JP2017202623A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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【課題】微量の水分で機能が低下する有機ELなどのデバイスなどに好適に用いられ、成膜工程およびデバイス作製工程中にALD膜の欠陥の発生と、それによるガスバリア性フィルムのガスバリア性の低下を抑制することで、ガスバリア性及び耐久性に優れるとともに、成膜コストが著しく増加することのない、ガスバリア性フィルムを提供する。【解決手段】プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、アンダーコート層と、原子層堆積膜とを順次積層してなるガスバリア性フィルムであって、アンダーコート層がアクリル系樹脂からなり、アンダーコート層の厚みが0.5μm以上10μm以下であり、プラスチックフィルム基材の線膨張係数α1、アンダーコート層の線膨張係数α2、及び原子層堆積膜の線膨張係数α3が、α1>α2>α3の関係を満たすことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに関するものであって、特に、基材の外面に平坦化層および原子層堆積膜が形成されたガスバリア性フィルムに関する。
近年、有機半導体技術を利用した有機ELディスプレイ、有機EL照明、有機太陽電池、電子ペーパーなどの次世代デバイスの開発が進められ、一部では実用化されている。これらのデバイスの基本構成となる素子は、精密な構造を有し、かつ、外部から影響を受けやすい材料で形成されるため、例えば微量あるいは極微量の水分や酸素の影響で構造や材料の劣化が生じ、デバイスの機能が低下することがある。これに対応するため、例えば、有機ELディスプレイの素子の劣化に対しては、素子を空気から遮断する封止技術の効果が大きいこと、防湿性の高いこと、及び光透過性を有することから、ガラス基材により素子を挟持する構造が採用されている。
しかし、ガラスの取扱い難さ、およびその厚さや重量、急速に市場拡大しているモバイル機器への展開に対する要求から、プラスチックフィルムを基材として用いることが検討されている。該プラスチックフィルム基材には、外部からの水分(水蒸気)や酸素などによる構造や材料の劣化を防ぐためのガスバリア性も必要であり、その条件として水蒸気透過率が10−6g/(m・day)台を有し、かつ、基材を含めた厚さが数十μmの透明ガスバリア性フィルムが検討されてきている。
このような透明ガスバリア性フィルムとしては、従来、主として包装材料分野において、開発・実用化されてきており、食品や医薬品の包装に用いられているガスバリア性フィルムは、1×10−2g/(m・day)台、あるいは更に高い水蒸気バリア性能を有していた。
この高い水蒸気バリア性を達成するために、プラスチックフィルム基材上に緻密な無機材料の薄膜からなるガスバリア層を形成したガスバリア性フィルムや、無機材料の脆弱性を補うために有機材料と無機材料とを積層形成した複合ガスバリア層を持つガスバリア性フィルムなどが開発されてきた。無機材料の形成方法として、例えば物質を原子または分子レベルで動く気相状態で基材フィルム表面に輸送し薄膜を形成する物理気相成長(PVD;Physical Vapor Deposition(或いは物理蒸着ともいう)、以下、「PVD」という)法と、化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition、以下、「CVD」という)法と、がある。
PVD法には、例えば、真空蒸着法やスパッタ法等がある。スパッタ法は、膜質及び厚さの均一性に優れた高品質な薄膜の成膜が容易に行えるため、液晶ディスプレイ等の表示デバイスの電極配線膜、光ディスクの光反射膜等に広く適用されている。
CVD法は、チャンバー内に原料ガスを導入し、基材上において、主に熱エネルギーにより、1種類或いは2種類以上のガスを分解または反応させることで、固体薄膜を成長させる方法である。この際に、成膜時の反応の促進や、反応温度の低下のために、プラズマや触媒(Catalyst)反応を併用する場合があり、プラズマ反応を用いるCVD法を、PECVD(Plasma Enhanced CVD)法といい、また、触媒反応を利用するCVD法を、Cat−CVD法という。
CVD法では蒸着やスパッタと比較して、成膜欠陥を少なくすることができるため、例えば、半導体デバイスの製造工程(例えば、ゲート絶縁膜の成膜工程)等に適用されている。
さらに高いガスバリア性を達成する成膜方法として、原子層堆積法(ALD;Atomic Layer Deposition、以下、「ALD法」という)が注目されている。ALD法は、表面吸着した物質を表面における化学反応によって原子レベルで一層ずつ成膜していく方法である。上記ALD法は、CVD法の範疇に分類されている。
いわゆるCVD法(一般的なCVD法)は、単一のガスまたは複数のガスを同時に用いて基材上で反応させて薄膜を成長させるものである。それに対してALD法は、前駆体、またはプリカーサともいわれる活性に富んだガスと、反応性ガスと、を交互に用いることで、基材表面における吸着と、これに続く化学反応と、によって原子レベルで一層ずつ薄膜を成長(一般的に二次元成長と呼ばれる)させていく特殊な成膜方法である。
特許文献1には、ALD法によってプラスチック基板またはガラス基板上にガスバリア層を形成する技術が開示されている。これにより、成膜欠陥を減らすことができると共に、数十nmの膜厚において桁違いにガス透過を低減させることが可能な光透過性のガスバリア性フィルムを実現することができる。
特許文献2には、プラスチック基材上に、ALD法を用いて形成した少なくとも一層の無機バリア層および少なくとも一層の有機層が交互に積層された構造を有するガスバリアフィルムが開示されている。また、特許文献3には、エレクトロニクス用途のバリアフィルムとして、水分に対して脆弱な素子を一定期間その性能が劣化しないようにするために、プラスチックフィルムからなる基材の両面にそれぞれ原子層堆積法によって形成される無機材料からなる第1のバリア層と第2のバリア層とを形成し、10−4g/(m・day)以下の水蒸気透過率を示すバリアフィルムが開示されている。
特表2007−516347号公報 特開2007−090803号公報 特開2012−096432号公報
ALD法の具体的な成膜方法は、以下のような手法で行われる。
1)始めに、いわゆるセルフ・リミッティング効果(基材上の表面吸着において、表面がある種のガスで覆われると、それ以上、該ガスの吸着が生じない現象のことをいう。)を利用し、基材上に前駆体が一層のみ吸着した時点で未反応の前駆体を排気する(第1のステップ)。
2)次いで、チャンバー内に反応性ガスを導入して、先の前駆体を酸化または還元させて所望の組成を有する薄膜を一層のみ形成した後に該反応性ガスを排気する(第2のステップ)。
ALD法では、上記第1及び第2のステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返し行うことで、基材上に薄膜を成長させる。したがって、ALD法では、二次元的に薄膜が成長する。また、ALD法は、従来の真空蒸着法やスパッタ法、一般的なCVD法と比較しても、成膜欠陥が少ないことが特徴である。
また、ALD法は、他の成膜法と比較して斜影効果(粒子が基材の表面に対して斜めに入射して成膜バラツキが生じる現象)が無いなどの特徴があり、ガスが入り込める隙間があれば成膜が可能である。そのため、ALD法は、幅に対する深さの比が大きい高アスペクト比を有する基材上のラインやホールへの被膜のほか、三次元構造物への被膜用途でMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)関連等にも応用が期待できる。
ALD法を用いてガスバリア性フィルムを作製する場合、先に述べたようにALD法は被覆性に優れているため、プラスチックフィルム基材面上に異物などが付着していたとしても極めて小さい場合は、それを被覆することが可能である。しかしALD法で異物を完全に薄膜で被覆するには、異物の大きさにもよるが、所定の膜厚以上に適用するため、成膜工程を長くすることによる成膜装置の大型化あるいは複雑化を必要とし、成膜にかかる時間を余計に要するため、結果として、成膜コストが増大する。さらにALD法で異物を完全に被覆できなかった場合には、外部からの応力がガスバリア性フィルムに加わる際に、付着した異物に応力が加わると、異物はプラスチックフィルム基材面上から容易に剥離する。この剥離によりALD膜の一部に孔が開く、または異物の剥離とともに周囲のALD膜を損傷させることもあり、ALD膜に欠陥が生じ、ガスバリア性が損なわれてしまう恐れがある。
特にALD法により成膜したALD膜を有するガスバリア性フィルムを有機ELなどのデバイスに適用する場合には、異物が付着した状態では、デバイス作製工程中の様々な応力によって異物の剥離が生じる恐れがあり、上記したガスバリア性が損なわれる状態を生じる可能性がある。
そのため、ALD法による成膜前に、例えばプラスチックフィルム基材上に存在する異物を、超音波の照射やエアーの吹き付けにより浮き上がらせ吸引する、または洗浄剤の吹き付けと拭き取りにより除去するなどの異物除去対策が有効である。
しかし、数μm以下の小さな異物は上記異物除去対策で除去することは、困難であり、またこれらを完全に取り除くには、さらなる除去装置を必要とする。
また、プラスチックフィルム基材とALD膜とはその構成材料から線膨張係数の差が大きいため、成膜工程、さらにはデバイス作製工程中の熱によるプラスチックフィルム基材の伸縮を生じ、その伸縮がALD膜に伝わり、ALD膜にクラックが生じガスバリア性を損なう可能性がある。
そこで本発明は、微量の水分で機能が低下する有機ELなどのデバイスなどに好適に用いられ、成膜工程およびデバイス作製工程中にALD膜の欠陥の発生と、それによるガスバリア性フィルムのガスバリア性の低下を抑制することで、ガスバリア性及び耐久性に優れるとともに、成膜コストが著しく増加することのない、ガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、プラスチックフィルム基材上にアンダーコート層を設け、異物を被覆することが有効であるという結果を得た。また、アンダーコート層の線膨張係数を、プラスチックフィルム基材の線膨張係数より小さくし、かつ、ALD膜の線膨張係数より大きくなるよう調整することにより、線膨張係数差によるALD膜のクラックの発生を抑えることが可能であるという結果を得た。
本発明は、プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、アンダーコート層と、原子層堆積膜とを順次積層してなるガスバリア性フィルムであって、アンダーコート層がアクリル系樹脂からなり、アンダーコート層の厚みが0.5μm以上10μm以下であり、プラスチックフィルム基材の線膨張係数α1、アンダーコート層の線膨張係数α2、及び原子層堆積膜の線膨張係数α3が、α1>α2>α3の関係を満たすことを特徴とする。
また、プラスチック基材の原子層堆積膜を積層しない側の表面に、アンダーコート層の材質と同じ材質からなるコーティング層を更に積層してもよい。
本発明によれば、微量の水分で機能が低下する有機ELなどのデバイスなどに好適に用いられ、成膜工程およびデバイス作製工程中にALD膜の欠陥の発生と、それによるガスバリア性フィルムのガスバリア性の低下を抑制することで、ガスバリア性及び耐久性に優れるとともに、成膜コストが著しく増加することのない、ガスバリア性フィルムを実現できる。
本発明に基づく実施形態にかかるガスバリア性フィルムの構成を示す断面図である。 本発明に基づく実施形態にかかるガスバリア性フィルムの他の構成を示す断面図である。
図1は、本発明に基づく実施形態にかかるガスバリア性フィルムの構成を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態のガスバリア性フィルム10は、プラスチックフィルム基材1と、プラスチックフィルム基材1の一方の面に積層されたアンダーコート層2と、アンダーコート層2上に成膜形成された原子層堆積膜3とを備えてなる。
プラスチックフィルム基材1は、透明なプラスチックフィルムからなる。本実施形態において使用可能な透明なプラスチックフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレレン(PS)、ポリアミド、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ナイロン−6、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、アラミド、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、その他ポリ乳酸などの生分解性プラスチックなどである。これらプラスチックフィルムは、延伸、未延伸のいずれでもよいが、ウェブ状態で用いることができ、機械的強度や寸法安定性などが優れたものが好ましい。
特に、耐熱性や寸法安定性などの面から、包装材向けには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートが好ましく、またより高い耐熱性や寸法安定性が求められる液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ(OLED)などのフラットパネルディスプレイ(FPD)向けには、ポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエーテルスルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)などが好ましい。
また、このプラスチック基材1には、帯電防止剤、紫外線吸収剤(紫外線防止剤)、可塑剤、滑剤などの添加剤を用途に応じて含有させることができる。さらに、アンダーコート層2の成膜面の密着性をよくするために、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などの表面処理あるいはアンダーコートなどを予め施すことができる。
なお、本実施態様におけるプラスチック基材1の厚さは、特に制限されるものではないが、ガスバリア性フィルム10の製造や加工適性などを考慮すると、25μm以上200μmの範囲にあることが好ましい。
本実施形態のガスバリア性フィルム10におけるアンダーコート層2は、アクリル系樹脂からなる。アンダーコート層2の役割は、プラスチックフィルム基材1上に存在する異物を被覆して平坦化することにより、アンダーコート層2上に形成する原子層堆積膜3のバリア性の劣化を防ぐことである。また、原子層堆積膜3に対するプラスチックフィルム基材1の熱による変形の影響を緩和し、原子層堆積膜3にクラックが発生することを抑制することである。
アンダーコート層2を形成するための組成物の材料としては、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの重合性が高いアクリル系のモノマー、あるいはこれらアクリル系のモノマーとオリゴマーとの混合物を適宜選定して用いることができる。フレキシブル電子デバイス向けとして、ガスバリア性フィルムには高い透明性が求められており、光線透過率が高く屈折率が制御しやすいアクリル系のモノマー、あるいはアクリル系のモノマーとオリゴマーとの混合物を用いることで、ガスバリア性フィルムとしての高い透明性を担保することが可能である。アクリル系のモノマーあるいはオリゴマーのアクリレートの官能基数は特に制限されるものではないが、3官能以上のアクリレートを多く使用した場合、架橋度が向上し強固なアンダーコート層となるが、硬化収縮による内部応力が過度に働きプラスチック基材との密着性が低下する可能性がある。そのため、3官能以上のアクリレートは、組成物中の全固形分量を基準として10質量%程度の配合にすることが望ましい。
プラスチックフィルム基材1上には、その製造工程あるいは保管中に生じた異物が存在する。数十μm程度の大きな異物は、洗浄することで容易に除去できるが、数μm以下の小さな異物は完全な除去が難しい。そこで、アンダーコート層2は、プラスチックフィルム基材1上の異物を十分に被覆して平坦化するため、0.5μm以上の膜厚が必要である。また、アンダーコート層2の膜厚が10μmを超えるとアンダーコート層2の硬化が困難になる他、硬化収縮による内部応力によりプラスチックフィルム基材1との密着性が低下する恐れがある。そのため、アンダーコート層2の厚みが0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。
また、プラスチックフィルム基材1と原子層堆積膜3とでは線膨張係数差が大きい。そのため、特にガスバリア性フィルムを有機ELなどのデバイスに適用する場合には、デバイス作製工程中の熱によりプラスチックフィルム基材1が熱膨張することで、原子層堆積膜3にクラックが発生しガスバリア性が低下する恐れがある。例えばフレキシブル電子デバイス向けに使用されるポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートの線膨張係数は15〜50ppm/℃程度であるが、原子層堆積膜3を構成する材料の線膨張係数は1〜7ppm/℃程度の値をとる。また、プラスチックフィルム基材1の膜厚に対し原子層堆積膜3の膜厚はおよそ1/2500〜1/20000という薄膜であるため、プラスチックフィルム基材1の熱による変形の影響が非常に大きい。
そこで、アンダーコート層2の線膨張係数が、プラスチックフィルム基材1の線膨張係数と原子層堆積膜3の線膨張係数との間の値を取ると、プラスチックフィルム基材1と原子層堆積膜3との線膨張係数差が緩和されるため、原子層堆積膜3のクラックの発生を抑制することができる。アンダーコート層2の線膨張係数を調整するためには、アンダーコート層2を形成する材料の架橋度を増減させることや無機フィラーを添加することが有効である。架橋度が高いほど線膨張係数が小さくなる傾向にあり、ガラスやセラミクスなどのフィラーを添加することでも線膨張係数は小さくなる傾向にある。
図2は、本発明に基づく実施形態にかかるガスバリア性フィルムの他の構成を示す断面図である。図2に示すように、プラスチックフィルム基材1の原子層堆積膜を積層しない側の面にもアンダーコート層2と同様の材質からなるコーティング層4を設けることで、よりプラスチックフィルム基材1の熱膨張を抑制することが可能となる。コーティング層4を形成するための組成物の材料は、上述したアンダーコート層2の材料と同様の材料を用いることができるため、その詳細は省略する。このとき、アンダーコート層2の材質とコーティング層4の材質とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
次に、原子層堆積膜3は、AlO、TiO、SiO、ZnO、SnOなどの無機酸化膜、その他Al、Ti、Si、Zn、Snなどの無機窒化膜、無機酸窒化膜、あるいはこれらの元素を混合させた混合膜を原子層堆積(ALD)法によりアンダーコート層2上に成膜することにより形成される。堆積される材料(目的の堆積材料)は、用途、目的に応じて適宜選択される。
原子層堆積膜3の膜厚は、2nm以上500nm以下が好ましい。とくに有機ELディスプレイ分野、有機EL照明分野、有機太陽電池分野などの高いガスバリア性が求められる場合は、原子層堆積膜3の膜厚は、10nm以上であることが好ましい。
本実施態様における原子層堆積法による原子層を堆積する工程は、第一前駆体をアンダーコート層2表面に吸着させる工程、余剰の第一前駆体をパージする工程、第一前駆体を第二前駆体に暴露させることによって第一前駆体と第二前駆体とを反応させる工程、及び余剰の第二前駆体をパージする工程からなる原子層堆積工程を1サイクルとし、所望の膜厚になるまでこのサイクルを複数回繰り返すことにより行われる。
ここで、原子層堆積膜として目的の堆積材料を酸化アルミニウム(AlO)とする場合、例えば、第一前駆体としてトリメチルアルミニウム(TMA;Tri−Methyl Aluminum)が使用される。なお、使用される第一前駆体を構成する材料は、目的の堆積材料にあわせて適宜選択される。例えば、酸化チタン(TiO)には、第一前駆体として四塩化チタン(TiCl)を、酸化ケイ素(SiO)には、第一前駆体としてトリスジメチルアミノシラン(3DMAS)やビスジエチルアミノシラン(BDEAS)等を用いることができる。
また、第二前駆体を構成する材料は、目的の堆積材料にあわせて適宜選択される。例えば、目的の堆積材料が酸化アルミニウムの場合は、水、オゾン、原子状酸素が使用される。
また、パージガスとして不活性ガスが導入され、窒素、ヘリウム、アルゴン等から適宜選択されたガスが用いられる。
本発明におけるガスバリア性フィルムについて、以下に具体的な実施例および比較例を挙げて説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
プラスチックフィルム基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(線膨張係数20ppm/℃)を用いた。この基材上に、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートと、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートと、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートとの混合物の塗液を塗工し、この塗液の塗膜に紫外線を照射し硬化させ、厚さ0.5μmのアンダーコート層を形成した。このときアンダーコート層の線膨張係数は10ppm/℃であった。次に、アンダーコート層上に原子層堆積法を用いてTiO膜を20nm(線膨張係数3ppm/℃)の膜厚で成膜して、実施例1のガスバリア性フィルムを作製した。
<実施例2>
実施例1と同様のプラスチックフィルム基材上に、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーと、フェニルフェノールアクリレートとの混合物の塗液を塗工し、この塗液の塗膜に紫外線を照射し硬化させ、厚さ0.5μmのアンダーコート層(線膨張係数15ppm/℃)を形成した。次に、アンダーコート層上に実施例1と同様の方法でTiO膜を20nmの膜厚で成膜して、実施例2のガスバリア性フィルムを作製した。
<実施例3>
アンダーコート層の厚さを5μm(線膨張係数12ppm/℃)とし、それ以外は実施例1と同様にして、実施例3のガスバリア性フィルムを作製した。
<実施例4>
アンダーコート層の厚さを10μm(線膨張係数15ppm/℃)とし、それ以外は実施例1と同様にして実施例4のガスバリア性フィルムを作製した。
<比較例1>
アンダーコート層の厚さを0.2μm(線膨張係数8ppm/℃)とし、それ以外は実施例1と同様にして比較例1のガスバリア性フィルムを作製した。
<比較例2>
アンダーコート層の厚さを12μm(線膨張係数20ppm/℃)とし、それ以外は実施例1と同様にして比較例2のガスバリア性フィルムを作製した。
<評価>
(1)実施例1〜4及び比較例1、2に係るガスバリア性フィルムを130℃に加熱してから室温に冷却するサイクルを3回繰り返した後の水蒸気透過率を、MOCON社製AQUATRAN(測定下限5×10−4g/m・day)を用いて測定した。
(2)JIS C5016に準拠し、屈曲試験(屈曲半径10mm、屈曲回数500回)を実施した後の水蒸気透過率を測定した。
下記の表1に、評価(1)及び評価(2)の結果を示す。
Figure 2017202623
実施例1〜4のガスバリア性フィルムは、アンダーコート層の厚みが0.5μm以上10μm以下であり、プラスチックフィルム基材の線膨張係数α1、アンダーコート層の線膨張係数α2、及び原子層堆積膜の線膨張係数α3が、α1>α2>α3の関係を満たすことで、加熱試験後及び屈曲試験後であっても高いガスバリア性を確保していることが確認できた。
一方、比較例1のガスバリア性フィルムは、アンダーコート層の厚さが薄いため、試験2の後では高いガスバリア性を確保できなかったことが確認できた。また、比較例2のガスバリア性フィルムは、アンダーコート層の厚さが厚く、かつ、プラスチックフィルム基材と原子層堆積膜との線膨張係数差がアンダーコート層により緩和されていないため、試験1及び試験2の後では高いガスバリア性を確保できなかったことが確認できた。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、有機ELなどのデバイスに好適に用いられる。
1 プラスチックフィルム基材層
2 アンダーコート層
3 原子層堆積膜
4 コーティング層
10 ガスバリア性フィルム

Claims (2)

  1. プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、アンダーコート層と、原子層堆積膜とを順次積層してなるガスバリア性フィルムにおいて、
    前記アンダーコート層がアクリル系樹脂からなり、
    前記アンダーコート層の厚みが0.5μm以上10μm以下であり、
    前記プラスチックフィルム基材の線膨張係数α1、前記アンダーコート層の線膨張係数α2、及び前記原子層堆積膜の線膨張係数α3が、α1>α2>α3の関係を満たすことを特徴とする、ガスバリア性フィルム。
  2. 前記プラスチック基材の前記原子層堆積膜を積層しない側の表面に、前記アンダーコート層の材質と同じ材質からなるコーティング層を更に積層してなることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
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