JP2017203060A - ゴム組成物およびゴム物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム物品の耐破壊性および耐摩耗性を向上し得るゴム組成物を提供すること。【解決手段】数平均分子量(Mn)が100,000以上のジエン系重合体を含み、重合に用いた触媒に基づく触媒残渣量が60ppm未満であることを特徴とする、ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物およびゴム物品に関する。
耐破壊性、耐摩耗性および耐亀裂性などの機械的物性の良い共役ジエン系重合体などの重合体は、一般に分子量が大きい。そのような重合体の製造に用いられる重合用触媒が盛んに研究されている(例えば、特許文献1)。
このような重合体の製造時、分子量を制御するために触媒を重合反応の系内に多量に投入する必要がある。
特開2004−027179号公報
本発明は、ゴム物品の耐破壊性および耐摩耗性を向上し得るゴム組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、耐破壊性および耐摩耗性が向上したゴム物品を提供することを目的とする。
本発明者らが検討した結果、上述したように重合体の製造時に、触媒を重合反応の系内に多量に投入すると、重合反応によって得られた重合体を含むゴム組成物には、触媒残渣が多量に含まれ、ゴム組成物の触媒残渣の量を少なくすることによって、そのようなゴム組成物を用いて得られるゴム物品の耐破壊性および耐摩耗性を向上し得ることを見出した。
本発明に係るゴム組成物は、数平均分子量(Mn)が100,000以上のジエン系重合体を含み、重合に用いた触媒に基づく触媒残渣量が60ppm未満であることを特徴とする。これにより、当該ゴム組成物を用いたゴム物品の耐破壊性および耐摩耗性を向上し得る。
本発明において、ジエン系重合体は、ジエン系単量体を主体として得られる重合体であって、重合体主鎖に不飽和炭化水素結合をもつ重合体を意味する。
本発明において、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、実施例に記載の方法により求める。
本発明において、ゴム組成物中の、ジエン系重合体を得るための重合に用いた触媒に基づく触媒残渣量は、元素分析を用いて重合体中の残存金属(例えば、アルミニウム、ガドリニウム)の量を測定することにより求める。
本発明に係るゴム組成物では、ジエン系重合体が、変性共役ジエン系重合体であることが好ましい。これにより、低燃費性などの性能を向上するという効果がある。
本発明に係るゴム組成物では、触媒残渣量を、30ppm以下とすることが好ましい。これにより、耐破壊性および耐摩耗性をより向上し得るという効果がある。
本発明に係るゴム組成物では、ジエン系重合体を、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上とすることが好ましい。
本発明に係るゴム組成物では、触媒が、重合触媒組成物であり、当該重合触媒組成物が、(1)少なくとも1つの窒素原子を含む希土類元素化合物と、シクロペンタジエン骨格を有する配位性化合物とを含む;または(2)少なくとも1つの窒素原子を含む希土類元素化合物と、シクロペンタジエン骨格を有する配位性化合物とから形成された化合物を含むことが好ましい。これにより、制御性を向上できるという効果がある。
本発明に係るゴム物品は、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。これにより、ゴム物品の耐破壊性および耐摩耗性が向上する。
本発明によれば、ゴム物品の耐破壊性および耐摩耗性を向上し得るゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、耐破壊性および耐摩耗性が向上したゴム物品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
<ゴム組成物>
本発明に係るゴム組成物は、数平均分子量(Mn)が100,000以上のジエン系重合体を含み、重合に用いた触媒に基づく触媒残渣量が60ppm未満であることを特徴とする。これにより、当該ゴム組成物を用いたゴム物品の耐破壊性および耐摩耗性を向上し得る。ゴム組成物中の触媒残渣量を60ppm未満とする手法として、例えば、ジエン系重合体を得るための重合において、触媒として後述する重合触媒組成物を用いて重合を行うことが挙げられる。
(ジエン系重合体)
ジエン系重合体としては、上記数平均分子量を有するものであれば特に限定されず、従来公知のジエン系重合体を用いることができる。
ジエン系重合体を主に形成するジエン系単量体は、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体(すなわち、共役していないジエン系単量体)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるジエン系単量体である。
共役ジエン系単量体は、従来公知の共役ジエン系単量体を用いることができる。共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエンなどが挙げられる。
非共役ジエン系単量体は、従来公知の非共役ジエン系単量体を用いることができる。非共役ジエン系単量体としては、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、3−メチル−1,5−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
一実施形態では、ジエン系重合体は、共役ジエン系重合体である。別の実施形態では、ジエン系重合体は、1以上の共役ジエン系単量体のみから形成される共役ジエン系重合体である。さらに、別の実施形態では、ジエン系重合体は、1つの共役ジエン系単量体から形成される単独重合体である。また、別の実施形態では、ジエン系重合体は、2以上の共役ジエン系単量体から形成される共重合体である。
一実施形態では、ジエン系重合体を、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上とすることが好ましい。
一実施形態では、ジエン系重合体は、1以上の非共役ジエン系単量体のみから形成される重合体である。
一実施形態では、ジエン系重合体は、ジエン系単量体に加えて、芳香族ビニル化合物、オレフィンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される単量体から形成される重合体である。芳香族ビニル化合物は、特に限定されず従来公知の芳香族ビニル化合物を用いることができる。芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびビニルナフタレンなどが挙げられる。オレフィンとしては、特に限定されず従来公知のオレフィンを用いることができる。オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどを用いることができる。
ジエン系重合体の数平均分子量は、100,000以上である。ジエン系重合体の数平均分子量が、100,000以上であると、より性能を向上させるという効果がある。一実施形態では、数平均分子量は、150,000以上であり、別の実施形態では、200,000以上である。一実施形態では、数平均分子量は、400,000以下であり、別の実施形態では、350,000以下であり、さらに別の実施形態では、300,000以下である。
ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されず、一実施形態では、5.0以下であり、別の実施形態では、4.0以下であり、さらに別の実施形態では、3.5以下であり、別の実施形態では、2.0以下である。分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下であれば、物性が均質となりやすい。また、Mw/Mnが、4.0以下の場合、さらに低ロス性の観点で有利である。
ジエン系重合体が、ポリイソプレンである場合、シス−1,4含量は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができる。一実施形態では、96%以上であり、別の実施形態では、97%以上であり、さらに別の実施形態では、99%以上である。シス−1,4含量が、96%以上であると、重合体鎖の配向が良好となり、伸長結晶性が十分となる。また、シス−1,4含量が、99%より高い場合、より高い耐久性を得るのに十分な伸長結晶性を得ることができる。
ジエン系重合体が、ポリイソプレンである場合、トランス−1,4含量は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができる。一実施形態では、5%以下であり、別の実施形態では、3%以下であり、さらに別の実施形態では、1%以下である。トランス−1,4含量が5%以下であると、伸長結晶性が阻害を受けにくくなる。
ジエン系重合体が、ポリイソプレンである場合、3,4−ビニル含量は、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができる。一実施形態では、5%以下であり、別の実施形態では、3%以下であり、さらに別の実施形態では、1%以下である。3,4−ビニル含量が5%以下であると、伸長結晶性が阻害を受けにくくなる。3,4−ビニル含量が5%以下のポリイソプレンは、例えば、後述する重合触媒組成物を用いて、低温(例えば、−50℃〜100℃)で、所定時間(例えば、30分間〜2日間)、イソプレンを重合することによって、得ることができる。
一実施形態では、ジエン系重合体は、イソプレンと、イソプレン以外の単量体との共重合体である。イソプレン以外の単量体としては、特に限定されず、上述したジエン系単量体、芳香族ビニル化合物、オレフィンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、ブタジエン、スチレンが、分子量制御が容易である観点で、好ましい。
ジエン系重合体が、イソプレン共重合体である場合、イソプレン由来部分のシス−1,4含量、トランス−1,4含量および3,4−ビニル含量と効果は、ポリイソプレンと同様である。これらの量は、イソプレン由来部分中の量であって、イソプレン共重合体全体に対する割合ではない。
ジエン系重合体が、イソプレン共重合体である場合、イソプレン由来部分の含有量としては、特に限定されず、目的に応じて適宜調節することができる。一実施形態では、イソプレン由来部分の含有量は、5〜95mol%である。イソプレン由来部分の含有量が、5mol%以上であると、イソプレンの特性を十分に発揮できる。イソプレン由来部分の含有量が、95mol%以下であると、イソプレン以外の共重合成分の特性を十分に発揮できる。
本発明に係るゴム組成物では、触媒残渣量を、30ppm以下とすることが好ましい。これにより、耐破壊性および耐摩耗性をより向上し得るという効果がある。
ジエン系重合体が、共重合体である場合、連鎖構造としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。連鎖構造は、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、テーパー共重合体、交互共重合体などが挙げられる。
(ゴム組成物の調製方法)
本発明の、ゴム組成物の調製方法は、少なくとも、重合工程を含む。これにより、ジエン系重合体を含むゴム組成物が得られる。ゴム組成物の調製方法は、必要に応じて、(末端)変性工程、カップリング工程、洗浄工程、その他の工程を含んでいてもよい。一実施形態では、ゴム組成物の調製方法は、洗浄工程を含まない。
(重合工程)
重合工程は、少なくともジエン系単量体を含む単量体を重合する工程である。重合工程においては、従来公知の重合触媒または重合触媒組成物を用いることができる。一実施形態では、重合工程では、重合触媒組成物の存在下、少なくともジエン系単量体を含む単量体の重合を行う。
(重合触媒組成物)
一実施形態では、重合触媒組成物は、(A)成分:少なくとも1つの窒素原子を含む希土類元素化合物と、(D)成分:シクロペンタジエン骨格を有する配位性化合物とを含む。別の実施形態では、重合触媒組成物は、(A)成分と(D)成分とから形成された化合物、すなわち、(A)成分に(D)成分が配位した化合物を含む。
工業的なゴム(重合体)およびゴム物品の製造では、製造工程の制約によって、重合反応で得られた重合体を含むゴム組成物を精製すること、すなわち、触媒残渣を十分に除くことが不可能または困難である。これに対して、この重合触媒組成物を用いて重合を行うことによって、重合反応で得られた重合体を含むゴム組成物は、精製(洗浄工程)がなくとも、ゴム組成物の触媒残渣の量を少なくすることができる。
一実施形態では、重合触媒組成物は、(B)成分:イオン性化合物およびハロゲン化合物のうち少なくとも1種をさらに含む。別の実施形態では、重合触媒組成物は、イオン性化合物(B−1)とハロゲン化合物(B−3)のうち少なくとも1種を含み、イオン性化合物(B−1)は、非配位性アニオンとカチオンとからなり、ハロゲン化合物(B−3)は、(i)ルイス酸、(ii)金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物および(iii)活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも1種である。重合触媒組成物は、必要に応じてアルミノキサン(B−2)を含んでいてもよい。
一実施形態では、重合触媒組成物は、(C)成分:一般式(X):
YR31 a32 b33 c ・・・ (X)
(一般式(X)中、Yは、周期表第1族、第2族、第12族および第13族から選択される金属であり、R31およびR32は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R33は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、a、bおよびcは、それぞれ独立に0または1であり、R31、R32およびR33は、それぞれ同一でもよくまたは異なっていてもよく、ただし、Yが周期表第1族から選択される金属である場合には、aは、1でありかつbおよびcは、0であり、Yが周期表第2族および第12族から選択される金属である場合には、aおよびbは、1でありかつcは、0であり、Yが周期表第13族から選択される金属である場合には、a,bおよびcは、1である)で表される化合物をさらに含む。重合触媒組成物が、イオン性化合物(B−1)およびハロゲン化合物(B−3)の少なくとも1種を含む場合には、重合触媒組成物は、(C)成分をさらに含む。
((A)成分)
重合触媒組成物の(A)成分は、少なくとも1つの窒素原子を含む希土類元素化合物である。(A)成分は、希土類元素と窒素原子とを含有する化合物、または当該化合物とルイス塩基との反応物でもよい。ここで、希土類元素化合物とは、スカンジウム、イットリウム、周期表中の原子番号57〜71の元素から構成されるランタノイド元素からなる群より選択される元素を含有する化合物である。ランタノイド元素は、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムである。
一実施形態では、(A)成分は、下記一般式(i):
M−(NQ)1(NQ)2(NQ)3 ・・・(i)
(一般式(i)中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム、イットリウムから選択される少なくとも1種であり、(NQ)1、(NQ)2および(NQ)3は、それぞれ独立に、M−N結合を有するアミド基である)で表される希土類元素化合物である。
一般式(i)で表される希土類元素化合物は、M−N結合を3つ有する化合物により構成される。ここで、(A)成分がM−N結合を3つ有することにより、各結合が化学的に等価となるため構造が安定的であり、それゆえに取り扱いが容易であるという利点を有する。また、(A)成分は、希土類元素−炭素結合を有さず、これにより化合物が安定であり、取り扱いやすいという利点がある。
一般式(i)において、NQが表すアミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基などの脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−tert−ブチルフェニルアミド基などのアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基などのビストリアルキルシリルアミド基などが挙げられる。
一実施形態では、一般式(i)で表される(A)成分は、トリス[ビス(トリメチルシリル)アミド]ガドリニウム(Gd[N(Si(CH3323)である。
(A)成分が希土類元素と窒素原子とを含有する化合物およびルイス塩基の反応物である場合、ルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類などが挙げられる。
(A)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一実施形態では、重合反応系において、重合触媒組成物に含まれる(A)成分の濃度は0.1〜0.0001mol/Lである。(A)成分と(D)成分を用いずに、(A)成分と(D)成分とから形成された化合物を用いる場合も同様である。以下、(A)成分と(D)成分とから形成された化合物を用いる場合、重合触媒組成物の(A)成分の量に関する記載は、(A)成分と(D)成分とから形成された化合物の量に読み替える。
((B)成分)
(B)成分は、イオン性化合物およびハロゲン化合物からなる群より選択される化合物である。一実施形態では、(B)成分は、イオン性化合物(B−1)とハロゲン化合物(B−3)のうち少なくとも1種の化合物であり、イオン性化合物(B−1)は、非配位性アニオンとカチオンとからなり、ハロゲン化合物(B−3)は、(i)ルイス酸、(ii)金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物および(iii)活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも1種である。また、(B)成分として、アルミノキサン(B−2)を含んでいてもよい。
(イオン性化合物(B−1))
イオン性化合物(B−1)は、非配位性アニオンとカチオンとからなり、例えば、(A)成分と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物などを挙げることができる。
非配位性アニオンとしては、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレートなどの4価のホウ素アニオンが挙げられる。
イオン性化合物(B−1)を構成するカチオンとしては、例えば、カルボカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどを挙げることができる。
カルボカチオンとしては、例えば、トリフェニルカルボカチオン、トリ(置換フェニル)カルボカチオンなどの三置換カルボカチオンなどが挙げられる。トリ(置換フェニル)カルボカチオンとしては、例えば、トリ(メチルフェニル)カルボカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボカチオンなどが挙げられる。
アンモニウムカチオンとしては、例えば、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン(例えば、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン)などのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
ホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
したがって、イオン性化合物(B−1)としては、例えば、上述の非配位性アニオンおよびカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物が挙げられる。具体的には、例えば、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
重合触媒組成物におけるイオン性化合物(B−1)の含有量は、一実施形態では、(A)成分に対して0.1〜10倍モルであり、別の実施形態では、約1倍モルである。
(アルミノキサン(B−2))
アルミノキサン(B−2)は、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物である。アルミノキサン(B−2)としては、例えば、一般式:(−Al(R’)O−)で表される繰り返し単位を有する鎖状アルミノキサンまたは環状アルミノキサン(式中、R’は炭素数1〜10の有機基であり、一部の有機基はハロゲン原子および/またはアルコキシ基を有していてもよい)を挙げることができる。繰り返し単位の数は、一実施形態では5以上であり、別の実施形態では10以上である。
上記アルミノキサン(B−2)の一般式中、R’は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基などが挙げられる。
アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)などのトリアルキルアルミニウムおよびその混合物などが挙げられる。一実施形態では、有機アルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物である。
一実施形態では、重合触媒組成物におけるアルミノキサン(B−2)の含有量は、アルミノキサン化合物のアルミニウム元素Alと、(A)成分を構成する希土類元素Mとの元素比率Al/Mが、10〜1000程度である。
(ハロゲン化合物(B−3))
ハロゲン化合物(B−3)は、(i)ルイス酸、(ii)金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物および(iii)活性ハロゲンを含む有機化合物のうちの少なくとも1種である。ハロゲン化合物(B−3)は、例えば、(A)成分と反応して、カチオン性遷移金属化合物、ハロゲン化遷移金属化合物、または遷移金属中心が電荷不足の化合物を生成することができる。
ハロゲン化合物(B−3)としては、空気中の安定性の観点から、ルイス酸よりも金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物が好適に使用できる。
ハロゲン化合物(B−3)のルイス酸としては、例えば、B(C653などのホウ素含有ハロゲン化合物、Al(C653などのアルミニウム含有ハロゲン化合物を使用できる。この他、周期表中の第3、4、5、6または8族に属する元素を含有するハロゲン化合物を用いることもできる。一実施形態では、ルイス酸は、アルミニウムハロゲン化物または有機金属ハロゲン化物であり、ハロゲンは、塩素または臭素である。
ルイス酸として、例えば、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジブチル錫ジクロライド、アルミニウムトリブロマイド、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化錫、四塩化チタン、六塩化タングステンなどが挙げられる。一実施形態では、ルイス酸は、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイドおよびエチルアルミニウムジブロマイドのいずれか1以上である。このようなハロゲン化合物を使用する場合、1つの化合物中にハロゲン原子を2つ以上含む化合物の方が、ハロゲン原子1つのみを有する化合物よりも、反応性がよく、その使用量を減じることが可能となるため、より好適に使用できる。例えば、エチルアルミニムクロライドよりもエチルアルミニウムジクロライドの方がより好適に使用可能である。
ハロゲン化合物(B−3)の金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物について、金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金などが挙げられる。一実施形態では、金属ハロゲン化物は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅である。別の実施形態では、金属ハロゲン化物は、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅である。
錯化合物を構成するルイス塩基としては、例えば、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコールなどが挙げられる。具体例は、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチルヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールなどである。一実施形態では、ルイス塩基は、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールである。
ハロゲン化合物(B−3)の活性ハロゲンを含む有機化合物としては、例えば、ベンジルクロライドなどが挙げられる。
一実施形態では、重合触媒組成物におけるハロゲン化合物(B−3)の含有量の合計は、(A)成分に対して1〜5倍モルである。
(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一実施形態では、重合触媒組成物における(B)成分の含有量の合計は、(A)成分に対して0.1〜50倍モルである。
((C)成分)
一実施形態で重合触媒組成物にさらに含まれる(C)成分は、下記一般式(X)で表される有機金属化合物である。
YR31 a32 b33 c ・・・ (X)
(一般式(X)中、Yは、周期表第1族、第2族、第12族および第13族から選択される金属であり、R31およびR32は、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R33は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、a、bおよびcは、それぞれ独立に0または1であり、R31、R32およびR33は、それぞれ同一でもよくまたは異なっていてもよく、ただし、Yが周期表第1族から選択される金属である場合には、aは、1でありかつbおよびcは、0であり、Yが周期表第2族および第12族から選択される金属である場合には、aおよびbは、1でありかつcは、0であり、Yが周期表第13族から選択される金属である場合には、a,bおよびcは、1である)
一実施形態では、一般式(X)中、Yはアルミニウムである。Yがアルミニウムである一般式(X)の有機金属化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられる。一実施形態では、Yがアルミニウムである一般式(X)の有機金属化合物は、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムである。
(C)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一実施形態では、重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、(A)成分に対して1〜50倍モルであり、別の実施形態では、約10倍モルである。
((D)成分)
重合触媒組成物の(D)成分は、シクロペンタジエン骨格を有する配位性化合物である。
従来の助触媒として用いられていたアニオン性配位子となり得る化合物を用いる場合には、低温条件での重合が必要であったが、(D)成分または(A)成分と(D)成分とから形成された化合物を用いる場合には、高い溶解性および高い立体制御性のため、高温での重合が可能となる。
シクロペンタジエン骨格を有する配位性化合物は、シクロペンタジエン骨格を有するものであれば特に限定はされないが、より高い触媒活性を得ることができる観点からは、インデニル基を有する化合物であることが好ましい。重合の際の溶媒としてトルエンを使用することなく、活性を高めることができるからである。
インデニル基を有する化合物としては、例えば、インデン、1−メチルインデン、1−エチルインデン、1−ベンジルインデン、2−フェニルインデン、2−メチルインデン、2−エチルインデン、2−ベンジルインデン、3−メチルインデン、3−エチルインデン、3−ベンジルインデンなどが挙げられる。
上述したように、重合触媒組成物は、(A)成分と(D)成分とから形成された化合物を含むものでもよい。このような化合物としては、例えば、ビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC962GdN(SiHMe22]が挙げられる。(A)成分と(D)成分とから形成された化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(重合触媒組成物の調製)
重合触媒組成物の調製は、例えば、溶媒に(A)成分〜(D)成分を溶解させることで調製することができる。その際、各成分の添加順序は、特に限定されない。重合活性の向上、重合開始誘導期間の短縮の観点からは、これら各成分を、予め混合して、反応させ、熟成させることが好ましい。ここで、熟成温度は、0〜100℃程度であり、20〜80℃が好ましい。0℃以上であれば、十分に熟成が行われやすく、100℃以下であれば、触媒活性の低下が抑制され、狭い分子量分布が得られやすい。また、熟成時間は、特に限定されず、重合反応槽に添加する前にライン中で接触させることでも熟成でき、通常は、30秒以上あれば十分であり、数日間は安定である。
重合触媒組成物の調製で用いる溶媒は、例えば、シクロヘキサン、トルエンなどが挙げられる。環境負荷、コストなどの観点から、ヘキサン、シクロヘキサンまたはこれらの混合物を好適に使用できる。
重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法などの任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、用いられる溶媒は重合反応において不活性であればよく、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンまたそれらの混合物などが挙げられるが、特に環境負荷、コストなどの観点から、ヘキサン、シクロヘキサンまたはこれらの混合物を好適に使用できる。
重合工程は、重合触媒組成物を使用する場合、例えば、(1)ジエン系単量体として共役ジエン系単量体を含む重合反応系中に、重合触媒組成物の構成成分を別個に供給し、該反応系中において重合触媒組成物としてもよいし、(2)予め調製された重合触媒組成物を重合反応系中に供給してもよい。
重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
一実施形態では、ジエン系単量体の重合反応は、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下において行われる。
重合温度は、特に限定されず、一実施形態では、−100℃〜300℃の範囲であり、別の実施形態では、室温程度である。重合温度を上げると、重合反応のシス−1,4選択性が低下することがある。
重合反応の圧力は、特に限定されず、一実施形態では、ジエン系単量体を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲である。
重合反応の反応時間は、特に限定されず、触媒の種類、重合温度などの条件によって適宜調節することができる。一実施形態では、1秒〜10日の範囲である。
(末端変性工程)
ゴム組成物の調製方法の一実施形態では、末端変性工程をさらに含む。末端変性工程は、重合工程によって得られた共役ジエン系重合体などのジエン系重合体を、変性剤を用いて変性し、末端変性共役ジエン系重合体などの末端変性ジエン系重合体を形成する工程である。
変性剤は、特に限定されず、従来公知の変性剤を適宜選択して用いることができる。一実施形態では、末端変性工程に用いられる変性剤は、重合体中の活性有機金属部位と置換反応または付加反応を行い得る官能基を有し、かつ該活性有機金属部位を失活させるような活性プロトンを含まない化合物である。このような化合物を重合体と反応させることによって重合体に官能基が付与され、またはカップリングによって分子量が上昇する。
代表的な変性剤としては、例えば、アザシクロプロパン基、ケトン基,カルボキシル基、チオカルボキシル基、ウレア基、チオウレア基、アミド基、チオアミド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、ハロゲン化イソシアノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、イミン基、およびM−Z結合(ここでMは、Sn、Si、GeまたはPであり、Zは、ハロゲン原子である)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含み、かつ活性有機金属部位を失活させるような活性プロトンおよびオニウム塩を含まない化合物;炭酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸金属塩、酸ハロゲン化物などが挙げられる。
一実施形態では、変性剤は、以下の(a)〜(j)の化合物から選択される少なくとも1種である。別の実施形態では、(a)〜(j)の化合物から選択される変性剤以外の変性剤を用いることができる。変性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(化合物(a))
化合物(a)は、下記一般式(V)で表される化合物である。
Figure 2017203060
一般式(V)中、X1〜X5は、それぞれ独立に、水素原子であり、またはハロゲン原子、カルボニル基、チオカルボニル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、エポキシ基、チオエポキシ基、ハロゲン化シリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基およびスルホニルオキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含み、かつ活性プロトンおよびオニウム塩を含まない一価の炭素数1〜20の有機基を表す。X1〜X5のうちの少なくとも1つは水素原子ではない。
1〜R5は、独立に、単結合または炭素数1〜18の二価の炭化水素基を表す。二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基などが挙げられるが、これらの中で、炭素数1〜18のアルキレン基、特に炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。このアルキレン基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基などが挙げられる。
1〜X5およびR1〜R5のいずれかを介して複数のアジリジン環が結合していてもよい。
一実施形態では、一般式(V)において、X1=水素原子およびR1=単結合を同時に満たさない。
一般式(V)で表される変性剤としては、例えば、1−アセチルアジリジン、1−プロピオニルアジリジン、1−ブチリルアジリジン、1−イソブチリルアジリジン、1−バレリルアジリジン、1−イソバレリルアジリジン、1−ピバロイルアジリジン、1−アセチル−2−メチルアジリジン、2−メチル−1−プロピオニルアジリジン、1−ブチリル−2−メチルアジリジン、2−メチル−1−イソブチリルアジリジン、2−メチル−1−バレリルアジリジン、1−イソバレリル−2−メチルアジリジン、2−メチル−1−ピバロイルアジリジン、エチル 3−(1−アジリジニル)プロピオネート、プロピル 3−(1−アジリジニル)プロピオネート、ブチル 3−(1−アジリジニル)プロピオネート、エチレングリコール ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、エチル 3−(2−メチル−1−アジリジニル)プロピオネート、プロピル 3−(2−メチル−1−アジリジニル)プロピオネート、ブチル 3−(2−メチル−1−アジリジニル)プロピオネート、エチレングリコール ビス[3−(2−メチル−1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン トリス[3−(2−メチル−1−アジリジニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコール ビス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス[3−(2−メチル−1−アジリジニル)プロピオネート]、ジ(1−アジリジニルカルボニル)メタン、1,2−ジ(1−アジリジニルカルボニル)エタン、1,3−ジ(1−アジリジニルカルボニル)プロパン、1,4−ジ(1−アジリジニルカルボニル)ブタン、1,5−ジ(1−アジリジニルカルボニル)ペンタン、ジ(2−メチル−1−アジリジニルカルボニル)メタン、1,2−ジ(2−メチル−1−アジリジニルカルボニル)エタン、1,3−ジ(2−メチル−1−アジリジニルカルボニル)プロパン、1,4−ジ(2−メチル−1−アジリジニルカルボニル)ブタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
(化合物(b))
化合物(b)は、一般式R6 nM’Z4-nで表されるハロゲン化有機金属化合物または一般式M’Z4もしくは一般式M’Z3で表されるハロゲン化金属化合物である。(一般式中、R6は、独立に、炭素数1〜20の炭化水素基であり、M’は、スズ原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子またはリン原子であり、Zは、ハロゲン原子であり、nは、0〜3の整数である)
M’がスズ原子の場合、化合物(b)としては、例えば、トリフェニルスズクロリド、トリブチルスズクロリド、トリイソプロピルスズクロリド、トリヘキシルスズクロリド、トリオクチルスズクロリド、ジフェニルスズジクロリド、ジブチルスズジクロリド、ジヘキシルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリド、フェニルスズトリクロリド、ブチルスズトリクロリド、オクチルスズトリクロリド、四塩化スズなどが挙げられる。
M’がケイ素原子の場合、化合物(b)としては、例えば、トリフェニルクロロシラン、トリヘキシルクロロシラン、トリオクチルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、ジオクチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルジクロロシラン、フェニルクロロシラン、ヘキシルトリジクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、四塩化ケイ素などが挙げられる。
M’がゲルマニウム原子の場合、化合物(b)としては、例えば、トリフェニルゲルマニウムクロリド、ジブチルゲルマニウムジクロリド、ジフェニルゲルマニウムジクロリド、ブチルゲルマニウムトリクロリド、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられる。
M’がリン原子の場合、化合物(b)としては、例えば、三塩化リンなどが挙げられる。
化合物(b)として、下記式で表されるエステル基またはカルボニル基を分子中に有する有機金属化合物を変性剤として使用することもできる。
7 nM’(−R8−COOR94-n
7 nM’(−R8−COR94-n
(式中、各R7およびR8は、独立に、炭素数1〜20の有機基であり、R9は、炭素数1〜20の有機基であり、側鎖にカルボニル基またはエステル基を含んでいてもよく、M’、Zおよびnは、化合物(b)について上述したとおりである)
化合物(b)は、2種以上を組み合わせて用いる場合、任意の割合で組み合わせてよい。
(化合物(c))
化合物(c)は、ヘテロクムレン化合物であり、分子中に、Y=C=Y’結合を有する変性剤である。
化合物(c)の式中、Yは、炭素原子、酸素原子、窒素原子または硫黄原子であり、Y’は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子である。
Yが炭素原子、Y’が酸素原子の場合、化合物(c)は、ケテン化合物である。Yが炭素原子、Y’が硫黄原子の場合、化合物(c)は、チオケテン化合物である。Yが窒素原子、Y’が酸素原子の場合、化合物(c)は、イソシアナート化合物である。Yが窒素原子、Y’が硫黄原子の場合、化合物(c)は、チオイソシアナート化合物である。YおよびY’がともに窒素原子の場合、化合物(c)は、カルボジイミド化合物である。YおよびY’がともに酸素原子の場合、化合物(c)は、二酸化炭素である。Yが酸素原子、Y’が硫黄原子の場合、化合物(c)は、硫化カルボニルである。YおよびY’がともに硫黄原子の場合、化合物(c)は、二硫化炭素である。ただし、化合物(c)は、これらの組み合わせに限定されない。
ケテン化合物としては、例えば、エチルケテン、ブチルケテン、フェニルケテン、トルイルケテンなどが挙げられる。
チオケテン化合物としては、例えば、エチレンチオケテン、ブチルチオケテン、フェニルチオケテン、トルイルチオケテンなどが挙げられる。
イソシアナート化合物としては、例えば、フェニルイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメリックタイプのジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートなどが挙げられる。
チオイソシアナート化合物としては、例えば、フェニルチオイソシアナート、2,4−トリレンジチオイソシアナート、ヘキサメチレンジチオイソシアナートなどが挙げられる。
カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−エチルカルボジイミドなどが挙げられる。
(化合物(d))
化合物(d)は、下記一般式(VI)で表される結合を有するヘテロ3員環化合物である。
Figure 2017203060
(一般式(VI)中、Y’は、酸素原子または硫黄原子である)
(d)成分は、例えば、Y’が酸素原子の場合、エポキシ化合物である。エポキシ化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エポキシ化大豆油、エポキシ化天然ゴムなどが挙げられる。
(d)成分は、例えば、Y’が硫黄原子の場合、チイラン化合物である。チイラン化合物としては、例えば、チイラン、メチルチイラン、フェニルチイランなどが挙げられる。
(化合物(e))
化合物(e)は、>N=C−X結合(式中、Xはハロゲン原子である)を有するハロゲン化イソシアノ化合物である。
化合物(e)としては、例えば、2−アミノ−6−クロロピリジン、2,5−ジブロモピリジン、4−クロロ−2−フェニルキナゾリン、2,4,5−トリブロモイミダゾール、3,6−ジクロロ−4−メチルピリダジン、3,4,5−トリクロロピリダジン、4−アミノ−6−クロロ−2−メルカプトピリミジン、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、6−クロロ−2,4−ジメトキシピリミジン、2−クロロピリミジン、2,4−ジクロロ−6−メチルピリミジン、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン、2,4,5,6−テトラクロロピリミジン、2,4,6−トリクロロピリミジン、2−アミノ−6−クロロピラジン、2,6−ジクロロピラジン、2,4−ビス(メチルチオ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン、2−ブロモ−5−ニトロチアゾール、2−クロロベンゾチアゾール、2−クロロベンゾオキサゾールなどが挙げられる。
(化合物(f))
化合物(f)は、一般式R10−(COOH)mで表されるカルボン酸、一般式R11(COZ)mで表される酸ハロゲン化物、一般式R12−(COO−R13)で表されるエステル化合物、一般式R14−OCOO−R15で表される炭酸エステル化合物、一般式R16−(COOCO−R17)mで表される酸無水物または下記一般式(VII)で表される酸無水物である。式中、R10〜R17は独立に、炭素数1〜50の炭化水素基、Zはハロゲン原子、mは1〜5の整数である。
Figure 2017203060
(式(VII)中、R18は、炭素数1〜50の炭化水素基であり、mは1〜5の整数である)
化合物(f)のカルボン酸としては、例えば、酢酸、ステアリン酸、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、メリット酸;ポリメタクリル酸エステルまたはポリアクリル酸エステルの全あるいは部分加水分解物などが挙げられる。
化合物(f)の酸ハロゲン化物としては、例えば、酢酸クロリド、プロピオン酸クロリド、ブタン酸クロリド、イソブタン酸クロリド、オクタン酸クロリド、アクリル酸クロリド、安息香酸クロリド、ステアリン酸クロリド、フタル酸クロリド、マレイン酸クロリド、オキサリン酸クロリド、ヨウ化アセチル、ヨウ化ベンゾイル、フッ化アセチル、フッ化ベンゾイルなどが挙げられる。
化合物(f)のエステル化合物としては、例えば、酢酸エチル、ステアリン酸エチル、アジピン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、安息香酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、フタル酸ジエチル、テレフタル酸ジメチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラオクチル、メリット酸ヘキサエチル、酢酸フェニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリイソブチルアクリレートなどが挙げられる。
化合物(f)の炭酸エステル化合物としては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジヘキシル、炭酸ジフェニルなどが挙げられる。
化合物(f)の酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水イソ酪酸、無水イソ吉草酸、無水ヘプタン酸、無水安息香酸、無水ケイ皮酸などの分子間の酸無水物や、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、スチレン−無水マレイン酸共重合体などの分子内の酸無水物が挙げられる。
化合物(f)に挙げた化合物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、カップリング剤分子中に、例えば、エーテル基、3級アミノ基などの非プロトン性の極性基を含むものであってもよい。
化合物(f)は、フリーのヒドロキシル基、芳香族性ヒドロキシル基を含む化合物を不純物として含むものであってもよい。
(化合物(g))
化合物(g)は、一般式R19 kM”(OCOR204-k、一般式R21 kM”(OCO−R22−COOR234-k、または下記一般式(VIII)で表される、カルボン酸の金属塩である。
Figure 2017203060
(一般式中、R19〜R25は、独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、M”は、スズ原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子であり、kは、0〜3の整数であり、pは、0または1である)
一般式R19 kM"(OCOR204-kで表されるカルボン酸の金属塩としては、例えば、トリフェニルスズラウレート、トリフェニルスズ−2−エチルヘキサテート、トリフェニルスズナフテート、トリフェニルスズアセテート、トリフェニルスズアクリレート、トリ−n−ブチルスズラウレート、トリ−n−ブチルスズ−2−エチルヘキサテート、トリ−n−ブチルスズナフテート、トリ−n−ブチルスズアセテート、トリ−n−ブチルスズアクリレート、トリ−t−ブチルスズラウレート、トリ−t−ブチルスズ−2−エチルヘキサテート、トリ−t−ブチルスズナフテート、トリ−t−ブチルスズアセテート、トリ−t−ブチルスズアクリレート、トリイソブチルスズラウレート、トリイソブチルスズ−2−エチルヘキサテート、トリイソブチルスズナフテート、トリイソブチルスズアセテート、トリイソブチルスズアクリレート、トリイソプロピルスズラウレート、トリイソプロピルスズ−2−エチルヘキサテート、トリイソプロピルスズナフテート、トリイソプロピルスズアセテート、トリイソプロピルスズアクリレート、トリヘキシルスズラウレート、トリヘキシルスズ−2−エチルヘキサテート、トリヘキシルスズアセテート、トリヘキシルスズアクリレート、トリオクチルスズラウレート、トリオクチルスズ−2−エチルヘキサテート、トリオクチルスズナフテート、トリオクチルスズアセテート、トリオクチルスズアクリレート、トリ−2−エチルヘキシルスズラウレート、トリ−2−エチルヘキシルスズ−2−エチルヘキサテート、トリ−2−エチルヘキシルスズナフテート、トリ−2−エチルヘキシルスズアセテート、トリ−2−エチルヘキシルスズアクリレート、トリステアリルスズラウレート、トリステアリルスズ−2−エチルヘキサテート、トリステアリルスズナフテート、トリステアリルスズアセテート、トリステアリルスズアクリレート、トリベンジルスズラウレート、トリベンジルスズ−2−エチルヘキサテート、トリベンジルスズナフテート、トリベンジルスズアセテート、トリベンジルスズアクリレート、ジフェニルスズジラウレート、ジフェニルスズ−2−エチルヘキサテート、ジフェニルスズジステアレート、ジフェニルスズジナフテート、ジフェニルスズジアセテート、ジフェニルスズジアクリレート、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−ブチルスズジ−2−エチルヘキサテート、ジ−n−ブチルスズジステアレート、ジ−n−ブチルスズジナフテート、ジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズジアクリレート、ジ−t−ブチルスズジラウレート、ジ−t−ブチルスズジ−2−エチルヘキサテート、ジ−t−ブチルスズジステアレート、ジ−t−ブチルスズジナフテート、ジ−t−ブチルスズジアセテート、ジ−t−ブチルスズジアクリレート、ジイソブチルスズジラウレート、ジイソブチルスズジ−2−エチルヘキサテート、ジイソブチルスズジステアレート、ジイソブチルスズジナフテート、ジイソブチルスズジアセテート、ジイソブチルスズジアクリレート、ジイソプロピルスズジラウレート、ジイソプロピルスズ−2−エチルヘキサテート、ジイソプロピルスズジステアレート、ジイソプロピルスズジナフテート、ジイソプロピルスズジアセテート、ジイソプロピルスズジアクリレート、ジヘキシルスズジラウレート、ジヘキシルスズジ−2−エチルヘキサテート、ジヘキシルスズジステアレート、ジヘキシルスズジナフテート、ジヘキシルスズジアセテート、ジヘキシルスズジアクリレート、ジ−2−エチルヘキシルスズジラウレート、ジ−2−エチルヘキシルスズ−2−エチルヘキサテート、ジ−2−エチルヘキシルスズジステアレート、ジ−2−エチルヘキシルスズジナフテート、ジ−2−エチルヘキシルスズジアセテート、ジ−2−エチルヘキシルスズジアクリレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジ−2−エチルヘキサテート、ジオクチルスズジステアレート、ジオクチルスズジナフテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアクリレート、ジステアリルスズジラウレート、ジステアリルスズジ−2−エチルヘキサテート、ジステアリルスズジステアレート、ジステアリルスズジナフテート、ジステアリルスズジアセテート、ジステアリルスズジアクリレート、ジベンジルスズジラウレート、ジベンジルスズジ−2−エチルヘキサテート、ジベンジルスズジステアレート、ジベンジルスズジナフテート、ジベンジルスズジアセテート、ジベンジルスズジアクリレート、フェニルスズトリラウレート、フェニルスズトリ−2−エチルヘキサテート、フェニルスズトリナフテート、フェニルスズトリアセテート、フェニルスズトリアクリレート、n−ブチルスズトリラウレート、n−ブチルスズトリ−2−エチルヘキサテート、n−ブチルスズトリナフテート、n−ブチルスズトリアセテート、n−ブチルスズトリアクリレート、t−ブチルスズトリラウレート、t−ブチルスズトリ−2−エチルヘキサテート、t−ブチルスズトリナフテート、t−ブチルスズトリアセテート、t−ブチルスズトリアクリレート、イソブチルスズトリラウレート、イソブチルスズトリ−2−エチルヘキサテート、イソブチルスズトリナフテート、イソブチルスズトリアセテート、イソブチルスズトリアクリレート、イソプロピルスズトリラウレート、イソプロピルスズトリ−2−エチルヘキサテート、イソプロピルスズトリナフテート、イソプロピルスズトリアセテート、イソプロピルスズトリアクリレート、ヘキシルスズトリラウレート、ヘキシルスズトリ−2−エチルヘキサテート、ヘキシルスズトリナフテート、ヘキシルスズトリアセテート、ヘキシルスズトリアクリレート、オクチルスズトリラウレート、オクチルスズトリ−2−エチルヘキサテート、オクチルスズトリナフテート、オクチルスズトリアセテート、オクチルスズトリアクリレート、2−エチルヘキシルスズトリラウレート、2−エチルヘキシルスズトリ−2−エチルヘキサテート、2−エチルヘキシルスズトリナフテート、2−エチルヘキシルスズトリアセテート、2−エチルヘキシルスズトリアクリレート、ステアリルスズトリラウレート、ステアリルスズトリ−2−エチルヘキサテート、ステアリルスズトリナフテート、ステアリルスズトリアセテート、ステアリルスズトリアクリレート、ベンジルスズトリラウレート、ベンジルスズトリ−2−エチルヘキサテート、ベンジルスズトリナフテート、ベンジルスズトリアセテート、ベンジルスズトリアクリレートなどが挙げられる。
一般式R21 kM"(OCO−R22−COOR234-kで表されるカルボン酸の金属塩としては、例えば、ジフェニルスズビスメチルマレート、ジフェニルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジフェニルスズビスオクチルマレート、ジフェニルスズビスオクチルマレート、ジフェニルスズビスベンジルマレート、ジ−n−ブチルスズビスメチルマレート、ジ−n−ブチルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジ−n−ブチルスズビスオクチルマレート、ジ−n−ブチルスズビスベンジルマレート、ジ−t−ブチルスズビスメチルマレート、ジ−t−ブチルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジ−t−ブチルスズビスオクチルマレート、ジ−t−ブチルスズビスベンジルマレート、ジイソブチルスズビスメチルマレート、ジイソブチルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジイソブチルスズビスオクチルマレート、ジイソブチルスズビスベンジルマレート、ジイソプロピルスズビスメチルマレート、ジイソプロピルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジイソプロピルスズビスオクチルマレート、ジイソプロピルスズビスベンジルマレート、ジヘキシルスズビスメチルマレート、ジヘキシルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジヘキシルスズビスオクチルマレート、ジヘキシルスズビスベンジルマレート、ジ−2−エチルヘキシルスズビスメチルマレート、ジ−2−エチルヘキシルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジ−2−エチルヘキシルスズビスオクチルマレート、ジ−2−エチルヘキシルスズビスベンジルマレート、ジオクチルスズビスメチルマレート、ジオクチルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジオクチルスズビスオクチルマレート、ジオクチルスズビスベンジルマレート、ジステアリルスズビスメチルマレート、ジステアリルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジステアリルスズビスオクチルマレート、ジステアリルスズビスベンジルマレート、ジベンジルスズビスメチルマレート、ジベンジルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジベンジルスズビスオクチルマレート、ジベンジルスズビスベンジルマレート、ジフェニルスズビスメチルアジテート、ジフェニルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジフェニルスズビスオクチルアジテート、ジフェニルスズビスベンジルアジテート、ジ−n−ブチルスズビスメチルアジテート、ジ−n−ブチルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジ−n−ブチルスズビスオクチルアジテート、ジ−n−ブチルスズビスベンジルアジテート、ジ−t−ブチルスズビスメチルアジテート、ジ−t−ブチルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジ−t−ブチルスズビスオクチルアジテート、ジ−t−ブチルスズビスベンジルアジテート、ジイソブチルスズビスメチルアジテート、ジイソブチルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジイソブチルスズビスオクチルアジテート、ジイソブチルスズビスベンジルアジテート、ジイソプロピルスズビスメチルアジテート、ジイソプロピルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジイソプロピルスズビスオクチルアジテート、ジイソプロピルスズビスベンジルアジテート、ジヘキシルスズビスメチルアジテート、ジヘキシルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジヘキシルスズビスメチルアジテート、ジヘキシルスズビスベンジルアジテート、ジ−2−エチルヘキシルスズビスメチルアジテート、ジ−2−エチルヘキシルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジ−2−エチルヘキシルスズビスオクチルアジテート、ジ−2−エチルヘキシルスズビスベン−エチルヘキシルスズビスベンジルアジテート、ジオクチルスズビスメチルアジテート、ジオクチルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジオクチルスズビスオクチルアジテート、ジオクチルスズビスベンジルアジテート、ジステアリルスズビスメチルアジテート、ジステアリルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジステアリルスズビスオクチルアジテート、ジステアリルスズビスベンジルアジテート、ジベンジルスズビスメチルアジテート、ジベンジルスズビス−2−エチルヘキサテート、ジベンジルスズビスオクチルアジテート、ジベンジルスズビスベンジルアジテートなどが挙げられる。
一般式(VIII)で表されるカルボン酸の金属塩としては、例えば、ジフェニルスズマレート、ジ−n−ブチルスズマレート、ジ−t−ブチルスズマレート、ジイソブチルスズマレート、ジイソプロピルスズマレート、ジヘキシルスズマレート、ジ−2−エチルヘキシルスズマレート、ジオクチルスズマレート、ジステアリルスズマレート、ジベンジルスズマレート、ジフェニルスズアジテート、ジ−n−ブチルスズアジテート、ジ−t−ブチルスズアジテート、ジイソブチルスズアジテート、ジイソプロピルスズアジテート、ジヘキシルスズジアセテート、ジ−2−エチルヘキシルスズアジテート、ジオクチルスズアジテート、ジステアリルスズアジテート、ジベンジルスズアジテートなどが挙げられる。
(化合物(h))
化合物(h)は、N−置換アミノケトン、N−置換アミノチオケトン、N−置換アミノアルデヒド、N−置換アミノチオアルデヒドまたは分子中に−C−(=M)−N<結合(Mは酸素原子または硫黄原子を表す)を有する化合物である。
化合物(h)としては、例えば、4−ジメチルアミノアセトフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’
−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフ
ェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノンなどのN−置換アミノケト
ン類および対応するN−アミノチオケトン類;4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4−ジビニルアミノベンズアルデヒドなどのN−置換アミノアルデヒド類および対応するN−置換アミノチオアルデヒド類;分子中に−C−(=M)−N<結合(Mは酸素原子または硫黄原子を表す)を有する化合物、例えば、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−2−ピロリドン、N−フェニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−フェニル−2−ピペリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−メチル−ω−カプロラクタム、N−フェニル−ω−カプロラクタム、N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタムなどのN−置換ラクタム類および対応するN―置換チオラクタム類;1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素、1,3−ジエチルー2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどのN−置換環状尿素類および対応するN−置換環状チオ尿素類などが挙げられる。
(化合物(i))
化合物(i)は、N≡C−結合を有する化合物である。ここで、N≡C−結合を有する化合物とは、一般式R−CNで表される有機シアノ化合物、例えば、2−シアノピリジン、3−シアノピリジン、アクリロニトリルなど;ケトン、アルデヒド、エポキシに代表される求電子化合物、例えば、ベンズアルデヒド、ベンゾフェノン、4−4’−ビス(ジエチルアミノ)ペンゾフェノン、3−グリシドシプロピルトリメトチシシラン、アリルグリシジルエーテルなど;ビニル基を有する有機化合物、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、スチレン、ビニルナフタレン、リン酸ビニル、ビニル酢酸エーテル、ピバロイル酸ビニル、ビニルトリメチルシラン、トリエトキシビニルシランなどが挙げられる。
(化合物(j))
化合物(j)は、下記一般式(I)で表される、リン酸残基を有する化合物である。
Figure 2017203060
(一般式(I)中、R1およびR2は、独立に、ヘテロ原子を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の一価の有機基、または、水素原子である)
より具体的には、例えば下記一般式(II)で表されるリン酸残基が挙げられる。
Figure 2017203060
変性反応は、溶液反応および固相反応のいずれでもよい。一実施形態では、溶液反応(重合時に使用した未反応モノマーを含んだ溶液でもよい)である。
変性反応の形式については特に限定されず、バッチ式反応器を用いて行ってもよく、多段連続式反応器やインラインミキサなどの装置を用いて連続式で行ってもよい。変性反応は、重合反応終了後、脱溶媒処理、水処理、熱処理、重合体単離に必要な諸操作などを行う前に実施することが好ましい。
変性反応の温度は、ジエン系重合体の重合温度とすることができる。例えば、20〜100℃である。20℃以上であれば、重合体の粘度の上昇を抑制することができる。100℃以下であれば、重合活性末端の失活を抑制することができる。
重合触媒組成物の(A)成分に対する変性剤の使用量は、変性重合体の所望の末端変性率によって調節すればよい。モル比で、好ましくは0.1〜100、より好ましくは1.0〜50である。変性剤の使用量を上記範囲内にすることによって、変性反応がより進行し、トルエンなどの有機溶媒不溶分(ゲル)が生成しない低発熱性、耐摩耗性に優れる重合体を得ることができる。
変性反応は、通常、室温〜100℃の撹拌下、好ましくは30秒〜2時間、より好ましくは3分〜1時間の範囲で行うことができる。高い末端リビング率を得るための触媒および重合条件で重合し、引き続き末端変性反応をおこなうことによって、末端変性率の高いジエン系重合体が得られる。
末端変性されたジエン系重合体は、分子の少なくとも1つの末端が変性されていればよい。一実施形態では、末端変性ジエン系重合体は、分子の一方の末端が変性されている。別の実施形態では、末端変性ジエン系重合体は、分子の両末端が変性されている。
本発明に係るゴム組成物では、ジエン系重合体が、末端変性率が70%以上である変性共役ジエン系重合体であることが好ましい。これにより、低燃費性、耐久性を向上させるという効果がある。
本発明に係るゴム組成物では、ジエン系重合体は、末端以外の部分が、上述した末端変性工程の変性反応、その他公知のグラフト反応などの変性反応によって変性された、変性共役ジエン系重合体であってもよい。
(カップリング工程)
本発明の、ゴム組成物の調製方法の一実施形態では、任意にカップリング工程を行うことができる。カップリング工程は、重合工程において得られたジエン系重合体の2以上の重合体鎖の少なくとも一部(例えば、末端)を、カップリング剤を用いてカップリングする工程である。一実施形態では、重合反応が100%に達した際にカップリング反応を行う。
カップリング剤は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カップリング剤としては、例えば、(i)ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)などのスズ含有化合物、(ii)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物、(iii)グリシジルプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物などが挙げられる。ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)は、反応効率と低ゲル生成の観点で、好ましい。カップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カップリング反応の反応温度は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。一実施形態では、10℃〜100℃であり、別の実施形態では、20℃〜80℃である。反応温度が、10℃以上であると、反応速度が著しく低下するのを抑制することができ、100℃以下であると、ポリマーがゲル化するのを抑制することができる。
カップリング反応の反応時間は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。一実施形態では、10分〜1時間である。反応時間が10分以上であれば、反応が十分に進行し易く、1時間以下であれば、ポリマーのゲル化を抑制することができる。
(洗浄工程)
ゴム組成物の調製方法の一実施形態では、任意に洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、重合工程から得られたジエン系重合体を含むゴム組成物を溶媒によって洗浄し、触媒残渣などを除去し、ゴム組成物を精製する工程である。洗浄に用いる溶媒としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。
重合触媒としてルイス酸由来の触媒を使用する場合は、洗浄工程で使用する溶媒に対して、塩酸、硫酸、硝酸などの酸を加えて使用することができる。一実施形態では、添加する酸の量は、溶媒に対して15mol%以下である。15mol%以下とすることで、ジエン系重合体に酸が残存することを抑制することができる。
上記ゴム組成物の調製方法によれば、洗浄工程を行わなくとも、重合に用いた触媒に基づく触媒残渣量が60ppm未満のゴム組成物を得ることができる。したがって、一実施形態では、ゴム組成物の調製方法は、洗浄工程を含まない。
(ゴム組成物のその他の成分)
ゴム組成物には、タイヤなどのゴム物品の製造のために使用される一般的な添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカなどの充填剤;架橋剤;加硫促進剤;軟化剤;加硫助剤;着色剤;難燃剤;滑剤;発泡剤;可塑剤;加工助剤;酸化防止剤;老化防止剤;スコーチ防止剤;紫外線防止剤;帯電防止剤;着色防止剤などが挙げられる。一実施形態では、これらの添加剤の少なくとも一部は、上記重合工程の後にゴム組成物に配合される。
(架橋ゴム)
ゴム組成物は、架橋して架橋ゴムとして用いることができる。
架橋の条件としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。一実施形態では、温度120〜200℃、加温時間1分間〜900分間である。
<ゴム物品>
本発明に係るゴム物品は、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。この「ゴム組成物を用いた」には、ゴム組成物を架橋した架橋ゴムを用いたことも含まれる。このようなゴム物品としては、特に限定されず、従来公知のゴム物品が挙げられる。ゴム物品は、例えば、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強、ビードフィラーなどのタイヤのゴム部材、タイヤ、防振ゴム、免震ゴム、ベルト(コンベアベルト)、ゴムクローラ、各種ホースなどが挙げられる。ゴム物品の製造方法は特に限定されず、ゴム物品の製造時に用いていた従来のゴム組成物に代えて、上記のゴム組成物を用いればよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
実施例で用いた材料の詳細は以下のとおりである。
アルミノキサン:東ソー・ファインケム株式会社製の商品名MMAO−3A
重合停止剤(2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)):大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクラックNS−5
カーボンブラック:三菱化学株式会社製の商品名DIABLACK(登録商標)N234
老化防止剤(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン):大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクラック6c
Wax:マイクロクリスタリンワックス、精工化学株式会社製の商品名サンタイト(登録商標)S
加硫促進剤1:1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクセラーD
加硫促進剤2:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクセラーDM−P
加硫促進剤3:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクセラーNS−P
(実施例1)
十分に乾燥した1000mLの耐圧ガラス反応器を窒素置換し、1,3−ブタジエン100gを含むヘキサン溶液300mLを添加し、モノマー溶液とした。
一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC962GdN(SiHMe22] 30μmolと、1−ベンジルインデン60μmolと、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL) 8.4mmolと、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL) 4.8mmolとを混合し、12時間放置した。その後、MMAO−3A 1.87mLを混合し、6時間放置した。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC) 40μLを仕込み、触媒溶液とした。
次に、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で4μmolとなる量の触媒溶液をモノマー溶液へ添加し、50℃で15分間重合を行った。重合後、変性剤を投入し、1時間反応させた。その後、ノクラックNS−5 5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させた。さらに大量のイソプロパノールで重合体を分離し、60℃で真空乾燥し、重合体Aを得た。得られた重合体Aの収量は40gであった。
(実施例2)
実施例1において、1,3−ブタジエンに代えて、イソプレンを用いた以外は実施例1と同様に重合反応、変性反応およびその後の処理を行い、重合体Bを得た。得られた重合体Bの収量は40gであった。
(比較例1)
窒素雰囲気下のグローブボックス中で1L耐圧ガラス反応器に、トリスビストリメチルシリルアミドガドリニウム(Gd[N(SiMe3)2]3)4.65μmol、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)0.70mmol、トルエン5.0gを仕込んだのち30分間熟成を行った。その後、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4)を4.65μmol、およびシクロヘキサン378.0gを仕込み、さらに30分間熟成を行った。その後、グローブボックスから反応器を取り出し、イソプレン127.5gを添加し、室温で3時間重合を行った。重合後、ノクラックNS−5 5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させた。さらに大量のメタノールで重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体Cを得た。得られた重合体Cの収量は99.0gであった。
以下に示す方法により、得られた重合体の数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、シス−1,4結合量および触媒残渣量を測定した。その結果を表1に示す。
(数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn))
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー株式会社製の商品名HLC−8020、カラム:東ソー株式会社製の商品名GMHXL、溶離液:テトラヒドロフラン]により検出器として屈折計を用いて室温で測定し、単分散ポリスチレンを標準としたポリスチレン換算で示した。
(シス−1,4結合量(ミクロ構造))
1H−NMRおよび13C−NMRにより得られたピーク[1H−NMR:δ4.6−4.8(3,4−ビニルユニットの=CH2)、5.0−5.2(1,4−ユニットの−CH=)、13C−NMR:δ23.4(1,4−シスユニット)、15.9(1,4−トランスユニット)、18.6(3,4−ユニット)]の積分比からシス−1,4結合量を算出した。
(触媒残渣量)
触媒残渣量(残存金属量)を元素分析により測定した。
Figure 2017203060
表2に示す配合で、実施例2および比較例1のゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物を用いて、以下に示すように、耐摩耗性と耐破壊性を評価した。
(耐摩耗性評価)
得られたゴム組成物を、トレッド用ゴムとして用いて、供試タイヤを作製した。供試タイヤを車両に装着して2万km走行した後の残溝量を測定した。比較例1のゴムの残溝量を100とし、実施例2の残溝量を指数化した値を表2に示す。指数値が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐破壊性評価)
得られたゴム組成物を、トレッド用ゴムとして用いて、供試タイヤを作製した。JIS K 6251:2010に準拠して、ゴムのリング形状引張強度を測定した。比較例1の引張強度を100とし、実施例2の引張強度を指数化した値を表2に示す。指数値が大きいほど、耐破壊性に優れることを示す。
Figure 2017203060
本発明によれば、ゴム物品の耐破壊性および耐摩耗性を向上し得るゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、耐破壊性および耐摩耗性が向上したゴム物品を提供することができる。

Claims (6)

  1. 数平均分子量(Mn)が100,000以上のジエン系重合体を含み、重合に用いた触媒に基づく触媒残渣量が60ppm未満であることを特徴とする、ゴム組成物。
  2. 前記ジエン系重合体が、変性共役ジエン系重合体である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記触媒残渣量が、30ppm以下である、請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 前記ジエン系重合体が、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 前記触媒が、重合触媒組成物であり、当該重合触媒組成物が、
    (1)少なくとも1つの窒素原子を含む希土類元素化合物と、シクロペンタジエン骨格を有する配位性化合物とを含む;または
    (2)少なくとも1つの窒素原子を含む希土類元素化合物と、シクロペンタジエン骨格を有する配位性化合物とから形成された化合物を含む、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、ゴム物品。
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