JP2017203764A - 光強度算出方法、プログラム及び光分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、LOTによる光分析装置におけるデータ揺らぎを抑制し、高精度な測定が可能な光強度算出方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】 光検出部を有する携帯型電子機器を有する光分析装置を用いて前記光検出部に入射した測定試料からの観測光の光強度を算出する光強度算出方法であって、前記光検出部に前記観測光を入射させる観測光入射ステップと、前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記録する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにおいて記録されたデジタル画像の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定する閾値決定ステップと、前記輝度値が前記閾値以上となるピクセルが占める領域を信号領域と決定する信号領域決定ステップと、前記信号領域の中の前記輝度値のみに基づいて前記観測光の光強度を算出する光強度算出ステップとを含む、光強度算出方法である。
【選択図】 図1
【解決手段】 光検出部を有する携帯型電子機器を有する光分析装置を用いて前記光検出部に入射した測定試料からの観測光の光強度を算出する光強度算出方法であって、前記光検出部に前記観測光を入射させる観測光入射ステップと、前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記録する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにおいて記録されたデジタル画像の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定する閾値決定ステップと、前記輝度値が前記閾値以上となるピクセルが占める領域を信号領域と決定する信号領域決定ステップと、前記信号領域の中の前記輝度値のみに基づいて前記観測光の光強度を算出する光強度算出ステップとを含む、光強度算出方法である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光強度算出方法、プログラム及び光分析装置に関し、特に、光検出部を有する携帯型電子機器を有する光分析装置を用いて前記光検出部に入射した測定試料からの観測光の光強度を算出する光強度算出方法等に関するものである。
近年、例えばシリコン、シリコーン、ガラスなどよりなる小さな基板上に、半導体微細加工の技術によってマイクロスケールの分析用チャネルなどを形成したマイクロチップよりなるマイクロリアクタを用いて微量の試薬の分離、合成、抽出、分析などを行う手法が注目されている。
このようなマイクロリアクタを用いた反応分析システムは、マイクロ・トータル・アナリシス・システム(以下、「μTAS」という。)と称されており、μTASによれば、試薬の体積に対する表面積の比が大きくなることなどから高速かつ高精度の反応分析を行うことが可能となり、また、コンパクトで自動化されたシステムを実現することが可能となる。
マイクロチップは、当該マイクロチップに設けられるマイクロチャンネルとも呼ばれる流路10に試薬が配置された反応領域、流体制御素子(マイクロポンプ、マイクロバルブ、マイクロミキサ、フィルタ、センサ)など各種機能を有する領域を設けて集積化することにより、様々な用途に適応させることが可能となる。
発明者らは、これまでマイクロチップを用いた光分析システムの開発を行ってきた。
図20を参照して、発明者らが開発した光分析システム101の構成について説明する(特許文献1参照)。図20は、光分析システム101を用いた光分析の概要を示す図であり、(a)は光分析に用いる検体を保持する様子の一例、(b)はタブレット端末上で光分析を行う様子の一例を示す図である。
光分析システム101を用いた光分析の前準備として、図20(a)に示すように、採取及び前処理済の検体を含む液体103をマイクロピペット105に保持する。続いて、図6(b)に示すように、液体103をマイクロピペット105で光分析システム101に滴下する。
光分析システム101は、タブレット端末107及びマイクロチップ109を備える。タブレット端末107は、ディスプレイ部111及びカメラ部113を備える。また、タブレット端末107は、図示しないが、演算機能及びディスプレイ表示画像制御機能を有する演算部、並びに、演算結果等を記憶する記憶部を内蔵する。マイクロチップ109は、タブレット端末107の表面に貼り付けて装着される。マイクロチップ109は、検体流入口115、流路117、検体流出口119、光導入部121、導光路123、及び、光導出部125を備える。
マイクロピペット105に保持された液体103は、検体流入口115に流入される。この液体は、流路117を検体流出口119に向かって流れる。光導入部121は、検体に照射される光源からの光を導入する。光導出部125は、導光路123を経て検体から放出される光(観測光)を、光検出部であるカメラ部113に放出する。演算部は、カメラ部113に入射した光を分析する。分析結果は、ディスプレイ部111のマイクロチップ109が重ならない部分127に表示される。光源としては、ディスプレイ部111からの光、又は、外部光源からの光が用いられる。
以下このような光分析システムをLOT(Lab On Tablet)と呼ぶことにする。上記のようなLOTの利点として、光源、測定部、光検出部、演算部、表示部を1つの処理装置に集約可能であることが挙げられる。処理装置が、タブレット端末やスマートフォンのような携帯可能な装置であれば、ポイントオブケアテスト(POCT)に対応可能となる。
また、マイクロチップに検体(流体)を光駆動可能な機構(光駆動式ポンプ)を組み込めば、マイクロチップを用いて受動的に流体駆動制御、検体の光分析を実施することが可能となる。さらに、マイクロチップは、安価に製造可能なのでディスポーザルに扱うこともできる。さらに、処理装置に通信機能を搭載させると、様々な検体の分析に応じた分析用ソフトウェアをダウンロード可能であり、多様多種な分析を1台の処理装置で実施可能となる。
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"GaussianFilter"、[online]、[平成28年12月6日検索]、インターネット〈URL:http://reference.wolfram.com/language/ref/GaussianFilter.ja.html〉
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従来の光測定装置とLOTによる光測定装置では、光検出部が大きく相違する。従来の光分析装置では、高精度な測定を行うためには、光電子増倍管のような高感度な光検出器が用いられる。一方、LOT光分析装置では、その携帯性を活かすために、タブレット端末やスマートフォンの内蔵カメラを光検出部とする。本来、これらの内蔵カメラは、複数の撮影画像の比較が主目的ではなく、景色や人物等を撮影し、個々のデジタル画像を記録することが主目的である。このような内蔵カメラで、観測光の光強度を測定するため、LOTによる光測定装置では、以下(1)から(3)のようなデータのばらつきが生じることがある。
(1)カメラ部内の画素ごとの感度揺らぎ(その結果、得られる画像情報にざらついたノイズが発生する)
(2)カメラ部の温度や通電時間による感度の揺らぎ(その結果、測定時刻の違いで像の強度が変化する)
(3)演算部によって出力画像に施される圧縮や補正に起因する揺らぎ
これらのデータ揺らぎにより、高精度な吸光度測定が困難であった。
(2)カメラ部の温度や通電時間による感度の揺らぎ(その結果、測定時刻の違いで像の強度が変化する)
(3)演算部によって出力画像に施される圧縮や補正に起因する揺らぎ
これらのデータ揺らぎにより、高精度な吸光度測定が困難であった。
そこで、本発明は、LOTによる光分析装置における上記のデータ揺らぎを抑制し、高精度な測定が可能な光強度算出方法等を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点は、光検出部を有する携帯型電子機器を有する光分析装置を用いて前記光検出部に入射した測定試料からの観測光の光強度を算出する光強度算出方法であって、前記光検出部に前記観測光を入射させる観測光入射ステップと、前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記録する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにおいて記録されたデジタル画像の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定する閾値決定ステップと、前記輝度値が前記閾値以上となるピクセルが占める領域を信号領域と決定する信号領域決定ステップと、前記信号領域の中の前記輝度値のみに基づいて前記観測光の光強度を算出する光強度算出ステップとを含む、光強度算出方法である。
本発明の第2の観点は、第1の観点の光強度算出方法であって、前記光分析装置は、複数の前記測定試料を保持する複数の試料保持部と、前記試料保持部から前記光検出部へ観測光を導光する複数の光導光部とをさらに備え、前記観測光入射ステップにおいて、複数の前記観測光を同時に前記光検出部に入射させ、前記画像取得ステップにおいて、同時に入射した複数の前記観測光を同一のデジタル画像内に記録し、前記画像取得ステップと前記閾値決定ステップの間に、前記画像取得ステップで記録したデジタル画像から一部の範囲だけを切り出す画像切り出しステップをさらに含み、前記閾値決定ステップにおいて、前記範囲の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定する光強度算出方法である。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の光強度算出方法であって、前記画像取得ステップと前記閾値決定ステップの間に、前記画像取得ステップにおいて記録されたデジタル画像にガウシアンフィルタ処理を行うぼかしステップをさらに含む、光強度算出方法である。
本発明の第4の観点は、第1から第3のいずれかの観点の光強度算出方法であって、前記信号領域決定ステップと前記光強度算出ステップの間に、前記信号領域の周縁部から所定の幅W1だけ削除して信号領域を収縮する収縮ステップをさらに含む、光強度算出方法である。
本発明の第5の観点は、第4の観点の光強度算出方法であって、前記画像取得ステップと前記閾値決定ステップの間に、前記デジタル画像の外部に、当該デジタル画像の端部から所定の幅W2であり、輝度値が0である縁領域を付加する縁付けステップをさらに含む、光強度算出方法である。
本発明の第6の観点は、第1から第5のいずれかの観点の光強度算出方法であって、前記観測光入射ステップにおいて、前記観測光の他に、所定の光強度に保たれた参照光を前記カメラに入射させる、光強度算出方法である。
本発明の第7の観点は、第1から第6のいずれかの観点の光強度算出方法であって、前記光強度算出ステップにおいて、前記信号領域の中の前記輝度値の平均値を前記観測光の光強度とする、光強度算出方法である。
本発明の第8の観点は、第1から第6のいずれかの観点の光強度算出方法であって、前記光強度算出ステップにおいて、前記信号領域の中の前記輝度値の刈り込み平均値を前記観測光の光強度とする、光強度算出方法である。
本発明の第9の観点は、第1から第8のいずれかの観点の光強度算出方法であって、前記閾値決定ステップにおいて、前記デジタル画像の輝度値ヒストグラムを用いて信号とノイズの境界値を定め、前記境界値を前記閾値と決定する、光強度算出方法である。
本発明の第10の観点は、第9の観点の光強度算出方法であって、前記閾値決定ステップにおいて、判別分析法、最小誤差法、エントロピー法のいずれか一つを用いて前記境界値を算出する、光強度算出方法である。
本発明の第11の観点は、コンピュータに、第1から第10の観点のいずれかの光強度算出方法を実行させるためのプログラムである。
本発明の第12の観点は、光検出部を有する携帯型電子機器を備える光分析装置であって、前記光検出部に入射した測定試料からの観測光の光強度を算出する光強度算出部と、前記光検出部に前記観測光を入射させる観測光入射部と、前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記録する画像取得部と、前記画像取得部が記録したデジタル画像の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定する閾値決定部と、前記輝度値が前記閾値以上となるピクセルが占める領域を信号領域と決定する信号領域決定部と、前記信号領域の中の前記輝度値のみに基づいて前記観測光の光強度を算出する光強度算出部とをさらに備える、光分析装置である。
本発明の第13の観点は、第12の観点の光分析装置であって、前記画像取得部が記録したデジタル画像の外部に、当該デジタル画像の端部から所定の幅W2であり、輝度値が0である縁領域を付加する縁付け部と、前記縁付け部で縁領域を付加されたデジタル画像にガウシアンフィルタ処理を行うぼかし処理部と、前記信号領域決定部で決定した前記信号領域の周縁部から所定の幅W1だけ削除して信号領域を収縮する収縮処理部とをさらに備え、前記閾値決定部は、前記ぼかし処理部でガウシアンフィルタ処理をされた前記デジタル画像の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定し、前記光強度算出部は、前記収縮処理部で収縮された前記信号領域の中の前記輝度値のみに基づいて前記観測光の光強度を算出する、光分析装置である。
本発明の各観点によれば、光検出部として、タブレット端末やスマートフォンといった携帯型電子機器のカメラを用いても、高い測定精度(S/N比)で観測光の光強度を算出することが可能になる。
本来、厳密に吸光度測定を行うためには、観測光の全情報に基づいて比較すべきである。しかし、LOTのように、光測定を本来の目的としていない携帯型電子機器の光検出部を用いて光測定を行う場合、本発明の各観点により、閾値以下のノイズの大きい信号をあえて捨てて試料の濃度に対する厳密な線形性を犠牲にすることにより、S/N比を向上させてかえって高精度な測定が可能となる。
また、本発明の第2の観点によれば、光検出部に同時に複数の観測光を導光しても、クロストークの影響を抑制し、高い測定精度(S/N比)で観測光の光強度を算出することが可能になる。
本発明の第3の観点によれば、記録したデジタル画像における実際の観測光強度と背景ノイズの影響が大きい強度との差を小さくし、結果的に背景ノイズの影響を低減することが可能になる。
本発明の第4の観点によれば、算出した光強度と測定試料濃度の関係を示すグラフの線形性を向上させることが可能になる。信号領域決定ステップで決定された信号領域の中央部は、周縁部に比べて、特に良い線形性を示す。そのため、信号領域の周縁部を削除し中央部を用いることで、線形性を向上させることができる。
本発明の第5の観点によれば、画像取得ステップ又は画像切り出しステップで得られたデジタル画像の端部が輝度値0でないデジタル画像についても、収縮ステップを実行することが可能になる。測定試料によっては、デジタル画像の端部の輝度値が0でないことがある。収縮ステップにおいては、輝度値が0の領域の内縁の境界線を信号領域の周縁部として認識するため、デジタル画像によっては、そのままでは収縮ステップを実行すると信号領域が歪んでしまう。そこで、デジタル画像の外部に縁領域を付加することで、信号領域の形状をほぼ相似形に保ちつつ、収縮ステップを実行することが可能になる。
ここで、景色や人物を撮影する場合には、撮影画像がきれいに判別できるために、携帯型電子機器のカメラの自動利得調整機能が便利である。しかし、携帯型電子機器のカメラを光測定の光検出部を用いる場合、この自動利得調整機能が障害となりうる。複数の撮影画像を比較することが困難となるからである。加えて、携帯型電子機器のカメラは、光測定の光検出部としての使用が想定されていないため、自動利得調整機能をユーザがOFFにできないことも多い。
そこで、本発明の第6の観点によれば、所定の光強度に保たれた参照光を基準の明るさとすることで、自動利得調整機能による複数の撮影画像における利得を同程度にすることが容易となる。このため、カメラの自動利得調整機能によるデータのばらつきを抑制できる。
本発明の第9の観点によれば、より容易に高精度な測定を可能にする閾値を決定できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について述べる。なお。本発明の実施の形態は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例に係る光分析装置(本願請求項における「光分析装置」の一例)は、図示しないタブレット端末及びマイクロチップとを備える。
本実施例に係るタブレット端末は、測定試料からの観測光を検知するカメラ部(本願請求項における「光検出部」の一例)と、カメラ部に入射した測定試料からの観測光の光強度を算出する光強度算出部(本願請求項における「光強度算出部」の一例)と、カメラ部に観測光を入射させる観測光入射部(本願請求項における「観測光入射部」の一例)と、カメラ部に入射した観測光をデジタル画像として記録する画像取得部(本願請求項における「画像取得部」の一例)と、画像取得部が記録したデジタル画像の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定する閾値決定部(本願請求項における「閾値決定部」の一例)と、輝度値が閾値以上となるピクセルが占める領域を信号領域と決定する信号領域決定部(本願請求項における「信号領域決定部」の一例)と、画像取得部で記録したデジタル画像から一部の範囲だけを切り出す画像切り出し部とを備える。
本実施例に係る光強度算出部は、信号強度の中の輝度値のみに基づいて観測光の光強度を算出する。具体的には、光強度算出部は、信号強度の中の輝度値の平均値を観測光の光強度として算出する。
本実施例に係る閾値決定部は、具体的には、判別分析法、最小誤差法、エントロピー法のいずれか一つを用いて、デジタル画像の輝度値ヒストグラムを用いて信号とノイズの境界値を定め、その境界値を閾値と決定する。
本実施例に係るマイクロチップは、測定試料を保持する試料保持部(本願請求項における「試料保持部」の一例)と、試料保持部からカメラ部へ観測光を導光する光導光部(本願請求項における「光導光部」の一例)と、観測光の他に所定の光強度に保たれた参照光をカメラ部に導光する参照光導光部を備える。なお、マイクロチップは、複数の測定試料を保持するために複数の試料保持部と、それぞれの試料保持部からカメラ部へ観測光を導光する複数の光導出部とを備えても良い。
<1.演算プロセス>
図1は、本発明の演算プロセス(本願請求項に記載の「光強度算出方法」の一例)を表す図である。図1(a)は、演算プロセス前の画像を示す。そして、後で述べる閾値決定アルゴリズムを用いて閾値を求め、図1(a)の画像の二値化処理を行った画像が図1(b)である。図1(b)においては、黒い領域が閾値より強度が小さく、「強度0」が割り振られた部分であり、背景領域1として設定される。一方、白い領域が閾値以上の強度を有し、「強度1」が割り振られた部分であり、信号領域3(本願請求項に記載の「信号領域」の一例)として設定される(本願請求項に記載の「信号領域決定ステップ」の一例)。図1(c)は、図1(a)の画像データと図1(b)の画像データを掛け合わせて得られる画像である。すなわち、信号領域3の強度が維持されるとともに、背景領域1の強度を0とした画像であり、この信号領域3に対応する各ピクセルから得られる強度の平均値を求めることにより、信号強度(本願請求項に記載の「観測光の光強度」の一例)が得られる。図2(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の演算プロセス前後の図1(a)及び(c)の画像上の線分Aに沿った強度プロファイルの模式図である。観測光の信号5の上のジグザグ線は背景ノイズ7を示している。
図1は、本発明の演算プロセス(本願請求項に記載の「光強度算出方法」の一例)を表す図である。図1(a)は、演算プロセス前の画像を示す。そして、後で述べる閾値決定アルゴリズムを用いて閾値を求め、図1(a)の画像の二値化処理を行った画像が図1(b)である。図1(b)においては、黒い領域が閾値より強度が小さく、「強度0」が割り振られた部分であり、背景領域1として設定される。一方、白い領域が閾値以上の強度を有し、「強度1」が割り振られた部分であり、信号領域3(本願請求項に記載の「信号領域」の一例)として設定される(本願請求項に記載の「信号領域決定ステップ」の一例)。図1(c)は、図1(a)の画像データと図1(b)の画像データを掛け合わせて得られる画像である。すなわち、信号領域3の強度が維持されるとともに、背景領域1の強度を0とした画像であり、この信号領域3に対応する各ピクセルから得られる強度の平均値を求めることにより、信号強度(本願請求項に記載の「観測光の光強度」の一例)が得られる。図2(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の演算プロセス前後の図1(a)及び(c)の画像上の線分Aに沿った強度プロファイルの模式図である。観測光の信号5の上のジグザグ線は背景ノイズ7を示している。
<2.信号領域の設定よる測定精度の向上>
図3に、測定試料濃度が異なる画像群の処理プロセスの一例を示す。図3(a)は、測定試料濃度が異なる3枚の画像の強度プロファイルを重ね合わせた模式図である。ここで、後述の閾値決定アルゴリズムを用いて閾値を決定し、閾値を超える強度の信号領域のみを切り出すと、図3(b)に示す強度プロファイルが得られる。なお、図3(a)に示す3枚の画像の強度プロファイルは、各画像において図1(c)に示した線分Aに相当する線分に沿った強度プロファイルである。
図3に、測定試料濃度が異なる画像群の処理プロセスの一例を示す。図3(a)は、測定試料濃度が異なる3枚の画像の強度プロファイルを重ね合わせた模式図である。ここで、後述の閾値決定アルゴリズムを用いて閾値を決定し、閾値を超える強度の信号領域のみを切り出すと、図3(b)に示す強度プロファイルが得られる。なお、図3(a)に示す3枚の画像の強度プロファイルは、各画像において図1(c)に示した線分Aに相当する線分に沿った強度プロファイルである。
図3から明らかなように、閾値を導入すると、信号として認識される画像範囲が変わる。そのため、閾値導入後の信号から得られる値(吸光度)は、線形性が失われることになる。例えば、吸光度測定の場合、信号の減少分から見積もられる吸光度は、厳密には本体の検体の濃度に対して比例しなくなる。
しかしながら、ある程度の背景ノイズ7の影響や、隣接するスポット画像の重畳によるクロストークの影響を抑制することが可能となるので、最終的には、高い測定精度(S/N比)を達成することができる。
<3.隣接するスポット画像の重畳によるクロストーク>
なお、隣接するスポット画像の重畳によるクロストークとは、図4(a)のように複数の試料保持部11を備えるLOT光分析装置13において生じる問題である。図4(a)では、観測光15は複数となるが、通常、タブレット端末17のカメラ部19は1つである。よって、複数の観測光15を観測する多元観測を実施するためには、カメラ部19内に複数の光信号の画像を取り込まなければならない。
なお、隣接するスポット画像の重畳によるクロストークとは、図4(a)のように複数の試料保持部11を備えるLOT光分析装置13において生じる問題である。図4(a)では、観測光15は複数となるが、通常、タブレット端末17のカメラ部19は1つである。よって、複数の観測光15を観測する多元観測を実施するためには、カメラ部19内に複数の光信号の画像を取り込まなければならない。
図4(a)に示す構成例では、マイクロチップ21は、8か所の測定部23を有する。測定部23のA−A断面の断面図である図4(b)にあるように、測定部23は、光導入部25、導光路27、測定試料29を内部に保持する試料保持部11、光導出部31、光導出部31から導出される光を導光する導光機器33(光ファイバ)を備える。試料保持部11は、例えば、PCR管であり、導光路27の光路中に挿入されている。
光導入部25の下部に位置する領域にてディスプレイ部35が発光すると、光は光導入部25から入射して導光路27内を進行し、試料保持部11の測定試料29に入射する。測定試料29から放出される観測光15は、導光路27内を進行して光導出部31に到達する。光導出部31に到達した観測光15は、光ファイバ等の導光機器33により、カメラ部19に導光される。図4に示す例では、8か所の測定部23が設けられているので、最大8本の導光機器33の光出射端37(図5参照)が、1つのカメラ部19に接続される。
図5(a)は、カメラ部19に面している8本の導光機器33の光出射端37の断面図である。8本の導光機器33は束状にまとめられて、カメラ部19に導かれる。ディスプレイ部35からの光は、試料保持部11に収容されている測定試料29に照射されるので、理想的にはカメラ部19で得られる画像は、図5(b)に示すように、8本の試料保持部11(PCR管)に収容されている測定試料29の像となる。
しかしながら、試料保持部11(PCR管)から放出される観測光15が、導光機器33(光ファイバ)を進行するにつれ、観測光15の光学情報は混濁し、観測光15の像がスポット状となった画像が得られる。すなわち、観測光15の強度情報は維持されるものの、プロファイル情報は失われる。更に、図5(c)に示すように、実際の画像には、背景ノイズ7も検出される。この背景ノイズ7は、0013段落に示したばらつき(カメラ部の温度や通電時間による感度の揺らぎ)によるものである。
図6に、隣り合う2つのスポットの、ある一次元方向における強度プロファイルの模式図を示す。1つの観測光の強度信号41は、隣のスポットの強度信号43(すなわち、異なる観測点の観測光)の一部が重なり重畳ノイズ45となっている。これは、狭いカメラ部19の受光部に対し、8つの導光機器33(光ファイバ)を束状にして、当該導光機器33からの観測光15を導入しているためである。したがって、LOTにおいて、1つのカメラ部19で複数の測定試料29に対する測定(例えば、吸光度測定)するような多元測定を行う場合、精度のよい多元観測は、実質的に困難であった。すなわち、多元計測の精度が不十分であることは、LOT光分析装置における機能実装において大きな束縛条件となっていた。本発明により、隣接するスポット画像から重畳されるクロストークの影響を抑制することが可能となるので、高い測定感度を達成することができる。
ここで、多元測定を行う場合、1つのデジタル画像に複数のスポットが撮影されることとなる。各スポットが同一試料の濃度が異なるサンプルである場合には、画像全体で1つの閾値を設定してもよい。しかし、一般的には、各スポットに対応する部分をデジタル画像から切り出す切り出しステップ(本願請求項に記載の「画像切り出しステップ」の一例)を経た上で、切り出されたスポットごとに閾値を定めることが好ましい。
<4.カメラの自動利得調整機能による影響>
また、タブレット端末やスマートフォンには、カメラの自動利得調整機能が備えられていることが多い。出力画像の明度が一定に保たれるように被写体の明暗に応じて自動的に補正が行われるため、写真撮影を目的とする場合に当該機能は便利である。しかし、LOTのように光分析に用いる場合には、自動利得調整機能は、カメラが行う画像強度のガンマ補正が合わさることで、測定結果の物理的な光量に対する線形性を悪化させる。本実施例で用いているタブレット端末では、このような自動処理をソフトウェア側で完全に抑制することが許されていないため、光強度が一定に保たれた参照光をカメラに入射させることで、利得によるデータのばらつきをできるだけ抑えている。図5(c)に示すスポット画像のうちの1つは、光強度が一定に保たれた参照光のスポットである。さらに、抑えきれない参照光の計測結果の揺らぎは、信号光を参照光で割ることで、その影響を低減している。
また、タブレット端末やスマートフォンには、カメラの自動利得調整機能が備えられていることが多い。出力画像の明度が一定に保たれるように被写体の明暗に応じて自動的に補正が行われるため、写真撮影を目的とする場合に当該機能は便利である。しかし、LOTのように光分析に用いる場合には、自動利得調整機能は、カメラが行う画像強度のガンマ補正が合わさることで、測定結果の物理的な光量に対する線形性を悪化させる。本実施例で用いているタブレット端末では、このような自動処理をソフトウェア側で完全に抑制することが許されていないため、光強度が一定に保たれた参照光をカメラに入射させることで、利得によるデータのばらつきをできるだけ抑えている。図5(c)に示すスポット画像のうちの1つは、光強度が一定に保たれた参照光のスポットである。さらに、抑えきれない参照光の計測結果の揺らぎは、信号光を参照光で割ることで、その影響を低減している。
<5.画像範囲の制限による測定精度の向上>
なお、図7に示すように、強度の閾値ではなく、画像の大きさ(画像範囲)を制限することで、他の観測結果に相当する隣接するスポット画像から重畳されるクロストークの影響を抑制することも可能である。この場合は、図7から明らかなように、信号として認識される画像範囲が変わらない。そのため、画像範囲を制限後の信号から得られる値(強度)は、線形性が維持される。
なお、図7に示すように、強度の閾値ではなく、画像の大きさ(画像範囲)を制限することで、他の観測結果に相当する隣接するスポット画像から重畳されるクロストークの影響を抑制することも可能である。この場合は、図7から明らかなように、信号として認識される画像範囲が変わらない。そのため、画像範囲を制限後の信号から得られる値(強度)は、線形性が維持される。
しかし、画像領域(図1の信号領域に相当)の面積が小さく、これに対応する各ピクセルから得られる強度値を平均して信号強度を得る場合、光検出部としてカメラを用いることに起因する問題点である、カメラ部内の画素ごととの感度揺らぎ、カメラ部の温度や通電時間による感度の揺らぎ、演算部によって出力画像に施される圧縮や補正に起因する揺らぎの影響や、画素が有する量子化誤差の影響等が支配的になる。よって、画像領域(信号領域)を大きく設定することが可能な本発明の処理が望ましい。
<6.閾値決定アルゴリズム>
上記したように、本発明の演算処理は、強度の閾値を定め、閾値を越える強度の観測光画像のみを取り出して(切り出して)、この切り取られた領域の強度の計算値を観測結果とするように演算するものである。そして上記観測光画像の信号領域を決定するために、閾値決定アルゴリズムで上記閾値を定めて、この閾値を用いた二値化処理を行うものである。
よって、本発明の演算処理は、閾値の決定方法に大きく依存する。
上記したように、本発明の演算処理は、強度の閾値を定め、閾値を越える強度の観測光画像のみを取り出して(切り出して)、この切り取られた領域の強度の計算値を観測結果とするように演算するものである。そして上記観測光画像の信号領域を決定するために、閾値決定アルゴリズムで上記閾値を定めて、この閾値を用いた二値化処理を行うものである。
よって、本発明の演算処理は、閾値の決定方法に大きく依存する。
閾値決定アルゴリズム(二値化処理アルゴリズム)としては、判別分析法、最小誤差法、エントロピー最大化法、平均値法、中央値法の5つ(本願請求項に記載の「閾値決定ステップ」の一例)を採用し、各アルゴリズムを比較検討した。
判別分析法の詳細は、非特許文献1に記載されている。また、最小誤差法の詳細は、非特許文献2に、エントロピー最大化法の詳細は、非特許文献3に記載されている。平均値法は、以下に輝度値ヒストグラムから求めた相加平均値を閾値とするものである。また、中央値法は、輝度値ヒストグラムの中央値を閾値とするものである。
各アルゴリズムを使用するにあたり、図1(a)に示すように、処理する画像をグレースケール化した。このグレースケール画像から唯一輝度値ヒストグラムデータを求め、このデータを各アルゴリズムへの入力データとした。
図8(a)に、吸光度測定において、エタノールから放出される光をカメラ部により撮影して得られた画像の輝度ヒストグラムデータを示す。また、図8(b)には、吸光度測定において、エタノールに色素Sudanを濃度100μMで溶解させた溶液から放出される光をカメラ部により撮影して得られた画像の輝度ヒストグラムデータを示す。上記吸光度測定において、各溶液(検体)に入射した入射光の波長は、530nmである。
タブレット端末のディスプレイ部からは、図9に示すようなスペクトルの光が放出される。そのため、本実施例ではタブレット端末から最も強く放出される波長である530nmを入射光波長として用いた。
また、図8には、上記した各アルゴリズムから得られた閾値が追記されている。同図において、“Cluster”は判別分析法により得られた閾値であり、“entropy”はエントロピー最大化法により“minimum error”は誤差最小法により、“mean”は平均値法により、“median”は中央値法により得られた閾値である。
図10は、エタノールを使用したとき、エタノールに色素Sudanを濃度100μMで溶解させた溶液を使用したときに、各アルゴリズムにより演算処理した画像を示す。
図8、図10から明らかなように、各アルゴリズムで閾値が異なり、また、背景領域の形状(言い換えれば、信号として用いる領域の形状)も異なることが分かる。
LOTを用いる際、各アルゴリズムから得られる閾値、そして信号領域が検出感度に与える影響を確認するために、各アルゴリズムで得られた画像の信号領域から強度値を算出して、色素Sudanの吸光度測定のための検量線を求めた。測定に使用した検体は、色素Sudanを、0.1μM、0.5μM、1.0μM、5.0μM、10μM、50μM、100μM、500μMの濃度でエタノールに溶解させた溶液である。吸光度測定は、各検体で10回ずつ実施した。
図11に、各アルゴリズムを用いた場合の検量線を示す。同図から明らかなように、いずれのアルゴリズムを用いても色素の濃度が薄くなり、カメラ部へ入射する信号強度が強くなった場合、信号強度のばらつきは大きい。しかしながら、色素濃度が1.0μM以上の領域では、判別分析法、エントロピー最大化法、最小誤差法を採用した場合、検量線がほぼ線形となっている。
本発明において、閾値は観測光画像毎に変化する。よって、各アルゴリズムを用いての閾値取得は、カメラ部が受光した観測光画像毎に行われる。また、本発明は、受光部の動作が安定化していて、かつ較正機構を有する従来の分光高度計とは異なり、カメラ部の動作が安定化しておらず、また、較正機構を有しないタブレット端末を用いたLOTにおいて、効果的である。閾値決定アルゴリズムによっては、閾値は一定値ではなく、画像を基に動的に決定されることもある。
続いて、図11に示す各アルゴリズムを用いた場合の検量線のばらつきを抑制するために、以下のようなステップを検討した。
1つの観測光画像は、図5(c)に示すように、背景ノイズ7も検出される。上記した閾値決定アルゴリズムにより切り取られた領域においても背景ノイズ7は存在する。よって、この切り取られた領域の強度の計算値を観測結果とする場合、当該観測結果には上記した背景ノイズ7の影響が残る。
よって、閾値決定アルゴリズムを実施する前に、観測光画像における背景ノイズの影響を小さくするステップを行うことが好ましいと考えられる。以下、このステップをぼかしステップ(本願請求項に記載の「ぼかしステップ」の一例)と呼ぶことにする。
よって、閾値決定アルゴリズムを実施する前に、観測光画像における背景ノイズの影響を小さくするステップを行うことが好ましいと考えられる。以下、このステップをぼかしステップ(本願請求項に記載の「ぼかしステップ」の一例)と呼ぶことにする。
また、閾値決定アルゴリズムで、強度の閾値を定め、閾値を越える強度の観測光画像のみを取り出して(切り出して)、この切り取られた領域の強度の計算値を観測結果とするように演算する場合、切り取られた領域の周縁部付近における強度情報は、当該領域の中央部分における強度情報と比較すると、図3(b)から明らかなように、強度の線形性は低いと考えられる。
よって、閾値決定アルゴリズムを実施後に得られる切り取られた領域を、領域の周縁部(本願請求項に記載の「信号領域の周縁部」の一例)から所定の距離だけ小さくする処理を施すことが好ましいと考えられる。以下、このような処理を収縮(Erosion)処理、収縮処理を行うステップを収縮ステップ(本願請求項に記載の「収縮ステップ」の一例)と呼ぶことにする。
よって、閾値決定アルゴリズムを実施後に得られる切り取られた領域を、領域の周縁部(本願請求項に記載の「信号領域の周縁部」の一例)から所定の距離だけ小さくする処理を施すことが好ましいと考えられる。以下、このような処理を収縮(Erosion)処理、収縮処理を行うステップを収縮ステップ(本願請求項に記載の「収縮ステップ」の一例)と呼ぶことにする。
図12は、収縮ステップを説明するための図である。閾値決定アルゴリズムによって切り出される領域は、二値化処理によって「強度1」が割り振られた白い領域である。収縮ステップは、「強度0」が割り振られた黒い領域の内縁の境界線を周縁部47とし、その周縁部47から更に所定の距離(W1)だけ白い領域を減らすステップである。
図12の(a−1)は背景ノイズ処理後の画像であり、その画像に閾値決定アルゴリズムを実施した二値化画像が(a−2)、さらに周縁部47から所定距離(W1)だけ収縮した画像が(a−3)である。図12(a−2)においては、領域Aの部分には黒い領域が存在しない。つまり、周縁部47が環状ではなく、途切れている部分がある。よって、図12(a−3)の収縮ステップで得られた白い領域の形状は、領域Bの部分で歪な形状となる。
ここで、図12の(b−1)は背景ノイズ処理後に縁付けした画像であり、その画像に閾値決定アルゴリズムを実施した二値化画像が(b−2)、さらに周縁部47から所定距離(W1)だけ収縮した画像が(b−3)である。図12(b−1)に示すように、閾値決定アルゴリズムを行う前の観測光画像に、当該観測光画像の端部49(本願請求項に記載の「デジタル画像の端部」の一例)からの幅がW2であって、「強度0」が割り振られた黒い領域である縁領域51(本願請求項に記載の「縁領域」の一例)を設定する。縁領域51を設定後に閾値決定アルゴリズムを行い、更に収縮処理を施すと、(b−2)と(b−3)に示すように、収縮処理前後の白い領域の形状は、ほぼ相似形となる。
よって、閾値決定アルゴリズムを行う前に、このような縁付け処理を行うことが好ましいと考えられる。以下、このような縁付け処理を行うステップを縁付けステップ(本願請求項に記載の「縁付けステップ」の一例)と呼ぶことにする。なお、観測光画像は吸光度測定の結果であり、使用した溶液は、エタノールに色素Sudanを所定濃度で溶解させたものである。以下の議論においても、使用した溶液は、同様である。
<7.ぼかしステップ>
上記ぼかしステップは、観測光画像における実際の強度と背景ノイズの強度との差を小さくし、結果的に背景ノイズの影響を小さくするものである。このような効果は、画像全体をぼかすことで得られる。発明者らは、これを実現するために、観測光画像にガウシアンフィルタを用いる画像処理を適用した。ガウシアンフィルタ処理に関する詳細は、非特許文献4及び非特許文献5を参照されたい。
上記ぼかしステップは、観測光画像における実際の強度と背景ノイズの強度との差を小さくし、結果的に背景ノイズの影響を小さくするものである。このような効果は、画像全体をぼかすことで得られる。発明者らは、これを実現するために、観測光画像にガウシアンフィルタを用いる画像処理を適用した。ガウシアンフィルタ処理に関する詳細は、非特許文献4及び非特許文献5を参照されたい。
<8.縁付け処理が各閾値決定アルゴリズムに与える影響>
次に、上記縁付け処理が各閾値決定アルゴリズムに与える影響を調査した。図13は、縁領域51の幅(図12のW2)を変えたときに各閾値決定アルゴリズムで得られる閾値の値がどのように変わるかを示す図である。閾値決定アルゴリズムとしては、判別分析法、最小誤差法、エントロピー最大化法、平均値法、中央値法の5つを採用した。
次に、上記縁付け処理が各閾値決定アルゴリズムに与える影響を調査した。図13は、縁領域51の幅(図12のW2)を変えたときに各閾値決定アルゴリズムで得られる閾値の値がどのように変わるかを示す図である。閾値決定アルゴリズムとしては、判別分析法、最小誤差法、エントロピー最大化法、平均値法、中央値法の5つを採用した。
図13において、“Cluster”は判別分析法により得られた閾値であり、“Entropy”はエントロピー最大化法により“Minimum Error”は誤差最小法により、“Mean”は平均値法により、“Median”は中央値法により得られた閾値である。また、横軸は縁領域51の幅(W2)であり、単位はドットである。縦軸は閾値を示す。
図13から明らかなように、判別分析法(Cluster)が最も閾値の変動が小さく、幅W2が20ドット以上で閾値が安定となった。また、エントロピー最大化法(Entropy)も幅dが60ドット以内では、閾値の値が安定となった。その他の閾値決定アルゴリズムである、誤差最小法(Minimum Error)、平均値法(Mean)、中央値法(Median)は、幅W2の変化に対する変動が大きかった。
<9.ぼかしステップ処理が各閾値決定アルゴリズムに与える影響>
次に、ぼかしステップ処理(ガウシアンフィルタ処理)が各閾値決定アルゴリズムに与える影響を調査した。Sudanのエタノール溶液(濃度1μM)に対する吸光度測定を10回連続で実施した。各測定データ(観測画像)を、各閾値決定アルゴリズムを用いて閾値を定め、閾値を越える強度の観測光画像のみを取り出して(切り出して)、この切り取られた領域の強度の計算値を観測結果とした。上記調査の評価は、この10個の観測結果データ(切り取られた領域の強度から得られる透過率データ)の標準偏差σRを用いて行った。
次に、ぼかしステップ処理(ガウシアンフィルタ処理)が各閾値決定アルゴリズムに与える影響を調査した。Sudanのエタノール溶液(濃度1μM)に対する吸光度測定を10回連続で実施した。各測定データ(観測画像)を、各閾値決定アルゴリズムを用いて閾値を定め、閾値を越える強度の観測光画像のみを取り出して(切り出して)、この切り取られた領域の強度の計算値を観測結果とした。上記調査の評価は、この10個の観測結果データ(切り取られた領域の強度から得られる透過率データ)の標準偏差σRを用いて行った。
図14は、ガウシアンフィルタ処理において、ガウシアンフィルタのぼかし半径に対する、各閾値決定アルゴリズムを適用した際に得られた10個の観測結果データの標準偏差σRの変化を示す。図14において、横軸はガウシアンフィルタのぼかし半径であり、単位はピクセルである。また、縦軸は吸光度測定における10回の透過率データの標準偏差σRである。パラメータは各閾値決定アルゴリズムである。
同図において、“Cluster”は判別分析法、“Entropy”はエントロピー最大化法、“Minimum Error”は誤差最小法、“Mean”は平均値法、“Median”は中央値法である。
ガウシアンフィルタのぼかし半径が大きくなると、画像自体のぼかし具合が大きくなる。よって、上記した10個の観測結果データの標準偏差σRは、ぼかし半径が大きくなるにつれ、次第に大きくなる傾向になると考えられる。
図14から明らかなように、判別分析法(Cluster)、エントロピー最大化法(Entropy)、平均値法(Mean)により得られた閾値を用いて観測結果を得る場合、ガウシアンフィルタのぼかし半径と上記標準偏差σRは、当該標準偏差σRは、ぼかし半径が大きくなるにつれ、次第に大きくなる傾向となっている。
一方、中央値法(Median)、誤差最小法(Minimum Error)を用いた場合、ガウシアンフィルタのぼかし半径と上記標準偏差σRとの相関関係は、上記した関係とはならず、不安定な結果となった。よって、この結果から明らかなように、ぼかしステップ処理を行う場合、閾値決定アルゴリズムとしては、判別分析法(Cluster)、エントロピー最大化法(Entropy)、平均値法(Mean)を用いることが好ましいことが分かった。
<10.収縮ステップの影響>
上記したように、縁付け処理に対しては、閾値決定アルゴリズムとしては、判別分析法(Cluster)、エントロピー最大化法(Entropy)が閾値の値が安定であった。一方、ぼかしステップ処理(ガウシアンフィルタ処理)を採用する場合、複数(10回)の測定データの標準偏差に対しては、閾値決定アルゴリズムとしては、判別分析法、エントロピー最大化法、平均値法を用いた方が好ましいことが分かった。
これらを踏まえ、縁付け処理およびぼかしステップ処理の双方に対して、比較的良好な結果が得られる判別分析法、エントロピー最大化法を採用したときに、収縮ステップが上記標準偏差にどのような影響を与えるか調査した。
上記したように、縁付け処理に対しては、閾値決定アルゴリズムとしては、判別分析法(Cluster)、エントロピー最大化法(Entropy)が閾値の値が安定であった。一方、ぼかしステップ処理(ガウシアンフィルタ処理)を採用する場合、複数(10回)の測定データの標準偏差に対しては、閾値決定アルゴリズムとしては、判別分析法、エントロピー最大化法、平均値法を用いた方が好ましいことが分かった。
これらを踏まえ、縁付け処理およびぼかしステップ処理の双方に対して、比較的良好な結果が得られる判別分析法、エントロピー最大化法を採用したときに、収縮ステップが上記標準偏差にどのような影響を与えるか調査した。
本調査では、エタノールにSudan色素を0.1μM、0.5μM、1.0μM、5.0μMの濃度で溶解させた溶液に対する吸光度測定をそれぞれ10回ずつ実施した。
各濃度に対する観測結果を求めるために用いた閾値決定アルゴリズムとしては、判別分析法、エントロピー最大化法を採用した。
各濃度に対する観測結果を求めるために用いた閾値決定アルゴリズムとしては、判別分析法、エントロピー最大化法を採用した。
図15は、収縮ステップにおける収縮幅(Erosion width)に対する10回の観測結果データ(切り取られた領域の強度から得られる透過率データ)の標準偏差σRの変化を示し、閾値決定アルゴリズムとしては判別分析法(Cluster)を採用したものである。
一方、図16は、図15と同様の特性を示し、閾値決定アルゴリズムとしてはエントロピー最大化法(Entropy)を採用したものである。
一方、図16は、図15と同様の特性を示し、閾値決定アルゴリズムとしてはエントロピー最大化法(Entropy)を採用したものである。
ここで、図15(a)は、Sudan色素の濃度が0.1μMであり、図15(b)は前記濃度が0.5μM、図15(c)は前記濃度が1.0μM、図15(d)は前記濃度が5.0μMに対するものである。
同様に、図16(a)は、Sudan色素の濃度が0.1μMであり、図16(b)は前記濃度が0.5μM、図16(c)は前記濃度が1.0μM、図16(d)は前記濃度が5.0μMに対するものである。
同様に、図16(a)は、Sudan色素の濃度が0.1μMであり、図16(b)は前記濃度が0.5μM、図16(c)は前記濃度が1.0μM、図16(d)は前記濃度が5.0μMに対するものである。
図15、図16において、横軸は収縮幅であり、単位はピクセル(pixel)である。また、縦軸は吸光度測定における10回の透過率データの標準偏差σRである。また、ガウシアンフィルタのぼかし半径をパラメータとした。なお、このぼかし半径の単位はピクセル(pixel)であり、ここでのぼかし半径の値は、0,1,2,3,4,5ピクセルとした。
図15から明らかなように、判別分析法(Cluster)の場合、Sudan色素の濃度が0.5μM、1.0μM、5.0μMにおいては、収縮幅(Erosion width)が7〜8ピクセルのとき標準偏差σRが最小となった。一方、Sudan色素の濃度が0.1μMにおいては、収縮幅に対する顕著な標準偏差の差異は確認できなかった。
また、ガウシアンフィルタのぼかし半径については、各濃度で顕著な依存性は得られなかった。しかし、Sudan色素の濃度が0.5μM、5.0μMの結果から、ガウシアンフィルタのぼかし半径は3ピクセル以下が好ましいと思われる。
また、ガウシアンフィルタのぼかし半径については、各濃度で顕著な依存性は得られなかった。しかし、Sudan色素の濃度が0.5μM、5.0μMの結果から、ガウシアンフィルタのぼかし半径は3ピクセル以下が好ましいと思われる。
一方、エントロピー最大化法(Entropy)の場合、図16から明らかなように、Sudan色素の濃度が0.1μMの場合、収縮幅が2〜4ピクセルのとき標準偏差が最小となった。また、Sudan色素の濃度が0.5μMの場合は収縮幅が7〜8ピクセル、Sudan色素の濃度が1μMの場合は収縮幅が5〜7ピクセル、Sudan色素の濃度が5μMの場合は収縮幅が2ピクセル付近で、標準偏差が最小となった。このように、エントロピー最大化法(Entropy)の場合、検体となる溶液のSudan色素濃度に応じて、上記標準偏差が最小となる収縮幅が変化する傾向となった。
また、ガウシアンフィルタのぼかし半径については、Sudan色素の濃度が0.1μMの場合は、各ぼかし半径に対する標準偏差σRの顕著な依存性は得られなかった。一方、Sudan色素の濃度が0.5μMの場合はぼかし半径が2ピクセル以上、Sudan色素の濃度が1μMの場合はぼかし半径が2ピクセル以下、Sudan色素の濃度が5μMの場合は収縮幅が2ピクセル以上で、標準偏差が最小となった。よって、エントロピー最大化法(Entropy)の場合、検体となる溶液のSudan色素濃度に応じて、上記標準偏差が最小となるガウシアンフィルタのぼかし半径が変化する傾向となった。
以上のように、Sudan色素の濃度が0.5〜5μMの範囲では、判別分析法(Cluster)の場合、標準偏差が最小となる収縮幅条件、ガウシアンフィルタのぼかし半径条件が安定であり、上記収縮幅は7〜8ピクセル、上記ガウシアンフィルタのぼかし半径は3ピクセル以下が好ましいと思われる。
以上の考察により、縁付け処理、ぼかしステップ処理(ガウシアンフィルタ処理)、収縮ステップ処理を行う場合、閾値決定アルゴリズムとしては、判別分析法(Cluster)を採用することが好ましいことが分かった。
<11.判別分析法の採用>
そこで、閾値決定アルゴリズムとして判別分析法(Cluster)を採用し、縁付け処理、ぼかしステップ処理(ガウシアンフィルタ処理)、収縮ステップ処理を行った場合と、行わなかった場合において、色素Sudanの吸光度測定のための検量線を求めた。測定に使用した検体は、色素Sudanを、0.1μM、0.5μM、1.0μM、5.0μM、10μM、50μM、100μM、500μMの濃度でエタノールに溶解させた溶液である。吸光度測定は、各検体で10回ずつ実施した。
そこで、閾値決定アルゴリズムとして判別分析法(Cluster)を採用し、縁付け処理、ぼかしステップ処理(ガウシアンフィルタ処理)、収縮ステップ処理を行った場合と、行わなかった場合において、色素Sudanの吸光度測定のための検量線を求めた。測定に使用した検体は、色素Sudanを、0.1μM、0.5μM、1.0μM、5.0μM、10μM、50μM、100μM、500μMの濃度でエタノールに溶解させた溶液である。吸光度測定は、各検体で10回ずつ実施した。
図17に、上記した2つの場合の検量線を示す。同図において、(a)は、縁付け処理、ぼかしステップ処理(ガウシアンフィルタ処理)、収縮ステップ処理を行った場合であり、(b)は行わなかった場合を示す。いずれの場合も、Sudan色素濃度が1.0μM以上の領域で、検量線がほぼ線形となっている。しかし、Sudan色素濃度が1.0μMより小さい領域では、検量線の線形性は見いだせないものの、誤差の大きさは、縁付け処理、ぼかしステップ処理(ガウシアンフィルタ処理)、収縮ステップ処理を行った場合の方が、これらの処理を行わなかった場合と比較して小さくなることが分かった。
図18は、閾値決定アルゴリズムとして判別分析法(Cluster)を採用し、縁付け処理、ぼかしステップ処理(ガウシアンフィルタ処理)、収縮ステップ処理を行った場合において、収縮幅(Erosion width)をパラメータとしたときの上記検量線を示すものである。図18(a)は、収縮幅が5,7,8ピクセルとしたときの検量線を示し、図18(b)は、収縮幅が1,7,20ピクセルとしたときの検量線を示す。
図18(a)に示すように、Sudan色素濃度が1.0μMより小さい領域において、収縮幅5、7ピクセルのときの誤差量に差異はほとんどないが、収縮幅8ピクセルのときの誤差量が一番小さいことが分かった。また、図18(a)に示すように、Sudan色素濃度が1.0μMより小さい領域においては、収縮幅7ピクセルのときの検量線の誤差量が、収縮幅1ピクセル、20ピクセルのときのそれと比較すると一番小さいことが分かった。よって、検量線を求める場合も、収縮幅を7〜8ピクセルに設定して上記した画像処理を行うことが好ましいことが分かった。
<12.刈り込み平均>
上記した検量線の誤差量を更に小さくするために、測定データ(観測画像)から閾値決定アルゴリズムにより決定された閾値を超える強度に相当する領域のみ切り出された観測光画像における観測光強度の計算方法を検討した。段落番号0043で述べたように、観測光の光強度は、上記切り出された観測光画像における信号強度の中の輝度値の平均値をとして求められる。
上記した検量線の誤差量を更に小さくするために、測定データ(観測画像)から閾値決定アルゴリズムにより決定された閾値を超える強度に相当する領域のみ切り出された観測光画像における観測光強度の計算方法を検討した。段落番号0043で述べたように、観測光の光強度は、上記切り出された観測光画像における信号強度の中の輝度値の平均値をとして求められる。
ここで、単に上記した輝度値の平均値を光強度とするのではなく、輝度値の刈り込み平均値(trimmed mean)を光強度とすることを考える。刈り込み平均値を採用すると、ノイズなどによる極端な値が、平均値を不当に押し上げたり、押し下げたりすることが防止でき、平均値がより安定して真値に近づくことが期待できる。すなわち、検量線の誤差量をより小さくすることが期待できる。
図19は、Sudanのエタノール溶液(濃度1μM、5μM)の測定データ(観測画像)に対して、閾値決定アルゴリズムとして判別分析法(Cluster)を採用し、得られた閾値を越える強度の観測光画像のみを切り出して、この切り取られた領域の強度の計算に刈り込み平均を採用した例を示す。図19においては、強度に相当するものとして透過率を採用し、この透過率と、観測光画像の収縮幅(Erosion width)と、刈り込み平均の刈り込み率との関係を示すものである。
図19において、(a)は上記濃度が1μMの場合、(b)は5μMの場合を示す。同図から明らかなように、刈り込み平均の刈り込み率が10%以上、収縮幅が7〜10ピクセル程度で、透過率が安定になることが分かった。よって、観測光の光強度を求める際に刈り込み平均を求める場合は、特に、刈り込み率を10%以上にすることが好ましい。
1・・・背景領域、3・・・信号領域、5・・・信号、7・・・背景ノイズ、11・・・試料保持部、13・・・LOT光分析装置、15・・・観測光、17・・・タブレット端末、19・・・カメラ部、21・・・マイクロチップ、23・・・測定部、25・・・光導入部、27・・・導光路、29・・・測定試料、31・・・光導出部、33・・・導光機器、35・・・ディスプレイ部、37・・・光出射端、41・・・強度信号、43・・・隣のスポットの強度信号、45・・・重畳ノイズ、47・・・周縁部、49・・・端部、51・・・縁領域
101・・・光分析システム、103・・・液体、105・・・マイクロピペット、107・・・タブレット端末、109・・・マイクロチップ、111・・・ディスプレイ部、113・・・カメラ部、115・・・検体流入口、117・・・流路、119・・・検体流出口、121・・・光導入部、123・・・導光路、125・・・光導出部、127・・・重ならない部分
101・・・光分析システム、103・・・液体、105・・・マイクロピペット、107・・・タブレット端末、109・・・マイクロチップ、111・・・ディスプレイ部、113・・・カメラ部、115・・・検体流入口、117・・・流路、119・・・検体流出口、121・・・光導入部、123・・・導光路、125・・・光導出部、127・・・重ならない部分
Claims (13)
- 光検出部を有する携帯型電子機器を有する光分析装置を用いて前記光検出部に入射した測定試料からの観測光の光強度を算出する光強度算出方法であって、
前記光検出部に前記観測光を入射させる観測光入射ステップと、
前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記録する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにおいて記録されたデジタル画像の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定する閾値決定ステップと、
前記輝度値が前記閾値以上となるピクセルが占める領域を信号領域と決定する信号領域決定ステップと、
前記信号領域の中の前記輝度値のみに基づいて前記観測光の光強度を算出する光強度算出ステップとを含む、光強度算出方法。 - 前記光分析装置は、
複数の前記測定試料を保持する複数の試料保持部と、
前記試料保持部から前記光検出部へ観測光を導光する複数の光導光部とをさらに備え、
前記観測光入射ステップにおいて、複数の前記観測光を同時に前記光検出部に入射させ、
前記画像取得ステップにおいて、同時に入射した複数の前記観測光を同一のデジタル画像内に記録し、
前記画像取得ステップと前記閾値決定ステップの間に、前記画像取得ステップで記録したデジタル画像から一部の範囲だけを切り出す画像切り出しステップをさらに含み、
前記閾値決定ステップにおいて、前記範囲の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定する請求項1記載の光強度算出方法。 - 前記画像取得ステップと前記閾値決定ステップの間に、
前記画像取得ステップにおいて記録されたデジタル画像にガウシアンフィルタ処理を行うぼかしステップをさらに含む、請求項1又は2に記載の光強度算出方法。 - 前記信号領域決定ステップと前記光強度算出ステップの間に、
前記信号領域の周縁部から所定の幅W1だけ削除して信号領域を収縮する収縮ステップをさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の光強度算出方法。 - 前記画像取得ステップと前記閾値決定ステップの間に、
前記デジタル画像の外部に、当該デジタル画像の端部から所定の幅W2であり、輝度値が0である縁領域を付加する縁付けステップをさらに含む、請求項4に記載の光強度算出方法。 - 前記観測光入射ステップにおいて、前記観測光の他に、所定の光強度に保たれた参照光を前記光検出部に入射させる、請求項1から5のいずれかに記載の光強度算出方法。
- 前記光強度算出ステップにおいて、前記信号領域の中の前記輝度値の平均値を前記観測光の光強度とする、請求項1から6のいずれかに記載の光強度算出方法。
- 前記光強度算出ステップにおいて、前記信号領域の中の前記輝度値の刈り込み平均値を前記観測光の光強度とする、請求項1から6のいずれかに記載の光強度算出方法。
- 前記閾値決定ステップにおいて、前記デジタル画像の輝度値ヒストグラムを用いて信号とノイズの境界値を定め、前記境界値を前記閾値と決定する、請求項1から8のいずれかに記載の光強度算出方法。
- 前記閾値決定ステップにおいて、判別分析法、最小誤差法、エントロピー法のいずれか一つを用いて前記境界値を算出する、請求項9記載の光強度算出方法。
- コンピュータに、請求項1から10のいずれかに記載の光強度算出方法を実行させるためのプログラム。
- 光検出部を有する携帯型電子機器を備える光分析装置であって、
前記光検出部に入射した測定試料からの観測光の光強度を算出する光強度算出部と、
前記光検出部に前記観測光を入射させる観測光入射部と、
前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記録する画像取得部と、
前記画像取得部が記録したデジタル画像の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定する閾値決定部と、
前記輝度値が前記閾値以上となるピクセルが占める領域を信号領域と決定する信号領域決定部とを備え、
前記光強度算出部は、前記信号領域の中の前記輝度値のみに基づいて前記観測光の光強度を算出する、光分析装置。 - 前記画像取得部が記録したデジタル画像の外部に、当該デジタル画像の端部から所定の幅W2であり、輝度値が0である縁領域を付加する縁付け部と、
前記縁付け部で縁領域を付加されたデジタル画像にガウシアンフィルタ処理を行うぼかし処理部と、
前記信号領域決定部で決定した前記信号領域の周縁部から所定の幅W1だけ削除して信号領域を収縮する収縮処理部とをさらに備え、
前記閾値決定部は、前記ぼかし処理部でガウシアンフィルタ処理をされた前記デジタル画像の各ピクセルが有する輝度値の閾値を決定し、
前記光強度算出部は、前記収縮処理部で収縮された前記信号領域の中の前記輝度値のみに基づいて前記観測光の光強度を算出する、請求項12記載の光分析装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2016
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