JP2017200894A - チキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物 - Google Patents

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美和 刀根
幸 元山
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幸 元山
はるみ 木藤
Harumi Kito
はるみ 木藤
睦子 階堂
Mutsuko Kaido
睦子 階堂
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Abstract

【課題】保湿力が高く、かつ浸透感と安定性に優れたチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物の提供をする。【解決手段】常温で液状もしくはペースト状のエステル油と、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルを構成単位として含有する高分子乳化剤と、N−アシルアミノ酸とその塩の両方、またはいずれか一方と、非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、保湿力が高く、かつ浸透感と安定性に優れたチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物の提供に関する。
ヒトの身体を覆う皮膚は、人体最大であり、かつ外界と直接触れる臓器であり、生命を維持するために必要不可欠なバリア機能や保湿機能を持つ。日光曝露、温度、湿度といった過酷な外部環境から保護し、健やかな皮膚を保つため、従来種々の皮膚外用剤が検討されてきた。
保湿効果を有する皮膚外用剤としては一般的に乳液、美容液、クリーム等が挙げられる。従来、これらの皮膚外用剤には保湿効果をもたらす目的として、多価アルコールや高級アルコール、固形及び半固形油分を用いることが提示されている(特許文献1、2)。さらには、シリコーン油を用いることで良好な使用感触を付与することや、水溶性高分子を用いた安定性と使用感触の良い製剤の検討が提示されている(特許文献3、4)。
しかしながら、多価アルコールや高級アルコール、固形及び半固形油分は、配合量を増やすことで保湿効果が高く、厚みのある使用感触をもたらし、製剤の安定性を高める一方で、皮膚に塗布した時にべたつきを感じる等、滑らかな使用感触を欠く要因でもあった。
ここで、塗り拡がりや使用感触の向上を目的として、製剤にチキソトロピー性を付与することは有用な物性として一般的に知られる方法である。しかしながら、高温での粘度低下等安定性を保持することが困難であった。
以上のことから、従来提供されてきた製剤は、保湿力が高く、かつ浸透感と安定性に優れたチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物として十分に満足するものとは言えなかった。
特開2001−122756号公報 特開平6−157240号公報 特開平5−155749号公報 特開平8−268869号公報
本発明は、保湿力が高く、かつ浸透感と安定性に優れたチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物の提供を目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意研究を行ったところ、常温で液状もしくはペースト状のエステル油と、高分子乳化剤と、N−アシルアミノ酸とその塩の両方、またはいずれか一方と、非イオン性界面活性剤を含有する水中油型乳化組成物において、保湿力が高く、かつ浸透感と安定性に優れたチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、下記に掲げる水中油型乳化組成物が提供される。
(1)下記成分(A)〜(D)を含有することを特徴とした、チキソトロピー性を有す る水中油型乳化組成物。
(A) 常温で液状もしくはペースト状の油剤であり、かつ、1〜6価のカルボ キシル基を有する炭素数2〜36のカルボン酸と、1〜6価の水酸基を 有する炭素数1〜36のアルコールとからなることを特徴とするエステ ル油:2〜8質量%
(B) (メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルを構成単位として 含有する高分子乳化剤:0.15〜0.5質量%
(C) N−アシルアミノ酸とその塩の両方、またはいずれか一方:0.05〜 0.5質量%
(D) 非イオン性界面活性剤
(2)(D)非イオン性界面活性剤の少なくとも一つがHLB15以上であることを特 徴とする(1)に記載のチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物。
本発明によれば、保湿力が高く、かつ浸透感と安定性に優れたチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物の提供ができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で用いる(A)常温で液状もしくはペースト状の油剤であり、かつ、1〜6価のカルボキシル基を有する炭素数2〜36のカルボン酸と、1〜6価の水酸基を有する炭素数1〜36のアルコールとからなることを特徴とするエステル油とは、医薬品、医薬部外品又は化粧品等に通常用いられるものが配合でき、このペースト状とは、常温で完全な液体とならずに半固体状であることを特徴とする。
本発明で用いる(A)常温で液状もしくはペースト状の油剤であり、かつ、1〜6価のカルボキシル基を有する炭素数2〜36のカルボン酸と、1〜6価の水酸基を有する炭素数1〜36のアルコールとからなることを特徴とするエステル油として具体的にはジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等を挙げることができ、市販品としてはコスモール525(日清オイリオグループ社)等を用いることができる。
本発明で用いる(B)(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルを構成単位として含有する高分子乳化剤としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品等に通常用いられるものが配合できる。さらに1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いる(B)(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルを構成単位として含有する高分子乳化剤の具体的には、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー等、医薬部外品原料規格2006に収載のアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体と定義されている成分が挙げられる。
本発明で用いる(B)(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルを構成単位として含有する高分子乳化剤の市販品としては、Pemulen(登録商標) TR‐1 Polymeric Emulsifier(Lubrizol Advanced Materials社)、Pemulen(登録商標) TR‐2 Polymeric Emulsifier(Lubrizol Advanced Materials社)、Carbopol(登録商標) ETD 2020 Polymer(Lubrizol Advanced Materials社)、Carbopol(登録商標) Ultrez 20 Polymer(Lubrizol Advanced Materials社)、Carbopol(登録商標) Ultrez 21 Polymer(Lubrizol Advanced Materials社)等を用いることができる。
本発明で用いる(C)N−アシルアミノ酸とその塩の両方またはいずれか一方について、医薬品、医薬部外品又は化粧品等に通常用いられるものが配合できる。
ここで、N−アシルアミノ酸の塩としては、生理学的又は薬学的に許容される塩であればよく、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属をはじめとする無機塩、さらには、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンや、塩基性アミノ酸等の有機塩が例示できるが、安定性や入手の容易性から、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン、アルギニンが好ましい。
本発明で用いる(C)N−アシルアミノ酸とその塩の両方またはいずれか一方の市販品としては、アミソフト(登録商標)HS−11P(味の素社)、アミソフト(登録商標)LS−11(味の素社)等を用いることができる。
本発明で用いる(D)非イオン性界面活性剤としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品等に通常用いられるものが配合できる。非イオン性界面活性剤は1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよいが、少なくとも一つがHLB15以上であることを特徴とする。
本発明で用いる(D)非イオン性界面活性剤の具体例としては、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等を挙げることができ、市販品としてはEMALEX GWIS−160(日本エマルジョン社)、NIKKOL HCO−80(日本サーファクタント工業社)等を用いることができる。
本発明のチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で通常の化粧料に配合される任意成分、すなわち、乳化助剤、油剤、アルコール類、粉体、皮膜形成剤、界面活性剤、樹脂、紫外線吸収剤、保湿剤、美白剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、抽出エキス、香料等を配合することができる。
以下に実施例を挙げてさらに詳細な本発明の説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ、限定を受けないことは言うまでもない。なお、含有量は全て質量%である。
実施例1〜3、比較例1〜5
以下の表1に示す配合割合で各成分を用い、均一に混合することで各チキソトロピー性を有する水中油型乳化美容液を調製した。各美容液の安定性と、塗布後の使用感触を確認した。結果を表1に併記する。
(1)保湿感の評価
専門評価者10名に表1の美容液を実際に使用してもらい、塗布後の保湿感について、下記基準に基づいて以下の3段階評価基準で官能評価し、評点の平均値を求めた。算出した平均値に基づき、下記の判定基準により塗布後の保湿感について評価した。
<3段階評定基準>
評定3:しっとり感が持続する。
評定2:しっとりする。
評定1:乾燥する。
<塗布後の保湿感の評価基準>
◎:専門評価者10名の平均点が2.5点以上。
○:専門評価者10名の平均点が1.5点以上、2.5点未満。
×:専門評価者10名の平均点が1.5点未満。
(2)使用感触の評価
専門評価者10名に表1の美容液を実際に使用してもらい、浸透感について、下記基準に基づいて以下の3段階評価基準で官能評価し、評点の平均値を求めた。算出した平均値に基づき、下記の判定基準により浸透感について評価した。
<3段階評定基準>
評定3:浸透感があり、滑らかな使用感触である。
評定2:浸透感をわずかに感じる。
評定1:浸透感がない。
<浸透感の評価基準>
◎:専門評価者10名の平均点が2.5点以上。
○:専門評価者10名の平均点が1.5点以上、2.5点未満。
×:専門評価者10名の平均点が1.5点未満。
(3)高温安定性の評価
表1の美容液を無色透明な容器に入れ、40℃3ヶ月保存し、分離や変色の状態を目視により評価した。
<高温安定性の評価基準>
◎:分離や変色が全く認められない。
○:分離や変色がわずかに認められる。
×:分離や変色が明らかに認められる。
Figure 2017200894
表1より、本発明のチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物は、保湿力が高く、かつ浸透感と安定性に優れることがわかる。
保湿力が高く、かつ浸透感と安定性に優れたチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物の提供ができる。

Claims (2)

  1. 次の成分(A)と、(B)と、(C)と、(D)を含有することを特徴とし、チキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物。
    (A)常温で液状もしくはペースト状の油剤であり、かつ、1〜6価のカルボキシル基を 有する炭素数2〜36のカルボン酸と、1〜6価の水酸基を有する炭素数1〜36 のアルコールとからなることを特徴とするエステル油:2〜8質量%
    (B)(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルを構成単位として含有する高 分子乳化剤:0.15〜0.5質量%
    (C)N−アシルアミノ酸とその塩の両方、またはいずれか一方:0.05〜0.5質量 %
    (D)非イオン性界面活性剤
  2. (D)非イオン性界面活性剤の少なくとも一つがHLB15以上であることを特徴とする請求項1のチキソトロピー性を有する水中油型乳化組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021125051A1 (ja) * 2019-12-17 2021-06-24 株式会社 資生堂 水中油型乳化化粧料
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