JP2017203639A - 設置判定方法、プログラム及び光測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、検体保持部(PCR管)を導光路への挿入・離脱を行う場合において、導光路へのPCR管の設置状態が正常か異常かを客観的に判定可能な設置判定方法等を提供することを目的とする。【解決手段】 試料容器を設置するための試料容器設置部を備える光測定装置において、前記光測定装置は、前記試料容器からの観測光を検知する光検出部をさらに備え、前記試料容器設置部は、可塑性を有する材料で構成されており、前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記録する画像取得ステップと、前記画像取得ステップで記録した前記デジタル画像から得られる情報に基づいて、前記試料容器の前記試料容器設置部への設置状態が正常か異常かを判定する設置判定ステップとを含むことを特徴とする、設置判定方法である。【選択図】 図1
Description
本発明は、設置判定方法、プログラム及び光測定装置に関するものである。
近年、例えばシリコン、シリコーン、ガラスなどよりなる小さな基板上に、半導体微細加工の技術によってマイクロスケールの分析用チャネルなどを形成したマイクロチップよりなるマイクロリアクタを用いて微量の試薬の分離、合成、抽出、分析などを行う手法が注目されている。
このようなマイクロリアクタを用いた反応分析システムは、マイクロ・トータル・アナリシス・システム(以下、「μTAS」という。)と称されており、μTASによれば、試薬の体積に対する表面積の比が大きくなることなどから高速かつ高精度の反応分析を行うことが可能となり、また、コンパクトで自動化されたシステムを実現することが可能となる。
マイクロチップは、当該マイクロチップに設けられるマイクロチャンネルとも呼ばれる流路10に試薬が配置された反応領域、流体制御素子(マイクロポンプ、マイクロバルブ、マイクロミキサ、フィルタ、センサ)など各種機能を有する領域を設けて集積化することにより、様々な用途に適応させることが可能となる。
発明者らは、これまでマイクロチップを用いた光分析システムの開発を行ってきた。
図10を参照して、発明者らが開発した光分析システム101の構成について説明する(特許文献1参照)。図10は、光分析システム101を用いた光分析の概要を示す図であり、(a)光分析に用いる検体を保持する様子の一例、(b)タブレット端末上で光分析を行う様子の一例を示す図である。
光分析システム101を用いた光分析の前準備として、図10(a)に示すように、採取及び前処理済の検体を含む液体103をマイクロピペット105に保持する。続いて、図10(b)に示すように、液体103をマイクロピペット105で光分析システム101に滴下する。
図10(b)を参照して、光分析システム101は、タブレット端末107及びマイクロチップ109を備える。タブレット端末107は、ディスプレイ部111及びカメラ部113を備える。また、タブレット端末107は、図示しないが、演算機能及びディスプレイ表示画像制御機能を有する演算部、並びに、演算結果等を記憶する記憶部を内蔵する。マイクロチップ109は、タブレット端末107の表面に貼り付けて装着される。マイクロチップ109は、検体流入口115、流路117、検体流出口119、光導入部121、導光路123、及び、光導出部125を備える。
マイクロピペット105に保持された液体103は、検体流入口115に流入される。この液体は、流路117を検体流出口119に向かって流れる。光導入部121は、検体に照射される光源からの光を導入する。光導出部125は、導光路123を経て検体から放出される光(観測光)をカメラ部113に放出する。演算部は、カメラ部113に入射した光を分析する。分析結果は、ディスプレイ部111のマイクロチップ109が重ならない部分127に表示される。光源としては、ディスプレイ部111からの光、又は、外部光源からの光が用いられる。
以下このような光分析システムをLOT(Labo On Tablet)と呼ぶことにする。上記のようなLOTの利点として、光源、測定部、演算部、表示部を1つの処理装置に集約可能であることが挙げられる。処理装置が、タブレットやスマートフォンのような携帯可能な装置であれば、ポイントオブケアテスト(POCT)に対応可能となる。
また、マイクロチップに検体(流体)を光駆動可能な機構(光駆動式ポンプ)を組み込めば、マイクロチップを用いて受動的に流体駆動制御、検体の光分析を実施することが可能となる。さらに、マイクロチップは、安価に製造可能なのでディスポーザルに扱うこともできる。さらに、処理装置に通信機能を搭載させると、様々な検体の分析に応じた分析用ソフトウェアをダウンロード可能であり、多様多種な分析を1台の処理装置で実施可能となる。
LOTにおいては、マイクロチップに検体を流す流路と、流路中の検体に照射する光、および光が照射された検体から放出される光を導光路が設けられている。ここで検体が流体である必要が無い場合は、図11に示すように、導光路に検体を保持した検体保持部を挿入するようにしてもよい。検体保持部は、例えば、PCR管である。
図11に示すLOTにおいては、マイクロチップの光導入部の下部に位置する領域にてディスプレイ部が発光すると、光は光導入部から入射して導光路内を進行し、PCR管の検体を照射する。検体から放出される光(観測光)は、導光路内を進行して光導出部に到達し、光導出部からカメラ部に導光される。
なお、図12に示すように、マイクロチップ光導出部に到達した観測光を、光ファイバ等の導光機器により、カメラ部に導光するようにしてもよい。
ここで、図11、図12に示す構成のLOTにおいては、異なる検体を保持する検体保持部(PCR管)を準備すれば、マイクロチップをタブレット端末のディスプレイ部に固定したまま、PCR管を交換することにより、複数の観測を実施することが可能となる。
この場合、PCR管の導光路への脱着作業が発生する。PCR菅を設置する箇所がシリコーン樹脂等の可塑性の材料で構成されている場合、作業者が導光路に対してPCR管を抜き差しして、必ずしも導光路の同じ位置にPCR管が装着されるとは限らない。そのため、PCR管の装着状態により、観測結果の変動が生じることが懸念される。
そこで、本発明は、検体保持部(PCR管)を導光路への挿入・離脱を行う場合において、導光路へのPCR管の設置状態が正常か異常かを客観的に判定可能な設置判定方法等を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点は、試料容器を設置するための試料容器設置部を備える光測定装置において、前記光測定装置は、前記試料容器からの観測光を検知する光検出部をさらに備え、前記試料容器設置部は、可塑性を有する材料で構成されており、前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記録する画像取得ステップと、前記画像取得ステップで記録した前記デジタル画像から得られる情報に基づいて、前記試料容器の前記試料容器設置部への設置状態が正常か異常かを判定する設置判定ステップとを含むことを特徴とする、設置判定方法である。
本発明の第2の観点は、第1の観点の設置判定方法であって、前記画像取得ステップと前記設置判定ステップの間に、前記デジタル画像に基づいて、前記デジタル画像における光強度の傾斜を表す傾斜画像を得る傾斜画像変換ステップをさらに含み、前記設置判定ステップにおいて、前記傾斜画像に基づいて、前記設置状態が正常か異常かを判定する。
本発明の第3の観点は、第2の観点の設置判定方法であって、前記傾斜画像変換ステップと前記設置判定ステップの間に、前記傾斜画像と前記デジタル画像における光強度の傾斜の基準を示す標準画像とを比較する傾斜画像比較ステップをさらに含み、前記設置判定ステップにおいて、前記傾斜画像比較ステップの比較結果に基づいて、前記設置状態が正常か異常かを判定する。
本発明の第4の観点は、第2又は第3の観点の設置判定方法であって、前記傾斜画像は、前記デジタル画像の点拡がり関数の傾斜を表すものである。
本発明の第5の観点は、第4の観点の設置判定方法であって、前記設置判定ステップにおいて、前記点拡がり関数の傾きを標準画像と比較して傾き変化量を算出し、当該傾き変化量が所定の基準値を超えていれば、設置状態が異常と判定する。
本発明の第6の観点は、第2から第5のいずれかの観点の設置判定方法であって、前記傾斜画像変換ステップにおいて、前記傾斜画像の光強度を、前記傾斜画像における中心点の周りに角度方向に積算する画像積算ステップをさらに含む。
本発明の第7の観点は、第1から第6のいずれかの観点の設置判定方法であって、前記光測定装置は、前記試料容器からの前記観測光を前記光検出部へと導光する光ファイバをさらに備える。
本発明の第8の観点は、第1から第7のいずれかの観点の設置判定方法であって、前記設置判定ステップの後に、前記光測定装置が、前記設置判定ステップにおける判定結果を通知する結果通知ステップを含む。
本発明の第9の観点は、前記光測定装置に、第1から第7のいずれかの観点の設置判定方法を実行させるプログラムである。
本発明の第10の観点は、試料容器を設置するための試料容器設置部を備える光測定装置であって、前記試料容器からの観測光を検知する光検出部と、前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記憶する画像記憶部と、前記画像記憶部が記憶した前記デジタル画像から得られる情報に基づいて、前記試料容器の設置状態が正常か異常かを判定する設置判定部とを備え、前記試料容器設置部は、可塑性を有する材料で構成されている、光測定装置である。
本発明の各観点によれば、試料容器設置部がシリコーン樹脂のように可塑性を有する材料で構成されている光測定装置においても、試料容器の設置状態を客観的に確認することが容易となる。
また、本発明の第2から第4の観点によれば、光強度の絶対値よりも試料容器の設置状態に左右されやすい光強度の傾斜情報を得ることが容易となる。そのため、試料容器の設置状態を客観的に確認することがさらに容易となる。
特に、本発明の第3の観点によれば、例えば、適切な設置状態のときの傾斜画像を標準画像として用いることにより、試料容器の設置状態を客観的に確認することがさらに容易となる。
さらに、本発明の第5の観点によれば、設置状態の異常を定量的に確認することがさらに容易となる。
さらに、本発明の第6の観点によれば、傾斜画像の角度依存性をなくすことが可能となる。このため、複数の傾斜画像の比較が容易となり、試料容器の設置状態を客観的に確認することがさらに容易となる。
また、本発明の第7の観点によれば、試料容器からの観測光が光ファイバを経由して光検出部へと導光される間に観測光の情報が混濁してプロファイル情報が失われても、試料容器の設置状態を客観的に確認することができる。
また、本発明の第8の観点によれば、試料容器の設置状態が異常と判定された場合に、正常な設置状態に修正することが容易となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について述べる。なお、本発明の実施の形態は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例に係る光測定装置(本願請求項における「光測定装置」の一例)は、図示しないタブレット端末及びマイクロチップとを備える。本実施例に係るタブレット端末は、PCR管(本願請求項における「試料容器」の一例)からの観測光(本願請求項における「観測光」の一例)を検知するカメラ部(本願請求項における「光検出部」の一例)と、カメラ部に入射した観測光をデジタル画像として記憶する画像記憶部(本願請求項における「画像記憶部」の一例)と、PCR管の設置状態が正常か異常かを判定する設置判定部(本願請求項における「設置判定部」の一例)と、デジタル画像を点拡がり関数の傾斜を表す傾斜画像に変換する傾斜画像変換部と、傾斜画像と標準画像とを比較する傾斜画像比較部と、点拡がり関数の傾きを標準画像と比較しての傾斜画像の傾き変化量を算出する傾き変化量算出部と、傾斜画像の光強度を積算する光強度積算部とを備える。
本実施例に係る設置判定部は、画像記憶部に記録されたデジタル画像から得られる情報に基づいて、PCR管の試料容器設置部への設置状態が正常か異常かを判定する。具体的には、設置判定部は、傾斜画像に基づいて、設置状態が正常か異常かを判定する。傾斜画像変換部は、画像記録部に記録されたデジタル画像を点拡がり関数の傾斜を表す傾斜画像に変換する。傾斜画像比較部は、傾斜画像とデジタル画像における光強度の傾斜の基準を示す標準画像とを比較する。
本実施例に係るマイクロチップは、従来技術に記載した構成を備えることに加えて、PCR管を設置するための場所である試料容器設置部(本願請求項における「試料容器設置部」の一例)がPDMS等のシリコーン樹脂(本願請求項における「可塑性を有する材料」の一例)で構成されている点を特筆する。
<1.抜き差しによる観測結果の変動>
まずは、抜き差しによる観測結果の変動を確認するために、検体を保持したPCR管(本願請求項における「試料容器」の一例)を導光路の試料容器設置部(本願請求項における「試料容器設置部」の一例)に装着したまま複数回測定を行った場合と、PCR管を測定毎に毎回脱着して(抜き差しして)複数回測定を行った場合とを比較した。その結果を図1に示す。図1は、吸光度の測定を想定し、タブレット端末のディスプレイからの波長530nmの光をエタノール検体に照射したときの透過光強度のばらつきを示すものであり、測定回数は10回である。また透過光強度は、図1(a)に示すカメラ部で受光した透過光1(本願請求項における「観測光」の一例)の画像(本願請求項における「デジタル画像」の一例)を演算処理して求めた。
まずは、抜き差しによる観測結果の変動を確認するために、検体を保持したPCR管(本願請求項における「試料容器」の一例)を導光路の試料容器設置部(本願請求項における「試料容器設置部」の一例)に装着したまま複数回測定を行った場合と、PCR管を測定毎に毎回脱着して(抜き差しして)複数回測定を行った場合とを比較した。その結果を図1に示す。図1は、吸光度の測定を想定し、タブレット端末のディスプレイからの波長530nmの光をエタノール検体に照射したときの透過光強度のばらつきを示すものであり、測定回数は10回である。また透過光強度は、図1(a)に示すカメラ部で受光した透過光1(本願請求項における「観測光」の一例)の画像(本願請求項における「デジタル画像」の一例)を演算処理して求めた。
図1(b)は、上記した透過光強度のばらつきを示すものであり、同図において、一点鎖線は、PCR管を装着したまま10回測定したときを示し、実線は、1回の測定が終わる毎にPCR管を抜き、再び装着して次の測定を実施するようにして、10回測定したときを示す。
同図から明らかなように、PCR管を装着したままの複数回測定より、PCR管を毎回脱着する複数回測定の方が、測定ばらつきは大きい。PCR管を装着したままの複数回測定においては、標準偏差は約0.0010程度であったのに対し、PCR管を毎回脱着する複数回測定においては、標準偏差は約0.0184程度であった。
<2.PCR管脱着時における透過光の重心変化>
PCR管の毎回脱着する場合において、各測定における透過光の重心がどのように変化するかを求めた。透過光の重心変化は、図1(a)に示すような透過光画像において、透過光強度が最も大きい値を示す位置の変化を示すものである。表1に、各測定毎の重心位置を示す。ここでx軸は透過光画像の横方向、y軸は透過光画像の縦方向を示す。
PCR管の毎回脱着する場合において、各測定における透過光の重心がどのように変化するかを求めた。透過光の重心変化は、図1(a)に示すような透過光画像において、透過光強度が最も大きい値を示す位置の変化を示すものである。表1に、各測定毎の重心位置を示す。ここでx軸は透過光画像の横方向、y軸は透過光画像の縦方向を示す。
表1から明らかなように、PCR管の脱着を繰り返しても、透過光強度の重心位置は殆ど変化しなかった。このことから重心の変化は、PCR管の装着状態を示す指標とはなりにくいとが判明した。
<3.画像処理による指標の探索>
次に、透過光強度の強度分布の変化が指標に成り得るかどうか調査した。図1(a)に示す透過光画像を画像処理して、透過光強度プロファイルの傾斜の度合、および、傾斜の向きを表す画像を生成した。その画像を図2に示す。
次に、透過光強度の強度分布の変化が指標に成り得るかどうか調査した。図1(a)に示す透過光画像を画像処理して、透過光強度プロファイルの傾斜の度合、および、傾斜の向きを表す画像を生成した。その画像を図2に示す。
図2(a)は画像処理前の画像であり、図1(a)に示すものと同じである(すなわち、検体がエタノールである場合の画像である)。図2(b)は、0〜2π(rad)の向きをhue値(0〜1)に当てはめる処理をした後の画像(本願請求項における「傾斜画像」の一例)である。すなわち、図2(a)の画像の点拡がり関数(本願請求項における「点拡がり関数」の一例)の傾斜を表すものである。今回の画像処理では、0〜2πradの向きを、hue値(0〜1)の整数倍に相当させた。図2(b)において、各色相は、上記した透過光強度プロファイルの傾斜の向きを示す。同図では、色相範囲を離散的に表示しているが、実際は、色相は連続的に変化している。また、色の濃淡は、傾斜の傾きを示すものであり、色が濃いほど、傾斜の傾きが大きいことを示す。
図2(b)において、傾斜の向きや傾斜の度合(大きさ)は、図2(a)に示す画像の中心から360度方向に渡る傾斜の向きや大きさが表示されている。図2(b)から明らかなように、透過光画像の中心付近の強度が大きくて、変化がないことが分かる。
上記した透過光強度プロファイルの傾斜の大きさ、および、傾斜の向きが、PCR管の装着状態を示す指標となるかどうかを調査した。図3は、PCR管を脱着し、透過光強度プロファイルの傾斜の大きさの変化を示す図である。傾斜の大きさの変化は、一枚の基準となる画像(以下、この画像を標準画像と呼ぶことにする)の傾斜の大きさに対する変化量で示す。
ここで、標準画像における傾斜の大きさに対し、比較画像にける傾斜の大きさが小さい場合は、変化量が負の値となる。この場合、変化量を示す画像は、負の値の大きさに関わらず強度が0のときと同様となってしまい、黒一色となる。この状態では、傾斜の大きさの変化を把握することができなくなる。よって、標準画像と比較画像との比較の際、変化量が負とならないように、比較後、変化量の値に所定の値を加算して補正した。
なお、標準画像は、実際の測定の前に予めPCR管を複数回脱着させて、PCR管の装着毎に画像情報を取得し、この画像情報の中から選択するようにしてもよい。例えば、事前測定として、上記したように、PCR管の透過光強度を測定するに当たり、1回の測定が終わる毎にPCR管を抜き、再び装着して次の測定を実施するようにして、10回測定したとする。このときの透過光強度の測定のばらつきが、例えば、図1(b)のようになったとすると、ばらつきの大きい、3回目、4回目、7回目、10回目を除き、比較的ばらつきの小さい、1回目、2回目、5回目、6回目、8回目、9回目の透過光強度測定における画像のいずれかを、標準画像と設定してもよい。あるいは、1回目、2回目、5回目、6回目、8回目、9回目の透過光強度測定における画像を、画像処理により平均して得た画像を標準画像として設定してもよい。
図3(a)は傾斜の大きさの変化が小さい場合を示し、図3(b)は傾斜の大きさの変化が大きい場合を示す。同図から明らかなように、傾斜の大きさの変化が大きい場合、処理画像において、画像の中央部を中心としたリング状領域が顕著に表れる。
一方、図4は、PCR管を脱着し、透過光強度プロファイルの傾斜の向きの変化を示す図である。傾斜の向きの変化は、一枚の基準となる画像の傾斜の向きに対する変化量で示す。図3に示す傾斜の大きさの変化量のときと同様、変化量が負とならないように、変化量の値に所定の値を加算して補正した。図4(a)は傾斜の向きの変化が小さい場合を示し、図7(b)は傾斜の向きの変化が大きい場合を示す。
同図から明らかなように、傾斜の向きの変化が小さい場合、大きい場合の双方に顕著な差異は確認できなかった。
同図から明らかなように、傾斜の向きの変化が小さい場合、大きい場合の双方に顕著な差異は確認できなかった。
図3、図4から明らかなように、傾斜の大きさの変化量の大小は画像処理により明確に判定可能であるが、傾斜の向きの変化量の大小は画像処理により判定するのは比較的難しいことが分かった。よって、透過光強度プロファイルの傾斜の大きさの変化量が、PCR管の装着状態を示す指標となる可能性が高い。
<4.透過光強度プロファイルの傾斜の大きさの変化量を用いた設置状態の確認>
上記した傾斜の大きさの変化量という指標を用いて、検体を保持したPCR管を導光路に装着したまま複数回吸光度測定を行った場合と、PCR管を測定毎に毎回脱着して(抜き差しして)複数回吸光度測定を行った場合とを比較した。検体はエタノール、検体への照射光はタブレット端末のディスプレイ部からの波長530nmの光とし、PCR管を導光路に装着したままの測定は10回、PCR管を測定毎に毎回導光路から脱着する場合の測定は30回行った。
上記した傾斜の大きさの変化量という指標を用いて、検体を保持したPCR管を導光路に装着したまま複数回吸光度測定を行った場合と、PCR管を測定毎に毎回脱着して(抜き差しして)複数回吸光度測定を行った場合とを比較した。検体はエタノール、検体への照射光はタブレット端末のディスプレイ部からの波長530nmの光とし、PCR管を導光路に装着したままの測定は10回、PCR管を測定毎に毎回導光路から脱着する場合の測定は30回行った。
そして、PCR管を導光路に装着したままの場合、10枚の測定画像を透過光強度プロファイルにおける傾斜の大きさを示す画像に画像処理し、これらを標準画像とそれぞれ比較して、傾斜の大きさの変化量を示す画像10枚を得た。一方、PCR管を測定毎に毎回導光路から脱着させる場合、30枚の測定画像を透過光強度プロファイルにおける傾斜の大きさを示す画像に画像処理し、これらを標準画像とそれぞれ比較して、傾斜の大きさの変化量を示す画像30枚を得た。
なお、傾斜の傾き度合(大きさ)の情報が局所的にならないように、傾斜の大きさの変化量を示す画像を一回転させ、360°分の情報を積算する画像処理を更に実施した。その例を図5に示す。図5(a)は傾斜の変化量の大きさが小さい場合の画像、図5(a)は傾斜の変化量の大きさが大きい場合の画像の一例を示す。図3(b)にて観察されたリング状領域は、図5では、画像の中央部を中心とした同心円状の複数のリング領域として観察される。
図5から明らかなように、傾斜の変化量の大きさが大きい場合(図5(b))、各リングの明度の差が顕著に表れていることが分かる。
図5から明らかなように、傾斜の変化量の大きさが大きい場合(図5(b))、各リングの明度の差が顕著に表れていることが分かる。
図5に示す、透過光強度プロファイルにおける傾斜の大きさの変化量をリング領域の明度として表す画像を基に、PCR管を導光路に装着したままの場合とPCR管を測定毎に毎回導光路から脱着させる場合における傾斜の大きさの変化量のプロファイルを求めた。
具体的には、図5(a)に示す画像から、同図に示す断面におけるリング領域の明度(一軸方向のリング領域の明度)の場所的プロファイルを求めた。
具体的には、図5(a)に示す画像から、同図に示す断面におけるリング領域の明度(一軸方向のリング領域の明度)の場所的プロファイルを求めた。
図6(a)は、PCR管を導光路に装着したままの場合におけるリング領域の明度(傾斜の大きさの変化量に相当)の一軸方向プロファイルを示す。また、図6(b)は、PCR管を測定毎に毎回導光路から脱着させる場合におけるリング領域の明度(傾斜の大きさの変化量に相当)の一軸方向プロファイルを示す。
図6において、横軸は画像の一軸方向の位置、縦軸は、リング領域の明度(傾斜の大きさの変化量)を示す。
図6において、横軸は画像の一軸方向の位置、縦軸は、リング領域の明度(傾斜の大きさの変化量)を示す。
図6(b)から明らかなように、30回の脱着(30枚の画像)において、数回(数枚の画像)では、リング領域の明度(傾斜の大きさの変化量)プロファイルが極端に変化しているものがある。しかし、それ以外は、図6(a)と同様のリング領域の明度プロファイルのばらつきとなっている。よって、リング領域の明度(傾斜の大きさの変化量)プロファイルが極端に変化している画像が得られた際のPCR管の設置状態は、他の場合と比較してずれているものと推察される。言い換えれば、透過光強度プロファイルの傾斜の大きさの変化量のばらつきは、PCR管設置状態の確認のための指標となり得る。
ここで、PCR管を測定の都度、脱着する場合において、図1に示すような透過光強度のばらつきと、図6に示すリング領域の明度(傾斜の大きさの変化量)のばらつきの相関関係を調査した。図7にこれらの相関関係を示す図を示す。図7において、横軸は、傾斜の大きさの変化量のばらつき(一軸方向のリング領域の明度の)を示す。一方、縦軸は透過光強度のばらつきを示す。両者の相関係数は0.798であった。
同様にして、検体をエタノールに色素Sudanを濃度100μMで溶解させた溶液に替えて、PCR管を導光路に装着したままの場合、および、PCR管を測定毎に毎回導光路から脱着させる場合におけるリング領域の明度(傾斜の大きさの変化量に相当)の一軸方向プロファイルを求めた。なお、エタノールの時と同様、検体に照射した光は、タブレット端末のディスプレイ部からの波長530nmの光である。2つの場合とも、測定は10回行い、それぞれ10枚の傾斜の大きさの変化量を示す画像を得た。
図8(a)にPCR管を導光路に装着したままの場合、図8(b)にPCR管を測定毎に毎回導光路から脱着させる場合におけるリング領域の明度(傾斜の大きさの変化量に相当)の一軸方向プロファイルを示す。エタノールのときと同様、図8(b)から明らかなように、10回の脱着(10枚の画像)において、数回(数枚の画像)では、リング領域の明度(傾斜の大きさの変化量)プロファイルが極端に変化しているものがある。しかし、それ以外は、図8(a)と同様のリング領域の明度プロファイルのばらつきとなっている。
よって色素Sudanのエタノール溶液を用いた場合でも、リング領域の明度(傾斜の大きさの変化量)プロファイルが極端に変化している画像が得られた際のPCR管の設置状態は、他の場合と比較してずれているものと推察される。言い換えれば、透過光強度プロファイルの傾斜の大きさの変化量のばらつきは、PCR管設置状態の確認のための指標となり得る。
よって色素Sudanのエタノール溶液を用いた場合でも、リング領域の明度(傾斜の大きさの変化量)プロファイルが極端に変化している画像が得られた際のPCR管の設置状態は、他の場合と比較してずれているものと推察される。言い換えれば、透過光強度プロファイルの傾斜の大きさの変化量のばらつきは、PCR管設置状態の確認のための指標となり得る。
ここで、PCR管を測定の都度、脱着する場合において、図1に示すような透過光強度のばらつきと、図8に示すリング領域の明度(傾斜の大きさの変化量)のばらつきの相関関係を調査した。図9にこれらの相関関係を示す図を示す。図9において、横軸は、傾斜の大きさの変化量のばらつき(一軸方向のリング領域の明度の)を示す。一方、縦軸は透過光強度のばらつきを示す。両者の相関係数は0.966であった。
本発明の計測方法は、検体を内包する検体保持部を光測定光路内に脱着して光測定する場合、検体保持部の設置像(検体の設置位置情報)を直接取得できないときに、検体保持部の設置情報を観測光画像から得るものである。例えば、図12に示すように、カメラ部に導光機器(光ファイバ)で観測光を導光する場合、光ファイバを通過することにより観測光の光学情報は混濁し、画像はスポット状となる。すなわち、観測光の強度情報は維持されるものの、プロファイル情報は失われる。このような場合でも、本発明の計測方法を行うことにより、検体を内包する検体保持部の設置状態を検出することができる。
例えば、検体保持部から放出される光(観測光)の画像を本測定の前に画像処理を行い、検体保持部の設置状態を判定し、設置状態が予め設定している標準の設置状態から著しく外れている場合、アラーム信号をLOTのタブレット端末から発信するようにしてもよい。
また、本実施例に係るタブレット端末が備える傾き変化量算出部が、点拡がり関数の傾きを標準画像と比較して傾斜画像の傾き変化量を算出するものであってもよい。このとき、傾き変化量が所定の基準値を超えている場合に、設置判定部がPCR管の設置状態を異常と判定するものであってもよい。
1・・・透過光
Claims (10)
- 試料容器を設置するための試料容器設置部を備える光測定装置において、
前記光測定装置は、前記試料容器からの観測光を検知する光検出部をさらに備え、
前記試料容器設置部は、可塑性を有する材料で構成されており、
前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記録する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップで記録した前記デジタル画像から得られる情報に基づいて、前記試料容器の前記試料容器設置部への設置状態が正常か異常かを判定する設置判定ステップとを含むことを特徴とする、設置判定方法。 - 前記画像取得ステップと前記設置判定ステップの間に、前記デジタル画像に基づいて、前記デジタル画像における光強度の傾斜を表す傾斜画像を得る傾斜画像変換ステップをさらに含み、
前記設置判定ステップにおいて、前記傾斜画像に基づいて、前記設置状態が正常か異常かを判定する、請求項1記載の設置判定方法。 - 前記傾斜画像変換ステップと前記設置判定ステップの間に、前記傾斜画像と前記デジタル画像における光強度の傾斜の基準を示す標準画像とを比較する傾斜画像比較ステップをさらに含み、
前記設置判定ステップにおいて、前記傾斜画像比較ステップの比較結果に基づいて、前記設置状態が正常か異常かを判定する、請求項2記載の設置判定方法。 - 前記傾斜画像は、前記デジタル画像の点拡がり関数の傾斜を表すものである、請求項2又は3記載の設置判定方法。
- 前記設置判定ステップにおいて、前記点拡がり関数の傾きを標準画像と比較して傾き変化量を算出し、当該傾き変化量が所定の基準値を超えていれば、設置状態が異常と判定する、請求項4記載の観測光測定方法。
- 前記傾斜画像変換ステップにおいて、前記傾斜画像の光強度を、前記傾斜画像における中心点の周りに角度方向に積算する画像積算ステップをさらに含む、請求項2から5のいずれかに記載の設置判定方法。
- 前記光測定装置は、前記試料容器からの前記観測光を前記光検出部へと導光する光ファイバをさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の設置判定方法。
- 前記設置判定ステップの後に、前記光測定装置が、前記設置判定ステップにおける判定結果を通知する結果通知ステップを含む、請求項1から7のいずれかに記載の設置判定方法。
- 前記光測定装置に、請求項1から7のいずれかに記載の設置判定方法を実行させるプログラム。
- 試料容器を設置するための試料容器設置部を備える光測定装置であって、
前記試料容器からの観測光を検知する光検出部と、
前記光検出部に入射した前記観測光をデジタル画像として記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部が記憶した前記デジタル画像から得られる情報に基づいて、前記試料容器の設置状態が正常か異常かを判定する設置判定部とを備え、
前記試料容器設置部は、可塑性を有する材料で構成されている、光測定装置。
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JP2016093887A JP2017203639A (ja) | 2016-05-09 | 2016-05-09 | 設置判定方法、プログラム及び光測定装置 |
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JP2020122759A (ja) * | 2019-01-31 | 2020-08-13 | セイコーエプソン株式会社 | 分光システム |
-
2016
- 2016-05-09 JP JP2016093887A patent/JP2017203639A/ja active Pending
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