JP2017203236A - 強化繊維用サイジング剤 - Google Patents

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野田 信久
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信久 野田
俊明 松永
Toshiaki Matsunaga
俊明 松永
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Abstract

【課題】サイジング効果に優れるとともに、作業環境性に優れる強化繊維用サイジング剤、当該強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および当該強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維を含有する繊維強化樹脂組成物を提供する。【解決手段】強化繊維に用いられるサイジング剤であって、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を含有することを特徴とする強化繊維用サイジング剤、当該強化繊維用サイジング剤で処理されてなる強化繊維、ならびに当該強化繊維用サイジング剤で処理されてなる強化繊維および熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする繊維強化樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、強化繊維用サイジング剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、強化繊維用サイジング剤、当該強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および当該強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維を含有する繊維強化樹脂組成物に関する。本発明の繊維強化樹脂組成物は、例えば、自動車、航空機などの車両関連部品、電子機器筐体、電気電子部品などの工業製品、建材、スポーツ用品などの材料として好適に使用することができる。
一般に、繊維強化樹脂組成物に用いられる強化繊維は、極細フィラメントであることから、その取扱い性を向上させるために当該繊維強化樹脂組成物には当該極細フィラメントを集束させた繊維束が用いられている。前記強化繊維の表面には、繊維束を構成している強化繊維同士がばらけることを防止するために、通常、サイジング剤を用いてサイジング処理が施されている。
前記強化繊維に用いられるサイジング剤として、ポリカルボジイミド、ポリウレタン、シランカップリング剤および潤滑剤を含有するガラス繊維用集束剤(サイジング剤)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、前記サイジング剤は、サイジング効果(繊維束を構成している強化繊維同士がばらけることを防止する効果、以下同じ)に劣るとともに、ポリカルボジイミドを含有することから、当該サイジング剤による処理が施された熱可塑性樹脂補強用ガラス繊維束と熱可塑性樹脂を混練する際に、ポリカルボジイミドが分解し、人体に対して悪影響を及ぼすおそれがあるイソシアネートガスが発生するため、作業環境性に悪影響を及ぼすおそれがある。
したがって、近年、サイジング効果に優れるとともに、ポリカルボジイミドを用いずに作業環境性に優れた強化繊維用サイジング剤、当該強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および当該強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維を含有する繊維強化樹脂組成物の開発が望まれている。
特開平9−227173号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、サイジング効果に優れるとともに、作業環境性に優れる強化繊維用サイジング剤、当該強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および当該強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維を含有する繊維強化樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、
(1) 強化繊維に用いられるサイジング剤であって、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を含有することを特徴とする強化繊維用サイジング剤、
(2) 側鎖にオキサゾリン基を有する重合体が、当該重合体の不揮発成分1gあたり1.5〜10mmolの量でオキサゾリン基を有する前記(1)に記載の強化繊維用サイジング剤、
(3) 前記(1)または(2)に記載の強化繊維用サイジング剤で処理されてなる強化繊維、および
(4) 前記(3)に記載の強化繊維用サイジング剤で処理されてなる強化繊維および熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする繊維強化樹脂組成物
に関する。
本発明によれば、サイジング効果に優れるとともに、作業環境性に優れる強化繊維用サイジング剤、当該強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および当該強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維を含有する繊維強化樹脂組成物が提供される。
本発明の強化繊維用サイジング剤は、前記したように、強化繊維に用いられるサイジング剤であり、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を含有することを特徴とする。
本発明の強化繊維用サイジング剤は、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を含有するので、サイジング効果に優れるとともに、作業環境性に優れている。
側鎖にオキサゾリン基を有する重合体としては、例えば、オキサゾリン基含有単量体の単独重合体、オキサゾリン基含有単量体および当該オキサゾリン基含有単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられるが、本発明はかかる例示にのみに限定されるものではない。
オキサゾリン基含有単量体は、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、付加重合性オキサゾリン基含有単量体であることが好ましい。
付加重合性オキサゾリン基含有単量体としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの付加重合性オキサゾリン基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの付加重合性オキサゾリン基含有単量体のなかでは、工業的に容易に入手することができることから、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが好ましい。
単量体成分におけるオキサゾリン基含有単量体の含有率は、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、より一層好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに一層好ましくは60質量%以上であり、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、100質量%以下、好ましくは90質量%以下である。
オキサゾリン基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル基(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;エチレン、プロピレンなどのオレフィン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン含有単量体;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体などの芳香族系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウムなどの親水性単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのオキサゾリン基含有単量体と共重合可能な他の単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのオキサゾリン基含有単量体と共重合可能な他の単量体のなかでは、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコール鎖を有する親水性単量体が好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」または「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」または「メタクリレート」を意味する。
単量体成分におけるオキサゾリン基含有単量体と共重合可能な他の単量体の含有率は、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、0質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、より一層好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、さらに一層好ましくは40質量%以下である。
単量体成分を重合させる方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合法のなかでは、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を容易に調製することができることから、溶液重合法および乳化重合法が好ましい。
単量体成分を溶液重合法によって重合させる場合には、例えば、重合開始剤を溶媒に溶解させ、得られた溶液を攪拌しながら単量体成分を当該溶液に添加することによって単量体成分を重合させることができるほか、単量体成分を溶媒に溶解させ、得られた溶液を撹拌しながら重合開始剤を当該溶液に添加することによって単量体成分を重合させることができる。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒などの有機溶媒が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、単量体成分および重合開始剤を十分に溶解させるとともに、両者を効率よく反応させることができる量であればよく、特に限定されないが、通常、単量体成分100質量部あたり、50〜500質量部程度であることが好ましい。
また、単量体成分を乳化重合させる方法としては、例えば、メタノールなどの低級アルコールなどの水溶性有機溶媒と水とを含む水性媒体、水などの媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下で単量体成分および重合開始剤を滴下させる方法、乳化剤および水を用いてあらかじめ乳化させておいた単量体成分を水または水性媒体に滴下させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。なお、媒体の量は、得られる樹脂エマルションに含まれる不揮発分量を考慮して適宜設定すればよい。
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤、反応性乳化剤などが挙げられ、これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸−ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレートなどのポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらの重合体を構成する単量体のうちの1種類以上の単量体を共重合成分とする重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
反応性乳化剤は、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、好適に使用することができ、それらのなかでも環境保護の観点から、非ノニルフェニル型の乳化剤が好ましい。
反応性乳化剤としては、例えば、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10、アクアロンBC−10など〕、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンKH−10など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSE−10など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10、SR−30など〕、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート塩〔例えば、日本乳化剤(株)製、商品名:アントックスMS−60など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER−20など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンRN−20など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープNE−10など〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの反応性乳化剤は、いずれもそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体成分100質量部あたりの乳化剤の量は、重合安定性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
単量体成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチル=2−エチルパーオキシヘキサノエート、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジtert−ブチルパーオキサイドなどのラジカル重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合速度を高め、未反応の単量体成分の残存量を低減させる観点から、単量体成分100質量部あたりの重合開始剤の量の下限値は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、またその上限値は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
また、反応系内には、必要により、例えば、tert−ドデシルメルカプタンなどのチオール基を有する化合物などの連鎖移動剤、pH緩衝剤、キレート剤、成膜助剤などの添加剤をフラスコ内に適量で添加してもよい。添加剤の量は、その種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、単量体成分100質量部あたり、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部である。
単量体成分を重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を高める観点から、窒素ガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
単量体成分を重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50〜200℃、より好ましくは60〜150℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
単量体成分を重合させる重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2〜20時間程度である。
以上のようにして単量体成分を重合させることにより、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を得ることができる。
側鎖にオキサゾリン基を有する重合体は、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、当該重合体の不揮発成分1gあたり1.5mmol以上、好ましくは3mmol以上、より好ましくは4mmol以上、さらに好ましくは6mmol以上、さらに一層好ましくは7mmol以上の量でオキサゾリン基を有することが望ましく、10mmol以下、好ましくは9mmol以下の量でオキサゾリン基を有することが望ましい。
なお、本明細書において、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体の不揮発成分1gあたりのオキサゾリン基の量(以下、オキサゾリン基量という)は、式:
〔オキサゾリン基量(mmol)〕
=(〔単量体成分におけるオキサゾリン基含有単量体の含有率(質量%)/100〕÷〔オキサゾリン基含有単量体の分子量〕)×1000
に基づいて求められた値を意味する。
例えば、オキサゾリン基含有単量体として2−イソプロペニル−2−オキサゾリン(分子量:111)を20質量%含有する単量体成分からなる側鎖にオキサゾリン基を有する重合体の場合、オキサゾリン基量は、式:
〔オキサゾリン基量(mmol)〕=(〔20/100〕÷111)×1000
より、1.8mmolとなる。
側鎖にオキサゾリン基を有する重合体の重量平均分子量は、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、好ましくは1万以上、より好ましくは2万以上、さらに好ましくは3万以上である。重合体の重量平均分子量の上限値は、架橋構造を有しない場合、好ましくは15万以下であるが、架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することが困難なため、特に限定されない。
なお、本明細書において、重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー〔東ソー(株)製、品番:HLC−8120GPC、カラム:TSKgel G−5000HXLとTSKgel GMHXL−Lとを直列に使用〕を用いて測定された重量平均分子量(ポリスチレン換算)を意味する。
側鎖にオキサゾリン基を有する重合体は、溶液または樹脂エマルションで用いることができる。側鎖にオキサゾリン基を有する重合体は、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、実際に使用する際に溶液であることが好ましい。側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を溶液で得る方法としては、例えば、当該側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を溶液重合法、懸濁重合法などによって調製する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を溶液として使用する場合に用いられる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの溶媒のなかでは、取り扱い性が容易であることから、水が好ましい。なお、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を溶液として使用する際の当該溶液の濃度は、特に限定がなく、当該溶液が用いられるサイジング剤の濃度などに応じて適宜設定すればよい。
側鎖にオキサゾリン基を有する重合体は、商業的に容易に入手することができるものであり、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体の溶液としては、例えば、(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−300、エポクロスWS−500、エポクロスWS−700などが挙げられ、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体の樹脂エマルションとしては、例えば、エポクロスK−2010E、エポクロスK−2020E、エポクロスK−2030Eなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の強化繊維用サイジング剤は、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体のみを含有するものであってもよく、本発明の目的を阻害しない範囲で添加剤、他の重合体などを含有するものであってもよい。
添加剤としては、例えば、顔料などの着色剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、重合禁止剤、充填剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌剤、金属不活性化剤、湿潤剤、消泡剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防曇剤、防食剤、顔料分散剤、流動調整剤、過酸化物分解剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、防藻剤、防カビ剤、難燃剤、スリップ剤、金属キレート剤、アンチブロッキング剤、耐熱安定剤、加工安定剤、分散剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、発泡剤、老化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、成膜助剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該添加剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
本発明の強化繊維用サイジング剤における側鎖にオキサゾリン基を有する重合体の含有率は、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、その上限値は100質量%である。
本発明の強化繊維用サイジング剤は、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、当該サイジング剤の不揮発成分1gあたり1.5mmol以上、好ましくは3mmol以上、より好ましくは4mmol以上、さらに好ましくは6mmol以上、さらに一層好ましくは7mmol以上の量でオキサゾリン基を有することが望ましく、10mmol以下、好ましくは9mmol以下の量でオキサゾリン基を有することが望ましい。
なお、本発明の強化繊維用サイジング剤における不揮発分量は、特に限定がないが、通常、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは5〜50質量%である。
本発明の強化繊維用サイジング剤における不揮発分量は、当該強化繊維用サイジング剤1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔強化繊維用サイジング剤における不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔強化繊維用サイジング剤1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
以上のようにして得られる本発明の強化繊維用サイジング剤は、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を含有することから、サイジング効果および作業環境性に優れているので、強化繊維に好適に使用することができる。
本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維は、強化繊維の表面に本発明の強化繊維用サイジング剤が付着した強化繊維である。本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維は、サイジング剤として本発明の強化繊維用サイジング剤が用いられているので、サイジング効果および作業環境性に優れている。
本発明の強化繊維用サイジング剤が用いられる強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭化ケイ素繊維などの無機繊維;芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリアリレート繊維、ポリアセタール繊維、PBO繊維、ポリフェニレンサルフィド繊維、ポリケトン繊維などの有機繊維などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの強化繊維は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの強化繊維のなかでは、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、無機繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。
炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、気相成長系炭素繊維などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素繊維は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの炭素繊維のなかでは、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が好ましい。
強化繊維の引張強度は、高強度の繊維強化樹脂組成物を得る観点から、好ましくは2000MPa以上、より好ましくは3000MPa以上、さらに好ましくは4000MPa以上であり、熱可塑性樹脂との分散性を向上させる観点から、10000MPa以下である。強化繊維の引張弾性率は、高強度の繊維強化樹脂組成物を得る観点から、好ましくは100〜700GPaである。強化繊維の引張伸度は、高強度の繊維強化樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上である。
なお、本明細書において、引張強度および引張弾性率は、引張試験機〔(株)島津製作所製、商品名:オートグラフAG−1kNI SP〕を用い、ISO527に準拠して10mm/minの引張速度で測定した引張強度および引張弾性率を意味する。また、本明細書において、引張伸度は、ひずみゲージを用いて測定した破断点ひずみを意味する。
強化繊維のX線光電子分光法(XPS)により測定される強化繊維表面の酸素(O)と炭素(C)の原子数の比である表面酸素濃度比(O/C)の値は、強化繊維表面の官能基量を多くすることにより、サイジング剤との接着性を向上させる観点から、好ましくは0.05〜0.5、より好ましくは0.08〜0.4、さらに好ましくは0.1〜0.3である。
なお、本明細書において、強化繊維の表面酸素濃度比(O/C)の値は、X線光電子分光分析装置〔日本電子(株)製、品番:JPS−9000M〕を用い、X線光電子分光法(XPS)により、以下の手順にしたがって算出した値を意味する。具体的な手順としては、溶剤で強化繊維表面に付着しているサイジング剤などを除去した強化繊維束を20mmに切り出し、試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90゜とし、X線源としてMgKα1、2を用い、試料チャンバー中を1.33×10-6Paに保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正としてC1Sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を969eVに合わせる。C1Sピーク面積は、K.E.として958〜972eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1Sピーク面積は、K.E.として714〜726eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。求めたO1Sピーク面積とC1Sピーク面積との比から、前記X線光電子分光分析装置固有の感度補正値(1.74)を用いて原子数比として算出した値を表面酸素濃度比(O/C)の値とする。
表面酸素濃度比(O/C)の値を制御する方法としては、例えば、電解酸化処理、薬液酸化処理、気相酸化処理などの方法が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の強化繊維用サイジング剤で強化繊維の表面を処理する方法としては、例えば、サイジング剤に強化繊維束を浸漬させる方法、サイジング剤の付着したローラに強化繊維束を接触させる方法、サイジング剤を強化繊維束に吹き付ける方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、強化繊維用サイジング剤を強化繊維の表面に付着させる方法は、バッチ式であってもよく、連続式であってもよいが、本発明の強化繊維用サイジング剤を強化繊維の表面に効率よく、均一に付着させる観点から、連続式が好ましい。なお、本発明の強化繊維用サイジング剤を強化繊維の表面に付着させる際の当該サイジング剤の量、温度、時間などは、特に限定がなく、当該サイジング剤の付着量などに応じて適宜設定すればよい。
強化繊維の表面上における強化繊維用サイジング剤の乾燥後の量は、強化繊維100質量部あたり、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、さらに一層好ましくは2質量部以下である。
本発明の強化繊維用サイジング剤を強化繊維に付着させた後、当該強化繊維を乾燥させることが好ましい。強化繊維を乾燥させる方法としては、例えば、減圧乾燥法、加熱乾燥法、温風乾燥法、自然乾燥法、送風乾燥法、赤外線照射による乾燥法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの乾燥方法のなかでは、溶媒、未反応の単量体成分、揮発性の副産物などの揮発分を除去することにより、サイジング効果および作業環境性を向上させる観点から、加熱乾燥法が好ましい。本発明の強化繊維用サイジング剤を付着させた強化繊維を加熱乾燥させる際の温度および時間は、特に限定がなく、加熱乾燥の進行状況に応じて適宜設定すればよい。
以上のようにして得られる本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維は、サイジング効果および作業環境性に優れているので、繊維強化樹脂組成物に好適に使用することができる。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有するものである。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維を含有することから、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時にイソシアネートガスが発生しがたいので、作業環境性に優れている。
熱可塑性樹脂100質量部あたりの本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維の量は、作業環境性に優れる繊維強化樹脂組成物を得る観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上、さらに一層好ましくは20質量部以上であり、作業環境性に優れる繊維強化樹脂組成物を得る観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下、さらに一層好ましくは30質量部以下である。
本発明の繊維強化樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体、ポリ(p−メチルスチレン)などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリエーテルスルホン;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ノルボルネン樹脂などの環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル樹脂、塩素化ビニル樹脂などのハロゲン含有樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;シリコーン樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、特に限定がなく、本発明の繊維強化樹脂組成物が使用される用途に応じて適宜設定すればよいが、通常、1万〜100万程度である。なお、熱可塑性樹脂が架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することは困難である。
また、本発明の繊維強化樹脂組成物には、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、分散剤を含有させることが好ましい。
本発明の繊維強化樹脂組成物に用いられる分散剤としては、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、側鎖にカルボキシル基を有する重合体を含有する分散剤が好ましい。
側鎖にカルボキシル基を有する重合体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体の単独重合体、カルボキシル基含有単量体および当該カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられるが、本発明はかかる例示にのみに限定されるものではない。これらの側鎖にカルボキシル基を有する重合体のなかでは、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、カルボキシル基含有単量体および当該カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体が好ましい。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有脂肪族系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのカルボキシル基含有単量体のなかでは、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
単量体成分におけるカルボキシル基含有単量体の含有率は、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、100質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル基(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミドなどのアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジn−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジn−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジtert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;エチレン、プロピレンなどのオレフィン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン含有単量体;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体などの芳香族系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのカルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体のなかでは、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、スチレン系単量体が好ましく、スチレンがより好ましい。
単量体成分におけるカルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体の含有率は、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、0質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
単量体成分を重合させる方法としては、前記側鎖にオキサゾリン基を有する重合体の原料として用いられる単量体成分を重合させる方法と同様の方法を例示することができるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
以上のようにして単量体成分を重合させることにより、側鎖にカルボキシル基を有する重合体を得ることができる。側鎖にカルボキシル基を有する重合体のなかでは、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、カルボキシル基含有単量体およびスチレン系単量体を含有する単量体成分からなるカルボキシル基含有スチレン系重合体が好ましい。
側鎖にカルボキシル基を有する重合体の重量平均分子量は、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは3000以上、さらに好ましくは5000以上である。重合体の重量平均分子量の上限値は、架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することが困難なため、特に限定されないが、架橋構造を有しない場合には、熱可塑性樹脂との相溶性を向上させる観点から、10万以下であることが好ましい。
側鎖にカルボキシル基を有する重合体は、溶液で用いることができるほか、固体で用いることができる。側鎖にカルボキシル基を有する重合体は、溶媒、未反応の単量体成分、揮発性の副産物などの揮発分を除去することにより、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、実際に使用する際に固体であることが好ましい。
側鎖にカルボキシル基を有する重合体を固体で得る方法としては、例えば、当該側鎖にカルボキシル基を有する重合体を塊状重合法によって調製する方法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などによって調製した重合体溶液を、揮発分を溶解するが、側鎖にカルボキシル基を有する重合体を溶解しない溶媒中に添加することにより、当該当該側鎖にカルボキシル基を有する重合体を析出させた後、析出した重合体を乾燥させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
揮発分を溶解するが、側鎖にカルボキシル基を有する重合体を溶解しない溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系有機溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族系有機溶媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合体溶液から析出した側鎖にカルボキシル基を有する重合体を乾燥させる方法としては、前記強化繊維を乾燥させる方法と同様の方法を例示することができるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
側鎖にカルボキシル基を有する重合体を含有する分散剤は、側鎖にカルボキシル基を有する重合体のみを含有するものであってもよく、本発明の目的を阻害しない範囲で添加剤、他の重合体などを含有するものであってもよい。添加剤としては、本発明の強化繊維用サイジング剤に用いられる添加剤と同様のものを例示することができる。これらの添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該添加剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
分散剤における側鎖にカルボキシル基を有する重合体の含有率は、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、その上限値は100質量%である。
熱可塑性樹脂100質量部あたりの分散剤の量は、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上、さらに一層好ましくは3質量部以上であり、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有する成分の溶融混練時の分散性を向上させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で添加剤、他の重合体などを含有するものであってもよい。添加剤としては、本発明の強化繊維用サイジング剤に用いられる添加剤と同様のものを例示することができる。これらの添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該添加剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
本発明の繊維強化樹脂組成物における本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維および熱可塑性樹脂の合計含有率は、作業環境性に優れる繊維強化樹脂組成物を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、その上限値は100質量%である。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、例えば、押出機を用い、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維、熱可塑性樹脂、必要により前記分散剤、添加剤、他の重合体などを混合し、溶融混練する方法などにより、容易に調製することができる。これらの成分を混合する順序は、任意であり、これらの成分を一括して混合してもよく、分割して混合してもよい。押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機などが挙げられるが、本発明はかかる例示にのみに限定されるものではない。なお、二軸押出機としては、例えば、スクリュー長さLとスクリュー直径Dの比(L/D)が20〜100の二軸押出機などが挙げられる。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、例えば、二軸押出機を用い、所定のシリンダー温度およびスクリュー回転数にて各成分の溶融混練を行なった後、当該二軸押出機から吐出された吐出物を引き取りながら、水温が一定温度に保たれた水冷バス内に浸漬し、冷却することにより、ガット状で得ることができる。また、得られたガット状の繊維強化樹脂組成物は、例えば、所望の長さに切断することにより、ペレット状にすることができる。
各成分を溶融混練する際のシリンダー温度は、各成分を均一に分散させる観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは200℃以上であり、各成分の劣化を防止する観点から、好ましくは500℃以下、より好ましくは450℃以下、さらに好ましくは400℃以下である。
各成分を溶融混練する際のスクリュー回転数は、各成分を均一に分散させる観点から、好ましくは50〜300rpm、より好ましくは100〜200rpmである。
溶融混練後に二軸押出機から吐出された吐出物を引き取る際の吐出量は、各成分を均一に分散させる観点から、好ましくは5〜50kg/時、より好ましくは5〜30kg/時である。
吐出物を水冷バス内に浸漬し、冷却する際の水温は、特に限定がないが、溶融混練する際のシリンダー温度よりも十分低い温度であればよく、通常、好ましくは5〜50℃である
なお、本発明の繊維強化樹脂組成物は、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、カレンダー成形、熱成形、回転成形、シート成形、フイルム成形などにより、所望の形状を有する成形体に加工することができる。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、例えば、本発明の繊維強化樹脂組成物のペレットを射出成形機内に導入し、所定のシリンダー温度、金型温度および射出成形圧にて射出成形を行なった後、得られた射出成形品を室温になるまで一定時間かけて徐冷することにより、所望の形状を有する成形体に加工することができる。射出成形時のシリンダー温度、金型温度および射出成形圧は、特に限定がなく、ペレットの量、種類などに応じて適宜設定すればよい。また、得られた射出成形品を徐冷する時間は、特に限定がなく、射出成形品の大きさ、形状などに応じて適宜設定すればよいが、通常、1〜10時間程度である。
以上説明したように、本発明の強化繊維用サイジング剤は、サイジング効果に優れるとともに、ポリカルボジイミドを用いずに作業環境性に優れているので、強化繊維に好適に使用することができる。また、本発明の強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維を含有する本発明の繊維強化樹脂組成物は、作業環境性に優れていることから、例えば、自動車、航空機などの車両関連部品、電子機器筐体、電気電子部品などの工業製品、建材、スポーツ用品などに好適に使用することができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において、特に断りがない限り、「部」は「質量部」を意味する。
調製例
撹拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた0.5L容のフラスコ内にトルエン100部およびn−ブチルアルコール50部を仕込み、窒素ガスをフラスコ内に10分間吹き込むことにより、フラスコ内を窒素ガス置換した後、フラスコ内を攪拌しながら約110℃の還流温度に昇温した。その後、アクリル酸10部、スチレン90部および重合開始剤としてtert−ブチル=2−エチルパーオキシヘキサノエート5部からなる混合物を5時間かけてフラスコ内に連続滴下し、還流させながら5時間加熱した。その後、前記フラスコ内の内容物を25℃に冷却し、トルエンをフラスコ内に添加することにより、不揮発分量が40質量%の重合体溶液を得た。
次に、n−ヘキサン500gが入れられたビーカー内に前記で得られた重合体溶液全量を少量ずつ添加することにより、重合体を析出させた。析出した重合体を取り出し、100℃の温度で3時間かけて溶媒を揮発除去することにより、重量平均分子量が8000である側鎖にカルボキシル基を有する重合体を固体で得た。得られた重合体を分散剤として用いた。
製造例
ポリアクリロニトリルを主成分とする重合体を用いて紡糸し、得られたフィラメントに焼成処理および表面酸化処理を施すことにより、総フィラメント数12000本のポリアクリロニトリル系炭素繊維束(ストランド)を得た。得られた炭素繊維束の特性を以下に示す。
・引張強度:4900MPa
・引張弾性率:240GPa
・引張伸度:2%
・比重:1.8
・単糸の平均繊維径:7μm
・表面酸素濃度比[O/C]:0.12
実施例1
製造例で得られた炭素繊維束を連続的に引き取り、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を含有する強化繊維用サイジング剤としてオキサゾリン基含有重合体の水溶液〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロス(登録商標)WS−700、不揮発分:25質量%、オキサゾリン基量:4.5mmol〕を不揮発分量が3質量%となるように水で希釈した水溶液に炭素繊維束を30秒間または2分間浸漬した後、当該サイジング剤から取り出し、230℃の温度で1分間加熱乾燥することにより、強化繊維用サイジング剤で表面処理された炭素繊維束を得た。
次に、前記で得られた強化繊維用サイジング剤で表面処理された炭素繊維束のうち、サイジング液に炭素繊維束を30秒間浸漬したものを長さ6mmに切断することにより、チョップドストランドを得た。
前記で得られたチョップドストランド25部をサイドフィードから二軸押出機〔(株)日本製鋼所製、品番:TEX−30α、L/D=31.5〕内に注入し、ポリフェニレンスルフィド(融点285℃、重量平均分子量30000、酸末端品、クロロホルム抽出量0.5質量%)100部および調製例で得られた分散剤5部をメインフィードから二軸押出機内に注入し、シリンダー温度290℃およびスクリュー回転数150rpmにて溶融混練を行なった。
その後、二軸押出機から吐出量10kg/時で吐出された吐出物を引き取りながら、25℃の水温に保たれた水冷バス内に浸漬し、冷却することにより、繊維強化樹脂組成物をガット状で得た。得られたガット状の繊維強化樹脂組成物を長さ5mmに切断することにより、繊維強化樹脂組成物のペレットを得た。
次に、射出成形機〔(株)日本製鋼所製、品番:J150EII−P〕を用い、シリンダー温度を320℃に、金型温度を150℃に、および射出成形圧を射出成形時の最大圧力に調整して前記で得られたペレットを当該射出成形機内に導入することにより、射出成形を行なった。その後、得られた射出成形品を2時間かけて150℃の温度から室温になるまで大気中で徐冷することにより、縦10cm、横10cm、厚さ2cmの炭素繊維強化樹脂プレートを得た。
実施例2
実施例1において、オキサゾリン基含有重合体の水溶液〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロス(登録商標)WS−700、不揮発分:25質量%、オキサゾリン基量:4.5mmol〕を不揮発分量が3質量%となるように水で希釈した水溶液の代わりに、オキサゾリン基含有重合体の水溶液〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロス(登録商標)WS−300、不揮発分:10質量%、オキサゾリン基量:7.7mmol〕を不揮発分量が3質量%となるように水で希釈した水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして強化繊維用サイジング剤で表面処理された炭素繊維束および炭素繊維強化樹脂プレートを得た。
実施例3
実施例1において、オキサゾリン基含有重合体の水溶液〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロス(登録商標)WS−700、不揮発分:25質量%、オキサゾリン基量:4.5mmol〕を不揮発分量が3質量%となるように水で希釈した水溶液の代わりに、オキサゾリン基含有重合体の樹脂エマルション〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロス(登録商標)K−2030E、不揮発分:40質量%、オキサゾリン基量:1.8mmol〕を不揮発分量が3質量%となるように水で希釈した水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして強化繊維用サイジング剤で表面処理された炭素繊維束および炭素繊維強化樹脂プレートを得た。
比較例1
実施例1において、オキサゾリン基含有重合体の水溶液〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロス(登録商標)WS−700、不揮発分:25質量%、オキサゾリン基量:4.5mmol〕を不揮発分量が3質量%となるように水で希釈した水溶液の代わりに、脂肪族ポリカルボジイミド〔日清紡ケミカル(株)製、商品名:カルボジライト(登録商標)HMV−8CA〕を不揮発分量が3質量%となるように水で希釈した水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして強化繊維用サイジング剤で表面処理された炭素繊維束および炭素繊維強化樹脂プレートを得た。
実験例
各実施例および比較例1で得られた強化繊維用サイジング剤で表面処理された炭素繊維束および炭素繊維強化樹脂プレートを用い、サイジング効果および作業環境性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
なお、表1に示す「30秒間浸漬」および「2分間浸漬」は、サイジング液に炭素繊維束を浸漬させた時間を意味する。
〔サイジング効果〕
各実施例および比較例1で得られた強化繊維用サイジング剤で表面処理された炭素繊維束をステンレス鋼製の鋏を用いて約5mmの短繊維束になるように裁断し、得られた短繊維束の外観を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいてサイジング効果を評価した。
(評価基準)
100点:短繊維束に異常なし(集束している)。
70点:短繊維束にばらけがわずかに認められるが、割れは認められない。
40点:短繊維束にばらけまたは割れが認められる。
0点:短繊維束にばらけおよび割れの双方が明らかに認められる。
〔作業環境性1〕
各実施例および比較例1において、強化繊維用サイジング剤で表面処理された炭素繊維束を得るまでの加熱乾燥過程で、作業者がイソシアネート臭を感じるかどうかを調べ、以下の評価基準に基づいて作業環境性を評価した。
(評価基準)
100点:加熱乾燥中にイソシアネート臭がしなかった。
0点:加熱乾燥中にイソシアネート臭がした。
〔作業環境性2〕
各実施例および比較例1において、繊維強化樹脂組成物を得るまでの溶融混練過程で、作業者がイソシアネート臭を感じるかどうかを調べ、以下の評価基準に基づいて作業環境性を評価した。
(評価基準)
100点:混練中にイソシアネート臭がしなかった。
0点:混練中にイソシアネート臭がした。
〔総合評価〕
各試験項目における評価得点を合計することにより、総合評価(400点満点)を行なった。なお、物性評価において0点の評価が1つでもあるものは、不合格である。
Figure 2017203236
表1に示された結果から、各実施例で得られた強化繊維用サイジング剤で処理された強化繊維は、いずれも、サイジング効果および作業環境性に優れていることがわかる。また、各実施例で得られた繊維強化樹脂組成物は、いずれも、作業環境性に優れていることがわかる。

Claims (4)

  1. 強化繊維に用いられるサイジング剤であって、側鎖にオキサゾリン基を有する重合体を含有することを特徴とする強化繊維用サイジング剤。
  2. 側鎖にオキサゾリン基を有する重合体が、当該重合体の不揮発成分1gあたり1.5〜10mmolの量でオキサゾリン基を有する請求項1に記載の強化繊維用サイジング剤。
  3. 請求項1または2に記載の強化繊維用サイジング剤で処理されてなる強化繊維。
  4. 請求項3に記載の強化繊維用サイジング剤で処理されてなる強化繊維および熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする繊維強化樹脂組成物。
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