以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、キーボックスの第1実施形態を示す概略切断正面図である。図2は、図1のA−A位置での概略切断側面図である。図3はキーボックスから取り出された鍵の使用状態を示す概要図である。
本実施形態のキーボックスは、図1、図2に符号1で示すものである。説明の便宜上、図1における紙面の手前側(図2では右側)をキーボックス1の前側、図1における奥側(図2では左側)をキーボックス1の後側といい、図1における左右方向を、キーボックス1の左右方向として説明する。
キーボックス1は、鍵Xの収納空間3を備えた筐体2と、筐体2の下部側に設けられて収納空間3の下端側を外部に連通させる開口部4と、収納空間3に配置された索状物5、索状物5が引き出し可能に巻かれたリール6、および、索状物5の先端側に取り付けられた鍵保持具7とを備え、更に、昇降手段8と、信号通信部9と、電源10と、制御器11とを備えた構成とされている。
筐体2は、たとえば、中空の箱体部12と、箱体部12の前面側に取り付けられたカバー部13とを備えた構成とされている。
箱体部12は、上下方向寸法と左右方向寸法に比して前後方向寸法が小さい、扁平した直方体形状とされている。
カバー部13は、箱体部12の前面形状と同様の矩形状の前側壁13aと、前側壁13aの左端縁、右端縁、上端縁からそれぞれ後方に向けて突出する左側壁13b、右側壁13c、天井壁13dとを備えた構成とされている。カバー部13は、左側壁13b、右側壁13c、天井壁13dの突出端側が、箱体部12の前面側の左端縁部、右端縁部、上端縁部にそれぞれ取り付けられている。
これにより、筐体2は、箱体部12の前側で且つカバー部13の内側に空間が形成され、この空間が収納空間3とされている。また、筐体2は、収納空間3の下端側で、カバー部13の前側壁13aと左側壁13bと右側壁13cの各下端部、および、箱体部12の前面の下端部によって囲まれた内側の部分が、開口部4となっている。
昇降手段8は、索状物5の先端側に鍵保持具7を介して接続される鍵Xを、収納空間3に収まるように引き上げた状態(以下、鍵収納状態という)と、開口部4を通して筐体2の下方に露出する位置まで下降させた状態(以下、鍵取出状態という)との間で上下方向に移動させるための手段である。本実施形態では、昇降手段8は、モータ14とアーム部材15とガイド部材16とを備えた構成とされている。
モータ14は、箱体部12の内側の上部寄りとなる個所に、左右方向のいずれか一側、たとえば、左側に寄った配置で前向きに設置されている。モータ14の回転軸14aは、箱体部12の前側壁12aを貫通させて収納空間3に突出するように配置されている。
回転軸14aの突出端側には、収納空間3にて回転軸14aと直交する方向に延びるアーム部材15の長手方向一端側が取り付けられている。アーム部材15の長手方向他端側には、索状物5を掛けるガイド部材16が取り付けられている。
ガイド部材16は、索状物5の周りを囲む構成を備えている。これにより、ガイド部材16は、後述するようにアーム部材15が回動しても、また、鍵Xの使用時に索状物5が前後左右のいかなる方向に引かれたとしても、索状物5を常に保持することができる。本実施形態では、ガイド部材16は、環状の部材として、内側に索状物5を通した構成とされている。
昇降手段8は、図1に実線で示すように、モータ14によりアーム部材15を左右方向に延びる姿勢に配置して、ガイド部材16を収納空間3の上端寄りに配置した状態が、昇降手段8の初期状態となる。
また、昇降手段8は、モータ14の運転によりアーム部材15を初期状態の姿勢から下方へ回動させて、図1に二点鎖線で示すように、アーム部材15が上下方向に延びる姿勢となり、ガイド部材16の位置が初期状態に比して下方へ変位された状態が、昇降手段8の作動状態となる。
箱体部12の前側壁12aにてモータ14よりも上方となる位置には、接続具17が設置されている。索状物5は、基端側が接続具17に接続されている。
索状物5は、リール6に巻くことが可能な柔軟性を備えていると共に、リール6からの引き出しとリール6への巻き戻しとを繰り返し実施しても容易に損耗や切断が生じない強度や耐久性を備えていればよい。索状物5としては、たとえば、金属製または樹脂製のワイヤや、繊維ロープを使用することが好ましいが、他の材質や構造の索状物5を用いてもよい。
リール6は、索状物5を、索状物5の長手方向中間部から巻いた構成を備えている。これにより、リール6は、索状物5を長手方向の一端側と他端側の両方向に引くことで、リール6から索状物5を引き出すことができる。また、リール6は、ばね式で索状物5を巻き戻す機能を備えている。これは、索状物5の引き出し時に変形するぜんまい式などのばね(図示せず)の復元力により、引き出された索状物5を元の状態まで巻き戻す機能である。
更に、リール6は、図示しないが、索状物5を引き出した状態で、前記ばねの復元力に抗して索状物5の巻き戻しを一時的に停止可能なストッパ機構を備えることが好ましい。このストッパ機構は、索状物5の引き出し方の調整や巻き戻し方向の速度の調整といった索状物5の操作により、索状物5の巻き戻しの一時的な停止とその解除とを切り替えることができるものを使用する。
なお、リール6における前記ばね式で索状物5を巻き戻す機能や、ストッパ機構は、電源コードのリールや、接続ケーブルのリールで広く使用されている技術であるため、ここでは構成の詳細な説明は省略する。
索状物5には、索状物5がリール6に巻き戻されるときに、巻き戻し量が適正になるとリール6のケースに当たる過巻規制部材18を取り付けた構成としてもよい。この構成によれば、前記ばねの復元力によってリール6に索状物5が巻き戻されるときに、リール6における索状物5の巻き戻し量が過剰になる虞を防止することができる。
鍵保持具7は、鍵Xに一般的に備えらえている孔に通して取り付けるためのリング部19を備えた構成とされている。これにより、鍵保持具7は、リング部19を鍵Xの孔に通して取り付けることができる。この状態で、鍵Xは、鍵保持具7、索状物5および接続具17を介して筐体2に接続される。
本実施形態のキーボックス1は、図1に示すように、昇降手段8が前記初期状態となり、リール6が索状物5を巻いた状態が、鍵収納状態となる。
この鍵収納状態では、アーム部材15が左右方向に延びる姿勢となっているため、索状物5は、接続具17からガイド部材16に掛けられている個所までの基端寄りの部分が、ほぼ横方向に延びるように配置される。このため、ガイド部材16から垂下する索状物5に吊られた状態で保持された鍵Xは、最も上方に引き上げられた状態となり、収納空間3に収納された状態となる。
本実施形態のキーボックス1では、鍵収納状態から、昇降手段8のモータ14を運転して、アーム部材15を図1に二点鎖線の矢印で示すように下方へ回動させると、アーム部材15に取り付けられたガイド部材16の上下方向位置が徐々に低くなる。これに伴い、索状物5では、ガイド部材16に掛けられた個所の上下方向位置が徐々に低くなる。よって、索状物5に吊られた状態で保持されている鍵Xは、下方へ移動する。
本実施形態のキーボックス1は、図1に二点鎖線で示すように、昇降手段8が前記作動状態となり、リール6が索状物5を巻いたままの状態が、鍵取出状態となる。
この鍵取出状態では、アーム部材15が上下方向に延びる姿勢となるため、索状物5は、接続具17からガイド部材16に掛けられている個所までの基端寄りの部分が、ほぼ上下方向に延びるように配置される。これにより、索状物5に吊られた鍵Xは、開口部4を通して筐体2の下方へ出される。
なお、昇降手段8のアーム部材15の回動動作によって生じる鍵Xの上下方向位置の変化量(昇降量)は、アーム部材15の回動中心である回転軸14aの位置と接続具17の設置位置との相対的な配置、アーム部材15の長さ寸法、アーム部材15の回動する角度などに依存して定まる。
したがって、キーボックス1の設計時には、昇降手段8の初期状態では鍵Xを収納空間3に収納した配置とすることができ、昇降手段8の作動状態では鍵Xを開口部4を通して筐体2の下方に出した配置とすることができるように、モータ14の回転軸14aの位置と接続具17の設置位置との相対的な配置、アーム部材15の長さ寸法、アーム部材15の回動する角度範囲、および、接続具17やアーム部材15の回動中心から筐体2の開口部4までの上下方向距離などを設定すればよい。
更に、設定されたアーム部材15の長さ寸法、および、アーム部材15が回動する範囲と、収納が想定される鍵Xのサイズを基に、収納空間3の必要とされるサイズが決まるので、そのサイズの収納空間3が形成されるように、筐体2の各部のサイズを設定すればよい。
箱体部12の内側には、制御器11と電源10が、モータ14と干渉しない配置で設けられている。更に、筐体2の前寄りとなる個所として、たとえば、カバー部13の前側壁13aの内側には、信号通信部9が設けられている。
モータ14は、制御器11に接続されている。制御器11には、電源10と信号通信部9も接続されている。
電源10は、制御器11、モータ14および信号通信部9に電力を供給するためのものである。
本実施形態のキーボックス1を様々な個所に設置できるようにするという観点から考えると、電源10は、箱体部12に収納した一次電池や二次電池を用いることが好ましい。しかし、本実施形態のキーボックス1は、筐体2内に配置した電源10に代えて、図示しない電源コードを介してAC電源などの商用電源に接続する構成であってもよいことは勿論である。
電源10として一次電池や二次電池を用いる場合は、図2に示すように、箱体部12を、後側壁12bに開閉可能な蓋21を備えた開口部20を備えた構成とし、この開口部20の内側に、図示しない電池ボックスなどを介して一次電池や二次電池による電源10を保持させた構成とすることが好ましい。なお、図示しないが、蓋付きの開口部は、箱体部12の後側壁12bに代えて、箱体部12の左右の側壁に設けた構成としてもよいことは勿論である。この構成によれば、開口部20の蓋21を開けることで電池交換を容易に行うことができる。
なお、本実施形態のキーボックス1は、箱体部12を分解して電池交換を行うものとしてもよく、この場合は、箱体部12には開口部20を備えない構成としてよい。
また、電源10として二次電池を用いる場合は、電源10に、太陽光発電や風力発電、その他の再生可能エネルギーを利用する発電手段を接続した構成としてもよい。この構成によれば、発電手段で発電する電気を電源10である二次電池に蓄電することができるため、電池切れの抑制を図ることができる。
信号通信部9は、鍵Xの貸し出しを望む利用者(図示せず)が持っている図2に一点鎖線で示す如き認証用手段22から、利用者が利用の許可を得た者であることを確認するための認証信号sを受けるものである。
なお、認証用手段22としては、スマートフォン、タブレット、携帯電話機など、利用者が携帯する携帯端末であって、アプリケーションプログラムの実行と、ネットワークを介した外部接続により認証信号sの取得が可能となる機能を備えた携帯端末を用いることが好ましい。この認証用手段22を用いた本実施形態のキーボックス1の運用方法については、使用例として後述する。
認証用手段22から信号通信部9への認証信号sの受け渡しは、たとえば、近距離無線通信などの無線通信で行うようにすればよい。この場合は、認証用手段22と信号通信部9の双方が、無線通信用の通信モジュールを備えた構成とすればよい。
制御器11は、以下の鍵貸出処理を実行する機能を備えている。
この鍵貸出処理では、制御器11は、信号通信部9からの信号を基に、認証信号sの入力を確認すると、昇降手段8のモータ14へ、アーム部材15を図1に実線で示す初期状態から二点鎖線で示す作動状態へ回動させるための回動指令c1を与える。この回動指令c1に従ったモータ14の作動により、アーム部材15は回動状態となるので、鍵保持具7を介して索状物5に吊られた状態の鍵Xが、開口部4を通して筐体2の下方に取り出された配置になる。
このように鍵Xが開口部4から取り出されると、利用者は、鍵Xを手に取ることができる。更に、図3に示すように、利用者が鍵Xを引いて移動させると、それに応じてリール6から索状物5が引き出される。この際、リール6に備えた図示しないストッパ機構により索状物5の巻き戻しは一時的に停止できるため、利用者は、鍵Xを、索状物5に接続されたままの状態で使用目的の錠がある位置まで移動させて、錠の解錠操作や施錠操作を行うことができる。
また、制御器11は、タイマー機能を備えて、昇降手段8のモータ14へ回動指令c1を与えたときに、時間経過のカウントを開始する。このタイマー機能により、設定された時間として、たとえば、数分の時間経過がカウントされると、制御器11は、モータ14へ、アーム部材15を図3に実線で示す作動状態から二点鎖線で示す初期状態へ復帰させるための復帰指令c2を与える。この復帰指令c2に従ったモータ14の作動により、アーム部材15は初期状態に復帰するので、索状物5におけるガイド部材16に掛けられている部分は収納空間3の上端側へ引き上げられる。このとき索状物5がリール6から引き出された状態であれば、鍵Xが筐体2の内部に引き上げられることはないため、利用者は、鍵Xの使用を継続することができる。
なお、アーム部材15が初期状態に復帰するときに、リール6からの索状物5の引き出しが行われていないか、または、引き出し量が少ない場合は、アーム部材15の回動に伴って鍵Xが筐体2の内部に引き上げられてしまう可能性がある。また、アーム部材15が初期状態に復帰した状態で、何らかの要因によりリール6のストッパ機構が解除されて索状物5の巻き戻しが生じた場合には、鍵Xは、筐体2の内部に引き上げられてしまう。
このような鍵Xの筐体2の内部への引き上げが鍵Xの使用途中で生じた場合は、利用者は、認証用手段22を用いて信号通信部9への認証信号sの受け渡しを再度行えば、前記と同様に鍵Xを開口部4から取り出して使用することができる。
利用者は、鍵Xの使用が終了すると、索状物5を操作してリール6のストッパ機構を解除する。これにより、索状物5はリール6に巻き戻される。このとき、アーム部材15が初期状態に復帰していると、鍵Xは筐体2の内部まで引き上げられる。これにより、本実施形態のキーボックス1は、図1に示したように、鍵Xが収納空間3に収納された鍵収納状態に復帰する。
このように、本実施形態のキーボックス1によれば、認証用手段22を用いて認証信号sを発することで認証される利用者に対してのみ、鍵Xの貸し出しを行うことができる。
また、本実施形態のキーボックス1では、制御器11は、認証信号sが信号通信部9に入力されると、昇降手段8のモータ14へ回動指令c1を与える処理を行うようにしてある。したがって、制御器11では、認証用手段22を携帯する利用者の情報や、利用者がいつ鍵Xを使用するかというような情報は必要としない。
よって、本実施形態のキーボックス1は、ネットワークを介して外部に接続する必要のないものとすることができる。
なお、認証用手段22から認証信号sをいつ発信可能とするか、というような鍵Xが使用可能となる期間や時間の管理は、認証用手段22側のアプリケーションプログラムで行うようにすればよい。
したがって、本実施形態のキーボックス1は、さまざまな鍵Xを自動で貸し出す処理に適用することができ、その際、本実施形態のキーボックス1が外部と通信を行うためのネットワーク設備を付設する必要はないので、鍵Xの貸し出しを自動で行うために必要とされる設備コストの削減化を図ることができる。
また、鍵Xは、鍵保持具7、索状物5、接続具17を介して筐体2に接続されているため、利用者が鍵Xを返却し忘れて持ち帰るといった問題や、鍵Xを紛失するといった問題の発生を防止することができる。
本実施形態のキーボックス1では、制御器11は、信号通信部9に認証信号sが入力されるまでは待機状態となる。また、制御器11は、信号通信部9に認証信号sが入力された場合は、昇降手段8のモータ14に回動指令c1を与える処理、タイマー機能によるカウントを行う処理、タイマー機能によって設定された時間経過がカウントされるとモータ14に復帰指令c2を与える処理の3つのステップを備えた処理を行えばよい。
また、信号通信部9は、認証用手段22から認証信号sを無線通信で受けるのみでよい。更に、信号通信部9に無線通信で受けた認証信号sは、画像解析のような特別な処理を要することなく電気信号に変換することができるため、信号通信部9や制御器11の消費電力の低減化を図ることができる。
更に、本実施形態のキーボックス1は、電力を消費する駆動部としては1つのモータ14のみを備えた構成とされている。
リール6は、ばね式の巻き戻し機能を備えているため、リール6から引き出された索状物5を巻き戻すときに電力を消費することはない。
このため、本実施形態のキーボックス1は、消費電力を抑えることができる。よって、本実施形態のキーボックス1は、電源10として一次電池を用いる場合は、電池交換の頻度の低減化を図ることができる。また、電源10として二次電池を用いる場合は、充電の頻度の低減化を図ることができる。
また、特許文献1に示されたキーボックスのように、鍵の貸し出しを受ける利用者が開閉操作を行う扉を備えるキーボックスの場合は、不測の事態により扉が開いている状態で施錠処理が行われて錠のデッドボルトが突出した状態になる可能性があり、それに利用者が気付かずに扉を締める操作を行ってしまうと、デッドボルトや扉の枠に損傷を生じる虞がある。
これに対し、本実施形態のキーボックス1は、利用者が操作する扉はないので、前記のようなデッドボルトや扉の枠に損傷を生じるという問題が生じることはない。
[第1実施形態の第1使用例]
次に、第1実施形態のキーボックス1の第1使用例として、機械式駐車装置の操作盤収納箱の扉の錠に対応する鍵Xを、機械式駐車装置を一時利用する利用者に対して貸し出す場合について説明する。
この場合、本実施形態のキーボックス1は、機械式駐車装置(図示せず)に備えられている図3に一点鎖線で示す如き操作盤収納箱23の付近に設置する。鍵保持具7には、操作盤収納箱23の扉24の錠25に対応する鍵Xを接続した構成としておく。なお、図示する便宜上、図3におけるキーボックス1と操作盤収納箱23の寸法や相対的な寸法比は実際の寸法や寸法比を反映したものではない。
機械式駐車装置の一時利用を望む利用者は、認証用手段22(図2参照)となる携帯端末を用いて、ネットワークを介して予約サーバ(図示せず)に接続し、機械式駐車装置の利用を希望する期間についての予約を申し込む。
予約サーバは、申し込まれた利用希望期間について、機械式駐車装置の一時利用が可能か、格納区画の空きがあるかを判断し、利用可能であれば、利用者の認証用手段22に、利用希望期間に対応する利用期間に関連付けられた利用許可を送る。なお、予約サーバでは、利用者が駐車を望む車両のサイズの情報も用いて、一時利用が可能か否かの判断を行うようにしてもよい。
また、利用対象の機械式駐車装置が、車両を入庫するときに操作盤に格納棚やパレットに関連付けられた暗証番号を入力する形式である場合は、予約サーバは、その暗証番号も利用者の認証用手段22に送る。
更に、予約サーバは利用期間から利用料金を計算し、機械式駐車装置の利用後にクレジット決済や、銀行口座からの引き落としによる決済などの決済手法で、利用料金の決済を行う。
一方、認証用手段22では、予約サーバより受けた利用許可に基づいて、利用許可を受けた期間にのみ認証信号s(図2参照)の発信が可能となるアプリケーションプログラムを、予め実行可能としておく。
この状態で、利用者は、利用許可を受けた期間に機械式駐車装置へ行き、認証用手段22を本実施形態のキーボックス1の近くに配置した状態で、認証用手段22で所定のアプリケーションプログラムを実行する。これにより、認証用手段22からは、認証信号sが無線通信により発信される。
本実施形態のキーボックス1は、この認証信号sを信号通信部9(図2参照)で受けると、前記したように制御器11による回動指令c1に従って昇降手段8の動作が開始されるため、索状物5に吊られた状態で収納空間3に収納されていた鍵Xが、筐体2の開口部4より下方へ取り出される。
この状態で、利用者は、鍵Xを手に取り、図3に示すように、索状物5をリール6から引き出しながら鍵Xを操作盤収納箱23の扉24の錠25の位置まで移動させて、その解錠操作を行う。
これにより、利用者は、操作盤収納箱23の扉24を開いて、操作盤(図示せず)の操作が可能になるので、予約サーバより送られてきている暗証番号を操作盤に入力して、入庫処理を行うことができる。
利用者は、入庫処理が終了すると、鍵Xを用いて操作盤収納箱23の扉24を施錠してから、リール6に索状物5を巻き戻させることで、鍵Xを本実施形態のキーボックス1に収納させる。
利用者が機械式駐車装置から車両を出庫させる場合、本実施形態のキーボックス1から鍵Xを取り出して操作盤収納箱23の扉24の施錠を解錠して操作盤を操作可能とする手順、および、出庫操作後に扉24の施錠を行ってから鍵Xを本実施形態のキーボックス1に収納する手順は、前記入庫の場合と同様である。
認証用手段22における所定のアプリケーションプログラムは、利用許可を受けた期間よりも前や後の時点では認証信号sを発信しない。よって、たとえ利用予約を行った利用者であっても、利用許可を受けた期間以外は、本実施形態のキーボックス1から鍵Xを取り出すことはできない。
また、利用予約を行っていない者は、認証用手段22を用いた認証信号sの発信を行うことができないので、本実施形態のキーボックス1から鍵Xを取り出すことはできない。
以上により、機械式駐車装置では、予約により利用許可を受けた利用者が、利用許可を受けた期間に限って駐車を行うことが可能となる一時利用の運用を行うことができる。
この機械式駐車装置の一時利用の運用を行う場合は、機械式駐車装置に本実施形態のキーボックス1を設けて、このキーボックス1に、操作盤収納箱23の扉24の錠25に対応する鍵Xを保持させる構成を追加すれば、利用許可を受けた利用者への鍵Xの貸し出しは自動で行うことができる。
しかも、本実施形態のキーボックス1は、ネットワーク設備を付設する必要はないので、前記のような機械式駐車装置の一時利用の運用を実現するために要する設備コストを低く抑えることができる。
また、鍵Xは索状物5に繋がれているため、利用者が鍵Xを返却し忘れて持ち帰るといった問題や、鍵Xを紛失するといった問題の発生は防止することができて、他の一時利用の利用者が鍵Xの貸し出しを受けられずに機械式駐車装置を使用できなくなるという問題も防止することができる。
更に、機械式駐車装置に本実施形態のキーボックス1を設けた構成では、たとえば、月極などの利用契約者が貸与されている鍵Xを紛失したり、忘れたりした場合の対応として、利用契約者が、携帯している携帯端末を認証用手段22(図2参照)として用いて、機械式駐車装置の管理者などから一時的に使用可能な認証信号sを取得できるようにしてもよい。このようにすれば、利用契約者が貸与されている鍵Xを紛失したり、忘れたりしたような場合には、利用契約者が本実施形態のキーボックス1から鍵Xを取り出すことができるため、操作盤収納箱23の扉24を解錠して、操作盤による入庫処理や出庫処理を行うことが可能になる。
なお、本実施形態のキーボックス1は、鍵Xを収納しているものであり、また、鍵Xの貸し出しを無人で実施するものであるため、開口部4から鍵Xを無理に引き出したり、筐体2を破壊したりすることによって、鍵Xが不正に取り出される可能性はある。しかし、機械式駐車装置は、通常、入庫処理や出庫処理を行うときには、操作盤に格納棚やパレットに関連付けられた暗証番号を入力する必要がある。このため、たとえ、本実施形態のキーボックス1から鍵Xが不正に取り出されたとしても、機械式駐車装置の不正な利用は、前記暗証番号により抑制される。
よって、本実施形態のキーボックス1から鍵Xが不正に取り出されることに対しては、たとえば、監視カメラを用いた遠隔での監視などの対策を講じるようにすればよい。
[第1実施形態の第2使用例]
次いで、第1実施形態のキーボックス1の第2使用例として、建物内に設けられている貸し会議室のような、時間貸しされる貸し部屋のドアの錠に対応する鍵Xを、利用者に対して貸し出す場合について説明する。
この場合、本実施形態のキーボックス1は、貸し部屋のドアの錠の付近に設置し、鍵保持具7には、そのドアの錠に対応する鍵Xを接続した構成としておく。
貸し部屋の利用を望む利用者が認証用手段22(図2参照)となる携帯端末を用いて、ネットワークを介して予約サーバ(図示せず)に予約を申し込む処理、予約サーバが利用者の認証用手段22に利用希望期間に対応する利用期間に関連付けられた利用許可を送る処理は、第1使用例の場合と同様である。
予約サーバは、利用期間から利用料金を計算し、機械式駐車装置の利用後にクレジット決済や、銀行口座からの引き落としによる決済などの決済手法で、利用料金の決済を行うようにしてもよい。
認証用手段22では、予約サーバより受けた利用許可に基づいて、利用許可を受けた期間にのみ認証信号s(図2参照)の発信が可能となるアプリケーションプログラムを、予め実行可能としておく。
この状態で、利用者は、利用許可を受けた期間に貸し部屋へ行き、認証用手段22を本実施形態のキーボックス1の近くに配置した状態で、認証用手段22で所定のアプリケーションプログラムを実行する。これにより、認証用手段22からは、認証信号sが無線通信により発信される。
本実施形態のキーボックス1は、この認証信号sを信号通信部9(図2参照)で受けると、前記したように制御器11による回動指令c1に従って昇降手段8の動作が開始されるため、索状物5に吊られた状態で収納空間3に収納されていた鍵Xが、筐体2の開口部4より下方へ取り出される。
この状態で、利用者は、鍵Xを手に取り、索状物5をリール6から引き出しながら鍵Xを貸し部屋のドアの錠の位置まで移動させて、その解錠操作を行う。これにより、利用者は、ドアを開いて貸し部屋を使用することができる。
利用者は、ドアの解錠が終了すると、リール6に索状物5を巻き戻させることで、鍵Xを本実施形態のキーボックス1に収納させる。
利用者が貸し部屋の使用を終了してドアの施錠を行う場合、本実施形態のキーボックス1から鍵Xを取り出す手順、および、ドアの施錠後に鍵Xを本実施形態のキーボックス1に収納する手順は、前記解錠の場合と同様である。
以上により、貸し部屋は、予約により利用許可を受けた利用者が、利用許可を受けた期間に限って使用できるようにするという運用を行うことができる。
このような運用を行う場合は、貸し部屋のドア付近に本実施形態のキーボックス1を設けて、このキーボックス1に、ドアの錠に対応する鍵Xを保持させる構成を追加すれば、利用許可を受けた利用者への鍵Xの貸し出しは自動で行うことができる。
この際、本実施形態のキーボックス1は、ネットワーク設備を付設する必要はないので、設備コストを低く抑えることができる。
更に、鍵Xは索状物5に繋がれているため、利用者が鍵Xを返却し忘れるといった問題や、鍵Xを紛失するといった問題の発生を防止することができて、貸し部屋の次の利用者が鍵Xの貸し出しを受けられずに貸し部屋を使用できないという問題も防止することができる。
なお、貸し部屋は、建物の内部に設けられているものであって、特に高価な機器や設備が備えられていなければ、たとえ、ドアの鍵Xが本実施形態のキーボックス1から不正に取り出されて、ドアの解錠に不正に使用されたとしても、貸し部屋自体が建物内に設けられているため、直ちに盗難のような被害が生じる虞は少ない。
よって、本実施形態のキーボックス1から鍵Xが不正に取り出されることに対しては、たとえば、監視カメラを用いた遠隔での監視などの対策を講じるようにすればよい。
[第1実施形態の応用例]
図4は、第1実施形態のキーボックスの応用例を示す切断側面図である。
なお、図4において、第1実施形態に示したものと同一のものには同一の符号を付してその説明を省略する。
本応用例は、第1実施形態と同様の構成において、筐体2の開口部4に開閉可能な蓋26を備える構成としたものである。
蓋26は、開口部4の内側に配置可能な矩形板状としてある。更に、蓋26は、一方の長辺となる端縁側が、たとえば、カバー部13の前側壁13aの下端縁の内面に沿う位置に設けられた回転軸27に取り付けられている。これにより、蓋26は、回転軸27を中心に上下方向に回動できる。
回転軸27には、モータ28が接続されている。これにより、モータ28を運転して回転軸27を回動させることにより、蓋26は、図4に実線で示すように開口部4を閉じた閉姿勢と、二点鎖線で示すように開口部4を開放した開姿勢とを切り替えることができる。
29は、蓋26の自由端側が開口部4より上方の収納空間3側に入り込むことを防止するストッパである。
更に、本応用例では、たとえば、鍵保持具7に、近接スイッチ30による近接状態の検出を行わせる対象となる被検出部材31が取り付けられている。
収納空間3には、近接スイッチ30が、鍵Xを収納空間3に収納した鍵収納状態のときに鍵保持具7の被検出部材31が配置される位置に対応する配置で設けられている。図4では、一例として、近接スイッチ30が箱体部12の前側壁12aの前面に設置された構成が示してあるが、近接スイッチ30がカバー部13の前側壁13aの内面など、図示した以外の部分に支持されていてもよいことは勿論である。
なお、図示しないが、被検出部材31は、リール6に取り付けられた構成としてもよい。この場合は、収納空間3には、鍵収納状態のときにリール6に取り付けた被検出部材31が配置される位置に対応する配置で、近接スイッチ30を設けた構成とすればよい。
モータ28および近接スイッチ30は、制御器11に接続されている。
制御器11は、第1実施形態と同様の機能に加えて、近接スイッチ30が被検出部材31の近接状態を検出しているときには、モータ28に蓋26を閉姿勢とするための閉指令を与える機能と、昇降手段8のモータ14へ回動指令c1を与える処理を行うときに、モータ28に蓋26を開姿勢とするための開指令を与える機能とを備える。
なお、制御器11は、近接スイッチ30が被検出部材31の近接状態を検出しなくなると、すなわち、被検出部材31が近接スイッチ30の検出範囲外まで離れると、モータ28に蓋26を開姿勢とするための開指令を与える機能を備えるようにしてもよい。
これにより、本応用例のキーボックス1では、鍵収納状態のときには、開口部4は蓋26で閉じられる。このため、本応用例のキーボックス1は、収納空間3に収納されている鍵Xの開口部4からの不正な取り出しを抑制することができる。
また、制御器11が昇降手段8に回動指令c1を与えてモータ14によるアーム部材15の下方への回動が開始されるときには、制御器11よりモータ28に開指令が発せられる。このため、モータ28による蓋26の下方への回動が行われて、開口部4は開放される。この状態で、開口部4を通した鍵Xの取り出しは第1実施形態と同様に行われる。
鍵Xの使用後に、索状物5のリール6への巻き戻しを行わせて鍵Xを収納空間3まで引き上げて収納させると、収納空間3に設けられている近接スイッチ30に、被検出部材31が近接して配置される。これにより、近接スイッチ30が作動して、制御器11はモータ28に閉指令を発するため、モータ28による蓋26の上方へ回動が行われる。よって、本応用例のキーボックス1は、開口部4が蓋26によって閉塞された状態に復帰する。
以上の構成としてある本応用例のキーボックス1によっても、第1実施形態のキーボックス1と同様に使用して同様の効果を得ることができる。
[第2実施形態]
図5はキーボックスの第2実施形態を示す概略切断正面図である。
なお、図5において、第1実施形態に示したものと同一のものには同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のキーボックス1Aは、第1実施形態と同様の構成において、索状物5を長手方向の中間部から巻いた形式のリール6を備える構成に代えて、索状物5を基端側から巻いた形式のリール32を備える構成としたものである。
リール32は、収納空間3の上部側位置となる箱体部12の前側壁12aの前面に、たとえば、左右方向の中間部となる配置で取り付けられている。この際、リール32は、左右方向に揺動可能に取り付けられていてもよい。
本実施形態では、アーム部材15の長手方向他端側に取り付けられるガイド部材16aは、索状物5の太さよりも広い間隔を隔てて平行に配置した2個一組のローラ33と、両ローラ33を回転自在に保持するホルダ34とを備えた構成とされることが好ましい。これは、本実施形態では、リール32から索状物5が引き出されるときや、リール32に索状物5が巻き戻されるときに、索状物5が長手方向に移動しながらガイド部材16aに接するようになるので、この接触に伴う索状物5の擦れを抑制するためである。
また、各ローラ33は、軸心方向中間部の径に比して、軸心方向両端側の径が大となる形状を備えるようにしてもよい。
ガイド部材16aは、各ローラ33の軸心方向が前後方向に沿って配置された姿勢で、アーム部材15の長手方向他端側に取り付けられている。
リール32は、索状物5の基端側が接続されると共に、索状物5を基端側から巻いた構成を備えている。これにより、リール32は、索状物5を先端側に引くことで、リール32から索状物5を引き出すことができる。また、リール32は、第1実施形態のリール6と同様のばね式で索状物5を巻き戻す機能を備えている。
更に、リール32は、図示しないが、第1実施形態のリール6と同様のストッパ機構を備えることが好ましい。
索状物5は、先端寄りの部分がガイド部材16aの各ローラ33の間を通して配置され、ガイド部材16aから垂下する索状物5の先端側に、第1実施形態と同様に、鍵Xを接続する鍵保持具7が取り付けられている。
更に、索状物5の先端寄りの部分には、ガイド部材16aの各ローラ33の間を通過できないサイズの係止部材35が取り付けられている。これにより、索状物5は、係止部材35が各ローラ33に係止されることで、リール32への巻き戻しが止まるようになる。したがって、本実施形態では、索状物5のガイド部材16aから垂下する部分の長さは、昇降手段8のアーム部材15が回動しても一定に保持される。
本実施形態のキーボックス1Aは、図5に実線で示すように、昇降手段8を第1実施形態と同様の初期状態としたときが、鍵収納状態となる。
この鍵収納状態では、アーム部材15が左右方向に延びる姿勢となっているため、索状物5は、ガイド部材16aの各ローラ33に係止される係止部材35の位置が最も上方に引き上げられた状態となる。このため、ガイド部材16aから垂下する索状物5に吊られた状態で保持された鍵Xは、収納空間3に収納される。
一方、本実施形態のキーボックス1Aは、図5に二点鎖線で示すように、昇降手段8を第1実施形態と同様の作動状態としたとき、すなわち、モータ14によりアーム部材15を下方へ回動させた状態が、鍵取出状態となる。
アーム部材15が下方へ回動すると、索状物5は、係止部材35が取り付けられている個所が、アーム部材15と一体に回動するガイド部材16aによって押し下げられる。このため、ガイド部材16aから垂下する索状物5に吊られた状態の鍵Xの位置も下降する。
これにより、鍵取出状態でアーム部材15が上下方向に延びる下向きの姿勢となると、ガイド部材16aから垂下する索状物5に吊られた状態の鍵Xは、開口部4を通して筐体2の下方へ取り出された配置となる。
以上の構成としてある本実施形態のキーボックス1Aは、第1実施形態のキーボックス1と同様に使用して、同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、リール32は、筐体2における収納空間3に設置されていて、移動することはない。そのため、本実施形態におけるリール32のストッパ機構は、図示しないが、歯車とそれに係止する爪とを備えて索状物5の巻き戻しを止めるラチェット機構と、筐体2の外部からの操作によりラチェット機構の爪の歯車に対する係止を解除する解除手段とを備える構成としてもよい。このようなストッパ機構を備える場合は、鍵Xの使用時にリール32から索状物5を引き出すと、ラチェット機構により索状物5の長さが保持される。鍵Xの使用後は、解除手段を操作すれば、ラチェット機構による巻き戻しの停止が解除されるため、索状物5はリール32に巻き戻すことができる。
[第3実施形態]
図6はキーボックスの第3実施形態を示す概略切断正面図である。
なお、図6において、第1実施形態に示したものと同一のものには同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のキーボックス1Bは、第1実施形態と同様の構成において、リール6と昇降手段8とを別体のものとして備える構成に代えて、昇降手段8を、リール36に索状物5の繰り出しと巻き戻しとを行わせる回転駆動手段としてリール36に装備する構成としたものである。
リール36は、索状物5の基端側が接続されると共に、索状物5を基端側から巻いた図示しないスプールを備え、このスプールに、昇降手段8としてのモータ37の回転軸37aが接続された構成を備えている。
具体的には、モータ37は、箱体部12の内側の上部寄り個所で、左右方向の中間部となる位置に、前向きに設置されている。モータ37の回転軸37aは、箱体部12の前側壁12aを貫通させて収納空間3に突出するように配置されている。
収納空間3には、モータ37と同軸心配置でリール36が設置され、このリール36のスプールに、回転軸37aの突出端側が取り付けられている。
索状物5は、先端側がリール36から垂下するように配置されている。索状物5の先端側には、第1実施形態と同様に、鍵Xを接続する鍵保持具7が取り付けられている。
これにより、本実施形態のキーボックス1Bでは、モータ37を運転してリール36に索状物5を巻くと、鍵Xの位置を引き上げることができ、リール36から索状物5を繰り出すと、鍵Xの位置を下降させることができる。
本実施形態のキーボックス1Bは、モータ37でリール36を駆動して、リール36から垂下する索状物5に吊られた状態の鍵Xを収納空間3に収納されるように引き上げた状態が、鍵収納状態となる。
一方、本実施形態のキーボックス1Bは、前記鍵収納状態から、モータ37でリール36を索状物5の繰り出し方向に駆動して、索状物5に吊られた状態の鍵Xを開口部4を通して筐体2の下方に出るまで移動させた状態が、鍵取出状態となる。
更に、筐体2には、開口部4から取り出された鍵Xを再び収納させるための収納スイッチ38が設けられている。
鍵保持具7には、近接スイッチ39による近接状態の検出を行わせる対象となる被検出部材40が取り付けられている。
収納空間3には、近接スイッチ39が、鍵Xを収納空間3に収納した鍵収納状態のときに鍵保持具7の被検出部材40が配置される位置に対応する配置で設けられている。
モータ37、収納スイッチ38および近接スイッチ39は、制御器11に接続されている。
制御器11は、以下の鍵貸出処理を実行する機能を備えている。
この鍵貸出処理では、制御器11は、信号通信部9からの信号を基に、認証信号sの入力を確認すると(図2参照)、モータ37へ、リール36から索状物5を繰り出す方向の回転駆動指令を与えて、鍵Xを図6に実線で示す鍵収納状態の配置から、二点鎖線で示す鍵取出状態の配置まで下降させる。なお、鍵Xの下降量は、たとえば、モータ37の回転軸の回転角度を図示しないセンサで検出して、その検出値と、リール36における索状物5の巻き径とを基に、制御器11で演算することができる。
このように鍵Xが開口部4から取り出されると、利用者は、鍵Xを手に取ることができる。更に、利用者が鍵Xを引いて移動させると、それに応じてモータ37の図示しないロータが従動的に回転して、リール6から索状物5が引き出される。これにより、利用者は、鍵Xを、索状物5に接続されたままの状態で使用目的の錠がある位置まで移動させて、錠の解錠操作や施錠操作を行うことができる。
利用者は、鍵Xの使用が終了すると、収納スイッチ38を操作する。
制御器11は、収納スイッチ38が操作されると、モータ37へ、リール36に索状物5を巻き戻す方向の回転駆動指令を与える。
これにより、リール36に索状物5が巻き戻される。このリール36への索状物5の巻き戻しにより、索状物5の先端側に保持されている鍵Xは、開口部4を通して収納空間3まで引き戻される。
その後、近接スイッチ39により、鍵保持具7に取り付けられている被検出部材40の近接が検出されると、制御器11は、モータ37に停止指令を与える。これにより、リール36への索状物5の巻き戻しが停止されて、本実施形態のキーボックス1Bは、鍵Xが収納空間3に収納された鍵収納状態に復帰する。
41は、リール36から垂下する索状物5の位置を案内するためのガイド部材である。
以上の構成としてある本実施形態のキーボックス1Bによれば、第1実施形態のキーボックス1と同様に、鍵Xの自動での貸し出しに使用することができる。
また、本実施形態のキーボックス1Bによっても、第1実施形態のキーボックス1と同様に、ネットワークを介して外部に接続することを必要しないという効果、および、利用者が鍵Xを返却し忘れて持ち帰るといった問題や、鍵Xを紛失するといった問題の発生を防止することができるという効果などを得ることができる。
更に、本実施形態のキーボックス1Bは、電力を消費する駆動部としては1つのモータ37のみを備えた構成とされている。
このため、本実施形態のキーボックス1Bは、消費電力を抑えることができる。よって、本実施形態のキーボックス1Bは、電源10として一次電池を用いる場合は、電池交換の頻度の低減化を図ることができる。また、電源10として二次電池を用いる場合は、充電の頻度の低減化を図ることができる。
なお、本発明は、前記各実施形態および応用例にのみ限定されるものではなく、各図に示した各構成部材の寸法や各構成部材同士の寸法比は、図示するための便宜上のものであり、実際の寸法や寸法比を反映したものではない。
筐体2は、箱体部12とカバー部13とを備えた構成のものを例示したが、鍵保持具7が接続された鍵X、鍵保持具7に接続された索状物5、および、索状物5のリール6,32,36を収納する収納空間3と、収納空間3の下端側の開口部4とを備え、更に、制御器11、電源10、昇降手段8を装備できるようにしてあれば、図示した以外の構造や形状を備えていてもよい。
開口部4は、収納空間3の下端側に設けられていて、索状物5に吊られて保持されている鍵Xを、索状物5の上下動に伴って上下方向に通過させることができるようにしてあれば、開口部4の周縁部は必ずしも水平でなくてもよく、凹凸を有していてもよい。鍵Xを索状物5の上下動に伴って上下方向に通過させることができれば、開口部4の向きは前後方向に傾斜していてもよい。
第1実施形態とその応用例、第2実施形態では、アーム部材15は、鍵Xを収納空間に収納した鍵収納状態のときに、水平な姿勢以外に傾斜する姿勢となっていてもよい。
アーム部材15は、一方向に延びる棒状の部材として示したが、モータ14の回転軸14aに取り付けられる部分と、回転軸14aに取り付けられた部分から離れた位置にガイド部材16,16aを取り付けた構成を備えていれば、図示した以外の形状を備えていてもよい。
第2実施形態および第3実施形態の構成における筐体2の開口部4に、第1実施形態の応用例に示した蓋26と同様の蓋26を備える構成としてもよい。
蓋26を開閉動作させるアクチュエータと開閉機構は、たとえば、回転軸27に取り付けたレバーをシリンダで押し引きする方式や、その他、図示した以外の任意のアクチュエータと開閉機構を採用してもよい。
制御器11は、蓋26に対し、鍵Xが収納空間3に収納されている鍵収納状態のときには開口部4を閉じ、鍵Xが開口部4から取り出されている間は開口部4を開放する制御を行うことができれば、蓋26の開閉を切り替えるための信号は、被検出部材31の検出を行う近接スイッチ30以外から取得するようにしてもよい。
各実施形態と応用例における信号通信部9は、認証用手段22から認証信号sを受けることができるようにしてあれば、認証信号sを無線通信以外の手法で受けるものとしてもよい。たとえば、信号通信部9が画像認識の機能を備える一方、認証用手段22がディスプレイに認証信号sをバーコードや二次元コードのような画像によるコードを表示する機能を備える構成としてもよい。この場合は、認証用手段22のディスプレイに表示される画像コードを信号通信部9が画像認識することで、認証用手段22から信号通信部9への認証信号sの受け渡しを行うことができる。更に、非接触で十数メートル程度までの範囲で通信可能な手段であれば、赤外線などの光を用いた通信手段や、その他の非接触通信手段を採用してもよい。また、認証信号sを無線通信(BLUETOOTH(登録商標)など)で受ける場合には、信号通信部9は、制御器11の上など、図示した以外の位置に配置してもよい。
更に、認証用手段22は、信号通信部9に認証信号sを入力することができるようにしてあれば、たとえば、非接触型ICカードや、接触型ICカード、その他、任意の形状の認証用手段を使用してもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。