JP2006165300A - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細な加工を必要とする希土類焼結磁石を効率良く製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明の希土類焼結磁石の製造方法は、希土類磁石粉末をプレス成形することによって成形体を作製する工程と、成形体を仮焼結することによって仮焼結体を作製する工程と、仮焼結体を機械加工する工程と、仮焼結体を本焼結することによって焼結体を作製する工程とを包含する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の希土類焼結磁石の製造方法は、希土類磁石粉末をプレス成形することによって成形体を作製する工程と、成形体を仮焼結することによって仮焼結体を作製する工程と、仮焼結体を機械加工する工程と、仮焼結体を本焼結することによって焼結体を作製する工程とを包含する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、希土類焼結磁石の製造方法に関する。
希土類焼結磁石は、希土類磁石用合金(原料合金)を粉砕して形成した合金粉末をプレス成形した後、焼結工程、時効熱処理工程、および加工工程などを経て作製される。現在、希土類焼結磁石としては、希土類・コバルト系磁石と希土類・鉄・ホウ素系磁石の二種類が各分野で広く用いられている。なかでも希土類・鉄・ホウ素系焼結磁石(以下、「R−Fe−B系焼結磁石」と称する。Rは希土類元素およびイットリウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素、Feは鉄、Bはホウ素である)は、種々の磁石の中で最も高い磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されている。なお、Feの一部は、Coなどの遷移金属元素と置換されていても良い。また、ホウ素の半分までは炭素で置換されていても良い。
所望の形状を有する焼結磁石を作製するには、まず、R−Fe−B系希土類磁石粉末をプレス装置で圧縮成形することにより、最終的な磁石製品よりも大きいサイズの成形体を作製する。そして、成形体を焼結工程によって焼結体にした後、焼結体を研削加工し、所望の形状を付与することが行われている。例えば、まずブロック形状を有する焼結体を作製した後、その焼結体をブレードソーなどでスライスすることによって複数のプレート状焼結体片を切り出すことが行われている。
しかしながら、R−Fe−B系磁石などの希土類焼結磁石は極めて硬くて脆い上に、加工負荷が大きいため、高精度の研削加工は困難な作業であり、加工時間が長くかかる。このため、加工工程が製造コスト増加の重要な原因となっている。
そこで、焼結前の成形体(グリーン)を研削加工する方法が提案されている。例えば、特許文献1は、成形体の酸化を防止するため、鉱物油、合成油、または植物油中に成形体を浸漬した状態で、回転する加工刃で成形体を切断加工する方法を開示している。また、特許文献2は、ワイヤソーを用いて成形体を切断加工する方法を開示している。
特開平8−181028号公報
特開2003−303728号公報
しかしながら、上記特許文献1または特許文献2に記載されている成形体を加工する方法では、成形体が脆いために、微細な加工を施すことが難しい。例えば、直径が1mm程度以下の微細な孔を形成することが困難である。
また、良く知られているように希土類元素は非常に酸化され易いので、成形体を加工すると、大気中の酸素や水分と急激に反応し、磁気特性が劣化する。これを防止するためには、不活性ガス中で切断加工を行うなどの対策が必要となる。
さらに、磁界配向させた成形体を切断加工すると、切断面付近の磁石粉末の配向が乱れてしまい、磁気特性が低下することがある。
一方、焼結体は極めて硬いので、微細な加工を行うことが困難である。さらに、加工歪が生じると磁気特性が低下するので、加工表面の割合が大きい微小な焼結磁石では、所望の磁気特性を得ることが困難になるという問題もある。
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、微細な加工を必要とする希土類焼結磁石を効率良く製造する方法を提供することにある。
本発明の希土類焼結磁石の製造方法は、希土類磁石粉末をプレス成形することによって成形体を作製する工程と、前記成形体を仮焼結することによって仮焼結体を作製する工程と、前記仮焼結体を機械加工する工程と、前記仮焼結体を本焼結することによって焼結体を作製する工程とを包含することを特徴とする。
ある実施形態において、前記成形体を作製する工程は、成形体密度が5.0g/cm3以下の成形体を作製する工程である。
ある実施形態において、前記仮焼結体を作製する工程は密度が5.5g/cm3以上6.0g/cm3以下の仮焼結体を作製する工程である。
ある実施形態において、前記仮焼結体を作製する工程は800℃以上900℃以下の温度で仮焼結する工程を包含する。
ある実施形態において、前記仮焼結体を機械加工する工程は、ワイヤソーを用いて切削加工する工程を包含する。
ある実施形態において、前記仮焼結体を機械加工する工程は、ドリルを用いて加工する工程を包含する。
ある実施形態において、前記仮焼結体を機械加工する工程は、前記仮焼結体に孔を形成する工程を包含する。
ある実施形態において、前記孔の直径は1mm未満である。
ある実施形態において、前記焼結体から前記孔を含む部分を分離することによって焼結体片を作製する工程を包含する。
ある実施形態において、前記焼結体片を作製する工程は超音波加工によって行われる。
ある実施形態において、前記磁石粉末は、R−Fe−B系希土類磁石(Rは希土類元素およびイットリウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素)の粉末である。
本発明によると、仮焼結体を機械加工することにより、成形体では脆すぎて出来ない微細な加工や、焼結体では硬過ぎて出来ないあるいは効率が悪い微細な加工を、効率良く行うことが可能になる。例えば、直径が1mm程度以下の円筒形の希土類焼結磁石を効率良く製造することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明による希土類焼結磁石の製造方法の実施形態を説明する。以下の実施形態では、代表的な希土類焼結磁石であるR−Fe−B系希土類焼結磁石(例えばネオジム磁石)を例示するが、本発明はこれに限られない。
本発明による実施形態の希土類焼結磁石の製造方法は、図1に示すように、下記の工程(a)から工程(e)を包含する。
工程(a):希土類磁石粉末をプレス成形することによって成形体を作製する工程
工程(b):成形体を仮焼結することによって仮焼結体を作製する工程
工程(c):仮焼結体を機械加工する工程
工程(d):仮焼結体を本焼結することによって焼結体を作製する工程
工程(e):焼結体を複数の部分に分離することによって焼結体片を作製する工程
なお、工程(e)は省略することができる。
工程(b):成形体を仮焼結することによって仮焼結体を作製する工程
工程(c):仮焼結体を機械加工する工程
工程(d):仮焼結体を本焼結することによって焼結体を作製する工程
工程(e):焼結体を複数の部分に分離することによって焼結体片を作製する工程
なお、工程(e)は省略することができる。
工程(a)は、公知の方法によって作製された希土類磁石粉末を公知のプレス装置を用いて実行され、所定の形状の成形体を作製する。例えば、平板状の成形体を得る。
希土類磁石粉末は、例えば、鋳造法や急冷法(例えばストリップキャスト法)を用いて作製された合金塊を粗粉砕、微粉砕することによって得られる。プレス成形に供される希土類磁石粉末の平均粒径は、約1μm〜約10μmの範囲内にあることが好ましく、1.5μm〜7μmの範囲内にあることが好ましい。磁石粉末の表面には、必要に応じて、酸化の抑制および/または流動性やプレス成形性を改善するために潤滑剤が付与される。また、合金粉末を造粒することによって、流動性やプレス成形性を改善してもよい。異方性焼結磁石を作製する場合、プレス成形過程で希土類磁石粉末に配向磁界(例えば1.2T程度)が印加される。例えば、電動プレスを用い、約0.2MA/m〜4MA/mの磁界中で配向させつつ、0.2ton/cm2〜2.0ton/cm2(1.96×104kPa〜1.96×105kPa)の圧力で行なわれる。
プレス成形体の密度(成形体密度)は、R−Fe−B系希土類焼結磁石の真密度約7.5g/cm3に対して3.5g/cm3以上5.0g/cm3以下に設定することが好ましい。成形体密度が3.5g/cm3よりも低いと磁気特性が劣り、5.0g/cm3を超えると磁石粉末の配向度が低下するなどの問題が生じることがある。成形体密度は4.0g/cm3以上4.5g/cm3以下の範囲内にあることがさらに好ましい。
次に、得られた成形体を仮焼結する(工程(b))。仮焼結の条件は、5.5g/cm3以上6.0g/cm3以下(真密度に対する比率で0.73以上0.80以下)の仮焼結体が得られるように調整することが好ましい。なお本焼結後に得られる焼結体の密度は真密度にほぼ等しく、約7.5g/cm3である。仮焼結体の密度が5.5g/cm3(真密度に対する比率が0.73)よりも小さいと未焼結体(成形体)に近いので、酸化による磁気特性の低下が大きくなる、または、加工面(例えば切断面やドリル加工された孔の内面)付近の磁石粉末の配向乱れによる磁気特性の低下が大きくなることがある。一方、仮焼結体の密度が6.0g/cm3(真密度に対する比率が0.80)を超えると硬すぎるため、仮焼結体を用いる利点が十分に得られない。
仮焼結の温度は、希土類焼結磁石の組成に応じて適宜設定され得るが、R−Fe−B系希土類磁石の場合、800℃以上900℃以下の温度で仮焼結することが好ましい。この温度範囲であると、上記密度の仮焼結体を得ることができる。後に実施例を示して説明するように、仮焼結温度が800℃よりも低いと成形体に近く、仮焼結温度が900℃よりも高いと焼結体に近くなる。R−Fe−B系希土類磁石は、約900℃で液相が形成され始め、緻密な構造が形成される。すなわち、仮焼結温度は、液相が形成され始める温度以下で且つ液相が形成され始める温度よりも100℃以内に設定することが好ましい。これは、R−Fe−B系希土類磁石以下の希土類焼結磁石についても同様である。
次に、得られた仮焼結体を機械加工する(工程(c))。上述のように所定の密度をする仮焼結体は、適度な硬度を有しており、その結果、効率良く機械加工することができるとともに、微細な加工が可能である。さらに、加工面付近の磁石粉末の配向乱れの発生も抑制される。また、成形体よりも酸化され難いので、成形体のように不活性ガス雰囲気中あるいは潤滑液中で加工する必要は必ずしも無く、大気中で機械加工することもできる。ただし、酸化を出来るだけ抑制するために、加工部分に不活性ガスを噴きつけることが好ましい。
機械加工としては公知の装置を用いて種々の加工を行うことが出来る。切削・切断加工は、上記特許文献2に記載されているようにワイヤソーを用いると効率良く実行することができる。さらに、成形体よりも酸化の問題が発生し難いので、さらに簡単な構成で乾式で切断することができる。また、成形体に比べて切断抵抗を低くできるので、切削しろを小さくでき、微細な加工ができるとともに、材料の歩留まりも向上する。
表面に砥粒が固着されたワイヤを用いることが好ましい。ワイヤ芯線は、引っ張り強度の高い材料から形成されることが好ましく、例えば、硬鋼線(ピアノ線)、Ni−CrやFe−Niなどの合金、WやMoなどの高融点金属、またはナイロン繊維を束ねたものから形成される。また、ワイヤが太すぎると、切断代が大きくなるため、材料の歩留まりが低下してしまう。逆にワイヤが細すぎると、加工負荷によってワイヤが切断してしまうおそれがある。ワイヤの外径は、0.05mm以上3.0mm以下に設定されることが好ましい。より好ましいワイヤの外径は、0.1mm以上1.0mm以下である。
一方、砥粒はダイヤモンド、SiC、またはアルミナなどの高硬度材料から形成されていることが好ましく、その粒径は、典型的には10μm以上1000μm以下である。砥粒は、樹脂膜などの結合層によってワイヤ芯線の表面に固着されていることが好ましい。樹脂膜としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いてもよい。樹脂膜の厚さは、0.02mm〜1.0mm程度である。
なお、結合層として樹脂膜の代わりに金属膜などを用いて砥粒を固着してもよい。例えば、電着法(電気めっき法)によって砥粒を固着したワイヤ(「電着砥粒ワイヤ」と呼ばれることがある。)は、樹脂層で砥粒を固着したワイヤよりも砥粒の突き出し量(砥粒が結合層の表面から突出している部分の高さ)を大きく出来るので、切削屑(切り粉またはスラッジ)の排出性に優れるので好ましい。また、十分な強度が得られるのであれば、拠り線を用いてもよい。拠り線を用いると切削屑の排出性をさらに向上することが出来る。
また、ハイスドリル(高速度工具鋼で形成されたドリル)を用いて、仮焼結体に微細な孔を形成することができる。例えば、R−Fe−B系希土類磁石の焼結体は、硬過ぎて、直径1mm未満のハイスドリルで孔をあけることが出来ないが、仮焼結体は直径0.03mmのハイスドリルでアスペクト比(直径/深さ)が10〜15程度の孔を効率良くあけることができる。また、加工精度(孔の内面の面粗度)も±0.01mm程度得ることが可能で、真円度の高い孔を形成することが出来る。
希土類焼結磁石にこのように微細な孔を形成する方法としては、レーザー加工や放電加工が考えられる。レーザー加工は効率が悪い上に、アスペクト比が1.5を超える孔を形成することは困難であるのに対し、放電加工はアスペクト比が100程度の孔まで形成可能で、加工精度も±0.002mm程度まで得られるが、効率が悪く、コストが高く、量産に適用することは難しい。これに対して、本実施形態のように、仮焼結体の段階で機械加工を行えば、ハイスドリルのような一般的な工作機械を用いて加工できるので、量産性に優れる。仮焼結体の機械加工性については、後に実施例を示して詳述する。
次に、機械加工を施した仮焼結体を本焼結することによって焼結体を作製する(工程(d))。
本焼結は、それぞれ所定の条件で焼結すればよい。仮焼結を行わない場合と同じ条件で焼結すればよい。例えば、R−Fe−B系希土類焼結磁石の場合は、例えば約1000℃〜約1100℃の温度で、不活性ガス(希ガスや窒素ガス)雰囲気下、または真空中で、約1〜5時間焼結する。得られた焼結体を、さらに、例えば約450℃〜約800℃の温度で、約1〜8時間時効処理を施してもよい。
上述の工程を経て得られた焼結体を必要に応じて複数の部分に分離することによって焼結体片を作製する(工程(e))。
例えば、仮焼結体にハイスドリルで微細な孔を複数設けた場合、得られた焼結体から孔を含む部分を分離することによって、例えば円筒状の焼結体片を得ることができる。このように、焼結体(例えば平板状)から小さな焼結体片を分離する抜き加工には、超音波加工機を用いることが好ましい。超音波加工は比較的硬い材料の加工に適しており、±0.02mm程度の加工精度を得ることができる。例えば、直径が0.3mm〜0.5mmの孔を有し、外径が1mm〜2mm程度で、高さが2mm〜6mm程度の円筒型の焼結体片を得ることができる。
超音波加工機としては、例えば日本電子製の超音波加工機UM−150Dを好適に用いることが出来る。加工条件は、例えば、振動数16kHz、振幅30μm(P−P)で、工具としてSUSパイプ(パイプ内が打ち抜かれる)、砥粒としてボロンカーバイト(B4C)の粒子(平均粒径が約30μm〜約50μm)を用い、スラリー濃度は水道水に対して、1.0kg/10リットル程度である。なお、超音波加工機を用いて、孔をあけることも出来るが、上述したように、ドリルを用いる方が効率がよい。
(実施例)
以下、本発明の実施例を説明する。
以下、本発明の実施例を説明する。
(仮焼結体および焼結体の製造)
まず、成形体を作製するための希土類磁石粉末は、以下のようにして製造した。
まず、成形体を作製するための希土類磁石粉末は、以下のようにして製造した。
所定の組成を有する希土類合金の溶湯を調製し、ストリップキャスト法を用いて合金フレーク(急冷合金)を得た。この合金フレークを水素化粉砕法で粗粉砕した後、ジェットミルを用いて微粉砕することによって、FSSS粒径が約4.0μmの希土類磁石粉末を得た。ここでは、32.1質量%(Nd+Pr)、1.2質量%Dy、1.0質量%B、0.9質量%Co、0.2質量%Al、0.1質量%Cu、残部Feおよび不可避不純物の組成を有する希土類磁石粉末を用いた。
上記希土類磁石粉末を公知のプレス装置を用いてプレス成形することによって成形体を作製した。成形体は略直方体の形状を有し、そのサイズは縦30mm×横50mm×厚さ4.2mmであった。プレス圧力は0.8ton/cm2で、プレス方向に直交方向に0.96MA/mの配向磁界を印加した。成形体密度は4.3g/cm3であった。
成形体の焼結は、Ar雰囲気下で行った。焼結温度は、800℃から1045℃の範囲で行った。なお、1045℃は、通常の焼結温度であり、800℃から950℃の温度で焼結することによって得られた仮焼結体は、機械加工の後、1045℃で本焼結し、焼結体を得た。焼結時間は、仮焼結、本焼結ともに4時間とした。焼結温度と得られた仮焼結体A〜Dおよび焼結体(完全焼結体)の機械加工性の評価結果を下記の表1に示す。
(ワイヤソーによる仮焼結体の切断加工)
図2は、仮焼結体を切断するために用いられるワイヤソー装置10を示す概略構成図である。なお、ワイヤソー装置10は小型の試験機であるが、市販されているワイヤソー装置(例えば、都島製作所製のSWS−12)を用いて仮焼結体を切断することができる。勿論、ワイヤを多条に配設したワイヤソー装置を用いてもよい。
図2は、仮焼結体を切断するために用いられるワイヤソー装置10を示す概略構成図である。なお、ワイヤソー装置10は小型の試験機であるが、市販されているワイヤソー装置(例えば、都島製作所製のSWS−12)を用いて仮焼結体を切断することができる。勿論、ワイヤを多条に配設したワイヤソー装置を用いてもよい。
ワイヤソー装置10は、ワイヤ12が巻回され、回転軸が駆動モータ(不図示)に接続された巻きドラム102と、巻きドラム102から、ワークピース(被切断物)14を切断する切断部(切削部)104を介して再び巻きドラム102へとワイヤ12を案内する複数のプーリ106と、切断部104においてワイヤ12に向かってワークピース14を直線的に移動させる(一定の切断荷重で押し当てる)ことができる移動装置(不図示)とを備えている。
ワイヤソー装置10は、ワイヤ12の経路の途中に、テンション調節装置110を備えている。テンション調節装置110は、ワイヤ12が巻き掛けられた可動プーリ112に対して外側への付勢力Fを与えることによって、ワイヤ12に張力を付与し、これにより、ワイヤ12の弛みを防止することができる。さらに、テンション調節装置110は、ワークピース14の押し当てなどによってワイヤに所定以上の張力が働く場合には、上記付勢力Fに対抗して可動プーリ112が内側に移動することができるように構成されている。これにより、ワイヤ12に加えられる張力を緩和しながら、ワイヤ12がワークピース14に対して与える圧力を平衡に保つ。すなわち、ワークピース14に対して一定の圧力でワイヤ12の押し当てを行なうことができる。ワイヤ12に印加される張力は、15N〜35Nの範囲に設定することが好ましい。
ここでは、ワイヤ12は双方向に走行させる構成を採用した。典型的な実験条件では、ワイヤ12の走行速度を200m/minとし、15秒サイクルで走行方向を反転させた。また、ワイヤの張力は15N、切断荷重は2Nとした。
また、標準のワイヤ12として、ピアノ線の芯線径0.18mm、外径0.24mm、破断荷重7〜8.5kgf、ダイヤモンド砥粒の粒径40μm〜60μm(平均粒径42μm)、フェノール樹脂層の厚さ15μm〜30μmを用いた。
ワイヤソー装置10は、不活性ガス(例えば窒素ガス)を切削部104に供給するためのノズル114を有している。不活性ガスは、仮焼結体を冷却し、酸化を抑制する。
仮焼結温度が異なるサンプルを用意し、それぞれ上記の条件で切断した際の切断抵抗(ワイヤ走行方向Fx)を3分力ロードセル(図2に示すFx、FyおよびFzを測定可能なロードセル)を用いて測定した。測定結果を下記の表1に示す。
(ハイスドリルによる仮焼結体の孔あけ加工)
図4に示したように、各仮焼結体20(30mm×横50mm×厚さ4.2mm)に孔(貫通孔)22を形成した。ドリル径は0.5mm、ドリル回転数は3000rpmとした。ハイスドリルには、NACHI社製アクアドリルを用いた。
図4に示したように、各仮焼結体20(30mm×横50mm×厚さ4.2mm)に孔(貫通孔)22を形成した。ドリル径は0.5mm、ドリル回転数は3000rpmとした。ハイスドリルには、NACHI社製アクアドリルを用いた。
焼結温度が850℃の仮焼結体Cおよび800℃の仮焼結体Dは、送り速度30mm/minで孔あけできたのに対し、900℃で焼結した仮焼結体Bは、ドリルを破損することなく孔をあけるためには、送り速度を10mm/min以下にする必要があった。仮焼結温度が950℃の仮焼結体Aおよび完全焼結体は、上記の条件では孔あけできなかった。但し、ドリル径の太いドリル(例えば2.0mm以上)を用いれば、仮焼結体Aについては60mm/min程度の送り速度で孔あけ可能であるが、完全焼結体については、工業的に利用可能な送り速度で孔あけすることは不可能であった。
表1の結果に示したワイヤソーによる切断加工性および上述した孔あけ加工の結果からわかるように、焼結温度が800℃以上900℃以下、密度が5.5g/cm3以上6.0g/cm3以下の仮焼結体の機械加工性が優れている。特に、焼結温度が850℃以下、密度が5.8g/cm3以下の仮焼結体の機械加工性が優れている。焼結温度が850℃以下、密度が5.8g/cm3以下の仮焼結体は、直径が0.3mm以下の孔を形成することもできる。
磁気特性については、仮焼結体に機械加工を施した後、本焼結することによって得られた焼結体の方が、焼結体に機械加工を施したものよりも、優れた磁気特性を有する。これは、焼結体に機械加工を施すと加工歪が残るためである。
このように、仮焼結体を機械加工することにより、成形体では脆すぎて出来ない微細な加工や、焼結体では硬過ぎて出来ないあるいは効率が悪い微細な加工を、効率良く行うことが可能になる。また、磁気特性も焼結体に機械加工を施したものよりも高くなる。
本発明によると、微細な加工を必要とする希土類焼結磁石を効率良く製造することができる。例えば、孔の直径が1mm未満、さらには0.3mm以下の円筒形の希土類焼結磁石を得ることができる。このように小さな希土類焼結磁石は、マイクロモータ用の永久磁石や、携帯電話器などのバイブレータ用の永久磁石、さらには、カテーテルに挿入される永久磁石などとして好適に利用される。
10 ワイヤソー装置
12 ワイヤ
14 ワークピース(仮焼結体)
20 仮焼結体
22 孔
102 巻きドラム
104 切断部(切削部)
106 プーリー
110 テンション調節装置
114 ノズル(窒素ガス)
12 ワイヤ
14 ワークピース(仮焼結体)
20 仮焼結体
22 孔
102 巻きドラム
104 切断部(切削部)
106 プーリー
110 テンション調節装置
114 ノズル(窒素ガス)
Claims (11)
- 希土類磁石粉末をプレス成形することによって成形体を作製する工程と、
前記成形体を仮焼結することによって仮焼結体を作製する工程と、
前記仮焼結体を機械加工する工程と、
前記仮焼結体を本焼結することによって焼結体を作製する工程と、
を包含する希土類焼結磁石の製造方法。 - 前記成形体を作製する工程は、成形体密度が5.0g/cm3以下の成形体を作製する工程である、請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記仮焼結体を作製する工程は密度が5.5g/cm3以上6.0g/cm3以下の仮焼結体を作製する工程である、請求項1または2に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記仮焼結体を作製する工程は800℃以上900℃以下の温度で仮焼結する工程を包含する、請求項1から3のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記仮焼結体を機械加工する工程は、ワイヤソーを用いて切削加工する工程を包含する請求項1から4のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記仮焼結体を機械加工する工程は、ドリルを用いて加工する工程を包含する、請求項1から5のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記仮焼結体を機械加工する工程は、前記仮焼結体に孔を形成する工程を包含する、請求項6に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記孔の直径は1mm未満である、請求項7に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記焼結体から前記孔を含む部分を分離することによって焼結体片を作製する工程を包含する、請求項7または8に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記焼結体片を作製する工程は超音波加工によって行われる、請求項9に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記磁石粉末は、R−Fe−B系希土類磁石(Rは希土類元素およびイットリウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素)の粉末である請求項1から10のいずれかに記載の焼結磁石の製造方法。
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2004
- 2004-12-08 JP JP2004355236A patent/JP2006165300A/ja active Pending
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