以下、本件発明に係る観察光学系、結像レンズ系、観察光学系の調整方法、観察撮像装置、観察撮像システムの実施の形態を順に説明する。
1.観察光学系
1−1.レンズ構成
まず、本件発明に係る観察光学系の実施の形態を説明する。本件発明に係る観察光学系は、観察被写体側から順に対物レンズ系と、結像レンズ系とで構成され、対物レンズ系によって結像された観察被写体像を結像レンズ系により撮像素子の像面に結像させるための観察光学系であって、後述する所定の条件式を満足することを特徴とする。
ここで、当該観察光学系は、観察被写体と撮像素子の像面との間に、少なくとも1つの結像面を含むものとする。当該観察光学系において、最も被写体側に位置する結像面を第1の中間結像面と称したとき、対物レンズ系とは、観察被写体側からこの第1の中間結像面までに含まれるレンズにより構成されるレンズ系をいうものとする。また、本明細書において第1の中間結像面とは、対物レンズ系によって観察被写体像が結像される結像面、つまり対物レンズ系の結像面を指す。また、当該観察光学系において、結像レンズ系とは、この第1の中間結像面から撮像素子の像面との間に配置されるレンズにより構成されるレンズ系をいうものとする。
当該観察光学系では、対物レンズ系により第1の中間結像面において観察被写体像が一次結像される。この第1の中間結像面において結像された観察被写体像は、結像レンズ系により撮像素子の像面に再結像される。このように、対物レンズ系により観察被写体像を一次結像させることにより、最も観察被写体側に配置される対物レンズ系を構成するレンズの外径を大きくすることなく、高解像度の像高の大きな撮像素子(例えば、像高8mm以上の大型の撮像素子)にも対応可能な観察光学系を実現することができる。なお、以下において、便宜上、観察被写体と像面との間の結像面を中間結像面と称し、当該中間結像面に結像された観察被写体像を中間被写体像と称する場合がある。
当該観察光学系において、上記中間結像面は、平面であっても湾曲していても問題ないが、収差補正を良好に行うことができるという観点から、平面であることが好ましい。
当該観察光学系は、n個(但し、n≧1の整数)の中間結像面を含んでいてもよい。当該観察光学系に含まれる中間結像面の個数(n)は特に限定されるものではないが、当該観察光学系に含まれる中間結像面の数(n)が増加すると、収差補正上好ましくない。解像度の高い観察被写体像を撮像素子の像面に結像させるという観点から、当該観察光学系に含まれる中間結像面の個数(n)は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
また、当該観察光学系が被写体側から順に第1の中間結像面、第2の中間結像面、・・・第nの中間結像面を含む場合、第2の中間結像面から第nの中間結像面は結像レンズ系に含まれるものとする。
当該観察光学系が2以上の中間結像面を含む場合、各中間結像面間に配置されるレンズにより構成されるレンズ系をリレーレンズ系と称する。すなわち、第1の中間結像面から第2の中間結像面の間に配置されるレンズにより構成されるレンズ系、第2の中間結像面から第3の結像面の間に配置されるレンズにより構成されるレンズ系、・・・第n−1の結像面から第nの中間結像面の間に配置されるレンズにより構成されるレンズ系、をそれぞれリレーレンズ系と称する。当該観察光学系に2以上の中間結像面が含まれる場合、結像レンズ系は1以上のリレーレンズ系を有する。中間結像面が1つのときはリレーレンズ系を含まない。
なお、以下の実施の形態及び実施例では、当該観察光学系に複数のリレーレンズ系が含まれる場合、同じ構成のリレーレンズ系を複数配置する構成を例に挙げて説明するが、本件発明に係る観察光学系はこれに限定されるものではない。例えば、リレーレンズ系が複数配置される際に、倍率の異なるリレーレンズ系を配置することもできるし、異なるレンズ配置のリレーレンズ系を配置することもできる。
結像レンズ系に1以上のリレーレンズ系を含ませることにより、対物レンズ系を構成するレンズの外径を大きくすることなく、当該観察光学系の光路長を長くすることができる。この場合、対物レンズ系の小型化を図ったときも、十分な光路長が得られることから、生体内部等の細く長い狭小空間内に対物レンズ系を挿入して使用することが容易になり、これらの狭小空間の内部観察を良好に行うことが可能になる。但し、リレーレンズ系は無収差ではないため、結像レンズ系に含まれるリレーレンズ系の数が多くなり過ぎると結像性能が低下するため好ましくない。当該観点から、結像レンズ系に含まれるリレーレンズ系の数は1であることがより好ましい。
また、結像レンズ系は、光軸方向に移動可能なフォーカス群を有することが好ましい。そして、当該観察光学系では、結像レンズ系に含まれるフォーカス群を観察被写体の距離に応じて光軸方向に移動させることで合焦を行わせることが好ましい。
高解像度の撮像素子では画素ピッチが小さくなるため、そのような高解像度の撮像素子に対応させるためには当該観察光学系の回折限界の点からFナンバー(Fno)を小さくする必要がある。なお、焦点深度は、Fno×2×Pで表される。合焦位置が焦点深度からずれると、その撮像画像はいわゆるピンボケ画像と判断される。そのため、高解像度の像高の大きな撮像素子に対応可能な観察光学系とするには、観察被写体の距離が変動してもピント位置を焦点深度内に納めなければならない。そのため、結像レンズ系内にフォーカス群を設けることにより、観察被写体の距離に応じて、ピント位置を調整することができるため、ピンボケのない鮮明な輪郭の観察被写体像を得ることが容易になる。
1−2.条件式
以下、当該観察光学系が満足することが好ましい条件について説明する。
1−2−1.条件式(1)
当該観察光学系は、以下の条件を満足することを特徴とする。
4000 < Y/P×|β| < 32000 ・・・(1)
但し、
Y : 撮像素子の像面の対角長の半分の長さ
P : 撮像素子の像面における画素ピッチ
β : 結像レンズ系の横倍率
条件式(1)は、当該観察光学系の像側に設けられる撮像素子の大きさと、画素ピッチと、結像レンズ系の横倍率との関係を規定する式である。条件式(1)を満足する場合、高画素の大型の撮像素子にも対応可能な解像度が高く、小型の観察光学系を得ることができる。また、Fナンバーの小さい明るい光学系とすることができる。これらのことから、光量の少ない狭小空間の内部観察に適した対物レンズ系とすることができる。また、当該対物レンズ系により結像された中間被写体像を結像レンズ系により拡大して撮像素子の撮像面に結像させるようにしたときも、輪郭の鮮明な観察被写体像を得ることができる。
これに対して、条件式(1)の数値が上限値以上である場合、すなわち撮像素子の画素数に対して結像レンズ系の横倍率が大きくなり過ぎる。結像レンズ系が中間被写体像を拡大するとき、収差も同時に拡大される。そのため、良好な結像性能を維持するためには対物レンズ系における収差発生量を小さくする必要がある。しかしながら、対物レンズ系における収差発生量を小さくしようとすると、対物レンズ系の小型化を図ることが困難になる。
また、結像レンズ系の横倍率が大きくなりすぎると、Fナンバーの小さい明るい光学系を実現することが困難になる。この場合、回折限界によって高周波成分の解像性能が低くなるため、好ましくない。
一方、条件式(1)の数値が下限値以下である場合、すなわち撮像素子の画素数に対して結像レンズ系の横倍率が小さくなり過ぎると、高画素の大きな撮像素子に対応可能な解像度を実現しようとすると、対物レンズ系の小型化を図ることが困難になる。
上記効果を得る上で、条件式(1)の上限値は28000であることが好ましく、25000であることがより好ましく、22000であることがさらに好ましい。また、条件式(1)の下限値は5000であることが好ましく、6000であることがより好ましく、7000であることがさらに好ましい。
ここで、撮像素子の撮像面とは、当該観察光学系の像面に配置される撮像素子の撮像面をいう。但し、複数の撮像素子をその撮像面が互いに重ならないようにして上記像面に配置し、結像レンズ系の光路を分割プリズムにより分割して、各撮像素子の撮像面にそれぞれ投射するような場合、これらの複数の撮像素子全体で、一つの大きな撮像素子を用いたときと等価の機能を有する。このように複数の撮像素子を用いる場合、上記撮像素子の撮像面は、複数の撮像素子と等価とみなされる一つの大きな撮像素子の撮像面を意味するものとする。なお、画素ピッチとは、撮像面において互いに隣り合う画素の画素中心間隔として定義され、複数の撮像素子を画素をずらして配置した場合、当該画素ピッチは画素をずらした量と定義される。
また、当該観察光学系において、当該対物レンズ系は、正の屈折力を有するレンズと負の屈折力を有するレンズとが接合された接合レンズを少なくとも1枚有し、その接合面が負の屈折力を有することが好ましい。対物レンズ系がこのような接合レンズを有することにより、当該対物レンズ系で発生する色収差を小さくすることができる。条件式(1)を満足することにより、上述のとおり当該観察光学系は対物レンズ系の小型化を図っている。上記結像レンズ系の横倍率(β)が大きくなると、対物レンズ系で発生する縦収差は結像レンズ系の横倍率の二乗分、対物レンズ系で発生する横収差は当該結像レンズ系の横倍率の分だけ拡大されてしまう。そのため、対物レンズ系を上記接合レンズを少なくとも1枚含む構成とし、対物レンズ系において発生する色収差を小さくすることにより、条件式(1)の効果をより良好に得ることができ、当該観察光学系の高性能化及び小型化を図る上で好ましい。
1−2−2.条件式(2)
当該観察光学系は、以下の条件を満足することが好ましい。
50 < Y/P/Fno < 600 ・・・(2)
但し、
Fno : 当該観察光学系のFナンバー
上記条件式(2)は、撮像素子の大きさと、画素ピッチと、当該観察光学系のFナンバー(Fno)との関係を規定する式である。条件式(2)を満足する場合、少ないレンズ枚数で収差補正を良好に行うことができ、小型で解像度の高い観察光学系を得ることがより容易になる。
これに対して、条件式(2)の数値が上限値以上になると、すなわち、撮像素子の画素数に対して、当該観察光学系のFナンバーが小さくなり過ぎると、少ないレンズ枚数で収差補正を良好に行うことが困難になり、解像度の高い観察光学系を得ようとすると、当該観察光学系の小型化を図ることが困難になる。一方、条件式(2)の数値が下限値以下になると、すなわち、撮像素子の画素数に対して、当該観察光学系のFナンバーが大きくなり過ぎると、回折限界によって高周波成分の解像性能が低くなるため、好ましくない。
上記効果を得る上で、条件式(2)の上限値は500であることが好ましく、400であることがより好ましく、350であることがさらに好ましい。また、条件式(2)の下限値は52であることが好ましく、55であることがより好ましく、60であることがさらに好ましい。
1−2−3.条件式(3)
条件式(3)は、対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズに関する条件を規定した式である。条件式(3)の説明に先立ち、当該レンズの屈折力について説明する。当該観察光学系では、対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズが負の屈折力を有することが好ましい。対物レンズ系において、最も観察被写体側に配置されるレンズが負の屈折力を有する場合、当該対物レンズ系の広角化を図ることが容易になり、広い範囲の観察を可能としつつ、当該対物レンズ系を構成するレンズの外径の小型化を図ることができる。そのため、狭小空間の内部観察に適した対物レンズ系とすることができる。これと同時に、像面湾曲及びコマ収差の補正を良好に行うことができる。そのため、より高性能の観察光学系を実現することが可能になる。
但し、対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズは、負の屈折力を有すればよく、当該レンズは単レンズであってもよいし、正レンズと負レンズとを接合した接合レンズ等の複数のレンズを接合した接合レンズであってもよい。また、当該レンズの少なくとも一の面が非球面であると、歪曲収差や像面湾曲の補正をより良好に行うことができるため、好ましい。また、当該レンズの少なくとも一の面に回折格子構造が設けられていると、軸上色収差や倍率色収差の補正をより良好に行うことができるため、好ましい。
当該対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズが負の屈折力を有するとき、条件式(3)で表される以下の条件を満足することが好ましい。
−3.00 < fL1/ff < −0.80 ・・・(3)
但し、
fL1 :対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズの焦点距離
ff :対物レンズ系の焦点距離
なお、当該対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズが複数の単レンズを接合した接合レンズである場合、fL1は、当該接合レンズ全体の焦点距離をいうものとする。
条件式(3)は、対物レンズ系の焦点距離に対する、対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズの焦点距離の比を規定する式である。条件式(3)を満足する場合、対物レンズ系の焦点距離に対する当該レンズの焦点距離の比が適正な範囲内となり、最も観察被写体側に配置される当該対物レンズ系の小型化を実現することがより容易になる。また、歪曲収差、像面収差及びコマ収差の補正を行う上でも有効である。
これに対して、条件式(3)の数値が上限値以上になると、すなわち、当該対物レンズ系の焦点距離に対して、当該対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズの焦点距離が短くなるため、歪曲収差、像面収差及びコマ収差等の発生量が大きくなり、当該観察光学系の一層の高性能化を図る上で好ましくない。一方、条件式(3)の数値が下限値以下になると、すなわち、当該対物レンズ系の焦点距離に対して、当該対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズの焦点距離が長くなる。この場合、外径の大きなレンズを、当該対物レンズ系において最も観察被写体側に配置する必要が生じるため、対物レンズ系の小型化を図ることが困難になり、好ましくない。
上記効果を得る上で、条件式(3)の上限値は−0.85であることが好ましく、−0.90であることがより好ましく、−0.95であることがさらに好ましく、−1.00であることが最も好ましい。また、条件式(3)の下限値は−2.50であることが好ましく、−2.00であることがより好ましく、−1.80であることがさらに好ましい。
1−2−4.条件式(4)
当該観察光学系は、以下の条件を満足する所定のレンズを少なくとも1枚有することが好ましい。
1.86 < Nd ・・・(4)
但し、
Nd : d線における屈折率
条件式(4)は、当該観察光学系に含まれる少なくともいずれか1枚のレンズに関する式である。条件式(4)を満足するレンズは屈折率が大きく、屈折力の大きなレンズとすることができ、ペッツバール和を改善することができる。そのため、条件式(4)を満足する所定のレンズを少なくとも1枚含ませることにより、当該観察光学系の一層の高性能化が容易になる。なお、当該観察光学系が少なくとも1枚の当該所定のレンズを含むことが好ましく、対物レンズ系、結像レンズ系のいずれに当該所定のレンズが含まれていてもよい。また、当該観察光学系は複数の当該所定のレンズを含んでいてもよい。
上記効果を得る上で、条件式(4)の下限値は1.90であることが好ましく、1.91であることがより好ましく、1.94であることがさらに好ましく、2.00であることが最も好ましい。
当該観察光学系が上記所定のレンズを含むとき、当該所定のレンズは負の屈折力を有することが好ましい。当該観察光学系は観察被写体像を撮像素子の像面に結像するため、当該観察光学系は全体で正の屈折力を有する。従って、当該観察光学系に含まれる負の屈折力は、当該観察光学系に含まれる正の屈折力よりも弱い。そのため、上記条件式(4)を満足するレンズを、負の屈折力を有するレンズとすることにより、ペッツバール和をより良好にすることができ、当該観察光学系の一層の高性能化を実現することがより容易になる。
1−2−5.条件式(5)
当該観察光学系は、以下の条件を満足することが好ましい。
0.10 < ff/|f| < 0.45 ・・・(5)
但し、
ff: 対物レンズ系の焦点距離
f : 当該観察光学系全系の合成焦点距離
条件式(5)は、当該観察光学系全系の合成焦点距離の絶対値に対する当該対物レンズ系の焦点距離の比を規定した式である。当該条件式(5)は、結像レンズ系の横倍率(β)の逆数を表している。条件式(5)を満足する場合、高解像度の像高の大きな撮像素子用の観察光学系としたときも、対物レンズ系を小型化することが容易になり、狭小空間の内部観察等に適した観察光学系を実現することがより容易になる。
これに対して、条件式(5)の数値が上限値以上である場合、すなわち結像レンズ系の横倍率が小さくなると、高解像度の像高の大きな撮像素子に対応させるときに、対物レンズ系の小型化を図ることが困難になるため、好ましくない。一方、条件式(5)の数値が下限値以下である場合、すなわち結像レンズ系の横倍率が大きくなると、高解像度の像高の大きな撮像素子に対応させたときも、対物レンズ系の小型化を図ることは容易になるが、当該観察光学系のFナンバーが大きくなり、明るい光学系を実現することが困難になる。また、この場合、回折限界によって高周波成分の解像性能が低くなるため、好ましくない。
上記効果を得る上で、条件式(5)の上限値は0.40であることが好ましく、0.35であることがより好ましく、0.32であることがさらに好ましく、0.30であることが最も好ましい。また、条件式(5)の下限値は0.11であることが好ましく、0.12であることがより好ましく、0.15であることがさらに好ましい。
1−2−6.条件式(6)
結像レンズ系が上記リレーレンズ系を備える場合、当該リレーレンズ系が以下の条件を満足することが好ましい。
0.9 < |βr| ・・・(6)
但し、
βr : リレーレンズ系の横倍率
条件式(6)は、リレーレンズ系の横倍率を規定するための式である。条件式(6)を満足する場合、リレーレンズ系の横倍率が適正な範囲内となり、対物レンズ系が第1の中間結像面において結像した中間被写体像をリレーレンズ系を含む結像レンズ系により、収差を拡大し過ぎたり、Fナンバーを小さくし過ぎることなく、撮像素子の撮像面に良好に結像させることができる。
これに対して、条件式(6)の数値が下限値以下になると、対物レンズ系により第1の中間結像面に結像された中間被写体像をリレーレンズ系が縮小しすぎてしまう。そのため、高解像度の像高の大きな撮像素子に対応させるには、当該観察光学系においてリレーレンズ系よりも像側に配置されるレンズ系、すなわち対物レンズ系の横倍率を大きくする必要がある。その場合、収差の拡大やFナンバーが小さくなるため、当該観察光学系の高性能化を図る上で好ましくない。
上記効果を得る上で、条件式(6)の上の下限値は0.92であることが好ましく、0.95であることがより好ましく、0.99であることがさらに好ましい。
1−2−7.条件式(7)
条件式(7)は、当該観察光学系のフォーカス群に関する条件を規定した式である。上述したとおり、当該観察光学系では、結像レンズ系がフォーカス群を有することが好ましい。結像レンズ系がフォーカス群を有する場合、当該フォーカス群が以下の条件を満足することが好ましい。
0.2 < |{(1−(βf×βf)}×βs×βs| < 12.0 ・・・(7)
但し、
βf : フォーカス群の横倍率
βs : フォーカス群より前記像面側に配置されるレンズ群の合成横倍率
条件式(7)は、結像レンズ系に含まれるフォーカス群のピント敏感度を規定するための式である。条件式(7)を満足する場合、ピント位置を調整するためのフォーカス群の移動量が適正な範囲内となり、被写体にピントの合った輪郭の鮮明な観察被写体像を得ることができると共に、当該観察光学系の小型化を図ることがより容易になる。
これに対して、条件式(7)の数値が上限値以上になると、ピント位置の位置ズレを調整するときの、フォーカス群の移動量が大きくなり過ぎるため、迅速な合焦動作を行うことが困難になると共に、当該観察光学系の高性能化を図る上で好ましくない。また、フォーカス群の移動量が大きくなると、当該フォーカス群を駆動するための駆動機構も大型化する。そのため、当該観察光学系の小型化を図ることが困難になるため、好ましくない。一方、条件式(7)の数値が下限値以下になると、ピント位置の位置ズレを調整するときの、フォーカス群の移動量は僅かで済む。そのため、迅速な合焦動作を行う上では有利であるが、フォーカス群の位置制御を高精度で行う必要があるため好ましくない。
上記効果を得る上で、条件式(7)の上限値は10.0であることが好ましく、8.0であることがより好ましく、6.0であることがさらに好ましい。また、条件式(7)の下限値は0.3であることが好ましく、0.5であることがより好ましく、0.7であることがさらに好ましい。
1−2−8.条件式(8)
当該観察光学系では、対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズが以下の条件を満足することが好ましい。
0.70 < CrL1r/ff < 2.50 ・・・(8)
但し、
CrL1r: 前記対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズの像側面の曲率半径
条件式(8)は、当該対物レンズ系の焦点距離に対する対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズの像側面の曲率半径の比に関する式である。条件式(8)を満足する場合、対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズの像側面が像面側に対して適正な曲率の凹面となる。その結果、像面湾曲やコマ収差の発生量を抑制することができ、当該観察光学系の高性能化及び小型化を図ることがより容易になる。
これに対して、条件式(8)の数値が上限値以上になると、すなわち当該対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズの像画面が像面側に対して曲率の小さな凹面となる。そのため、広い範囲の観察が可能になるように当該観察光学系の広角化を図ろうとすると、当該対物レンズ系を構成するレンズの外径を大きくする必要があり、当該観察光学系の小型化を図る上で好ましくない。一方、条件式(8)の数値が下限値以下になると、すなわち当該対物レンズ系において最も観察被写体側に配置されるレンズの像画面が像面側に対して曲率の大きな凹面となる。そのため、像面湾曲やコマ収差の発生量が大きくなり、これらの補正が困難になり、当該観察光学系の高性能化を図る上で好ましくない。
上記効果を得る上で、条件式(8)の上限値は2.30であることが好ましく、2.10であることがより好ましく、1.90であることがさらに好ましい。また、条件式(8)の下限値は0.75であることが好ましく、0.80であることがより好ましく、0.90であることがさらに好ましい。
2.結像レンズ系
次に、本件発明に係る結像レンズ系について説明する。本件発明に係る結像レンズ系は、対物レンズ系によって結像された観察被写体像を撮像素子の像面に結像させるためのレンズ系であって、以下の条件を満足することを特徴とする。なお、当該結像レンズ系は、上記本件発明に係る観察光学系を構成する結像レンズ系であってもよく、上記本件発明に係る観察光学系を構成する対物レンズ系によって結像された観察被写体像を撮像素子の像面に結像させるためのレンズ系であってもよい。
2.28 < |β| < 12.0 ・・・(9)
但し、
β : 結像レンズ系の横倍率
条件式(9)は、当該結像レンズ系の横倍率を規定する式である。条件式(9)を満足する場合、対物レンズ系によって結像された観察被写体像(中間被写体像)を高画素の大型の撮像素子の像面に良好に結像させることができる。そのため、当該結像レンズ系を含む観察光学系を、高解像度であり、且つ、小型の観察光学系とすることができる。また、Fナンバーの小さい明るい光学系とすることができる。これらのことから、対物レンズ系の小型化を図ることが容易になり、対物レンズ系を光量の少ない狭小空間の内部観察に適した小型のレンズ系とすることができる。
これに対して、条件式(9)の数値が上限値以上である場合、すなわち結像レンズ系の横倍率が大きくなり過ぎる。結像レンズ系が中間被写体像を拡大するとき、収差も同時に拡大される。そのため、良好な結像性能を維持するためには対物レンズ系における収差発生量を小さくする必要がある。しかしながら、対物レンズ系における収差発生量を小さくしようとすると、対物レンズ系の小型化を図ることが困難になる。
また、結像レンズ系の横倍率が大きくなりすぎると、Fナンバーの小さい明るい光学系を実現することが困難になる。この場合、回折限界によって高周波成分の解像性能が低くなるため、好ましくない。
一方、条件式(9)の数値が下限値以下である場合、すなわち結像レンズ系の横倍率が小さくなり過ぎると、高画素の大きな撮像素子に対応可能な解像度を実現しようとすると、対物レンズ系の小型化を図ることが困難になる。
上記効果を得る上で、条件式(9)の上限値は10.0であることが好ましく、9.0であることがより好ましく、8.0であることがさらに好ましい。また、条件式(9)の下限値は2.5であることが好ましく、2.8、3.0、3.3と数値が大きくなるほどに好適になる。
以上に述べてきた当該観察光学系は、以下の条件を満足することがより好ましい。
11.08 ≦ TL/Y ≦ 33.33 ・・・(10)
但し、
TL : 当該観察光学系の最も観察被写体側の面から像面までの長さ
Y : 前記像面の対角長の半分の長さ
3.観察光学系の調整方法
次に、本件発明に係る観察光学系の調整方法について説明する。本件発明に係る観察光学系の調整方法は、上記観察光学系において空気間隔を調整することで製造誤差によって発生する誤差量を小さくすることを特徴とする。
高解像度の撮像素子では画素ピッチが小さくなるため、焦点深度が浅く、許容錯乱円が小さくなる。そのような高解像度の撮像素子では、観察光学系に要求される収差許容量が小さくなる。上記対物レンズ系や結像光学系は複数のレンズから構成されるが、レンズ加工やレンズ枠の加工の際、レンズ枠にレンズを組み付ける際などに生じる誤差に起因して収差が発生する。このような誤差に起因する収差により、撮像面に結像される観察被写体像の画質低下が生じる。そこで、対物レンズ系又は結像レンズ系を構成する各レンズ、或いは、対物レンズ系と結像レンズ系との間など、当該観察光学系を構成するレンズ間の空気間隔を調整することで製造誤差によって発生する誤差量を小さくすることで、高性能な観察光学系を得ることができる。
ここで、製造誤差によって発生する誤差量とは、バックフォーカスの誤差、球面収差、像面湾曲、色収差等のことをいう。また、空気間隔を調整するとは、製造誤差を考慮しない場合の設計値から空気間隔を変更することをいう。当該観察光学系を構成するレンズのうち、どのレンズ間の空気間隔を調整してもよく、その調整箇所や調整個数、調整方法、調整回数は任意に決定することができる。
また、本件発明に係る観察光学系の調整方法は、上記観察光学系に含まれるレンズのうち、少なくとも1つのレンズを偏芯させることで製造誤差によって発生する誤差量を小さくすることを特徴とする。
空気間隔を調整する場合と同様に、当該観察光学系に含まれるレンズのうち、少なくとも1つのレンズを偏芯させることにより、製造誤差によって発生する誤差量を小さくすることができ、高性能な観察光学系を得ることができる。
ここで、製造誤差によって発生する誤差量とは、製造誤差によって発生する偏芯誤差量をいい、具体的にはアキシャルコマ、片ボケ、像高誤差、色ズレ等をいう。また、少なくとも1つのレンズを偏芯させるとは、当該観察光学系を構成するレンズのうち、少なくとも1つのレンズを光軸に対して傾けることなどを意味する。偏芯させるレンズの位置、偏芯させるレンズの調整個数、偏芯方法、偏芯回数、偏芯させる際のレンズの回転中心等は任意に決定することができる。
4.観察撮像装置
次に、本件発明に係る観察撮像装置について説明する。本件発明に係る観察撮像装置は、上記本件発明に係る観察光学系と、当該観察光学系の像側に撮像素子とを備え、当該観察光学系によって形成された観察被写体像を撮像素子により画像データに変換することを特徴とする。
ここで、撮像素子に特に限定はなく、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子を用いることができる。当該固体撮像素子の解像度や大きさについて特に限定されるものではないが、本件発明に係る観察光学系は、高解像度の像高の大きい固体撮像素子に好適であるため、当該固体撮像素子はフルハイビジョン以上の解像度であることが好ましく、4K以上の解像度であることがより好ましく、8K以上の解像度であることがさらに好ましい。
当該観察撮像装置は、静止画像を取得するデジタルスチルカメラとして構成されていてもよいし、動画を取得するデジタルビデオカメラとして構成されていてもよい。本件発明に係る観察光学系は解像度が高いため、顕微鏡撮像装置等の微細な被写体を観察するための観察撮像装置として好適である。また、本件発明に係る観察光学系は、最も観察被写体側に配置される対物レンズ系を極めて小型に構成することが可能であるため、例えば、生体内等の人が直接入ることのできない狭小空間の内部観察を行うために用いる観察撮像装置としても好適である。また、当該観察撮像装置は、観察光学系が筐体に固定されたレンズ固定式の観察撮像装置であってもよいし、観察光学系の全部又は一部(例えば、対物レンズ系等)が取り外し自在に構成されたレンズ交換式の撮像装置であってもよい。
5.観察撮像システム
次に、本件発明に係る観察撮像システムについて説明する。本件発明に係る観察撮像システムは、上記本件発明に係る観察撮像装置を含む観察撮像システムであって、上記観察撮像装置により生成された観察被写体像に関する画像データを電気的に加工する画像処理部を有することを特徴とする。
当該観察撮像システムは、モニタ等の画像出力装置を備えていてもよく、観察撮像装置において取得した観察被写体画像に関する画像データを画像出力装置に出力し、多くの人が同時に観察被写体像を細部まで観察できるようにした観察システムであることが好ましい。
上記本件発明に係る観察光学系において、広角化と小型化とを実現した場合、像形状の歪みが生じやすくなる。そこで、当該観察撮像システムにおいて、上記画像データに対して像形状の歪みを電気的に加工する画像処理部を設けることにより、像形状の歪みの少ない観察被写体画像を画像出力装置等に出力させることができる。なお、画像処理部は、像形状の歪みを補正するための補正用データを予め記憶した記憶部と、観察撮像装置において取得された画像データと、補正用データとを関連づけて、画像データを補正する演算処理部(CPU)等を備えていることが好ましい。
ここで、上記画像処理部は、観察撮像装置が取得した観察被写体像に関する画像データのうち、歪曲収差に関するデータを電気的に加工することが好ましい。画像処理部において、歪曲収差に関するデータを電気的に加工することができれば、対物レンズ系において、最も観察被写体側に負の屈折力を有するレンズを配置し、当該観察光学系の広角化を図ったときに、当該最も観察被写体側に配置されたレンズに強い負の屈折力を持たせたときも画像処理部において歪曲収差の小さい画像データを生成することができる。そのため、当該最も観察被写体側に小型で強い負の屈折力を有するレンズを配置することができ、当該観察光学系の広角化及び小型化を図ると共に、観察被写体像を歪みなく画像出力装置等に表示させることができる。
また、上記画像処理部は、観察撮像装置が取得した観察被写体像に関する画像データのうち、倍率色収差に関するデータを電気的に加工することが好ましい。画像処理部において、倍率色収差に関するデータを電気的に加工することができれば、色収差の小さい観察被写体像を画像出力装置等に表示させることができる。そのため、観察光学系を構成するレンズ枚数を削減することが可能になり、当該観察光学系の小型化を図ることが容易にある。
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例の光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置(光学装置)に用いられる撮像光学系としての観察光学系であり、特に、顕微鏡や、狭小空間の内部観察を行うための観察撮像装置に好ましく適用することができる。また、各レンズ断面図において、図面に向かって左方が観察被写体側(物体側)、右方が像面側である。
(1)観察光学系の構成
図1は、本件発明に係る実施例1の観察光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該観察光学系は、観察被写体側から順に、対物レンズ系G1と、リレーレンズ系Rを含む結像レンズ系G2とから構成されている。当該観察光学系では、対物レンズ系G1により、中間被写体像が第1の中間結像面MIPに結像される。この中間被写体像は、結像レンズ系G2において、第2の中間結像面MIPにリレーレンズ系Rにより結像された上で、撮像素子の像面IPに結像される。結像レンズ系G2には、当該リレーレンズ系Rの他、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、光軸に沿って物体側に移動するフォーカス群を有している。なお、図1(a)には、リレーレンズ系RをブロックRとして表示し、図1(b)にリレーレンズ系Rのレンズ構成を示している。リレーレンズ系Rの観察被写体側及び像面側に表示する光軸に直交する細長いラインは、それぞれ観察被写体側から順に、第1の中間結像面MIP、第2の中間結像面MIPを示している。また、図1(a)において、「CG」はカバーガラス等である。これらの点は、他の実施例においても同じであるため、以下では説明を省略する。
対物レンズG1は、観察被写体側から順に、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1と、両凹形状の負レンズL2と両凸形状の正レンズL3とを接合した接合レンズと、開放Fナンバーを決定するための開口規制面Sと、両凸形状の正レンズL4と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL5とを接合した接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6と両凸形状の正レンズL7とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL8から構成されている。
結像レンズ系G2は、観察被写体側から順に、リレーレンズ系Rと、両凸形状の正レンズL19と、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL20と、両凹形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22とを接合した接合レンズと、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL26と、平行平板であるL27と、物体側に凸面を向けた正レンズL28と、両凹形状の負レンズL29と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL30と、両凸形状の正レンズL31と、両凹形状の負レンズL32と、両凸形状の正レンズL33とから構成されている。
リレーレンズ系Rは、図1(b)に示すように、観察被写体側から順に、両凸形状の正レンズL9と、両凹形状の負レンズL10と両凸形状の正レンズL11とを接合した接合レンズと、両凹形状の負レンズL12と両凸形状の正レンズL13とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL14と両凹形状の負レンズL15とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL16と両凹形状の負レンズL17とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL18とから構成されている。
結像レンズ系G2において、両凸形状の正レンズL31が無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、光軸に沿って物体側に移動するフォーカス群である。
当該実施例では、結像レンズ系G2がリレーレンズ系Rを1つ含む。当該実施例において、リレーレンズ系Rを複数備える構成とすることができる。結像レンズ系G2に含まれるリレーレンズ系Rの数を増加させると、当該観察光学系の光路長を長くすることが出来るため、細く長い狭小空間の内部観察に適した観察光学系を得ることができる。
ここで、製造誤差によって像面湾曲が発生した場合には、例えばリレーレンズ系Rを光軸方向に移動させることで発生した像面湾曲を小さくすることが出来る。
また、製造誤差によって片ボケが発生した場合には、例えば、結像レンズ系G2に含まれるL32とL33を一体として光軸と垂直方向に移動させることで発生した片ボケを小さくすることが出来る。
本実施例において、撮像素子の像面IPにおける画素ピッチPは、2μmから8μmの範囲が好ましいが、本実施例の観察光学系は、この範囲以外の撮像素子にも適用可能である。
(2)数値実施例
次に、当該観察光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。本実施例の観察光学系のレンズデータを表1及び表2に示す。表1及び表2において、「面番号」は物体側から数えたレンズ面の順番、「r」はレンズ面の曲率半径、「d」はレンズ面の光軸上の間隔、「n」はd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、「ν」はd線に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、面番号の次の欄に表示する「S」開口規正面を表している。なお、各表中の長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。ここで、表1において、面番号「1」と「2」の欄には硝材が記載されていないが、図1に示す観察光学系において、最も観察被写体側に配置されるレンズL1を保護する等の目的で、当該レンズL1の観察被写体側にカバーガラスを挿入してもよい。これらのレンズデータに関する事項は他の実施例で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
また、表3に、当該観察光学系の光軸上の可変間隔、緒元表、各レンズ系/群の焦点距離を示す。可変間隔は、無限遠合焦時及び観察距離10cm、5cm、2.5cm、1cmの各合焦時における各レンズ面間の間隔を示している。緒元表において、「f」は当該観察光学系の無限遠合焦時における焦点距離(mm)、「Fno.」は当該光学系のFナンバー、「全長」は当該光学系の光学全長であり、第1面から像面までの距離(mm)である。また、「ω」は当該光学系の半画角(°)、「Y」は当該光学系の像高(mm)である。各レンズ系/群の焦点距離において、「対物レンズ系」は、対物レンズ系G1の焦点距離、「リレーレンズ系」は、リレーレンズ系Rの焦点距離、「前側レンズ群」は、リレーレンズ系Rと、フォーカス群との間に配置されるレンズにより構成される前側レンズ群の焦点距離、「フォーカス群」はフォーカス群の焦点距離、「後側レンズ群」はフォーカス群と像面との間に配置されるレンズにより構成される後側レンズ群の焦点距離、「結像レンズ系」は結像レンズ系G2全体の焦点距離である。「面番号」は、各レンズ系/群に含まれる上記面番号を示す。また、各条件式(1)〜条件式(9)の数値を表18に示す。これらの表に関する事項は他の実施例で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
図2に当該光学系の無限遠合焦時における縦収差図及を示す。各縦収差図において、図面に向かって左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を表している。球面収差を表す図では、縦軸は開放Fナンバーとの割合、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線(波長λ=587.6nm)、点線がC線(波長λ=656.3nm)、1点鎖線がF線(波長λ=486.1nm)における球面収差を示す。非点収差を表す図では、縦軸は像高、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線に対するサジタル像面(ds)、点線がd線に対するメリジオナル像面(dm)を示す。歪曲収差を表す図では、縦軸は像高、横軸に%をとり、歪曲収差を表す。倍率色収差を表す図では、縦軸に画角、横軸に倍率色収差量をとり、点線がd線(波長λ=587.6nm)に対するC線(波長λ=656.3nm)の倍率色収差、1点鎖線がd線(波長λ=587.6nm)に対するF線(波長λ=486.1nm)の倍率色収差を示す。
これらの各図に関する事項は他の実施例で示す縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
(1)観察光学系の構成
図3は、本件発明に係る実施例2の観察光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該観察光学系は、観察被写体側から順に、対物レンズ系G1と、リレーレンズ系Rを含む結像レンズ系G2とから構成されている。当該観察光学系では、対物レンズ系G1により、中間被写体像が第1の中間結像面MIPに結像される。この中間被写体像は、結像レンズ系G2において、第2の中間結像面MIPにリレーレンズ系Rにより結像された上で、撮像素子の像面IPに結像される。結像レンズ系G2には、当該リレーレンズ系Rの他、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、光軸に沿って物体側に移動するフォーカス群を有している。なお、図3(a)では、対物レンズ系G1とリレーレンズ系Rを上段に、リレーレンズ系Rの像面側のレンズ構成を下段に示している。
対物レンズ系G1は、観察被写体側から順に、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1と、両凹形状の負レンズL2と両凸形状の正レンズL3とを接合した接合レンズと、開放Fナンバーを決定するための開口規制面と、両凸形状の正レンズL4と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL5とを接合した接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6と両凸形状の正レンズL7とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL8とから構成されている。
結像レンズ系G2は、観察被写体側から順に、リレーレンズ系Rと、両凸形状の正レンズL19と、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL20と、両凹形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22とを接合した接合レンズと、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL26と、平行平板であるL27と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL28と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL29と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL30と、両凸形状の正レンズL31と、両凹形状の負レンズL32と、両凸形状の正レンズL33とから構成されている。
図3(b)に示すように、リレーレンズ系Rは、観察被写体側から順に、両凸形状の正レンズL9と、両凹形状の負レンズL10と両凸形状の正レンズL11とを接合した接合レンズと、両凹形状の負レンズL12と両凸形状の正レンズL13とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL14と両凹形状の負レンズL15とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL16と両凹形状の負レンズL17とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL18とから構成されている。
結像レンズ系G2において、両凸形状の正レンズL31が無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、光軸に沿って物体側に移動するフォーカス群である。
当該実施例では、結像レンズ系G2がリレーレンズ系Rを1つ含む。当該実施例において、リレーレンズ系Rを複数備える構成とすることができる。結像レンズ系G2に含まれるリレーレンズ系Rの数を増加させると、当該観察光学系の光路長を長くすることが出来るため、細く長い狭小空間の内部観察に適した観察光学系を得ることができる。
ここで、製造誤差によって像面湾曲が発生した場合には、例えばリレーレンズ系Rを光軸方向に移動させることで発生した像面湾曲を小さくすることが出来る。
また、製造誤差によって片ボケが発生した場合には、例えば、結像レンズ系G2に含まれるL32とL33を一体として光軸と垂直方向に移動させることで発生した片ボケを小さくすることが出来る。
本実施例において、撮像素子の像面IPにおける画素ピッチPは、2μmから8μmの範囲が好ましいが、本実施例の観察光学系は、この範囲以外の撮像素子にも適用可能である。
(2)数値実施例
次に、当該観察光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。本実施例の観察光学系のレンズデータを表4及び表5に示す。また、表6に、当該観察光学系の光軸上の可変間隔、緒元表、各レンズ群の焦点距離を示す。また、各条件式(1)〜条件式(9)の数値を表18に示す。さらに、図4に当該光学系の無限遠合焦時における縦収差図及を示す。
(1)観察光学系の構成
図5は、本件発明に係る実施例3の観察光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該観察光学系は、観察被写体側から順に、対物レンズ系G1と、第1のリレーレンズ系R1及び第2のリレーレンズ系R2を含む結像レンズ系G2とから構成されている。当該観察光学系では、対物レンズ系G1により、中間被写体像が第1の中間結像面MIPに結像される。この中間被写体像は、結像レンズ系G2において、第1のリレーレンズ系R1により第2の中間結像面MIPに、第2のリレーレンズ系R2により第3の中間結像面MIPにそれぞれ結像された上で、撮像素子の像面IPに結像される。結像レンズ系G2には、当該第1のリレーレンズ系R1及び第2のリレーレンズ系R2の他、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、光軸に沿って物体側に移動するフォーカス群を有している。なお、図5(a)では、対物レンズ系G1と第1のリレーレンズ系R1及び第2のリレーレンズ系R2を上段に、第2のリレーレンズ系R2の像面側のレンズ構成を下段に示している。また、図5(b)には、第1のリレーレンズ系R1のレンズ構成を示す。第2のリレーレンズ系R2のレンズ構成は、第1のリレーレンズ系R1と略同じであり、図示しないレンズL19〜L28により構成される。
対物レンズ系G1は、観察被写体側から順に、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1と、両凹形状の負レンズL2と両凸形状の正レンズL3とを接合した接合レンズと、開放Fナンバーを決定するための開口規制面と、両凸形状の正レンズL4と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL5とを接合した接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6と両凸形状の正レンズL7とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL8とから構成されている。
結像レンズ系G2は、観察被写体側から順に、第1のリレーレンズ系R1と、第2のリレーレンズ系R2と、両凸形状の正レンズL29と、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL30と、両凹形状の負レンズL31と両凸形状の正レンズL32とを接合した接合レンズと、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL33と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL34とを接合した接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL35と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL36と、平行平板であるL37と、物体側に凸面を向けた正レンズL38と、両凹形状の負レンズL39と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL40と、両凸形状の正レンズL41と、両凹形状の負レンズL42と、両凸形状の正レンズL43とから構成されている。
図5(b)に示すように、第1のリレーレンズ系R1は、観察被写体側から順に、両凸形状の正レンズL9と、両凹形状の負レンズL10と両凸形状の正レンズL11とを接合した接合レンズと、両凹形状の負レンズL12と両凸形状の正レンズL13とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL14と両凹形状の負レンズL15とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL16と両凹形状の負レンズL17とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL18とから構成されている。
図示は省略したが、第2のリレーレンズ系R2は、第1のリレーレンズ系R1と同様のレンズ構成を有し、観察被写体側から順に、両凸形状の正レンズL19と、両凹形状の負レンズL20と両凸形状の正レンズL21とを接合した接合レンズと、両凹形状の負レンズL22と両凸形状の正レンズL23とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL24と両凹形状の負レンズL25とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL26と両凹形状の負レンズL27とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL28とから構成されている。
結像レンズ系G2において、両凸形状の正レンズL41が無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、光軸に沿って物体側に移動するフォーカス群である。
当該実施例では、結像レンズ系G2が第1のリレーレンズ系R1及び第2のリレーレンズ系R2を含む。当該実施例において、リレーレンズ系を2つ備えているが、結像レンズ系G2に含まれるリレーレンズ系の数をさらに増加させると、当該観察光学系の光路長をより長くすることが出来るため、細く長い狭小空間の内部観察に適した観察光学系を得ることができる。また、リレーレンズ系の数を少なくすれば、より結像性能の高い観察光学系とすることができる。
ここで、製造誤差によって像面湾曲が発生した場合には、例えば第1のリレーレンズ系R1を光軸方向に移動させることで発生した像面湾曲を小さくすることが出来る。
また、製造誤差によって片ボケが発生した場合には、例えば、結像レンズ系G2に含まれるL42とL43を一体として光軸と垂直方向に移動させることで発生した片ボケを小さくすることが出来る。
本実施例において、撮像素子の像面IPにおける画素ピッチPは、2μmから8μmの範囲が好ましいが、本実施例の観察光学系は、この範囲以外の撮像素子にも適用可能である。
(2)数値実施例
次に、当該観察光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。本実施例の観察光学系のレンズデータを表7〜表9に示す。また、表10に、当該観察光学系の光軸上の可変間隔、緒元表、各レンズ群の焦点距離を示す。また、各条件式(1)〜条件式(9)の数値を表18に示す。さらに、図6に当該光学系の無限遠合焦時における縦収差図及を示す。
(1)観察光学系の構成
図7は、本件発明に係る実施例4の観察光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該観察光学系は、観察被写体側から順に、対物レンズ系G1と、第1のリレーレンズ系R1、第2のリレーレンズ系R2及び第3のリレーレンズ系R3を含む結像レンズ系G2とから構成されている。当該観察光学系では、対物レンズ系G1により、中間被写体像が第1の中間結像面MIPに結像される。この中間被写体像は、結像レンズ系G2において、第1のリレーレンズ系R1により第2の中間結像面MIPに、第2のリレーレンズ系R2により第3の中間結像面MIPに、第3のリレーレンズ系R3により第4の中間結像面MIPにそれぞれ結像された上で、撮像素子の像面IPに結像される。結像レンズ系G2には、当該第1のリレーレンズ系R1、第2のリレーレンズ系R2及び第3のリレーレンズ系R3の他、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、光軸に沿って物体側に移動するフォーカス群を有している。なお、図7(a)では、対物レンズ系G1と第1のリレーレンズ系R1、第2のリレーレンズ系R2及び第3のリレーレンズ系R3を上段に、第3のリレーレンズ系R3の像面側のレンズ構成を下段に示している。また、図7(b)には、第1のリレーレンズ系R1のレンズ構成を示す。第2のリレーレンズ系R2及び第3のリレーレンズ系R3のレンズ構成は、第1のリレーレンズ系R1と略同じであり、図示しないレンズL19〜L28、レンズL29〜L38によりそれぞれ構成される。
対物レンズ系G1は、観察被写体側から順に、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1と、両凹形状の負レンズL2と両凸形状の正レンズL3とを接合した接合レンズと、開放Fナンバーを決定するための開口規制面と、両凸形状の正レンズL4と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL5とを接合した接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6と両凸形状の正レンズL7とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL8とから構成されている。
結像レンズ系G2は、観察被写体側から順に、第1のリレーレンズ系R1と、第2のリレーレンズ系R2と、第3のリレーレンズ系R3と、両凸形状の正レンズL39と、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL40と、両凹形状の負レンズL41と両凸形状の正レンズL42とを接合した接合レンズと、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL43と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL44とを接合した接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL45と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL46と、平行平板であるL47と、物体側に凸面を向けた正レンズL48と、両凹形状の負レンズL49と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL50と、両凸形状の正レンズL51と、両凹形状の負レンズL52と、両凸形状の正レンズL53とから構成されている。
図7(b)に示すように、第1のリレーレンズ系R1は、観察被写体側から順に、両凸形状の正レンズL9と、両凹形状の負レンズL10と両凸形状の正レンズL11とを接合した接合レンズと、両凹形状の負レンズL12と両凸形状の正レンズL13とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL14と両凹形状の負レンズL15とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL16と両凹形状の負レンズL17とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL18とから構成されている。
図示は省略したが、第2のリレーレンズ系R2は、第1のリレーレンズ系R1と同様のレンズ構成を有し、観察被写体側から順に、両凸形状の正レンズL19と、両凹形状の負レンズL20と両凸形状の正レンズL21とを接合した接合レンズと、両凹形状の負レンズL22と両凸形状の正レンズL23とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL24と両凹形状の負レンズL25とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL26と両凹形状の負レンズL27とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL28とから構成されている。
第3のリレーレンズ系R3についても、図示は省略したが、第1のリレーレンズ系R1と同様のレンズ構成を有し、観察被写体側から順に、両凸形状の正レンズL29と、両凹形状の負レンズL30と両凸形状の正レンズL31とを接合した接合レンズと、両凹形状の負レンズL32と両凸形状の正レンズL33とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL34と両凹形状の負レンズL35とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL36と両凹形状の負レンズL37とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL38とから構成される。
結像レンズ系G2において、両凸形状の正レンズL51が無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、光軸に沿って物体側に移動するフォーカス群である。
当該実施例では、結像レンズ系G2が第1のリレーレンズ系R1、第2のリレーレンズ系R2及び第3のリレーレンズ系R3を含む。当該実施例において、リレーレンズ系を3つ備えているが、結像レンズ系G2に含まれるリレーレンズ系の数をさらに増加させると、当該観察光学系の光路長をより長くすることが出来るため、より細く長い狭小空間の内部観察に適した観察光学系を得ることができる。また、リレーレンズ系の数を少なくすれば、より結像性能の高い観察光学系とすることができる。
ここで、製造誤差によって像面湾曲が発生した場合には、例えば第1のリレーレンズ系R1を光軸方向に移動させることで発生した像面湾曲を小さくすることが出来る。
また、製造誤差によって片ボケが発生した場合には、例えば、結像レンズ系G2に含まれるL52とL53を一体として光軸と垂直方向に移動させることで発生した片ボケを小さくすることが出来る。
本実施例において、撮像素子の像面IPにおける画素ピッチPは、2μmから8μmの範囲が好ましいが、本実施例の観察光学系は、この範囲以外の撮像素子にも適用可能である。
(2)数値実施例
次に、当該観察光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。本実施例の観察光学系のレンズデータを表11、表12及び表13に示す。また、表14に、当該観察光学系の光軸上の可変間隔、緒元表、各レンズ群の焦点距離を示す。また、各条件式(1)〜条件式(9)の数値を表18に示す。さらに、図8に当該光学系の無限遠合焦時における縦収差図及を示す。
(1)観察光学系の構成
図9は、本件発明に係る実施例5の観察光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該観察光学系は、観察被写体側から順に、対物レンズ系G1と、リレーレンズ系Rを含む結像レンズ系G2とから構成されている。当該観察光学系では、対物レンズ系G1により、中間被写体像が第1の中間結像面MIPに結像される。この中間被写体像は、結像レンズ系G2において、第2の中間結像面MIPにリレーレンズ系Rにより結像された上で、撮像素子の像面IPに結像される。結像レンズ系G2には、当該リレーレンズ系Rの他、無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、光軸に沿って物体側に移動するフォーカス群を有している。
対物レンズ系G1は、観察被写体側から順に、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL1と、両凹形状の負レンズL2と両凸形状の正レンズL3とを接合した接合レンズと、開放Fナンバーを決定するための開口規制面と、両凸形状の正レンズL4と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL5とを接合した接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL6と両凸形状の正レンズL7とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL8とから構成されている。
結像レンズ系G2は、観察被写体側から順に、リレーレンズ系Rと、両凸形状の正レンズL19と、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL20と、両凹形状の負レンズL21と両凸形状の正レンズL22とを接合した接合レンズと、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24とを接合した接合レンズと、像面側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL26と、平行平板であるL27と、両凸形状の正レンズL28と、両凹形状の負レンズL29と、両凸形状の正レンズL30と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL31と、両凹形状の負レンズL32と、両凸形状の正レンズL33と、物体側に凸面を向けた正レンズL34とから構成されている。
図3(b)に示すように、リレーレンズ系Rは、観察被写体側から順に、両凸形状の正レンズL9と、両凹形状の負レンズL10と両凸形状の正レンズL11とを接合した接合レンズと、両凹形状の負レンズL12と両凸形状の正レンズL13とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL14と両凹形状の負レンズL15とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL16と両凹形状の負レンズL17とを接合した接合レンズと、両凸形状の正レンズL18とから構成されている。
結像レンズ系G2において、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL31と、両凹形状の負レンズL32とから構成されるレンズ群が無限遠物体から近距離物体への合焦の際に、光軸に沿って物体側に移動するフォーカス群である。
当該実施例では、結像レンズ系G2がリレーレンズ系Rを1つ含む。当該実施例において、リレーレンズ系Rを複数備える構成とすることができる。結像レンズ系G2に含まれるリレーレンズ系Rの数を増加させると、当該観察光学系の光路長を長くすることが出来るため、細く長い狭小空間の内部観察に適した観察光学系を得ることができる。
ここで、製造誤差によって像面湾曲が発生した場合には、例えばリレーレンズ系Rを光軸方向に移動させることで発生した像面湾曲を小さくすることが出来る。
また、製造誤差によって片ボケが発生した場合には、例えば、結像レンズ系G2に含まれるL33とL34を一体として光軸と垂直方向に移動させることで発生した片ボケを小さくすることが出来る。
本実施例において、撮像素子の像面IPにおける画素ピッチPは、2μmから8μmの範囲が好ましいが、本実施例の観察光学系は、この範囲以外の撮像素子にも適用可能である。
(2)数値実施例
次に、当該観察光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。本実施例の観察光学系のレンズデータを表15及び表16に示す。また、表17に、当該観察光学系の光軸上の可変間隔、緒元表、各レンズ群の焦点距離を示す。また、各条件式(1)〜条件式(9)の数値を表18に示す。さらに、図10に当該光学系の無限遠合焦時における縦収差図及を示す。