JP7354953B2 - 電力変換装置の制御装置、プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、誘導性負荷と、誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチと、を備える電力変換装置に適用される電力変換装置の制御装置及びプログラムに関する。
この種の制御装置は、誘導性負荷に電流を流すためにスイッチのスイッチング制御を行う。ここで、誘導性負荷のインダクタンス等に起因して、スイッチの駆動状態の切り替えに伴ってサージ電圧が発生する。
サージ電圧を低減するための制御装置として、特許文献1には、誘導性負荷としての回転電機の電機子巻線と、インバータを構成するスイッチとを備える電力変換装置に適用されるものが記載されている。この制御装置は、電機子巻線に流れる電流値が小さい場合に、スイッチのスイッチング速度を低下させる。これにより、インバータのスイッチング損失の増加を抑制しつつ、スイッチのオン状態への切り替えに伴い発生するリカバリサージ電圧の低減を図っている。
特開2015-65742号公報
ここで、サージ電圧を低減すべき状況は、誘導性負荷に流れる電流が小さい状況に限らず、他にも存在する。
本発明は、スイッチング損失の増加を抑制しつつ、スイッチの駆動状態の切り替えに伴い発生するサージ電圧を低減できる電力変換装置の制御装置及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
第1の発明は、多相の誘導性負荷と、
各相の前記誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチと、を備える電力変換装置に適用される電力変換装置の制御装置において、
前記誘導性負荷に電流を流すために、各相の前記スイッチのスイッチング制御を行う制御部と、
前記制御部によりスイッチング制御が行われる場合において、各相のうち異なる一部の相であってかつ少なくとも2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続するか否かを判定する連続判定部と、
前記連続判定部により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された相の前記スイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理を行う低下部と、を備える。
第1の発明では、多相の誘導性負荷に電流を流すために、各相のスイッチのスイッチング制御が行われる。スイッチング制御が行われる場合において、各相のうち異なる一部の相であってかつ少なくとも2相におけるスイッチの駆動状態の切り替えが連続する状況が発生し得る。この状況においては、切り替えが連続する相それぞれのスイッチの駆動状態の切り替えに伴って発生するサージ電圧が重畳される。重畳サージ電圧は大きな電圧値であるため、電力変換装置の信頼性が低下し得る。
ここで、重畳サージ電圧を低減するため、切り替えが連続する相それぞれのスイッチの駆動状態が切り替えられるたびにスイッチのスイッチング速度を低下させることも考えられる。しかし、この場合、スイッチング損失が大きく増加してしまう。
そこで、第1の発明では、各相のうち異なる一部の相であってかつ少なくとも2相におけるスイッチの駆動状態の切り替えが連続するか否かが判定される。そして、駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された相のスイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理が行われる。このように、第1の発明では、駆動状態の切り替えが連続し、重畳サージ電圧が大きくなり得る場合に速度低下処理が行われるため、各相においてスイッチング速度が低下させられる頻度を減らすことができる。これにより、スイッチング損失の増加を抑制しつつ、重畳サージ電圧を低減できる。
第2の発明は、誘導性負荷と、
前記誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチと、を備える電力変換装置に適用される電力変換装置の制御装置において、
前記誘導性負荷に流れる電流値の指令値に基づいて、複数の制御方式の中から1つを選択し、選択した前記制御方式に基づいて、前記誘導性負荷に電流を流すために前記スイッチのスイッチング制御を行う制御部と、
選択された前記制御方式及び前記指令値に基づいて、前記スイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理を行う低下部と、を備える。
第2の発明では、誘導性負荷に流れる電流値の指令値に基づいて、複数の制御方式の中から1つが選択され、選択された制御方式に基づいて、誘導性負荷に電流を流すためにスイッチのスイッチング制御が行われる。ここで、制御方式及び指令値の大きさに応じて、スイッチの駆動状態の切り替えに伴って発生するサージ電圧の大きさが変化する。
この点に鑑み、第2の発明では、選択された制御方式及び指令値に基づいて、スイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理が行われる。これにより、制御方式及び指令値の大きさに応じて、スイッチング損失の増加を抑制しつつ、スイッチの駆動状態の切り替えに伴い発生するサージ電圧を低減することができる。
第1実施形態に係る制御システムの全体構成図。 マイコンの処理を示すブロック図。 駆動回路を示す図。 速度低下処理の手順を示すフローチャート。 速度低下処理を示すタイムチャート。 判定閾値の設定方法の一例を示す図。 V,W相においてオフ状態への切り替えが連続する一例を示す図。 スイッチング速度がサージ電圧に及ぼす影響を示す図。 2相のサージ電圧が回転電機内において重畳することを示す図。 第1実施形態の変形例に係る速度低下処理の手順を示すフローチャート。 第2実施形態に係る速度低下処理の手順を示すフローチャート。 第3実施形態に係るマイコンの処理を示すブロック図。 パルスパターンの一例を示す図。 パルスパターンに基づく駆動信号の生成方法を示す図。 速度低下処理の手順を示すフローチャート。 第4実施形態に係る回転電機の動作領域を示す図。 動作領域に対応する制御方式を示す図。 速度低下処理の手順を示すフローチャート。 スイッチング速度を低下させる相を順次切り替える処理の一例を示す図。
<第1実施形態>
以下、本発明に係る制御装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、制御システムは、回転電機10及びインバータ20を備えている。本実施形態において、回転電機10は、ブラシレスの同期機であり、例えば永久磁石同期機である。回転電機10は、電機子巻線であるU,V,W相巻線11U,11V,11Wを備えている。なお、本実施形態において、U,V,W相巻線11U,11V,11Wが「誘導性負荷」に相当する。
回転電機10は、インバータ20を介して直流電源としてのバッテリ30に接続されている。インバータ20は、上アームスイッチSUH,SVH,SWHと下アームスイッチSUL,SVL,SWLとの直列接続体を備えている。U相上,下アームスイッチSUH,SULの接続点には、インバータ20のU相端子21U、U相導電部材22U、及び回転電機10のU相端子12Uを介して、U相巻線11Uの第1端が接続されている。V相上,下アームスイッチSVH,SVLの接続点には、インバータ20のV相端子21V、V相導電部材22V、及び回転電機10のV相端子12Vを介して、V相巻線11Vの第1端が接続されている。W相上,下アームスイッチSWH,SWLの接続点には、インバータ20のW相端子21W、W相導電部材22W、及び回転電機10のW相端子12Wを介して、W相巻線11Wの第1端が接続されている。U,V,W相巻線11U,11V,11Wの第2端は中性点で接続されている。本実施形態において、U,V,W相巻線11U,11V,11Wは、電気角で互いに120°ずれている。なお、各相の導電部材22U,22V,22Wは、例えば、ケーブル又はバスバーである。
本実施形態では、各スイッチSUH,SUL,SVH,SVL,SWH,SWLとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子が用いられており、より具体的にはNチャネルMOSFETが用いられている。各スイッチSUH,SUL,SVH,SVL,SWH,SWLには、ボディダイオードが内蔵されている。
インバータ20は、その入力側に、インバータ20の入力電圧を平滑化するコンデンサ23を備えている。コンデンサ23の高電位側端子には、バッテリ30の正極端子が接続され、コンデンサ23の低電位側端子には、バッテリ30の負極端子が接続されている。コンデンサ23の高電位側端子には、上アームスイッチSUH~SWHの高電位側端子であるドレインが接続されている。コンデンサ23の低電位側端子には、下アームスイッチSUL~SWLの低電位側端子であるソースが接続されている。なお、コンデンサ23は、インバータ20外部に設けられていてもよい。
制御システムは、電圧センサ40、電流センサ41、回転角センサ42、温度センサ43及び気圧センサ44を備えている。電圧センサ40は、コンデンサ23の端子電圧である電源電圧を検出する。電流センサ41は、回転電機10に流れる各相電流のうち、少なくとも2相分の電流を検出する。回転角センサ42は、例えばレゾルバ又はホール素子で構成され、回転電機10を構成するロータの電気角を検出する。
温度センサ43は、回転電機10(具体的には例えば、巻線11U~11W)の温度を検出する。気圧センサ44は、回転電機10及びインバータ20の設置環境における大気圧を検出する。各センサ40~44の検出値は、制御システムに備えられるマイコン50に入力される。なお、温度センサ43は、巻線11U~11Wの温度に限らず、この温度と相関する温度を検出してもよい。
マイコン50は、「制御装置」として機能し、回転電機10の制御量を指令値にフィードバック制御すべく、インバータ20を構成する各スイッチSUH~SWLのスイッチング制御を行う。本実施形態において、制御量はトルクである。マイコン50は、デッドタイムDTを挟みつつ上,下アームスイッチを交互にオン状態とすべく、上,下アームスイッチに対応する駆動信号を、上,下アームスイッチに対して個別に設けられた駆動回路Drに出力する。駆動信号は、オン指令又はオフ指令のいずれかをとる。
続いて、図2を用いて、マイコン50によって実行される回転電機10のトルク制御について説明する。本実施形態では、トルク制御として、電流フィードバック制御を行う。
2相変換部51は、電流センサ41により検出された相電流(以下、相電流検出値)と、回転角センサ42により検出された電気角θeとに基づいて、3相固定座標系におけるU,V,W相電流を、2相回転座標系(dq座標系)におけるd軸電流Idr及びq軸電流Iqrに変換する。
指令電流設定部52は、トルク指令値Trq*に基づいて、d,q軸指令電流Id*,Iq*を設定する。d,q軸指令電流Id*,Iq*は、例えば、最小電流最大トルク制御(MTPA)により算出されればよい。
d軸偏差算出部53は、d軸指令電流Id*からd軸電流Idrを減算した値として、d軸電流偏差ΔIdを算出する。q軸偏差算出部54は、q軸指令電流Iq*からq軸電流Iqrを減算した値として、q軸電流偏差ΔIqを算出する。
d軸指令電圧算出部55は、d軸電流偏差ΔIdに基づいて、d軸電流Idrをd軸指令電流Id*にフィードバック制御するための操作量として、d軸指令電圧Vd*を算出する。q軸指令電圧算出部56は、q軸電流偏差ΔIqに基づいて、q軸電流Iqrをq軸指令電流Iq*にフィードバック制御するための操作量として、q軸指令電圧Vq*を算出する。なお、d軸指令電圧算出部55及びq軸指令電圧算出部56で用いられるフィードバック制御は、例えば比例積分制御とすればよい。
3相変換部57は、d,q軸指令電圧Vd*,Vq*及び電気角θeに基づいて、2相回転座標系におけるd,q軸指令電圧Vd*,Vq*を、3相固定座標系におけるU,V,W相指令電圧VU*,VV*,VW*に変換する。本実施形態において、U,V,W相指令電圧VU*,VV*,VW*は、電気角で位相が120°ずつずれた正弦波状の波形となる。
信号生成部58は、U,V,W相指令電圧VU*,VV*,VW*及び電圧センサ40により検出された電源電圧(以下、電源電圧検出値Vdc)に基づいて、各駆動信号GUH,GVH,GWH,GUL,GVL,GWLを生成する。詳しくは、信号生成部58は、U,V,W相指令電圧VU*,VV*,VW*を電源電圧検出値Vdcの1/2で除算することにより、U,V,W相規格化指令電圧VUS,VVS,VWSを算出する。信号生成部58は、U,V,W相規格化指令電圧VUS,VVS,VWSと、これら指令電圧に共通のキャリア信号Scとの大小比較に基づくPWM制御により、U相上,下アーム駆動信号GUH,GULと、V相上,下アーム駆動信号GVH,GVLと、W相上,下アーム駆動信号GWH,GWLとを生成する。本実施形態において、キャリア信号Scは、上昇速度及び下降速度が等しい三角波信号である。信号生成部58は、生成したU相上,下アーム駆動信号GUH,GULをU相上,下アームスイッチSUH,SULの駆動回路Drに出力し、生成したV相上,下アーム駆動信号GVH,GVLをV相上,下アームスイッチSVH,SVLの駆動回路Drに出力し、生成したW相上,下アーム駆動信号GWH,GWLをW相上,下アームスイッチSWH,SWLの駆動回路Drに出力する。なお、本実施形態において、マイコン50の制御周期は、キャリア信号Scの周期よりも十分に短い。また、本実施形態において、2相変換部51、指令電流設定部52、d,q軸偏差算出部53,54、d,q軸指令電圧算出部55,56、3相変換部57及び信号生成部58が「制御部」に相当する。
本実施形態において、図2に示す処理は、回転電機10の動作点が正弦波PWM制御の領域又は過変調制御の領域に含まれる場合に実行される。正弦波PWM制御は、電機子巻線に印加される各相電圧のピーク値がバッテリ30の端子電圧以下になる場合において、電機子巻線に印加される各相電圧をPWM電圧波形にするための上,下アームスイッチのスイッチング制御である。正弦波PWM制御には、3相変調又は2相変調が含まれる。また、過変調制御は、電機子巻線に印加される各相電圧のピーク値がバッテリ30の端子電圧を上回る場合において、電機子巻線に印加される各相電圧を、正弦波PWM制御によるPWM電圧波形よりも変調率の高いPWM電圧波形にするための上,下アームスイッチのスイッチング制御である。
マイコン50は、速度指令部59を備えている。速度指令部59には、信号生成部58により生成された各駆動信号GUH,GVH,GWH,GUL,GVL,GWL、トルク指令値Trq*、気圧センサ44により検出された大気圧(以下、気圧検出値Pr)、温度センサ43により検出された温度(以下、温度検出値TDr)、電源電圧検出値Vdc及び相電流検出値が入力される。速度指令部59は、U相上,下アームの駆動回路Drに対してU相速度指令SPUを出力し、V相上,下アームの駆動回路Drに対してV相速度指令SPVを出力し、W相上,下アームの駆動回路Drに対してW相速度指令SPWを出力する。
続いて、図3を用いて、駆動回路Drについて説明する。本実施形態の上,下アームの各駆動回路Drは、基本的には同じ構成である。図3には、便宜上、インバータ20を構成するスイッチをSWにて示し、信号生成部58から駆動回路Drに入力される駆動信号をGINにて示し、速度指令部59から駆動回路Drに入力される速度指令をSVにて示す。
駆動回路Drは、定電圧電源60、充電スイッチ61及び充電抵抗体62を備えている。定電圧電源60には、充電スイッチ61及び充電抵抗体62を介して、スイッチSWのゲートが接続されている。定電圧電源60の出力電圧(例えば15V)は、スイッチSWのゲートに供給されるゲート電源電圧となる。
駆動回路Drは、第1放電抵抗体63A、第1放電スイッチ64A、第2放電抵抗体63B及び第2放電スイッチ64Bを備えている。スイッチSWのゲートには、第1放電抵抗体63A及び第1放電スイッチ64Aを介して、グランド部としてのスイッチSWのソースが接続されている。また、スイッチSWのゲートには、第2放電抵抗体63B及び第2放電スイッチ64Bを介して、スイッチSWのソースが接続されている。第1放電抵抗体63Aの抵抗値RAは、第2放電抵抗体63Bの抵抗値RBよりも大きい。
駆動回路Drは、駆動部65を備えている。駆動部65は、信号生成部58から出力された駆動信号GINを取得する。駆動部65は、取得した駆動信号GINがオン指令である場合、充電処理を行う。充電処理は、充電スイッチ61をオン状態にして、かつ、第1放電スイッチ64A及び第2放電スイッチ64Bをオフ状態にする処理である。充電処理によれば、スイッチSWのゲート電圧が閾値電圧Vth以上となり、スイッチSWがオン状態に切り替えられる。
駆動部65は、取得した駆動信号GINがオフ指令である場合、放電処理を行う。本実施形態において、放電処理は、低速放電処理又は高速放電処理のいずれかである。駆動部65は、取得した速度指令SVが低速スイッチング指令である場合、低速放電処理を行う。低速放電処理は、充電スイッチ61及び第2放電スイッチ64Bをオフ状態にして、かつ、第1放電スイッチ64Aをオン状態にする処理である。低速放電処理によれば、スイッチSWのゲート電圧が閾値電圧Vth未満となり、スイッチSWがオフ状態に切り替えられる。
駆動部65は、取得した速度指令SVが高速スイッチング指令である場合、高速放電処理を行う。高速放電処理は、充電スイッチ61及び第1放電スイッチ64Aをオフ状態にして、かつ、第2放電スイッチ64Bをオン状態にする処理である。高速放電処理によれば、低速放電処理よりもスイッチSWのゲート電荷の放電速度が高くなり、低速放電処理よりもスイッチSWをオフ状態に切り替える場合のスイッチング速度が高くなる。
速度指令部59は、U,V,W相のうち異なる2相におけるスイッチSWのオフ状態への切り替えが連続するか否かを判定する。速度指令部59は、オフ状態への切り替えが連続すると判定した場合、オフ状態への切り替えが連続すると判定された2相のうち、いずれか1相の速度指令を低速スイッチング指令として出力し、残りの1相の速度指令を高速スイッチング指令として出力する速度低下処理を行う。この処理は、インバータ20のスイッチング損失の増加を抑制しつつ、スイッチSWのオフ状態への切り替えに伴い発生するサージ電圧を低減するための処理である。
つまり、インバータ20、各相巻線11U~11W及び各相導電部材22U~22Wのインダクタンス及びキャパシタンスに起因する共振及び反射により、スイッチSWの駆動状態の切り替えに伴ってサージ電圧が発生し、回転電機10に過電圧として印加される。特に、スイッチSWのオフ状態への切り替えに伴って発生するサージ電圧は、オン状態への切り替えに伴って発生するリカバリサージ電圧よりも大きくなりやすい。ここで、2相における駆動状態の切り替えが連続すると、2相それぞれの駆動状態の切り替えに伴って発生するサージ電圧が重畳される。重畳されたサージ電圧は大きな電圧値である。このため、回転電機10において近接する巻線間や、巻線とグランドとの間でサージ電圧が発生した場合、それらの間で部分放電が発生し、回転電機10の劣化を招くおそれがある。
ここで、サージ電圧を低減するために、駆動状態が切り替えられるたびにスイッチSWのスイッチング速度を低下させることも考えられる。しかし、この場合、スイッチング損失が大きく増加してしまう。そこで、本実施形態では、速度指令部59が上述した速度低下処理を行う。これにより、スイッチング損失の増加を抑制しつつ、スイッチSWのオフ状態への切り替えに伴い発生するサージ電圧を低減する。
続いて、図4を用いて、速度指令部59が実行する速度低下処理の手順を説明する。この処理は、所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS10では、第1~第4条件が全て成立しているか否かを判定する。第1条件は、トルク指令値Trq*がトルク閾値Trqthよりも大きいとの条件である。第1条件は、スイッチSWのオフ状態への切り替えに伴い発生するサージ電圧が大きくなる状況であるか否かを判定するための条件である。なお、トルク閾値Trqthは、トルク最大値Trqmaxよりも小さい値である(図15参照)。
第2条件は、気圧検出値Prが気圧閾値Pthよりも低いとの条件である。なお、気圧閾値は、例えば、1気圧未満の値(例えば、0.6~0.7気圧)に設定されればよい。
第3条件は、温度検出値TDrが温度閾値TDthよりも高いとの条件である。第4条件は、電源電圧検出値Vdcが電圧閾値Vdthよりも高いとの条件である。
第2,第3条件は、回転電機10を構成する電機子巻線間の絶縁耐力が低下する状況であるか否かを判定するための条件である。第4条件は、サージ電圧が大きくなりやすい状況であるか否かを判定するための条件である。
ステップS10において第1~第4条件の少なくとも1つが成立していないと判定した場合には、速度低下処理の実行条件が成立していないと判定し、ステップS11に進む。ステップS11では、U,V,W相速度指令SPU,SPV,SPWを高速スイッチング指令にして出力する。
一方、ステップS10において第1~第4条件の全てが成立していると判定した場合には、速度低下処理の実行条件が成立していると判定し、ステップS12に進む。ステップS12では、異なる2相におけるスイッチSWのオフ状態への切り替えが連続するか否かを判定する。本実施形態では、U,V,W相のうちいずれか2相の規格化指令電圧の差が判定閾値αよりも小さい場合、オフ状態への切り替えが連続すると判定する。なお、本実施形態において、ステップS12の処理が「連続判定部」に相当する。
ステップS12においてU,V,W相のうちいずれか2相の規格化指令電圧の差が判定閾値α以上であると判定した場合には、オフ状態への切り替えが連続しないと判定し、ステップS11に進む。
一方、ステップS12においてU,V,W相のうちいずれか2相の規格化指令電圧の差が判定閾値αよりも小さいと判定した場合には、オフ状態への切り替えが連続すると判定し、ステップS13に進む。ステップS13では、オフ状態への切り替えが連続すると判定した2相のうちいずれか1相の速度指令を低速スイッチング指令にして出力する。本実施形態では、オフ状態への切り替えが連続すると判定した2相のうち相電流検出値が大きい相の速度指令を低速スイッチング指令にして出力する。また、残り2相の速度指令を高速スイッチング指令にして出力する。なお、本実施形態において、ステップS13の処理が「低下部」に相当する。
図5を用いて、速度低下処理についてさらに説明する。図5(a)は、U,V,W相規格化指令電圧VUS,VVS,VWSの推移を示し、図5(b)~(d)は、U,V,W相速度指令SPU,SPV,SPWの推移を示す。図5(a)には、キャリア信号Scが併記されており、「Amp/2」はキャリア信号Scの振幅を示す。
図5に示す第1期間BL1においては、U,W相規格化指令電圧VUS,VWSの差が判定閾値αよりも小さいと判定される。このため、U,W相のうち、相電流検出値が大きい相の速度指令が低速スイッチング指令とされ、相電流検出値が小さい相の速度指令が高速スイッチング指令とされる。また、V相速度指令SPVが高速スイッチング指令とされる。
第2期間BL2においては、V,W相規格化指令電圧VVS,VWSの差が判定閾値αよりも小さいと判定される。このため、V,W相のうち、相電流検出値が大きい相の速度指令が低速スイッチング指令とされ、相電流検出値が小さい相の速度指令が高速スイッチング指令とされる。また、U相速度指令SPUが高速スイッチング指令とされる。
第3期間BL3においては、U,V相規格化指令電圧VUS,VVSの差が判定閾値αよりも小さいと判定される。このため、U,V相のうち、相電流検出値が大きい相の速度指令が低速スイッチング指令とされ、相電流検出値が小さい相の速度指令が高速スイッチング指令とされる。また、W相速度指令SPWが高速スイッチング指令とされる。
なお、第4期間BL4においては、第1期間BL1と同様に、U,W相規格化指令電圧VUS,VWSの差が判定閾値αよりも小さいと判定される。また、第5期間BL5においては、第2期間BL2と同様に、V,W相規格化指令電圧VVS,VWSの差が判定閾値αよりも小さいと判定される。また、第6期間BL6においては、第4期間BL4と同様に、U,V相規格化指令電圧VUS,VVSの差が判定閾値αよりも小さいと判定される。
なお、判定閾値αは、「Amp/2」よりも小さい値、又は規格化指令電圧の振幅が取り得る最大値の1/2よりも小さい値に設定されている。具体的には例えば、判定閾値αは、0よりも大きくて、かつ、Ampの5%以下の値に設定されていればよい。図6に示すように、三角形の相似の関係から、「α:Δtc=100:1/(2fc)」→「α=200×Δtc×fc」が導かれる。ここで、Δtcは、連続するオフ状態への切り替えタイミングの時間差である近接時間差を示し、fcは、キャリア信号Scの周波数を示す。例えば、fc=5kHzとし、判定閾値αをAmpの5%(つまり、α=5)とする場合、Δtc=5μsとなる。ちなみに、電気角周波数ωeが高いほど、判定閾値αが大きく設定されてもよい。
図7に、オフ状態への切り替えが連続する場合の一例を示す。図7に示す「状態」の欄において、「0」は上アームスイッチがオフしてかつ下アームスイッチがオンすることを示し、「1」は上アームスイッチがオンしてかつ下アームスイッチがオフすることを示す。
図7(a)はU,V,W相のスイッチング状態が「111」の場合を示し、図7(b)はU,V,W相のスイッチング状態が「110」の場合を示す。図7(a)のスイッチング状態から図7(b)のスイッチング状態に切り替えられる状況は、W相下アームスイッチSWLがオフ状態に切り替えられる状況である。
図7(c)はU,V,W相のスイッチング状態が「100」の場合を示す。図7(b)のスイッチング状態から図7(c)のスイッチング状態に切り替えられる状況は、V相下アームスイッチSVLがオフ状態に切り替えられる。つまり、図7に示す例では、W,V相下アームスイッチSWL,SVLのオフ状態への切り替えが連続する。
速度低下処理によれば、3相のうち1相のスイッチング速度が低下させられる。図8に示すように、スイッチSWをオフ状態に切り替える場合のスイッチング速度を低下させると、スイッチSWのドレイン及びソース間電圧の上昇速度dV/dtが低下する。その結果、インダクタンス及びドレイン電流の上昇速度の乗算値「L×dI/dt」で定まるオーバーシュートの値が小さくなる。
オフ状態への切り替えが連続する2相のうちいずれか1相のスイッチング速度を低下させることにより、2相分が重畳されたサージ電圧を低減させることができる。図9には、2相におけるスイッチSWのドレイン及びソース間電圧をVA,VBにて示し、VA,VBに起因して回転電機10内で発生するサージ電圧をVC,VDにて示す。また、VC,VDが重畳したサージ電圧をVEにて示す。図8に示す例では、VBに対応する相のスイッチング速度を低下させている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
異なる2相におけるスイッチSWのオフ状態への切り替えが連続するか否かが判定される。そして、オフ状態への切り替えが連続すると判定された場合、連続すると判定された2相のスイッチSWのうちいずれか1相のスイッチSWのスイッチング速度を低下させる速度低下処理が行われる。これにより、インバータ20のスイッチング損失の増加を抑制しつつ、スイッチSWのオフ状態への切り替えに伴い発生する重畳サージ電圧を低減することができる。
特に本実施形態では、3相のうち、低速スイッチング指令とされる相が1相のみであるため、スイッチング損失の増加を的確に抑制することができる。
また、本実施形態では、サージ電圧が大きくなりやすいオフ状態への切り替えが連続する場合にスイッチング速度を低下させるため、重畳サージ電圧の低減効果が大きい。
オフ状態への切り替えが連続すると判定された2相のうち、相電流検出値が大きい相の速度指令が低速スイッチング指令として出力される。このため、重畳サージ電圧を効果的に低減することができる。
U,V,W相のうちいずれか2相の規格化指令電圧の差が判定閾値αよりも小さいと判定された場合、オフ状態への切り替えが連続すると判定される。規格化指令電圧の差が小さい状況は、オフ状態への切り替えが連続しやすい。このため、規格化指令電圧の差を用いた構成によれば、オフ状態への切り替えが連続することを簡易かつ的確に判定できる。
トルク指令値Trq*がトルク閾値Trqthよりも大きいと判定された場合に速度低下処理が行われる。トルク指令値Trq*がトルク閾値Trqthよりも大きい状況は、インバータ20及び回転電機10に流れる電流が大きくなる状況であるため、重畳サージ電圧が大きくなりやすい。重畳サージ電圧が大きくなりやすい状況においてのみ速度低下処理が行われる構成によれば、重畳サージ電圧を抑制しつつ、スイッチング損失の増加を抑制することができる。
気圧検出値Prが気圧閾値Pthよりも低いと判定された場合に速度低下処理が行われる。気圧検出値Prが気圧閾値Pthよりも低い状況は、回転電機10の絶縁耐力が低くなる状況である。このような状況においてのみ速度低下処理が行われるため、重畳サージ電圧を抑制しつつ、スイッチング損失の増加を抑制することができる。
温度検出値TDrが温度閾値TDthよりも高いと判定された場合に速度低下処理が行われる。温度検出値TDrが温度閾値TDthよりも高い状況は、回転電機10の絶縁耐力が低くなる状況である。このような状況においてのみ速度低下処理が行われるため、重畳サージ電圧を抑制しつつ、スイッチング損失の増加を抑制することができる。
電源電圧検出値Vdcが電圧閾値Vdthよりも高いと判定された場合に速度低下処理が行われる。電源電圧検出値Vdcが電圧閾値Vdthよりも高い状況は、重畳サージ電圧が大きくなる状況である。このような状況においてのみ速度低下処理が行われるため、重畳サージ電圧を抑制しつつ、スイッチング損失の増加を抑制することができる。
<第1実施形態の変形例>
・図4のステップS10の処理を、図10のステップS14に示すように、第1~第4条件の全てが成立しているか否かを判定する処理に置き換えてもよい。
また、第1~第4条件の全てが用いられることなく、第1~第4条件のうち、一部であってかつ少なくとも1つの条件が用いられてもよい。ここで、第1~第4条件のうち2つ又は3つが用いられる場合、これら条件は、論理積(AND)又は論理和(OR)により適宜組み合わせられればよい。
・図4のステップS10において、第1条件を、指令電流ベクトルの大きさが所定閾値よりも大きいとの条件に置き換えてもよい。ここで、指令電流ベクトルの大きさIrは、トルク指令値Trqと相関する値であり、例えば、下式(eq1)により算出されればよい。
Figure 0007354953000001
また、第1条件において用いられる値は、指令値に限らず、電機子巻線に流れる電流の検出値であってもよい。例えば、第1条件を、相電流検出値に基づいて算出した相電流の実効値が所定実効値よりも大きいとの条件、又は相電流検出値に基づいて算出した相電流の振幅が所定振幅よりも大きいとの条件に置き換えてもよい。
・図4のステップS13において、オフ状態への切り替えが連続すると判定された2相それぞれの速度指令が低速スイッチング指令として出力されてもよい。この場合であっても、スイッチング損失の増加を抑制することはできる。
また、図4のステップS13において、3相全ての速度指令が低速スイッチング指令として出力されてもよい。この場合であっても、スイッチング速度が低下させられる頻度を減らすことができるため、スイッチング損失の増加を抑制することはできる。
・信号生成部58において、キャリア信号Scと比較される電圧が、規格化指令電圧ではなく、U,V,W相指令電圧VU*,VV*,VW*であってもよい。この場合、電源電圧検出値Vdcに基づいて、キャリア信号Scの振幅が変更されればよい。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、オフ状態への切り替えが連続するか否かの判定方法が変更されている。
図11に、速度指令部59により実行される速度低下処理の手順を示す。この処理は、所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図11において、先の図4に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS10において肯定判定した場合には、ステップS15に進み、信号生成部58から取得した駆動信号に基づいて、3相のうち時間的に隣り合う2相のスイッチSWのオフ状態への切り替えタイミングの時間差Δtが減衰時間βよりも短いか否かを判定する。ステップS15の処理は、異なる2相におけるスイッチSWのオフ状態への切り替えが連続するか否かを判定するための処理である。
本実施形態において、減衰時間βは、ある1相のスイッチSWがオフ状態に切り替えられてから、このオフ状態への切り替えに伴って発生するサージ電圧が減衰するまでの期間に設定され、例えば実験又は計算により予め定められた値である。ここで、サージ電圧が減衰するとは、例えば、スイッチSWのドレイン及びソース間電圧が、オフ状態への切り替えに伴ってピーク値になった後、バッテリ30の端子電圧と同じ電圧に収束することとすればよい。
ステップS15において肯定判定した場合には、3相のうちいずれか1相のスイッチSWがオフ状態に切り替えられてから、このオフ状態への切り替えに伴って発生するサージ電圧が減衰するまでの期間内に、残りのいずれかの相のスイッチSWがオフ状態に切り替えられると判定する。つまり、ステップS15において肯定判定した場合には、オフ状態への切り替えが連続すると判定し、ステップS13に進む。
一方、ステップS15において否定判定した場合には、オフ状態への切り替えが連続しないと判定し、ステップS11に進む。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、キャリア信号Scに基づく駆動信号の生成方法に代えて、パルスパターンに基づく駆動信号の生成方法が用いられる。
図12に、本実施形態に係るトルク制御処理のブロック図を示す。なお、図12において、先の図2に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
トルク制御器70は、トルク指令値Trq*、d,q軸電流Idr,Iqr及び電源電圧検出値Vdcに基づいて、dq座標系における電圧ベクトルVnvtの位相である電圧位相δと、指令変調率Mrとを算出する。電圧ベクトルVnvtは、dq座標系における電圧ベクトルのd軸成分であるd軸電圧Vdとq軸成分であるq軸電圧Vqとによって定義される。電圧位相δは、例えば、d軸の正方向を基準とし、この基準から反時計回りの方向が正方向として定義される。
指令変調率Mrは、電圧ベクトルVnvtの大きさである電圧振幅Vrを電源電圧検出値Vdcで規格化した値である。電圧振幅Vrは、d軸電圧Vdの2乗値とq軸電圧Vqの2乗値との和の平方根として定義される。指令変調率Mrは、例えば下式(eq2)により算出されればよい。
Figure 0007354953000002
角度算出部71は、電圧位相δに電気角θeを加算した値として、固定座標系を基準とした電圧ベクトルVnvtの位相である実位相θrを算出する。なお、固定座標系の基準としては、例えば固定座標系のU相を用いることができる。
速度算出部72は、電気角θeに基づいて、回転電機10の電気角周波数ωeを算出する。
パターン生成部73は、電気角周波数ωe、指令変調率Mr及び実位相θrに基づいて、スイッチングパターンの指令値であるパルスパターンを生成する。パルスパターンは、電気角周波数ωe及び指令変調率Mrと関係付けられたマップ情報としてパターン記憶部74に記憶されている。パターン記憶部74は、ROM以外の非遷移的実体的記録媒体(例えば、ROM以外の不揮発性メモリ)である。パターン生成部73は、電気角周波数ωe及び指令変調率Mrに基づいて、記憶されているパルスパターンの中から該当するパルスパターンを選択する。
パルスパターンは、例えば図13に示すように、電気角で0~360度に渡って規定されている。パルスパターンは、オン指令とオフ指令とのそれぞれが電気角θeと関係付けられたマップ情報である。ちなみに、パルスパターンは、指令変調率Mrに代えて、電圧振幅Vrと関係付けられていてもよい。
パターン生成部73は、入力される実位相θrに基づいて、選択したパルスパターンを信号生成部75に出力する。ここで、出力される各相のパルスパターンは、選択されたパルスパターンが電気角で120度ずつずらされた信号である。本実施形態では、各相のパルスパターンのうち、U相のものをU相PWM信号GU*と称し、V相のものをV相PWM信号GV*と称し、W相のものをW相PWM信号GW*と称す。
信号生成部75は、U,V,W相PWM信号GU*,GV*,GW*とその論理反転信号との論理反転タイミング同士をデッドタイムDTだけ離間させる処理を行うことにより、各スイッチSUH、SUL,SVH,SVL,SWH,SWLの駆動信号GUH,GUL,GVH,GVL,GWH,GWLを生成する。図14には、U相上,下アーム駆動信号GUH,GULの生成方法を示す。図14(a)はU相PWM信号GU*の推移を示し、図14(b)はU相PWM信号GU*の論理反転信号の推移を示し、図14(c),(d)はU相上,下アーム駆動信号GUH,GULの推移を示す。なお、本実施形態において、2相変換部51、トルク制御器70、角度算出部71、速度算出部72、パターン生成部73、パターン記憶部74及び信号生成部75が「制御部」に相当する。
図15に、速度指令部59により実行される速度低下処理の手順を示す。この処理は、所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図15において、先の図4に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS10において肯定判定した場合には、ステップS16に進む。ステップS16では、U,V,W相PWM信号GU*,GV*,GW*に基づいて、3相のうち時間的に隣り合う2相のスイッチSWのオフ状態への切り替えタイミングの電気角の差Δθが判定閾値γ(>0)よりも小さいか否かを判定する。ステップS16の処理は、異なる2相におけるスイッチSWのオフ状態への切り替えが連続するか否かを判定するための処理である。
なお、判定閾値γ[deg.]は、第1実施形態で説明した近接時間差Δtc、ロータの回転速度n[rpm]及び回転電機10の極数mに基づいて設定されればよい。この場合、近接時間差Δtcを定めるためのキャリア信号Scの周波数fcは、スイッチSWの1スイッチング周期Tswに置き換えられればよい。1電気周期[sec.]が「60/(n×m)」で表されるため、「γ=Δtc×6×n×m」となる。つまり、判定閾値γは、回転速度nに基づいて可変とされてもよい。回転速度nは、回転角センサ42の検出値に基づいて算出されればよい。例えば、m=8とし、n=10000[rpm]とし、Δtc=5[μsec.]とする場合、γ=2.4[deg.]となる。
ステップS16において肯定判定した場合には、オフ状態への切り替えが連続すると判定し、ステップS13に進む。一方、ステップS16において否定判定した場合には、オフ状態への切り替えが連続しないと判定し、ステップS11に進む。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第3実施形態の変形例>
図15のステップS16において、電気角の差Δθに代えて、3相のうち時間的に隣り合う2相のスイッチSWのオフ状態への切り替えタイミングの時間差が用いられてもよい。この場合、判定閾値γに代えて、近接時間差Δtcが用いられればよい。
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第1実施形態等との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、速度低下処理の実行条件が変更されている。
図16に、電気角周波数ωe及びトルク指令値Trq*で規定された回転電機10の動作領域を示す。図16には、3つの制御方式の動作領域を示す。詳しくは、A1は正弦波PWM制御の領域を示す。A2は過変調制御の領域を示す。過変調制御は、上述したように、電機子巻線に印加される各相電圧のピーク値がバッテリ30の端子電圧を上回る場合において、電機子巻線に印加される各相電圧を、正弦波PWM制御によるPWM電圧波形よりも変調率の高いPWM電圧波形とするための上,下アームスイッチのスイッチング制御である(図17(a)参照)。
A3は矩形波制御の領域を示す。矩形波制御は、回転電機10の1電気角周期においてデッドタイムDTを挟みつつ上アームスイッチ及び下アームスイッチをそれぞれ1回ずつオン状態にするスイッチング制御である(図17(b)参照)。
図16に示すように、正弦波PWM制御の領域A1は、電気角周波数ωeが第1閾値K1以下の領域である。本実施形態において、第1閾値K1は、電気角周波数ωeが高いほど大きくなる。過変調制御の領域A2は、電気角周波数ωeが第1閾値K1よりも高くて、かつ、第2閾値K2(>K1)以下の領域である。本実施形態において、第2閾値K2は、電気角周波数ωeが高いほど大きくなる。矩形波制御の領域A3は、電気角周波数ωeが第2閾値K2よりも高くて、かつ、最大角周波数ωmax以下の領域である。
なお、回転電機10の動作領域は、電気角周波数ωeに代えて、回転電機10の機械角周波数(ロータの回転速度)と関係付けられていてもよい。
図18に、速度指令部59により実行される速度低下処理の手順を示す。この処理は、所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図18において、先の図4に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS20では、第1実施形態で説明した第2~第4条件が全て成立しているか否かを判定する。
ステップS20において第2~第4条件の少なくとも1つが成立していないと判定した場合には、速度低下処理の実行条件が成立していないと判定し、ステップS21に進む。ステップS21では、ステップS11と同様に、U,V,W相速度指令SPU,SPV,SPWを高速スイッチング指令にして出力する。
一方、ステップS20において第2~第4条件の全てが成立していると判定した場合には、速度低下処理の実行条件が成立していると判定し、ステップS22に進む。ステップS22では、回転電機10の現在の動作点が、正弦波PWM制御の領域A1又は過変調制御の領域A2のいずれかに含まれているか否かを判定する。
現在の動作点がいずれの領域A1,A2にも含まれていないと判定した場合には、ステップS21に進む。一方、現在の動作点がいずれかの領域A1,A2に含まれていると判定した場合には、トルク指令値Trq*がトルク閾値Trqthよりも大きいとの条件、及び電気角周波数ωeが速度閾値ωthよりも高いとの条件の双方が成立しているか否かを判定する。本実施形態において、速度閾値ωthは、図16に示すように、第2閾値K2のラインのうち、トルク閾値Trqthと交わる位置の値に設定されている。
トルク指令値Trq*がトルク閾値Trqthよりも大きいとの条件、及び電気角周波数ωeが速度閾値ωthよりも高いとの条件のうち、いずれかが成立していないと判定した場合には、ステップS21に進む。一方、双方の条件が成立していると判定した場合には、ステップS23に進む。ステップS23では、3相のうちいずれか2相の速度指令を低速スイッチング指令にして出力し、残り1相の速度指令を高速スイッチング指令にして出力する速度低下処理を行う。なお、本実施形態において、ステップS23の処理が「低下部」に相当する。
ステップS22において肯定判定される状況は、回転電機10の出力が大きく、電機子巻線に流れる電流値が大きい状況であるため、スイッチSWのオフ状態への切り替えに伴って発生するサージ電圧が大きくなる。このような状況において、オフ状態に切り替える場合のスイッチング速度を低下させる本実施形態によれば、インバータ20のスイッチング損失の増加を抑制しつつ、スイッチSWのオフ状態への切り替えに伴い発生するサージ電圧を低減することができる。
なお、ステップS23において、3相のうち速度指令を低速スイッチング指令とする相は、例えば図19に示すように、順次切り替えられればよい。図19において、Hは高速スイッチング指令を示し、Lは低速スイッチング指令を示し、TswはスイッチSWの1スイッチング周期を示す。図19に示す例では、速度指令部59は、1スイッチング周期Tswに相数「3」を乗算した期間において、各相2回ずつ低速スイッチング指令が出現するように、3相のうち低速スイッチング指令とする相を1スイッチング周期Tsw毎に順次切り替える。
低速スイッチング指令に基づくスイッチング損失は、高速スイッチング指令に基づくスイッチング損失よりも大きい。また、低速スイッチング指令に基づくスイッチング制御と高速スイッチング指令に基づくスイッチング制御とでは、相電流の波形のひずみ度合いが異なり、トルク制御性に影響を及ぼす。このため、低速スイッチング指令とする相が順次切り替えられる構成によれば、3相のうち特定の相のスイッチに発熱が偏ることを防止しつつ、各相電流の波形のひずみ度合いを極力均等化してトルク制御性の低下を防止できる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・第4実施形態の図18のステップS23において、3相の速度指令を低速スイッチング指令として出力してもよい。この場合であっても、スイッチング速度が低下させられる頻度を減らすことができるため、スイッチング損失の増加を抑制することはできる。
・上記第1~第3実施形態では、異なる2相におけるスイッチSWのオフ状態への切り替えが連続する場合に速度低下処理が実行されたがこれに限らず、異なる2相におけるスイッチSWのオン状態への切り替えが連続する場合に速度低下処理が実行されてもよい。これにより、重畳されたリカバリサージ電圧を低減できる。なお、この場合、例えば、充電抵抗体62の抵抗値を変更することにより、オン状態に切り替える場合のスイッチング速度が変更されればよい。
また、オフ状態への切り替え及びオン状態への切り替えそれぞれにおいて速度低下処理が実行されてもよい。
・第4実施形態において、スイッチSWのオフ状態への切り替えに代えて又はオフ状態への切り替えに加え、スイッチSWのオン状態への切り替えにおいて速度低下処理が実行されてもよい。
・スイッチング速度の変更方法としては、スイッチSWのゲートに接続されたゲート抵抗体の抵抗値を変更する方法に限らない。例えば、スイッチSWのゲート電荷の放電先となるグランドの電位をスイッチSWのソース電位よりも低い電位に切り替え可能な構成を駆動回路Drが備える場合、グランドの電位を低下させることによりスイッチング速度を高くすることができる。
・キャリア信号としては、三角波信号に限らず、例えばのこぎり波信号であってもよい。
・インバータを構成するスイッチとしては、NチャネルMOSFETに限らず、例えばIGBTであってもよい。この場合、スイッチの高電位側端子がコレクタとなり、低電位側端子がエミッタとなる。また、この場合、スイッチにフリーホイールダイオードが逆並列に接続されていればよい。
・インバータは、3相のものに限らない。例えば、第1実施形態において、インバータが4相以上の場合、速度指令部59は、各相のうち異なる3相におけるスイッチSWのオフ状態への切り替えが連続するか否かを判定してもよい。この場合、速度指令部59は、連続すると判定した3相のうち、相電流検出値が最も大きい1相の速度指令を低速スイッチング指令として出力し、残りの相の速度指令を高速スイッチング指令として出力してもよい。
・電力変換装置としては、インバータに限らず、例えば、昇圧機能及び降圧機能のうち少なくとも一方の機能を有するDCDCコンバータであってもよい。
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
10…回転電機、11U~11W…U~W相巻線、20…インバータ、50…マイコン。

Claims (18)

  1. 多相の誘導性負荷(11U~11W)と、
    各相の前記誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチ(SUH~SWL)と、を備える電力変換装置(20)に適用される電力変換装置の制御装置(50)において、
    前記誘導性負荷に電流を流すために、各相の電圧指令値とキャリア信号とに基づくPWM制御により、各相の前記スイッチのスイッチング制御を行う制御部と、
    前記制御部によりスイッチング制御が行われる場合において、各相のうち異なる一部の相であってかつ少なくとも2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続するか否かを判定する連続判定部と、
    前記連続判定部により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された相の前記スイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理を行う低下部と、を備え
    前記連続判定部は、各相のうちいずれか2相の前記電圧指令値の差が判定閾値よりも小さい場合、2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続すると判定し、
    前記低下部は、前記連続判定部により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された2相の前記スイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる電力変換装置の制御装置。
  2. 多相の誘導性負荷(11U~11W)と、
    各相の前記誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチ(SUH~SWL)と、を備える電力変換装置(20)に適用される電力変換装置の制御装置(50)において、
    前記誘導性負荷に電流を流すために、各相の前記スイッチのスイッチング制御を行う制御部と、
    前記制御部によりスイッチング制御が行われる場合において、各相のうち異なる一部の相であってかつ少なくとも2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続するか否かを判定する連続判定部と、
    前記連続判定部により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された相の前記スイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理を行う低下部と、を備え
    前記連続判定部は、前記制御部によりスイッチング制御が行われている場合において、各相のうちいずれか1相の前記スイッチの駆動状態が切り替えられてから、該駆動状態の切り替えに伴って発生するサージ電圧が減衰するまでの期間内に、残りのいずれかの相の前記スイッチの駆動状態が切り替えられる場合、2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続すると判定し、
    前記低下部は、前記連続判定部により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された2相の前記スイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる電力変換装置の制御装置。
  3. 多相の前記誘導性負荷は、回転電機(10)を構成する3相の電機子巻線であり、
    前記電力変換装置は、3相のインバータであり、
    前記制御部は、前記回転電機の電気角と関係付けられてスイッチングパターンが規定された情報であるパルスパターンに基づいて、各相の前記スイッチのスイッチング制御を行う請求項に記載の電力変換装置の制御装置。
  4. 多相の誘導性負荷(11U~11W)と、
    各相の前記誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチ(SUH~SWL)と、を備える電力変換装置(20)に適用される電力変換装置の制御装置(50)において、
    前記誘導性負荷に電流を流すために、各相の前記スイッチのスイッチング制御を行う制御部と、
    前記制御部によりスイッチング制御が行われる場合において、各相のうち異なる一部の相であってかつ少なくとも2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続するか否かを判定する連続判定部と、
    前記連続判定部により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された相の前記スイッチのうちいずれか1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理を行う低下部と、を備える電力変換装置の制御装置。
  5. 前記低下部は、前記連続判定部により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された相の前記スイッチのうち、流れる電流値が最も大きい相のスイッチのスイッチング速度を低下させる請求項に記載の電力変換装置の制御装置。
  6. 前記低下部は、前記誘導性負荷に流れる電流値又は該電流値の指令値が閾値よりも大きいことを条件として、前記速度低下処理を行う請求項1~5のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
  7. 前記連続判定部は、各相のうち異なる一部の相であってかつ少なくとも2相における前記スイッチのオフ状態への切り替えが連続するか否かを判定し、
    前記低下部は、前記連続判定部によりオフ状態への切り替えが連続すると判定された場合、オフ状態への切り替えが連続すると判定された2相の前記スイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる請求項1~6のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
  8. 誘導性負荷(11U~11W)と、
    前記誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチ(SUH~SWL)と、を備える電力変換装置(20)に適用される電力変換装置の制御装置(50)において、
    前記誘導性負荷に流れる電流値の指令値に基づいて、複数の制御方式の中から1つを選択し、選択した前記制御方式に基づいて、前記誘導性負荷に電流を流すために前記スイッチのスイッチング制御を行う制御部と、
    選択された前記制御方式及び前記指令値に基づいて、前記スイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理を行う低下部と、を備える電力変換装置の制御装置。
  9. 前記低下部は、前記指令値が閾値よりも大きいことを条件として、前記速度低下処理を行う請求項に記載の電力変換装置の制御装置。
  10. 前記誘導性負荷は、回転電機(10)を構成する電機子巻線であり、
    前記電力変換装置は、インバータであり、
    前記低下部は、前記指令値が前記閾値よりも大きくて、かつ、前記回転電機の回転速度が速度閾値よりも高いことを条件として、前記速度低下処理を行う請求項に記載の電力変換装置の制御装置。
  11. 前記電力変換装置は、前記電力変換装置の電源電圧を検出する電圧センサ(40)を備え、
    前記低下部は、前記電圧センサにより検出された電源電圧が電圧閾値よりも高いことを条件として、前記速度低下処理を行う請求項1~10のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
  12. 前記電力変換装置は、気圧を検出する気圧センサ(44)を備え、
    前記低下部は、前記気圧センサにより検出された気圧が気圧閾値よりも低いことを条件として、前記速度低下処理を行う請求項1~11のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
  13. 前記電力変換装置は、前記誘導性負荷の温度又は該温度と相関する温度を検出する温度センサ(43)を備え、
    前記低下部は、前記温度センサにより検出された温度が温度閾値よりも高いことを条件として、前記速度低下処理を行う請求項1~12のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
  14. 前記誘導性負荷は、回転電機(10)を構成する3相の電機子巻線であり、
    前記電力変換装置は、3相のインバータである請求項1,2,4,5,8~10のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
  15. 多相の誘導性負荷(11U~11W)と、
    各相の前記誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチ(SUH~SWL)と、
    コンピュータ(50)と、を備える電力変換装置(20)に適用されるプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記誘導性負荷に電流を流すために、各相の電圧指令値とキャリア信号とに基づくPWM制御により、各相の前記スイッチのスイッチング制御を行う処理と、
    前記スイッチング制御が行われる場合において、各相のうち異なる一部の相であってかつ少なくとも2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続するか否かを判定する判定処理と、
    前記判定処理により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された相の前記スイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理と、を実行させ、
    前記判定処理は、各相のうちいずれか2相の前記電圧指令値の差が判定閾値よりも小さい場合、2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続すると判定する処理であり、
    前記速度低下処理は、前記判定処理により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された2相の前記スイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる処理である、プログラム。
  16. 多相の誘導性負荷(11U~11W)と、
    各相の前記誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチ(SUH~SWL)と、
    コンピュータ(50)と、を備える電力変換装置(20)に適用されるプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記誘導性負荷に電流を流すために、各相の前記スイッチのスイッチング制御を行う処理と、
    前記スイッチング制御が行われる場合において、各相のうち異なる一部の相であってかつ少なくとも2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続するか否かを判定する判定処理と、
    前記判定処理により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された相の前記スイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理と、を実行させ、
    前記判定処理は、前記スイッチング制御が行われている場合において、各相のうちいずれか1相の前記スイッチの駆動状態が切り替えられてから、該駆動状態の切り替えに伴って発生するサージ電圧が減衰するまでの期間内に、残りのいずれかの相の前記スイッチの駆動状態が切り替えられる場合、2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続すると判定する処理であり、
    前記速度低下処理は、前記判定処理により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された2相の前記スイッチのうち少なくとも1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる処理である、プログラム。
  17. 多相の誘導性負荷(11U~11W)と、
    各相の前記誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチ(SUH~SWL)と、
    コンピュータ(50)と、を備える電力変換装置(20)に適用されるプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記誘導性負荷に電流を流すために、各相の前記スイッチのスイッチング制御を行う処理と、
    前記スイッチング制御が行われる場合において、各相のうち異なる一部の相であってかつ少なくとも2相における前記スイッチの駆動状態の切り替えが連続するか否かを判定する判定処理と、
    前記判定処理により駆動状態の切り替えが連続すると判定された場合、駆動状態の切り替えが連続すると判定された相の前記スイッチのうちいずれか1相のスイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理と、を実行させるプログラム。
  18. 誘導性負荷(11U~11W)と、
    前記誘導性負荷に電気的に接続されたスイッチ(SUH~SWL)と、
    コンピュータ(50)と、を備える電力変換装置(20)に適用されるプログラムにおいて、
    前記コンピュータに、
    前記誘導性負荷に流れる電流値の指令値に基づいて、複数の制御方式の中から1つを選択し、選択した前記制御方式に基づいて、前記誘導性負荷に電流を流すために前記スイッチのスイッチング制御を行う処理と、
    選択された前記制御方式及び前記指令値に基づいて、前記スイッチのスイッチング速度を低下させる速度低下処理と、を実行させるプログラム。
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