JP2017203446A - シリンダーブロック - Google Patents
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Abstract
【課題】爆発荷重が作用したときにジャーナル隔壁のインロー部の隅R部に生じる引張応力を緩和し、変動応力を抑えることのできるシリンダーブロックを提供する。
【解決手段】シリンダーブロック10は、クランク室15を形成するスカート部16と、クランク室15をシリンダー12ごとに区画するとともにメインキャップ40が取り付けられることでジャーナル穴23を形成するジャーナル隔壁20とを有する。ジャーナル隔壁20は、ジャーナル穴23を構成する軸受部25とメインキャップ40が嵌め込まれるインロー部28とメインキャップ40をジャーナル隔壁20に取り付ける一対の締結部材21が締結される一対の締結部29とを有する軸受壁部26と、軸受壁部26とスカート部16とを接続する接続壁部27とを備え、接続壁部27は、平面視にて一対の締結部29の各々からピストン11の上動方向へ接続壁部27の端部まで延びる厚肉部32を有する。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダーブロック10は、クランク室15を形成するスカート部16と、クランク室15をシリンダー12ごとに区画するとともにメインキャップ40が取り付けられることでジャーナル穴23を形成するジャーナル隔壁20とを有する。ジャーナル隔壁20は、ジャーナル穴23を構成する軸受部25とメインキャップ40が嵌め込まれるインロー部28とメインキャップ40をジャーナル隔壁20に取り付ける一対の締結部材21が締結される一対の締結部29とを有する軸受壁部26と、軸受壁部26とスカート部16とを接続する接続壁部27とを備え、接続壁部27は、平面視にて一対の締結部29の各々からピストン11の上動方向へ接続壁部27の端部まで延びる厚肉部32を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリンダーブロックに関する。
例えば、特許文献1のように、エンジンの動力を伝達するクランクシャフトは、シリンダーブロックに形成されたジャーナル隔壁と、ジャーナル隔壁に締結されるメインキャップとによって回転自在に支持されている。
図6は、シリンダーブロックにメインキャップが締結された状態を示す図である。図6に示すように、シリンダーブロック50は、ピストン51が上下動する複数のシリンダー52と、クランクシャフト53が配設されるクランク室55を構成するスカート部56とを備えている。また、シリンダーブロック50は、スカート部56に接続されてクランクシャフト53の長手方向でクランク室55をシリンダー52ごとに区画するジャーナル隔壁60を備えている。ジャーナル隔壁60には、クランクシャフト53のクランクジャーナル54を挟むように位置する一対の締結部材61によってメインキャップ70が締結されている。クランクシャフト53は、ジャーナル隔壁60とメインキャップ70とによって形成されるジャーナル穴63に回転自在に支持される。
ジャーナル隔壁60は、クランクシャフト53のクランクジャーナル54を回転自在に支持する軸受壁部66と、軸受壁部66とスカート部56とを接続する接続壁部67とを有している。軸受壁部66は、ジャーナル穴63を構成する半円形状の軸受部65、メインキャップ70が嵌め込まれるインロー部68、および、一対の締結部材61が締結される部位であって軸受部65を挟む一対の締結部69を有している。メインキャップ70は、ジャーナル隔壁60の軸受部65とともにジャーナル穴63を構成する半円形状の軸受部71を有している。
ところで、図7(a)に示すように、各シリンダー52における燃焼によってクランクシャフト53のクランクピン57に爆発荷重Fが作用すると、その爆発荷重Fは、クランクジャーナル54、メインキャップ70、および、締結部材61を介してジャーナル隔壁60に作用する。そのため、メインキャップ70をジャーナル隔壁60から引き離そうとする荷重が作用し、ジャーナル穴63の中心軸63Aをピストン51の下動方向へ変位δjだけ変位させる弾性変形が生じる。また、爆発荷重Fが作用したクランクシャフト53には、ピストン11の下動方向側への撓みが生じる。そのため、ジャーナル隔壁60には、クランクシャフト53の撓みに起因して中心軸63Aに倒れ角θを生じさせる矢印A方向への弾性変形である倒れ変形が生じる。
一方で、シリンダーブロック50とメインキャップ70との合わせ面74には面圧が生じている。この合わせ面74には、ボルト締結時には概ね均等に面圧が作用するとともにインロー部68の隅部である隅R部72には圧縮応力が生じる。一方、爆発荷重Fの作用によりジャーナル隔壁60には引張応力が作用するため、合わせ面74に作用する面圧は概ね均等に低くなる。また、倒れ角θの作用により、ジャーナル隔壁60には、爆発シリンダー側の部位に引張力が作用し、爆発シリンダーとは反対側の部位に圧縮力が作用する。そのため、合わせ面74に作用する面圧は、爆発シリンダー側の部位では抜けて低くなり、爆発シリンダーとは反対側の部位では高くなる。
よって、総合的に、ジャーナル隔壁60の爆発シリンダー側の部位には大きな引張応力が作用し、爆発シリンダーの反対側の部位には小さな引張応力が作用する。したがって、合わせ面74に作用する面圧は、爆発シリンダー側の部位ほど低く、爆発シリンダーの反対側の部位ほど高くなる傾向を呈する。そのため、図7(b)に模式的に示すように、合わせ面74の変形として、爆発荷重Fによるピストン51の下動方向への合わせ面74の平均変位である変位δFと、倒れ角θによるピストン51の下動方向への変位δθであって爆発シリンダー側のジャーナル前端と爆発シリンダーの反対側のジャーナル後端との間の変位δθとが生じる。変位δFはジャーナル隔壁60が引き伸ばされることにより生じており、これにより隅R部72には引張応力が生じる。変位δθは、爆発シリンダーの反対側では合わせ面74を持ち上げるように作用することから、図8に示すように、隅R部72には、爆発シリンダーの反対側ほど大きくなる引張応力が発生する。すなわち、ボルト締結時に圧縮応力、爆発荷重作用時に引張応力となる変動応力が隅R部72に作用しており、これによる疲労を回避するため、ジャーナル隔壁60のインロー部68の隅R部72に生じる引張応力を緩和する方策が求められている。なお、図8では、隅R部72に発生している応力を部分的に示しており、また、色の濃い部分ほど応力が大きいことを示している。
本発明は、爆発荷重が作用したときにジャーナル隔壁のインロー部の隅R部に生じる引張応力を緩和し、変動応力を抑えることのできるシリンダーブロックを提供することを目的とする。
上記課題を解決するシリンダーブロックは、クランクシャフトが配設されるクランク室を形成するスカート部と、前記クランク室をシリンダーごとに区画するとともにメインキャップが取り付けられることでジャーナル穴を形成するジャーナル隔壁とを有するシリンダーブロックであって、前記ジャーナル隔壁は、前記ジャーナル穴を構成する軸受部と前記メインキャップが嵌め込まれる凹形状を有するインロー部と前記メインキャップを前記ジャーナル隔壁に取り付ける一対の締結部材が締結される部位であって前記軸受部を挟む一対の締結部とを有する軸受壁部と、前記軸受壁部と前記スカート部とを接続する接続壁部とを備え、前記接続壁部は、前記ジャーナル隔壁の壁面に対向する平面視にて前記一対の締結部の各々からピストンの上動方向へ前記接続壁部の端部まで延びる厚肉部を有する。
上記構成によれば、接続壁部では、厚肉部によって一対の締結部に対するピストンの上動方向側の部位における剛性が高められる。そのため、爆発荷重がジャーナル隔壁に作用しても、ピストンの下動方向への合わせ面の変位δfを抑えることができる。その結果、インロー部の隅R部に生じる引張応力を緩和し、変動応力を抑えることができる。
上記シリンダーブロックにおいて、前記厚肉部は、前記接続壁部の両壁面で突出していることが好ましい。
上記構成によれば、厚肉部における剛性をより高めることができる。また、ジャーナル隔壁を挟む2つのシリンダーのどちらから爆発荷重を受けたとしてもインロー部の隅R部に生じる引張応力をより確実に緩和することができる。
上記構成によれば、厚肉部における剛性をより高めることができる。また、ジャーナル隔壁を挟む2つのシリンダーのどちらから爆発荷重を受けたとしてもインロー部の隅R部に生じる引張応力をより確実に緩和することができる。
上記シリンダーブロックにおいて、前記インロー部は、底面と互いに対向する一対の側面とを有し、前記厚肉部は、前記ジャーナル隔壁の壁面に対向する平面視にて前記一対の側面の内側の領域に形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、変位δθが作用した場合において、インロー部の外側の壁部の剛性が低いことから、インロー部の隅R部に生じる引張応力をより効果的に緩和することができる。
上記シリンダーブロックにおいて、前記接続壁部は、前記ピストンとの干渉を回避する逃げ部を有していてもよい。
上記構成によれば、互いに隣接する2つのシリンダーの間隔を小さくすることができる。その結果、エンジンの小型化を図ることができる。
上記構成によれば、互いに隣接する2つのシリンダーの間隔を小さくすることができる。その結果、エンジンの小型化を図ることができる。
上記シリンダーブロックにおいて、前記厚肉部は、前記逃げ部の両側に形成されていることが好ましい。上記構成によれば、接続壁部のうちで締結部に対するピストンの上動方向側の部位における剛性を高めることができる。その結果、インロー部の隅R部に生じる引張応力を効果的に緩和することができる。
図1〜図4を参照して、シリンダーブロックの一実施形態について説明する。
図1に示すように、シリンダーブロック10は、例えば鋳鉄製の基材に対して機械加工を行うことにより作製される。シリンダーブロック10は、ピストン11が上下動する複数のシリンダー12と、クランクシャフト13が配設されるクランク室15を構成するスカート部16とを備えている。また、シリンダーブロック10は、スカート部16に接続されてクランクシャフト13の長手方向でクランク室15をシリンダー12ごとに区画するジャーナル隔壁20を備えている。ジャーナル隔壁20には、クランクジャーナル14を挟む一対の締結部材21によってメインキャップ40が締結されている。そして、クランクシャフト13は、ジャーナル隔壁20とメインキャップ40とによって形成されるジャーナル穴23にクランクジャーナル14が配設されていることでシリンダーブロック10およびメインキャップ40に回転自在に支持される(図2参照)。
図1に示すように、シリンダーブロック10は、例えば鋳鉄製の基材に対して機械加工を行うことにより作製される。シリンダーブロック10は、ピストン11が上下動する複数のシリンダー12と、クランクシャフト13が配設されるクランク室15を構成するスカート部16とを備えている。また、シリンダーブロック10は、スカート部16に接続されてクランクシャフト13の長手方向でクランク室15をシリンダー12ごとに区画するジャーナル隔壁20を備えている。ジャーナル隔壁20には、クランクジャーナル14を挟む一対の締結部材21によってメインキャップ40が締結されている。そして、クランクシャフト13は、ジャーナル隔壁20とメインキャップ40とによって形成されるジャーナル穴23にクランクジャーナル14が配設されていることでシリンダーブロック10およびメインキャップ40に回転自在に支持される(図2参照)。
ジャーナル隔壁20は、ジャーナル穴23を構成する軸受部25が形成された軸受壁部26と、軸受壁部26とシリンダーブロック10のスカート部16とを接続する接続壁部27とを有している。軸受壁部26は、軸受部25のほか、メインキャップ40が嵌め込まれるインロー部28と締結部材21が締結される締結部29とを有している。
軸受部25は、ジャーナル隔壁20の壁面に対向する平面視にてインロー部28の底面28bからシリンダー12に向かって張り出す半円形状を有している。なお、この軸受部25には、図示されない半円形状の軸受メタルが配設される。インロー部28は、ピストン11の下動方向、および、クランクシャフト13の長手方向が開放された凹部であり、軸受部25が開口する底面28bと、クランクジャーナル14を挟むように互いに対向する一対の側面28sと、底面28bと側面28sの各々とがなす隅部であってピストン51の上動方向へ張り出す円弧状の隅R部28Rとを有している。インロー部28は、ジャーナル隔壁20にメインキャップ40を締結する際にメインキャップ40が嵌め込まれることにより、ジャーナル隔壁20に対するメインキャップ40の位置合わせを行う。一対の締結部29の各々は、軸受部25を挟むように軸受部25の両側に位置して、軸受壁部26の幅方向における端部を構成する。一対の締結部29の各々は、インロー部28の底面28bに開口して締結部材21が螺合する雌ねじ部30を有している。
図3(a)に示すように、ジャーナル隔壁20の接続壁部27は、逃げ部31、厚肉部32、および、外側部33を備えている。逃げ部31は、接続壁部27の幅方向における中央位置に形成されている。逃げ部31は、ピストン11とジャーナル隔壁20との干渉が回避されるように、接続壁部27の壁面27aが互いに近づくように窪んでいる部位である。厚肉部32は、逃げ部31の両側に位置しており、接続壁部27の壁面27aの双方に一体的に形成される肉盛部35の分だけ外側部33よりも肉厚の厚い部位である。肉盛部35は、外側部33との段差部分にR部を有していることが好ましく、この場合、肉盛部35の形成範囲は、R部を含んで設定される。厚肉部32は、軸受壁部26の締結部29の各々からピストン11の上動方向へ接続壁部27の端部まで延びている。厚肉部32は、締結部29に形成された雌ねじ部30に対し、ジャーナル隔壁20の壁面に対向する平面視にてピストン11の上下動方向で重なっている。外側部33は、一対の厚肉部32の外側に位置する部位であって厚肉部32の各々とスカート部16とを接続する部位である。
図1に示すように、メインキャップ40は、例えば鋳鉄製の基材に対して機械加工を行うことにより作製される。メインキャップ40は、ジャーナル穴23を構成する半円形状の軸受部41と、軸受部41の両側に位置して軸受部41を挟む一対の嵌込部42とを有している。軸受部41は、ジャーナル隔壁20の壁面に対向する平面視にてシリンダー12とは反対側へ窪む半円形状を有している。各嵌込部42は、締結部材21が挿通される挿通孔43を有しており、先端の角部は隅R部28Rとの間に隙間が形成される面取り部で構成されている。メインキャップ40は、コンロッドを介してクランクピンに連結されたピストン11がシリンダー12内に配設され、かつ、クランクジャーナル14が軸受部25に配設された状態でシリンダーブロック10に対して取り付けられる。インロー部28の底面28bとメインキャップ70との接触部分が合わせ面45である。なお、この軸受部41には、図示されない半円形状の軸受メタルが配設される。
上述した構成のシリンダーブロックの作用について説明する。
上記構成において、ジャーナル隔壁20の接続壁部27には、締結部29の各々からピストン11の上動方向に向かって延びる厚肉部32が形成されている。これにより、接続壁部27では、軸受壁部26の締結部29に対するピストン11の上動方向側の部位において引張応力に対する剛性が高められる。そのため、クランクシャフト13、メインキャップ40、および、一対の締結部材21を介してジャーナル隔壁20に爆発荷重が作用したとしても、ピストン11の下動方向への合わせ面45の変位δFを抑えることができる。そのため、厚肉部32が形成されていない場合に比べて、軸受壁部26のインロー部28の隅R部72に生じる引張応力を緩和することができる。また、クランクシャフト13の撓み変形による倒れ角θ、合わせ面45の変位δθが作用したとしても外側部33の剛性が低いことから、隅R部28Rに生じる引張応力を緩和することができる。
上記構成において、ジャーナル隔壁20の接続壁部27には、締結部29の各々からピストン11の上動方向に向かって延びる厚肉部32が形成されている。これにより、接続壁部27では、軸受壁部26の締結部29に対するピストン11の上動方向側の部位において引張応力に対する剛性が高められる。そのため、クランクシャフト13、メインキャップ40、および、一対の締結部材21を介してジャーナル隔壁20に爆発荷重が作用したとしても、ピストン11の下動方向への合わせ面45の変位δFを抑えることができる。そのため、厚肉部32が形成されていない場合に比べて、軸受壁部26のインロー部28の隅R部72に生じる引張応力を緩和することができる。また、クランクシャフト13の撓み変形による倒れ角θ、合わせ面45の変位δθが作用したとしても外側部33の剛性が低いことから、隅R部28Rに生じる引張応力を緩和することができる。
次に、上述した肉盛部の形成範囲について行ったシミュレーションの結果について説明する。今回のシミュレーションでは、図1および図3(a)に示すように、インロー部28の互いに対向する一対の側面28s間の距離L1を基準として、外側部33の厚みt3を0.19×L1、厚肉部32の厚さtを0.2×L1、一対の締結部材21のピッチPを0.74×L1、軸受壁部26の幅L2を1.11×L1に設定した。そして、図3(a),3(b),3(c)に示す実施例1,2,3を解析対象に設定し、ボルト締結時の応力σsと爆発荷重作用時の応力σPから等価両振り換算応力を算出した。この等価両振り換算応力は、その値が低いほど疲労破壊が生じにくいことを示す。
図3(a)に示すように、実施例1では、逃げ部31とインロー部28の側面28sまでの範囲に肉盛部35を設定した。図3(b)に示すように、実施例2では、逃げ部31の端部からインロー部28の側面28sの外側であって軸受壁部26の端部までの範囲に肉盛部35を設定した。図3(c)に示すように、実施例3では、逃げ部31の端部から、外側部33に繋がるR部であって雌ねじ部30の中心軸上に中心を有するR部までの範囲に肉盛部35を設定した。実施例1〜3の各肉盛部35は、矩形形状の断面形状を有しており、ピストン11の上動方向における接続壁部27の端部まで延びている。図4にシミュレーションの結果を示す。
図4に示すように、各実施例1〜3について実施例1の等価両振り換算応力に対する比を求めた。これより、実施例1を1.0とするとき、実施例2は1.06、実施例3は1.08というシミュレーションの結果が得られた。すなわち、インロー部28の一対の側面28sの内側の領域であって逃げ部31以外の領域に厚肉部32が形成された実施例1において、等価両振り換算応力が最も低くなることが確認された。
なお、厚肉部32の厚みtは、外側部33の厚みt3に対する比率(=t/t3)として、合わせ面45の変位を抑える剛性を得るうえでは1.05以上であることが好ましく、鋳造時に外側部33との段差部分に発生する残留応力を抑えるため1.15以下であることが好ましい。
上記実施形態のシリンダーブロックによれば以下に列挙する作用効果が得られる。
(1)接続壁部27は、ジャーナル隔壁20の壁面に対向する平面視にて一対の締結部29の各々からピストンの上動方向へ延びる一対の厚肉部32を有する。これにより、インロー部28の隅R部28Rに生じる引張応力を緩和し、変動応力を抑えることができる。ここで、インロー部28の隅R部28Rに生じる引張応力は、クランクシャフト13の撓みを抑えること、すなわちクランクシャフト13の曲げ剛性を高めることによっても抑えることができる。しかしながら、クランクシャフト13の曲げ剛性を高めるには、クランクピンの太軸化やクランクジャーナル14の太軸化等が必要とされる。こうした太軸化は、コンロッドとクランクピンとの間の摩擦やジャーナル穴23におけるクランクジャーナル14の摩擦といったエンジンフリクションを増大させる。この点、上述した構成によれば、エンジンフリクションを増大させることなく、インロー部28の隅R部28Rに生じる引張応力を緩和することができる。
(1)接続壁部27は、ジャーナル隔壁20の壁面に対向する平面視にて一対の締結部29の各々からピストンの上動方向へ延びる一対の厚肉部32を有する。これにより、インロー部28の隅R部28Rに生じる引張応力を緩和し、変動応力を抑えることができる。ここで、インロー部28の隅R部28Rに生じる引張応力は、クランクシャフト13の撓みを抑えること、すなわちクランクシャフト13の曲げ剛性を高めることによっても抑えることができる。しかしながら、クランクシャフト13の曲げ剛性を高めるには、クランクピンの太軸化やクランクジャーナル14の太軸化等が必要とされる。こうした太軸化は、コンロッドとクランクピンとの間の摩擦やジャーナル穴23におけるクランクジャーナル14の摩擦といったエンジンフリクションを増大させる。この点、上述した構成によれば、エンジンフリクションを増大させることなく、インロー部28の隅R部28Rに生じる引張応力を緩和することができる。
(2)厚肉部32は、外側部33よりも肉厚を大きくする肉盛部35を接続壁部27の壁面27aの双方、すなわち接続壁部27の両壁面に有することにより、接続壁部27の両壁面において突出している。こうした構成によれば、いずれか一方の壁面に肉盛部35を有する場合に比べて、厚肉部32における剛性がさらに高まるとともにジャーナル隔壁20を挟む2つのシリンダー12のどちらから爆発荷重を受けたとしてもインロー部28の隅R部28Rに生じる引張応力をより確実に抑えることができる。
(3)厚肉部32がピストン11の上動方向における接続壁部27の端部まで延びていることで厚肉部32における剛性をより高めることができる。これにより、ピストン11の下動方向における合わせ面45の変位δFがさらに抑えられ、該変位に起因する外側部33の弾性変形がさらに抑えられる。その結果、インロー部28に生じる応力をさらに効果的に分散させることができる。
(4)厚肉部32は、ジャーナル隔壁20の壁面に対向する平面視にて一対の側面28sの内側の領域に形成されることが好ましい。こうした構成によれば、一対の側面28sの内側の領域においてのみ接続壁部27の剛性が高くなり、合わせ面45の変位δFを抑えることができる効果と変位δθが生じた際に応力が高くならない効果とを両立することができる。これは実施例1,2のシミュレーションの結果からも明らかである。
(5)接続壁部27に逃げ部31が形成されている。こうした構成によれば、互いに隣接するシリンダー12の間隔を小さくすることができる。その結果、シリンダーブロック10の小型化を図ることができる。
(6)接続壁部27に逃げ部31が形成される場合、接続壁部27において一対の側面28sよりも内側の部分は、逃げ部31と、逃げ部31の両側に形成された厚肉部32とで構成されていることが好ましい。こうした構成によれば、ピストン11の下動方向への合わせ面45の変位を抑えつつ、インロー部28に生じる応力を外側部33へと効果的に分散させることができる。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・接続壁部27には、逃げ部31が形成されていなくともよい。こうした構成においては、一対の側面28sよりも内側の領域が厚肉部32のみで構成されていることが好ましい。これにより、ピストン11の下動方向へのジャーナル穴23の変位をさらに抑えることができる。
・接続壁部27には、逃げ部31が形成されていなくともよい。こうした構成においては、一対の側面28sよりも内側の領域が厚肉部32のみで構成されていることが好ましい。これにより、ピストン11の下動方向へのジャーナル穴23の変位をさらに抑えることができる。
・厚肉部32は、締結部29からピストン11の上動方向へ延びていればよい。そのため、厚肉部32は、例えば実施例2のように一対の側面28sよりも外側の領域にその一部を有していてもよい。
・隅R部付近における形状は、図5(a)〜(c)に示すような形状であってもよい。すなわち、隅R部28Rは、図5(a)に示すように嵌込部42の面取り部分に滑らかに連なる円弧状の断面形状を有していてもよいし、図5(b)に示すようにジャーナル隔壁20の幅方向において嵌込部42の外方へ張り出す円弧状の断面形状を有していてもよい。また、隅R部28Rは、図5(c)に示すようにジャーナル隔壁20の幅方向における嵌込部42の外方、および、ピストン11の上動方向の双方へ張り出す円弧状の断面形状を有していてもよい。
10…シリンダーブロック、11…ピストン、12…シリンダー、13…クランクシャフト、14…クランクジャーナル、15…クランク室、16…スカート部、20…ジャーナル隔壁、21…締結部材、23…ジャーナル穴、25…軸受部、26…軸受壁部、27…接続壁部、27a…壁面、28…インロー部、28b…底面、28s…側面、28R…隅R部、29…締結部、30…雌ねじ部、31…逃げ部、32…厚肉部、33…外側部、35…肉盛部、40…メインキャップ、41…軸受部、42…嵌込部、43…挿通孔、45…合わせ面、50…シリンダーブロック、51…ピストン、52…シリンダー、53…クランクシャフト、54…クランクジャーナル、55…クランク室、56…スカート部、57…クランクピン、60…ジャーナル隔壁、61…締結部材、63…ジャーナル穴、63A…中心軸、65…軸受部、66…軸受壁部、67…接続壁部、68…インロー部、69…締結部、70…メインキャップ、71…軸受部、72…隅R部、74…合わせ面。
Claims (4)
- クランクシャフトが配設されるクランク室を形成するスカート部と、前記クランク室をシリンダーごとに区画するとともにメインキャップが取り付けられることでジャーナル穴を形成するジャーナル隔壁とを有するシリンダーブロックであって、
前記ジャーナル隔壁は、
前記ジャーナル穴を構成する軸受部と前記メインキャップが嵌め込まれる凹形状を有するインロー部と前記メインキャップを前記ジャーナル隔壁に取り付ける一対の締結部材が締結される部位であって前記軸受部を挟む一対の締結部とを有する軸受壁部と、
前記軸受壁部と前記スカート部とを接続する接続壁部とを備え、
前記接続壁部は、
前記ジャーナル隔壁の壁面に対向する平面視にて前記一対の締結部の各々からピストンの上動方向へ前記接続壁部の端部まで延びる厚肉部を有する
シリンダーブロック。 - 前記厚肉部は、前記接続壁部の両壁面で突出している
請求項1に記載のシリンダーブロック。 - 前記インロー部は、底面と互いに対向する一対の側面とを有し、
前記厚肉部は、前記ジャーナル隔壁の壁面に対向する平面視にて前記一対の側面の内側の領域に形成されている
請求項1または2に記載のシリンダーブロック。 - 前記接続壁部は、前記ピストンとの干渉を回避する逃げ部を有し、
前記厚肉部は、前記逃げ部の両側に形成されている
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリンダーブロック。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016097079A JP2017203446A (ja) | 2016-05-13 | 2016-05-13 | シリンダーブロック |
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