JP2017200381A - 自動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータの制御性が低下するのを抑制する。【解決手段】各相の電圧指令と搬送波電圧との比較手によって第1PWM信号を生成して複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう第1PWM制御と、変調率と電圧位相とパルス数とに基づいて第2PWM信号を生成して複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう第2PWM制御と、を切り替えて実行する。そして、第2PWM制御の実行中に、電圧位相θpの変化量としての電圧位相変化量Δθpがスイッチング角θsの差分としてのパルス幅Δθstmp以上になったときには(180〜S200)、第1PWM制御に切り替える(S230)。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車に関し、詳しくは、モータとインバータとバッテリとを備える自動車に関する。
従来、この種の自動車としては、電動機と、複数のスイッチング素子のスイッチングによって電動機を駆動するインバータ回路を有する電力変換装置と、を備えるものにおいて、電動機の電気1周期のパルス数と、電動機のトルク指令に基づく電圧の変調率および電圧位相と、に基づいて複数のスイッチング素子のパルス信号を生成して複数のスイッチング素子のスイッチングを行なうものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、パルス数と変調率と電圧位相とに基づいて電力変換装置および電動機の電力損失が最小となるようにパルス信号を生成することにより、電力変換装置および電動機を有する駆動システム全体の損失の低減を図っている。
特開2013−162660号公報
しかしながら、上述の自動車における手法では、電圧位相が比較的大きく変化したときには、複数のスイッチング素子のスイッチングパターンを適切に変更できずに、2相同時のスイッチングが発生して電動機の各相に流れる電流が乱れることがある。こうした電流の乱れは、電動機の制御性の低下につながることから、抑制するのが好ましい。
本発明の自動車は、電動機(モータ)の制御性が低下するのを抑制することを主目的とする。
本発明の自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の自動車は、
走行用のモータと、
複数のスイッチング素子のスイッチングによって前記モータを駆動するインバータと、
前記インバータを介して前記モータと電力をやりとりするバッテリと、
前記モータのトルク指令に基づいて前記インバータを制御する制御装置と、
を備える自動車であって、
前記制御装置は、前記トルク指令に基づく各相の電圧指令と搬送波電圧との比較によって前記複数のスイッチング素子の第1PWM信号を生成して前記複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう第1PWM制御と、前記トルク指令に基づく電圧の変調率および電圧位相と前記モータの電気角の所定周期のパルス数とに基づいて前記複数のスイッチング素子の第2PWM信号を生成して前記複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう第2PWM制御と、を切り替えて実行し、
更に、前記制御装置は、前記第2PWM信号を生成する際には、前記変調率および前記パルス数に基づいてスイッチング基準角を設定すると共に前記スイッチング基準角を前記電圧位相を用いて補正してスイッチング角を設定し、前記パルス数に基づいてスイッチングパターンを設定し、前記スイッチング角および前記スイッチングパターンに基づいて前記第2PWM信号を生成し、
更に、前記制御装置は、前記第2PWM制御の実行中に、前記電圧位相の変化量が次回の前記スイッチング基準角と今回の前記スイッチング基準角との差分としてのパルス幅に基づく閾値以上になったときには、前記第1PWM制御に切り替える、
ことを要旨とする。
この本発明の自動車では、第2PWM信号を生成する際には、変調率およびパルス数に基づいてスイッチング基準角を設定すると共にスイッチング基準角を電圧位相を用いて補正してスイッチング角を設定し、パルス数に基づいてスイッチングパターンを設定し、スイッチング角およびスイッチングパターンに基づいて第2PWM信号を生成する。そして、第2PWM制御の実行中に、電圧位相の変化量が次回のスイッチング基準角と今回のスイッチング基準角との差分としてのパルス幅に基づく閾値以上になったときには、第1PWM制御に切り替える。第1PWM制御を実行する場合には、モータの応答性を高くすることができ、第2PWM制御を実行する場合には、モータの鉄損を低減するように第2PWM信号を生成したり電圧や電流の高調波を低減するように第2PWM信号を生成したりすることにより、モータの鉄損を低減したり高調波を低減したりすることができる。また、電圧位相の変化量が閾値以上のときには、スイッチングパターンの軌跡(順序)を順守できないために、2相同時のスイッチングが発生してモータの各相に流れる電流が乱れることがある。本発明の自動車では、電圧位相の変化量が閾値以上になったときには、第1PWM制御を実行することにより、こうした不都合が生じるのを抑制することができる。この結果、モータの制御性が低下するのを抑制することができる。ここで、「スイッチング角」は、モータの各相の相電圧(複数のスイッチング素子のうち対応する相のスイッチング素子のオンオフ)を切り替える角度(電気角)を意味する。「スイッチングパターン」は、複数のスイッチング素子のオンオフの組み合わせを意味する。
こうした本発明の自動車において、前記制御装置は、前記第2PWM信号を生成する際には、前記変調率と、前記パルス数と、前記モータの鉄損を低減するように前記PWM信号を生成するタイプと高調波を低減するように前記PWM信号を生成するタイプとを含む複数のタイプから選択した選択タイプと、に基づいて前記スイッチング基準角を設定し、前記パルス数と前記選択タイプとに基づいて前記スイッチングパターンを設定する、ものとしてもよい。こうすれば、スイッチング基準角やスイッチングパターンをより適切なものとすることができる。
また、本発明の自動車において、前記制御装置は、前記第2PWM信号を生成する際には、前記電圧位相と制限後電圧位相の前回値との差分と、前記パルス幅よりも小さい第2閾値と、のうちの小さい側を前記制限後電圧位相の前回値に加えて該制限後電圧位相を設定し、前記制限後電圧位相が前記電圧位相よりも小さいときには、前記第1PWM制御に切り替える、ものとしてもよい。この場合、制限後電圧位相が電圧位相と等しいときは、電圧位相の変化量(電圧位相と制限後電圧位相の前回値との差分)が第2閾値以下のときであり、制限後電圧位相が電圧位相よりも小さいときは、電圧位相の変化量が第2閾値よりも大きいときである。したがって、制限後電圧位相が電圧位相よりも小さいときに第1PWM制御に切り替えることにより、モータの制御性が低下するのを抑制することができる。
本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。 第2PWM制御の許否を判定するために電子制御ユニット50によって実行される許否判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 パルスパターンPPおよび変調率Rmとスイッチング番号1〜Nのスイッチング基準角θstmpとの関係の一例を示す説明図である。 パルスパターンPPとスイッチング番号1〜NのスイッチングパターンVとの関係の一例を示す説明図である。 電圧位相θpが値0のときのスイッチング番号nとスイッチング角θsとスイッチングパターンVとスイッチングパターンVにおけるトランジスタT11〜T13のオンオフとの関係の一例を示す説明図である。 第2PWM制御の実行中に電圧位相θpが進角側に比較的大きく変化したときの様子の一例を示す説明図である。 変形例の許否判定ルーチンの一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、モータ32と、インバータ34と、バッテリ36と、昇圧コンバータ40と、電子制御ユニット50と、を備える。
モータ32は、同期発電電動機として構成されており、永久磁石が埋め込まれた回転子と、三相コイルが巻回された固定子と、を備える。このモータ32の回転子は、駆動輪22a,22bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸26に接続されている。
インバータ34は、モータ32に接続されると共に高電圧系電力ライン42を介して昇圧コンバータ40に接続されている。このインバータ34は、6つのトランジスタT11〜T16と、6つのダイオードD11〜D16と、を有する。トランジスタT11〜T16は、それぞれ、高電圧系電力ライン42の正極母線と負極母線とに対して、ソース側とシンク側になるように、2個ずつペアで配置されている。6つのダイオードD11〜D16は、それぞれ、トランジスタT11〜T16に逆方向に並列接続されている。トランジスタT11〜T16の対となるトランジスタ同士の接続点の各々には、モータ32の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、インバータ34に電圧が作用しているときに、電子制御ユニット50によって、対となるトランジスタT11〜T16のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータ32が回転駆動される。以下、トランジスタT11〜T13を「上アーム」,トランジスタT14〜T16を「下アーム」ということがある。高電圧系電力ライン42の正極母線と負極母線とには、平滑用のコンデンサ46が取り付けられている。
バッテリ36は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、低電圧系電力ライン44を介して昇圧コンバータ40に接続されている。低電圧系電力ライン44の正極母線と負極母線とには、平滑用のコンデンサ48が取り付けられている。
昇圧コンバータ40は、高電圧系電力ライン42と低電圧系電力ライン44とに接続されている。この昇圧コンバータ40は、2つのトランジスタT31,T32と、2つのダイオードD31,D32と、リアクトルLと、を有する。トランジスタT31は、高電圧系電力ライン42の正極母線に接続されている。トランジスタT32は、トランジスタT31と、高電圧系電力ライン42および低電圧系電力ライン44の負極母線と、に接続されている。2つのダイオードD31,D32は、それぞれ、トランジスタT31,T32に逆方向に並列接続されている。リアクトルLは、トランジスタT31,T32同士の接続点と、低電圧系電力ライン44の正極母線と、に接続されている。昇圧コンバータ40は、電子制御ユニット50によって、トランジスタT31,T32のオン時間の割合が調節されることにより、低電圧系電力ライン44の電力を電圧の昇圧を伴って高電圧系電力ライン42に供給したり、高電圧系電力ライン42の電力を電圧の降圧を伴って低電圧系電力ライン44に供給したりする。
電子制御ユニット50は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU52の他に、処理プログラムを記憶するROM54やデータを一時的に記憶するRAM56,入出力ポートを備える。
電子制御ユニット50には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット50に入力される信号としては、例えば、モータ32の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)32aからの回転位置θm,モータ32の各相に流れる電流を検出する電流センサ32u,32vからの相電流Iu,Ivを挙げることができる。また、バッテリ36の端子間に取り付けられた電圧センサ36aからの電圧VB,バッテリ36の出力端子に取り付けられた電流センサ36bからの電流IBも挙げることができる。さらに、コンデンサ46の端子間に取り付けられた電圧センサ46aからのコンデンサ46(高電圧系電力ライン42)の電圧VH,コンデンサ48の端子間に取り付けられた電圧センサ48aからのコンデンサ48(低電圧系電力ライン44)の電圧VLも挙げることができる。加えて、イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号,シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSP,アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBPも挙げることができる。また、車速センサ68からの車速VSも挙げることができる。
電子制御ユニット50からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット50から出力される信号としては、例えば、インバータ34のトランジスタT11〜T16へのスイッチング制御信号,昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号を挙げることができる。
電子制御ユニット50は、回転位置検出センサ32aからのモータ32の回転子の回転位置θmに基づいてモータ32の電気角θeや回転数Nmを演算している。また、電子制御ユニット50は、電流センサ36bからのバッテリ36の電流IBの積算値に基づいてバッテリ36の蓄電割合SOCを演算している。ここで、蓄電割合SOCは、バッテリ36の全容量に対するバッテリ36から放電可能な電力の容量の割合である。
こうして構成された実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット50は、以下の走行制御を行なう。走行制御では、アクセル開度Accと車速VSとに基づいて駆動軸26に要求される要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*をモータ32のトルク指令Tm*に設定し、モータ32がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ34のトランジスタT11〜T16のスイッチング制御を行なう。また、モータ32をトルク指令Tm*で駆動できるように高電圧系電力ライン42の目標電圧VH*を設定し、高電圧系電力ライン42の電圧VHが目標電圧VH*となるように昇圧コンバータ40のトランジスタT31,T32のスイッチング制御を行なう。
ここで、インバータ34の制御について説明する。実施例では、インバータ34の制御として、正弦波PWM(パルス幅変調)制御,過変調PWM制御,矩形波制御の何れかを実行する。正弦波PWM制御は、擬似的な三相交流電圧がモータ32に印加(供給)されるようにインバータ34を制御する制御であり、過変調制御は、過変調電圧がモータ32に印加されるようにインバータ34を制御する制御であり、矩形波制御は、矩形波電圧がモータ32に印加されるようにインバータ34を制御する制御である。正弦波PWM制御を実行する場合、正弦波電圧に基づくパルス幅変調電圧を擬似的な三相交流電圧とするときには、変調率Rmは値0〜略0.61となり、正弦波電圧に3n次(例えば3次)高調波電圧を重畳して得られる重畳後電圧に基づくパルス幅変調電圧を擬似的な三相交流電圧とするときには、変調率Rmは値0〜略0.71となる。変調率Rmは、インバータ34の入力電圧(高電圧系電力ライン42の電圧VH)に対する出力電圧(モータ32の印加電圧)の実効値の割合である。実施例では、正弦波PWM制御を実行できる変調率Rmの領域を大きくするために、重畳後電圧に基づくパルス幅変調電圧を擬似的な三相交流電圧とするものとした。また、矩形波制御を実行する場合、変調率Rmは略0.78となる。実施例では、これらを踏まえて、変調率Rmに基づいて、正弦波PWM制御,過変調PWM制御,矩形波制御の何れかを実行するものとした。以下、正弦波PWM制御について説明する。なお、過変調制御や矩形波制御については本発明の中核をなさないことから、詳細な説明は省略する。
正弦波PWM制御として、実施例では、第1PWM制御または第2PWM制御を実行する。第1PWM制御は、モータ32の各相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*と搬送波電圧(三角波電圧)との比較によってトランジスタT11〜T16の第1PWM信号を生成してトランジスタT11〜T16のスイッチングを行なう制御である。第2PWM制御は、電圧の変調率Rmおよび電圧位相θpと所定周期(例えば、モータ32の電気角θeの半周期や1周期など)のパルス数Npとに基づいてトランジスタT11〜T16の第2PWM信号を生成してトランジスタT11〜T16のスイッチングを行なう制御である。
第1PWM制御を実行する場合、第2PWM制御を実行する場合に比して、PWM信号の生成周期を短くすることができるから、モータ32の応答性(目標動作点が変化したときの動作点の追従性)を高くすることができる。また、第2PWM制御を実行する場合、モータ32の鉄損を低減する(例えば最小にする)ように第2PWM信号を生成したり電圧や電流の高調波(特に、モータ32の回転6次や回転12次などの低次高調波)を低減する(例えば最小にする)ように第2PWM信号を生成したりすることにより、第1PWM制御を実行する場合に比して、モータ32の鉄損を低減したり高調波を低減したりすることができる。
次に、こうして構成された実施例の電気自動車20の動作、特に、第2PWM制御の実行中に第2PWM制御の許否を判定する際の動作について説明する。図2は、第2PWM制御の許否を判定するために電子制御ユニット50によって実行される許否判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、第2PWM制御の実行中に繰り返し実行される。
許否判定ルーチンが実行されると、電子制御ユニット50のCPU52は、まず、モータ32の相電流Iu,Ivや電気角θe,回転数Nm,トルク指令Tm*などのデータを入力する(ステップS100)。ここで、モータ32の相電流Iu,Ivは、電流センサ32u,32vによって検出された値を入力するものとした。モータ32の電気角θeや回転数Nmは、回転位置検出センサ32aによって検出されたモータ32の回転子の回転位置θmに基づいて演算された値を入力するものとした。モータ32のトルク指令Tm*は、上述の駆動制御によって設定された値を入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、モータ32のトルク指令Tm*に基づいてd軸,q軸の電流指令Id*,Iq*を設定する(ステップS110)。続いて、モータ32の各相(U相,V相,W相)に流れる電流の総和が値0であるとして、モータ32の電気角θeを用いて、U相,V相の相電流Iu,Ivをd軸,q軸の電流Id,Iqに座標変換(3相−2相変換)する(ステップS112)。そして、d軸,q軸の電流指令Id*,Iq*とd軸,q軸の電流Id,Iqとの差分ΔId,ΔIqに基づくフィードバック項と、d軸,q軸の各軸相互に干渉する項をキャンセルするためのフィードフォワード項と、の和によってd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定する(ステップS114)。
こうしてd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定すると、設定したd軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を用いて電圧の変調率Rmおよび電圧位相θpを設定する(ステップS116)。ここで、変調率Rmは、d軸の電圧指令Vd*の二乗とq軸の電圧指令Vq*の二乗との和の平方根として計算される電圧指令絶対値Vdqを高電圧系電力ライン42の電圧VHで除して得ることができる。電圧位相θpは、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*を成分とするベクトルのq軸に対する角度として得ることができる。
次に、モータ32の回転数Nmおよびトルク指令Tm*からなる目標動作点と変調率Rmとに基づいてパルスパターンPPを設定する(ステップS120)。ここで、パルスパターンPPは、第2PWM制御におけるパルスタイプPTとパルス数Npとの組み合わせである。実施例では、パルスタイプPTとして、モータ32の鉄損を低減する(例えば最小にする)ように第2PWM信号を生成するタイプ(第2PWMa)と、電圧や電流の高調波(特に、低次高調波)を低減する(例えば最小にする)ように第2PWM信号を生成するタイプ(第2PWMb)と、を用いるものとした。パルスパターンPPは、実施例では、モータ32の目標動作点および変調率RmとパルスパターンPPとの関係を予め定めてマップとしてROM54に記憶しておき、モータ32の目標動作点および変調率Rmが与えられると、このマップに適用して、パルスパターンPPを設定するものとした。実施例では、発明者が行なった実験結果や解析結果に基づいて、以下のように、パルスパターンPPのパルスタイプPTおよびパルス数Npを設定するものとした。パルスタイプPTについては、モータ32をより良好に駆動できるように(鉄損や高調波の低減をより適切に図るために)、モータ32のトルク指令Tm*の絶対値や変調率Rmが比較的小さい領域ではタイプ(第2PWMa)とし、トルク指令Tm*の絶対値や変調率Rmが比較的大きい領域ではタイプ(第2PWMb)とするものとした。パルス数Npについては、モータ32およびインバータ34のトータル損失の低減を図るために、変調率Rmが大きいときには小さいときに比して少なくするものとした。なお、パルス数Npとしては、例えば、値5〜値15程度を用いるものとした。
続いて、モータ32の電気角θeに基づいてスイッチング番号nsを作成(設定)する(ステップS130)。ここで、スイッチング番号nsは、後述のスイッチング基準角θstmpやスイッチング角θs,スイッチングパターンVの設定に用いる番号であり、値1〜値Nの範囲内の値で作成される。値Nは、モータ32の電気角θeの1周期におけるスイッチング基準角θstmpやスイッチング角θs,スイッチングパターンVの個数であり、パルスパターンPPのパルス数Npと値2(各パルスの立ち上がりおよび立ち下がり)と値3(U相,V相,W相)との積となる。
そして、パルスパターンPPと変調率Rmとスイッチング番号nsとに基づいてスイッチング番号nsのスイッチング基準角θstmpを作成(設定)する(ステップS140)。ここで、スイッチング基準角θstmpは、スイッチング角θsの基準角度であり、スイッチング角θsは、モータ32の各相の相電圧(トランジスタT11〜T16のうち対応する相のトランジスタのオンオフ、例えばU相についてはトランジスタT11,T14のオンオフ)を切り替える角度(電気角θe)である。スイッチング基準角θstmpは、実施例では、パルスパターンPPおよび変調率Rmとスイッチング番号1〜Nのスイッチング基準角θstmpとの関係を予め定めてマップとしてROM54に記憶しておき、パルスパターンPPと変調率Rmとスイッチング番号nsとが与えられると、このマップに適用して、スイッチング基準角θstmpを導出して設定するものとした。パルスパターンPPおよび変調率Rmとスイッチング番号1〜Nのスイッチング基準角θstmpとの関係の一例を図3に示す。図3では、スイッチング基準角θstmpの各値を値θ[PP,Rm,n](n:スイッチング番号1〜N)として図示した。図3において、パルスパターンPPがパターンP1で変調率Rmが値R1でスイッチング番号nsが値5のときには、値θ[P1,R1,5]をスイッチング基準角θstmpに設定する。
こうしてスイッチング基準角θstmpを設定すると、設定したスイッチング基準角θstmpと電圧位相θpとを用いて式(1)によってスイッチング角θsを計算する(ステップS150)。
θs=θstmp-θp (1)
続いて、パルスパターンPPとスイッチング番号nsとに基づいてスイッチング番号nsのスイッチングパターンVを設定する(ステップS160)。ここで、スイッチングパターンVは、トランジスタT11〜T13のオンオフの組み合わせを示すパターンであり、パターンV0〜V7を用いるものとした。このスイッチングパターンVは、スイッチング基準角θstmpやスイッチング角θs(=θstmp−θp)におけるトランジスタT11〜T13の組み合わせを意味する。なお、トランジスタT11〜T16のオンオフの組み合わせでなくトランジスタT11〜T13のオンオフの組み合わせを用いるのは、通常、トランジスタT11〜T16のうち対応する上アームと下アームとを同時にオンとすることはなく、トランジスタT14〜T16のオンオフの組み合わせを省略しても差し支えないためである。パターンV0〜V7は以下の通りである。
パターンV0:トランジスタT11〜T13の全てがオフ
パターンV1:トランジスタT11,T12がオフでトランジスタT13がオン
パターンV2:トランジスタT11,T13がオフでトランジスタT12がオン
パターンV3:トランジスタT11がオフでトランジスタT12,T13がオン
パターンV4:トランジスタT11がオンでトランジスタT12,T13がオフ
パターンV5:トランジスタT11,T13がオンでトランジスタT12がオフ
パターンV6:トランジスタT11,T12がオンでトランジスタT13がオフ
パターンV7:トランジスタT11〜T13が全てオン
スイッチングパターンVは、実施例では、パルスパターンPPとスイッチング番号1〜NのスイッチングパターンVとの関係を予め定めてマップとしてROM54に記憶しておき、パルスパターンPPとスイッチング番号nsとが与えられると、このマップに適用して、スイッチング番号nsのスイッチングパターンVを導出して設定するものとした。パルスパターンPPとスイッチング番号1〜NのスイッチングパターンVとの関係の一例を図4に示す。図4では、スイッチング角θsの各値を値θ[PP,n](n:1〜N)として図示した。図4において、パルスパターンPPがパターンP1でスイッチング番号nsが値5のときには、スイッチングパターンV[P1,5]をスイッチングパターンVに設定する。
こうしてスイッチング角θsおよびスイッチングパターンVを設定すると、設定したスイッチング角θsおよびスイッチングパターンVに基づいてトランジスタT11〜T16の第2PWM信号を生成する(ステップS170)。
次に、今回および前回の本ルーチンの実行時に設定したスイッチング基準角θstmp,(前回θstmp)を用いて式(2)によってパルス幅Δθstmpを計算する(ステップS180)。ここで、今回および前回の本ルーチンの実行時に設定したスイッチング基準角θstmp,(前回θstmp)は、それぞれ、本発明における次回および今回のスイッチング基準角を意味する。続いて、今回および前回の本ルーチンの実行時に設定した電圧位相θp,(前回θp)を用いて式(3)によって電圧位相変化量Δθpを計算する(ステップS190)。そして、電圧位相変化量Δθpとパルス幅Δθstmpとを比較する(ステップS200)。この処理は、スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できるか否かを判定する処理である。
Δθstmp=θstmp-前回θstmp (2)
Δθp=θp-前回θp (3)
図5は、電圧位相θpが値0のとき(スイッチング角θsがスイッチング基準角θstmpと等しいとき)のスイッチング番号nとスイッチング角θsとスイッチングパターンVとスイッチングパターンVにおけるトランジスタT11〜T13のオンオフとの関係の一例を示す説明図である。図5では、スイッチング番号nのスイッチング角θsを値θ[n]として図示した。
図5の場合、電気角θeがスイッチング角θ[1],θ[2],θ[3],・・・のときにそれぞれスイッチングパターンVがパターンV2,V0,V2,・・・となるように第2PWM制御を実行する。このようにして、スイッチング番号nやスイッチング角θs,スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守している。なお、電圧位相θpが値0でなくても略一定のときや進角側にそれほど大きく変化していないときには、同様に考えることができる。
図6は、第2PWM制御の実行中に電圧位相θpが進角側に比較的大きく変化したときの様子の一例を示す説明図である。この図6では、スイッチング番号nが値1,値2については電圧位相θpが値θp1でスイッチング角θsを設定し、スイッチング番号nが値3,値4については電圧位相θpが値θp1よりも進角側に大きい値θp2で設定したときの様子を示す。また、図6では、図5と同様に、スイッチング番号nのスイッチング角θsを値θ[n]として図示した。
図示するように、スイッチング番号nが値2のスイッチング角θsやスイッチングパターンVを設定した後に、電圧位相変化量Δθpがパルス幅Δθstmpよりも大きくなると、スイッチング番号nが値2の次に値4となり、スイッチング番号nが値3のスイッチングパターンVを実現できないことになる。即ち、スイッチングパターンVの軌跡を順守できないことになる。上述の図5において、スイッチング番号nが値4のスイッチング角θsやスイッチングパターンVを設定した後に電圧位相変化量Δθpがパルス幅Δθstmpよりも大きくなると、スイッチング番号nが値4の次に値6となり、スイッチング番号nが値5のスイッチングパターンVを実現できないことになる。この場合、スイッチング番号nが値6になったときに、スイッチングパターンVがパターンV3からパターンV0となり、V相およびW相の2相同時のスイッチング(トランジスタT12,T15のスイッチングおよびトランジスタT13,T16のスイッチング)が発生し、スイッチングスピードのバラツキなどによって意図しないスイッチングパターンVの状態が生じ、各相の電流が乱れる懸念がある。
ここまでは、電圧位相変化量Δθpがパルス幅Δθstmpよりも大きくなったときについて説明した。続いて、電圧位相変化量Δθpとパルス幅Δθstmpとが等しくなったときについて説明する。図6で、仮に、スイッチング番号nが値2のスイッチング角θsやスイッチングパターンVを設定した後に電圧位相変化量Δθpとパルス幅Δθstmpとが等しくなったときを考える。このときには、電圧位相θpが値θp1で設定したスイッチング番号nが値2のスイッチング角θ[2]と電圧位相θpが値θp2で設定したスイッチング番号nが値3のスイッチング角θ[3]とが一致する。このため、前者を選択すれば、後者のスイッチングパターンVを実現できないことになり、後者を選択すれば、前者のスイッチングパターンVを実現できないことになる。このため、電圧位相変化量Δθpがパルス幅Δθstmpよりも大きくなったときと同様の課題が生じると考えられる。
これらに対して、スイッチングパターンVの軌跡を順守するために、電圧位相変化量Δθpがパルス幅Δθstmp未満となるように電圧位相θpを補正する(再設定する)ことも考えられるが、この場合、d軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*とトランジスタT11〜T16のスイッチングによるd軸,q軸の電圧Vd,Vqとの乖離が比較的大きくなることがあり得る。
実施例では、上述の内容を踏まえて、ステップS200の処理で、電圧位相変化量Δθpとパルス幅Δθstmpとの比較によって、スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できるか否かを判定するものとした。
ステップS200で電圧位相変化量Δθpがパルス幅Δθstmp未満のときには、スイッチングパターンVの順序を順守できると判断し、第2PWM制御を許可として(ステップS210)、本ルーチンを終了する。この場合、第2PWM信号を用いてトランジスタT11〜T16のスイッチングを行なう。
ステップS200で電圧位相変化量Δθpがパルス幅Δθstmp以上のときには、スイッチングパターンVの順序を順守できないと判断し、第2PWM制御を不許可とし(ステップS220)、第2PWM制御から第1PWM制御に切り替えて(ステップS230)、本ルーチンを終了する。電圧位相変化量Δθpがパルス幅Δθstmp以上のときには、上述したように、スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できないために、2相同時のスイッチングが発生してモータ32の各相に流れる電流が乱れることがある。実施例では、第1PWM制御の実行に切り替えることにより、こうした不都合が生じるのを抑制することができる。この結果、モータ32の制御性が低下するのを抑制することができる。
以上説明した実施例の電気自動車20では、第2PWM制御の実行中に、電圧位相変化量Δθp(=θp−前回θp)がパルス幅Δθstmp(=θstmp−前回θstmp)以上になったときには、第1PWM制御に切り替える。これにより、第2PWM制御を継続することによる不都合(スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できないことによる不都合)が生じるのを抑制することができる。この結果、モータ32の制御性が低下するのを抑制することができる。
実施例の電気自動車20では、第2PWM制御の実行中に、電圧位相変化量Δθp(=θp−前回θp)とパルス幅Δθstmp(=θstmp−前回θstmp)とを比較することによって、スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できるか否かを判定するものとした。しかし、第2PWM制御の実行中に、電圧位相変化量Δθpとパルス幅Δθstmpよりもマージンαだけ小さい値(Δθstmp−α)とを比較することによって、スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できるか否かを判定するものとしてもよい。ここで、マージンαとしては、電子制御ユニット50の処理能力やトランジスタT11〜T16の制御精度(スイッチングスピードのバラツキ)などを考慮して定めることができる。こうすれば、スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できるか否かをより適切に判定することができる。
実施例の電気自動車20では、電子制御ユニット50は、図2の許否判定ルーチンを実行するものとした。しかし、電子制御ユニット50は、図7の許否判定ルーチンを実行するものとしてもよい。図7の許否判定ルーチンは、図2の許否判定ルーチンのステップS150,S180〜S200の処理に代えてステップS300〜S350の処理を実行する点を除いて、図2の許否判定ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7の許否判定ルーチンでは、電子制御ユニット50は、変調率Rmおよび電圧位相θpを設定し(ステップS116)、パルスパターンPPを設定し(ステップS120)、スイッチング番号nsを設定し(ステップS130)、スイッチング基準角θstmpを設定すると(ステップS140)、図2の許否判定ルーチンのステップS180の処理と同様に、上述の式(2)により、パルス幅Δθstmpを計算する(ステップS300)。続いて、図2の許否判定ルーチンのステップS190の処理で用いた前回の電圧位相(前回θp)に代えて前回の図7の許否判定ルーチンの実行時に設定した後述の制限後電圧位相(前回θpad)を用いて、即ち、式(3)の「前回θp」を「前回θpad」に置き換えた式(4)により、電圧位相変化量Δθpを計算する(ステップS310)。
Δθp=θp-前回θpad (4)
こうしてパルス幅Δθstmpおよび電圧位相変化量Δθpを計算すると、式(5)に示すように、電圧位相変化量Δθpとパルス幅Δθstmpからマージンβを減じた値(Δθstmp−β)とのうちの小さい側を電圧位相θpの変化量の制限値(上限値)としての変化量制限値Δθplimに設定する(ステップS320)。続いて、前回の本ルーチンの実行時に設定した制限後電圧位相(前回θpad)と変化量制限値Δθplimとを用いて式(6)によって制限後電圧位相θpadを計算する(ステップS330)。そして、図2の許否判定ルーチンのステップS150で用いた電圧位相θpに代えて制限後電圧位相θpadを用いて、即ち、式(1)の「θp」を「θpad」に置き換えた式(7)により、スイッチング角θsを計算する(ステップS340)。そして、スイッチングパターンVを設定し(ステップS160)、第2PWM信号を生成する(ステップS170)。
ここで、式(4)〜式(6)から分かるように、電圧位相変化量Δθpが値(Δθstmp−β)以下のときには、制限後電圧位相θpadと電圧位相θpとは等しくなり、電圧位相変化量Δθpが値(Δθstmp−β)よりも大きいときには、制限後電圧位相θpadは、電圧位相θpよりも小さくなる。式(5)の制限により、図6を用いて説明した課題(スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できない課題)が生じるのを抑制することができる。マージンβを用いたのは、上述したように、電圧位相変化量Δθpとパルス幅Δθstmpとが等しいときも、スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できない課題が生じるためである。
Δθplim=min(Δθp,Δθstmp-β) (5)
θpad=前回θpad+Δθplim (6)
θs=θstmp-θpad (7)
次に、制限後電圧位相θpadと電圧位相θpとを比較する(ステップS350)。この処理は、図2の許否判定ルーチンのステップS200の処理と同様に、スイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できるか否かを判定する処理である。
ステップS350で制限後電圧位相θpadと電圧位相θpとが等しい(電圧位相変化量Δθpが値(Δθstmp−β)以下である)ときには、スイッチングパターンVの順序を順守できると判断し、第2PWM制御を許可として(ステップS210)、本ルーチンを終了する。この場合、第2PWM信号を用いてトランジスタT11〜T16のスイッチングを行なう。
ステップS200で制限後電圧位相θpadと電圧位相θpとが等しくない(電圧位相変化量Δθpが値(Δθstmp−β)よりも大きい)ときには、スイッチングパターンVの順序を順守できないと判断し、第2PWM制御を不許可とし(ステップS220)、第2PWM制御から第1PWM制御に切り替えて(ステップS230)、本ルーチンを終了する。上述したように、スイッチングパターンVの軌跡を順守するために、制限後電圧位相θpadを電圧位相θpよりも小さい値とすると、d軸,q軸の電圧指令Vd*,Vq*とトランジスタT11〜T16のスイッチングによるd軸,q軸の電圧Vd,Vqとの乖離が比較的大きくなることがあり得る。実施例では、第1PWM制御の実行に切り替えることにより、こうした不都合が生じるのを抑制することができる。この結果、モータ32の制御性が低下するのを抑制することができる。
この変形例では、マージンβは、電圧位相変化量Δθpとパルス幅Δθstmpとが等しいときもスイッチングパターンVの軌跡(順序)を順守できない課題が生じることを考慮して定めるものとした。しかし、この課題に加えて、電子制御ユニット50の処理能力やトランジスタT11〜T16の制御精度(スイッチングスピードのバラツキ)なども考慮して、より大きい値として定めるものとしてもよい。
実施例の電気自動車20では、第2PWM信号を生成する際に用いるパルスパターンPPのパルスタイプPTとして、モータ32の鉄損を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ(第2PWMa)と、電圧や電流の高調波を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ(第2PWMb)と、の2つのタイプを用いるものとした。しかし、パルスタイプPTとして、3つ以上のパルスタイプPTを用いるものとしてもよい。この場合、例えば、モータ32の鉄損を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,モータ32の銅損を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,モータ32のトルクリプルを低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,インバータ34の損失を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,モータ32およびインバータ34のトータル損失を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,電圧の高調波を低減するように第2PWM信号を生成するタイプ,電流の高調波を低減するように第2PWM信号を生成するタイプなどを用いるものとしてもよい。また、パルスタイプPTとして、1つのタイプだけを用いるものとしてもよい。この場合、パルスパターンPPとしては、パルス数Npだけに応じたパターンを設定すればよい。
実施例の電気自動車20では、第2PWM信号を生成する際には、パルスパターンPP(パルスタイプPTおよびパルス数Np)と変調率Rmとに基づいてスイッチング基準角θstmpを設定し、このスイッチング基準角θstmpを電圧位相θpを用いて補正してスイッチング角θsを設定するものとした。しかし、パルスパターンPPと変調率Rmと電圧位相θpとに基づいてスイッチング角θsを直接設定するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20では、バッテリ36とインバータ34との間に昇圧コンバータ40を設けるものとしたが、昇圧コンバータ40を設けないものとしてもよい。
実施例の電気自動車20では、モータ32とインバータ34とバッテリ36とを備える構成とした。しかし、図8の変形例のハイブリッド自動車120に示すように、モータ32とインバータ34とに加えて、エンジン122とプラネタリギヤ124とモータ132とインバータ134とを備える構成としてもよい。ここで、プラネタリギヤ124のサンギヤにはモータ132が接続され、キャリヤにはエンジン122が接続され、リングギヤには駆動軸26およびモータ32が接続されている。インバータ134は、モータ132に接続されると共に高電圧系電力ライン42に接続されている。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ32が「モータ」に相当し、インバータ34が「インバータ」に相当し、バッテリ36が「バッテリ」に相当し、電子制御ユニット50が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
20 電気自動車、22a,22b 駆動輪、24 デファレンシャルギヤ、26 駆動軸、32,132 モータ、32a 回転位置検出センサ、32u,32v,36b 電流センサ、34,134 インバータ、36 バッテリ、36a,46a,48a 電圧センサ、40 昇圧コンバータ、42 高電圧系電力ライン、44 低電圧系電力ライン、46,48 コンデンサ、50 電子制御ユニット、52 CPU、54 ROM、56 RAM、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ、120 ハイブリッド自動車、122 エンジン、124 プラネタリギヤ、D11〜D16,D31,D32 ダイオード、L リアクトル、T11〜T16,T31,T32 トランジスタ。

Claims (1)

  1. 走行用のモータと、
    複数のスイッチング素子のスイッチングによって前記モータを駆動するインバータと、
    前記インバータを介して前記モータと電力をやりとりするバッテリと、
    前記モータのトルク指令に基づいて前記インバータを制御する制御装置と、
    を備える自動車であって、
    前記制御装置は、前記トルク指令に基づく各相の電圧指令と搬送波電圧との比較によって前記複数のスイッチング素子の第1PWM信号を生成して前記複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう第1PWM制御と、前記トルク指令に基づく電圧の変調率および電圧位相と前記モータの電気角の所定周期のパルス数とに基づいて前記複数のスイッチング素子の第2PWM信号を生成して前記複数のスイッチング素子のスイッチングを行なう第2PWM制御と、を切り替えて実行し、
    更に、前記制御装置は、前記第2PWM信号を生成する際には、前記変調率および前記パルス数に基づいてスイッチング基準角を設定すると共に前記スイッチング基準角を前記電圧位相を用いて補正してスイッチング角を設定し、前記パルス数に基づいてスイッチングパターンを設定し、前記スイッチング角および前記スイッチングパターンに基づいて前記第2PWM信号を生成し、
    更に、前記制御装置は、前記第2PWM制御の実行中に、前記電圧位相の変化量が次回の前記スイッチング基準角と今回の前記スイッチング基準角との差分としてのパルス幅に基づく閾値以上になったときには、前記第1PWM制御に切り替える、
    自動車。
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