤーソー装置を説明するための概略正面図である。 図2は図1に示す装置の概略側面図である。 図3は図1に示す装置による粉末成形体の切断状態を示す概略斜視図である。 図4はワイヤーソーによる粉末成形体の切断軌跡を示す概略図である。 図5はワイヤーソーによる粉末成形体の他の切断軌跡と保持部材とを示す概略図である。
以下、必要により添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
図1〜3に示すワイヤーソー装置(加工装置)は、巻回されたワイヤーソー1を繰り出すための供給リール2と、このリールから繰り出されたワイヤーソーを巻き取るための巻き取りリール3と、供給リール2と巻き取りリール3との間に配設され、ワイヤーソー1をX軸方向(横方向)に案内するための一対の案内リール4,5とを備えており、一対の案内リール4,5と供給リール2及び巻き取りリール3との間には、それぞれガイドロール6a〜6dが配設されているとともに、巻き取りリール3側には、ワイヤーソー1の張力を調整するためのテンションプーリー7が配設されている。なお、一対の案内リール4,5間はワイヤーソー1がX軸方向(横方向)に走行可能な切断域を形成している。一対の案内リール4,5に隣接するガイドロール6a,6bは、テンションプーリーとして機能させてもよい。
なお、供給リール2及び巻き取りリール3には、それぞれトラバース機構(図示せず)が設けられており、供給リール2から巻き取りリール3に向かって正回転方向(順方向)にワイヤーソー1が走行可能であるとともに、所定長さのワイヤーソー1を巻き取った後、巻き取りリール3から供給リール2に向かって逆回転方向(逆方向)にもワイヤーソー1が走行可能である。
超硬合金粉末成形体10をワイヤーソー1で切断加工するため、前記粉末成形体10はテーブル(ワークテーブル)11に載置又は保持可能である。この例では、前記テーブル11には、粉末成形体10を前記テーブル11に位置決めするため保持部材12が配置されているとともに、テーブル11の周縁部(X軸及びY軸方向の端部)には、切粉を回収するための回収溝部13が形成されている。
前記テーブル(ワークテーブル)11は、X軸方向(横方向)に走行可能なワイヤーソー1に対して、Y軸方向(奥行き方向)及びZ軸方向(上下方向)に移動可能である。すなわち、テーブル11と支持台15との間には、Y軸方向に延びるガイド部14が介在し、Y軸方向に進退動させるための進退動手段(図示せず)により、ガイド部14に沿ってテーブル11が移動可能である。また、前記支持台15を上下動可能な上下動手段(昇降手段)(図示せず)により、ワイヤーソー1に対して粉末成形体10をZ軸方向に上下動可能である。なお、この例では、支持台15にはY軸方向に沿って一対のレール部14a,14aが形成され、前記テーブル11の底面には、一対のレール部14a,14a間の走行路に配置可能であり、Y軸方向に延びる走行部14bが形成され、一対のレール部14a,14aと走行部14bとでガイド部14を形成している。
この例では、支持台15を介して、上下動手段を備えた上下動ユニットの上に、進退動手段を備えた進退動ユニットが配置された形態を有し、上下動ユニット及び進退動ユニットの動作を制御するための制御ユニット(数値制御(NC)装置)により、テーブル11に載置又は保持された粉末成形体10の移動度及び移動方向(Y軸方向及び/又はZ軸方向)を制御している。なお、制御ユニットでは、慣用の駆動ユニット(例えば、多軸同期制御可能なサーボモータ及び/又はシリンダなど)を利用し、変数として数値を入力して形状加工可能なプログラム(マクロプログラム)に従って、テーブル11の動作を制御してもよい。
さらに、前記装置は、ワイヤーソー1による粉末成形体10の切断に伴って生成する粉塵を除去するため、エアーを吹き付け可能なノズル16も備えており、飛散した粉塵を回収するためのダクト(又は集塵ユニット)(図示せず)も備えている。
このような装置では、X軸方向(横方向)に走行するワイヤーソー1に対して、粉末成形体10をY軸方向(奥行き方向)及びZ軸方向(高さ方向)に移動できるため、加工液又は切削液を用いることなく、柔らかく脆い粉末成形体10から種々の形態の二次成形体を切り出すことができる。例えば、前記の例では、ワイヤーソー1を中心として、テーブル11をY軸方向に移動させる動作と、テーブル11を円弧状(又はリング状)にY−Z軸方向に移動させる動作とを繰り返すことにより、Y軸方向に複数の円柱状の二次成形体17を隣接させて切り出すことができる。しかも、切り出された二次成形体17は、円弧状切断部の受け面で支持されているため、損傷することなく、高い寸法精度で二次成形体17を製造できる。そのため、高い歩留まり及び生産性で二次成形体17を製造できる。しかも、ワイヤーソー1による切断で生成した粉塵を、ノズル16からのエアーで効率よく集塵ユニットに回収できるため、切粉による粉塵の飛散量が極めて少なく、切粉の飛散を著しく抑制できる。そのため、コバルトなどの特定化学物質を含む粉末成形体であっても、作業環境を大きく改善できる。また、集塵ユニット及び前記回収溝部13で回収した切粉を粉末成形体に有効に再利用することもできる。
なお、ワイヤーソーの走行路の形態は特に制限されず、粉末成形体の切断域においてワイヤーソーがX軸方向(横方向)に走行可能であればよい。テンションプーリーは、巻き取りリール3側に限らず、ワイヤーソーの走行路の適所に配設でき、一対の案内リール4,5に隣接するガイドロール6a,6bをテンションプーリーとして機能させてもよい。
なお、ワイヤーソーは、通常、ワイヤー芯線(本体)と、このワイヤー芯線に付着又は固着(電着)した砥粒(ダイヤモンド粒子、窒化ケイ素、アルミナなどの硬質砥粒)とで形成できる。ワイヤー芯線は、例えば、硬鋼線(ピアノ線)、ニッケル合金(Fe/Ni合金などの合金)、高融点金属(タングステン、モリブデンなど)、ナイロン(アラミド)繊維束などで形成してもよいが、通常、ピアノ線である場合が多い。ワイヤー芯線の平均径(線径)は特に制限されず、粉末成形体の種類、二次成形体の外形の精度などに応じて選択でき、例えば、0.01〜1mm、好ましくは0.05〜0.5mm(例えば、0.1〜0.3mm)、さらに好ましくは0.12〜0.25mm(例えば、0.15〜0.2mm)程度であってもよい。また、ワイヤーソーの平均線径は、例えば、0.1〜0.5mm、好ましくは0.15〜0.4mm、さらに好ましくは0.2〜0.3mm程度であってもよい。また、砥粒による研削を防止するため、プーリーやガイドロールのうち、ワイヤーソーとの接触部位(例えば、周面)は、例えば、ウレタンゴムやその発泡体などの軟質ゴム又は発泡体で被覆してもよい。
ワイヤーソーのテンション(張力)は、粉末成形体及びワイヤー芯線の種類などに応じて選択でき、例えば、30〜70N、好ましくは35〜65N、さらに好ましくは40〜60N(例えば、45〜55N)程度であってもよい。
なお、ワイヤーソーの正方向及び逆方向への往復走行(供給リール2の正回転方向及び逆回転方向)において、ワイヤーソーの芯線を少しずつ送り出し、ワイヤーソーのねじれを抑制してもよい。
超硬合金粉末成形体10などのように、自重が大きな粉末成形体では保持部材12は必ずしも必要ではない。また、保持部材12の形態は粉末成形体10と接触して粉末成形体10の移動を規制できる限り特に制限されず、テーブルに対して立設可能なピン状、板状又は角柱状などであってもよく、テーブルに対して横設可能な角柱状、枠状(コ字状など)などであってもよい。保持部材12は、テーブル11に対して固定又は仮固定可能な部材、例えば、金属などであってもよく、磁石などの脱着可能な手段で形成してもよい。
また、回収溝部13は必ずしも必要ではない。また、切粉を回収するための回収溝部13は、テーブル11のX軸方向及び/又はY軸方向の端部に形成してもよい。
粉末成形体から所定の形態の二次成形体を切断又は切り出すため、ワイヤーソーと粉末成形体(又はテーブル)とは、所定の方向に相対的に移動可能であればよく、通常、ワイヤーソーに対して、Y軸方向及びZ軸方向のうち少なくともY軸方向(特にY−Z軸方向)に、粉末成形体(又はテーブル)が移動可能である場合が多い。特に、少なくともY軸方向に粉末成形体(又はテーブル)を移動させると、切断面で切断した二次成形体を支持できるため、安定かつ高い精度で二次成形体を製造できる。
なお、テーブルのY軸方向及びZ軸方向への移動には、ガイド機構(ガイド部)、シリンダ機構などが利用でき、これらの機構の駆動には、モータ類(ステッピングモーター、サーボモータなど)、油圧などが利用できる。また、少なくとも二軸同期制御可能(例えば、多軸同期制御可能)なモータ類を利用し、制御ユニットにより、所定のプログラムに従って、テーブルをY軸方向及びZ軸方向に移動させてもよい。プログラム制御により、種々の形状の二次成形体を製造でき、高い歩留まり及び生産性で二次成形体を製造できる。
テーブル11と支持台15との間に介在するガイド部の形態は特に制限されず、支持台15に形成されたレール部(Y軸方向に延びるV溝状レール部などのレール部)と、前記テーブル11に形成され、前記レール部に沿って走行可能な走行部(前記V溝に対応した形態を有し、Y軸方向に延びる走行部など)とで形成できる。
粉末成形体(一次成形体)は、焼結されていないため、柔らかく脆いという特色がある。このような粉末成形体は、例えば、下記(a)(b)及び(c)から選択された少なくとも1つの特性(特に、全ての特性)を有している場合が多い。
(a)JIS Z 2244に準じて荷重9.8Nで測定した硬度0.005〜1GPa(例えば、0.001〜0.1GPa(例えば、0.01〜0.7GPa)、好ましくは0.03〜0.5GPa、さらに好ましくは0.05〜0.3GPa(例えば、0.1〜0.3GPa))程度
(b)物理的方法(X軸、Y軸及びZ軸方向の寸法)により測定又は算出した容積と重量とに基づいて算出した密度2〜10g/cm(例えば、3〜10g/cm、好ましくは3〜9g/cm(例えば、5〜8g/cm)、さらに好ましくは6〜7.5g/cm)程度
(c)CIS(日本機械工具工業会(旧超硬工具協会)規格)026に規定する方法に準じて測定した抗折力0.1〜50MPa(例えば、0.5〜25MPa、好ましくは0.7〜10MPa(例えば、1〜5MPa)、さらに好ましくは1〜3MPa)程度であってもよい。
粉末成形体(一次成形体)の種類は特に制限されず、粉末冶金に供される焼結前の成形体(圧縮成形体)、例えば、セラミック粉末成形体(アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などの金属窒化物などの金属ホウ化物、炭化ケイ素などの金属炭化物などの粉体の圧縮成形体など)、磁石粉末成形体(ネオジウムNd、プセセオシムPr、シスプロシウムDyなどの希土類元素を含む磁石粉末成形体など)、超硬合金粉末成形体などであってもよい。好ましい粉末成形体は、超硬合金粉末成形体である。
このような超硬合金粉末成形体(一次成形体)は、通常、炭化タングステンWCと、焼結により液相を形成し、結合相を形成する成分(コバルトCo及び/又はニッケルNiなど)とを含んでおり、必要により、炭素源C(カーボンブラック、カーボンナノコイル、カーボンナノチューブなど)を含んでいてもよく、不可避的に混入する成分を含んでいてもよい。前記結合相は、例えば、周期表第IV族元素(チタンTi、ジルコニウムZrなど)、第V族元素(バナジウムV、ニオブNb、タンタルTaなど)、VI族元素(クロムCr、モリブデンMo、タングステンWなど)、第VII族元素(マンガンMn、レニウムReなど)などを含んでいてもよい。好ましい結合相は少なくともコバルトを含んでいてもよい。
これらの成分は、粉粒状の形態を有している。炭化タングステンWCの平均粒子径は、例えば、0.1〜15μm(例えば、0.12〜12μm、好ましくは0.2〜10μm)程度であってもよく、コバルトCo及び/又はニッケルNiの平均粒子径は、溶融して結合相を形成するため、特に制限されず、例えば、0.1〜5μm(例えば、0.5〜3μm、好ましくは1〜2.5μm)程度であってもよい。また、コバルトCo及び/又はニッケルNiの割合は、超硬合金成分全体100重量部に対して、0〜40重量部、好ましくは0.5〜35重量部、さらに好ましくは1〜30重量部程度であってもよい。
バナジウムV及び/又はクロムCrの平均粒子径は、前記結合相に固溶するため、特に制限されず、例えば、0.1〜5μm(例えば、0.5〜3μm、好ましくは1〜2.5μm)程度であってもよい。周期表第IV族元素〜第VII族元素(バナジウムV及び/又はクロムCrなど)の割合は、超硬合金成分全体100重量部に対して、0〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.2〜2重量部程度であってもよい。
このような成分は、粉粒状の形態で、バインダー、特に加熱により除去可能なバインダー、例えば、パラフィン、ワックス又はロウなどの直鎖状又は分岐鎖状脂肪族炭化水素類、ポリエチレングリコールなどと、必要により、エタノールなどのアルコール類及び/又はベンジン類を添加して混合・乾燥し、圧縮成形してもよい。バインダーの割合は、粉粒体100重量部に対して0〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部(例えば、0.2〜7重量部)程度であってもよい。
このような混合物(粉末状混合物)を、圧縮成形することにより、前記粉末成形体(一次成形体)を調製できる。前記混合物の成形圧は、例えば、50〜200MPa、好ましくは75〜150MPa程度であってもよい。
このような圧縮成形体(粉末成形体)は、前記バインダーを含んでいてもよく、例えば、常圧又は減圧下、100〜1000℃(好ましくは300〜900℃、さらに好ましくは500〜800℃)程度で加熱して前記バインダーを除去し、バインダーを含まない粉末成形体(予備焼結体(又は仮焼結体))を調製してもよい。このような予備焼結体(又は仮焼結体)の表面の硬度は、未焼結体に比べて、若干大きくてもよい。
一次成形体(粉末成形体)は、肉厚状又はブロック状成形体である場合が多い。
本発明の方法では、ワイヤーソーをX軸方向に走行させ、このワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持した粉末成形体(一次成形体)を、Y軸方向及びZ軸方向のうち少なくともY軸方向に相対的に移動させ、粉末成形体を切断して二次成形体を製造できる。二次成形体の形態は特に制限されず、例えば、シート又はプレート状などの二次元形状であってもよく、ピン状又は棒状若しくは柱状(角柱状、丸棒状など)、断面無定形状の三次元立体形状などであってもよく、同一又は異なる所定断面形状部が連なった形態(ブロック部(角柱部、丸棒部など)が薄肉部で連なった形態、例えば、数珠状の形態など)などであってもよい。
例えば、粉末成形体(又はテーブル)をY軸方向に移動させて粉末成形体の一方の端面から他方の端面までスライス(切断)すると、ワイヤーソーの径が小さいため、極めて厚みの薄いシート状又はプレート状の二次成形体を製造できる。しかも、テーブルを+Y軸方向(前進方向)に移動させて一方の端面から他方の端面まで粉末成形体をスライス(切断)し、テーブルの高さ位置を変えて(Z軸方向に移動させ)、テーブルを−Y軸方向(後退方向)に移動させて他方の端面から一方の端面まで粉末成形体をスライス(切断)する操作を繰り返し、高さ方向(Z軸方向)の位置を変えて粉末成形体を横方向(Y軸方向)にスライスすると、極めて厚みが小さくても、スライスした二次成形体を積み重ね状態で平面的に支持できるため、安定かつ高い精度で二次成形体を高い生産性及び歩留まりで製造できる。例えば、従来では、工具幅(厚み)が0.7〜1mm程度と大きいため、厚み1.5mm程度のプレート状二次成形体しか製造できなかったものの、本発明では、厚み0.2〜0.6mm(例えば、0.3〜0.5mm)程度のプレート状二次成形体であっても、安定にしかも積み重ね状態で製造でき、二次成形体の生産性及び歩留まりを飛躍的に向上できる。
なお、テーブルのY軸方向の移動及びZ軸方向の移動を1つの切断サイクル(1スライスサイクル)としたとき、このサイクルは、少なくとも1回(好ましくは複数回)繰り返すことができ、前記サイクルを複数回に亘り繰り返す場合、例えば、テーブルの+Y軸方向の移動、Z軸方向の移動、及び−Y軸方向の移動を利用してもよい。
なお、プレス成形により薄肉シートを形成することも考えられる。しかし、プレス成形において、薄く均一な粉粒体の層を金型に形成することは至難の業であるだけでなく、脆く柔らかな薄肉シートを調製するには限界がある。これに対して、本発明では、粉末成形体(例えば、未焼結の一次成形体)が脆く柔らかであっても、薄物の二次成形体を容易に作製できる。
ワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持した粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させることにより、非平板状(又は三次元立体形状)の二次成形体を切り出すことができる。例えば、粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させ、二次成形体を規則性のない切断軌跡の形態、例えば、波形状又は屈曲状など形態で切断加工すると、互いに嵌合又は装着可能な合わせ面を有する一対の二次成形体を得ることもできる。
さらに、粉末成形体(又はテーブル)をY軸方向及びZ軸方向に移動させ、連続した形態(一筆書きの形態)のワイヤーソーによる切断軌跡で複数の二次成形体を切り出してもよい。すなわち、粉末成形体(又はテーブル)をY軸方向及びZ軸方向に移動させることにより、1つの粉末成形体から、種々の断面形状の二次成形体を規則的又は非規則的に切り出し又は製造できるとともに、1つの粉末成形体から、異なる断面形状(又は厚み)の二次成形体を規則的又は非規則的に切り出すこともできる。より具体的には、テーブルをY軸方向及びZ軸方向に移動させることにより、粉末成形体から、径の大小に拘わらず、棒状又は柱状体(角棒、丸棒など)などを切り出すことができる。特に、極細状の棒体(丸棒など)、例えば、直径0.5〜1.5mmΦ(例えば、0.5〜1mmΦ)程度の棒体も切り出すことができる。このような二次成形体の調製においても、二次成形体が粉末成形体の切断部で支持されているため、落下を防止しつつ、損傷することがない。
さらに、ワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持した粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させ、複数の三次元立体形状の二次成形体を規則的又は非規則的にY軸方向及び/又はZ軸方向に隣接させて切り出すこともできる。このような方向に隣接する二次成形体の形態は同一又は異なっていてもよい。
Y軸方向に隣接する二次成形体は、例えば、下記の第1の横方向切断工程(1)、立体切断工程(2)、繰返し工程(3)及び分離回収工程(4)とを含む方法により粉末成形体から切り出すことができる。
(1)ワイヤーソーに対して、粉末成形体を少なくともY軸方向に移動又は前進動させて粉末成形体の第1の切断開始部から所定の第1の基点にまで粉末成形体を切断する第1の横方向切断工程(例えば、所定の深さにまで少なくとも横方向に切断加工する工程)
(2)第1の基点を基点として(又は第1の基点への切断部の到達に応答して)、粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させ(例えば、少なくともY軸方向に前進動させつつY軸方向及びZ軸方向に移動させ)、二次成形体の断面外形線(断面形状)の少なくとも一部の外形線に対応する切断軌跡で粉末成形体を切断加工するための立体切断工程
(3)第1の横方向切断工程と立体切断工程とを1つの切断サイクルとし、この切断サイクルを、粉末成形体を少なくともY軸方向に前進動させつつ、Y軸方向に繰り返し、少なくとも前記第1の基点に戻る複数の切断軌跡(複数の閉じた軌跡又はループ状軌跡)を形成して、複数の二次成形体をY軸方向に隣接させて粉末成形体を切断加工するための繰返し工程
(4)最終切断サイクルの立体切断工程の後、二次成形体を分離回収する工程。
特に、粉末成形体をY軸方向に移動(前進及び/又は後退動)させるとともにZ軸方向に移動(上昇及び/又は下降)させながら、一筆書きの要領でワイヤーソーによる閉じた切断軌跡(複数の閉じた軌跡又はループ状軌跡)を形成すると、粉末成形体から二次成形体を効率よく切り出すことができる。なお、二次成形体の断面形状に対応して、ワイヤーソーを基準(又は中心)として粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させることにより、二次成形体を形成できる。
以下に、添付図面を参照して前記装置の動作及び切断方法(又は切り出し方法)について詳細に説明する。なお、図4では、丸棒状(断面円形状)の二次成形体を切り出す例を示している。図4(a)では、以下の態様(A)で複数の三次元立体形状の二次成形体をY軸方向に隣接させて切り出している。
態様(A)の方法は、(1a)実線で示されるように、ワイヤーソーに対して、粉末成形体10をY軸方向に前進動(+Y軸方向に移動)させて粉末成形体の第1の切断開始部21から所定の第1の基点22にまで粉末成形体10を横方向に切断加工する第1の横方向切断工程と、
(2a)第1の基点22へのワイヤーソーの切断部の到達の後、粉末成形体10をY軸方向に前進動させつつY軸方向及びZ軸方向に移動させ、二次成形体27の断面外形線(断面形状)に対応し、かつY軸方向において前記第1の基点22に対して対向する所定の第2の基点23に至る切断軌跡(この例では、第1の半円弧状軌跡)24で粉末成形体10を切断加工する第1の半閉じ状(又は半ループ状)切断工程と、
(3a)前記(1a)第1の横方向切断工程と(2a)第1の半閉じ状半ループ状切断工程とを1つの切断サイクルとし、この切断サイクルを、粉末成形体10をY軸方向に前進動させつつY軸方向に繰り返す第1の繰返し工程(前進方向繰り返し工程)と、
(4a)最終切断サイクルの(2a)第1の半閉じ状(半ループ状)切断工程で第2の基点23に到達した後、粉末成形体10をY軸方向に前進動させて、粉末成形体10の第1の切断終点部25に至るまで粉末成形体10を横方向に切断加工する第2の横方向切断工程とを備えている。
このような工程により、半閉じ状(又は半ループ状)の切断軌跡をY軸方向に隣接して形成できる(この例では、平坦な軌跡部を介して、第1の半円弧状がY軸方向に隣接した切断軌跡を形成している)。
さらに、このような工程の後、粉末成形体10をY軸方向に後退動させて、上記とは逆方向に半閉じ状(又は半ループ状)の切断軌跡を形成する工程を繰り返すことにより、複数の二次成形体27が切り出された形態の切断軌跡を形成できる。すなわち、
(5a)破線で示されるように、第2の横方向切断工程の後、粉末成形体10をY軸方向に後退動(−Y軸方向に移動)させて、第2の横方向切断工程の切断軌跡に沿って切断部を第2の基点23に移動させる工程と、
(6a)切断部が第2の基点23に到達した後、粉末成形体10をY軸方向に後退動させつつY軸方向及びZ軸方向に移動させ、二次成形体27の断面外形線に対応し、かつ第2の基点23から第1の基点22に戻る切断軌跡(この例では、前記第1の半円弧状軌跡と連なり、閉じループ状軌跡を形成する第2の半円弧状で軌跡)26で粉末成形体10を切断加工する第2の半閉じ状(半ループ状)切断工程と、
(7a)(4a)第2の横方向切断工程と(6a)第2の半閉じ状半ループ状切断工程とを1つの切断サイクルとし、この切断サイクルを、粉末成形体10をY軸方向に後進動させつつ繰り返す第2の繰返し工程(後退方向繰り返し工程)と、
(8a)最終切断サイクルの(6a)第2の半閉じ状半ループ状切断工程で第1の基点22に到達した後、粉末成形体10をY軸方向に後進動させて、第1の横方向切断工程の切断軌跡に沿って(粉末成形体10の第1の切断開始部に至るまで)粉末成形体10を横方向に移動させる工程とにより、複数の二次成形体27がY軸方向に隣接して切り出された粉末成形体10を形成できる。
(9a)このような工程を経て、二次成形体27がY軸方向に隣接して形成でき、粉末成形体10を切断面に沿って分離する分離工程により、損傷させることなく、二次成形体を分離回収できる。
なお、前記第1の横方向切断工程(1a)は第1の横方向切断工程(1)に対応し、第1の半閉じ状切断工程(2a)は立体切断工程(2)に対応し、第1の繰返し工程(3a)、第2の横方向切断工程(4a)、移動工程(5a)、第2の半閉じ状切断工程(6a)、第2の繰返し工程(7a)及び移動工程(8a)は繰返し工程(3)に対応し、(9a)分離工程は分離回収工程(4)に対応する。
なお、態様(A)では、第1の基点22と第2の基点23とを結ぶ基準線を中心として、粉末成形体10のY軸方向の前進動に伴って、一方の側(上側)に凸型(山形状)の形態で半閉じ状の第1の切断軌跡を隣接させて形成し、粉末成形体10のY軸方向の後退動に伴って、他方の側(下側)に凹型(谷状)の形態で半閉じ状の第2の切断軌跡を隣接させて形成し、第1の切断軌跡と第2の切断軌跡とでループ状の閉じた切断軌跡を形成しているが、閉じた切断軌跡の形成方法は特に制限されない。
図4(b)に示す態様(B)では、第1の基点22と第2の基点23とを結ぶ基準線を中心として、粉末成形体10のY軸方向の前進動に伴って、実線で示されるように、双方の側(上側及び下側)に波形(サインカーブ)の形態で半閉じ状の第1の切断軌跡24を隣接させて形成し、粉末成形体10のY軸方向の後退動に伴って、破線で示されるように、双方の側(上側及び下側)に波形(サインカーブ)の形態で半閉じ状の第2の切断軌跡26を隣接させて形成し、第1の切断軌跡と第2の切断軌跡とでループ状の閉じた切断軌跡を形成している。
なお、二次成形体は粉末成形体10のY軸方向の往復動により形成する必要はなく、粉末成形体10をY軸方向に前進動又は後退動させることにより形成してもよい。
図4(c)では、以下の態様(C)で複数の三次元立体形状の二次成形体をY軸方向に隣接させて切り出している。すなわち、態様(C)の方法は、(1b)ワイヤーソーに対して、粉末成形体10をY軸方向に前進動(+Y軸方向に移動)させて第1の切断開始部21から所定の第1の基点22にまで粉末成形体10を横方向に切断加工する第1の横方向切断工程と、
(2b)第1の基点22へのワイヤーソーの切断部の到達の後(又は到達に応答して)、粉末成形体10をY軸方向に前進動及び後退動させつつY軸方向及びZ軸方向に移動させ、二次成形体10の断面外形線(断面形状)に対応し、かつ前記第1の基点22に戻る閉じ形態の切断軌跡33で粉末成形体10を切断加工する閉じ状(ループ状)切断工程と、
(3b)(1b)第1の横方向切断工程と(2b)閉じ状(ループ状)切断工程とを1つの切断サイクルとし、この切断サイクルを、粉末成形体10をY軸方向に前進動させつつY軸方向に繰り返す繰返し工程と、
(4b)最終切断サイクルの(2b)閉じ状(ループ状)切断工程で第1の基点22に到達した後、粉末成形体10をY軸方向に前進動させて、粉末成形体10の第1の切断終点部25に至るまで粉末成形体10を横方向に切断加工する第2の横方向切断工程とを含んでいる。
なお、第2の横方向切断工程(4b)は分離回収工程(4)に含まれ、この分離回収工程(4)では、Y軸方向に隣接して形成された二次成形体27を粉末成形体10から抜き出すことにより、回収できる。
さらに、粉末成形体10に形成された切断部(切断軌跡)に沿って再度ワイヤーソーを移動させると、二次成形体の寸法精度が若干低下する可能性がある。このような場合、切断軌跡を重複させることなく、二次成形体を形成してもよい。
図4(d)では、以下の態様(D)で複数の三次元立体形状の二次成形体をY軸方向に隣接させて切り出している。態様(D)の方法は、(1c)ワイヤーソーに対して、粉末成形体10をY軸方向に前進動させて粉末成形体10の第1の切断開始部21から所定の第1の基点22にまで粉末成形体10を横方向に切断加工する第1の横方向切断工程と、
(2c)第1の基点22への切断部の到達の後(又は到達に応答して)、粉末成形体10をY軸方向に前進動(+Y軸方向に移動)させつつZ軸方向に移動(下降動)させるとともにY軸方向に後退動(−Y軸方向に移動)させつつZ軸方向に移動(上昇動)させ、二次成形体の断面外形線(断面形状)に対応し、かつ前記第1の基点22に戻る閉じ形態(この例では、円弧状、円形状又はループ状の形態)の切断軌跡24で粉末成形体10を切断加工する閉じ状(又はループ状)切断工程と、
(3c)前記第1の基点22への前記切断部の再到達の後(又は到達に応答して)、粉末成形体10をY軸方向に前進動させつつZ軸方向に移動(下降動)させ、Y軸方向において第1の基点22と対向し、かつ閉じ形態(円弧状の形態)の切断軌跡24の対向部よりも前方(+Y軸方向)に位置する所定の第2の基点23に至る半閉じ状(半ループ状)の切断軌跡28で粉末成形体10を切断加工する半閉じ状(又は半ループ状)切断工程とを含んでいる。
この例では、この半閉じ状(半ループ状)の切断軌跡28は、前記閉じ形態(円弧状の形態)の切断軌跡24の曲率半径よりも大きな曲率半径で形成されている。すなわち、(3c)半閉じ状切断工程では、二次成形体27の断面外形線に対応する閉じ形態の切断軌跡24と相似形であって、上側の切断軌跡24よりも上方向に外れた軌跡で半閉じ状(半ループ状)の切断軌跡28が形成されている。
さらに、態様(D)の切断方法では、(4c)前記第1の横方向切断工程と閉じ状(ループ状)切断工程と半閉じ状(半ループ状)切断工程とを1つの切断サイクルとし、この切断サイクルをY軸方向に繰り返す繰り返し工程と、(5c)最終切断サイクルの(3c)半閉じ状切断工程で前記切断部が前記第2の基点23に到達した後、粉末成形体10をY軸方向に前進動させて、粉末成形体10の第1の切断終点部25に至るまで粉末成形体10を横方向に切断加工する第2の横方向切断工程とを含んでいる。
前記態様(D)において、閉じ状(又はループ状)切断工程(3b)と半閉じ状(又は半ループ状)切断工程(3c)とで立体切断工程(2)を形成できる。
なお、前記態様(D)において、粉末成形体を、ループ状の形態で前記第1の基点に戻る閉じた形態の切断軌跡で切断して所定の形状の二次成形体を生成させるループ状切断工程と、前記切断部が第1の基点に戻った後、前記二次成形体のうち前記第1の基点に対してY軸方向の対向部にまで、前記ループ状切断軌跡に沿って又はループ状切断軌跡を外れた相似形の形態で切断加工する半ループ状切断工程と、この半ループ状切断工程の後、粉末成形体をY軸方向に移動又は前進動させて切断加工する第2の横方向切断工程とを含んでいてもよい。また、(3c)半閉じ状切断工程では、ループ状切断軌跡を外れた相似形の形態で切断加工してもよく、例えば、二次成形体27の断面外形線に対応する閉じ形態の切断軌跡24と相似形であって、切断軌跡24から外れた軌跡(例えば、下方向に外れた軌跡)で半閉じ状(半ループ状)の切断軌跡28を形成してもよい。
前記の例では、断面円形状の棒状体の形態で二次成形体を形成しているが、断面円形状に限らず、任意の形態、例えば、断面多角形、星形状、楕円形状などの形態で二次成形体を形成できる。
また、前記の例では、横方向への切断工程(第1及び第2の切断工程、第1の基点から第2の基点への切断工程)で、粉末成形体をY軸方向に移動させて直線的に切断しているが、少なくともY軸方向に粉末成形体を移動させればよく、Y軸方向に加えてZ軸方向に移動させて非直線的(蛇行又は湾曲などの形態)に切断してもよい。さらに、必要であれば、所定の二次成形体を切断加工した後、粉末成形体をZ軸方向に移動させてコ字状などの切断軌跡で隣接する二次成形体の切断軌跡に移行してもよい。
なお、切断軌跡は特に制限されず、複数の二次成形体の切断軌跡と、一方の二次成形体の切断軌跡から隣接する二次成形体へ切断軌跡が移行する移行切断軌跡とを備え、連続した形態の切断軌跡を形成する場合が多い。
さらに、粉末成形体では、前記複数の二次成形体をY軸方向に一列の形態で形成してもよく、複数列の形態で形成してもよい。例えば、前記切断サイクルをY軸方向に繰り返し、Y軸方向の第1の切断終点部(例えば、粉末成形体の第1の切断開始部に対して対向する切断終点部)に到達した後、以下の(H1)又は(H2)の態様で粉末成形体を異なる高さ位置で切断加工することにより、Y軸方向に隣接して形成された複数の二次成形体の列が、Z軸方向に間隔をおいて形成された形態で、複数列の二次成形体を形成できる。
(H1)粉末成形体をY軸方向に前進動させ、粉末成形体のうち一方の端面(切断開始部側)から他方の端面(切断終点部側)に向かって二次成形体を形成した後、粉末成形体をY軸方向に後退動させ、他方の端面から一方の端面に向かって二次成形体を形成する操作(切断サイクル)を繰り返す方法。この方法では、粉末成形体をZ軸方向(高さ)に移動させ、第1の切断終点部と異なる高さ位置を第2の切断開始部(粉末成形体のうち、第1の切断終点部と同じ端面であって第1の切断終点部とは高さ位置の異なる切断開始部)として粉末成形体をY軸方向に後退動させ、切断サイクルを逆方向に繰り返すことができる。
(H2)粉末成形体のうち一方の端面(切断開始部側)から他方の端面(切断終点部側)に向かって二次成形体を形成する操作(切断サイクル)を繰り返す方法。この方法では、粉末成形体をZ軸方向(高さ)に移動させ、ワイヤーソーとの接触を回避して粉末成形体をY軸方向に後退動及びZ軸方向に移動させ、第1の切断開始部側の側面のうち第1の切断開始部と異なる高さ位置を第2の切断開始部として、粉末成形体をY軸方向に前進動させ、切断サイクルを順方向に繰り返すことができる。
このような態様のうち態様(H1)を利用する場合が多い。
なお、上記の例では、粉末成形体のY軸方向に二次成形体を隣接させて切り出す例を中心に説明しているが、粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させて二次成形体を切り出せばよく、必要であれば、粉末成形体のZ軸方向(高さ方向)に二次成形体を隣接させて切り出してもよい。
さらに、本発明では、一筆書きの要領で、粉末成形体から不要部を切り抜き、中抜きの形態の二次成形体を製造することもできる。例えば、図5に示されるように、テーブル(図示せず)上の保持部材32で粉末成形体30を保持した状態で、粉末成形体30に形成された挿通孔31にワイヤーソー1を通し、粉末成形体30(及びテーブル)を、Y軸方向及びZ軸方向に移動させて、所定の四角枠を中心とし、この中心四角枠のコーナー部に四角枠の角部が隣接した幾何学形態の切断軌跡34で断面四角形状の複数の角柱状成形体37を切り出し、中空形態の成形体(抜き加工された二次成形体)38を得ることができる。この中空形態の成形体を焼結して焼結体とすることができる。
なお、前記挿通孔31をスタート孔として切断加工すると、切れ目なく抜き加工ができ、抜き加工された二次成形体を調製できる。このため、半導体などの金型のダイ形状に近づけることができ、精密加工するのに要する工数及び時間を短縮して、金型を精度よく形成できる。
このように、本発明では種々の形態の二次成形体を製造することができる。特に、一筆書きの要領又は様式で(又は連続的な切断軌跡で)粉末成形体を切断加工すると、二次成形体を効率よくしかも高い生産性で歩留まりよく製造できる。
粉末成形体から切り出された前記二次成形体を、必要により整形加工し、焼結することにより、焼結体を製造できる。二次成形体の焼結は、成形体の種類に応じて、慣用の方法、例えば、1000〜3000℃程度の温度で加熱することによりで行うことができる。例えば、磁石粉末成形体の二次成形体では、1000〜1300℃(例えば、1000〜1150℃)程度の温度で焼結でき、超硬合金粉末成形体の二次成形体では、例えば、1200〜1600℃(例えば、1250〜1550℃)程度の温度で焼結できる。焼結時間は、焼結装置に応じて、例えば、5分〜48時間(例えば、1〜24時間)程度であってもよい。なお、焼結は、減圧下(又は真空下)で行ってもよく、常圧下又は加圧下で行ってもよい。このような焼結により、寸法精度の高い焼結体を高い生産性及び歩留まりが製造できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
粉末状炭化タングステンWCと、粉末状コバルトCoと、パラフィンとを含む混合末のブロック状圧縮成形体(縦50×横100×高さ200mm)を減圧下、700℃に加熱し、パラフィンを除去し、粉末成形体を調製した。JIS Z 2244(測定荷重9.8N)で測定したとき、粉末成形体の硬度は0.23GPa、寸法に基づいて計算した容積と重量とから算出した粉末成形体の密度は7.0g/cm、CIS 026で測定した粉末成形体の抗折力は2.2MPaであった。
この粉末成形体を図1に示すテーブルに載置し、ピアノ線(平均径0.18mm)にダイヤモンド砥粒が電着したワイヤーソー(平均径0.25mm)を用い、図4(d)に示す切断軌跡で丸棒状の二次成形体(直径5mmΦ)を縦横方向に隣接させて形成した。なお、円弧状切断軌跡24と第2の基点23との距離は0.5mm、隣接する二次成形体において、第2の基点23と第1の基点22との距離は0.6mmに設定した。このような操作により、100本の丸棒状の二次成形体を1時間で調製できた。なお、従来の方法では、100本の丸棒状の二次成形体を調製するのに8時間を要していた。
得られた丸棒状の二次成形体を、真空下、1360℃で7時間焼結し、焼結体(超硬合金の打ち抜きパンチ)を調製した。この焼結体は、CIS(日本機械工具工業会(旧超硬工具協会)規格)027に規定する方法で測定したとき、硬度は1.75GPa、CIS(日本機械工具工業会(旧超硬工具協会)規格)028に規定する方法で測定した密度は14.7g/cm)、CIS(日本機械工具工業会(旧超硬工具協会)規格)026に規定する方法で測定した抗折力は3.2GPaであった。
実施例2
実施例1と同様にして調製した粉末成形体を、図1に示すテーブルに載置し、ピアノ線(平均径0.18mm)にダイヤモンド砥粒が電着したワイヤーソー(平均径0.25mm)をX軸方向に走行させ、粉末成形体をY軸方向(+Y軸方向)に前進動させながら、横方向にスライスした後、Z方向(高さ方向)に約0.6mm移動させて粉末成形体をY軸方向(−Y軸方向)に後退動させて横方向にスライスする操作を繰り返した。このようなスライス操作により、多数の厚み0.4mmのプレート状二次成形体を調製した。二次成形体は厚みが薄いにもかかわらず、欠けなどの損傷部が生成することなく調製できた。
得られたプレート状二次成形体を、実施例1と同様にして焼結し、焼結体(超硬合金の刃物)を調製した。この焼結体は、前記実施例1と同様の硬度、密度及び抗折力を有していた。
実施例3
実施例1において、図4(b)に示す切断軌跡で丸棒状の二次成形体の直径を0.8mmΦとする以外、実施例2と同様にして極細丸棒状の二次成形体を縦横方向に隣接させて形成した。得られた極細丸棒状の二次成形体を、実施例1と同様にして焼結し、焼結体(超硬合金の極細ピン)を調製した。この焼結体は、前記実施例1と同様の硬度、密度及び抗折力を有していた。
本発明は、粉末冶金の分野において、種々の形態の二次成形体を製造できるとともに、この二次成形体を焼結した焼結体を製造できる。この焼結体は、粉末成形体の種類に応じて、磁石、超硬合金などの用途に利用できる。超硬合金は、高い硬度及び強度を有し、切削、掘削、切断、圧延、耐摩耗性金型などのドリル、エンドミル、フライス、旋盤、ピニオンカッタなどの切削工具(自動車部品、エンジン部品、トランスミッション部品、ステアリング部金などの金属加工)、シールドマシンなどの掘削刃、打ち抜き金具などに広く利用できる。特に、薄肉状の二次成形体を調製できるとともに、丸棒状(極細丸棒状などを含む)などの柱状の二次成形体を形成でき、これらの二次成形体を焼結することにより、刃物などに適した薄肉の超硬合金、電子部品の打ち抜きパンチなどに適した柱状の超硬合金を調製できる。
1…ワイヤーソー
10…粉末成形体
11…テーブル
12,32…保持部材
21…第1の切断開始部
22…第1の基点
23…第2の基点
24,26,28,33,34…切断軌跡
25…第1の切断終点部
17,27,37…二次成形体

Claims (14)

  1. 粉末成形体をワイヤーソーで切断加工するための装置であって、X軸方向に走行可能なワイヤーソーと、このワイヤーソーに対して、Y軸方向及びZ軸方向のうち少なくともY軸方向に相対的に移動可能であり、かつ前記粉末成形体を載置又は保持可能なテーブルとを備えているワイヤーソー装置。
  2. X軸方向にワイヤーソーが走行可能な切断域と、この切断域において、ワイヤーソーに対してY−Z軸方向に移動可能なテーブルとを備えている請求項1記載の装置。
  3. ワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持された粉末成形体をY軸方向に進退動させるための進退動手段と、ワイヤーソーに対して粉末成形体をZ軸方向に上下動させるための上下動手段と、前記進退動手段と上下動手段とを制御し、ワイヤーソーを中心として粉末成形体をY−Z軸方向に移動させるための制御ユニットとを備えている請求項1又は2記載の装置。
  4. 粉末成形体が、下記(a)(b)及び(c)から選択された少なくとも1つの特性を有している請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
    (a)硬度0.01〜1GPa
    (b)密度3〜10g/cm
    (c)抗折力0.1〜50MPa
  5. 粉末成形体が超硬合金粉末成形体である請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
  6. 一次成形体としての粉末成形体をワイヤーソーで切断して二次成形体を製造する方法であって、ワイヤーソーをX軸方向に走行させ、このワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持した粉末成形体を、Y軸方向及びZ軸方向のうち少なくともY軸方向に相対的に移動させ、粉末成形体を切断して二次成形体を製造する方法。
  7. 粉末成形体をY軸方向に移動させて粉末成形体の一方の端面から他方の端面までスライスする操作を少なくとも1回行い、厚みの薄いシート状又はプレート状の二次成形体を製造する請求項6記載の方法。
  8. ワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持した粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させ、三次元立体形状の二次成形体を切り出す請求項6記載の方法。
  9. 粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させ、ワイヤーソーによる連続した形態の切断軌跡で複数の二次成形体を切り出す請求項6又は7記載の方法。
  10. ワイヤーソーに対して、テーブルに載置又は保持した粉末成形体をY軸方向及びZ軸方向に移動させ、複数の三次元立体形状の二次成形体をY軸方向に隣接させて切り出す請求項6〜9のいずれかに記載の方法。
  11. (1)ワイヤーソーに対して、粉末成形体を少なくともY軸方向に前進動させて粉末成形体の第1の切断開始部から所定の第1の基点にまで粉末成形体を切断加工する第1の横方向切断工程と、
    (2)第1の基点への切断部の到達の後、粉末成形体を少なくともY軸方向に前進動させつつY軸方向及びZ軸方向に移動させ、二次成形体の断面外形線の少なくとも一部の外形線に対応する切断軌跡で粉末成形体を切断加工するための立体切断工程と、
    (3)第1の横方向切断工程と立体切断工程とを1つの切断サイクルとし、この切断サイクルを、粉末成形体を少なくともY軸方向に前進動させつつ、Y軸方向に繰り返し、少なくとも前記第1の基点に戻る複数の切断軌跡を形成して、複数の二次成形体をY軸方向に隣接させて粉末成形体を切断加工するための繰返し工程と、
    (4)最終切断サイクルの立体切断工程の後、二次成形体を分離回収する工程とを含む請求項6〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 粉末成形体を異なる高さ位置で切断加工し、Z軸方向に間隔をおいて、Y軸方向に隣接して形成された複数の二次成形体の列が形成された形態で、複数列の二次成形体を形成する請求項11記載の方法。
  13. 請求項6〜12のいずれかに記載の方法で生成した二次成形体を焼結し、焼結体を製造する方法。
  14. 焼結体が超硬合金である請求項13記載の方法。
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